春香「ってやんでい」やよい「うっうー血見らんことには収まりがつきまへんな」 (8)









あおい~とり~~……………




………………………もし幸せ~










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空を飛ぶ物体が地へと降りていく

いや、ちがうな

降りていくというより

力尽きて落ちていくのだ

小さな鳥が落ちて行く姿は

それはとても儚いものだった

765プロという事務所は存在しない

天海春香という人物も

とても心地のいい空間も、気がつけば

暗い世界へと変わっていくのである


目の前に落ちてこの世をさった鳥に

俺は

……

一礼をして足を後ろへ戻す

よかったじゃないか、この世を去れて

その方が幸せなこともあるんだからな

暗い夜道を歩きながら、俺はうっすらと笑う

「空を飛べただけでもお前の人生は幸せだったよ」

俺の声に何も反応するものはなく

遠くで微かに響く虫の鳴き声に耳を傾けながら

いずれ綺麗さっぱり無くなってしまうだろう物体に片手を上げた



なんでこの世界はこんなにつまらないのか

鳥になって空を飛んでる方が何倍も楽しい

ありもしない世界に気が重くなることもなく

この世界の残酷さに頭を抱えることもなく

ただ風に揺られて飛んでいられたら、それはとても楽しいものだろう

「……おっと」

いかん、いかん

またありもしない想像をしてしまった

鳥になるなんてまた変な夢を…

それに、

鳥にならなくたって今は空を飛ぶことはできる

窓側の座席に座ることができれば

窓から地上を見下ろして空を飛んでいる気分にもなれる

いや、実際に飛んでいるのだが

「…つまらん」

そのひとことに潰されてしまった

あーあ

今から下を見て顔をあげたら天海春香が立っていたり

………なんて、

ありもしないと分かっていながら俺は下を見て、顔を上げる

「ほら……」

………

その時、

……俺はその場に立ち止まった

俺の目の前に、リボンをつけた

ショートカットの女子高生

ちょうど俺が今考えていた通りの人物がそこに





立っていなかった

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