【ラブライブ】のぞえり「我は葉となり蝶となる」 (50)

ラブライブのSSになります

※名前が平仮名なことに大きな意味はありません

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1413104137

えり「失礼します」

のぞみ「はい?」

えり「あなたが超常現象研究会の部長、東條のぞみさん?」



突然だけど、それが私と絢瀬えりとの出会いだった。



のぞみ「そのとおりやけど……えっと」

えり「申し遅れました。私、生徒会の絢瀬えりと申します」

のぞみ「生徒会がウチになんのよう?」

えり「大変心苦しいのだけれど、伝えなくてはいけないことがあって」

のぞみ「?」

えり「長らくあなた一人での活動を許可してきたけれど、今年度をもってこの部の廃部が正式に決まりました」

のぞみ「ええ!?そんな急に!いやや!」

えり「ごめんなさい。でももう決まったことなの」

のぞみ「そこをなんとか、お願い!よくみたらベッピンさん!」

えり「本当にごめんなさい。わかって頂戴、東條さん」

のぞみ「……」

えり「せめて残りの時間を有意義に過ごせることを祈るわ」

のぞみ「うーん」

えり「では失礼します」

のぞみ「待ったあ!!!」

えり「えっ」

のぞみ「うんうん。実はウチの占いで今日あなたが来ることはわかってたん!」

えり「な、何を言って」

のぞみ「金髪蒼眼の美少女がここを訪れるでしょう。ってお告げが!」

えり「悪いけど、私そういうオカルトは……」

のぞみ「だからあなたはこの部に入らなくてはいけないのだ!」

えり「はあ!?どうしてそうなるの!?」

のぞみ「だってキミが残り時間を有意義に。って言ったんやん」

えり「生徒会の私を引き込んでも決定は覆らないわよ」

のぞみ「そんなんわからないって。ええと、絢瀬……えり、と」

えり「その紙は?」

のぞみ「入部届け」

えり「待ちなさい!そんな勝手!」

のぞみ「うんうん。これも運命。キミってば超ラッキーガールなんよ」

えり「ちょっと、させないわよ!」

のぞみ「つーかまらなーいよー」

・・・・・



えり「はあ、はあ、あの人どこに……このままじゃ……いや、待てよ」



・・・・・



のぞみ「よーし、撒いた撒いた。あとはこれを先生に提出するだけ!」

えり「させないってば」

のぞみ「え……先回り!?キミってエスパー!?」

えり「入部届けを出すなら、必ず職員室に来るとわかっているもの」

のぞみ「まさかエスパー少女が我が部に入ってくれるなんて!やっぱりのぞみちゃんの占いは間違いない!」

えり「聞いてよ!」

のぞみ「あっ」

えり「この紙は没収」

のぞみ「そんなあ」

えり「もう、煩わせないでよ」

のぞみ「そんなに、嫌だった?」

えり「えっ……嫌っていうか、私には生徒会があってね」

のぞみ「ごめんね、調子乗ってしもたかも」

えり「え、えっと」

あーあ。またやってしまった。

一人で勝手にはしゃいじゃって。

こんなんだから、いつまで経ってもひとりぼっちなんだ。

誰も入ってくれないんだ。

久しぶりの来客につい舞い上がって、楽しくなっちゃって。



のぞみ「ごめんね、もうしないから」

えり「そんなにがっかりしないで」

のぞみ「いいんよ、気つかわんで」

えり「わ、私も楽しかった」

のぞみ「……え?」

えり「こういうふうにふざけあうの、初めてだったかも」



……そうか。初対面だったのに妙に感じた親近感はこれか。

この人も、ひとりぼっちなんだ。

えり「と、友達ってこんな感じなのかしら、なんて……」

のぞみ「友達」

えり「ご、ごめんなさい急に!気持ちわるいわよね」

のぞみ「ふふ……うん!気持ちわるい!」

えり「ごめんなさい」

のぞみ「じょーだんやって!」

えり「冗談?」

のぞみ「友達は、こういうじょーだんも言い合うんよ?」

えり「……!」

のぞみ「私たちはともに戦場を駆け巡った戦友(トモ)なのだ!」

えり「なにそれ!ふふっ」



この日、私に友達ができた。

その名は絢瀬えり。

彼女は孤高のエスパー戦士なのだ。

朝。絢瀬さんをみかける。



のぞみ「あっ」



昨日の今日で、話しかけていいものだろうか。

変に思われないかな?

もう忘れられてないかな?



のぞみ「絢瀬さん!おはよう!」



私の言動は常に思考とはウラハラなのだ。



えり「え……あ、東條さん!おはよう」

のぞみ「覚えててくれた!」

えり「当たり前じゃない」

のぞみ「あのな!超常現象研究会滅亡の危機に瀕して策を練ってみたんやけど」

えり「せっかくだけど、もう決まってしまったことよ」

のぞみ「そう言わんで聞いてき!さあさあ」



絢瀬さんはちょっとオカタイところがある。さすがは戦士。



えり「そういえば東條さん、出身はどちら?独特の言葉が混じってるけど」

のぞみ「生まれも育ちもココ秋葉や」

えり「……」

苦笑い。このオカタイ戦士は、一体何と戦っているんだろう。

いつも剣先を突きつけて、身構えている。

……一体何と戦っているんだろう。



のぞみ「絢瀬さんこそ、どうしてエスパー戦士になったの?」

えり「なっていないのだけれど」

のぞみ「大丈夫。ウチは口はかたいよ。絢瀬さんの財布の紐のように」

えり「ゆるゆるじゃない」

少しずつこの人の正体を暴き、秘密を知っていく。

しかし消されるのは望むところではないので心に留めておくことにする。



のぞみ「コンコン。失礼します」

えり「あら、生徒会室までなんのよう?」

のぞみ「みてみて!超常現象研究会の広告を剃ってみたん!これを配って欲しくて」

えり「だから、何度も言うようだけれど」

のぞみ「そこをなんとか!」

えり「はあ。生徒会が協力することはできないけど、独自にやる分には口出しできないわ」

のぞみ「つまるところ?」

えり「部の活動としてそれを配るなら、咎めはしません」

のぞみ「そっかそっか!なら行こか」

えり「え!?どこに……」

・・・・・



のぞみ「超常現象研究会でーす」

えり「よかったらチラシだけでもどうぞー」

のぞみ「なかなか受け取ってももらえんなあ」

えり「そうね……ってなんで私も配ってるのよ!」

のぞみ「おお!今のはなかなかよかったよ!」

えり「そう?」

のぞみ「うんうん、いい感じ」

えり「そうかしら……じゃなくて!」

ピラッ

のぞみ「あ!ありがとうございます」

にこ「ふーん。こんな部あったんだ」

のぞみ「もしかして興味あるん!!?」

にこ「別に。ただ……大変ね。お互い」

えり「ねえってば!聞いてる!?」

のぞみ「だって絢瀬さんは準部員やし」

えり「百歩譲ってそうだとして、こんなので廃部は避けられないわよ」

のぞみ「そうかな」

そうだよ。わかってる。

本当は私……

生徒会に行く用が欲しくてこのチラシを刷ったの。

自分勝手だよね。あなたは生徒会が忙しいのに。

でも私、もっとあなたと仲良くなりたくて……

こんな私を、あなたはどう思う?



えり「ぷっ!あはははは」

のぞみ「え?な、なんや」

えり「のぞみの頭に蝶が止まって!かわいい髪飾りしてるみたい!」

のぞみ「蝶?」

反射的に頭に触れてみる。

えり「あっ」

すると蝶は私の元から飛んでいった。

えり「行っちゃった」



なぜだろう。それが私にはもの悲しかった。



えり「蝶はいいなあ」

自由に飛べて。

そんな言葉が続くと思ったけど、彼女はそれ以上は何も言わなかった。

どうして?と聞くのも野暮ったくて……私も何も聞かなかった。

のぞみ「……」

えり「私はね、蜂のように刺しちゃうの」

のぞみ「確かに、近寄りがたいかもしれんね」

えり「そう見える?そうね。多くの人は私に近寄りたがらないわ」

のぞみ「蜂だから?」

えり「私は蛾なの。羽を広げて、怖い模様で周りを威嚇しているの」

のぞみ「ガ……?」

えり「そう。モスラの蛾。蝶のようにはなれないわ」



なんということだ。絢瀬えりはエスパー戦士でもあり、モスラでもあるらしい。

この由々しき事態を私の少ない脳みそがどこまで誤り無く把握できているか甚だ疑問である。

私は布団の中でこれまでの情報を整理することにした。

エスパーモスラ戦士。超能力ガソルジャー。

いずれにしても我が超常現象研究会にほしい逸材であることは間違いない。



……しかし私は私が思うより人道的な人間だったようだ。

その不憫な少女を、私は人間に戻してあげたいと思った。

今日はここまでです
あまり長くならない予定ですが、くだらないことを書き連ねるので目障りでしたらそっとスレを閉じてください

彼女は自分を蛾と呼ぶけれど、あんなに眩しい笑顔を隠し持っている。

きっとみんな、それを知らないんだ。

きっと絢瀬さんが笑ったら、みんな彼女に寄ってくる。

……私は、街灯に群がる蛾を想像してしまった。

ならば、彼女の笑顔に惹かれた私こそ蛾なのかもしれない。



・・・・・



えり「おはよう。のぞみ」

のぞみ「ああ……絢瀬さん」

えり「今朝は眠そうね」

のぞみ「うん、ちょっと考えなければいけないことがあって」

えり「勉強熱心なのね。でも寝不足はカラダに毒よ」

のぞみ「ありがとう。絢瀬さん」

えり「……えり」

のぞみ「うん?」

えり「えりでいいわよ」

のぞみ「えっ……」

ドクン

のぞみ「ふう……」

ドクン

のぞみ「じ、じゃあ」

ドクン

のぞみ「えりちゃん」



・・・・・

えり「でね、その同じ役員の子が……」

のぞみ「うんうん」



えりちゃんと知り合ってから数ヶ月が過ぎた。

最近はココ超常現象研究会は、もっぱらえりちゃんの愚痴を聞く会と化している。




えり「ってことがあったのよ」

のぞみ「えりちゃんは大変やなあ」

えり「のぞみはどう思う?私ってそんなに堅物かしら」

のぞみ「そうやね」

えり「そうなの?」

のぞみ「では、そんなあなたの悩みにのぞみんのお悩み解決!のコーナーです」

えり「どうやって?」

のぞみ「えりちゃんは頭が硬すぎる。ユーモアが足りないんよ!」

えり「ユーモア……」

のぞみ「もっと面白おかしく生きてみろ!このカッチン頭が!……と水晶が言っています」

えり「そのガラス玉カチ割っていいかしら」

のぞみ「ああ!石頭の最初の被害者がウチの水晶ちゃんになってまう!」

えり「頭突きで割るわけじゃないわ」

のぞみ「水晶玉ではご満足いただけない?そんなあなたにはカードのありがたいお言葉や!」

えり「今度はなによ……」

のぞみ「カードが言っているんや」

えり「はいはい。なんて言ってるの?」

のぞみ(カード)「せっかくの風貌なので、アメリカンジョークを磨きなさい」

えり「私に流れてるのはロシアの血よ?」

のぞみ(カード)「えっ?」

えり「……」

のぞみ(カード)「コホン、毎日のぞみちゃんにアメリカンジョークを聞かせることで新たな道が開けるだろう」

えり「なんでジョークで道が開けるのよ」

のぞみ(カード)「そのジョークはいずれ返ってきて、自身の背中を押すであろう」

えり「よくわからないわ」

予てより練習していた腹話術を披露したけど、反応はイマイチだった。

おかしい。以前矢澤さんに披露したときより格段に上達したはずなのに。



えり「よくわからない……けど、やってみるわ」

のぞみ「その息や!おもしろおかしいエリーチカになろ!」



こうして私とえりちゃんの変身エリーチカ作戦が始まった。

孤独な私を救ってくれたあなたへの、恩返しになればいいな。



えり「……そういえば」

のぞみ「どうしたん?」

えり「えりち、ってなに?」

のぞみ「へ?知らん」

えり「あなたがいつも言ってるんじゃない。えりちやんって」

のぞみ「いや……えりちゃんって。それだと後のやんってなに?」

えり「えっ」

のぞみ「えっ」

えり「あなたよく語尾にやん、ってつけるじゃない」



どういうわけか、この人はえりちゃん、をえりち、やん。と分けて認識しているらしい。



のぞみ「いや、えりちって呼んでるわけではなくて」

えり「あ、いいのよ別に。結構気に入っているの」



どうやら一度も呼んだことのないあだ名を本人は気に入ってしまっているらしい。

以来、人の期待を裏切れない私は彼女のことをえりち、と呼ぶことになる。



・・・・・

のぞみ「こんにちは。矢澤にこさん」

にこ「またあなた?なんだってのよ」

のぞみ「えー?ウチはあなたとお話したいだけなんやけど」

にこ「それがなんなのかって聞いてるのよ」

のぞみ「なんや照れちゃって!」

にこ「はあ?」

のぞみ「となり、座るよ」

にこ「なんなのよ……」

のぞみ「あっ!矢澤さんのお弁当美味しそう!」

にこ「そ、そう?自分で……つくってるんだけど……」

のぞみ「すごいすごい!いただきます!」

にこ「ちょっと!」



最近の私は誰に影響されたのか、アグレッシブなのだ。

似た境遇にあるように感じたから、仲良くなれるかなと思ったんだけど。

彼女もまた、一筋縄ではいかないようだった。



・・・・・



えり「のぞみ、早速だけど調べてきたわ」

のぞみ「いいやん!よし聞かせて聞かせて」

えり「映画からの抜粋なんだけど……コホン」



えり「義母が亡くなった」

えり(妻)「墓石はどんなものにしましょうか?」

えり(夫)「そうだなあ、なんでもいいからめちゃくちゃに重い石を注文してくれよ」



のぞみ「その夫の名前はエリオット?」

えり「もう!そこじゃなくて」

のぞみ「ごめんごめん、わかってる」

えり「因みに私はエリオットと聞くとETに出てくる少年を思い浮かべるわ」

のぞみ「もしかして映画好きなん?」

えり「ねえ、どうだった?」

のぞみ「うーん、まだ演技力が足りないなあ」

えり「なるほど……そうね。せっかくおもしろくてもそれでは魅力半減だわ」

えりちが持っているトランプを選びながら会話する。



のぞみ「はい、上がり」

えり「またのぞみの勝ちね」



近頃私たちは二人ババ抜きに興じている。

暇つぶしにと始めたのだけれど、それには及ばなかった。

なにせその最中に暇つぶしにアメリカンジョークを言い始めるほどだ。



・・・・・



にこ「またきたの?」

のぞみ「まあまあ、今日も面白い話持ってきたから」

にこ「ふん」



のぞみ(ジョージ)「あのー、表にいる犬の飼い主はあなたですか?」

のぞみ(飼い主)「そうですが?」

のぞみ(ジョージ)「すみません。私の犬があなたの犬を殺してしまいました」

のぞみ(飼い主)「えっ!あのライオンのように強く牛のように大きなボクサー犬を?あんたの犬はいったいどんな犬なんだ?」

のぞみ(ジョージ)「チワワです」

のぞみ(飼い主)「えっ!チワワがいったいどうやって殺したんだ!?」

のぞみ(ジョージ)「あなたの犬が、私の犬を喉に詰まらせたんです」



にこ「ブフォッ……くっ」

のぞみ「あっ!笑った!」

にこ「わ、笑ってない!」

のぞみ「そっかそっか、にこっちはこういうわかりやすいのが好きなんか」

にこ「ちょっと!笑ってないったら!」

のぞみ「どう?ジョージはおもしろい男やろ?」

にこ「あんたの話にはいっつも出てくるわね。好きなの?」

のぞみ「ジョージが好きなのはウチじゃないよ」

にこ「?」

のぞみ「じゃあ今度は”いい知らせと悪い知らせ”シリーズにするね。わかりやすいから」

にこ「……あんたそんなくだらない話どこで仕入れてんのよ」

のぞみ「独自のルートから」



・・・・・

えり「今日も映画のワンシーンからのにするわ」

のぞみ「やっぱりえりちは映画が好きやなあ」



えり(客)「おいウェイターさん、きてくれ。私のスープに虫が入ってるじゃないか」

えり(ウエイター)「申し訳ございません。少々お待ちください。今クモをいれますから」



のぞみ「これはにこっちは理解できるかなあ……墓石のやつもダメだったし……」

えり「なあに?」

のぞみ「ううん。いい感じや」

えり「演技も迫真のものだったと思うのだけれど」

のぞみ「まだまだ役になりきれてませーん!」

えり「そう……精進するわ」



私にはなによりも家でジョークの練習をしているえりちの姿を想像するのが面白かった。

そういえば最近は二人ババ抜きに飽きてしまい、花札を始めた。



のぞみ「こいこい」



……



えり「はあ……猪鹿蝶……私の負けだわ」

のぞみ「うちの役はどう?」

えり「役は役でも役違いよ」

のぞみ「牡丹に蝶。ウチこの札好きなんよ」

えり「好きで手元にくるなら苦労はないわ」

のぞみ「でも勝率はえりちの方が高いし」

えり「今度はチェスとかどう?」

のぞみ「チェスはいやや」

えり「そう?じゃあ囲碁とか将棋とか」

のぞみ「ダメダメ!」

えり「どうして?」

のぞみ「だめなの!次は麻雀やろ」

えり「二人じゃできないわ」



・・・・・

えり「のぞみ」

のぞみ「ん?」

えり「私、生徒会長に立候補しようと思うの」

のぞみ「会長さん!?すごいやん!応援する!」

えり「この音ノ木坂を変えてみせるわ」

のぞみ「のぞみちゃん特性のお守りからラッキーパワーから、全部送ったる!」

えり「できれば運ではなくて実力で勝ち取りたいものだわ」



えり「そこで今日は政治的なジョークを用意しました」

のぞみ「待ってました!」



えり(大御所)「うちの娘と結婚せんかね、うちの娘が気に入ればの話だが・・・」

えり「ジョージには彼女がいたが、下手に断れば政界からも追い出されてしまう」

えり(ジョージ)「申し訳ありません、今付き合ってる恋人がいるのです。

 僕が選んだ彼女なので手放したくないんです。僕こう見えても人を見る目があるんですよ。

 ほら、あなたとこうして親しく飲んでるのがその証拠です」

えり「大御所政治家は怒るに怒れなかった」



のぞみ「これはかしこいジョージやなあ」

えり「今回はもう一つだけ」

のぞみ「え?二つも?」

えり「……ごめんなさい。しばらく忙しくなりそうでここに来られないから」

のぞみ「そっか。会長になるんやもんね」




えり(大統領)「もし君が僕じゃなくて、あいつと結婚してたら君は大統領夫人じゃなくて、

 ガソリンスタンドで働く安月給の夫の妻になっていただろうね」

えり「それに対して、大統領夫人はこう言った」

えり(婦人)「そのときは、あなたがガソリンスタンドの店員になって、彼が大統領になっていたわ」



のぞみ「えりち……」

えり「ふふ。じゃあもう行くわ」



・・・・・

のぞみ「なあ、にこっち」

にこ「なによ」

のぞみ「ある戦友の女戦士の話なんやけど」

にこ「またジョークか……」

のぞみ「その人は何事も自分に重きをおかないの。自分を犠牲にしてしまうの」

にこ「……」

のぞみ「ほんとは他にやりたいことがあるはずなのに、使命に駆られて突き進んでしまうの」

にこ「……」

のぞみ「どうしたら、そんな女戦士を救ってあげられるかな?」

にこ「えっ?終わり?」

のぞみ「ひどいにこっち!ウチは真剣に相談してるのに」

にこ「いやごめん……えっと、そうねえ」

のぞみ「力になりたいんよ」

にこ「とことん、付き合ってあげれば?」

のぞみ「え?」

にこ「その戦士が力尽きるまで、一緒に突き進んであげればいい」

のぞみ「それで救えるの?」

にこ「最後まで一緒に戦うのが戦友ってもんでしょ」

のぞみ「おお……!」

にこ「そのうち勝手に壁にぶち当たって倒れるわよ。そのときに手を差し伸べてあげればいい」

のぞみ「でも、共倒れになって手を差し伸べられないかも」

にこ「そのときは、その役をやるほかの誰かが必要ね」

のぞみ「ジョージとか?」

にこ「ジョージはただの冗談好きのアメリカ人でしょ」

のぞみ「じゃあ、にこっちがやってくれる?」

にこ「さあ。私にできるかしら」



・・・・・

えり「ごめんね、最近忙しくてあまり顔を出せてないわ」

のぞみ「いいんよ。ねええりち。大事なお話があるん」

えり「どうしたの?」

のぞみ「ウチ、副会長に立候補しようと思う」

えり「急にどうしたの?」

のぞみ「ウチも一緒に戦うよ。最後まで」

えり「……ありがとう」

のぞみ「久しぶりにジョーク聞きたいな」

えり「ええ。そうくると思ってたわ」

のぞみ「今日はどんなの?」

えり「特別に自分で考えてきたのよ」



えり(ボブ)「今朝は遅いなジョージ」

えり(ジョージ)「ああ。飛ばしてきた」

えり(ボブ)「どうして飛ばしてきたのに遅れたんだ?」

えり(ジョージ)「早く行くためにバイクを軽量化してたらこんな時間だ」

えり(ボブ)「本末転倒じゃないか」

えり(ジョージ)「終いにはタイヤも外す超軽量化さ」

えり(ボブ)「それじゃあバイクは走らないんじゃ?」

えり(ジョージ)「ああ。おかげで担いで来る羽目になった。軽量化してて助かったよ」



それはまさに迫真の演技と言うに相応しかった。

いままでの集大成とでも言おうか。

えりちには間違いなくジョージとボブが乗り移っていた。

そしてこれを自分で考えるユーモア。

確実に絢瀬えりは進化していたのだ。



・・・・・

数ヵ月後。



えり「のぞみ!いい知らせと悪い知らせがあるわ!」

のぞみ「ちょうどよかった。ウチもや」

えり「あらそう?じゃあ悪い知らせから聞こうかしら」

のぞみ「この部の廃部は決定事項だと言われました」

えり「それは以前私が言ったことね……いい知らせは?」

のぞみ「それは誤報でした」



えり「私もいいかしら」

のぞみ「じゃあウチはいい知らせから聞こうか」

えり「この部は廃部の危機を脱しました」

のぞみ「悪い知らせは?」

えり「この学校は廃校の危機に陥りました」



えりちは生徒会長になった。

私も副会長になった。

その矢先、この学校の廃校の危機。

……私は超常現象研究会を辞め、生徒会に専念することにした。

つまり、せっかく廃部を覆した部を自らの手で終わらせた。



・・・・・



ある二人の少女に別々にある質問をしてみた。

一人じゃ絶対叶わない夢を一人で追いかけてる少女がいます。

あなたならどうしますか?

えり「そうね……どうすればその子は諦めてくれるのかしら」

にこ「そうね……どうすればその子は一人じゃなくなるかしら」



・・・・・

廃校から音ノ木坂を救うため奮闘する生徒会長。

えりちはまた昔みたいに戻ってしまった。

蛾。モスラに。

長いこと一緒にいて、私は彼女の生態には随分詳しくなった。

彼女の体は鋼の体。彼女の心は硝子の心。

強く、固く見えて、中身は誰よりも繊細なのだ。

とても割れやすいのだ。

そして、自分の破片で自分の指を切ってしまう。

鉄の鎧は、傷つかないためでなく、傷を隠すためにある。



私にはその戦友を救うことができない。

最後までともに戦うことを選んだから。

私は、いつかにこっちが言っていた……手を差し伸べてくれる人を待つ。



・・・・・



のぞみ「どうしてそんなにあの子達を目の敵にするの?」

えり「だって、あんなのお遊びよ」

のぞみ「えりち……」

えり「スクールアイドルなんかで、学校を救えるわけがない」

のぞみ「にこっちは……」

えり「にこがなんだってのよ」

のぞみ「にこっちはもうひとりじゃないよ」

えり「……あの子もμ’sに入ったのね」

のぞみ「うん」

えり「もっと現実的な子だと思っていたのに」

のぞみ「ねえエリオット。あなたの石は重すぎる。

 このままじゃ本当に墓石になってしまう。そのあなたの重い意思が」

えり「私はそんなことにはならない」

のぞみ「客のスープに入っていた虫は、蝶だったんだよ。

 このままではクモに食べられてしまう」

えり「私はそんなことにはならない!!!」

のぞみ「あなたの本当にやりたいことってなに?」

えり「……なんとかしなきゃいけないんだからしょうがないじゃない」



・・・・・

えり「にこ……」

にこ「あら、会長さん。どうしたの」

えり「どうしてあの子達に力を貸すの?学校を救いたいなら私たち生徒会に……」



にこ(ジョージ)「申し訳ありません、今付き合ってる恋人がいるのです。

 僕が選んだ彼女なので手放したくないんです。僕こう見えても人を見る目があるんですよ。

 ほら、あなたとこうして親しく飲んでるのがその証拠です」



にこ「ちょっとしたジョークの一節よ。私の言わんとしてることがわからないあなたじゃないでしょ」

えり「その言葉は……」

にこ「それにね、私は廃校がどうとかどうでもいいの。ただアイドルがやりたいだけ」

えり「私だって……でも!」

にこ「なるほど。こりゃ確かに女戦士だわ」

えり「なにを……」

にこ「あなたにうってつけのジョークがあるわ」



にこ(ボブ)「今朝は遅いなジョージ」

にこ(ジョージ)「ああ。飛ばしてきた」

にこ(ボブ)「どうして飛ばしてきたのに遅れたんだ?」

にこ(ジョージ)「早く行くためにバイクを軽量化してたらこんな時間だ」

にこ(ボブ)「本末転倒じゃないか」

にこ(ジョージ)「終いにはタイヤも外す超軽量化さ」

にこ(ボブ)「それじゃあバイクは走らないんじゃ?」

にこ(ジョージ)「ああ。おかげで担いで来る羽目になった。軽量化してて助かったよ」



えり「どこでその話を……!?」

にこ「独自のルートから」

えり「どうして……」

にこ「まさに今のあんたはこの話のジョージよ」

えり「当然じゃない……だってその話は……」

・・・・・

のぞみ(カード)「そのジョークはいずれ返ってきて、自身の背中を押すであろう」

・・・・・



えり「あ……」

にこ「最初から黙ってバイクに乗ればいいのよ。それが一番の近道」

えり「……学校を救うのにも?」

にこ「さあ。でも黙ってやりたいことやってれば、結果は後からついてくる」

えり「それで……学校は救えるの?」

にこ「……近道ってのは語弊があるわね。少なくともあなたがしているのは遠回り」

えり「……私は」

にこ「それから、救われるのは学校じゃない。あなたよ」

えり「私自身が……私の救いを求めていいの……?」



・・・・・



のぞみ「えりち、ウチはえりちのことだーいすきなんよ」

えり「な、なによ急に」

のぞみ「あなたは、私を救ってくれた」

えり「私がのぞみを?」

のぞみ「うん。だから超能力モスラ戦士でも大好きなん」

えり「は?」

のぞみ「でもね、それは妄想だったの」

えり「そ、そうね。のぞみの頭の中で私は何者になってるのかしら」

のぞみ「違う。それは貴方の妄想」

えり「私の?」

のぞみ「えりちは、絢瀬えりという人を勝手に妄想してる。

 えりちはえりちが思ってるようなものじゃないんよ」

えり「のぞみ?」

のぞみ「えりちは蛾なんかじゃない」

えり「……」

のぞみ「本当の自分に気づいて。絢瀬えり。

 あなたの理想の自分こそ、本当の自分なんだよ。

 あなたはいつでも理想のあなたになれるんだよ」



・・・・・

ある教室の一角。

頬杖をつき、理想がある場所を見上げる少女。

でもね、そこじゃないよ。

私たちはここにいる。

彼女たちはここにいる。

手を差し伸べてくれる人がそこにいる。



その日、絢瀬えりは美しい羽で大空に飛び立った。



・・・・・



これがかの有名な変身エリーチカ作戦の全貌である。



余談ではあるが……

一般的に、蛾と蝶の見分け方として羽の開き方がある。

蛾は羽を横に広げて止まる。まるで威嚇するかのように。

蝶は羽を縦に人げて止まる。タテハ、アゲハとはこれのことだ。

しかし希に、蝶も羽を横に広げて止まる事がある。

これを見た人はその蝶を蛾と思い込んでしまうかもしれない。



あなたは自分を蛾と呼ぶけれど……

蛾とは、虫に我と書く。

我をちょちょいっといじれば……ほら。



のぞえり「我は葉となり蝶となる」



終劇

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年10月16日 (木) 04:58:18   ID: FFaQUPVJ

なんか哲学的って感じ、
すばらしい何て表現していいかわからん、文才を感じんる

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