双子姉「アンタだけは絶対に許さない」(19)

双子姉「ねぇ、妹」

双子妹「何ですか、姉さん?」ペラ

双子姉「ちょっと私の散歩に付き合わない?」

双子妹「嫌です」ペラ

双子姉「えー、いいじゃない」

双子妹「こんな寒い日に外に出たくありません」ペラ

双子姉「このインドア妹め…」

双子姉「いいから、行くわよ!」グイ

双子妹「あっ…」

双子姉「寒いから暖かい格好しないとね」

双子妹「外に出なければ寒くありません」

双子姉「いい加減諦めなさいよ」フワ

双子妹「これは…」

双子姉「マフラー、案外似合うじゃない」

双子妹「……………」



双子姉「うぅー、寒っ!」ブル

双子妹「今すぐ帰りましょう」クル

双子姉「さぁ、行くわよ!」ガシ

双子妹「………」

双子姉「ほら、寒いからもっと近づいて」ギュッ

双子妹「…歩きづらいです」

双子姉「我慢しなさい」

双子妹「どこに行くんですか?」

双子姉「散歩なんだから適当よ、適当」

双子妹「相変わらず計画性がないですね」

双子姉「散歩に計画性なんて必要ないでしょ」

双子妹「はぁ……」ギュッ

双子姉「…あったかい?」

双子妹「はい、すごく…」

双子姉「アンタは、冷たいわね…」

双子妹「冷たいのは仕方ないことです」

双子妹「私は……」

双子姉「…私は?」ジッ

双子妹「………っ、何でもありません」

双子姉「そう………」

公園

双子姉「ちょっと休む?」

双子妹「はい」

双子姉「どう、散歩も気持ちいいでしょ?」

双子妹「寒いだけです」

双子姉「アンタねぇ…」ハァ

双子妹「…………」

子供「ねぇ、お姉ちゃん」

双子姉「んー?」

子供「お姉ちゃん達って双子なのー?」

双子妹「どうしてそう思うんですか?」

子供「だって、そっくりなんだもん」

双子姉「…そっか」ニコ

双子妹「困った妹です」

双子姉「何さらっと逆にしてんのよ」

子供「全部同じなんだねー!」ニコ

双子妹「…双子ですから」

子供「私も妹欲しいなぁ」

双子姉「出来るといいわね」ナデ

子供「うん!」

双子妹「出来たら良いお姉さんになって下さい」ナデ

子供「頑張るー!」ニコ

子供「双子のお姉ちゃん、バイバイ!」

双子姉「さてと、私達も行きますか」

双子妹「そうですね」

双子姉「…ちょっと寄りたいところ、あるんだけど」

双子妹「わかってます」

双子姉「ふぅん…わかってたんだ」

双子妹「…妹ですから」

病院

看護師「あら、お見舞い?」

双子姉「はい」

看護師「そう…妹さんは午前中にも来てたわよね?」

双子姉「っ?!」ピク

双子妹「………はい」

看護師「本当に良い子ね、お父さんも喜ぶわ」

病室

父「…………」

双子姉「まだ意識戻らないの?」

双子妹「容態は相変わらずのようです」

双子姉「本当に目を覚ますのかしらね」

双子妹「…わかりません」

双子姉「でしょうね…」

父「…………」

双子姉(今なら…)

双子姉(今ならコイツを…っ!)スッ

双子妹「………」ガシ

双子姉「っ…!」

双子妹「何をなさろうとしているんですか、姉さん?」

双子姉「…果物でも切ろうと思ってね」

双子妹「それは私がやります、ナイフを渡して下さい」

双子姉「………」

双子妹「渡して下さい」

双子姉「………はぁ」スッ

双子姉「…アンタはコイツのことどう思ってるの?」

双子妹「感謝しています」サッ

双子姉「感謝…?」

双子妹「はい、理由はどうであれ『私達』を生み出してくれた方ですから」

双子姉「だからって許せるの?」

双子妹「許すも何も…私は恨んでなどいませんから」

双子姉「くっ………」ギリッ

双子姉「………」バッ

双子妹「姉さん?」

双子姉「私、先に帰ってるから」スタスタ

双子妹「…………」

双子妹「あなたには、本当に感謝しているのですよ」

父「…………」

双子妹「………」

研究所

双子姉「んっ…?」ピッ

双子姉「ロックが解除されてる」

双子姉「…………」スタスタ

?「………」カタカタ

双子姉「ここで何をしているの?」

?「あら…?貴女…ホンモノ?」

双子姉「…………」

?「ふふ、久しぶりね覚えてるかしら?」

双子姉「アイツの助手だったわよね」

助手「お父さんに向かってアイツだなんて言っちゃダメよ?」

双子姉「………」ギロ

助手「あら、怖い」クス

双子姉「答えて、アンタは何をしにここに来たの?」

助手「あるデータを回収しに来たの」カタカタ

双子姉「あるデータ?」

助手「ふふ、貴女こそ何しに来たの?」カタカタ ピッ

助手「こんな場所に良い思い出なんてないでしょ?」

双子姉「………」

双子姉「アンタはどうして、あの男の手伝いなんかしたの?」

助手「どうして…?」

支援

助手「貴女のお父様が素晴らしい学者だったからよ」

助手「だから私は手伝ったの」ニコ

双子姉「どこが素晴らしい学者よ…」

助手「私こそ理解出来ないわ」

助手「貴女は一体、何に怒っているの?」

双子姉「…………」

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