鳰「ふしぎなスイッチ」 (47)


ジャー

鳰「ふー。スッキリっス」フキフキ

鳰「…ん?」

鳰「なんじゃこりゃ?」

ウチはトイレに行った帰り、それを見つけた。


何かのスイッチみたいな、小さなボタンが置いてある。

鳰「なんだろ?……もしかして」

鳰「罠!爆弾!ドッキリ…!?」キラーン


鳰「………」ウズウズ

鳰「えーい!」ぽちっ


アァアーッ!



鳰「!?」


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鳰「今、兎角サンの叫び声が聞こえてきたような」

鳰「空耳っスかね?」ぽちっ



ア、アァアー!



鳰「わーお。本物っス」

鳰「兎角サンの叫び声スイッチ?」

鳰「世の中、ふしぎなもんもあるんスねー」ぽちっぽちっ


アアアァー!


鳰「きゃははは!兎角サン叫びすぎっスよぉ」


ウチはポケットにそのスイッチを入れて、トイレをあとにした。


教室に戻ると、みんなが集まって輪っかができていた。


鳰「あれ、どうしたんスか?」

晴「あ、鳰….!兎角さんが、兎角さんが大変なの!」

鳰「えっ」

晴「兎角さんが突然、大声をあげて座りこんじゃって……」

鳰「へ?」


みんなが取り囲んでいるのは座りこんだままの兎角サンだった。


香子「大丈夫か…?一体何が起きたんだ?」

兎角「……なんでもない」

涼「しかし、何事もない者の出す声ではなかったぞ、東よ」

兎角「……本当、なんでもないから」


晴「兎角さん……。」

鳰(ほ、本物と連動してたっスか!?)



伊介「ねぇ、でもさっきの声ってやっぱり……」

春紀「ぁ、おい伊介さまっ!シーッ…」

伊介「……ごっめーん♪」


鳰「…?」



千足「保健室、行かなくて平気か?」

兎角「……」コクリ


鳰(なんだか兎角サンの顔、赤い気がするっス)

鳰(しかもいつもよりおとなしいってゆーか……)



溝呂木「みんな揃ってるかー?そろそろ授業はじめるぞー」ガラッ

晴「あ…はーいっ」


晴「兎角さん、席まで歩ける?」

晴「いっしょにいこ。ホラっ」ぎゅ

兎角「一ノ瀬…」


鳰「……」


鳰「兎角サン、ウチも心配っスよ」

鳰「なにかあったら、言っていーんスよ?みんなも心配してるっス」

晴「にお…」

鳰「クラスメートっスから」ニコ

兎角「……」


兎角「な、なんだお前らしくないな…」

鳰「うえー!?酷いっスよぉぉ」

鳰「ウチ、すぅっごく心配したんスよー?!」

兎角「うるさい」

鳰(あ、いつもの兎角サンだ)


晴「もー兎角さん…鳰にあの言い方はないでしょ」

兎角「………」


溝呂木「いいかー?はじめるぞー」

晴「はーいっ」

晴「兎角さん、座れる?」

兎角「あぁ、もう平気…」


ぽちっ


兎角「!?」

兎角「あぁぁっ…!ふあっ!」ヘナヘナ

晴「兎角さんっ!?」


ザワザワ


兎角「んあっ…んっ、ん…!」ビクビク

晴「どうしよう、また…!」アワワ

香子「やはり体調悪いんじゃないのか?」アタフタ


伊介(この声ってやっぱり……)

春紀「……」

しえな「……」

乙哉「?」


溝呂木「え、えっと…?」


鳰「……」

鳰(お、押しちゃったっス…!)


兎角「はーっ…はーっ…」

晴「大丈夫なの…?無理したりしてない?」

兎角「……あぁ」


鳰(兎角サン…イってたっス、よね?)


授業中

溝呂木「親の体の一部が芽が出るようにふくらみ、それが離れて成長する。ヒドラなんかがそうだな」


兎角「……」カリカリ

鳰(兎角サン…まじめに授業受けてるっス)

鳰(もし今押したら……)

鳰(いやいや!さすがに兎角サンがかわいそうっスよ…)


兎角「……」カリカリ


鳰(で、でも…うぅ〜…!)

鳰(お、押したい…すごく押したいっス…!)

鳰(気休めだけど…弱く押せば少しマシになったりならなかったり…)


鳰「……」チラリ

兎角「……」カリカリ

…ぽち

兎角「!?」



兎角「……ん、!ふっ…!」

兎角「〜〜〜!」ビクビク

鳰(ああっ…!兎角サンが必死に声を抑えて…!)

兎角「んん…!」ガタッ

鳰(兎角サン!バレちゃうっス…もっと抑えないと!)



兎角「く…はぁ……」

鳰(波が終わったみたいっス。なんとかバレずに済んだっスね……)

鳰(でも…今の兎角サン、すっごくかわいかったっスよ!)

鳰「……」チラッ

兎角「うぅぅ…」カァァ

鳰「……」ゾクゾクッ


ぽちっ

兎角「!?」ビクンッ

兎角「んんん…!」ガタ

鳰(あ…さっきより強く押しちゃったっス)

鳰(兎角サン!ごめんなさい!)


ザワザワ


鳰(みんなも気づきはじめちゃったっス)

兎角「〜〜っ!っ!」ビクッビクッ

鳰(それでも必死に声を抑えて……)

鳰(あー……兎角サン〜っ!)ゾクッ


兎角「……くぅ…ぅ」

兎角「……」シュン


鳰(ああっ…俯いちゃった…)

鳰(さすがに、もう押すのは…ダメっスよね…?)


溝呂木「根が新しい個体になるものを、栄養生殖という。オランダイチゴなんかがそうだなー」


兎角「………」ショボン

鳰「……」

鳰(だーっ!押したい押したい!)

鳰(授業もぜんぜんまったく頭に入ってこないっス!)

鳰(でも…ここでこれ以上押したら、兎角サンの心が、折れてしまうっス…!)


鳰「せんせー!兎角サン、具合悪いみたいなんで、保健室に連れていくっス!」ビシッ


溝呂木「え、そうなのか?大丈夫か東?」

兎角「えっ…あハイ…」

鳰「ホラホラっ、行くっスよぉ」グイ

兎角「……走り…?」


香子「待て!ここは保健委員長である私が行」鳰「いいんス!」クワッ


鳰「じゃ!いってきまーす!」ガララッ

溝呂木「おー。お大事になー」


香子「走りのやつ…やけに気合い十分だな」


涼「保健委員長の仕事を譲るこーこちゃん。恰好いいのう…」

伊介(あいつ…鳰にローターでも仕込まれてんじゃないの♪)

晴「兎角さん…大丈夫かな…」

ザワザワ



ガララッ


鳰「さ、いきましょー」

兎角「……あの、走り」

鳰「ん?」

兎角「……あ、ありがと…」

鳰「へっ」キョトン


鳰(とかっ、兎角サンがウチに、ありがと、って!)パァァ


鳰「え、えへ!どーいたしましてっス!」

兎角「ん…」


保健室

鳰「すいませーん!」ガララッ

シーン

鳰「ありゃ、誰もいないっスね」

兎角「……」

鳰「とりあえず、ベッドで休むっスよ。寝た寝た!」

兎角「あぁ…」


ぽちっ


兎角「!?」

兎角「ふああっ、ああっ」ビクビク

兎角「……うぅ」ヘタリ


鳰(……ふふっ)


ぽちっ

兎角「あ…あっ!」ビクッ

鳰「兎角サンっ、立てるっスか?」ぎゅっ

兎角「うぁぁぁ……っ!」ぎゅーっ

鳰「大丈夫、ウチが支えるっス」

兎角「あっ…走り…んん!」ビクンビクン


鳰(…ふっふふふふ!!!)

鳰(ここなら、スイッチ押し放題っスよぉぉぉぉ!!)


兎角「はーっ…はーっ…」

鳰「兎角サン……落ち着きました?」

兎角「ごめん…」

鳰「謝ることないっスよ。さ、ベッドに」

兎角「うん…」

鳰(にひ)


ぽちっ

兎角「?!」ビクン


兎角「あぁあぁぁ…っ」

ぽちっ

兎角「んぁっ!?あ、あああっ!」

ぽちっ

兎角「〜〜〜っ!?」ビクンビクン



兎角「あ…あっ…」ガクガク


鳰(きひひっ、連続で3回も押しちゃったっス…!)


鳰「兎角サンっ…」

兎角「うう……」

鳰「立てそうっスか…?」

兎角「待って…腰が…」

鳰「…しょーがないっスね。ほら、手」ぎゅ


鳰「だいじょぶっスよ。ベッドまであと少しっス」(うへへ…)

兎角「あ…」ぎゅっ




鳰「ささ、兎角サン。次が来ないうちにベッドに入っちゃうっスよ!」

兎角「そうだな、発作が起きないうちに……」

鳰(発作?)


鳰(かわいそうだし、ここは何事もなくベッドに入れとくか)


鳰「…はい!無事ベッドにイン完了っス」

兎角「よ、よかった」


鳰(安心してる兎角サンもかわいいっス!)


兎角「走り…」

鳰「?」

兎角「わたし…何が起きてるんだろ…」


鳰(おお…?)


兎角「怖かったんだ…自分の身体がおかしくなったんじゃないかって…」

兎角「いや、絶対おかしいよなこんなの…」

鳰「兎角サン…」


鳰(ごめんなさい!ウチのせいです!)




兎角「……」

鳰「兎角サンは、おかしくなんかないっスよ」

兎角「嘘だ…」

鳰「本当っス!」


鳰「…たとえ、兎角サンがおかしくても…。ウチは絶対、兎角サンから離れないっスよ!」

兎角「え…」

鳰「へへ、クラスメートっスから!」ニコッ


兎角「お前は、どうしてそこまで…」

鳰「へ?」

兎角「うう…はしりぃ…」

鳰「あわわっ」


兎角「怖かった……!」ぎゅー

鳰「とっ、兎角サンっ!?」


鳰(ふおおお!!!)


鳰(兎角サンが、ウチに抱きついてきてる…!)

鳰(ウチのこと信頼しきって、ぎゅーってしてくれてるっスよぉぉ!?)


鳰(夢みたい…)


兎角「……」ぎゅー


鳰(………これは)ゾクゾク


ぽちっ


兎角「!?」ビクッ


兎角「んん…!ああっ…」ビクビクッ



兎角「うぁ、ああぁ…」

鳰「兎角サン……!」ぎゅっ

兎角「んっ///」ピクッ



鳰「収まるまで、ぎゅーってしててあげるっス…」ぎゅっ

兎角「あっ、あっあっ…」


兎角「……はしりっ…!」ビクビクビク


鳰(兎角サン……気持ちよさそうっス…)ドキドキ


兎角「んう…ぅ…」

鳰「……収まった、みたいっスね」

兎角「……」カァァ

鳰(ふへへ……)


鳰(ウチの腕の中で、おとなしくしてる兎角サン……!たまらんっス!)


鳰「兎角サン……」スッ

兎角「?」

鳰「ん…」チュ

兎角「…!?」ピク




鳰「もう怖くないっスよ…」

兎角「あ……はしり…」


兎角「ん…」



チュ、チュ、チュ


鳰「………」ニヤリ


ぽちっ



兎角「んんっ!」ビクッ

鳰「兎角サン……ん…」チュ

兎角「あ、あ…!」

鳰「んー…」チュ

兎角「は、はしりぃ…!」


ぽちっ


兎角「んあああっ///」ビクビク

鳰「……」チュ

兎角「うああっ///はしりっ///」


ぽちっ


兎角「やっ…ああぁ…っ!」


鳰「ん……」チュ

兎角「っめ…だめ…ぇ!」ビクンビクン

鳰「………」チュ

兎角「はしりぃ…また…きてるんだっ…!」

鳰「知ってるっス……」ぎゅっ

兎角「んぁぁ……!」


鳰「大好きっスよ、兎角サン」チュ

兎角「……!」

鳰「兎角サンはウチのこと、好きっスか…?」


兎角「……わたしも」

兎角「走りのことが好き、かも…しれない……」

鳰「!…へへ」

兎角「っ!何言わせるんだっ…」カァッ



鳰「嬉しいっス…!」


ぽちぽちっ


兎角「んああ?!」ビクンッ

鳰(兎角サン…兎角サン…)


兎角「あぁぁあ……」

鳰「兎角サンっ!!」ぎゅー

兎角「くぅっ///」ビクンッ


鳰「好き…大好きっス…!」

兎角「は、はしり……」


兎角「わたしもすき、だ…!」

鳰「……!!」ゾクッ


ぽちぽちぽちぽちっ


兎角「ッ〜〜〜?!?!」ビクビクビクゥッ


兎角「ぁ、…!?…!」 プシャァァッ


兎角「あ……あっ…」




兎角「くっ…はぁあ……」


兎角「はぁ…はぁ……」

鳰「兎角サン…かわいーっスよ…」チュ

兎角「んうっ……」


コトッ


兎角「ん?」


兎角「なんか落ちたぞ?」

鳰「へっ」

兎角「何だソレ…?」

鳰「あっ!これは!へへっ!」バッ


鳰(や……っべぇええええ!!!)


兎角「…なんで隠すんだ?」

鳰「え?隠してなんかないスよ?!へへっ!へ、へへ!」ダラダラ

兎角「すごく変だぞ、お前」

鳰「え?!え、えへへ、鳰ちゃんっスよ〜!へへっ!」ダラダラダラ


兎角「そういえばお前、ずっとポケットに手突っ込んでたよな?」

兎角「見せろ」

鳰「えぁ…あ、あうっ…」


兎角「…もしかして、わたしの身体がおかしかったのと関係してるのか?」

鳰「」ギクッ

兎角「………。」

鳰「あうう」オロオロ


兎角「………走り」

鳰「ヒャィ」

兎角「…今出せば、怒らないから。その後ろに隠してるボタンみたいなヤツ出せ」

鳰「う、うう〜〜〜!!」


鳰(イヤっス……イヤっス!!)




鳰(兎角サン…ウチ…ウチは悪い子っス……)


ぽちっ

兎角「!?」ビクッ


鳰「うぅ……!」

兎角「お前…!?」

鳰「知られてしまったからには…仕方ないっス……」

兎角「っぁぁあ…」ビクビク

鳰「…これは、押すたびに兎角サンがイくスイッチなんスよ」

兎角「は、はあっ?!」

鳰「だから、絶対、渡すわけにはいかないっス……!」

兎角「なんだそれ!」


兎角「ふざけるなっ!」


鳰「……」

兎角「……はしりっ!!」

鳰「」ビクッ

兎角「いいか、押さないで聞け。押すなよ?」

鳰「ぅ……」

兎角「まず、さっきわたしは、お前に好きだって言ったよな」

兎角「あれは撤回だ」

鳰「えぇ?!」ガーン

兎角「当たり前だろ……ただし」


兎角「今そのスイッチをわたしに渡せば、考え直してやる」

鳰「!」


兎角「……」

鳰(兎角サン…ウチは、そんなにバカじゃないっス……!)

鳰(で、でも……うぐぅ…)


鳰(こういう時って……どっちを選べば、ウチにとっての利益が大きいんスかね?!)

鳰(えっと…えっと……ウチこういうのだけは得意だから、裁定者させてもらえてるのに……!)グルグル


5分後

兎角「…やれやれ」

鳰「」ドゲザ


あのあと頭が回らなくなったウチは素直に兎角サンにスイッチを渡しに行った。

そしたら待ってましたとばかりに奪い取られた。普通に渡すつもりだったのにひでーっス。


兎角「お前、自分がしたことわかってるのか……」

鳰「ごめんなさいっス……」

兎角「わたしがどんなに不安だったか……」

兎角「教室であんな思いまでさせて…!」イライラ

鳰「ひっ!すみませんでした…!」

兎角「まったく…」

鳰「ごめんなさい…ごめんなさい…」


兎角「…まったくだ」

兎角「わたしがどれだけの思いをしたか、その身をもって体験してもらわないとな」

鳰「えっ…」

兎角「こっちに来いよ」グイ

鳰「あわわわ……」

兎角「スイッチは無いけど、わたしと同じ気持ちを味わせてやる」

兎角「最初は腰が抜けるくらいにしておくか?」

鳰「ひ、ひいっ……!!」


鳰「兎角サンっ!ウチ、ちゃんとスイッチ返したっスから…」

鳰「…約束通り、今もウチのこと好き、っスよね…?」

兎角「…あぁ」


鳰「じ、じゃあ…優しくしてほしーっス…///」

兎角「…都合の良いやつだな」

鳰「へへ…照れるっス!」


兎角「……」ナデ

鳰「ひゃ…!」




この後滅茶苦茶セックスしたっス

ちなみにスイッチはウチが超頑張って兎角サンの同意を頂くことができまして、ごくたまに使用できるようになったっス!!

神様仏様、スイッチ様っスよぉぉ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年10月21日 (火) 14:50:33   ID: M_IplBOJ

小悪魔な鳰ちゃんに自分、最高に萌えましたッス!!

2 :  SS好きの774さん   2014年10月21日 (火) 22:32:36   ID: sRDcpeQL

鳰がかわいい

3 :  SS好きの774さん   2014年11月16日 (日) 11:05:38   ID: wH9TIX0i

アホすぎる設定だからか、なんか妙な切なさがある

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