勇者?「勇者です」(66)

魔王「待て」

勇者?「さぁ、覚悟しなさい!!」

魔王「だから待てって!!」

勇者?「何よ?戦う気はないの?」

魔王「あるけど…お前、勇者違うだろ」

勇者?「どこからどう見ても勇者よ?」

魔王「どこの世界に鍋蓋と包丁を持ちエプロンつけて魔王に挑む勇者がいる?!」

主婦「伝説の武器装備できなかったの…よよよ」

魔王「お前が勇者じゃないからだろう!!」

魔王「大体勇者はまだ若者のはず」

主婦「さすが魔王ね、それぐらいは知ってるんだ?」

魔王「で、おばさん…あんたは誰だ?」

主婦「まー失礼しちゃう!これでもまだギリギリ三十代なのよ!!」

魔王「そんなもん知らん、だからどこの誰だ?勇者はどこだ?」

主婦「私は勇者の母よ」

魔王「…待て」

主婦(母)「ちなみに勇者は今の時間なら外で遊んでる頃ね」

魔王「本物呼んでこんかい?!親が来てどうするんだ!!」

主婦(母)「はいはい…ちぇー、もうちょっとで伝説の主婦になれたのになぁ…」トボトボ

魔王「伝説の主婦ってなんだ…」

戦士「勇者です」ガチャ

魔王「きたか!!…どちらさん?」

戦士「あぁ?いきなり勇者だって名乗っただろ」

魔王「勇者違う…」

戦士「見ろよ!母さんに言われた通り、ちゃんと武器yや防具だってまともだろう?」

魔王「うん…見た目はね…見た目は…」

戦士「じゃあ何で俺が勇者じゃないってんだよ?」

魔王「勇者は男じゃなくて女だからだ…顔は知らんがちゃんと調べ上げてるんだよ」

戦士「性別しか分からんって、どこがちゃんと調べてんだよ」

魔王「しかもお前、あのおばさんの子供なのかよ…」

戦士「一応、勇者の家族なのは間違いないぜー?」

魔王「本物呼べ…話はそれからだ」

戦士(兄)「俺が代理じゃダメ?兄です」

魔王「兄だったのかよ!?全然ダメだ!!」

戦士(兄)「せっかくなまった体を動かせるからって来たのに…」

魔王「本物以外は相手せん!!」

戦士(兄)「じゃあ本物代理と言う事で」

魔王「だから代理はメーなのぉ?!」

戦士(兄)「ワガママなやっちゃなぁ」

魔王「どっちがだ!!本物の勇者連れてこいよ!?」

戦士(兄)「ちっ…分かったよ」トボトボ

魔王「あれ?えらいあっさり引きやがった…」

魔王「次こそは大丈夫だろう」

魔法使い「勇者です」ガチャ

魔王「きたか!待っていたぞ勇者!!」

魔法使い「覚悟なさいっ!!」ゴァッ バシャァ ドガァン

魔王「くっ…さすが勇者…多彩な魔法を…」

魔王「って、ばかぁ?!」

魔法使い「さすが魔王ね、しぶとい」

魔王「そういう問題じゃねぇ!!誰だよお前は?!」

魔法使い「勇者です」

魔王「勇者が魔法でそこまでできるわきゃないだらぁ!!」ジタバタジタバタ

魔法使い「いきなり壊れかけてるわね」

魔法使い「こんな勇者がいたっていいじゃない」

魔王「いいけどお前じゃないから!!そんな魔力勇者持ってないから!!」

魔法使い「母さんの言うとおりワガママね」

魔王「お前もアレの子供かよ!?何気に勇者一家子宝に恵まれてんな!!」

魔法使い(姉)「ちなみに勇者の姉です、うらやましい?」

魔王「んなわけあるか!!本物は!?」

魔法使い(姉)「遊び疲れて寝てるんじゃないかな」

魔王「頼むよ…呼んできてくれよ、ホント…」

魔法使い(姉)「別にいいけど後悔するわよ?」

魔王「何でだよ…いいから連れてきて…」

魔法使い(姉)「その言い方だと私も同伴でいいの?」

魔王「あなたは帰ってそのまま戻ってこないでください」

魔法使い(姉)「ちぇ、分かったわよ…じゃあ」トボトボ

魔王「次こそいけるか…?」

犬「勇者です」ガチャ

魔王「犬がしゃべった!?!?」

魔王「それは激しく気になるが…今何と言った?」

犬「だから勇者だって」

魔王「勇者人間だから?!そんなモフモフしてないから?!」

犬「ちなみに正確には魔力を持った犬ね」

魔王「そんなの聞いてない…またアレらの送り込んだ刺客か?」

魔犬「勇者家のペットなんだ…犬畜生でも家族と言ってくれるから嬉しい」

魔犬(ペット)「『反応が面白いから行ってきなよ』と言われたから来たんだワン」

魔王「…」

魔犬(ペット)「来たんだワン」

魔王「二度言うんじゃねぇ…」

魔王「あいつらは勇者を来させる気がないのか…?」

魔犬(ペット)「寝てる子無理に来させるのはいけないよ」

魔王「世界を救う気はないのかその勇者は!!」

魔犬(ペット)「気まぐれな子だからねー」

魔王「分かった…起きたらでいい…その勇者をここへ来させてくれまいか?」

魔犬(ペット)「いいけどいじめたらダメだからね」

魔王「つーか俺、魔王なんだけど…」

魔犬(ペット)「じゃあ帰るワン」

魔王「もう何も送り出させないでくれよ…」

魔犬(ペット)「帰るワン」

魔王「だから繰り返すな!?あとわざとらしく語尾に『ワン』つけるんじゃねぇよ!!」

側近「勇者です」ガチャ

魔王「お前絶対わざとだろ?」

側近「バレちゃしかたありません」

側近「吊ってきます…」トボトボ

魔王「どうしてだ!?吊るな!!」

側近「先ほどのような反応を期待していましたのに…」

側近「こんな屈辱は初めてです…吊ろう…」トボトボ

魔王「お前相手にわざわざあんな反応できるか!!吊りに行こうとするな!!」

側近「すみません、取り乱してしまいました」

魔王「うん、気をつけてくれ」

側近「はい、気をつけます…」トボトボ

魔王「だからなんでそうなる!?」

側近「まだ勇者は来ていないのですね」

魔王「どういうわけかヤツの家族ばかりだ…」

側近「やはりお顔をご覧になっておいたほうがよろしいのでは?」

魔王「いや、これも楽しみの一つなんだ」

魔王「どういうヤツが俺を狙ってやってくるかって、な」

側近「…」

側近「勇者です」スタッ

魔王「いや、それはもういい」

側近「そうですか…」トボトボ

魔王「だからやめれ!?打たれ弱すぎだろお前!!」

僧侶「勇者です」ガチャ

魔王「明らかに勇者じゃないヤツ来ちゃった」

僧侶「すみません、頼まれたら断れないものでして…」

魔王「どうせ勇者一家の関係者だろ?」

僧侶「勇者ちゃ…勇者様とは従姉妹の関係になりますね」

魔王「しかも本人とかなり仲は良さそう」

僧侶(イトコ)「あちらの方々がご迷惑をおかけしたみたいで申し訳ありませんでした」ペコリ

魔王「その上、礼儀正しい子だこと」

魔王「あぁ…やっと話の通じそうな人が来た気がするよ…うっうっ」

僧侶(イトコ)「どうしましたか?いきなりお泣きになって」

魔王「今、勇者はどうしている?」

僧侶(イトコ)「私が見た時は自宅でパンをおいしそうに頬張っていたと思いますが」

魔王「空腹…なのか?」

僧侶(イトコ)「飢えた狼だとおばさまは言っていましたが」

魔王「意味が分からん…」

魔王「悪いのだが勇者をここへ呼んできてくれないか?」

僧侶(イトコ)「かまいませんがどのようなご用件で?」

魔王「…話がある、と」

僧侶(イトコ)「分かりました、しばらくお待ちになってください」テクテク

魔王「やっとご対面できるか…」

幼女「ゆうしゃでーす!」ガチャ

魔王「…はぁ」

幼女「ねぇねぇ」クイクイ

魔王「…なんだ?」

幼女「おなかすいた」

魔王「知るか!誰だよこんなちびっ子連れて来たのは?!」

幼女「?」

魔王「まぁ来たからには仕方ない…ほら、こんなものしかない」ゴソゴソ

幼女「わーきゃんでぃだー」ジタバタジタバタ

魔王「こ、こら…暴れるな…」

魔王「で、お前は誰なんだ?」

幼女「?ゆうしゃだよ?」

魔王「もうそれはいいって…今度は妹か何かだろうか…」

幼女「あたし、おうちかえるね」

魔王「あぁ…もう変なの連れてくるなと言っておいてくれ…」

幼女「はーい」パタパタ

魔王「と、言ってもどうせまた送ってくるのだろうが…」

幼女「まお?」クイ

魔王「うおっ!?まだいたのか…なんだ?」

幼女「またあそびにきていい?」

魔王「え?あぁ…」

幼女「やった!じゃーねー!!」パタパタ

魔王「つい許可してしまった…」

村人「勇者です」ガチャ

魔王「とうとう人選雑になったな!?」

村人「これが本物の魔王なのか…マジぱねぇ…」

魔王「一般市民は帰れ」

村人「一回魔王と会話してみたかったんだよ」

魔王「はぁ…」

村人「景気はどうよ?」

魔王「景気はいいが機嫌はすこぶる悪い」

村人「うわ、本気で怒ってやがる…マジぱねぇ…」

魔王「なんだこれ」

老人「勇者ですじゃ」ガチャ

魔王「ついには死にぞこないまで呼ぶか…」

老人「ほほほ、口の悪い魔王じゃのぅ」

老人「言葉には気をつけたほうがええ、後になって後悔するぞ」

魔王「どう後悔するんだ…」

老人「まず仕事がなくなる」

魔王「どうせこれ以外の仕事につけないしやめられない」

老人「そして何より人が集まらなくなる」

魔王「今ここで何もしなくても勝手に集まってきてるがな」

老人「困った事ばかりじゃ」

魔王「困ってんのは今だよ、ばか!!」

子供達「勇者です!」ワイワイ

魔王「今度は人間の子供…だと…?」

子供達「あーあれが魔王だぜ」

子供達「かっけー!!」

魔王「確かに魔王だが、何しに来た?」

子供達「勇者と魔王ごっこするならここでしろって筋肉のお兄ちゃんが」

魔王「バカ兄が何てこと言いやがってんだ!?」

子供達「あんた魔王でオレ達勇者一行な?」

魔王「そのまんまかよ!?」

子供達「じゃああんた勇者する?その格好で」

魔王「それ以前にゴッコ遊び自体するとは言ってないわ!!」

子供達「くらえ魔王!」ベコン

魔王「ぐは!?なんだその鈍器は…」

子供達「え?筋肉のお兄ちゃんが(ry」

魔王「あのバカは何てモノを子供に持たせてんだ…」

子供達「他の魔物いないの?」

子供達「魔王!お前さてはぼっちだな!!」

魔王「違うわ!今はたまたま出かけていていないだけだ」

子供達「オレ達に恐れをなして逃げたな!」

子供達「今がチャンスってヤツだ、おりゃぁ!!」ボゴォ

魔王「ぐふ!?た、頼むから帰ってくれ…」

リザードマン「勇者デス」ガチャ

魔王「ついには魔物まで!?」

リザードマン「スミマセン…アル人間ニ脅サレマシテ…」

魔王「どうして奴らはネタに走ろうとするんだ?!」

魔王「本人連れてきたらいいだけじゃないか!!」

リザードマン「チラット聞イタトコロ、ジラシ作戦トカドウトカ」

魔王「どうせ面白いからやってるんだろうな!!」

リザードマン「終始笑顔ダッタノハ確カデス」

魔王「今度見つけたらもう一回ここへ来いと言っておけ!!」

リザードマン「ハ、ハイ…」ペタペタ

魔王「もうやだ…」

母「勇者です」ガチャ

魔王「ホントにきやがった…」

母「呼んだのあんたでしょ」

魔王「いい加減遊ばないで勇者を呼んできてくれまいか?」

母「ん?一度本当に来させたんだけどまだ来てないの?」

魔王「なに?妙な来客ばかりだったぞ」

母「おっかしいわねぇ…どこで寄り道してるのかしら…」

魔王「そうか…来るのだったらいいんだ」

母「あ、でも息子達にまだ来てくれる人探してもらってるからしばらくは楽しめるわよ?」

魔王「それはぜひやめていただきたい!!」

母「それよりどう?」

魔王「何がだ?」

母「こんなに人と交流できて退屈はしないんじゃないの?寂しくなかったでしょ?」

魔王「…まぁ暇つぶしにはなった」

母「そう…でもまだまだお客さん呼んできてあげるからね」

魔王「だからやめれ!?」

母「お父さんも呼べればよかったんだけどねぇ…」

魔王「すでに死んでいるのか…」

母「えぇ、でも霊体でなら呼べるかもしれないわね」

魔王「ちょっと感動しそうにしたりしんみりさせようとした後台無しにするのやめねぇ?!」

母「これが母クオリティ」

魔王「黙れ、もう帰れ」

側近「勇者で…」

側近「…」トボトボ

魔王「まだ何も言ってないだろう!!吊りに行くなっつーの!!」

側近「目がそう言っていたもので」

魔王「言ってない言ってない」

側近「そうですか…では、報告です」

側近「勇者が来ました」

魔王「なんだとぉ!?ついにか!!」

側近「でも、ある人間に連れて行かれました」

魔王「ちょ待てよぉ?!何でここまできておあずけしちゃうんだよぉ!!」

魔王「あのババァわざとか…?」

魔王「だが、これでやっと分かる」

魔王「側近、勇者はどんなヤツだった?」

側近「天使です」

魔王「は?」

側近「あの子は自分のために舞い降りてきてくれた天使のようでした」

魔王「お前が見た感想じゃねぇ!!容姿だよ、よ・う・し!!」

側近「…!」ポン

側近「しばらくお待ちください」トコトコ

魔王「どこへ行く…言うだけだろ…おい!?」

賢者「賢者です!!」ガチャ

魔王「ついには勇者とも言わなくなったか!?」

賢者「あんたが魔王?」

魔王「あ、あぁ」

賢者「ここにペロペロしたくなるほどかわいい子が来るって聞いてきたんだけど…」

魔王「誰に聞いたか知らんがどう考えても騙されているぞ」

賢者「えぇぇぇっ!!ここまではるばる飛んできたのにおあずけぇ?」

魔王「知らん、帰れ」

賢者「じゃあせっかく来たんだから魔物でもいいからかわいい子紹介してよ」

賢者「ハーピーとか人魚とかエルフとか」

魔王「ここにいるわけないだろ、帰れ」

魔王「帰ってしまう前にお前に頼みたいことがある」

賢者「なにさ?」

魔王「知っているかは知らんがここへ人を呼びまくっている連中を止めてきてくれないか?」

賢者「あの勇者一家かい?」

魔王「知っているなら尚更頼む」

賢者「面白いから放っておいてもいいんじゃない?」

賢者「それにわたしゃ報酬がないと動きませんよーだっ」

魔王「くっ…人間は無理だがかわいい魔物とやらは集めてみよう」

賢者「マジ?ひゃほーい!!」

賢者「じゃあ早速行ってくるわぁ!」ブゥン シュン!!

魔王「よく分からないが本気出させたようだ…これで止まればいいが…」

エルフ「ゆ、勇者です」ガチャ

魔王「お前もか…」

エルフ「何だか人間界で流行っている台詞らしいので…」オドオド

魔王「そういうことか…驚きはしなくなったが疲れるわ…」

エルフ「そ、それで御用というのは…?」

魔王「あぁ、ちょっとある人間の相手してやってくれないか?」

エルフ「倒せと言う事ですか?」ビクビク

魔王「違う違う、怖がるな」

魔王「何をしたいかは分からないが話でも聞いてやってくれ」

魔王「その内戻ると思うから」

エルフ「は、はぁ…大丈夫かな…食べられたりしないかな…」ビクビク

魔王「人間に食われるわけないだろう…」

道具屋「勇者です」ガチャ

魔王「店サボってんじゃねぇよ」

道具屋「いやいや、出張販売中なんだよ」

魔王「だからと言ってここに売りに来るな」

道具屋「と、いうわけでこの怪しい壷買わないか?」

道具屋「持ってるだけで幸せになるらしい」

魔王「『らしい』ってなんだよ『らしい』って!?」

道具屋「じゃあこの伝説の木の枝とかどうよ?」

道具屋「勇者が使っていたともっぱらの噂の品だぜ?」

魔王「ただの悪徳商人じゃねぇか?!帰れ!!」

少女「えっと…勇者です」ガチャ

魔王「今度は何だ?」

少女「か…覚悟…?」シャキ

魔王「はぁ?」

エルフ「もしかしてですけど…勇者では?」

魔王「!?」ガタッ

少女「ひっ」ビクッ

少女「ま…負けないんだから…!!」

魔王「ほ、本当に勇者…なのか?」

少女「やぁぁぁぁ…」タタッ

エルフ「あ、魔王さ…」

魔王「あれ?」ザックリ

魔王「いでぇぇぇ…っくっく」

魔王「ついに会えたな勇者よ!!この程度で我を倒せるとでも思ったか!!」バサッ

少女「!?」ビクッ

魔王「…」

魔王「ねぇ、本当にこの子勇者?」

エルフ「そ、そうだと思ったのですが…」

少女「うぅ…ぐす…やっぱり無理だよぉ…」ポロポロ

エルフ「泣き出しちゃいました」

魔王「やっと本物に会えたと思ったのになんだこれ…」

エルフ「もう大丈夫だから泣かないで」ナデナデ

少女「ひくっ…」

魔王「もうワケが分からん…お前がここに来た理由は?」

少女「知らないお姉ちゃんが…」

魔王「その後は?」

少女「勇者のふりして…魔王倒してきなさいって…」

魔王「偽勇者まで送り込んできたのかあのバカ姉は…」

少女「絶対…何もされないからって…」

エルフ「魔王様、信頼されてますね」

魔王「俺は全然信頼してないがな…つーか俺、人類の敵のはずなんだけどな」

神父「神のご加護が…勇者です」

魔王「意味がわかんねぇよ!?」

神父「これはいけない、この部屋には呪いで充満しておる」

神父「呪いを解くのでこのクロスを持っていてくだされ」

魔王「魔王相手に呪いっておま…」

神父「さぁ!この場に存在する呪縛を解かれん!!」カッ

魔王「ひぎぃ!?」ドバババババ!!

神父「む、これは悪魔を滅ぼすための魔法であった…」

魔王「ある意味間違ってはないが今の状況で撃つ魔法違うだろ!?」

神父「ではこれでどうだ!!」カッ

魔王「ほぎぃ!?」ビチビチビチビチ!!

大魔導師「嫁です」バリィン!! シュタ

魔王「ツッコミどころ満載な登場の仕方しやがった!?」

大魔導師「ねぇ魔王、そろそろほしいと思ってきたのよ」

魔王「何をだ?」

大魔導師「私達の あ か ち ゃ ん ☆」

魔王「残念だがお前とのはほしくない」

大魔導師「なんでよ!?いっつもいっつも逃げてばっかり!!」ガバッ

魔王「ちょ…待て!?服を脱がすな!!全裸になるな!?」

大魔導師「今日という今日はたっぷり赤ちゃんの素をいただくわよ!?」グイ

魔王「や、やめろぉぉぉ!?」

大魔導師「き、きたきたあぁぁぁぁぁぁぁ!!」ググッ

ギシギシギ(ry

魔王「…」ピクピク

大魔導師「あー搾り取れるだけ搾り取ったしこれで絶対…うふふ…」

エルフ「わ、わたしは何も見てないし聞いてない…」プルプル

大魔導師「これで種チャージ完了だから帰るねー?」ピューン

魔王「ヒトとの子がほしいと言っておきながら当人はほぼ放置かよ…」

魔王「アイツ絶対中身サキュバスだろ…」

側近「…」

魔王「…」

側近「遺書に先ほどの激しい行為の内容を書いて吊ってきます…」トボトボ

魔王「待てコラ」ガシ

魔王「あれは一方的な暴力だ…俺は被害者、オッケー?」

側近「じゃあ魔王様は激しい逆レイプされた…と」カリカリ

魔王「だから書くのをやめねぇかぁぁぁぁ!?」

竜王「友人です」ガチャ

魔王「知ってる」

竜王「ちっ…やっぱり『勇者です』の方が反応がよかったか」

魔王「遊びに来ていきなり舌打ちやめてくれる?」

竜王「何だか大変な事になってるそうじゃないか」

魔王「もう勘弁してくれって感じだな」

竜王「いいなぁ、オレの所にも寄越してくれねーかなぁ」

魔王「言ったら来てくれるんじゃね?」

竜王「だったら頼むよ!暇なんだ!!」

魔王「でもあいつらにもう会いたくねぇ…」

竜王「頼むよ!!」

魔王「やだよ?!」

ヒュゥゥゥゥゥゥン…ドガァァァァァァン!!

魔王「なんだ!?」

竜王「鉛球が落ちてきたみたいだな」

竜王「大砲か何かで撃ってきたっぽい」

魔王「誰がこんな真似を…」

エルフ「…えっと、魔王様は見ない方が良いかと」

魔王「何故だ?見せろ」グイ

エルフ「あっ」

大砲【勇者です】

竜王「おーおーでかでかと紙で意思表示しているなー」

魔王「ここまでして何の意味があるんだバカヤロー!!」

モワモワモワ

竜王「おい、魔王…なんだか妙に匂いのある煙出しだしたぞこの弾」

魔王「なんじゃこりゃ…」

エルフ「これは一種のフェロモンのようなもので」

エルフ「この匂いを嗅いだ人はそこへ引き込まれてしまうものだったはずです」

魔王「捨てろ!!もうこれ以上何も近寄らせないぞ!!」

竜王「じゃあコレ、家に持って帰っていい?」ヒョイ

魔王「いいけどソレは本気で人が集まっちまうもんらしいぞ…」

竜王「だからほしいんじゃないか!そんじゃもらってくわー!じゃーにー!!」バッサバッサ

エルフ「よ、よかったのでしょうかこれで…」

魔王「俺的には全然いいけどアイツがどうなるかだな…」

竜王「へへへ、これでオレの所にも…」

ドドドドド…

竜王「なんだ?」

兵士s「勇者です!!なんてな!!」ドドド

竜王「軍隊!?しかも例の台詞付き!?」

竜王「もしかしてこれのせいで呼び寄せた…?」

兵士s「なんだか知らないけどあの山に悪いヤツがいる気がするぞ!!」

兵士s「ここで倒しておけば俺達も勇者になれるかも?!」

竜王「うわーい、殺す気満々でやってきてるぞどうしよう…」

竜王「魔王、やっぱり返却!!助けてくれぇ!?」

その後、彼の姿を見た者はいなかった。

幽霊「勇者です」スィー

魔王「まだ勇者死んでねぇから、おっさん」

幽霊「なんだつまらん」

魔王「で、お前はなんだ?元人間のようだが」

幽霊「嫁に呼ばれて死の世界から還ってきたんだが」

魔王「あのババァ…ついに死者まで呼びやがったか…」

幽霊(父)「霊として復活させたのは姪なんだがな」

魔王「あーあの僧侶か…ってどうでもいいわ!?」

魔王「お前ん所の家族を止めてくれないか?」

幽霊(父)「無理無理、あいつらに俺見えてないから」

魔王「だったらお前いる意味なくね!?」

吟遊詩人「勇者です、ららら~♪」ガチャ

魔王「誰が歌いに来いといった?」

吟遊詩人「いやぁ、やはり勇者といえば魔王じゃないですか」

吟遊詩人「それにこれだけ有名になったわけだし一曲作ろうと…」

魔王「作らんでいい」

吟遊詩人「待ちぼうけで変な客の多い魔王~ららら~♪」

魔王「悪かったな待ちぼうけで!!帰れぇ!!」

吟遊詩人「勇者はすぐそこまで来てる~らら~♪」

魔王「かえ…え?」

吟遊詩人「私は帰る~ららら~るる~♪」トコトコ

魔王「待て!?さっきのは歌の歌詞なだけか!!それとも本当なのか…言えよ!?」

パピヨン「勇者です」ガチャ

魔王「もう慣れたものだな…動じることもなくなったわ」

パピヨン「呼ばれてきたんだけど~?」

魔王「あ?あぁ、エルフと同じ理由か」

魔王「しばらくここで待機しててくれないか?」

魔王「ヤツがその内帰ってくると思うから」

パピヨン「ヤツ?」

エルフ「に、人間らしいですよ」

パピヨン「殺ればいいの?」シャキン

魔王「いや、まぁ来たら目的分かると思うよ…」

パピヨン「魔王さまなんだかお疲れだねぇ」

エルフ「なるべくそっとしててあげてください…」

側近「勇者でした」ガチャ

魔王「何が!?何で過去形!?」

側近「頼まれていたものを探してきました」

魔王「お?どこ行ったかと思ってたら勇者見つけてきたのか!!」

側近「これです」ペラ

魔王「…なにこれ?」

魔王「ただの紙にしか見えん」

側近「?用紙がいると言っておられましたので」

魔王「その『用紙』じゃねぇ!!『容姿』だ!!勇者の!!」

側近「あぁ、天使のようでした」

魔王「だからそれを詳しく言えばいいだけなんだっての!!」

側近「天使勇者の事を語ると一晩では語りきれませんがよろしいでしょうか?」

魔王「どんだけ勇者にのめりこんでるんだよお前?!」

エルフ「あの…魔王さま」

魔王「どうした?」

エルフ「さっきから私達ここにいますがお邪魔ではありませんか?」

魔王「こちらから呼んだわけだし気にせずのんびりしててくれ」

エルフ「はぁ」

パピヨン「じゃあこの子はいいの?」

幼女「うにゅーん」クイクイ

魔王「いつの間に!?」

パピヨン「気がついたらうちの羽引っ張ってたー」

エルフ「物音ひとつさせずよく入って来れましたね…」

魔王「また遊びに来るとは言っていたが…」

パピヨン「ほーら、高くに飛んじゃうぞー」パタパタ

幼女「きゃっきゃ」

魔王「いつかの偽勇者の子より怖いもの知らずだな…」

賢者「そうだね」

魔王「!?!??!」ドテッ

賢者「そんな驚かなくていいじゃないかい」

魔王「何の音もなしに入られてたら当然の反応だ!!」

賢者「えー?この子は気づいてたけどなー?ねっ?」ナデナデ

エルフ「は…はひ…」ブルブル

魔王「早速愛でてやがる…」

賢者「勇者一家にはもうやめなって言っておいたよ」

賢者「多分もう何もしてこないっしょ」

魔王「ホントにやってくれたのか…すまなかったな」

賢者「そりゃこんな報酬用意してくれてるんだもん、本気出すさー」ナデナデスリスリ

パピヨン「わわっ、なんだかこの人間怖いー」

魔王「すまんが気が済むまで相手してやってくれ」

賢者「怖くないよー、ただちょっとお尻とかお胸とか撫でるだけだよー?」

エルフ「へ、変態さんなの…?」

賢者「あと魔王さんや」

魔王「なんだ?」

賢者「勇者連れてきてあげたんだから感謝してよ?」

魔王「!?」

魔王「どどどどどこにだ!?」キョロキョロ

賢者「目の前にいるじゃないかい」

魔王「…俺には幼女しか見えん」

幼女「う?」

賢者「はっはっは、そりゃ幼女になる魔法かけてるからね」

魔王「解け!」

賢者「必死すぎワロタwwwなーんてね」

魔王「お前もヤツらと同じか!?」

賢者「とーんでもない、わたしゃウソはつかないよ」

魔王「だったら早く勇者の姿を見せてくれ!?気になって仕方ないんだ!!」

賢者「はいはい、ぼわーんっと」ピッ ポンッ

魔王「…」

??「けほけほ…」モワモワモワ

魔王「煙で見えん!そりゃぁ!!」ブワァ!!

少女「ここどこー?」キョロキョロ

賢者「あ、間違えた」

魔王「誰だよ!?明らかに勇者とかけ離れた容姿じゃないか!!」

賢者「うちの妹~」ナデナデ

少女「わわ、ねぇここどこなの?」

賢者「説明したらめんどくさいので帰ってておくれ」ピッ シュン!

賢者「ちなみにさっきの子も魔王」

魔王「もう意味が分からん」

賢者「じゃあお待ちかねの勇者を~」ポンッ

大蛇「シャ?」

魔王「…」

賢者「あらま、お次は大蛇になってしまったわぁ」

魔王「お前絶対わざと間違えてるだろ…?」

賢者「はっはっは、わざと変なの出してるけど未だにウソは言ってないよ」

賢者「勇者はちゃんと連れてきてる」

魔王「もう何でも良いから本物の勇者を教えてくれ…」

賢者「まー色々楽しめたし教えてあげるかなー」

魔王「で?」

賢者「はいはい睨まなくっても今度はちゃんと紹介するって」

賢者「ほら、魔王にお名前言ってあげなさい」ポンポン

幼女「はーい!」

幼女「まお、あたしがゆうしゃの幼女っていーますっ」ペコリ

魔王「いや…コレ、どうせ勇者んところの妹か何かだろ?」

賢者「いや、本人みたいよ?家族全員から確認取ったし」

魔王「な…」

魔王「なんだそりゃぁぁぁぁぁぁぁ!?」

魔王「考えてみれば本当に呼んでくれていたのに俺が勘違いしてただけなのか…」

賢者「やーい、赤っ恥ー」

側近「まったく恥ずかしい」

魔王「テメェには言われたくないわ?!もう今日は全員帰れ!!」

勇者「まお?」

魔王「な、なんだ?」

勇者「これママがまおにって」スッ

魔王「手紙…?嫌な予感しかしないが…」ガサガサ

魔王「…」

 【私達の戦いはまだこれからだ!!……勇者です】

魔王「絶対やめる気ないなあのババァ共…」グシャ

それから数日後…


母「勇者です」ガチャ

魔王「またきやがったのか!?」

母「今度は『勇者』としてきたのよ、ほら」クルリン

魔王「服装だけじゃねーか!!無理すんなババァ!!」

母「それに一人じゃないわよ?」ガチャ

兄「今度こそ俺と戦え魔王!!」

姉「もちろん拒否なんてさせないわ、だって私達『勇者』だもの」

魔王「そんな何人も勇者がいてたまるか!!見た目だけそれっぽくしてんじゃねぇよ!?」

母「あら、知らないの?」

母「女神様に申請さえすれば誰でも何人でも勇者になれるのよ?」

魔王「は…?」

姉「勇者が多いと色々と処理が大変だからって泣いてたけどね」

魔王「じゃ、じゃああの幼女勇者はどうやってなったんだ…?」

兄「母さんが幼女を有名にさせようとして勝手にならせたんだっけか」

姉「要するにあくまであの子をメインの勇者にしようとしてるのよ」

魔王「何だその適当な勇者システム!!」

母「そういうわけで今度は真面目にあなたを倒しに来たわけ」

兄「覚悟しろやぁ!!」

魔王「本物はともかく、お前らにだけはやられてたまるかぁ!!」

イトコ「あ、失礼します」ガチャ

魔犬「もうやってるね」

魔王「増えた!?」

イトコ「ご安心を、私は勇者ではありませんので」

魔王「安心できるか!!もぉ、なんだよお前ら!!」

母「私が呼んだのよ」

母「あんたを倒すためにね」

魔王「…本気か?」

母「もちろん、あの子じゃ戦いすら知らないから私達がやるのよ」

母「今まで楽しかったわ」

姉「退屈はしなかったね」

イトコ「お疲れ様でした」

魔犬「ゆっくり休むといいワン」

兄「と、いうわけでじゃあな!!」シュバッ

魔王「ぐへ!?この魔王をもてあそびやがって?!」

魔王「貴様らもろとも消し飛ばしてやるわ!!」ゴゴゴ

魔王「…」チーン

兄「あっけなかったな」

姉「予想してたより弱かったわね」

イトコ「そりゃこの人数でやればこうなると思いますよ…」

魔王「き、さまら…絶対…許さんぞ…」

母「あらしつこい」

魔王「この屈辱…忘れないからな…!!」

勇者「まお!!」バァン!!

魔王「ぶべぇ!?」ゴキン!!

 【勇者の会心の一撃!!】

魔王「」

 【魔王を倒した】

勇者「ふに?」

 あれから数年後――



勇者「暇だなー」ゴロゴロ

勇者「昔みたいに魔王出てこないかなー?」

勇者「お兄ちゃんもお姉ちゃんも家出ちゃったし」

勇者「あたしも旅に出ちゃおうかな…」

勇者「もう昔みたいに何も出来ない事もないし」

勇者「立派な人間になるんだ!!」

コンコン

勇者「あ、誰かきたみたい…はーい!」パタパタ

ガチャ

勇者「えっと…誰かな?」

魔王の娘「魔王です」

おしまい

短くて申し訳ないがネタが切れたw

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