姫川友紀「ほろ酔い恋心」 (36)




ワァァァッ
ユッキー、ユッキー!

友紀「みんなー、ありがとー!」

P(姫川友紀。うちの事務所のアイドルだ)

P(少し前までは飲んだくれの野球好きだったが…総選挙をきっかけに今ではうちの事務所のエース格に上り詰めた)

友紀「それじゃラスト1曲、いっくよー!」

P(今日は地方のライブ活動。俺も付き添いとして同行することになった)


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P「お疲れ様、友紀」

友紀「いやー、疲れたけど楽しかった!」

P「今日は歌詞を間違えなかったな」クスッ

友紀「あれー、あたしそんなに歌詞間違えたことあったっけ?」メソラシ

P「たくさんあるぞ。そしてこっちを見ろ」

友紀「過去を振り返ってちゃビッグにはなれないよ」キリッ

P「少しは省みなさい」


友紀「ところでプロデューサー。帰るのって明日だよね?」

P「ああ。今日は旅館に泊まって明日帰るぞ」

友紀「旅館! お酒!」ガタッ

P「酒も勿論あるぞ。ライブに向けて節制してたご褒美だ」

友紀「やったー! 話がわかるよプロデューサー!」

P「今日は好きなだけはしゃいでいいぞ」

友紀「姫川、はしゃぐ」

P「和久井、折檻する」

友紀「ぐう畜だし留美さんここにいないし!」


…旅館…

P「うーし。それじゃチェックイン済ませてくるからここで待っててくれ」

友紀「りょーかい♪」

友紀(それにしても…見方を変えればこれ、プロデューサーとの二人旅だよね)




受付「それがですね…」

P「…えっ!?」

友紀(ん? なんか揉めてる?)


友紀「どったのプロデューサー」ヒョコッ

P「ああ、実はな…ちょっと手違いがあったみたいで」

受付「申し訳ございません…こちらの不手際でご予約通りの部屋が用意できていなくて…」

友紀「えっ!? もしかして泊まれないの?」

受付「露天風呂付きの別のお部屋なら用意できるのですが…」

P「あれ、でもその部屋って俺たちが予約した部屋より料金が上のはずじゃ」

受付「今回はこちらの不手際です。追加料金はいただけません!」

P「それじゃ…いいか、友紀?」

友紀「いいよ。ミスは誰にだってあるしね!」






友紀「あれ、そういや今回は二部屋じゃないんだね」

P「…ちひろさんに直談判したんだが通らなかったんだ」



ちひろ『プロデューサーさんが手を出さなければいいだけの話ですよね♪』ニコッ



P「友紀、男と一緒の部屋でも平気か?」

友紀「平気だよ? なんで?」キョトン

P「あ、うん。平気ならいいんだ」

P(こいつはそういう奴だったな…俺が意識し過ぎなだけか)




カポーン…

P「ふぅー…いい湯だな」

P(飯を食べ終わったと思ったら友紀の奴、寝てしまった…疲れてたみたいだな)

P「まぁ風呂は朝でも入れるし問題ないけどな」





ガラガラガラ…

友紀「プロデューサー、背中流しに来たよー♪」

P「………はぁ!?」ザバッ


P「おい友紀、お前寝てたんじゃなかったのか!」

友紀「お腹がいっぱいになったから横になってただけだよー」

P「そ、そうか…でも、背中を流しに来るってなんだよ」

友紀「んー? 日頃の恩返しってやつかな?」

P「恩返し?」

P(どういう風の吹き回しだよ一体…)


友紀「ほらほら、そこに座って!」

P「あ、はい」ストン

友紀「じゃあ洗ってくよー♪」アワアワー

P「お、お願いします…」

友紀「力加減はどう、痛くない?」ゴシッゴシッ

P「うん、丁度いいかな」

友紀「背中は一人だと洗いにくいからねー。しっかりやるよ!」


P「しかし…洗い方が丁寧だな」

友紀「そう? こんなもんじゃないかな?」ゴシゴシ

P「友紀ってもっとガサツかと思ってたよ」

友紀「あー酷い! あたしのことそんな風に思ってたの?」

P「ゴメンゴメン。今度からは改めるから許してよ」

友紀「もー、あたしだって女なんだよ?」

P「そうだな。友紀は女の子だな」

友紀「それじゃ脇下洗うねー。ちょっと腕挙げて」

P「はいよ」ヒョイッ


友紀「それじゃ流すねー」シャーッ

P「あースッキリした。ありがとな、友紀」

友紀「どういたしまして♪」

P「それじゃ、風呂に浸かりますか…」

友紀「…そうだ、プロデューサーもあたしの身体洗ってよ!」

P「………はい!?」

友紀「洗いっこしようよ! ほら、早く早く!」

P「ちょ、ちょっと待て」

P(それは流石にマズイ! 幾らなんでもそれは…)


友紀「どうしたのプロデューサー? 早く洗ってよー」バタバタ

P(…意識しなけりゃ大丈夫だ。うん、きっとそうだ)

P「わかったわかった。洗うから!」

友紀「やったー! それじゃ、よろしくね?」

P「えーっと石鹸は…あった」モコモコ

P(…それにしても、うなじが綺麗だな。普段見えないから尚更ドキッとしてしまう)

友紀「ねー、まだー?」

P「ああスマンスマン、洗うからな」

P(意識しなけりゃって言った途端これだよ!)




ごしごし…
さすさす…

P「力加減はどうだ?」

友紀「んー、ちょっと弱いかな? もう少し強めでいいよ」

P「それだとこの位かな…」ゴシゴシ

友紀「あっ、そのくらいが丁度いいよ!」

P「了解…」

P(背中もキレイだな。あまり露出の多い服は着せてないが…これなら背中の空いたドレスもいけそうだな)


P「それじゃ流すぞー」シャーッ

友紀「ひゃー!」

P「冷たい水じゃないだろ…」

友紀「むぅー、つまらん」

P「自分の担当アイドルに冷や水ぶっかけたりはしねえよ」

友紀「え? でも幸子ちゃんは」

P「あれは…うん、仕方なかったんだ」

友紀「うわー、幸子ちゃんかわいそー」

P「あの後フォローしたから!」


P「ほら、流し終わったぞ」キュッ

友紀「うん、ありがとー!」

P「それじゃ、風呂に浸かるか…」

友紀「そーれ、ざぶざぶー♪」バシャーン

P「走るな、こけるぞー」


ちゃぷん…

P「ふー…いい湯だな」

友紀「そうだねー」ギュッ

P「…あの、友紀? ちょっと近くないか?」

友紀「えー? そんなことないよー」ケラケラ

P「もう少し離れなさい」

友紀「そんなー、いいでしょ別にー?」

P(なんか友紀がおかしい。妙に顔が赤く………ん、顔が赤い?)




友紀「ぎゅーってするとあったかいよー?」ヒック

P(コイツ…絶対酒入ってやがる!)



P「おい友紀! お前酒飲んでるだろ」

友紀「うん、飲んだよー。ビール缶2本空けたよー♪」

P「なんで酔っぱらいながら風呂に突撃してきたんだよ…」

友紀「だって、シラフじゃこんなことできないじゃん」

P「えっ」

友紀「プロデューサーにこんなに近づける機会なんてそうそうないからね。油断してるとかっさらわれちゃうよ」

P「…はい?」


友紀「…ねぇ、プロデューサー」



ぎゅっ…

友紀「プロデューサーはあたしのこと、女って意識してる?」

P「う、うん…イシキシテルヨ?」

P(やわらかいやわらかいなにかあたってるやばいやわらかい)

友紀「あたしだって、普通の女の子みたいに恋するんだよ…?」


友紀「プロデューサー…」

P「ゆ、友紀…」

P(上気した頬に潤んだ瞳。普段のやかましい彼女はどこにもなかった。あるのは、年相応の恋をする乙女の顔…)

友紀「ん…」

P「えっ、ちょっ、まっ」

P(友紀の顔がどんどん近づいて―)





だきっ

友紀「すー、すー…」

P「………は?」

P(こ、コイツ…寝やがった!)

友紀「すぴー…すぴー…」

P「………まぁ、疲れもあっただろうな」

P(さっさと湯から上がって運びますか…)






友紀「………ん、あれ?」ムクッ

P「おっ、起きたか」

友紀「…えっと、あの、その」カァァ

P「…いろいろ言いたいことはあるが、一つだけ言わせてくれ」

友紀「…怒ってる?」

P「いろいろ危なかったからな。まぁ酒飲んで風呂場に突入してきたことは大目に見る」

友紀「え? それじゃあ…」


P「俺も友紀も、今は大事な時期だ。友紀の気持ちには答えられそうにない」

友紀「…」

P「だから、来たるべき時が来たら…俺の方からプロポーズさせてくれないか?」

友紀「!」

P「スマンな、こんなプロデューサーで…」

友紀「…今の言葉に二言はないよね?」

P「ないぞ。俺も本気だ」


友紀「…プロデューサー!」バッ

P「わっ!? 急にとびかかるな!」

友紀「もう放さないからね? 絶対放さないから!」ギューッ

P「いたいいたい力強いから!」

友紀「…えへへ♪」

P「だから、これまで以上に頑張ってくれよ?」

友紀「うん、あたし頑張るよ!」


…後日…

拓海(…最近、友紀のヤツが変わった)

友紀「ありすちゃん、ここは5だよ!」

ありす「絶対7です。間違いありません!」

拓海(レッスンに遅刻することはなくなり、二日酔いで事務所に来ることもなくなった)



まゆ「あら、友紀さん。ピアスですかぁ?」

友紀「うん! 似合ってるかな?」

まゆ「アクセントになってて素敵ですよぉ」

拓海(それどころかオシャレにまで気を使いだした。ユニフォーム姿でいるほうが珍しくなった)


拓海「なぁ友紀。最近何かあったのか?」

友紀「あったといえばあったけどー…ナイショ!」

拓海「ふーん…誰かとの約束とかか?」

友紀「…うん、そうだね」



友紀「女房役との、約束だね…えへへ♪」

友紀(でも今度女房になるのは………あたしの方だけど!)



おわり。

ユッキは畜生キャラづけされはちだけど、可愛い女の子だよ?

読んでくれた人はありがとう。それじゃ

おつおつー
1は何かほかに書いてたり?

× されはち
○ されがち

>>30
直近だとこれ
モバP「ぬくもりが足りない…」拓海「…」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1411477622/)

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