ラブ「大丈夫ですか?」湊耀子「・・・え」 (440)

フレッシュ!プリキュアと仮面ライダー鎧武のクロスです


主人公は仮面ライダーマリカ、湊耀子です



初投稿です。頑張ります

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ラブ「あ!起きた!よかったぁ~!」


湊「・・・!?」


ラブ「?、どうかしました?」


湊「ち、近い」


ラブ「あ。あはははは!ごめんない!」


湊「・・・ここは・・・?」


ラブ「公園ですよ、でもびっくりしましたよ!
   帰り道歩いてたらいきなり倒れてる人が
   いるんですから」


湊「・・・そう、貴女が助けてくれたのね」


ラブ「はい!私、桃園ラブって言います!」


湊「湊、湊耀子よ」


ラブ「湊さんですか」


湊「ええ・・・ところで、ここはどこなのかし
 ら?
 沢芽市には見えないのだけど・・・」


ラブ「沢芽市?違いますよ、ここはクローバータウンです」


湊「クローバー・・・タウン・・・」


ラブ「はい!あっ、そう言えば湊さん、何で倒れてたんですか?」


湊「・・・あっ」

ありがとうございます!


確かにそうですねwあのレモン博士の秘書やってたら色々大変そうですしねw

『ねえ、もし私が知恵の実を掴んでいたら
 あなたは私を求めてくれた・・・?』


『燿子は燿子、知恵の実は知恵の実だ…!!』


 湊「・・・っ」


 ラブ「湊さん・・・?」


 湊「!。な、何?」


 ラブ「どうしたんですか?暗い顔してました    よ・・・?」


 湊「・・・何でもないわ・・・         何でも・・・」


 ラブ「でもそんな悲しい顔してたら幸せが逃    げちゃいますよ!
    笑顔が一番なんですから!」


 湊「・・・そうかも、しれないわね・・・    でも今の私に幸せが訪れるかし    ら・・・」


 ラブ「え・・・?」


 湊「・・・助けてくれて、ありがとう。私はもう行くわ」


 ラブ「え?大丈夫なんですか?」


 湊「・・・(あの時致命傷を負ったはずだけ    ど、何ともないわ・・・)ええ、ほら」


 ブワォッ!


 ラブ「わっ!?す、すごい蹴り・・・」


 湊「ふふ・・・それじゃあ」


 ラブ「あっ、また会えますか?」


 湊「・・・そうね、また会えるといいわね」


 スタスタスタ・・・


 ラブ「・・・不思議な人だなぁ、せつなみた   い・・・」
   

耀子を「燿子」と間違えました;

すみません;


 湊「・・・本当にここはどこなのかしら・・・」


 湊「(日本だと言うことは間違いない。でも、   変だわ・・・インベスが居ない・・・    それどころか、ヘルヘイムの森の侵食を   受けていないわ・・・)」


 湊「・・・調べる必要があるわね・・・」


 クローバータウンストリート


 湊「・・・見たところ、特に変わった所では   ないようね・・・」スタスタ


 「わぁ~~ん!待って~!」ドドドドド


 湊「!」   


 犬「ワンッ!ワンッ!」ドドドドド


 「誰か助けて~!」ドドドドド


 湊「っ!」ガシッ


 「ひゃっ・・・!」


 湊「怪我はないかしら?」


 「す、すみません!ありがとうございま    す・・・」


 湊「気にしないで。でも、貴女みたいな力が   弱い子がマウンテンドッグを散歩させる   のは無理があるわ」


 「で、でも・・・散歩させないとこの子が   ストレス抱えちゃいますから・・・」


 湊「・・・(とりあえず危険なところでは     ない事がわかったから、調べるのは     終わりね)わかったわ」


 「え・・・?」


 湊「私が代りにリードを持つわ」スッ


 「あっ、で、でも・・・」


 湊「特に用事もないから、遠慮しなくて     いいわ」


 「・・・は、はい」

 公園

 
 湊「(気づいたらさっきあの子会った公園に来てたわ・・・)」


 「あ、あの・・・」


 湊「何かしら?」


 「手、痛くないですか?この子力が強いですから・・・」


 湊「ええ、大丈夫よ」


 「そうですか・・・よかった」


 湊「この子の名前は?」

 
 「ダイちゃんって名前です。あっ、でも私の ペットじゃなくて預かってる子なんです」


 湊「預かってる・・・?」


 「私のお家動物病院なんです」


 湊「ああ・・・そういうことね」


 「はい」


 「あっ、ブッキー!」


 祈里「美希ちゃん」


 湊「知り合い?」


 祈里「はい。幼馴染みなんです」


 美希「初めまして、蒼乃美希です」


 湊「こちらこそ、湊耀子よ」

 
 美希「ブッキーああ、じゃなくて祈里の親戚の方ですか?」


 湊「いいえ、さっき会ったばかりよ。この子の散歩で危なそうになってたから」


 美希「あぁ、ありがとうございます。もう、ブッキーったら」


 祈里「ご、ごめんなさい・・・」


 美希「まぁ、いいわ。湊さん、本当にありがとうございました」


 湊「いいえ、気にしなくていいわ」


 美希「あ、そうだ。お礼と言っては何ですけどドーナツ食べませんか?
    すぐそこにドーナツ屋があるんですけど・・・」


 湊「・・・ええ、じゃあお言葉に甘えて」


 ドーナツ屋


 カオルちゃん「いらっしゃーい!」    


 美希「カオルちゃん、ドーナツ5個お願いね」  


 カオルちゃん「はいはい!ところで、そのお姉さんは?」    


 美希「えぇっと・・・まぁ、ブッキーの恩人ってところね」    


 カオルちゃん「そっかそっか、ゆっくりしてってね」    


 美希「あっそうだ。カオルちゃん、ラブ来なかった?」  


 湊「(ラブ・・・?)」    


 カオルちゃん「いんや、まだ今日は来てないよ」  


 美希「そっか~・・・わかった、ありがとうカオルちゃん」    


 カオルちゃん「いいよいいよ、グハッ」  


 美希「おっかしいわね、今日学校が終わったらここに来るって言ってたのに・・・」


 湊「そのラブって名前の子は、もしかして・・・桃園って苗字かしら?」


 美希「え?湊さん、知ってるんですか?」


 湊「ええ・・・私の恩人ってところかしらね」


 美希「恩人?」


 祈里「何かあったんですか・・・?」


 湊「いいえ、大したことではなかったんだけれど・・・助けてもらったことには変わりないわ」


 美希「そうですか・・・じゃあ、先に食べましょうか」


 美希・祈里「いただきまーす♪」湊「」手合せ、ペコ    


 美希「ん~!やっぱりカオルちゃんのドーナツはいつでも完璧ね!」モグモグ


 祈里「んっ、美味しい」モクモク


 湊「・・・美味しいわ・・・」


 カオルちゃん「お姉さんが食べてるの、試作で作ったんだけど桃味なんだよ」    


 湊「桃・・・?」  


 カオルちゃん「何となくだけど、お姉さん桃のイメージがあったからね。         



        何て言うか似てるんだよねえ、おじょうちゃんに」    


 湊「桃園さんのことですか・・・?」      


 カオルちゃん「そうそう、桃園だけにピーチなんちって。グハッ!」


 湊「・・・は、はぁ(びっくりした・・・)」


 美希「はぁ、今週のオーディション自信ないなぁ・・・」


 祈里「あれ、珍しいね。いつもなら「あたし完璧!」って言うのに・・・」


 美希「それがいつもより肩に力入り過ぎたって言うか・・・ん~、あたし的に完璧じゃなかったの」


 祈里「そっか・・・」


 湊「オーディションって・・・蒼乃さん何かやっているの?」


 美希「はい。読者モデルをやってるんです」


 湊「そう、すごいわね。まだ10代でしょう?」


 美希「まぁ、そうですけどまだまだって感じです。湊さんはご職業は何をしてるんですか?」


 湊「・・・あっ、えっと・・・(秘書・・・では無いし・・・)か、格闘技の仕事をしているの」アセアセ


 美希「へぇ、意外ですね。スーツ姿ですから社員なのかと思ってました」


 祈里「空手とかですか?」


 湊「まぁ・・・そうね」


 ラブ「ごめぇ~~~ん!忘れ物しちゃったよぉ~~~!」


 美希「ラブ!もう、遅いわよ」


 ラブ「ごめんごめん。あれ?あぁ!湊さん!」


 湊「また会えたわね、桃園さん」

↑え、えと何をでしょうか?初心者なので・・・


 ラブ「はい!また会えましたね!」


 湊「ええ・・・ところで・・・」


 ラブ「はい?何ですか?」


 湊「貴女の頭上にいるのは何かしら?」


 ラブ「え?」

   
 シフォン「プリップ~!」


 ラブ・美希・祈里「シフォン!?」


 シフォン「キュアキュア!」


 湊「あら、可愛いわね」ナデナデ


 ラブ「な、ななな何でここに居るの!?」


 タルト「待ってぇな、シフォン!」


 美希「ちょっとタルト!どうしたのよ!」


 タルト「どうしたもこうしたもないねん!急にシフォンが飛び出してったんや!」


 湊「・・・フェレットかしら?随分変わってるわね・・・」ナデナデ


 美希「あ!(湊さん居るの忘れてた!)」


 ラブ「えぇ~とえっと!このフェレットはそのその!えっとぉ」


 祈里「し、新種の喋るフェレットなんです!」


 湊「・・・」


 タルト「あ、あかん。絶対に(プリキュアってことが)バレたわ・・・」


 湊「・・・ふふっ。大丈夫よ、安心して」


 ラブ・美希・祈里・タルト「え?」


湊「喋る鳥が居るのなら、フェレットが喋っても何とも思わないわ」


 ラブ「あ、そ、そうですよね!あははは・・・」


 タルト「(な、何や以外と単純なんやな・・・)」


 湊「けれど、この子は・・・」


 シフォン「プリップ~♪」ピカー


 (ドーナツ)フヨフヨ


 ラブ・美希・祈里・タルト「あ・・・」


 湊「・・・この子も新種の生き物か何か?」


 シフォン「キュア~♪」


 ラブ「え、え・・・っとぉ」


 タルト「(あかん!もうあかんわ・・・)」


 湊「まぁ、いいわ。この子の事も黙っておく」


 美希「あ、ありがとうございます」


 シフォン「キュアキュア~♪」


 湊「ふふっ」ナデナデ


 タルト「な、何やこの人偉い落ち着いて晴な」ヒソヒソ


 美希「確かに・・・全然驚いてないわね」ヒソヒソ


 祈里「大人の余裕って言うのかな・・・?」ヒソヒソ


 ラブ「でも、大丈夫だよ。悪い人じゃないと思うから」

おっとsage忘れてしまった。すまない


 期待させてごめんなさい;無いです;

>>18あ、saga気にしてませんよ。大丈夫です

それはどう言った作品なんですか?


 祈里「そうだよね・・・私の事助けてくれたし・・・」

 
 美希「それもそうね。何よりもシフォンがあんなに嬉しそうにしてるし」


 ラブ「じゃあ、大丈夫だね!」


 湊「何がかしら?」


 ラブ「な、何でもありません!」 


 タルト「でもえらいすんませんなぁ湊はん。シフォンの相手してもろうて」


 シフォン「キュア~」


 湊「いいのよ、貴方もお世話大変なんでしょう?」ナデナデ


 タルト「わかってくれますか?そないやねん、いつもいつも大変なんや」ハァ


 湊「そう・・・でも、貴方のおかげでこの子が元気なのよ。偉いわ」


 タルト「そ、それほどでもあらしまへんよ」テレテレ


 シフォン「ミナト、ミナト♪」


 湊「あら」ナデナデ


 ラブ「え!?もう名前言った!?」


 祈里「すごーい・・・!」


 美希「やっぱり、シフォンは湊さんと何か関係があるのかしら・・・」ポツリ


 湊「そんなにスゴいことなのかしら?」


 タルト「すごいも何も一発であんさんの名前を覚えたんや!
     ワイなんてまだやのに・・・ハァ」


 湊「そ、そう・・・大丈夫よ、その内呼んでくれると思うわ」


 タルト「そうなんとええんやけどなぁ」


 シフォン「キュアキュア♪」

>>20
マイム・マイムに鎧武の台詞やロックシードの音声を合わせた手書きMAD。タイトルは「ガイムガイム」

>>22へぇ、初めて知りました

>>24あ、そうですか?
どういったところが読みにくいですか?

>>26

あ、それはただ単に「仮面ライダー鎧武」と「フレッシュプリキュア!」を書き忘れてたので立てました

ラブだけでは何かわからなそうだと思いましたし、湊クンも微妙でしたから

>>28 わっかりました

そういやプリキュアも今やってる奴が10周年でテーマもディケイドポジといえる作品なんだよね・・・

ってことは来年は原点回帰で最初は二人スタート(からの追加戦士で数人)かもしれないな

>>30
あ、確かにそうですね。あるいみフォームチェンジありますしね


スイートが原点帰りと言われてますけど、どうなるんでしょうね


今日おもちゃコーナーでドライブの変身する ブレスあったんですが、全然やり方わかりませんでしたw


 ウエスター「お願いしゃっす!」ドゲザ



 イース「何回目だと思ってるの」


 
 サウラー「君に僕らがアドバイスした事を実行して、成功したことあるのかい?」



 ウエスター「うっ・・・無いが今回こそは!」



 イース「それでまた失敗したら、貴方本当にメビウス様に見限られるわよ」



 ウエスター「俺だって・・・俺だって頑張ってるんだよ・・・」ブツブツ


 
 イース「あぁもう面倒ね・・・」


 
 サウラー「・・・ウエスター、君本気でやると言うのなら一つぐらいアドバイスをあげてあげるよ」


 
 ウエスター「本当か!?」パァ



 サウラー「ただし本当にこれが最後だよ。もしこれで失敗したら・・・」



 ウエスター「失敗したら・・・何だ?」


 
 サウラー「君、メビウス様に見限られるよ」


 
 ウエスター「げっ!?・・・~~っの、臨むところだぁぁぁああああ!」


 
 イース「・・・本当に大丈夫なの?」


 
 サウラー「さぁね・・・でも、少しの期待ぐらいはしておくことにするよ」


 
 イース「・・・そう」


 
 ウエスター「で、サウラー。どうすればいいんだ?」


 
 サウラー「そうだね・・・じゃあ、こう言うのはどうだい」


 ラブ「湊さんは、どこから来たんですか?初めて会った時に沢芽市って言ってましたけどそこから来たんですか?」


 
 湊「ええ。そうよ」



 ラブ「へぇ、でも聞いたことない所だよね。沢芽市って」


 
 湊「!?」



 シフォン「キュア?」

 
 

 美希「そうね・・・どんな所なんですか?」



 湊「知らないの・・・?」



 ラブ「え?は、はい・・・」



 湊「計画都市「沢芽市」よ?別名「沢芽シティ」って言うのだけど・・・」


 
 ラブ「んん~・・・わかません。社会の授業でも習ったことないですし」



 湊「・・・そんな」クラッ


 
 美希「湊さん?」



 祈里「あの、大丈夫ですか?顔色悪いみたいですけど・・・」



 シフォン「キュアァ・・・」



 湊「え、ええ・・・ごめんなさい。ちょっと一人にさせて、ね・・・」


 
 祈里「は、はい。シフォンちゃん」


 
 シフォン「プリップ~」


 
 湊「・・・」スタスタスタスタスタ


 
 ラブ「大丈夫かな・・・湊さん」



 祈里「ものすごくショック受けてるみたいだったけど・・・」


 
 タルト「何かあったんやろか?」



 美希「もしかして・・・」



 祈里「何?美希ちゃん」



 美希「湊さん、記憶喪失なんじゃ・・・」


 
 ラブ「えぇ!?でも、自分の名前覚えてるよ?それに沢芽市って所を言ってるから、多分違うと思うけど・・・」



 美希「そうなのかな・・・」


 
 ラブ「私、ちょっと言って確かめてみる!」ガタッ



 美希「ダメよ!ラブ!」ガシッ



 祈里「今はそっとしてあげた方がいいよ」



 タルト「せやで、ピーチはん。何事も焦らん事や」



 ラブ「あ・・・ごめん」



 美希「ラブ、力になりたいのはわかるけど湊さん自身にも状況判断が必要なのよ。



    しばらく一人にしてあげて、戻ってきたら話し合ってみましょ」 



 祈里「私も、そうした方が良いと思う」



 タルト「せやな、ワイも同じや」


 
 ラブ「・・・うん、わかった」

期待する

>>35
ありがとうございます


 森陰


 西「プリキュア共がよく来る公園に来たが・・・どこか様子がおかしい。


   いつもなら忌々しく笑って話しているのにも関わらず、落ち込んでいるように見える・・・


   ・・・はっ!?まさか不幸を生み出す何かのヒントがあるのか!?」


 ラブ「でも・・・どうすればいいんだろ?」


 美希「そうよね・・・どこから来たのかはわかるけど、その「どこ」がわからないと話にならないわ」


 祈里「やっぱり、記憶喪失なのかな・・・」


 シフォン「ミナト、ミナトー」


 タルト「シフォン、もうちっとばかし待ってあげるんや」


 西「んん?記憶喪失・・・そうか!記憶喪失と言うものを使えばいいのだな!」


 



 湊「・・・考えたくはなかったけれど、覚悟を決めなければならないようね・・・」


 湊「(ここは・・・異世界ね。ヘルヘイムの森の浸食を受けてない時点で怪しいとは思っていたけど。


   ・・・まぁ、ヘルヘイムの森自体も異世界なのだから不思議じゃないわ)」


 湊「・・・戒斗・・・どうしてるのかしら・・・」


 イース「で、何でまた戻ってきたのよ」


 ウエスター「そ、それが不幸を生み出す為のものは見つけたのだが、それがどんなものなのかわからなくて・・・」


 サウラー「君ホントにやる気あるの」


 ウエスター「あ、あるに決まってるだろう!」


 イース「まぁ、やる気があるかどうかはいいわ。その不幸を生み出す為のものって何」


 ウエスター「記憶喪失と言うものなのだが」


 イース「記憶喪失・・・?」


 サウラー「ちょっと待っててくれ・・・えぇっと・・・これか」ペラペラ


 ウエスター「記憶はわかるのだが、記憶がどうなるのかがわからんのだ」


 サウラー「あったよ。記憶喪失と言うのは人間が覚えていた情報を失うことで、症状によって失う量は多々あり


      自分自身を思い出せない状態から一部の情報を忘れてしまうことだよ」


 ウエスター「なるほど。ようするに忘れてしまうと言うことなのか!よし!」


 サウラー「ただし、ウエスター」

 
 ウエスター「何だ?」

 
 サウラー「この世界でドーナツは何個食べたんだい?」


 ウエスター「え?それは・・・えっと・・・あの・・・」ダラダラダラ


 サウラー「こう言うのは記憶喪失とは言わないから、注意してくれ」


 ウエスター「そ、そうなのか!?」


 湊「待たせたわね・・・」


 ラブ「あ、湊さん・・・」


 美希「大丈夫ですか・・・?」


 湊「・・・ごめんなさいね、心配かけて・・・」


 祈里「そ、そんなことないですよ。私助けてもらいましたし、それに困ってる人がいたら助けないと・・・」


 湊「・・・ありがとう、そう言えばまだ貴女の名前聞いてなかったわね」


 祈里「あっ、私山吹祈里って言います」


 湊「祈里・・・良い名前ね」


 祈里「あ、ありがとうございます//」ポッ


 ラブ「あの、湊さん」


 湊「何?」


 ラブ「言いにくいんですけど・・・その・・・もしかして湊さん記憶そu((ドカァーーン!!

 
 ラブ・美希・祈里・タルト・湊「!?」


 美希「今のは!?」


 ラブ「ラビリンス!?」


 クローバータウンストリート


 「きゃぁーっ!」「うわぁーっ!」


 ナケワメーケ「メディカール!」
 

 ウエスター「ふははは!ナケワメーケ!もっと人間共を不幸にしろ!」


 ラブ「美希タン!ブッキー!」


 美希「ええ!」祈里「うん!」


 ラブ「湊さん、ここでシフォンをお願いします!」


 シフォン「キュア~」


 湊「えっ、ちょっと!?」


 ラブ「必ず戻ってきますから!」


 タルト「ほな、お願いしますわ!」


 湊「皆!危険なことに手を出してはいけないわ!」


 
 
 ナケワメーケ「メディカール!」



 ウエスター「ははははは!こいつは強い!わざわざ風邪をひいたイケメンのふりをして


       病院に入って見つけてのは正解だった!」

 
 ラブ「あれって・・・病院でよく見るけど、何だっけ?」


 美希「えっと脳を見る装置だっけ?」


 祈里「確かそんな気がするね・・・」


 タルト「そんなことどうでもいいさかい!早く変身してぇな!」


 ラブ「あ、ごめんごめん」



 3人は携帯電話型のそれぞれ異なる色の変身アイテム「リンクルン」を取り出した
 クローバーキーを差し込み回すと、カシャッと光の粉を出しながら開いた
 人差し指で淡い水色のローラーを横にスライドさせると黄色と黄緑色の星やピンクとブルーのハートが吹き散り
 リンクルンの画面がそれぞれの色と同じ様にピンク、ブルー、イエローに光り輝き出した



 ラブ・美希・祈里「『チェインジ!プリキュア!」



 ラブはピンク、美希はブルー、祈里はイエローの光を身体に纏うと髪が一瞬光り髪を結んでいたシュシュやリボンが
 消えた。
 3人は同時にチェック柄になっている地面をつま先から踏み立った

 
 


 ラブ・美希・祈り「ビートアップ!』」

 両手を大きく広げると4色の四葉のクローバーが3人の左胸に付き、ラブの髪はピンクのハートの飾りがついた紐で
 結った薄レモン色の長いツインテールになり、ピンク色のハートを逆さにしたようなイヤリングを耳に付けピンク色の  コスチュームはスカート下のフリルを幾重にも重ね、リボンのついたリストバンドを両手首に付けていて、腰には前側に 小さなリボンを2つ、後ろ側に大きなリボンを1つ付けて膝まであるロングブーツを履いた。


 美希の髪は薄紫色のロールしたサイドテールへ変化し青色のハートの飾りがついているカチューシャを止め       ラブと同じような青いイヤリングを付け青を基調としたコスチュームは露出がやや多く、腹部を露出しており右腰の   長いリボンと黒いオーバーニーソックスを着用してリストバンドとロングブーツの形状はほぼラブと同じ物を      履いている。


 祈里は明るい山吹色のウェーブ掛かったセミショートになり黄色のハートの飾りがついた橙色のリボンに変化して、   若干形状が違う橙色のイヤリングを耳に付け、黄色と橙色を基調としたコスチュームはほぼラブと同じだが全体的に   ボリュームがあり丸みを帯びて、ふんわりとした丸いリストバンドを両手首につけ、短いブーツを履いていた

 
 ピーチ「ピンクのハートは愛あるしるし!もぎたてフレッシュ、キュアピーチ!」


 ベリー「ブルーのハートは希望のしるし!つみたてフレッシュ、キュアベリー!」


 パイン「イエローハートは祈りのしるい!とれたてフレッシュ、キュアパイン!」



 ピーチ「『レッツ!」



 フレッシュプリキュア「プリキュア!』」

 
 
 ウエスター「行け!今日こそはプリキュアを倒すのだ!」



 ナケワメーケ「メディカール!」

 ウエスターが手を前に翳すと、MRI装置のナケワメーケは雄たけびを上げた。
 丸い頭の中心に一つ目があり両手はU型磁石で既に鉄を含むの物質がくっ付いており、胴体は台の様なものだけで足は  無く磁気浮遊をしているようだった。
 ナケワメーケは頭の後ろにある丸いジェットから炎を吹き荒らして木を揺らし、ピーチ達に向かって猛突進してきた。

 
 
 ピーチ「避けて!」



 ピーチの言った事にベリーとパインは素早く反応して左右に回避した。ナケワメーケは目標を見失っても尚突き進んで
 行き、上空に向かって飛んで行った。
 そこかた空中で大きく飛翔して一回転をし、再びピーチ達に向かって来た


 ナケワメーケ「メディカール!」


 ピーチ「タァアアアッ!!」


 ピーチは猛々しく気合を入れた叫び声を発して、向かってくるナケワメーケに衝撃波を発生させながら飛び蹴りを放った
 ナケワメーケの台部分とピーチの足裏が衝突し、ドカーン!と爆発音が鳴り響いた

 
 
 その爆発音は湊がいる公園にまで聞こえた


 
 湊「何なの・・・一体・・・」


 湊は爆発音が聞こえてくる方向を見ながら呟いた。この世界は自分がいた世界とは全く違う世界だと思っていたのだが
 突然の状況に判断がつかなくなってきていた


 シフォン「キュア、ミナト、ミナト」

 
 湊の腕の中に居るシフォンは、スーツを引っ張り湊に呼びかけた


 湊「?。何、シフォンちゃん」


 シフォン「キュアキュア~、プリップ~」

 
 
 シフォンの額にある模様が光り始め、湊を光が包み込み一瞬の内に姿が消えた

こっからは俺流描写だ!


 ベリー・パイン「ダブルプリキュアキィーーック!!」


 ピーチが着地する隙を突こうしたナケワメーケをベリーとパインがカバーするように屈んで足のバネを効かせて
 上空に空中回転しながら飛び上がり、二人同時にナケワメーケはの丸い顔の横にキックを見舞った。
 ナケワメーケはダブルキックを喰らって方向を見失い、不規則な曲線を描きながら制御を保とうとした
 

 ウエスター「ぬおっ!」


 制御不能のまま飛んでいたので危うく急降下で地面すれすれを飛び、ウエスターに激突寸前になりかけた
 徐々に上空に上がって行き、立て直したナケワメーケは旋回してジェットエンジンから炎を噴射して突撃して行った

 
 
 ナケワメーケ「メディカール!」



 ピーチ「うおりゃぁぁあああーーっ!!」


 ピーチは腕を振って全速力でナケワメーケに向かって走り出し、ナケワメーケもジェットエンジンをフルパワーで吹かし
 マッハに達しそうな速度でピーチに向かって行った。
 ジェットエンジンから吹き出す熱気を帯びた突風とマッハに達しそうな速度で生み出された衝撃波で建物の窓ガラスが
 立て続きに粉砕され、枝に青々と生えていた新葉が突風で叩きつけられ宙に舞った
 ピーチとナケワメーケの距離が数メートルになったところで、ハードル飛びの要領で走り飛んでピーチは利き腕を後ろに 引き三角筋を伸ばした。握り拳で爪が掌に食い込むが痛みは感じない。ナケワメーケも柔軟な棒の様な腕を引いた。


 ピーチ「ハァァアアッッ!」   ナケワメーケ「メディカール!」


 ピーチとナケワメーケの距離がすぐ目の前になり、一瞬周囲の時が止まったかのように静まり返った
 しかしその刹那


 ピーチ「タアッ!!」 ナケワメーケ「メディカール!」
 

 ピーチとナケワメーケの拳と拳が激突し、拳同士がぶつかり合ったその場所を中心に円形の衝撃波が発生して
 地面がボコンと丸型に凹ませ、ピーチとナケワメーケが同時に吹き飛ばされた
 ピーチは態勢を崩しそうになったが、何とか着地した。ナケワメーケはジェットエンジンで空中で止まった

 
 ピーチ「いったぁ・・・」


 ピーチは涙目で赤くなっている手を擦りながら熱くなっている箇所をフーフーと口を窄めて吐息を冷たくさせて
 吹きかけた。
 一方のナケワメーケは痛みを感じないのか、上空に浮いたまま見下すようにピーチを見下ろしていた
 

 ベリー「ピーチ、大丈夫?」


 ピーチ「うん、これくらい平気!」


 ウエスター「ふっ、ナケワメーケのスピードにどこまでついていけるか楽しみだな」

なんで湊さんなのか分からなかったが、ピーチだからか

>>44

はいw繋がりです

そう言えばヘルヘイムの森って、いくつもの世界を滅ぼしてるんだったな...
ひょっとしたらプリキュアの世界も...

>>46

ん~・・・どうなんでしょうね


実は、ヘルヘイムの果実出そうか出さまいか迷ってるんですよ






出して書きづらくなるようなら出さなくてもいいかと
あと、投下止めちゃってすみません

>>48

そうですよね。ありがとうございます


あぁ、大丈夫です。まだ下記途中なので


 タルト「プリキュア皆はん、頑張るんや」


 ピーチ達がナケワメーケと奮闘している中、建物の陰でタルトは隠れながら応援しているとその横に光が弾けてきた

 
 
 タルト「ん?」



 湊「あら・・・?タルト君?」


 タルト「のわぁ~~!?み、湊はん!?何でこんな所居るんや!?」


 突然現れたシフォンを抱いている湊にタルトは驚きの余り腰を抜かして尻餅をついた
 湊自身も何が起こったか状況を掴めておらず、周りを見回すが此処が何処なのか見当がついていなかった


 湊「何でって・・・シフォンちゃんが、私を呼んで何か言った後・・・光に包まれて・・・」


 タルト「シフォンーーー!何てことするんや!」


 タルトは原因がシフォンだとわかると、青筋を立ててシフォンを怒鳴りつけた
 シフォンはキョトンとしていたが、見る見る内に目が潤み始めた

 
 
 シフォン「うっ・・・あぁぅ、ぅあぁ~~~~~!」



 タルトが怒鳴りつけてそれにびっくりしたのか、シフォンは目から大粒の涙を流しながら大きな声で泣き始めてしまった
 これにはタルトも湊も慌てて慰めようと、タルトが変顔であやすが泣き止まず湊もやったことがないのでわからないが
 体を上下に小さく揺らして横にゆっくりと動かして安心させようとするがシフォンは泣き止まなかった
 

 ピーチ「タァアアッ!」


 ナケワメーケ「メディカール!」


 ピーチはナケワメーケにパンチをして怯ませて着地し攻撃を仕掛けようとした構えたが、どこからかシフォンの泣き声が 聞こえてきて不思議に思い辺りを見回した。
 そして泣き声がナケワメーケの方から聞こえてくるのがわかると、ピーチは目を凝らして建物の陰を見ると湊とタルトが
 泣いているシフォンをあやしてるのが目に映った


 ピーチ「湊さん!?」


 ベリー「えっ!?」


 パイン「何で湊さんが・・・!?」


 ピーチが湊の名前を叫ぶと、それに釣られてベリーとパインも建物の陰に居る湊の姿を見た
 ナケワメーケは攻撃してこないプリキュア達を疑問に思っていると、泣き声が背後から聞こえてくるのに気づき後ろを  振り返った
 そこに居たのは女型の人間と妖精が2匹いるのを確認した
 

 タルト「ア、アカン!バレてしもた!」


 ナケワメーケ「メディカール!」


 湊「っ!?タルト君!」


 ナケワメーケは磁石の手を伸ばし、湊を捕まえようとする
 湊は冷静かつ敏速に反応してタルトを手に乗せナケワメーケの手から逃れた。
 走ってナケワメーケから距離を取り、一旦ナケワメーケの姿を見おうと振り返った

鎧武のライダーはプリキュアに悪影響を与えそうな人ばっかりだなあ(誉め言葉です)
例・シド、プロフェッサー、ミツザネェ!

>>51

あぁ、確かに。でも、ミッチはまだ大丈夫な方だと思いますよ。考え方が間違った方向にいっただけですし

一番ヤバいのはプロフェッサーレモンですね。自分の脳を移植させるのはびっくりしましたw


 湊「(インベス・・・いいえ、違うわね)」


 湊はナケワメーケの姿を見て、すぐにインベスかと思ったが明らかに形状が違いあんな鳴き声も出さないのに気付く
 ナケワメーケは一瞬見失った湊を再び見つけて、捕まえようとした


 ピーチ「湊さん!逃げて!」


 タルト「湊はん!逃げるんや!」
 

 ピーチとタルトの必死の叫び声を聞いて、湊は一瞬の沈黙の後ナケワメーケを睨み付けながらタルトを自分の手から   降ろした


 タルト「み、湊はん!?」


 湊「タルト君、シフォンちゃんをお願い」


 タルトは湊の不可解な行動に驚いていたが、湊は泣きしゃっくりをしているシフォンをタルトに渡した
 そして近づいてくるナケワメーケに自ら向かって行った
 その行動にピーチ達は驚き、ウエスターも眉を顰めて湊の行動を見た


 ウエスター「何をしているんだ、あの女は・・・?」

  
 ピーチ「湊さん!?何してるんですか!逃げてください!」


 ナケワメーケが湊の前に行く前にピーチがナケワメーケに立向って、守ろうとしたが不意を突かれてナケワメーケの   パンチを食らってしまった


 ピーチ「きゃあああ!!」


 ピーチは悲鳴を上げながら湊の方に吹き飛ばされそうになったが、その直後
 湊はピーチの体を受け止め両腕を脇の下に入れてガッチリと肩部分を固定して、右足を軸にして左足で支えながら
 回転し遠心力を抑えて最後に両足で踏み止まった
 それを見たベリーとパインとウエスターは目を見開いて、驚愕した


 ピーチ「・・・あれ?」


 ピーチは誰かに支えられているのに気づきギュッと閉じていた目を開いた


 湊「大丈夫かしら?」


 ピーチ「え?あ、え?」


 湊はピートの脇から腕を引っ込めて立っていられるか、見て立てれることがわかると少し呆れたようにピーチを見た
 ピーチは何が起こったのかわからず、混乱していたがすぐにナケワメーケの方に向き直った
 

 ピーチ「湊さん、タルトとシフォンと一緒に居てください。お願いします」


 湊「・・・貴女、もしかして・・・桃園さん?」


 ピーチは自分本来の名前をいい当てられてドキリとしたが、そんな事はどうでもいいと思い構わず湊に
 「逃げてください」と言った


 湊「・・・桃園さん、私貴女達に言ってなかったことがあるわ」

 
 ピーチ「え・・・?」

 
 突然の湊の告白にピーチは何かと思った

今日はここまで

オレンジで変身する
ツンデレなライバルがいる
最終フォームはフルーツ盛り合わせ
殺されかけても許す菩薩メンタル

これだけ聞くとプリキュアみたいだな、紘汰さんって

>>55
あ、確かにwwどんだけお人好しなんだって言っちゃいますよw


 無言のまま、構えているピーチの傍を湊は通り過ぎて行きナケワメーケと対峙した
 ナケワメーケは女型の人間が何を考えて前に出たのかなど、考えもせず「捕まえる」と言う判断を下し再び湊に手を   伸ばした。
 湊はキッと鋭い眼差しでナケワメーケを睨み付け、スーツの懐から赤いジューサーの様な形状をしたベルトを取り出した
 


 湊「変身」



 エナジーロックシードを横向きでリリーススイッチを押して解除すると制御回路の一部「リファインシャックル」が   開いた
 

 『ピーチエナジー』

 
 中世的な口調で発られた音声とアラビアン風な音楽が鳴った後、ロックシードのエネルギーが周囲の時空間に歪みを   発生させると、湊の頭上にクラップを出現させ裂け目を作りだして、桃の形状に因んだ鎧が出現した。


 ピーチ「も、桃!?」


 ロックシードを持った右腕をうねらす様に後ろに回して前に戻し、今度は左腕を後ろに回した。
 右手を前に戻す要領を使ってロックシードをベルト中央にある中核ユニット「ゲネシスコア」に装着すると機械的な   アラームが鳴った。
 リファインシャックルを親指で押し込んで閉じ、固定させると今度は男性の低い音声が鳴った


 『ロック・オン』


 右側のハンドグリップ「シーボルコンプレッサー」を握り押し込んだ
 すると表面のロックシードの持つ力がレリーフ状に固定化した桃の形をしたフロントパネル「キャストパッド」が    真っ二つに切った様に光りながら展開した
 

 『ソーダ』


 シーボルコンプレッサーを離すと、ゆっくりと戻っていきピーチエナジーロックシードのエネルギーを絞る音が鳴り
 エネルギーを循環させるためのパイプ「バスキュラーダクト」をエネルギーが通って行き、取り出されたピンク色をした 液化のエネルギーが下部のコンセントレイトポッドに溜まっていき保存された

 
 『ピーチエナジーアームズ』


 
 ベリー「湊さんが・・・」


 パイン「頭に・・・」
 

 ピーチ「桃を!?」


 フレッシュプリキュア「被った!?」


 
 鎧が湊の頭に被され、エネルギーが全身を覆う様に包み込みボディ部分は黒で腕と下半身はピンク色の前垂れがついて  いるアンダースーツを身に纏わせた。
 顔面に気泡が入っている乳白色の縁が赤く釣り上がった複眼と頬からスーツに繋がるストロー状のモールドがある仮面が 装着され、後頭部に桃の形をした鎧も装着した。
 そして再びアラビアアンな音楽が鳴りながら弓道着をイメージした左右非対称の形状で鎧が展開され、手に弓型武器
 「創生弓 ソニックアロー」が握られた


 湊は「仮面ライダーマリカ」に変身し、足を閉じて立った

そろそろ和風プリキュアきてもいい気がすると思ってるのは俺だけだろうか
デザインはポケモンXYの「ふりそで」の衣装をさらに鮮やかにした感じにすればいけそうな気がしなくもないと思えるんだ...

>>58
キュアなでしこ
キュアまいこ 
キュアヤマト
・・・いや、キュアヤマトはカッコ良過ぎかw


 ウエスター「な、何者だ!?」


 シフォン「キュア~!」


 湊の姿が変わったことに建物の屋上に立っているウエスターとピーチ達は驚いていたがシフォンだけは何故か喜んでいた
 マリカはウエスターの声が聞こえると、その方向を仮面越しで見えないが凄まじいまでの眼光でウエスターを睨んだ
 肉眼では見えない距離に立っているウエスターを望遠モードで遠距離から認識して格好から見て明らかに怪しい人物と
 判断して首だけを少し横にしてピーチに話しかけた

 
 マリカ「桃園さん、あそこに居るのは敵?」


 ピーチ「え?あっ、はい・・・」


 マリカ「そう、ならっ!」

 
 
 マリカは敵だとわかると驚きを隠せずにいるウエスターに向けて有無を言わせずソニックアローのトリガーを素早く   手前に引き絞りピンク色のエネルギーの矢を射た

 
 
 ウエスター「のわぁっ!?」



 ウエスターは突如として飛んできたエネルギーの矢を辛うじて前髪にチッと当たり、焦げたくらいで背中を反らして   躱した。しかしバランスを崩してワタワタして背中から倒れた
 マリカはウエスター姿が視界から消えたのを確認して、ナケワメーケに向き直りソニックアローを肘を曲げて顔の前に
 出した後腕を伸ばして、戦闘態勢に入った

 
 
 ナケワメーケ「メディカール!」



 ナケワメーケは湊の姿が変わったことには目もくれずジェットエンジンを吹かして突進してきた
 マリカは両足を広げて生体情報から緊張度を読み取りながら、突進してきたナケワメーケをステップで避け       ソニックアローの両端に付けられた鋭い刃「アークリム」で縦に斬り付けた
 ナケワメーケは切り付けられたダメージで失速し、地面に叩きつけられた


 マリカ「ハァアアッ!!」


 マリカは右手にソニックアローを握ったまま両手を広げて走り、追い打ちをかける様にナケワメーケに接近戦に     持ち込もうと接近した。
 数メートル先に倒れているナケワメーケに向かってジャンプし一気に接近して着地する寸前にクロスする様に斬り付け
 側転するかの様に両手を地に付けて両足蹴りを浴びせ蹴り飛ばした。
 ナケワメーケは蹴り飛ばされてまた地面に叩きつけられた
 

 ピーチ「す、すごい・・・」


 ピーチ達はマリカが一人でナケワメーケを圧倒する戦いに圧巻していた

 
 
 ウエスター「ナケワメーケ!何をしている!」


 
 ウエスターは正直焦っていた。突然自分に攻撃を仕掛けてきた事とたった一人にやられてばかりのナケワメーケを
 見て予想外の事が多すぎて若干困惑していた


 ナケワメーケ「メディカール!」


 ナケワメーケは主のウエスターの声を聞いて何とか起き上がったが、斬り付けられた痕が生々しく残り
 白かったボディが削られて黒ずんでいた
 マリカは額にあるゲネティックシグナルで磁力の流れがナケワメーケの両手と胴体の台の下から出ているのを確認した
 

 マリカ「ハァッ!」


 マリカは走りながらトリガーを引き絞り、エイミングスコープから出るレーザー光でナケワメーケに狙いを定め連射した
 連射された2本のエネルギーの矢はナケワメーケに向かって直進していったが、ナケワメーケは両手を合わせて電磁波を
 発生させエネルギーの矢の軌道をズラした


 パイン「あぁっ!」


 ピーチ「矢みたいなのが!」


 目標を失ったエネルギーの矢は左右斜めに飛んでいき地面に突き刺さり空に飛んで行った


 ウエスター「またぁっ!?」


 が、その空に飛んでいく矢がまたウエスターに向かって行き再びウエスターは後ろに倒れた
 

 マリカ「引っかかったわね!」


 しかし、マリカはエネルギーの矢がナケワメーケに当たらないのを見抜いていたかの様にそのまま走っていき      ジャンプしながら回転しバネを効かせたのキックとアークリムの斬撃の両方で攻撃をした


 ベリー「あれは囮だったの!?」


 ナケワメーケが怯んだ隙を突いてマリカは更なる追撃をすべくシーボルコンプレッサーに手を掛け押し込み離すし
 シーボルクコンプレッサーはゆっくり戻って行くと表示パネルのシードインジケーターが光った
  

 『ピーチエナジースカッシュ』


 音声が鳴るとゲネシスドライバーからエネルギーが手を伝ってソニックアローに行き渡りアークリムにエネルギーが   貯まり光り始めた


 マリカ「ハアッ!!」


 ソニックアローを振るうと、桃色の斬撃を飛ばしてナケワメーケを斬り付け爆炎が上がった
 ナケワメーケは斬撃を喰らって爆炎の中から煙を引いて吹き飛ばされた


 マリカ「止めよ」

 
 マリカはゲネシスコアからピーチエナジーロックシードを外し、スロット部のエナジードライブベイに装填した
 リファインシャックルを押し込み固定するとアラームが鳴り音声が鳴った

 
 『ロック・オン』


 待機音声が鳴り続け、アーチグリップを左手でグッと握りると右手でトリガーを限界まで引き絞りソニックアローの弦に あたる「ソニックストリング」がアークリムのジョイント部分を引っ張り、弓が撓る様に曲がった
 心臓の鼓動の様なチャージ音声が鳴りソニックストリングとトリガーにピンク色のエネルギーが流れ、ピーチエナジー  ロックシードにも光粒子が渦を巻く様に溜まっていく。
 エイミングスコープが光り始めると、チャージシグナルが3回点滅しゲージが貯まっていき真っ赤に光った


 マリカ「ハァッ!」


 発射口のアローレストにピンク色のエネルギーが丸く包むように吸い込まれ、マリカは両足の足腰に力を入れトリガーを
 離した。
 

 『ピーチエナジー』


 音声と共にピンクと赤色の閃光がナケワメーケを貫きナケワメーケは爆発した
 ダイヤ状のシンボルが粉々に散り、MRI装置がドスンと音を立てて落下してきた


 ウエスター「お、おのれ~~~!また失敗かぁっ!」


 ウエスターは振り返ってマントを靡かせ、去って行った
 マリカはナケワメーケを倒したのを確認すると自己コントロールで変身を解いた
 ピーチ達はただ茫然としたまま、湊の後姿を見たまま立ち尽くした


 シフォン「キュア~」


 シフォンはタルトから離れて湊に近寄ると湊は微笑んでシフォンを抱き締めて撫でた
 ピーチ達はハッと我に返り、変身を解いた


 ラブ「み、湊、さん・・・」


 ラブ達は湊の傍に数歩寄って、呼びかけると湊はシフォンを撫でながら振り返った
 湊はラブ達の表情から、自分を怪しいとは思ってないのはわかるが先程の自分の姿を見て困惑しているのを見て取れた
 

 湊「ごめんなさいね、話はちゃんとするわ」


 ラブ・美希・祈里「は、はい・・・」


 湊は申し訳なさそうに言うと、ラブ達は驚いたように返事をした

女性ライダーとしては間違いなく最強


 ウエスター「大変だぁっ!」バキッバタン!


 イース「何よ騒々しいわね。それとドアを壊さないでくれる」


 サウラー「後で直しておきなよ」


 ウエスター「す、すまん・・・じゃなくて!大変なんだ!」


 イース「失敗したのね、残念ね」


 サウラー「僕らにはどうすることも出来ないよ」


 ウエスター「そんなことはどうでもいい!新たな敵が現れたんだ!」


 イース「・・・何ですって?」


 サウラー「どういう意味だい、ウエスター」


 ウエスター「プリキュア共が戦っている最中に女が現れたんだ、その女がナケワメーケを圧倒して倒したんだ!」


 イース「・・・一人でナケワメーケを倒したって言うの?」


 ウエスター「信じられんが、そうだ」


 サウラー「どんな人物だったんだい?」


 ウエスター「普通の人間だったんだが、プリキュアと同じように姿を変えてナケワメーケを倒したんだ」


 イース「待って、同じようにってどう言う事?プリキュアに変身したんじゃないの?」


 ウエスター「いや違う!あの姿は鎧を着て弓を武器に持っていた」


 サウラー「鎧・・・?」


 ウエスター「ああ、しかもフルーツだ」


 イース・サウラー「・・・はぁ?」


 ウエスター「だから!フルーツの形をした鎧が降ってきてその女が頭に被ってパカッと開いて鎧になったんだ!」

 
 イース「・・・言ってる意味がわからないわ」


 サウラー「すまないが、君の説明では理解できないよ」


 ウエスター「だから本当なんだって!桃がパカッて開いてだな!」


 イース「もういいわ。私が行って確かめてくる」

 
 ウエスター「あ!何だよ!全く信じてないな!」

 
 サウラー「仕方ないじゃないか、君の説明不足のせいだよ」


 ウエスター「本当なんだって!テレビの前の子ども達!お前らは見たよな!?なっ!?」

正直あの変身プロセスは予備知識ゼロの人に説明しづらい…

>>63 言えてますね。ライダーとは言いにくいですがタックルも強いですし、ファム、冴子カイザ、沙耶デルタ、朱鬼も ですかね

>>65 ですねwウエスターには難しすぎますね

去年の自分に「次のライダーはオレンジを被って変身するんだぜ」とか言っても絶対信じないだろうなあ

マリカでこれならカチドキアームズとか見たらどうなっちゃうんだろ
見た目は普通にかっこいいだけ、尚更タチが悪いというか...

>>68無理でしょうねぇwウィザードでもまだカッコいいからてすから
>>69んー、何かカチドキはフルーツって感じじゃがないんですよねぇ

>>66
一時的な出演か、レギュラー出演だけどあまり強くない女ライダーが殆どの中で、マリカはレギュラーにして主役ライダー強化フォームと互角の強さ。そして黄金の美脚の持ち主!

>>71                   その通りですね。役者でアクターって    ある意味リアル仮面ライダーですよね!


 ラブ・美希・祈里「えぇ~~~!?」


 湊「しぃ~・・・大きな声出さないで」ヒソヒソ


 ラブ「ご、ごめんさない・・・でも、異世界から来たって本当なんですか?」


 湊「ええ・・・ここには沢芽市どころかユグラドシルも無いからそう考えるしかないわね」


 美希「でも、どうやってこの世界に来たんですか?」


 湊「それはわからないけど・・・でも、異世界から来たと言っても、そういった類の事は出来るの」


 祈里「どうやってですか?」


 湊「私の居た世界ではクラックと言って、さっき私の頭上にジッパーみたいなものが出てきたでしょう?          あれは異空間に繋がる扉なの」


 美希「もしかして、そのクラックから来たんですか?」

 
 湊「・・・どうなのかしらね・・・この事は言いたくなかったけど・・・」


 ラブ「何ですか?」


 湊「・・・私は、自分の世界で・・・死んだの・・・」


 ラブ・美希・祈里「!!?」


 シフォン「キュア・・・」


 タルト「し、死んだってどういう事ですねんの!?」


 湊「・・・私はある男に出会い、興味を持ったの。彼は弱肉強食を信条として強くあらねばならないと言う観念に囚われていた。
  でもそれが逆に私に興味を持たせたの。彼は戦いの中で成長していき、禁断の果実と言われる力を手に入れようとした
  でも・・・彼は強さを求めすぎた挙句に・・・怪物になってしまった」


 ラブ「か、怪物・・・?」

  
 湊「ある男が「お前はいずれ破滅する」と言い残した死んだ。でも彼は違った。彼は何物にも屈しない、自分を滅ぼす 運命にさえも屈しない男になっていた。
   ・・・私は彼を本気で愛し、王となった彼の行く末を見届けようと決めた。


   でも仲間であった男が裏切り、彼を倒そうとした・・・私は彼を庇った。


   そして、私はビルから落ちて、死んだ・・・彼の腕の中で・・・」


 ラブ・美希・祈里「・・・」


 湊「・・・ごめんなさい。暗い気分にさせてしまって・・・」


 シフォン「キュアキュア」


 湊「大丈夫よ、シフォンちゃん。心配しないで」


 シフォン「キュアァ、プリップ~」ピカーン


 (ドーナツ)フヨフヨ


 湊「ふふっ、ありがとう」つドーナツ⊂

 
 タルト「そ、壮絶やったんやな・・・湊はん・・・」


 湊「まぁ、人生なんて何が起こるかわからないものよ」


 美希「その男の人は、どうなったんですか・・・?」


 湊「・・・さぁ、彼を止めようとしている仲間達が止めたか・・・それとも・・・」


 祈里「戻らなくていいんですか?」


 タルト「せやで、今戻らんと取り返しのつかん事になりまっせ」


 湊「・・・無理ね。クラックは自ら出せるものじゃなくて自然に出てくるから・・・
   その前に帰れるかどうかもわからないわ」


 ラブ「心配じゃないんですか・・・?」


 湊「・・・心配じゃないって言ったら嘘になるわね・・・」


 ラブ「じゃあ、戻った方が・・・」


 湊「でも、戻りたいとは思わないの」


 ラブ「え・・・?」


 美希「どうしてですか?心配なんでしょう?」


 湊「私が死んだ後、きっと彼は覚悟を決めて彼を一番信頼している男と勝負をするわ。そして彼は胸に秘めていた事を 解き明かして戦いに挑み、彼らのどちらかが勝利して戦いを終わらせる。
   私はただ彼の生き様を見届けたかっただけ、先に死んでしまったら意味はないわ。
   だから・・・元の世界に帰ろうとは思わないの」


 ラブ「湊さんは・・・その人に会えて幸せでしたか・・・?」


 湊「・・・ええ、最期に初めて名前を呼んでもらえた事は本当に嬉しかったわ。彼と出逢えて、幸せだったわ」


 ラブ「・・・よかったですね、幸せゲットできて」


 湊「・・・ええ」

自分は湊さんが一番幸せだったと思います。愛した男の腕の中で死ねて、それでまた戒斗に会えたと思いますから

でも鎧武で一番幸運に恵まれていたのは城乃内だと思う
メインでないライダーにしては活躍してたし(キンクリされたけどインベス軍団を倒している)、ロード・バロンとゲネシスと戦ったのに後に響くような怪我はなく、土壇場で自衛隊に救出されて最終回には一流パティシエに成長してたし

>>76 あぁ、そうですね・・・       初瀬がインベス化したのを聞いた時も成長したなと思いました

>>あっ、そうだったんですか。
体を支えるためにやっているのか、体の負担が足に来ないように支えてるかだと思います

湊さん、戒斗が死んだと知ったら紘汰やザックを恨むんだろうか

>>80

いやぁ、戒斗が説得すると思いますよ。あっちで

 
 美希「あっ、もうこんな時間ね」


 祈里「そろそろ帰らないと・・・」


 湊「そう。さてと・・・私はこれからどうしましょうか・・・」


 美希「あ、そう言えば湊さん住む所を探さないといけませんね」


 湊「ええ・・・それに就職も難題なのよね・・・」


 カオルちゃん「だったら、ウチで働かないかい?」


 湊「え・・・?」


 ラブ「カオルちゃん」


 カオルちゃん「お姉さん仕事が無いみたいだから困ってるんでしょ?丁度ウチもアルバイト出そうかと思ってね」


 湊「でも・・・いいんですか?」


 カオルちゃん「あぁいいよいいよ。でもお給料ちょっと微妙だけどね、グハッ!」


 ラブ「よかったですね!湊さん!」


 湊「え、ええ・・・(世の中そんなに甘くないのだけどね・・・)」


 ラブ「あっ!じゃあ住む所は私の家に来ませんか?」


 湊「えぇ!?そ、それは流石に無理があるわ。ご両親に迷惑がかかるし・・・」


 ラブ「大丈夫ですよ!きっとお母さんもお父さんも大歓迎してくれますよ!」


 祈里「私達からもお願いしてみますから安心してください」


 美希「そうですよ。私達を助けてくれたんですから、お互い様ですよ」


 ラブ「どうですか?」


 湊「・・・それじゃあ、一度ご両親にお話しして考えるわ」


 ラブ「わかりました!じゃあ、行きましょう!またね美希タン、ブッキー!」


 美希「ええ」 祈里「バイバ~イ」




 桃園宅



 ラブ「じゃあ、湊さんが私達の家族になったことに!」


 桃園家「カンパーイ!」カチーン!


 湊「(・・・ある意味では私は異世界に来てしまったわね。そんな簡単に通るとは思えないのに・・・)」


 あゆみ「でも大変ですね。田舎から上京してこの町に来たのに元々住む所が立ち退きされてたなんて」


 湊「え、ええ・・・まぁ、はい・・・」


 圭太郎「部屋は一室開いてますから、そこを使ってください。でも、万が一新居を見つけられなかったら、ウチで暮らしても構いませんから」


 湊「で、でもそれは」


 ラブ「湊さん、遠慮しなくていいんですよ?あっ、それと私の事は名前で呼んでください!桃園って言われると何かイマイチ、ピンと来ないですから」


 湊「・・・ラブちゃん・・・」


 タルト「Q <」ウィンク


 湊「(タルト君も・・・)」


 あゆみ「ラブの言う通りですよ。これからは私達は家族なんですから」


 圭太郎「同じ釜の飯を食うようなものですが、一緒に住むのに変わりありませんから」


 湊「・・・ありがよう、ございます」ペコ


 湊「(こんな心が温まる世界があったのね・・・紘汰なら感動の余り泣きじゃくってたわね)」




 二階 

 
 ラブ「ここが私の部屋で、隣が空いてる部屋ですよ」


 湊「わかったわ。ありがとう」


 タルト「湊はん、ちょっとお話よろしいですか?」


 湊「え?ええ・・・」


 ラブ「じゃあ、私の部屋にどうぞ」


 湊「(何かしら・・・?もしかして・・・変身したことについてかしら)」


 ラブ「見てください湊さん!これおじいちゃんが作った畳なんですよ!」


 湊「あら・・・ベッドが畳って珍しいわね。でも綺麗に作られてるわ」


 タルト「えとぉ、ピーチはんもうちっと待ってもらえんやろか」


 ラブ「あっ、ごめんごめん」


 タルト「さてと・・・湊はん単刀直入に聞きますけどあの変身した姿は何ですの?」


 湊「(あぁ、やっぱり。そうよね)その事を言い忘れてたわね。あれはこのゲネシスドライバーと言う変身ベルトで変身したアーマドライダーよ」


 ラブ・タルト「あーまーどらいだー?」


 湊「このカバーが果実で錠前型の変身ツールの一つ、ロックシードをここの中央にある黒い部分に固定してこのレバーを押し込めば変身できるわ」


 ラブ「へぇ!カッコいいですね!」


 タルト「桃の形をしたのが頭に被ったんはその為か」


 湊「そうよ。生憎私はこのピーチエナジーロックシードしか持ってないの」


 ラブ「他にもまだあるんですか?」


 湊「ええ。殆どは植物の果実や種子が含まれてて、ひまわりの種やナッツ類があるわ。後花もあるわね」


 ラブ「いっぱいあるんですね~」


 タルト「そのロックシードっちゅうもんで鎧を被るんですの?」


 湊「ええ。でもゲネシスドライバーは通常のロックシードではダメなの。このエナジーロックシードじゃないと変身出来   ないの。
   旧型の戦国ドライバーと言うベルトなら可能なのだけどね」


 ラブ「あの、湊さん!」


 湊「変身してみたいのね」


 ラブ「え!?何でわかったんですか!?」


 湊「この話の流れだと、そう来るのはわかってたわ。でも今日は夜遅いから一回だけよ」

 
 ラブ「は、はい!わぁ、わくわくするなぁ」


 タルト「こ、これってワイでもいけますかいな?」キラキラ


 湊「・・・多分無理ね。動物だから」

 
 タルト「そうやと思った・・・」ガクッ


 『ピーチエナジー』


 ジジジジィィ ヒュォォ・・・


 ラブ「わ、わっ。え、えっとこうだよね」


 ガコン ガチャンキュルルルルル 『ロック・オン』


 ラブ「それで、こうだ!」


 『ソーダ』 カポッ ラブ「わっ!」 キュィィン 
 

 『ピーチエナジーアームズ』


 ♪♪~♪~♪♪~~ガシャン!


 マリカ(ラブ)「わぁ~~~!すっごぉ~~い!」


 湊「似合ってるって言うのはおかしいけど、でも、カッコいいわよ」


 マリカ(ラブ)「本当ですか?ありあとうございます!」


 シフォン「キュア~」


 マリカ(ラブ)「あははっ。シフォン、どお?カッコいい?」シャキーン


 シフォン「プリップ~!」


 マリカ(ラブ)「そっかそっか~。ありがとう!シフォン」


 タルト「ええなぁ~、ピーチはん・・・」


 マリカ(ラブ)「でもちょっと・・・左右のバランスが・・・」


 湊「それは慣れで補ってるよ」


 マリカ(ラブ)「へぇ・・・わぁっ!?」バターン


 湊「ど、どうしたの?」


 タルト「何があったんや!?」


 シフォン「キュア、ラブ~」ポンポン


 マリカ(ラブ)「だ、大丈夫。いきなり目の前にミユキさんの顔が・・・」ムクリ


 湊「あぁ、多分ズームし過ぎてポスターの人の顔がアップに見えたのね。じゃあ、そろそろ解きなさい」


 マリカ(ラブ)「えっと、これを外せばいいんですか?」


 湊「そうよ。ここを、こうして」


 ギュゥゥン・・・『ロック・オフ』 ガチャン


 シュゥゥン・・・


 ラブ「はぁ~・・・何かプリキュアから戻るときとはまた別な感じでした」


 湊「プリキュア?」


 ラブ「あっ、そうだった。私たちの事も話していませんでしたね」


 ラブ「って言うわけで、私達はこのピックルンに選ばれてプリキュアになったんです」


 湊「そう・・・あの怪物を生み出した敵は何者なの?」


 タルト「あいつらはラビリンス言うてこの地球を征服しようとしてるんや」


 湊「(オーバーロードみたいな奴らね・・・)」


 ラブ「でも、湊さんがいきなりあの場所に現れた時はビックリしちゃいましたよ」


 タルト「ちゃうねんピーチはん。悪いのはシフォンなんや」


 ラブ「え?シフォンが?」


 シフォン「キュア・・・」


 湊「いいのよ。シフォンちゃん、私が変身できるの知ってたからラブちゃん達の所に連れて行ってくれたのね」


 シフォン「キュアキュア!」


 ラブ・タルト「えぇ!?」


 タルト「そうやったんか!?」


 湊「あぁ、ただの私が思っただけよ。でも、シフォンちゃんがあそこに連れていっておかげでこうして、私は幸せゲットできたのよ」


 ラブ「湊さん・・・」


 タルト「そないですか・・・シフォン、ごめんね怒鳴ったりして」


 シフォン「キュア~」


 湊「さて、タルト君とシフォンちゃんが仲直りしたことだし、お風呂借りるわね」


 ラブ「あっ、一緒に入りましょうよ!」


 湊「・・・え?」



 カポーン
 
 ラブ「はぁ~~、いい湯だなぁ~」


 湊「・・・(何で私この世界だと流され易いんだろ・・・しかも・・・)」


 ラブ「誰かと一緒に入るのって、何年ぶりだろ。あっ、でも美希タンとブッキーと入ったことあるか」


 湊「・・・」ジィー


 ラブ「?。湊さん?どうしたんですか?」


 湊「・・・負けた」ガーン

 
 ラブ「???」キョトン


 ラブ「あっ、背中流しますよ」


 湊「そ、そう、ありがたいわ」




 ラブ「(湊さん細くて白いなぁ~。美希タンに負けないぐらいだよ)」ゴシゴシ


 湊「(・・・たまに背中に当たるこの感触は何なのかしらね・・・)」ズーン


 ラブ「湊さん、元居た世界でモデルやってたんですか?」


 湊「え?いえ、やってないわよ?」


 ラブ「でも綺麗な肌ですね。何か秘訣でもあるんですか?」ゴシゴシ


 湊「んー・・・いえ、特にないわよ。健康にしていれば肌なんて綺麗なものよ」


 ラブ「へぇ、そうですか~」ゴシゴシ


 湊「・・・ところで、ラブちゃん」


 ラブ「何ですか?」ゴシゴシ


 湊「ラブちゃんこそ私の背中に当たってる柔らかい果実は、どうやったらそこまで育つのかしら?」チラ


 ラブ「え?あっ、ん~・・・わかりません。ほっといたらこうなってました」ゴシゴシ


 湊「・・・負けた(色んな意味で・・・)」
 



 ラブ「はぁ~、いい湯だった~!」フキフキ


 湊「そうね・・・(心が痛い・・・)」フキフキズキズキ


 あゆみ「あ、耀子ちゃん。服のブカブカじゃない?」

 
 湊「あっ、はい。大丈夫です」


 あゆみ「そう、それならよかったわ。私のサイズじゃちょっと大きいと思ったから」


 ラブ「湊さん意外と背が高いですもんね」


 湊「そうかしら?」


 ラブ「だってほら、私より少しですもん」


 湊「あら、ホントね(これで勝ったと思う私って・・・)」


 湊「・・・(でもスーツ一着だけって言うのも困るわね・・・)」


 ラブ「そうだ!明日は土曜日ですから学校休みなんで、一緒に湊さんの服買いに行きましょうよ!」


 湊「・・・(ドーナツ屋で働くなら話をしないといけないから・・・そうしましょうか)そうね、そうするわ。スーツだけじゃ困るものね」


 ラブ「じゃあ、美希タン達も誘っていいですか?」


 湊「ええ。構わないわ」


 ラブ「やったぁ!あっ、そうだ。湊さん!」


 湊「何?」


 ラブ「湊さんのこと・・・お姉ちゃんって呼んでいいですか?」


 湊「え?」


 ラブ「今日から湊さんは私達の家族なんですから、湊さんって何かおかしいですもん。だから、お姉ちゃんって呼んでもいいですか・・・?」


 湊「・・・(ラブちゃん・・・貴女って本当に・・・)いいわよ」


 ラブ「ホントですか・・・!?」


 湊「ただし条件付きでね?」


 ラブ「は、はい、何ですか・・・?」キョトン


 湊「お姉ちゃんと呼ぶからには・・・敬語は・・・無しよ?」ナデナデ


 ラブ「!。は、はい!あっ、じゃなくて、うん!」


 湊「じゃあ、そろそろ寝るわ。色々あって疲れちゃったから」


 ラブ「はーい、おやすみ。お姉ちゃん」


 湊「おやすみなさい・・・ラブ」


 
 ラブの部屋
 
 ラブ「(やったぁ~、私にもお姉ちゃんが出来た!美希タンとは正反対だけどお姉ちゃんが居るのって何か嬉しい!幸せゲット~って感じだよぉ!)」



 湊の部屋


 湊「・・・(お姉ちゃん、か・・・私みたいな人間が姉なんかでいいのかしら・・・)」


 「イース、ウエスター。話とは何だ」


 ウエスター「はっ!プリキュアの他に新たなる敵が現れました」


 「新たな敵?」


 イース「はっ。ウエスターが昨日プリキュアと交戦中、謎の人物が現れ鎧を身に纏い、ナケワメーケを倒したとの事です」


 「あの者達の仲間か?」
 

 ウエスター「いえ、それはわかりませんが・・・しかし、こちらを見るなり攻撃を仕掛けてきました」


 「ふむ・・・怪我は無かったか?」


 ウエスター「辛うじで免れました。しかし、奴はプリキュア共と、いえ、プリキュアよりも厄介な敵になると考えられます」


 「うむ・・・あの者達のせいで不幸のゲージは一向に増えていない。これ以上の脅威は我が野望に影響を及ぼすかもしれん。
  その者もプリキュア共々倒すのだ」


 ウエスター「お任せください!」


 イース「必ずや、プリキュアと鎧の戦士も倒して見せます」


 ウエスター・イース「全てはメビウス様の為に」




 
 「泣いていいんだ・・・それが俺の弱さだとしても・・・拒まない


 俺は・・・泣きながら進むっ」


「お前は・・・・・・・本当に強い」





 湊「っ・・・!?」ガバ


 チュンチュン 


 湊「・・・っ、そうだった。ここは異世界なのよね・・・・今の夢は・・・・・・・戒斗・・・」


 コンコンッ 
 ラブ「湊さっ、じゃなくて。お、お姉ちゃん、起きてる~?」


 湊「!。え、ええ」


 ラブ「おはよ~、よく眠れた?」


 湊「ええ。とっても」


 ラブ「よかった!朝ご飯食べよ?」


 湊「ええ」


 ラブ「おっはよぉ~~!」


 タルト「おはようさん!ベリーはん、パインはん」


 祈里「おはよう。ラブちゃん、湊さん」


 美希「おはようございます」


 湊「おはよう、二人共」


 ラブ「じゃあっ、早速しゅっぱーつ!」


 美希「何か、今日のラブ何時になくテンション高いわね」


 祈里「あぁ、確かに・・・何かいいことでもあったのかな?」


 美希「そうなのかもしれないわね」



 
 クローバータウンストリート


 ラブ「まずはお姉ちゃんの服を買わないとね!」
 

 美希・祈里「えっ?お姉ちゃん?」


 湊「私の事よ。あゆみさんと圭太郎さんが家族として迎え入れてくれて家族同然だから、私の事をその呼び名になったのよ」


 美希「あぁ、そう言う事なんですか」


 祈里「どうりで、今日のラブちゃんどこか嬉しそうだったのね」


 ラブ「えへへ~、そうかな~」


 美希「あっ、ここでいいんじゃない?」


 ラブ「おぉ~ここだよ、ここ!良い服いっぱいあるんだよ!」


 湊「そう。楽しみだわ」


 ラブ「じゃあ、入ろう!」


 美希「これなんかどうですか?」


 湊「ん~・・・ちょっと私好みの色ではないわね」


 祈里「これはどうですか?」


 湊「あっ・・・これ、いいわね」


 祈里「よかったです」


 ラブ「お姉ちゃん!ズボンとスカートどっちがいい?」


 湊「どちらでも構わないわよ」


 美希・祈里「!」キラーン


 ラブ「(よぉしっ!)じゃあ、美希タン、ブッキー!」


 美希・祈里「OK!/うん!」Σbグッ


 湊「?」



 
 ラブ「いやぁ~、良い服がいっぱいあってよかったね!」


 湊「え、ええ・・・」


 美希「湊さんスタイル抜群ですから、どの服もバッチリ決まりますよ」


 湊「・・・気になることが一つあるのだけど・・・」


 ラブ「何々?」


 湊「どうして・・・足の露出度が高いズボンやスカートばかりなのかしら・・・?」


 美希「ズバリ!」


 祈里「それは」


 ラブ「もちろん!」


 ラブ・祈里・美希「美足だから!」Σbグッ 


 湊「・・・そ、そう」


 公園


 美希「湊さんに全部話したのね」


 ラブ「うん」


 湊「待たせたわね。明後日からドーナツ屋で働くことになったわ」


 祈里「そうですか・・・ところで、湊さん・・・」


 湊「あ・・・貴女達にも話さないといけないわね」


 イース「じゃあ、行って確かめてくるわ」


 ウエスター「気をつけろイース!アイツはかなり凶暴だぞ!」ガクガク


 イース「あぁ、もうしつこいわね。わかってるわよ」


 ウエスター「本当に危ないから言ってるんだぞ!人の顔を見るなり攻撃してくるからな!」


 サウラー「で、君はここに居るわけか」


 ウエスター「お、おお俺は昨日行ったからいいだろ!?」


 イース「貴方、昨日から何怯えてんのよ」


 ウエスター「怯えてなどいないぞ!」ガクガク


 イース「・・・その足の震えは何」


 ウエスター「こ、これは・・・そう!武者震いだ!」


 イース「・・・じゃっ」


 サウラー「気を付けて」


 ウエスター「何だその表情は!俺は怯えてなどいないぞ~~!」



 
 せつな「・・・(でも、ウエスターもそこそこの実力を持っている・・・そう考えればその鎧の戦士もただ者じゃなさそうね・・・)」

  
 せつな「・・・とりあえず、プリキュアの所に行ってみるか」


 湊「これが、私の変身するために必要なロックシードとゲネシスドライバーって言うものよ」ガチャ


 美希「へぇ、錠前みたいですね。それに桃がモチーフなんですかぁ」

 
 祈里「ベルトは何だかコップとストローみたいなのがありますね」


 湊「ええ。カオルちゃんが言ってた様に私とラブは何か繋がりがあるのかもしれないわね」


 美希「あぁ確かに!」


 祈里「ラブちゃんの苗字も桃で変身しても桃、湊さんも変身したら桃・・・偶然にしてはすごいですね!」


 ラブ「うん!何でかわからないけど、お姉ちゃんとお揃いなのがとっても嬉しくて幸せゲットって感じなの!」


 美希「でも、湊さんは何でこのベルトとロックシードっていう物を持ってるんですか?」


 湊「・・・私の世界は今大変なことが起こってるのはわかってるわよね?
   このロックシードとゲネシスドライバーは元々世界を救うために開発されたの」

 
 ラブ「世界を救う?」


 タルト「何や、湊はんの世界で何が起こってたんや?」

 
 湊「私の世界は、ヘルへイムの森と呼ばれる異空間に侵食されつつあるの。その森にはヘルヘイムの果実と言われる危険な果実が群生していて・・・
   その果実を口にした者は・・・怪物になってしまうの」


 ラブ・美希・祈里・タルト「か、怪物に!?」


 祈里「じゃ、じゃあ・・・昨日湊さんが話した男の人は・・・」


 湊「そう・・・その果実を自ら口にしてインベスになったの」


 美希「インベスって・・・何ですか?」


 湊「ヘルヘイムの森はかつては人々が住んでいた、でもヘルヘイムの森によって浸食され果実が広まっていきそれを口にして、インベスになったと考えられているわ」


 ラブ「そんな・・・!酷すぎるよ!」ガタッ


 湊「・・・ラブ、これは誰にも予測すらできないことなの。言うなれば・・・悪意のない悪よ。ヘルヘイムの森自体もどうやって広まっていくのかすらわからないの」


 ラブ「でも、元々住んでいた人は?鳥さんや犬や猫、虫さんは?何で何も悪い事をしていないのにそんな酷い事に巻き込まれなきゃいけないの!?」


 湊「・・・」
 

 タルト「ピ、ピーチはん。湊はんが悪いっちゅうわけやないんやで?」


 ラブ「あっ・・・ご、めんなさい・・・」


 湊「いいのよ・・・」
 


 美希「でも、湊さんそんな大変なことが起こっているなら・・・本当に戻った方がいいですよ?」


 湊「・・・いいえ。戻る必要はないわ」


 美希「え・・・?」


 湊「・・・夢を見たの」


 祈里「夢・・・?」


 湊「・・・彼が、負けた夢よ」


 ラブ「それって・・・」


 湊「戦いが終わったのよ。多分、ヘルヘイムの森の浸食も抑えられたと思うわ・・・」


 ラブ「何で、わかるの・・・?」


 湊「さぁ、何でかしらね・・・でもこれだけは言えるわ」


 祈里「何ですか・・・?」


 湊「・・・あの結末が彼の運命だった・・・って」


 ラブ・美希・祈里・タルト「・・・」


 シフォン「キュアァ・・・」


 湊「ごめんなさいね、また・・・暗い気持ちにさせてしまって・・・」


 ラブ「・・・お姉ちゃん、その人の名前は何て言うの?」


 湊「・・・駆紋戒斗よ」


 ラブ「戒斗さんと・・・会いたいって思わないの・・・?」


 湊「・・・それは・・・」


 せつな「こんにちは」


 ラブ・美希・祈里・タルト・湊「!?」


 ラブ「あ、ああせつなぁ!こんにちは~!」


 せつな「こんにちは、ラブ。それに他の皆も」


 美希・祈里・タルト「こ、こんにちは~」


 せつな「・・・それは何?」


 美希「こ、これは・・・あ、新しいグラスジョッキよ!?」


 祈里「も、桃がデザインのちょっと大き目のストラップだよ?」


 せつな「そう・・・(嘘ね)。そちらの方は?」


 湊「初めまして、湊耀子よ。昨日、この町に来たの」


 せつな「そうなんですか・・・(きっとコイツがウエスターの言っていた鎧の戦士ね)」


 湊「ラブ達のお友達かしら?」


 ラブ「うん!この子はせつなって言うの。お姉ちゃんと同じでこの町に来たばかりなんだって」


 湊「そうなの。何だか似た者同士ね」

 
 せつな「そうですね・・・(勝手に一緒にしないで欲しいわ・・・ん?)あのラブ?お姉ちゃんって・・・」

 
 ラブ「あ、えへへ。実はね、お姉ちゃんがこの町で住むための家があったんだけど無くなっちゃったの、それで昨日お母さんとお父さんと話し合って


    私の家で一緒に住む事になったの!」


 せつな「それが・・・どういう関係でその呼び方になるの?」


 湊「一緒に住むのだから、私とラブは家族同然だからだそうよ」


 せつな「そう、なんですか(馬鹿馬鹿しい、血の繋がりも無い人と人同士が同じ屋根の下で住むだけなのに)」

 
 ラブ「せつな、ここ座りなよ」


 せつな「あっ、ええ。そうするわ」


 ラブ「でも、お姉ちゃんに似合い服い~っぱい見つけられてよかったよ!」


 美希「ホント、丁度ダンスの練習も休みだったから、ラッキーだわ」

 
 湊「ダンス、踊ってるの?」


 ラブ「うん!私と美希タンとブッキーの三人で結成した「クローバー」って言うの」


 湊「へぇ、そうなの」


 祈里「湊さんはダンス踊れますか?」


 湊「えっ・・・えっとぉ・・・しゅ、手話ダンスなら」タラ~


 ラブ「手話ダンス・・・?どんなダンスなの!?」キラキラ


 湊「ま、まぁ手話で歌の表現をして踊る、感じね」


 美希「へぇ、そんなダンスもあるんですね」


 湊「まぁ、そうね・・・」


 せつな「・・・(まずはこいつの正体を探る必要があるわね)。湊さんはどこから来たんですか?」


 湊「沢芽s・・・町からよ。田舎から上京してきたの(田舎から来たって事にしてるの忘れてたわ。迂闊だわ・・・)」


 せつな「何でこの町に来たんですか?」

 
 湊「最初は東京に上京しようかと考えたんだけど、親にいきなり都会は無理だってダメ出しを喰らってね。
  
   でも、この町に来てよかったわ。住む家が無くなったけど、ラブのおかげで何とかなったし」


 ラブ「えへへぇ~」


 せつな「・・・(よし、話の切り口は出来た。後はこいつが鎧の戦士である証拠を・・・)」


 カオルちゃん「お姉さん、ちょっとお話あるんだけど、いいかな?」


 湊「あっ、はい。ちょっと失礼するわ」


 ラブ「はぁ~い!」


 せつな「っ・・・(くっ、最悪のタイミングね・・・仕方ない、出直すしかないようね)」


 ラブ「せつなはどこかに出かける予定だったの?」


 せつな「ええ、ちょっと用事を思い出したから行くわね。じゃっ・・・」スク スタスタスタ


 美希「はぁ~~~~、危なかったぁ」


 タルト「パインはんは兎も角としてベリーはん、グラスジョッキは無いで」


 美希「しょうがないでしょう!?慌ててたんだから・・・」


 祈里「でも、バレてなかったみたいだからよかったね」


 ラブ「うん。あぁ、ホントにビックリした」


 湊「ごめんなさいね・・・あら?せつなさんは?」


 ラブ「さっき用事を思い出したから行っちゃったよ」

 
 湊「あら、そうなの・・・ねぇ、ラブ。彼女、人見知りするタイプかしら?」


 ラブ「え?ん~・・・ううん、そんな事はないと思うよ?」


 湊「そう・・・」


 美希「どうかしたんですか?」


 湊「いいえ、何でもないわ・・・(彼女、明らかに私を敵視していたわ)」


 ウエスター「それで、あの鎧の戦士の正体がわかったか?」


 イース「いいえ、残念だけど聞き逃したわ」

 
 ウエスター「何ぃ~!?肝心な事を!」バンバン!


 イース「机を叩かないで。ただし、アイツはただ者じゃないことはわかったわ」


 ウエスター「え?どういう事だ?」


 イース「私が話し始めた途端・・・まるで私を見る目が変わったわ。明らかに警戒していた」


 サウラー「そうか。だから相手の正体を探らずに戻って来たと言うわけか」


 ウエスター「しかしどうするんだ!アイツの正体がわからないまま戦うつもりか!?」


 イース「そうでもしないといけない時もあるのよ。ウエスター」


 サウラー「君、昨日から本当にどうしたんだい?あの鎧の戦士に恐れを成しているように見えるんだが」


 ウエスター「だ、だっていきなり顔に矢が飛んで来たら誰だってビビってしまうって・・・」ブツブツ


 イース「何よ、それじゃあプリキュア共の攻撃は大丈夫なの?」


 ウエスター「・・・そうだ!プリキュア共の攻撃などあの鎧の戦士に比べたら!」


 イース「結局、鎧の戦士に怯えてるわけね」


 ウエスター「な、何を~!?」

西さんは大体ギャグ担当ですからw

そうなると、スーパー戦隊やウルトラマンとかメタルヒーローとも相手しないといけませんね


 タルト「湊はん、気になることがあるんやけど・・・」


 湊「何かしら?」


 タルト「そのヘルなんちゃらっちゅう森は他の世界に出来るもんなんやろ?なら、仮にやけど・・・」


 湊「この世界に来るかもって、言いたいのね」


 タルト「せやねん」


 ラブ「でも、果実を食べなかったらいいんでしょ?だったら、もしもこの世界にその森が来たとしても」


 湊「そう甘くはないわ・・・」


 ラブ「え・・・?」


 湊「その果実は人間が手にすると食べたくなる衝動にかけられるの。何も知らない人が手にしたら、口にしてしまうわ」


 ラブ「そ、そんな・・・」


 湊「でも、必ずしもこの世界がヘルヘイムの森に侵食されるとは限らないわ」


 美希「そうだといいんですけどね・・・」


 湊「仮にヘルヘイムの森が浸食が始めったとしても・・・彼が来ると思うわ」


 ラブ「戒斗さんの事?」


 湊「いいえ、違うわ。葛葉紘汰、戒斗のライバル的存在で・・・戒斗が一番信頼していた男よ」


 祈里「その人が、ヘルヘイムの森の浸食を止めるんですか・・・?」


 湊「恐らく彼は、黄金の果実を手に入れている筈よ。黄金の果実は手にした者に力を与え、歴史を築き上げたと言われているわ」


 美希「歴史を・・・」


 祈里「築き上げた・・・」


 ラブ「うぅ~~ん、イマイチ思いつかない・・・」


 湊「大丈夫よ。ヘルヘイムの森が来た時は、防衛庁とか国会議員に話せばいいわ。最悪の場合は総理大臣ね」


 ラブ・美希・祈里「そ、総理大臣に!!?」


 湊「そうでもしないと、世界は救えないわ。だから、浸食が来ないことを祈ることだわ」


 ラブ「そう言えば、さっきダンスの話ししたけどお姉ちゃんの手話ダンス見てみたい!」


 湊「い、今ここで・・・?」タラー


 ラブ「うん!」


 美希「何か新しいテクニックが見つかるかもしれないし・・・見てみたいです! 」


 祈里「私も、見てみたいです」


 湊「・・・(ど、どうしようかしら・・・)」




 安価
 1、踊る

 2、踊らない


 湊「・・・わ、わかったわ」


 ラブ「やったぁ!でもその服だと動きにくそうだから、着替えようよ!」


 湊「え、ええ」


 ラブ「じゃあねぇ・・・・あっ、これに着替えようよ!」スッ 


 湊「え"っ・・・こ、これって・・・」タラー




 湊「お、お待たせ・・・//」カァァ、モジモジ


 ラブ「おおぉ~~!やっぱり似合ってた!」キラキラ


 美希「ラブが決めてたから最初はどうかと思ってたけど・・・」


 祈里「すっごく似合ってますね!」


 ラブ・美希・祈里「カンフー服!」


 湊「そ、そう・・・ありが、とう・・・//(何でこの服なのよ・・・あぁもう!恥ずかしい!//)」カァァァ


 ラブ「お姉ちゃん、どうしたの?顔赤いけど・・・」


 湊「な、何でもないわ。じゃあ・・・踊るわ」スゥ∼ハァ



 ♪♩~♪~♩~♪~♫♫~♩~
 

 湊「(ごきげんよう どうかしたんだろ?顔を見れば一瞬でわかるよぉ~ 千里眼 千里眼?めっそうないです♪)


  退屈ガール恵まれたいのかい 判定は審議の連続で~♪ヴィーナスサステイン 踊る街並みPerfectly,Euphoria♪)」



 ラブ「おぉ~・・・!」


 美希「手話って何となく難しいけど・・・」


 祈里「手話ダンスってこんな感じなんだ・・・」



 湊「(何でもないような 言葉で、泣いたりするしぃ ほらぁ僕達なんてぇ~ほら 僕達なんてぇ~ 十分適度に 


   ドラマチックさぁ 軽くスーパースタァ~~~~ッ♪

 
   オーリオンをなーぞる こんな深いよーる~ 繋がれたい、離されたい つまり半信半疑あっちこっち♪


   新未来を願う 空前っ絶後っのぉっ 言葉がもし、もし紡げるならぁ、時間が止まるぅ~~よぉ~

  
    アァ~、ココデオワルハズガナイノニ♪)」

 
 ラブ・美希・祈里「オォオ~~!」パチパチパチパチパチ


 ラブ「お姉ちゃんすっごく上手だったよ!」

 
 美希「うん!完璧でしたよ!」


 祈里「キレがあって、カッコよかったです!」


 湊「あ、ありがとう//」テレ


 ラブ「いつから始めたの?」


 湊「つい最近よ。ちょっとだけお腹周りが気になって・・・」


 ラブ「えぇ~?でもお姉ちゃんすっごくスタイル良いよ?」


 湊「そう、かしら?」


 ラブ「うん!」




 
 美希「あ、もうこんな時間だわ」


 祈里「いつの間にか暗くなってきたね・・・」

 
 湊「じゃあ、今日はこの辺でお開きにしましょう」


 ラブ「そうだね。じゃあ、またね!」


 タルト「ほなな。ベリーはん、パインはん!」


 美希「ええ。ラブ、湊さん、また」


 祈里「バイバ~イ」




 
 湊「ラブ、聞きたいことがあるのだけど・・・」


 ラブ「何?」


 湊「せつなさんって・・・どんな子なの?」


 ラブ「え?うぅ~んっと・・・ちょっと不思議な感じがするけど、私に幸せが訪れるって占ってくれたの。そしたら本当に幸せゲットできたんだよ!」


 湊「そう・・・あの子はプリキュアってことは知ってるの?タルト君を見ても驚かなかったみたいだけど」


 ラブ「ううん。タルトが喋れるってことだけで、私達がプリキュアってことは内緒にしてるよ」


 湊「そう・・・確かにその方がいいわね」


 ラブ「?」


 湊「(彼女の目、私は一度見たことある・・・あの光が無い目を・・・)」

がんばれー

>>113
ありがとうございます


 桃園宅


 湊・ラブ「ごちそうさまでした」


 あゆみ「あらあら、もう息ピッタリになってるわね」


 湊・ラブ「え?そうかな?/そうですか?」


 湊・ラブ「あっ」


 圭太郎「本当に姉妹になってきたみたいだな」


 ラブ「そ、そうかな?//」テレテレ


 湊「ふふっ。ほら、ここ米粒付いてるわよ」チョイ


 ラブ「あっ。ありがとう、お姉ちゃん」


 湊「どういたしまして」


 あゆみ「あっ。そうそう、耀子ちゃん。これ」スッ


 湊「?。これは・・・私の財布・・・?」


 あゆみ「階段の所に落ちてたのよ。でも、どうしてあそこにあったのかしらね」


 湊「さ、さぁ・・・(おかしいわ、昨日いくら探しても見つからなかったのに・・・)」ポトッ


 ラブ「何か落としたよ?これは・・・免許証かな?」

 
 圭太郎「耀子ちゃん、車の免許取ってあるのかい?」


 湊「はい、一応大型免許と二輪免許を一通り・・・」


 ラブ「わぁ!お姉ちゃんトラックとバイクの運転出来るんだ!」


 湊「と言っても持ってないと意味がないのだけどね」


 ラブ「そっかぁ、残念。お姉ちゃんと一緒に乗ってみたいなぁ」

 
 湊「(ロックビークルがあれば乗せてあげれるのだけど・・・シドに全て壊されてしまったから無理ね・・・)」


 あゆみ「あっ・・・そう言えば・・・あ、あったあった。これに行ってみたら?」スッ


 湊「クローバードライビング感謝祭・・・?」


 あゆみ「自動車学校が開催してる車とかバイクが展示されたりしてるそうよ。試乗会もあって免許を持ってる人はバイクを借りて乗れることができるんだって」


 ラブ「おぉお~~~~!!明日あるんだって!お姉ちゃん行ってみようよ!」


 湊「明日か・・・ええ、行ってみましょうか」


 ラブ「やったぁ~~!」


 サウラー「ふむ・・・風を切って爽快に走ろう、か・・・人間共はこのバイクとやらで幸せになるのか・・・」


 イース「たかが移動手段で使う物で何がそんなにも楽しいのか・・・全く理解できないわ」


 ウエスター「でもカッコいいんじゃないのか?特にこの青いのとか!」


 サウラー「隼・・・正式名「GSX1300Rハヤブサ」。最大の特徴は最高速度であり、スーパースポーツを超える究極のマシンという意味を込めて

      「アルティメットスポーツ」と呼称されている」


 ウエスター「ハヤブサ・・・鳥の事か?」


 サウラー「その様だね。これのどこが良いのか、僕にはわからないがね」


 ウエスター「カッコいいではないか!この何て言うんだ?形とかが」アセアセ


 イース「それだけ?」


 ウエスター「うっ・・・」


 サウラー「でも、これは使えるかもしれないね。この隼と言うバイクは人間共に大人気だと言われている」


 イース「なら、それを使って人間共を不幸にすれば・・・不幸のゲージも難無く貯まるかもしれないわね」ニヤリ


 サウラー「今回は僕が行くことにするよ。ウエスター君、君も行くかい?」


 ウエスター「ああ、この隼と言うバイクを見に行きたい!」ウキウキ


 サウラー「鎧の戦士が来ても、かい?」

 
 ウエスター「あいたたた、急にお腹が・・・ドーナツを食べ過ぎたせいかもしれん」


 サウラー「・・・君は本当に情けないね」ガチャ、バタン


 イース「貴方、本っ当に根性無しになったわね・・・」


 ウエスター「・・・」シクシク


 クローバードライビング感謝祭
 

 ラブ「わぁ~~~!すごぉ~~い!いっぱい人が来てるね!」


 湊「ええ。でも蒼乃さん達が来られなくて残念だったわね」


 ラブ「うん。美希タンは雑誌の取材が入っちゃってるし、ブッキーも今日はお仕事のお手伝いをしなくちゃいけないみたいだったから、仕方ないよ」


 湊「そう・・・じゃあ今日は二人きりで楽しみましょ」


 ラブ「うん!じゃあレッツゴー!」ギュッ、タッタッタッタ


 湊「あっ、ちょ、ちょっとラブ!そんなに急いでたら転ぶわよ!」タッタッタ



 入り口付近
 
 南「ここがそうか・・・随分と賑わっているな・・・」スタスタスタ


 西「・・・隼が見たくてついサウラーの後を追って来てしまった」ソロー


 

 ラブ「わぁ!すっごく大きい!」


 湊「ええ。でもダンプカーには乗ったことはないわ」


 ラブ「そうなんだ~。あっ、この車可愛いね!」


 湊「ミラココアね、ライトが丸くてエンブレムが鼻みたいで可愛いわ」


 ラブ「うん!お姉ちゃんって結構車の名前知ってるんだね」


 湊「こ、これでもチラシぐらいは見てるわよ」


 ラブ「あっ、そ、そうだよね。あははっ・・・」


 湊「そう言えば・・・今気づいたのだけど・・・」


 ラブ「何?」


 湊「今って2000何年?」


 ラブ「え?今は2009年だよ?」


 湊「やっぱり・・・どうりで私が見た限りでの新車が古い車に見えたわけだわ」


 ラブ「どういう事?」


 湊「私が居た世界では年号は2014年なのよ」


 ラブ「・・・え?えぇぇ~~~~!!?に、2014年!?」


 湊「ええ。そうよ」


 ラブ「で、でも2014年って事は2012年に何かあった?ほら、世界が終わるとか何とかって!」


 湊「いいえ。全くと言っていい程何もなかったわ」


 ラブ「そ、そうなんだ」


 湊「でも・・・その前の年、2011年が・・・世界とは言えないけど、悲惨な出来事が日本で起こったわ」


 ラブ「な、何?」


 湊「3.11。東北大震災と言われる、巨大な地震が起きたの。その地震で津波が発生して沢山の人々の命を奪ったわ・・・」


 ラブ「そんな事が・・・」


 湊「あの出来事は、私の世界では絶対に忘れてはいけないの。平和と言われている時、何時脅威が襲いかかってくるかわからないから」


 ラブ「・・・」


 湊「・・・ごめんなさいね。私が話す事全部が暗い話になってしまって」


 ラブ「ううん、その話は絶対にそんな事ないよ」


 湊「・・・そうね。今を生きる人達にはこれから何が起こるのかわからないからこそ、覚えておかないといけないのよね」

 

今日はここまで
この回は今日似たような感謝祭があったので行って、楽しかったので書くことにしました

隼、超~カッコよかったです


 ラブ「あれ?」


 湊「どうかしたの?」


 ラブ「あれって・・・カオルちゃん!?」


 湊「えっ・・・?」


 カオルちゃん「ん?あぁいらっしゃい」


 ラブ「どうしたの?何でここに居るの?」


 カオルちゃん「おじさんのこの車が珍しいからって、ここに招待されちゃったんだ、グハッ!」


 ラブ「へぇ、そうなんだ。あれ?このバラみたいな赤いバイク、カオルちゃんの?」


 カオルちゃん「ううん、違うよ」


 湊「!?。こ、これは・・・!?」


 ラブ「お姉ちゃん?」


 湊「(ローズアタッカー・・・何でこの世界に・・・)あ、あの、このバイクは・・・どこにあったんですか?」


 カオルちゃん「今日の朝、起きたらおじちゃんの車の裏に置いてあったの。お姉さん、このバイク誰のか知ってるのかい?」
 

 湊「は、はい・・・私の知人が使用していたバイクです」


 ラブ「え!?じゃ、じゃあ、このバイクは・・・お姉ちゃんの世界にあったバイクなの?」


 湊「ええ・・・あの、店長。このバイク、譲って貰えないでしょうか?」


 カオルちゃん「いいよ。おじちゃん、一応M1乗ってたけど、バイクはあんまり乗らないから。後カオルちゃんでいいよ」


 湊「ありがとうございます・・・カオルちゃん。ラブ、ちょっと来て」


 ラブ「え?う、うん」



 
 建物の陰 


 湊「ここなら、良いわね」


 ラブ「何をするの?」


 ガシャン シュウウン・・・


 ラブ「わっ!?ロックシードになっちゃった!」


 湊「これはロックビークルと言って、レリーフがバラになっているでしょう?レリーフが花のロックシードは乗り物になるの」


 ラブ「すごぉ~い・・・」


 西「お、おおぉ~~!こ、これが「隼」か!」キラキラ


 「お兄ちゃん、バイク興味あるのかい?」


 西「えっ、あ、ああ!特にこの隼がカッコいいと思うんだ!」


 「そっかそっか。お兄ちゃん、バイク似合いそうだね。ガタイもいいから、力ありそうだし」


 西「そ、そうか?あは、あははははっ!」


 「よかったら、他のも見ていくかい?」


 西「お、おお!是非頼む!」


 「じゃあ、こっち来て」スタスタスタ


 西「(サウラーが不幸のゲージを貯めてくれるだろうし。他のバイクも思う存分見るか!)」スタスタスタ


 
 
 ラブ「あっ!あそこが試乗会みたいだよ!ねぇ、お姉ちゃん乗ろうよ!」



 湊「ええ。いいわよ」


 ラブ「やったぁ!」




 南「ほぉ、これが「隼」か・・・」


 南「スイッチオーバー」

 
 南は掛け声をしながら軽く握った両拳を胸の前で合わせ、その拳を前後に擦り合わせた後、両腕を真横に広げた
 すると体を中心に南の姿が本来のサウラーの姿になると、両手から光の球体を出した


 サウラー「ナケワメーケよ、我に仕えよ!」シュッ


 球体からダイヤが生み出され、サウラーは隼に向けてそれを投げた。投げられたダイヤは隼のフレームに刺さると煙を放出した
 煙が晴れると、そこには両足がタイヤで巨大な青いカウルがボディのライトが一つ目になっているナケワメーケが姿を現した
 

 ナケワメーケ「ブロローン!」


 サウラー「やれ、ナケワメーケ。人間共を不幸にするんだ」


 突如出現したナケワメーケを見た観客達は悲鳴を上げて逃げようと走り出した
 ナケワメーケはライトの目を眩しく光らせ、腰部分にあるマフラーを吹かし大量の白い煙が吹き出して、会場を白い煙で覆い尽くし始めた。
 逃げようとしていた人々は周囲を包み込む白い煙を吸い込んでしまい、咳を込み始めた

 
 ラブ「!。ラビリンス!」


 湊「こんな所に現れるなんて・・・!」


 ラブ「お姉ちゃん!」

 
 湊「ええっ」カシャン


 ラブと湊はそれぞれリンクルンとゲネシスドライバーとピーチエナジーロックシードを取り出した
 湊はゲネシスドライバーを腰に装着しロックシードを前に構えた、ラブはクローバーキ―を差し込み回して、リンクルンを開きローラーをスライドさせた

 
 ラブ「『チェインジ!プリキュア!ビートアップ!』」


 湊「変身っ!」 『ピーチエナジー』


 『ロック・オン』
 『ソーダー』


 『ピーチエナジーアームズ』


 ピーチ「ピンクのハートは愛あるしるし!もぎたてフレッシュ、キュアピーチ!」


 ラブはキュアピーチに変身し、湊はマリカに変身した。2人は変身が完了するや否や上空に飛び上がった
 上空で一回転をし、左脚を折り畳み右足を前に突き出した

 
 ピーチ・マリカ「タァァアッ!!」


 ピーチとマリカはダブルキックをナケワメーケの後頭部に向かって放ち、ナケワメーケはバランスを崩して倒れた
 2人は着地して、ピーチは白い煙を吸い込んで咳を込んで座り込んでいる人々に近寄った


 ピーチ「大丈夫ですか!?逃げてください!」


 「あ、ありがとう!プリキュア!」


 人々はプリキュアのピーチを見て顔に安堵の表情を浮かべ、必死に立ち上がり他に座り込んでいる人を助けながら避難して行った

 
 
 マリカ「ラブ!観客の非難は任せたわ。こっちは任せて!」



 マリカは人々の非難を援護しているピーチの背後を狙おうとしているナケワメーケの前に立ち、ソニックアローを構えた


 ピーチ「うん!ってああ!お姉ちゃん、私はキュアピーチだよ!」ワタワタ


 ピーチは咄嗟に自分の本名を言われたのにドキッとして慌てて周辺の人々を見たが、周りの人々はマリカの声が聞こえなかった様で、何の反応も返ってこなかった
 それにはピーチはホッと肩を撫でおろしたが、マリカに向かって大声で自分の本名を言ってはダメだと言う意味を込めて自分のことをキュアピーチと言った


 マリカ「あっ・・・そ、そうだったわね。ごめんなさい、うっかりしてたわ」


 ピーチ「もう・・・気を付けてよね」


 湊は仮面越しで苦笑いをしながら、首だけを後ろに向けて謝った。ピーチはジト目でマリカを見た


 「お姉ちゃんってどういう事だ?」


 「もしかして、キュアピーチのお姉さんなの?」


 人々はピーチがマリカの事をお姉ちゃんと呼んでいたことに疑問を持ちながら避難していった
 ナケワメーケの頭の上にサウラーが乗り、マリカを見下すように見下ろした。その表情には怪しく笑みを浮かべていた


 サウラー「君が鎧の戦士か。噂には聞いているよ」


 マリカ「あらそう、それは光栄だわ」



 サウラー「僕の知り合いがフルーツを被って鎧の戦士になったと聞いてるけど・・・まさか、本当にフルーツを被るとはね」


 マリカ「そう言うくだらない話しは、今する必要はない筈よ?フッ!」


 マリカは首を傾げながら軽蔑そうに言うと、ウエスターと同様に有無を言わせずソニックアローをサウラーに向けてエネルギーの矢を放った


 エネルギーの矢が顔目掛けて飛んで来るのにも関わらず、サウラーは顔色一つ変えねないで冷静にエネルギーの矢を身体を反らして躱した。


 サウラー「いきなり攻撃をしてくるとは・・・やはり君もプリキュア共と同じ、敵なのだね・・・。なら、容赦はしない!」


 サウラーは手を掲げて、マリカを見下ろしながら名乗り始めた


 サウラー「我が名はサウラー!ラビリンス総統、メビウス様が下僕!」


 マリカ「ご丁寧に名乗りを上げるのね。・・・なら、私も名乗ろうかしら?」


 マリカは名乗りを上げたサウラーを見ると両足を閉じたまま立ち、右手を腰のベルト部分に引っかける様にしてソニックアローを持っている左手を下に向けたまま


 サウラーに向かって名乗った


 マリカ「私は・・・アーマードライダーマリカ!キュアピーチの・・・姉よ!」


 ピーチ「お、お姉ちゃん・・・//」


 人々を避難させ終えたピーチはマリカの近くに寄って少し頬を染めて恥ずかしそうにしていた。


 サウラー「ほぉ・・・。プリキュアとは血の繋がりがあったのか・・・ならば共々に倒す!やれ!ナケワメーケ!」


 ナケワメーケ「ブロローン!」


 サウラーの指示でナケワメーケはエンジンを吹かしながら足のタイヤを回して、最速を誇る隼で生み出されたナケワメーケであるためか、目に追いつかない程のスピードで急接近してきた


 ピーチはジャンプして、マリカは横に転びながら躱た。目標を見失ったナケワメーケは急ブレーキを掛け地面に焦げ目を付けながら一時停止した


 マリカ「フッ!」


 ソニックアローをナケワメーケに向けて二階トリガーを引き、エネルギーの矢を放った。エネルギーの矢は真っ直ぐナケワメーケに向かって行き直撃したかと思ったが


 ナケワメーケのボディに当たった瞬間、銃弾が固い何かに当たった様な音を立て粉々に粉砕した


 マリカ「なっ・・・!?」


 ピーチ「効いてないの・・・!?」


 サウラー「さすがは隼だね。頑丈なボディだ」


 マリカはエネルギーの矢が粉砕したのを見て驚愕し、サウラーは隼の頑丈なフレームの体で出来ているナケワメーケを称えた


 サウラー「ナケワメーケ!先ずはライダーを倒せ!」


 ナケワメーケ「ブロローン!」


 ナケワメーケはサウラーの指示でマリカをロックし、エンジンを再び吹かして高速移動で接近してきた


 マリカ「くっ!」


 マリカは急接近してきたナケワメーケに向かって、足を屈めて一気に伸ばしジャンプした。ジャンプをしたことでマリカとナケワメーケの距離が0になった


 マリカ「ハァアッ!」


 マリカはソニックアローのアークリムを振るって斬撃を喰らわせた。しかし、ナケワメーケの尋常ではないスピードに負けて逆に弾き返されてしまった


 マリカ「ぅっ・・・くっ」


 ピーチ「お姉ちゃん!」


 マリカは不安定な大勢から上手く持ち直して着地したが、痛みと痺れが走る手に悶絶した。ピーチはマリカに近寄って、肩に手を添えて心配そうに見つめた


 ピーチ「大丈夫?」


 マリカ「ええ。これくらい、大したことないわ」


 ピーチが心配そうに話しかけてくるとマリカは肩に乗っているピーチの手に自分の手を乗せて、大したことないと言った


 ナケワメーケは今度は急ブレーキを掛けずにアクセルターンをして再び向かって来た。マリカは立ち上がってピーチの手を引きながら横に躱した


 サウラー「ふっ・・・。成す術が無いようだね」


 マリカ「どうすれば・・・。・・・!」


 マリカは突然何かを思い出したかのように、右腰に通常なら付いてなかった筈のロックシードホルダーがあった。そこにはバラのフレームをしたロックシード一つが収納されていた


 マリカ「ピーチ、貴女バランス感覚はどれくらいある?」


 ピーチ「えぇ?え、えっと・・・平均台を渡れるくらい、かな」


 マリカの唐突の質問に戸惑いながら答えた。実際変身前のラブの運動神経はそれほど高くないため、それくらいが限界なのである


 マリカ「それぐらいで十分よ」

  
 マリカはバラのロックシードを手に取り、リリーススイッチを押して天高く放り投げた


 すると、ロックシードの形状が変形していき、薔薇の様に深紅のボディにフロントフェンダーが茎の様に深緑のバイク「ローズアタッカー」になった


 マリカ「乗って」


 ピーチ「う、うん!」


 マリカはシートに跨り、ピーチも後ろのシートに跨った。そしてサイドスタンド左足の裏で上げるとハンドルを捻り、エンジンを吹かして、ステップに足を掛け走行し始めた


 ローズアタッカーの最高出力は86.3kwと隼から生み出されたナケワメーケの最高出力は145kwに負けるが、低地最高時速は245.0km/hと劣らないスピードを持っている


 サウラー「ほぉ、人間共のことわざと言うもので目には目をと聞いた事はあるが・・・それが本当か見せてもらおうじゃないか」


 マリカはフルスロットルでローズアタッカーを走らせ、速度差があるためナケワメーケの少し後ろで走行しながら並走した。


 ナケワメーケは試乗会で使われるコースに入り、マリカもナケワメーケにピッタリくっ付いて行く


 マリカ「ピーチ!このままアイツの上に乗れないかしら!」


 ピーチ「ええ~~!?む、無理だよぉ~~!怖い怖い!」


 マリカはエンジン音に負けなくくらい声を張り上げながらピーチにナケワメーケの上に乗れと言った。しかし、ピーチはマリカの腰に抱き付きながら泣き泣き無理だと言った


 マリカ「ピーチ!アイツが町に出れば被害が出るわ!泣いてる暇なんかないのよ!」


 ピーチ「で、でもぉ・・・」


 マリカは喝を入れる様に少しだけ首を斜め下に向けピーチの顔を見ながら説得させようとするが、ピーチは涙目のままウジウジと思い躊躇ったままだった


 マリカ「迷ってる今貴女がやらないと、アイツを倒せないのよ!」


 ピーチ「うぅ~・・・。・・・わ、わかった!やってみる!」


 マリカの言葉にピーチは腹を括って、涙を振り払い覚悟を決めた。それを見たマリカは頷いて前に向き直った


 ナケワメーケは重心を横にしてローズアタッカーにぶつかろうとしたが、マリカは減速させて回避し再び速度を上げて追い付こうとするが、ナケワメーケは左右に蛇行しながらマリカの走行を邪魔した


 左右に蛇行するナケワメーケをマリカは一瞬の隙を突いて、追い抜きナケワメーケの右側の前を走行する


 ナケワメーケはマリカを追い抜こうとするがマリカは煽るように先程ナケワメーケが左右に蛇行した時と同じように走行した


 それにナケワメーケは怒ったのか目のライトを光らせエンジンをけたたましく吹かし、右足のタイヤを高く上げて左足のタイヤだけでウィリーをする様に、右側を走っているマリカに高く上げている右足を振り下ろした


 マリカ「くっ!」


 マリカはそれを躱したが、ナケワメーケは今度は左足のタイヤを上げて再び振り下ろした


 それも何とかマリカは躱した。マリカは思いっきりスロットルを全開にまで回し、ローズアタッカーは一瞬天高く嘶きウィリーをした。


 マリカ「わわわっ!?」

 
 ピーチは急に後ろに倒れそうになって焦ったがマリカの腰にしっかりと掴まって、マリカはそのままトップスピードでナケワメーケから距離を取るように猛スピードで突き放していった。


 ナケワメーケは遂に怒り爆発して、足を屈ませ空気抵抗を少なくさせてマフラーから白い煙を吹かせて隼の最大スピード最高速度300km/hを出してマリカに追い付こうとした


 かなり距離を取ったマリカはアクセルターンをして、一旦停止しピーチに話しかけた


 マリカ「ピーチ、よく聞いて。多分アイツの頭はバイクそのものだと思うの」


 ピーチ「うん・・・」

 
 マリカ「だからこのバイクと同じ構造上、この赤いボタンがある筈よ。アイツの頭に乗ってそれを押してもらいたいの」


 マリカはローズアタッカーのハンドルの根本にある赤いボタンを親指でトントンと軽く叩いた


 ピーチ「わ、わかった。でも、どうやって乗ればいいの?・・・まさか・・・えっ!?本当に!?」


 マリカ「・・・そうするしかないのよ。さぁ、行くわよっ!!」

  
 マリカはスロットルを全開にして、怒り狂いながら全速力で迫ってくるナケワメーケに果敢にも向かって行った

 マリカ「ピーチ!立って!」


 ピーチ「えぇ!?・・・うぅ・・・うん!」


 ピーチは怖がりながらもマリカの肩を掴んで、最初に右押しをシートの上に乗せ次に左足を恐る恐る乗せ中腰の体勢で立ち上がった。
 通常の人ならば目も開けられない上、吹き飛ばされそうな速度の中でピーチは顔を歪ませて細く見える視野で迫り来るナケワメーケが目に映った


 刻々と距離が無くなり始めてマリカは息を少し荒くさせた。それによって心拍数が高まりステムリーフによってステアリングアイに表示される。 
 しかしそんな事を気にも止めずピーチに言った。


 マリカ「チャンスは一回が限度よ!カウントするから乗りなさい!!」


 マリカの言葉にピーチは返事をしなかったが固唾を飲んで肩を握っている手を強く肩を掴んで覚悟を決めた。マリカはそれを返事と解釈し、短く深呼吸をして自分も覚悟を決めた様だ。


 マリカ「3!」


 ピーチはカウントが始まり、頭が真っ白になりそうになったが歯を食い縛って意識を保とうとした

 
 マリカ「2!」


 マリカもすぐ目の前まで来ているナケワメーケを見て、息を荒くしステアリングアイに様々な表示が出るがそんなモノを見る余裕は無く、カウントを続けた


 マリカ「1!」


 カウントを言い終えた瞬間肩にあった筈の力強く掴んでいたピーチの手の感覚がなくなり、それを合図にマリカは急カーブをして寸前のところで回避した。
 マリカは横を向いてナケワメーケを見ると、そこには確かにピーチがナケワメーケの頭の上に乗ってハンドルにしがみ付いていた。
 

 ピーチ「くぅ・・・っ!!」


 ピーチは先程よりも桁違いの速度で走っているナケワメーケのハンドルにしがみ付きながら薄目を開けた。そして、横に目を移すとマリカが言っていた赤いボタンが今しがみ付いているハンドルの根本にあった。 
 ピーチは片手をゆっくりと離して、風の抵抗で引き千切られそうになる手で何とか赤いボタンを叩き押し、押したと同時にピーチはとうとう耐えられなくなりハンドルから手を離して、受け身を取りながら着地した

 ナケワメーケは急ブレーキを掛けて二本の足のタイヤの焦げ目を付けながら止まった。足のタイヤからは摩擦熱で煙が小さく出ていた


 サウラー「フッ・・・策は尽きた様だね。ナケワメーケ!止めを刺せ!」


 ナケワメーケ「ブロローン!」

 
 サウラーの指示でナケワメーケはエンジンを吹かせようとした。
 

 ナケワメーケ「・・・ブロロ?」


 しかしエンジンが吹かず、更には足のタイヤが回らないのにナケワメーケはあれっと思った。もう一度エンジンを吹かせようとしたが、全く吹かずタイヤも回らなくなっていた。   

 
 サウラー「なっ・・・ナケワメーケ!何をしている!早くプリキュア共を倒すんだ!」


 ナケワメーケ「ブ、ブロローン!」

  
 ナケワメーケはサウラーの指示通りに動こうとするがタイヤが一行に回らない。それを見たマリカは上手くいったと言った面持ちでローズアタッカーをロックシード状態にし、ピーチの元に向かった。

 マリカ「ピーチ!成功よ!貴女のおかげよ」

  
 マリカは呆然としているひの肩に手を置きながら仮面越しで笑顔で褒め称えた。ピーチはハッと我に返りマリカの手が自分の肩に置かれておるのに気付いた。

 ピーチ「お、お姉ちゃん・・・?成功って・・・?」


 ピーチはマリカが自分のおかげで成功したと言っている理由がよくわからなかった。

 サウラー「な、何故動かないんだ・・・!?」


 マリカ「バイクの仕組みを知らなかったのが、迂闊だったわね」


 サウラー「なっ!?どういう事だ!?」

 サウラーはナケワメーケが動けなくなった事
に動揺していると、マリカが勝ち誇った口調で立ち上がった。その間にもナケワメーケは必死にエンジンを吹かせようとしたり、足のタイヤを回そうとするが依然として動く気配は全くない
 
 マリカ「バイクにはキルスイッチと言って、緊急停止用のスイッチがあるのよ。それさえ切ってしまえば、動けないわ」


 ピーチ「あっ、じゃあ私が押したのって・・・」


 マリカは懇切丁寧にナケワメーケが動けなくなった理由を言うと、ピーチは自分が必死で押した赤いボタンがそのキルスイッチだと言う事がわかった。 
 それを聞いたナケワメーケは自力でキルスイッチを押そうとするが、手が無いため足で押そうとするが案の定届かなかった。


 マリカ「ピーチ!止めよ!」


 ピーチ「うん!」


 鍵に口と目、手がついている姿形をしたピックルンのピルンがクローバーキーになり、ピーチはそれを掴んでリンクルンに差し込んで捻るとパカッと開いた。

 ピーチ「ハッ!」

 リンクルンを構えて勢いよくローラーを二本指で回すとリンクルンの画面からピンク色の光が膨らみ飛び出すと4色の光が1つになってハートを作ると星やハート型の光を弾かせて、ピーチ専用の「ピーチロッド」を召喚した。  ピーチはピーチロッドを手に収めて、綺麗に回転させ高く掲げると先端のハートのクリスタルが輝いた


 ピーチ「届け!愛のメロディー!ピーチロッド!」

 8色の埋め込まれた球を指でなぞると音が順々に音符の円形を出しながら音を奏で、先端近くの球までなぞり終えると先端のハート型のクリスタルが眩く光だした。


 ピーチ「悪いの悪いの、飛んでいけ!」


 ピーチはピーチロッドを振るい、高く掲げた後着地し先端をナケワメーケに向けた

 
 ピーチ「『プリキュア!」


 ナケワメーケに先端を向けながら光の残光でハートを描き中心からピンク色の光を溜めると、溜まり切らなかったピンク色の光が溢れ出した。


 ピーチ「ラブサンシャインフレッシュッ!』」

 回転しながらピーチロッドで巨大なハートを突く様に飛ばした。
 巨大なハートは閃光を描きながらナケワメーケに直撃し更に巨大なハートで包み込んだ


 ピーチ「ハァァァ!」

 
 ピーチはピーチロッドを先端で円を描くとピンク色の光がナケワメーケをピンク色に染めた。


 ナケワメーケ「シュワ~シュワ~」

   
 ケワメーケを生み出したダイヤが煙を出しながら消滅し、隼が元に戻った


 サウラー「くっ・・・。・・・ふっ、なるほど、君は、プリキュア以上の脅威になるね」


 サウラーは捨て台詞を吐いて、去っていった


 ピーチ「やったぁ!やったね、お姉ちゃん!」


 マリカ「ラ・・・じゃなくて、ピーチ・・・」

 ピーチは嬉しさの余りマリカに抱きついてマリカは一瞬本名を言いそうになったが、ピーチの名前を言いながら困った顔で頭を撫でた


 「あ、あの・・・」


 その時、誰かが声をかけた。そこにはピーチが避難させた人々が集まってマリカとピーチに話しかけたのだった。
 ピーチは人々に見られたのが恥ずかしかったのか素早くマリカから離れて顔を手で隠しながら顔を真っ赤に染めた。

 「あなたは・・・誰なんですか?」


 マリカ「・・・」

  
 一人の男性の質問に人々は皆その事だけが気になって返答を待った。しかし、マリカは無言のままローズアタッカーをロックシード状態からビークルモードにした


 マリカ「行くわよ、ピーチ」


 ピーチ「え?あっ、う、うん」


 マリカは先にローズアタッカーに股がってピーチもまた恥ずかしいのか頬を染めたままマリカの後ろに股がった。
 マリカの行動に人々は怪訝な表情をしながら顔を見合わせてヒソヒソと何か話し始めたが、マリカがこちらを見た瞬間に息を飲んで黙り混んだ。


 マリカ「・・・私は、ピーチの姉。マリカよ。敵ではないから、覚えておきたいなら、そうしてなさい」


 それだけ言うとマリカはエンジンを吹かして、ピーチが自分の腰に手を回したのを確認した後走行して会場の入り口から出て去っていった。


 その場に残された人々はまだ山程あった質問をしようとしておたが、風のように去っていったマリカに呆気に取られて立ち尽くした。



 しばらくして、変身を解いた湊とラブが戻ってくると何事も無かったかの様にクローバードライビング感謝祭は実行されていた。
 理由はナケワメーケの被害が全く無かったので、無事に再開されたのだと思われる 

 ラブ「よかったぁ~、また始めることが出来て!」


 湊「そうね。でも、もう十分に乗ったでしょう?」


 湊は先程までローズアタッカーに乗ったので十分だと思っていたのだがラブは首を横に振った


 ラブ「まだまだ!ぜーんぜん乗り足りないよ!」


 湊「えぇ?」


 ラブはあれほどバイクの上に立ったり飛んだりしたのにも関わらず乗りたいないと言った様に目をキラキラさせながら湊を見つめた。


 ラブ「ね、いいでしょう?」


 湊「・・・もう、仕方ないわね」


 ラブは子犬のように甘えた瞳で湊を上目遣いで見つめると、湊は困った顔をした後苦笑いに変わって頭を撫でた。

 
 湊「そろそろ夕方だから、一回だけよ?」


 ラブ「うん!」


 湊の言葉にラブは満面の笑顔で湊に抱きついた。そんなラブを湊は愛おしく思い優しく微笑んだ。


 「あっ、ラブ」


 ラブは聞き覚えのおる人物の声に反応して一旦湊から離れて、声がした方を向いた
 そこには、茶髪をした一人の少年が立っていた。


 ラブ「大輔!」


 ラブと知人であると思われる大輔と言う少年は湊を見て誰かと思いながら近寄ってきた


 大輔「よっ。えっと・・・その人は?」


 ラブ「あっ、紹介するね!私のお姉ちゃんになった」


 湊「湊耀子よ。よろしくね」


 大輔「ど、どうも・・・ってお姉ちゃんってどう言うことだ!?」


 湊が会釈したのに大輔もキチンと会釈を交わしたと同時に湊が姉とはどう言うことかと疑問をぶつけた


 ラブ「えぇっと・・・説明したら長くなるんだけど・・・」

 
  ラブの代わりに湊が大輔の疑問を説明すると、大輔は納得した面持ちで頷いた


 大輔「そう言うことだったんですか・・・大変でしたね」


 湊「まぁ、色々あるものよ。人生ってものは」


 大輔は湊の何故か説得力のある言葉を聞いて、心なしか色々あったのだと思い納得した


 ラブ「ところで大輔もバイク見に来たの?」

 
 大輔「ああ。暇だったから来てみたんだ」


 ラブ「じゃあ大輔も試乗会に行こうよ!」


 大輔「でも、今湊さんと一緒なら・・・」


 ラブの誘いに大輔はほんの一瞬だが心底嬉しそうな表情になったが、湊さんが居ることに気づいて咳払いをしてそう言った


 湊「私は構わないわよ。遠慮しなくていいわ」


 大輔「そうですか・・・?」


 湊が大輔の言葉に気遣ってそう答えると、大輔は暫し考えた


 大輔「・・・じゃあ、お言葉に甘えて」

 
 ラブ「よーしっ!じゃあ行ってみよー!」


 ラブは大輔と湊の手を引いて試乗会に向かい、湊はラブに引かれながら呆気に取られたがすぐに妹の我が儘を受け入れている本当の姉の様に微笑んだ


 試乗会で湊はバイクをラブの我が儘で三回乗り回し、その隣を走っていたバイクの後部座席に乗って、はしゃいでいるイケメンも満喫した一日を過ごし終えた

ここまで。長引いたこと、お詫びいたします


 月曜日の朝。歯磨きと朝食や身だしなみを整えて会社員はせっせと会社に出勤して、朝早くに家族の朝食やお弁当を作り終えた主婦は、洗濯物を干す時間帯。
 湊はあゆみに干してもらった新品同様の綺麗なスーツを着て四つ葉公園に向かいカオルちゃんが営むドーナツ店に訪れていた。
 移動はローズアタッカーではなく、歩きである。理由はナケワメーケとの戦闘を終えた矢先に話しかけてきた人々の前で堂々とローズアタッカーで走り去った為
 ローズアタッカーを乗っている所を目撃されたら即座に自分とラブ達プリキュアの正体がバレてしまうからである。


 カオルちゃん「じゃあね・・・これ着けて」


 カオルちゃんは自分と同じだが色違いのエプロンを差し出した。柄はカオルちゃんと同じもので、色はふんわりとしたピンク色をしている。

 
 湊「はい」


 湊は少し嬉しそうにそれを受け取った。自分が好みの桃の色だったので、小さく心を弾ませながらエプロンを身に纏った。
 

 カオルちゃん「やっぱり似合ってるねぇ、梅に鶯って感じだね」

 
 湊「あ、ありがとうございます」


 湊は少し頬を染めながら照れ笑いでお礼を言うと、カオルちゃんは「グハッ」と笑った


 カオルちゃん「じゃあ、これにリストを書いてあるからお使い頼めるかな?」


 湊「あ、はい。わかりました」


 カオルちゃんはメモ帳を切り破った紙を差し出して、湊はそれを受け取りクローバータウンストリートに向かった。


 クローバータウンストリート。旧称四ツ葉町商店街では魚屋のおじさんが声を張り上げながら新鮮な魚を売って商売に励み、花屋でも色とりどりの美しい花を綺麗に店の前に置いて華やかにしている。 
 まず湊は紙の端に書かれてある名前の店に向かい、リストに載っている果物を買いに行くことにした。
 買う果物は店の人に予め予約してあるよと書かれていた。
 しばらくて、書かれてある店と同じ四つ葉果物店と書かれた看板が見え、そこに足を運んだ。


 湊「すみません」


 「はいよ!何かお探しですか?」


 湊は仕入れをしていた気前の良さそうな店長に話しかけた。


 湊「カオルズドーナツカフェの者なんですけど、
 

 「ああ、新しく入った人かい。ご苦労さんだね。えっと・・・よっ、これが予約してた品だよ」


 カオルちゃんが予約しておいたと言われる果物が箱詰めされた箱の中をリストに載っている品を確かめながら湊はチェックしていく。赤い熟したイチゴが入っている箱を丁寧に底に置かれているその隣の品に目を移した時、湊の動きが止まった。


 湊「・・・」


 そこには幾つも実を実らせて繋がっているバナナがあった。湊はそれを見つめると、ふと戒斗が頭の中で浮び上がった。


 湊「(私は、本来ならあの世に逝っていた筈なのに・・・何故この世界に来てしまったのかしら・・・)」


 自分が胸の内に秘めていた思いを伝え、戒斗にその返事を聞けてから死んだのは良かったとは言えないのだけど、悔いを残さなかったのは本当に良かったと思う。

 
  
 湊「(・・・もしかしたら、この世界に来るのかしら・・・)」



 湊は時分がこの世界に来れたのなら、戒斗も来るのではないかと一瞬期待が込み上げたが、すぐに失せた。


 湊「・・・そんな良い話しなんて、あるわけないわよね」


 湊はそう呟いて、期待した自分がバカだったと自嘲した。


 「新入りさん、どうしたの?暗い顔したり笑ったりして」

 
 湊「っ・・・い、いえ、何でもありません。品物は全部チェックしたので、これで大丈夫です」


 心配そうに話しかけた店長に湊は苦笑いで誤魔化すようにチェックを済ませた。店長は少し気にはしたものの本人がそう言ってるので大丈夫だと思いながら、ナイロン紐で箱が開かないようにキツく縛った。


 「そうかい。なら、荷台に乗せて・・・」


 湊「あっ、このままで結構ですよ」


 「えぇ?」


 そう言うと湊は軽々と箱を持ち上げ、店長は驚きつつ溜め息をついた。箱の重さは結構あるのだが、鍛えている湊にとって何ともなかった。


 「ほぉ、力持ちだねぇ」


 湊「では、失礼します」


 「毎度あり」


 湊は肩に乗せながら笑顔で頭を下げ、店を後にした。


 湊は肩に見るからに重そうな果物の入った箱を担ぎながら公園のルートに続く道を歩いていた。
 木の枝に小鳥達の囀ずりが聞こえ、晴天とした平和な時の中で、気付かぬ内に湊は鼻唄を歌っていた。それは自分が子供の頃たまたま夜更かしをしてテレビを視ている時、ある番組が終わった時に掛かったエンディング曲である。
 
 「その曲、知ってるぞ」

 
 湊「えっ・・・?」


 ふいに後ろから声を掛けられて、足を止めた。そこに居たのは赤紫色のスーツを身に纏い髪が短く、整った顔をしている右手の人差し指に指輪を付けた青年が御座の上に胡座をかいて座っていた。

 「でも、変だな。ここでは・・・いや、この地球上でその曲は無い筈なんだけどな」


 湊「・・・どういう事かしら・・・?」


 湊は不思議そうに自分を見つめる青年の言葉に自分自身でもわかるぐらい、動揺しそうになる。だが、焦ったら負けだと精神を落ち着かせた

 「そのままの意味だ。俺が初めてここに来た時から、俺が知っている筈のモノが少ない、いや、少な過ぎる事に気付いたんだ」


 湊「・・・」


 青年は不意にコインを取り出して、3枚の内、端の2枚の表面を裏、真ん中の1枚だけ表にしてハンカチの上に置いた。
 それをじっくり見てから、意外そうな表情をして湊に笑いかけた。

 「・・・驚いたな、アンタも死んだのか」


 湊「・・・貴方、この世界の住人じゃないのね」


 「ああ。気が付いたら、この世界にな」


 青年は仲間を見つけたとばかりに、嬉しそうにして立ち上がった。
 湊は握り拳をつくって瞬時に構えたが、青年は指輪を付けている右手を前に出した。

 「心配すんな、俺はアンタに危害を加える気はない」


 湊「・・・証拠は?」


 「はっきり言えば無いな。ただ、アンタを占ってやることは出来るぞ」


 湊は構えるのを止めず、問い掛けると青年は掌を見せてアピールした。しかし、人差し指を立てて怪しく微笑んだ

 湊「・・・いいえ、今仕事中だから。もう戻らないといけないわ」

 
 「そうか・・・。けど、嬉しかったぜ」

 青年は屈んで敷いていた御座を巻き脇に挟んで、立ち上がった。

 「俺と同じような奴が居てさ。もしまた会えたら、特別にただで占ってやるよ」


 そう言って湊とは逆方向に歩いていき、数歩歩いて立ち止まり振り返った


 「俺の占いは当たるからな」


 湊はその言葉が本当の様に思えた。何故ならあれほどまでの自信があるのだから、否定する事自体が難しい

 湊「・・・ええ、是非占ってほしいわ。ところで貴方の名前は?」


 手塚「俺は・・・手塚海之。じゃあな」

 お互い名乗り終えると同時に足を動かし、それぞれ心に別々の思いを秘めながら歩き続けた。


 湊は手塚海之と名乗った青年と別れてから、カオルズドーナツカフェに辿り着いた。
 湊は遅れたことを謝ると、カオルちゃんは怒る様子はなく、気にしないでいいよと言いグハッと笑った。
 
 カオルちゃん「じゃあね・・・この果物でおじさんが試作品を作ったりしてるから、お客さんが来たら教えてね」

  
 湊「わかりました」

 カオルちゃんの指示で湊は車のカオルちゃんが見える窓口に立って、客が来るのを待ち構えた。
 時間は昼前。早めに昼食を食べる人も居れば、変な時間に起きて朝食を食べてしまいそれが昼食になってしまったと言った人が居るかもしれない時間帯である。
 湊はどこから客が来るのかわからないが、とりあえず辺りを見渡したりした。
 すると、若い二人組のOLの女性がこちらに向かってくるのに気付いた

 湊「カオルちゃん、多分お客さんだと思う人が来てます」

   
 カオルちゃん「おっ、はいはい」

 リンゴをハートや丸型に様々な形に切ってどんなドーナツにしようか考えているカオルちゃんに湊は二人組のOLの女性が来ているのを教えると、カオルちゃんは素早く反応した
 
 「あの、すみません。チョコドーナツを4個とコーヒーを2つお願いします」


 湊「かしこまりました」

 二人組のOLの女性はパラソルを中心の穴に入れて開いてあるテーブルに座って湊に注文を頼んで、湊はカオルちゃんに注文された品を頼んだ。
 カオルちゃんはまず最初に熱々のコーヒーを紙コップに淹れて、皿に2つずつチョコドーナツを乗せ、最後にコーヒーを淹れたコップとドーナツを乗せた皿をお盆に乗せた

 カオルちゃん「はいっ。お願いね」

 あっという間に作業を終えたカオルちゃんに湊は少し驚きつつお盆を手に掛けゆっくり慎重に持ち上げて、テーブルに向かった

 湊「チョコドーナツ4つとコーヒー2つです」


 「ありがとうございます。新しく入った人ですか?」

 
 湊「はい。今日からカオルズドーナツカフェて働くことになりました」


 「あら、そうなの。カオルちゃん、優しいからちょっとの心配ぐらいじゃ怒らないから安心してね」


 湊「あ・・・はい、ありがとうございます」

 二人組の内一人はこの店の常連なのか、カオルちゃんの事をよく知ってそうな素振りで話した。湊はその事をさっき知ったばかりなので、教えてくれた女性に深くお辞儀をした。

 「それでさぁ、後輩の娘が失敗しちゃったわけなのよ」


 「あらら、それは大変だ事」

 女性達はドーナツを食べたりコーヒーを啜りながら雑談をして、笑い合い始めた。
 湊は一旦、窓口の前に戻った

 カオルちゃん「お姉さん、ちょっといいかな」


 湊「あっ、はい。何でしょうか?」

 窓口に戻った矢先、カオルちゃんが手をちょいちょいと手招きしながら話しかけた。
 カオルちゃんは両手にオレンジとバナナを持って、湊に見せた。

 カオルちゃん「桃に合うとしたら、どっちかな?」


 湊「えっ・・・」
 
 その質問に湊は一瞬固まった。何故その質問をしてきたのか、湊は口に手を当てて考えた。

 湊「・・・バ、バナ、バナナじゃないでしょうか。オレンジだと桃と同じで酸味が強くなりそうですし、バナナなら桃の酸味をまろやかにしてくれそうですから」

 カオルちゃん「おっ、それもそうだね。ありがとう」


 そう言ってカオルちゃんは再び試作品に手を掛けて作り始めた。湊は何故だかホッと溜め息をついて、次の客が来ないか待ち構えた


 湊「・・・(あの青年、手塚海之って言ったかしら・・・。彼も私と同じ、別の世界から来たとしたら・・・じゃあ、戒斗もこの世界に来る可能性も無い訳じゃない・・・)」


 湊は虚空を見つめながら手塚が俺と同じ奴が居てと、言った事にもしかしたら本当に戒斗がこの世界に来るのかもしれないと思い始めた。


 湊「(だとしたら・・・何処に居るのかしら・・・)」


 湊はあの夢では戒斗が敗れ、紘汰に何か言い残して静かに行きを引き取ったのを見た。
 だとすれば、彼は既にこの世界に来ているのかもしれない。だが、仮に来ていたとしても何処に居るのかがわからなければどうする事も出来ない。
 そんな事を考え始めている内に、周りの音がシャットアウトされて何も聞こえなくなっていた


 湊「・・・戒斗・・・」


 「そろそろ、行きましょ」

 「そうね。あの、お会計お願いします」


 湊「・・・」


 「・・・?。あのー・・・?」


 カオルちゃん「お姉さん、空に何かいるのかい?」

 
 湊「・・・あっ。す、すみません!ただいま」

 
 湊はボーッと考えていたが、カオルちゃんの声が耳に入ってハッと我に帰りお会計ボードを手に取った。


 数時間経って、二人組のOLの女性が来たその後は平日の為昼の時間帯はあまり客は来なかったので、休憩をすることにした。
 テーブルのイスに座ってぼんやりと湊は空を見つめていると、カオルちゃんがテーブルの上にドーナツを乗せた皿を置いた


 カオルちゃん「どう?さっきお姉さんのアイデアで考えた試作品、食べてみる?」


 湊「あっ・・・はい。いただきます」


 湊は昼食を食べていなかったので丁度良かったと思い、皿を自分の前に寄せた。
 桃を溶かしてゼリー状にしたモノの上にバナナを溶かしたモノを重ねたドーナツ。
 それを湊は一口食べた。桃の甘酸っぱい味が口の中に広がってバナナの甘味がそれを緩和するように絶妙のバランスを保って、良い味わいを出している。
 

 湊「・・・美味しいです、カオルちゃん」


 カオルちゃん「そっかそっか。じゃあ今度出してみようかな。グハッ」


 湊は正直な感想を微笑みながら言うと、カオルちゃんはニカッとしていつもの様に笑った。


 休憩中でも湊はドーナツを食べながら、戒斗がこの世界に来ているのかを考えていた。
 もし、来ているのなら何処に居るのか。探しだす方法。見つかる可能性。身体は治ったのか。彼に会えたとして何を最初に言えば良いのか。紘汰に何を言い残したのか。まだ私を・・・そんな事を深く考えている内にドーナツは既に食べ終えていた。


 カオルちゃん「美味しかったかい?お姉さ・・・ん?」


 カオルちゃんは湊を見ると、湊は俯いたまま重ねている手を一点に見ていた。


 カオルちゃん「・・・何もしてあげないのも、善の内ってね。グハッ」


 そうして数十分が過ぎていき、やっと我に帰った湊は仕事に集中した。
 午後は学校帰りの学生が来るのが多くなり、忙しくなったが無事に夕日が出始めた退勤の時間になった。


 カオルちゃん「お疲れさま、お姉さん。どつ?中々大変だった?」


 湊「はい。でも、やりがいがありますね」


 湊は着ていたエプロンを外して綺麗に畳み、カオルちゃんに渡した。
 湊は学生達が幸せそうにドーナツを食べながら話したりしているのを見てやりがいを感じ、カオルちゃんはうんうんと頷いた。


 カオルちゃん「そうそう。おじさんが作ったドーナツを皆が美味しそうに食べてくれるのが、何よりの楽しみなんだ。グハッ」


 湊「ふふっ」


 カオルちゃん「あっ、そうだ。これ、まかないであげるよ。おじょうちゃんと仲良く食べてね」


 そう言ってカオルちゃんは薄茶色の紙袋を差し出した。湊は受けとると、甘い香りがしたのでドーナツだとわかった。


 湊「いいんですか?」


 カオルちゃん「いいよ。使うにしても固くなっちゃうから」


 湊「そうですか・・・ありがとうございます」

 
 カオルちゃん「うん。じゃあ、この調子で明日もお願いね」

 
 湊「はい。では、また明日」


 湊はドーナツが入った紙袋を大事に持って一礼をして、手を振っているカオルちゃんに見送られながら桃園家に帰宅していった。

>>149
戒斗さんまだ生きている…とはいえないけど、完全に死んではいないみたいだからなぁ

>>152
木の精霊になった?感じですよね


 湊「ただいま帰りました」


 ラブ「おっかえり~」


 あゆみ「おかえりなさい。耀子ちゃん」

 湊は桃園宅に帰宅した。玄関を抜けてドアを開けると、先に帰っていたラブはジャージに着替えてエプロンを着け夕飯の準備を手伝っていた。

 湊「あっ、すぐに手伝います」
 
 湊は手に持っていたドーナツが入った紙袋を居間のテーブルに置いて、キッチンに向かい水道で手を洗って手伝おうとした。

 あゆみ「いいのよ。お仕事大変だったでしょうし、休んでていいわ」


 ラブ「そうだよ。お姉ちゃんは、ゆっくり休んでて」

 ラブは湊の背中を押して滑らすように動かしてソファに座らせた。
 
 ラブ「今日はお姉ちゃんのために、ハンバーグを作ってあげるよ!」
 

 湊「そ、そう・・・ありがとう。ラブ」


 ラブ「うん!頑張って作るね!」

 そう言ってラブは気合い十分にキッチンに行き、手を洗ってハンバーグの調理を始めた。
 包丁を手に玉ねぎをリズムは遅い感じだが細かく微塵切りにしていく。

 湊「・・・(そう言えば、手塚海之は・・・何故私が死んだ事を知ってたのかしら・・・)」

 湊は再び自分だけの世界に入って考え事を始めた。周りの音とラブが玉ねぎを切っている音も聞こえなくなり、まるで無音の世界に居るような錯覚になる。

 湊「(まさか・・・彼も何かしらの力を持っているのかしら?それなら、例え可能性は無くても戒斗が何処に居るのかがわかるかもしれないわね・・・)」

 湊は彼にまた会えたら占ってやるよと言われているので、多分彼と再び会えれば占ってもらい、もしかしたら希望が見えてくる。そう確信がついてきた
 
 湊「(明日・・・会えるかどうかはわからないけど、あの場所に行ってみるしかないわね)」


 ラブ「お姉ちゃん?」


 湊「え?あっ、な、何?」

 不意にラブが話しかけたのに湊は気付いて、後ろを振り向くとラブがハンバーグを乗せた皿をテーブルに並べ終えていた。多分何度か自分を呼んだのだと思われる。

 ラブ「どうしたの?何かあったの?」


 湊「い、いいえ。何でもないわ」

 湊はソファから立ち上がって、ラブが作ってくれたハンバーグを見た。少しだけ丁度いい具合に焦げ目がついて香ばしい香りが漂っていた

 湊「あら、ラブって料理上手なのね」


 ラブ「えへへ~、ありがとう、お姉ちゃん」

 湊は意外そうな表情でラブを誉めると、ラブは照れ笑いをした。
 その後圭太郎も帰宅していて、桃園家の夕食の時間になった

 ラブ「じゃあ」


 ラブ・あゆみ・圭太郎・湊「いただきます」

 同時に手を合わせて言うと、湊は一人だけハンバーグなので少し気まずかったがあゆみも圭太郎も気にせず食べて良いと言ったので、二人の温かみを受けて顔をほころばせた。 
 綺麗な箸使いでラブが作ってくれたハンバーグを一口サイズに切って、食べた。
 
 ラブ「どう・・・かな?」


 湊「とっても美味しいわ、ラブ」

 ラブは少し不安気に聞くと湊は安心させるかの様に微笑みながら言うと、ラブの表情が一気に明るくなりやったー!と歓喜の声をあげた


 あゆみ「最近ダンスの調子はどう?ラブ」

 ラブ「うん!前より上達したって、ミユキさんが言ってくれたの」 


 湊「ミユキ?」

 ラブの口からミユキと言う人物の名前が出てきたのに湊は瞬時に反応した。
 まさかとは思うが、手塚ではないのかと思ったが次のラブの言葉で早とちりだとわかった。

 ラブ「うん、私のダンスを教えてくれてる人だよ。私の部屋に女の人のポスターが貼ってあるでしょ?」


 湊「あ、あぁ・・・あの人、ね」

 湊は初めてラブの部屋に入ったときに見たポスターの女性だとわかり、期待していた自分に苦笑いで自嘲した

 ラブ「トリニティって言う名前のダンスユニットを結成してて、すっごくダンスが上手なんだよ!私にとってミユキさんは目標なの!」


 湊「そう・・・ラブの夢はダンサーなのね」

 ラブ「うん!そう言えばお姉ちゃんも手話ダンス踊ってたよね」

 ラブの質問に初めて湊が手話ダンスが踊れると聞いたあゆみと圭太郎も食いついた

 あゆみ「耀子ちゃん、ダンス踊れるの?」

 湊「はい・・・趣味で覚えたんです」

 圭太郎「それはすごいね。じゃあ、他に出来るダンスはあるのかい?」


 湊「・・・い、一応あるんですけど・・・恥ずかしくって」

 ラブ「ええ~~!?他にもダンス踊れるの!?」

 湊がリンゴの様に顔を赤くして恥ずかしそうに呟くと、それは初めて聞いたとばかりにラブは驚いた。

 あゆみ「どんなダンスが踊れるの?」
  
 湊「・・・ジ、ジャ・・・」

 ラブ・あゆみ・圭太郎「ジャ?」


 湊「ジャ、ジャ、ジ、ジャ・・・ジャズダンスとヒップホップを・・・」


 ラブ「ジャズダンス?ヒップホップは知ってるけど・・・」

 あゆみ「あら、ジャズダンスを踊れるの。素敵ねぇ」


 圭太郎「曲はやっぱりあれかい?A列車で行こうとか」

 湊「はい。後イン・ザ・ムードも」


 圭太郎「いやぁ、懐かしいね。今度是非見たいよ」

 ラブ「ねぇねぇジャズダンスって何!?」

 ラブは一人置いてきぼりにされそうになって焦りながら圭太郎の服の袖を引っ張りながら聞いた

 圭太郎「ジャズミュージックに合わせて踊るダンスの事だよ。結構難しいんだよ」

 ラブ「へぇ。そんなダンス踊れるんだぁ」

 ラブはあからさま湊にそのダンスを見たいと言う眼差しで見つめた。
 湊はだいたいそう来ると予想していたので、くすっと笑った

 湊「今度見せてあげるわよ」

 ラブ「ホント!?やったー!」

 湊の返事にラブは両手を大きく広げてオーバーに表現した。しかし、それはラブの素の喜び方なのだ。
 その後は夕飯を食べ終え、湊とラブは一緒に入浴し終えてパジャマに着替えておやすみと挨拶を交わしてそれぞれの部屋に入っていった

おつー

楽しく読んでるよ

>>153
木の精霊?じゃあ、カイトは現れない?というかこの話の設定的にも出せない?

>>156
ありがとうございます

>>157
それは、お楽しみに♪


 湊「・・・そろそろいいわよね」

 
 湊は桃園家の全員が寝静まった真夜中に目を覚ました。布団を退かしてベッドから降りて、部屋から出て静かに階段を降り、玄関で靴を履いて外に出た。
 家の外に出ると湊はロックシードを取り出してリリーススイッチを押し、ローズアタッカーをビークルモードにした。
 湊は一応の為とクローバードライビング感謝祭で購入したピンク色のヘルメットを被ってローズアタッカーに跨がった。

 
 湊「出来るだけ人がいない場所がいいわね・・・」


 そう言ってサイドスタンドを上げ、なるべく音を立てない様にエンジンを吹かし走行し始めた。
 湊が何故このような行動をしているのか、目的は何なのか

 
 しばらくして誰も居ない河川敷に辿り着いた。ここでいいかと湊は思い、坂を降った。


 湊「・・・これを使えば、ヘルヘイムの森に行けるのかしら・・・」


 そう湊の目的はローズアタッカーでヘルヘイムの森に行けるのかと言う疑問を解く為だった。
 一定速度に達する事でローズアタッカーはヘルヘイム森に繋がる裂け目を作り出す。そうすればヘルヘイムの森に行き、何か手掛かりとヘルヘイムの実を使ってロックシードが手に入るかもしれないと考えたからである。


 湊「・・・行くわよ」


 湊は二度深呼吸をして意を決してスロットルを全開にまで回した。音は最低限出したくないのだがどうしても疑問を解き明かしたいと言う概念で掻き消した。

 ローズアタッカーは夜風を切り裂きながら走行して最高速度に達した。
 通常このままの速度を一定に保っていれば空間が裂ける筈だ。

 
 湊「っ・・・」


 しかし、長距離を走行しても裂け目を作り出す際に出る表示が出てこない。
 湊はこれ以上は無理だと判断し、ブレーキを掛けて停車した。その途端に辺りが不気味に静まり返って、恐怖すら覚えそうだ。


 湊「・・・行けないのね」


 湊はヘルメットを脱いで頭を降って髪を揺らした。もしかしたらこのバイクは壊れているのか、或いは誰かの細工で行けなくなってしまっているのか、どちらにせよヘルヘイムの森に行けない事に変わりはない。 


 湊「・・・しょうがないわ。帰りましょ」 
 
 湊はもう一度やった時点で何もないだろうと諦めて、もう一度ヘルメットを被り、エンジンを吹かして坂を一気に登り桃園家に戻っていった



 湊「・・・(・・・今思い出したけど、プロフェッサーの所持していたレモンエナジーはどこにいったのかしら・・・)」


 湊はふと自分がピーチエナジーロックシードだけしか持っていないことに疑問を抱いた。
 あの時戦極凌馬は戒斗の・・・否、自分自身の手によって葬られた。その時、手に入れたのが今自分が所持しているゲネシスドライバーだ。
 その際にレモンエナジーロックシードも入手した筈なのだが、この世界に来て自分の所有物を確認した際に自分の財布とレモンエナジーロックシードが無かった。
 しかし、財布は見つかり所持金も免許証もあったので何とかなったが、レモンエナジーはどこにも無かった


 湊「・・・(これはただの偶然なのかしら・・・)」


 そう考えながら走行している内に桃園家の家の前に到着した。湊はゆっくりドアを開け、家の中を静かに移動して階段を上り、借り部屋に入室してパジャマのままだったので、すぐにベッドに入って眠りについた

気になってたんですが更新の時間が9時頃から11時頃だったり3時頃だったりしてますが作者さんは授業のない大学生さんですか?

>>161
いえ、現役の高校生です。来週受験ですが

朝電車に乗ってる時にスマートフォンで下書きをして、更新をしています

>>162
どうもありがとう
高校生でこのクオリティはすごいですね


 ラビリンス幹部達のアジトである占い館で、男の悲痛が上がった。 
 
 ウエスター「頼むー!取るつもりは無かったんだー!」



 イース「ウエスター、貴方本当にメビウス様を怒らせたいの?」
 
 ウエスター「いてててて」

 ウエスターは椅子にロープで縛られ、目をつり上げ4つほど青筋を立ててウエスターの頬にグリグリとカードの様な物をめり込ませているイースの拷問に近い尋問を受けていた。
 イースの手に持っているカードの様な物は、ウエスターの免許証だ。しかもゴールドである。

 ウエスター「つ、つい雛田さんの誘いに乗ってしまって・・・成り行きで取ってしまったんだ・・・」


 イース「そんな事どうでもいいのよ。誰よ雛田って。いい?私達は人間共を不幸に陥れて、不幸のゲージを溜めなければならないのよ」


 ウエスター「そ、そんな事は俺だってわかっている!」


 イース「じゃあ何でバイクなんかの免許なんて取るのよ!」


 ウエスター「うっ・・・。バ、バイクに乗って風を切りたかったんだ!」


 イース「わけがわからないわよ!」

 遂にウエスターは見苦しくも逆ギレしてイースに反抗し、イースもそれに怒り爆発した。
 数分前。イースとウエスターだけだった時、ウエスターが椅子から立ち上がった際にポケットから何を落としたのに気付かず、そのまま部屋から出ようとした所イースがそれを拾い上げてウエスターに声を掛けて渡そうとした。ウエスターは何を落としたのだろうとイースが差し出している手に握っている物を見た瞬間、顔が青ざめて冷や汗を滝の様に流し始めた。
 ウエスターは噛みながらお礼を言って即座にイースの手から取ろうとしたが、イースも何を落としたのか気になって見た瞬間、イースとウエスターは氷ってしまったかの様に固まった。
 そして、現在に至る。

 イース「大体、車の免許を持っているじゃない」


 ウエスター「車は別だ!バイクは男のロマンとやらなんだ!それをわからないくせに!」


 イース「わからないわよ、そんなもの。とにかく!これは処分するわよ」


 ウエスター「なぁあぁあ!?そ、それだけはやめてくれぇ~~!」

 ウエスターは火事場のバカ力と言う奴なのか、歯を食い縛って無理矢理ロープを引き千切り拘束を自力で解いた。
 それにはイースも驚いて、目を点にした。
 その間にウエスターはイースから免許証を奪い返そうとしたが、足が床に引っ掛かってしまった。
  
 ウエスター・イース「えっ」

 そして、ドターン!と大きな音を立てて占い館が揺れた

 ウエスター「いぃてててて・・・」

 ウエスターは辛うじて頭をズラしてイースの顔とぶつからずに済んだが、床に顔面をぶつかつけてしまい額が赤くなっていた。

 ウエスター「だ、大丈夫か?イース」


 イース「え、ええ・・・って」

 
 サウラー「さっきから何をドタドタと騒いでるんだい・・・」

 
 サウラーはどこかに行っていてたかわからないが、ドアを開けた瞬間に固まった。
 それは、ウエスターとイースも同様だった。サウラーからはどこからどう見てもウエスターがイースに覆い被さっている構図にしか見えないのだ。
 それに加えイースは背中を打って少し痛かったのか涙目になっていた。
 

 サウラー「・・・」

 バタンとサウラーは何も見なかったと自分に言い聞かせながらドアを閉めた。
 その間ウエスターとイースは固まったままだったが、先にイースの意識が覚醒してやかんの様に頭から湯気を出して顔を真っ赤にした。

 
  その後、乾いた良い音が鳴り響いた

>>163
どうもありがとうございます。
そう言ってもらえると嬉しい限りです!

イースかわいい

男のロマンとかウエスターの奴カッコいいこと言いやがる。


 西「(くそぅ、イースの奴め~)」

 ウエスターは人間体の西になって、道を歩いていた。頬に季節外れの紅葉を咲かせて西が歩いているのは公園のルートに続く道だった。
 木々に止まっている小鳥の囀ずりが聞こえて痛めた心を癒してくれそうなのだが、西には全く関係なかった。

 西「(たまたま足が引っ掛かってああなっただけなのに・・・まぁ、免許証は返してもらったが)」

 西は先程までの出来事を思い返しながら頬を撫でた。指が触れその部分をなぞるとピリッと痛みが走って、まだ生々しくヒリヒリしているのがわかった。

 「季節外れの紅葉だな」

 
 西「ん?」

 ふと誰かに声をかけられて後ろを振り向くと、御座の上に胡座をかいて座っている青年がいた。
手塚海之だ。
 手塚はコインを3枚取り出して、ハンカチの上に置いてコインを見つめた。
 
 手塚「・・・アンタと喧嘩した奴は、大事な仲間なんだな」


 西「なっ!?ど、どう言うことだ!?」

 手塚は西を占いそう言うと、それが西にとって図星だったのか手塚に駆け寄って眉毛を揃い違いにし、膝と手を地面に付け唾が飛び散る程の勢いで食らい付くように問い詰めた。

 手塚「そいつはアンタにとって掛け替えのない仲間か、友人だろ?」


 西「そうだったらこれはどう説明するんだ」

 手塚は淡々と西に質問すると、西は目をつり上げながら不機嫌そうに自分の頬を指して質問で返した。

 手塚「それはアンタの自業自得だろ、そいつは恥ずかしかったんだよ。何があったかは知らないが」


 西「た、確かに俺が足を引っ掻けてしまってアイツを押し倒してしまったのは悪いとは思っているが・・・」

 手塚の納得のいく答えを聞いて西はブツブツと口に手を当てながら考え始めた。  確かに自分はメビウス様の下僕である上にラビリンスの幹部で、不幸のゲージを溜めなければならない使命を帯びている。
 メビウス様の邪魔をする者が居れば誰であろうと倒さねばならない。      それがあの忌々しいプリキュア共とサウラーが教えてくれたアーマードライダーとか名乗る鎧の戦士だ。
 いや、その事よりもっと簡単には考えよう。イースは何故あそこまで俺を叱ったのか・・・

 西「・・・あっ」


 手塚「わかったのか?」


 西「・・・そうか、アイツは俺を思って・・・」

 西は何故イースが怒ったのか、見当がつかいた。それは、単に怒ったのではなく、自分のために怒ってくれたのだ。

 手塚「お前自信は仲間とか友人だとか思ってないだろうが、本性ではそう思ってるんだ」

 西「・・・ふっ、ふははははは!そうか!そうだったのか!」


 西は突然高翌良かに笑いだして立ち上がったのに、手塚は西の行動を疑問に思った

 西「アイツは俺にとって仲間だ!いつもキツい事しか言わないが、それでも俺はアイツを仲間だと思っているんだ!」

 手塚「・・・変わった奴だな、アンタ」

 西はイースを改めて仲間と断言して、それを見た手塚は可笑しな奴と言う目で小さく笑った


 西「では、どうすればいいのだろうか・・・」

 西はイースと仲直りをすべく、何をすればいいのかを考え始めた。

 手塚「そいつは何が好きなんだ?」

 西「えっ?んー・・・」

 手塚の発言に西は腕を組んでイースの好きなモノを思い返した。
 アイツは本を読んだりはするが・・・それはサウラーの方だし・・・不幸のゲージを溜めると言ったらメビウス様だ。
 西は思い返す内に唸り始め、手塚は困っている西を見かねてコインを見ようとしたとき、西があっと声を上げた。

 西「アイツが好きなものは多分、ドーナツだな」

 手塚「そうか。なら、それをあげればいいんじゃないのか?」

 西「おお!それは良い考えではないか!」

 西は手塚の案に笑顔で指を指しながら、その案でいこうと考えた。

 西「よし。では、早速カオルちゃんのドーナツを」

 手塚「ただし。ただあげるだけじゃ駄目だぞ」


 西「えっ?どう言うことだ?」


 手塚「俺の占いでは何も言わずにあげると、そのままで終わってしまうぞ」

 西「何!?そうなのか!?」

 手塚「ああ。何せ・・・俺の占いは当たるからな」

 西「む~~・・・。とにかく、先にドーナツを貰ってくるとしよう。考えるのはその後だ」

 
 手塚「仲直り、出来るといいな」

 西「ああ!色々とすまなかったな、これを受け取ってくれ」
 
 そう言うと西はコインを置いているハンカチの上に財布から取り出した金色に輝く500円硬貨を置いた。

 西「では」


 手塚「ああ。頑張れよ」

 西は手を上げて別れを告げ公園に向かい、手塚はその背中を見送って再び客が来るのを待った。

 手塚「・・・本当は、別の意味で大事な人なんだけどな・・・。まぁ、いつか気付くか。・・・ん?」

 「はぁ・・・全く。本当にアイツは・・・」

 手塚「・・・これは偶然だな」

 「え・・・?」

 手塚「さっきアンタとは真逆な奴と会ったぞ」

 西はカオルズドーナツカフェに着いてカオルちゃんかに理由を話すと、カオルちゃんはなるほどと納得してドーナツをくれた。
 西は満面の笑みでカオルちゃんに感謝して急いで占い館に走って帰っていった
 因みにその日はたまたま湊は非番だった為、西がカオルズドーナツカフェで働いてる事を知ることはなかった。

 ウエスター「イース!・・・あれ?居ない」

 ウエスターはドアを勢いよく開けたが、イースの姿が無かった。代わりにいつもイースが座っている場所に読み掛けの本が置かれてあった。
 
 ウエスター「おかしいな・・・どこいったんだ?」

 イース「何突っ立ってんのよ」

 ウエスター「ウェイ!?」

 突然後ろから現れたイースにウエスターは驚きのあまり変な声を出した。そんなウエスターにイースは眉を潜めて部屋に入った。
 手には何かを隠しながら持っていた。
 
 ウエスター「あ、あのだな、イース」

 イース「ね、ねぇ、ウエスター・・・?」


 ウエスター・イース「さっきはすまなかった/さっきはごめんない」

 ウエスター・イース「・・・え?」


ウエスターとイースはほぼ同時に頭を下げて謝り、お互い不思議そうな表情で顔を上げた


 ウエスター「な、何でイースが謝るんだ?」

 イース「ア、アンタこそ、何で・・・」

 ウエスター「俺は、お前が俺の為を思って怒ってくれたのに、逆に俺が怒ってしまったことを謝ったんだが・・・」

 イース「そ、そう。・・・私は、少しやり過ぎたと思った事と・・・引っ叩いたことよ・・・」

 ウエスター「そ、そうか・・・。・・・じゃあ、お互いこれで・・・言い分は無しだな」


 イース「そうね・・・あっ、これ」


 そう言うとイースは手に隠し持っていた小さな紙袋を差し出した。ウエスターはそれを受け取って、中を覗くと穴がハート型のカオルちゃんのドーナツが1個入っていた

 イース「アンタが好きなモノってそれだけしか浮かばなかったから・・・」

 ウエスター「お、そ、そうか・・・じゃあ、俺もこれ」

 ウエスターはキョトンとしたまま、イースと同じだが少し大きい紙袋を差し出した
 イースは受け取って中を覗くとカオルちゃんのドーナツが3個くらい入っていた

 ウエスター「俺もお前が好きなものはドーナツしか思い浮かばなくてな・・・」

 イース「・・・そう。・・・_____」


 ウエスター「ん?何か言ったか?」


 イース「べ、別に何も!さっ、とっとと食べなさいよ」

 ウエスター「?。あ、ああ・・・」

 イースは読み掛けの本を置いていたソファに腰を掛け、ウエスターから貰ったドーナツを紙袋から1つ取り出して一口食べた。
 ウエスターもテーブルの椅子に座って、イースから貰ったドーナツを取り出して食べた。
 ウエスターは1つしかなかったのでドーナツをすぐに食べ終えた。
 食べ終えた後はただぼんやりとイースがモグモグとドーナツを食べているのを眺めた


 イース「・・・ウエスター」


 ウエスター「んっ、何だ?」


 イース「・・・はい」


 イースは最後の1つのドーナツを半分にして、何故か頬を赤くしてウエスターに差し出した。


 ウエスター「あ、え、あ、ありがとう・・・」

 ウエスターも照れくさそうに後頭部を掻きながら、半分にしたドーナツを受け取って少しずつ食べた。

 ウエスター「・・・(何故だ。いつもと同じドーナツなのに・・・)」


 イース「・・・(美味しいわね・・・)」


 ウエスターとイースは会話もなくそのままドーナツを食べ終えた。
 他に何か言いたいのだが、謝るタイミングが同時になってしまい、何も言えばいいのかわからず一日を終えた。

今日はここまで

>>166
自分で書いてる内にこんな可愛い子になっちゃいました(笑)

>>167
男のロマンっていいですよね!

 ウエスターとイースのあまずっぺー展開になった日のもう一枠。
 

 
 湊はその日は非番だったので、ラブにジャズダンスを見せると約束をした為手を引かれながら、いつもダンスの練習をするために使う広場に向かっていた。 

 湊「ラブ、そんなに急がなくても」

 
 ラブ「だって早く見たいんだもん!」
 
 そう言ったやり取りをしている間に、広場に着いた。そこには美希と祈里、濃いピンク色の紙をオールバックにして右前頭部の髪の毛が跳ね出している女性が居た。

 美希「あれ?湊さん」


 祈里「こ、こんにちは」


 湊「こ、こんにちは。蒼乃さん、山吹さん」

  
 美希と祈里は湊が来ることを知らなかった様でキョトンとしながらも、会釈をした。
 

 ミユキ「ギリギリセーフだったわね。ところでそちらの方は?」


 湊「お初にお目にかかります、湊耀子です。ラブの義姉と言った関係の者です。いつも、ラブがお世話になってます」


 ミユキ「あら、そうなんですか。初めまして、ミユキと申します」


 湊は説明が長くなるので、義理の姉と簡略して名乗った。
 ミユキも初めてラブに義理の姉がいると知ったので自分からも名乗った。

 美希「何で湊さんも連れてきたの?」


 ラブ「実はお姉ちゃんがダンスを見せてくれるって約束してくれたから、今日は皆にも見せてあげたいと思って」


 ミユキ「ダンス踊れるんですか?」


 湊「はい。でも、それほど大したものではないですが・・・」

 ミユキは湊がダンスを踊れるのかと聞くと湊はあまり自信がないのか謙虚に言った。
 実のところラブとあゆみ、圭太郎に見せるつもりだったので、まさか他にも見せるとは思っていなかったから少し本心では緊張しているのである。

 美希「手話ダンスの事?」


 ラブ「ううん。ジャズダンスとヒップホップだよね?」


 湊「(ジャズダンスだけしか言ってなかった気が・・・)え、ええ」

 
 美希「えぇ!?そんなに踊れるんですか!?」


 祈里「スゴいですね・・・!」

 
 美希と祈里は湊は大人の女性っぽくてあまり激しいダンスを踊らないイメージだったので三種類も踊れるとは思っても見なかったので驚いた。

 湊「そ、それほどでも・・・ないのだけど」 

 湊は段々プレッシャーに押され始めてこめかみから、嫌な汗を一滴垂らした
 ミユキはダンスの事は専門分野なのでジャズダンスはあまり見たことはないがヒップホップは見かけたことがあるので興味を持った

 ミユキ「湊さん。是非踊ってもらえませんか?」


 湊「はい。頑張れます」


 湊はもう逃れられないと覚悟したらしく、大きく溜め息をついて自分の心に成せばなると言い聞かせた。


 ミユキ「じゃあ、お願いします」

 湊は円形のステージに立ち、ラブ達はステージを囲む様に造られた段差の上に座っていた。
 湊は桃のストラップを付けたピンク色のスマートフォンを操作してアプリから自分のお気に入りの曲を選んで、自分から離れた場所に置いた。


 湊「行きます」


 湊は右肘を左腕で固定しながら筋を伸ばし、爪先を地面に付けて軸にし、足首を回した。 
 そして曲が流れ始めた。最初の曲はIn THE Mood。
 1939年にグレン・ミラー楽団が演奏しヒットした代表曲だ
 サクソフォーンによる軽快なテーマのフレーズ、トランペットのフレーズなど全般に渡る華やかな曲調が魅力的な曲である。
 湊は右足を軸に左足を抱える様に曲げて回転をし強く左足を落として、ラブ達からの視点で後ろを向いている方向に止まり左腕を上に向かって指先まで伸ばし、右腕も指先までピンと伸ばした。
 振り替えって、晴れた日の道を散歩をしているようなイメージで空を見ながら左右に動き、足踏みをして右腕を斜め上に指先まで伸ばして、左上は左に伸ばして左足を軸に右足の爪先だけを地面に付けたまま像の様にピタッとポーズを取った。
 ラブ達は華麗に踊る湊に見入ってしまいラブは開いた口が塞がらないのかポカンと少しだけ口を開けたままで、美希と祈里は口元に手を当て湊のダンスを見て「凄い」と小さく呟いた。
 一方でミユキもまるで何か宝物を見つけたかの様なキラキラとした目で湊のダンスを見ていた。
 曲がクライマックス間近になって湊は右腕を天に向けて伸ばし顔を少し上に向け、左腕を曲げて手は胸の前に止めると左足を軸に右足を絡ませる様にして、四回転をした後曲のフィニッシュと共にポーズを決めた。

 次に流れてきたのは重厚である上にテンポの速い爽快なリズム感のある曲だった。
 その曲は少しだけホラーの要素があるが、怖さとは裏腹に洗礼された曲調も重ね合わせてある。

 曲目は作詞 ISSA、作曲 今井大介 
               「Chosen Soldier」

 湊は親指を中指に引っ掻けフィンガースナップをしながらリズムを取り爽快に踊り出した。
 ステップを踏んで空を切る様に足を上げて、リズムに乗りながら腕を振った。

 手を後ろに回したまま、右足の踵を地面に付けながら爪先を少し上げ左足の爪先を下に向けながら右足の後ろにスライドさせ、次に右足の爪先を地面に付けながら左足を前に入れ換えた。そして今度はその反対で左足の踵を地面に付けながら、右足の爪先を下に向けながら左足の後ろにスライドさせ入れ換えるヒール&トゥー。

 その動作を上半身だけをブレることなく続けた。 
 
 ヒール&トゥーの次に一歩バックステップして右腕を曲げて何かの出口をイメージするようにそれを潜り抜けて後ろを向き、両手で円を描くように大きく回した。

 
 ステップを踏んで振り返り、右を向いて何かを身に纏うなイメージで体に沿って右手を下し今度は左を向いて左手を体に沿って下ろした。

 そして両手を顔の側面で手だけを動かして仮面を被る様なイメージで動かし、今度は両手を
高く頭上に上げて何かを掴むような動作をして胸の前まで下ろした。

 両手を重ねたまま右から左に移動させ一旦開いて閉じ、ステップをして一回転し曲のフィニッシュと共に右手を帽子のつばを押さえるように頭に付け、左手を曲げたまま止め走るようなポーズを決めた


 ダンスを終えた瞬間、はち切れんばかりの拍手が聞こえてきた。湊はおかしいと思った。 
 何故なら自分を含めこの場には5人しか居ないはずなのに、拍手の音が多いのだ。
 湊は恐る恐るラブ達の方を見て、顎が外れたように口を開いて絶句した。
 そこにはいつの間にか大勢の若者達が集まって、携帯電話のカメラをフラッシュさせながら写真を撮ったり感想を友達同士と話していた。

 ラブ「凄いよお姉ちゃん!」

 
 美希「どっちのダンスも完璧でしたよ!」


 祈里「あんな速い曲なのに踊れるのってかっこいいです!」


 そんなラブ達の声がするが、湊の耳には入ってこなかった。

 ミユキ「湊さん」


 湊「は、はい!」

 ミユキが湊に近寄って声を掛けると、湊はビクッと体を揺らして我に返りビシッと直立不動になった。

 ミユキ「ズバリ・・・」


 ミユキは焦らすように腕を組んで俯きながら、目を瞑った。湊はそれが威圧感に感じるのか耐えるかのように口を一文字に結んだ。


 ミユキ「・・・最っっっ高でした!」


 ミユキは目を輝かせて湊の両手を素早く掴んだ。それには湊も仰天して目を点にした。

 ミユキ「あの余裕ある笑顔、重くも素早いキレ、軽やかな足捌き・・・どれも一級品です!」

 湊「は、はぁ・・・」

 ミユキ「まぁ、ちょっと残念だと思うのは・・・」

 ミユキは湊のダンスの良さの感想を興奮気味に言っていたが、どこかが悪かったのか湊の全身を見た。

 ミユキ「カンフー服ね」


 そう、湊はカンフー服で踊っていたのである。それに気付いた湊はボンッと効果音を出しそうな程顔を真っ赤にした。

 ミユキ「でも、そんなことは気にならないほどスゴかったですよ!」

 湊「そ、うです、か」


 湊はあまりの恥ずかしさに逃げ出したくなるが、ミユキが両手を強く掴んでいるのでとうしても逃げられないのだ。

 その後何とか若者達の熱い視線や歓声を背に受けながら湊は肩を落としながら負のオーラを出して、正反対に上機嫌なラブと一緒に帰っていった。
因みに着替えれなかったのでカンフー服のままだったとさ

ちょっと本編休憩でふと思い付いたネタ


「・・・はぁ」

 息を吐くと白い雲とは違うがよく似ている塊が空気に紛れて消えていった。
 青年は寒空の下で頬に当たる冷たい北風を受けながら、木の欄干に手を置き湖を見つめる。
 北風で水面が小さく波を作りだして太陽の光で反射し宝石の様に輝く。

 「・・・深央さん・・・」
 
 青年は自分が初めて恋をした女性の名前を口にした。彼の脳裏に彼女の最期を見届けた場面が鮮明に移った。
 
 「・・・僕は、まだ未央さんの事・・・」

 「あぁ~~もう、巧ったらぁ」

 青年が俯きながら自分の本心に耽っていると隣から不機嫌そうな声が聞こえた。横を向くと少し子供っぽいが大人びた雰囲気を髪の長い女性が立っていた。
 癖のない髪が風で靡いて顔に引っ付き、それを邪魔そうに指で後ろに解かした。

 「えっ・・・」

 女性を見た瞬間、青年は目を見開いて肺に冷たい空気を送り込んだ。頭が混乱して考えるのが困難になる。その理由は、その女性があまりにも自分の初恋の相手に似ている、いや似すぎているからだ

 「急にどっか行くって行って、ほったらかしにして・・・今日は鍋焼うどんにするんだから」

 女性は誰かの小言を言いながら、キュッと締まった小さな口を尖らせて頬を膨らませた

 「あ・・・あ、の・・・」

 「ん?」

 青年は恐る恐る女性の方を向いて詰まりながらも声をかけ、女性は横を向いて青年を見た。
 お互い初対面なのだが、青年だけはその女性が初恋の相手の面影があるので初対面とは思えないほど親近感を覚えた。

 「あの・・・何か?」

 「あっ・・・いえ、すごく機嫌が悪そうでしたから、何かあったのかと思って・・・」
 
 「あっ、聞いてくれる?巧って言うんだけど、そいつに配達するの頼んでおいたのに急にどっか行くって言ってさ、私が配達する羽目になったんだよ!?酷いと思わない?」

 「そう、ですね・・・確かに約束は守らないと・・・」

 「でしょ?だから、今日の夕飯はあいつの苦手な熱っいモノにするんだから」


 「ちょっとその人可哀想に思えますよ・・・」


 「全然!あんな猫舌で生意気なヤツなんて・・・」

 青年はその女性が初恋の相手とはかけ離れてるのに速攻でわかって、苦笑いで女性の愚痴をずっと聞いてあげた。

 「はぁ~・・・なんかスッキリした。ありがとね」

 「いえ。気にしないでください」

 長い愚痴を言い終えて深く溜め息をついて女性は青年に微笑みかけ、青年も苦笑いだった表情が微笑みに変わった。


 あっ、そう言えば、君名前は?私は園田真里



 僕は・・・紅渡です。


 その後二人は別れを交わして別々の道に進んで行った。

 
 湊「いらっしゃいませ」


 湊がこの世界に来てから数日が経ち、仕事にもすっかり慣れた湊は笑顔で接客をするようになった。
 
 「あっ、この新作のバナナピーチドーナツとココアをお願いします」

 
 湊「はい。かしこまりました」

 注文された品を素早く書き、車でドーナツを作っているカオルちゃんに報告した。
 因みにバナナピーチドーナツとは以前カオルちゃんが湊に桃にどれが合うのか聞いた際にバナナと湊が言ったのでそれを元に作り、湊に試食をしてもらったところ美味しいと評価されたので店に出すことにしたと言う。

 湊「お待たせしました。バナナピーチドーナツとココアです」


 「わぁ!美味しそう!」

 バナナピーチドーナツを注文した女性客は手が汚れないように包んである白い紙の部分を持ちながら一口食べた。
 辺りに花を浮かせながら目を細めて頬を染め、手を当てながら幸せそうな表情をして美味しいと一言言った。

 湊「新作のドーナツ、大人気ですね」


 カオルちゃん「うん。これもお姉さんのおかげだよ」


 湊「そんなことないですよ」


 湊はカオルちゃんに煽てられて少し嬉しそうに微笑んだ。カオルちゃんは次のを作ろうと、いつも果物を保管する小型の冷蔵庫を開けてみると、いつの間にか桃が最後の一個となっていた。バナナは冷蔵庫での保存はNGなのでまだ少しは残っている。

 カオルちゃん「お姉さん、買い出しお願いできるかな?桃が無くなりそうだから」

 湊「あっ、はい。わかりました」


 カオルちゃんは茶色の封筒を湊に差し出し、それを湊は受け取った。中身は材料を買うための資金だと思われる。


 湊「すぐに戻ります」


 カオルちゃん「あんまり急がなくてもいいよ」


 湊は封筒をエプロンのポケットに入れ、いつもの果物屋に向かった。
 向かう途中で、湊は手塚と初めて出会った場所に通りかかったが、そこに手塚の姿はなかった。

 湊「・・・まぁ、いつか会えるわよね」


 湊は少し残念そうに溜め息をついて果物屋に足を進ませた。果物を買うのは週に何度かなのだが、その度にこの道を通るが全くと言って良いほど手塚に出会さない。
 前にジャズダンスを見せると約束した日の時もこの道を通ったが、その時も居なかった
 それはただの運が悪いだけなのか、仕組まれて会えないのか謎のままなのだ

前回も言おうと思ったがあまりネットで個人情報やら年齢、学年を書き込むのはよした方が良い

何はともあれ受験お疲れ様


 湊は果物屋で桃の入った薄茶色の紙袋を抱え、小走りでカオルズドーナツカフェに戻っている途中、通りかかった公園で少女が啜り泣きをしてるのが見えて湊は少し心配になって公園の入り口から入り、少女に駆け寄った。

 湊「どうしたの?」

 湊は屈んで少女と同じくらいまで目線を合わせて話しかけた。少女は5歳くらいの年頃だろうか、淡いピンク色のワンピースに赤と白のチェック柄のポシェットを肩に掛けていた。

 「ふ、ふうせん・・・」

 少女は目からポロポロ流れる涙を小さな手で拭い、言葉詰まりながら指で木を指した。そこには赤い風船が木の枝に引っ掛かり、そよ風で小さく靡いていた。

 湊「あぁ・・・取れなくなっちゃったのね」

 湊はこの少女ではあの高さまで届かないと理解して、少女の頭を撫でた。癖のないサラサラとした髪だ。
 湊は桃の入った紙袋を地面に置いた。そしてジャンプして取るのかと思ったが、風船のある位置は3メートルある。それはさすがに湊も無理があるとわかった。
 どうしようかと唸りながらしばらく考え、電球が点いたかの様に何かが閃いた。

 湊「ねぇ、あの風船を取るから約束してくれる?」

 「やく、そく・・・?」

 湊は少女の手を取りながら、優しい笑みで接して話しかけた。
 少女は首を傾げながら聞くと、湊は頷いた。

 湊「そう、約束。出来る?」

 「・・・うん。やくそく、する」

 湊は少女の言葉に微笑みながら頭を撫で、立ち上がった。辺りを見渡して誰もいないかを確認すると、何を思ったか懐からゲネシスドライバーを取り出して腰に巻いた。
 少女はキョトンとしたままでいると湊はピーチエナジーロックシードのリリーススイッチを押した。

 『ピーチエナジー』

 すると桃の形を鎧がクラックから現れた。それを見た少女は目を点にしてポカーンと口を開けたまま固まっていた。

 湊「変身」

 湊はしなやかに腕を背中に回してから、前に戻す反動を使って装着し、ピーチエナジーロックを固定した

 『ロック・オン』

 『ソーダ』

 シーボルコンプレッサーを押し込んでから離し、エネルギーがコンセントレイトポッドに溜まった。
 
 『ピーチエナジーアームズ』

 桃の形をした鎧が湊の頭に、被らされて黒とピンクのアンダースーツを身に纏い鎧が開いてマリカに変身した。

>>183
すみません。以後気を付けます

ありがとうございます


 マリカは軽く跳躍して、風船のある高さまで瞬時に届き紐部分を摘まみ、割れないように枝から離して、落下していき地面に着地した。
 目の前に降り立ったマリカを見て、少女は幼いためまだ何が起こったのかすら、理解できず混乱していた。
 
 マリカ「はい」


 湊は仮面越しで微笑みながら手に摘まんでいる風船の紐を差し出した。少女は初めは困惑して戸惑っていたが、ゆっくりとマリカから風船を受け取った
 
 「あ、あり、ありがとう・・・」

 マリカ「いいの。貴女が泣いてるの見てたら放っておけなかっから」


 少女は上手く舌が回らないが、お礼を言った。そんな少女を見て湊はクスッと笑い変身を解いた。

 「お、お姉ちゃん・・・」

 湊「良い?この事は、お母さんやお父さん、先生や友達にもいっちゃダメだよ?」

 湊はもう一度少女に屈んで目線を合わせながらシーっと人差し指を立てて口元に当てジェスチャーをした。

 湊「じゃあ、さよなら」

 湊は置いていた紙袋を手に取り、公園の入り口から出ていき風の様に去っていった。
 少女は一瞬だか、あっと小さく叫んだ。しかしどう答えればわからないまま立ち尽くして、湊を静かに見送った。

湊さんが普通にカッコいい


 カオルちゃん「んー・・・今日はこの辺で閉めようかな」

 湊「そうですね。お客さんも来ないみたいですし」


 湊が買い出しから帰ってきて数時間経った頃、来客が来なくなるのを見計らってカオルちゃんと湊は店仕舞いをしようとした。


 「あの、すみません」

 湊「あっ、申し訳ございません。もう閉店の時間で・・・。!、さっきの・・・」


 湊はドーナツを買いに来た客かと思ったが、そこに居たのは先程泣いていた少女とその母親だろうか少女が成長したら多分似ていると思うセミロングの女性が立っていた
 湊は一瞬まさか自分の正体を言ってしまったのかと思ったが、母親の反応を見る限りその可能性は無くなった。

 「ほぉら、さな」


 「えっと・・・えっと・・・」


 さなと呼ばれた少女は母親に背中を押されて一歩前に進み、モジモジと手を後ろにしながら、俯いて口をモゴモゴとさせて何か言いたげにしていた。
 湊は何かと思いモジモジとしている少女の目の前に近寄って、あの時と同じ様に屈んで目線を合わせた。

 「・・・ふ、ふうせんをとってくれて、ありがとう。お姉ちゃん!」

 湊「え・・・?」

 少女は目を一瞬キュッと強く瞑って、幼きながらも意を決して顔を上げ湊の目を見つめながら、大きな声ではっきりとそう言った。
 湊はあの時、微かにありがとうと言っていたから、気にはしていなかったのでそれを聞いて少し驚いた。

 「この子ったら、お姉ちゃんにちゃんとありがとうって言いたいって言いい出したんです。
 引っ込み思案な子ですから、私も驚きましたよ。私からも、ありがとうございました」

 湊「い、いえ。本当に放っておけなかったですから・・・」

 湊は少女がお礼を言った理由を母親から聞いて、母親も頭を下げてお礼を言ったので湊は少し戸惑いながらも手をパタパタと横に振った。

 「お、お姉ちゃん・・・これ・・・」

 湊「?。これは・・・?」

 少女は後ろに隠していた小さな水色の白の縞模様の紙袋を差し出して、湊はそれを受け取った。中から甘い、こんがり焼けた良い香りがした。
 
 「クッキー・・・つくったの。あんまりじょーずにできなかったけど・・・」

 少女は少しだけ頬を赤らめて手をモジモジさせた。湊はそれに少しだけ嬉しくなって、その少女を愛おしくなり、ギュッと強く抱き締めた。

 「わわっ。お、お姉ちゃん・・・?」

 湊「ありがとう。すっごく嬉しいわ。幸せゲットって感じね」

 湊は少女から離れて明るく微笑むと、少女は最初はキョトンとしていたが次第に明るく笑って今度は少女から湊に抱きついた。

 湊は驚きつつも少女をしっかり抱き締めて改めて、この世界は本当に温かいと思った

ここまで。

>>187
湊さんは普通に良い人ですもんね。

 
 ラブ「ん~・・・むにゃむにゃ・・・」

 タルト「くぉ~くぉ~」

 シフォン「スゥ・・・スゥ・・・」

 草木も眠る丑三つ時、ラブが掛けている布団の上にタルトとシフォンが、タルトは豪快に鼾をかいてラブとシフォンは規則正しい寝息を立てて寝ていた。
 ダンスの練習などで疲れきった体を休ませる長い長い休憩とも言われるラブのちょっとした至福の時だ。

 シフォン「スゥ・・・プリップ~」

 シフォンは寝返りをうった途端に、無意識の内に超能力を使ってしまい、額の四つ葉のクローバーの様な模様が光だした。
 次の瞬間、シフォンを黄緑の光が包み込んで一瞬にしてシフォンを消してしまった。しかし、ラブとタルトはそれに気付く筈もなかった。

 白く雲の様なフカフカとした光の空間に、シフォンはポフンと音を立ててどこかわからない場所に来てしまっていた。

 シフォン「キュァ・・・?キュァ~~」

 シフォンは大きな欠伸をして目を覚ました。まだぼんやりとしているのか、目が半目になっている。

 シフォン「キュァ?ラーブ、ミナトー」

 そしてやっと目が冴えたようで周囲を見渡した。見知らぬところで目を覚ましたので、シフォンはラブと湊を呼んだ。

 「ーーー?」

 シフォン「キュア?」

 その時、声が薄く聞こえてシフォンは振り向くと、誰かが居ることがわかったが姿がよく見えない。
 その人物はシフォンに近づいてきた。
  
 「ーーー、ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー?」

 シフォン「キュァ、ミナト、ミナト」

 その人物の声も何を言っているのかよくわからないが、シフォンは何かが伝わるのか湊の名前を言った。
 
 「・・・ーーーーーーーー、ーーーーーーーー・・・」

 シフォン「キュア?」
 
 その人物はシフォンはまだ話せないことに気付いて、何かを期待していたのか溜め息をついたように見えた。シフォンはそれを見て、首を傾げた。
 その人物は顎に手を添えるようにして、何かを考え始めた。そして何かを思い付いたようにポケットから何かを取り出した。
 「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー、ーーーーーー?」

 シフォン「キュア?キュア」

 その人物はシフォンが理解したかの様に頷いたので、中腰の態勢になってポケットから出した物を差し出した。

 「ーーー、ーーーーーーーーーー」

 シフォン「ヨーコ?」

 「ーーー、ーーーーーーーーーーー。ーーーーーーー」

 シフォン「キュァ、ヨーコ、ヨーコ」


 その人物は湊の名前を知っていた様でシフォンか湊の名前を言い始めた。そして、シフォンは額の四つ葉のクローバーの様な模様を光らせて超能力で瞬間移動した。

 「・・・頼んだぞ」

 そう人物ははっきりと言って、どこかへ消えてしまった。


 湊「んっ・・・」

 丑三つ時から数時間経った、群青色に染まる空にはまだ薄く星々が点々と見える早朝。湊の一日が始まった。
 先ず眠気を誘う温もりを持っている布団を引っぺ剥してまだ少し重い上半身を無理矢理起こして、半目のままの目をキュッと強く瞑って両手を頭上で組んでくうっと息を短く漏らして伸びをした。
 数秒後、湊は独特の快感を味わって満足したように溜め息をついた。ベッドから足を出して床に降りて立ち上がり、窓に近づいてカーテンを勢いよく引っ張った。
 シャーッと音を立ててカーテンを開けると、湊は窓の外を見た。
 まだ朝の新聞を配達する郵便局さえも来ていない少し肌寒く感じる時間帯、それは湊の日課の一つを行う為の時間だ。

 湊「・・・よしっ」

 湊は頬を手で軽く叩いて踵を返し、物入れの引き戸を引いてその中にある突っ張り棒に吊るされている服を一着、カンフー服をハンガーから外して取り出した。それをベッドの上に置いてからパジャマを脱いだ。
 無駄な肉の無い筋肉のついた腕に、鍛えぬいて少しだけ筋肉の層を積んだ腹筋。湊の最大の武器とも言えるキュッと固く引き締まったしなやかな逞しい脚。
 湊は黄色に肩から袖まである黒いラインの入ったカンフー服のファスナーを下まで下げて最初に両足を入れてから次に腕を通してファスナーを喉まで辺りまで上げた。 初めは恥ずかしすぎて着るのを戸惑っていたが、今ではそれが嘘かの様に当たり前に着れるようになっていた。
 そして湊は着替え終えて、ドアを開け静かに部屋から出ていった。


 湊「はっ、はっ、はっ・・・」

 湊は一定のリズムで呼吸をしながら誰も通っていない薄暗い道でジョギングをしていた。
 この世界に慣れ始めて来てから、湊はこの早朝の時間を使ってトレーニングをしているのだ。
 四ツ葉町の大きな川が流れている河川敷の横にある道を走り続けて、湊はゆっくり立ち止まると坂を滑るように下った。
 そこは数日前にローズアタッカーでヘルヘイムの森に行けるのか実験をしてみた河川敷だった。
 湊は両足を少し広げて肩の力を抜き目を瞑って、精神統一をした。耳を澄ませばそよ風に揺れて葉と葉が擦れて音を立てているのが聞こえる。  
 深くゆっくりと深呼吸をして、目を開き両腕を腰に構えた。

 湊「フッ!」

 左足を軸にして右足のキレのある鋭い蹴りで空を切った。無音の世界で風切り音が響く。
 次に右足を地面につけて三連続で空を切った。
 最初は低く蹴って敵の足を狙い、次は少し高く上げて蹴って腹部、そして限界まで蹴り上げて顔部分を攻撃する様に見えた。
 
 湊「ハァッ!」

 今度は最初は右足を軸に左足の華麗な回し蹴りの後、左足を地面につけて軸にし右足の踵での回し蹴りを放った。
 


 アーマードライダーに変身すれば、通常より自分の力は強まり、超人的パワーを発揮する。だが、湊にとっての「変身」は「身体が変わり強くなる」ではなく「身体が変わる」と言うだけしか、認識はしていない。    
 何故なら、戦極凌馬の開発した誰も生み出した事もない性能は確かに十分過ぎる程の性能を誇るが、それはあくまでスーツやアーマーなどの事であり、本来の力を引き出すには自分自身が強くなければいけないからだ。
 
 湊「デェアァッ!」

 軽く飛び上がって天に向かって蹴るように右足を高く上げた。
 左足から地面に足をつけて、右足をゆっくりとつけた。体の芯から火照らせて、汗を滲み浮かばせ息を荒くしたまま止まった。
 カンフー服が汗を吸い、背中に張り付いて余計に熱を持たせ火照らせる。

 湊「はぁ・・・っ、はぁ・・・」

 暫く湊は、放心状態の様になり顔を下にしたまま地面を見つめた。

 湊「・・・~~っ、ふぅ」

 深く息を吸い込んで、重く吐息をついた。
 そして、顔を上げると目の前が急に明るくなって目を細めた。手を眉に当てながら帽子の鍔の様にして光からめを守った。
 建物の向こうから朝日が出てきたのだ
 それは新しい1日の始まりの象徴かに見えた

 湊「・・・さて、帰りましょ」

 湊は朝日を一頻り朝日を見つめて、今日1日の始まりに気合いを入れ直して桃園家に帰って行った。

黄色の中国服とかゲキレンのモネストハートかよ

>>194
どちらかと言えば、TIGER & BUNNYの舞台で佃井さんが実写で演じたホァン・パオリンと言うキャラクターが着ている方のカンフー服にしてます。
 画像ありますので、参考にしてみてください


 帰路を走り続けて、湊が桃園家に帰宅するとその頃には太陽が世界を照らしていた。
 まず家に入って、一度部屋からパジャマを取りに行き、汗を流そうと風呂場に向かった。風呂場に向かう途中居間から声がしないのでまだ誰も起きていないようだ。 
 脱衣場に入り、パジャマを置いてから汗で背中に張り付いたカンフー服に苦戦しながらも、何とか脱いで洗濯機に放り込み扉を開けて入っていった。
 
 左のレバーで温度を調節して右のレバーを前回に回すと少しだけ熱いお湯が降り注いだ。

 湊「んっ・・・」

 目を強く瞑って最初に顔で受け止めて額の汗を流し落とし、俯いて今度は頭で降り注ぐお湯を受け止める。
 若干跳ねた様な癖っ毛の髪質なので、シャワーから流れ落ちてくる水が毛先に溜まって雫になり、床に落ちて弾ける。

 湊「ふぅ・・・」

 髪の毛の奥の頭皮を伝って項からお湯が流れて背中の張りのある綺麗な肌を濡らし、小さく膨らんだ背筋を滴る。
 シャワーヘッドをフックから外して右肩からお湯を降り注がせ、引き締まった腕から指先までお湯をかけ今度は左肩からお湯をかけて腕から指先に、そして背中にお湯をかける。
 全体的に汗を流し終えたところでレバーを回してお湯を止め、フックに掛け戻した。
 敷物の上に乗って綺麗に置いてあるタオルを一枚手に取り、水の染み込んだ髪を拭いて体を拭く。拭き終わるとパジャマを着て、脱衣場から出た

続き楽しみにしてます!

>>197

ありがとうございます。
大変長らくお待たせしました

 
 居間のドアを開け入ると、シャワーを浴びている間に起きていたのか、あゆみがキッチンで朝食を作っていた。

 あゆみ「おはよう。耀子ちゃん」

 湊「おはようございます。食器出しますね」


 あゆみ「ありがとう」

 湊は挨拶を交わして、キッチンに向かい戸棚から皿を取り出した。ジョギングの後、シャワーを浴びてその後はあゆみと朝食を作るのを手伝う、これが湊の朝の日課になっていた。

 あゆみ「そこに置いてて」


 湊「はい」

 湊は四枚重ねた皿を置くと、蛇口から水を出して手を洗い、まな板を取り出してキャベツをザクッザクッと切り始めた。

 あゆみ「最近どう?」

 湊「大分馴れてきました。この町の人達とも楽しくやっています」


 あゆみ「そう。よかったわ」

 カオルちゃんのおつかいで、何度かクローバータウンストリートに訪れてくると初めの頃は商店街の魚屋の店主から頑張れよと大きな声援を受けて、戸惑ったりもしていた湊だったが今は明るく接する様になったので会う人と会話をしたりもするようになっていた

 あゆみ「でも、早いものね。耀子ちゃんがこの家に住んでから」 

 湊「そうですね・・・。あの、あゆみさん」


 あゆみ「ん?どうしたの?」

 湊は四枚の皿に切り分けたキャベツを盛り付けながら、口調は真剣に語った。

 湊「・・・そろそろ、この家から御暇しようかと思ってるんです」


 あゆみ「あら・・・どうして?」

 湊「皆さんとは本当に楽しい時間を過ごしたりして大変満足はしてるんです。でも・・・何時までも頼りっぱなしは良くないと思いまして・・・資金もそれなりに貯まってきたりもしたので・・・そう考えてるんです」

 湊は口調こそは冷静さを保っているが、どこか寂しげに聞こえる。あゆみはしばらく何も言わなかったが、少しして声を掛けた。

 あゆみ「耀子ちゃん」


 湊「はい・・・?・・・っ!?」

 湊は手を止めてあゆみの方を向いた瞬間、あゆみに抱き締められた。湊は抱き締められて混乱しそうになったが、頭に温かい感触で精神を落ち着かせた。
 頭にある温かい感触はあゆみの手だ。あゆみが湊の頭を優しく撫でている
 それは正しく我が子をあやすかのようでもある。

 湊「あのっ、あゆみ、さん・・・?」

  
 あゆみ「耀子ちゃん。私はね、耀子ちゃんの事を本当にラブのお姉さんになってもらおうかと思ってたの」

 湊「えっ・・・?」


 あゆみ「だって、貴女とラブが楽しそうにしてるのを見てたら本当の姉妹に見えちゃったもの。だから、正式に私達の家族に迎えようかってお父さんと考えてたの」

 湊「そ、そんな、私なんかが・・・」


 あゆみ「耀子ちゃん、甘えてもいいのよ。泣いてもいいし、怒っても、笑ってもいいから。全部私が受け止めてあげる。それが・・・家族だから」


 湊「・・・あゆみ、さん・・・」

 湊の目尻に次第に涙が溜まり、溢れ零れる。零れた涙は頬を伝って顎先に溜まり滴のように落ちて服に染み込む。

 あゆみ「此処に居てもいいのよ?誰も貴女を迷惑だと思わない。困ってる時は助けてあげるわ」

 湊「・・・はい・・・はぃっ」

 湊は泣いている顔を見てほしくないのか、あゆみを抱き返して顔をあゆみの肩に埋める
 そんな湊をあゆみは微笑みながら、泣き止むのを待ち続けた


 あゆみの抱擁で泣きはらした湊は、朝食を作り終えてあゆみにラブを起こしてくるように言われて階段で2階に上がっている。

 湊「(あゆみさんのおかげで、何だかスッキリしたわ)」


 湊は通路を歩いている途中、自室のドアの隙間から黄緑色の光が漏れたのに気付いた。湊は何かと思い、ドアを開けるとそこにシフォンがいた。
 
 湊「シフォンちゃん?」


 シフォン「キュア、ヨーコ、ヨーコ」
  

 湊はなぜ自分の部屋にシフォンがいるのか疑問に思いつつ部屋に入った。


 湊「どうしたの?私の部屋に来て・・・それに、呼び方変えたのかしら?」


 シフォン「キュア、プリップ~」


 シフォンは額の模様を光らせると、パッと湊の目の前に二つ出した。それを見た湊は目を見開いて驚愕した。

 湊「こ、これは・・・!?」


 それは紫色の皮に蔕部分が∩型状になって錠前のような形をしている果実「ヘルヘイムの実」だった。
 
 湊「シフォンちゃん、これはどうしたの!?どこで手に入れたの?」


 シフォン「キュア?」

 湊は焦ったようにヘルヘイムの実を両手に掴むと、シフォンに詰め寄った。
 もしもこの世界で侵食が始まっているのなら、今すぐにでも総理大臣だろうが何だろうが話さなければならない。

 湊「これは、この世界で見つけたの?」


 シフォン「キュア?キュア」


 湊の質問にシフォンは首を横に振ると、湊は一気に脱力したのかその場にヘナヘナと座り込んだ。それを見てシフォンは心配そうに見つめた。
 
 湊「・・・じゃあ、どこでこれを?」


 シフォン「キュア、キャアァ」


 湊はシフォンが何故ヘルヘイムの実を持っていたのかそれだけが気掛かりだった。
 しかし、幼いシフォンは何かを言おうとしているのだが、そう簡単には伝わらない。

 
 湊「・・・とりあえず、1つは保管しておくわ」


 湊は一個を机の上に置いて、押し入れの扉開けると、そこに置いてあったダンボール箱を引っ張り出してフタを開けるとその中にもう1つのヘルヘイムの実を入れてフタをした。
 そして押し入れの一番奥に押し込むと扉を閉めた。


 湊「・・・これは、持っておきましょうか」


 湊は机の上に置いてあるヘルヘイムの実を手にすると違和感を覚えた。それはヘルヘイムの実を手にすることで食べたくなる衝動が掛からない事だ。
 
 湊「どう言うことなの・・・これは、間違いなくヘルヘイムの実なのに・・・」


 その時コンコンっと誰かがドアを軽く叩いた。湊は咄嗟にポケットに入れて、焦りながらも「どうぞ」と言った。
 するとドアを開けて入ってきたのは髪の毛を解いたラブだった。

 ラブ「おっはよー、お姉ちゃん。あっ、シフォン此処に居たんだ」


 シフォン「キュア~、ラーブ」


 湊「ええ、いつの間にか居たのだけどね」


 ラブ「そっかぁ。あっ、お姉ちゃん朝ごはん出来てるの?」


 湊「ええ。さっ、行きましょ」


 ラブ「うん!」


 湊「・・・」


 朝食中、湊は頭を悩ませながらあゆみが作った料理と、自分が作ったサラダを黙々と口に入れていた。いつもなら、真っ先に美味しいと思うのだが今日ばかりは考え事が多すぎて途中で、咀嚼が止まってしまう。

 
 ラブ「お姉ちゃん?」

 
 湊「んぐっ・・・!?」


 突然ラブに呼ばれて、湊は驚き咀嚼の途中だったトーストを無意識に飲み込んでしまい喉に詰まったのか、咳き込みながら胸骨部分を拳で叩いた。
 それを見てあゆみは慌てて、カップを手に取り牛乳を注ぎ、湊に差し出した。
 湊はカップを両手で丁寧に受け取り、口に流し込んだ。食道に詰まっていたモノが無くなって、湊は息を荒くさせた。

 湊「ハァ、ハァ・・・ケホッ」


 ラブ「大丈夫お姉ちゃん!?」


 まだ少し喉に違和感があるのか胸骨部分を叩き、ラブも背中を擦った。しばらくすると、落ち着いてきたようで小さくため息をついた。


 湊「ごめんなさいね。もう大丈夫よ・・・」


 ラブ「どうしたの、お姉ちゃん?ボーッとして」


 湊「・・・」


 ラブの質問に湊は答えるか否か迷った。この世界がヘルヘイムの森に侵食されていないにしろ、この危険物がここにある時点で処分しないと考えは出ている。しかし、自分の中でどうしてもシフォンが何故これを持っていた真相を突き止めたかった。


 湊「・・・いいえ。何でもないわ」


 ラブ「そお?なら、いいけど・・・悩み事があったらいつでもいいから相談してね?」


 湊「ええ。ありがとう、ラブ」


 心配そうに湊を見つめてラブがそう言うと、湊は微笑みながらラブの頭を撫でた。
 ラブは頬を染めて、猫の様に目を細めて嬉しそうにしていた。

1乙・・
しかし桃に合わせるのに、すぐにバナナを思いつくのがかわいい。
ヘルヘイムの果実を持ってきたのは誰だろう(棒)
サウラー出たときリュウタロスを想像してしまった。
ドーナツ好きな魔法使いさんはさすがに出ないかな?
続きも楽しみに待ってます!

>>203 ありがとうございます♪

お節介な魔法使いさんねぇ・・・どうしようかなぁふふふ(棒


 湊「ありがとうございました」


 「美味しかったねぇ、あのドーナツ!」

 「うん!とっても!」


 午後3時を回って、遂に人気メニューにまで達したピーチバナナドーナツを食し終えた学校帰りの少女達を湊は見送っていた。

 
 
 カオルちゃん「お姉さん、今日は上がってもいいよ」



 湊「あっ、はい。ありがとうございます」


 カオルちゃんは潮時なのを見極めるのが結構達者で、大盛況の時は一生懸命にドーナツ作りに励みあまり客が来ない日には新作を考えたりなどしている。
 今日は昼頃はそれなりに客は来たが、午後になると先程の少女達だけが来たのでカオルちゃんはこの後は一人で出来ると思ったのだろう。

 湊「では、失礼します」


 カオルちゃん「うん。また明日よろしくね」

 湊はエプロンを脱いて綺麗に畳み、カオルちゃんに渡して会釈をしてから桃園宅に帰っていった。
 帰り道はいつもなら手塚と出会った道から帰るのだが、諦め半分なのかどうせ会えないだろうしと苦渋にも決断し、別の道から帰っている途中にそれはおこった。

 「ど、どうなってるんだー!?」


 湊「!?」

 突然すぐ横で叫び声が聞こえて、湊はラビリンスの襲来かと思い構えを取ったがすぐに構えが緩んだ。
 何故なら・・・

 「ねぇねぇおかあさん。なにやってるのかな?あのおとこのひと」


 「さ、さぁ・・・大道芸人かなにかかしら・・・」


 そこにはベンチにサラリーマンの男性と白い猫が居た。しかし、猫が喋っていて男性が猫の様な仕草をしているのだ。


 湊「・・・勘違いかしら」


 湊は最初こそはラビリンスの仕業かと疑っていたが、ナケワメーケの姿が見えないので先程親子が言っていたようにただの大道芸人なのかと思い始めて最終的には勘違いと決めて帰っていった。


 湊「ただいま帰りました」


 湊は帰宅してすぐに、二回が騒がしいのに気づいた。


 湊「何かしら・・・」


 階段を上るとラブの部屋から聞こえてくるので部屋の前に行きノックを2回した。すると、ドア越しからラブが「あっ、お姉ちゃん!?」と何故か驚きながら質問が返ってきたので湊は「そうよ」と答えると、ドアの向こうからこちらに近づいてくるのがわかり一旦離れた。
 ドアノブが捻られるとドアが開き、ラブが出きた。


 湊「どうかしたの?ラb((ラブ「ちょっと入って!」え、えぇっ!?」


 ラブは湊の腕を引っ張って有無を言わせず強引に部屋に連れ込んだ。部屋の中には美希と祈里、タルトとシフォンが居た。一見変わった様子は無いのだがなにか。


 祈里?「湊はん!」


 タルト?「湊さん・・・!」


 湊「・・・あら?」


 ここで何か違和感を覚えた。それは呼び方がいつもと違う事だった。
 湊はそれに気づくや否や、ラブに顔をガッシリと掴まれた。

 ラブ「よく聞いて、お姉ちゃん」


 湊「な、何・・・?」


 ラブは真剣な眼差しで湊の顔を掴み、湊はラブの行動に戸惑いながら返事を待った。


 ラブ「実はね・・・ブッキーとタルトが入れ替わっちゃったの!」


 湊「・・・え?」

 
 あまりに衝撃的な言葉に、湊はどう反応していいのかわからなくなった。横を向くとそこには確かに祈里とタルトが居る。入れ替わった様には見えない、が、ここで湊はある違いに気づいてラブの手をやんわりと離させ、祈里とタルトに近寄ってよく観察した。

 湊「・・・確かに・・・眉毛が逞しくなって、睫毛が飛び出てる・・・それに
、声も違うわね」


 祈ルト・タッキー「湊は~ん!/湊さ~ん!」


 湊「わ・・・っ!?」 


 突然タルトになった祈里と祈里になったタルトに勢いよく抱きつかれて、湊は後ろに倒れそうになったが、何とか踏ん張って持ちこたえた。

 祈ルト「やっぱり湊はんはすぐに気づいてくれると思ってましたわ!」


 タッキー「私も、信じてました!」


 湊「そ、そう。あ、ありがとう・・・」


 湊は泣き泣き自分を見つめる二人(一匹も含む)に苦笑いを見せた。

 
 サウラー「ふっふっふっふっふっふっ・・・不幸の音色が町中に響いているねぇ」


 四ツ葉町のとあるゲームセンターの屋上に腕がレバーになっており、赤い体がスロットルで顔の額にはダイヤがあるロボットの様な姿をしているスロットマシンのナケワメーケが居た。
 人々の叫び声が町中から聞こえてくるのにサウラーは満足気に笑っていた。不幸のゲージには一滴一滴だが数が多く、FUKOが溜まっていく。


 祈ルト「カ~~ッ、こら参ったでぇ。早うどうにかせんとなぁ」

 タッキー「ねぇ、もぅタルトさん、やぁだお行儀悪い胡座やめてよぉ~!」


 一方、タルトになった祈里は自分が胡座をかいているのを見たくないのか泣き泣きタルトにお願いするがタルトの耳には入ってこない。
 そして自分の手が毛むくじゃらと騒ぎ始めた。

 湊「祈里さん、何であんなに驚いているのかしら?ただタルト君と入れ替わっただけなのに・・・」


 ラブ「あぁ、そっか~・・・」

 
 
 美希「湊さんはまだ知りませんでしたね。実はブッキーってフェレットが苦手なんです」



 湊「えっ?フェレットって・・・あ、だから・・・」


 湊は祈里がフェレットが苦手と聞いて、すぐにその意味を察した。タルトは妖精ではあるが姿はフェレットそのものなので、祈里が今自分が苦手なものになってると言う状況に驚くのは無理もない。


 ラブ「ん~どうしよう、この状況」


 美希「もしこのままダンスレッスンに行ったら・・・」


 美希の想像では人間2人とフェレット一匹と言う構図は明らかに可笑しい。それを想像して美希とラブは顔を青ざめて絶句し、湊は思わず吹きそうになったが咳払いで誤魔化した。


 ラブ「でもってこのままプリキュアに変身したら・・・」


 湊「動物でもプリキュアになれるのかしら?」


 美希「さ、さぁ?それはわかりませんけど・・・」


 ラブの発言に湊は美希に質問したが、その質問は二年後になればわかる話になることであろう。


 祈ルト「ん?・・・そや!」


 突然、タルトは何かを思い出したカのように立ち上がった。


 ラブ「どうしたのタルト?」


 祈ルト「今ワイがパインはんになっとるっちゅう事は・・・湊はん!」


 湊「・・・今はそんな呑気なことしてる場合じゃないと思うのだけど・・・」


 湊はタルトが何を考えているのか、大体検討はついている。それは動物では変身できないアーマードライダーに今ならなれると言うことだ。今、タルトは人間の祈里と入れ変わっている。つまり、アーマードライダーに変身できるということなのだ。


 祈ルト「お願いや!一回だけでいいですさかい!」


 湊「でも・・・」


 湊は懇願してくるタルトに呆れつつ困った表情をした。
 美希と祈里は2人のやり取りがよくわからないので、疑問に思いながら見ていたがラブはわかったようで口を開いた。

 ラブ「あっ、もしかしてタルトも変身してみたいの?」
 

 祈ルト「せやねん!どうしてもあの格好ええのになりたいねん!せやから湊はん、お願いしますぅ!」


 ラブ「ん~・・・お姉ちゃん、一回ぐらいならいいんじゃないかな?タルトもこんなにお願いしてるんだし・・・」


 湊「・・・はぁ・・・仕方ないわね。一回だけよ?」


 湊はラブの説得を受けて心が折れたのか、ゲネシスドライバーを懐から取り出し、タルトに差し出した。


 祈ルト「ホンマでっか!?おおきに湊はん!」


 湊「後、これも」

 
 タルトは目を輝かせて、湊が差し出しているゲネシスドライバーとピーチエナジーロックシードを受け取った。まず最初にタルトはゲネシスドライバーを腹部辺りに当て、腰にベルトを巻かせた。
 美希と祈里はそれを見て、驚きながらも興味津々に見ている。


 祈ルト「いくでぇ~・・・」『ピーチエナジー』

 ロックシードのリリーススイッチを押すと、頭上にクラックが現れてジッパーの様に開き桃の鎧が降りてきた。
 タルトはゲネシスコアにロックシードを装着し、リファインシャックルを押し込んで固定させた。

 『ロック・オン』


 祈ルト「変~・・・っ身!やっ!」


 両手をクロスさせて大きく円を描きながら、シーボルコンプレッサーを握り押し込んだ。
 レリーフが真っ二つに発光しながら展開した。

 『ソーダ』 


 タルトはシーボルコンプレッサーから手を離すとゆっくりと戻っていきバスキュラーダクトをピンク色のエネルギーが通っていき、コンセントレイトポッドに保存された


 『ピーチエナジーアームズ』


 祈ルト「おおっ!」
 

 美希・タッキー「えぇぇ~~~っ!?」


 鎧がタルトの頭に被され、エネルギーが全身を覆いボディ部分は黒で腕と下半身はピンクのアンダースーツを身に纏わせ、左右非対称に鎧が展開し、タルトはマリカに変身した。
 変身したタルトを見て、美希と祈里はあんぐりと口を開けて驚愕した。
 
 マリカ(タルト)「やったでぇ!ワイ・・・ワイ・・・変身できたんやぁ!」


 ラブ「よかったね、タルト!幸せゲットできて!」


 タルトは念願のアーマードライダーに変身できたことに大喜びでラブに抱きつき、ラブも喜びを分かち合った。
 


 美希「な、何で変身できるの!?」


 タッキー「湊さんだけが変身できるんじゃないんですか!?」


 美希と祈里はタルトがマリカに変身したのに驚きを隠せず、目をぐるぐると回して混乱していた。
 湊は驚く二人に首を傾げて素っ気なく、答えた。
 
 湊「あら、言ってなかったかしら?ゲネシスドライバーを装着すれば、誰でも変身できるのよ?」


 タッキー「えっ!?そ、そうなんですか!?」

 
 
 ラブ「あっ、私も変身したんだよ!何かね、ちょっと肩のバランスが取りにくいっていうか」



 美希「その話は置いといて、あたしてっきり何か特別な機能か何かで湊さんにしか変身できると思ってたわ・・・」


 ラブがマリカに変身した時の感想を言おうとした所を美希は止めて、本人以外には使えないと思っていたことを話した。


 湊「特別な機能と言えば・・・まぁ、自壊システムだけね」


 タッキー「壊せるんですか・・・?」


 ラブ「えぇっ!?こ、壊しちゃダメだよ!?お姉ちゃん!」


 祈里の放った一言にラブは何か勘違いしているようで、必死な目で湊に詰め寄った。


 湊「こ、壊すわけないでしょう。大丈夫だから・・・大体壊しても何の特も無いわよ」


 ラブ「あっ、そ、そうだよね。あはははは・・・」


 湊は少し呆れたような表情で言うと、ラブはそれに納得して照れ笑いに似た苦笑いをした。
 一方でタルトは部屋の隅にある鏡に写る自分の姿を見ながら決めポーズをとっていた。

 
 
 マリカ(タルト)「自分で見とっても惚れ惚れするわぁ~・・・このままでおりたいなぁ」



 タッキー「ダ~~~~メェ~~!そんなの絶対ダメですぅっ!」 


 マリカ(タルト)「のわぁあっ!?じょ、冗談やってパインはん!」


 祈里はタルトの呟きを聞き逃さず、瞬時に肩に登って耳元で叫んだ。タルトは本気でそう思っている祈里に慌てて手をパタパタと振った。


 湊「さっ、タルト君。そろそろ変身を解いてこうなった原因を突き止めましょ」


 マリカ(タルト)「あぁ、それもそやな」


 タルトは湊の言ったことに納得したのか、桃のレリーフを閉じるとリリーススイッチを押し、固定を解除して変身解除した。

 祈ルト「いやぁ、ホンマおおきに湊はん!エエ思い出ができたで」


 湊「そう。それはよかったわ」


 タルトは変身できたことに大満足した様で、ゲネシスドライバーを湊に返した。


 ナケワメーケ「クルクルー!ガッシャン!」


 ナケワメーケは腕を振って体にあるスロットルを回した。すると、左の目に人のマークが出て真ん中は双方向の矢印のマーク、右の目が止まるとナケワメーケは「ガッシャン?」と何故か疑問そうに鳴いた。
 

 サウラー「どうした、ナケワメーケ」


 ナケワメーケ「ガッシャン、クルクル」


 それを見たサウラーが聞くと、ナケワメーケはスロットルを指しながらこう述べた。


 サウラー「何?間違えて人間同士を入れ替えた?」


 ナケワメーケ「ガッシャン」


 サウラー「・・・まぁ、いい。何も支障は出ない・・・と思うからね」


 サウラーは最初は何か支障がきたす様なことが起こらないか気にはしたが、人間を不幸にするのには変わりはないと決め付けた。


 ナケワメーケ「ガッシャン!」


 サウラー「さぁ、ナケワメーケ。人間共を不幸にするんだ」


 ナケワメーケ「クルクルー!ガッシャン!」

 
 ナケワメーケはサウラーの言う通りにスロットルを回した。
 しかしサウラーはこの時知らなかった。ナケワメーケのミスが自分をFUKOにすることを


 ラブのベッドの上に置いたバックの傍にある祈里のリンクルンが鳴った。ラブはそれに気づくとリンクルンを手に取った。

 ラブ「ブッキー、電話だよ」


 祈ルト「おぉ?何や、今こっちは取り込み中ですぜぇ?」

 タッキー「ちょっと、ちょっとぉ!」


 ラブは間違えて祈里と入れ替わったタルトと間違えて渡してしまったのに、湊は苦笑いで教えた。

 湊「ラブ・・・今はそっちがタルト君よ」


 ラブ「あぁ間違えたぁ!」


 湊「はぁ・・・」


 そんなやりとりを終えてラブは改めて祈里にリンクルンを渡した。電話の相手は祈里の母、尚子だった。
 話によると祈里の実家である動物病院に動物もとい、動物と入れ替わってしまった町中の人達が押し寄せて困っているためすぐに戻ってきてほしいとの事だった。
 
 タッキー「た、大変」

 
 ラブ「町中の人がブッキーとタルトみたいになっちゃってる」

 
 湊「そう言えば・・・私も、猫が喋って男性が猫の様な仕草をしていたわ」


 湊は公園から帰る途中で見かけた、大道芸人だと思っていた男性と猫のことを思い出した。


 美希「そんなことができるのは・・・」


 ラブ・祈ルト・湊「ラビリンス!/ラビリンスや!/ラビリンスね」


 タッキー「でも、どうしよう・・・今の私じゃプリキュアになれないし・・・」


 湊「とりあえず、祈里さんはタルト君と一緒に家に行ってみましょう。私も行ってあげるから」


 タッキー「お願いします」


 祈ルト「すんまへんなぁ。湊はん」


 美希「じゃあ、あたしとラブでラビリンスを探してみますね」


 湊「ええ。じゃあ行きましょう」


 ラブ・美希・タッキー「はい!」

今日はここまで


 湊と祈里、タルトの二人と一匹は祈里の実家の動物病院に向かっていた。湊の腕の中に居る祈里はタルトに念入りにこれからの事を話していた。

 タッキー「良い、タルトさん。絶対喋っちゃダメだからね?しっかりしてね?」


 祈ルト「そう何度も言わんと、分かった言うとるやろぉ」

 
 湊「タルト君。祈里さんはカバンをそんな風には持たないと思うけど・・・」

 
 祈ルト「あっ、そやな」


 湊の指摘に祈ルトは肩に引っ提げて持っていたカバンを降ろして片手持ちにした。そして、動物病院の前に着き、いざ入ろうとしたが、ここでタルトになった祈里がガラスに写った自分の姿を見てしまい、嘆いた。


 祈ルト「そっちがしっかりしいや」

 
 湊「辛いとは思うけど、我慢して」


 タッキー「ごめんなさい・・・」

 呆れた様に言うタルトと湊の苦笑いで言った言葉に祈里は肩をガックリと落として落ち込んだ。そして、自動ドアの前に立つとドアが両開きに開き、白衣を着た祈里の両親の正と尚子が立っていた。


 尚子「祈里!」


 正「おお、帰ってきたか!ん?そちらの方は?」


 湊「初めまして、湊耀子と申します。祈里さんとは、友達のような関係でして」

 
 正「あぁ、貴女が湊さんですか。娘から話は聞いてますよ」

 
 尚子「いつも娘がお世話になってます」


 湊「いえ、こちらこそ。それで・・・実はお話がありまして・・・」


 正「話し?」

 
 湊「その・・・大変申し上げ難いのですが



 正と尚子が自分を知っていたので気軽に話せるようにはなったが、ここからが問題になった。どうやって祈里とタルトが入れ替わってことを話せば良いのかがわからない。


 尚子「祈里?どうしたの?」


 祈ルト「(しゃ、喋ったらアカン、喋ったらアカン)」


 その時、尚子は一言も喋らない娘をきにして声を掛けた。しかしタルトは言いつけ通り口を固くM字に結んで頭の中でそう唱えて喋るのを堪えていた。


 タッキー「私はこっちよ」

 
 正・尚子「え?」


 ここで湊に抱き抱えられている祈里が声を出すと、正と尚子はタルトになった祈里に顔を向けた。

 湊「実は、祈里さんも被害に遭われて・・・フェレットと入れ替わってしまったんです」

 
 湊の衝撃的な発言に驚きの声を出した。


 尚子「あ、貴女が祈里・・・?」


 正「じゃあ、こっちがフェレット?」


 祈ルト「そやっ」


 正と尚子は入れ替わった祈里とタルトを交互に見ながらそう言うと絶対に喋ってはいけないと言っていた筈のタルトが返事をしてしまった。
 それには湊と祈里は冷や汗を垂らして、心臓が飛び出しそうな程焦った。


 祈ルト「あっ!?や、や、や、やっば」


 正「そや?フェレットってそんな鳴き方だったか?」


 タッキー「こ、この子ちょっと変わってるの」

 
 湊「そ、そうなんです。あはは・・・」


 祈里は湊の腕から抜け出して、正と尚子にバレないように誤魔化した。しかし、そう軽くは怒りが収まらない様で青筋を立てて尻尾を器用に使って、自分の体であるのをお構いなしに足を思いっきり叩いた。
 タルトはあまりの痛さに足が崩れてその場で涙目になって痛がり、湊は何とも言えない面持ちになっていた。


 祈ルト「(いったぁ。思いっきりやりおったなぁ!)」


 湊「で、では私はちょっと用事があるので、これで」


 湊は二人だけにして大丈夫かと心配はしたものの、早くこの事態を収めなければならないと判断してラブと美希の元に向かおうと決めた


 正「あぁ、どうもありがとうございました」


 尚子「またの機会にゆっくりお話でもしましょうね」


 湊「はい。じゃあ、仲良くするのよ?祈里さん、タルト君」


 祈ルト・タッキー「(りょーかいや!)/はい」


 正と尚子に別れを告げる際に、湊はウインクを祈里とタルトにしてラブと美希達の元に向かった。
 動物病院から出た湊は、スマートフォンを取り出してラブに電話を掛けた


 ラブ『もしもし?お姉ちゃん?』


 湊「そうよ。今どこにいるの?」


 ラブ『公園だよ。カオルちゃんのお店の前』


 湊「わかったわ。すぐ向かう」


 湊は電話を切って、ラブと美希が居ると言う公園に駆け足で向かった。


 美希「ここにも居ないわね、ナケワメーケ・・・」


 ラブ「うん・・・」

 
 湊との連絡を終えて、ラブと美希はラビリンスを探しているが、どこにいるのかが掴めず、手間取っていた。
 そんな時、ラブと美希の名前を大声で呼ぶ女性の声が聞こえた。  


 ラブ「お姉ちゃん!」


 湊「まだ、見つけれてないみたいね」


 美希「はい・・・ん?」


 湊の質問に答えた美希は、その直後あるものを目にした。湊とラブは美希が見ている方向に首を向けると、そこにはいつも通りの位置に停車しているカオルちゃんの車がある。


 ラブ「まさかカオルちゃんもってことはないよね・・・」


 美希「ううん・・・」

 
 湊「行ってみましょうか・・・」

 三人は窓口に近寄ってみると、そこには後ろを向いているカオルちゃんが居た。湊はどこかいつものカオルちゃんでは無いと気付き少しだけ警戒しながら声を掛けた。


 湊「あの、カオルちゃん・・・?」


 湊が名前を呼ぶと、カオルちゃんはゆっくりと振り向いた。三人は固唾を飲んで何を言うのか待つとカオルちゃんは口を開いた。


 カオルちゃん「ぐはぁっ」


 ラブ「よかった~!いつものカオルちゃんだ。ね、美希タン、お姉ちゃん」


 美希「うん」

 ラブと美希はカオルちゃんの特徴的な笑い方をしたので、入れ替わっていないと安心した。しかし、湊だけは違った。


 湊「・・・いいえ。違うわ」


 ラブ・美希「えっ?」


 カオルちゃん「ぐはぁっ」


 ラブ「だ、だってこの笑い方はカオルちゃんじゃ」


 湊「確かに似てるのは似てるけど、全く違うわ。カオルちゃんの笑い方は伸ばさないし、語尾でキリッと止めて、あんなにやる気の無さそうな感じではないわ」


 ラブ・美希「(何か、凄い・・・)」

 
 
 「グハッ!」



 湊「そうそう、この笑い方・・・えっ?」


 ラブと美希は湊の観察力に溜め息をついていると、どこからか本物(?)のカオルちゃんの笑い声が聞こえて湊は素早く反応すると、バッと後ろを振り返った。


 カエルちゃん「突然牛蛙になっちゃうなんてね~。見違える、間違える、ひっくり返る!グハッ」


 ラブ「えっ・・・もしかして」


 美希「あのカエルが・・・」


 湊「カオルちゃん・・・っ!?」


 円形のテーブルの上に大きな牛蛙が何かギャグを連発しながらひっくり返っていた。湊は急いで近寄って、手を膝に置いて少し屈んで話しかけた。


 湊「あ、あの・・・カオルちゃん・・・?」


 カエルちゃん「あっ、その声はお姉さんだね。よいしょっと」


 カエルになったカオルちゃんは、湊の姿が見えないようで、体を元の姿勢に戻すと湊と向き合った。


 カエルちゃん「あっ、やっぱりお姉さんだ。声でわかったけどね、グハッ」


 湊「カオルちゃん・・・何てお労しい姿に・・・」


 カエルちゃん「あれ?何で泣いてるの?」


 湊はカオルちゃんが牛蛙になってしまったのが余程ショックだったらしく口元を押さえながら涙を流した。それを不思議そうにカオルちゃんは見ている。


 ラブ「お姉ちゃん・・・」


 美希「湊さん・・・」


 ラブと美希が心配そうに湊が泣いてるのを見ていると、突然湊はガバッと立ち上がって涙を拭き払った


 湊「カオルちゃん!必ず元の姿に戻してあげますからね!」


 カエルちゃん「そっかぁ、頑張ってね。お姉さん、グハッ」

 
 湊はカオルちゃんの声援を背中に受けながらラブと美希に「行きましょ」と言い、ナケワメーケを探し始めた。


 湊「一刻も早く、ナケワメーケを探し出さないと。後探してない場所は?」


 ラブ「クローバータウンストリートだよ」


 湊「じゃあそこに行きましょう!」


 ラブ/美希「うん!/はい!」

ここまで

次回は戦闘パート。オリジナルバトル展開するかもです
仮面ライダーspiritsやっとこさ買えて、見れたので戦闘描写濃くなるかも?


 祈ルト「はぁ・・・(湊はんとピーチはんとベリーはん、大丈夫やろか?)」


 タルトは備え付けの業務用ソファーに腰を下ろして、膝の上に片肘を乗せて右の頬で頬杖をしながら深いため息をついていた。

 尚子「あら、フェレットでもため息をつくのね」


 祈ルト「むぐっ!?」


 突然話しかけられたタルトは背筋をピシッと伸ばして頬杖をやめて、即座に膝の上に手を乗せて口を固く噤んだ。
 それを見て尚子はクスクスと小さく笑いながら、タルトの隣に座った。


 祈ルト「(ア、アカン。バレてもうたか・・・?)」 


 尚子「言葉が通じてるのかわからないけど、あなたも早く元の身体に戻りたいでしょうね」


 祈ルト「(あっ。なんや、そう言うことやったんか)」


 タルトは一瞬バレてしまったかと思っていたが、そうではなく尚子は入れ替わってしまったタルトを心配してくれているのだった。
 それがわかると、タルトはホッと肩を撫で下ろした。

 尚子「でも、何で人と動物が入れ替わったりしちゃったのかしらね」


 祈ルト「(ラビリンスのせいやで)」


 尚子「最近こんなことが起こってるけど、大丈夫なのかしらね・・・」


 祈ルト「(大丈夫やあらへん。世界が危ないねんから)」


 尚子の呟く独り言にタルトは喋るのを堪えながら、うんうんと頷いて心の中で返答する。 
 

待ってるから頑張りやー


 正「尚子、ちょっと来てくれないか?」


 尚子「あっ、はーい!」


 尚子は呼ばれたのに気付き、立ち上がると正の所に行こうとした。
 しかし、あっと声を出して何かを思い出したかのように立ち止まると、タルトの前に戻って、目線を合わせるように屈んで見つめた。


 尚子「フェレット君、きっと元に戻れるわ。この町にはね、プリキュアと言ってとっても頼もしい人達が居るの。だから、きっと助けてくれるわ」


 祈ルト「(尚子はん・・・)」


 尚子はそう言い残して正の所に向かった。タルトは尚子の背中を見つめながら見送った。そんな時、大分タルトの身体に馴染んできている祈里が通りかかった。


 タッキー「タルトさん?」

 
 祈ルト「あっ、パインはん」


 タルトは祈ルトに声を掛けられると、ハッと我に返って振り返った。その目は若干潤っていた。


 タッキー「ど、どうかしたんですか?」


 祈ルト「いんや、ただこの町の人達がプリキュアの皆はんを信頼してくれはっとるのにちょっとだけ感動してな」


 タッキー「そうなんですか・・・なら、よかった」

 タルトは手で目を擦って、笑みを浮かべて祈里を安心させた。祈里もそれを見て微笑んだ



 サウラー「ふっふ。さぁ、この町の人間を全て不幸へ入れ替えだ」

  
 ナケワメーケ「クルクルー!ガッシャン!」


 その頃サウラーは更にFUKOを集めるべく、ナケワメーケに指示をした。
 人々の叫びが大きくなったのに、クローバータウンストリートでナケワメーケを捜索していた湊、ラブ、美希は気付いた。


 ラブ「お姉ちゃん、美希タン」


 湊・美希「ええ」
 


 動物病院に再び動物と入れ替わってしまった人々が先程よりも多く、押し寄せてきた。

 正「うわぁあ~~!?何でまた急に!?」

 
 タッキー「タルトさんっ!」


 祈ルト「またラビリンスが出たんや!」


 正「しょ、初診の方は、こちらに名前を!」


 祈里は自分と入れ替わっているタルトの肩に乗り、タルトはそのまま外に出てラビリンスを探し出しに行った。
 外では動物と入れ替わってしまってしまいパニックに陥っている人々で溢れていた。中には犬と入れ替わってしまい本当に犬のおまわりさんとなってしまった巡査が笛を片手に、動物病院に誘導している。

 サウラー「ふっふっふっ、良い響きだ」


 ラブ「見つけた!」


 サウラーが人々の叫びに満足感と優越感に浸っている時、屋上に出るためのドアが開き湊、ラブ、美希が出てきた。
 

 サウラー「フッ、プリキュアとアーマードライダーか」


 ラブ「行くよ!お姉ちゃん、美希タン!」


 美希・湊「OK!/ええ!」


 ラブの呼び掛けに反応すると同時に二人は変身アイテムを取り出し、構えた。
 湊はゲネシスドライバーを装着し、リリーススイッチを押した。

 
 湊「変身っ」『ピーチエナジー』


 ラブ・美希「『チェインジ!プリキュア!ビートアップ!』」


 『ロック・オン』
 『ソーダ』


 『ピーチエナジーアームズ』


 ピーチ「ピンクのハートは愛あるしるし!もぎたてフレッシュ、キュアピーチ!」


 ベリー「ブルーのハートは希望のしるし!つみたてフレッシュ、キュアベリー!」

 
 マリカ「(・・・これは、私も名乗るのよね・・・じゃあ>>234よ!)」



 安価です
 アーマードライダーマリカの名乗りをつけてください
 因みにそのまま継続して名乗り続けます

支援

「ハートの仮面は強さあるしるし~」みたいな?

  
 マリカ「ピンクの仮面は強さのしるし!・・・艶やかフレッシュ!

    アーマードライダーマリカ!」


 ピーチ「『レッツ!」


 ピーチ・ベリー「プリキュア!』」


 ピーチとベリーがポーズを取る横で、マリカは一瞬戸惑ったが、恥ずかしながらも右手を腰に当てたまま腰をくねらせてソニックアローを右斜めに向けたままのポーズを取った。


 ピーチ「・・・って~、艶やかって何?」


 ポーズを取り終えた後ピーチは自分達と同じ様に名乗りを上げたマリカに質問した。マリカはもういいのかと、ポーズを止めてピーチを見た。


 マリカ「後で教えてあげるわ。行くわよ!」


 ピーチ・ベリー「うん!/はい!」


 サウラー「行け!」


 ナケワメーケ「ガッシャーン!」


 ピーチ達が構えると同時に、サウラーがナケワメーケに指示を出した。ナケワメーケは両腕を大きく後ろに向かって振り上げた。


 ピーチ・ベリー「タァァアッ!」


 ピーチとベリーが先制でキックを放った。しかし、ナケワメーケはビクともせず二人を弾き返した。
 ナケワメーケは胸のスロットルを回し始めた。


 ナケワメーケ「ガラガラガラガラーッ!」


 ピーチ「はっ!?」


 胸のスロットルがナケワメーケの胸から無数に発射される。それにマリカは素早くゲネティックシグナルで発射したスロットルを観測してステアリングアイでロックし、トリガーを引いた。


 マリカ「ハァッ!」


 ソニックストリングにエネルギーが貯まり始め、アローレストにも貯まる。限界まで貯め続け、頭上に向かって射撃をするとエネルギーの矢は上空で果実型のエネルギーになり、そこから矢が放出状に放たれ、複数の矢がスロットルに的中した。
 的中したスロットルは内部から爆発を起こし、粉々になった。


 ピーチ「ありがとう、お姉ちゃん!」


 マリカ「油断しないで!」


 ピーチはマリカに言われて前を向くと、再びスロットルが発射されていた。ピーチとベリーは手刀と蹴りでスロットルを弾き、マリカはエイミングスコープからレーザーポインターを射出させ、精密に的を射るかの如くエネルギーの矢を放つ。
 矢はスロットルの中心に突き刺さり、粉砕する。


 サウラー「ふっ、いつまで持つかな」


 サウラーは嘲笑いながら、ナケワメーケとプリキュアとマリカの戦闘を眺めていた。
 マリカは迫り来るスロットルをゲネティックシグナルで感知し、ソニックアローを振るい、アークリムで斬り裂く。
 
 マリカ「フッ!」


 ナケワメーケ「ガッシャンッ!」


 マリカは一瞬の隙を突いてナケワメーケに矢を放ったが、ナケワメーケはスロットルが発射される直前に自らスロットルを丸い両手で器用に挟んで掴むと前に突き出して、盾にした。
 エネルギーの矢はスロットルを砕きはしたが、ナケワメーケにダメージを追わせることが出来なかった。


 マリカ「くっ!」


 ピーチ・ベリー「うわぁあッ!」 


 マリカ「!。ピーチ!ベリー!」


 マリカはナケワメーケにダメージを与えられなかった自分に苛立ちを覚えている時、後ろから二人の叫び声を聞き、振り返るとスロットルを避けきれなかった二人が落下してくるのを目の当たりにした。
 マリカはソニックアローを背中にマウントさせ、ゲネシスドライバーから送られた液化エネルギーで強化した脚力で、高く跳躍し二人を抱き支えるように着地した。


 マリカ「大丈夫!?」


 ピーチ「う、うん・・・でも」


 ベリー「つ、強いです」

 
 マリカは二人を庇うように支えながら話していると、ナケワメーケが発射したスロットルが迫ってきた。マリカは咄嗟に足を開いて足腰に力を入れて踏ん張り、右肩を保護するモモックエナジースリープでスロットルを弾いた。


 マリカ「ぐあっ!」

 
 ピーチ「お姉ちゃん!」


 しかし反応が少し遅れたのとスロットルの威力で逆に自分にダメージを受けてしまった。
 それにピーチは怒り、拳を握りしめて果敢にナケワメーケに立ち向かった。


 ピーチ「タァァアッ!」

 
 ナケワメーケ「ガラガラー!ガッシャン!」


 ピーチ「キャァアーー!」


 ピーチはナケワメーケのスロットルを弾きながら、接近したが目の前まで来る際に不意を突かれて強烈なパンチを喰らい、殴り飛ばされた。

 マリカ・ベリー「ピーチ!」

 
 サウラー「ふっ、弱い」

プリキュアの化け物ってインベスと違ってデカイから当たり判定でやすいよな


 ナケワメーケ「クールクルクルー!」


 祈ルト「ピーチはん!ベリーはん!マリカはん!」


 タッキー「皆・・・!」


 ナケワメーケが笑っている様な鳴き声を出したその時、ドアを開いて祈里とタルトが駆けつけた。

 マリカ「祈里、タルト君!」

 
 祈ルト「パインはん!変身や!」


 タッキー「うん!・・・っ!」


 祈里はタルトに言われた通り変身しようと、リンクルンを構えるようなポーズを取る。しかし、何も持っていない手を見た瞬間に今、自分がタルトになっていることを思い出した。

 タッキー「(ダメ、今の私の体はタルトさん・・・)」


 祈ルト「(しもた!今、パインはんのワイの体になってるんやった!)」


 祈ルト・タッキー「(このままじゃ、きっと変身できへん!/出来ない・・・)」


 お互いに困りつつ、顔を見合わせた。プリキュアの力を得たのは祈里であり、タルトではない為、例え体が祈里のであるにしろ変身できるかどうかわからない。

 ピーチ「デェァァアッ!」

 
 ベリー「ハァァアッ!」


 ピーチとベリーはそれぞれパンチとキックを放つが、全く効果はなく弾き返された。マリカも応戦しようと接近戦を試みようとする。


 ナケワメーケ「ガラガラガラーッ!」


 マリカ「タァッ!ハァッ!」


 ナケワメーケはマリカに向かってスロットルを発射してきた。マリカはソニックアローで次々と飛んでくるスロットルを切り裂きながら、徐々に近づいき、目の前まで来るとトリガーを引いて、ナケワメーケの顔目掛けてエネルギーの矢を放った。
 
 ナケワメーケ「ガッシャーー!?」


 マリカ「よしっ!」

 ナケワメーケ「クルクルー!ガッシャーン!!」

 
 マリカ「っ!?」

 マリカの放った矢はナケワメーケの顔に命中し、怯んだ。しかし、すぐさま立ち直って両手を大きく振り上げ、ハンマーの様に降り下ろしてきた。マリカはバック転をして回避し、距離を開けて構えた。

1乙・・
そして安価もGJ!
いい名乗りでした。

>>230 >>233 >>242

ありがとうございます!

>>234

安価ありがとうございます!助かりました

ハートはちょっと違うかなぁ、と思いまして、ピンクにさせていただきました。

>>237 確かに出やすいですね


 ピーチ「お姉ちゃん、大丈夫?」

 
   
 マリカ「ええ。心配しないで」



 ピーチとベリーが駆け寄り身構えたままマリカに聞くと、マリカはナケワメーケから目を逸らさないで応えた。
 しかし、今の状況では大丈夫とは言い難い。これまで湊はナケワメーケと2回戦ったが、今回は大きなダメージを受けてしまったのが不味かった。
 
 マリカ「(チャンスさえ回ってくれば・・・)」


 マリカは首を少し後ろに回して祈里とタルトを見た。それに祈里は気づいて、湊が何故こちらを見ているのか、何を言いたいのかを少し悩んだ後直ぐに理解した。
 今変身して、戦えれば勝てる見込みはある。そう思っている時、祈里の脳裏に正の言葉が浮かび上がった。

 正[理解し合う為には、怖くたって、面倒くさくたってお互いに一歩ずつ近づかなくちゃいかん]


 タッキー「(今の、今の私だったら・・・)」


 ナケワメーケ「ガラガラガラガラーッ!」


 マリカ「ハァッ!」


 ナケワメーケは再びスロットルを発射し、ピーチとベリーはそれを弾き返す。マリカもレーザーポインターで狙いつつ、スロットルが重なった瞬間に取り出したを引き離して矢を放つ。
 矢はスロットルを貫通して他のスロットルをも粉砕する。

 タッキー「タルトさん!やってみましょう!」

 祈ルト「え?って変身かいな!?」


 タッキー「二人の気持ちを一つにするの!」

 
 祈ルト「ワイと、パインはんの気持ちを・・・」


 祈里の突然の発案にタルトは迷った。しかし、その時だった


 ベリー「ブッキー!タルト危ない!」


 祈ルト・タッキー「!?」


 スロットルが祈里とタルトに向かって飛んでくる。二人はベリーの警告に反応したのが遅く、猛スピードで迫ってくるスロットルから足が竦んで動けない。


 マリカ「!。アァァアアッ!」


 マリカは右足の親指に力を入れて液化エネルギーで脚力を強化させて思いっきり屋上の床を蹴り、飛び上がった。
 一瞬にして祈里とタルトの前に出ると、両腕を広げて二人を守るべく胸部でスロットルを止めた。
 
 マリカ「ぐぁっ・・・はっぁ・・・!」


 しかし止めた衝撃で、肺に溜めていた息を全て吐き出した。ステムリーフから赤くdangerの文字次々と点滅しながら表示され、床に叩きつけられると同時に、変身が強制的に解けてしまった。

 
 祈ルト・タッキー「湊さん!」


 湊「だ、大、丈夫・・・ぐっ、はぁ・・・はぁっ」

 祈里とタルトは、床に胸辺りを手で押さえて苦しみながら踞っている湊に駆け寄った。湊は
心配させまいと微笑もうとするが、肺を締め付けられるような衝動に襲われ、先程よりも背を丸めて踞る。

 サウラー「ふっふっふっ、アーマードライダーは倒した。残りはプリキュアだけだ!」

 
 ナケワメーケ「クルクルー!ガッシャーン!」


 ピーチ「お姉ちゃん!」


 ピーチは祈里とタルトの前で倒れている湊を目にして、駆け寄ろうとした。しかし、湊は苦し紛れに「来ないで!」と大声で叫ぶ。

 湊「今・・・倒すことに専念しなさい!」


 ピーチ「お姉ちゃん・・・。・・・うんっ!」


 ピーチは湊にような射抜かれるように見つめられ、少しの迷った後あの時と同じように腹を括ってナケワメーケに立ち向かった。
 それを見て、湊は頷くと上半身を起こして腰に装着しているゲネシスドライバーを外し、転がっているピーチエナジーロックシードを手に取り、片手を付いて膝立ちになった。

 祈ルト「湊はん立ち上がっちゃアカンて!」


 タッキー「さっきより苦しくなっちゃいますよ!」


 湊「いいの。それよりも、アイツを倒さないと」
   
 そう言うと湊は徐に、タルトの腰にゲネシスドライバーを当てた。側面の穴からベルトが勢い良く出てくると反対側の側面の穴にカチャッと填まった。


 祈ルト「えっ、な、何しはりますの?」


 湊「変身してみたいって言ったのは、タルト君でしょ?」


 祈ルト「!・・・湊はん・・・」


 タルトは湊が引きった笑顔でロックシードを差し出しながらそう言ったのに、何を意味したのかがわかった。それには祈里もすぐに理解し、タルトと顔を見合わせた。
 祈里は力強く頷いて、タルトも最初は戸惑いながらも覚悟を決め、ニカッと笑った。

 祈ルト「ヨッシャア!やったろやんけぇ!」


 タッキー「うん!」


 祈ルト「パインはん、これを」
 

 タッキー「えっ?」


 タルトは祈里にリンクルンを差し出した。祈里はそれを両手で受け取り、タルトを見た。
 タルトは親指をグッと立ててサムズアップをしている。祈里は迷った後、タルトと同様に覚悟決めて頷いた


 祈ルト「行くでぇ、パインはん!」


 タッキー「うんっ!」


 タルトと祈里はピーチエナジーロックシードとリンクルンを構える。

 『ピーチエナジー』

 『ロック・オン』

 祈ルト「変~、身っ!やっ!」


 タッキー「『チェインジ!プリキュア!ビートアップ!』」


 『ピーチエナジーアームズ』

 
 パインⅡ・マリカ(タルト)「イエローハートは祈りのしるし!とりたてフレッシュ、キュアパイン!」


 マリカ「そして!ピンクの仮面は強さのしるし!艶やかフレッシュ!アーマードライダーマリカや!」


 ベリー「パイン!?」


 ピーチ「ってタルトも~~!?」


 ベリーはタルトの姿のままキュアパインに変身した祈里に驚き、ピーチもタルトが変身したのに驚いた。
 しかし、一番驚いているのはサウラーだった。

 サウラー「な、何故スイーツ王国のアイツが・・・!?」


 パインⅡ「やったぁ!変身できた!」


 マリカ(タルト)「オッシャ行くでぇ!パインはん!」


 ナケワメーケ「ガラガラガラガラーッ!」

 パインは変身出来たことに喜び、タルトも気合いが高まって拳を作った。ナケワメーケはパインとタルトに向けてスロットルを発射する。


 パインⅡ「タルトさん!」


 マリカ(タルト)「任しいや!タァアッ!」


 タルトは高く跳躍し、空中で回し蹴りでナケワメーケに向かってスロットルを弾き返した。
 スロットルはナケワメーケに激突し、回転し続ける。タルトは一回転して着地した。

 マリカ(タルト)「どやっ!」


 ナケワメーケ「ガッシャーン!」


 マリカ(タルト)「っとぉ!まだやったかいな」

 ナケワメーケは自身に衝突しているスロットルを振り払う。振り払った際に飛んでいったスロットルがタルトに向かってくると、タルトは体を反らして避けた。


 ナケワメーケ「ガッシャン!」

 ナケワメーケは再びスロットルぱ無数に発射した。ピーチとベリーが前に立ち、力を込めて拳を握る。


 ピーチ「ダブル!」

 ベリー「プリキュア!」


 ピーチ・ベリー「パァーンチッ!」


 二人のパンチがスロットルを粉砕し、そこからパインが現れた。

 マリカ(タルト)「パインはん!」


 パインⅡ「プリキュア!テールアターック!」

 パインは回転しながら尻尾でナケワメーケの頭を叩きけた。ナケワメーケは両手で頭を押さえながら数歩引き下がり、よろめいた。
 パインは着地すると同時に、足元に何かが当たったのに気づく。

 パインⅡ「これは・・・?」


 湊「!。パインそれは!」


 壁に持たれていた湊はパインが拾い上げたモノを見て、思わず叫んだ。それは、湊がポケットに入れていた筈のヘルヘイムの実だった。
 パインは湊が叫んだなに気付いて湊の方を見ていると、突然ヘルヘイムの実が激しく様々な色の光りを放ち始めた。

 パインⅡ「な、何!?」

 
 ピーチ「パイン!?」


 ベリー「どうしたの!?」


 パインは片手にヘルヘイムの実を持ちながら、もう片方の手で光から目を遮る。ピーチとベリーとタルト、湊さえもそれに驚いていた。

 マリカ(タルト)「何や!?何が起こったんや!?」


 湊「一体、何が・・・?」


 七色の光が一気に晴れて、パインの手にはロックシードがあった。それは、通常とは全く違う、パインカラーでレリーフはクリアになっているロックシードだった。

 パインⅡ「これって・・・ロックシード?」


 湊「まさか・・・そんなことがあるの・・・?」


 パインⅡ「えっと・・・こうだっけ?」

 湊が状況を掴めない中、パインはリリーススイッチを押した。


 『フレッシュ!パイン』


 パインⅡ「えっ?」

 するとピーチエナジーロックシードとは違う、テンション高目の音声が鳴り、パインが上を向くとクラックからキラキラとした豪奢なパイナップルの鎧が降りてきた。


 パインⅡ「わわわっ!?」

 パインはあわわと慌てて手を降った拍子にリファインシャックルを閉じてしまうと、レリーフが下に開いて鎧が落ちて、パインの頭に被された。



 『フレッシュ!パインアームズ!粉砕・デストローイ!』


 ピーチ・ベリー・マリカ(タルト)「えぇぇえ~~!?!」


 湊「何なの、あのアームズは・・・!?」


 パインⅡP「ど、どうなってるの!?何がどうなっちゃったの!?」


 ピーチとベリーとタルトは口をあんぐりと開けて驚愕し、湊は見たことのないアームズに目を疑った。
 パインが纏っている鎧は、ロックシードはリンクルンと同じ所に引っ掛けてあり、両肩はパイナップルの様な肩当てで華やかなパインカラーに、左胸には輝いてるかのようなエンブレムが入っていて、両手にはパイナップル型の鎖鉄球「パインアイアン」が握られていた。

 サウラー「奴等、何をしたんだ・・・!?」


 ナケワメーケ「ガッシャーン!」


 パインⅡP「わぁぁーーっ!来ないでぇーっ!」

 パインが混乱している間にナケワメーケがスロットルを発射した。が、パインは両手を振るうと、パインアイアンが飛び交いスロットルを粉砕し、ナケワメーケに飛んでいく。

 ナケワメーケ「ガッシャーン!?」


 パインⅡP「え?え?」


 ナケワメーケのスロットルが発射される胸部分にパインアイアンが衝突し、ナケワメーケを突き飛ばす。それにはパイン自身も何が起こったのか状況が理解できず、呆けていた。

 ピーチ「す、スゴイ!」

 
 ベリー「パイン、ナイス!」

 
 サウラー「何・・・っ!?」

 ピーチとベリーはナケワメーケを突き飛ばしたのに驚きと凄さを覚えた。サウラーはたった一発の攻撃で倒されたナケワメーケを見て、少し同様の色を浮かべた。 

 湊「パイン!」


 パインⅡP「湊さん・・・?」

 パインがまだ混乱している最中、湊が叫ぶ。その声にパインは湊の方を振り向いた。

 湊「左端にボタンがあるはずよ!それを押して!」


 パインⅡP「ボ、ボタン?・・・これ?」

 パインは湊に言われた通りにロックシードの左端にあったボタンを一回押した。

 『フレッシュ!パインスカッシュ!』


 パインⅡP「お、おわぁあ~~!?」


 マリカ(タルト)「パインはん!?」


 ボタンを押した事で必殺技が発動し、一つのパインアイアンが巨大化した。パインは押し潰されそうになったがタルトが退かして助けた。


 マリカ(タルト)「大丈夫かいな?」


 パインⅡP「あ、ありがとう、タルトさん」


 湊「それをアイツ目掛けて投げて!」


 パインとタルトは湊の指示を聞くと、すぐさま力を合わせて二人でパインアイアンを持ち上げナケワメーケに向けて投げつけた。


 パインⅡP・マリカ(タルト)「そぉれっ!/そぉりゃっ!」


 ナケワメーケ「ガッシャーン!!?」


 パインアイアンはナケワメーケの頭にすっぽりとハマり、抜けなくなった。ナケワメーケは必死に取ろうとするがら丸いてが仇となり思うように抜けない。
 湊は力を振り絞って立ち上がり、フラフラと覚束無い足取りで二人に向かって叫ぶ。

 湊「今よ!」


 マリカ「ヨッシャ!行くで!」


 タルトはシーボルコンプレッサーを押し込んで離す。


 『ピーチエナジースパーキング』


 音声が鳴ると同時に、パインと共に高く飛び上がった。パインは左足に、タルトは右足にエネルギーを纏わせ突き出す。


 マリカ(タルト)・パインⅡP「タァアァァアッ!!」


 二人のダブルキックが炸裂し、パイナップルを切ったような形状のエネルギーが浮かんで二人が着地すると同時にナケワメーケは爆発した。ダイヤも煙となって消えていき、ナケワメーケはスロットルマシーンに戻った。


 サウラー「くっ・・・中々やるじゃない」


 サウラーは捨て台詞を吐いた後、その場から去っていった。
 
 パインⅡP「タルトさん!」


 マリカ(タルト)「やったでぇ!」


 パインとタルトは喜び合いながらハイタッチをした。その瞬間二人の体が光り、パインの変身が解けたが、マリカはそのまま変身は解かれなかった。


 タルト「おっ?」


 マリカ(祈里)「元に戻っ・・・たの?」


 タルト「ホンマやぁ!」

 祈里はマリカに変身したままなので、自分の姿が戻ったのかわからないのだ。タルトは自分が元の姿に戻ったのに喜んだ。

 湊「変身を解けばいいだけよ」


 マリカ(祈里)「あっ、そうですよね」

 大分回復した湊が祈里に近寄って言うと、祈里は変身の手順を思い出しながら変身を解いた。 

 祈里「あっ、よかったぁ」


 タルト「あっ、湊はん。これ」


 祈里は自分の手を見ながらホッとしていると、タルトが何かを差し出した。それは先程までパインロックシードに似ていたロックシードになっていたロックシードなのだが、果物のレリーフが無く、無塗装になっている。

 湊「・・・」


 ラブ「お姉ちゃん、それってロックシードなの?」


 湊「・・・ええ、そうよ。説明は、また今度してあげるわ」


 ラブ「う、うん・・・」


 サウラー「すまないね、また失敗してへぶっ!?」

 占い館へ戻り、失敗したのにも関わらず平然と部屋のドアを開けて入ってきたサウラーの右頬に固い塊と、額には小さいが鋭く威力のある衝撃が直撃して突き飛ばされた。
 その正体は目を鋭く尖らせ、青筋を幾つも立てているウエスターとイースのグーパンチとデコピンと言う攻撃だった。


 サウラー「な、何をするだ!君達は!?」


 突然の攻撃を受けたサウラーはウエスターに殴られた頬とイースにデコピンされた額を赤くさせて手で擦った。特に額が地味に痛みが残って痛い。
 イースとウエスターはサウラーの前で仁王立ちして睨んだ。


 イース「アンタのせいでねぇ・・・」


 ウエスター「こっちはなぁ・・・」


 イース・ウエスター「大変だったのよ!/大変だったんだからな!」


 そう言うなりイースはウエスターに押し倒された時と同じ様に(事故だが)顔を真っ赤にして、涙目になった。



 遡ること数時間前。
 イースとウエスターはそれぞれ自分が座るソファーとテーブルの椅子に座って本を読んでいた。
 イースは人間を不幸にするための参考になりそうな本を、ウエスターは本ではなく雑誌を。言わずともバイク特集の雑誌である。
 イースは前までは怒鳴り散らしてから取り上げていたのだが、最近になって愛想が尽きたのか無視している。


 ウエスター「う~~ん・・・VTR1000か・・・」


 イース「・・・言っ」

 
 ウエスター?「とくけど、買わせないわよ」


 イース?「わ、わかっている。・・・あれ?」


 ウエスター?「・・・ん?」


 短い会話が終わった直後、二人は違和感を覚えた。それは、今自分が読んでいる物が違うからだ。
 ウエスターとイースは本から目を離して、お互い顔を見合わせた。そして、ポカンとしたまま固まる。

 イース?「なっ、なっ、なっ!?」


 ウエスター?「何で・・・何で・・・!?」


 イースター・ウエース「俺が居るんだ!?/私が居るの!?」


 イースター「ど、どうなっているんだこれは!?」


 ウエース「まさか・・・サウラーが!?」


 イースと入れ替わってしまったと思われるウエスターは混乱状態になって部屋中を行ったり来たりしてパニックになり、ウエスターと入れ替わってしまったイースは冷静にサウラーの作戦で自分達に何か起こったのだと判断した。


 ウエース「くっ、サウラーの馬鹿っ!」


 イースター「ぜぇ、ぜぇ、な、何だこの胸の肉は、邪魔なだけだぞ」


 ウエース「い、いいいいい言わなくていいわよ!//」


 その後数時間の間、どうすることもできずウエスターとイースはサウラーが帰ってくるまで途方にくれていた。


 ウエース「まさか、アンタと入れ替わるなんて・・・」


 イースター「何だ、嫌なのか?」


 イースはぶつぶつと愚痴を呟きながら、テーブルの椅子に座り頬杖をしながらサウラーの帰りを待っている。その愚痴を腕組をしながら、器用に椅子の後ろの脚で止まっているウエスターの耳に入った。
 

 ウエース「当たり前でしょ。アンタみたいな奴なんか・・・」


 イースター「俺は少なくともお前の事は嫌いじゃないぞ」


 ウエース「・・・え?」


 イースター「むしろ好きだけどな」

 
 ウエスターの言葉にイースは愕然としていたが、次第に顔を赤くさせて頭を掻いて額をテーブルに付けた。
 その時、ウエスターが椅子から立ち上がる。


 ウエース「ちょ、ちょっと、どこ行くのよ」


 イースター「トイレだ」


 ウエース「なぁっ!?//」


 イースはまさかのウエスターの発言に、椅子を倒して勢い良く立ち上がった。それにウエスターは不思議そうな目でイースを見る。


 イースター「何だ、変な声を出して」


 ウエース「馬鹿な事はやめなさい!」


 イースター「馬鹿なことって、整理現象なのだから仕方ないだろう」


 ウエース「アンタにはデリカシーってものがなにの!?//」


 イースター「ピザ頼みたいのか?」


 ウエース「デリバリーじゃないわよ!」

 
 イースター「痛ぁ!?な、何で殴るんだ!?」

 そんなテレビ業界に出れば受けそうな漫才をしていると、突然二人の体が光った。


 イース「だから、アンタが馬鹿な事を・・・あっ?」


 ウエスター「も、戻ったみたいだな・・・」


 イース「そ、そうね・・・あっ、ちょっと//」


 イースはホッとしたのも、束の間足をモジモジさせて部屋から急いで出ていった。


 ウエスター「ほら見ろ、やっぱりそうなるじゃないか」


 サウラー「(あの時ナケワメーケが間違えていたのが原因か・・・)」


 サウラーはナケワメーケが人間同士を入れ替得てしまったと言っていたのを思い出した。


 ウエスター「だがな、いくらなんでも殴るのは良くないだろ」


 イース「アンタみたいな馬鹿はあれぐらいが丁度いいのよ」


 サウラー「それはすまなかったね」


 イース「まったくよ」


 ウエスター「まぁ、許せんことはないが・・・これはこれでよかったがな」


 イースは反省の色が見えないサウラーの謝罪に少しイラッとするが、何か言った時点で何も変わらないと思い何も言わなかった。しかし、ウエスターは腕を組ながら、頷いた。

 
 イース「はぁ?」


 サウラー「どう言うことだい?」


 ウエスター「いやぁ、お互いの気持ちがわかり合えたと言うか
・・・」


 イース「そんな事、私は微塵も感じなかったわよ」


 ウエスター「そうか?」


 イース「そうよ」


 ウエスター「だが、俺はお前が動くときに胸の肉で動きにくいことはわかったぞ」


 イース「やっぱアンタデリカシーがないわね!//」


 ウエスター「だから何で殴るんだ!?」


 イース「うるさい!//もぅ~~・・・馬鹿!/」

 ウエスター「あっ、待て!話はまだ終わってないぞ!」

 イースは怒りと羞恥心で判断が鈍くなり、ドアを乱暴に開けてへやから出ていった。その後をウエスターは追いかけた。
 その後、小さな地震が起きて、乾いた良い音が占い館に再び鳴り響いたと言うのは言うまでもない。

今日はここまで。

乙です
ちょっと混乱したんで確認
タルトがブッキーの身体でマリカに変身
ブッキーがタルトの身体でプリキュアに変身プラスフレッシュパインを装備
これまで合ってるかな

乙です。

前も思ったけど、この楽しそうなイース、プリキュア側行くのかな…?

>>255

はい。合ってます

>>256

さあ?(棒)

フレッシュパインってことは鎧武フレッシュオレンジアームズと似たようものだと思っていいのか

>>258 はい!その通りです。

では、再開


 ラブ「えぇ!?これを、シフォンが持ってたの?」
 
 シフォン「プリップ~」


 翌日の昼下がり、カオルズドーナツカフェに集まっているラブ、美希、祈里、タルトは昨日祈里がタルトの姿のままで変身したパインにパインアームズを装備させたロックシードとダンボール箱の中に隠していたヘルヘイムの実と、湊の腕の中に居るシフォンを交互に見ながら驚いていた。

 湊「ええ。でも、どこから持ってきたのかはわからないわ・・・」


 タルト「シフォン、それどっから持ってきたんや?」


 シフォン「キュア~、キュアプリップ~」


 タルトの質問に、シフォンは答えるかの手を小さく降りながら何か話しているが、やはり上手く伝わらずタルトは断念した。


 タルト「アカン、何か知っとる事は知っとるみたいねんけど・・・」


 祈里「まだ赤ちゃんだからね・・・」


 美希「仕方ないわ・・・でも、このヘルヘイムの実でしたよね?これはアーマードライダーが握るとこのロックシードになるんですよね?」


 美希はテーブルに置かれているヘルヘイムの実を左手で指してから、右手に持っているロックシードを指した。その質問に湊は「そうよ」と頷いたが、謎だらけの事に頭を抱えている。


 湊「何故、祈里さんが変身している時、これを手に取った際にロックシードになったかは不明だけど・・・このヘルヘイムの実は特殊なのかもしれないわ」


 ラブ「特殊って?」


 湊「前に話したと思うけれど、ヘルヘイムの実は手に取ると食べたくなる衝動に掛けられるの。だけどこのヘルヘイムの実は全くその様な衝動は掛けられないの」


 美希「と言うと・・・?」


 湊「誰かが・・・これに細工をしたと推測しているわ」


 その発言に3人と一匹は驚いた。自分達の世界では全くわからないことなのだが、湊の意味深げな言い方に緊張さえ走る。


 ラブ「誰かって・・・もしかして」


 ラブが予想で言おうとした人物の名前を言う前に、湊は首を振って静止させた。


 湊「そうとは限らないわ。別の世界で黄金の果実を手にいれた者がした可能性もあるわ」


 ラブ「別の世界・・・?」


 湊「ヘルヘイムの森は異世界。異星や過去、もしかしたら地球自体の未来にさえ侵食しかねないから、誰かが黄金の果実を手に入れてもおかしくはないの」


 美希「じゃあ・・・もしかしてこの世界で見つけたって事は?」


 湊「いいえ、シフォンちゃんがこの世界で見つけたそうではないみたいよ」


 美希「そうなんですか・・・」


 美希は最悪の事態は免れたと安堵して、ホッと胸を撫で降ろして背凭れに背中を預けた。


 タルトはふと何か疑問に思ったのか、美希が置いたロックシードを両手で持つと湊に質問した。


 タルト「あの湊はん、パインはんが変身してる時、これにパイナップルのレリーフがあったねんけど、何で今は無いですの?」


 湊「それもわからないわ。多分プリキュアに変身している時だけにしか使えないんじゃないのかしら」


 祈里「わ、私はあんまり使いたくないですね・・・人にパインを投げ付けたくないし・・・」

 
 美希「人じゃないけど・・・」



 祈里はあまりド派手に戦うことを好まない為なのか、昨日のアームズを装備した状態での戦闘は好印象ではなかったようである。人と祈里は言ったが、実際にはナケワメーケだと美希は率直に思い苦笑いをした。


 湊「もしかしたら、祈里さんだけじゃなくてラブと美希さんも使えるかもしれないわね」


 ラブ「え?ホントに!?」


 美希「確かに、ブッキーが使えるとしたら・・・私達も使えるかもしれませんね!」

 
 ラブは椅子から立ち上がって机に手を付き、湊の顔に急接近して湊を驚かせ、美希は湊の考えに一理あると思い納得した。


 湊「ええ。これは私が持っておくわ、いざっと言う時にはすぐに渡してあげる」


 ラブ「そうだね。お姉ちゃんが一番ロックシードの扱い方にも慣れてるし」


 美希「そうね。湊さんが持っている方が安全ね」

 
 祈里「それに無くしたら大変ですからね」


 ラブ達は湊がロックシードを持っていた方が安全だと判断し、賛成した。湊はその言葉を聞いて自分は信頼されているのだなと嬉しそうに微笑んで、ロックシードをスーツのポケットに入れた。


 カオルちゃん「お姉さん、買い出しお願いできるかな?」


 湊「あっ、はい!ごめんなさいね、ちょっと行ってくるわ」


 ラブ・美希・祈里・タルト「はーい!/はいな!」


 湊はシフォンをタルトに預けて、カオルちゃんの元に行き、材料を買うための資金の入った封筒を受け取ると公園から出る入り口に向かって走り出した。
 後ろに振り返って手を振り、ラブ達がそれに応える様に手を振るのを見てからいつもの果物屋に向かった。
 公園の入り口を出て、途中チラッと手塚と出会った場所を見るがやはり居なかった。


 湊「・・・仕方ないわよね・・・
 
 湊は深いため息をついて、足を進めた。その時、丁度脇道から誰かが出てきたが湊は先に行ってしまい、道から出てきた人物も湊の存在に気づかなった


 今日は果物屋から受け取ったのは注文の品の入った紙袋ではなく、箱だったので湊は肩に乗せてカオルちゃんとラブ達の待つ公園に向かっていた。
 肩に乗せてカオルズドーナツカフェまで戻る道のりを帰る際に、周囲からの視線を浴びていた日がいつのまにか消えていた。ふとそんな事を思い返している時。


 「あっ!お姉ちゃん!」


 湊「えっ・・・?」


 横から声が聞こえたので、その方向を見ると砂場で遊んでいる子供達の中に、いつか木に引っ掛かった風船を取ってあげた、赤と白のチェック柄をしたポシェットを肩に掛けている少女が居た。
 少女は友達と思われる同い年ぐらいの子に、「ちょっと待ってて」と言ってから湊の所に全速力で走ってきた。


 湊「あら、貴女は・・・久しぶりね」


 「うん!お姉ちゃん、クッキー、おいしかった?」


 湊「えぇ、とっても」


 少女は屈んで自分と同じ目線になって明るく笑いながら感想を言った湊に「よかったぁ」とニッコリと笑う。ふと湊は少女が走って来た方を見ると、少女の友達と思われる子供達はこちらを「誰だろう?」と不思議そうに見ていた。
 前に母親と一緒にお礼を言いに来た時、引っ込み思案と言っていたが、それにしては以前より明るくなっているのは何故なのだろうかと思った。

 湊「お友達と遊んでたの?」


 「うん!お姉ちゃんもいっしょにあそぶ?」


 湊「あ~・・・ごめんね?まだお姉ちゃんはお仕事があるから、帰らないといけないの」

 
 少女の誘いに湊は申し訳なさそうに苦笑いでやんわりと断ると、少女はしょんぼりとした様で小さく俯いた。


 「そっかぁ~・・・じゃあ、またこんどあそぼ?」


 湊「ええ。もちろん」


 「やった!」


 少女は少し目線の差があるため、少し上目使いで恐る恐る聞くと、湊はそれを見てクスッと笑い返事をした。その返事に少女はパアッと明るい笑顔になって両手を大きく広げて体で喜びを表した。


 湊「ふふっ。あっ、そう言えば貴女のお名前は?お母さんはさなって呼んでたから、さなちゃんって言うの?」


 「ううん。お母さんはそうだけど、わたしのなまえは、さなほだよ」


 湊「さなほちゃん?」


 「こう書くの」



「真穂」


 両手で持ちながら、湊の目の前に差し出したポシェットの右端にそう刺繍されてあった。「真」とは「ま」と読みそうだが列記として「さな」とも読む。
 湊は通常ではあまり使わなそうな、珍しい読み方の「さな」を考えたなと感心した。


 湊「へぇ、こう書くのね・・・」


 真穂「うん!お父さんと、お母さんの名前からとったんだって!」


 湊「そうなの・・・お父さんとお母さん、好き?」


 真穂「うん!お父さんはいっしょにあそんでおもしろいこともしてくれるし、お母さんのりょうりもおいしいんだよ!」


 湊は真穂のそのキラキラとした目で明るく笑いながら話す様子を見て、本当に自分の両親が大好きだと思い、優しく笑む。


 湊「そっか。あっ、そろそろ戻らないといけないわね・・・真穂ちゃん、お姉ちゃんは明後日なら一緒に遊べるからその日でいいかな?」


 真穂「うん!じゃあ指切りしよっ!」


 真穂が小さな手から小指を立てると、湊は「ええ」と答えて自分の小指を立てて絡めた。
 少女の手は砂場で遊んでいたせいか若干砂粒がついており、太陽の光でキラキラとしている。

 
 真穂「ゆびきり げんまん うそついたら、はりせんぼん の~ます!ゆびきった!おねえちゃん、やくそくできる?」


 真穂は初めて湊と出会った時に湊が言ったことを真似たのか、湊の目を真っ直ぐ見たまま言った。


 湊「ええ、約束するわ。じゃあ、明後日」


 真穂「うん!またね!」


 湊は立ち上がって、片手で箱を支え直して真穂に見送られながら去って行った。
 真穂は湊が道の角を曲がったところで、手を振るのをやめた途端、視界が真っ暗になった。
 

 真穂「わわっ!?」


 「だ~れだっ?」


 真穂の耳に聞き慣れた、低くも高くもある声に頬を膨らませて答えた。


 真穂「もう、おとーさん!」


 「せいか~~い!よくわかりました~!」


 視界が明るくなって後ろを振り向くと、自分の父が子供の様に無邪気に笑っていた。


 真穂「いっつもそうやってくるからわかるよぉ~だ!」


 「そっかそっか、さっき誰に手を振ってたの?」


 真穂「ん~・・・ひ・み・つ!」


 「何でだよ~!教えろよぉ~~!」


 真穂「きゃ~~!やぁ~だ~!」

今日はここまで


 湊「遅れたわね・・・」


 湊は若干焦り気味で肩に乗せている箱をバランスを取りながら支えて走っている。カオルちゃんはたまに自分が遅れることがあっても、気にしないでと言ってくれるのだが自分では悪いと思っているので急いでいるのだ。
 しばらく走り続けて、四ツ葉町公園が見えてくると湊はゆっくりと走るスピードを落として息を整えながら歩き始めた。
 その時、ふと耳を澄ませると小鳥の囀りが聞こえ、それに加えて、空を見上げると晴天である。
 湊は今居る、この時が、手塚と初めて出会った時と同じ場面だと思った。

 
 湊「・・・何時になったら会えるのかしら・・・」


 「俺も何かと忙しいからな」


 湊「・・・えっ!?」


 湊の溜息混じりのポツリと呟いた言葉に、誰かが答える。その声の人物に湊は聞き覚えがある声だと一瞬思ったが、瞬時に脳裏にその人物が浮かび上がった。湊は声がした方を見ると、そこに居たのは平然とした顔で当たり前の様に茣蓙を敷いて、その上に座っている手塚が居た。


 湊「・・・やっと、会えたわね」


 手塚「・・・その様子だと、ずっと探してたみたいだな」


 呆然とした後、湊は本当にやっと会えたと心の底から思い苦笑いと共に安堵の深い溜息をついた。それを見て、手塚は湊を見ながら少し申し訳なさそうな顔をしていた。湊は手塚の前に来て正座をする様に膝を付いて座り、品物の入った箱を隣に置いた。


 湊「ええ。さっそくで悪いけど、いいかしら?」

 
 
 手塚「ああ。いいぞ」



 湊「まず最初に、これの持ち主を探し出して欲しいの」

 
 そう言って湊はポケットからヘルヘイムの実とロックシードを取り出して、手塚の前に置いた。
 湊はすぐに探して出してくれると思った、だがしかし手塚は眉間に皺を寄せて湊を見る。


 手塚「・・・人探しは出来るかどうかは、わからないぞ?」


 湊「お願い、頼れるのは貴方だけなの」


 湊の真剣な眼差しに、手塚は少し考えた末ポケットからコインを取り出してハンカチの上に置いた。
 

 手塚「やれる事のだけの事は・・・やってやる」


 湊「ありがとう」


 手塚は3枚の内、端の2枚の表面を裏、真ん中の1枚だけ表にして置かれたコインを深呼吸をしてからじっくりと見始める。湊はその様子を、内心もしかしたら彼なのかと言う期待と別の世界から再び新たなオーバーロードが生まれこの世界を支配しに来る予兆なのかもしれないと言う不安の混じった感情で見つめた。
 風が木々を揺らしてザァァと音を鳴らし、その音が消えると共に手塚が目を開いた
 


 手塚「見えた。多分これを受け取った奴の目線だ」


 湊「どんな人物だったの?」


 手塚「影の様になっていてよく見えなかったが、図体からしてジャケットを着ている」


 湊は一瞬戒人かと思ったが、よくよく考えてみれば紘汰も時折ジャケットを着るため二人のどちらかがと言うのに判断がつかない。とりあえずと、湊は考えるのを中断して次の質問をした


 湊「次に行く前に、質問があるわ。貴方がこの世界に来て何故この世界に来たのか調べたりはしたの?」


 手塚「ああ・・・一応は、な」


 湊「何か見えたの・・・?」


 湊は意味有り気な発言に反応して聞くと、手塚は俯き加減に答えた


 手塚「・・・角だ」


 湊「・・・角?」


 手塚「ああ。それもとてつもなくデカイ角だ」


 湊「・・・そ、そう・・・」


 湊は拍子抜けして、何と答えればいいのか戸惑った。自分が死んだと思われたのに、生き返ったのが手塚が言う角のせいなのかと思ったからだ


 湊「・・・じゃあ、最後の質問・・・いいかしら?」


 手塚「ああ。何だ?」


 湊「・・・」

 
 湊は一瞬口を開いたが、何故か戸惑って言うのをやめてしまう。それを見て手塚は「どうかしたか?」と尋ねる。
 そうして1,2分経って湊は口を開いた


 
 湊「・・・駆紋戒人と言う人物がこの世界に来ているか知りたいの」

今日はここまで


質問ですが、手塚の口調大丈夫でしょうか?

手塚は登場期間が短いから細かい部分に関してはちゃんと覚えてるかビデオ持ってる奴しかわからないと思う

>>275
そうですか・・・。ありがとうございます


 手塚「・・・」

 
 手塚はどこか悲し気に言う湊に、質問をかけることもなく、コインを見始めた。この時の手塚はいつもと違い、意識を集中させてコインを見る。余程本気を出している様に見えた。
 そしてツキンと手塚の脳に一瞬だが、頭痛が走り何かが脳裏に過った。
 やがて何も見えなくなったのか、コインから目を離した。
 
 手塚「・・・残念だが、この世界には来ていないみたいだな」


 湊「・・・そう」


 手塚の出した答えに湊はやはりか、と言った表情で特に残念そうにも、悔しそうにもせずただただ俯くだけだった。

 手塚「ただ・・・」


 湊「ただ?」


 手塚「そいつは死んではいるが、どこかで見守ってるのかもしれないな」


 湊「・・・何か見えたの?」

 
 手塚「平和な町と・・・無邪気に遊ぶ子供が。そいつは自分の居る世界を見守り続ける気なんだろ。だから、この世界に来る気はないだろうだな」


 湊「・・・」


 手塚「他にはあるか?」


 湊「・・・いえ、それだけ聞けて満足よ。ありがとう、手塚君」


 湊は本当に、聞く事が無くなって微笑みながら満足そうに言う。


 手塚「・・・そう言えば、アンタの名前聞いてなかったな」


 湊「私は、湊耀子よ。よかったら、また会える様にアドレス交換はどうかしら?」


 手塚「ああ。いいぞ」


 そう言ってお互いポケットに手を入れて、携帯を掴み取り出した。その出した携帯を見て、お互い不思議そうな顔をした。


 湊「ガラケーなのね」

 手塚「何だその板みたいな物は」


 お互い同時に感想を言うと、えっ、とした顔で見合う。湊が持っているのは好みの色でカラーリングされているスマートフォンで、手塚が手にしているのは湊からしてみれば大分古い機種の俗に言うガラパゴス携帯である。


 湊「これはスマートフォンよ?」


 手塚「スマートフォン?」


 湊「貴方が持ってるその携帯の、謂わば新型みたいな物よ」

 
 手塚「・・・それにしては、薄すぎないか?それに、落としそうだぞ?」


 湊はまさかスマートフォンを知らないのかと思ったのだが、そのまさかで、手塚の反応を見る限り本当に知らないのだと確信した。
 

 湊「詳しくは説明できないのだけど、これは2007年にアップルと言う海外の企業が発売した列記とした携帯電話よ」


 手塚「果物でも作ってるみたいな名前だな」」


 湊「貴方からしてみればそうなのね。でも、これはちゃんと使えるわよ」


 手塚「そうか。俺がこの世界に来たのは2002年だったからな、そんな物は無かった」


 湊「・・・2002年?」


 湊は驚愕した。今この世界の年号は2009年であり、自分は今より5年後の未来から来たのだ。それに対して手塚が来た年は2002年だと言う。何故こんなにも年代が違う世界からこの世界に来たのか不思議でならない。


 手塚「ああ。アンタは何年から来たんだ?」


 湊「私は・・・2014年よ」


 手塚「2014・・・2012年に世界破滅は来なかっただろ?」


 この世界に来て最初にラブに自分が2014年から来たと言った時にも世界が破滅すると言う話になったが、今回の手塚の場合も世界が破滅すると聞いてはきたが、少し違い来る?ではなく来なかったと断言しているような口振りだった。


 湊「ええ。占ってたの?」


 手塚「ああ、俺の占いは当たるからな」


 湊「そう。さすがね」


 手塚「で、アドレスは俺から教えるか?」


 湊「ええ。そうしてもらうわ」


 手塚は湊に自分のメールアドレスを教える。湊からチッチッと操作する際に鳴る音が聞こえ、手塚からはカチカチと旧式と新型の違いのよくわかる音が重なり合う。


 手塚「これでいいな」


 湊「ええ。じゃあ、仕事に戻るわね」


 手塚「ああ。またな」


 アドレスの交換を終えると湊は隣に置いていた箱を肩に担ぐと、カオルズドーナツカフェに向かった。
 その後を手塚は見送りながら、短くため息をつく。そしてコインを見つめた

 
 手塚「・・・(他にもアンタが見えたが・・・誰かに言うなと言われたからな)」


 「あの、この辺で有名な占い師さんですか?」


 手塚が微笑を浮かべていると、一人の赤みがかかった茶髪の女性が声をかけた。
 その声に反応して、手塚は伏せていた「コイン占い 五百円」と書かれている三角形に折った厚紙の札を立てる。


 手塚「ああ」


 「じゃあ、お願いします。友達から貴方の占いがすごいって評判なんですよ」


 手塚「俺の占いは当たるからな」


 
 湊「(寄り道しすぎたっ!)」ダダダ


 湊は流石にこれはカオルちゃんに申し訳ないことをしてしまったと後悔しながら全速力で走り、カオルズドーナツカフェが見えると靴の側面をエッジ代わりに土煙を出しながらキキィとブレーキ音が聞こえるかの様な急停止をした。
 それを見て、最近起こった話題の話で盛り上がりながら待っていたラブ達は目が飛び出るほど仰天した。


 ラブ「あっ、お、お姉ちゃん」


 湊「ごめんなさい!遅れました!」


 カオルちゃん「いいよいいよ、まだ休憩時間だったからね」


 湊「えっ・・・?あっ・・・ホントだわ・・・」


 ラブの呼び掛けに湊は反応せず、すぐさま準備をしようと思っていたのだがカオルちゃんの言う通りまだ公園に設置されてある時計の長い針は休憩時間の終了時間を指しておらずまだ十分程度の時間が余っていた。
 それを見て焦っていた疲れの一息と時間を見ずに突っ走っていた自分に呆れていると言った溜息の混じった息を吐いた。


 ラブ「大丈夫?」


 湊「ちょっと、座らせて・・・」


 湊は余程疲れたらしくヘトヘトになっていた。ラブに椅子を引いてもらい力尽きる様に腰を下ろして首をガクッと俯く様に曲げ、腕をダラーンと力を抜いて落とす。さりげなくカオルちゃんが置いてくれた水を一気に飲み干し杯に溜めていた息を吐く。

 
 祈里「湊さん。そんなに急いでたんですか?」

 
 湊「まぁ、色々と道草を食ってたって言うのかしらね・・・」


 ラブ「えっ!?お姉ちゃん草なんて食べちゃダメだよ!」


 美希「そっちの草じゃないわよ」


 ラブの天然に似たバカっぷりに美希は呆れながらツッコむ。


 美希「でも、何かやってたんですか?」


 湊「大分前にあった事のある人と話してたら、遅くなっちゃっただけよ」


 美希「そうなんですか」



 
 美希「じゃあ、またねラブ、湊さん、タルト、シフォン」


 祈里「バイバ~イ」


 ラブ「また明日~!」

 夕方になり、美希と祈里は家に帰ることにしてラブは湊が帰るのを待とうとしたが湊曰く今日は遅くなるらしく一人で帰ることにした。
 いつもと違う道で帰ることにしたラブは、別の入り口から公園出て公園を後にした。目の前に段々と西に沈んでいく西日が眩しく輝いていた
 ラブは歩きながら今日の夕ご飯は何かなぁとご機嫌にスキップを踏みながら帰っている。


 手塚「ご機嫌だな」


 ラブ「んっ?」
  

 その時ラブは声を掛けられたのに気付くと片足を付いたまま止まって、当たりをキョロキョロする。「こっちだ」と後ろから声が聞こえたのでラブは後ろを振り向くと手塚がいた。
 手塚はいつもながらの手順でハンカチを置き、その上に3枚のコインを裏・表・裏にして置き見つめる。
 それにラブは興味津々に近寄って、手塚と同じようにコインを見つめる。そして、手塚が顔を下に向けたまま言った

 手塚「今日の夕飯は・・・唐翌揚げだな。それと肉じゃがもだ」


 ラブ「えっ?」
 
 その時ラブのリンクルンが鳴る。カバンからリンクルンを取り出して電話出た。


 ラブ「もしもし?」


 あゆみ『ラブ、今帰ってる?今日の夕飯は唐翌揚げと肉じゃがだから』


 ラブ「えぇっ!?」


 あゆみ『そんなに驚かなくても・・・とりあえず、早く帰ってきてね』


 ラブ「えっ、あっうん・・・。・・・何でわかったですか!?」


 ラブは手塚が言い当てた夕飯のメニューに驚きながら、聞くと手塚は顔を上げて何食わぬ顔で


 手塚「俺の占いは当たる」

 と答える。ラブはその言葉にラブはポカンとした。
 しばらくしてハッと我に返り、スゴイ人に会ったかも!と心を躍らせて他にも手塚に聞きたい事があったのだが生憎あゆみに早く帰って来るように言われたので、うぅっと呻りながらしょうがないと諦めがついて札に書いてあった五百円と言う文字に「高いなぁ」と又も呻りながらカバンから財布を取り出し500円を払おうとした。

 ラブ「あっ・・・500円・・・無い・・・」


 手塚「今日は特別だ。また今度払ってくれればいい」

 
 ラブ「ほ、本当ですか?ありがとうございます」


 ラブはペコペコと頭を下げて、せめてと財布の中の端にあった0が一つ足りない50円をハンカチに置いて家に帰って行った。

今日はここまで。


 家に帰宅したラブと、少し遅れて帰ってきた湊は夕食を食べていた。あゆみが作った夕飯のメニューは手塚の予想通りに唐翌揚げと肉じゃがだった。
 ラブは本当にすごい人なんだと心の中で改めて感心し、一口唐翌揚げを入れる。コロモのサクッとした食感にジュワ~っと肉汁が口の中に広がり、肉の柔らかさを堪能して幸福感に浸る
 

 あゆみ「ところでラブ?何で電話で今日の夕ご飯の事を聞いて驚いてたの?」


 ラブ「あっ、あのね!公園から帰ってる時に、赤紫のスーツを着た人に会ったの。その人が占いで今日の、この唐翌揚げと肉じゃがを当てたんだよ!」


 あゆみ「へぇ、すごいわね」


 湊「(手塚君ね・・・。まぁ、流石と言ったら流石ね)」


 湊はラブの言った赤紫のスーツを着た人を手塚だと即座に気づき、やはり頼りになれる人物だと思った。


 ラブ「お姉ちゃんは知ってる?その人が居る道の方から出入りするけど」


 湊「ええ、あるわ。大分前に会った事のある人って言ったわよね?その人の事よ」


 ラブ「あっ、そうだったんだ」



 夕食を終えて、ラブはシフォンにご飯をあげていた。ピルンをリンクルンにセットして召喚されたのは様々な野菜の入ったシチューだった。


 ラブ「わ~、今日はアツアツのシチューだぁ」


 ラブは左手でシチューボウルを持って、右手に持ったスプーンで一掬いした。
 シフォンはまだ赤ちゃんのため、出来るだけ冷ます様に息を吹きかけた。

 
 ラブ「はい、あーん」


 シフォン「あ~ん」


 ソファの上に正座している湊の膝の上に、座らせているシフォンにシフォンに適温に冷まさせたシチューを食べさせた。シフォンはとても美味しいとばかりに両手を大きく広げて喜んだ。それを見て湊は顔を綻ばせる。
 ラブはもう一度、シチューを掬って息を吹きかけ冷まして、食べさせようとした。
 
 「ほぉ、中々上手そうやなぁ」


 ラブ・湊「んっ?」


 「んっ?」


 ラブ・湊「ひぃっ!?/っ!?」


 ラブ「おっきな毛玉~~~!?」


 ラブと湊は突然現れた、ピンク色のフサフサとした謎の毛むくじゃらの生物に驚き、ラブは家が揺れるほどの悲鳴を上げて湊はその生物の頭を鷲掴みした。湊の顔は恐ろしいまでの形相になっており、毛むくじゃらの生物の身の毛がよだつ。
 毛むくじゃらの生物は慌てて足をジタバタとさせると、手で毛をかき分け顔を出した。


 タルト「湊はん!ワイやワイ!!」


 湊「タ、タルト君?」


 その正体は必死な眼光で湊を見つめるタルトだった。目を点にしていた湊は正体がタルトだとわかると、「ごめんなさい」と謝りながら片手で足場を作りそこからゆっくりと床に置いてあげた。


 ラブ「ど、どうしたのタルト!?その恰好!?」
 


 タルト「ふふっ、ど~やぁ~?」


 タルトは後ろを振り返ると、ピンク色のタルトよりも長い毛がキラキラと靡く。
 

 ラブ「ぷふっ!あはは!」


 タルト「おっ?」


 ラブ「あはははははは!」 湊「・・・ぷっ」


 タルト「おぉっ!?」


 目を点にしていたラブは大爆笑して、湊は耐えようとしていたのだがあまりにも可笑しかったのか吹いてしまった。
 それにつられてシフォンも笑う。


 タルト「何で笑うねん!これは最新式のなぁ!」


 圭太郎「タルト!ここに居たのかぁ」


 キッチンのすぐ横に設置されているドアから圭太郎が入ってきて、ラブは慌ててシフォンを隠した。 


 ラブ「お父さん?それってまさか・・・?」


 圭太郎「ああ。会社でペット用のカツラを開発しててね、タルトに試着してもらったんだ」


 湊「動物のカツラですか・・・?」


 湊は何故動物にカツラが必要なのか疑問に思った。普通動物の毛は抜けたとしてもすぐに生えてきたりするので、カツラと言う物は不要としか思えないからだ。


 圭太郎「うん。そうだよ」


 ラブ「ふぅん、何か変なの」


 ラブは興味なさそうに、ソファの背もたれに向けていた体を前に戻して座った。湊も隣に座ってラブに共感した。


 圭太郎「ふふふふふ、見た目で判断されては困る!ペットのため色々なアイデアを出してやっと理想の形に近づいてきたんだぁ~!」


 ラブ「へぇ~・・・」

 圭太郎は熱心に話すが、ラブの心には響かず、湊の心にもイマイチ響かなかった。ラブは興味無いままテレビをつける。


 『今日のニュースはプリキュアと共に突如現れた仮面をつけた戦士の特集です!』


 テレビをつけるとニュース番組になっており、清潔な白のスーツを着たアナウンサーの横に合成で映されているマリカのいくつかの写真が載せられていた。その写真には所々にバイクや車などが一緒に写っておりクローバードライビング感謝祭で撮ったと思われる写真だった。
 一番大きく撮られている写真は、ローズアタッカーにピーチを後ろに乗せて走り去る所を撮ったものだった。


 ラブ「あっ、お姉ちゃん出てむぐっ!?」湊「(バカッ!?)」


 ラブはうっかりマリカの事を湊と言いそうになったが、湊は瞬時にラブの口を押えて黙らせた。湊とラブはチラっと圭太郎の方を見ると、全く聞こえて無かった様でそのままリビングから出て行った。ラブと湊はお互い同時に焦ったとばかりに息を吐いて、ホッと胸を撫で下ろした。
 

 湊「もう・・・ラブったら・・・」


 ラブ「ご、ごめんなさい・・・」


 『この仮面つけた戦士につきましては、この場に居た観客の中にこの様な証言が残っております』


 『あの仮面をつけた人はマリカと名乗っていました。それに、あのプリキュアのキュアピーチの姉とも言ってました』


 テレビにが見えないように首から下までしか映していない、男性の姿が映る。その男性には湊に見覚えがあった。
 あの時、変身していた自分に誰なのかを聞いてきた男性だった。


 『プリキュアの姉ですか?』


 『はい』


 『確かに、桃みたいにも見えますね・・・。本当に姉妹なのかもしれませんね』


 『はい。とても仲のいい姉と妹だと思います』


 男性の発言に納得したレポーターの出した答えに、顔は見えないが男性の微笑んでいる表情が浮かぶように見えた。


 ラブ「えへへ、だってお姉ちゃん」


 湊「ええ」


 ラブは猫の様に湊の肩に擦り寄ると、湊は苦笑いに似た微笑みを浮かべてラブの頭を撫でた。


 『この仮面をつけた戦士、改めマリカはプリキュアを協力して私達を守ってくれるのかもしれませんね。今後も情報が入り次第お伝えします。
 続いてのニュースは、海に突然現れた謎の巨大な2本のつn』


 ラブ「お姉ちゃん、お風呂入ろ?」


 湊「あっ・・・そうね」


 次のニュースが始まる前にラブはテレビの電源を切って、湊を風呂に誘った。
 湊はそのニュースに一瞬反応したが、ラブに誘われると同時にニュースを気にしていた心が揺さぶられて最終的にはまぁいいかと諦めてラブと共に風呂に向かった。



 手塚「・・・こいつは・・・」


 整理整頓された綺麗な5畳の部屋で、手塚は怪訝にテレビに映るソレを睨むように見ていた。
 ソレはゆっくりと海を切り裂く様に飛沫を上げながら突き進んで、海面から消えていく

 
 
 手塚「・・・何が起こっているんだ、一体・・・」





 
 
 「・・・予定通り、人間共の目に入りました」



 「ご苦労・・・これで、第一、第二段階は終了だ」


 「これで、我ら管理国家ラビリンスの強化にも繋がったわけか・・・」


 「無論。しかし、まだまだ作戦段階。抜かりは禁物だ」


 「仰せのままに・・・」
 





「プロフェッサー呪殿」

 ここまで


 明日はmovie対戦、観に行ってきます


 ウエスター「うううむぅ・・・」


 占い館の三幹部がいつも居る部屋で、ウエスターは腕を組んで歩き、呻りながら頭を悩ませていた。
 ドアを開ける様に部屋を囲って設置されている深緑色の洋風なソファの、左右の端ら辺に座っている本を読んでいるイースとティータイム中のサウラーは少し嫌味の混じりにウエスターをからかう。


 サウラー「珍しいじゃないか、君がそんなに悩んでいるなんて」


 イース「・・・バイクでしょ」


 ウエスター「ああ、スズキ RA125にするか、将又RH250かって違ぁーーうっ!FUKOのゲージを早く溜める良いアイデアが無いかと悩んでいるんだ!」


 イースの何気ない一言にウエスターは頷いて本音なのか嘘なのかわからない返答をした。それにはイーストサウラーも呆れた目でウエスターを見る。
 

 サウラー「君は正直者だね。まぁ、確かに僕達の中で一番成績が悪いのは、ウエスター君だったねぇ?」


 イース「あれだけ沢山出向いてるのにねぇ・・・」


 サウラーの言葉にウエスターは図星を突かれ足が止まった。続けて重ねられた本の中から次は何にしようかと選びながらイースの冷たい一言が襲う。


 サウラー・イース「ふっ・・・/ふ・・・」

 
 ウエスター「ぐぬぬ・・・やはりこれしかない!」


 サウラーとイースは鼻で笑うと、ウエスターはバッと天井に向かって顔を上げて素早く座っている二人の前に立ち頭を下げた


 ウエスター「お前達の知恵を貸してください!」


 サウラー・イース「嫌だよ/やだ」


 ウエスター「あ、そうかってはぁあ~~~!?何でだ!?前の時は教えてくれたのに!?」


 サウラーとイースは息ピッタリに返事をしてウエスターは一瞬認めそうになったが、さすがにそこまでバカではないとばかりに大声を出した。サウラーはカップに上半分まで残っている紅茶を人啜りして喉を潤わせて小さく溜息をついた。


 サウラー「言った筈だよね?君に僕らがアドバイスした事を実行して、成功したことあるのかい?って」


 ウエスター「うっぐ・・・そ、それは・・・」


 イース「まぁ、あの時も失敗してたわよね。失敗したらメビウス様に見限られるって言われてたけどアーマードライダーが出来てきたお・か・げで助けられたわね」


 サウラー「皮肉だねぇ、一番恐れている敵に助けられてるって」


 ウエスター「こ、怖くなど・・・!」


 イース「足の震えは何なのよ」


 ウエスター「武者震いだ!」


 イース「聞き飽きたわ、その台詞」


 ウエスター「頼む!この通りだ!」


 イースの耳にタコが出てきて、口から墨を吐きウエスターの顔面に掛かる。それにはウエスターも怒るかと思いきや顔を振って墨を振り払い今度は土下座をした。


 サウラー「君、本気で言ってるのかい?」


 ウエスター「ああ!このままではメビウス様に顔向け出来ん!そりゃ俺だって悔しいさ、でも結っ構頑張ってるんだよ」


 イース「そう言われてもねぇ・・・」


 サウラー「正直今の君に何かが出来るとは考えられないんだよ」


 サウラーの言葉にウエスターは背中を逸らして絵画の様なポーズで嘆いて、壁に向かって三角座りをして負のオーラを漂わせながら落ち込んだりなど感情の大差を激しく表す。
 しかしイースはそれに何とも思わないらしく、サウラーも正論と言うべき返答にウエスターは石化した。


 イース「そうよね。それにアンタに優しくする義理も無いし」


 ウエスター「あの時ドーナツくれたじゃないか!」


 イース「っ・・・あれは、その・・・」


 ウエスターはイースの発言に反論した。その反論にイースは口ごもる。
 それを見てサウラーは面白くなりそうだと思い、口を閉じて観察し始めた。


 ウエスター「なぁ、頼む!もう一度だけ教えてくれ!」


 イース「い、いやよ・・・」


 ウエスターはイースに詰め寄って、手を壁に付き懇願する。しかしイースは何が何でも拒否する。
 それは本心で拒否しているのではなく、羞恥心で口が先走るのだ。


 ウエスター「頼む!」


 イース「やだって・・・」


 ウエスター「お願いだ!」


 イース「いやっ!」


 ウエスター「ドーナツあげるから!」


 イース「・・・うぅ・・・」


 激しい攻防戦の末、ウエスターは執念で勝った。


 タルト「ちゅ~わけでぇ、昨日は動物用のカツラを試着してなぁ~!ワイかてオシャレもしたい年頃やし変身願望っちゅうもんもあるんかなぁ。あん~っな楽しいもん被れるなんてどーぶつって案外ええやんなぁあ~~!」


 タルトは昨日の圭太郎に被らさせてもらったカツラの自慢話しをしていた。湊も休憩中なのにでそれを聞いていた
 少し気になっていたので、コソコソと見ていたのだが思ったことはただ一つ「タルト君ってカツラ被ったら可愛くなってメスみたいに見える」だった。

 
 
 カオルちゃん「そっかぁ、自分の新たな一面を見つけちゃったんだ。オジサンも出来るなら・・・」



 お茶を持ってきてくれたカオルちゃんもタルトの自慢話を聞いていたらしく話しかけると、手に顎を乗せると突然輝き始めてダンディーに見えた。

 
 カオルちゃん「もっと、カッコ悪くなりたいなぁ。もう良い男過ぎてぇ困った困った。グハッ」


 タルト「ぷーっww!」 シフォン「プリップ~!」


 祈里「ラブちゃんのお父さんってカツラメーカーに勤めてるんだよね」


 ラブ「うん。いっつも新しいアイデアが浮かんだらそれしか見えなくなっちゃってさ。私も小さい頃に・・・」


 ラブは虚空を見つめながら昔の事を思い出す。ある時はオレンジ色のアヒルがついているアフロや丁髷、禿げた頭、一つ前の赤い熱血先輩の上方、どこぞのギャグ漫画の主人公の様な黄緑色の髪など様々なカツラを被された思い出。
 過去の自分はこう言った「お仕事の事考えてるお父さんって何か変」。それに同情するようにラブは過去の自分の頭を撫でてあげる


 ラブ「はぁ・・・」

今日はここまで。
遅れて誠に申し訳ございません


 西「ふぅ・・・」


 夏の日差しに似た、太陽の光を浴びるイケメン馬鹿は如何にも昭和初期と言った様な扇風機をトラックの荷台に積んでいた。
 背後からは女の子の黄色い歓声と携帯電話のフラッシュとシャッター音が鳴り響く、 


 「ご苦労さん、助かったよ」

 
 西「ところで一つ聞きたいんだが、最近不幸を感じた事はないか?」


 「不幸・・・?さぁね。おかげで粗大ゴミも片付いたし、あたしゃ幸せだよ」


 西「そっか・・・」


 
 
 せつな「何やってるのよ・・・」



 せつなが西の行動を観察するようにビルの陰から呆れた顔で見ていた。自分がアドバイスした事をやっているのではあろうが、やはり無理だったのかと思い始めている。

 
 
 せつな「・・・まぁ、もう少しだけ観察してみようかしら」



 「兄ちゃん!こっちの回収も頼むぜ!」


 西「あぁ、ただいま!」


 せつな「・・・やっぱりダメね、あのバカは」

 
 西「ハックシュ!」


 ラブ達は、たまたま公園の出入り口を通りかかったカツラを被った犬を散歩させていた圭太郎と正と話していた。
 話によると、夏の暑い日、ペット用のカツラを被った犬が日射病に掛かってしまい動物病院に担ぎ込まれその原因はカツラを被ったため体温が通常よりも高くなったためと思われる。
 動物の中には暑さに弱い種類がいる。そのためファッションの為のカツラが体に負担をかけることもあると言う
 そこで圭太郎が正の話を聞き、獣医とカツラメーカーの異色のコンビを結成し、ペット用のカツラを開発しようと考えたのである。
 幾度の通気性の良い素材作りや軽量化を追求し、施策を重ねた末に完成したのが「ペット君2世」なのだ


 ラブ「何そのネーミング・・・」


 美希「かなり恥ずかしいわね・・・?」


 祈里「2世ってことは、一世も?」




 湊「・・・一世はどんなのだったのかしら・・・」


 湊はドーナツカフェの営業中で話に入れないでいるが、何となく聞こえた会話に首を傾げて考えていた。
 その時、ポケットに入れていたスマートフォンが鳴り震え取り出した。画面に映っている名前を見て湊は少し驚きながらも画面をタップした

 
 湊「もしもし・・・?」


 手塚『昨日のニュース見たか?』


 湊「え・・・?」


 電話の相手は手塚であった。しかもその第一声は昨日のニュースについてだった
 湊は昨日のニュースと言えば、自分が特集で出ていたことしか知らない。風呂から出た後は、ラブと楽しく話したりして就寝したからである


 湊「いいえ、見てないわ・・・」


 手塚『本当にか?俺が言っていた2本の角、あれが出たんだ』


 湊「え・・・?」


 手塚『・・・その様子だと、本当に見てないんだな』


 湊「・・・何か、起こっているの?この世界で・・・?」


 手塚『さあな・・・ただ、これだけは言える』


 湊「何・・・?」



 手塚『最悪な事態は免れないかもしれない・・・』
 


 湊「・・・わかったわ。もし、何かあったら私に教えて」


 手塚『ああ、頼れるのはお前だけしかいないからな』


 湊「・・・そうでもないかもしれないわよ?」


 手塚『・・・またな』


 手塚との通信が切れ、湊はスマートフォンをポケットに仕舞うと車のボディに体を預けて寄りかかるようにし、空を眺めながら考え始めた。 
 考えると言っても、この世界でも何か起こるのではないかとしか出てこない。空には点々と雲が風に流れて過ぎて行く。
 湊はこの世界に来てから、心に決めていることがある。
 それは・・・


 湊「・・・絶対に、この世界だけは救ってみせるわ」


 湊の目が普段では見れない、戦う時の目になる。優しさを交えた鋭い怒りの眼光。
 それに見据えられたものは逃げ出すであろうと思う。


 カオルちゃん「お姉さん、ちょっとおじさん買い出し行って来るね」

 
 湊「・・・」


 カオルちゃん「・・・?。お姉さん?」


 湊「・・・あっ、は、はい!わかりました・・・」


 買い出しに行くと言ったカオルちゃんの声が聞こえなかったようで、湊は二回目の呼び掛けにやっと気づくと焦りつつも返事を返した
 カオルちゃんは最初は首を傾げていたが、すぐにいつもの陽気な笑顔になると手を振って買い出しに行った
 

 湊「・・・あら?ラブ!どこ行くの!?」


 湊はふとラブ達の方を見ると、美希と祈里の背中を押しながらどこかへ行ってるのが見えた。
 声を掛けるが聞こえなかったようで、すのまま公園から出て行ってしまった


 湊「行っちゃったわ・・・まぁ、仕方ないわね」


 湊はふぅと短くため息をついて、客が来るのを待ち続けた。
 数分後には圭太郎と正もどこかへ行っていき、公園の前に停まっていたトラックも消えていた。


 せつな「あぁ~・・・もう、アイツだけは・・・」


 せつなは町中に設けられている木製のベンチで肘掛けに頬杖をして呆れ返っていた。もちろん、西ことウエスターの事で。
 あれだけ教えたのにも関わらず、人間を不幸にするどころか、逆に幸せにすると言う大胆不敵な行動に怒りさえ覚える
 

 せつな「・・・あの時はカッコよかったのに・・・」


 せつなの脳裏に壁に手を付いて、自分の顔間近まで接近してきたウエスターの顔が思い浮かぶ。喜怒哀楽の表情が激しいバカとしか思えないが、どこか気になる自分が不思議である。
 管理国家ラビリンス。その総統であるメビウスの命令でこの世界の人間を不幸にし、全パラレルワールドを支配下に置くこと。
 その任務の為に選ばれたのは、自分とサウラー、そしてウエスターの三人だけ。
 選ばれる理由は当然優秀だからだ。しかし、ウエスターは学力は全くと言っていい程ダメでトップクラスの私とサウラーから見れば何故選ばれたのか不思議でならない。
 学力は兎も角、戦闘には長けている。そこだけは褒めれる


 せつな「・・・でも、戦闘だけで人間を不幸にするのは流石にね・・・」


 「ふふふふふふ・・・そんな事では悪としての力が成り立たんぞ?」


 せつな「!?」


 せつなの呟いた言葉に、答えるかのように低い声が聞こえた。その声にせつなの背中に虫が這うような感覚の悪寒が走る
 瞬時にベンチから立ち上がって身構えながら辺りを見渡す。しかし誰も居ない、居るのは買い物帰りの主婦、学校帰りの小学生や高校生、すぐ後ろには白い犬を連れたお年寄りだけ。
 せつなは気のせいだとは思わなかった、確かに聞こえたのだから。その証拠に自分の焦りが収まらないからだ


 せつな「・・・(どこにいるのよ、出てきなさい!)」


 せつなは相手が隠れて自分をからかって遊んでいるのかと苛立ちを覚え、歯軋りをする
 しかし、その時だった。

 
 「ウィーーーッ・・・ウィッグ!」


 ポンッ


 せつな「・・・?」

 
 突然自分の頭から煙が出て視界が見えなくなる。しかし、すぐに視界が見える様になる。
 せつなは何が起こったのか、わからない。しかし、辺りから人間が忌まわしく笑っているのがわかる。
 

 「あらまぁ、マルちゃんもおじょうちゃんも可愛くしてもらったねぇ」


 せつな「え・・・?」


 せつなは後ろに座っている声を掛けてきたお年寄りの言葉に疑問を抱く。
 しばらくそのまま呆然と立っていると、ハッと我に返ってすぐ目の前の建物の窓を見た


 せつな「・・・なーーーっ!!?////」




 そこで見たのは、紺色でセミロングだった髪の毛が、艶やかな腰まで長くなった茶髪で、ピンク色の紐でをちょうちょ結びでツインテールに結ばれた自分だった。




 せつな「ウ、ウエスタァ~~~~~!!////」


 せつなの羞恥の叫びが、人間の明るく心底から面白く思っている笑い声に消えて行った

http://img.u.nosv.org/uploader/files/4/f/9/4f95d4fcd1a0b307be50ccb033e24a3d.jpg

ここまで。絵は自分で描いてみました。

では、おやすみなさいませ。


 カオルちゃん「ただいま」


 湊「あ、お帰り・・・な!?」


 買い出しから帰ってきたカオルちゃんの姿を見て、湊は絶句した。姿と言うよりも、髪型である。
 その髪型は正しく古墳時代の男性埴輪などに見られる、角髪(みずら)。またの名は総角(あげまき)とも言われる。
 数秒湊は口を開けてポカンとしていたが、カオルちゃんが「どう?もっと男前になっちゃったよ、グハッ」と言った瞬間吹き出しそうになったが、コホンと咳払いをした
 

 湊「そ、それはどうしたんですか?」


 カオルちゃん「あぁ、町におっきなモジャモジャがしてくれたの」


 湊「モジャモジャ?」

 
 カオルちゃん「うん。モジャモジャ」


 湊はカオルちゃんの言うモジャモジャがどんなものか想像つかないが、一つ気になる点があった。


 湊「それって、額にひし形みたいなモノがありましたか?」


 カオルちゃん「あったよ」


 湊「ちょっと用事を思い出したので行ってきます!」


 湊はこれまで3度ナケワメーケと戦って共通点があることに気づいた。それは必ずナケワメーケにはひし形があることだ
 それを確認してすぐさま湊はエプロンを脱いで畳むと、窓口に置いて走り出した。カオルちゃんは手を振って「行ってらっしゃ~い」と気軽に応じてくれた。
 湊は公園の入り口まで来ると、周りを見て誰も居ない事を確認するとピーチエナジーロックシードを取り出した。


 湊「変身っ」


 『ピーチエナジー』


 『ロック・オン』
 『ソーダ』


 『ピーチエナジーアームズ』


 
 マリカ「ピンクの仮面は強さのしるし!艶やかフレッシュ!アーマードライダーマリカ!」


 マリカ「・・・や、やらなくてよかったわよね//早く行きましょ」


 マリカは自分で名乗っておいて恥ずかしくなり、紛らわすかの様に腰のホルダーからローズアタッカーのロックシードを果物を採るように外した。
 ロックシードホルダーはローズアタッカーを入手した時、自動的に固定設定として余分のエネルギーが作り出した物である事が後にわかった。
 ローズアタッカーのロックシードのリリーススイッチを押して解除する。ロックシードを軽く上空に上げるとロックシード状態からビークルモードになった。
 マリカはローズアタッカーに跨ると、サイドスタンドを上げて走行して行った


 マリカ「(きっと、町には居ない筈・・・ラブ達に知らせないと)」


 マリカの意思操作でステアリングアイにtailの文字が表示される。すると機械音が鳴り、通信機能が発動された


 祈里「お父さん達、まだやってるのかなぁ」

 
 美希「何か、楽しそうだったよね」


 段々と夕暮れに近づいてきている河川敷の舗装はされていない道を、ラブ達は歩いていた。後ろには鉄橋をゴトンゴトンと電車が走っている。
 祈里は圭太郎と正がカツラを作っているのか、気になっていた。


 タルト「そやそや。熱意が感じたやろ」

 
 ラブ「そうかなぁ・・・?やっぱり変だ・・・あ」


 ラブはカバンの中に入っているリンクルンが鳴ったのに気付き、カバンを開けて取り出した。表示されているのは湊の名前だった。
 

 ラブ「もしもし?お姉ちゃん、どうしたの?」


 マリカ『ラブ!ナケワメーケよ!』


 ラブ「え?」

 
 マリカに変身している湊の言った後に、道の横からナケワメーケが現れた。


 ラブ「わぁぁぁああ~~~~!」
 

 マリカ『~~っ!?。どうしたの!?ラブ!』


 マリカの仮面内に耳にラブの叫び声がうるさい位に響く。それに耐えながら湊はラブに何があったかを聞いた
 ラブは目を大きくして慌てながらも耳にリンクルンを当てて答えた


 ラブ「ナ、ナケワメーケがぁ~~!」


 マリカ『何ですって!?どこにいるの!?』


 ラブ「か、河川敷の」


 ナケワメーケ「ウィ~~~~ッ・・・ウィッグ!」


 ラブ・美希・祈里「きゃぁああ!」


 

 マリカ「ラブ!?ラブ!?返事して!ラブ!」


 車が数台走っている道路をマリカは必死に声を上げなから、巧みに車を追い抜きながら走行している
 ステアリングアイにcutと通話が切れたと意味する文字が表示された。
 マリカの脳裏にラブ達に何かあったのではないかと不安が過る。それによってもっと早くと言う思いが強まり、ハンドルをより一層強く捻る。


 マリカ「河川敷って言ってたわね・・・待ってて!ラブ!美希さん!祈里さん!タルト君!」


 マリカは目を左右に動かしてステアリングアイに表示されるメニューを表示させ、マップを選択しラブ達が居ると思われる河川敷にピンク色のマーカーでマークした。
 


 ピーチ「『レッツ!」


 ピーチ・ベリー・パイン「プリキュア!』」
 

 マリカが心配している定か、ラブ達はプリキュアに変身してポージングと名乗りを上げていた。
  

 ウエスター「現れたか、プリキュア!」


 ウエスター「(よかったぁ~~、アーマードライダーは居ないか)」
 

 ウエスターはかなり遠くに建設されているビルの屋上から腕を組んで見ていた。マリカが居ない事にホッとして


 ナケワメーケ「ウィグー、ウィッグ!」


 ナケワメーケは自身の太く巨大で長い毛を幾本も伸ばして、三人に向けて鞭の様に振り下ろした。三人は瞬時に避け、毛は地面に直撃し、土を飛ばす。


 ピーチ「タアァァァアアッ!!」


 ピーチは着地すると同時に勇ましく叫びながら次々と襲ってくる毛を避けながら、ナケワメーケに向かっていく。一度吹き飛ばされたが、すぐに体勢を立て直して突っ走る。
 飛んできた毛を一度自分から宙に飛んで、かわしてナケワメーケ目掛けて落下する。
 

 ピーチ「テイッ!」


 ピーチが拳を前に突き出すと、ナケワメーケはウネウネと動いてボンッと更に巨大化した。ピーチは拳を突き出したままナケワメーケの体に埋もれる。
 ナケワメーケは再びウネウネと動いて埋もれているピーチを弾き飛ばした


 ピーチ「キャアアッ!ばっ、ごふっ、ばふっ!」


 弾き飛ばされたピーチは3回地面に叩き付けられ、鯱の様な恰好になってしまった。
 その間にもベリーとパインは鉄橋の組み立てられた鉄柱に両足をつけて膝を曲げ力を溜める。

 
 ベリー・パイン「ダブルプリキュアキィーック!」

 
 ベリーとパインは勢いよく飛び上がって空中で一回転をし、ベリーは左足、パインは両足でキックを放つ。
 それに対抗するべくナケワメーケは毛を何本も編み込むようにし、キックの威力を殺してそのまま二人をピーチの所に投げ飛ばした。

 
 ベリー「大丈夫っ?」


 パイン「うん、でも・・・」


 ピーチ「ふわふわしてて、跳ね返されるぅ~~!」


 ナケワメーケは二本のゴ太い毛で、巨大な毛糸玉を作り出した。
 

 ウエスター「やれ!」

今日はここまで。
今日のめざましジャンケンでゆーちゃむ出てて嬉しかったです


ギャップは凄まじいですねぇwwww


 ピーチ、ベリー、パインの三人はナケワメーケの攻撃に対抗すべく身構える。そしてナケワメーケに向かおうとしたその時だった。


 圭太郎「プリキュア!そのカツラに攻撃するのはやめてくれぇ!」


 ピーチ「カツラって?まさか・・・」


 河川敷の道の所でアフロヘア―になっている圭太郎と、群青色のロングヘアーになっている正が居た。ピーチは圭太郎の声に反応してナケワメーケを見る。そしてあのピンク色のカツラの面影が映る
 その直後にナケワメーケは毛玉を振り落した、その衝撃で土煙が舞い上がる。
 圭太郎と正は驚くが、三人は何とか躱していて二人の前に降り立った。


 パイン「あのカツラが・・・!?」


 ベリー「そんな・・・」


 ナケワメーケ「ウィッグゥ!」


 ベリー・パイン「キャアッ!」


 ベリーとパインが驚いて、油断したところを突いてナケワメーケは腕を撓らせて、二人を叩き飛ばした。
 

 圭太郎「やめるんだ!携帯!通快!ペット君2世!」


 ピーチ「ちょ、ちょっと・・・!」


 正「桃園さん!」


 ナケワメーケに近づこうとした圭太郎をピーチは腰に抱き着く様に止めさせ、正も危ないと判断して肩を掴もうとする動作をした。
 

 圭太郎「君は・・・君は誰かを傷つけるために生まれてきたんじゃない!何度も何度も研究を重ねて、最高の軽さと涼しさを追求して、沢山の動物達を幸せにするために生まれてきたんだあっ!」


 圭太郎はこれまでに動物の為に正と協力し合い、時間を費やして様々な困難な壁乗り越えてペット君2世を作り上げた。
 全ては動物が幸せになれるために。
 その思いがピーチの胸に届き、目に涙が薄らと浮かぶ。


 圭太郎「お願いだから、元の姿に戻ってくれぇーっ!」


 正「桃園さん・・・っ」



 
 ウエスター「無駄だ!もはや誰の言葉も通じはせん!」


 ウエスターが言い終わるや否や、ナケワメーケは両腕を横に振るう。ピーチの蟀谷に冷や汗が流れる、その時だった
 背後から爆音が急接近し、後ろを振り返ろうとする必要もなく頭上を何か赤と深緑の影が飛ぶ。バイクだ。それもピーチ自身が知るバイク
 「ローズアタッカー」である。

  
 「ハァッ!」
 

 ローズアタッカーに乗車しているピーチと同じく桃色の人物は勇ましく叫び、ローズアタッカーのオールラウンドタイプのタイヤであるラジアルグラウンダーでナケワメーケに激突する。それと同時に、背中にマウントさせているソニックアローを手にするとゲネティックシグナルで観測した熱量から、ビルの上に偉そうに立っている人物をエイミングスコープからレーザーポインターを射出させロックする。


 ウエスター「げッ!?」

 
 ウエスターのドタマに赤い一点の小さな光が付き、その直後にソニックアローのトリガーを引かれエネルギーの矢が一直線に飛んでくる。
 その瞬間に、ウエスターの脳裏にあのトラウマが過る。顔中から滝の様に汗が流れ、本能的に足が竦み後退りする。
 そのおかげで立っていた場所が段差だった為、フッとウエスターの姿が消え、エネルギーの矢はウエスターの額ギリギリを掠るか掠らないかの所で虚空を飛んでいった。


 ナケワメーケは土煙を上げながら後ろに倒れる。ローズアタッカーは無理矢理地面に叩き付く様に地面に着地して、乗車していた人物はローズアタッカーから降りるとすぐさまピーチに駆け寄った
 ピーチは降りてきた人物をわかっているのだが、嬉しさのあまり口が先にその人物の名を呼ぶ


 ピーチ「お、お姉ちゃん!」


 マリカ「ピーチ!」

 
 マリカはピーチに抱き着き、安堵の溜息と共に「よかった・・・」と呟く。その行為にピーチは恥ずかしさと混乱が混じった気持ちになりるが、何となく自分も安心してマリカの首に腕を回した。
 ナケワメーケはゆっくりと起き上がるが、そうはさせないとばかりにベリーとパインの強烈なキックが炸裂し、再び倒れて河川敷の方に倒れる。
 

 パイン「マリカさん!」


 マリカ「ごめんなさい、遅れてしまったわね」


 ベリー「全然!完璧なタイミングでしたよ」


 マリカは申し訳なさそうに謝ると、パインとベリーは全く気にしておらず寧ろ嬉しそうに笑ている。それを見てマリカは少し安心した様に肩を撫で下ろした。
 しかしすぐにキッとナケワメーケを睨みつける


 マリカ「どんな攻撃をしかけてくるの?」


 ベリー「変則的な、兎に角あの毛が厄介なんです」


 マリカ「・・・」


 マリカはベリーの答えに数秒間脳をフル回転させて考え、ある事を閃き、ピーチ達に言う
 

 マリカ「ここに居て、合図を出すわ!」

 
 ピーチ・ベリー・パイン「わかった!/はい!」


 https://www.youtube.com/watch?v=XTYJLYKl9aU


 マリカは高く跳躍して立ち上がっているナケワメーケのすぐ傍に着地する。そしてナケワメーケがマリカを見ると、マリカは挑発するように人差し指をクイクイと2回曲げる。それにナケワメーケは怒ったのか、両腕を振るう。
 マリカは最初に来た右手の攻撃を背中を限界まで逸らしてまるで某VFX技術映画のワンシーンの様に避け、次に来た左腕の攻撃を前屈みになって躱す。


 マリカ「こっちよ!」


 ナケワメーケ「ウィッグー!」


 マリカは手をパンパンと鳴らして、ナケワメーケが手を伸ばして来るのを確認すると走り出す。ナケワメーケの腕は伸び続けてマリカを捕まえようとする。それを見て、マリカは何故か頷いた


 マリカ「ピーチ!私の後を追いかけて!」


 ピーチ「うんっ!」


 https://www.youtube.com/watch?v=XTYJLYKl9aU

 マリカの指示通りにピーチは走り出して、ナケワメーケに接近する。それにナケワメーケは気づくと体から毛を勢いよく飛ばしてピーチも捕まえようとする。ピーチはギリギリのところで躱すと、横を走ったマリカの後を追う。
 

 マリカ「次!ベリー!」


 ベリー「OKー!」


 今度はベリーがナケワメーケに近づき、先ほどと同じ様にナケワメーケはまた毛を出してベリーを捕まえようとする。しかし、それもベリーに躱された。
 ベリーも同じ様に、ピーチの後を走る。そして、3周したところでマリカは叫ぶ


 マリカ「パイン!」


 パイン「はいっ!」

 
 最後の一人、パインが跳躍して着地すると同時にベリーの後ろを走る。その行動をずっと続けているとある変化が現れる
 それはマリカ、ピーチ、ベリー、パインを追いかけている毛が徐々にナケワメーケ自身の体に巻きついていきギュウギュウと音を立て始めた

 
 
 ナケワメーケ「ウィッグゥ~~・・・!」



 マリカ「(そろそろね)ピーチ、ベリー、パイン!アイツの頭の上に飛んで!」

 
 ピーチ「え!?ナケワメーケの!?」
 

 マリカの言った事にピーチは驚く。それにはベリーとパインも驚いているが、マリカは続ける
 

 マリカ「そうよ!合図を出すわ、行くわよ!3!2!・・・1!」


 マリカのカウントダウンが終わった瞬時に4人は急停止して、ナケワメーケの頭上目掛けて飛ぶ。4本の毛も4人を追いかける。
 そして4人がぶつかりそうになるが、寸前の所で交差するように躱した。
 4人はナケワメーケの周りに着地して、後ろを振り向くとそこには・・・

 
 ナケワメーケ「ウィ、ウィッグ~~~~~~」


 自分の毛にキツく束縛されたナケワメーケが居た。


 マリカ「成功ね」


 ピーチ「やっぱりお姉ちゃんはすごいよ!」


 マリカとピーチは成功したのに喜んで、ハイタッチをした。ベリーとパインもマリカを見て頷く。
 マリカも二人に頷き返すと背中にマウントさせているソニックアローを手にする。マリカがゲネシスコアに固定されているピーチエナジーロックシードに手を掛けた。


 圭太郎「ま、待ってくれ!」


 マリカの前に圭太郎がナケワメーケを庇う様に手を広げて立つ。それにマリカは驚いて手を止める
 圭太郎の行動に驚きつつも、平静を装いながら圭太郎に少し冷たく話しかける。


 マリカ「・・・退いて。この怪物は倒さないといけないのよ」


 圭太郎「退かない!こいつは、例え怪物だとしても俺にとっては息子同前なんだ!」


 ピーチ「お、お姉ちゃん待って!お願い!」


 マリカ「!。ピーチ・・・?」


 マリカは内心困惑しながらも仕方がない、また暴れだす前にと無理やりにでも退かそうと苦渋の決断を出した時ピーチが圭太郎と同じ様にマリカの前に立ってきた。
 それにはさすがにマリカも戸惑いを隠しきれず、ピーチと圭太郎を交互に見る。


 ピーチ「このナケワメーケは・・・圭太郎さんが努力して作った、カツラなの!」


 マリカ「・・・(あれが)」


 マリカの脳裏に圭太郎が大事そうに持っていたカツラが浮かび上がる。


 ピーチ「だからお願い!傷つけるのだけはやめてっ!」


 マリカ「・・・」


 マリカは必死に訴えるピーチの目を見て数秒考える。そして手に持っているソニックアローを持ち上げる。
 それを見たピーチはある種の恐怖を覚え、背筋が凍った。しかし、マリカはそのまま背中に持っていき、マウントさせた


 マリカ「・・・ええ。わかったわ」


 ピーチ「!、お姉ちゃん・・・!」


 マリカ「さっ、ピーチ。貴女が倒すのよ」


 ピーチ「うん!任せて!」


 ピーチ「ハッ!」


 リンクルンを構えローラーを回すとリンクルンの画面からピンク色の光が膨らみ飛び出すと4色の光が1つになり「ピーチロッド」を召喚した。ピーチロッドを手に収めて、綺麗に回転させ高く掲げると先端のハートのクリスタルが輝く。


 ピーチ「届け!愛のメロディー!キュアスティック!ピーチロッド!」


 ピーチ「悪いの悪いの、飛んでいけ!」


 ピーチはピーチロッドを振るい、高く掲げた後着地し先端をナケワメーケに向けた

 
 ピーチ「『プリキュア!ラブサンシャインフレッシュッ!』」


 ピーチ「ハァァアアアアア!」


 ナケワメーケ「シュワ~シュワ~」


 カツラをナケワメーケ化させていたダイヤが煙となって消え、そして町中の人達の髪型が元通りに戻った。
 カツラは宙を舞いながらヒラヒラと川の中に落ち、マリカとピーチは「あっ」と同時に声を出した


 
 ピーチ「すいません・・・」


 マリカ「まさか川の方まで飛んでいくとは・・・」


 その後水でずぶ濡れになってしまったカツラを回収したピーチとマリカは謝罪しながら、圭太郎に差し出した。
 

 圭太郎「いいんです。形はちゃんと残ってる・・・これならキチンと直せますから」


 圭太郎はピーチからカツラを受け取ると、我が子を見る様にカツラを抱える。 
 それを見たピーチは圭太郎が本当にあのカツラが大事なんだなと改めて思った


 ピーチ「本当に、大切なんですね」

 
 圭太郎「わかりますか!?いやぁ~、ついつい夢中になってしまいまして。お恥ずかしい」


 圭太郎はピーチの言葉に素早く反応して、照れ笑いをしながら頭を掻く。それを見たマリカはショックを受けていないか心配していたが、笑っている圭太郎と見てホッと肩を撫で下ろす。


 圭太郎「娘にも、呆れられちゃってるんですけどね・・・」


 ピーチ「あっ・・・っ・・・」


 ピーチは圭太郎の言葉に何か言いかけたが、詰まってしまい上手く話せない。そんなピーチの肩にポンっとどこか力強い意志が込められた手が置かれる。その手の正体はマリカの手だった。
 ピーチはマリカを見ると、仮面越しでも湊が微笑んでいるのが見えた。


 圭太郎「ん?・・・あっ、そうか、これは・・・」

 
 正「どうしたんです?」


 圭太郎は突然声を出して何かに気づき、体を震わせる。正はどうしたのかと聞く。


 圭太郎「何故気づかなかったんだ・・・今まで、水に濡れた時の事を考えてなかった!


 正「あぁそうか!防水性能も考慮しないと」


 圭太郎は今まで軽さを追求しているあまり、水に濡れた時の事を考えていなかったのに気づき新しい発想が浮かぶ


 圭太郎「ありがとうプリキュアの皆さん!それに、ピンクの仮面の人も!おかげでもっと良い物が出来そうです!」


 ピーチ「そ、それはよかったですね」


 パイン「がんばってください!」


 ベリー「楽しみにしてます」


 ピーチは苦笑いで握手をする圭太郎に言うと、パインとベリーも応援の言葉を掛ける。


 マリカ「それから、私の名前はアーマードライダーマリカ。ピーチの姉です」


 圭太郎「あ、ご姉妹だったんですか。どうもありがとう、マリカさん」


 マリカ「いえ。それと・・・ピーチ何か言う事あったんじゃなかった?」


 ピーチ「あ・・・あ、あの」


 圭太郎「ん?」


 ピーチ「娘さんも、お父さんの事少しはわかってくれてると思いますよ・・・多分!」


 マリカ「私も、そう思ってます」


 圭太郎「・・・ありがとう!」


 圭太郎はピーチとマリカに笑いかける。そして、正の方を向いてお互い気合を入れ直す。


 圭太郎「では、さっそく取り掛かりましょう、山吹先生!」


 正「ああ、やる事は山積みだな!桃園さん!」


 圭太郎・正「うん!」


 圭太郎と正は頷きあったと、走り出す。


 圭太郎「まだまだ、僕達の挑戦はぁ~~~!」


 圭太郎・正「始まったっばかりだぁあ~~~~!!」


 圭太郎と正の二人の影が、夕日の空に飛びあがった。


 ウエスター「・・・はぁ~・・・」


 一人、占い館に戻ってきたウエスターは、重いため息をつく。理由は一つ、また失敗したからだ
 一応イースと約束した通り、カオルちゃんのドーナツを買って来たもののやはり怖い。何を言われるかわからない、そんな恐怖が襲ってくる。
 しかし帰る場所と言えば、ここしかない。ウエスターは鼻から息を吸い、口から肺に溜めた酸素を吐き出した
 

 両開きの扉の片方を開け、キョロキョロと中の様子を見てから素早く入り込みゆっくりとドアを閉める
 その時、ウエスターの背筋が凍る。何かわからないがとてつもなくヤバいと、脳が危険信号を送ってくる
 バッと後ろを振り向いた瞬間、左頬に鋭い痛みが走る。


 ウエスター「ごへっ!」


 ウエスターはドアに激突して、勢いよく外に放り出された。
 顎で地面を滑ってシャチホコの様なポーズで停止すると、ウエスターはその体勢のまま両腕で方向転換する。
 そしてあまり見たくはない男の上目遣いで正体を確認した。サウラーだ。付け加えて物凄く怒っている。
 その後ろにイースが何故か後ろを振り向いたままでいる。しかも何故かナケワメーケは倒されている筈なのに、髪型がそのままなのだ。


 ウエスター「あれ?イース、髪型変えたのか?」
 

 サウラー「君のせいだよ・・・君の」


 サウラーは珍しく本気で怒っているようで、手の骨をポキポキと鳴らす。イースは後ろを振り向かずに頷く。


 ウエスター「・・・あ、もしかして・・・」


 サウラー「そのもしかして、だよ」


 
 遡る事数時間前、イースは怒り爆発しそうな自分を落ち着かせながら占い館に帰っていた。
 せつなの姿からイースに戻ったのにも関わらず、髪型は戻らなかった。
 そして両開きドアを乱暴に開け、ズカズカといつも居る部屋に向かって如何にも怒ってますと言った様に乱暴に部屋のドアを開ける。
 

 イース「サウラー!あいつやっぱりメビウス様に・・・」


 サウラー「・・・」


 イースはサウラーにウエスターをメビウスに報告してラビリンスに送り返そうと提案しようとした。しかし、そこに居たサウラーを見て全ての動作が停止した


 サウラー「どうかしたのかい、イース」


 イース「・・・っぷ・・・ふふっ、あっはっははははは」


 突然イースは腹を抱えて笑い出し、それにサウラーは眉を顰めてイースに尋ねる


 サウラー「・・・何故笑ってるんだい?」


 イース「だ、だって、ア、アンタの、くふっ、髪、髪が・・・っあっはははははは」


 サウラー「・・・?」 


 サウラーは笑い泣きしてまともに話せないイースを馬鹿にするかの様な目で見て、本を取ろうした。

 
 
 サウラー「・・・あ・・・あぁぁぁあああああああ!?!??!」



 そこで見たのは、ガラスに映った色々混じっている髪型をした自分だった。
 

http://commu.nosv.org/datas/profimg/2/e/c/2ec620df061357ec2ff6718c84633132_jad0534_prof.jpg


 イース「ぷっはははははは」


 サウラー「君は笑い過ぎだ!」


 イースは笑いを堪えて小刻みに震えていたが、ついに吹き出してしまい爆笑し始めた。それを見たサウラーは眼を鋭くさせて怒る。


 イース「だ、だってぇ~・・・ふふっ」


 イースはつい思い出して笑ってしまい、脇腹が痛くなってくる。
 サウラーはそれが逆に腹立しく思い、歯軋りをする。ウエスターはその間に、ムクリを起き上がって占い館に入った。


 ウエスター「そ、それはすまなかった・・・まさか、お前達まで巻き込んでいたとは・・・」

 
 サウラー「全くだ。君、メビウス様に報告するからね」


 ウエスター「なっ・・・くっ・・・そうか」


 イース「・・・まぁ、私は許してあげなくてもいいけど」


 イースの予想外の発言に、サウラーとウエスターは驚いた。


 サウラー「イース、君は何を言ってるんだ。君だってそんな髪型にされて、怒っていただろう?」


 イース「ん~~・・・まぁ、最初はそうだったけど、今は結構気に入っちゃってたりするのよぇ」


 そう言いながらツインテールにしている髪を弄る。
 それにはサウラーは怒るどころか、何も言う気が失せて、脱力した。


 サウラー「・・・そうかい。呆れたよ、全く・・・」


 ウエスター「イース・・・」


 イース「アンタのおかげで今日は久しぶりに笑ったわ。で、肝心のモノは?」


 ウエスター「あ、ああ」


 ウエスターはイースが差し出した掌の上に、ドーナツの入った紙袋を置く。


 イース「♪・・・まぁ、ご褒美ってことで受け取りなさい」


 イースは紙袋の中から二つドーナツを取り出して、ウエスターに差し出した。ウエスターは戸惑いながらもドーナツを受け取る。


 ウエスター「・・・イース」


 イース「じゃ、次はしくじるんじゃないわよ」


 イースはウインクをして、サウラーが戻っているであろう部屋に向かった。
 その時、イースのウインクを見たウエスターの胸の奥底で揺れ動いたのだった。

ここまで。
サウラーの髪型は鈴村健一さんが特撮での声優としてやった事のあるキャラクター達の髪です

フレッシュプリキュアの面白さは異常
更にこのssがその面白さを加速させている

>>332 ありがとうございます


 青空の、雲よりも上に巨大な島が浮翌遊している。その島の中央には火山があり、それを囲う様に緑が生い茂って、透き通った水が泉を作り出している。

 
  
 茂みの奥で何かが通ったのか、風が吹いてもいないのにガサガサと揺れる。 


 「マジマジマジマジ」


 茂みの奥から出てきたのは紫色の目がゴーグルの様になって、不思議な模様が体に描かれている四足歩行の生き物だった。しかし、生き物と言ってもかなり、否象よりも巨大な生き物だ。
 短い手足を動かしながら、スローペースで歩いている。
 歩き続けていると、島の先端まで来た。その紫の生き物はソローっと下を見る。当然下は地面すら見えない程の上空だ、青色と白色以外何も見えない

 
 「マジィ~・・・マジマジ」


 紫の生き物は耳をピコピコと動かして、特に何も無い事がわかると方向転換し始めた。
 しかし、その時


 -ゴゴゴゴゴゴゴゴ-


 「マジ、マジマジマジ!?」
 

 突然地響きが鳴り、大地が震える。紫の生き物は必死に足を地震から耐えようと立っている。が地面がバキッと音を立てて、島の一部が欠けた。
 欠けたと言っても島のサイズから見れば石ころぐらいの大きさだ。

 
 
 「マジッ!?」



 そして片方の後ろ足が、滑ってしまいズルズルと落ちていく。


 「ガオォオオオオオオッ!!!」


 「マジィ~~~~~~・・・・・」


 その時、赤と金色の閃光が過った。しかし時は既に遅し、紫の生き物は自身の体を丸くして断末魔を上げながら落下していく。
 

 「ガルルルルル・・・」

 大輔「なぁ、やっぱりあの時の占い当てにならないんじゃないのか?」


「い~や!あの人の言ってること、俺は絶対に信じるぜ!」


 大輔はカバンを肩に引っさげて、長身の知的そうな眼鏡をかけた少年と対象の背の低い頭を丸刈りにした少年と学校帰りの道を歩いていた。  少年達の名は、御子柴健人と沢裕喜。二人は大輔と同級生でよく一緒に居る仲の良い友達で、裕喜は大輔と同じ野球部でバッテリーを組んでおり、健人は財閥の御曹司である。


 大輔「あれはただ精神論を言っただけだろ・・・」


 健人「確かに信じるか、信じないかは別として自分でどうするかが問題だと思いますよ」


 裕喜「ん~・・・まぁ、そうなんだけどなぁ」


 大輔は以前占い館に行き、そこで裕喜が占ってもらったのを見たのだが、あれはただ単に占ったのではなく精神論を語っただけだった。
 それを裕喜は占いとかそう言うのではなく、占い師の言った事に感動しているのである。 


 「それでも誰かの助けがないと、出来ない事もあるからな」


 大輔・裕喜・健人「?」


 その時、すぐ後ろから声が聞こえた。そこに居たのは毎度お馴染み、手塚である。
 手塚はコインを取り出してハンカチの上に置き、コインを見つめ始める。それに興味を持ったのか、3人は手塚の前に集まり腰を屈める
 そして手塚はコインから目を離して、裕喜を指差した。

 
 裕喜「え?」


 手塚「お前に春は訪れない」


 裕喜「ガァァーーーーーーン!!」


 手塚の直球な発言に裕喜はショックのあまり、石化してしまった。
 それを見た大輔と健人はギョッとしながらも手塚に話しかけた


 大輔「ちょっと、いきなり過ぎじゃないですか?」


 健人「そうですよ。彼は頑張ってるんですから

 
 
 手塚「・・・お前ら二人には春は間近に来るな」



 大輔・健人「え?」


 その言葉を聞いて、大輔と健人は少し嬉しそうにする。一方で裕喜は体育座りのまま落ち込んでいた。
 しかし手塚「が、お前はどうだろうな」と大輔を見る。それに大輔は「えっ」と声を出す。

 手塚「お前が想ってる奴は、そこまでお前に気があるかどうかも微妙で判断し辛いんだ。ただ、お前は成功する確率は100%だ」


 健人「ホ、ホントですか?」


 手塚「ああ。俺の占いは当たるからな」


 大輔は深刻な問題なのかと呻りながら腕組みをして考え始め、健人は照れ笑いをした


 大輔「・・・あ、あの、アドバイスとかは・・・?」


 手塚「・・・無理だ。言っては何だが、お前が思う様にやれ」


 大輔「は、はぁ・・・」

ここまで

リンゴロックシードの変身音ですね!

言い忘れてましたが
「スーパーヒーロー対戦GP 仮面ライダー3号」で幸太郎とダディさんと優斗が出てくるのチョー楽しみです!

うわぁああ!!光太郎でした!ごめんなさい!!


 祈里「お父さんはすごいの、どんな動物の言葉もわかるみたい。動物達がどう苦しんでいるか、あっという間に付き止めちゃうんだもの」


 祈里は仕事中の正の姿を見て、自分の父は本当に動物と話せていたという事をラブと美希に話していた。その後ろでは湊も聞いていた。


 美希「ブッキーのお父さん。腕の良い獣医さんって評判だもんね」


 ラブ「すごいね。言葉のわからない動物を治しちゃうんだから」


 湊「そうね。動物って人間から見れば何を言っているのかはわからないけれど、何かを伝える能力は備えてるからそれがわかるのかもしれないわ」


 祈里「私、お父さんみたいな獣医さんになりたいなぁ」


 ラブ「なれるよぉ!だってブッキーは動物大好きだし、好かれてるし、相手の気持ちがわかるじゃん」


 湊「それに、フェレット嫌いも克服したから怖い物も無くなったものね」


 美希「ええ。完璧に獣医さんに向いてると思うわ」


 ラブと湊が祈里の願望について感想を述べ、美希も祈里が獣医になるという事に大賛成した。
 それに祈里は嬉しそうに微笑む。


 カオルちゃん「獣医かぁ、俺も昔は獣医さんだったなぁ」


 ラブ・美希・祈里・湊「え?」

 
 湊「(初耳だけど・・・)」


 カオルちゃんの突然の発言に、ラブ達は驚いた。カオルちゃんが獣医だったという話は湊ですら聞いた事の無い話だった。


 カオルちゃん「で、頑張ったら何と8位にまで上がったよ!嬉しかったなぁ~」


 ラブ・祈里・美希「何の話なの/よ?」


 しかし全くわからない話だった。


 カオルちゃん「で、ちょっと1位目指して来るわ。店番よろしく~!」


 湊「あ、はい。わかりました」


 カオルちゃんがどこかへ行こうと歩いていった、その時。


 -ドカァァアアアン!!-


 ラブ・美希・祈里・湊「!!?」


 凄まじい爆発音が公園に響き、地震が短くではあるが発生した。それにラブ達は何か危険な事が起きたと言うよりも体が先に動いて、煙が立ち上る方に走り出した。


 湊「あそこよ!」


 ラブ達は煙が立ち上っている場所に着くと、そこは公園内にある小さな森の様な場所だった。
 木々を抜けて、少しスペースが空いている場所に何かが落下したらしく、少し大きなクレーターが出来たぐらいで被害は小さかったようだ。

 
 ラブ「まさか、ナケワメーケ・・・?」


 湊「・・・変身」


 『ピーチエナジー』


 ラブは固唾を飲んで口にした一言に湊は迷わずゲネシスドライバーを腰に装着して変身する。桃の鎧が降ってきて、湊の頭に被され、展開する。
 そして、ソニックアローのトリガーを引くと、煙が立ち上るクレーター付近に3発のエネルギーの矢を放った。
 ステアリングアイで遠距離からの目視は立ち上る煙で見えないと判断し、とりあえず3発こちらから攻撃をしてみると言った判断であろう。
 放った3発の矢は地面に突き刺さって、塵となって消滅した。
 ラブと美希、祈里は手にリンクルンを構えながら警戒をする。しかし、何も起きない

 
 美希「・・・何も起きない・・・?」


 祈里「あ、あれ・・・?」


 マリカ「油断しないで。・・・私が見てくるわ・・・」


 美希と祈里は何も起きない事に拍子抜けをするが、マリカが少しキツく言い聞かせた。そしてソニックアローをいつでもトリガーを引ける構えのままジリジリとクレーターに近づいて行く
 マリカは


 ラブ「き、気を付けて・・・」


 マリカ「ええ・・・」


 マリカは背中から弱弱しく聞こえるラブの声に小さく頷いて警戒を解かず、近づいて行く
 一歩一歩、慎重に。足音をなるべく立てずに、遂にクレーターとの距離は1mとなった


 マリカ「すぅ・・・はぁ・・・」

  
 マリカはここで一旦深呼吸をして、再び足を進める。ステムリーフが湊の脈拍と呼吸が通常よりも上がっていることをステアリングアイに表示するが、湊は自己コントロールで消去する。
 すると煙がピタリと消え、マリカは痺れを切らして一気のクレーターに近づいてソニックアローのトリガーを引く


 マリカ「・・・え」

  
 しかし、ソニックアローを向けたその目の前にマリカは驚きのあまり困惑した。
 そこに居たのは・・・


 「マジマジ・・・」


 マリカ「・・・紫色の・・・アル、マジロ?」


 そこに居たのは何と、紫色のアルマジロであった。ただし、普通のアルマジロより一回り大きいサイズの


 ラブ「お、お姉ちゃん・・・?」


 美希「どうしたんですか・・・?」


 祈里「も、もしかしてナケワメーケじゃなくて、隕石だったんですか・・?」


 ラブ達は順番に聞くが、マリカは構えていたソニックアローのトリガーをゆっくりと引いてアローレストを下に向ける。
 そしてロックシードのレリーフを閉じ、ロックシードを外して変身を解除した。


 『ロック・オフ』
 

 湊「・・・」


 「マジ・・・」

 
 湊は紫色のアルマジロに近づいて、見定める。その目線は鋭く、冷徹な目だった
 アルマジロは損傷しているようで、ピクリと動くくらいで逃げようとする様子も見られない。と言うよりも動けないと言った方が正しい


 「マジ・・・マジ・・・」


 湊「・・・」


 湊はまず最初にこのアルマジロがナケワメーケなのか確かめるべく、頭部を見た。しかしそこにはナケワメーケのシンボルであるダイヤが無い。
 つまりこの生物は、少なくともナケワメーケではない。が、ナケワメーケであるかどうかでの問題は無くなったが、この生物はどこから降ってきたのだろうか
 宇宙生物と言う考えが一つ浮かんだ。確かにこの生物はアルマジロに似ているが、紫色でしかも目が進化している様なゴーグルになっており、体には文様が描かれているのだ。


 「マジィ・・・」
 

 紫色のアルマジロは首を少し動かして、湊を見た。それに湊は一瞬何かが頭の中を過る
 湊は辺りを見渡して、もう一度紫色のアルマジロを見つめる。紫色のアルマジロも同様に湊を見つめている。
 後ろに居る三人はどういう状況かが全くわからなくなっており、困惑していた
 

 湊「・・・わかったわ」


 「マジ・・・」


 湊は突然紫色のアルマジロに返事をすると、紫色のアルマジロも驚くことに頷いて返事をした。
 そして湊は紫色のアルマジロの胴体を持ち上げた。そして思う、重い
 この紫色のアルマジロは見かけによらず、岩の様に重たいのだ。しかも腰に結構来る。


 湊「ラ、ラブ。ちょっと・・・」


 ラブ「え?何々!?お姉ちゃん!?」


 ラブは突然の湊の助けに慌てて駆け寄った。美希と祈里も顔を合わせてから、湊の元に駆け寄る。

 


 湊は近くの薬局で包帯と傷薬購入し、紫色のアルマジロの怪我の治療を祈里に任せていた。
 祈里は獣医である自分の父、正から少しだけ習った包帯の巻き方で何とか治療を終えた。


 祈里「はい、これでいいよ」


 「マジマジマジマジ♪」


 ラブ「あ、喜んでる!」


 治療を終えて、紫色のアルマジロはテーブルの上でクルクルと回りながら嬉しそうに鳴いている。
 それにラブも嬉しそうに笑った。
 

 美希「でも・・・このアルマジロ本当に、アルマジロなの?」


 ラブ「え?だってアルマジロでしょ?この子」


 美希「いや、見た感じだとそう思うけど・・・目とか、体の色、それに大きさも違うし・・・」


 美希はこの紫色のアルマジロを少し怖がっていた。理由は見た目は確かに少し不気味に感じるのだ。
 しかしラブは全く気にしていない様子だった。


 ラブ「えー?でも可愛いじゃん、ほら、お手」


 「マジ」


 ラブ「ほら可愛い」


 美希「ってアルマジロが普通お手をする!?」


 祈里「あはは・・・」


 ラブが差し出した手の上に紫色のアルマジロはポンっと手を乗せると、ラブは頭を撫でて言う。
 美希は可愛いがどうか以前に、アルマジロがお手をするかと言うのにツッコむ。それをみて祈里は苦笑いをした


 湊「でも、ありがとう祈里さん。治療してもらって」


 祈里「あ、いえ・・・。確かにちょっと怖いけど、なんだかほっとけなくて・・・」


 湊は祈里にお礼を言うと、祈里は紫色のアルマジロの頭を優しい眼差しで撫でながら言う。
 紫色のアルマジロは気持ちよさそうに鳴きながら擦り寄ってくる


 ラブ「アルマジロちゃん、ドーナツ食べる?」

  
 祈里「あ、ダメだよラブちゃん。動物にとって人の食べ物は塩分が濃すぎるから」


 「マジ」


 ラブ「食べたよ」


 祈里「えぇ~!?」


 タルト「大変や、大変やぁ~~!シフォンがシフォンがぁ!」


 紫色のアルマジロがドーナツを食べた、その時かなり焦っているタルトの叫びが聞こえた。
 見ると、シフォンを毛布で包みながら抱きかかえてこちらに走ってきている。その抱きかかえられているシフォンはどこか苦しそうな表情をしていた
 タルトは机の上に飛び乗って、着地した、が


 タルト「ふがっ!?な、何やねん!」

 
 「マジ?」

 
 タルト「うぉわぁっ!?」


 タルトは目の前の紫色のアルマジロに顔面強打して、赤くなっている鼻を押さえながら驚いた。
 紫色のアルマジロは体を方向転換させ、自分にぶつかったタルトを見た。そして、耳をピコピコとさせると、頭を下げた


 「マジマジ」


 タルト「ど、ども・・・って挨拶しとる場合やないねん!」


 美希「挨拶したの!?」




 ラブ「シフォン、どうしたの?」
 

 シフォン「キュアァ・・・」

 
 祈里「どこか痛いの?シフォンちゃん?」


 ラブ達は苦しそうにしている呻っているシフォンを心配そうに見つめながら問う
 シフォンは苦しみながらも、何かを懸命に訴える。


 シフォン「キュアキュアァ、プリップ~・・・」


 美希「何か言おうとしているみたいだけど・・・」


 湊「わからないわね・・・」


 ラブ「わかった!」

 
 ラブはリンクルンでミルクの入った哺乳瓶を召喚してシフォンに飲ませようとしたが、口に当てても全く飲む気配は無くむしろ嫌がった
 美希は自分の額に手を当てて、シフォンの額にも手を当て熱を測ってみたが熱でも無かった。
 

 湊「タルト君、何かわかった?」


 タルト「アカン、スイーツ王国の長老なら何かわかるん思うんやけど、連絡がつかへん」


 美希「他にわかりそうな人は居ないの?」


 タルト「ん~、せやなぁ・・・」


 タルトは腕組みをしながらしばらく考えていると、ラブが突然あっと声を上げた

 
 ラブ「ブッキーがいるじゃん!」


 祈里「え?私・・・?」


 湊「・・・なるほど、そういう事ね」


 ラブは祈里の名前を言い、それに祈里はキョトンとしながら自分を指差した。その後に湊は何故ラブが祈里を挙げたのか気づき、頷いた。
 ラブが言うには「獣医さんって言葉のわからない動物の治療をするんでしょ」との事だが、美希曰く「シフォンを動物と一緒にしていいわけ?」との事
 しかし、他にシフォンが苦しんでいる原因がわかる人物(?)が居ないタルトは祈里の手を取って懇願する。
 祈里は突然の事に戸惑ったが、ラブに抱えられて苦しんでいるシフォンを見て覚悟を決めた表情で決意した


 祈里「わかったわ」


 タルト「おおきにパインはん!」


 タルトは祈里の手をブンブンと振って、感謝の意を表す。タルトからして見れば大きく振っている様に見えるが実際はそこまで大きく振れていない
 

 
 その日の夕方、群青色がオレンジの空を侵食し始めた時間帯。ラブと美希は帰らないといけなくなり、付添いは出来なくなってしまったのでタルトだけが残り祈里はまずシフォンの体を指先と掌で優しく触れてみる。


 タルト「パインはん、何しとるんや?」


 祈里「触診よ。色々な所を触って、悪い所が無いか調べるの」


 祈里はシフォンの体の様々な部分を触りどこかに異常がないかを調べたが、綿の入ったぬいぐるみの様なフワフワとした感触でよくわからず触診は断念した。
 今度は聴診器を使って聴いてみるもこれも断念するしかなかった。
 ここで祈里は父の正のマネだけでは意味がないと知らしめられ、甘かった自分を悔やんだ。


 祈里「(お父さんに聞けば、何かわかるかもしれない)」


 祈里は正にシフォンが苦しんでいる原因がわかるかもしれないと、治療室に向かった。が、正は隣町の牧場で牛のお産を手伝いに行っていると尚子に伝えられた。
 その一方でタルトはシフォンにキュアビタンを飲ませようと懸命に口に当てるが、全く飲まず落ち込んでいた



 桃園家では紫色のアルマジロについて、ラブが幼い頃に買ってもらった動物図鑑で何の種類なのか調べていた。 
 
 
 ラブ「う~~ん・・・無いなぁ・・・」



 湊「当たり前よ・・・空から降ってきたのだから・・・」


 ラブはテーブルの上に顎を乗せて、グダーと力が抜けて湊も一応と図鑑に目を通していた。
 その紫色のアルマジロは、ラブのベッドの上で体をボールの様に丸めて転がっていた。


 湊「・・・祈里さん、大丈夫かしら・・・」


 湊はふと、祈里の事が気になって窓の外を見た。空には既に星空が広がり、夜になっていた


 ラブ「大丈夫だよ。だって、ブッキーは獣医さんを目指してるんだから」


 湊「・・・」


 
 祈里「これじゃない、これも違う・・・」


 祈里は医学の事について詳しく書いてある本を捲りながらシフォンの病状に合ったページを探していた。しかし、一向に見つからず苦しそうなシフォンを見ていられなくなっているタルトに急かされ焦る。
 そんな時、突然コンコンっと音が鳴って祈里の手が止まった。聞こえた方を見ると、そこはカーテンを閉め切った窓だった。
 まさかと祈里は思ったが、またコンコンっと音が鳴る。


 祈里「え・・・?」


 祈里は一瞬背筋が凍った。この部屋は二階にあり、まず人が窓を叩けない高さだ。その前にベランダが無いため、登る事は不可能である


 タルト「まさかおばけっちゅうことはないやろな・・・」


 祈里「そ、そんなわけないよ・・・ね?」


 祈里はタルトの言った事に、半信半疑でコンコンっと音が鳴った窓に近づく。
 そこで一旦深呼吸をして、意を決してカーテンを一気に引っ張る


 祈里「・・・きっ!?」



 「あ、やっと気づいt((祈里「きゃーーーーっ!!」



 そこで祈里が見たのは、桃の形をした頭のお化けが見えた。すぐさまカーテンを閉めて、勉強机の横に隠れた


 タルト「ど、どないしたねん!?パインはん!?」

 
 祈里「お、おばけぇ~~・・・」

 
 タルト「ホンマかいな!?」


 タルトはまさか自分が言った事が本当だったのかと、疑い窓に近づいてカーテンを開けた。祈里は両手で頭を押さえながら震えている
 そんな時突然誰かがポンポンと肩を叩いて、硬直する。油の切れたブリキのおもちゃのように首をギギギッとゆっくりと回した
 そこに居たのは・・・



 湊「もう、そんなに驚くことはないでしょう・・・」



 祈里「み、湊さん・・・!?」


 そこに居たのはパジャマ姿のビニール袋を持った、呆れた顔で立っている湊だった。肩にはタルトが乗っている


 湊「はい、差し入れよ」


 祈里「あ、ありがとうございます・・・」


 湊は手に持っているビニール袋を祈里に差し出し、その間にタルトは湊の肩から降りた。
 手に持った感覚から、中は飲み物とお菓子が入っていると思われる。


 祈里「あの、湊さんが窓を叩いてたんですか?」


 湊「ええ、変身してね。でも、あんなにビックリするなんて思ってなかったわ。祈里さん、貴女は仮にもこの町を守っているプリキュアなのに・・・」


 祈里「う・・・面目ないです・・・」


 タルト「まぁまぁ、湊はん。誰だってあんなとっから出てきたらビックリするもんやって」


 しょんぼりしている祈里を見かねてタルトはフォローする。確かにタルトの言う通り、誰でもいきなり真っ暗な夜に家の窓を叩かれれば驚くだろうし、ましてや二階建ての家ならそれ以上に驚かせてしまうだろう。


 湊「・・・それもそうね、ごめんなさい」


 祈里「い、いえ。気にしないでください」

 
 湊「そう・・・シフォンちゃん?」


 湊はベッドの上にいるシフォンに近寄り、優しく声を掛ける。苦しそうにしているシフォンを撫でた。
 撫でられたのに気づいて、シフォンは苦しそうに呻りながら目を開けて湊を見た。


 シフォン「キュァァ、ヨーコ、ヨーコォ・・・」


 湊「・・・原因はまだわからないまま?」


 湊はシフォンを見つめながら祈里に問う。祈里は湊の隣に屈んで、シフォンを見つめていた。
 

 祈里「ごめんなさい・・・私の力不足で・・・」

 
 湊「そんな事よ言ってはダメよ?まだ諦めるには早すぎるわ」


 そう言って湊はシフォンから目を逸らして悲しそうに俯いている祈里の方を見て、肩に手をポンと置いた。
 祈里も湊の顔を見つめる。その表情は優しさと頼りになると言った様な微笑みを浮かべている。それに祈里は少しだけ気持ちが軽くなり、自身が付いたように感じた。


 祈里「・・・はいっ」


 その後、1時間くらい経過しても尚シフォンが苦しんでいる原因に結びつくような症状が見つからず、祈里はパソコンを立ち上げてインターネットから必死に調べていた。
 タルトと湊はシフォンが少しでも楽になれればと、湊がシフォンを抱いて揺り籠の様に腕を左右に揺らしてタルトは変顔をしたり歌を歌ったりなど手を尽くしている。
 そしてタルトは睡魔に襲われ始めて、首がコックリコックリと上下する


 祈里「あ、タルトちゃん眠くなった?」

 
 湊「タルト君?寝てていいわよ、私が見ててあげるから」


 二人は眠そうなタルトを見て、言うとタルトは意識がはっきりとしたらしく立ち上がった。


 タルト「アホ言うたらアカン!シフォンが来ない苦しんでるのに、のんきに寝てられるかいな!」


 その数秒後


 タルト「くぁ~~・・・くぁ~~・・・」


 湊「無理しちゃって・・・」


 やはりと言うべきか、タルトは容易く睡魔の餌食になり夢の中にいってしまった。湊は苦笑いを浮かべながら、寒くさせない様に持参していたタオルをタルトのお腹に掛けてあげた。
 そんな時、タルトは寝ながら顔を顰めた。


 タルト「シフォン、しっかりしいやぁp.moi,ju~・・・」


 語尾の最後からよくわからない語源を出しながら、寝言言い再び寝息を立てる。
 それを見て湊は少し驚きながらも、微笑んでタルトの頭を優しく撫でる。


 湊「夢の仲間で看病してくれてるのね・・・偉いわ、タルト君」


 タルト「任しいやぁ・・・くぁ~~・・・」
 

 湊「ふふ・・・」


 その時、パタンと音が聞こえた。その音は祈里が立ち上げていたパソコンの電源を切って畳んだ音だった。
 湊は何かわかったのかと思ったが、落ち込んだ雰囲気を放っている祈里の後ろ姿からしてそうではないと判断した。
 

 湊「どうかしたの?祈里さん」


 祈里「・・・湊さん、少し、散歩してきていいですか?」


 湊「え・・・?」


 湊の問いに祈里は突然、散歩をしてきたいと言ってきた。それに湊は疑問を抱いたが、潤んでいる祈里の目を見てすぐに察した。
 先ほど自分の力不足と言っていたが、やはりまだ余り知識を身に着けていない祈里にとって今まで体験した事のない事に戸惑っているのだ。
 謎の症状、それに加えてシフォンは類を見ない妖精と言う名の生き物。当然どこかの腕の立つ獣医であってもわからないと思う。
 そんな事を思うと、湊は今はそっとしてあげようと考え微笑みながら応えた。
 

 湊「・・・そうね、気晴らしに行ってきなさい」


 祈里「・・・ごめんなさい」

 
 祈里はペコリと頭を下げて、重い足取りでドアを開けて部屋から出て行った。
 祈里の部屋にはシフォンのうめき声と、タルトの疲れ果てた寝息だけが残ったのだった


 祈里「はぁ・・・」


 家から離れた河川敷に祈里は座っていた。辺りは暗く、誰も歩いてはいないそこに居るのは祈里だけだった
 空を見上げて、星空を眺める。満点の星空の中を、一筋の流れ星が流れた。
 祈里はすぐさま手を合わせて指を絡めると、目をキュッと瞑り咄嗟に願い事を流れ星が消える前に3回唱える。  


 祈里「・・・(流れ星に頼んでも、治せるわけないよね・・・)はぁ・・・」


 「どうかしたのか?」


 何度目かわからない溜息を祈里がついたその時、誰かが声を掛けた。後ろを振り向くと、そこには白い白衣を着た黒髪の青年が立っていた
 祈里は先程まで誰も居なかったこの場所に、突然現れた青年に驚きのあまり声が出なかった。それに青年は不思議そうな面持ちで祈里に近づいた


 「急に話かけてごめんね。ビックリしたかな?」


 青年は上半身を支える様に手を膝について屈みながら祈里に話しかけた。


 祈里「あ、い、いえ。大丈夫です・・・」


 「そっか、それならよかった。でも、こんな時間に一人でいると危ないよ?」


 青年はまだ中学生の女の子がこんな時間帯に一人で居るのは危険だと思ったのか、祈里に優しく伝える。しかし、祈里は青年の言葉を聞いてすぐには帰ろうと思えなかった。
 

 祈里「・・・そうですよね。でも・・・今はまだ帰りたくないんです・・・」


 「・・・何かあったのか?」


 青年は祈里の隣に座りこんで、祈里を見つめながら問う。その瞳は獅子の様な、湊とは違う風格を持ち合わせている眼であった。

 
 祈里「・・・実は・・・」

今日はここまで。

4号にたっくんと海道さんが出ることに嬉し過ぎて押入れからファイズドライバーを引っ張り出して変身しました
ただ・・・ミッションメモリが灰化しました(紛失)・・・orz

延長できる時代のベルトではないので、痩せてる方の自分でも案外キツかったです(笑)


 南「スイッチオーバー!」


 その頃、南は夜の公園のベンチでゲームをしていた二人の少年の目の前でスイッチオーバーをし、サウラーとして姿を現した。  
 

 サウラー「丁度いい物をコレを試させてもらうとしよう」


 そう言うとサウラーはいつも使っている深緑色の縁が黒いダイヤではなく、縁が鉄製の深緑色だった箇所が透明になって中の機械が透けて見える様になっているダイヤを取り出した。
 中央には「O」と表示されている

 
 サウラー「ナケワメーケ、我に仕えよ」


 サウラーはダイヤを少年の手に持っているゲーム機に向けて投げ、突き刺した。少年達は驚き、ゲーム機を投げ捨てて逃げ出した。
 ゲーム機は地面に転がり、ダイヤの機械が激しく起動して黒煙を吹き出した。
 

 サウラー「・・・」


 
 数時間前の事、サウラー達3幹部はラビリンスの総統メビウスに召集され暗い一室に来ていた。

 
 
 サウラー[メビウス様、どうかなされましたか?]



 メビウス[お前達にプレゼントをやろうとな]


 イース[?・・・(プレゼント?)]


 ウエスター[(よかったー、見限られたかと思った・・・)]


 メビウス[これだ]


 メビウスがそう言うと三人の前にサウラーが使っていたダイヤが転送されてきた。


 ウエスター[これは、我々がいつも使っている・・・]


 ウエスター・イース・サウラー[・・・(名前忘れた)]


 イース[・・・でも、少し違いますね]


 メビウス[そう、これはお前達がいつも使っている物とは違う物だ。新たに改良を加え、より強いナケワメーケを生み出す事が出来る]


 サウラー[それはすごい。これならプリキュアを倒せる]


 ウエスター[しかし・・・]


 メビウス[案ずるな。これは対アーマードライダー用に作ったものだ]


 ウエスター[!、そ、そうなのですか!?]


 メビウス[だが、試さないとわからない点がある。そこに気をつけろ、まだ試作だからな]


 サウラー[ありがとうございます。メビウス様]


 ウエスター[(これで今度こそ、今度こそアーマードライダーを倒せる!・・・よな?)]


 サウラー「・・・ゲームスタートだ」



 「・・・そっか。その子の苦しんでる原因がわからないのか」


 祈里「はい・・・」


 祈里は青年に自分が今起こっている事を話した。青年は数回頷きながら、空を眺めた。その目にはキラキラと光る星空が映っている
 

 「俺もさ、獣医やってるんだ」


 祈里「あっ・・・そうだったんですか」


 青年の唐突の言葉に祈里は白衣を着ていたから医療関係の仕事をしていると思っていたので、然程驚いた様子は見せなかった。


 「君のお父さんは動物の言葉がわかるって言ったよな?その通りなんだ」


 祈里「わかるんですか?」


 「ああ。でもただ動物の言葉さえわかれば治せるってわけじゃない。獣医は悪い所をどうやって治すかまでが役目なんだ」


 祈里「・・・そうですよね・・・でも、私はまだその役目がちゃんとできないから・・・」


 「元気出せよ。ネバギバだぜ!ネバギバっ」


 祈里「ね、ねば、ぎば・・・?」


 祈里は青年の言った「ネバギバ」と言う何か納豆の様な感じの言葉に引っ掛かった。
 青年は顎に手を当てながら何かを思い出そうとしていた。


 「何だっけ・・・あ!そうそう、ネバーギブアップの事だ!」


 祈里「あぁ・・・だから、ネバギバ・・・」

 
 祈里はネバギバの意味がわかると、何となく心が晴れた気がした。それによって少し失っていた自信もついた様な気がし始めた


 祈里「・・・うん、何だか自信がついた気がしてきました」


 「そっか、よしっ!」

 
 青年は祈里に笑顔が戻るのを見て、安心した面持ちで立ち上がった。


 「じゃあ、俺は行くな」


 祈里「あ、はいっ」


 「じゃあなっ。頑張れよ」


 祈里「あ、あの!名前を・・・」


 青年は祈里の後ろを通って月の光に照らされる夜道を歩きだした。それに祈里は慌てて立ち上がって、呼び掛ける。
 しかし祈里の声は青年の耳に届かず、そのままどこかへ行ってしまった

ここまで

佃井さん、意外とおちゃめですね。
https://www.youtube.com/watch?v=xxQGOZV9TQA


 その後祈里は帰宅して、改めて医学の本を手に取りシフォンが苦しんでいる原因を探し始めた。何冊目か探した時、やっぱり無いのかなと心が折れそうになったが青年の「ネバギバ」と言う言葉を胸の中でおまじないの様に唱えふぅっと深く深呼吸をして再びページを捲り探した。
 そんな祈里を見て、湊はシフォンを撫でながら一所懸命に頑張っている祈里を声はかけないが、優しく見守る。
 それから時間が経っていき、いつの間にか机に身を委ねてスヤスヤと祈里は瞳を閉じて寝てしまい、湊は毛布を掛けてあげるとシフォンを抱きながら眠りについた。

 
 次の日の朝、カーテンから朝日の光が漏れて湊の目に掛かる。そして湊がゆっくりと目を覚ました。
  

 湊「・・・あら。もう朝ね・・・」


 湊はシフォンを抱いたまま半ば寝惚けているのか膝立ちのままカーテンを開けようと移動した。その瞬間フニュッと何か柔らかい物を踏んだような感覚がした

 
 
 タルト「ぎぃやぁ~~~~~!?!?」



 湊「!?」

 
 祈里「うぇ!?」


 柔らかい感覚はタルトの尻尾だった。それを踏まれてタルトはあまりの痛さに叫んでしまい、寝ていた祈里と寝ぼけていた湊は一瞬で頭が冴えた。 
 タルトの叫びは外にまで響いたらしく木の枝に止まっていた小鳥達が鳴き声を上げながら飛び立ってしまった。
 

 タルト「ふーっ、ふーっ・・・痛いやんか、湊はん!」


 湊「ご、ごめんなさいタルト君!」


 祈里「ど、どうしたんですか?」


 タルトは尻尾を掴んで赤くなっている所を息を吹きかけて冷まして泣き泣き怒った。湊は慌ててタルトに謝る。
 祈里は目を擦りながら辺りをキョロキョロするが、二人の耳には届いておらず、答えてもらえなかった為何が起こっているのかわからず仕舞いだった。
 しかしその最中、不気味な音が祈里の言葉が届かなかった二人の耳には今度は聞こえた。
 湊は素早くカーテンを引っ張って開けて、窓の外を見ると空に謎の卵型の球体が浮かんでいた。

 
 
 祈里「な、何?」



 その球体は表面から紫色の棘が出ており、所々に歯車が回っていたりメーターやランプがチカチカと光ったりなどしてどこか機械染みている。
 湊は祈里に近寄り、シフォンを優しく抱かせた。


 湊「祈里さん、シフォンちゃんをお願い。私が行くわ」


 祈里「で、でもっ・・・」


 祈里は自分もと言おうとしたが、湊は首を振って祈里を見つめる。


 湊「祈里さん。今、貴女はシフォンちゃんを守るのよ。町の人達は私達が守るから」 


 祈里「・・・は、はいっ!」


 湊「タルト君もここに居て。もしもの時は頼んだわよ」

 
 
 タルト「まっかしいやぁ!・・・た、多分」



 湊は少し頼りなさそうなタルトの返事に苦笑いをしながら頷くと、ドアを開けて出て行った。
 


 祈里の家に向かっている途中だったラブと美希は、人込みが溢れてるのに気付き、人々の視線の先の宙に浮いている球体を目撃した。 
 ラブと美希はその球体を見て、何かと思っていると球体に罅が入り始めた。
 そして罅の線が繋がった瞬間、機械部分から熱を出すためか煙が勢いよく吹き出すと歯車が止まり光の分子となって消える。そして中から紫色の物体が出てきた。
 その光景を祈里も窓から見ていた。湊も走っている途中で足を止めて、見ている。
 そして紫色の物体は落下してくると共に足が生え、着地すると翼を広げた


 「フシチョー!」


 現れたのは頭部がダイヤになって目は無く、鉄で出来ている様な嘴だけで翼の羽がカッターの様に鋭く刃になっており胸に大きく「O」と描かれているナケワメーケだった。 
 集まっていた人々はナケワメーケを見て一目散に逃げ出し、その場にはラブと美希だけになった。ナケワメーケは鳴き声を上げながらラブと美希に近づく。

 
 湊「ラブ!」


 ラブ「お姉ちゃん!」


 ラブと美希の所に、湊が駆けつけてきた。しかし、美希は祈里とタルトが居ない事に気づく


 美希「ブッキーとタルトはどうしたんですか?」
 

 湊「2人にはシフォンちゃんを守るように言っておいたわ」 


 3人は周囲に誰も居ない事を確認すると、ラブと美希はリンクルンを、湊はゲネシスドライバーを取り出した。
 

 湊「変身っ」『ピーチエナジー』


 ラブ・美希「『チェインジ!プリキュア!ビートアップ!』」


 『ロック・オン』
 『ソーダ』


 『ピーチエナジーアームズ』


 ピーチ「ピンクのハートは愛あるしるし!もぎたてフレッシュ!キュアピーチ!」


 ベリー「ブルーのハートは希望のしるし!つみたてフレッシュ!キュアベリー!」


 マリカ「ピンクの仮面は強さのしるし!艶やかフレッシュ!アーマードライダ-マリカ!」


 ピーチ「『レッツ!」


 ピーチ・ベリー「プリキュア!』」


 ピーチとベリー、マリカは名乗り終えるとピーチとベリーは飛び上がり、マリカはマウントさせているソニックアローを手に取るとトリガーを引いた。
 

 「フシチョー!」


 ピーチ「ヤァアアアッ!」

 
 ベリー「ハァアアッ!」


 ピーチとベリーは回し蹴りを繰り出そうとした時、ナケワメーケは嘴を限界まで開けた。そこには何と小型ミサイルがあった


 「フシッチョーーッ!!」


 マリカ「危ない!」 
 


 マリカはナケワメーケが発射した小型ミサイルに向けてエネルギーの矢を射る。小型ミサイルはピーチとベリーに当たる寸前の所でエネルギーの矢と接触し爆発を起こした。
 その爆風はかなりのもので、ピートとベリーは危うく吹き飛ばされるところだったが何とか二人は着地した。

 
 
 マリカ「大丈夫?二人共」



 ピーチ「う、うん・・・」

 
 ベリー「まさかあんな危険な武器を持ってたなんて・・・」


 マリカは二人に駆け寄って安否を聞く。ピーチとベリーに怪我は無かったが、ナケワメーケのミサイル攻撃による精神的ダメージは大きかったようだ
 ナケワメーケは今度は嘴を閉じると、嘴がドリルの様に回転し始めてた。それを見たピーチとベリー、マリカは危険を察知した。
 首を大きく振り上げ、ナケワメーケは3人に目掛けて嘴を振り下ろす。3人は咄嗟に三方に避けて逃れた。
 ドリルの様に回転しながら回る嘴は、地面に突き刺さりアスファルトを削って土を舞いあがらせる。それを見た三人は戦慄が走り、固唾を飲む。


 ピーチ「お姉ちゃん!どうしよう!?」


 ピーチの言葉にマリカは迷った。今回のナケワメーケはいつもと違う。何がと言われれば、完全に自分達を倒しに掛かっていると言うことだ
 マリカはナケワメーケに隙ができないか見極めようとするが、すぐにナケワメーケのドリルの様に回転する嘴の攻撃に阻まれ隙が見つけられない。


 マリカ「(どうすれば・・・)」


 ベリー「マリカさん!危ない!」


 マリカ「!?」


 「フシチョー!」


 マリカが隙を見つけようとしている内にナケワメーケは翼を大きく広げると、紫色の皮膚に切れ目が出来るとそこから巨大な扇風機が出てきて、旋風を巻き起こした。

 
 
 マリカ「ぐっ・・・!?」

 

 ピーチ・ベリー「きゃぁあああ~~!!」 


 旋風は三人を飲み込み、天高く舞い上がらせた。マリカは空中を浮いている状況の中、冷静に傍にいたベリーの手を掴んだ

 
 マリカ「ベリー!ピーチの手を!」


 ベリー「は、はいっ!」


 ベリーはマリカの言う通り、ピーチの手を掴んだ。
 そして段々と落下していき、河川敷に着地した


 ピーチ「あ、危なかったぁ・・・」
 

 マリカ「油断しないで!来るわ!」

 
 ピーチは着地して地面に座り込むち、マリカは少し上擦った声でピーチに危険を知らせる。それと同時にナケワメーケが急降下して、ピーチ達に向かってくる。
 マリカの仮面に内蔵されたセンサーにより、物凄い速度で急接近してくるのに気付いた湊はピーチの手を掴んで引っ張る。

 
 
 「フシチョォオオーー!!」



 マリカ「くっ・・・!」


 ピーチ「うわぁっ!?」

  
 マリカは間に合わないと、判断しピーチを投げ飛ばした。その直後ナケワメーケが飛翔し、マッハと思われる速度でマリカに突進しする。

 
 
 マリカ「ぐっぁ・・・!」


 
 ピーチ「お姉ちゃんっ!!」


 マリカは何とか免れようと、咄嗟に飛び上がったがナケワメーケの翼の前縁に激突してしまい突き飛ばされる。
 突き飛ばされたマリカは地面に叩きつけられ、全身に激痛が走り身動きが取れなくなる。


 「フシチョー!」


 ベリー「『プリキュア!エスポワールシャワー!』」


 ナケワメーケはマリカに追撃しようと、接近する。ベリーはマリカの傍に寄ると両手でスペードの形を作り青色の浄化光線を放った。
 浄化光線はナケワメーケに直撃した。しかし、ナケワメーケはビクともせず、飛行してきた。


 ナケワメーケ「フシチョー!」


 ベリー「効かない!?」


 ベリーは自分の攻撃が効かない事に驚いている内に、ナケワメーケは突進してきた。

 
 ナケワメーケ「フシチョーッ!」


 ベリー「危ないっ!」


 ベリーはマリカの腕を自分の肩に回すと飛び上がった。間一髪の所で避け、着地する。
 その間にマリカは自力で立ち上がる。しかし、直撃した箇所にまだ激痛が走り足が崩れた


 ベリー「大丈夫ですか、マリカさん」
 

 マリカ「っ・・・これくらい・・・ぐっ」


 ピーチ「お姉ちゃん!」

 
 ベリーは座り込むマリカの肩に手を置いて、マリカに聞く。マリカは平然を保とうとするが、ダメージが酷く立ち上がれない。
 ピーチが駆け寄り、不安な面持ちでマリカを見る。


 サウラー「ふっふっふっふっふ・・・これは凄い。流石はメビウス様直々に頂いた物だ・・・」


 祈里「ピーチ、ベリー、マリカさん・・・!」


 祈里はシフォンを腕に抱いたまま、窓の外からピーチ達が戦っているのを見ていた。
 そしてとうとう不安が抑えられなくなり、ピーチ達の元へ向かおうとする。しかし、すぐに足が止まり、シフォンを見つめる。


 祈里「シフォンちゃん・・・」


 祈里の脳裏に湊に言われた言葉が過る。
 

 祈里「(湊さんに守ってって約束されたんだからっ・・・)」


 祈里「ごめんね、シフォンちゃん・・・私にもっと力があれば・・・」


 祈里「今の私にはシフォンを守る事と信じることしかできない・・・シフォンちゃんは絶対大丈夫だって。シフォンちゃんは必ず元気になるって・・・!」


 タルト「パインはん・・・」


 祈里「私、信じてる・・・」


 シフォンが苦しんでいる原因を付き止められない自分に悔しさが込み上げ、涙が込み上げてくる。
 その涙が目から零れ、シフォンの額に落ちる。その直後、シフォンが目を開け微笑んだ


 シフォン「祈里・・・」

 
 祈里「えっ・・・?」


 タルト「へっ?」


 シフォン「祈里・・・」


 祈里「シフォンちゃんが・・・」


 タルト「しゃ、喋りおった!?」


 祈里とタルトは初めてシフォンが喋ったことに驚く。その後にシフォンは再び喋った


 シフォン「いって・・・・しふぉんへいき、いって・・・」


 祈里「シフォンちゃん・・・そんなに苦しいのに・・・私の事・・・」


 祈里「・・・ありがとう」


 シフォンは片言ながら、自分は大丈夫だと祈里に話しかける。それを見て祈里は愛おしくなりシフォンを抱きしめた。
 するとシフォンの額のクローバーが黄色く光りだし、祈里のリンクルンの画面も光り始めた。

 
 
 タルト「な、何やぁー!?」



 祈里「はっ・・・!?」


 シフォン「プリップー!」


 シフォンはいつもの元気な声を出すと、リンクルンから出た光からピックルンのキルンが現れた。

 
  
 祈里「ピックルン・・・!」

 


 「フーシチョォー!!」


 マリカ「ぐっ!」


 ピーチ「『プリキュア!ラブサンシャイン!』」


 ナケワメーケは翼の刃物の様になっている羽を飛ばす。マリカは屈んだ状態でソニックアローのエネルギーの矢で、ピーチは浄化光線で羽を撃ち落した。
 しかし、ナケワメーケの追撃の小型ミサイルが飛んでくる。それをマリカは見逃さず力を振り絞って立ち上がるとソニックアローを構え、ゲネシスドライバーのシーボルコンプレッサーを押し込んだ。


 『ピーチエナジースカッシュ』


 マリカ「ァアアッ!!」


 マリカはソニックアローのを振るい、エネルギーを貯めたソニックアローから桃色の斬撃を飛ばして小型ミサイルを切り裂いた。
 真っ二つになった小型ミサイルはマリカの横を通り過ぎ、爆発を起こす。爆発した地点には小規模なクレーターが出来ていた。

  
 マリカ「っ・・・」


 ピーチ「お姉ちゃん!」


 マリカは再び足が崩れ、その場に屈みこむ。ピーチは駆け寄って、肩に手を置く。


 サウラー「ふっふっふ、君達とのゲーム、楽しかったよ。そろそろゲームオーバーにしようか?」


 祈里「いいえ!まだよ!」


 サウラー「ん?」


 サウラーが止めをさそうとした、その時。祈里が現れた。


 祈里「終わりじゃない!私が終わらせない!」


 ピーチ・ベリー「ブッキー!」


 マリカ「祈里さん・・・」


 祈里「『チェインジ!プリキュア!ビーチアップ!』 


 パイン「イエローハートは祈りのしるし!キュアパイン!」


 サウラー「ふっふっふっ、一人増えたからって状況は変わらない。行けっ!」

今日はここまで


 「フゥーシチョォーッ!」


 パイン「ハァアアアアーーーッ!!」


 パインは斜面を走り、高く飛び上がると両足のキックをナケワメーケの足に見舞う。ナケワメーケは衝撃でよえろめき、パインは追撃しようと宙を舞って一回転し、再びキックを放とうとする。
 しかし、ナケワメーケは態勢を持ち直すや否や、羽の内側をパインに向けて内臓されている巨大な扇風機を回転させ竜巻を起こした。


 パイン「キャァァアアアアアッ!」


 パインは竜巻に飲み込まれ、吹き飛ばされる。その衝撃で腰に掛けていたポーチの中からリンクルンが飛び出してしまった。


 ピーチ・ベリー・マリカ「パイン!/パインさん!」


 パインは斜面に叩きつけられ、頭を打つ。その瞬間意識が飛びそうになり、目が朦朧とする。
 ズルズルと斜面に背中を付けてその場に崩れ、パインの目の前に小石を擦る様にリンクルンが転がり落ちてきた。
 ナケワメーケはパインに迫り、嘴を高速回転させ始める。 

 
 「フーシチョォオオーーッ!!」


 パイン「はっ・・・!?」


 ナケワメーケは高速回転する嘴をパイン目掛けて振り落す。
 ピーチ達は思わず目を強く瞑った。しかし、その直後に金属と金属がぶつかるような音が辺りに響く。
 ピーチは恐る恐る目をゆっくりと開き、その光景を目に映す。


 「マジマジィーッ」

 
 
 ピーチ「あ、アルマジロ、ちゃんっ!?」


 
 ピーチの声にベリーとマリカは、目を開いてその光景を見て驚いた。
 ピーチもといラブの家に置いてきた筈の、紫色のアルマジロがナケワメーケの嘴を自身の体を丸くして硬い甲羅でパインに当る直前で守っていたのだ。
 それにはサウラーも驚き、目を見開く。

 
 「マジマジーッ!」


 「フシチョォーーッ!?」


 紫色のアルマジロは地面に落ちると、丸くなったままその場で回転しナケワメーケの頭に体当たりをする。ナケワメーケは衝撃で後ろに倒れる。
 土煙が舞い上がり、紫色のアルマジロはボールの様に数回弾んで地面に着地した。体を丸くさせるのを止めてパインに近寄り、パインの脛辺りを鼻で摩る。

 
 
 パイン「アルマジロちゃん・・・?」

 
 
 「マジマジ?」



 紫色のアルマジロの行動を、パインは不思議そうに見ているとアルマジロは顔を上に向けてパインの顔を見る。
 パインはその行動の意味がすぐにはわからなかったが、少し考えて行動の意味がわかった


 パイン「もしかして・・・心配してくれてるの・・・?」


 「マジ~ッ」


 紫色のアルマジロは嬉しそうに尻尾を振って頷く。パインは嬉しさが込み上げてきて泣きそうになった時、キュア~っと後ろの方から聞き覚えのある声が聞こえた。
 振り返ると、斜面の上にタルトに背負わされているシフォンがいた。

 
 タルト「パインはん!」

 
 タルトは斜面を滑り降りて、パインの元へ近寄る。その間に、ナケワメーケは自力で起き上がっていた。
 紫色のアルマジロは再び自身の体を丸くさせてナケワメーケに転がって、向かって行く。


 シフォン「キュア、キュア~」


 パイン「シフォンちゃん・・・?」


 シフォンは手を差し伸ばしてパインに触れようとする。パインはそれに気づくとパインの小さな手を両手で優しく包み込む。
 

 シフォン「キュア・・・いのり、がんばれ!」


 パイン「シフォンちゃん・・・っ」


 シフォンはパインに握り返す様に叫ぶ。パインは心打たれて、目を瞑り覚悟を決めた表情で立ち上がろうとする。
 膝が笑って足が一度、崩れそうになるが歯を食いしばって足腰に力を入れる。
 ナケワメーケは足元を転がる紫色のアルマジロを踏み潰そうと足を振り上げては落とす攻撃を繰り返していた。

 
 パイン「私・・・負けない・・・負けないわあっ!」


 パインは立ち上がって叫ぶと、リンクルンの画面が眩しく黄色に輝き始めた。
 画面からキルンが飛び出して、パインの掌に乗る。

 
 
 サウラー「何っ・・・!?」



 パインの胸が大きく鼓動する。キルンを差し込みリンクルンを開く。
 画面を2本の指でスライドさせ、黄色い光と共にキュアスティックを召喚した。
 

 パイン「癒せ、祈りのハーモニー!キュアスティック・パインフルート!」


 パインはパインフルートをその名の通り、フルートの様に構える。

 
 マリカ「ピーチ、ベリー。行くわよ!」
 

 ピーチ「うんっ!」


 ベリー「オッケー」


 マリカの声に、ピーチとベリーは立ち上がって返事をする。マリカはシーボルコンプレッサーを掴むち押し込んで離した。
 シーボルコンプレッサーは液体を絞るような音を鳴らして、元の位置に戻る。


 『ピーチエナジースパーキング』


 音声が鳴ると同時にマリカと高く飛び上がる。ピーチとベリーも続いて高く飛び上がり、マリカは右足にエネルギーを纏わせナケワメーケに右足を突き出す。
 ピーチとベリーも左右の足を突き出した。ゆっくりと降下していき、ナケワメーケとの距離が近くなったところでピーチはアルマジロに向けて叫んだ

 
 ピーチ「アルマジロちゃん!」


 紫色のアルマジロはピーチの声に反応して、自分の方に飛んできているのに気づくとナケワメーケの振り落してきた足を避けて、軽く踏みつけてナケワメーケから離れた。


 マリカ「ハァァァアアアッ!!」 ピーチ「ヤァァァアアアッ!!」 ベリー「テヤァァアアアッ!!」


 三人は勇ましく叫んでナケワメーケの胴体と翼にキックを叩き込む。翼に内蔵されていた扇風機はキックの衝撃で煙を拭きながら破壊された。

 
 ピーチ「パイン!」


 ベリー「今よ!」

 
 3人は着地して、パインに呼びかける。パインはパインフルートの吹き口に唇を当てて、息を吹き、ドレミファソラシドと鳴らして8色の埋め込まれた球が吹き口の下から上に上るように光り、先端のダイヤ型のクリスタルが輝き始めた。


 パイン「悪いの悪いの飛んで行け!」


 パイン「『プリキュア!ヒーリング・プレアー」


 キュアスティックでダイヤの形を描き、黄色のダイヤ型の大きなエネルギー弾を発生させる。
 収まりきらなかったエネルギーが溢れ出てる


 パイン「フレーッシュ!』」

 
 キュアスティックをダイヤ型のエネルギー弾に向け、エネルギー弾をナケワメーケに放つ。
 ダイヤ型のエネルギー弾は凄まじい速さでナケワメーケに向かって行く。


 サウラー「ふんっ。無駄だと言うことがわからな」


 エネルギー弾はナケワメーケに直撃し、巨大なハート型となって覆い込んだ後、縮小した。
 その周りには黄色のハートが幾つも囲う様に散らばる。
 

 パイン「ハァアァアアアアアッ!」


 「シュワ~シュワ~・・・」


 サウラー「何だとっ・・・!?倒さずに浄化したと言うのかっ!?」


 パインはキュアスティックの先端を円を描くように回す。黄色い光に包み込まれたナケワメーケは消滅し、ナケワメーケを生み出したダイヤも煙を出しながら消滅した。
 ナケワメーケは居たところには土で汚れたゲーム機が転がっていた。

 
 サウラー「また新たな力・・・プリキュア!」


 サウラーはその場から消える。


 4人は変身を解いて、シフォンが喋ることに驚いていた。
 シフォンはラブ、祈里、美希、湊の順に名前を言う。
 タルトによれば、キルンの互いの気持ちを伝え合うとする祈里とシフォンの思いが届いたからだと言う。


 湊「そうだわ。シフォンちゃん、どこが痛いか言えるかしら?」


 湊はシフォンに問うと、シフォンは少し苦しそうに答えた。


 シフォン「う○ち・・・」


 ラブ・美希・祈里・湊・タルト「へ?/はぇ?」


 シフォン「う○ち・・・でない・・・」


 あまりの衝撃と言うか呆気ない返事に、4人は目を丸くした。
 ラブは美希にあのう○ちの事かと聞き、美希は答えようとするが恥ずかしさで言う寸前で口に手を当てて言うの止める。
 そして再度美希はシフォンにそれが原因かと聞くと、シフォンは返事をした。
 ラブと美希、タルトはただの便秘だとわかり、安心して笑い始めた。湊はしばし放心状態だったが


 その後、祈里の手によってシフォンは晴れやかな笑顔で元気になっていた。


 ラブ「すっきりしてよかったね」


 祈里「便秘になった原因は夜更かしや、生活リズムの乱れ。あと運動不足が考えられるわ」


 祈里の便秘になった原因の説明を聞いて、湊はあることを思い出した。


 湊「あら・・・そういえば・・・タルト君、最近ゲームに夢中になって夜更かししてたわよね?」


 タルト「ふえっ!?」


 湊の指摘にタルトは目を丸くして、心臓が縮みあがる。
 それにラブも思い出して、最近のタルトを思い浮かべる。


 ラブ「シフォンも一緒に夜更かししてたいだし、お散歩もあまりしてなかったんじゃない」


 美希「そうなの?」


 タルト「あぇっ、あっ、あぁ、あの~、あわわわっ!?あたっ!」


 美希に攻められ、タルトは後退りするとベンチから落ちる。


 タルト「面目ない!つい夢中になってもうて~!」
 

 タルトはすぐさま起き上がると、後ろに下がって謝罪する。
 しかしラブと美希は怒って立ち上がった 


 ラブ「タルト!」


 美希「タルト!」


 タルト「ワイが悪かったんや~~!」


 タルトは自覚しながらも逃げ出した。その後をラブと美希は追いかけて、祈里と湊がベンチに座ったまま残った。
 その光景を見て、湊は吹き出してそれにつられて祈里とシフォンも笑う。

 
 「マジマジ」

 
 祈里「あっ。アルマジロちゃん、ありがとう。助けてくれて」


 湊「やっぱり、この子は普通のアルマジロじゃないみたいね・・・」


 祈里の足に擦り寄ってきたアルマジロの頭を祈里は撫でて、お礼を言う。湊は紫色のアルマジロを見ながら、呟いた


 「あっ、ガオマジロ!」


 祈里・湊「えっ?」


 右から声が聞こえて、その方を見るとそこに居たのは昨日の晩に祈里と出会った若い青年の獣医だった。
 青年に「ガオマジロ」と呼ばれた紫色のアルマジロは嬉しそうに近寄って、足に擦り寄る。

つづきがきたーーーーー。


 祈里「あ、あなたは・・・」


 「君達が、ガオマジロを見つけてくれたのか?」


 湊「・・・質問を質問で返すのは失礼だと思うけど、そのアルマジロは・・・あなたが飼い主なの?」


 青年はガオマジロを抱き上げて、顎の下を撫でてやる。ガオマジロは気持ちよさそうに尻尾を振っていた。
 湊は少し警戒をしながら、青年に聞く。


 「ん~・・・飼い主ってわけじゃないけど、仲間だ。一緒に戦ってくれた、な・・・」


 青年はガオマジロを見ながら、答えて少し悲しげに眼を細めてガオマジロの頭を撫でる。


 湊「・・・貴方、別の世界から来たのね?」


 「えっ・・・。何でわかったんだ?」


 青年は湊の言ったことを否定せず、あっさりと認める。それに祈里は驚いて、口を開いたまま聞こうにも聞けずにいた。


 湊「・・・話せば長くなるけど、私も別の世界から来た人間なのよ」


 「そうなのか・・・まあ、俺はもう自分の世界へ帰るよ。ガオマジロも見つかったことだし」


 ガオマジロ「マジマジッ」


 「ドーナツが美味しかった?そっか、よかったな」


 青年はガオマジロの鳴き声を聞いて、口に出して言うと微笑んで頭を撫でる。


 祈里「すごぉ~い・・・本当に話せるんですね」


 「ああ。そういえば、まだ名前言ってなかったな」


 祈里「あっ、私は山吹祈里です」


 湊「湊耀子よ・・・」


 獅子「俺は獅子走。ガオマジロを見つけてくれてありがとうな」


 そういうと獅子走と名乗った青年は踵を返して、そのままどこかへ去ってしまった。
 

 湊「・・・私や、手塚君の他にも・・・居るみたいね」


 湊は今起こっていることは何かの前兆ではないかと薄々、気づき始めていた。



 サウラーはプリキュアとアーマードライダーに敗れたが、いづれチャンスはあるとそう言って扉を開けた。そこでイースがウエスターを押し倒している図が目に映った。手にはカオルちゃんが作ったドーナツを持っていて、どうやら取り合っている内に今の図になっているのだと思われる。
 サウラーはさっきまでプリキュアとアーマードライダーと戦っていた自分と今の二人の状況を見て、何やら怒りが頂点に達したらしくその日の夜まで二人をねちっこく説教していたという話は、また今度。

>>374 大変遅れてもうしわけございません!

今日はここまでにします。


 西「う~む・・・プリキュアの弱点は何なんだ・・・」


 西は公園の原っぱに設置された木のベンチに腕を組んで座り、プリキュアの弱点について考えていた。無論マリカについては置いといて。
 原っぱでは子供たちが元気に駆け回り、その様子を親が微笑ましそうに見ていた。今日は青空が広がって、雲が点々とあるだけで心地よい風も吹いている最良の日和だ。
 しかしそんな事は西にとって今はどうでもよく、今置かれている現状に深刻に悩んでいるからだ
   

 西「やはりまたイース達の手を借りるしか・・・いやっ!そんな事をしてはいつまで経っても結果は同じだ!自分の力でどうにかせねば!」


 西「・・・でもなぁ、向こうにはアーマードライダーもいるわけだし・・・」


 西は一度立ち上がって自信を震いあがらせるが、脳裏にアーマードライダーの姿が過りすぐに冷めてしまう。
 肩を落として、首を下に向けていると旋毛の辺りに何か、変な感触に気づき顔を上げる。

 
 「それっ!」 

 
 西「むわっ!?」


 顔を上げた途端、顔に何かを被らされ視界が白い網目に遮られる。西は何事かと声を出そうにも突然の事に混乱してしまい、どうしていいのかわからなくなる。
 西が混乱していると、頭から被らされていた物が離される。西はそれに気づくと、改めて何が起こったのか状況を掴もうとした。
 目の前にいるのは二人の少年。手には棒状の物に先端に白く丸いものがついている物を持って、肩には黄緑色でプラスチックのカゴを掛けている。
 西は自分の顔に被せた物を持っている少年に声をかけようとした時、少年は突然お礼を言った。


 「お兄さんありがとう!」


 西「へ?」


 西は拍子抜けして、目を点にする。
 少年の先ほどの行動は西に対するイタズラかと思っていたが、そうではないらしく二人の少年は笑顔で西に向かい合っている。


 「ほらっ、お兄さんのおかげで捕まえれたんだよ!」


 少年の掌には小さなてんとう虫がチョコチョコと歩いている。西はそのてんとう虫を見ながら、少年に聞く。

 
 西「・・・えっと・・・何をしていたんだ?」


 「何って、虫捕りだよ。この網で虫を捕まえるんだ」


 少年は手に持っている網を差しながら、西に説明する。西にとっては虫捕りなどしたことがないので、何か無性に興味が湧き始めた。


 西「ほお・・・面白そうだな、俺もやってみたいな」


 「いいよ!はいっ、僕は結構捕まえたから、網貸してあげるね」


 西「おっ、それは助かる。よしっ、捕まえるぞ~!」


 西は立ち上がって、少年から網を受け取ると原っぱを歩き出す。少年たちは西の後を追いかけながら、自分達も虫捕りを始めた。

 数十分後には、西は蝶やコガネムシ等様々な種類の虫を捕まえ、さらにはハエまでも捕まえた。一度ハチも捕まえようとしていたが、少年たちの必死の説得によって捕まえるのは余儀なくされた。 
 

 西「いや~~!楽しかったな~!」


 「お兄さんすごいね!こんなにいっぱい捕まえるなんて!」


 西「ふふーんっ、これくらい朝飯前だっ!はっはっはっはっ!」


 少年たちは西の捕まえた虫の数に、歓喜の声を上げて褒め称える。西はそれに調子に乗り、ベンチの上に乗って高笑いをする。


 西「しかし、こんなに沢山捕まえても・・・何だか、こいつらが可哀そうに見えるな・・・」


 西はしばらく虫かごの中にいる、自分が捕まえた虫を見ていると段々虫たちが悲しんでいるように見え始めた。


 「そうだね・・・じゃあ自然に帰してあげようか。その方が虫さん達にも良いかもしれないしね」


 西「ああ。そうしよう」


 少年の意見に西は同意して、虫カゴの蓋を開ける。虫たちは一斉にカゴの中から出て出て行き、自分達の住処へと帰って行く。
 それを見て西は、ふと心が温かくなるのを感じた。今まで感じたことのない感情に少し戸惑っていると、ふとカゴの中にまだ一匹だけ虫が残っているのに気付いた。
 カゴの隙間に足が挟まってしまったのかと西は思い中を覗く。しかしその虫は特に暴れてもなく西の考えている事とは違うようだった。
 西はカゴを少し強めに振って、掌にその虫を乗せる。虫は転がって出て来ると、ゆっくり態勢を直して起き上がる。
 

 西「これは・・・何と言う虫だ?」


 「ん~~・・・何だろう?トノサマバッタみたいだけど・・・知ってる?」


 「ううん。初めて見たよ」


 少年たちはその虫はバッタだと言う事はわかるのだが、見たこともないバッタだと言った。
 西の掌に乗っているバッタは、黒い体に赤い目をしている何とも不思議な姿をしている。
 バッタは西の掌に乗ったまま、逃げようともせずただ乗ってじっとしていた。


 西「バッタか・・・。因みに聞くがトノサマとはどういう意味だ?」


 「お兄さん、社会の勉強ちゃんと習ってないの?大人なのに」


 西は少年に素っ気ない表情で聞くと、少年は少し呆れたように西を見る。西は少し「えっ」と顔を引きつらせて焦る。


 「トノサマって言うのは、昔日本ではお城に住んでた偉い人の事なんだよ」


 西「な、何だと!?じゃ、じゃあこのバッタも偉いのか!?」


 西は掌に乗っている黒く赤い目のバッタを見る。確かに顔を正面からよく見ると、ちょっと偉そうな細面をしている様にも見える


 「違うと思うけど・・・そうなのかな?」


 「わかんない・・・。お兄さんそのバッタどうするの?」


 西「いや、こうしていても逃げないんだ・・・」

 
 少年は黒く赤い目のバッタをどうするのか西に聞くと、西はそのバッタを逃がそうとしているのだが一向にバッタ動こうともせずじっとしている。


 「もしかしてお兄さんに飼ってもらいたいんじゃないのかな?」

 
 「あっ、そうかもしれないね!」


 西「か、飼う・・・?虫をか?」


 西は飼うと言えばペットの犬や猫ぐらいかと思ったのだが今虫も飼えるという事実に驚いていた。
 しばらく悩んだ末、西は黒く赤い目のバッタを飼うことにした。これほどまで逃げないのは何かあるのだろうと思い、少し期待しているからだ。
 少年は肩から虫かごを降ろして、西に渡す。西は虫かごを受け取り、後で必ず返すと約束してバッタを虫かごに入れる。

 
 「飼うんなら、名前つけてあげないと」


 西「名前か・・・うーむ・・・」


 西はバッタにどんな名前を付ければいいのか悩んだ。トノサマバッタと言う名前のバッタで、殿様とは偉い人の事、その言葉で色々と考えある名前が思い浮かんだ。


 西「殿様と言えば偉い、つまり・・・偉い人には敬意を払わなければならない!」


 「うん。そうだね・・・それがどうかしたの?」


 西「決めたぞぉーっ!このバッタの名前は・・・「バッタさん」だ!」


 西は虫かごを高々と太陽に向けて掲げる。少年たちは目をパチクリとさせて顔を見合わせる。


 「バッタ、さん・・・?」


 西「ああ。殿様は偉いから、様が付くんだ。さすがに俺も虫相手に「様」とは呼びたくはないから、せめて「さん」ぐらいまでにしようと思ってな」


 「なーるほどーっ」


 「でもカッコイイね!バッタさんって」


 「うん!カッコイイ」


 西「そうだろう!?はっはっはっ!よろしくな!バッタさん!」


 少年たちは西のネーミングセンスに何となくそう思ったのかそのバッタの名前を即座に認める。 
 西は再びベンチに上がって、高笑いをした後カゴの中にいるバッタさんに笑顔で呼びかける。
 その時、西は気づかなかったがバッタさんの目が一瞬だけ赤く輝いた。


 その後少年たちと別れた西は、公園を散歩していた。元々この公園に来た目的は、プリキュアの弱点を考えるためだったのだがいつの間にか虫捕りで時間を潰してしまっただけになった


 西「まぁ、戻るとするか・・・。・・・むっ?」


 西は公園の向こう側に見知れた3人の姿を見て、一度進んだところから滑るように戻ってきた。
 

 西「あ、アイツらは・・・!?」


 
 ラブ「考えてみると、あたしたちがピックルンと出会ったのって、皆四ツ葉町の近くだよね」


 ラブはカオルちゃんの作ったドーナツを空に掲げて美希と祈里に聞く。ラブとピルンが出会ったのはイベント会場、美希とブルンはファミレス、祈里とキルンは川沿いの土手だと言う。
 何故この会話が始まったのかと言うと、それはシフォンのある一言から始まったのだ。
 少しだけ喋れるようになったシフォンが3人のパートナーとなっているピックルンとは他のピックルンの名前を言ったことからだ。

 
 ラブ「四つ目のピックルンも、四ツ葉町からあまり遠くない所にいるかも」


 美希「そして、そのピックルンの傍には・・・」


 祈里「きっと四人目のプリキュアがいるっ」


 3人は4つ目のピックルンを見つければ、4人目のプリキュアがいると推測してベンチから立ち上がって探し始めた。ラブは手に持っていたドーナツを一口で食べた。
 湊はカオルちゃんと話していて、3人がどこかへ行こうとしているのに気付いたものの特に気にせず再びカオルちゃんと談笑を始めた。


 西「4人目のプリキュア・・・だとっ・・・!?」


 3人が座っていたベンチの後ろで茶色いタイツ服を着ていた西が片足で回転しながら、蟀谷に冷や汗を一筋流した
 肩にはバッタさんが入っている、少年から一時貸してもらっている虫かごを掛けている。


 西「まさか・・・まだプリキュアが居ると言うのか・・・」


 西「咄嗟に木に化けて盗み聞きしたが・・・とんでもないことを聞いてしまったようだな・・・」


 カオルちゃん「お兄ちゃん」


 西「へ?」


 西は4人目のプリキュアという言葉に不安な気持ちが募り始めていると、カオルちゃんが話しかけてきた。


 カオルちゃん「何か知らないけど、大変そうだね。よかったら、これ食べなよ」


 西「・・・(うっそ!バレてたぁっ!?)」


 カオルちゃんはベンチに座って隣に置いていたドーナツの入っている紙袋を西に差し出す。それに西は、紙袋を渡してきたことに驚かず自分自身の完璧だと思っていた変装が見破られていたことに驚く。
 するとウェルカムボードにチョークで今日のイチオシメニューを書き終えた湊がカオルちゃんに知らせようと、近づいてきた。


 湊「カオルちゃん、書き終わりましたよ。・・・その人は・・・?」


 西「(げっ!?)」


 湊はカオルの隣後ろにいる西に気付く。西も湊の顔を見た途端、硬直して手に持ていた木の枝を落とした。


 カオルちゃん「あぁ、よくドーナツを買いに来てくれるお兄ちゃんだよ。色々と大変そうだけど、頑張り屋さんでね」


 湊「そうなんですか。初めまして湊耀子と申しまして、最近カオルズドーナツカフェで働き始めた者です」


 湊は西が常連客だと思い、自己紹介をする。それに西は呆けて、目を点にする。

 人間体の時の西は髪の色が青緑でなく、派手な衣装を着ていなかったため今戦っている敵のウエスターだとはわからなかったようだ。 
 

 西「あ、あ、あ、そ、そうなんですか~!あははは!ではっ俺はちょっと急用を思い出したんで、さよならっ!」


 湊「?」 


 西は湊が自分の正体がバレていないとわかると、早口で言い訳を言うと即座にその場から逃げ出した。手にはしっかりとカオルちゃんから貰ったドーナツの入った紙袋を握って。

 
 
 カオルちゃん「きっとお仕事の用事が入ってたんじゃないのかな?」



 湊「そうかもしれませんね」


 カオルちゃん「じゃっ、もう一働き頑張ろうっか」

 
 
 湊「はい」



 カオルちゃんと湊は店を再開しようと、車に戻っていった。


 イース「よひんへのぷりふあ?」


 サウラー「イース、口に咥えながら喋るのはやめなよ。床に食べカスが落ちるからね」


 イース「んっ・・・」


 ウエスターからお裾分けしてもらったカオルちゃんのドーナツを咥えて喋っているのにサウラーは注意をする。
 イースはサウラーの言ったことを素直に聞いて、一口食べてドーナツを手に持って口から離す。離す際にも片手を口の下に当てて食べカスが落ちない様にしていた。

 
 
 サウラー「それで、それがどうしたと言うんだい?」



 ウエスター「わからんのか!?今アーマードライダーも加わっているプリキュアにもう一人加わるんだぞ!?」


 サウラーは一口食べたドーナツ持っている手を持ち上げて、ウエスターに4人目のプリキュアがどうかしたのかを聞く。
 ウエスターは両手で握り拳を作ってテーブルに強く押し込むようにして、歯軋りをしながら答える。テーブルの上には、先ほどまでバッタさんが入っていた虫かごとは違う種類のカゴが置かれており、その中にバッタさんが居た。
 あの後、虫かごは綺麗に洗ってきちんと少年に手渡したようである。


 サウラー「で?」


 ウエスター「考えてもみろ。今我々とプリキュア、それにアーマードライダーで3対4。それに一人加われば3対5で、今の時点で不利なのにもっと我々にとって最悪な状況に置かれるんだぞ!?」


 イース「別にいいじゃない。一人か二人増えても、どうせこれがあるんだし」


 そう言ってイースはメビウスから送られた試作品と呼ばれているダイヤをウエスターに見せる。イースの持っているダイヤにはサウラーの「O」とは違い、「D」と描かれている。
 しかし、ウエスターは反論する。


 ウエスター「俺が言っているのはチーム戦になった時、不利になると言ってるんだ!」


 イース「チーム?貴方まさか、私達がチームとでも思ってるの?よひてよ、むひずがふぁひるわ」


 ウエスター「何て?」


 サウラー「よしてよ、虫唾が走るわだってさ」


 ウエスター「じゃあ今食ったドーナツ返せ!すぐ返せ!後頬張りながら喋るな!」


 イースはウエスターに言われて頬張っているドーナツを急いで咀嚼し、無理矢理飲み込む。少し咳き込むが、胸倉辺りを手で叩いて詰まり掛けたドーナツを食道に流し込み大きく息を吸ってため息をつく。
 それにはウエスターは「食い意地の張った奴め・・・」と口を引きつらせ、サウラーは特に気にせず手に残ったドーナツの欠けらを口の中に放り込んだ。
 

 イース「チームだチームワークだ何て言うのは自分一人の力に自信のない、腰抜けの言い訳よ」


 ウエスター「んだとぉ~!?」


 イース「で・も~。今までプリキュア共に邪魔されて、FUKOのゲージが思う様に貯まらないのも事実ね」


 サウラー「悪い芽は早めに摘んでおく事に越したことはないってことかな」


 ウエスター「ぐぬぬ~!結局そうなるんじゃないかーっ!」


 イースとサウラーはウエスターの意見に何のかんの言ってコケにした挙句、結局「プリキュアを倒すために、今日だけは3人で出向く」と言った感じでチーム戦に賛成した。
 それにウエスターは悔しいのか後ろを向いている二人に向かって叫ぶ。


 サウラー「ところで・・・君の横においてあるその透明な箱は何なんだい?」


 ウエスター「む?あぁ、これか?バッタさんの家だ」


 サウラー「バッタ・・・」 イース「さん・・・?」


 ウエスターは先ほどとは打って変わって明るく笑いながら虫かごを自分の前に移動させて、二人に見せる。
 サウラーとイースは気になって、ウエスターの横に立つと腰を屈ませて虫かごの中を覗きこむ。
 中には当然、公園で捕まえた黒い体に赤い目をしたトノサマバッタと思われる不思議なバッタの、バッタさんが居る。
 バッタさんは飛び跳ねようともせず、時々触角を動かすだけで微動だにしない。


 サウラー「・・・何故虫を入れてるんだい?」


 ウエスター「決まってるだろう。バッタさんは今日からここで飼う事にするんだ」


 イース「飼うって・・・虫を?」


 サウラーの問いにウエスターは当然と言った様に答える。その答えにイースは不思議そうに聞く。
 ウエスターは少年たちに教えてもらう前までは、自分もイースと同じ反応だったのを知る筈もなく自慢げに答える。


 ウエスター「そうだ!犬や猫だけでなく、人間は虫も飼うらしいぞ」


 サウラー「別にどうでもいい事だね。今はそんな虫に構ってはいられないし」 


 ウエスター「何だと!?バッタさんは今日から俺たちの仲間なんだぞ!」


 サウラーは呆れたようにその場から離れて、出口に向かう。
 ウエスターはサウラーの言ったことに怒ったのか、バッタさんを虫かごから出して掌に乗せる。
 イースは掌に乗っているバッタさんをマジマジと覗き込むように見ていた。


 サウラー「何を馬鹿なことを。そんな虫に何が出来るんだい?プリキュアと戦わせることができるって言うのかい?」


 ウエスター「何を言ってるんだサウラー!バッタさんにプリキュアと戦わせるなど、断じてさせるわけないだろう!」


 サウラー「ふんっ。だったらそんな虫、さっさと捨ててきなよ」


 ウエスター「やだっ!それと虫って言うな!バッタさんだ!」


 サウラー「はいはい。イース、先に行ってようよ」


 イース「・・・ええ、そうするわ」


 サウラーはウエスターと話すのに飽きたようで、イースにプリキュアの所へ行こうと催促する。
 イースはバッタさんをジッと見ていたが、サウラーに呼ばれて我に戻ると一瞬だけバッタさんを見てサウラーの所へ歩き出す。
 

 ウエスター「ふーんだっ!お前たちにはバッタさんの可愛さがわかってないんだ!」


 サウラー「可愛さも何も、たかが虫じゃないか。可愛さなんて微塵もないよ」


 イース「・・・ないけど・・・」


 サウラー「イース、何か言ったかい?」


 イース「い、いいえ。さっ、行きましょっ」

 
 扉の向こうから聞こえたウエスターの声に、サウラーはやれやれと言ったように手を肩の上まで上げてため息と共にウエスターには聞こえないが答える。
 イースは小さく何かを呟き、サウラーは少しだけ聞こえたらしくイースに聞く。しかし、イースは答えようとはせず、そのまま階段を降りていく。
 サウラーはその様子に疑問を持ったが、気にしないでおこうと思いイースの後を追いかけた。


 ラブ達はアカルンを探すために、祈里がキルンの力で四ツ葉町に居る動物達からアカルンの居場所を聞きながら捜索をしていた。
 最初にペットショップに居たハムスターに聞いてみたが、その可愛さとは裏腹に関西弁でかなりキツイ事を言われて祈里はかなりショックを受けて可愛いと言っている二人に、ハムスターが何と言っているのかと聞かれて咄嗟に嘘をつく他にはなかった。
 次に路地の建物と建物の隙間に住んでいる燕に聞いてみることにした。
 燕はアカルンを見たことがあると、教えてくれる代わりに雛に餌を与える事を条件にした。美希は嫌とは言わず、寧ろ感激してラブに肩車をしてもらいながら餌の入った皿を手に雛たちに餌を与えようとしていた。
 美希に餌を貰えることに雛たちは喜んでいたが、その時の口調があまりにも親父くさくて祈里は美希に雛たちは何と言っているのか聞かれたが、とても自分の口からは言えないと耳を塞ぎながら美希に聞こえない様に言った。
 そして次に猫に聞いてみたところ、その猫の縄張りを狙っている黒猫を追い払ってくれればアカルンの居る場所を教えてくれると言い、ラブがその黒猫を追い払う役目をしていた。
 雲行きが怪しくなって風も吹き始めている道でラブと黒猫は対峙している。風が吹き止むと、ラブは猫の様な髭と鼻、口には牙が生えて4人目のプリキュアを見つけるためには「にゃむおえにゃい!」と宣言して黒猫に立ち向かった。
 しかし、黒猫は手強かったらしく顔中引っ掻かれた後で、傷だらけになり絆創膏を両頬と鼻背に貼ってベンチに座っていた。
 

 ラブ「あぁ~、やられたにゃ~、悔しいにゃ~負けたにゃ~・・・」


 美希「でもよく頑張ったよ」


 ラブ「ふにゃーっ!今度会ったらあいつをコテンパンにやっつけてやるにゃぁっ!」


 祈里「ラブちゃん、目的が変わってる」


 ラブは猫に負けた悔しさで、落ち込み美希に励まされたが余程悔しかったらしくジタバタと手を上下に振る。
 祈里はアカルンを探す目的だったはずが、いつの間にか猫を倒すことを誓ってしまっているラブに本来の目的を思い出させようとする。
 その時、雛に餌を与える事を条件にアカルンを教えてくれると言っていた燕が祈里の元にやってきた。祈里は掌に燕を乗せてキルンの力で会話する。
 

 祈里「うん・・・うん・・・え、ホント!?」


 ラブ「何だって?」

 
 祈里「この子、アカルンがいたって言ってる!」


 ラブ「えぇーーーーーっ!?」


 燕の言葉を祈里が訳して言ったことに、ラブは驚いて叫ぶ。
 


 西「まったく・・・あいつらと来たら・・・バッタさんに失礼だろうに。なぁ~?バッタさん」


 西はバッタさんが入っている虫かごを肩に掛けて、プリキュアを探していた。
 すれ違う人はあんなにもイケメンな男性が何故虫かごを肩に掛けて歩いているのかと疑問に思いながらもそのまま歩き過ぎて行く。

 西はバッタさんに話しかけるが、バッタさんは喋るわけもなく独り言を言っている様に見られた。 
 
 
 西「あ~ぁ、イースとサウラーはどこに行ったんだ・・・」



 西はプリキュアを探すついでに先に出て行ったイースとサウラーも探していた。
 町に出る時は人間体で歩かなければならないので、イースとサウラーは人間に化けて歩いているので、普段の姿とは違うため中々見つけられない。
 左右を見ながら、歩いているとベンチに座っているラブ達を先に見つけた。
 

 西「おっ、プリキュアどもだ!」


 西は木の影に隠れて、様子を窺う。キュアピーチは何故顔面が傷だらけなのかわからないが、キュアパインが何か言いそれにリアクションをとって立ち上がるとどこかへ向かった。
 西は中にいるバッタさんが揺れない様に大事に虫かごを手で支えて後を追う。
 そしてプリキュアの後を追いかけた末に、とあるゲームセンターに辿り着いた。
 

 西「ここは確かゲームセンターと言う場所だな・・・」


 西はここに4人目のプリキュアが居るのかと思い、プリキュアの3人が店内に入って行くのを見て出て来るのを待とうと向いの建物の壁に寄りかかって待ち伏せすることにした。

切りが良いので、今日はここまで


 南「ここにも居ないようだね」


 せつな「ええ・・・一体どこにいるのかしら」


 せつなと南は、西と同じくプリキュアを探していた。
 二人は周りにいる人間たちが幸せそうに笑っている中を歩いて、せつなは特にその場にいるのが嫌厭らしく早足で歩く。
 南はせつなが早足で歩くのに気づいていたが、大して相手のペースに合わせようとは思わず手をポケットに入れてゆっくり歩く。


 せつな「忌まわしいわね・・・」


 南「まぁ待つんだ。今は4人目のプリキュアを阻止しなければならないからね」

 
 せつな「言われなくても、わかってるわよ」


 せつなは誰に言うまでもなく放った一言に南は軽く宥めて、FUKOのゲージを貯めるのも大事だが先に4人目のプリキュアをプリキュアよりも先に見つけ出すのを優先させた。
 南の頼んでもない返事に、せつなは渋々と自分も答える。それに南は鼻で笑って、少し気を良くする


 南「それならいいけど」


 せつな「ところで、貴方メビウス様からいただいたあのダイヤを使ったの?」


 せつなは昨日のプリキュアとアーマードライダーとの戦いのときメビウスから授かったダイヤについて聞いてきた。
 自分も何れ使うのだから、使用した南に聞けば自分は失敗しないと思ったからであろう。 


 南「ああ・・・まぁ、もう少しの所だったけど試作段階の物だからね」


 せつな「そう・・・これを更にパワーアップさせた物が完成すれば・・・」


 南「間違いなく、プリキュアもアーマードライダーもイチコロさ・・・」


 せつなはポケットの中にあるダイヤを指先で触れながら期待が高める。これが完成形態になれば、忌々しいプリキュアとアーマードライダーを倒せる事を期待しているのだ。
 

 せつな「ん・・・?」


 ふとせつなは前を通り過ぎて行った人間に目が留まる。南は立ち止まったせつなにどうかしたのかと聞く前に、せつなが首を横に向けて見ている方を自分も向く。そこに居たのはマゼンタ色の髪をポニーテールにした、赤い服を着ている女性だった。
 せつなは確かプリキュア共にダンスを教えている人間だったことを思い出す。そしてある考えが浮かんできた


 せつな「サウラー、あの女を追うわよ」


 南「おや、何か手掛かりでもあるのかい?」


 せつな「多分ね。行くわよ」


 南にあの女性を追いかけるとせつなは指示を出すと、南はあの女性に何かあるのかと聞く。
 せつなははっきりしない答えをしたが、そのまま女性の後を追う。南は少し納得いかない顔をしたが、せつなの後を追う。


 しばらく歩いていると、人だかりでせつなと南は女性を見失ってしまった。
 一本道から、左右に分かれているTの字の道になっておりそのどちらかに女性は歩いて行ったのだと考えられる。


 せつな「・・・こっちに行くわ」


 南「じゃっ、僕は反対を選ぶよ」


 せつな「・・・勝手にしなさい・・・」


 せつなは右の道を選ぶと南は別の道を選ぶ。せつなはそれに不満があったが、自分の勘を信じて選んだ道を歩いて行った。


 西「ほ~ら、バッタさんご飯だぞ~」


 その頃、西はバッタさんと戯れていた。バッタさんにそこら辺に生えていた葉っぱを指先で摘まんで掌に乗っているバッタさんの前に差し出す。
 バッタさんは西が摘み持っている葉っぱをじっと見ていると、今まであまり動かなかったバッタさんがついに動いた。食べているだけだが
 それを見て西は目を子供の様に輝かせて、喜ぶ。 


 西「おぉ~食べた~~!」 


 西は嬉しさのあまり手を少し動かす、するとバッタさんは葉っぱを離さない様に腕て掴んでくるではないか。
 それには西は可愛さのあまり悶える。バッタさんを乗せている手と葉っぱを持っている手は動かさずに体だけブリッジの様に反らして頭を地面につける
 ブリッジの姿勢のままでいると、プリキュア共が慌てて店から出て、赤い小さな妖精を追いかけていくのを目撃する。西は慌てて体の姿勢を戻すと、バッタさんを優しく虫かごの中に入れて食べかけの葉っぱも入れると紐を肩に掛けると追いかけた。
 

 ラブたちは狭い建物の間の路地を通ってアカルン行ったを追いかけ、その後ろを西も追いかける。
 今度は他所の人の家にある生垣を無理矢理潜って、四つ葉TVとDANCE STUDIOを通り過ぎるといつの間にか四ツ葉町公園に戻ってきていた。

 
 美希「え?四ツ葉町公園?」


 祈里「ねぇ、あの子誰か探してるんじゃないかしら?」


 ラブ「じゃあひょっとしてこの先に、四人目のプリキュアが居るの?」


 ラブ達がアカルンを追いかけている道のその右後ろで、段差になっている所を西は走ってラブ達を追いかけていると、何かの棒にぶつかって顔面を強打した。
 アカルンを追いかけていくと、突然アカルンが飛ぶスピードを速めて一人の人物の前に回り込んだ。
 ラブ達は足を止めて、その先に居る人物を見つめる。そしてその人物が、ラブ達の存在に気づいて振り返る。
 

 カオルちゃん「んあぁ、いらっしゃい」


 カオルちゃんだった。サングラスを掛けて無精髭を生やし、気軽に話しかけてくる優しいおじさん的な男のカオルちゃんで間違いなかった。
 ラブ達はしばし間を開けて、どこからか鶯の鳴き声が響き渡る。

 
 ラブ・美希・祈里「えぇぇ~~~!?」


 祈里「まさか、カオルちゃんが四人目!?」


 祈里の脳内にカオルちゃんがプリキュア(?)に変身した姿が浮かんで「揚げたてフレッシュ!」と名乗る。
 ラブは顎に指を当てて唸なりながらカオルちゃんを入れた自分達の集合図を思い浮かべる。
 シリーズで初となる男性プリキュアとの集合図を想像して、ラブは何となく良いと思ったらしく親指を立てて目を輝かせる。
   

 ラブ「おぉ!ありかも!」

 
 
 美希「ごめん・・・あたしちょっと考えさせて・・・」


 
 美希はラブと同じ想像をしたのか、あまりも浮いて見えて悩む。ラブは美希を説得させようとするが、美希はどうしても無理らしく同じくラブを説得させようとする。
 その様子をカオルちゃんは首を傾げてみていると、その間にアカルンはどこかへ飛んで行ってしまう。
 

 ミユキ「あら、皆」

 
 その時、ミユキが現れた。ラブ達はミユキの名前を呼ぶと、目の前に駆け寄る。
 何でも今日はテレビの収録やダンスのレッスンでくたびれたそうでカオルちゃんのドーナツを食べに来たそうだ。
 それを聞くと、ラブ達はミユキが4人目のプリキュアではないのかと推測した。
 車の中にいた湊は揚げたてのドーナツを敷紙を敷いた皿の上に乗せてカオルちゃんに渡す。カオルちゃんはドーナツを乗せた皿をミユキさんの座っているテーブルの上に置いた。


 カオルちゃん「はい、出来立てだよん」


 ミユキ「ありがとう」


 その時ラブ達はカオルちゃんが置いたドーナツの穴の中にアカルンが入っているのに気付いた。
 それにミユキは気づかず、雑誌を片手に持ってもう片方の手でドーナツを食べようとする。ラブ達はどうするのかと思ったその時。

 
 イース「そこまでね」


 ミユキ「えっ?」


 ミユキとラブ達の前に現れたのは、イースだった。先ほどまでせつなに化けていたイースはミユキをつけていたのだ。


 イース「きっとお前たち三人と関係の深い人間が4人目と睨んでいたわ。いつもダンスを教えてくれているこの女をつけていて正解だったわね」


 サウラー「ふんっ。お前の動きが止まったので来てみたら、ビンゴだね」


 イースの前にサウラーも現れた。別の道を歩いていたのだが、結局はイースと同じ道に来てしまったいたらしくミユキをつけているせつなの後を追いかけてきたようだ。


 西「や、やっと追いついた・・・ってあいつらもう来たのか!?」


 ラブ達を追いかけている途中に棒にぶつかって、遅れてしまった西がようやく3人の元に追いついた。しかし、一歩遅くイーストサウラーが先に来ていたので、西も急いで行こうとしたが体が本能なのか動かなくなる。
 その原因は西自身でも、わかっている。何故なら、プリキュアともう一人の女の所にアーマードライダーに変身する女も居たからだ。 


 西「ぐっ・・・アーマードライダーの女もすぐ傍に居るじゃないか・・・」


 肩に掛けている虫かごの紐を降ろすと、草陰に隠して立ち上がる。しかし、いざ行こうとするが足が地面に貼り付いたように動かない。
 西はどうしたものかと考え、ある答えが出た。あのアーマードライダーに変身する女がカオルちゃんの店で働いていると言う事は、今ここで出ると自分の正体がバレこれから常にカオルちゃんの店に行ってドーナツが買えなくなると考え付いたのだ。
 自分の体はアーマードライダーに恐れているのと同時に、人間体の自分の姿を見せればもうドーナツが食べれなくなってしまう恐怖も感じていたのだ。


 西「仕方がない、今ここでスイッチオーバーをすれば問題ないな・・・」


 西「スイッチオーバー!」


 そう言うと西は草陰に屈んだまま、バッタさんの入った虫かごの横で座ったまま軽く握った両拳を胸の前で合わせて、その拳を前後に擦り合わせた後、両腕を真横に広げて変身を完了する。


 ウエスター「行ってくるぞバッタさん!」


 ウエスターはバッタさんを見つめながら親指を立てて、その場から飛び上がった。
 

 ウエスター「ちょっと待った~~~!お前ら楽ばっかりしやがってぇ~!!」


 ウエスターは上空に飛び上がったまま下に居るイースとサウラーに大声で文句を言う。ラブ達5人はどこから声が聞こえなかったのか、わからなかったが、湊だけはわかりカウンターから上半身を飛び出して上空にいるウエスターを見る。
 イースとサウラーは既にわかっていたらしく、上空にいるウエスターをジト目で応える。


 イース「アンタが要領悪いのよ」


 ウエスター「ぐぬぅ~~!黙れーーっ!」

 
 イースに正論を言われてウエスターは一回転をすると、右手を振り落とすで要領で落下していく。その際に風を切る音が聞こえてようやくラブ達は気づき、空を見上げる。
 ミユキは落下してくるウエスターは自分の方に来ているのがわからず、そのまま立ち尽くす。 


 ミユキ「一体何なの!?」

 
 
 ウエスター「そいつを寄こせぇーーっ!」



 ミユキ「キャァアアアッ!!」


 ウエスターは右手をミユキの持っているドーナツに伸ばし、ミユキは思わず手で頭を守るようにする。


 湊「ハァアッッ!!」


 ウエスター「がふっ!」
 

 湊が車に設置されている窓口の上の棚を掴んだまま、足を折り畳んでからタイミングを合わせて窓口の外目掛けて足から飛び出す。
 ヒールを履いた足がジャストミートでウエスターのテンプルにキックが決まり、ウエスターは「あ~れ~」と叫びながら遠くへ吹っ飛ばされ星となった。
 イースとサウラーはその方向を見ながら、呆れた目でがっくりと首を落として大きなため息をつく。一方でラブ達は吹っ飛ばされたウエスターを見て開いた口が塞がらないと言った状態になっていた。

 ラブ「ミユキさん!」


 湊は横からの蹴りを西にお見舞いして着地すると同時にラブはミユキを自分達側に引っ張って出来るだけイースとサウラーから離す。腕を引っ張った際にミユキの手からドーナツが飛んでいき、その瞬間穴に入っていたアカルンがどこかへ飛んで行ってしまった。
 ドーナツはカオルちゃんが持っていた皿の上に乗り、粗末にならずに済んだ。
 

 ラブ「お姉ちゃん!カオルちゃんとミユキさんをお願い!」


 湊「わかったわ!行きましょう!ミユキさん、カオルちゃん!」


 ミユキ「ちょ、ちょっと!ラブちゃ~~~~ん!」


 カオルちゃん「いやぁ~、どこに連れて行かれちゃうんだろうなぁ~グハッ!」


 湊はミユキとカオルちゃんの手を掴むと、急いで安全な場所まで走って行った。
 

 イース「待ちなさいっ!」

  
 ラブ「行かせないっ!」


 イースとサウラーは湊達を追いかけようとしたが、ラブ達はリンクルンを構えて立ち塞がる。
 


 湊はミユキとカオルちゃんを近くの交番まで連れて来ていた。
 交番の前には警官が立っており、湊は交番に着くと二人の手を離して急いで警官に話しかける。

 
 
 湊「すみません!」



 「ど、どうかしたんですか?」


 警官は突然話しかけてきた湊に驚きつつも、問い返す。湊は説明するのも時間の無駄なので、手っ取り早く警官に用件を言う。


 湊「この人達の護衛をお願いします!私は行かないといけないのでっ!」


 「えっ、あっ!ちょっと!」


 ミユキ「み、湊さん!」


 警官はあまりにも訳も分からない事を言われて、湊に聞き直そうとするが湊はそのまま公園に向かおうとする。
 ミユキは湊の後を追いかけようとするが、湊は後ろを振り返って少し強めの眼差しでミユキを見る。それに気づいてミユキは足を止めた。


 湊「ミユキさん、絶対に大丈夫ですから。カオルちゃんと一緒に居てください」


 ミユキ「湊さん・・・」

 
 湊「ではっ・・・」


 湊はミユキを少しだけ安心させる言葉を言い残して、公園に向かう。ミユキは一瞬足を進めたがカオルちゃんが肩に手を置いて追いかけさせるのを止める。
 振り返ってミユキはカオルちゃんを見ると、カオルちゃんは首を横に振って、ニカッと大丈夫だよっと言った様に笑って見せた。
 ミユキは心配そうに公園に向かて行った湊の背中を曲がり角を曲がってしまう所まで見つめるだけしかできなかった。


 湊「変身っ!」 『ピーチエナジー』

  
 『ロック・オン』『ソーダ』


 『ピーチエナジーアームズ』


 湊は走りながらゲネシスドライバーを懐から取り出すと、周りに人を居ないかを気にしつつエナジーロックシードをゲネシスコアに固定してシーボルコンプレッサーを押し込んで離す。音声が鳴った後、桃の鎧が湊の頭に被されて展開し「マリカ」に変身した。
 変身した直後、マリカはロックシードホルダーからローズアタッカーのロックシードを引き抜いてリリーススイッチを押し、宙に向けて投げる。
 ロックシードは空中で展開していき、ローズアタッカーへと変形した。ローズアタッカーはゲネティックシグナルから発せられた湊の意思操作でエンジンが掛かってそのまま進み出す。
 マリカは飛び上がって一回転をすると、ローズアタッカーに跨りハンドルを捻ってアクセル全開にし、公園へ風の如くトップスピードで向かう。

 
 イース「タアッ!」


 ピーチ「キャァアアアアァアッ!」


 ピーチとイースは一騎打ちの戦いを繰り広げていた。ピーチは戦闘に慣れているイースに押されて、攻撃を軽々とかわされ踵落としを喰らい地面に叩きつけられる。
 ベリーとパインはサウラーと2対1で戦っているのだが、サウラーは二人の攻撃をモノともせずかわしながらの回し蹴りを放つ。二人は蹴り飛ばされて、地面に倒れる。
 

 イース「ふっふふふっ。もうおしまい?」


 サウラー「何と歯応えの無い・・・」


 ピーチ「くっ・・・ィヤアアァアアッ!!」


 ピーチは反撃をしようと仕掛けるが、イースが先読みをして蹴りのカウンターを放つ。ピーチは真正面から真面に受けてしまい、数メートルまで飛ばされる。
 ベリーとパインも反撃をしたが、サウラーの回し蹴りにやられてしまいピーチが蹴り飛ばされた地点にまで飛ばされ、落下する。
 

 ベリー「ダ、ダメだわ・・・」


 パイン「まるで歯が立たない・・・」


 前方と右側からイースとサウラーが勝利を確信したように不敵な笑みを浮かべながら歩いてくる。
 ベリーとパインはサウラーの強さに圧倒され、その場に座り込んだまま敗北と言う文字が頭に浮かんできた。
 しかし、ピーチだけは歯を食いしばって立ち上がる。


 ピーチ「大丈夫!三人で力を合わせれば、きっと勝てる!」


 ベリー・パイン「ピーチ・・・!」


 イース「ふふふっ、それは一人じゃ勝てないと白状したってことかしら?」


 マリカ「それは違うわね」


 イースはピーチの宣言した言葉を罵倒する様に言った時、後ろから声が聞こえた。
 振り返ると、ローズアタッカーを背にイースに近づいてくるマリカが居た。


 マリカ「強い相手を倒すために力を合わせる。当然の極意よ」


 ピーチ「お姉ちゃん!」 ベリー・パイン「マリカさん!」


 イース「お前がアーマードライダー、マリカ。キュアピーチの姉とか名乗ってるそうね」


 イースはマリカの正体を湊とわかっているため、人間体の時の自分の正体を悟られない様に初めて会った素振りをする。  
 マリカは近づきながら握り拳を作って凄まじいオーラを放ちながら、虎視眈眈とイースを睨む。それにイースは自分がマリカに睨まれているのに気づくと
、イースもマリカを組んでいた腕を降ろして睨み返す。


 マリカ「ええ、そうよ。ピーチは私の大事な妹よ」


 イース「ふんっ。血も繋がってもいない者同士のくせに・・・」


 マリカ「・・・それでも・・・姉の様に慕っているピーチは・・・私のたった一人の妹よ」


 イースはマリカに聞こえないぐらいの声量で呟いたのだが、マリカはステアリングアイで僅かにイースが動かした唇から読唇術の機能でイースの呟いた発言を読み取りモニターに文字を映し出す。それを見て、マリカはイースに
 イースは聞こえるはずはないと思っていたので、マリカが言った言葉に驚くと同時にマリカの自分では理解できない言い訳に似た物言いに怒りが胸の内から込み上げてくる。


 イース「ほざくのは・・・そこまでねっ!」


 イースはマリカに向かって通常の人間ではありえないスピードで飛び上がり、利き腕の肘を後ろに曲げる。 
 マリカは右腕を前に突き出して掌を広げたまま軽く親指と薬指と小指を曲げ残り2本の指は伸ばしたまま、左腕を鎖骨の前に置き、左の掌も右掌と同じ様にして攻撃と防御の為の両方を使える構えを取る。
 イースは目の前まで来ると腕を突き出して、殴りかかるがマリカはそれを腰を反らしてかわし攻撃の構えの手で叩き落とす。

 
 イース「くっ!」


 イースはかわされた拳に構わず、足を地面に叩きつけるように落とし付けると腰のバネを活かした肘でマリカの顔を狙う。マリカは防御の構えを取っている左手で肘を受け止める。若干の痛みが掌に響くが、マリカは仮面の奥では顔色一つ変えなかった。
 マリカは掴んでいる肘を離して、後ろに退がり距離を取る。イースは離された瞬間にマリカと同様、後退する。


 イース「(中々やるわね・・・)」


 マリカ「(洗礼された動き、かなり鍛え上げられているわ・・・)」


 マリカとイースはお互い警戒して睨み合っていると、痺れを切らして先にイースが動いた。
 先程の不意打ちは通用しない相手だとわかると、真正面からの接近戦を挑むつもりだ。


 イース「ハァッ!」


 マリカ「フッ・・!」


 マリカの前まで来ると左足を軸にした回し蹴りを放ち、かわされるがイースは不敵に笑みを浮かべ隙を生じさせない後ろ回し蹴りのコンビネーションを見せる。
 マリカは後ろ回し蹴りを右手で防ぎ、押し退け仕返しと言わんばかりの回し蹴りを繰り出す。イースは反射的に腰を反らしかわす。
 イースは右と左のパンチのラッシュを繰り出し、マリカを攻め込む。マリカは目の前を飛び交う拳を避け、後ろに退がり始めた。
 

 イース「タァッ!」

 
 マリカ「ッ、フッ!」

 
 イース「ぐっ・・・!?」


 イースの拳がマリカの仮面を掠り、マリカは拳を払い退け中指の関節を突出させて親指で押さえながら突く一本拳でイースの鳩尾を貫く。
 人間と同様の急所である部分に衝撃が走り、イースは鳩尾を押さえ悶えながら退がった。
 サウラーは初めてイースが押し負けたのを見て驚く。しかし、まさかとイースが負ける様な事はないと思い込み腕を組んだまま助太刀しようとはしない。


 ピーチ「す、すごい・・・」


 ピーチはマリカとイースの戦闘を見て、先程まで苦戦していた相手を押しているマリカはやはり自分達よりも強いと心の奥で呟く。
 イースはじんわりと残る痛みを押し殺して再びパンチを繰り出す。しかしマリカはそのパンチをかわすと同時に腕を引っ張る。イースは咄嗟に足腰に力を入れて踏ん張るが、マリカ自身の体重とアーマーの加わった重量の差に負け引き寄せられる。


 マリカ「ハァッ!」


 イース「ぐあっ・・・!」


 マリカは引っ張った勢いに乗せてイースの右手の手首を左手で握ったまま、右手で肩を掴みイースを前方に投げた。見事に一本背負いが決まり、イースは背中から地面に叩きつけられる。
 イースは背中に走る痛みで動けなくなる。その間にマリカはゆっくりと余裕のある動きで背中にマウントさせていたソニックアローを手に取る。
 そして先端のアークリムをイースの胸に当てる。


 イース「っ・・・!」


 マリカ「・・・」


 イース「・・・ふっ、私の負けね。さっさとトドめを刺しなさいよ」


 イースは一度その場から逃げようとしたが体が麻痺して自由に動かず、相手は本気で自分を倒しにきているマリカだとわかっているので半分諦めた様に言う。
 マリカはそれを聞いて数秒間を開け、何かを考えていたのかわからながいがアークリムの刃を横から縦に変えゆっくりと持ち上げる。サウラーはそれを見てイースが本当にやられると感じ取りメビウスから貰った方ではない深緑のダイヤを投げつけ、マリカに向かって走る。
 しかし投げたダイヤをマリカは切り裂き、ソニックアローを強く握り振り上げる。イースは本当に終わったと確信して目を瞑る。


 振り上げたソニックアローを、マリカは振り落す。


 サウラーはこの距離からでは間に合わないと判断するが走るのをやめない、ピーチ達は思わず目を瞑る。

 そしてアークリムが何かを砕く音が響き渡った。 
 

 マリカ「・・・」


 その場に響く音の後に訪れる静寂。サウラーは立ち止まってた。そこで見た光景は自分では理解できないからだった。

 アークリムはイースの顔スレスレで舗装されたコンクリートの地面に突き刺さり、小さな罅割れが幾つもの不規則な栓を描いている。
 イースは瞑っていた目を開け、自分が生きていることに気付くと目を見開いてマリカを見る。マリカはソニックアローを軽く力を入れて地面からアークリムを引き抜く。
 アークリムにこびり付いていた破片がぽっかりとアークリムが突き刺さって空いた小さな穴の横に落ちる。


 イース「・・・。・・・何故・・・」


 イースはその一言だけしか言えなかった。何故自分にトドメを刺さなかったのか、何故敵である自分に情けをかけたのか、その考えで思考回路が混乱する。
 マリカはイースをじっと見つめ、答えることもなく後ろを振り返る。振り返った先に居るのはピーチ達だ。
 ピーチ達もその光景を見て、戸惑いの目を浮かばせる。
 

 『ロック・オフ』


 マリカはエナジーロックシードのレリーフを展開する前の状態に戻し、リリーススイッチを押しロックを解除する。そしてゲネシスコアから引き抜く。
 ピーチエナジーロックシードはゲネシスコアから外された事により、発光を徐々に弱めて自動的に機能が停止する。
 変身が解除されアーマーとスーツは光の分子となって消え、湊の姿が現れた。湊はそのままピーチ達の元へ歩き始めた。


 湊「貴女は惜しすぎる」


 イース「なっ・・・!?」


 唐突に湊が放った言葉にイースは驚く。イースは力を入れて重い体を無理にでも起き上がらせ、湊に聞き返そうとする。
 しかし急に自分の体がふわっと宙を浮いている感覚に襲われ、言おうとした言葉が遮られる。


 サウラー「イースっ」


 イース「サウラーっ!?何をっ・・・!?」


 その感覚の正体はサウラーがイースを抱き抱えているからだった。いわゆるお姫様抱っこである。


 サウラー「あの赤いのを見失ったんだっ。ここは引くぞ」


 イース「っ・・・勝負は預けたわ」


 湊「ええ。次に会うときは・・・楽しみにしてるわよ」


 サウラーはこれ以上あのアーマードライダーと戦ってもイースが勝てる見込みが無いと判断して、アカルンが居なければ意味はないと理由付け、撤退を余儀なくする。イースはサウラーの言った意味は自分を戦わせないための嘘だとすぐにわかったが、自分でも今戦っても勝てないとわかったいたのか素直にサウラーの撤退を呑む。
 イースが湊に向けて言った言葉に湊は、どこか楽しんでいる様な笑みを浮かべて応える。それにイースは悪寒を感じて、思わずサウラーの服を強く掴む。


 イースとサウラーを撤退させた後、ラブ達はカオルズドーナツカフェで湊がカオルちゃんとミユキを呼びに行っている間テーブルに座って待つことにしていた。
 ラブは緊張が解けたのか、テーブルに顎を乗せて疲れ切っていた。


 ラブ「アカルンどこ行っちゃったんだろう?」


 美希「きっとミユキさんと一緒なのよ」

 
 ラブは見失ったアカルンの事を気に掛けて、美希がどこか安全な場所にいるミユキと一緒に居るのだうと思いそれに応える。
 その時「ラブちゃん!」と遠くの方から心配そうな表情を浮かべながら走って向かってくるミユキと腕を大きく振ってミユキの横後ろを走るカオルちゃんの姿があった。
 その後ろから湊もついてきていた。


 ミユキ「美希ちゃん!祈里ちゃん!」


 ラブ・美希・祈里「ミユキさん!」


 ミユキ「大丈夫?湊さんからは3人とも無事って聞いたけど、心配で・・・」


 カオルちゃん「ね?おじさんの言った通りでしょ?グハッ」


 ミユキは3人が無事であるのを見て安堵の表所を浮かべる。カオルちゃんは初めからわかっていたのかはわからないがそう言った。
 湊もその場に着いた途端、3人はミユキの体をくまなく見始めてミユキは驚く。
 

 湊「何やってるのかしら?」


 ラブ「あれ~?」


 祈里「アカルンどこにもいない」


 湊が聞くとラブと祈里はお互い顔を見合わせて疑問を抱き、ラブ達は一度ミユキから離れてヒソヒソと小さな声で話始めた。
 話の内容は当然ミユキが4人目のプリキュアであると考えていた事なのだが、アカルンが居なければミユキが4人目のプリキュアとは断定出来ないため聞くこともできないと話した。
 ミユキは3人の様子を見て、不思議そうに見つめる。

 
 ミユキ「何コソコソと話してるの?」
 

 ラブ・美希・祈里「い、いえ!」


 湊「3人とも、ミユキさんもどこか怪我してないか気になっていたんですよ。きっと」


 ミユキ「あら、そうなの・・・ありがとう。ラブちゃん、美希ちゃん、祈里ちゃん」


 湊のフォローでミユキは自分を心配してくれていた3人にお礼を言う。ラブ達はもちろん心配はしていたのだが、そこまで深くは考えておらずミユキにお礼を言われて慌てて「いえいえ」と言う。
 その後ミユキの提案で臨時レッスンをすることになり、ラブ達は喜んでミユキがダンスを見ることにした。
 途中ミユキが湊のダンスをもう一度見たいと言い、湊は一瞬予想外な事に驚くが苦笑いで承知しヒップホップをして見せた。


 その頃占い館ではサウラーがイースをお姫様抱っこのまま帰還してきた。そしてイースを降ろす。
 イースはサウラーにお礼を言う間もなく、いつも3人が居る部屋に向かう。サウラーは一言ぐらい何か言ってほしいと思ったが今のイースには何を言っても無駄だと思いその後を追う。
 部屋の前に立ち、ドアを開けるとウエスターが椅子に座って、救急箱から傷薬を塗っていた。マリカと戦闘したイースよりもかなりひどい怪我をしているようだった。

 
 
 ウエスター「おぉ、おかえり」



 イース「・・・あっ?」
 

 サウラー「ん?・・・あっ」


 ウエスター「あっ・・・」


 イースはふと天井を見て何かに気付くと、つられてサウラーも上を見る。ウエスターは蟀谷に冷や汗を流して顔を引きつらせる。
 天井には大きな穴が空いており、それはウエスターが湊に蹴られ星になった後そのまま飛ばされここに落ちてきたのだと推測した。 
 その後、ウエスターは痛む怪我に耐えながら木材の板で壊れた屋根の修理を夜遅くまで続けるのであった。
 ちなみに屋根の修理をしている最中にバッタさんは、いつのまにか部屋のテーブルに置かれていた。ウエスターがイースに聞くが「勝手に戻ってきたんじゃない?」と適当に応えられて、ウエスターの疑問は深まるばかりだった。

一旦ここまで。書き溜めがすぐ出来るのでまた更新します


 手塚「・・・」


 晴天の中、一人道端に同等と胡坐をかいて座っている青年がいた。湊と同じく別世界からやってきた占い師、手塚海之だ。
 彼はいつも特定の場所で茣蓙を敷いてそこに座り客が来るまで待っている。
 場所は人通りの多い道や、この人通りの少ない公園に続く道など色々と場所を決めている。手塚の職業である占い師の仕事は収入は良い時は家賃を払ったりコーヒーを一服できる程の余裕が出来るが、さっぱりな時もあるため裕福な生活環境ができるとは言い辛い。
 そのため手塚が今住んでいる少し寂れたアパートの生活は今の彼にとっては丁度良いくらいの住み心地なのだ


 手塚「・・・今日はもう来そうにないか」


 そう呟くと、手塚は三角形に折った厚紙の札を手に取ろうとした。しかし、その時目の前を灰色の影が横切る。
 手塚は動きを止め、自分の勘違いだろうと自己暗示して横切った方を見る。そこに居たのは狼の着ぐるみを着ている人物が不審な動きでこそこそと歩いて行った。
 着ぐるみを来た人物は辺りを見渡しながら何かを探している素振りを見せる。


 手塚「・・・おい、あんた」


 「げっ!?な、何だよ!?今俺は超~~忙しいんだぞ!」


 手塚に呼ばれた着ぐるみを着た人物は背筋を真っ直ぐに伸ばして驚く。そしてすぐに後ろで座って自分をみている手塚に焦り混じりに手塚に言う。
 手塚はそんなことはお構いなしに、いつもの様にコインを3枚取り出して、ハンカチの上に置きコインを見つめた。
 着ぐるみの人物は被っている狼の頭を傾げて、気になったのか近寄って屈みその様子を窺う。
 手塚はしばらくして、顔を上げる。着ぐるみを着た人物はそれに合わせて顔を上げる。


 手塚「あんた、今日は公園に行けばいいみたいだな」


 「はぁ~?何で公園なんかに行かないといけねぇーんだよ」

 
 手塚の唐突な言葉に着ぐるみを着た人物は狼の頭で顔はわからないが怪訝そうな表情が見て取れる。手塚はそれに構わず続ける。 


 手塚「名前は幸運だがあんたにとっては不幸な、クリーム色の悪魔が迫ってきている」


 「何だあそりゃ?」


 手塚「俺の占いは当たる。公園に行った方が身のためだ」


 「へっ!俺は占いなんて信じてないんだぞ」 「待ってよラッキー!」


 着ぐるみを着た人物は手塚に向かって不信感をぶつけようとすると、着ぐるみの人物が向かおうとしていた方向から少年の声が聞こえた。
 手塚と着ぐるみを着た人物は横を向く。


 「あぁ?・・・どわぁあああ~~~~っ!?」 


 「わわっ!?ど、どうしたの、狼さん?」


 「犬!犬犬犬~~~っ!犬は嫌ぁあ~~~~っ!!」


 少年の前にはクリーム色の大型犬であるゴールデンレトリバーが着ぐるみを着た人物に近寄ろうとする。すると着ぐるみを着た人物は悲鳴をわけのわからない上げながら、その場から一目散に逃げ出し途中、石に躓き転ぶが一瞬で立ち上がり逃げ出した。その方向は手塚が行った方がいいと言っていた公園に続く道だった。


 「どうしたんだろ、あの狼さん・・・」


 手塚「俺の占いは当たるからな」


 手塚はそう言って茣蓙を巻いて脇に抱え歩き去って行った。立ち去る前に足元に押していた500円玉を拾って言ったが、着ぐるみを着た人物が落とした物だったのだろうか。


 その頃、桃園家では美希が自分だけピックルンが現れないことに疑問を抱きその理由を考えていると、既にピックルンが現れているラブと祈里はシフォンがきっかけで現れていた気がしたことに気付く。
 それに祈里も同意して、タルトも納得した。それに美希はシフォンのお世話係をすることに決めた。


 ラブ「美樹タン、シフォンのお世話係上手くいってるかなぁ?」

 
 湊「大丈夫よ。美希さんなら」


 ラブ「確かに美希タンは完璧だし・・・そうかもしれないね」

 
 テーブルの椅子に座って、ラブと祈里はカオルズドーナツカフェでピーチバナナドーナツを食べていた。ラブは美希のお世話について問いかけると、休憩中なのでラブの隣に座っている湊は大丈夫だと言い、ラブは納得して頷く。
 湊の発言は、美希の性格上目標の為なら決して努力を怠らないとわかって発言したのだ。

 
 
 祈里「あれ?美希ちゃん?」



 ラブと対面して座っている祈里がラブの後ろを指さす。ラブと湊は後ろを振り向くと、公園の入口前を美希が走り抜けていった。
 よく見るとカチューシャから髪の毛がはみ出て、後ろ髪も跳ねて乱れていた。


 ラブ「美希タンの髪、ぼさぼさだ」


 祈里「いつも身だしなみは完璧なのに・・・」


 湊「もかして・・・シフォンのお世話係・・・」


 ラブ・祈里「上手くいってないのねぇ・・・」


 ラブと祈里はため息をつく。一方で湊は少し心配になり、苦い顔をして後で美希の所に行こうと決めた。

 その頃、占い館では人間共を不幸にするためのアイデア探しに行っているウエスターがいない時を見計らってイースはこそこそとウエスターが使っている部屋に静かに入って行った。ドアをゆっくりと閉め、後ろを振り向く。
 その先に居るのは設置された小さな棚に置かれた虫かごの中にいるバッタさんだ。
 小さな棚は元々この部屋にはなかったのだが、昨日ウエスターがプリキュアに敗れて、とぼとぼ帰ってる途中ついでに買ってきた材料で作ったものである。
 

 イース「・・・」


 イースはバッタさんに近づき、設置されている棚の高さに目線を合わせるため屈む。そして相変わらず微動だにしないバッタさんをじっと見る。
 しばらくバッタさんを見ていると、次第にイースの目が垂れ下がり顔が綻ぶ。 


 イース「・・・可愛い」


 イースの目は完全に乙女の目となって、普段では絶対に見ることのできない表情をしている。
 実は最初バッタさんを見たときから、イースは愛嬌を感じていたのだ。
 イースは虫かごの蓋を開けると、人差し指を中に入れてバッタさんの顔の前でちょいちょいと曲げたりする。

 
 イース「おいで・・・」


 指の次は手を入れて、バッタさんを乗せようとする。するとバッタさんはぴょんっと飛びイースの掌に乗った。
 イースはそれに少し驚いて、腰が引けそうになるが何とか耐えそのまま手に乗っているバッタさんを顔の高さまで持ち上げる。
 バッタさんの目はイースと同じ、赤い目で窓から差す太陽の光を反射させている。イースは掌にあるものをバッタさんの目の前に置いた。


 イース「食べるかしら・・・」


 イースが置いたのは粉に近いぐらい小さなドーナツの欠片だった。イースの考えは、仲良くするには自分の好きな物をあげるといいと人間共の会話を聞いたためカオルちゃんのドーナツをあげたのだ。通常バッタは葉っぱしか食べない。
 のだが、何とバッタさんはドーナツの欠片に近づくと食べ始めたではないか。イースはそれを見て嬉しそうに笑って椅子に座りながら観察する。バッタさんはドーナツの欠片をまるで頬張るように小さな口で黙々と食べる。
 

 イース「バッタさん、ドーナツ気に入った?」


 イースは片手の指先でバッタさんの頭を撫でる。バッタさんは当然応えない。それでもイースは幸福感に浸る。
 その後バッタさんはイースがあげたドーナツの欠片を平らげ、再び動かなくなる。イースはそろそろウエスターが帰ってくると思い、面倒になる前にバッタさんを戻すことにした。
 虫かごの中にバッタさんを入れ、蓋を閉めるとドアに近づいて部屋から出ようとする。


 イース「じゃあねっ」


 イースはバッタさんに手を小さく振って、ウエスターの部屋から出て行った。


 その時、不思議なことが起こった


 美希は本屋さんで育児について詳しく書かれている本を読み、シフォンのお世話を完璧に熟そうと頑張っていた。
 その様子を近くを通りかかったあゆみに目撃され、美希の家である美容院の「BEAYTY SAION」で美希の母親、蒼野レミに知らされる。

 
 レミ「どういう事・・・」
 

 湊「すみません」


 レミ「あっ、いらっしゃいませ」


 レミが今朝も赤ちゃんが喜びそうな料理と言ってハンバーグを作っていた美希を思い出して、赤ちゃんと言う言葉に気になっている時、湊がやって来た。  美希がシフォンのお世話に苦戦していると思い、湊は様子を見に来たのだ。


 あゆみ「あらっ、耀子ちゃん」


 湊「あゆみさん」 


 レミ「耀子ちゃん?もしかして、最近一緒に暮らしてるって言ってた子?」


 あゆみ「ええ、耀子ちゃんも髪整えに来たの?」


 湊「いえ、美希さんに会いに来たんです」


 レミ「あら、ウチの美希に何か?」


 湊「いえ、大した用ではないのですけど、届け物がありまして」


 レミ「そうなの。そこの通路を進んで、ドアを開けて右側に階段があるからそこを上って行って。美希の部屋は一番奥のドアだからすぐわかると思うわ」


 湊「はい。失礼します」


 湊はレミに一礼をして、言われた通りに進んでいき階段を上がって「Miki」と書かれたプレートが掛けられたドアを見つけ、美希の部屋の前に立った。
 ドアをノックしようとすると、中から声が聞こえてきた。

 
 
 美希「ハァ~イ!シフォンちゃぁ~ん!美希タンでちゅよぉ~!」



 湊「あっ・・・(今入らない方がいいわね・・・)」


 湊は美希が中でシフォンを一所懸命にあやそうとしているのに察して、ノックをしようとした手を降ろす。
 しかし、部屋の中からは美希の必死の声だけが聞こえシフォンの声が聞こえない。そしてついにはラブを呼ぶ声が聞こえ始めた。

 
 湊「(だ、大丈夫よね・・・)」


 湊は初めの頃は育児はとても難しいと雑誌に書かれていたのを思い出し、自分を納得させる。次第に祈里も呼ぶ声が聞こえ、最後には自分の名前を呼ぶ声も聞こえてきた。
 湊は顔を引きつらせた次の瞬間、ガシャーンッ!と何かか崩れる音が聞こえ湊は慌ててドアを開けて部屋の中に入る。


 湊「美希さん!?シフォンちゃん!?」


 美希「み、湊さん・・・」


 部屋に入ると、部屋中におもちゃが散乱し、緑色のハートが描かれた肩ひも付きズボンを着て、首に赤色のスカーフを巻き髪型もストレートからツインテールに変えている美希と泣き叫んでいるシフォンがいた。


 湊「大丈夫、美希さん?何があったの・・・?」


 美希「えっと・・・色々とありまして」


 湊は美希に近寄って、部屋を見渡しながら美希に尋ねる。美希は頭をガクッと落とし、応える気になれなかった。
 シフォンは湊を見るや否や、腕の中に飛び込んできて再び泣き始める。


 美希「はぁ・・・本には子供と目線を合わせると良いって書いてあったのに・・・」


 湊「本の情報に頼りすぎるのもいけないのよ?」


 美希「そう・・・ですよね・・・」


 シフォンは湊に抱き締められ、少し機嫌を取り戻しているようだった。美希はこの後モデルの撮影があるため、撮影用の服に着替えていた。
 美希は本の通りにすればいいと思っていたが、湊にただ情報通りにすればいいものじゃないと少しキツ目に言われ落ち込む。
 

 湊「美希さん。これから撮影よね?シフォンちゃんは一旦私が預かっておきましょうか?」


 美希「・・・いえっ、大丈夫です。もう少し、頑張ってみます!」

 
 湊「そう?・・・それじゃあ頑張るのよ」


 美希「はいっ!」


 湊は撮影があると聞いていたため、シフォンを一度自分が預かっておこうと提案したが美希は自分の力でシフォンのお世話をしたいと言う思いからそれを丁寧に断る。
 湊は最初は不安だったが、美希の真剣な眼差しを見て本気でお世話を務めようとしているのがわかり任せることにした。
 シフォンを美希に預けようとしたが、シフォンはそれに気づくと湊の腕にしがみつく。


 シフォン「キュアァ~~~!ヨーコ!ヨーコ!」


 美希「シ、シフォン~・・・」


 美希はシフォンの必死な姿を見て心に何かが突き刺さった。湊は腕にしがみついてくるシフォンを撫でながら微笑む。


 湊「シフォンちゃん、美希さんはね、シフォンちゃんと仲良くなりたいから、一緒にいるのよ?」


 シフォン「プリ・・・」


 湊「ね?だから、良い子にしてるのよ?」


 シフォン「・・・プリップー・・・」


 シフォンは湊の顔を見て、美希の顔も見る、美希は不安そうに見つめる。シフォンは少し苦い顔をするが湊を見て頷いた。 
 湊はシフォンの頭を撫でて、美希にシフォンを抱き渡す。


 湊「ふふっ。じゃあ、美希さん頑張ってね?」

 
 美希「はいっ」


 湊は小さく手を振って、美希の部屋から出て行った。
 その後、美希は支度を整えてシフォンと一緒に撮影場所の公園に向かった。



 ウエスター「ただいまぁ!バッタさん!」


 その頃、占い館ではイースの予想通りバッタさんにドーナツをあげてから少ししてウエスターは帰ってきた。手には何かが入っている紙袋を持っている。
 ウエスターは帰ってくるなり虫かごを持つと部屋を出て、階段を降り外へ出る扉に向かおうとした。その際、偶然ドーナツを食べながら歩いていたイースとすれ違う。


 イース「ちょっとウエスター、バッタさn・・・バッタを持ってどこ行くのよっ」


 イースは口に入っていたドーナツを急いで飲み込み、バッタさんとは言わずバッタと言い直してウエスターに聞く。


 ウエスター「ちょっと散歩にな」


 ウエスターはそれだけ言うとウエスターはまるで学校から帰ってきてすぐ友達の家に遊びに行く子供の様に「行ってきまーす」と言って、どこかへ行ってしまった。
 イースはバッタさんとどこかへ行く、ウエスターに羨ましく思ったのか軽く膨れっ面になってドーナツを食べ気を落ち着かせようとした。


 「じゃあ今度はあっち向いて」


 美希は公園で撮影をしていた。いつもの様に自分の美を出すために、練習したポーズを取る。
 撮影をしているその横にある木の影でレミが口に手を当てて心配そうに美希を見つめていた。美希はいつものなら現場に来ないレミを見て、シフォンのお世話を何かと勘違いをしていると思った。
 カメラマンに注意され、慌ててカメラに目線を送る。その時、車の中に待たせているシフォンが浮遊しているのに気づく。
 するとワゴン車が、シフォンの力で風船の様に宙に浮く。


 美希「(ダ、ダメよフォンったら!)」


 「どうしたの美希ちゃん?何か気持ちノってないみただけど?」
 

 美希は驚きの表情になってしまい、カメラマンに再び注意され大丈夫だと言ったがカメラマンは少し休憩を取ろうと言い美希は申し訳なさそうに謝り、車に向かった。
 美希はシフォンに注意するが、シフォンの機嫌は治らずが美希が作ったおにぎりも食べようとはしなかった。美希は何とか機嫌を治してもらおうとしていると、来る前の前で心配していたレミが辛抱できなくなり、美希に詰め寄る。美希は何とか誤魔化したが、シフォンは居ない事に気づく。
 


 西「今日も良い天気だなぁ!バッタさん!」


 西はバッタさんを連れて初めてバッタさんと出会った公園に、散歩に来ている。
 寝転んでいるウエスターは隣に置いている虫かごの中に居るバッタさんを見る。するとある事に気付いた。
 

 西「・・・んん~っ?バッタさん・・・俺が居ない間に少し、大きくなっていないか?」


 西は顔を地面に付けて視線を横から見るようにする。
 よく見ると、最初に見たときは3cm程の大きさしかなかったバッタさんの体が、確かにいつの間にか2cm程大きくなっていた。


 西「まぁ、気にすることはないか。成長期とか言うものだろう」


 本来であればもっと疑問に思う事なのだが、西はよくわからないため虫も成長期で大きくなるのだと思い込んで納得する。
 寝転んだ状態から上半身だけを起こすと、持っていた紙袋の中から一冊の本を取り出した。その本は虫の生体図鑑だった。


 西はページを一気に捲って、買う前に見ていたバッタに関して載っているページを開く。


 西「ふむ・・・なるほど!バッタさんはメスなのか!」


 西はバッタさんを見ながら言う。


 西「本によると、メスの方がオスよりも明らかに体が大きく、腹部の先端を腹面から見た時に、中央に溝の様なものが見える方がメス・・・」


 西は摘まんでしまってはバッタさんが苦しいと思い、どうするかと考えた末ある方法を思いつく。虫かごを徐に顔の上に持ち上げると虫かごの底を覗き込むように見る。
 そしてバッタさんの腹の先端部分を見ようとする。


 西「ん~?どうなんだ」


 美希「すみませんっ!」


 西が危うくニチアサキッズタイムに出れなくなるような行為をしそうになった時、美希が西に話しかけてきた。
 美希は公園内でシフォンを探し回っているのだ。


 美希「あの、このくらいの大きさの白いぬいぐるみ見かけませんでしたっ!?」


 西「い、いえ、見かけませんでしたが・・・」


 美希「ありがとうございます・・・」 西「いえ・・・」


 西「・・・あれ?」


 美希は森の中に入ってシフォンを呼びかけながら探す。しかしシフォンからの返事は聞こえない。美希は草陰から抜け出て、自分が勝手にお世話係を始めたせいでシフォンは、自分が昔かくれんぼをしていた時に味わった、一人だけでずっと隠れていたの時の寂しさに遭っているのだと思い始める。
 その時、草陰からガサガサっと音が聞こえた。美希は足を止めて、音がした草をかき分ける。


 美希「シフォン!?」 「ぬぁぁっ!?」

 美希「え・・・?」


 「な、何だよビックリするじゃねぇか!」


 美希「あ、えっと、ごめんなさい・・・」


 草影に隠れていたのは、あの着ぐるみの人物だった。どうやら、あの後手塚の言う通りに公園に来ていたのだ。
 美希は拍子抜けしながら、謝ると着ぐるみの人物は深くため息をついた


 「ったく、で。俺に何か用でもあるのか?」


 美希「あっ、いえ・・・あの、このくらいの大きさの白いぬいぐるみ見ませんでしたか?」


 「あぁ?それならあっちに向かってふよふよ飛んでちっまったぞ」


 美希「本当ですか!?あ、ありがとうございます!」


 「お、おう?」


 美希はシフォンだと思われる手懸かりを聞いて、着ぐるみの人物にお礼を言うとかき分けていた草を元に戻した。着ぐるみの人物が指を指した方向に向かって走る。
 

 「はぁ・・・ビックリさせやがって・・・まっ、犬はもう居ないみたいだしここから出るとするか」

 
 着ぐるみの人物は立ち上がると、美希が向かった方向とは逆の方へ歩いていった。
 しばらく歩いて行くと、着ぐるみの人物の腹からグゥ~っと腹の虫が鳴いた。その瞬間に足腰の力が抜けたのか、ベンチに逃げ込むように横向きに寝そべる。
 横向きから仰向けに変え、被り物の狭い視野から見える空を眺めた。空を流れる雲を見て綿あめを連想するが、それだけでは腹の足しにもならないと決めつける。腹の虫は一向に鳴く事を止めず、夏に鳴く鈴虫の様に連奏する。
 

 「くそぉ~、腹減ったなぁ・・・ん?」


 ふと着ぐるみの男は周囲の匂いを嗅ぐと、勢いよく起き上がってベンチから立ち上がる。そのままふらふらと覚束ない足取りでどこかへ行く。

 
 その頃、美希は森を抜けたところにある休憩所で談笑しているラブと祈里を見つけ、二人が座って挟んでいるテーブルの上にキュアビタンを飲んでいるシフォンも見つけていた。
 二人の元へ行き、話によるとラブと祈里は撮影の見学に来るとシフォンがお腹を空かせているのを見つけたそうだった。
 美希は肩で息をしながら、シフォンを見る。その表情はあからさま怒っているようだった。
 

 美希「シフォン!どこ行ってたのよ!」


 シフォン「プリ・・・」


 美希はシフォンに怒る様に言うと、少し怯えるシフォンに近づく。シフォンは怯えながら美希を見つめる
 すると美希は優しくシフォンを抱き上げると、強く抱きしめた。美希は「ごめん」とか細い声で言うと、シフォンは疑問文の様に鳴き声を出した。


 美希「ごめんね、シフォン・・・あたしのせいで・・・寂しかったよね、お腹も空いてたよね・・・?」


 美希は両目からはらはらと涙を流して、シフォンに謝り続ける。シフォンは美希の感情を読み取ったのか、次第に涙を浮かばせ始めた。


 美希「ホントにごめんね・・・ごめんなさい・・・」


 シフォンを抱き締める美希の姿は、過去にレミが美希を抱きしめた時と重なる。
 シフォンは美希の名前を呼ぶと、額の模様を青色に光らす。すると美希の腰に付けていたリンクルンが眩しく光り始めた。
 リンクルンの画面から出てきた青色の光が、ハートの形になるとそこからピックルンのブルンが現れた。

 
 ラブ「すごいよ美希タン!」


 祈里「きっと美希ちゃんの気持ちが、シフォンちゃんに通じたのね」


 美希「シフォン・・・ありがとう!」

 
 美希がお礼を言うと、シフォンは笑顔で返事をする。
 その時、少し離れた場所から大地を轟かせる音が聞こえた。


悲鳴を上げながら逃げ惑う人々のその後ろには、木々を倒しながら迫り来るナケワメーケがいた。顔はゆで卵で額には黄色のダイヤがあり胴体は食パンで食材を挟んでサンドウィッチとなっており、腕がウインナー、手は液体を入れるボトル、足はバスケットとなっている。


 ラブ「えっ何!?」

 
 祈里「こんなところに、ラビリンス!?」


 ラブ達はリンクルンを構えてプリキュアに変身しようとする。

 
 ラブ「あぁ、お姉ちゃんに電話しないと」


 ラブは唐突に湊の携帯に繋ぐ。美希と祈里は気が引き締まらない事にズッコケる。 
 
 ナケワメーケが現れた地点から離れた場所にいる、湊はカオルちゃんの車に背を預けて少し凭れ客が来るのを待っていた。

 今日は晴天に恵まれた暖かい日差しが降り注ぎ、湊は手を口に当てて欠伸をする。その時ポケットに入れていた携帯が鳴り、取り出す。名前の表示はラブとなっており、通話を表記するボタンをタップした。
 

 湊「ラブ?どうかしたの?」


 ラブ『あっ、お姉ちゃん!ナケワメーケが公園に現れたの!』


 湊「わかったわ。すぐに行くわ」


 湊はエプロンを脱ぎ、テーブルの上に置くとカオルちゃんに「少し用事ができたので、行ってきます」と言い森の中へ入って行った。カオルちゃんは新作のドーナツを熱心に考えているため軽く「うん」と受け流した。
 湊はゲネシスドライバーを腰に巻き付け、ピーチエナジーロックシードのリリーススイッチを押す。


 湊「変身っ!」『ピーチエナジー』

  
 『ロック・オン』『ソーダ』

 『ピーチエナジーアームズ』


 頭上にクラックが出現し、桃の形状をした鎧が降りてきて湊の頭に被され展開する。ロックシードホルダーからローズアタッカーのロックシードを引き抜いてリリーススイッチを押した後、宙に投げる。ロックシードは展開してローズアタッカーになりマリカの横を並走する。
 マリカは右手のアクセルを握ると、両足を勢いよく振り上げてローズアタッカーのシートに跨る。風防シールド「シールドフレット」から放つレーダーにより、目の前を妨げる木々をかわしつつ、マリカはラブ達の元へ急ぐ。

 
 ピーチ・パイン「ダブルプリキュアキィーック!」


 ピーチとパインのキックがナケワメーケの胴体にめり込み、ナケワメーケは後ろに倒れる。ナケワメーケはウエスターの指示で起き上がると、背中についているキュウリの様なものを光弾に変え連射させる。ベリーはそれを飛翔してかわす。
 胴体の横腹あたりにある円形に切ったゆで卵を光弾に変え放つ。ピーチも飛翔して避ける。
 ナケワメーケは両手のボトルのキャップをポンッと外して、赤と白の液体の様なものをパインに放つ。パインはそのまま飛び上がらず走って逃げる。
 木の陰に隠れて、シフォンはプリキュアが戦っているのを見ていた。
 ナケワメーケは胴体を広げたり閉じたりして嘲笑う。ピーチとベリーは着地して息を整えながら、攻撃の隙を窺う。その時後ろから液体に追いかけられているパインが、後ろを見ながら走っているので前にいるピーチに気づかずぶつかる。ピーチは一瞬キョトンとした顔になるが、すぐに液体が後ろに押し飛ばされ前方にいるナケワメーケの胴体に挟まれる。
 

 ベリー「ピーチ!パイン!」


 ピーチとパインはナケワメーケに挟まれ身動きが取れなくなってしまった。ナケワメーケは体を収縮させて二人を潰そうとする。 
 ベリーは高く飛び上がって、狙いを定めるとナケワメーケの胴体にキックを放つ。キックの衝撃で二人は抜け出して、着地する。
 ナケワメーケは怯まず背中から光弾を発射し、ベリーはかわしつつも光弾を跳ね返す。
 しかし一発の跳ね返した光弾が、シフォン居るところ目掛けて飛んでいく。


 パイン「シフォンちゃん!」


 べリー「シフォン!」


 シフォンは自分目掛けてくる光弾に慌てるも逃げられないと目を強く瞑る。ベリーは地面を蹴ってシフォンを庇う様に抱き締める。  
 光弾は一直線に飛んでくる。しかし、その時だった。光弾の中心を一筋のピンク色の光の矢が射抜いた。
 その途端光弾は爆発し、ベリーの直撃は免れた。

 
 ウエスター「な、何!?」


 木の上からバッタさんの入っているカゴを抱えたウエスターが驚いていると、森の中から赤と緑の影が飛び出してきた。


 マリカ「3人とも大丈夫!?」


 ピーチ「お姉ちゃん!」


 ウエスター「げっ!」


 森の中から飛び出してきたのは、ローズアタッカーで駆けつけてきたマリカだった。ウエスターは眉を綺麗な八の字にさせて露骨に嫌そうな顔をする。
 マリカはローズアタッカーから降りて傍にいるベリーに近寄る。ベリーはシフォンをしっかりと抱いて、守っていた。


 ベリー「マリカさん・・・」


 マリカ「ベリーさん、よく守ったわね」


 ベリー「・・・はい」


 マリカはベリーに手を差し伸べる。ベリーは片腕でシフォンを抱いたまま、マリカの手をもう片方の手で掴み立ち上がる。
 ナケワメーケは背中から光弾を発射しようとするが、ピーチとパインがキックとパンチで阻止する。


 マリカ「ベリーさん。使ってみる?」


 マリカはロックシードホルダーに装備しているもう一つのレリーフの無いロックシードを引き抜き、ベリーに差し出す。
 ベリーは「はい」と返事をすると、ロックシードを受け取ると同時にシフォンをマリカに抱き渡す。
 ナケワメーケは両腕で、ピーチとパインを振り払う。ベリーはナケワメーケの前に立ちロックシードを構える。
 ロックシードは光の粒子に包まれ、粒子が飛び散る様に消えるとロックシードのレリーフは白のクリアカラーになっているイチゴロックシードへ変化した。


 ベリー「変身っ」


 ベリーがリリーススイッチを押すと、スライドシャックルが開く。


 『フレッシュ!イチゴ』


 『フレッシュ!イチゴアームズ!シュシュッとスパークッ!』


 ベリーの頭上からクラックが現れて開くと豪奢なイチゴの鎧が降りてきてベリーの頭に被され展開する。
 肩に左右非対称の大きさになっている装甲、両手には赤色の部分が白に変わっているイチゴクナイが握られ、左胸には輝くエンブレムが入っている。
 

 ベリー「これが・・・って何でイチゴ?」


 マリカ「さ、さぁ・・・」


 パイン「ストロベリー、だからかな?」


 ピーチ「あぁなるほどぉ!」


 ベリーは自分はベリーなのに何故イチゴなのか疑問に思っていると、パインは何となく思いついた事を言う。それにピーチは納得すると、ベリーとマリカも納得する。
 4人が納得しているとナケワメーケは背中と横腹から光弾を連射してきた。ベリーとマリカは瞬時にそれぞれ持っている武器を構えた。
 ベリーはイチゴクナイを指の間に入れて、腕を横に振って投げる。マリカはソニックアローのトリガーを数秒引き続けて、チャージシグナルが赤に点滅するとトリガーを離しエネルギーの矢を射る。
 二人の放ったクナイと矢は、ナケワメーケの放った光弾に全て命中し消滅させた。ナケワメーケはそれに驚きたじろぐ
 ベリーは足腰に力を入れ、ナケワメーケ目掛けて飛びかかる。目の前まで来ると胴体にキックを見舞った後、着地して更に飛び上がり、重力を活かした踵落としをナケワメーケの頭に喰らわす。

 
 ベリー「(すごい!ナケワメーケの動きが遅く感じる!)」


 ナケワメーケ「パパンパンッ!」


 ベリー「ヤァアアアアッ!!」


 ナケワメーケは両腕から光の液体を放出する。ベリーはイチゴクナイを逆さに持って腕を曲げたまま体の前後に肩を伸ばした状態で体を捻らせるキックで、液体をかき分けながら進む。その姿はナケワメーケから見て卍の様に見えた。
 ナケワメーケにキックを放ち、ナケワメーケの胴体の弾力で宙を舞い、クナイを投げつける。クナイはナケワメーケの体に突き刺さり爆発した。


 ベリー「ば、爆発した・・・け、結構これ危ないわね・・・」


 ベリーは両手に握っているイチゴクナイの威力に驚きつつ、爆発の衝撃で倒れたナケワメーケが立ち上がるのを待つ。
 ナケワメーケはフラフラにも関わらず立ち上がった。イチゴクナイが突き刺さった箇所は焦げている。
 

 ベリー「お願いブルン!今こそ私に力を貸して!」


 ベリーの心臓は激しく鼓動し、ブルンが現れた。ブルンをリンクルンに差し込んで開く。水色のローラーを指で横にスライドさせる。


 ベリー「GO!」


 ベリーは背中を仰け反らすと、リンクルンの画面から光の柱が現れ青色のハートの形になるとベリーソードが召喚された。


 ベリー「響け希望のリズム!キュアスティック・ベリーソード!」


 ベリーはベリーソードを腰に当て、侍が刀を引き抜く様に8色の埋め込まれた球を二本の指でなぞるとベリーソードの先端のクリスタルが光り輝く。
 

 ベリー「悪いの悪いの飛んで行け!『プリキュア!エスポワールシャワー』


 ベリーソードの先端でスペードを描くと、描いたスペードの中心に青色のエネルギーを注ぎ込む。スペードはエネルギーが貯まると一気に膨らむ。
 

 ベリー「フレーッシュ!』」


 ベリーはベリーソードでスペードを突くと、光弾となったスペードはナケワメーケ目掛けて飛んでいく。
 スペードの光弾はナケワメーケを包み込み、浄化させる。


 ナケワメーケ「シュワ~シュワ~・・・」


 ナケワメーケは浄化され、ウエスターは肩を落としてバッタさんと共に占い館へと帰って行った。


 ラブ「やったーっ!」


 湊「わっ・・・ラブ。どうしたの?」


 ラブ「えへへ~、何となく・・・」


 変身を解いたラブは突然湊に抱き着いてきて、湊はそれに驚くも頭を撫でた。美希も変身を解いて、ロックシードを返してきた。

 

 その後、ラブ達は桃園家に行き、湊はカオルズドーナツカフェに戻って行った。
 するとカオルちゃんが湊の帰りを待っていたのか車の前で立っていた。


 湊「カオルちゃん。どうかしたんですか?」


 カオルちゃん「あぁ、お姉さんお帰り。ちょうどよかったよ、新しい新人君を紹介するね」


 湊「え?」


 湊は突然のカオルちゃんの言葉に驚いた。新人が来ると言う事は、前日にも聞かされていなかったことなのだからだ。
 カオルちゃんが手招きをすると、車の陰から異形の人物が現れた。

 
 
 カオルちゃん「紹介するね。今度新しく入った・・・」



 「も、桃 太郎でーす!よ、よろしくなっ・・・じゃなくてよろしくお願いします!」


 湊「え、ええ・・・」


 現れたのはあのオオカミの着ぐるみを着た人物だった。

この話はここまで。長くなって申し訳ありません

何となく、描きました。http://s1.gazo.cc/up/142797.jpg

佃井さんが主役の、ジャパンアクションエンタープライズのオリジナルムービー「華麗なる追跡~TARGET 標的~」スッゲェ面白かったです。
後、水戸黄門スペシャルにも出てて、忍者姿に萌えました。

ps.牙狼~蒼哭ノ魔竜~の久保田さんはいつ見ても面白い。
   佐野さんも何れかは出てほしいですねぇ~。あの身体能力なら絶対魔界騎士になれますもんw


 「カオルズドーナツカフェ最新作、プリンドーナツがあるよ~。美味しいから食べに来たらどうだ~?」

 
 着ぐるみを着た人物「桃 太郎」と名乗った男がカオルズカフェで働き始めて数日、太郎は看板を持って公園内をウロウロと歩いて客寄せをしていた。
 その様子を湊はカウンターを掃除しながら微笑んで眺める。
 最初こそは不審に思いながら見ていたが、太郎の周りに集まる子供たちに太郎は少し戸惑いながらも小さい子供を高い高いと持ち上げたりなどして構ってあげたりしているその姿を見て不信感はいつの間にか消えていた。
 

 カオルちゃん「太郎ちゃーん、休憩しようよ」


 「あぁ、わかった。・・・はぁ、疲れた~・・・」


 カオルちゃんは時計を見て休憩を取ることにして太郎に言う。太郎はそれに気づくと子供たちに手を振って別れを告げ、テーブルの椅子に座る。
 湊は紙コップに氷を入れ、コーヒーメーカーからコーヒーを注ぐ。氷で水かさが増しているためコップの飲み口の数cmのところまで注ぐと、コーヒーの入ったコップをカウンターに置き、一度車から降りて再びコップを手に取る。


 湊「お疲れ様、桃君。はいっ、アイスコーヒーよ」
 

 「おっ、ありがとな。湊さんよ」


 太郎は手前に置かれたコップを手に取り、口に当てる。被り物の口に。
 対面する様に座った湊は一瞬「えっ」と言って固まり、太郎が「やべっ」と言った様に聞こえたがすぐに「冗談だよっ!」と誤魔化すかのように高笑いをする。それに湊は苦笑いで、答えた。
 

 湊「桃君、それ脱いだらいいのに」


 「い、いやぁ、一度脱ぐと、何て言うかこぼれると言うか・・・」


 湊「こぼれる・・・?」


 「どわぁ~っ!違う違う!こぼれるんじゃなくてっ!」


 「こぼれる」という発言に湊は疑問を覚えると太郎は慌てて否定する。湊はやはり何かおかしいと思い、太郎に聞こうとすると遠くの方から「お姉ちゃんっ!」と声が聞こえて二人は声のした方を見る。 
 遠くから走って向かってくる少女の姿が見えた。湊は、真穂だと気づく。


 真穂「久しぶりだねっ!」


 真穂は少し息を切らしながら、湊の前までくると嬉しそうに明るい笑顔になる。湊は座った状態で鏡、真穂と同じ目線に合わせる。
 

 湊「ええ、久しぶり。今日はどうしたの?」

 
 真穂「お父さんとお母さんと一緒にドーナツ買いに来たの!」


 湊「お父さんとお母さん?」 


 真穂「うん!」


 「真穂、ちょっと待てよ。っと・・・知ってる人?」


 息を切らしながら真穂の後を追いかけてきた男性がやってきた。どうやらこの男性が真穂の父親らしい。
 男性は真穂に、湊の子を聞くと真穂は「うん」と答えて頷く。

 
 真穂「風船を取ってくれたお姉ちゃんだよ!」


 「あぁ、貴方が。その節は、ありがとうございました」


 湊「いえ。放っておけなかったものですから」
 

 「そうですかっ。あっ、俺は真穂の父の・・・・」



 真司「城戸真司です」

 
 湊「どうも。・・・あっ、もしかして城戸さんの真司って・・・真穂ちゃんの名前の・・・?」


 真司「あっ、知ってるんですか?」


 湊は城戸真司と名乗った男の名前を聞き、真穂が自分の名前について教えてくれたの時の事を思い出し真司に問いかけた。
 真司は湊はその事を知っているのに少し驚いた表情を見せた。その間に真穂はテーブルに座っている太郎を見つけると、飛びついていた。太郎は後ろに倒れながらも、真穂をしっかりと抱き止めて無邪気に笑う真穂に「危ねぇだろ!」と怒る。


 湊「はい。真穂ちゃんから聞いたもので」


 真司「いやぁ、ははっ!妻がどうしてもって言うもんですから・・・」


 湊「そうなんですか・・・あっ、来ましたよ」


 真司は照れ臭そうに頭を掻く。そんな真司を湊はくすりと笑い、後ろからこちらに近づく以前にも真穂が風船を取ってくれたお礼にとクッキーを私に来た時に顔を見合わせた母親の姿が見えた。


 「どうも、こんにちは」

 
 湊「こんにちは、真穂ちゃんのお母さん。お久しぶりですね」


 「ええ。あっ、名前まだ言ってなかったですね」


 湊「そういえば、そうでしたね。改めまして、私は湊耀子です」


 美穂「城戸美穂よ。真司の妻でーすっ」


 美穂は湊に真司の妻と言った後、真司の腕に抱き着く。それに真司は慌てふためき「恥ずかしいだろう!」と顔を赤くさせる。
 それに対して美穂は「いいじゃん」と口を尖らせて膨れっ面になる。湊は仲の良い・・・良すぎる夫婦だと思い微笑んだ。
 

 湊「今日はドーナツをお買いになられたんですよね?」


 美穂「ええ。真穂のお友達のお見舞いの品にしようと思って」


 湊「あら、そうなんですか・・・」


 真司「その子明日が手術で、今日の朝までしか飲食ができなくなっちゃうそうなんです」


 湊「それでドーナツを・・・真穂ちゃん。何だが初めて会ったときより明るくなってますよね」


 湊は太郎に追いかけられる元気に走り回る真穂を見つめる。初めて会ったとき、それは風船をとってあげた時より後の事だが、あの時は手をモジモジとさせて、俯き加減に話すそんな姿を思い出す。


 美穂「はい。湊さんのおかげですよ」
 

 真司「ホントホント!家でも湊さんの事をお姉ちゃんお姉ちゃんって言ってるんですよ」


 湊「そうなんですか・・・」


 真穂「あ、お父さん!お母さん!早く買って行かないと!」


 美穂「あっ。はいはい、じゃあ湊さん」


 湊「はい」


 美穂に呼ばれて、ドーナツを買う事を思い出すと美穂と真司はウェルカムボードに書かれたドーナツの種類を見る。どれにするか決めると、カウンターに入ったエプロンを身に着けた湊に注文をする。
 湊は車の中に入る前にベンチで休憩をしていたカオルちゃんに訳を話して、購入を承諾してもらったのだ。
 テーブルの椅子には、追いかけ回して疲れ切った太郎が息を荒くして座っていた。
 ドーナツを買い終え、真穂は「バイバイ!」と元気な声で湊に手を振り、真司と美穂も一礼をする。湊は真穂に手を振り、真司と美穂にも頭を下げて微笑む。
 美穂は手を繋ごうと左右に居る真司と美穂の手を繋ぎ、友達の入院している病院に向かった。

美穂って、仮面ライダーファム=霧島美穂の事?


 ラブ達はレミから美希の弟、一条和希が学校で倒れて病院に運ばれたと聞かされ病院に来ていた。
 しかし病院に着くと、和希は待合所のソファに腰を掛けて美希が声を掛けると、第一声に「ごめん!」と申し訳なさそうに手を合わせて謝った。
 話によれば軽い貧血でもう帰れるとのことだが、体の弱い和希を美希は気遣って入院してはどうかと迫りつつ聞く。和希は苦笑いで「大袈裟だよ」とやんわりと断られる。
 和希は幼い頃にレミと美希の父親が離婚して、度々会う事しかできないので若干過保護になる傾向があるのだ。
 美希がラブに「心配し過ぎだよ」と言われて黙り込み、祈里が「大したことなくてよかった」と言った時、一人の車椅子に乗っていた少女がシフォンを見つけて「クマちゃん可愛い!」と抱き上げた。車椅子を押していた母親らしき女性が言った名前からして、千香と言うらしい。


 その頃、占い館ではサウラーが少し遅く目を覚ました。窓の所々破れたレースからは大きさが異なる光が床に滲みの様に零れる
 まだ目が朝になれないのか目を瞑ったままサウラーは胸を上げて上半身を起こそうとするが上がらない。「ん?」と疑問に思い目を瞑ったまま再び背中に力を入れて胸を上げようとするが、どうしても上がらない。
 サウラーは少し息を荒くして、本で読んだ金縛りじゃないのかと思い目を片方開ける。 


 サウラー「・・・のわぁああああ!!?」


 サウラーは目が目を開けてまず見えたのは、大きな黒い塊と真っ赤な目だった。


 サウラー「ウエスタァアーーっ!」


 ウエスター「ほう、はうらー。ほはひょう」


 サウラー「おはようじゃなくて、こいつを僕の部屋に入れるなと何度言わせれば気が済むんだっ!」


 サウラーはいつも3人が集まる部屋のドアを蹴るように開けるや否や、ウエスターに手に抱き抱えている何かを見せながら怒鳴り込む。
 半熟に焼けた目玉焼きをトーストに乗せて、先に目玉焼きだけを器用に食べていたウエスターは挨拶をする。ウエスターと向かい合ってウエスターと同じものを食べているイースはチラッと咀嚼しながらサウラーを見て、気付く。

 
 イース「あら、またバッタさんと寝てたの?いいわねぇ~」


 サウラー「よくない!飼い主なら、いい加減にこいつに躾を覚えさせるんだっ」


 ウエスター「怒る事ないだろう?なぁ?バッタさぁ~ん」

 
 サウラーが手に持っていたのはバッタさんだ。しかし、デカイ。間違いなく虫かごに入らないくらいデカくなっていた。
 全長は30cmくらいで、明らかに虫の大きさではない。 


 イース「いいなぁ・・・」


 サウラー「何か言ったかいイース」


 イース「何も。でもびっくりよねぇ~・・・まさかこんなに大きくなるなんて」


 イースは腕の中で頭を撫でていたウエスターから一言「貸して」と言い、ウエスターに「ああ」と許しを得てバッタさんを抱き上げる。
 最初、イースはウエスターにバッタさんの事を可愛いいと思われるのを避けていたんだが次第にバッタさんと遊ぶウエスターを見て、少しいつもの自分を見せながらウエスターにバッタさんと遊びたいと言い、そこから何かが崩れ去りバッタさんにべた惚れし始めたのだ。
 そんなことはさて置き、何故バッタさんがこんなにまで大きくなってしまったのか説明しよう。
 事の始まりは、イースがバッタさんにドーナツの欠片をあげたことから始まった。その時は、まだ掌サイズだった。
 だがその次の日にもイースがバッタさんにドーナツをあげ、また次の日にもドーナツをあげたのだ。しかも欠片からそのまま入れたりすることも増えて言っていたそうで。
 それを日に日に重ねていき、ある日の朝、ウエスターがバッタさんが入っていた虫かごが壊れていて、サウラーが犯人だと推測し急いでサウラーの部屋に殴り込むような勢いで部屋に着くと、先程の現状と同じような状態になっていたそうだ。

 
 イース「バッタさぁ~ん」


 イースがバッタさんを呼ぶと、バッタさんは触角でイースの頬を撫でる。それにイースは目を細めて幸福感に浸る、
 サウラーはそれを見て、背筋に悪寒が走る。
 

 ウエスター「あ、そうそう。こいつを見てみろ」


 ウエスターは机の上に置いたのは読んでいた雑誌の1ページだった。サウラーが記事の内容を読む。内容は「子供たちに大人気、プリキュアとマリカの正体を追え」と書かれていた。
 サウラーは「大したものだな」と言い、イースはバッタさんを撫でながら「忌々しい」と少しいつもの様にプリキュアを憎む。
 しかし、ウエスターは載っている写真に写っている建物の屋上に立っている自分を指して「どうして俺はこんな扱いなんだ!」と不満そうに文句を言った。
 イースは「そこなのね」と呆れた顔でウエスターを見ながらバッタさんを撫でる。
 

 ウエスター「俺だって頑張ってるのにぃ~~~っ!なぁ~?バッタさ~ん」


 イース「アンタが今まで何か成功したことあるの?情けない結果ばかりじゃない。ねぇ~?バッタさん」


 ウエスターとイースはバッタさんを撫でながら、お互い何かしら口喧嘩をする。サウラーは馬鹿馬鹿しくなり、ウエスターが作っておいてくれた自分のトーストを齧る。

今日はここまで。
>>414 はい、そうです。真穂は真司の「真」と美穂の「穂」を取って、「真穂」と考えました。

「さなほ」と言う読みにしたのは、語呂が「まほ」だとピンと来ないので「さな」と言う読み方にしました。後から考えると「まなほ」でもよかったですね(笑


 千香「くまちゃんはシフォンって言うんだ。あたしは千香、よろしくね」


 ブルンの力でくまの衣装を着たシフォンと楽しそうに話している少女、千香。それを美希は心配そうにすると、祈里が傍に居れば大丈夫とラブに助言した。
 ラブは和希も先に帰ったので、大丈夫と思い千香に「シフォンと遊んであげてね」と言った。
 それに千香は嬉しそうにシフォンを抱き上げて、何をして遊ぼうか少し悩むとハートリンクメーカーでハート型のビーズで作った小さ目のネックレスをシフォンにプレゼントした。

 
 千香「似合う?」


 祈里「わぁ~!」 美希「可愛い!」


 ラブ「いいなぁ~。千香ちゃん、お姉ちゃんたちにもやらせてよ」


 千香「うん!」


 病院の外では、タルトが自分だけ病院内に入れない事に不満を抱き、自分は妖精だと叫んでいた。
 美希と祈里はブレスレットや首に掛けれるサイズのネックレスを作り上げていたが、ラブはハート型のビーズが上下逆になっていて千香に何か変と言われて落ち込む。
 千香がシフォンに話しかけると、シフォンはうっかり返事をしてしまった。

 
 千香「えっ・・・」


 ラブ「プ、プ、プ、プ、プリキュアーっ!・・・なんちゃって」


 千香にシフォンが妖精だとバレると咄嗟にラブはプリキュアのマネをした。しかし、千香は頬っぺたを膨らませて違うと言い、本棚から一冊のアルバム本を取り出して開く。
 そのページにはプリキュアの写真が沢山貼られており、その中にはウエスターが不満と思っていた写真と月をバックに写されたイースの写真もあった。プリキュアを真正面から撮った写真やそのイースの写真はどこで撮られたのだろうか、気になるが。

 
 
 ラブ「わあ~!これあたsもがもぐぁっ!?」


 
 祈里「そ、そんなのもあるんだ」 美希「よく撮れてる」


 美希と祈里がラブの口を押えて、誤魔化した。千香はそれに首を傾げるが気にせずに、アルバムのページをパラパラと捲る。
 ラブは捲って行くページにある疑問が浮かんだ。


 ラブ「あれ?ねぇねぇ、千香ちゃん。何でお姉ちゃ・・・キュ、キュアピーチのお姉ちゃんの写真は無いのかな?」


 千香「わかんない・・・お店に行っても、無いの・・・」

 
 ラブ「そっかぁ・・・でも、千香ちゃんってプリキュア大好きなんだね」


 千香「うん!だから、プリキュアにお手紙書いたの」


 美希「手紙?」


 ラブ達は自分達に手紙を出したと聞いて少し驚き祈里が何て書いたのかを聞くと、千香は寂しげな表情を浮かべて会いに来てと書いたと言った。 
 ラブ達が不思議そうに千香を見つめていると、看護婦さんが病室の入口から千香の母親と一緒にやって来て検査の時間だと告げた。千香はシフォンを抱き締めて、怖がっていた。
 ラブ達は千香の母親から明日が手術だと聞き、だからプリキュアである自分達に会いに来てほしいのだとわかった。
 プリキュアが来てくれれば千香も少しは手術が怖くなくなると思っているのだがその手紙は千香の母親が持っていてどこに宛てて送ればいいのかわからずそのまま持っているのだ。
 検査を終えて検査室の扉が開き、千香を見ると千香はシフォンを抱き締めて泣いていた。
 それを見て、ラブは何か決めたような表情を浮かべると千香に散歩に行こうと言った。


 千香「えぇ~!?本当なの?」


 ラブ「そうそう、本当は内緒なんだけどあたし達、プリキュアと友達なんだ」


 ラブが言った事に美希と祈里は慌ててラブを呼ぶが、ラブがごめんっと言う様に手を合わせてウインクをした。
 千香は「本当に?」と首を傾げると、ラブは美希と祈里の心配も気にせず千香に手術の前にプリキュアに合わせてあげると約束してしまった。


 真穂「あっ、千香ちゃん!」


 千香「真穂ちゃん!」


 その時、後ろから真穂が真司と美穂を置いて先に千香の元に走ってきた。
 真穂の手にはカオルズカフェで買ったドーナツが入っている紙袋を大事に抱えていた。
 

 ラブ「お友達?」


 千香「うん。真穂ちゃんだよ」


 真穂「こんにちは!」


 ラブ「こんにちは、真穂ちゃん」


 真穂はラブ達に元気な声で挨拶を交わした。そして、手に持っている紙袋を千香に差し出す。


 真穂「千香ちゃん、はいこれ!」


 千香「え?これって・・・」


 ラブ「あっ、カオルちゃんのドーナツだ」


 千香は紙袋を受け取って、少し袋口を開けてみるとドーナツが入っているのに気付くと、ラブも紙袋に描かれたカオルズカフェの絵と文字を見てカオルちゃんのお店で買ったものだと気付いた。


 千香「ありがとう。真穂ちゃん」


 真穂「えへへ。千香ちゃん、明日手術だから頑張ってもらおうと思ってね」


 ラブ「よかったね、千香ちゃん」


 千香「うん!」



 夕方になって来た頃、カオルズカフェでは湊と太郎が店の片付けをしていた。
 湊はカウンターの拭き掃除をして、太郎はパラソルを閉じてテーブルを移動させていた。
 

 湊「太郎くん、そっちの片付けは私がやっておくわ。上がっていいわよ」


 「あ、そうか?悪いな、湊さんよ」


 太郎が帰ろうとした時、こちらに向かってくる3人の人影が見えた。それに太郎は気づくと一度立ち止まって近づいて来る人影を見た
 その3人の人影はラブ達だった。ラブ達は太郎の横を通り過ぎると、美希が太郎の存在に気づいて立ち止まった。


 美希「あ、あの時の」


 「お、おう。お前か。ぬいぐるみは見つかったのか?」


 美希「はい、あの時は本当にありがとございました」


 「気にすんなよ。けど、もう無くすなよ?」


 美希「はい。それじゃあ」


 「じゃあな」


 美希は頭を下げてお礼を言い、ラブ達の後を追う。太郎はそのまま頭に手を組んでどこかへと行ってしまった。


 ラブ「お姉ちゃん!」


 湊「あら、ラブ。どうしたの?」


 ラブ「あのね、その・・・」


 湊は走ってきたラブを見て思議そうに問いかけると少し戸惑いながらもラブは湊に説明した。
 その説明を聞いて湊は、目を点にした後ハッと我に返り慌てて手を振って無理と言った。
 ラブはお願いと、手を合わせて頼み込むが湊は拒否する。
 

 ラブ「どうしてもお姉ちゃんと一緒じゃないとダメなの!」


 湊「で、でも・・・」


 美希と祈里も湊にお願いして、何とか湊を説得することが来たラブ達はゲームセンターにあるプリクラのコーナーに向かっていた。
 プリクラの中に入ると、ラブ達はリンクルンを取り出して構えた。
 湊も、何故かスーツを脱ぎ始めた。そして脱ぎ終わると何とスーツの下はピンク色のゲネティックライドウェアを着ていた。
 実はここへ来る前に、湊は先にゲネシスドライバーを装着してエナジーロックシードをセットしライドウェアだけ変身していたのだ。


 ラブ・美希・祈里「『プリキュア!ビートアップ!』」


 湊「・・・変身」

 『ソーダ』

 
 『ピーチエナジーアームズ』 


 ピーチ達は暖簾で隠れて見えないが、足だけは見えておりタルトが警戒しながらプリクラを撮り始めた。
 ピーチはマリカに抱き着いたり、片手同士でハートの形を作って撮ったり等をした。最後に全員の集合した写真を撮り、変身を解いて桃園家に足を運んだ。


 湊「こんな事したの初めてよ・・・もうこれっきりよ?」


 ラブ「はーい」


 ラブ達は色紙に撮った写真を貼ったり千香宛ての応援のメッセージなどを書いて明日渡すことにし、美希と祈里は帰って行った。

 
 そして翌日、ラブは美希と祈里と合流してプリキュアに変身し千香の元へ向かっていた。湊は仕事の為、行けなかったようだ。
 ピーチ達が千香の入院している病院へ向かっている頃、四ツ葉町の電波塔の上でウエスターが佇んでいた。
 

 ウエスター「ふっふっふ、昨日の昼から考えて今朝思いついたこの作戦・・・必ず成功させてみせよう!」


 ウエスター「ナケワメーケよ、我に仕えよ!」


 ウエスターは軽く握った両拳を前後に擦り合わせるとメビウスから受け取ったダイヤを出現させた。ウエスターのダイヤには「G」と書かれている。
 ダイヤをウエスターは電波塔に向けて貼り付けるとダイヤから煙が吹き出し、電波塔を包み込むように煙が蜷局を巻く。そしてナケワメーケが召喚させられた。
 両手にはアンテナになっており、四つの筒状の物が見えてアンテナの中心部には鋭く尖った槍の様な物が飛び出している。肩のパーツには大きなマジックハンドの様なあり、体の中心部の展望台には巨大化したメカのダイヤがついている。
 ナケワメーケが両手から電波を発生させると、ミユキが映っていたテレビから、突然ウエスターの姿が現れた。

 
 ウエスター[出てこいプリキュア!俺の姿を見たらすぐに出てこいプリキュア!・・・あとアーマードライダー・・・もだ!]


 ピーチ達は建物の屋上で巨大な大画面に映っているウエスターの姿を見ていた。カオルズカフェにいた湊もラジオから流れてきたウエスターの声を聞いて、エプロンを脱いだ。


 湊「カオルちゃん!私、ちょっと行ってきます!」


 カオルちゃん「うん。気を付けてね」


 「お、おい!湊さん、どこ行くんだよ!?」


 湊「太郎くん、お店の方少し頼んだわ」

 
 湊は太郎の返事を待たずに、走り出した。ゲネシスドライバーを装着して、変身するとローズアタッカーでナケワメーケが現れた場所へと急行した。

今日はここまで。

日付変わってしまいましたが、仮面ライダー555で木場さん役を演じていた泉政行さんがお亡くなりになられました。

35歳と言う、若すぎる最期で、もう二度と555で木場さんが見れないと言う悲しみでいっぱいです。

本当に、泉さんお疲れ様でした。
もしも石ノ森さんに会えたら、平成組も負けていませんよって伝えてほしいです


 ピーチ「テァアアッ!!」


 「オンエァアアーッ!!」


 ビルから飛び上がってピーチは飛び蹴りを放つ。ナケワメーケは肩のマジックハンドでピーチを掴もうとするも、ベリーの上空からキックでマジックハンドはピーチを掴むことは出来なかった。
 ピーチの飛び蹴りはナケワメーケの顔面に直撃する。しかしナケワメーケは怯まずもう片方の肩にあるマジックハンドでピーチを掴むと投げ飛ばした


 ピーチ「キャアアアッ!!」


 ベリー「ピーチ!」


 ピーチはビルの壁に激突してそのまま地面に落下する。しかし、ベリーが落下するピーチの元へ飛翔してきて抱き支えて着地した。
 ベリーにピーチはお礼を言って、ベリーが微笑みかけたが何かに気づいてピーチの肩を押し退けた。その直後に二人の間にナケワメーケの腕にある槍が地面に突き刺さる。
 

 ウエスター「ははははははっ!どうしたプリキュア!その程度か!?」

 
 パイン「私を忘れてるっ!」


 ウエスター「痛てぇ!?」


 ナケワメーケの腹辺りの展望台の上に立っていた高笑いをしていたウエスターだったが、横からパインの足底が蟀谷にヒットし、何とも間抜けな顔でウエスターは蹴り飛ばされた。 



 マリカ「!」


 その頃、マリカはハンドルを握り締めて後輪を前に出す様に急ブレーキをかけて止まった。
 急ブレーキをかけた衝撃で首が下を向くがすぐにマリカは前方を見る。誰も居ない道のど真ん中に小柄な人が立っているのが見えた。
 ステアリングアイの望遠モードでマリカはその人物を確認する
 セミロングの銀髪に黒いカチューシャ、赤と黒のボンデージ風の衣装・・・イースだ


 イース「・・・」


 イースは腕を組んで眉間に皺を寄せ、あからさま怒りを滲み出している。

 
 
 イース「・・・やっと見つけたわよ。アーマードライダー」



 マリカ「あら?私の事を探していたの?お嬢ちゃん」


 マリカは余裕そうな雰囲気を漂わせながらローズアタッカーから降りた。降りた後ハンドルのボタンを押してロックシードにした。
 イースの事を「お嬢ちゃん」と呼んだ時の湊は、紘汰と初めて会った時の「坊や」と言った時を思わせる。
 しかしそんな事も知らないイースはお嬢ちゃん呼びされた事が気に障ったらしく、顔を強張らせてさらに怒りを露わにする。
 

 イース「今度こそ・・・ケリをつけるわよっ!」


 イースは屈むや否や、マリカ目掛けて飛びかかった。マリカのステアリングアイに「Danger」と立体的に表示される。
 マリカはゲネティックシグナルから送られる情報を全て遮断して、目と鼻の先まで迫ってきたイースの拳をヒラリとかわした。

 
 
 イース「くっ!」



 マリカ「・・・変わらないわね。初めて手合せした時と」


 イース「ハッ・・・!?」


 イースの脳裏にマリカと初めて戦った時の情景が浮かぶ。その途端イースは体勢を崩していまい、地面に転がる。が、すぐに起き上がってマリカを睨みつける。


 イース「ハァアッ!」


 イースは右足の蹴りを放つとマリカは左肘でガードし、次にイースが放つ右拳を右肩を反らしてかわす。
 マリカはお返しと言わんばかりに右足の蹴りから右手のストレートを放つ。イースもマリカとは若干違うが、左手と右手を組んで蹴りを防いでパンチも同じ方法で防ぐ。
 イースは少しマリカから距離を空けて左足は後ろで右足を前に置く。
 勢いをつけて肩を回すと同時に左足を右足より後ろで一歩前に出し、左足が地面に着いた瞬間に体をほんの数秒宙に浮かして左足でマリカにキックを放つ。


 マリカ「フッ・・・」


 イース「・・・ふふっ」


 マリカは避けようとする、が、その途端イースは不敵な笑みを浮かべた。


 マリカ「・・・!?」


 放った左足の膝が突然曲がり、右足の空中回転回し蹴りが迫ってくる。マリカは咄嗟に左足の膝を腰の高さまでを上げて両手で拳を作ったまま肘で仮面を覆うようにして右足の蹴りをガードした。
 イースの回し蹴りがアームガントレットに直撃する。
 鉄同士がぶつかり合った様な鈍い音が、二人の耳に響いた。
 仮面越しに湊の表情が強張るが、咄嗟のガードでダメージを多くまで受けた様ではなかった。


 マリカ「・・・少しは、やれるようになったわね」


 イース「減らず口を叩くのもそれまでねっ!」


 イースはマリカの顎を蹴り上げで狙うが、マリカは素早く体を反らす。


 その頃プリキュア達はナケワメーケと苦戦を強いられながらも必死に戦っていた。
 これまでナケワメーケとは幾度も戦っていたが、これほどまで巨大な敵との戦いは初めてであり更にマリカを倒すために作られたダイヤで生み出した強化ナケワメーケである、そう簡単にはダメージを与えられないのだ。


 ピーチ「はッ!テァアッ!」


 ベリー「ハアッ!」


 ピーチとベリーはナケワメーケの肩のマジックハンドに警戒しながら接近し、胴体の主柱材を集中的に攻撃を繰り出す。ピーチとベリーは同時キックをナケワメーケの胴体に直撃させる。
 しかし鉄で作られた頑丈な体は折れ曲がる気配すらない。


 パイン「えいっ!えいっ!えいっ!」

 
 ウエスター「痛たたた!このこのこのこのこのこのっ!」


 パインとウエスターは本当に敵対しているのかというくらいのほのぼのとした戦いを繰り広げている。・・・猫パンチの応酬である。

 
「オンエァアアアッ!!」


 ピーチとベリーが地面に着地したところで、ナケワメーケは両腕を広げて自ら倒れる。巨大な鉄の塊がピーチとベリーに迫り来る。


 ピーチ「そんなの!ありぃ~~~!?」


 タルト「ピーチはぁーんっ!」

 
 ピーチとベリーは慌てて逃げようと走り出す。ピーチ達が行く先に居たパインとウエスターが猫パンチの応酬の間を空けて距離を置いたところでナケワメーケから逃げている二人が丁度パインとウエスターの間を全力疾走で通り過ぎた。


 パイン「え?きゃああ~~!」


 ウエスター「ん?のわぁあああ!!」


 パインとウエスターは逃げている二人に目で追った後、自分達の辺りが暗くなったことに気付くとピーチとベリーが逃げて行った方向の逆の方を見る。
 そこで見たのはすぐそこまで倒れてきているナケワメーケだった。二人もピーチとベリーの後を追う様に逃げ出す。
 


 イース「くっ!」


 イースは連続で攻めているつもりなのだが、疲労の色が徐々に出始めて肩で息をしている。
 それに対してマリカは息を荒くするどころかイースが仕掛けてくるのを待つ余裕を見せる。


 マリカ「どうしたの?それでおしまい?」

 
 イース「だっ・・・黙れっ!」


 イースの左フックがマリカの右頬目掛けて襲いかかる。しかしマリカは避けようともせず、イースの拳が当たる前に手首を掴む。
 イースはすぐさま右のフックを打ち込もうと左手を引っ込めようとしたが、マリカが受け止めた手でイースの拳をガッチリと掴んでいて離させない。
 ゲネティックグローブは握力は一般成人男性の20倍以上に及ぶ。自ら拳を引き抜こうとするのは簡単にはいかないのだ。
 マリカは掴んだイースの手を少し離して自分によく見える様にすると、マジマジとイースの拳を見る。


 イース「な、何のつもりっ!離しなさいよっ!」


 イースは必死にマリカから拳を引き離そうと左手を引っ張り、右手でもマリカの手を開かせようとするが全く開かない。
 マリカはイースが抵抗しているのを無視してイースの拳を見続ける。
 イースの手を包み込んでいる長手袋は所々穴が開いており、生地の表面も擦れていてボロボロになっている。


 マリカ「・・・傷だらけね・・・それほど修羅場を潜り抜けたってところかしら?」


 イース「!?」


 マリカの言葉にイースは抵抗するのを止めた。すると、マリカはイースの手を離した。
 イースはマリカの言葉に気を取られて離されたことに気付かない。マリカは先ほどまで抵抗していた筈のイースが何もしてこないのに不思議そうに首を傾げるが、まぁいいかと背を向けた。


 マリカ「また今度相手してあげるわ。今は急いでるから」


 イース「ま、待ちなさいっ!」


 イースはマリカが振り返っているマリカの肩を掴もうとする。しかし、イースの胸下辺りに激痛が走る。
 痛みを堪えて下を向くと、マリカの肘がイースの鳩尾を突いていたのだ。


 イース「ふっ・・・ぐぅっ・・・」

 
 イースは数歩後ろに下がって、膝から崩れる。


 マリカ「・・・そんなにまで私に勝ちたいのなら。まず・・・ピーチ達を倒すことね」


 イース「なん・・・っ、ですってぇ・・・」


 マリカ「ピーチよりも強い私を倒せるはずがないわ」


 イース「!!」

 
 マリカはローズアタッカーのリリーススイッチを押してビークルモードにする。シートに跨りハンドルを握ってアクセルを吹かす。
 そしてそのまま屈みこんでいるイースを置いて、その場から去って行った。

 
 イース「・・・うっ・・・ぅぅ・・・」


 イースの目から涙が溢れ出る。
 これでマリカと戦いを挑んで二度、敗北したのだ。悔しくないわけがない

少ないですが。ここまで。イースの口調が雄々しいのは気のせいかな?
鳩尾を狙う湊さん、結構エゲつない・・・

最近ウチでもバッタさんを飼い始めました。トノサマじゃなくてRXのモチーフになったショウリョウバッタをです
名前も「バッタさん」です(笑)

再度改めて佃井さん!三大特撮シリーズ出演おめでとうございます!
鎧武外伝も必ず観ます!

それと、兄さん・・・ミッチがまたグレちゃうよww
https://www.youtube.com/watch?v=eywSCUkGzr0


 ピーチ・ベリー・パイン「キャァァアアアアッ!!」


 ナケワメーケが腕から放った紫色の光線が地面を抉ってプリキュア達に襲いかかる。
 ピーチ達は避けようと飛び上がるが、紫色の光線はピーチ達の足元で爆発を起こし三人を吹き飛ばす。吹き飛ばされたピーチ達は地面に叩きつけられる。


 ウエスター「ふはははは!!もっとやれ!町中の子供たちを不幸にするのだ!」


 ピーチ「!?。どう言う事!?」


 ウエスター「簡単な事だ。この状況は町中のテレビに中継されているのだ。プリキュアが倒される姿を見れば子供たちは悲しみ、大いに不幸のゲージが貯まるというわけだ」


 ウエスターの言う通り、にあるテレビや民家のテレビ、学校では授業中に使っているスクリーンなどにピーチ達の姿が映し出され、子供たちだけではなく町中の人々がプリキュア達を心配そうに見守っていた。
 ウエスターは自分の作戦が成功しているのに高笑いを上げる。

   
 ピーチ「・・・なーんだ、そんな事だったの!」

 
 
 ウエスター「何っ!?うぼわぁっ!?」



 ピーチの発言にウエスターは驚くと、更に目の前をピンク色の閃光が走ったのにも驚いて背中からこけた。
 ピーチ達は横を振り向くと、そこにマリカがローズアタッカーに乗ったままの体勢でソニックアローから矢を放っていた。

 
 ピーチ「お姉ちゃん!」


 マリカ「ごめんなさいね。遅れたわ」


 ピーチ達はマリカの元へ駆け寄り、笑みを浮かべる。マリカは申し訳なさそうに謝った。
 ウエスターはナケワメーケの頭にしがみ付きながら立ち上がる。

 
 
 ウエスター「く、くそぅ!プリキュア!さっきのはどう言う意味だ!?」



 ベリー「皆が私達の事を見てるって言うなら、なおさら負けるわけにいかないじゃない!」

 
 パイン「みんな、きっと私達を応援してくれているはず!」


 マリカ「それに応えるのが私達がするべきことよ!」


 ピーチ「みんな行くよ!」


 ピーチの掛け声にベリーとパインは頷く。ピーチ達は右手を掲げた。


 ピーチ「『レッツ!」


 ピーチ・ベリー・パイン「プリキュア!』」


 ピーチ達は名乗りを上げてマリカも何か言おうと考えた結果、ある言葉が思い浮かんだ


 マリカ「アーマードライダーマリカ!・・・ここからは私たちのステージよっ!」

 
 マリカはソニックアローを構えて、高々く名乗る。
 

 ピーチ「おぉ~!カッコイイ!」


 マリカ「そう・・・(よかったわね。紘太)」

 
 千香「怖いよ、ママっ!」


 千香は恐怖のあまり母に抱き着いて、大粒の涙を流す。すると、後ろから看護婦が千香の元へやってきて小型の端末を見せる 
 そこに映っていたのはプリキュアとアーマードライダーマリカだった。


 千香「プリキュア!」 


 [フレッシュプリキュア!フレッシュ!フレッシュ!
 フレッシュ!フレッシュ! はじける(レッツ!)笑顔は無敵!(フレッシュ!)タフなハートで(チェンジ!)バージョンアップ!(フレー!フレー!)]


 ベリー・パイン「タァァアアアッ!」


 マリカ「行くわよ!ピーチ!」


 ピーチ「うんっ!」


 ベリーとパインはナケワメーケ目掛けて勢いよく走り出し手飛び上がり、ローズアタッカーに乗ったマリカとピーチも後から突き進む。
 ウエスターの指示に従ってナケワメーケはアンテナの手から紫色の光線を放つ。ベリーとパインは光線を手で切り裂き、降下しながらナケワメーケに接近する。
 ローズアタッカーで接近するマリカとピーチにも紫色の光線の光線が迫り来る。紫色の光線がローズアタッカーに直撃した、かと思いきや光線は見えないシールドにぶつかってマリカとピーチには当たっていない。
 ローズアタッカーの先端にある緑色のフロントフェンダー、フロントソーンが搭乗者と車体を守るエネルギーシールドを発生させて光線から二人をカバーしているのだ。
 

 [信じることで 夢がはじまる オンステージ スタート!]


 「プリキュアは今、悪い人と叩かってがんばっているのよ」


 千香「うん・・・!がんばれ、がんばれプリキュアーっ!」
 

 千香の他にもテレビを見ている子供たちがプリキュアとマリカに声援をかける。


 [お日様だって 明日を照らすスポットライト フレッシュプリキュア!]


 マリカはローズアタッカーの前輪を引っ張り上げる様にしてナケワメーケの足に前輪を着けると、ハンドルを思いっきり回して加速させてナケワメーケの足をよじ登る。


 ピーチ「うわわわわわ!?」


 ピーチは慌ててマリカの腰にしがみ付き、後ろに引っ張られる重力に耐える。

 
 ベリー・パイン「タァアッ!」


 マリカ「フッ!」


 ベリーとパインは左右対称のパンチをナケワメーケの顔にぶつけ、上ってきたマリカが空中でローズアタッカーの車体を平行にさせ、背中にマウントさせていたソニックアローを手に取り引き金を引いてエネルギーの矢を放つ。
 放たれた矢はナケワメーケの両目の中心に突き刺さり、ナケワメーケは痛がっているのか鳴き声を上げてよろめく

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