春香「やがて老いて死ぬ」(14)

初ssです。
色々と残念な出来になるやもしれませんが、ご勘弁を。

春香『プロデューサーさん』

春香『アイドル活動を始めて、早七年。ついに一軒家を建てることが出来ました』

春香『ちょっと一人暮らしには広すぎるんですけどね』

春香『それで、今度、皆を呼んで、パーティーをやろうと思うんですが』

春香『プロデューサーさんに色々と準備を手伝って欲しくて』

春香『どうですかね?』

春香『……』

春香『ホントですか!? ありがとうございます! プロデューサーさん』

春香『へへ、沢山、買いこんじゃいましたね』

春香『すみません、荷物、そんなに持たせちゃって、重くないですか?』

春香『……そうですか。さすがプロデューサーさん、力持ちですね』

春香『あずささんと買い物に行くときも、持ってあげているんですか?』

春香『あ、顔を赤らめた。何、恥ずかしがっているんですか?』

春香『もう結婚してから三年も経ってるのに、おアツいですね』

春香『え、そういうお前は、って? 何にもありませんよ』

春香『アイドルは恋愛ご法度ですからね。仕方がないです』

春香『ここが私の家です。どうですか』

春香『……』

春香『あ、ありがとうございます。そこまで褒めていただけると少し恥ずかしいです』

春香『でも、私としても本当に気に入っているんですよ』

春香『首都圏にありながらも、沢山の自然に囲まれていて、住み心地が良いですし』

春香『隣家とは離れているおかげで、騒音被害もないんです』

春香『ちょっと駅から遠いのは難点ですけどね』

春香『……え、うらやましい、ですか』

春香『だ、大丈夫ですよ~。だって、プロデューサーさんはこれか――』

春香『いえ、何でもありません』

春香『そ、それよりも、昼食にしましょう』

春香『準備はそれからということで』

春香『味はどうですか? プロデューサーさん』

春香『……』

春香『そうですか。ちょっと不安だったのでよかったです』

春香『お菓子や甘いものには自信があるんですけど、料理はあまりしないもので』

春香『まあ、これからは毎日するつもりですけれど』

春香『え、なぜかって言われましても』

春香『そ、そりゃあ、花嫁修業みたいなものですかね』

春香『あ、笑わないでくださいよ~』

春香『……まったく、もう。かわいい顔するんだから』

春香『ふふ』

春香『あれ、どうしたんですか? 眠くなってきたんですか』

春香『あらら、これから準備しなきゃいけないのに』

春香『……ホントに、プロデューサーさんはダメダメですね』

春香『ふふ』

春香『その虚ろな目、好きですよ』

春香?『……』

春香?『え、もう起きていられない?』

春香?『なら、ソファにでも横になって下さい』

春??『もう動けない?』

春??『なら、そこで目を瞑ってください』

???『大丈夫、目が覚めたら素敵な場所にいますから。だから怖がらないで』

???『おやすみなさい』

 スーツを着た犬。簡単に言えば、それが今の俺の姿。
 鎖の長さは三メートル強。入り口とは反対側にある壁につながれている。
 見える世界は二十畳。どうやら地下らしく、太陽とは三ヶ月ほど挨拶をしていない。

 けれど、正気は保っている。なぜなら、衣食に加え、娯楽もあるからだ。
 まず、テレビがドア側、つまりは正面にある。民間放送に加え、bs放送、ケーブルテレビも見ることができる。
 ゆえに、暇なときは適当にチャンネルをまわしていれば時間がつぶれる。
 
 また、ダンベルやランニングマシーンもある。たまった鬱憤は身体を動かして発散することが出来るのだ。
 汗をかいてもタオルや着替えがあるし、腹が減ったり喉が渇いたりしても、冷蔵庫の中に十分すぎるほどの飲食物があるので、
 気にすることはない。

 その上、定期的に春香が色々な書物を持ってくる。リクエストすれば、それにも応えてくれる。まさに至れり尽くせりだ。
 とはいえ、元の世界に帰りたいのが正直なところ。

 監禁されてから三ヶ月と十日。夜。

春香「ただいまー」

p「……おかえり」

春香「ああ! プロデューサーさん!」

p「ん? どうした」

春香「ワイシャツに短パンじゃないですかー。ちゃんとスーツ着てくださいよ」

p「いや、さっき、それで走ったからさ」

春香「だめです。あなたはプロデューサーさんなんですから、スーツを着ないと」

p「いや、でもさ」

春香「でも、じゃありません」

p「わかったよ。ちょっと後ろ向いててくれ」

春香「あ、ああ! 待ってください、私、一回、外に出ますから」

p「わかった」

p「着替え終わったぞー!」

春香「はい」ガチャ

p「これでいいか?」

春香「はい! イケてますよプロデューサーさん!」

p「そうか」

春香「ふふ、その受け答えもクールでいいです」

p「……ところで」

春香「なんです」

p「そろそろさ、風呂に入りたいんだよ」

春香「それはダメですよ。いつもお湯とタオル持ってきてあげてるじゃないですか」

p「身体拭いてるだけじゃ、もう、いやなんだ。頼むよ」

春香「ダメです」

春香「それは絶対にできません」ニコ

すんません。とりあえず、ここまでどす。
書き貯めあんまないのに、勢いで投稿してしまったとです。反省しとります。

また、夜に続きを書きます。ということで、仕事にいってまいります。


p「……そ、そうか」

春香「すみませんけど、どうしても、その首についているものを取り外すことはできないんです」

p「俺が、逃げるからか」

春香「そうです。まだ、プロデューサーさんは私に懐いてくれていませんから」


 春香は少しさびしげな顔を見せる。
 少し間を空けてから、彼女は口を開いた。


春香「ねえ、プロデューサーさん」

p「なんだ?」

春香「まだ、あずささんのこと気になります?」

p「そ、そりゃあ、気になるさ。早く顔を見せてやりたい」

春香「そうですか。どうしても、忘れられないのですか?」

p「お前には悪いが、そうだ。忘れられるわけがない」

p「だって、あいつは俺の妻だからな」

春香「……」


p「なあ、春香。お前がこうして、俺を閉じ込める理由は何なんだ?」

春香「それは、何度も言いました」

春香「一に好きだから、二に独占したいから、三に私を好きになってほしいから」

春香「ただ、それだけです」

p「だからって、こんなことしなくても」

春香「いえ、こんなことをしないとプロデューサーさんは私のものには出来ないんですよ」

春香「もう、そうでもしないと取り戻せない」

春香「私はもう、十分すぎるほど、お金は稼ぎました。あと必要なのは」

春香「プロデューサーさん、あなただけなんです」


 真摯な目が俺を捕らえる。
 だが、ここははっきりというべきだろう。
  

p「でもな、春香」

春香「なんでしょう」

p「どんなことをされたとしても、俺はお前のものにはならないよ」


春香「そうでしょうか?」

p「そうだとも。現に三ヶ月経ったが、俺は、心変わりなどしていない」

春香「そうですね」

p「だろう? なあ春香。今ならまだ、戻れるんだからさ。こんなことやめよう」

p「監禁されていたなんて俺は決していわな――」

春香「なに言ってるんですか?」

p「え」

春香「こうなるのは、計算のうちなんですよ」

春香「今まで、私は、プロデューサーさんに対して、甘やかしていたんです」

春香「直接的には一切触れず、ものを与え、堕落させてきたんですよ」

 
 春香の口元が歪む。


春香「これからが本番」

春香「プロデューサーさんは、きっと、私をほしがるようになるんですよ」

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