ハルヒ「宇宙人さんに未来人さん、超能力者さん、異世界人さん」 (20)

暑い!としか言いようのないような、そんな春の面影すらないような、春の日のこと。

俺は幼稚園の入園式に来ていた。

入園式は見るからにヅラを被っていそうな、

雰囲気の漂う先生の話を聞き、終わった。

そして俺達はクラスに移動した。

先生「入園おめでとうございます。今日は皆に自己紹介をしてもらいます」

谷口「センセージコショーカイッテナニー?」

キョン「お前は自己紹介も知らないのか?自分の名前とかを、相手に伝えるんだよ」

谷口「そうなんだぁ、教えてくれてありがとう」



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そんなこんなで自己紹介も、半分近く終わり、俺の版に近づいていた。

先生「次は...キョン君ね」

キョン..というふざけたあだ名は、もう先生にまで広まってしまったのか。

谷口の奴が、俺の名前を聞いた途端にそのあだ名を付けたのだ。

恥ずかしいったらありゃあしねぇ。

キョン「やれやれだ」

俺は自己紹介をするために、前に出て一言こう言い放った。

キョン「コードネームはキョン...以上だ」

唖然、絶句などの言葉で表すのが正しいのだろうか。

それ程までに教室は静まり返っていた

先生「す...素晴らしい自己紹介ね...次はハルヒちゃんよ」

ハルヒ「涼宮ハルヒです..宇宙人さんに未来人さん、超能力者さん、異世界人さんを探しています。 このクラスにいたら来てください」

何を言ってるんだこいつは?そう皆思っただろう。

そんなものいるはずないだろう、宇宙人に未来人に超能力おまけに異世界人だって?

こりゃあイかれてやがるぜ、普通ならイジメの対象になるであろう、この涼宮ハルヒは、凄まじい程の美人だった。

少しばかり頭はおかしいが、その美貌は、園児である俺にとっては恐ろしく魅力的だった。

せっかくだから話しかけてみるか。

キョン「な...なあハルヒちゃん?あのさ..あの自己紹介どこまで本気なんだ?」

ハルヒ「ぜ..全部..」

キョン「そ...そうか、宇宙人とか未来人とかは、多分いないと思うんだがな」

ハルヒ「っ...絶対いるもん!」

キョン「おいおい...きれるなよ俺はそのおかしな考えを、直してやろうと思っただけなんだけどな...」

ハルヒ「なによ...自分だって、あんただって..自分のことコードネームとか行ったくせに」

ハルヒ「やーいやーいコードネームー、コードネームキョンー」

キョン「やめて..やめてくれぇ...うわぁぁ」

ハルヒ「ふん..いいもん他のクラスにも広めてくるもん!」

そう言ってハルヒちゃんは、走って自己紹介中の教室を飛び出した。

そのハルヒを俺は追いかけた、本気で走っても追いつけない、それどころか少しづつ離されていく。

運動神経抜群、容姿端麗、ステータス的に園児としては既に能力値がカンストしている。

キョン「ま..まちやがれぇっ!」

いま思えば。これが始まりだったのかもしれない。

俺の非日常的幼稚園生活が、始まろうとしていた。

ハルヒを追いかけ続けて約15秒、遂に奴が立ち止まった。

そしてハルヒはこちらを見つめた。

キョン「な...なんだょ..」

ハルヒはその問いには答えず、卓越したその運動能力で俺の後ろをとった。

この時点でおれは行き止まりに突き当たっていたため、ハルヒに閉じ込められた事になる。

ハルヒ「キョン君...宇宙人って本当にいないの...かな?」

ハルヒは、少し寂しそうな顔をすると、それを悟られまいとしていた。

キョン「い..いるんじゃねぇのか?」

キョン「さっきは、いないとか言ったけどいるかもしんねぇな、否!..絶対にいる!」

ハルヒ「いる...よね?いるよね!やったぁ」

無邪気に笑うハルヒを見て恋心を抱かない幼稚園児がいるだろうか、恐らくいないだろう。

少し間が空いてから、ハルヒの指が俺の腕を突ついていることに気がついた。

ハルヒ「キョン君は、宇宙人とかの事信じてるんだよね?じゃあね、私と一緒に探さない?」

探さない?と言われても、今一つピンと来ない俺だったが、この美しいハルヒと接点が持てるのなら俺は喜んで了承しよう。

キョン「いいぜ、一緒に探そうじゃないか」

ハルヒ「うん!」

宇宙人なんて空想上の物を探すなんて、俺もまだまだガキだな、

やれやれだぜ。

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