凛「おかげで凛ひとりだから暇だったにゃー……」ｸﾞﾃﾞｰ

ことり「え、じゃあ花陽ちゃんはお休み？」

凛「お米買ったら戻ってくるって言ってたよ」

ことり「そっかぁ」

凛「……はぁ」

ことり「ため息つかないでよぉ」

ことり「この折り紙は？」

凛「かよちんのだよー」

ことり「え、花陽ちゃんの？」

凛「うん。かよちん、実は折り紙上手なんだー」

ことり「えぇっ、そうなの？」

凛「あんまり人には言ってないみたいだけど」

ことり「ことりも今知ったよー」

凛「待ってる間なんか作ろうと思ってたんだけど、凛こういうの苦手だったにゃ……」

ことり「あはは、そうなんだ」

凛「ことりちゃん、なんか作ってみる？」

ことり「いいの？」

凛「大丈夫だと思うよ」

ことり「じゃあちょっともらっちゃお」

ことり「……」ﾓｸﾓｸ

凛「……」

ことり「……」ﾓｸﾓｸ

凛（あれ、これ凛は結局ひまじゃないかにゃ？）

ことり「……」ﾓｸﾓｸ

凛「……」ｳﾄｳﾄ

花陽「ただいま戻りました！」ﾊﾞｧﾝ

凛「」ﾋﾞｸｯ

ことり「」ﾓｸﾓｸ

凛「か、かよちんっ！？　びっくりしたぁ……」

花陽「凛ちゃん！　机の上、早く片付けて！」

凛「え……え？　なんでにゃ？」

花陽「いいから、早く！」

凛「わかったにゃ！」

ことり「……よし、できたぁ」

花陽「ほら、ことりちゃんも！」

ことり「あ、花陽ちゃん。おかえり」

花陽「うん。早く片付けて」

ことり「……ん？」

花陽「今年は日射量が不安だったけど」

凛「にっしゃ？」

花陽「何事もなくこの季節がやってきた」

ことり「秋って紅葉がきれいだよねぇ」

凛「凛はスポーツがしたくなってくるにゃ」

花陽「そんなのは二の次だよ！」

凛「」

ことり「」

花陽「いい？　皆が頑張れるのはおいしいお米のおかげなんだよ？」

凛「か、かよちん？」

花陽「いつも何気なく食べてるごはんだけど、練習に耐える力にもなってくれる大事なものなんだよ」

ことり「花陽ちゃん……？」

花陽「まして秋は実りの季節。新米が食卓にやってくる大事な季節」

花陽「今日は皆においしいごはんをごちそうするね」

ことり「あれ？　でも炊飯器あったっけ？」

花陽「……っ！」

凛「そういえば、この前使った後どうしたかにゃ？」

ことり「たしか花陽ちゃんが持って帰ったんじゃないかなぁ」

花陽「そ、そうだった……」

花陽「小泉花陽、一生の不覚です……」

花陽「ついさっき精米したばかりの新米を……」

花陽「いつもわたしを助けてくれるみんなに食べてほしくて……」

花陽「せっかくごはんにあう海苔も用意したのに！」

花陽「くっ……白いご飯が大好きと言っておいて、炊飯器を用意していないだなんて」

花陽「もうわたしなんてっ！」

凛「だ、大丈夫だよ、かよちん！」

ことり「うん。また今度、楽しみにしてるねっ」

花陽「ごめんね……今度はごはんにあうおかずも用意してくるから！」

ことり「じゃあ、みんなが来るまで折り紙で遊ぼうよっ」

凛「凛もがんばるにゃー！」

花陽「それは？」

凛「かよちんが置いていったやつだよ」

花陽「あ、ううん。それはわかってるんだけど」

ことり「見て見て、花陽ちゃん。さっきおにぎり作ってみたんだぁ」

凛「おぉ、ことりちゃん、上手だねぇ」

花陽「さすがことりちゃん、器用だね！」

ことり「えへへ、ありがと」

花陽「わたしも負けてられないね」

凛「……ん？」

花陽「うん、見ててよ凛ちゃん。本物にも負けないくらいおいしそうなの作るから！」

ことり「じゃあことりももう一個作ろーっ」

花陽「……」ﾓｸﾓｸ

ことり「……」ﾓｸﾓｸ

凛（二人とも黙ったら、凛ひまじゃん）

花陽「」ﾓｸﾓｸ

ことり「」ﾓｸﾓｸ

凛「」ｳﾄｳﾄ

凛「……」ｽｰ

花陽「……よし、できた」

ことり「ことりもできたよ」

花陽「……あれ、凛ちゃん寝ちゃった？」

ことり「ほんとだ……夢中になってて気づかなかったよ」

凛「……」ｽｰｯ

花陽「ねぇ、ことりちゃん」

ことり「……ここでは、だめ」

花陽「まだ何も言ってないよ」

ことり「今日は、うち、だれもいないから」

花陽「……わかった」

ことり「……さ、凛ちゃん起こさないと」

花陽「凛ちゃん、起きて」

凛「ん……にゃ？」

ことり「おはよ、凛ちゃん」

凛「うん……」ｺﾞｼｺﾞｼ

花陽「見て、凛ちゃん！」

凛「！　お、おにぎりにゃ！」

ことり「あはは。凛ちゃん、よく見て」

凛「ん？」

花陽「これ折り紙だよ」

凛「あっ、ほんとだ！　かよちんすごいにゃ！」

ことり「ことりのはちょっと形が崩れちゃった」

凛「かじったあとみたいだね」

海未「……何をしているのですか？」

凛「あ、海未ちゃん！」ｷﾞｭｰｯ

海未「凛、くっつかないでください！」

凛「あー！　海未ちゃん照れてるにゃ、顔赤いよぉ」

海未「後にしてください！」

凛「じゃああとでゆっくり楽しむにゃ！」

海未「あっ……そ、それより、そろそろ練習始めますよ！」

花陽「だってよ、ことりちゃん」

ことり「うん、今行く……あぁ！」

花陽「どうしたの？」

ことり「花陽ちゃんの衣装がひらめいたのっ」

花陽「えぇっ、そんな急に！？」

ことり「うんっ。今度作ってくるから楽しみにしててね！」

――終わり