女勇者「人が倒れてる…」 侍「」 (113)

女勇者「みんな!人が倒れてるよ!」

女戦士「なんだこのおっさん…死んでんのか?」

女騎士「いえ…息はあるようです」

女剣士「そんな得体の知れない奴ほうっておけばいいだろう」

女勇者「なんてこと言うの!私たちが人助けしなくてどうするのさ」


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女勇者「大丈夫ですか?あの…」ユサユサ

侍「…会稽に御座る!」ガバッ

女勇者「きゃっ!?」ビクッ

女騎士「大丈夫ですか勇者!」

女勇者「う、うん、大丈夫だよ」

侍「………此処は…」

侍「む?御主らは…一体何者に御座るか」(うひょっwww滅茶苦茶可愛い娘がいるでござるwww)

女戦士「なんか偉そうなおっさんだな」

女剣士「人に名前を尋ねる時は…」

侍「此れは失礼仕った、某は侍と申す者に御座る」

女勇者「私たちは…━━━━」




侍「成る程、魔王を討たんがため旅を…」

女勇者「うん!私たちは女神の加護を受けた聖女だからね」

侍「…」

女剣士「それにしても…口調といい服装といい妙な男だ…」

女戦士「あたしよりでかい野郎ってのも久し振りに見たな」

女騎士「髭も延びっぱなし、身なりも小汚ない…山賊の類いでは?」

侍「然れども…いかに聖女殿とは言え女子供に討ち入りを命ずるとは…」

女勇者「私だって訓練は受けたし心強い仲間も三人もいるし、それに人の世のためなら命だって惜しくないよ!」

侍(うう…こんなに健気で可憐な娘をたった三人のお供だけで…某激おこでござる!)

侍「然りとて御付きが女三人とは…」

女戦士「なんだ?あたしらじゃ力不足だってのか?」ギロッ

侍「否、そうでは御座らぬ、只々其の国の気骨の情けなき様を賤しみにて候」

女騎士「貴様!我が王国を愚弄するか!」キッ

女剣士「頭にくる言い様だな…もう一度眠るか?」チャキ

女勇者「ちょっ!?ちょっとみんなやめなよ!ほら侍さんも!仲良くしよ!」アタフタ

侍「某は偏に事実を述べたまでに御座る」(焦る勇者ちゃんも可愛いでござるwww)

女戦士「てめぇ…もう謝っても遅ぇぞ…!」

女剣士「少しお仕置きが必要だな」

侍「某と遣り合おうと…承知、稽古をつけて進ぜよう」スラァ

女騎士「覚悟っ!!」ザッ

女勇者「ああっもうっ!」





侍「…安心されよ峰打ちに御座る」チャキン

女勇者「え…?」

女戦士「ぐっ…!」

女騎士「…かはっ!?」

女剣士「っ…!」

侍「然し此の程度で御座るか…酷く落胆させられ…ん?」

女勇者「…」ジーッ

侍(しまった!勇者ちゃんの好感度激落ちかも?でござる!)

侍「む…されど女の身で在らば十分…」

女戦士「っせぇ!あたしらはこの国じゃ一番強ぇんだ!それがお前みたいな奴に…!」

女騎士「我ら聖女が三人がかりでこうも…」

女剣士「全く…歯が立たない…」

侍「むぅ…其は失礼した」(うはwwwこの国武人のレベル低すぎでござるwww)

女勇者「あ、あの!」

侍「何で御座ろう」(勇者ちゃんから話しかけてきたwwwこれは脈ありでござるなwww)

女勇者「あの…私たちの師範になってください!」

侍「え?」

寝る

一応酉

女戦士「勇者!お前本気で言ってんのか!?」

女勇者「もちろん!」

女騎士「こんな素性の知れない相手に…?」

女剣士「しかし…奴が恐ろしく精強なのもまた事実だ…」

女騎士「ですが彼が魔王の手先…というおそれもあります」

女戦士「それだ!魔王があたしらを嵌めるための罠に違いねぇ!」

女勇者「でもほんとに魔王の手先ならさっきので三人とも死んでたんじゃ…」

女騎士「…確かに…罠にかけずとも彼なら私たちを殲滅することなど容易いはず…」

女戦士「ぐうっ…!」

女剣士「一つ気になる…あれほどの手練れがこんな道の真ん中で気絶していた理由はなんだ」

女勇者「それは…」

女騎士「その件に関しては本人も話したがらない様子でした」

女戦士「ほら見ろやっぱり怪しいじゃねぇか!」

女勇者「でもさ…あの人が魔王の手先だったとしたら魔王はあの人よりずっと強いことに…」

女戦士「あー…」

女剣士「正直…あまり考えたくないな…」

女勇者「どちらにしても一か八か賭けてみるのは悪くないと思うんだ」

女勇者「仮に侍さんが魔王の手先でなかったとしても魔王は私たちが考えるよりずっと強いかもしれない」

女勇者「ならやっぱり一人でも強い味方は欲しいし私たちも強くならなくちゃ」

女戦士「…うぅ」

女騎士「…私は勇者に従います」

女剣士「まぁなるようになるさ」

女戦士「だあ!わかったよ!だが認めたわけじゃねぇからな」

女勇者「よし!なら決定だn」

侍「あいや待たれよ」

女勇者「あ、侍さん…なんですか?」

侍「某…未だ承諾した訳では御座らんが…」

女勇者「え?ダメなんですか…そりゃそうですよね…いきなり斬りかかっておいて…」オズオズ

侍「ダメなわけないでござるよwww師弟愛というのもなかなかwww」(其処まで謂われれば致し方無し…)

女勇者「え?」

侍「あいや…何でも御座らん、某で宜しければ厳に指南して進ぜよう」

女戦士「…あたしやっぱりあいつに教えを請うの嫌だ」

女剣士「…もう遅い」

女勇者「それじゃ師範!早速特訓しましょう!」

女戦士「なんかノリノリだな、勇者の奴…」

女剣士「いや、私も結構楽しみだ」

女騎士「まぁ彼が何者かはともかく腕は確かですからね」

女戦士「…ううー…」

侍「いえ本日は…他の聖女殿らの怪我の事も御座る故又の日に」

女勇者「えー!?」

女戦士「なんだよ、やっぱ自信無いんじゃねぇの」

侍「否、空を仰がれよ」

女騎士「…あと半時もあれば日が落ちますね…」

女剣士「まずいな…宿どころか町も見つかってないぞ…」

侍「幸い雨も降らず風も弱い…其辺に小川も幾分かの糧食も御座る故露営の仕度を致しませう」

女勇者「えー野宿かー…」

ホー…ホー…

女勇者「じゃあ改めて…これから旅の仲間兼私たちの師範となる侍さんです!拍手!」パチパチ!!

侍「宜しく御頼み申す」

女戦士「…ふん」

女騎士「…」パチパチ

女剣士「…」

女勇者「リアクションが小さいよ!」

侍「いや照れますな」(相変わらず勇者ちゃんは良い子でござるwwチュッチュしたいでござるwww)

女勇者「…こういうときはお酒の力で無理矢理仲良く…」ゴソゴソ

女戦士「はいはい没収だ」ヒョイ

女勇者「あぁん!」

女騎士「いつの間にこんなものを…」

女剣士「お前はまだ飲めないだろうが」

女勇者「だってぇ…」

女戦士「ま、これはあたしらが頂くとするか…」

女戦士「…おっさんもやるか?」

侍「此れは忝い、頂き申す」

パチパチ…

侍「…」

女戦士「ぐごおぉぉ…」

女騎士「Zzz…」

女剣士「スー…スー…」

侍(魔王…)

女勇者「…」





勇者「え?試合?」

女戦士「おいおい手合わせならこれまでも何度も…」

侍「口返答は許さぬ」

女戦士「む…」

女剣士「ふっ…」

女騎士「なかなかスパルタですね」

侍「各々三度相手を変え取り組め!時は三刻、始め!」

勇者「はあっ!てあっ!」ザッ

侍(まだまだ幼く小さい…だが発展途上、伸び代は大きいでござる)

女剣士「ふん…まだまだだな勇者」スッ

侍(そこそこと言ったところか…が、形は良いし成長も見込めるでござるな)

女騎士「戦士!手加減は無用ですよ!」ズバッ

侍(隠れてはいるが…かなりのモノを持っているでござるな…よしよし)

女戦士「お前相手に手加減してる余裕なんてねぇよ!」ズアッ

侍(………デカい…いやほんとバインバインでござる)

女戦士(…なんかやらしい視線を感じるな…)

侍「其処まで!」

女勇者「ひやぁ~疲れた~」ヘタッ

女戦士「なんだなんだ?体力ねぇなぁ」

女騎士「貴女と比べれば大体の人が体力無い方になりますよ」

女剣士「勇者は相変わらず神託を受けてる割りに私たちの中で一番弱いな」

女勇者「ふん!師範の訓練ですぐに追い抜くもん!」

女騎士(私たちも同じことするんですから差は…)

侍「むぅ…」

女勇者「師範!次は何するの?」

侍「いや…本日は仕舞いで御座る」

女勇者「え?」

女戦士「はぁ?」

女騎士「これじゃあこれまでの修練変わらない…いえそれどころか短くなってます」

女剣士「いま内心喜んだろ勇者」

女勇者「そ!そ!そんなことないよ!」

侍「某を信じなされ、何未だ未だ時間は有り申す」

侍「其に強く成るだけでなく先へ進むも大事な使命に御座ろう」

また明日





女勇者「あ!町が見えてきたよ!」

女騎士「あの町は確か…鍛冶で栄えている町ですね」

侍「ほぅ…」

女戦士「まぁあたしらには関係無いだろ」

女剣士「ああ、今の武器で満足している」

侍「…」

女勇者「それじゃあまずは何しよっか」

女剣士「私はとりあえず宿をとってくる…」

女戦士「ならあたしらは適当に買い物にでも行くかね」

女騎士「そうしましょうか、勇者もついてきますか?」

女勇者「うーん私は…侍さんはどうするの?」

侍さん(デュフフwwwデートフラグですかなこれはwww)

侍(しかし…)

侍「いえ…某は致す事が御座る故」

勇者「そっか、残念だな…行こっか戦士、騎士」

女剣士「ではそれぞれやることが終わればここに集合すること…いいな」





侍「さて…」

侍「…御免」ガチャ

刀鍛冶「はいよ」カーン…カーン

侍「刀を手懸ける鍛冶屋とは此処に御座ろうか」

刀鍛冶「ああ、この町じゃ刀なんぞ置いてるのはこの店くらいだ」カーン…カーン

刀鍛冶「俺は刀鍛冶だっつってるのにやれ桑はないかやれ剣はないか…」カーン…カーン

刀鍛冶「店には並べてあるが売れたことは一度もねぇ…」カーン…カーン

侍「然れど相当の業物揃い…」

刀鍛冶「売れはしねぇが腕には自信があるからな」ジュー…

侍「…」

刀鍛冶「へっ…こっちに来て初めてだな、あんたみてぇのは」

刀鍛冶「気に入った、俺の一番の傑作を半額でくれてやるよ」

侍「む、其れは有難い」





女勇者「買い物と言っても…あんまり楽しめないね…」

女騎士「ええ…どこへ行っても売ってるのは武器や農具や何に使うかもわからない金具ばかり…」

女戦士「そうか?あたしは結構楽しいけどな」

女騎士「…」

女剣士「あ、お前ら」

女勇者「あ、剣士!宿はとれた?」

女剣士「うーん…一応とれたはとれたんだが…」





侍「む…此れは某が最後に御座ったか」

女勇者「あ、侍さんお帰りなさい」

女戦士「なんだぁ?その荷物」

侍「其の答えは明日まで取り置くで御座る」

女戦士「そんな言われ方されたら余計気になるっての」

女剣士「それじゃあ宿に行こうか…」





宿屋「あ~はいはいさっきご予約された」

女剣士「ああ」

宿屋「二階の突き当たりの部屋だよ」ジャラ

女騎士「ひ、一部屋なのですか!?」

女勇者「?これまでもそうだったじゃない」

侍「勇者殿、恐らくは某が…」

女戦士「なんだそんなことかよ、気にしすぎなんだよ騎士は」

女騎士「し、しかし独り身の男女が同じ部屋で一夜を過ごすなど!」

女戦士「同じ部屋っつってもベッドは別だろ」

女剣士「それなんだが…」

女勇者「うわー…おっきなベッド!」

女戦士「あー…大きいのは大歓迎なんだが…」

女騎士「なんで二つしかないのですか!?」

女剣士「ここしか空いてなかったんだ仕方ないだろ…」

女戦士「どうやって寝るんだよ…」

女勇者「お風呂行こうよ!お風呂!」

侍「其れを決めるは後でもよかろう、今は勇者殿の意向に従うが良しに御座ろう」

女勇者「うーん…二日ぶりのお風呂は良いねぇ」

侍(うひひwwwここの主人を聞いたらやっぱりあったでござるwwwのぞき穴www)

女騎士「やっぱりベッドは…誰かがあれと…」ブツブツ

侍(いやいや丸見えでござるなぁwww役得役得www)

女剣士「ふぅ…」

侍(くぅ~
www某の下半身も収まりがつかないでござるwww)

女戦士「かぁ~!全身に染み渡るなおい」

侍(あれだけ大きいのに色気がないのも珍しいでござる…)

女勇者「うーん…二日ぶりのお風呂は良いねぇ」

侍(うひひwwwここの主人を聞いたらやっぱりあったでござるwwwのぞき穴www)

女騎士「やっぱりベッドは…誰かがあれと…」ブツブツ

侍(いやいや丸見えでござるなぁwww役得役得www)

女剣士「ふぅ…」

侍(くぅ~
www某の下半身も収まりがつかないでござるwww)

女戦士「かぁ~!全身に染み渡るなおい」

侍(あれだけ大きいのに色気がないのも珍しいでござる…)

女戦士(…やっぱりやらしい視線を感じるぜ)

くそ連投しちまったし便秘ウンコひり出してくる

侍「いやはや、いい湯に御座った」

女剣士「男の癖に長風呂なんだな…」

侍「申し訳御座らん」(あんな目に毒なモノを見ていれば長くもなりもうすwww)

女戦士「さて…それでベッドの件なんだが…」

女騎士「た、体格のいい二人が一つのベッドを使い他の三人でもう一つのベッドを使うのがいいと思います!」

女剣士「確かに…それが一番合理的だな」

女戦士「ちょっと待て、それじゃ強制的におっさんとあたしになるじゃねぇか!」

女騎士「嫌なんですか?」

女戦士「当たり前だろ!なんか臭そうだし!」

侍(戦士ちゃんも結構臭いそうでござるがwww)



女戦士「それにお前だってあたしほどじゃないけど結構ガタイあるだろ!」

女騎士「それでも女性の規格内です、貴女と一緒にしないでください」

女戦士「おまっ!それどういう意味だ!」

女勇者「そんなに嫌なら私が…」

女戦士「それはダメだ」

女勇者「な、なんでさ!」

女剣士「そもそも一番小さいお前じゃ意味ないだろ」

女騎士「…」

侍(あれ?某ってマジで信用されてない?) 



糞して寝る

侍「仕方無し…某は床で眠るに御座る」

女戦士「え?」

女勇者「そ、そんなの悪いよ!」

侍「何、屋根の下で眠れるだけでも上々」

女騎士「そ、それならば有りがたく…」

女勇者「騎士っ!」

女剣士「本人がいいって言ってるんだ、それでいいだろう」

女勇者「むー…」

侍「明日の稽古は骨が折れるはず…確り休まれよ」

チュンチュン

女勇者「くぁ~…よく寝た…」

女騎士「おはようございます勇者」

女勇者「おはようみんな」

女戦士「さ、早く用意しろよ外でおっさんが待ってる」

女勇者「え?まだ朝ごはん食べてない」

女剣士「朝飯の前にやることがあるらしい…」

女勇者「え~」

侍「む、漸く…」

女戦士「悪いな遅れちまった」

女騎士「で、こんな朝早くからすべきこととは?」

侍「其れで御座るが…一先ず聖女殿らの得物を寄越してはくれぬか」

女剣士「私たちの武器を…?」

侍「あい、その通りに御座る」

女勇者「それは必要なことなの?」

侍「勿論に御座る」

女勇者「それなら…仕方ないよね」カチャカチャ

侍「ふむ…先ずは騎士殿…」

侍「其れなりに大振りながらも洗練された両刃の剣…結構な業物に御座るな」

女騎士「当前です、我が王より賜った王家伝来の剣ですから」

侍「其れは其れは…」

侍「む…此方の二振りは…細身の刃に美しい装飾…人の手による物には御座らんな」

女剣士「私の剣はエルフの鍛えた物だ…そこらのなまくらと一緒にするなよ」

侍「エルフに御座るか…うむ」

侍「そして此の巨大な剣が…」

女戦士「あたしのも騎士や剣士に負けてねぇ!なんたってワルキューレが振るったって伝説があるんだからな!」

侍「ワルキューレ…ほぅ」

女勇者「ね!私のは?」

侍「そうですな…勇者殿の得物は…」

女戦士「そういや勇者のだけ特に逸話もないんだよな」

女剣士「自分の家の物置から持ってきた剣だものな…」

女勇者「そ、そんな言い方しなくてもいいじゃない!」

女騎士「しかし勇者にはそれだけ武器を選ばぬ素質があると言えます」

女勇者「え?そうかなぁ///」

侍「…」(これは…)

侍「………」

女勇者「?なにか問題でもあった?侍さん」

侍「いえ…然れど良い剣で在ることは間違い御座らん」

女勇者「ほんと!?やったー!!」

女剣士「…武器を見るためだけに私たちを呼んだのか?」

侍「勿論其れだけでは在り申さぬ」

侍「此れから聖女殿らの得物を某が一時預かり申す」

女戦士「は!?ちょっと待てよそれじゃああたしらはどうやって戦えば…」

侍「代わりに此れを使ってもらい申す」ジャカ

女騎士「これは…」

女勇者「侍さんの武器と似てるね」

侍「先ずは騎士殿」

女騎士「は、はい」

侍「御主にはこの太刀を使ってもらい申す」

侍「剣士殿、御主には此れを…二刀流で在らば小太刀に限ろう」

女剣士「…」

侍「戦士殿には此の野太刀を」

女戦士「長ぇ剣だな…」

侍「最後に勇者殿に此の打刀を…」

女勇者「わ!かっこいいねこれ!」

侍「勇者殿以外は某の使い古しで申し訳御座らんが…」

女騎士「はぁ…」

女戦士「おっさんは何使うつもりなんだよ」

侍「某実は刀でなく槍の使い手なので御座る」

女剣士(私たちとやりあった時は槍じゃなかったよな…)ブルッ

女勇者「でもさ、武器変えてなにか意味あるの?」

侍「其れは今からその刀を振るってもらえば分かり申す」

女騎士「む…!?」グッ

女戦士「重っ!?」ググッ

侍「一見細身で在ろうと元の得物より長くよく鍛えられている…体感で在らば圧倒的で御座ろう」

女剣士「しかも片刃だから取り回しが…」

侍「見目で判断するは愚者の為す事、只力のみにて振るうも愚かし」

勇者「お!見て!私の手には馴染んでるよ!」シュッシュッ

侍「ふむ良きかな…他の者も勇者殿を見習うが良い」

女戦士「ちくしょう…あたしが勇者を見習えと言われるなんて…」

ドーン!…ワーワー

侍「む…!」

女勇者「なんだか門の方が騒がしいね…」

女騎士「一体なにが…!」

番兵「魔物たちが攻めてきた!!600はいるぞ!」

衛兵「市民を避難させろ!!急げ!」

女剣士「勇者!」

女勇者「うん!行こう!」

侍「まだ朝飯が済んでないで御座るが…」

女戦士「んなモン後だ!さっさと行くぞ!」

侍「むぅ…」

隊長魔物「さっさと門を破っちまえ!ウスノロども!」

隊長魔物「せっかく奇襲が成功したってのに…門なんぞに時間かけちゃ意味ねぇだろうが!」

部下魔物「そうは言うだどもすんげぇ固い門ですだよ」

隊長魔物「かぁ~情けねぇ!どけ!俺様がぶち破って…あん?」

部下魔物「も、門の上から誰か降ってきただよ!」

隊長魔物「馬鹿が!たった一人でどうするつもりだ!さっさと始末しちまえ!」

部下魔物「わ、わかっただよぉ!」

女勇者「…」

女剣士「…」

女騎士「…一人で行っちゃいましたね…」

女戦士「この外壁を跳び越えるなんて…あいつほんとに人間か?」

女勇者「…えと…私たちはどうしようか…」

女剣士「!…待て、門が開くぞ」

女勇者「ええっ!?もしかして魔物が!」

ゴゴゴゴゴゴゴ…ガタン

侍「敵は壊滅、逃げ遂せた者が八十といったところで御座るな」

女勇者「あ…はい…お疲れ様です」

女戦士「いやいやいや…まだ10分とたってねぇぞ…」

侍「戦の後の飯は格別!さぁ飯屋へ行きませう」

衛兵「な…何者だ一体…」



侍「ふぅ…此処の食事は今一に御座るな」

女戦士「バカスカ食いやがって…遠慮ってもんがねぇのか」

女剣士「お前が言えた義理ではないだろう…」

女騎士「それにしても…侍様、ああも一人で突出なさるのはいかがなものかと…」

女勇者「そうだよ!せっかく武器を変えての初めての実戦だったのに」

侍「一兵の実戦経験など綿密な鍛練の前には何の役にも立たぬ」

女騎士「しかし実戦経験は大事では…」

侍「馬鹿を申されるな、実戦で培われる物など殺しへの慣れ程度に御座る」

侍「人に対しはどうか知らぬが御主らももはや魔物の首を取るに臆す事は在るまい」

女剣士「それはそうだが…」

女勇者「ま、ま、良いじゃない被害もなかったし」

女戦士「こいつの言うことは道理が通ってんのかないのかわかんねえわな」

衛兵「すまん…ここに勇者様御一行が居られると聞いたのだが」

店主「ああ、んだらあちらの方々のこったでないかね」クイッ

衛兵「ん?おお!」

女戦士「おい呼ばれてるぜ勇者」

女勇者「ふふふ…私も有名になったもんだねぇ♪」

衛兵「いやいや探しましたぞ勇者様!先ほどは助太刀頂きありがとうございました!」

侍「む?某に御座るか?」

女勇者「…」

女騎士「完全に勘違いなさってますね…」

女剣士「まぁ正直しょうがない…」

女戦士「さっきのはどう見てもおっさんが勇者だったからなぁ」

女勇者「…」

侍「すまぬが…実は勇者殿とは其処の…」

衛兵「え?」







衛兵「先ほどは失礼いたしました…こちらが領主様の屋敷にございます」

女勇者「いいよ…どうせ私は期待はずれの勇者だし…」

侍「意地の悪い事を言うで無い勇者殿」

女戦士「ま、さっさとお礼だけ貰ってこの町出るに限るな」

衛兵「ささ、どうぞお入りください」ガチャ

領主「これはこれは勇者様!よくぞ御越しくださった!いやはやなんと勇壮な出で立ち!…そちらの方々は娘さんかな?」

衛兵「領主様…実は…」カクカクシカジカ

領主「む!いやいやこれは失礼した!そちらの娘さんが勇者様でしたか!」

女勇者「…」

女騎士「我慢ですよ…」

領主「部下から聞いておりますぞ!なんでも魔物の襲撃から我が町をお守りくださったとか!」

女勇者「ええまぁ…」

領主「これは礼をせねばなるまいと思いましてな!少ないとは思いますがこちら路銀を用意させて貰った!お受け取りくだされ!」

女勇者「はぁ…ありがとうございます」

侍「中々に太っ腹な御仁に御座るな」

領主「では貴殿方の旅の行く末を案じておりますぞ」







女戦士「今回は当たりだったな」

女剣士「何時もならあそこで『実は一つお願いが…』なんて言われるところだ…」

女騎士「勇者は少し納得していないようですが…」

女勇者「そりゃ私が一番弱いのは確かだけどそれでもあそこまであからさまに間違えるかな…」ブツブツ

女戦士「ありゃ明日まであのままだな」

女騎士「そう言えば侍様のお姿が見えませんが…」

女戦士「あれ?町出た時はいたよな」

女剣士「いたぞ…あんなところに」

女戦士「いつのまに…」

女騎士「ん?なにか連れてますね」

侍「いや失敬、面白い者が居たのでつい離れてしもうた」

隊長魔物「放せ!こら!なんのつもりだ化け物野郎!」ジタバタ

部下魔物「ひいいいいい!!!やめてほしいだよ!!おら食っても美味くねぇだよ!!!」バタバタ

女戦士「魔物じゃねぇか!?そんなもん捕まえて来たのか!」

侍「気配がしたので藪を突いた次第…恐らく今朝の残党と言った処に御座ろう」

女騎士「それで…彼らをどうするつもりですか?」

侍「彼の町に此奴等が襲い来たときまるで煙のように何処からともなく現れたそうな」

女剣士「つまりこの近くに人の知らない抜け道があると…」

侍「然り、故に此奴等を縛り上げ場所を吐かせようかと」

部下魔物「ひいいいいい!!!」

隊長魔物「く…!腐っても俺は偉大なる魔王様の配下!人間ごときに話すものか!」

部下魔物「おおおおらは話すだよ!!だから痛いのはやめてくんろ!!!」

隊長魔物「おい!?」

侍「左様か、早速話してもらおう」



部下魔物「…で、そこから東へ少し行けば抜け道があるだよ」

隊長魔物「お前…!」

女騎士「なるほど…確かに地図にもその当たりに妙な空白が有りますね」

女戦士「本当みたいだな」

部下魔物「こ、これで逃がしてくれるだか?」

侍「御苦労御苦労今楽にして進ぜよう」

部下魔物「ああ…やっと帰れるだよ…」

ズシュ

部下魔物「」ドサッ

隊長魔物「なっ…!なぜ殺した!?」

侍「端から逃がす等と申しては御座らんが…最後の言葉は其れで宜しいか?」

隊長魔物「…くそっ…!くそっ…!ああ魔王様…!」

ズシュ

女騎士「別に殺すことは無かったのでは?」

侍「殺さぬ理由が無い、なれば殺さねばならぬ」

女戦士「普通逆だと思うんだけどなぁ」

女剣士「…ん?」

女戦士「どうした?剣士」

女剣士「勇者がいない…」


女戦士「なんだと!?騎士!勇者がいつまでいたか分かるか!?」

女騎士「恥ずかしながら私も今…」

女戦士「迷子とか一体何歳だってんだ…!おいおっさん…あれ?」

女剣士「侍なら勇者の名前を叫びながらあっちに走ってった…」

女戦士「…とりあえずあたしらも探すか」

女騎士「…もしかしたら勇者は…一人で抜け道を調べに行ったのかもしれません」





侍「ゆぅぅぅぅぅぅぅうしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁどのぉぉぉぉぉぁぉぁぉ!!!!!!!」ダダダダ

侍「何処で御座るか勇者殿ぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」ダダダダ

侍「勇者殿に何かあらば某は…某は…」

侍「む…!この微かに匂う芳しい香りは…!昨日嗅いだ勇者殿の褌の匂い…!」

侍「待って居られよ勇者殿!某が今参り申すぞ…!」ダダダダ



女勇者「うん…怖くない…私は勇者なんだから…皆が来るまでに安全かどうか確かめるだけだし」

女勇者「そんなに広くない…何百人もここを通るのは大変だったろうな…」

女勇者「ここから魔物たちのいる場所までどれくらいの距離があるんだろ…」

猿「ウキャ!」

女勇者「ひっ!」ビクッ

女勇者「な…なんだお猿さんか…」

猿「キャ?」

男「どうした猿よ、む…小娘此処で何をしている」

女勇者「あ…え…と」(男の人?)

男「ふむ…なにやら妙な気配のする娘だ…」

女勇者「…」(なんだろうこの人…なんだか…)

侍「勇者殿!其処から離れられよ!」ザッ

女勇者「あ!侍さん!」

侍「貴様何故此処に居る…」

男「…お前…お前か…あれからもう幾月だ…息災か?」

侍「黙れぇい!!貴様に話す事など無いわ!!今此処で我が槍の錆びにしてくれる!!」ズアッ

男「ふふ…去らばだ」ブォン

女勇者「き、消えた!?」

侍「己…!何処へ消えた!姿を表せ!!」

女勇者「ちょ…ちょっと落ち着いてください!侍さん!」

侍「!!!くっ…!…いやすまぬ…情けなき様を見せてしまった」

女戦士「勇者!」

女勇者「あ!みんな!」

女騎士「あなたは…!ほんとに何を考えて!」

女剣士「まぁ落ち着きなって…侍も一緒みたいだし…心配するようのことはないだろう…」

女勇者「ごめんね…私…勇者なのにみんなの足を引っ張ってるような気がして…」

女戦士「気にするな勇者!あくまでお前は魔王を相手にすればいいだけなんだ」

女剣士「それに侍からすれば私たち全員足手まといみたいなもんだろうしな…」

女戦士「それはなんか嫌だな…」

女騎士「とにかく勇者が負い目を感じる必要なんてかけらもありません」

女勇者「うん…そうだよねほんとごめん」

侍「…」

女勇者「侍さん…さっきのは…」

侍「…」

女勇者「あ、嫌なら別に言わなくていいんだけどね…それより先へ進もうか」

侍「…分かり申した、先へ進むとしませう」






侍「…只の道と言えど此処は魔物共の領地、隠れながら進む故其れなりの刻を要そう」

女戦士「貰った金で食糧は買ってあるから余裕はあるぜ、えーと…」

女騎士「大体二週間分と言ったところでしょうか」

女剣士「しかしこの道を抜けた先で食べ物が手に入るとは限らない…それにどんな魔物がいるかもわからない…」

女勇者「これまでは人間の土地を進んできたけどこれからはそうじゃないんだよね…」

侍「心配召されるな、何が在ろうと某が御主等を魔王の元へ御連れしやろう」

女戦士「おーおー心強いこって」

―数日後

ホー…ホー…

女勇者「侍さん…」

侍「む…未だ床に就いておられぬとは…今日はもう稽古は…」

女勇者「…なんか雰囲気変わったね」

侍「…早く眠りにつかれよ」

女勇者「あの男の人と会ってからかな…」

侍「…ふぅ…勇者殿には教えようか…奴は弟の仇…それだけに御座る…」

女勇者「…」

侍「勇者殿に付き従う限り否が応にもあ奴と相見えよう」

女勇者「え…それって」

侍「さあ話は終わり申した…今度こそ眠られよ」

女勇者「…」







女戦士「やっと抜け道を抜けたみたいだな」

女騎士「と言うことはいよいよ孤立無援になりますか…」

侍「我々の成す事は敵の殲滅に在らず、ならば孤立とは限らぬで御座る」

女勇者「どういうこと?」

侍「此れは道中作っていた物に御座るが…御手を拝借」

女剣士「なんだこれは…皮と欠片?」

侍「其れを耳と歯に被せると面白き様になろう」

女勇者「あっ!」

女戦士「なるほどな…変装か…」

侍「流石に今着けている防具等は捨てねばならぬが此れが最も安全な方法に御座ろう」

女騎士「防具を…」

侍「さぁ此れで何処からどう見ようと薄汚れた魔物の旅人に御座ろう」

女戦士「旅人にしてはまだまだ重武装だと思うけどな」

女剣士「流石に武器まで置いていくわけにもいかない…」

女騎士「私の鎧…」

女勇者「ここから魔王のいるところまでどのくらいあるのかな…」

侍「そこまで遠くは在りませぬ…三日三晩歩けば辿り着こう」

女戦士「なんだよ楽勝だな!ならちゃっちゃと魔王倒して帰るか」

女勇者「…」







女勇者「ここが…」

侍「左様…此処が魔王の城の城下町、そして彼の城が魔王が城に御座る」

女戦士「なんだか妙な形の城だな…」

女騎士「そうですね…外壁も無いし…」

女剣士「…まさかとは思うが…あれは木造なのか?」

侍「鋭いで御座るな、左様彼の城の内部は木造に御座る」

女勇者「それがなにか…」

侍「普通と違うなら相応のやり方というものが在るので御座るよ」



魔物?「大変だ!魔王様の城に火が!」

民魔物「なに!?ほ、本当だ!なんてこった!」

魔物?「私たちは城へ危険を知らせにいく!お前らは一人でも多く連れて逃げろ!」

民魔物「わ、わかった!」


魔物?「これでいいのかな?」

女勇者「それにしてもほんとに火をつけるなんて…」

女戦士「火に巻かれちまう前に魔王の野郎をぶっ殺さねえとやべぇな」

女剣士「取り合えず…侍と合流しないと…」

女騎士「先に天守閣へ行っていると言ってましたが…一体どこなんでしょう」

男「火をかけたのはお前か…」

侍「…」

男「前にもいたよ…お前みたいな奴が…無様に死んだが」ニヤニヤ

侍「…」

魔王「我を誰だと思ってる?第六代魔王…歴代最強の魔王ぞ…火ごときで死ぬわけなかろう」ニタァ

侍「…その傲りが身を滅ぼすのだ…この勝負某の勝ちに御座る」

魔王「…なに?」

女戦士「ここかっ!」バン

女勇者「あ!侍さん!とそれに…
あなたは!」

女剣士「奴が魔王か!」

女騎士「その命もらい受けます!」

魔王「お前は…!お前ら…その感じ女神の加護…聖女共か!」

侍「勝機もなく乗り込んでくる某では御座らん!流石の貴様と言えど四人の聖女に囲まれてはあの怪しげな術も使えまい」

魔王「ふふっ…だが…!我を倒すにはまだ足りない…!」

侍「ならば此れを見よ!」スラァ

魔王「それは…!」

女勇者「あ、あれって私の剣!」

女戦士「だがあれはただの剣のはずじゃ…」

侍「左様、変鉄の無い剣に御座る…銀で出来ていると言う以外は」

魔王「…ぐぅ!」

女剣士「銀…」

女騎士「これは…」

侍「銀の武具は千人の退魔師に勝る!さぁ!辞世の句を詠むがいい!」






民魔物「ああ…城が焼け落ちて…町にまで火が」

民魔物「魔王様は無事だろうか…」

民魔物「助けに城に入った方々がいたんだ、きっと大丈夫さ」







女勇者「ぷふぁ!」

女戦士「だ…駄目だもう走れねぇ…」ハァハァ

女騎士「ここまで来ればもう大丈夫でしょう」

女剣士「やっと悲願が達成された…」

女勇者「そうだね…魔王はもういない…じゃあこれからどうしようか」

女戦士「そりゃあ国に帰ってさ…」

女騎士「なんだかあっけないですね…」

女剣士「そりゃあそうさ…劇的な幕引きなんてそうそうない…」

女勇者「侍さんももういないし…」

女戦士「…」

女騎士「…」

女剣士「…なんなら…侍を追いかけてみるか?」

女勇者「え…」

女戦士「弟の墓に知らせをって言ってたか」

女騎士「ここからずっと東の方と言ってましたね」

女勇者「みんなも行きたいの?」

女戦士「そりゃあ…まぁ」

女騎士「別れの挨拶ももろくにできませんでしたし」

女剣士「魔王を討てたのもほぼあいつのおかげだし…な」

女勇者「じゃあ…また面倒みてもらおっか」

おわりんこ

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