幼馴染「ちょっと聞きたい」 幼馴染の弟「何?」(105)

幼「あんた、バレンタインにチョコ貰った事ある?」

弟「何言い出すんだ、バカか?」

幼「姉に向かってバカとは何か!」

弟「弟に向かって、バレンタインの話しとかしてんじゃねぇ!」

幼「んー、じゃあ質問変えるわ」

弟「何だよ」

幼「全然好きでも何でもない女の子からさ」

弟「はぁ」

幼「急にチョコ貰っちゃったとしてさ」

弟「…」

幼「どんなチョコだったらその娘の事好きになる?」

弟「も一回言うぞ?バカか?」

幼「バカとは何か!」

幼「良いから答えなさいよ!」

弟「何で俺がそんな事に答えなきゃなんねーんだよ!」

弟「大体、なんで俺に聞くんだよ!」

幼「思いついた時に、一番身近に居た異性がアンタだったから」

幼「お兄ちゃんまだ帰って来てないし」

弟「バッカじゃねーの、マジで」

幼「…それ以上バカって言ったら」

幼「机の引き出しの奥にある本をお母さんに渡す」

弟「脅迫かよ!マジでバッ…」

幼「お母さーん、弟が部屋の模様替えしたいってー」

幼「って、大声で叫んでも良いの?」

弟「ぐっ…」

幼「ウチのお母さんは模様替え大好きだからねー」

幼「この部屋なら、真っ先にベッドと机を動かすだろうねー」

幼「隠す暇なんて無いだろうねー?」

弟「…」

幼「さぁ、叫ばれたくなければ、答えなさい!」

幼「どんなチョコだとハートを掴まれちゃうの?」

弟「…ぶっちゃけ、チョコはどうでも良くって」

弟「好きな人から貰えたら、チロル一個でも充分嬉しいよ」

弟「…まぁチロル一個じゃ、義理確定だから」

弟「その後、超落ち込むだろうけど」

幼「それじゃ駄目なんだよー」

弟「何でだよ、ちゃんと答えただろ?」

幼「もうちょっと考えてよー」

弟「あー?知らねーよー」

弟「ちゃんと答えただろ?もう出てけよー」

幼「ね、やっぱり手作りが良い?」

幼「それとも手作りだと重いかな?」

弟「まぁ、好きでも無い人から手作りチョコ貰ったら」

弟「ちょっと重いかな」

弟「んー、でもそれが切っ掛けで、好きになるかもしれねーな」

幼「やっぱ男子はそんな感じなの?」

弟「女子だってそうだろ?」

幼「え?」

弟「別に気にしてない人でも、告られたら意識はするだろ?」

幼「んー。私は別に…何とも思わないままだったなぁ」

弟「え?姉ちゃん告られた事あんの?」

幼「え?あ、うん。高校入ってから三回くらい」

弟「マジかよ」

幼「む?どう言う意味よ」

弟「自分の胸に聞いてみろよ」

幼「なっ!アンタ、弟のくせに私の事、そんな目で!」

幼「だ、駄目からね!」
サッ

弟「またまた言わせて頂きますけど」

弟「バッカじゃねえの?」

弟「胸を隠すな!実の姉だぞ!欲情なんか絶対しねーよ!」

弟「マジでバッカじゃねぇの?」

幼「バカバカうるさい!」

弟「姉ちゃんがバカな事言うからだろ!」

弟「もう良いだろ、マジ出てけよ!」

幼「そう言う訳にはいかないんだよ」

弟「どう言う訳なんだよ」

幼「ほら、明後日バレンタインじゃんか」

弟「まぁ、そうだな」

幼「年頃の乙女としては、気になる訳よ」

弟「去年まで別に何もしてなかったじゃん」

幼「去年まではね!」

幼「でも今年はちょっと違うの!」

幼「そんな訳で、身近な異性のアンタに聞いてるのよ」

弟「あー…もう、男さんに聞けよ」

幼「おお、男は関係ないでしょ!」

幼「な、ななんでそこで、男の名前が出て来るのよ!」

弟(バレバレだっつーの)

弟「あー、はいはい」

弟「でもまぁ、手作りで良いんじゃねーの?」

幼「で、どこまでが手作りだと思う?」

弟「は?」

幼「カカオ豆からカカオマスを精製する所からが100だとして」

幼「どの辺りまでが手作りチョコだと思う?」

弟「それマジで言ってるの?」

幼「え?何で?」

弟「普通、手作りチョコってさぁ」

弟「市販のチョコを溶かして、型に流して固めるもんじゃね?」

幼「それのどこが手作りなの?」

弟「いや、だから…板チョコをハートの型とかに…」

幼「それ、元はただの板チョコでしょ?」

弟「それはそうだけど…それが普通で…」

幼「溶かして固めるだけって、全然手作りじゃないじゃん?」

弟「あぁもう!じゃあ、やってみろよ!」

弟「カカオ豆からチョコレート作ってみろよ!」

幼「いやいや、もっと突き詰めて行けば…」

幼「カカオを栽培する所からが、手作りチョコかな?」

弟「…あの、ちょっともうマジ出て行ってくれ」
グイッグイッ

幼「なんでよ!ちょっと!」

弟「俺の手には負えん!他あたれ!」
バタン

幼「…」



幼「そんな訳でね」

幼の兄「そんな訳って言われてもね」

幼「弟ったら酷いでしょ?」

幼「乙女の真剣な悩みをさぁ」

兄「…まぁ、確かに弟の手には負えない話しだね」

幼「お兄ちゃんはさぁ」

兄「ん?」

幼「最近はチョコ貰ったりしてる?」

幼「昔はほら、沢山持って帰って来てたじゃん」

幼「何年前からか、全然持って帰って来なくなったじゃん?」

幼「年取って、モテなくなった?」

兄「いやぁ…ははは」

兄「まぁ昔程じゃ無いけど、毎年貰ってるよ」

幼「え?そうなの?」

兄「ちょっとね、ある人に怒られちゃって」

幼「なんで?」

兄「たとえ義理チョコ一個でも」

兄「渡す人の想いがこもってるんだから」

兄「他の人にわけたりするなー!ってね」

兄「だから、学校で貰ったチョコ、全部学校で食べてるんだ」

幼「そうだったんだ…」

幼「て言うか、誰に言われたの?」

兄「ま、それは内緒って事で」

幼「お兄ちゃんの好きな人?」

兄「内緒!」

兄「今は俺の話しじゃないだろ?」

兄「幼がおとk…誰かにあげるチョコの話しだろ?」

幼「あ、うん」

兄「さっき言ってたココア豆から手作りってのはなぁ」

兄「ちょっと無理だろう」

幼「でも、溶かしたチョコを固めるだけなんて!」

兄「ならいっそ、店で売ってる既製品はどう?」

幼「でも…それじゃ気持ちが…」

兄「んー、それじゃ手紙を添えるとか?」

幼「手紙…ラブレター?」

兄「まぁ、そんなに堅い物じゃなくても良いんじゃないかな」

兄「メッセージカードに一言書いて、渡すとか」

幼「気持ち、伝わるかなぁ…」

幼「あ、既製品なら予算は2万円くらい?」

兄「!?」

幼「貯めてあった小遣い、今こそ使う時!」

兄「ちょ、ちょっと待った!」

幼「え?何?」

兄「チョコに何万円もかけるよりはさ」

兄「千円くらいのチョコとプレゼントを渡せば?」

幼「プレゼント…」

兄「やっぱりこう言うのは気持ちだからさ」

兄「金額が高ければ良いって物でも無いと思うよ」

幼「そうかなー」

兄「絶対にそうだよ」

兄「弟が言った通り、好きな人から貰った物なら」

兄「チロルチョコ一個でも嬉しい物だよ」

幼「でもさすがにそれはね?」

兄「うん。だから千円くらいのチョコで良いと思うよ」

兄「そのチョコに、気持ちのこもったプレゼントを添えて渡せば…」

幼「…」

兄「納得してない顔だね」

幼「うーん…何かちょっと、しっくり来ないって言うか…」

兄「それなら、母さんに聞いてみれば?」

幼「え?」

兄「昔聞いたんだけど」

兄「母さんは、バレンタインデーに告白して」

兄「父さんと付き合い始めたらしいよ?」

幼「え!?そうなんだ?知らなかった!」

兄「母さんがその時、どんなチョコをあげたのか聞いてみれば?」

幼「うん、そうする!ありがと、お兄ちゃん!」
バタバタバタ

兄「どういたしまして」



兄「…まぁ、お隣さんの彼にあげるんなら」

兄「それこそ、何でも良いと思うんだけどね」



幼の母「で、どうすれば良いのかを聞きに来た…と」

幼「お母さん、お父さんに何をあげたの?只のチョコ?」

母「うーん…恥ずかしいからあまり言いたくないんだけど」

幼「お願い、お母さんっ!」

幼「私の人生が賭かってるの!」

母「人生ねぇ…」

幼「駄目?」

母「まぁ、良いでしょう」

母「でも、絶対誰にも言わないでね?」

幼「約束する!」

母「私とお父さんはね、幼馴染だったの」

幼「へ、へぇー。そうなんだ?」

幼「あれ?でも、お父さんの実家とお母さんの実家って…」

母「そうね。東京と名古屋だから、結構離れてるわよね」

母「でも、小さい頃はお父さんの実家も東京にあってね」

母「家が隣りで、すっごく仲が良かったのよ」

幼「…」

母「中学2年の時、お父さん達一家が引っ越す事になってね」

母「お母さん、頑張ったのよ」

幼「それがバレンタインデー?」

母「そう」

母「お母さん、願いをこめて、ある贈り物を贈ったの」

母「お父さんは慌てふためいていたけども」

母「おかげで、ちゃんとお付き合いする事になったのよ」

母「お父さんは高校まで名古屋で」

母「大学はこっちの大学に来てくれたの」

幼「へぇー。じゃ、遠距離恋愛だったんだ?」

母「そうよー。毎日電話かけまくって」

母「親に怒られ続けたのも、今では良い思い出よ」

幼「で、お母さん!お父さんに何をあげたの?」

母「絶対誰にも言わないでね?」

幼「絶対言わない!約束する!」

母「お父さんって鈍感でしょ?」

幼「それは…多分」

母「それまでにも色々頑張ったんだけど」

母「中々気持ちが伝わらなくてね」

幼「うんうん」

母「お父さん達は3月一杯で引っ越すって聞かされて焦っちゃったのね」

母「お母さん、バレンタインデーの夜中にね」

母「自分の身体にリボンを巻いて、お父さんのベッドに忍び込んだの」

幼「!?」

母「我ながらとんでもない事しちゃったわよ」

幼「お、お母さん、それで…どうなったの?」

母「…本当に、聞きたい?」ニヤリ

幼「あ、あぁ…言わなくて良い。大体解ったから」

母「あらそう?一晩中だって語れるけど?」

幼「い、良いから」

母「それはそれとして、幼ちゃん」

幼「何?」

母「誰かにチョコあげるのよね?」

幼「ま、まぁ、あげてみようかなーと思ったり思わなかったりー」

母「おとk…その誰かにあげる物はチョコ?」

母「それとも何か…プレゼント?」

幼「それを考えているんだけど…」

幼「さすがにお母さんの真似はちょっとアレかなー」

幼「でも手作りチョコって言っても」

幼「普通は溶かして固めるだけなのは嫌だし」

幼「プレゼントは…何が欲しいのか解らないし…」

母「そうねぇ…」

母「それなら、手作りのチョコケーキはどう?」

幼「ケーキ?」

母「それなら、溶かして固めるだけのチョコとは違うでしょ?」

母「しっかり想いをこめたお菓子。どう?」

幼「ケーキ、良いかも!うん!」

母「作り方教えて上げるから」

幼「ありがとうお母さん!」




男(何だろう…俺のベッドが異様に膨らんでる)

男(具体的には人一人分くらい)

男(誰だか見当は付いてるんだけど…)

男(これは…どう接するのが正解なんだ?)



10分経過
男(中の人が出てくる気配は無い…)

男(俺が部屋に入った事には気付いてるはずだから…)

男(やっぱ、俺のリアクション待ちって事か…)

男(布団めくってみるか)

男(中で寝てる可能性もあるもんな)
スタスタ

バサッ
男「これは…俺の服?」

バタンッ!
幼「引っかかったわね!私はここよ!」

男「俺の部屋で何を…っておい!お前その格好…」

幼「男、ハッピーバレンタイン!」
バッ

男「ま、待て!一歩もそこを動くな!」

幼「へ?なんで?」

男「その…身体をグルグル巻きにしているリボンが…」

男「都合よく大事な所をちゃんと隠してると思うなよ?」

幼「へっ?」

男「い、色々見えちゃってるぞっ!」

幼「えっ!?あっ!やっ!」

男「いいから早く服を着ろ!」



幼「すみませんでした…」

男「いや、俺は良いんだけど…その…」

幼「まさかあんなに見えちゃうとは思わなかったよ…」

男「…」

幼「お粗末な物をお見せしてしまって…スミマセン」

男「いやぁ…粗末じゃなかったけど」

幼「そ、それでね。今日はちょっと用事があって…」

男「あぁ、バレンタインって言ってたもんな」

幼「そう。バレンタインだから贈り物を持って来たんだよ」

男「それで自分にリボン巻いて、私がプレゼントーって」

男「押入れの中に隠れてたの?」

幼「…そうです」

男「あぁ、あの…気持ちはすげー嬉しいよ」

幼「…」

男「でもまぁ、こう言うのはもう無しな?」

幼「嫌だった?」

男「嫌じゃあ…無かったけど…その…な?」

幼「な?って言われても、何?」

男「あー…ちょっと質問なんだけどさ」

幼「ん、何?」

男「あのまま俺に飛びついてたら、その後どうなったか…」

男「解ってるか?」

幼「そりゃあ、解ってるよ。子供じゃないんだから」

男「そう、もう子供じゃないんだぜ?」

幼「…」

男「だからちゃんと確認しておきたいんだけど」

幼「な、何をかな?」

男「俺、幼の事が好きな訳なんだけど」

幼「!?」

男「幼もそう思ってくれてるって事で…良いのか?」

幼「う、うん…て言うか今日はそれを伝えに来たんだよ!」

幼「私、男の事が大好きだから!」

男「お、おう、ありがとう。俺も幼の事大好きだ」

幼「嬉しいよ、男」
ギュッ
ドサッ
男「お、おい…」

幼「重い?」

男「重くはないけど…」

幼「子供じゃないから、もちろん覚悟して来たよ?」

男「…」

幼「キス、して?」

男「…」


ちゅっ



男「あのさ」

幼「何?」

男「その…自分をプレゼントするって、幼のアイディア?」

幼「なんで?」

男「何か、幼らしくないなーと思って」

幼「えへへー。バレたかー」

幼「ここだけの話しなんだけど、私のお母さんがね」

男「おばさんが?」

幼「中2の時、お父さんにそうしたんだって」

男「へぇ?おばさん、勇気あるなー」

幼「だよねー」

幼「それで上手く行ったって言ってたから…」

男「まぁでも、幼らしくないと思うよ」

幼「じゃあどんなのが私らしい?」

男「うーん…カカオ豆からチョコ作る!って言いそう」

幼「またまたバレちゃった」

幼「溶かして固めただけのチョコなんてさぁ」

幼「手作りチョコって言わないよね?」

男「まぁ、世間では手作りって言うんだよ」

男「そんなに凝らなくてもさ」

男「相手を想って、ひと手間かけるって言う事が大切なんじゃね?」

幼「そっか…あ!忘れてた!」

男「ん?」

幼「チョコケーキを作ったんだったよ」

幼「ひと手間、男の事を想って作ったんだよ」

男「お、おぉ、デカいな」

幼「開けてみて!自信作だから!」

パカッ
男「…」

幼「順番逆になっちゃったけど」

幼「これが私の気持ち」

幼「ちゃんと伝わったかな?」

男「まぁケーキの上に思いっきり『本命』って書いてあるし」

幼「直球勝負!」

男「色々順番が逆だけど…まぁいいや」

男「ありがとう、幼」

幼「嬉しいね!なんか…何て言うか、嬉しいよっ!」

男「ちょっと、幼」

幼「何?」

男「あー、外国のバレンタインはなー」

男「男女関係なく、大切な人にプレゼントをあげるんだってよ」

幼「うん。うん?だからこのチョコケーキと…」

男「だからさ」

男「これ」
サッ

幼「ん?何?」

男「幼に、俺からのプレゼント」

幼「え?」

男「ホワイトデーのお返しとは別にさ」

男「大切な人に、プレゼントって事で」

幼「開けても良い?」

男「お、おう」

ガサガサ
パカッ

幼「これ…これって?」

男「どう思う?」

幼「どうって…指輪とネックレスに見えるんだけど」

男「今日、これを幼に渡して、告白するつもりだったんだ」

幼「そ、そうなの?」

男「そうなの」

幼「指輪もネックレスも凄く綺麗だね」

幼「男、ネックレスつけてくれる?」

男「おう」

幼「どう?似合ってる?」

男「選んだ俺が言うのもアレだけどさ、超似合ってるぜ」

幼「指輪は…ここかな?」

幼「…左手薬指であってる?」

男「…俺の希望としては」

幼「えへへ。私の希望もそうだよ!」

男「これからも末永く、宜しくな」

幼「こちらこそ!」

一ヶ月後

幼「ちょっと聞きたい」

弟「何?」

幼「あんた、ホワイトデーに何あげるの?」

弟「は?」

幼「チョコ貰ってたでしょ?」

弟「貰ったけど…」

幼「ホワイトデーのお返しって普通三倍返しなんでしょ?」

幼「どんな物あげるの?」

弟「うっさいなぁ、俺じゃなくて男さんに直接聞けよ!」

幼「男が私の為に何を用意してるかなんて、聞ける訳ないじゃん」

幼「バカ?」

弟「バカはどっちだ!」

弟「あー!もう!バカップルマジ爆発しろよ!」

幼「あんたには言われたくないけどね!」



おわりだけど番外編ちょっとあり

幼の両親編

男「…」スースー

カラカラカラ
スタッ
幼「お邪魔しまーす」

男「…」スースー

幼「寝てますね」

幼「この部屋に来られるのも、あと何回かな…」

幼「…」

幼「男…好きだよ」

幼「それじゃ、ちょっとお邪魔します」
ゴソゴソ

男「…ん?何だ?」

幼「や!」

男「な、何してんだ、幼?」

幼「大声出さないで!おばさん達に気付かれちゃうでしょ!」

男「こんな夜中に、人のベッドに潜りこん、で…」

幼「何?」

男「そそそそ」

幼「そ?」

男「その格好はなんだ!?」

幼「あ、そうだった」

幼「ハッピーバレンタイーン!」

男「ババババレンタインだからって」

男「なんで裸で俺の布団に入って来てるんだよ!」

幼「裸じゃないよ!ちゃんと身体にリボンを…」

男「そのリボンが服として機能してねー事に気付け!」

男「丸出しだろ!」

幼「このリボンはね、私自身がプレゼントだよーって意味で…」

男「バレンタインのプレゼントって事か?」

幼「そう!」

男「お前…意味解ってやってんのか?」

幼「解ってるよ」

幼「私、自分の気持ちをちゃんと男に伝えてない!」

幼「だから、行動で示そうと思って、勇気出してみたんだよ!」

男「幼…」

幼「もうじき男は名古屋に行っちゃう!」

幼「会えなくなっちゃうし、男は私の事を忘れちゃうかもしれない」

幼「だから、大切な物を男にプレゼントしようと思ったの」

幼「私の事、忘れないように!」

男「幼…」

幼「受け取って、くれるよね?」

男「…幼、お願いがある」

幼「え?何?」

男「そのプレゼント受け取るの、4年後まで待ってくれないか?」

幼「4年?」

男「俺、名古屋で高校卒業したら、必ずここに戻ってくるから」

男「それまで待ってて欲しい」

幼「え?それって…」

男「俺も幼の事、好きだから…」

男「大学はこっちの大学にして、一人暮らしする」

男「そしたら…その…改めて、プレゼントを受け取りたい」

幼「嬉しいよ、男っ」
ぎゅっ

男「だ、抱きつくなよ!」

幼「今だけ、ちょっとだけ…ね?」

男「…」
ぎゅうっ

幼「毎日電話するからね?」

男「おう」

幼「一人暮らしは二人暮らしになるかもよ?」

男「望む所だ」

幼「名古屋で浮気なんかしないでよ?」

男「それは絶対に無いから安心しろ」

幼「キスはしても良い?」

男「…あぁ」

ちゅっ

幼「大好きだよ、男」

男「俺もだよ、幼」



幼の両親編おわり

幼の兄編

男「チョコ、またこんなにもらっちゃったなぁ」

友「自分のモテ度を誇示してる訳か?爆発しろよ」

男「そんな事無いよ」

友「まぁ、お前好きな人とかいなさそうだもんな」

友「ひょっとして、俺の事が好きとか?」

男「そんな趣味は無いよ」

友「それにしても…そんなに沢山、食べきれるのか?」

男「うーん…甘いもの好きなんだけど…さすがに多いかなぁ」

友「俺が食ってやろうか?」

男「それは…」

友「いいだろ?家族からしかチョコ貰えない俺に」

友「少しでも幸せを分けてくれよ!」

男「うーん、じゃあ何個か貰ってくれる?」

友「イェイ!じゃあ半分位くれっ!」

友「俺は三度の飯よりチョコが好きなんだ!」

幼「ちょっと待ちなさいよっ!」

男「え?な、何?幼さん」

幼「あんた今、友君にチョコわけようとしたでしょ!」

男「あぁ、うん。さすがにこんなに沢山は食べられないし…」

幼「バレンタインのチョコなんだよ?」

幼「たとえ義理チョコでも!」

幼「その一つ一つに、女の子の気持ちがこめられてるんだよ?」

幼「それをアンタは他人に譲るって言うの?」

男「ご、ごめんなさい」

友「あの…幼さん、俺がくれって言ったからで…」

友「こいつは悪くないんだ」

男「ごめんなさい、幼さん」

男「俺、このチョコくれた人の気持ち考えて無かったよ」

男「教えてくれて、どうもありがとう」

幼「…別に、解れば良いのよ、解れば」

男「このチョコ全部、食べてから帰るよ」

幼「なんで?」

男「家に持って帰ったら、妹や弟が欲しがると思うから」

友「大変だなぁ…」

男「ウチの家族、皆甘いもの好きだからね」

友「んじゃ、俺、お茶でも買って来るぜ」

男「ありがとう、友」

友「ダッシュで行ってくるぜ!」
タタタッ

男「…それじゃ、一個目」
ガサガサ

男「手作りだ…」
パキッモグモグ

幼「ちゃんと全員にお返ししなさいよ?」

男「う、うん…」
モグモグ

幼「そ、それだけあると、食べるの大変そうね」

男「まぁ、でも俺チョコ好きだし」
モグモグ

幼「そうだよね、昔から…」

男「ん?何?」
モグモグ

幼「それじゃ、一個くらい増えても問題無いよね?」

男「え?」

幼「ほらっ」
ポイッ

男「おっと」
パシッ

男「チロルチョコ?」

幼「バレンタインだから、私からもね」

男「あ、ありがとう」

幼「義理ですけどね」

男「あ…そういえばさ」

幼「何?」

男「小4の頃、こんな事あったよね」

幼「お、覚えてるの?」

男「今、思い出した」

男「俺だけ誰からもチョコ貰えないーって言ったら」

男「幼さんがチロルチョコを三個くれたんだよね」

幼「…あの頃からは想像も出来ないわよね」

幼「アンタは今や校内一のモテ男だもんね」

男・幼「…」

ガラッ
友「ふぃーお待たせー」

友「温かいお茶と冷たいココア、どっちがいい?」

男「それ、選ばせる気無いよね?」

幼「ふふっ」

男「…幼さん、ありがとうね」

幼「…別に。それじゃ、私帰るね」

男「うん、それじゃあ、また明日ね」

友「…ん?何をニヤニヤしてるんだ?」

男「別に。お茶ありがとう」

友「ん?チロルチョコじゃん。これは俺が食っても良いんじゃね?」

男「駄目です。むしろ一番食べられたくないチョコです」

友「へぇ?これ、誰に貰ったんだよ」

男「内緒だー」

男(これは家に持って帰って、一番最後に食べよう…)




幼の兄編おわり

幼の弟編

幼「お、男君、これ…」

男「え?あ、うん?これ、チョコ…だよね?」

幼「う、うん。い、一応手作りなんだよ!」

男「あの、それはとっても嬉しいんだけど…」

男「バレンタインデーは明日だよ?」

幼「えっ!はわわっ!?」

男「あ、慌てないで幼ちゃん」

幼「でも私…日付を間違えるなんて…恥ずかしい…」

男「大丈夫だから!ね?」

幼「ごめんね、男君…私こんなんばっかりで…」

男「俺は気にしないから!」

男「幼ちゃんからチョコ貰えた事がすっごく嬉しいから!」

幼「男君…」

男「今年もここで食べるね」

幼「う、うん」

男「家に持って帰ったら、兄ちゃんと姉ちゃんにいじられちゃうから」

幼「た、大変そうだね」

男「ウチ家族全員甘いもの好きなんだ」

男「それじゃ、頂きます」

幼「ど、どうぞ」

パカッ
男「大きいハート型だね」

幼「心をこめて作ったよ!」

男「それじゃ…」
パキッモグモグ

幼「ど、どう?」

男「う、うん!カカオの味が効いてて凄いね!」

幼「うん!カカオ99%のチョコを使ったから!」

男「だ、だろうね」

男「ん?それ、もう一個は誰にあげるの?」

幼「あ、これ?これは自分の分なんだー」

幼「ちょっと分量間違えて、作りすぎちゃったんで…」

幼「だから男君と一緒に食べようと思って」

男「そっか…」

男「ちょっと聞くけど、幼ちゃん、味見はした?」

幼「ううん。味見はしてないんだー」

幼「まぁ市販のチョコを溶かして、固めて」

幼「上にホワイトチョコで文字書いただけだから」

幼「万が一にも失敗は無いよ!」

男「そ、そうだね」

男「ねぇ、それも俺が貰っても良い?」

幼「え?」

男「すっごく美味しいから、もう一個食べたいなーって」

幼「う、うん…良いけど」

男「ありがとう!すっごく嬉しいよ!」
パカッ
パキッモグモグ

男「うん、美味しい」

幼「渡す日は間違っちゃったけど、喜んでくれて嬉しいよ!」

男「ホワイトデーのお返しは期待しててよ」

その日の夜
幼「あ、そう言えば、カカオ99%の板チョコ…」

幼「一枚余ってたんだった」

幼「食べちゃおう」
ガサガサ
パキッモグモグ

幼「苦っ!何これ!?」

幼「男君、これをあんなにパクパク食べて…」

バレンタインデー当日

ピンポーン

男「はーい」
ガチャッ
幼「お、男君、あの…」

男「あれ?幼ちゃん、どうしたの?」

幼「こ、これ…」
スッ

男「え?これ、チョコ?」

幼「うん…」

男「昨日、2個も貰ったのに…」

幼「…男君、優しいよね」

男「え?何が?」

幼「とにかく、これは大丈夫だから!」

幼「コンビニで買った安物だけど…」

幼「受け取って?ね?」

男「あ、ありがとう、幼ちゃん」

幼「ちゃんとミルクチョコレートだから、ね?」

男「うん」

男「あれ?これってメッセージカード?」

幼「読んで見て欲しい」

ペラッ
男「『優しい男君、ずっとずっと好きです』」

男「『これからも、仲良くしてくれたら嬉しいです』」

幼「私の正直な気持ち…だよ」

男「俺も…幼ちゃんの事、好きだよ」

男「ホワイトデーに言うつもりだったけど」

幼「ほ、ほんと?」

男「小学生の時、同じクラスになった時からずっと…」

幼「わ、私もだよ!」

男・幼「…」

男「そ、それじゃあ、これからも宜しくね」

幼「こ、こちらこそ…」

幼「それから、昨日はごめんね」

男「あぁ、俺チョコ好きだからさ」

男「カカオ99%も普通に好きなんだ」

幼「あんなに苦いのに?」

男「本当だよ」

幼「なら良かった…」

男「それを気にして、このチョコ買って来てくれたんだね」

幼「昨日の夜、余ったチョコ食べてみたらすっごく苦かったから…」

幼「またやっちゃったーと思って、ね」

男「幼ちゃんはちょっとドジだもんね」

幼「うぅ…気にしてはいるんだけど…」

男「そこも幼ちゃんの魅力の一つだと思うよ」

幼「そうかなぁ…」

男「少なくとも俺はそんな幼ちゃんの事が好きなんだ」

幼「ありがとう、男君。私も男君の事が大好きだよ!」

男・幼「…」


兄「ヒューヒュー」

姉「玄関先で、何キュンキュンしてんのよ」

母「もうチューしちゃいなよ!」


男「さ、三人ともうっさい!こっち見んな!あっち行け!」

幼「あぅ…」


幼の弟編おわり

これで終わりです
誰か読んでくれたら嬉しいです
バレンタインは中止になったら良いなと思ったり思わなかったり

次スレは
幼馴染「男君、好き!」 男「僕、幼ちゃんの事大好き!」
ってタイトルで立てると思います
では。

いつも楽しく読んでます
幼馴染いっぱいで素敵な世界ですね
お兄さんの話の続きもいつか読みたい

読んでくれた人、本当にありがとうございます

>>104
兄の話はホワイトデーに書きます
読んでもらえると嬉しいです

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