みしらぬネコ「ひっこし？　ねぇねぇ、どんなおうちにすむの？　おしえてよ！」

桐生「……まだ、決まってるわけではないんだが……」

みしらぬネコ「うそぉ！　まだきまってないの！？　それじゃすむところみつけなきゃ！」

みしらぬネコ「……………」

みしらぬネコ「……そうだ！　かむろちょうむらで商売してる知り合いがいるから、ちょっとでんわでたのんでみるよ」

みしらぬネコ「ちょっとまっててね」


ﾃｸﾃｸ


……

…………

………………

ﾃｸﾃｸ


みしらぬネコ「おまたせー」

みしらぬネコ「なんかね、ちょうどあたらしいおうちがあるんだって！」

みしらぬネコ「たてたのはいいけど、かいてがみつからないらしいんだ」

みしらぬネコ「はやくうっちゃいたいから、ねだんはまけとくっていってたよ」

みしらぬネコ「おかねはもってるんでしょ？」

桐生「……ある殺し屋を撃退したときに受け取った一千万なら、あるが」

みしらぬネコ「そうかぁ。チョットこころぼそいかもね。でもだいじょうぶだって！」

みしらぬネコ「かねはてんかのまわりもの　っていうしね！　おかねなんかスグにたまるからさ！」

みしらぬネコ「……あっ！　もうそろそろかむろちょうむらにとうちゃくするみたいだよ！」

みしらぬネコ「あんずるよりうむがやすし、だからね。がんばってよ！」

みしらぬネコ「ほんじゃま、きかいがあったらまたあおうね。バイバーイ！」

……

………

…………


えきいんさん「ここはかむろちょうむらー、かむろちょうむらでーす！　ウッキー！」

桐生「……ここか」


ｽﾀｽﾀ


？？「ちょっとちょっとー！　そこのひとー！」

？？「あなたがでんわできいた、きりゅうさん？」

桐生「ああ」

？？「よかったよかった。それじゃついてきてだなも」


ｽﾀｽﾀ

ﾃｸﾃｸ


たぬきち「ここだなも！」

たぬきち「どう？　えきもちかくて一等地だなも。四軒あるから、すきなとこえらんでね……といいたいけど」

たぬきち「じつは、もう三軒はよやくがはいっちゃってるんだなも」

たぬきち「だからじっしつ、ここしかあいてないけど……いいだなも？」

桐生「ああ、住めれば問題はない」

桐生「……ここか」

たぬきち「そうだなも。そこの『赤い屋根』と『緑の屋根』と『青い屋根』は、先にしききんもらっちゃってるだなも」

桐生「……じゃあ、ここの建売を買わせてもらおう」

たぬきち「まいどありー！　それじゃ、おうちのだいきん……」

たぬきち「198000000ベル、いただきまーす！」


→10000000ベル

＜わたす


たぬきち「はーい、たしかに…………って、ぜんぜんたりなーい！」

たぬきち「たったの10000000ベルぽっちしかもってないの？　ぜんぜんたりなくてわらっちゃうだなも！　あははははー！」

たぬきち「…………」

たぬきち「……金の無いカスに売る家は無いだなも」

桐生「……！」

たぬきち「おうオメェら！　出てこいだなも！」


ｿﾞﾛｿﾞﾛ…

ｿﾞﾛｿﾞﾛ…


屈強なウシ「へっへっへ……」

恐そうなオオカミ「フッフッフッ……」

目つきの悪いトラ「カッカッカ……」


たぬきち「この村は金がすべてだなも」

たぬきち「金を持たない奴は遅かれ早かれこうなるだなも」

たぬきち「もし、こいつら全員を倒すことができれば……なんとか都合をつけて売ってやってもいいだなも」

たぬきち「さあ、やっちまえ！　だなも！」




―　　VS　村　の　チ　ン　ピ　ラ　　―

恐そうなオオカミ「いくぞオラ！　奥歯ガタガタいわせたらァ！」

桐生「……」


ｼｭｯ


恐そうなオオカミ「ﾌﾞﾌｫｯ」

屈強なウシ「な、何ィ……！？」

桐生「遅い！」


ﾄﾞｺﾞｯ


屈強なウシ「ｶﾞﾌｪ」

目つきの悪いトラ「え？　おいちょっとまｶﾞｯ」

桐生「……んゥゥゥゥゥラァァァァァ！！」


ﾊﾞｷｯ


桐生「……」ｺｷｺｷ

桐生「相手にならねぇな。これで終わりか？」

たぬきち「ほう……なかなか、やるだなも……」

たぬきち「……いいだなも。家を売ってやるだなも」

たぬきち「ただし！　そのかわり、うちでアルバイトをしてもらうだなも」

たぬきち「……この村では確かに、“金”が何よりもものをいうだなも」

たぬきち「しかし。それと同じくらいに、“強さ”もものをいうだなも」

たぬきち「あんた……この村でもいきていけそうだなも」

たぬきち「ひとまず、建売のだいきんははらってもらうだなも」

たぬきち「これを着るだなも」

桐生「……これは、作業着か」


→さぎょうぎ

＜きる


桐生「じゃ、あとでアンタの店をたずねればいいんだな」

たぬきち「そうだなも」

たぬきち「ま、せいぜい気をつけるだなも。ここは欲望と狂気が渦巻く村……“かむろちょう村”なのだから」

～　　とある日　　　赤い屋根の家　　～



パセリ「お願いします！　お金を貸してください！」

？？「頭下げたってダメですよ。あなたは“テスト”に失敗した、だから貸せません」

パセリ「そんな……！　そもそも内容がムチャです、たったの２時間で『おとしあなのタネ』を３つ持ってこいだなんて……！」

？？「あいことばは試しました？　プロアクは？　もしくは持ってる人を片っ端から尋ねたりとかは？」

パセリ「そ、そんな……非常識なこと、できるわけ……」

？？「そう、できるわけない。“普通”はね」

？？「そりゃそうでしょうよ。あなたは提示した金額は10000000ベル……“普通”の作業で手に入る額じゃありません」

？？「普通には手に入らない『おとしあなのタネ』。だからこそ、それを死にもの狂いであなたが集められるか。それを見たかった」

？？「ですから……あなたの“死にもの狂い”というのは、あくまで常識からはみ出ないレベルのものでしかないんです」

？？「さあ、お帰り下さい。何度も言いますがあなたへのご融資はできません」

パセリ「………」

パセリ「……はい……」


ｷｨ　　ﾊﾞﾀﾝ


？？「ふう」

？？「…………」

？？「……さて、村でも散歩してこようかな」

～　　とある日　かむろちょう村刑務所　　～



刑務官「食事、始め」


ｶﾁｬｶﾁｬ　ｶﾁｬ


？？「……」

ホッケー「……ねえねえ、君って何やってここ入ったの？」

？？「……」

ホッケー「ふ、ふふ……当ててあげようか？　君は17年前に……」

？？「……黙って食えや」ｷﾞﾛｯ

ホッケー「う、うわぁ……怖い怖い……お邪魔したね、それじゃまた……」

ホッケー「……あ、そうそう。ボクね……“たぬきち”くんについてはイロイロと情報を持ってるよ……」

ホッケー「聞きたくなったら、ボクを見つけて呼んでね……それじゃ、また」

？？「……」

？？「……」ﾓｸﾞﾓｸﾞ



～　数時間後　～



刑務官「……では、消灯。明日の作業も早いぞ、早く寝とけよお前ら」


ｶﾂｶﾂｶﾂ…


？？「……」

？？「……たぬきち……」

？？「忘れもせえへん……あの日……」

？？「…………」

>>28
どうぶつの森やってないんだが
どれくらいの難易度？

～　　とある日　かむろちょう村内雀荘　　～



？？「ロン、親ッパネ6000オールでアンタ飛んだね。で、半荘区切り……と」

ロボ「かぁ～、またラスかよ……今月も厳しいぜ……」ﾊﾟｻｯ

ショコラ「フフ……まあ、私は大して振ってないし。ご愁傷様ね」ﾊﾟｻｯ

マモル「クソ、俺もいい手が入ってたのにー！」ﾊﾟｻｯ

？？「毎度どうも。それじゃ、また気が向いたらムシりに来てやるからな」





？？「……」ｽﾀｽﾀ

？？「……お、どうも見回りご苦労様です」

おまわりさん「また、勤務をさぼって麻雀でありますか」

？？「そうカタいこと言わないでくださいよ。たまには落し物とか拾ってきてるじゃないですか」

おまわりさん「ほかにも仕事はたくさんあるであります！　取り締まりが甘くなれば、この村の治安はより一層悪くなるばかり……！」

？？「だから、そういう危ないやつもたまには捕まえてきてるでしょ」

おまわりさん「あなたのは一方的な暴力にしか見えないであります！　連れてきた逮捕者はいつもボコボコの状態で！」

？？(……はぁ……めんどくさ……声かけなきゃよかったかな……)


ﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟ　ﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟ


【……ｶﾞｰ……ﾋﾟｰ……か……ろ…ちょう署より全警官に通達。4ちょうめ5ばんちにて引ったくりの通報あり、付近の警官はただちに駆けつけよ……繰り返す……】

？？「おっと、こりゃ早いとこ行かないと。それじゃまた！」

おまわりさん「あ、ちょっと！」

おまわりさん「……ふぅ……まったく、困ったものであります……」