ちひろ「ふふ、遂に出来ました」

ちひろ「モバPさんの性欲を全開にする薬がついに完成しました！」

ちひろ「これを飲めばたちまちモバPさんは狼になっちゃいます……」

ちひろ「そして、私のことを……うふふ」

ちひろ「早速これをスタドリに混ぜちゃいましょう！」ｽ

ちひろ「これを後はモバPさんに飲ませれば完璧です！」

ｶﾞﾁｬ

モバP「おはようございます」

モバP「ちひろさん、今日もよろしくお願いします」

ちひろ「あ、おはようございます！」

ちひろ「モバPさん、スタドリ飲みませんか？」

モバP「あー、すみません。今日はお金がなくて……」

ちひろ「今日はタダでいいですよ！」

モバP「え！？　いいんですか？」

モバP「だったら……」

ちひろ「はい！　一気にごくっといっちゃってください！」

モバP「もちろんです！」ｺﾞｸｺﾞｸ

ちひろ（ふふふ、さてどうなるか楽しみですね！）

モバP「……」

ｶｼｬﾝ

ちひろ「え？　ど、どうしたんですか！？　急にスタドリの瓶なんか落としちゃって……」

モバP「うぅ……ちひろさん、離れてください」

モバP「なにか自分の中で覚醒していくのを……感じるんです……」

モバP「うぐ……うわぁぁぁぁぁ！」

ちひろ「も、モバPさん！？」

モバP「……」

ちひろ「モバPさん、大丈夫ですか！？」

ちひろ（もしかして私の薬が原因で……）

モバP「……」ｽ

ﾇｷﾞﾇｷﾞ

ちひろ「な、なんでジャケットなんか脱いでいるんですか！？」

ちひろ「それにワイシャツのボタンを全部開けちゃってるとお腹見えちゃいますよ？」

モバP「モバPではないよ」

ちひろ「え？」

モバP「我が名はアスモデウス……」

モバP「モバPの七つの欲求。その色欲を司る悪魔だ」ﾌｧｻ

ちひろ「」

ちひろ（な、なんか痛々しいキャラがサモンされてしまいました！）

モバP「ちひろ、感謝するよ」

モバP「君がいなかったら我が覚醒することはなかった」

モバP「ホッペにキスでもしてあげようか？」ｷﾗ

ちひろ「も、モバPさん？　なに恥ずかしいこと言っちゃてるんですか……」

モバP「恥ずかしい？　ふふふ、なに照れてるんだよ」

モバP「まぁ、我は美しいからね。照れちゃうのも当然、か」ﾌｧｻ

ちひろ「う、うわぁモバPさんがおかしくなっちゃいました！」

ちひろ「どうして！？　私はただモバPさんの性欲を全開にしてあげようと」

モバP「それだよ。我がこうして表に出てこれた理由は」

ちひろ「え？　どういう意味ですか？」

ちひろ「え？　どういう意味ですか？」

モバP「我は色欲の悪魔。そして、今は性欲全開」

モバP「彼の体を乗っ取るのは簡単だったよ」

ちひろ「全然性欲が全開な感じには見えませんけど……」

モバP「レディの前だから必死に抑えているのさ」ｷﾗｷﾗ

ちひろ（発言一つ一つがゾワゾワして嫌な感じです）

モバP「でも、そろそろ我慢の限界のよう……ふ！」ｸﾞ

ちひろ「モバPさん、なんで急に自分で自分の首なんて絞めてるんですか！？」

モバP「ふぅ……ふぅ……」ﾋﾞｸﾝﾋﾞｸﾝ

モバP（エクスタシー！）

ちひろ「やめて、ください……！」ﾊﾞ

モバP「ふふ、ちひろさんはどうしていつも我の邪魔をするかな」

ちひろ「そら、このままだと死んじゃうからですよ！」

モバP「それでいいんだよ」

ちひろ「え？」

モバP「我、いやモバPはそれを望んでいるんだ」

ちひろ「どうしてですか？」

モバP「それは我が死性愛者だからだよ！」

ちひろ「死性愛者？」

モバP「そう、モバPは自分の死を感じることで興奮する変態なんだ！」ﾌｧｻ

ちひろ「」

モバP「ふふ、我のような美しい人間がそんな変態でびっくりしちゃったかな？」

モバP「モバPは自分でも気づかぬうちに死性愛者になっていたんだよ」

モバP「それをちひろさんが開放してくれたんだ」

モバP「ああ、なんて素晴らしい！」ﾌｧｻ

ちひろ「ご、ごめんなさい……うまく状況が飲み込めません」

モバP「そうか。それは残念だね。さらなるエクスタシーのために協力してもらおうと思ってたんだけど」

モバP「仕方がない！　一人でエクスタシーを探しに行くとしよう！」ﾀｯﾀｯﾀ

モバP「さぁ、今こそ三千世界を超えて愉悦をこの手に！」

ちひろ「あ、モバPさん！？」

ちひろ（まずい……まずい！　私のせいでこのままだとモバPさんが死を求めすぎて死んでしまうかもしれません！）

ちひろ「待ってください！」ﾀｯﾀｯﾀ

――

路上

モバP（さてさて、我を死に追いやってくれるようなものはどこかにあるかな？）

凛「モバP？」

モバP「凛か。我はモバPではなく、アスモデウスだよ」

凛「？　どうしたの……？　それに、そんな変な格好して」

モバP「凛は今日も花のように美しいね」

凛「……」ｿﾞｸ

凛（なんかモバPが痛々しいキャラになってる）

モバP「実は今はエクスタシーを探し回っている最中なんだ」ｷﾗｷﾗ

凛「ごめん。言ってる意味が全然わかんないんだけど」

モバP「凛は犬の散歩かい？」

凛「まぁ、一応」

ハナコ「ワン」

モバP（犬……犬か）

モバP「……ティンと来た！」

凛「え？」

モバP「凛ハナコを一週間くらい貸してもらえないかな？」

凛「な、なんで？」

モバP「一週間くらいご飯を与えずに過ごさせて」

モバP「その後、我を襲わせるためだよ！」ﾌｧｻ

凛「」

モバP「そうすれば、きっと我の体を噛みちぎり咀嚼し、殺してくれるはずだ！」

モバP「ああ、なんてハラショーなんだ。想像しただけでイきそうだよ」ﾋﾞｸﾝﾋﾞｸﾝ

凛「も、モバP、具合でも悪いの？　病院行く？」

モバP「我は正常だよ」

モバP「それよりも早くハナコを……」ﾜﾅﾜﾅ

ハナコ「わ、ワン……」ﾋﾞｸﾋﾞｸ

凛「ちょっとモバP！？」

ちひろ「モバPさーん！」ﾀｯﾀｯﾀ

モバP「ﾁ……余計な邪魔が入ったか」

モバP「凛、また後で会いに来るよ」ﾀｯﾀｯﾀ

ちひろ「はぁ……はぁ……凛ちゃん大丈夫ですか？」

凛「わ、私は大丈夫だけどハナコが……」

ハナコ「……」ｵﾄﾞｵﾄﾞ

ちひろ「あのですね。これは――」

ちひろ（私のせいでモバPさんがおかしくなっちゃったとは口が裂けても言えませんね）

ちひろ「とにかくモバPさんがおかしくなっちゃったんです！」

凛「それは見ればわかったけど……」

ちひろ「今から捕まえるので協力してください！」ﾀｯﾀｯﾀ

凛「あ、ちょっと！」

――

公園

モバP（全くちひろは空気が読めないな）

モバP（後もう少しで犬に殺される未来が実現したというのに……）ｿﾞｸｿﾞｸ

モバP（まぁ、過ぎたことはくよくよしても仕方がない）

モバP（また新たなエクスタシーを探求するまでのことだ！）ﾌｧｻ

モバP（さて、ここにエクスタシーはあるかな？）

あやめ「モバP殿！」

モバP「あやめか。それから我はモバP殿ではなくアスモデウス殿だ」

あやめ「？　あすもでうす殿ですか？」

モバP「そうだ。今後はそう呼んでくれ」

あやめ「はい！　ではあやめはそう呼ばせていただきます」

モバP「しかし、今日のあやめは一段と綺麗だね」

モバP「我と一緒エクスタシーを感じないか？」

あやめ「えくすたしー？　すみません……」

あやめ「あやめは横文字には疎くて……」

モバP「……そうか」

モバP「あやめはここで一体なにをしていたんだい？」

あやめ「わたくしは忍ドルとしての修行をしていました！」

モバP「ほう……」

モバP「つまりは時代劇のモノマネをここでしていたんだね？」

あやめ「ま、まぁ、簡単に申してしまうとその通りなんですが……」

モバP（時代劇……江戸……武士）

モバP（切腹！）ﾊ

モバP（ジャパニーズハラキリ、オーイエー！）

モバP（自ら腹を切るなんて行為……）

モバP（まさしくエクスタシーじゃないか！）ﾌｧｻ

モバP「あやめ、ハラキリの準備をする」

モバP「しばらく待っててくれるかい？」

あやめ「あ、あすもでうす殿！？　あやめの前で実践してくれるのですか！？」

モバP「ああ、そうだよ」

あやめ「さすがあすもでうす殿はもののふの魂の持ち主。では、このあやめの――」

モバP「コンビニでカッターを購入してくるよ」

モバP「ああ、我の美しいお腹に刃が……興奮するね」ﾜﾅﾜﾅ

あやめ「あすもでうす殿？　なにを言って……」

モバP「よしじゃあエクスタシーを目指し超特急で買いに行くぞ」ﾜﾊﾊ

あやめ「ま、待ってください！　カッターでお腹を切ったら死んでしまいますよ！」

モバP「え？　そのつもりだけど？」

あやめ「そ、そんな……」ｸﾞｽ

あやめ「も、モバP殿がおかしくなってしまわれた！」

あやめ「うう……うわぁぁぁぁん！」

ちひろ「あ、あそこです！」

モバP「またちひろか！」

モバP「ここは一時撤退だ！」ﾌｧｻ

凛「大丈夫！？」ﾀｯﾀｯﾀ

あやめ「うぅ……モバP殿が……」

ちひろ「わかってます」

ちひろ「私が追うので凛ちゃん、あやめちゃんのフォローお願いします」

凛「わかったよ」

ちひろ（ああ、どんどん被害が拡大していきます……）

――

モバP（またしてもちひろに阻止されてしまったか）

モバP（まぁ、いい。我は更なるエクスタシーを探求するまでのことさ！）ﾌｧｻ

モバP（究極の死を求めていざ！）

モバP「ん……」

モバP「この並々ならぬクソファッキンな圧力は……」

モバP「まさか！？　聖職者が近くにいるのか！？」

クラリス「モバP様？　随分と個性的な格好をなされていますね……」

モバP「げぇ！？　シスター！？」

クラリス「どうしたのです……あらあら」

クラリス「これはまた……良くない魔の差し方がしていますね……」ｼﾞﾛ

モバP「ふ、ふふ、たかがシスターか。シスター如きに我を止めることはできないさ」ﾌｧｻ

クラリス「……モバP様に取り付いているのはどちら様でしょうか？」

モバP「我が名はアスモデウス！　色欲の悪魔だ！」

クラリス「ああ、とても達の悪い悪魔ですね」ﾆｺﾆｺ

モバP「ふふ、そうだろう。まぁ、神父でもないお前では俺を祓うことは出来ないだろう」

モバP（神父じゃなくて本当によかった）

モバP（エクスタシーを感じられないまま祓われるなんて御免だ）

クラリス「そうですね。でも……」

クラリス「シスターだからといって侮ると痛い目を見ますよ？」

モバP「ひ……！」

モバP（な、なんだよこいつ！？　本当にシスターか！？）

モバP（この圧倒的プレッシャーは、祓魔師のそれじゃないか！）

モバP「ふ、君にまだ祓われるわけにはいかないんだよ」ﾌｧｻ

モバP「逃げる！」ﾀｯﾀｯﾀ

クラリス「あ……！」

ちひろ「クラリスさん……！」

クラリス「ちひろ様？　どうなされたのですか？」

ちひろ「モバPさん見ませんでしたか？」

クラリス「……やっぱりなにかあったのですね」

ちひろ「え？　まぁ、とにかく今、モバPさんを捕まえようとしているんです！」

クラリス「そうなのですか」

クラリス「では、私、モバP様を元に戻せるように準備しますので」

クラリス「捕まえたら事務所まで運んでもらっても構わないでしょうか？」

ちひろ「それは全然構いませんけど……」

クラリス「モバPさんの魔は頑張って私が祓います」

ちひろ「本当ですか！？」

ちひろ（やりました！　さすがシスターです！）

ちひろ「じゃあ、私が捕まえますんで先戻っててください！」ﾀｯﾀｯﾀ

クラリス「はい」

クラリス「……」

クラリス「でも、あの悪魔からは凄い執念を感じました。本当に私だけで祓えるかしら？」

訂正

クラリス「モバP様の魔は頑張って私が祓います」

――

モバP「ふー、危なかった」

モバP「後もう少しで我の崇高な目的が灰人に帰すところだった」

モバP「もうあのクラリスとかいうファッキンシスターとは会いたくないな」

モバP「じゃあ、気を取り直して死を探そうじゃないか！」

菜々「モバPさん……ですよね？」

モバP「菜々！？　菜々か！」

モバP「どうしたんだい急に声をかけて」

モバP「我の美貌に思わず声を掛けてしまったかい？」

菜々（うわ）

菜々「本当にモバPさん今日はどうしたんですか？」

菜々「格好もなんだか奇抜ですし」

菜々「なんかこう……痛々しいといいますか」

モバP「んー？　そうかい？　いつも通りだと思うけど」

モバP「それから、痛々しさに関しては菜々ほどではないよ」ﾌｧｻ

菜々「い、今さりげなくナナのこと馬鹿にしましたよね！？」

モバP（ん？　痛々しい？）

モバP（痛々しいか）

モバP「菜々ちょっといつも通りにしてみてくれないか？」

菜々「な、なんですか急に」

モバP「いいから早く」

菜々「わ、わかりましたよ……」

菜々「……」

菜々「モバPさん！　今日はなんだかおかしいですね！きゃは！」

菜々「ナナは今日もウサミンパワー全開ですよ？」

菜々「あ、もしかして……今日おかしいのは、ナナに会えなくて寂しかったからですか？」

菜々「だったら、菜々がモバPさんと一緒にいて寂しい心をメルヘンチェンジさせてあげます！　あはっ！」

モバP「……」

モバP「菜々いいよ……その調子だ！」

菜々「え」

菜々（いつもならドン引きした目をするのに……）

菜々（なんだか今日のモバPさんはいいです！）

菜々「えー、じゃあナナー。頑張ちゃおっかな？」

モバP「ウサミン最高だ！」

モバP（に、二十代の年増がこの発言……）

モバP（ああ、恥ずか死しそうだ！　エクスタシー！）ﾌｧｻ

モバP（なんだか今なら死性愛の根源に達しそうだ！）

モバP（う……！）

モバP「ふぅ……」

モバP（思わずイってしまった）

モバP（だが、もっとだ！）

モバP（この菜々の発言を二日間ずっと聞いていれば俺は恥ずかしさのあまりに死に至るはず！）

モバP（その瞬間こそが、我の求めていた最大級のエクスタシーだ！）ﾌｧｻ

ちひろ「あ、モバPさん！」

モバP「ちひろ！？」

モバP「菜々、折角のところ悪いんだが、我はここを去らなくちゃいけない」

菜々「え？　どうしてですか？」

モバP「なんでもだ！　それじゃ」

モバP（くそ、あの顔はファッキンシスターと手を組んだな）

モバP（全く忌々しいよ！）