モバP「空も飛べるはず」 (52)




ー事務所ー




モバP「………」カタカタカタ


モバP「………」カタカタカタ


ちひろ「………」カタカタカタ




モバP「ねぇちひろさん」カタカタカタ

ちひろ「はい?」カタカタカタ


モバP「俺たち今何してるかわかります?」

ちひろ「普通に仕事…ですよね?」

モバP「……俺、三日は寝てません」

ちひろ「…私もです」




モバP「………」カタカタカタ

ちひろ「………」カタカタカタ





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モバP「……来る日も来る日も仕事ばかり」カタカタカタ

ちひろ「そうですねぇ…」カタカタカタ


モバP「……いっそ逃げませんか?二人で」

ちひろ「それができたら苦労はしないですよ……」カタカタカタ



モバP「ちひろさん、俺は本気なんですよ」

ちひろ「………プロデューサーさん?」

モバP「逃げましょう、ちひろさん」




モバP「そうです、空を飛んで、自由に、ゆるやかに………」











モバP「そうだ、アイドルのおならで空を飛ぼう」







モバP「……来る日も来る日も仕事ばかり」カタカタカタ

ちひろ「そうですねぇ…」カタカタカタ


モバP「……いっそ逃げませんか?二人で」

ちひろ「それができたら苦労はしないですよ……」カタカタカタ



モバP「ちひろさん、俺は本気なんですよ」

ちひろ「………プロデューサーさん?」

モバP「逃げましょう、ちひろさん」




モバP「そうです、空を飛んで、自由に、ゆるやかに………」











モバP「そうだ、アイドルのおならで空を飛ぼう」





ちひろ「……は?」

モバP「知らないんですかちひろさん?風船って浮くでしょ?」

ちひろ「まぁ…はい」

モバP「あれは中のガスが空気よりも軽いから浮くんですよ」

モバP「ガス……確かにガスは危険です」

モバP「でも使い方さえ間違えなければ風船のように空も飛べるんです!!」

ちひろ「飛んでるのはプロデューサーさんの頭だけですよ」



モバP「そして俺は考えた!!!最も身近なガスとはなにか!!!」

ちひろ「無視ですか」

モバP「そう!!!おなら!!!!それこそが最も身近なガスなんですよ!!!」

モバP「でもおならなんて汚い!!くさい!!!しかし!!!それがアイドルのおならならば……?」







モバP「臭くない!!!!!」

ちひろ「病気だわもう」








『空』



それは人類の夢


今…

その夢に向かい走る青年が生まれた……



我々取材班はそんな青年に密着取材を行うことにしたのである……




ー朝ー 


ある町外れの工場に気持ちのいい音が響いていた……



ブッ

プスッ

プゥ

プウウ

バブッ



ーーーー屁だ









『おはようございます』



モバP「あ…どうもお疲れ様です!!」ペコリ


この一見どこにでもいそうな普通の男…
彼こそが人類未踏の夢、おならで空を飛ぼうとする挑戦者である


名は………モバP




『今これはなにを?』


モバP「これですか?これはどのタイプのおならが一番空を飛ぶのに向いているかの調査中ですね」



『おならにも種類が?』


モバP「ええ、ひとくちにおならといっても種類は様々なんです」

モバP「たとえば…ノーマルなおならはあまり臭くないとか、すかしっぺは臭いとか……」

モバP「おならっていうのは生き物ですからね、よく選ばないといけないんですよ…でも自分はプロデュースにはなれていますからね」ハハハッ











はにかんでみせた彼の横にいる少女……我々は彼女についても聞いてみたのだった




『隣にいる彼女は?』



モバP「え、あぁ、彼女は僕の助手です」

モバP「そして…この計画には彼女が絶対に必要なんです」


『計画とは……?』


モバP「いうまでもなく、おならで空を飛ぶことですね」

モバP「彼女は…二宮飛鳥といいます」

飛鳥「……」ペコッ



カラフルなウィッグをつけた彼女は、我々取材班に軽めの会釈をすると早々に工場の奥へと消えていった…



モバP「現役アイドルですが…まだ年頃の女の子ですから…さすがに恥ずかしいんですよ」

モバP「自分がおならをするところを撮影されるのはね」ハハハッ







現役アイドルのーーーーおならーーー


我々取材班はおおいに盛り上がった







我々取材班が現役アイドルである二宮飛鳥の放屁をいまかいまかと待っているとモバPから意外な提案を投げ掛けられた



モバP「どうです?今からもう一人の協力者に会いにいきませんか?」



『もう一人の協力者?』


モバP「ええ、彼女もまた現役のアイドルです」



我々は驚きを隠せなかったーーー
このような馬鹿な挑戦に二宮飛鳥以外にも協力者がいたということに
そしてその協力者も現役アイドルだということにーーー



それだけ、モバPのプロデューサーとしての手腕がたしかなものなのだろう



モバP「こちらです」スッ





我々が案内されたのは小さな部屋だった







部屋には多くの設計図が散らばっている
その中心にいる彼女こそがもう一人の協力者なのだろうか?



モバP「紹介します、協力者の池袋晶葉です」

モバP「彼女には設計図や実際に使う装置を面倒見てもらっています」



『では、彼女はおならを……?』


モバP「はい、彼女はしませんね」ハハハッ




池袋晶葉は…おならをしない…
取材班の士気が著しく低下したーーー







しかしここで疑問がうまれる



『モバPさんはなにを担当しているのですか?』


モバP「僕ですか?僕は…飛鳥のおならのコンディションをプロデュースしています」

モバP「簡単に言えば、飛鳥のおならの臭いを嗅いでるんですよ」ハハハッ




『それだと鼻がバカになってしまうのでは?』



モバP「アイドルのおならは臭くありませんよ」

モバP「とくに飛鳥のはお花畑の臭いがしますからね」




ーーーお花畑の臭い
我々の興味は再び二宮飛鳥へと向いた









ここで我々はモバPではなく、協力者の二人に話を聞くことにした



『よろしくお願いします』



晶葉「ああ、よろくしたのむよ」




先程紹介された技術担当の池袋晶葉さんだ
彼女もまた、現役アイドルだという



『なぜ、こんな計画にのろうと?』



晶葉「そうだな…ふむ、それは科学者としての本能だよ」

晶葉「あぁ、失敬…私は科学者でありながらアイドルでね」



『科学者でありながらアイドル?』



晶葉「といってもたいした成果はあげていないよ」フフッ


晶葉「だから助手…プロデューサーの話にのったんだ、【おならで空を飛ぶ】という成果をあげるために」




『戸惑いは無かったのですか?』



晶葉「戸惑い?あー…なに、うちのプロデューサーがおかしいのは今に始まったことじゃないからね」

晶葉「しかしいつも科学を動かしていたのはああいうおかしな人間なのだよ」











『ひとつお聞きしてもよろしいですか?』


晶葉「あぁ、かまわんよ」



『晶葉さんはおならをしないというのは本当ですか?』



晶葉「………あぁ、なるほどね」

晶葉「確かに今回の計画においては私の担当はあくまで技術だ、メインである放屁の方はノータッチだね」



ーーーやはり、池袋晶葉はおならをしない
そう改めて現実を突きつけられ、落胆する我々取材班だったが……



晶葉「しかし、私も人間だ…放屁をしないというわけでとはないよ」

晶葉「無論、音を聞かせるつもりも臭いを嗅がせるつもりもないがね」ニコッ









光明が……見えたーーーー









そして次に我々は彼女への取材を開始した

そう、この計画の中枢である『おなら』


その『おなら』を担当する、二宮飛鳥への取材を……





『よろしくお願いいたします』


飛鳥「……あぁ、よろしく」



『なぜ、この計画に参加を?』


飛鳥「……空」

飛鳥「その一文字だけで理由としてはあまりにも雄弁だとボクは思うけどね」



『つまり、空を飛びたいから参加を?』



飛鳥「…君達にとっての空とボクの空が同じとは限らないよ」

飛鳥「そう、ボクの空はプロデューサーで太陽がボクでね…つまりそういうことさ」




ここで我々取材班は絶体絶命のピンチに追い込まれたーーーー


二宮飛鳥、彼女の言っていることの一割も我々には理解できないのだ








『とても個性的な言葉を語りますね』



飛鳥「そうかい?でも人なんてそんなものさ」

飛鳥「自分の理解を越える【なにか】にあたったとき、否定をする人間がほとんどだからね」

飛鳥「だからこそ、ボクはやりとげなきゃいけないんだろうね、その【なにか】を乗り越えるために」




『それが…おならで空を飛ぶことですか?』


飛鳥「その通りさ…プロデューサーはやはり面白い大人だと再認識できたよ」

飛鳥「だからボクは全力でのっかるよ、とんでみせるさどこまでも、ね?」



『最後に質問よろしいですか?』 


飛鳥「かまわないよ」




『飛鳥さんのおならはお花畑の臭いとは本当ですか?』




飛鳥「…………」

飛鳥「……いや、知らないよ」



『なぜ隠すんですか?』


飛鳥「いや隠すとかじゃなくて…」


『お花畑じゃないんですか?』 


飛鳥「…だろうね、たぶん」



『ここで放屁していただくことは可能ですか?』


飛鳥「………部屋に戻ります」ガタッ

 


我々取材班は惜しくも現役アイドルのおならを嗅ぐことができなかった……
我々には待つことしかできないのだーーー


そう、彼女がおならで空を飛ぶその瞬間
その時、嗅ぐ


我々取材班の心はひとつになったーーー









ーーーついにその時は来た



1903年

自転車を営んでいたライト兄弟は飛行機による有人動力飛行に世界で初めて成功させた…


そして今また……人類史に残る大きな…あまりにも大きな一歩が踏み出されるのだ



『おならで空を』



『飛ぶ』




きっとこれを聞けば誰もがバカにするだろう、しかし彼は諦めなかった
そしてついに来たのだ


彼の時代がーーーー









『いまどのようなお気持ちですか?』


モバP「そうですね……全く不安がないと言えば嘘になります」


モバP「でも、僕は信じるしかないんです…晶葉が作ってくれた装置を……サツマイモを食べつづけた飛鳥を」




『いったいこの装置はどのような仕掛けに?』


晶葉「この装置は一見すればただのオムツのようだろう?しかしこれには現代科学の結晶がつまっているんだ」

晶葉「この装置にたいして放屁すると内蔵されているエンジンが起動し、さらに排出されたガスを引火させてさながらジェットのように噴射する」

晶葉「これを連続して行うことで空を自由に飛ぶことが可能なのだ」


『つまり連続して放屁しなければならないと?』


晶葉「まぁそうなるが…なに、心配はいらんさ」

晶葉「飛鳥は……飛鳥なら、やってくれるよ」ニコッ







ーーー信じられるだろうか?

アイドルの放屁などまず生きているうちに一度さえも聞くことは叶わないだろう



それを聞けるのだ、連続した放屁を

それもそれを14歳の女の子の…なによりも現役アイドルの放屁を





もう空を飛べる飛べないなどと小さなことに興味は無い


我々取材班の熱意は『二宮飛鳥の放屁』

その一点にだけ向けられている



たとえ横でモバPがどうこう言ってても興味など無い



我々はいまかいまかとその瞬間を待ちわびた…








ザッザッ…ザッザッ…



飛鳥「………」




ーーーー来た、二宮飛鳥だ

地面をブーツで蹴りながら堂々と歩くその様からは自信は満々なのだと我々に知らせてくれる



その手には…焼きいも、秋の味覚の王である




モバP「飛鳥、いけるか?」


飛鳥「…愚問だね」



飛鳥「ボクという可能性を甘く見ないで欲しいねプロデューサー、教えてあけまるよ」


飛鳥「二宮飛鳥…それは無限の可能性だっていうことを」


モバP「……頼んだぞ」








今、二宮飛鳥が例の装置を装着した  

まるでオムツのような見た目をしたその装置をつけた彼女は……我々取材班を昂らせる




そして、ついに来るのだ


『おならで空を飛ぶ』

いや

『二宮飛鳥の放屁』


その瞬間まで……あと3秒……



晶葉「……3」


晶葉「……2」


晶葉「………1」





我々は耳を澄ましたーーーーー










ブオオオオオオオオオオッッッ!!!!




轟音が辺りを支配する

そう、ついに二宮飛鳥はさながらキン肉マンのようにおならで空を舞ったのだ!!



晶葉「やったぞ!!」

モバP「成功だ!!!!」


ワァァァァァァ!!!
スゲェェェェ!!!



計画の成功に集まった群衆も当事者たちも喜びを叫んでいる




しかし我々の胸中は穏やかでは無かった


ーーーー放屁の音が聞こえない




いくら耳を澄まそうと聞こえてくるのはエンジン音とジェットの音のみで我々取材班が待ち望んだ放尿音は全く聞こえないのだ


これが落胆せずにいられるだろうか?
いったい我々はなんのためにここにいるのだろうか?
こんなにも待ち望んでいたのに、あまりにもひどすぎるではないか

これでは我々取材班はただのピエロではないか



その時である







ガタンッ!!!!!



モバP「!!?」

晶葉「な、なんだ!?」



なにやら、不穏な音が聞こえた
それと同時にモバPたちもうろたえている



晶葉「まずいぞ!!エンジントラブルだ!!」


晶葉「このままでは…落下する!!」



ーーー恐れていた事態になった


装置の故障により、二宮飛鳥はどんどんと地面へと吸い込まれていくではないか



おならは聞けないわ計画は失敗するわでは本当に我々がなにをしに来たのかわからない

そしてなによりも……二宮飛鳥が落下してしまうとおそらくこの高さでは助からない
もう二度と彼女の放屁音が聞けなくなるのだ 


それは…あまりにむごい
 

どうすればいいのか?どうすればいいのか?
うろたえるだけの我々の前に……モバPが立った










モバP「……皆さん、離れていてください」




『どうするつもりですか?』



モバP「俺のおならで……飛鳥を助ける!!!」



我々取材班は言葉を失った


しかし、我々にできることは彼に頼ることだけである




モバP「…飛鳥、必ず助ける!!」ヌギッ



モバPは下半身を露出させ……自身の肛門を天高くかかげた





モバP「うおおおおおおおおおお!!!!!」







ーーーー奇跡は、起きたのか……?









ーーーー 




『これからの課題は?』


モバP「そうですね……とりあえずはエンジントラブルの起きないように晶葉とまた二人で修正しますよ」



『つまり、まだ諦めるつもりはないと?』


モバP「はい、ありませんね」ハハッ



モバP「なんたって俺には…晶葉という最高のパートナー」

晶葉「フフ…よせ、助手よ」


モバP「そして……もう一人の最高のパートナー、飛鳥がいますから!!」

 
飛鳥「……ありがとう、プロデューサー」ニコッ












我々取材班はこれからも彼等を追い続けることになるだろう



そう、おならで命を救うという奇跡を起こしたモバP


おならで空を飛ぶという夢を形にする池袋晶葉


そして誰よりも…



次こそは放屁音を聞かせてくれるかもしれない二宮飛鳥を…………




 

デンデンッーーーー
デンデンッデンーーーー



カゼノナカノスーバルー
スナノナカノギーンガー………















テレビ『この番組は



桐生コーポレーション

インダストリアルイリュージョン社

海馬コーポレーション

レオ・コーポレーション


の提供でお送りいたしました


引き続き


情熱大陸
『Ⅳ、最高のファンサービスを求めて…』

をお楽しみください…』






ちひろ「………」

モバP「いや違うんすよちひろさん、これはその」

ちひろ「………」

モバP「いやほんとこれただの悪ふざけっていうか何て言うかその………」




モバP「マジすんませんした」



ちひろ「………」


ちひろ「明日からスタドリは一本2000MCにしますね♪」ニコッ




モバP「アイエエエエエエエッ!!?ネアゲ!?ネアゲナンデ!?」






ー終わりー











つい先日のことです
僕は電車に乗って大阪まで向かっていました

僕は地方に住んでいるので大阪までいくのも一時間ほどかかります

その時僕は満員電車だったため立って電車に揺られていたのですが、運悪くお腹の調子が悪くなったのです


必死でダムの決壊を防いでいたのですが、その時です

ブボッ

とまるで封印されたドラゴンの断末魔のような屁をかまし、結果他の乗客は僕を避けていき、そして席に座れました
たまには封印されたドラゴンの断末魔もかましてみるもんですね

ここまでお付き合いいただきありがとうございました


過去作

モバP「島村卯月の飼い方」シリーズ 



それではまた



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