男「勇者のライセンス?」(63)

魔王は果てる時、最初の勇者にこういい残した。
 
「俺は蘇り再び戦乱を起こし、この世界を魔族のものとしてみせる」
 
その言葉通り、魔王は百年周期で蘇り、この世界に災いを巻き起こしている。
その度に女神の加護を受けし勇者が名乗りを上げ、魔王を討伐していた。

しかし、今現在魔王が現れて五年の月日がたった今も、勇者は現れなかった。
 
そのため、各国が話し合い一つの策が生まれた。
 
それが国家認定勇者制度。
 
通称、勇者のライセンスである。
 
それから一年の月日が流れたある日。魔界との境界近くの村でのことだった。
 
 

 
シスター「大丈夫ですか?」
 
??「うぅ……」グッタリ
 
シスター「もしもし? 大丈夫ですか?」
 
??「う、動け……ない」グルルル
 
シスター「大変です!」 
 
シスター「誰か! 来てください! 人が、人が倒れてます!」
 
??「ぅ────」バタン 
 
 

 
 
 
 
??「う────ん?」
 
??「ここは~」
 
??「どこ?」
 
シスター「教会ですよ」
 
??「うお! 誰だあんた!」
 
シスター「誰って。この格好を見たら分かりませんか?」
 
??「修道女? ですか?」
 
シスター「はい! この教会の修道女をしています」
 
シスター「シスターと申します」
 

??「シスター、さん」
 
シスター「はい!」
 
??「あれですね。すごく元気がいいですね」
 
シスター「はい! よく言われます」
 
シスター「失礼ですが。お名前を教えて頂いてもよろしいでしょうか?」
 
??「お、俺の名前ですか?」
 
シスター「はい。貴方のお名前です」
 
??「えっと、男です」
 
シスター「男さんですね」
 
男「はい」

男「えっと。ここはたぶん教会ですよね?」
 
シスター「はい。その裏の家です」
 
男「何で俺、こんな所にいるんでしょうか?」
 
シスター「男さん、村の入り口で倒れて倒れてたんですよ」
 
男「あぁ。なるほど」
 
シスター「お医者様に見てもらったところ」
 
シスター「『こいつタダ腹減ってるだけだ』」
 
シスター「『起きたら、口にパンでも突っ込め』と言われたので」
 
シスター「お食事をお持ちしたんですけど」

男「た、食べてもいいんですか!」
 
シスター「はい! 腕によりをかけて作りました」
 
男「女の人の手料理なんて始めてだぁ」
 
男「いただきます!!」モグモグ
 
男「うまいなぁ」バクバク
 
シスター「男さんは────」
 
男「ふぇ?」パクリ
 

シスター「食べながらで結構ですよ」
 
シスター「男さんはどうして、そんなに空腹になるまで何も口になさらなかったのですか?」
 
男「えっと。俺実はゆぅ、じゃもう無いのか」
 
男「旅人をしていまして」
 
男「道中魔物に食料を持っていかれてしまって」
 
男「やっとの思いでこの村まで辿り着いたという感じです」

シスター「魔物に。それは大変でしたね」
 
シスター「ここで出会ったのも何かの縁です」
 
シスター「どうぞ。ゆっくりしていって下さい」
 
男「すいません。何から何まで」
 
シスター「いえいえ。困っている人に手を差し伸べる」
 
シスター「これもシスターの仕事ですから」

オーイ! ダレカイナイノカー!
 
シスター「…………すいません。勇者様が参られたようなので」
 
シスター「少し、席を外しますね」スタ
 
男「はーい」モグモグ
 
男「…………」パクパク
 
男「…………」ゴクゴク
 
男「…………」
 
男「勇者?」

 
 
僧侶「いるじゃん」
 
戦士「早く来いよな」
 
シスター「すいません。今日はどうなさいましたか?」
 
戦士「いつものだよ、いつもの」
 
シスター「はい。かしこまりました」
 
僧侶「いやー、こいつまた無茶しちゃってさ」
 
勇者「いててて」スリキズ
 
戦士「じゃあ、よろしく」

シスター「……はい」
 
シスター「はぁっ!」
 
シスター「『治癒魔法』!!」
 
 パァー
 
勇者「ふ、かーつ!」
 
戦士「うぃーww」
 
勇者「うぃーww」
 
シスター「はぁ……はぁ……」
 

僧侶「いやーいつ見てもすごいね」
 
僧侶「シスターの治癒魔法」
 
勇者「これがあるから安心して怪我出来るよな」
 
シスター「すいません。えっと御代は」
 
勇者「あっ! ごめーん」
 
勇者「いま、手持ち無いんだよねww」
 
戦士「お前ww この間もそれ言ってたww」
 
勇者「ばっか! 嘘じゃないよ」
 

シスター「そうですか。なら仕方が無いですね」
 
勇者「体でよかったらいつだって払えるんだけどねぇww」
 
シスター「いえ、大丈夫です」
 
シスター「小さな教会なので仕事はあまり無いんですよ」
 
勇者「そっか」チッ
 
勇者「じゃあ。またねシスターちゃん」

 キィ────バタン
 
 
シスター「はぁ。また今月は厳しいな」
 
男「大丈夫ですか?」
 
シスター「ひぃ!」
 
男「……その反応はちょっと傷つきます」
 
シスター「お、男さんですか。ビックリしました」
 
男「驚かせてしまってすいません」
 
シスター「いえいえ。大丈夫ですよ」

男「えっと。さっきの奴らはいったい」
 
シスター「勇者様ですよ」
 
男「……勇者ですか。あれが」
 
シスター「えぇ。女神様にではなく、」
 
シスター「国の加護を受けた偽者の勇者様です」
 
男「国の加護ですか」
 
シスター「失礼ですが、国家認定勇者制度をご存知でないのですか?」
 
男「えっと。ここ五年近く人里離れて暮らしていたので」
 
シスター「そうですか」

シスター「国家認定勇者制度はそのままの意味ですよ」
 
シスター「六年前になりますか。魔王が現れて」
 
シスター「通常、過去の記録には魔王が目覚めて直ぐに」
 
シスター「女神様は勇者様を選ばれるといわれています」
 
シスター「そして、直ぐに勇者様は仲間を連れ魔王討伐の旅に出る」
 
シスター「国々はそれを支援し」
 
シスター「教会も些細なものですがお手伝いをする」
 
シスター「それが、今までの勇者というシステムでした」

シスター「しかし、今回女神様は」
 
シスター「勇者さまをお選びにならなかったのです」
 
男「勇者を選ばなかった」
 
シスター「えぇ。魔王が現れてもう六年も経ちますが」
 
シスター「未だに本当の勇者様は現れません」
 
男「…………」ダラダラ
 
シスター「どうかなさいましたか?」
 
シスター「汗が滝のように流れていますが」
 
男「い、いえ。気にしないでください」
 
シスター「そうですか」

シスター「えっと。そのため、国王たちは一年前会議を開き、ある制度を始めました」
 
シスター「それが、国家認定勇者制度」
 
シスター「通称。勇者のライセンスです」
 
 

次の日町の広場
 
男「えっと。頼まれたのはパンと牛乳、干し肉にりんご……」
 
村人「まーた『勇者』が家に来たんだよ」
 
村娘「うちにも来たわ」
 
村娘「ホントに、もう嫌よこんなの」
 
村人「勝手に入ってきては金目のもの勝手に持っていくしよ」
 
村娘「私なんて、ぱ、パンツもって行かれたわよ」
 
男「すいません」
 
村人村娘「!」
 

村人「ようこそ、境界村へ!」
 
村娘「ここを越えたらいよいよ魔族領よ!」
 
男「いや、俺勇者じゃないですよ」
 
村人「な、なんだよ」
 
村娘「お、驚かさないでよね!」
 
男「すいません」
 
男「俺は昨日シスターさんに拾われた男といいます」ペコリ

村人「あぁ。警護の人たちが噂してたの聞いたよ」
 
村娘「こちらこそ、よろしくね」
 
男「それにしても」
 
男「昨日シスターさんが言っていたことって」
 
男「本当だったんですね」
 

昨日教会
 
シスター「彼らは人の家を勝手にあさってあまつさえ気に入ったものは奪い去っていきます」
 
男「それって、普通に盗難じゃ」
 
シスター「えぇ。でも言いましたよね」
 
シスター「あの勇者さんたちは国家の加護を受けていると」
 
シスター「国が許してるんですよ」
 
シスター「勇者のライセンスをもった人たちは」
 
シスター「よほどのことが無い限り裁かれることはありません」

男「どんだけですか」
 
シスター「それだけじゃありませんよ」
 
シスター「町の人たちは勇者のライセンスを持った方々には、有益な情報以外は喋ってはいけません」
 
シスター「なので、面と向かって文句も言えないんです」
 
シスター「かく言う私も、業務といいますか」
 
シスター「必要最低限以外のことを話すことはできません」
 
男「なんで、こなことに」
 
シスター「勇者様が現れないからですよ」
 
男「…………」

シスター「それだけではありません」
 
シスター「五年前に各地で勇者様以外の方が魔物の軍勢を撤退させました」
 
シスター「それを受けて、作られた制度なんですよ」
 
男「やばい、やることなすこと裏目に出てやがる」
 
シスター「? 何か仰いましたか?」
 
男「うっ。い、いえ」
 
男「で、でも悪いことばかりじゃないでしょう?」

男「ライセンスを持ってる人たちの中には真面目な人もいるでしょ」
 
男「むしろ、今までの勇者は一人だけみたいな風潮が良くなかったんじゃ」
 
シスター「お金ですよ」
 
男「へ?」
 
シスター「勇者のライセンスを取るには難しい試験を突破しなければなりません」
 
シスター「だけど、お金を出せば買えるんですよ」
 
シスター「勇者のライセンスは」
 
シスター「真に実力もあり、本当の意味で世界を救おうとなさる方は」
 
シスター「魔界で多く亡くなっていきます」
 
シスター「全滅する前に教会に来ていただければ蘇生も出来るのですが」

シスター「勇者のライセンスを貴族の称号みたいに思っている方々は」
 
シスター「この境界付近でお遊び程度に魔物狩りをして」
 
シスター「ああして治療を受けに来るんです」
 
シスター「事実、先ほどの勇者様は隣の村の貴族の息子さんです」
 
男「たった五年でこんな事に」
 

シスター「なぜ」
 
シスター「なぜ、勇者様は現れないのでしょうか」
 
シスター「女神様は私たちを見捨ててしまわれたのでしょうか」
 
男「そんなことありません!」
 
シスター「!」
 
男「そんなこと、ありませんよ」ギュウ
 
シスター「お、男さん」アセアセ!
 
男「シスターさんが信じなくて誰が女神様を信じると言うのですか?」
 
シスター「……そうですよね」

シスター「私、どうかしていました!」
 
男「そうです。その意気ですよ!」
 
シスター「そうですよね!」
 
シスター「でなきゃあの人に救ってもらった意味がありませんものね
 
男「あの人って?」
 
シスター「あぁ。先ほど五年前誰かが魔物の軍勢を撤退させたって言ったじゃないですか」
 
男「はい、聞きました」
 

シスター「それ、この村もなんですよ」
 
男「あっ。はいそうでした」
 
シスター「そうでした?」
 
男「いえ! 気にせずに。話を続けてください」
 
シスター「その時に、この教会に皆非難したんです」
 
シスター「けれど、私は避難誘導をしていたら躓いてしまって」
 
シスター「足首を捻った私は立てなくなってしまいました」

シスター「当時十一歳だった私は死を覚悟しました」
 
シスター「しかし、そこにあの人は現れたのです」
 
シスター「華麗な剣捌きで魔物を蹴散らし、眩い光を見た魔物は逃げていきました」
 
男「華麗なって、美化しすぎでしょ…………続けてください」
 
シスター「えぇ。そうして救って頂いたんです」
 
シスター「『その者、雷を携え魔を祓う』」
 
シスター「伝記に残る勇者様のお姿が一瞬頭を過ぎりました」
 
シスター「残念なことに、彼は勇者ではないと言っていましたが」
 
シスター「その人は当時の、いえ今でも私にとっては勇者様です」
 

男「す、素敵な思い出ですね」
 
シスター「そうですか? うふふ」
 
男「あと、シスターさん俺と同い年なんですね」
 
シスター「男さんも今年で十八歳なんですか?」
 
男「はい。……………………」

男「…………行き成りなんですけど」
 
男「俺、暫くここに住んでも良いですかね」
 
シスター「それはー、構いませんけど」
 
男「じゃあ、俺買い物行きます!」
 
男「シスターさん。何か必要なものってありますか?」
 
シスター「じゃあ。夕食の材料をお願いできますか?」
 
男「任せてください!」
 
シスター「じゃあ、今お金をお渡ししますので」

男「俺が払いますよ」
 
シスター「え、でも」
 
男「ここに住まわせていただくんです」
 
男「それくらいはさせて下さい」
 
シスター「で、でも。やっぱり」
 
男「早く行かないとお店しまちゃうかもしれないんで」
 
男「早く!」
 
シスター「え、じゃあ牛乳と…………」

ミスった

五年前に十三歳でお願います

一週間後教会の裏の家
 
シスター「ん~んん~んん~」コトコト
 
シスター「ふぁ。誰かと食べる食事がこんなに美味しいなんて」トントン
 
シスター「男さん、良い人でよかったな」
 
シスター「ん~んん~んん~」

シスター「ん~んん~んん~」
 
シスター「ふ~う。ふ~う」
 
シスター「うん! 美味しくできた」
 
シスター「今日も美味しいっていて貰えるかなぁ」
 
シスター「男さん。まだかな~」
 
 

オーイ! ダレカイナイノカー!
 
 
シスター「その前に一仕事だな~」スク
 
シスター「は~い。今行きますよ~」
 
 
 

 
 
男「ただいま~」
 
男「今日は猪狩りに着いて行きまして、こんなにもらちゃいましたよー」
 
男「ってあれ?」
 
男「シスターさ~ん」
 
男「いないんですか~」
 
男「おかしいな、教会のほうかな」
 
 タスケテ! オトコサン!!
 
男「この声は!」
 
男「シスターさん!!」タタッタタタ!!
 

 
教会
 
シスター「放してください!!

勇者「いいじゃねぇかよ」
 
戦士「俺ら魔物と戦って来たばっかでよ、興奮してんだよ」
 
僧侶「そういうのも教会の仕事じゃないの?」
 
シスター「そんなわけ無いでしょ!!」
 
シスター「放してください!!」
 

勇者「うるせぇな」ガス!
 
シスター「ぅう」ハラオサエル
 
勇者「聞いたぜ? 男連れ込んでるんだって?」
 
勇者「修道女がそんなことしていいのかなぁ?」
 
シスター「男さんはそんなんじゃありません」
 
勇者「おまえら一般人はよ、馬鹿みたいに同じことだけ喋ってりゃいいんだよ!」
 

戦士「もう引ん剥いちまおうぜ、勇者」
 
僧侶「もう我慢できないよ」
 
勇者「そうだな」
 
シスター「うぅ」
 
シスター「勇者、様。助けて」
 
勇者「勇者は俺! 国に認められてるんだよ」
 
勇者「俺は国の、正義の味方なんだ」
 
シスター「あ、貴方なんて勇者じゃない」
 

勇者「はぁ?」
 
シスター「貴方が、勇者を名乗らないでっ!」
 
勇者「うぜえよ、お前」バシン!
 
シスター「ぐふっ」カベニゲキトツ
 
勇者「許しをこえ、俺様に。勇者様に」グリグリ
 
シスター「お、……」
 
勇者「聞こえねぇよ!!」
 
シスター「……助けて」
 
シスター「助けて、男さん!!」

勇者「は? 何言って、げふっ!」
 
男「はろー。そしてグッバイ」
 
戦士「おま、何しやがる」
 
男「それはお前らだろ!!」シュン
 
 
 バコン!!!!!
 
戦士「す、素手で」
 
僧侶「か、壁が砕け散った」
 
男「おい」
 
戦士僧侶「「ひぃ」」
 
男「這い蹲れ」
 
戦士僧侶「「へ」」
 
男「這いつくばって許しを請えって言ってんだよ!!」
 

戦士僧侶「「す、すいませんでした」」
 
男「許さん」ガンメンゲリ
 
戦士「グホォ!」
 
僧侶「せ、せんしぃ」
 
男「お前、こいつら担いで十秒以内に俺の視界から消えろ」
 
僧侶「そ、無理にきま」
 
男「10、9、8」
 
僧侶「ヒィィィイイイイ」
 
男「7、6、5、ってあれが火事場の馬鹿力ってやつか」

男「大丈夫ですか、シスターさん!!」
 
シスター「だ、大丈夫です」ウグッ
 
男「大丈夫じゃないでしょ」
 
シスター「…………もう嫌です」ギュウ
 
男「シスターさん?」
 
シスター「私だって、本当はあんな勇者達に治癒魔法なんて使いたくありません!!」
 
シスター「魔法を使えば、魔力が減る。でもその魔力だってタダではありません!!」
 
シスター「お金も、無いからって払ってくれないし!!」
 
シスター「私のお義父さん、前の神父さんは魔力枯渇で死にました!」

 
シスター「何故蛮行を繰り返す者達のために、なぜ!」ポロポロ
 
シスター「なぜ、私たちが苦しめられなければならないのですかっ!!」ポロポロ
 
シスター「いったい」ポロポロ
 
シスター「いったい、いつまで私たちは苦しまなくてはいけないんですか!」ポロポロ
 
シスター「ねえ、教えてください男さん」ポロポロ
 
シスター「この苦しみはいつまで続くんですか?」ポロポロ

男「…………終わらせたつもりでした」
 
男「でも、終わってなかったっ!」ギュウ
 
シスター「うぅ。ぅうう」ポロポロ
 
男「シスターさん」ギュウ
 
シスター「ぉ、男さん」ポロポロ
 
男「懺悔を聞いて頂けませんか」
 
男「俺の、浅はかな行動の巻き起こした」
 
男「俺の罪を懺悔させて────」
 
 

 マモノダー!! マモノガセメテキタゾ!!
 
 
男「なっ!」スタ
 
男「シスターさんはここにいて下さい」
 
シスター「お、男さん!!」
 
 

少し前、村の外
 
勇者「う、う~ん」ムクリ
 
勇者「ここ、は?」
 
僧侶「良かった、起きたよ勇者」
 
戦士「あぁ。教会の端から端までふっとばされていたからな」
 
勇者「あ、くそ。あの男」
 
戦士「あぁ。男にふっとばされたのは覚えてるのか」
 
勇者「うすっらとな」
 
勇者「あいつ、ぜってータダじゃおかねぇ」

勇者「あの女もぜってぇヤてやる」ガブッ!
 
勇者「勇者に手を出したらどうなるか、あいつらに知らしめて」バタン
 
魔物「グルルル」バクバク
 
戦士「あぁ。あぁぁあ」
 
僧侶「勇者が、早く助けないと
 
僧侶「教会で、治癒できなくなるぞ!」
 
戦士「もうおせえよ、見ろ!」

グルルルル グググググ ダダダ!
 
 
僧侶「な、何て数だよ!」
 
戦士「あの村も、もう無理だ」
 
僧侶「は、ひゃやく逃げよう」
 
戦士「ああ」ザックリ
 
僧侶「戦士ぃ!!!」
 
魔物zzz「ぐるるう」
 
僧侶「や、やめろ」
 
僧侶「くるな、くるな」
 
僧侶「やめろー!」
 
 
 パツンッ
 
 
 
 

村広場
 
村人「教会に非難しろ!」
 
警護「くそ、数が多すぎる!」」
 
警護b「このままじゃ、非難が、間に合わない」
 
警護c「畜生、ここまでなのかよ!」
 
男「はいよー。どいてどいて」バシンバシン
 
村人「お、おとこ?!」
 
警護「何やってるんだ!?」
 

男「何って、峰打ちだよ」
 
男「まあ木の棒だから峰も糞も無いけど」バシンバシン
 
警護「お前、何で」
 
男「極力、殺さずに制圧するのが約束なんだよ」バシンバシン
 
男「村人さん」バシンバシン
 
村人「な、なんだ」
 
男「教会の裏の家の俺が担ぎ込まれた部屋」バシンバシン
 
男「そこに布に包まれた短剣があるから取ってきてくれない」バシンバシン
 
村人「わ、分かった」
 
男「頼んだよー」バシンバシン


男「さーて、流石にこの数の魔物をまともに相手にするのは」

男「自殺行為だな」バシン

男「あ~うぜぇ」
 
男「面倒だからまとめて眠ってろ!!」
 
男「『雷撃魔法』!!」
 
 

教会の裏の家
 
村人「短剣、短剣」
 
村人「短剣どこだよ」
 
村人「短剣ねえぞ」
 
シスター「なにをお探しに?」
 
村人「男が布に包まれた短剣もってこいって」
 
シスター「それならこちらでは」
 
村人「お、それだ! って」
 

村人「シスターちゃん!」
 
村人「びっくりしたよ!」

シスター「男さんはどちらに?」
 
村人「怪我してるじゃないか、大丈夫」
 
シスター「男さんはどこにいるんですか!!」
 
村人「へ、あぁ。ひ、広場に」

シスター「これは男さんが持っていたものですね」
 
村人「あぁ。男が持って来いって」

シスター「分かりました、貸してください」

シスター「この役目、私が引き継ぎます」
 
 
 

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