モバP「何だって?」 (38)


友紀『いやぁだから、ちょっと今気分悪くて……』

P「あぁうん、昨日キャッツが馬鹿みたいに打って勝ったからな。
  それでお前は気分良くて飲みまくって二日酔いになり、もうレッスンが始まるという10分前に電話して来たか」

友紀『そうそう。だから遅刻するかなぁって』

P「お前頭おかしいだろ」

友紀『』

P「というか今日さ、一番上のトレーナーさんのレッスンだぞ? お、お前、遅れたらどうなるかわかってんのか?」

友紀『うぇっ、そうだっけ?』

P「そうだよ。遅刻したらまたお前、あの手製スポーツドリンクの実験台にされるんだぞ。連帯責任で俺も」

友紀『うわぁそれは勘弁……』


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P「プロテインの塊がセメントの如く沈殿した、石灰を薄めたような味のするドリンクなんか俺は二度と飲みたくない。
  友紀もだろ?」

友紀『あぁー……うーん、そうだね……』

P「……早く準備しなさい。迎えに行くから」

友紀『ありがとーっ! 坂本と同じくらいプロデューサー大好き!』

P「うん、わかったから、出来るだけ早くな」


ガチャッ


P「……さ、坂本……」


ちひろ(結局その日は二人共マストレさんお手製のドリンクを飲んだそうです。
    プロデューサーはその後二時間ほど苦虫を噛み潰したような顔をしていました。
    友紀ちゃんはトイレにしばらく籠ったり出たりを繰り返していました。大変ですね)


――


P「何だって?」

友紀「いやぁ……だからさ、昨日デイゲーム見に行ったらこんな焼けちゃって……」

P「うん、そうだね。焼けてるのも良いと思うよ健康的でー」

友紀「え、そう? そうかな、やっぱこういうのも良いかな」

P「……そんな事言う訳ないだろふざけんな」

友紀「はい……」

P「こんな焼けちゃってじゃないよ。お、お前、今ドラマの収録してるだろ? 繋がらないじゃないか顔が」

友紀「い、いやでもさ! 夏の太陽とキンキンに冷えたビールを味わいながら野球見れるチャンスがあるとするよね、プロデューサー」

P「うん」


友紀「その日が偶然オフだったら行かない手は無いでしょ!?」

P「無いよ。なんだよ、ドラマ出演者がそんな焼きたてのハニワみたいにこんがり焼けて。
  先方に何て言うんだい? こ、これから撮影だよ? 友紀」

友紀「メ、メイクで誤魔化して貰えば何とか……」

P「メイクとか以前にさぁ……こう、あるじゃない? せめて日焼け止め塗って球場行くとか、ナイターに切り替えて行くとか。ねぇ?」

友紀「あぁー……その発想は無かった……」

P「時々友紀はそこらのオッサンが美少女のきぐるみ着てアイドル活動してるんじゃないかと思う時があるよ」

友紀「あははっ、美少女なんて照れる照れる」

P「……」

友紀「あ、ごめんなさい……」

P「……オッサンの気持ちになるのは良いけど、あれな。自分が女性だって忘れちゃ駄目だって。
  それも、とびきり可愛い部類の女性だって事をさ。わかるか?」

友紀「う、うん」

P「アイドルだ、お前はな。だから節度とか、いや節度じゃねぇな常識だ。そういうのを持って欲しいと俺は思う」

友紀「はい……」


P「まぁ、そういうのも愛嬌の部類に入れられるかも知れないけどさ……とりあえず、俺が言いたい事わかったか?」

友紀「うん……」

P「……はぁ……まぁ何とかする方法を探ろう。とりあえず頭下げる事は必至だからな」

友紀「わ、わかった。声出して謝らないとね!」

P「……まぁ、そうだね」


ちひろ(その日撮るシーンが偶然海のシーンだったので、これくらいなら大丈夫と何とか許されました。
    良かったですね)



――


P「何だって?」

友紀「いや、だから、その……」

菜々「えへへ~、あーPさんこんばんは~……あれ、Pさんが三人いますね~。三人ともこんばんは~」

P「菜々さんに飲ませたのか、酒を」

友紀「いやぁ、だって……ねぇ? 飲み会にホイホイついてきたのは菜々さんの方だし……。
   飲ませて酔わせるのは当然かなって……」

P「某サークルの男子学生諸氏みたいな事やるんじゃないよ。ていうか、お前、何菜々さんに酒飲ませてんだよ。
  週刊誌にでもすっぱ抜かれたらどうすんだよ」

友紀「えぇ? でも、そんな週刊誌に載せられた所で菜々さんなんてもう成人してる事バレてるみたいなもんじゃん。
   皆、知ってたーで済むよ」

P「バッカお前。皆知ってるだろうけど敢えて知らない風にして弄ってんだよ。
  ガチで成人だってバレたらキャラ成りたたねぇじゃねぇか」

菜々「ナナはぁ、ナナはジェイケイです!」ビシッ

P「あぁはいはい。敬礼しなくて良いですかから、ほら、行きますよ菜々さん」


菜々「えへへ~、すみませんね~」

P「よいしょっと、ほら、ちゃんと捕まってて下さいね。俺が乗ってきた車で送るんで」

菜々「Pさんの背中は広いですね~……うぅ……」

P「あぁはいはい、あんまり喋ると吐いちゃうでしょうから黙って眠ってて下さい」

菜々「しゅ、しゅみましぇん……」

P「あぁもう混濁してるし……」

友紀「あはは! プロデューサー力持ちだねー」

P「テメェ……他人事みたいに言ってないでついて来いよ」

友紀「えぇ? あたしも行くの?」

P「男の俺一人でこの人担いだ状態でもしパパラッチされてみろ。もうキャラ云々以前の事書かれるぞ。
  つかず離れず俺の傍にいろ。良いか?」

友紀「えー、あたし帰ってもう一本開けようと思ってたんだけど」

P「お前剥製にしてビールクズの標本って題名付けて博物館に寄付するぞ」

友紀「あ、あはは、冗談だって冗談。ちゃんとついて行くから、大丈夫」


P「お前じゃ冗談に聞こえないんだよ……はぁ、まあいいや。とりあえず車に乗ろう……。
  あ、友紀悪い。鍵取ってくれ」

友紀「鍵? 良いよ、何処に入ってるの?」

P「あー、ケツポケ」

友紀「りょうかーい」ゴソゴソ

P(……少しくらい、きたなーいとかくらいの反応した方がアイドルとして良いんじゃあねぇかなぁ)

友紀「はい、あったよー」チャリ

P「ん、悪いな」

友紀「へへへ……それにしてもプロデューサー、良いお尻してるじゃない……」サワサワ

P「ちょ、ちょっと……止めて下さい……こんな往来で……」

友紀「あはは、良いではないかー」サワサワ

P「……もう良い? 病人担いでるから」

友紀「あ、うん」


P「そう。じゃあとりあえずドア開けてくれ。このボロは今時の自動スライドなんて無いから」

友紀「はい」ガララ

P「ありがと。はい菜々さん。降ろしますからねー」

菜々「うぅ……すみません……」

P「よし、とりあえず収容完了だ。ほら、友紀もあっち乗れ」

友紀「え、良いの?」

P「え、乗らないの?」

友紀「いや、あたしは罰で何か一人で帰れとか言われるかと思って」

P「そんな事言わないよ。こんな時間に一人でほっぽり出すような酷い事はしないって」

友紀「そ、そっか……へへっ、ありがと、プロデューサー」


P「その代わり明日トレーナーさんに頼んでプロテインセメント作って貰うからな。頑張って飲め」

友紀「えぇっ! い、いやそれは……」

P「こんな時間に迎えに来てやったんだ。それくらい面白い事があっても良いじゃないか」

友紀「鬼! 悪魔!」

P「四の五の言わずに早く乗れこの酔っ払い」

友紀「横暴だー!」

菜々「うぅ……ナナはジェイケイです……」



ちひろ(週刊誌にすっぱ抜かれる事も無く、この日は無事に終わったようです。
    後日友紀ちゃんは本当に特製のドリンクを飲んでまたトイレを往復していたみたいです。
    菜々さんは今でもプロデューサーさんにJKだと言って憚らないようです)




――



P「……何だってこんな事を」

友紀「いやぁ……その、ね?」

P「……これは、何の料理?」

友紀「えっと……一応、トマトが元なんだけど……」

P「トマト……まぁイタリア料理でトマトっていうのだろうけど……」

友紀「うん。それでまぁ……何はともあれ焼いてみようって感じで……」

P「焼く」

友紀「うん」

P「……れ、レシピ本あったよね? ほら、俺が昨日渡したさ。ね?」

友紀「あったけど……ほら、ありすちゃんが作ろうとしてる料理のインパクトが凄いからさ。
   苺使ったパスタだって! 凄くない?」

P「……う、うんまぁ、凄いね。そ、それと友紀がトマトを焼いたこの料理らしきものを」

友紀「らしきじゃないよ! 料理だよ!」


P「お、俺さ、包丁の使い方おさらいするついでにカプレーゼでもまず作ろうかって言ったよな?
  琴歌は言った通り作ってるじゃないか、何で、何でお前そんな……つまみくらいなら作れるとか言ってたよな?」

友紀「え? あ、まぁ……でも、包丁だけは元々使えるし、ただ切るだけじゃつまらないかと思って……ほら! 料理と言ったらまず焼くよね!
   だからあたしはこれで焼いてみたんだ!」

P「そんなレシピのやつ載ってないじゃないか」

友紀「いやーそこは気合いで……」

P「気合い」

友紀「うん。焼けばなんとかなるかなって」

P「何とかなったの?」

友紀「……焦げちゃった」

P「だよなぁ」

友紀「あはは……」


P「焦げたトマトなんて俺初めて見るよ。え、普通トマトって煮こんだりするのが主流だろ?」

友紀「い、イタリアじゃ違うかもよ!」

P「そりゃあ、そういう調理もあるんだろうけどさ……その、火加減おかしいでしょ……。
  あ、明らかにこれ強火でひたすら焼いたよな?」

友紀「うん! 強火でバーッてやらないと、ほら、絵的にもさ!」

P「食材を火葬したら絵もクソも無いでしょうに」

友紀「……あはは」

P「笑っても誤魔化されんぞ」

友紀「……ごめんなさい」

P「はぁ……まぁ、とりあえずこれはもう焦げ過ぎて食べれないから脇に寄せとこう……あ、柚食べる? おいしいよ」

柚「うぇえ!? い、いきなりアタシに振るの? しかも散々色々それについて言ってたのにおいしいって……」

P「まぁ食べないよな。プロテインでお腹下してる俺達にとっちゃ屁でも無い代物だろうが、柚はまだ慣れてないだろうしな」

友紀「そうだね」

柚「……プロテイン?」

P「何でも無い。こっちの話だ。まぁとりあえず柚も置きだ。これからどうする友紀」

柚(アタシに対する用ってそれだけなんだ……)


友紀「うーん、どうしよう……でもやっぱり料理って難しいね」

P「本見ながらなら簡単だよ。まぁまだ慣れてないから時間かかるだろうけど、分量守ればそれなりに美味しくできるよ」

友紀「そういうものかなぁ」

P「お前料理の根底から受け入れないつもりか」

友紀「うーん……まぁ、とりあえずプロデューサーの言ってたの作るよ。なんだっけカープの……」

P「カプレーゼな」

友紀「そうそう、それそれ」

P「トマト、まだあるから。丁寧にやるんだぞ」

友紀「わかってるってー。とりあえず切ってー」

P(先が思いやられる……)


友紀「でも、本見たけどさ、イタリア料理ってなんか難しそうなのばっかだったね」

P「あぁ、パエリアとかなんか難しそうだよな」

友紀「ねー」

P「だからこういう簡単なのからやろうって言ったんだぞ」

友紀「でもさぁ、何でイタリアンなのかな? もっとこう、簡単そうなのでも良いのに」

P「さぁ……そういう企画だからとしか言いようがない」

友紀「そりゃそっか。あたしはアレだなー、どうせ作るならハンバーグとかミートボールとか、そういうの作ってみたいな!」

P「ひき肉ばっかだな。あ、なんなら今から買ってくるか。どうせお前が使う分なら200円もしないだろうし」

友紀「え、本当?」

P「うん。俺もお目付け役してるだけじゃ暇だしな。まともに食えるの食いたいし、それなら作れるんだろ?」

友紀「うん! あ、じゃあさじゃあさ。ネギもう一本買って来てよ。これより長いの!」

P「……お前振りまわして遊びたいだけだろ」

友紀「ち、違うよー。ちゃんとショクザイに使うよー」

P「食材のイントネーションなんかおかしかったぞ」

友紀「い、良いからほら! ダッシュ! プロデューサー!」

P「はいはい……」


ガチャッ バタンッ


P(とりあえずひき肉買ってくるか。ネギも……とりあえずな)


……



P(とりあえずネギ一本にひき肉ちょっと買ってきたけど、大丈夫だろうか。
  あいつ俺が目離した隙に何かやってないと良いけど)


イマノハボールダヨ!
イエ、ドウミテモストライクデシタ


P(なんだ、やけに騒がしい)


ガチャッ


P「戻ったぞー」

友紀「あったまきた! 今度こそ、剛速球、行くよ!」ビュッ



グシャッ


友紀「あちゃー暴投しちゃっ……た……」

P「……」

柚「あ……Pサン……」

P「……」ポタポタ

琴歌「お、お顔に……」

ありす「だ、大丈夫ですか」

P「……誰だ、トマトで野球やりだした馬鹿は」

友紀「……」

柚「ユッキーだよ」

友紀「あ、ちょ」

P「……友紀、来い」

友紀「うっ……」


P「河原行こう、な。あの人呼んでくるから」

友紀「……あ、ま、まさか……」

P「ついて来い。沢山能力を伸ばそうじゃないか」ガシッ

友紀「あ、ご、誤解だよ! これはその……み、皆で……」

P「四の五の言わずについてこい。気合いのトレーニング始めるぞ。気合いで何とかしろ料理みたいに」

友紀「た、助けてー! あの特訓だけはしたくないー!」ズリズリ


ガチャッ


ありす「……」

琴歌「行ってしまわれました……」

柚「……あの特訓って何だろうね」

琴歌「さぁ……」


ちひろ(その日、友紀ちゃんは帰って来なかったそうです。翌日は全身が筋肉痛だと訴えていましたが、何をしてたんでしょうね?)


――


「ホント、次からは頼みますよ」

P「はい……どうも、すみませんでした!」

友紀「す、すみませんでした!」

「とりあえず今日の日程はここまでだから、お疲れ様。ちゃんと指導やっといて下さいね」

P「あ、はい。お疲れ様です。また明日も宜しくお願いします」

友紀「よ、宜しくお願いします!」

P「……」

友紀「……」

友紀(凄い怒られちゃったなぁ……)

友紀「はぁ……」

P「……楽屋戻ろうか、友紀」

友紀「……」

P「友紀?」

友紀「……え? あ、うん。もどろ、プロデューサー」



ガチャッ バタンッ


友紀「はぁ……」

P「お疲れ。ほら、これでも飲め。汗凄いぞ」

友紀「え? あ、うん……ありがとう」

P「……ほら、タオルも」

友紀「ありがと……」

P「ちゃんと拭いとけ、風邪引くから」

友紀「うん……」

P「……おい大丈夫か、友紀。ずっとボーッとして」

友紀「え? そ、そんな事無いって! 平気平気!」

P「誤魔化してるみたいに聞こえるぞ、それ」

友紀「え? あ、あはは……」


P「……あの人か。あの監督」

友紀「うん……凄い注意の仕方が嫌味ったらしかったから……。
   なんか、言い回しが曲がってるっていうか……ずっとボールゾーンから変化球で入れてくるみたいな感じで……」

P「そうだな。あの人、内側でもそう言われてるし」

友紀「やっぱりかー……あそこの演技、もっとどうにか出来ないのかって、ネチネチ何度も何度も言ってきて……」

P「何度も駄目喰らったもんな」

友紀「……うん」

P「それで落ち込んでたって訳か」

友紀「まぁ……そう、だね」

P「確かに拙い感はあったな。でもまだしょうがないさ。友紀はまだ演技指導受けてそんなに経ってないから」

友紀「そうだけど……さ」

P「悔しいか」

友紀「うん……やっぱ、今の自分じゃどう頑張っても出来なくてさ……。
   なんか、悔しい!」

P「そうか」


友紀「……あれ? あたし、こんな悩む人間だっけ」

P「なんだそれ」

友紀「え、だって、今まではなんか悩んでもあんまり気にしたりしなかったけどさ……寝たら忘れるとか殆どで……。
   でも何か、アイドルやり始めてから、時々スッゴイ悩む時があるんだよね」

P「悩む、か」

友紀「うん。プロデューサーにも、気付いたらいっぱい迷惑かけるし」

P「迷惑、か」

友紀「あたしのせいなのに、さっきも一緒に謝ってくれてたし……」

P「……そういう仕事ですから。俺は気にしてないよ。慣れてるから」

友紀「でもさ……」

P「でも?」

友紀「……あー! もう! 何なんだろう、本当に……悩むなんてあたしらしくないなぁ」

P「……まだ悩んでるか?」

友紀「うん……あたし、どうしたら良いんだろう」

P「……レッスンちゃんと受けて、力をつけてくしかないな」

友紀「だよねぇ……」

P「でもさ」

友紀「ん?」


P「悩むって良い事じゃないか」

友紀「良い事?」

P「あぁ。それだけ友紀がアイドルに真剣だって事だろ?」

友紀「……」

P「どうだっていい事にそこまで悩める人間なんてそういないよ。そうだろ?」

友紀「……う、うん」

P「野球選手だっていちいちフォームの確認だとか、変更とかするだろ?
  素人じゃそういうので一体何が変わるんだって思う人もいるかもだけど、
  本人達はそういうしっくりくるものじゃないと成績が出せないから、真剣になって細かい事を修正してるんだ。
  悩んで、検討して、思考錯誤してさ」

友紀「うん」

P「道具の作りやトレーニング、その辺りをどういう風にしたら上手くなれるか、結果が出せるか細かい事で悩んでる。
  友紀だってそれと同じだと思うぞ。上手くなりたいとか、アイドルとして結果を出したいって思ってるから今悩んでるんだろ?」

友紀「……うん」

P「だからさ、悩む事自体は良い事なんだよ。お前が真剣だって事だから。あの嫌味な監督はともかく、な?」

友紀「……」

P「ただ、それを一人で抱え込むのは悪い事だな。そういう問題で一人で工夫が尽きるって言うことはそう無い。
  なんか天啓みたいなのが閃かない限りな」

友紀「テンケイ?」

P「なんか悟るって感じ。そういう事なんて、そうあると思うか?」

友紀「無い、と思う」


P「だから、人に相談しろ。悩んだりしたら俺に言ってくれ。な?」

友紀「……うん。そうだね」

P「俺達はバッテリーだ。俺がリードするキャッチャーで、お前がエース。
  お前が気持ち良く投げられるようにするのが、俺の仕事だ。
  どんな暴投だろうが受け止めてやるさ。それが女房役の努めみたいなもんだろ」

友紀「……プロデューサー」

P「だから……あれ、何だろ。何か話ズレてる気がする」

友紀「え、そうだっけ?」

P「えっと……何だ……何か良い話にしてうやむやに終わっちまうぞこのままじゃ」

友紀「悩む……あぁ、演技について悩んでたって言ったんだよあたしが」

P「あ、あぁそっか。えっと、それについて俺なんか言ったっけ」

友紀「レッスンして力つけろって」

P「あぁ……だっけ?」

友紀「そうだよ!」

P「あぁそう……何か適当だな」

友紀「え、でも、その通りじゃない?」

P「……あ、そうだね。うん。じゃあそうしよう。これから猛特訓だ。な?」

友紀「……ぷふっ」

P「ん?」


友紀「あははっ!」

P「お、おい」

友紀「だって、だってっ……」

P「……そんな笑わんでも良いじゃないか」

友紀「あははっ……ゴメン、あー変なの。だってプロデューサーあんな真面目に良い話してたのにそんな変な事言うんだもん」

P「いや、まぁ……だって本当にうやむやになりそうだったから」

友紀「良いよ、もう。何か悩みも吹っ飛んじゃったし」

P「あ、そう……なら良いんだけど」

友紀「うん! もうスッキリしたよ!」

P「……そうか」

友紀「……その」

P「ん?」

友紀「ありがとね、プロデューサー。元気、凄い出たから。良いリードだったよ! うん!」

P「……そうか。どういたしまして」


友紀「それと……」

P「ん?」

友紀「迷惑かけてばかりで、ごめんね」

P「……気にするな。というか、お前の起こすトラブルも、まぁなんだ、楽しいしな。
  世話の焼ける子程なんとやらって奴だ。お前みたいな面白いビールクズそうそういないよ」

友紀「そっか……あれ、何か、最後酷くない? 誉めてないような……」

P「ホメテルヨー」

友紀「あ! 今の棒読みだった! 誉めてない!」

P「冗談だよ。誉めてる誉めてる。お前は良い奴だよ。一緒にいて退屈しない。
  お前と仕事してるおかげで俺は毎日暇してないよ」

友紀「え? そ、そっか……へへっ」


P「……よし。それじゃ、俺はこれで」

友紀「え、あれ? 何処行くの?」

P「また謝りに行って怒られてくるんだよ。何度も謝っとかないと後々禍根残すかも知れんし」

友紀「え、じゃあ、あたしも行くよ!」

P「お前も?」

友紀「うん! だって、あたしが悪いんだし、プロデューサーだけ謝りに行くのもおかしいよ!」

P「あぁ、そっか……まぁ、そういうなら二人で謝りに行くか」

友紀「そうしよう! で、その後には二人で反省会開こう!」

P「……それ飲み会だろ」

友紀「細かい事は気にしない! ほら、行こうよ!」

P「あぁ、押すな押すな。行くから」



ガチャッ バタンッ


友紀「へへっ、何が良いかなー。この前は焼鳥だったし……今度は魚介かなー……」

P「……これから謝りに行く人間とは到底思えん」

友紀「え? そ、そんな事無いよ」

P「……はぁ、まぁ良いけど。友紀が食べたいの、考えとけ」

友紀「……うん」

P「……」スタスタ

友紀「……」スタスタ

P「……」スタスタ

友紀「……」ピタ


(だからさ、悩む事自体は良い事なんだよ。お前が真剣だって事だから)

友紀「……」

(どんな暴投だろうが受け止めてやるさ。それが女房役の努めみたいなもんだろ)

友紀(……バッテリー)

友紀「あたし達はバッテリー……夫婦、か……へへっ」

P「ん……何だって?」

友紀「あ、いや! 何でもないよ!」

P「……そうか。ほら、んな所でボーッと突っ立ってないで早く行くぞ」

友紀「う、うん! あ、ほら、早く謝りに行って反省会開こう!
   その先にキンキンに冷えたビールがあたし達を待ってるから!」

P「あぁこら、スーツ引っ張るなシワになるだろ」

友紀「気にしない気にしない! 早く早く!」


P「ったく……何か、夫婦か、とか深刻そうに呟いてたと思ったらこれか」

友紀「なっ……え、き、聞こえてた?」

P「ほら早く行くぞ」

友紀「ちょ、ちょっと! プロデューサー!」

P「廊下でそんな大声出してたらまた怒られるぞ」

友紀「そ、それとこれとは……ま、待ってよプロデューサー! ちょっとー! タイムタイム!
   これは、その、ビデオ判定必要だから! 待って! 止まって!」

P「ははは、今日は酒が旨くなりそうだなぁ」

友紀「プロデューサー!」




――



プルルルッ


友紀「うぅ……はーい」

P『もしもし、友紀かぁ』

友紀「うん……何、プロデューサー」

P『俺二日酔いで気持ち悪いから遅れるって事務所着いたら伝えといて……』

友紀「えー……あたしも頭痛いから無理……」

P『気合いで何とかしてくれよ……』

友紀「そういう時だけずるいよ……」

P『うるさーい……じゃあ、また後でな……』


ツー ツー



友紀「はぁ……結局二人して飲み過ぎちゃった……」

友紀(結局なんか、しまらないっていうか……適当っていうか……)

友紀「……まぁでも、こういうのも良いかな」


ガバッ


友紀「ふぅ……」


パンッパンッ


友紀「……よしっ! 気合い入った! 今日も頑張るぞー! オー!」


ドンドンッ!
ウルサイワネ! アサカラオオゴエダサナイデチョウダイ!


友紀「あっ……ごめんなさーい……」

友紀「……」

友紀「……へへっ」

終わりです
ユッキとは馬鹿やれる悪友でありたい

パエリアはスペイン料理だよw

>>36
何だって?(難聴)

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