ラルトス「ハロウィンパーティ?」(63)

サーナイト「そうよ、明後日の夜、遊園地で、たくさんのポケモンが来るそうよ、一緒に行く?」

ラルトス「うーん…なんか怖いな…そんなパーティ、誰から誘われたの?」

サーナイト「一昨日知り合ったニャースさん、デートのお誘いだったみたいね」

ラルトス「…お兄ちゃん…また男の人騙したの?」

サーナイト「あら、人聞きの悪い、真の愛には性別なんて関係ないわ、それに勝手に殿方が勘違いされただけよ」

ラルトス「はあ…興味はあるけど…お兄ちゃんと行くのは…」

サーナイト「ひどい弟ね、あたしと一緒が嫌なら友達と行けば?キルちゃんとか」

ラルトス「え?キ、キル、リアと?でも、隣町に住んでるし」

サーナイト「ふふ、彼女の前でそんな風になっちゃだめよ」

ラルトス「そ、そんなんじゃないよ」

サーナイト「もー、ラルちゃんのそういうとこ大好き!実の弟じゃなかったらなー」ギュ

ラルトス「ああ、もう!お兄ちゃん抱きつかないでよ!香水くさい!」

パーティ2日前 昼

ラルトス「うーん、どうしようかな」

ゴンベ「あ~、ラル~久しぶり~」

ラルトス「ゴンちゃん!どうしたの?森に引っ越したのに」

ゴンベ「うん~、いっぱい、おいしい木の実を食べる会があるって聞いたから急いできた
んだ~」

ラルトス「それって、明後日遊園地である?」

ゴンベ「よく知ってるね~、ラル~も一緒に来る?」

ラルトス「ええっとー」

パーティ2日前 夜

サーナイト「あら、おかえりなさい、ラルちゃん、今日は遅かったわね」

ラルトス「ただいま」

サーナイト「お風呂にする?お風呂にする?それともお風呂にする?」

ラルトス「お兄ちゃん、なんで執拗にお風呂に入れようとするの?」

サーナイト「だって…ラルちゃんいっぱい遊んできたんでしょ?泥んこさんよ」

ラルトス「うわ、本当だ、そういえばゴンちゃんも泥んこだったな」

サーナイト「あら、ゴンちゃんもう着いてたのね」

ラルトス「え?お兄ちゃん、ゴンちゃんが来ること知ってたの?」

サーナイト「それはそうよ、招待状書いたの、あたしだもん」

ラルトス「え?招待状?」

サーナイト「パーティなんて人が多いほうがいいでしょう?知り合い全部に招待状書いたわ、大変だったわー」

ラルトス「ええ…お兄ちゃんって確か、凄いたくさん知り合い居たよね…」

サーナイト「そうね、ラルちゃんにはちょっと早いかもだけど、体のお友達がちょっと多いわね」

ラルトス「…ド下ネタ」

サーナイト「そんな、蔑んだ眼で見ないでよ、興奮するわ」

ラルトス「…そんな大人数で夜中に騒いだら人間に気づかれないの?」

サーナイト「無視しないでよ、まあ、そこは気にしなくていいわ、みんなが準備してるし」

ラルトス「準備?」

サーナイト「まあ、期待しときなさいってことね、さ、いっしょにお風呂入ろっか?」

ラルトス「サイコキネシス」

サーナイト「痛い、痛い!痛い!切れるから!ねじ切れるから、痛いって!」

パーティ1日前 朝

サーナイト「ムー、おはよう」

ムウマージ「おう、相変わらず女々しいなりだな」

サーナイト「隣、いい?」

ムウマージ「もう座ってんじゃねえか、図々しい」

サーナイト「ふふ、どう?会場の進捗は?」

ムウマージ「おめえが来るまでは順調だったな、ダークライ親方も大仕事だって張り切ってるし、新入りのニダンギルっつう奴がよく働きやがる」

ニダンギル「姉さん!お疲れさまっす!ポフィン買ってきやした!」

ムウマージ「噂をすればなんとやらって奴だな、ありがとよ」

サーナイト「こんにちは」

ニダンギル「こ、こんちゃーっす!あの、よかったらこれ!」

サーナイト「このポフィン、あなたの分じゃないの?」

ムウマージ「はあ…」

ニダンギル「いえ!ポフィンも貴方みたいな方に食われ…食べて頂いた方がうれしゅうございます」

サーナイト「ふふ、ならありがとうございます」

ムウマージ「それ食ったらさっさと帰れよ」

サーナイト「もう、せっかく元気付けにきてあげたのに…冷たいなあ」

ニダンギル「さっきの人、姉さんのお友達っすか?」

ムウマージ「ああ、ガキの頃からの腐れ縁っていう奴だな」

ニダンギル「きれいな人でしたね!」

ムウマージ「…色々と言いたい事はあるが、ひとつだけ言うなら、止めとけ」

ニダンギル「え」

ムウマージ「やめとけ」

ニダンギル「え」

ムウマージ「人生を悪いほうに変えたくないならやめとけ」

パーティ1日前 昼

ゴンベ「セレビィさんってそういうとこあるんだ~」

ラルトス「怖いよ!時の狭間に落とすって…」

リオル「なに、はなしてる?」

ゴンベ・ラルトス「うひゃ!」

リオル「どうした?」

ゴンベ「リオル急に後ろに立つから~」

ラルトス「びっくりしたーリオルも来てたんだね」

リオル「ごめん」

ラルトス「ううん、相変わらずで安心した」

ゴンベ「本当にね~」

リオル「久しぶり、嬉しい」

ラルトス「リオル、牧場は楽しい?」

リオル「楽しい、みんな、優しい」

ラルトス「そっか、どんな風に楽しいの?」

リオル「どんな風に?すごくに楽しい」

ゴンベ「相変わらずだな~も~」

サーナイト「あら?お久しぶりね」

ラルトス「お兄ちゃん」

サーナイト「このメンバーで集まってるのって本当に久しぶりね」

ゴンベ「うん~、そうだね~みんな引っ越しちゃって、会えなくなっちゃったもんね~」

リオル「すごく、嬉しい」

サーナイト「リッちゃんも可愛い所あるじゃない」

リオル「可愛い、嬉しい」

サーナイト「でも女の子ならもっとオーバーにアクションした方が気持ちを伝えやすいわよ」

リオル「どんな風に?」

サーナイト「嬉しいーって大きい声でこう、手を大きく上げて、やってみて」ガバー

リオル「嬉しいー」ガバー

ラルトス「お兄ちゃん…リオルに変なこと教えないでよ」

サーナイト「うーんでも一人足りないわね」

ゴンベ「そういえばそうだね~」

リオル「足りない」

サーナイト「ラルちゃん、誰でしょうか」

ラルトス「キルリア…でしょ」

サーナイト「そうそう、まだ来てないのかしらね」

ラルトス「お兄ちゃん、その胸元にある紙は?」

サーナイト「え?ああー!」

ゴンベ「どうしたの~大きな声出して」

リオル「びっくりしたー」がば

サーナイト「さっそく、マスターしたのね、ってそれどころじゃないわ、これ、キルちゃんへの招待状なの」

ラルトス「え?」

ゴンベ「それって、お食事会を伝えてくれたやつだよね~」

リオル「キルリア、パーティ、しらない?」

サーナイト「そうなのよ、どうしようムクホークさんの郵便屋さんは今日は定休日だし、あたしは今から化粧品のバーゲンに行かないといけないし、どうしようかしら」

ゴンベ「僕らで迎えに行こうよ~」

ラルトス「で、でも隣町だし、危ないよ」

リオル「私、強くなった、大丈夫」

ラルトス「でも、キルリアにも予定があるかもしれないし」

サーナイト「ラルちゃん」

ラルトス「お兄ちゃん?」
                     
サーナイト「せっかく皆で集まるチャンスなんだし、言っておいでよ」

ラルトス「で、でも…」

サーナイト「ラルトス、よく聞いて」

ラルトス「どうしたの急に改まって」

サーナイト「経験から言わせてもらうけど、こういうときに何もしないとずーっと後悔するよ?ずーっとだよ」

ラルトス「ずーっと…」

サーナイト「大人になってからも、おじいちゃんになってからも今日、キルちゃんを誘わなかったら、ずーっとどうして今日誘わなかったのかって、おじいちゃんのラルちゃんは今日のラルちゃんを責め続けるんだよ」

ラルトス「…お兄ちゃんも…その日のお兄ちゃんを責め続けてるの?」

サーナイト「…かもね?」

ラルトス「…リオル、ゴンベ、」

ゴンベ「お弁当持った~?」

リオル「行こう」

ラルトス「ふふ、ありがとう」

パーティ当日 早朝

ラルトス「はあ、ふう、はあ」

ゴンベ「この辺のポケモンは喧嘩っ早いね~」

リオル「いい練習になる」

ラルトス「隣町がこんなに遠いとは思わなかった」

「おう、てめえらか、朝っぱらから人の島を荒らしまわってるのわ!」

リオル「殺気!」ドゴ

「おおっと、チンピラの割りにいいパンチだな!」

ゴンベ「うわあ、でっかい~ゴリッキーだ~」

ゴーリキー「ゴーリキーだよ!アホガキ」

ゴーリキー「まあいい!うちの若いのを痛めつけてくれた分の落とし前はつけてもらわなくちゃな」

ラルトス「この辺のボスみたいだ、三人で掛からないと、いや三人でいっても…」

リオル「町、行け」

ラルトス「え?」

ゴンベ「うん、早く行かないと間に合わないよ~町でキルリアを探さないとだし~」

ラルトス「でも、」

リオル「大丈夫、負けない」

ゴンベ「パーティに間に合わなかったら意味ないよ~、大丈夫だから」

ラルトス「…ごめん」タタタ

ゴーリキー「あ、おい、待て」

リオル「こっちだ」バキ

ゴーリキー「いいねえ!仲間を逃がすとは泣かせるねえ」

パーティ当日 パーティ開始直前

ニャース「サーナイトさん、どうしたにゃ?浮かない顔して」

サーナイト「ええ、知り合いがちょっと見当たらなくてね」

ニャース「そりゃあ、心配だにゃ、でもまあ、途中から入るのもできるし遅れてるだけかもしれないにゃ」

サーナイト「うーん、間に合えばいいんだけど」

ニャース「あ、始まりますにゃ」

パーティ当日 パーティスタート

ダークライ「真夜中に太陽を求めし愚か者の皆様!こんばんは、本日はわがパーティへのご参列心より御礼差し上げます」

ニャース「硬っくるしいにゃ」

サーナイト「ダークライさん、張り切ってるわね」

ダークライ「長ったらしい挨拶は好みません故、皆様には早速会場に入っていただき、心行くまでドンちゃん騒ぎを繰り広げてもらいます、文字通り夢の世界で、それではおやすみなさい。ダークホール」

ニャース「おー、噂どおり、すごいにゃー、まんまるお月様がでっかいにゃ、コーヒーカップは無重力だし、土星のわっかで輪投げができそうだし、ソフトクリームの星座だにゃ、しかもたくさんの料理がならんでるにゃ」

サーナイト「そう…ゴーストポケモンが作った巨大な夢の塊、これならポケモン1000匹だろうと2000匹だろうと収容できる会場ね」

ムウマージ「おう、来てたのか」

ダークライ「サーナイト様、かなり説明的な台詞をどうも」

サーナイト「あら、ムウマージに親方さん、ご苦労様です」

ダークライ「ご来場ありがとう」

サーナイト「……」

ニャース「やっぱり、来てない知り合いの方がしんぱいですかにゃ?」

サーナイト「ええ…それもですが、ちょっと…ね…」

ゴンベ「いや~なんとか間に合ったね~」

リオル「我々は、ね」

ゴンベ「開場には二人とも間に合わなかったみたいだね~」

リオル「しょうがない」

ゴンベ「僕たちの方が遅いかと思ったけど…大丈夫かな~」

リオル「信じる」

ゴーリキー「なあ、おい、綺麗なサーナイトってのはどこに居るんだ?」

ゴンベ「それにしても、すごい数のポケモンだね、本当に1000匹くらい居るかも」

リオル「数えた1877匹、今12増えた」

ダークライ「流石は波動を司る者ですね、リオルさん」

ゴンベ「あ~、ダークライさん、今日は素敵なパーティをありがとう~」

ダークライ「いえいえ、こちらこそ、ご来場ありがとうございます」

リオル「1933…凄い」

ダークライ「確かに凄い数ですが実際に夢を見てらっしゃる方は4分の1もいないでしょうね」

ゴンベ「ん~?どういうこと~?」

ダークライ「ふむ、逆質問はあまり好みませんが、ゴンベ様にとって死ぬとはなんでしょうか?」

ゴンベ「え?し~?」

リオル「1935…いなくなる?」

ダークライ「ふむ…ならば、今はこれが答えですかね、だれかの夢の中の登場人物が残りの4分の3です」

ゴンベ「ふーん、よくわかんないや」

リオル「1937!来た!」

キルリア「わー凄い人だねー」

ラルトス「本当だ、はぐれちゃいそうだね」

キルリア「えっと、その…手、繋ごうか?ほら、さ、はぐれちゃいそうだし」

ラルトス「え、っと、うん、ちょっと待って、手…汗ひどいから」

キルリア「大丈夫だよ、そのくらい、あっち行こう、なんか楽しい感情がいっぱい」キュ

ラルトス「あ、ああ、ちょっ!待っ」

ラルトス「マラカッチ歌劇団の演劇素敵だったね」

キルリア「離れ離れになった二人が再開をして幸せなキス、憧れちゃうな」

ラルトス「そ、そ、そうだね、ちょっとエロかったけど」

キルリア「ふふふ…」

ラルトス「どうしたの?」

キルリア「ううん、ラル君もサーナイトさんに似てきたなって」

ラルトス「え!嘘、そんなー」

キルリア「ちょっとね、ちょっと」

サーナイト「へくちっ」

ニャース「どうしましたにゃ?サーナイトさん、風邪かにゃ?」

サーナイト「多分誰かが噂したのよ、きっと」

ニャース「いやいや、風邪は引き始めが肝心にゃ、会場を出てどこかで休憩しませんかにゃ」

サーナイト「もう、がっつかないの」

メタモン「はい、ハチクマンのお面ね、まいどあり」

キルリア「どうも、はい、ラル君」

ラルトス「ありがとう、でもなんでお面なんかをもらったの?」

キルリア「今日がハロウィンだから…かな?」

ラルトス「?どういう意味?」

キルリア「ハロウィンってのは死んだ人が帰ってくるお祭りなの」

ラルトス「死んだ…人?」

キルリア「死んじゃったらもう、会えないんだけど、ハロウィンの日は特別!神様がこっちとあっちの扉を開けてくれるの」

ラルトス「なんだか凄いね」

キルリア「うん、でもね、あっちの悪いお化けはこの日に生きてる人をあっちに連れて行こうとするの」

ラルトス「え、名にそれ怖い」

キルリア「うん、怖いでしょ、だからね、みんなお面とかをつけてお化け達に生きてるって教えないようにするんだ」

ラルトス「そっか、やっぱりキルリアって物知りだね」

キルリア「えへへ、それ程でもあるよ」

ラルトス「でも、ハチクマンのお面つけた人がいっぱいいるから、はぐれたら僕がわかんないね」

キルリア「そうね…そうだこれをこーして」キュっキュ

ラルトス「待って、それって、キルリアのお父さんの形見の石じゃ…?」

キルリア「いいの、私を守ってくれる人に渡せってパパが言ってたから、それに…」

ラルトス「それに?」

キルリア「なんでもない」

ラルトス「不思議だな、みんながあの日みたいにこの町にいるって」

キルリア「うん、リオとゴンちゃんが引っ越してからしばらく二人だけで遊んでたしね」

ラルトス「本当は4人いっしょがよかったんだけどね、お兄ちゃんがおっちょこちょいのせいで」

キルリア「4人がよかった…なんだね」

ラルトス「え?」

キルリア「ううん、なんでもない、私も二人を探してるんだけど、なんか見つけられないんだ」

ラルトス「キルリアもそうなの?実は僕もなんだ、お兄ちゃんの気配も見つからないし、二人で出店回っちゃおうか」

キルリア「そうだね、途中でみんなと会えるかもしれないし、コイキングすくいやってみたいな」

ラルトス「あはっ、キルリア待って」

サーナイト「二人が移動するわ、追うわよ」

ニャース「あのーサーナイトさん」

サーナイト「どうしました?」

ニャース「おいらたちはなんで弟さんとキルリアのカップルを草葉の陰から見守ってるにゃ?」

ゴンベ「し~、うるさくしちゃだめだよ~」

リオル「いいところ」

ニャース「なーんか…デートじゃないし…罪悪感がにゃ~」

キルリア「ふう…楽しかったね」

ラルトス「うん、色々やってもタダだからたくさん回れちゃったね」

キルリア「何が一番楽しかった?あたしはピカチュウの型抜き」

ラルトス「それはキルリアがうまくできたからでしょ、僕はヘラクロスの輪投げ屋さん」

キルリア「それはラル君がうまくできたからでしょ」

ラルトス「………」

キルリア「…………」

ラルトス「プッ」

キルリア「ふふふ…」

ラルトス「あはははははは」

キルリア「あはははははははは、なんかおかしい、ふふふはははははは」

ラルトス「なんでだろう、はははははははは」

キルリア「それで、そこに隠れている皆さんは何が楽しかったの?」

ニャース「にゃははは…バレバレだったみたいにゃ」ガサガサ

サーナイト「リフレクターで完璧に偽装してたのに…あたしもヘラクレスさんとこの棒に入れる遊び」

キルリア「そんなのお見通しです、あと輪投げをイヤラシく言わないでください、ほらリオとゴンちゃんもちゃっかり遊んでたんでしょ」

ゴンベ「すごいな~キルちゃんは~」

リオル「アーボックの射的」

ゴンベ「ああ~言う流れ?僕はオクタンさんのたこ焼きが楽しかったよ~」

ラルトス「もーう、それはおいしかったでしょ」

ニャース「にゃはは!わろとけ!わろとけにゃ!」

一同「「あははははは…」」

ヒュウウウウウウウウウウウウウウウウウウ…ドン!

サーナイト「あら」

リオル「花火」

ゴンベ「ひゃ~綺麗だね~」

ヒューーーーーーードーン

ラルトス「あ、ピッピの形だ!すごいや」

ヒューーーーーーードン ヒュウドン ドン ドン

ダークライ「本日最後の催しでございます」

サーナイト「あらあら、また神出鬼没ですこと」

ダークライ「お褒め頂き光栄です」

サーナイト「ほめ言葉かは分かりませんけど、ミステリアスな殿方は好きですよ」

ニャース「にゃ!?ニャーも人の言葉がしゃべれるくらいミステリアスですにゃ!」

ダークライ「申し訳ございませんが、私はニャース様のように男色の気は持ち合わせておりませんので」

ニャース「ダンショク?」

サーナイト「あら、残念、それで、あとどれくらいでパーティは終わるの?」

ダークライ「花火が終わるまで、夢が覚めるまで時間はありません、キルリア様」

キルリア「………」

ダークライ「それではまた失敬」

サーナイト「…あの人もおせっかいなのね」

キルリア「ラル…来て!」ギュ

ラルトス「え?なにキルリア?うわっと」ダダ

ゴンベ「キルちゃんがラルの手を握って~」

リオル「行った」

サーナイト「…うん、そうだね」

ゴンベ「今度は追いかけなくていいの?」

サーナイト「…うん、そうだね」

リオル「なんとなくわかった」

サーナイト「…うん、そうだね」

ニャース「あの…サ…-ナイトしゃん…もしかして…おと…」

サーナイト「…うん、そうだね」

ラルトス「ハア…ハア…キルリア!どうしたの、急にこんなとこまで引っ張って」

キルリア「ごめん、どうしてもラルに、ラルに伝えないといけないことがあって」

ラルトス「僕に?」

キルリア「うん、言うね、あたし…」

ラルトス「待って!」

キルリア「待てないの!時間がもう…」

ラルトス「僕もキルリアに伝えたいことがあるんだ!先に言わせて」

ヒュー

ラルトス「僕、僕、僕、僕は、キルリアのことが大好きです」

キルリア「!!!」

ドン

ラルトス「お兄ちゃんのことも、ゴンちゃんのことも、リオのことも好きだ、でも違うんだ、キルリアの好きはみんなの好きと違うんだ」

ラルトス「キルリアのことを思い出すと頭がボーっとして、胸がチクチクして、心がサワサワするんだ、一緒に居ると心臓が壊れそうなくらいに生きてるって動くんだ」

キルリア「うん、うん」

ヒューー

ラルトス「このことを伝えるのも本当は凄く怖かった、
これを言葉にしちゃうとなんだか全部が壊れそうな気がして、
でも言わなかったら、もっと…もっとだめなんだ!」

キルリア「うん、うう…うん」グス

ドドン パチパチパチ

ラルトス「ごめん、一方的にしゃべっちゃって、
泣いてるけど、ぼく、怖かった?」

キルリア「ち、ぎゅうの、あたし…も…だから」グズッグズ

ラルトス「え?」

ヒュー

キルリア「あた…も好きだかあ、すぎょくふれしいの」グズ

ラルトス「本当?キルリアも僕の…本当?なら、なんで泣いているの?」

キルリア「…すき…から…こあいの…」グス

ラルトス「怖い?なにが怖いの?僕が守るから、怖がらないでよ」

キルリア「帰らなきゃ…ゆめが、終わるの…」

ラルトス「それって、どういう」

ドン

ゴンベ「へ~、リオルはもうこの街にそのまま帰ってくるんだ~」

リオル「流行病終わったから母さんが帰りたいと」

ゴンベ「そっか~もう、病気の心配しなくていいもんね~、僕も帰ってこようかな~、キルリアちゃんもしっかり退院できたみたいだし、みんなで帰ってきちゃおうか?」

リオル「それはいい」

サーナイト「……うん………そうだ…ね」

ドン

リオル「大きい」

ゴンベ「最後の花火みただね~そろそろ起きなきゃ」

サーナイト「そうだね…」

ラルトス「僕がずっと、そばに居るから!泣くのをやめてよ」

キルリア「ぢがうの!むりなの」

ラルトス「僕のこと好きでしょう?大人になったら結婚しよう、ずっと守るから」

キルリア「だって、だって!あたじいぃぃ」グス

ダークライ「お取り込み中、失敬」

ラルトス「ダークライさん?ごめんなさい、僕のせいでキルリアが泣きやまなくて」

キルリア「ぢかうのぉ、ちがうの…」

ダークライ「………ふう…時々わからなくなるんです、どちらが残酷なのか」

ダークライ「優しい嘘をつくのと、つらい現実を突きつけること、どちらがその人の為になるのか」

ラルトス「それは、どういう意味ですか?」











ダークライ「……朝が来たということです」

ダークライ「ご覧ください、先ほどまで大勢いたポケモンが我々も含めて両手に数える程度でございます」

ラルトス「本当だ、みんなもう、起きちゃったんですね」

ダークライ「左様でございます、ラルトス様も永遠に眠り続けるわけにはいきません」

ラルトス「キルリア、僕らも起きよう」

ダークライ「……」

キルリア「…うう…ううう」グズ

ダークライ「…ふう…ラルトス様…」

キルリア「待って!」

ダークライ「はい」

キルリア「もう、泣きません、自分で言わせて」グス

ダークライ「結構、それではお邪魔でしょうしお先に…失敬」ス

ラルトス「消えちゃった」

ゴゴゴゴゴゴゴ

ラルトス「空が壊れていってる!キルリア早く起きないと」

キルリア「伝えたいこと!」

ラルトス「あ、起きてからじゃだめ?」

キルリア「あたしもラルのことが好き!世界で一番だと思う」

ラルトス「キル!」

キルリア「伝えなきゃいけないこと!」

ラルトス「ねえ!もうやばいって!」

キルリア「…ここでお別れです」

ラルトス「え?」

キルリア「あ、あたしは…ラルちゃんの…ゆ…めへした…だ、だきゃ…ら」

ラルトス「うそ…いやそうか…そうだったのか…だから…」

キルリア「こ…こでおわかれれす…たのしかたよ…」

ラルトス「…………」

ゴゴゴゴゴゴゴ

キルリア「めぎゃ、さめたら、あたたか、ごはむたべて…いっぱいあすんで…はやくおおっきくなてね…」

キルリア「そしたら…あたしじゃない、、、、きれ、、、なおよめさん、およめ、、、いっぱいこども…ううううぅうう」

キルリア「やだぁあ、やっぱり…ラルといっしょがいい…きえたくない」

ラルトス「大丈夫」

キルリア「?」

ラルトス「いっしょにきえよう、僕も夢になるから、ずっと一緒」

キルリア「だめ!それはだめ!」

ラルトス「いいよ、たぶん」

ラルトス「きれいな言葉がでてこない、けどこれでいいとおもう」

キルリア「お願い!あたしの分も幸せに…生きて」

プツ

翌日 朝

ラルトス「」


ラルトス「」


ラルトス「」





ラルトス「」



ラルトス「」

ラルトス「」






ラルトス「」

後日 昼

サーナイト「やっぱり、残酷だったかしら…」

ムウマージ「…しゃあねえよ、隠してたってばれてただろうし、最後に会えたんだそれでいいじゃねえか」

サーナイト「うん…」

ムウマージ「チッ、元気に下ネタ垂れ流してたときの方がましだな、てめえまで辛気臭い顔してたらチビの方もずっと部屋から出てこねえぞ」

サーナイト「そうだね、よし、景気づけに一発」

ムウマージ「さわんじゃねえ汚物が!」

後々日 昼

カイリュ-「おっとどっけものでーす」

サーナイト「はーい、あら、素敵な殿方」

カイリュー「こんにちは、きれいなサーナイトさん、ここにハンコねがいます」

サーナイト「はい、はい、っとラルちゃん宛なんて珍しいわ」

カイリュー「それじゃあこれでー」

サーナイト「あらあら、またすごいとこから」

サーナイト「ラルちゃーん、お届けものよー」

ラルトス「」

サーナイト「男のこでしょ、いつまでも腑抜けてたらキルちゃんに笑われちゃうよ」

ラルトス「この石、キルリアの…」

サーナイト「これが使いこなせるくらい、元気に強くいきなさいってことでしょうね」

ラルトス「う…うう…うううう…うううう…おにいぢゃんん…ぼぐ、…」

サーナイト「…よしよし…今日からはちゃーんと…生きよう、ね」

おわり

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