勇者「勇者だけのパーティー」(111)

王国図書館─管理室


勇者「あ~今日もこの部屋で監視カメラを眺める日々…」

上司「文句言ってないで三番カメラみろ」

勇者「何かあるんですか?」

上司「我が国の勇者様…賢者様だ」

勇者「?!…あの巨乳…いや爆乳の姉さんか!」


上司「あぁ」



───
──

カメラ『』ジーーーー

賢者「……」

カメラ『』ジーーー

賢者「このカメラすこしうるさいわね…」

カメラ『』ジーーー

賢者「まったく…落ち着いて本探しも出来ないじゃない」ハァ


勇者「おぉ~…揺れてるな」

上司「ちゃんと監視しとけよ、ほかのカメラも」

勇者「了解です!」

上司「俺はもう帰るから~」

勇者「また女の子ですか?」

上司「わるいか」

勇者「…プレイボーイっすね~」

上司「じゃあな」

勇者「お疲れ様です!」


ガチャッ

上司「ん?…ここは関係者意外立ち入り禁止です──」

兵士「私は王国の兵士です、少しカメラを見せてもらえますか?」

上司「え?」

兵士「失礼します」ザッザ

上司「ちょっちょっと!」

兵士「君、ここに賢者…胸のでかい女がいないか?」

勇者「え?」

兵士「いいから!」

勇者「えっと…ここに」


兵士「……このカメラの場所はどこだ?」

勇者「えっと…東館の『e-47』ブロックです」

兵士「…案内を頼めるか?」

勇者「え?」

兵士「いいから!」ギロッ

勇者「は、はい!」

勇者(何がどうなってるんだよォ~)チラッ


勇者(あの上司帰りやがった!)

兵士「早く!」


東館─

勇者「えっと…ここです」

兵士「?…いないぞ?」キョロキョロ

勇者「移動したんじゃないですか?」

兵士「何処に」

勇者「いや…そこまではわかりま──」

キリリリリリリリンッ

兵士「?!な、なんだこの音は!」

勇者「非常ベルです…火事?!」

兵士「っ!」ダッ

勇者「ちょっと!どこに行くんですか!?」

兵士「あの女を探すんだ!」スタタタタ

勇者「……お、俺はこのベルを止めなくては!」


ガシッ

勇者「?!」

賢者「…君」

勇者「……賢者さん?」

賢者「おや、私を知っているのか…なら話は早い」

勇者「え?」

賢者「少し案内を頼みたいんだ」

勇者「でもこのベルを止めないと…」

賢者「あぁ、それなら問題ない」パチンッ

キリリリリ……

勇者「と、止まった…?」

賢者「魔法だ、あの兵士を撒くための」


賢者「して、君に…名前は?」

勇者「勇者です」

賢者「勇者、そうか。では勇者、案内を頼みたいんだ」

勇者「…何故?」

賢者「ここの役員だろ?いつも私をカメラで見ている」

勇者「?!(なんでわかるんだこの人!)」

賢者「私は視線に敏感でね、誰が誰の視線かわかるんだ」

勇者「はぁ…」

賢者「で?頼めるかな?」


勇者「は、はい…俺でよければ」

賢者「では、地下館の『零-00』ブロックにたのみたい」

勇者「…?そんなブロックは存在しないですよ?」

勇者「それに、地下館なんて…どこかの間違いでは?」

賢者「そうか…君は、勇者君はこの図書館に勤めてどのくらいだ?」

勇者「えっと…今日でちょうど一年目です」

賢者「おめでとう…そうか、まだ新米か…なら知らないのも無理はない…か」


勇者「?」

賢者「…!そうだ勇者君」

勇者「はい?」

賢者「ここに倉庫とかはあるかい?」

勇者「この建物ではありませんが、街の外れに地下倉庫がありま──」

賢者「そこだ!その地下倉庫に連れて行ってくれ!」

賢者「頼む!」

勇者「いいですけど…」

賢者「ありがとう!」


勇者「なんでですか?」

賢者「え?」

勇者「なぜそんなに地下にこだわるんです?」

賢者「……君は知りたいのかい?」

勇者「はい」

賢者「…本だよ」

勇者「でしょうね、本の倉庫ですし」

賢者「魔法の書だよ、過去の勇者一行の遺産、すべての魔法を記した
魔法の書」

勇者「…聞いたことあります」

賢者「その本がここにあると聞いてね、今まで探していて、
ついさっき見た日誌に書いてあったんだ。『魔法の書、地下に葬り去る』て」

勇者「…はぁ(『葬り去る』て…普通なら地下にしまうとかじゃないのか?)」


───
 街外れの倉庫入口
       ───

勇者「ここです、中は結構広いですよ」

ガチャッ


勇者「…?明かりがつかない、いつもならセンサーでつくのに」

賢者「任せな、光魔法、照らせ!」ポワッ

ピカァッ

勇者「おぉ!一気に電気がついた」

賢者「じゃあ魔法の書を取りに行こう」

勇者「それが…」

賢者「?」


勇者「俺もどこにあるか知りません」


賢者「あぁ、これはすまないな。失言だった」

賢者「君が知らないことは知っている。正しくは探しに行こうだったな」

勇者「え?」

賢者「知っていたら君もここには案内しないだろ」

勇者「どういう…意味…」

賢者「…魔法の書、それは人を食う本だ」

勇者「?!」

賢者「まぁ本当に食うわけじゃない、その本の使い手の魂が
本に乗っ取られるて意味だ」


勇者「ちょ!そんな物使う気ですか?!」

賢者「大丈夫」

勇者「え?」

賢者「私はその本に食われた人の魂を浄化、正しくは」

勇者「正しくは?」

賢者「消す」

勇者「…けす…ですか」

賢者「あぁ、消す。そうしなきゃその本は使いえない」

勇者「どうして?」


賢者「魂が食われるのは、本に食われた魂が体を求めて
使用者の魂を本に移し、使用者の体に入るために起こる事なんだ」

勇者「…つまり、本の中の魂と人間の体の魂が入れ替わる…と」

賢者「あぁ」

勇者「…大丈夫なんですか?」

賢者「なにが?」

勇者「…いえ」


賢者「それより早く探そう」

勇者「一体どんな本何ですか?」

賢者「ん~……見ればわかるんじゃない?」

勇者「そんなもんですか?」

賢者「あぁ」


==


賢者「……にしてもこの倉庫どのくらいの大きさ何だ?」

勇者「そうですねぇ~…軽くこの国の人…
七千人強が入ってもまだまだ余るくらいですね」

賢者「…でかいな」

勇者「まあ本があるのは一角ですから」


賢者「ほかの所は何が?」

勇者「さぁ…立ち入り禁止だそうです」

賢者「…そうか」

───
  二時間後
     ───

賢者「…見つからない」

勇者「全部探しましたね」

賢者「何故ないんだ!」


勇者「えっと…ここにはないんじゃ?」

賢者「いや、ある!絶対あるんだ!」

賢者「…そうだ!ここ以外の場所に」

勇者「立ち入り禁止ですよ?」

賢者「気にするな!!…私はあの本が必要なんだ」

勇者「えぇ」

賢者「…で?どこなんだ?」

勇者「い、入口のところに別の扉があります」

賢者「いくぞ!」


──
 入口
  ──

勇者「…ここです」

賢者「カギは?」

勇者「大臣が持っています」

賢者「…大臣か……無理だな」

勇者「帰りましょ?」

賢者「…解除魔法」

カチャッ

賢者「さ、行こう!」

勇者「お、俺も?!」

賢者「仲間だ、いや、道ずれだー!」ガシッ

勇者「いやあ!」

───
  禁止区エリア-01ブロック
             ───

勇者「……?」

賢者「何だここ…妙に…」

勇者「禁止区のはずなのに、…人の出入りの痕跡が多い」

賢者「…それにここ、なんかの実験室?みたいな感じだ」

勇者「…俺帰りたくなってきました」


コツンッ…コツンッ

「それはさせませんよ」

賢者「?!」クルッ

勇者「誰だっ!」クルッ

教授「はじめまして、ここは私の研究所、そして私は教授だ」

教授「ここは私の極秘研究所…見たからには生きて返さない」

賢者「っ!とんだ所に来てしまったか」

勇者「……」

賢者「?…どうし──(勇者…やけに落ち着いてるな)」

一旦終わります
zz

ふむ、乙

期待


勇者「あの教授とかいうやつの後ろ…何か隠しています」ボソボソッ

賢者「暗いのによくわかるな」

勇者「育ちのおかげ…ですね」

賢者「で?私にどうしろと?」

勇者「幸い相手はこの暗さがちょうどいいようで…さっきの光魔法で目くらましを」

賢者「お前は大丈夫か?」

勇者「明かりには慣れてますから」ニコッ

教授「作戦会議は終わったかな?…ではしんでもら──」


賢者(っ!銃かよ!)

勇者「おらっ!」シュッ

バサッ

教授「な、何だ…!」

教授「……これは!私の研究資料…!貴様!よくもグシャグシャにして──」

賢者「光魔法!光れ!」

ピカァァァッ

教授「?!!め、目がァァァアア!」ガクッ

賢者「は、拍子抜けだな」

勇者「まだですよ…なんか嫌な予感がします」

ザワザワザワ…

賢者「…あぁ、背中に妙な圧迫感を感じる…」ギリッ

ザワザワザワザワ…

教授「ふ、フフ…フフハハハ…私を動けなくしたくらいで、終わったと思うなよ」

教授「さぁ!実験といこうじゃないか」ポチッ


勇者「…今何か押しませんでした」

教授「ははは!しねぇ!」アキャキャ

ガタンッ

賢者「ぬわ!?」ガクッ

勇者「じ、地震?!」

ガタガタガタ

『ハッチ、オープンします。『キメラ』を放ちますので皆様は直ちに避難を
開始してください』

『繰り返します。『キメラ』を──』

賢者「お、おい!どういうことだよ!」

教授「言っただろ…生きて返さないって…ハハハ!」

教授「さぁ!見せてくれ…あの本から作り出されし神の産物よ!」

賢者(本!?)

勇者「どうやら…あれがキメラのようですね」


キメラ『が、ルルルゥ…ア”』

賢者「キメラって…あれは」

教授「さぁ!こいつらを殺せぇ!」

キメラ『あ、アァア″アァ”アァア”!』ガクガクガク

勇者「?!」

賢者「何なんだよ!」

キメラ『?…がーー…ガウゥガァ』

勇者「何か言おうとしている…?」

賢者「え」


キメラ『オ”…ギ……ヂャ″』

勇者「…」

賢者「なんかアイツ…人間に似てないか?」

教授「そりゃそうだ!人間に色々混ぜたんだからなァ!」

勇者「?!」

賢者「っ!…外道め!」


教授「そいつは街をさまよっていたホームレスの娘だ!」

勇者「……お前…まさか!」

キメラ『あぁ”!』コクコクッ

勇者「…お前…いもうと……なのか」

キメラ『あぁ”』コクッ

教授「っ!まだ自我があるのか」

賢者「おい、どういうことだよ」

勇者「俺たち兄妹は親に捨てられ、売られ、この国の帰属に買われた──」

───
  数年前
    ───
      とある牢獄 
    ───   ───

勇者「…どうした?」

妹「…こわい」ガクブルガクブル

勇者「大丈夫、兄ちゃんが守ってやるから」ダキッ

妹「…うん」ギュゥ

売人「おいお前ら…」

勇者「…何ですか?」

売人「お前らの買い手が決まった」

勇者「…二人一緒ですか?」

売人「あぁ…だが」

勇者「ならいいです」


売人「…俺も人身売買なんてやってる非人道的なやつだから、
言えた口ではないが…お前らの買い手はヤバい奴らだ…気をつけろよ」

勇者「ありがとう…さ、行こうか」

妹「」コク

───
  貴族の屋敷
      ───

婦人「…まぁ汚い子達ね」

貴族「まぁそう言うな…さ、こっちにおいで」

勇者「……」コク

妹「……」ギュゥゥ

婦人「なんとか言ったらどうなの!」バシッ

妹「キャッ」

勇者「?!……」ギロッ

婦人「…何よその目!」バシッ

勇者「クッ…」

婦人「フフ…気に入りましたわ…私はこの男の子をもらいます」

婦人「あなたはそっちの子でも犯してなさい」

貴族「お前……」

婦人「さっさと行くわよ!早く歩きなさい」ゲシッゲシッ

勇者「グフッ…」トボトボ


妹「お、おにちゃ!」

貴族「……さ、こっちにお出て…取り敢えず服を着替えよう…それは汚すぎる」

妹「い、イヤッ」

貴族「私は何もしないよ…さ」

妹「……ほんと?」

貴族「あぁ…おいで」

妹「…」コクッ


貴族「私の家は娘がいなくてね…いや、君みたいな子が来てくれて嬉しいよ」ハッハ

妹「……」

貴族「おっと、ここが君の部屋だ…あとお兄さんのね」

妹「おにちゃは…どこ?」

貴族「……地下だよ」

妹「いく」

貴族「だ、ダメだ!…君はいってはいけな──」

『ァァアァアアアアアアアアア”』

妹「ひっ!…お、おにちゃのこえ…」ガクガク

貴族「ッ、アイツはまた…!」

妹「おにちゃ…いたそうなこえ」


貴族「…とりあえず君はこの中に…誰が来ても開けてはいけないよ?」

妹「でも…おにちゃ」

貴族「いいかい!」

妹「ヒッ」

貴族「あ、あぁ…でも、絶対開けてはいけないよ?」

貴族「何があっても声を上げてはいけないよ?」

妹「」コクコクッ

貴族「そう、いいこだ」ニタァ

ガチャッ

───
  地下・勇者
     ───

婦人「ほら!もっと叫びなさい!火炎魔法!」

ボワッ

勇者「~~~!!アァ」

婦人「っ!…叫びなさいよ!雷魔法!!」

バチバチバチッ

勇者「アアアアアアァァアアァアァァァ!!!!!」ガタガタガタッ

婦人「そうよ…もっと叫びいなさい!…その腕…邪魔よね?」

勇者「?!」

婦人「私が切ってあげるわぁ」

勇者「や、やめ…やめ…て」

スパッ

勇者「ギッ?!」

『アァァァアアアアアアアアア!!!!!!!!!!』


貴族「おい、いったい何やって──?!」

婦人「あら、あなた…何?」

貴族「おまえ…一体何やっているんだ!」

婦人「あら、ただ腕が邪魔だったから切り落としただけよ?」

貴族(こいつ…もう頭がいかれてる!)

勇者「っ!……こ…ろすぅ!」

婦人「っ!…そんな口の聞き方する子はこうです!水魔法…水責め!」

ブクブクブクッ

勇者「?!」

貴族「おい!死んじゃいだろ!」

婦人「いいじゃない…所詮は奴隷なんだから、替えはいくらでもいるし」

勇者「んーー!んー!」


貴族「お前…!」

婦人「あら?養子のあなたが…私のことをどうにかできるとでも?」

貴族「っ!……」チラッ

勇者「……」ブクブクブク

貴族「…スマナイ」ボソッ

婦人「何模様がないなら出て行って頂戴」

貴族「…邪魔したな」

ガチャッ バタンッ

『あ、アァァアア!』


───
  現在
   ──

賢者「…」

勇者「おっと、関係ないことを話してしまいましたね」

賢者「いや、すまない」

勇者「いえ…ちなみにこの腕はどこかの誰かの腕を移植したものです」

キメラ『……お…に……ぢゃ』

教授「っ!使えんな…こうなれば、リミッター解除…破壊モードだ!」

ピピピッ

『リミッター解除を確認。『キメラ』へのドーピング薬注入を開始』

賢者(上から機械が降りてきた…)

勇者「お、おい…何をする気だ!」

教授「あの娘はキメラ体の成功作…二百もの魔物の細胞にも暴走せずに耐えられた
その細胞の力をフルに発揮させるためには特別な薬を投薬する必要がある」

賢者「…それがドーピング」


教授「その通り」

キメラ『ウガァアア!』

『ドーピング完了…能力値臨界点突破、オーバーリミッターです』

教授「成功だ!」

賢者「っ!何が起きるんだ!」

教授「暴走の可能性は?」

『検査中………検査完了。暴走確率0、00000001%です』

教授「素晴らしい!…では制御モードを攻撃へ以降、目標はこの二人だ」

『制御モードを攻撃モードへ以降……完了しました』

キメラ『?!』ガクッ


教授「…ではお二人さん…またいつか、生きてたら会おう」

勇者「?!待て!まだ聞きたいことが!」

ボシュウゥ

勇者「っゴホッゲホッ(煙!?)」

賢者「それよりこっちをどうにかしなきゃね」

勇者「」クルッ


勇者「な!何だあの姿…さっきとはまるで違う…少し目を離しただけだぞ」

キメラ『ウゥゥウォオオオオオ!!!』ゴォォ

勇者(黒い羽に両腕にはなんか…刃物?斧?みたいなのついてて…)

賢者「あの翼…なんかヤバそうじゃない?」

勇者「…あの羽…刃物だ」

キメラ『ご…ロズ』

賢者「おっと、話してる暇ないみたい…勇者は戦えるの?」

勇者「武器なし!」


賢者「どうするの?!」

勇者「…素手で」

賢者「大丈夫なの?」

勇者「前に上司に教わったことがあるんで」

賢者「…はぁサポートは任せて」

キメラ『ウオォオオ!』バサッ

勇者「やっぱ飛ぶんだ」

賢者「光魔法!光の矢!」キュィィン

キメラ『ム…ダァ!』シュバ

賢者「っ!?羽(刃物)を飛ばして魔法を蹴散らした…」

勇者「フゥゥゥ……」

賢者「何してるの?」

勇者「気をためてるんです」コォォ


キメラ『…ガウッ!』バシュンッ

賢者「?!(一瞬で勇者の前に!?)」

勇者「……」スッ

キメラ「アァァオオオオォォ!!」スゥッ

賢者「勇者!よけろ!」

勇者「……見えた!」キッ

キメラ「グオォオオオ!」

キメラの腕が振り下ろされる。


勇者(コイツの弱点…右肩の部分が少し凹んでいる…そこか!)スッ

振り下ろされた腕をかわし、右手の指四本をまっすぐのばし、
キメラの右肩へとめり込ませる。

キメラ『?!』ドクンッ

勇者「動きが止まった…?」

キメラ『が、ががが』プシッ

勇者「っ!な、何かがかかった」

賢者「だ、大丈夫か」

勇者「は、はい…」

賢者「なんで動かないんだ?こいつ」

勇者「さ、さぁ」


賢者「勇者、なにやったんだ?」

勇者「ただ突いただけです」

賢者「…すごい人?」

キメラ『グハッ!』

賢者「っ!まだ息が!」

キメラ『お、おにちゃ……』ボソッ

勇者「待って!」

賢者「え」

キメラって言ったらハガレン思い出すな


キメラ『お、にちゃ……や…と…あえた…ね』ニコッ

勇者「?!」

キメラ『こんな…体だけど…守って…くれる?』

勇者「あ、あぁ…守る!絶対!」

キメラ『ふふ…ありが…と……すこし、眠りたい…な』

勇者「…寝な、朝になったら起こすから」

キメラ『うん……ありが…とう…おに……ちゃ…………』

スゥゥ

妹「スゥー…スゥー」

賢者「え?…姿が…人間に…」

勇者「ぶふぉっ!」

賢者「次はどうした!」

勇者「あ、あまりの成長具合に…お兄ちゃん…眼福」

妹「スゥー…」タユンッ

賢者「…勇者…」

スレタイはまだ遠いのか

意味がわからない


勇者「?」

賢者「これはいったいどういうことだ?」

勇者「…え、俺に聞かれても」

賢者「……しょうがない、聞きたいこともあるし、あの教授ってやつに聞くか」

勇者「どうやって?」

賢者「…探すしかないだろうな」

賢者「旅だ…魔王を倒すのと一緒に教授を探す…」

勇者「俺も?」

賢者「あぁ」

勇者「強制?」

賢者「愚問だな」

勇者「…退職届を上司に渡してきます」

賢者「潔い勇者は好きだぞ」

───
  翌日・王宮─謁見の間
           ───

王「…して、勇者、賢者よ…その男をたびに同伴させるために、勇者の称号を
与えてくれ…と」

賢者「はっ、作用でございます」

王「…いいよ」

賢者「あちがとうございます!」

王「では、直ぐに国をでて、魔王を倒してまいれ!」

賢者「はっ!」

──

賢者「てなわけで今日からお前も勇者だ」

勇者「また…そんなぁ」

賢者「さ、行くぞ魔王退治&教授探し」


勇者「なんで俺が…」

賢者「そんなこと言って、装備まで整えて…準備万全だね」

勇者「そうですね」

賢者「…さて、『勇者』賢者と『勇者』勇者の旅です!」

勇者「妹が目覚めないから、その理由を教授に聞きに行くだけなんですからね」


賢者「ツンデレかい?」

勇者「そういえば賢者さんは本探しはいいんですか?」

賢者「あぁ、そのことね…なにやら教授がいなくなる寸前に本をもって逃げていた
…気がするから、とりあえずは教授だ」

勇者「とにかく教授さえ見つかれば目標は果たせますね」

賢者「打倒教授!」

勇者「たおしちゃダメでしょ」


賢者「でもあのイカレ野郎…一回ボコらないと、言うこと聞きそうにないから」

勇者「たしかに、またなんか奥の手出してきそうですし」

賢者「ま、取り敢えずフィールドに出て、適当に探索して、次の街行って
宿とって今日は終わろう」

勇者「ざっくりっすね」

賢者「そしてあわよくば仲間も」

勇者「とりあずしばらくは二人…ですか」


───
  草原フィールド1-1
          ───

勇者「ここなら魔物が来ても直ぐに対処できそうですね」

賢者「木とか岩がないからね、見通しがいいってのはいい事だ、でも、同時に
的にも自分の位置が知られるから、油断はできない」

勇者「べ、ベテランな考えですね」

賢者「勇者は目がいいんだから、良く見といてね」

勇者「はい」

─── 
  草原フィールド1-2
          ───

勇者「な、なんか霧が出てきましたね」

賢者「…かすかに魔力がこもっている…気をつけろ」

シュルル……

勇者「なにか聞こえませんでした?」

賢者「お前の頭上にいるでかいトカゲのことか?」

トカゲ魔物「シュロルルル」

勇者「?!」


勇者「気づいてるんなら言ってくださいよ!」ザッ

トカゲ魔物「シュロォ!」ヒュッ

賢者「いや、気づいてるのかと」

魔物の舌が勇者を襲う

勇者「くぅ!」

賢者「束縛魔法!縛り!」

バシュンッ

トカゲ魔物「シュロ!?」

勇者「な、ナイスです!おらぁ!正拳突!」

ドスッ

トカゲ魔物「シュボッ?!……」バタッ

勇者「ふぅ…なんとか」

賢者「さ、次いこ」

───
  水の都市
     ───

勇者「…すごい水量ですね…道が魔法で固められた歩道なんて」

賢者「ここは水の都市の他に魔法発展の都市なんて言われてるからね、
優秀な魔法使いや賢者は多いよ、あと水獣使いとか」

勇者「仲間の候補はいますかね?」

賢者「魔法使いなら私がいるだろう…近接戦闘に備えて水獣使いとかにしたらどうだ?」

勇者「水ないところではお邪魔虫ですよね?」

賢者「私が水くらいなんとかするぞ?」

勇者「そのあいだのサポートは?」

賢者「ない…な」


賢者「あ、あとこの国には聖剣士と言われる侍がいた気がする」

勇者「いいですね」

賢者「取り敢えず宿取りが最優先だな…さっきの魔物の霧で服が
ジメジメする」

勇者「俺もです…」スタスタ

賢者「……」スタスタ

勇者「教授いますかね?」

賢者「さぁ、聞き込みする?」

勇者「…明日で」


勇者「宿こっちですって」

賢者「ん」

教授「ん?」バッタリ

勇者「ん?」

賢者「…ん?」


教授「!?」スタスタタタ


賢者「どうする?逃げたけど…明日にする?」

勇者「今日!」スタスタタタ

───
  路地裏の広場
       ───

勇者「お、おいつめ…ハァ…たぞ!」

教授「っ!まさか生きていたとは…キメラはどうした!」

勇者「眠ってるよ」

教授「眠る?……まさかお前…スイッチを押したのか?!」

勇者「スイッチ?」

教授「右肩のくぼみ……押してないのか?」

勇者「……おし…た」

教授「あれスタンバイボタン!スタンバイ!大事なことだから二回言ったぞ」

勇者「…もういっかい押したら起きるのか?」

教授「いや、起こすには特別な薬が必要だ」

勇者「その薬は何処に!?」

教授「…おしえるかばーか!」ケラケラケラ


勇者「っ!嫌でも吐かせてやる!」

教授「おえぇ!」ゲロゲロ

教授「さぁ!…吐いたぞ…」

勇者「しるか!オラァ!」シュッ

教授「そんなへなちょこパンチが私にグフッ!」

勇者「…蹴りだ」

教授「っ!…こ、こうなったら…」ガシャ


勇者「何だ…その手にはめた機械」

教授「これは近接戦闘用戦闘補助アーマーナックル、通称パンチくんだ!」

勇者「ネーミングセンスねぇ」

教授「名前より性能に期待して欲しいね!」シュンッ

勇者(教授の手が消え──)

勇者「…クハッ!」

教授「どうだい?光の速さのパンチは…痛みが遅れてくるだろう?
変な感覚だろう?…俺の腕も限界だ」

勇者「っ!…カッ…ハッ」

勇者(い、息が…できない!)


賢者「ハァ…ハァ、やっと…おいついた」

賢者「…き、教授…本を…よこせぇ」

教授「っ!新手かよ…私はまだ研究が残っている…さら──」

賢者「束縛魔法、炎監!」

ボワシュッ

教授「あつっ!?ほ、炎の檻?!」

賢者「はぁ…はぁ、久々に走った…」

なんだ、そういうことだったのか…良かった

期待してる


教授「だせー!」

賢者「無理だな…お前には聞きたいことがいっぱいあるんだ」

教授「っ…こんなことしてただですむとおも──」

賢者「爆炎!」

ボォンッ!

教授「…ご、ゴメンナサイ」

賢者「じゃあ喋ってくれるかな?」

教授「い、イイト──」

「喋ってはいけません…主」シュタッ

教授「!そ、その声は」

アサシン「…アサシン参上!」キラーン


教授「おぉ!助けに来てくれたのか!」

アサシン「…」コクッ

賢者「また強そうなのが…」

アサシン「…あなたは文化の国の勇者様…賢者様ですね」

賢者(私のことを調べている…)


教授「な、なら早くこの檻を!」

アサシン「…私は魔法のちしきないんで」ヘヘ

教授「やくたたずが!ならなんで来たんだよ!」

アサシン「──でも、この女を倒せば魔法は解けます…少しの間待っていてください!」シュンッ

賢者「そう簡単にやられはしない!…勇者!」

勇者「…ッ!…ッ!…」ピクピクッ

賢者「なんか痙攣してる?!」


教授「彼は今肺に肋骨が刺さっていて、息がしづらい状況だ…
早く助けないと、手遅れになるぞ?」

勇者「…ッ!!」ビクンッ

賢者「今癒しの魔法を──」

アサシン「させません!ダガーナイフ連続投げ!」シュシュシュシュッ

賢者「っ!防御魔法、防壁バージョン水!」

ジュシャァァァ

アサシン「?!…な、なるほど、ここは水の街…街中の大気中の水分を一点に
集めて、ナイフを防ぎましたか…」

賢者(そんなすごいことしてたのか…私)「その通り…頭の回るアサシンだね」
(こいつ頭いいな…すこし手こずりそうだ)


賢者「っ!雷まほ──」

アサシン「この街で雷を放ったら、一般市民にまで被害がおよびますよ?」

賢者「っ!」ピタッ

アサシン「口寄せ…刀、召剣!」シュッ

ボフンッ

賢者「?!…それがアサシン、忍びよくゆうの忍術ってやつか?」

アサシン「そうです…この名刀村正、またの名を妖刀村正で、貴方を斬ります!」スッ

賢者(早い!動きが見えない!)


賢者「火炎、造形、混合魔法!龍火!」ボワァ

アサシン「っ!…火を造形で龍に変え、操る…かなりの高等技術ですね」

賢者「お前もう説明だけしてろよ!龍炎の舞!」サッサ

火龍「ゴォォ」ドドドド

アサシン「これは…なかなか早いですね」ザッザ

アサシン「ですが!」スンッ

ザッ…

火龍「……」シュゥゥ

賢者「?!私の火龍が…消えていく」

アサシン「妖刀村正…魔を斬る!」カチャッ

ボシュゥゥゥンッ

アサシン「…私は強いですよ」キリッ

賢者「っ!」

勇者(や、やばい…息がマジでできなく…!)カッカッ

勇者(こ、こうなったら)グググ


勇者(楽になろう…)バタッ


賢者「?!(勇者の動きがとまった…まさか!)」

勇者(あぁ…意識が…頭が真っ白に……なんか、気分がいいや…)

勇者(…………)

賢者「?!…ゆ、勇者!」

アサシン「隙あり!ですね」

ザシュッ

アサシン「……え?」


賢者「…よくも…よくも……よくも私の玩具をぉぉおお!」

勇者(まだ意識あるよぅ!てか玩具って何?!……あ、だめだ、マジでなんか…もう)

賢者「光魔法闇魔法造形魔法、三位一体魔法(トリニティマジック)」

賢者「ハァアアア!」

アサシン「っ!何だあの鎌は!?」

賢者「ジャスティス・サイス…お前を狩る!」

アサシン「おっと…賢者様がこんなに戦闘力にたけた方とは…調査が甘かった…」

バタッ

賢者「…あれ?」

アサシン「気づいていませんでしたか?…貴方には教授の開発した『魔力枯渇くん』を付けさせて頂いてました」

賢者「な…んで」

アサシン「魔法じゃ勝目ないので…戦いとは、相手の裏をかけ…です」

賢者「さすが…アサシン……気づかれないように…するのはとく…い…か」ハァハァ

アサシン「えぇ」


賢者「魔力が…枯渇したぐらいじゃ…ハァッ…人は倒れないよ」

アサシン「でも体力は皆無のようですが?」

賢者「空元気…これで何とでもなる」

アサシン「…これはまた…恐ろしいお方だ、敵にはましたくない」

賢者「敵だよ…現にね!」ダッ

アサシン(もうフラフラじゃないですか…これは、楽にしてあげたほうが相手のタメ…ですね)

アサシン「あなたを気に入りました…ですが、今の貴方は戦うに値しない…」

アサシン「少しの間、眠れ…我が好敵手」

トンッ

賢者「カッ!……アフッ」バタッ

───
  ?日後
    ───

勇者「……ん……んぅ」ムクッ

「?…お…きた?」

勇者「……だ…れだ?」

「…命の恩人…あなたの」

勇者「…へぇ、俺は一体」ズキッ

勇者「っ?!アァアア!?」

「まだ肋骨が一本…ハイに刺さってる……から…うごかない…で」

勇者「~~!」

「…あの人……おな…かま?」

勇者「…え?」クルッ


賢者「…………」

勇者「あ、あぁ…そうだ」

「…私は…仲間?」

勇者「命の恩人…だろ?」

「仲間…だめ?」

勇者「……仲間になりたいの?」

「答えは…yes……で…ファイナルアンサー…!」


勇者「…俺に決める権利は無いよ?」

「……げ…ぼく?」

勇者「ちげぇ!」ガバッ

勇者「っ!」ズキッ

賢者「ん……ここは…一体」

「こちらも…おき…た」スウゥ

賢者「…あなたは?」


「…自己紹介…する」

魔女「私…魔女…よ…ろしく」

賢者「…魔女…」

魔女「呼ば…れて飛び出…て何です……か?」

賢者「…助けてくれてありがとう…」

魔女「家…の前で…倒れられて…いたら、迷惑…だから」

賢者「ご、ごめん」

魔女「それより……あなたた…ちは?」


勇者「俺、勇者、よろしく」

賢者「賢者…文化の国の勇者です、助けてくれてありがとう」

魔女「仲間…いい?」

賢者「??」

勇者「仲間になりたいんだって」

魔女「」コクコク

賢者「……別に構わないよ」ニコッ

魔女「あ、ありが…と…!」パァァァ

賢者(かわえぇ)

───
  二日後
    ───

勇者「ザ・完治!」

賢者「さて、この先どうしましょうかね」

魔女「世界…冒険……楽しそう」

賢者「魔王倒すだけだよ?」

勇者(軽く言ってるけど、魔王ってメッサ強いんだよね?)

魔女「魔王……賢者…サイキョー?」

誤字多すぎて逆に俺が間違ってるんじゃないか不安になってきた


賢者「さぁ、私は魔王とやりあったことないからわかんない」

魔女「…賢者……強い?」

賢者「あったりまえ!」

勇者「魔法だけですけどね」

賢者「?」ニコゴゴゴゴゴ 

勇者「ケンジャサンハサイキョーナンダヨ」

魔女「魔法…強い……の?」

賢者「まぁ、そこらの一般魔法兵士よりはね」

魔女「…し、しょう…呼ぶ!」

賢者「え」


魔女「弟子……だめ?」

勇者「要するに賢者さんに弟子入りしたい…とのことで」

賢者「そのくらい私もわかっている…けど、見たところ」

賢者「いや、現に私たちの体もこの数日で完全に直した所をみると、
回復魔法は私以上…それより、回復魔法だけなら国家魔法師位のレベルはある」

勇者「確かに…俺の肋骨も完全に修復されているような…わかんないけど」

魔女「…こう…げき……まったく」ショボーン


賢者「戦いたいの?」

魔女「戦い…見てた…かんどーした」

勇者「感動…ね(俺息できなくて悶えてたな…)」

魔女「だから、弟子入り……だめ?」ウルッ

ギュッ

賢者「よし!この子私達の子にするわよ!あなた!」ギュゥゥゥ

勇者「『達』?!『あなた』?!」

───
  水の都市・大噴水広場
           ───

賢者「さすが水だけが売りの国、この規模の噴水は初めて見た」

勇者「『だけ』って失礼ですよ」

魔女「この噴水…は、この国…に住む…魔法士見習い達…の魔力…で
溢れないよう…調整…されて…る」

賢者「いわば魔法士見習いの魔力のコントロールを覚えるためにこの噴水を利用、
有効活用してるってところか、観光客も水に濡れずに間近で見れるってわけか」

勇者「ですねぇ…」ソォー

魔女「この水…水獣…の…体液……ある」

勇者「……というと」ピタッ

賢者「水獣のフンとか小便がこの水の中でグルグル回ってるんだろ?」

魔女「」コクッ

勇者「…知ったとたんこの噴水にあまり感動しなくなった」

魔女「この街…人は、知ってる…から…噴水…好まない」


グオッォオオ

賢者「ん?何だ?」

勇者「ほうぇ?」

魔女「さが…る」ソロソロォ

賢者「……」

勇者「あれは……」


水獣「グオオオオ!」バシャッバシャッ

勇者「青い龍?!」

賢者「ウォータードラゴン…超レア種だな」

勇者「お、落ちてくる?!」


『そこどいてぇえ!』

水獣「ウオォオ!」バシャ

賢者「……おぉ、背中に誰か乗ってる」

─なんだ?またアイツが失敗したのか

─毎日賑やかであきないわぁ~

─ただうるさいだけだろ?

─そこがいいんだろ?…ほら、また落ちるぞ

『あぁぁ、あぁああああ!!?』

ドォシャァァアアンッ!!


バチャッ

勇者「…水しぶきが飛んでこない…」

賢者「言ったろ、魔法士達が、正確には見習い魔法士達が、水飛沫とかが飛ばないようにしてるって」

勇者「溢れないようにって…」

賢者「水飛沫もだ…わかれ、な?」

魔女「勇者…おば…か」

勇者「サーセン」


賢者「…にしてもあの水獣使い…」

勇者「浮いてるね…浮いてスカートの中の……俺と同じものが丸見えに…」


水獣使い「ふぅ…あぶないあぶない…まったく、なんで君は毎回暴れるんだい?」

水獣「くぉ~」

水獣使い「え?僕のがあたる?……何を言ってるんだい君は」

水獣「くぉん!」

水獣使い「き、『気色悪い』だと?!…君…主に向かってその態度はないんじゃないかな?」プルプル

水獣「く~ぐぉ!」

水獣使い「た、勃ってなんかいないさ!」

水獣「くぉ!くおぉおお」

水獣使い「き、君の肌が敏感だろうと僕は敏感なんかじゃない!」


賢者「ごめん、あの会話の中には入りたくないわ」

勇者「珍しく同じ意見です」

魔女「彼…彼女……彼?……は、街…の水獣使い…結構tね優秀……悪い意味で」

水獣「グゥゴッ!」

水獣使い「え?…誰かがこっちを見ている?」


賢者「あ、こっち見た」

勇者「みたね…そして見えてるね」


水獣使い「?…なんで見てるのかな?」

水獣「ぐぅ」

水獣使い「僕が浮いてるから…確かに普通じゃないか、魔法を知らないのかな?」

水獣「グゥグオグオ!」

水獣使い「確かにあの爆乳さんは魔力が高いし、帝都の魔女もいる…けどあの男の子は」

水獣「……ぐぉん」

水獣使い「だね、ただの観光客だ、一般人以下の魔力しか感じないし」


勇者「なんか馬鹿にされた感覚が…男の娘に」

賢者「私は褒められた気が」

魔女「私…は……?」


水獣使い「少し話をしてみるかな」スウゥゥ

水獣「グオオォォォ!」

水獣使い「少し待ってて」スゥゥ


賢者「飛んできた」

勇者「俺そろそろ限界」

賢者「耐えろ…耐えるんだ」


ドシグンッ!!

水獣使い「…とっ…着地成功」キラッ

賢者(地面えぐれた…)

勇者「…なんで飛んでるんですか?」

賢者(ソッコーで聞くか)

水獣使い「…魔法だよ?観光客さん」

勇者「…え?…あぁ……観光?」

水獣使い「あれ?違うの?」

魔女「この…ひと……勇者……」

水獣使い「……君が?」

勇者「い、一応」


水獣使い「…魔力がまったくないのに…」

勇者「体術があるから」

水獣使い「えいさっ!」シュッ

パシッ

勇者「っ?!」

水獣使い「…このくらいの攻撃なら受け止められるか」

勇者「いきなり右ストレートって…しかも脛もけってくるとか…卑怯じゃない?」

水獣使い「それでも耐えるんだね?…」

勇者「意外と鍛えてるんで」

水獣使い「細マッチョ?…タイプだよ」ニコッ

勇者「男はお断りだァ!」

水獣使い「そう言わずに……優しくするから」ボソッ

勇者「?!」ビクンッ


勇者「くるなぁ!」ビクビクッ

水獣使い「ふふふ……美味しそう…その顔が淫らな顔になる時…最高の味に
変わりそうだ」ペロリッ

勇者「っ!」


魔女「……」

水獣「…ぐぅお?」

魔女「あの人……魔法…使い?」

水獣「ぐぐぅ」コクッ

魔女「優秀?」

水獣「……ぐるる」コクリッ

魔女「そう…」


賢者「どうしたの?」

魔女「…仲間……見つかった」

賢者「…あの子仲間にするつもり?」

魔女「」コク

賢者「…大丈夫なの?」

魔女「魔法…なら……優秀…らしい」

賢者「らしいって…誰かに聞いたの?」

魔女「ん」スッ

賢者「……ウォータードラゴンに?」

魔女「」コクッ

賢者「言葉分かるの?」

魔女「動作…だけ……十分」


賢者「すごいわね」

魔女「」ドヤァ


水獣使い「おとなしく…しろ!」

ズンッ

勇者「っ!…か、体がtね重く!…!」

水獣「重力…私の得意魔法の一つ…加重せよ!」

ズズンッ

勇者「くぅっ!」グググ

勇者「ま…だだぁ!何が…なんでも……やられてたまるか!」

水獣使い「大丈夫…優しく犯るから」ニコッ

勇者「やだぁああ!」

水獣使い「この紐で縛ってあげますよ」

勇者「っ!こうなったら……うおぉお!ファイトー!いっぱーつ!」グンッ

水獣使い「な!私の加重魔法を受けながら…立っている!」

勇者「一撃…必勝」グッ


水獣使い「か、加重!加重!」

ズンッ ズズンッ

勇者「地に足がある限り…俺は立つ!はぁあああ!」


勇者「脛蹴り」エイッ

水獣使い「いたっ」アウッ


賢者「最後の最後にしょぼいわね」

魔女「体…重いか…ら…あれで…精一杯…なん…だよ」


フッ

勇者「!体が軽く…今なら空でも飛べる気がする!」

水獣使い「なら…空を…飛ばしてあげるよ!」スッ

勇者「え」

水獣使い「重力魔法…この世の柵、重力から解き放ってあげるよ!」

水獣使い「無重力(ゼロ・グラビティ)」

フワッ

勇者「えっ……えぇ」

スウゥ

水獣使い「正確には浮く、ではなく落ちる…だけどね」

水獣使い「空におちろばーか!私の事フッたんだ…しね!ばーか!」

勇者「をあぁああ!」ヒュゥゥゥ


魔女「…~~~~」ボソボソッ

賢者「!?(こ、この子…この詠唱は…)」



勇者「うわぃr:おsきsh!?」ピタッ

勇者「ういぇせじゃ………ん?とま…た?」

ズンッ

勇者「次は下ぁあ?!」ヒュンッ

水獣使い「え、…ち、ちょっと…お、落ちてくるぅ?!」

勇者「う、受け止めてぇえ!」

水獣使い「わぁああぁぁぁあ!?」

ピタッ!


水獣使い「………」

勇者「…(顔ちけー!)」

チュッ

勇者「?!▽✖дωk?!」

水獣使い「……極…上」ペロッ

勇者「い…い…いいい、いやあああああ!!?」キャー

───
  ───


勇者「ファーストキスダッタノニファーストキスダッタノニファーストキスダッタノニ」ブツブツ


賢者「あぁ……ま、こいつはほっておいて、君、名前は?」

水獣使い「水獣使い、みんなからは男の娘ちゃんってよばれるよ」

賢者「じゃあ水獣使いさ、私たちの仲間になる気ない?」

水獣使い「…というと?」

賢者「魔王討伐」

水獣使い「残念ながらそれは無理かな?私はこの街から出る気ないから」

魔女「…」ウルウル

水獣使い「うっ……だ、ダメなんだよ、この街には病気の母と弟たちがいるんだ
おいてはいけない。かと言って連れてもいけない…よってついていけない」

賢者「そっか……ごめんね、こんなこといきなり」

水獣使い「い、いや、気にしないで……か、代わりにうちのウォーちゃん連れてっていいから」

水獣「?!う、うぉ?!」


水獣使い「行きたくないって」

賢者「さ、流石に私たちも扱いがこまるし…それはお断りするよ」

水獣「ふぉ」ホッ

魔女「…!」

賢者「?」

魔女「…シー…ダブリュー…」

水獣「トイレは」

魔女「ち…がう」

魔女「コード…ダブリュー……幻…の…魚」

水獣使い「え?」

魔女「…が…食べたい」

賢者「いきなり何言ってるのよ」

勇者「……魚……焼く…こんがりいい匂い……旨い!」

賢者「はぁ?!」

勇者「よし!腹を満たそう!」オー

魔女「おー」オー


賢者「いきなりなによ!」

勇者「昼時だし…今日何も食べてないし」グリュリュリュ

魔女「た…べる」ギュルルル


賢者「…あんたたち…」

水獣使い「それならこの近くに魚料理専門店があるよ…行ってみるといいよ」

賢者「…はぁ、しょうがないわね。このままだとらちがあかない」

賢者「いくわよ」

勇者「やったー!」

魔女「……」グッ

───
──


『魚のお・み・せ。ウフッ』

賢者「ここね」

魔女「ここは……いい」キラキラ

勇者「ウフッだって」アハハハ


カランコローン

賢者「おぉ、中も…ピンクい」

マスター「いらっしゃい」ウフンッ

賢者(渋いおっさんが胸毛むき出しの格好でカクテルふりながらこっちにウィンクしてきた)ゾッ

マスター「…三名ね、こちらのせきにいらっしゃい」

魔女「 」テトテト

勇者「」テトテト

賢者「子供のようにテトテト歩いて行った」

マスター「保護者さんも…ね」

賢者「あ、はい」テトテト

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