【安価】八幡「やはり俺の学校の裏サイトは間違っている」 (474)

・総武高校裏サイトに日々建てられるスレのお話

・モブの書き込みも多いですがID見れば誰の書き込みかは特定できると思います

・裏サイトなので形式は2chと微妙に違いますが完全に>>1の手抜き

・安価でお題を募集し、その話題をメインとしたスレを作り、場合によってはそれを見た人々の反応を書いていくスレです

・例:安価【F組の比企谷八幡が同クラスの由比ヶ浜結衣と図書館デートしてるのを目撃される】

・安価次第では原作にはない設定を付け足すかも

・ただ原作との矛盾だけはスルーorこちらで適宜修正

・たかが高校生なのに高校内で知名度高すぎじゃね? って点はどうしようもないので勘弁してください

・あと某女教師が時々書き込みますが教師のくせに裏サイトに書き込むなという正論は一理ある

・某スレの影響を受けているのは否定できない

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1411711807

例えば上の例【八幡と由比ヶ浜が図書館デートしてるのを目撃される】だと

【速報】由比ヶ浜結衣が図書館デートしてたぞ!!【結衣ちゃんが中古に】

1 名前:名無し@千葉在住 ID:???
ソースは俺

2 名前:名無し@千葉在住 ID:???
こマ?

3 名前:名無し@千葉在住 ID:???
嘘だと言ってよバーニィ!

4 名前:名無し@千葉在住 ID:???
釣り乙

5 名前:名無し@千葉在住 ID:???
相手は誰だよ

6 名前:名無し@千葉在住 ID:???
俺だ

7 名前:名無し@千葉在住 ID:???
>>6
氏ねカス

8 名前:名無し@千葉在住 ID:???
>>6
許されない

9 名前:名無し@千葉在住 ID:???
>>6
夜道には気を付けろよ

10 名前:名無し@千葉在住 ID:???
見覚えのない男子だった、なんか結衣ちゃんに勉強教えてたっぽい

11 名前:名無し@千葉在住 ID:???
F組の癒しが……
もうこれ以上俺から奪わないでくれよ……三浦はヤバいし海老名さんは別の意味でヤバいし……
F組は地獄やでぇ……

12 名前:名無し@千葉在住 ID:???
>>11
平均的に女子のレベルが群を抜いて高いだろうがいい加減にしろ

13 名前:名無し@千葉在住 ID:eightman88
>>12
戸塚とかマジ可愛いよな

14 名前:名無し@千葉在住 ID:sakisaki
>>13
ほんとこれ

15 名前:名無し@千葉在住 ID:???
>>13
こいつプロかよ

16 名前:名無し@千葉在住 ID:???
>>13
流石分かってる
以下戸塚スレな


こんな感じになります

トリップ失敗してね?

トリップ直ったかな?

とりあえず日付変わるぐらいにまた戻ってくるので、それまで安価飛ばします
募集するのは【スレの内容】【スレを目撃する人物】です
※指定されなかった人物もスレにはバンバン書き込みます

>>1で言い忘れたけど過度なエログロNTRはNG
気が乗ったら短編で回収するかもなのでぼそっとネタ置いとくぐらいで安価にぶちこむのは勘弁してください

では安価オナシャス

【スレの内容】
>>6

【スレを目撃する人物】
>>8

戸塚くんって好きな人とかいんの?

【こんなに可愛い子が】戸塚が可愛すぎる件【女の子なわけが】

小町

期待

【戸塚くんって好きな人とかいんの?】
【小町】

確認しましたー
日付変わるころとか大ウソついてしまって申し訳ない
ちょっと書いたの見直してから投下します

さーて始めるでー
なんか思ったより真面目になってしまい次こそはっちゃけたいね
※便宜上IDで特定できますが、あくまで読者からのメタ視点であり作中の人物たちにはすべてID:???に見えています

日付が変わるまであと少しというころ、総武高校裏サイトに1つのスレが建った。






【力を】F組の戸塚君にアタックしたい【貸してください】


1 名前:名無し@千葉在住 ID:???
戸塚君って好きな人とかいるのかな?

2 名前:名無し@千葉在住 ID:eightman88
ク ソ ス レ 決 定

3 名前:名無し@千葉在住 ID:???
>>2は何様なんだよ

4 名前:名無し@千葉在住 ID:eightman88
 よっこらしょ。
    ∧_∧  ミ _ ドスッ

    (    )┌─┴┴─┐
    /    つ. 終  了 |
   :/o   /´ .└─┬┬─┘
  (_(_) ;;、`;。;`| |

  このスレは無事に終了しました
  ありがとうございました
  もう書き込まないでください
  クソスレは二度と立てないでください

5 名前:名無し@千葉在住 ID:herohayato
まあまあ、とりあえず>>1はスペック晒してくれ
あとトリップつけてくれた方が分かりやすいぞ

6 名前:名無し@千葉在住 ID:???
>>5から迸る圧倒的聖人オーラ

めぐりん中毒者隔離スレ

じゃあ投下開始します

2 名前:名無し@千葉在住 ID:???
>>1君! 病室に戻ろう!

3 名前:名無し@千葉在住 ID:???
オイ誰か隔離スレ誘導しろーッ!はやく!

4 名前:名無し@千葉在住 ID:1717homohomo
ここもじき腐海に沈む……

5 名前:名無し@千葉在住 ID:???
どうせみんなめぐりん中毒になる

6 名前:名無し@千葉在住 ID:???
>>5
なんでそんなこと書いた! 言え!

7 名前:名無し@千葉在住 ID:sakisaki
ttp://soubu.Xch.sc/test/read.cgi/XXXXXXXXXXXXX/
ほれ

8 名前:名無し@千葉在住 ID:???
>>7
ナイス
ほら>>1、仲間がお前を呼んでるんだ早く行け

9 名前:名無し@千葉在住 ID:???
>>7
もう総武生の6割は潜在的なめぐりん中毒患者と言われてる時代だからな
だから>>1は何も恥ずかしがる必要はない、早くスレで自分を開放するんだ
気持ちいいぞ愛を叫ぶのは……だから……はヤクコッチニオイデェェ…………

10 名前:名無し@千葉在住 ID:???
>>9
!?!?!?!?!?wwwwwwwwwwwwwww

11 名前:名無し@千葉在住 ID:???
>>9
怖すぎワロタ

12 名前:名無し@千葉在住 ID:sakisaki
いつもの
 【女はクソ】めぐりん中毒者隔離スレ 6人目【ただしめぐ除】
 【1つの時代】めぐりん中毒者隔離スレ 7人目【1人の天使】
 【巨乳?貧乳?】めぐりん中毒者隔離スレ 10人目【いいえめぐぱいです】
 【勇気を出して】めぐりん中毒者隔離スレ 13人目【横顔をチラ見】
 【背中の羽は】めぐりん中毒者隔離スレ 19人目【幻覚じゃない】
 【浄化の光は】めぐりん中毒者隔離スレ 22人目【彼女のくしゃみ】
 【涙を】めぐりん中毒者隔離スレ 25人目【舐めたい】
 【生徒会室が】めぐりん中毒者隔離スレ 28人目【天国】
 【星が弾け】めぐりん中毒者隔離スレ 31人目【めぐりんが生まれた】

13 名前:名無し@千葉在住 ID:???
>>12
城廻先輩可愛いのは認めるけどやっぱあいつら頭おかしいわ





【皆と同じように】めぐりん中毒者隔離スレ 34人目【めぐPodの手術を受けたい】


785 名前:名無しに代わりましてめぐりんが降臨します ID:???
問題はランドセルの横に着けるものだろ
安全面からして防犯ブザーを吊る下げてほしいが、俺としては給食用のマットと箸を入れた巾着を推す
めぐりんの頭巾とか巾着とかのガジェットが似合う率やばい
母親になってほしい
ていうかめぐりんの子宮の中で寝たい

786 名前:名無しに代わりましてめぐりんが降臨します ID:???
ランドセルの色も重要だ
めぐりんが背負うんだから、スタンダードに赤でもいいが水色も捨てがたい
俺はめぐりんの大腸菌になりたい
めぐりんお腹弱そうだから健康を守る一兵卒になりたい

787 名前:名無しに代わりましてめぐりんが降臨します ID:???
ランドセル似合うんじゃねとか言い出した奴すごすぎだろ
着眼点が違う
まあめぐりんはなんでも似合うがな
めぐりんに手錠渡しても、俺が容赦なくかけられてもいいし、どうすればいいのか分からずわたわたしてても可愛い

788 名前:名無しに代わりましてめぐりんが降臨します ID:snowwhite
個人的には小学生コスより黒スーツ新任女教師を推したいのだけれど

789 名前:名無しに代わりましてめぐりんが降臨します ID:eightman88
>>788
お前天才って言われね?

790 名前:名無しに代わりましてめぐりんが降臨します ID:???
初めてここに書き込みます
めぐりんの笑顔にヤられました

791 名前:名無しに代わりましてめぐりんが降臨します ID:???
新参か
例のコピペ誰か貼ってやれ

792 名前:名無しに代わりましてめぐりんが降臨します ID:sakisaki
任せな

まさかとは思いますが、この「めぐりん」とは、あなたの想像上の存在にすぎないのではないでしょうか。もしそうだとすれば、あなた自身がめぐりん欠乏症であることにほぼ間違いないと思います。
あるいは、「めぐりん」は実在して、しかしここに書かれているような異常なまでに可愛い行動は全く取っておらず、すべてはあなたの妄想という可能性も読み取れます。この場合も、あなた自身がめぐりん欠乏症であることにほぼ間違いないということになります。

793 名前:名無しに代わりましてめぐりんが降臨します ID:???
>>792
いつ見ても哲学

794 名前:名無しに代わりましてめぐりんが降臨します ID:???
めぐりんが可愛くないから俺達が精神的にイカれて可愛いめぐりんを妄想している……?
バカヤロウ!現実でも妄想でもめぐりんは可愛いだろうが!

795 名前:名無しに代わりましてめぐりんが降臨します ID:???
>>794
しかも妄想だったらちょっとエッチなお姉さんになったりするよな

796 名前:名無しに代わりましてめぐりんが降臨します ID:eightman88
>>795
浅はかだな
めぐりんは現実でもたまに天然エロ発言するぞ

797 名前:名無しに代わりましてめぐりんが降臨します ID:???
>>796
お前リアルで話してんのかよ氏ねよ
お願いします代わってくださいお願いします本当にお願いします

798 名前:名無しに代わりましてめぐりんが降臨します ID:???
>>796
お前を許さない

799 名前:名無しに代わりましてめぐりんが降臨します ID:iroHasu1coler
おいお前ら速報ですよー






今めぐりんが私の目の前にいる

780 名前:名無しに代わりましてめぐりんが降臨します ID:???
>>799
ファッ!?

781 名前:名無しに代わりましてめぐりんが降臨します ID:???
>>799
なん……だと……!?

782 名前:名無しに代わりましてめぐりんが降臨します ID:eightman88
>>799
まさかお前……

783 名前:名無しに代わりましてめぐりんが降臨します ID:???
>>799
妄想乙
妄想……なんだよな…………………?

784 名前:名無しに代わりましてめぐりんが降臨します ID:???
>>799
実況よろ
匂いとか肌の様子とか髪型とかを重点的に頼むいくらでも払うから頼む




いろはがスマホの画面から目を上げた時、部屋の空気はものの数秒で様変わりしていた。

落ち着いた雰囲気でそれぞれが仕事をこなしていた生徒会室は、今やぽわぽわしたマイナスイオンにつつまれている。

そういう感じは私の専売特許だろと。
なんで私がいるときは仕事するのに今は違うんだよと。

一色いろは生徒会長はそう声を大にして言いたいが、自身もその空気に脳髄深くまで侵されているので言う気になれない。

状況を簡潔に説明すればこうである。



先代生徒会長である城廻めぐりが生徒会室に遊びに来て、部屋がめぐりんイオンに満たされた。

ちょっと数十分席外すんで雑談なりなんなりとしといてくださいー

八幡が安価スレ建てるとか楽しそうって思ったけど安価スレの中で安価スレとかこれもう分かんねえな

見直したら最初の方でめぐりんを現役の生徒会長みたいに紹介しててアスペかよってなった

多分今日このエピソード終わんねえな
一応途中で切り上げるにしても安価は出します

じゃあ再開しますー


スレに目を通しながらいろはは紅茶をすする。

最近のマイブームなのだ。生徒会長席にふんぞり返って紅茶を飲む。それも先輩の男子に淹れさせたものを。

その、生徒会でもすっかり外部協力者兼給仕係として認識されつつある先輩男子は、襲来しためぐりと何か話している。

さっきまではスマホの画面を見て顔をしかめていたが打って変わって嬉しそうだ。不機嫌そうな顔がデフォだが最近いろはも彼の心情の機微に気付けるようになってきている。



「にしても今日はどうしたんすか、目立った案件もないっすよ」
「えへへ、皆と話しに来たんだよー、もちろん君ともね!」
「そっすか」



バキッ、といろはの手の中でティーカップの取っ手がくしゃくしゃに歪んだ。

おい、おい。
何デレデレしてるんだお前。
そういうキャラじゃないだろうお前。
パッと見分かりにくいけど内心喜んでるのまるわかりなんだぞお前。

いろはは頬をビキバキと引きつらせながら、視線を液晶画面に戻した。



800 名前:名無しに代わりましてめぐりんが降臨します ID:???
実況スレ別に建てるか

801 名前:名無しに代わりましてめぐりんが降臨します ID:???
別スレ希望

802 名前:名無しに代わりましてめぐりんが降臨します ID:iroHasu1coler
おk、建てますー

803 名前:名無しに代わりましてめぐりんが降臨します ID:sakisaki
もう建てといた
ttp://soubu.Xch.sc/test/read.cgi/XXXXXXXXXXXXX/

804 名前:名無しに代わりましてめぐりんが降臨します ID:???
>>803
仕事はえええええええええええ

805 名前:名無しに代わりましてめぐりんが降臨します ID:???
>>803はジョバンニ

806 名前:名無しに代わりましてめぐりんが降臨します ID:iroHasu1coler
サンクス
じゃあ続きはそっちで





【矜持を賭けて】めぐりん中毒者たちの為のめぐりん実況スレ【張りつけ】

1 名前:名無し@千葉在住 ID:sakisaki
代行
めぐりん中毒者以外はそっ閉じ推奨

2 名前:名無し@千葉在住 ID:???
2get

3 名前:名無し@千葉在住 ID:woodgeneral
華麗に2get

4 名前:名無し@千葉在住 ID:???
>>3
初っ端から笑わせんな

5 名前:名無し@千葉在住 ID:soloaround30
>>3
セカンドブリットも外れるからな、仕方ないな
お前もドラゴンライダーキックを見習え

6 名前:◆kaityou1st ID:iroHasu1coler
>>1代行サンクス
分かりやすいようトリップつけました

7 名前:名無し@千葉在住 ID:herohayato
今北産業

8 名前:名無し@千葉在住 ID:???
>>7
めぐりん可愛い
めぐりん可愛い
めぐりん実況

9 名前:名無し@千葉在住 ID:???
>>7
めぐりんクンカクンカ
めぐりんスーハースーハー
めぐりん実況

10 名前:名無し@千葉在住 ID:herohayato
なるほどな
大体分かった

11 名前:名無し@千葉在住 ID:woodgeneral
なるほど分からん

12 名前:名無し@千葉在住 ID:???
>>11
異教徒だ! 殺せ!

13 名前:◆kaityou1st ID:iroHasu1coler
とりあえず現状確認しますねー



めぐりんが私の目の前で男といちゃいちゃしてる

14 名前:名無し@千葉在住 ID:???
>>13





15 名前:名無し@千葉在住 ID:snowwhite
>>13






16 名前:名無し@千葉在住 ID:???
>>13




(以下大量の空白レス)



何も間違ったことは言っていない。
いろははそう内心で呟きながら、ほぼ密着状態で何やら話し込んでいるめぐりと八幡の下へ歩き出した。

ちょっと眠気限界なんで寝ます
安価だけ残しときますね
スレを建てた人間を指名したい際は【スレの内容】と併記してください

【スレの内容(スレ主)】
↓3

【スレを見たキャラ】
↓5

とりあえずリクをば

【修羅場?二股?怪しすぎる部活、奉仕部】
【見た人:八幡、結衣、雪乃】

今言っても仕方ないけど、安価する方も原作設定のことを考えてほしい

女キャラ全員ハーレムとか勘弁して

>>79
硬水✕→軟水○
このミスは許されない

紅茶の淹れ方いろいろとミスり過ぎててめげるわ
180秒間の蒸らしならジャンピングは起こりにくいですね、すみません



「わあ、この紅茶すっごく美味しい! 雪ノ下さんの教育のたまものかなー?」
「まああいつの舌はかなり厳しい教師でしたね。また主婦力が上がってしまった、これ以上俺をパーフェクトにしてどうするんだ……」
「先輩がパーフェクト……ハッ」

「鼻で笑いやがったなお前、もう紅茶淹れねえぞ」
「そ、それだけは……もう仕事の合間の紅茶しか楽しみがないんですよぉ……」
「言うほど仕事してねえだろお前。なんなら奉仕部への外部以来の方が多いまであるぞ」



305 名前:名無し@千葉在住 ID:sakisaki
現状報告
めぐりんと男と、>>1と思しき女子が3人で紅茶飲んでる
仲は良さげ
部屋の空気はまあお察し、めぐりんイオンと男への殺意で中和されてる感じ
ていうかこいつ……いや……

306 名前:名無し@千葉在住 ID:???
俺達のめぐりんをよくも……絶対許さねえ

307 名前:名無し@千葉在住 ID:???
男の名前分からんか?できれば顔晒してくれ、月のない夜だけとは限らないことを思い知らせてやる

308 名前:名無し@千葉在住 ID:sakisaki
スネーク班(1人)だけど、顔晒はやらない主義なんでね
まああんたたちも>>1の報告を待った方がいいよ、なんかこれ色々とこんがらがってる気がする

309 名前:名無し@千葉在住 ID:???
スネークサンクス
あああああ畜生気になるなあ、何がどうなってんだコレ

310 名前:名無し@千葉在住 ID:???
まとめるぞ

めぐりん→男私

この表記からして、>>1と男は彼氏彼女の関係
そしてめぐりんが男に恋慕してる
この認識で間違いないな?

311 名前:名無し@千葉在住 ID:herohayato
>>310
それで認識してる

312 名前:名無し@千葉在住 ID:woodgeneral
>>310
これ

313 名前:名無し@千葉在住 ID:sakisaki
こちらスネーク班
>>1は全然スマホ見てない
それとなく見るように促してみる

314 名前:名無し@千葉在住 ID:snowwhite
まあめぐりんとお茶会してるのにスマホ見るような奴がいたら一列に並ばせて端から殴殺していくわね、私が
それとこの男……まさか……

315 名前:名無し@千葉在住 ID:???
こんなに頼りになりそうなスネークは初めてだ

316 名前:名無し@千葉在住 ID:sisterKMC
三角関係実況スレとか胸熱

317 名前:名無し@千葉在住 ID:springquEen
総武裏サイトができてから一番興奮してる
にしてもこの男って……まさか……

トーシロに音声編集を押し付けてはいけない(戒め)
できないものはできない(震え声)
いやほんと手探りで新たな分野を開拓するとか数年ぶりでストレスで禿げそう。マクレーンみたくスキンヘッドになるまである。

で、かなりゴタゴタしてたんで本編はほぼ進んでません。なので小ネタを投下してお茶を濁すのん!
本編とはまったく関係ない話だから気にしなくていいのん!

「リーチ」

 三巡目――早い、現物も十分な判断材料にならない。
 だが八幡とてここで降りるつもりはない。対面の戸部が唇を釣り上げる。

 配牌は重い。ドラも乗らない。だが負けるわけにはいかない。

 息を吐いて、八幡は中を河に叩きつけた。
 六巡目での聴牌。

 下家の葉山の表情は読めない。
 上家の戸塚は難しそうな顔色だ。

 戸部が零した白を葉山が鳴く。特急券。

 四名全員がダマのように点数を固めている以上、このオーラスを制した者が勝負を制することになる。

 果たして結果は――――





「あ、戸部君それロン。チンイツタンヤオピンフリャンペーコー――」

「「「――三倍満かよッッ!?」」」

 25000点スタートの半荘戦における凶悪極まりない超火力。

 天使が笑顔で告げる役の雨に、戸部はがっくりとうなだれた。

 大学生になって、何が変わったのか。
 部屋のベランダでラッキーストライクの紫煙を夜空に吹きあげながら、彼はそんなことを考えていた。

 隣でキャスターマイルドを噴かす葉山は、何も言わず部屋の中を見ている。

『ちょっ、この鍋はやばいっしょ! 何これ!? ミートソース的なサムシング!?』
『あはははは、まあバターとかメープルシロップとかマックスコーヒーとか色々入れてたもんね~~』
『パスタがやけにごわついてると思ったらそんなことしてたんか比企谷クンと隼人クン……』

 台所で戸部が悲鳴を上げ、情けで手伝っていた戸塚が楽しそうに笑う。
 3位に転落した葉山がここでニコチン接種に勤しめているのは、大天使トツカエルの温情ありきである。
 最近葉山も戸塚を見て『あれ……? 今確かに羽と金のリングが……』と目をごしごしこすっている。新たな門を叩く日は近い。

 ちなみに煙草をくわえながらも、葉山は器用にスクフェスをこなしていた。
 そこはかとなく目が腐っているのは、間違いなく横で何食わぬ顔をしてラッキーストライクを吸う男の影響である。

 男4人が集まった夜なんてこんなものだ。
 ちなみに大和や大岡を呼ぶ案もあったが、あの2人はスマブラがガチ勢過ぎて見送りになった。
 絶ってなんだよ絶って。あといい加減シーク以外も使えよ。ていうかいつまでもDXを引きずるなよ。

「今日は甘いのじゃないんだな」
「男相手にブラックデビルを吸うかよ」
「俺達相手には適当だよな、比企谷」
「……マジで今の言葉をそっくりそのまま返すぜ、本キャンパスの王子様よお」
「よせお、戸山キャンパスだと知り合いはあんまりいないんだ。あとは工場とトトロの森だろ? 縁がない」

 以前の葉山からは考えられない、軽々しく適当な満載の発言。
 それがなんだか心地よくて八幡は白濁した吐息を月に向かって吹きかけた。

「まあアレだ、こんな掃き溜めみたいな部屋に集まってる連中は残らず比企谷ウイルスに感染して発現が適当になってるからな」
「おいおい、お前が原因だったのか。俺の性格が悪くなった責任を取ってくれ」

「は?」

 その言葉を、ばかばかしそうに一蹴し。



「お前は元々性格悪いだろうがよ――葉山隼人」



 その言葉は。
 きっと、誰にも理解されない輪の中心にいた男が。

 いつしか自分でさえも自分の顔を忘れてしまった男が。


 ――本当に言ってほしかった言葉なのかもしれなかった。



「……ああ、知ってるよ」



 煙を吹きかけられ、八幡は思わず咳き込む。
 その様子を見てゲラゲラ笑い、葉山は携帯灰皿の中に吸殻を落とした。

 嗚呼、なんて適当で怠惰で最悪の――

 ――最高の友人たちだろうか。

 しゃがみこんで咳き込みながら、八幡は笑い続ける葉山を見上げる。

 大学に入ってからブレーキがぶっ壊れてしまったのか、かつての王子様として大学で振る舞いつつも、八幡の下手で奇行にばかり走る男。

 やれやれ、と肩をすくめる。
 この男にも止まり木が必要なのだろう。

(何せこんなに最悪な性格の葉山のことだ、止まり木もきっとポッキリ折っていくに違いな――)


「おい」


 笑い声が一瞬で止まった。
 葉山の震える声が鼓膜に届いた。


「あれめぐり先輩だろ」
「戸塚を仕舞えェェェェェェーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 人類の限界に迫る勢いで戸部が戸塚を抱えて押し入れの中に放り込んだ。
 戸塚自身もこの事態にはよく遭遇しているので文句も言わずに沈黙する。

 ガラッとドアが開き、戸部が冷や汗だらだらで胸ポケットからキャビンの箱を取り出した。

「オーケイオーケイ、今日いたのはこの三人だけだ。いいな?」
「ま、まままぁそういうことっしょ」
「戸塚君? 知らない子だなあ…………」

 ベランダで一服しつつ作戦会議。
 そうこうしているうちに対象:魔王が八幡のアパートに接近してくる。

「比企谷くーーーーん」
「あ、こんばんは先輩」

 彼氏の家に遊びに来た彼女。
 実際に2人の関係性や端から見た距離感すべてを総合しても、この状況の説明はこの一文で片が付く。
 めぐりなんて手提げ袋から野菜が顔を覗かせている。
 葉山からすれば『ああ、朝までお楽しみになった後遅めの朝食を作ってあげるんですよね、健康のためのサラダボウルの原材料ですよね、ちゃんと翌朝のことまで考えてるんですよね。爆発しろ比企谷』と思わざるを得ない。

 だが。

「ねえ――」
「えっあっはいなんですか先輩」

「――押し入れに、誰かの呼吸音がするんだけど、誰がいるのかなあ?」

 めぐりが片耳に差し込んだイヤホン。押し入れの中の戸塚の呼吸音がそこから響く。
 すべてを理解した戸部と葉山は間に立つ男の肩に手を置き、八幡は泣きながら崩れ落ちた。

「ねえ、戸塚君は家に入れちゃダメだって何回も言ってたよね? ねえ? 葉山君や戸部君はいいの、いい友人じゃない。麻雀だって食器洗いなんて賭けてるだけでしょう? でも戸塚君はダメって言ったよね?」

 完全に目からハイライトが消えてやがる。
 雛見沢症候群って本当にあったんだあ……と八幡は正座しながら意識をあらぬ方へ飛ばした。

 葉山と戸部は我関せずとばかりに部屋の隅に移動している。
 黙々とブラムを読み進める戸部、イヤホンから歌声を音漏れさせながらスクフェスに興じる葉山。

 すでに2人は部屋の主である八幡の無傷生還の可能性を切り捨てている。

「あの、先輩! 八幡は悪くないんです、僕が無理言ってきちゃって」

「そ、そんなことはないぞ戸塚! 俺を庇おうとなんかしなくていいんだ! 俺は戸塚がいてくれるだけで今晩嬉しかったんだから! まあオスのゴキブリが二匹ぐらいいたけど」

「八幡……」

「と、とつかぁ………」

「…………(袋から取り出す途中だった青ネギを握り潰す音)」




「すっげえ自然に俺らをこき下ろしてくるとか比企谷君パネーわー。つうかそろそろめぐりさんキレるっしょこれ」
「まあ性別不詳で下手したら恋敵をほいほい部屋に連れ込んだあげく、目の前でイチャイチャされたら誰だってキレるだろ。火の粉が降りかからないうちに帰ろう」
「うわ、ここでごく自然に帰宅を提案するとか隼人君パネェ」
「……まあ、あまり俺らしくないとは思うが」

「いやいや、俺はこっちの隼人君も好きだぜ?」

「――――――」
「おっと俺も姫菜の原稿手伝う約束してたっけな……もういい加減帰ろうぜ隼人君よー」
「……ああ、帰るか、俺達の家に」
「いや隼人君東西線じゃねえから、西武新宿線だから」

 まあこの後の話はそう語る必要もない。



 八幡の見た朝日が黄色だったとか。

 めぐりの設置する盗聴器の数が増えただとか。

 戸塚が髪を伸ばし始めいよいよ女になりつつあるとか。

 葉山がUR引いたとか。

 海老名姫菜が友達以上恋人未満な知り合いの手を借りて原稿を仕上げただとか。

 葉山が11連×5で全部Rだったとか。

 葉山がついにプロデューサーにもなったとか。

 大岡と大和に匹敵するフォックス使いである川崎が入り浸り始め、めぐりが果物ナイフを購入しただとか。



 そんなことはどうでもいいのである。

 彼らの青春ラブコメを多く語る必要はない。語る価値もないほど傷つき歪み疲れ果て、今に至った彼ら。


 ならば――


 彼らの大学ライフは、間違っていてもいいはずだ。

(即興による低クオで)すまんな
本編はいつになるか分からないんじゃ~
明日書けてなかったら今日みたいにどうでもいい小ネタをパパッと落としていくかもしれません。

はやはちはわっかんねーけどはや+はちは死ぬほど好きです

俺も掛け算じゃなくて足し算のはやはちは好きだよ
学校というしがらみがないと仲良くなれる二人だと思うんだ

 決断。
 人生はこの二文字の連続である(って偉い人が言ってた気がする)。

 果たして人間というのは重要な決断を迫られた時、特定の判断を下しやすい。

 1つ――現状維持。八幡が真っ先に思い浮かぶのは葉山グループの姿。リア充って大変なんだね(小並感)

 1つ――後退。負けることに関しては無敵を誇るぼっちはめっぽうこれを選ぶ。八幡もお世話になっている選択肢である。ちなみに同率で『いのちをだいじに』コマンドも高頻度で使う。

 1つ――前進。
 例えば、好きな子に告白するだとか。
 例えば、こなせるか分からないプロジェクトに自らかかわっていくだとか。

 あまりにも縁がなさ過ぎて八幡からすれば実在するかも怪しい13人目のライダー、もとい6人目のSMAP、もとい3番目の選択肢である。

「…………あー、あー、あ、あ、あの、あの、さぁ………………」
「あ?」

 ではこの川崎という少女は一体何について悩んでいるのか。苦悩が深いのは分かる。かれこれ2分以上は言語を喪失している。
 首も耳も真紅に染め、落ち着かない指で前髪を弄りながら。
 彼女は腹を決めたらしく、横目に八幡を見た。なんとなく、その横流しの視線が扇情的に見えて八幡の心臓が跳ね上がる。


「あ、あ、あんたって……私のこと……好き?」




「は、な――な、なに言って」
「ラブコメの臭いがしました」




 ドンッ!! とものすごーく乱暴にマグカップが叩きつけられた。
 一色いろはが川崎の眼前に紅茶をダイナミックエントリーさせていた。

相模エピソードすまんが保留にさせてくれ
一応流れというか大筋は完成したが、自分であまり納得がいかん

つーわけで先にけーちゃん(さきさき)エピソードを始めます
相模で安価取ってくれた人すまんな


あとまあ、各エピソードは半分パラレルみたいなもんなんで、めぐりん中毒なんてなかった世界線もあります
(尚ヒロインとのイベントは都合よく引き継がれている模様)

【困惑】昨日某幼稚園に総武高の制服着た男が入っていったんだが【1○歳のパパ?】

1 名前:名無し@千葉在住 ID:???
幼女の手を引いて出てきて、そのまま歩いて行った
男の目がめっちゃ腐ってたから完璧に誘拐だと思ったが、幼女が「はーちゃん」と親しげに呼んでいるから思いとどまった
まさかの昼ドラ展開かこれ



「ブフォッ」

 コーヒー噴いた。
 家に帰ってから暇つぶしに勤務先高校の裏サイトを眺めていたらこれだ。
 部屋着に染みがつかないよう大慌てでシャツを洗濯機にぶち込んだ後、平塚静は下着姿のままPCの前に座り込む。


 余談ではあるが、コーヒーやソースなどが服に付着した場合は洗う前に手でしみ抜きをする必要だ。
 濡れた布を裏地に当て表から乾いた布を当てればいいのだが、そのあたりの知識が彼女に欠如しているのはお察しである。


「う、ううん……目が腐った男子、総武高校……あいつ……いやいやいや…………しかしなあ……」

 思い当る節がありすぎて思わず頭を抱えて唸ってしまう。
 


2 名前:名無し@千葉在住 ID:???
kwsk

3 名前:名無し@千葉在住 ID:snowwhite
kwsk

4 名前:名無し@千葉在住 ID:herohayato
裏山けしからん
詳細はよ

5 名前:名無し@千葉在住 ID:???
がっつくな雑魚共
ちょっとまとめてくるから待ってろ

6 名前:名無し@千葉在住 ID:???
久々にワクテカするトピックだなこれ

7 名前:名無し@千葉在住 ID:saburedog618
うーん、これって人の家庭の事情かもしれないのにいいのかなー?
あたしがそういう家庭で、それをここに面白おかしく書かれたら、すごく嫌な気持ちになるんだけど



「うんうん、そうだな。やっぱりだめだなこういうのは」

 ふうと一息。
 スキャンダル好きな血が騒いでしまい冷静さを失っていた。静という名前が泣いている。いやまあ普段から泣いている気もするが。



8 名前:名無し@千葉在住 ID:???
まあ確かにそうかもなあ……

9 名前:名無し@千葉在住 ID:springquEen
あんまりこういうところで語っていい内容じゃなかったかもね
個人を特定できる情報なんて、>>1が意識出ずにポロっと出しちゃうこともあるし



 この書き込みを見てスレが落ち着けばそれに越したことはない。
 大人として、自分はその流れを見守るだけだ。

 F5連打をしながらセブンスターをくわえて火をつける。
 紫煙を吐き出したところで、ふとスレが動いた。



10 名前:名無し@千葉在住 ID:???
でもでもー!?

11 名前:名無し@千葉在住 ID:1717homohomo
そんなの関係ないのがー!?

12 名前:名無し@千葉在住 ID:soloaround40
総武高校裏サイトー!!

13 名前:名無し@千葉在住 ID:snowwhite
ということよ。続けましょう



「って何してるんだ私はああああああああああああああああああああああああああ!?」

 ノリノリで煽っていた。
 大人としての威厳も落ち着きもすべて母親の子宮の中に忘れてきたかのような所業に頭を抱える。というかもうこれは取り返しがつかない。
 自分でやっておきながら、勝手に平塚は腹をくくることにした。

素で30と40打ち間違えたんだよなあ……
アラサーもアラフォーも大して変わらんやろ、このままで行きます(適当)



14 名前:名無し@千葉在住 ID:???
お前ら盛り上がってるな
んじゃまとめてきたぞ


・目が腐ってる
・総武生
・目以外はイケメン

幼女
・かわいい


・普通の総武三年

男:幼稚園から幼女の手を引き出てくる
男「そんでけーちゃん、今日は何があった」
幼女「きょうはねー、おゆうぎ会のおどりのれんしゅーしてたー!」
男「そうかそうか。さーちゃんに上手い踊り見せてやらないとな」
幼女「うん!」

15 名前:名無し@千葉在住 ID:???
さーちゃん……??

16 名前:名無し@千葉在住 ID:???
流れから察するに姉か

17 名前:名無し@千葉在住 ID:???
男の妹が2人いてって感じか

18 名前:名無し@千葉在住 ID:???
待て、男の嫁or彼女っていう可能性も捨てられないぞ

19 名前:名無し@千葉在住 ID:snowwhite
……テンションが上がってしまって読み飛ばしていたけれど、男って、目が、腐っているのよね?

20 名前:名無し@千葉在住 ID:saburedog618
あっ

21 名前:名無し@千葉在住 ID:irohasu1coler
あっ

22 名前:名無し@千葉在住 ID:springquEen
えっ



(これはまさか……)

 平塚は独り身アラサー部屋(アラフォーじゃないよ! アラサーだよ!)で顎に指を当てる。
 スレの反応が変わった。これはつまり、スレ内で完結していた出来事が自分の日常にも侵食してきたからに他ならない。

 つまりは、平塚にとっての心当たり――比企谷八幡の知り合いがスレにいる。

 うまくいけば事情を吐かせられるかもしれんな、と彼女の瞳に炎が宿った。無駄に年をくった女性のこういう話題に対する貪欲さは筆舌に尽くしがたい。

「よーし、反応速度・出力共にデータ上では最適だッ」

 一人でそんなことを呟いてからキーボードに指を伸ばす。
 こぼれた煙草の灰が畳に焦げ跡をつくった。



23 名前:名無し@千葉在住 ID:soloaround40
男に見覚えはなかったか?
年の離れた妹のいる男子高校生なんて、そうはいないと思うが

24 名前:名無し@千葉在住 ID:???
>>23
同学年に心当たりも見覚えもないから、二年か一年だと思われ
むしろ他学年でそんなやつがいないかここで情報を集めたいぐらいなんだが

25 名前:名無し@千葉在住 ID:irohasu1coler
多分一年生ではないと思います多分

26 名前:名無し@千葉在住 ID:snowwhite
二年生の可能性が高いと思うわ
目が腐っている男には心当たりがあるもの
だた、その男子生徒に妹はいるけれど、そこまで年は離れていないわ

27 名前:名無し@千葉在住 ID:???
二年で目が腐ってるって……ごめん俺も心当たりがあるんだが、正直幼女の手を引くようなキャラとは聞いていない

28 名前:1 ID:???
そうなのか?かなり仲良さげに幼女と連れ添ってたぞ
あと分かりにくいから名前変えた、トリップはダルい



 画面の向こう側で次々と情報が引き出されていく。
 平塚としては学生の行動力はもっと別のことに使えと言いたくなるが、自分もその騒ぎに乗じてしまっているのだから口には出せない。
 むしろスレの流れが予期しない方向へ向いているのが、彼女にとっては注意の対象だった。

「これは……まずいかもな……」



29 名前:名無し@千葉在住 ID:???
名前は出さないけど、そいつ多分、今一番二年で嫌われてる奴だ
かなりやばいことっていうか、ぼかすけど、女子にキツい暴言を嬉々として言うようなやつって聞いてる
友だちは全然いないらしい
精確もかなり悪くて、他人を見下してるんだとか



 うめき声が聞こえた。
 それが最初自分のものとは思えないぐらい歪んだ声だった。

(止めるべきだった)

 後悔は先には立たない。
 後手に回ったというよりも、目先のネタに飛びつき、先を見越すことができなかった。

 自分の愚かさを恨みたくなる。なぜこうなることを予期しなかったのか。



30 名前:名無し@千葉在住 ID:???
あ、一発で分かった
おいおい大丈夫かよその幼女、騙されてるんじゃないだろうな

31 名前:名無し@千葉在住 ID:???
そいつ何故か美少女を侍らせてることがあるよな
それも弱み握ってるとかだとしたら、その幼女が心配になる

32 名前:名無し@千葉在住 ID:???
緊迫感のあるスレになってきたな

33 名前:名無し@千葉在住 ID:???
本日の犯罪者晒しスレはここですか?



 まずい。まずいまずいまずい。
 セブンスターの灰が落ちる。乱暴に灰皿に押し付ける。煙が不機嫌そうに身をよじって空気に撹拌されていく。
 流れは止まらない。傾斜の向きが定まった以上、水が流れ落ちるのは止められない。せきとめようとしても、いずれ指の隙間から水がこぼれていく。

34 名前:名無し@千葉在住 ID:???
比企谷八幡

35 名前:名無し@千葉在住 ID:???
>>34
何これ

36 名前:名無し@千葉在住 ID:???
男の名前じゃね
なんて読むんだよこれwwwww

37 名前:名無し@千葉在住 ID:herohayato
おい、やりすぎだろ
特定に直結するような内容だ、管理人に見られたら一発だぞ

38 名前:名無し@千葉在住 ID:???
ひきがやはちまん
だな、クラスの連絡表見た、ていうか同じクラスだった
確かにかわいいこと一緒に居たりするけど、そういうやつだったのか……見る目変わるなー

39 名前:名無し@千葉在住 ID:???
スリリングだなこのスレ
オラワクワクすっぞ



 どうする。
 脂汗すら滲んでくる。きっと先ほどまで書き込んでいた彼の知り合いも同じ状態に違いない。

(元々の話題……もだめだ、この状態では火に油を注ぐ結果なのは目に見えている。あいつの誤解を解くのは……ダメだ、あいつがそれを望んでいないから、材料が少なすぎる)

 加えれば、人間には悪意のフィルターというものがある。

『人は見たいように見、聞きたいように聞き、信じたいように信じるんです』

 ある悪徳弁護士が言い放ったセリフだ。これ以上なく、その現象はネット社会において当てはまる。
 どんな善行も裏を勘ぐられ、どんな好意も反転させられ、どんな言動も歪曲される。



43 名前:名無し@千葉在住 ID:???
文化祭の話は聞いたことある
委員長かわいそう


47 名前:名無し@千葉在住 ID:???
修学旅行の時、他人の恋路邪魔しようとして失敗したらしい


52 名前:名無し@千葉在住 ID:???
生徒会長脅してるってマジ?
いや脅すっていうか、なんかあの子が就任するときに色々裏でやったらしいって聞いた



 結局、人間というのはそんな存在だ。

 自分は彼に、人の好意について考え直せと言った。
 人の犠牲となることを、その意味を問い直せと言った。

 だが今、自分はこの現実に膝を屈しそうになっている。



55 名前:名無し@千葉在住 ID:rabbittenshi
でもこれ全部、噂でしょ? そんな簡単に信じていい内容じゃないよ

56 名前:名無し@千葉在住 ID:???
状況証拠というのがあってだな……

57 名前:名無し@千葉在住 ID:???
火のないところに煙は立たぬ

58 名前:名無し@千葉在住 ID:???
刑事ってこんな気分なのか
俺警察就職向いてるかもしれんな

 小さな小石は濁流にのまれた。

 大衆の悪意は、国家の武力を上回る影響を及ぼすこともある。
 人々はそれを『人間個人に与えられた権利』だと嘯き掲げ振りかざし、正義と名付けて自分の旗に刻んではためかせる。

(これが情報化社会の恩恵? ――ふざけるなッ!!)

 拳を畳に打ち付けた。
 だがリアルのそれは、決して画面上には反映されない。



60 名前:名無し@千葉在住 ID:???
明日ひきがや君に聞いてみよーぜwwwwww
「幼稚園の子はいくらで買ったのー?」ってwwwwww

61 名前:名無し@千葉在住 ID:???
生々しい数字出てきたらやだな

62 名前:名無し@千葉在住 ID:???
俺でも出せる金額だったら買うわ

63 名前:名無し@千葉在住 ID:snowwhite
掲示板でこうも個人を叩けるなんて、現実ではよほど話す相手がいないのねあなたたち
ネットリテラシーという言葉の意味すら知らないのかしら?

64 名前:名無し@千葉在住 ID:???
>>63
オッス自治ニキーwwww

65 名前:名無し@千葉在住 ID:???
>>63は職員

66 名前:名無し@千葉在住 ID:???
いや先生も総武裏サイはたまに見てるらしいぜ
ストレス発散になるらしいwwwwwwwwww

67 名前:名無し@千葉在住 ID:???
数学担当見てるかー?
お前が怒るべきは宿題忘れた俺じゃなくてひきがや君だぞー??

68 名前:名無し@千葉在住 ID:???
いやそれはお前が悪いだろwwwwwwww

69 名前:名無し@千葉在住 ID:springquEen
いやいや、いくらなんでも現実離れしすぎでしょこの話
さすがに全部真実だとは考えにくいよ

70 名前:名無し@千葉在住 ID:???
それを確かめなきゃならないんだろうが!



 だがその正義という言葉はあまりにも脆く、包括的で、何一つとして明確に定まっていない。
 唯一言えるとしたら、正義なんてものは個人個人によって千差万別であるということだけ。

 だがその、人によって違うはずの正義が特殊な環境下で束ねられた場合、それは三本の矢のように強靭さを会得する。
 過去に起こった革命などを見れば、集団で結束した人間の強さはうかがい知れる――が。

 その正義が、特定個人に襲い掛かることもある。

 白く清潔だったはずの正義の旗は、義憤の赤に染まりやすい。
 勘違いが原因だとしても、その感情の落としどころは必要とされる。

 振り上げた刃は、罪人の首に振り下ろされなければならない。
 放たれた弾丸は、死刑囚の心臓を貫かなければならない。

 暴徒が誕生する瞬間が文字に書き起こされているようで、平塚は眩暈がした。



71 名前:名無し@千葉在住 ID:???
野球部だからバット持って加勢するンゴwwwww

72 名前:名無し@千葉在住 ID:???
竹刀がうなるぜ

73 名前:名無し@千葉在住 ID:???
処す? 処す?

74 名前:名無し@千葉在住 ID:???
覆面持ってくぞ
こんなことで停学とか退学とかになったらたまらん

75 名前:名無し@千葉在住 ID:saburedog618
ね、ねえ、これ、冗談だよね?

76 名前:名無し@千葉在住 ID:???
>>75
まあリンチやるまでは言い過ぎだけど、聞かなきゃでしょ

77 名前:名無し@千葉在住 ID:???
>>75
程度によるけど、脅迫とかしてるんだったらボコボコにするわ
私怨だったらあれだけど、そんなことしてるやつが平然と学校に来てる方がおかしい

 自分が正しいという錯覚は人間だれしもが抱き得る、最も浅く最も深い自尊心の発露だ。
 だから自分の意見を曲げたくない。
 だから相手の言いなりになりたくない。
 そうやって人は自分のプライドを守り、それが大きなものであるかのように誇示する。



80 名前:名無し@千葉在住 ID:soloaround40
普通に考えてそいつが先生にチクったら俺らがやばいだろ
このへんでやめよーぜ、大体噂も眉唾モノ過ぎる



 これが精いっぱいの譲歩。
 これが教師として、このアンダーグラウンドで取れる数少ない抵抗。



81 名前:名無し@千葉在住 ID:???
>>80
それは考えたけど、普通に聞いてから殴るかどうか判断すればよくね?
大体俺達に非はないし、普通にみんなが気になってることをみんなで聞きに行くだけじゃん

82 名前:名無し@千葉在住 ID:???
後ろめたいことがありすぎて先生にそんなこと言えないだろwwwww

83 名前:名無し@千葉在住 ID:???
>>82
これ

84 名前:名無し@千葉在住 ID:???
今日裏サイにいてよかったわ
こんな大騒動見逃したら学校生活に悔いが生まれてしまう

85 名前:名無し@千葉在住 ID:???
殴ったりは勘弁だけど見物するから実況スレ立ててくれ

86 名前:名無し@千葉在住 ID:1717homohomo
朝イチで先生に報告するから

87 名前:名無し@千葉在住 ID:???
おっ、事なかれ主義者オッスオッスwwwww

88 名前:名無し@千葉在住 ID:???
適当に誰か先生止めてくれ

89 名前:名無し@千葉在住 ID:???
先生足止め引き受けたぞい

90 名前:名無し@千葉在住 ID:???
この連帯感だよwwwww

91 名前:名無し@千葉在住 ID:???
すごい一体感を感じる(aa略

92 名前:名無し@千葉在住 ID:???
昼休み? 放課後?

93 名前:名無し@千葉在住 ID:???
放課後じゃね

94 名前:名無し@千葉在住 ID:???
放課後の方がやりやすいやろ

95 名前:名無し@千葉在住 ID:???
昼休みはキツい
放課後でしょ

96 名前:名無し@千葉在住 ID:???
集合場所とか決めるかー



 焦りが思考を滑らせる。
 とっくに燃え尽きたセブンスターを指で挟んだまま、平塚は必死に考えを巡らせていた。

(放課後……放課後か。奉仕部に連れていくという名目で連れ出せば……だめだ都合がよすぎる、この様子ではそれも勘ぐられるかもしれない)
(ならいっそあいつ自身に注意を促すか? スレを見せれば一発だろう――いやダメだ! どれもこれも問題を先送りにするだけで、何一つ解決に至っていない!)
(だが解決、解決なんて……この状態からどうすれば解決できるっていうんだ、こんなの)
(問題の根本的解決、それなら比企谷を他の生徒から守るという観点とは別の角度からアプローチするしかあるまい)

 だが、その別の角度とは、平塚静という女教師に与えられたものではない。

(……打てる手が少なすぎる、なんだこの八方塞がりは……どうすれば……どうすればいい…………?)

 底知れぬ闇に誘われたように、彼女の頭脳はふらふらと迷子になっていた。
 右も左も上も下もふさがっている。出来の悪いゲームのボス戦のようだな、と場違いな思考が横ぎった。

(クソッ、クソッ、落ち着け、落ち着くんだ。私が切れるカードを整理しろ。私にできること……私にできること?)



123 名前:名無し@千葉在住 ID:???
じゃあ明日の放課後に2-F前と旧焼却場前で二組に分かれて集合な

124 名前:名無し@千葉在住 ID:snowwhite
貴方たちが犯罪行為に走ろうとするなら、警察沙汰にもなるわ
というよりも私が警察に通報するから

125 名前:名無し@千葉在住 ID:???
いや犯罪行為に走ってるのはひきがや君のほうだからな?

126 名前:名無し@千葉在住 ID:rabbittenshi
傷一つ付けさせないよ

127 名前:名無し@千葉在住 ID:shisterKMC
明日学校に行かせませんから、絶対に

128 名前:名無し@千葉在住 ID:???
>>127
登校中! そういうのもあるのか!

129 名前:名無し@千葉在住 ID:saburedog618
いい加減にしてよ! 自分の思い込みだけでここまでするとか、ホントキモいんだけど!!



 画面から目を離し、平塚は自分の携帯電話を手に取った。

「もしもし。急にどうしたんですか、親がびっくりしてたんですが……」
「はい? 裏サイト? 先生そんなの見てるんですか……いやあたしも確かに見ますけど」
「それで……って、切れちゃったし」

「さーちゃんどーしたの?」

「ん、ちょっと待ってね……やたら伸びてるなこのスレ……って」
「……………………」
「……………………ふぅん」

「……さーちゃん、すっごく怖い顔してるけど?」

「ねえ、はーちゃん呼んでもらえる? 今多分大志の部屋にいると思うけど」

「わかったー! はーちゃーん!」





140 名前:名無し@千葉在住 ID:sakisaki
スネーク班(1人)だよ、待たせたね




 濁流は激しく、大きなうねりとなる。

 だがその濁流を割って進む船は、確かにある。

 かつての方舟のように。たった一人の人間が作り上げた方舟のように。

 全ての種を乗せた方舟は、どんな人間の嘲りや誹りもはじき返すかのように、すべての人間を洗い流す大洪水に耐えてみせたという。



141 名前:名無し@千葉在住 ID:???
スネークキターーーーーーーーー

142 名前:名無し@千葉在住 ID:???
今回も特ダネ期待してるぜ

143 名前:名無し@千葉在住 ID:???
待っていたぞお前を

144 名前:名無し@千葉在住 ID:snowwhite
もう……こんな……

145 名前:名無し@千葉在住 ID:sakisaki
とびっきりのを仕入れるのに時間がかかっちゃってね
その分あんたたちも楽しめると思うよ
ただこっちの都合だけど、数レスもらうよ

146 名前:名無し@千葉在住 ID:???
いくらでももってけ!
つかスネークは明日のひきがや君出待ち参加するん?

147 名前:名無し@千葉在住 ID:sisterKMC
場合によってはこの場で通報しますからね、本当に

148 名前:名無し@千葉在住 ID:sakisaki
じゃあ155からもらうから

149 名前:名無し@千葉在住 ID:???
焦らすなあ

150 名前:名無し@千葉在住 ID:saburedog618
ねえ、もうやめよ……?

151 名前:名無し@千葉在住 ID:???
wktk

152 名前:名無し@千葉在住 ID:???
やっぱスネークいるとスレの輝きが違うわ

>>146
スネーク女子っぽいし参加はしないんじゃね?
まあ実況希望の連中多いし、スネークのためにも実況スレ立てるしかねえか

153 名前:名無し@千葉在住 ID:???
ksk

154 名前:名無し@千葉在住 ID:???
ksk



 絶望の後に希望が残っているとは限らない。パンドラの箱に残されたものが人類の未来を照らすものとは限らない。

 だが――

「この世界に、希望の一つもないなんて、そんなの悲しすぎますから」

 一色いろはは通話を終えたスマホを耳元から離した。

 PCに表示されたあまりにも救いのない陰鬱なスレッドが簡単に覆せるとは思わない。
 でも自分と同じように、流れに抗う者は確かにいる。
 藁だろうと蜘蛛の糸一本だろうと今は離すわけにはいかないのだ。

 だから。

 細い糸しかないのなら、それらを寄せ集めてまとめて束ね、強靭な命綱を作るしかあるまい。

 すでにいろはは手持ちのカードを全て切った。

 だが、この希望だけは切らせはしない。


 川崎沙希が、「書き込む」のボタンをタップする。




155 名前:名無し@千葉在住 ID:sakisaki
ttp://download5.getuploader.com/g/imas_XXXX/XXX/XXXXXXXXXX.jpg
はいこれ、今撮ったはーちゃんとおんぶされるけーちゃんね



156 名前:名無し@千葉在住 ID:sakisaki
あんたたちが面白おかしく騒いでた被害者の幼女、あれあたしの妹なんだよね
あたしの家は両親が忙しくて、弟2人と妹は基本的にあたしが面倒見てる
で、最近は手が足りなくて、はーちゃん、つまり比企谷に手伝ってもらってる

けーちゃん、まぶしい笑顔でしょ?
これ、金で買われてんの?
もしくは、あたしも金で買われてこの写真偽造してここに載せてる?

いい加減にしなよ。ここはあんたたちの遊び場であっても、あたしの家庭の相談所じゃない

ましてや、真偽も分からない噂に乗せられて勝手に正義感を抱いて他人の感情を土足で踏み荒らしていい場でもない



157 名前:名無し@千葉在住 ID:sakisaki
>>1は騒ぎが大きくなりすぎてROMってんだろうけど、あんたから見てはーちゃんとけーちゃんはどうだった?

まあ上の方でも書いてたよねえ、親しげだったって
その日本語も読めない文盲しかいないのここは?
……まあ、書いてあっても読めないんだろうね

なんせ比企谷は悪人で、引きずりおろして踏み潰してやらなきゃならない存在なんだから
あんたたちがそう思ってんならそうなるんでしょ、あんたたちの中では



158 名前:名無し@千葉在住 ID:sakisaki
ぐだぐだ書いてもあれだから、これで最後ね

はーちゃんは、あたしの家族だ
弟たちも妹もこいつを慕ってる、こいつが来てくれるだけでうちは明るくなる

あたしの家族に何かしようってんならただじゃおかない
使える手を全て使って、関わった人間すべてに報復する

それでもいいんなら、明日比企谷のとこに来な
あたしが出迎えてやるから



159 名前:名無し@千葉在住 ID:snowwhite
……スネークさんは、腕っぷしに自信があるのかしら?

160 名前:名無し@千葉在住 ID:sakisaki
これでも空手黒帯だよ

161 名前:名無し@千葉在住 ID:snowwhite
それはすごいわね
ところで、私は合気道の段を持っているのだけれど、助太刀は必要かしら?

162 名前:名無し@千葉在住 ID:sakisaki
突っぱねたいところだけど、今は感謝して受け取っとく

163 名前:名無し@千葉在住 ID:rabbittenshi
『ラケットがロケットになっちゃった!』作戦……便利な響きだよね、これ

164 名前:名無し@千葉在住 ID:springquEen
懐がちょっと重い(大体850グラム)黒服のお兄さん数名も付け加えてね♪

165 名前:名無し@千葉在住 ID:saburedog618
凄く物騒だ!?
うー、あたしあんま役に立てないよぉ……あ、もしもの時は先生呼んでくる! 格闘技習って花見川区最強の先生!



「…………ははっ」

 ギリギリだった。
 自分の力ではなかった。

 それでも、流れは確かに変わった。



166 名前:名無し@千葉在住 ID:soloaround40
衝撃のファーストブリットから、と出し惜しみしている場合ではなさそうだな
最初からシェリブリット・バーストでいくぞ



 乱雑に結ばれたワイヤー線が、確かに綱を象った。

 切れることなく繋がる絆(ネクサス)。

 今回開けられたパンドラには、どうやら無事に希望が入っていたらしい。

 平塚はエンターキーを押した反動のまま、背中から畳にダイブした。

167 名前:名無し@千葉在住 ID:???
……スネーク、ごめん
お前に絡んでる事情だとは知らなかった

でも、ひきがやに関しては噂が多すぎる
もう決めることは決めたんだ、会いには行かせてもらう

168 名前:名無し@千葉在住 ID:sisterKMC
まだ、そういうことを言うんですか?



 む、と顔をしかめて平塚は上体を起こす。
 膨大な量の油を注がれて燃え盛る炎だ、そう簡単には消えない。

 さてどうしたものかと平塚が思案したところで、ぽんと一つのレスが加えられた。



169 名前:名無し@千葉在住 ID:irohasu1coler
http://jump.vip2ch.com/http://download5.getuploader.com/g/imas_XXXX/XXX/XXXXXXXXXX.jpg

170 名前:名無し@千葉在住 ID:???
なんだこれ

171 名前:名無し@千葉在住 ID:???
ツイッターのスクショじゃね

172 名前:名無し@千葉在住 ID:irohasu1coler
上で出てた修学旅行の件について、恋路を邪魔されたっていう人のツイートです
頭悪い文章なんで日本語に翻訳してあげますね

『ヒキタニ君には悪いことをした。あれじゃあスケープゴート同然だ。助けられた。MAXコーヒーを奢って、今回の件について彼に謝らなきゃいけない』

だ、そうです

173 名前:名無し@千葉在住 ID:???
え、これ、ひきがや君って……

174 名前:名無し@千葉在住 ID:snowwhite
このツイッターの主が玉砕する前に自爆して、代わりに……

175 名前:名無し@千葉在住 ID:???
なにそれ、噂と全然違うじゃん

176 名前:名無し@千葉在住 ID:herohayato
なんでそんな、都合よく手のひらを返せるんだよ……

177 名前:名無し@千葉在住 ID:sisterKMC
総武高校、本当にろくでなしの集まりですね

178 名前:名無し@千葉在住 ID:irohasu1coler
本当に、ね
だからどうにかしなきゃいけないし、どうにかしたい

179 名前:名無し@千葉在住 ID:springquEn
みんな全然書き込まなくなっちゃったねー
謝罪もなしにー

180 名前:名無し@千葉在住 ID:rabbittenshi
ネットって、そういうものですから

181 名前:名無し@千葉在住 ID:saburedog618
なんか、ヒッキーが無事だったのはいいけど、後味悪いかも

182 名前:名無し@千葉在住 ID:sakisaki
匿名掲示板なんてそんなもんでしょ
こんなくだらないスレ、さっさと落とさないと

183 名前:名無し@千葉在住 ID:snowwhite
さっさと落とすべきという点には賛成だわ
ただスネークさん、この時間に比企谷君があなたの家にいることについては明日詳しく聞かせてもらうから

184 名前:名無し@千葉在住 ID:sakisaki
別にいいよ

185 名前:1 ID:???
比企谷、ごめん

186 名前:名無し@千葉在住 ID:yuute1chance
まっ、一件落着ってことっしょw
今度MAXコーヒー奢れよいろはすー


【このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています】

後日談というか八幡視点のアフター書くんで、その前にちょっと30分ぐらい席外します。
本来はさがみんに煽らせるつもりだったけどさすがにそこまでクズ化させるのはアレだったんでやめました。

リアタイ執筆遅筆野郎で大変申し訳ないと思っている

先生の気分になるためセブンスター買ったがなんだこの渋味
本当にあの人アラサー女子かよ、ラキストが一番ですわ

まあ所詮フィクションだからね
過大表現なのは仕方ないね

「……なんか今日、教室の雰囲気おかしくなかったっすか」

 生徒指導室へお約束のごとく連行され、俺は開口一番にそう言い放った。
 ぼっちであるがゆえに全方向へ張られた俺の探査レーダーは空気の変化を敏感に感じ取る。風力・温度・湿度、一気に確認というやつだ。だからといってやってやりはしないけどな。

「そうか。君らしい感じ方だな」

「はい?」

「君は人からの好意に慣れていないが、悪意に慣れている。だがここ最近、悪意を受けすぎて、どうも悪意にすら鈍感になっていたようだからな」
「慣れというのは人間の最大の武器にして最大の弱点だ。君は日常的に悪意を向けられ、いつしかそれを当然のことと思っていた」

 先生の言っていることは筋が通っている。
 確かに最近は、後ろ指もひそひそ声も、かつて過敏に反応していたそれらに対し一顧だにせず通り過ぎるようになっていた。

 では今日は、一体何が変わっていたのか。

 俺の疑問を見透かしたかのように、先生が年齢に似合わないかわいらしいウィンクと、一緒にスマホを投げてよこした。

「悪意が減じられたから、違和感を覚えたのだろう。詳しくはそこにある。君に見せるべき内容ではないし、私が見るべき内容でもない……だが、君自身の知る権利がそれらを凌駕するんだよ、特に今回ばかりはね」

「はぁ」

 説明になっているようななっていないような言葉を聞き流し、俺は画面に目を走らせた。

 ってこれ裏サイトかよ……昨日はけーちゃんたちのおもりが忙しくて全然見れてねえわ。
 教師が裏サイトを見ているというのは耳に挟んだことがあるが、先生もそうだったのか。まあこの人ノリノリで煽ってそうだもんな。

 黙々とスレを読み進める。
 先生の吐いた紫煙が渦を巻き、照明に照らされ雲を形取る。

 ……
 …………
 ………………




 結論から言おう。


 なんだこのこっぱずかしいスレは。


 うおおおおおおおおおおおおおおおおおお、やばい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!!

 俺はスマホを放り投げて生徒指導室の机に突っ伏した。顔が真っ赤になっているのが自分でもわかる。

「まあ、そういう反応になるだろうな」

 生成が苦笑しながらスマホを取り上げた。

 いやいやいや……

『はーちゃんは、あたしの家族だ』


 いやいやいや。
 何言っちゃってんのお前。
 川なんとかさん男前すぎィ! もう婿にもらわれるしかないじゃん……

「ちゃんと読んだか?」

「ええ。なんですかこれ新手のいじめですか……いやいじめからかばった結果なんでしょうけど……」

 大体俺の知り合い連中分かりやすすぎだろ。
 雪ノ下の合気道は洒落になってねーし由比ヶ浜はバカだし戸塚はいつの間にか腹黒になってるし元祖腹黒の雪ノ下さんはシークレットサービス連れてくる気満々だったし。あと一人なんかネイティブアルターもいた。

「ここまで愛されてると幻覚を見てる気分になりますね、マトリックス的な」

 ちなみに俺もビルからは飛び降りられない。

 と、その時俺の後頭部を柔らかな温もりが包んだ。
 わずかに顔を上げると、先生の姿が消えている。代わりに視界の上から艶やかな黒髪が下りていた。

 互いの体勢を理解して呼吸が詰まる。

「誰かを助けるということは、君自身が傷ついていいことにはならないと、かつて私は言ったな」
「だが人間は必ず傷つかなくてはならない、生きていくうえで、傷一つ負わない人間などいない」
「それでもきっと、負わなくていい傷はある。その時は私が……いや、私達が君を守るとしよう」

 心臓の拍動が鳴りやまない。
 鼓膜まで震わせるような勢いで血液を送出し続けている。もう今にも破裂しそうだ。

「でも、それは、先生たちが代わりに……」

「そこは、うまくやるさ。君のようにな」

 後ろから回されていた腕が解かれる。
 俺が見上げる先生は、やや耳を赤らめていた。

 灰皿に置かれた煙草が、何も言わずに煙を上げている。

「君はもっと多くの人の話を聞くべきだよ、比企谷。誰かの感傷がその人個人のものだとしても、知らなければ何も始まらないからな」

 生徒指導室から出ると、見覚えのある顔が二つ並んでいた。

「やっほ、ヒキタニ君。ちょっと顔貸してくんね?」

「……頼む」

 葉山グループの戸部と大岡が、俺を待っていた。

「部活はいいのか?」

「んー、遅れてくっていろはすに言っといたし大丈夫っしょ」

 連れて行かれたのは旧焼却場。昨日の書き込みのせいであまりいい印象ではなくなってしまった。
 戸部は口笛を吹きながら立ち去り、残ったのは俺と大岡。

 え、こいつとサシで話したことなんてないんだけど。

 なんだこれ、俺やっぱボコされちゃうの? こいつ確か野球部だったよな……バットとか使われたら俺の土下座が炸裂しちゃうからな、気を付けろよ。

 俺がそんなことを考えていたら、目の前で大岡が土下座していた。得意技を先に出されてしまった。

「すまん! 昨日のスレ、立てたのは俺なんだ!!」

 今明かされる衝撃の事実!

 ……いやまあ途中から騒ぎ出した連中が悪いのであって、別にこいつは悪くないと思うんだが。

「気は晴れたか?」

「お前の気が済んだのなら」

 俺は頭を掻いて空を見上げた。青いなあチクショウ。

「自分の責任だと思ってそういうことやってんのなら、今すぐやめろ。迷惑だ、その中途半端な責任感」

 大岡がハッと顔を上げる。

「お前が始めたことじゃない、スレの趣旨と明らかに脱線してた、まあ人様の家庭事情を勝手に書き込んだお前は、どっちかっていうと俺じゃない奴に謝るべきだけどな」

「それは、もう謝った」

 指差した頬には、確かに赤い腫れがある。
 ビンタ一発か。安いもんだろ。

「ならこれでこの話は終わりだ」

 俺は土下座したままの大岡に背を向けて立ち去る。

 ネットでのトラブルが現実にこうも影響を及ぼす。大岡というクラストップカーストの男が、底辺ぼっちの俺に土下座をする。
 普段なら爆笑できるところなんだが、イライラが勝って優越感すらなかった。

 これが、群れるという現象の最大の短所だ。

 なんでもできる気がする、だって隣に人がいるから。誰にでも勝てる気がする、だって仲間がいるから。

 くだらねえ。

 じゃあその薄っぺらくて目障りな装飾品を引きはがしたらどうなるんだ。

 そうなったとき、『おまえ』は『だれ』なんだ。

 集合の一要素だからこそ、失敗や責任もみんなに降り注ぐから、みんなで足並みをそろえたがる。自分の首を切られたくないが故の行進。生気のない、ベルトコンベアに乗せられた量産品が雁首並べて同じ方向に向かいおててをつないで歩いていく。

 見るに堪えない、気持ち悪い光景だ。吐き気がする。唾棄すべき呪いの具現化だ。

 手をつないでいるんじゃない。お前らは互いに手錠をかけ合ってるだけなんだ、逃れられない呪いの鎖なんだ、それは。

 命綱なんかじゃない、道連れのためだけの太くて長いロープ。全員まとめて海に飛び込むための自殺用ロープ。

 それにしがみついている連中が、俺はずっと嫌いだ。

 校舎の角を曲がったところで、不意にマッ缶が投げられた。反射的にキャッチ。

「悪いね時間取らせちゃってさー。あ、それいろはすの奢り」

 同じように黄色い缶を手に持った戸部が、校舎裏の花壇に腰掛けていた。

 ……え、何これ、隣に座んなきゃいけないやつなの?

 俺が戸惑っていると、戸部は軽く笑って隣のスペースを手で叩いた。

「まー座りなって、俺も聞きたいことあるし」

 それはこちらのセリフだ。
 俺は指示されるがままに大人しく隣に座った。

「やー、今日の結衣と雪ノ下さんマジヤバかったわ。目が合った瞬間殺されるって思ったもん」

「……ああ。あいつらと川崎の殺気は心臓に悪かったな」

 教室の中に殺し屋が3人もいるとか何あれ世紀末かよ。空気が本能寺学園のそれだったぞ。
 昼休みに憩を求めてマイベストスポットに赴いても一色がいて周囲を警戒してたし。スレ読んだ後ならあの行動にも納得がいくが、ちょっと怖い。釘バットとか持ってそうだった。

「悪いね、うちの大岡が」

「いやまああいつのせいじゃねえだろ。強いて言うなら……空気が悪い」

 あの場所は俺も心地よい。アングラ特有のじめじめとして、粘り気のある空気。
 だがその空気は時として凶悪な牙をむく。今回の俺は運が良かっただけだ。

「うん。あそこで戦える川崎さんはすげーよ」

 戸部がMAXコーヒーを一口飲み下して、そう呟いた。

「……お前も、戦ってたじゃねえか」

 唐突に貼られたTwitterの画像。
 一色の生徒会長選の際に多くの生徒のアカウントを確認していたから分かる。あれは、戸部のアカウントだ。

 アイコンやアカウント名にモザイクこそされていたが、知っている人が見れば一発で分かる。
 というか今のご時世、あんなモザイク消すのは容易だろう。

「いろはすからいきなり電話かかって来てさ、なんとかできないかって」
「そんで考えて、考えて、考えたんだけど……俺はヒキタニ君みたいに頭良くないから、ああいうのしか思いつかなかった」

 あの場において個人情報を晒すのは決して最善策とは言えない。
 川崎のあれは常識なんてぶっ飛ばす勢いの奇策かつ自爆だ。これから先の学園生活が窮屈になるのは目に見えている。

 それを承知の上で、川崎も、こいつも、あそこで引き金を引いた。

「……なんで」

 胸中に燻る疑問は唇を突いて出てきた。

 戸部はぽかんとした表情になった後、大真面目に腕を組んでうーんと唸りだす。

「なんつーかさ、俺にも分かんねーのよ。確かにあの場で、姫菜にコクったら全部が終わってた。あのテンションだったから周りが全然見えてなかったけど、今ならわかっちゃうし」

「……ならむしろ、だろ。気づいていないふりをした方が良かったはずだ。リスクヘッジをすれば、その選択肢は除外される」

「んでもさあ」

 真っ直ぐに瞳がかち合った。

「友だち助けるのに、リスクとか普通考えなくね?」



 ……友達。

 俺と、こいつが。

「冗談だろ、友達なんかじゃ」

「あーあー! 分かってるって、ヒキタニ君からすりゃ俺は友達なんかじゃねーって」
「でもさあ、それってヒキタニ君の押し付けなわけよ」

「俺がヒキタニ君のこと友達だと思っとくのは、それは俺の勝手っしょ?」

 ……なんだこいつ。

 何言ってんだこいつ。

 クラストップカーストの住人が、何をほざいてやがる。

「ま、そういうことで。このコーヒー、すっげえ甘いけど美味しかったわ。んじゃーねー」

 軽く手を振りながら戸部が立ち去っていく。左手にぶら下がった黄色い缶が見えなくなるまで、俺はその背中を見続けていた。

 なんか、深く考えるのすらバカらしくなってきた。

 俺はMAXコーヒーをぐびりと飲み干すと、空き缶片手に立ち上がった。
 青い空に少しずつ橙が差し込み始めている。
 早いとこ部室に行かねえとな。俺が行方くらましたままだと、あいつら本気で捜索願出しかねない。

 ……友達っていうのは、双方向に貼られるレッテルだと思ってた。
 いつの間にか、気付けば互いの胸元に分かりやすく表示されている識別信号。友達とそれ以外というふるい分けに使う発信機。

 でもひょっとしたら、そういうわけでもないのかもしれない。

 MAXコーヒーは甘いし、ネット社会は暗い。
 俺の知り合い達は怖いし、リア充たちは明るい。

 現実はどうしようもなくつらくて苦しくて、今すぐにドロップアウトしたいほど窮屈だ。

「……雪ノ下に怒られちまうな」

 もっとも、先に呼びされていた川崎があいつに詰問されているだろうが。
 いつの間にやら川崎家の一員となっていたこの体だ、あまり冷やさず大事にしていこう。

 きっと他の誰かたちも、悲しむだろうから。



「あーそういえば川崎さんになんも言ってなかったわ! わりーけどヒキタニ君、彼女さんに代わりに礼言っといて!」

 角からひょこっと顔を出した戸部が、てへぺろしながらそんなことをのたまった。

「彼女じゃねぇっ!」

 ムカつくその顔にスチール缶を投げつけると同時、どこかでカラスの鳴き声がした。





やはり彼の『希望の船(フレンドシップ)』はこわれはしない。/完

今季一番とろい遅筆堂々の第1位の座はいただきだな(白目)

というわけでさきさきエピソード終わりです。
ていうか前回までサブタイトル入れるの忘れてた。
順番に

やはり彼に関する恋愛相談はさわがしい。
やはり彼女を求める人々はさまよっている。

です。

相模エピソード書けなかったときのために10分ぐらい置いて安価出します
お疲れ様でしたー

じゃあ安価行きまーす

ストック
・八幡と相模がモンハンしてるのを戸部が目撃してスレ建てる、それを大正義大岡が見る

【スレの内容(スレ主)】
↓2

【スレを目撃する人】
↓4

【百合?】2年の由比ヶ浜結衣と雪ノ下雪乃がどう見ても怪しい件【レズ?】

はるのん
が目撃

(アカン)

血の流れる未来しか見えねえ……

あとこのスレに投下した小説は分割して渋にも投下する予定です

好感度的なもの
sakisaki    ■■■■■□
irohasu1coler  ■■■□□□
rabbittenshi  ■■■■■■
saburedog618  ■■■■□□
snowwhite    ■■■■□□


んじゃお疲れ様でしたー

なかなか本編が書けないのでクソどうでもいい小ネタ再び
時系列は8巻中盤からのIF



 冷え切った廊下を切るようにして進む。
 思考は生徒指導室からここまでの道のりで驚くほど冷静に周り、あらゆるルートを精査し、俺に一つの仮説を提示していた。

 ドアの前までくれば、もう後に退くことができなくなった。元よりそんなつもりもない。

 たかが数分の時間で俺の脳細胞は人生の中でも最大級のパフォーマンスをしてくれた

「雪ノ下、お前自分が立候補するつもりなのか」
「……ええ」

 視界の隅で由比ヶ浜が驚愕に目を見開くのが見えた。

 平塚先生からその話を聞かされ、考えるより先に拒否反応が出た。そんなことは認められない。そんなことをすれば、『ここ』はなくなってしまう。

 いやというほどに気付かされた。どうやら俺は、誰かのためだなんて理由をつけずとも、この空間を守りたい――その程度には、この部屋を気に入ってしまっていたようだ。

 俺の世界には俺しかいなかった。自身の行動への賛同も否定も、すべて俺がやっていた。
 それは雪ノ下も同じであるはずだ。だからきっと、これは彼女自身が下した結論。葉山でも姉でもなく、彼女自身が欲しがった結果。




「で、それは一色いろはの依頼のためか、お前自身の願いのためか、どっちだよ」

あばばば最初からミスった
>>357に差し替えてください



 冷え切った廊下を切るようにして進む。
 思考は生徒指導室からここまでの道のりで驚くほど冷静に回り、あらゆるルートを精査し、俺に一つの仮説を提示していた。

 ドアの前までくれば、もう後に退くことができなくなった。元よりそんなつもりもない。

 たかが数分の時間で俺の脳細胞は人生の中でも最大級のパフォーマンスをしてくれた 。

 扉を開く。弁当箱を一緒に広げる二人の少女が視界に入る。
 アホ面と鋭利な瞳、不釣り合いなそれらを並べても違和感がないのは、この部活に入ってからの時間が俺に与えてくれた安らぎのおかげだろう。

「雪ノ下、お前自分が立候補するつもりなのか」
「……ええ」

 視界の隅で由比ヶ浜が驚愕に目を見開くのが見えた。

 平塚先生からその話を聞かされ、考えるより先に拒否反応が出た。そんなことは認められない。そんなことをすれば、『ここ』はなくなってしまう。

 いやというほどに気付かされた。どうやら俺は、誰かのためだなんて理由をつけずとも、この空間を守りたい――その程度には、この部屋を気に入ってしまっていたようだ。

 俺の世界には俺しかいなかった。自身の行動への賛同も否定も、すべて俺がやっていた。
 それは雪ノ下も同じであるはずだ。だからきっと、これは彼女自身が下した結論。葉山でも姉でもなく、彼女自身が欲しがった結果。




「で、それは一色いろはの依頼のためか、お前自身の願いのためか、どっちだよ」

 雪ノ下の瞳が見開かれた。

「ヒッキー、それってどういう」
「悪い後で話す」

 視線を雪ノ下に固定。ここから先は、俺はこいつと対話しなくてはならない。
 そう、ぼっちの俺が対話だ。笑わせてくれる。今更他人と何の意思疎通を図らなきゃならないんだ。

 ――でもきっと、この考え方こそが俺の弱点。

 負けることに関しては最強だからこそ、この弱点は強みになる。
 トモダチだのシンユウだの、言葉で関係を明白にしなきゃ分からない、伝わらないような間柄。その欺瞞が嫌いで、避けて、遠ざけて、比企谷八幡という自意識の化物が誕生した。
 そんな俺が好きだった。

 でも――今は、いらない。

 自意識の化物ではない。奉仕部の一員として、由比ヶ浜結衣の恩人で、雪ノ下雪乃の知り合いである比企谷八幡が、ここにいなくてはならない。

 欺瞞を嫌うから、欺瞞の温床である言葉が嫌いだった。
 言葉にせずとも伝わり、分かり合える関係が、そんな『本物』が欲しかった。

 でもそんなものありはしない。俺は知っている。自分の希望や願望にいくら救いを求めても、それは水面に映る月なのだ。

 今までの自分を否定する必要なんかない。自分自身を肯定して、好きでいることが大事で、それは逃げなんかじゃない。



 だが変化というものは、常に痛みを必要とする。



 伝えようと、そう思った。
 言葉にして伝えようと、そう思った。

 問い直さなくてはならない誤解も、擦り切れてしまった悪意も、埋もれてしまった感傷も、すべてを伝えようと思った。

「……依頼の解決のためには、何も問題ないと思うわ。私なら問題なく勝てる。生徒会長になってからも、十二分に仕事をこなせる。他の立候補者の擁立はあなただって不可能だと」

 そうじゃない。

「そうじゃないんだ、雪ノ下。俺が問うて、お前が答えなきゃならないのは、そこじゃない」
「……言葉にしなければ伝わらないことなんて、大したことではないわ」

 俺はその言葉を否定する術を持っていない。それもまた一つの答えであり、真理であるからだ。

「この際だから言うが、俺は自分を犠牲にしたことなんてない。文化祭だって修学旅行だって、いつだって俺が決めて俺が実行してきた。リスクを排除して不確定要素を排斥して、正しいルートだって確信してから踏み出してきた」

 でも、これは俺の自意識での話。
 俺の中でいくら問いかけても、答えは決まっている。
 だからこそ、問い直さなくてはならない。問題はそのままにして、回答者を入れ替えて。

「だからお前らが憤るのが、分かってても実行した。俺は、そういう人間だから」

 提示された選択肢を掴むのは俺だ。なぜなら選択肢を絞り込むのも、大元を弾きだすのも俺だったから。

「ああいうのは、そうだな。嫌だ。もうしたくない」

 この部屋を歪ませたくない。俺が好きな――ああそうだ、俺が愛していたこの空間を、これ以上暗くさせたくない。
 切れるカードは大幅に減る。それでも、俺はもうああいうことはしたくないと、そう思った。

「俺はいつだって自分のために動いてきた、そう自分に言い聞かせてた」

 ――でも、違った。

「問い直して、ようやく分かったよ。俺はただここを守りたくて、そのためにがむしゃらにやってきたんだって」

 由比ヶ浜が目に涙を滲ませているのが見えた。正直俺も泣きそうだ。

 けれどここで退いてはいけない。

 最後まで、問い続けなければならない。それが俺にできる唯一のことだから。

「お前はどうだ、雪ノ下」

「だから……私は、一色さんの」
「違う、違うんだよ雪ノ下」

 頭を掻きむしりながら、俺はしっかりと彼女の瞳に視線を向ける。
 逃げるな、俺。
 へたれでクズでダメ人間だけど、それでも俺はここに立っている。それ自体がもう、俺の答えだった。

 欺瞞を許したくないからこそ、自分自身が吐こうとしていた嘘を明かさなくてはならない。

「だって奉仕部は、答えを与える場じゃない。魚の取り方を教える場だ。なのにお前がそんな効率よく事態を解決しようとする理由は何だ」

「わ、たし、は」

「俺だって、俺だって」

 ああクソだめだ涙が止まらねえし拭えねえ。

「俺だってお前達に傷ついてほしくなんかない、お前達が俺に傷ついてほしくないみたいに」

 なんつー自意識過剰なセリフだろうな。頭の中で冷たい声が割り込んできた。
 クソ、邪魔だ、どけ、俺。今は関係ねえんだよ。

「だから自分勝手なのは承知だ、それが俺なんだから。だから何度だって俺はお前に問いかける――お前が欲しいものは、何だ?」

 依頼の解決、生徒会長の座。

 雪ノ下の黒い目が揺れる。
 由比ヶ浜も俺も、ただ黙って彼女を見ていた。

 長い沈黙だった。
 涙が制服や床に垂れていた。あとで拭いとかないとな、と場違いな思考がよぎる。

「……私が、生徒会長になったら」

「…………」

「……奉仕部は、なくなると思う?」

 考える。その可能性の有無。
 葉山の立候補を却下したのはこれだ。あいつにはサッカー部がある。そして雪ノ下にこの条件が当てはまるかどうか。

「なくなったりなんかしないよッ!」

 ――感情の爆発を悲鳴と呼ぶのなら、その声はまさにそうだった。

 由比ヶ浜が椅子を蹴っ倒す勢いで立ち上がった。

「奉仕部は……この教室にいることは、3人でいることは、少なくなるかもしれない。でもあたしは! あたしはゆきのんが生徒会長になっても、ゆきのんの横にいる! ヒッキーだって! ヒッキーだってそうでしょ!?」

 ……本当にこいつは、すげえよ。
 俺が瞬時に弾きだしうるパフォーマンスをあっさりと超えていく。
 またそれだけで、涙があふれ出す。情けない面を下げたまま、俺ははっきりと頷いた。

「そんなことで崩れ去るような偽物なら、おれはいらない。俺は――名前や立ち位置が変わっても揺るがない、そんな『本物』が、欲しい」

 そして。

「お前達と、そんな、『本物』になりたい……なり、たいっ」

 視界がぐちゃぐちゃに歪んだ。

 雪ノ下が目を拭ったのは、俺の気のせいだろうか。

「俺も由比ヶ浜も応援するし手伝う。生徒会にだって入るッ。それで、俺は、俺達はッ、また紅茶を飲むんだ、お前が淹れてくれた温かくてうまい紅茶を」

 支離滅裂な妄想が口から飛び出た。
 自分でもこんなことを考えていたのかと驚いてしまう。自分が自分で制御できない。

「だから、一言だけでいい。一言だけでいいんだ――お前は、どうしたいんだ」

 水浸しになって少し前も見えない世界の中で、雪ノ下の肩がゆっくりと動くのだけが見えた。



「…………生徒会長に、なりたい。私自身の意思で、生徒会長になって、あなた達と一緒に居たいッ! だから、だから――」


 ――――たすけて。





 任せろ。
 奉仕部が、その依頼を引き受けてやる。

……
…………
………………


 何故だろうか、こんな言葉を、夢の中で聞いた覚えがある。

『……ほんと言うとね、期待してたんだ』
『雪ノ下さんが会長になってくれたらなって。で、もっと言うと、由比ヶ浜さんが副会長。それから……比企谷くんは庶務っ!』

 期待というのは致死性の毒だ。それに冒されたら体も心も思うように動かなくなり、誤作動を起こし、やがて致命的なエラーを生じる。
 そうやって生み出された間違いも、リア充たちは青春の1ページへと昇華させ美しく尊いものとして扱いたがる。あいつらの属性変換術はホントチート。

 それにしてもこの訳の分からん夢は一体なんだったのだろうか、だって、こんな人員で構成された生徒会なんて――

 ――現実のものじゃないか。



「ほら、ぼーっとするの禁止! 仕事仕事!」
「う、うぜぇ……大体お前アレだぞ、俺ほど仕事効率の良くて仕事へのモチベーションの低い人材は稀有なんだからな。レア過ぎて存在を認知されてないレベル。よってお前は俺を敬え」
「ハァ?」

 由比ヶ浜が呆れたように俺の頭を小突く。
 いや実際問題、今度のクリスマスイベントは紙面上は問題ゼロなんですよ。

 唯一あげられる問題があるとすれば。

「あら庶務々谷君、ついに由比ヶ浜さんとの言語会話もできなくなってしまったの? 退化が激しい種族だとは聞いていたけれどここまでくるなんて、可哀想に……」

 海浜総合高校とかいう合同イベントの仲間を、うちの会長が、完全完璧完膚なきまでにフルボッコにしてしまったことぐらいか。

『覚えたての言葉を使って議論こっごをするのがそんなに楽しいかしら』
『そういう中学生またはうちの庶務の戯言じみた虚言はお仲間内で楽しんでくれないかしら』
『今私達は会議に来てるのよ、分かってる? 内容のない言葉のやり取りは会議ではなくごっこ遊びというのよ、そもそも今自分達が使っている言葉に定義付けしたいのなら『わたしのかんがえたかっこいいかいぎ』としか言う他ないわ』
『幼稚な言葉遊びに割いている時間があるなら紅茶を淹れていいかしら、意味のない言葉ばかり喋ってさぞ喉も疲れているでしょう。頭は何も使っていないから疲れていないでしょうけどね』

 もうやめて! あちらの生徒会のライフはゼロよ! あとしれっと俺まで貶めてるあたりが流石過ぎて責める気にもなれなかった。
 後なんか知ってる顔がいるような気がしたけどスルーした。どうでもよかった。

「ほらほら先輩、書類が先輩を待ってますよ~?」

 あざとい後輩もできた。それ書記の書類だから、お前の書類だから。

 こいつに『私も――本物が欲しくなったんです』と生徒会初期立候補理由を話された時は、俺と由比ヶ浜はおろか雪ノ下までもが耳まで赤くして机に突っ伏していた。
 盗み聞きしてんじゃねえよ……ていうか葉山は? ご都合主義の星の下に生まれたあのエクスカリバーはどこ? 君のハーレムが一匹脱走してますよ?

「ヒッキー仕事! ……あと、この書類について教えてくれたらなーって」
「先輩この後空いてますかー? ららぽ行きましょうよららぽ、下着買い換えたくって」
「無能々谷君、早く私の書類をチェックしてくれないかしら? その……間違いが、あるかもしれないから」

 乾いた笑いが出てくる。部屋にいる他の役員たちから励ましの視線が飛んでくる。

 まあ――悪い気はしない。
 処女ビッチと養殖ゆるほわはともかく、最後の我らが会長。

 彼女が人を頼っているというだけでも、俺は嬉しいのだ。

 あの空間は崩れたりなんかしなかった。

「ヒッキー、何笑ってるの?」
「うわあ先輩の笑顔キモっ」
「産業廃棄物を投棄するのは犯罪よ」

 訂正、崩れるどころか鋭利さが増した。俺に対して。

 紅茶の香りが部屋に漂う。ブレイクタイムのようだ。他の役員たちも伸びをしながらパソコンの画面から目を離し、思い思いに話を始める。

「わかるものだとばかり、思っていたわ」

 俺の前に湯呑を置いて、雪ノ下は自分のティーカップを傾けた。
 マグカップをそれぞれ持ちながらキャイキャイと話す由比ヶ浜と一色を見ながら、俺も湯呑の中身をすする。

「言葉にしなくても、か?」
「ええ。なのに無理矢理言葉にして吐き出させるなんて、ひどい人」

 思わず彼女に視線を向けた。

「今更文句かよ」
「今更? 私にとってはつい昨日のことといっても過言ではないわ。だから、もう一つ」

 雪ノ下は、不器用に、俺に笑いかけた。

「いつか、私を助けてね」

 あの時通じた願い。あの時掴めた手。
 俺は何度も間違えてきた。何度も間違って問うて問うて問い直して、考えて考えて考え続けてきた。
 頭脳こそがぼっち最大の切り札。負けることと考えることに関しては俺が最強。

 だからこそ。

「ああ、任せろ」

 こんな6文字ぐらい、考えずとも口から出てくる。

 雪ノ下は笑って、再び紅茶を啜った。


 そして、彼女の願いを聞き届ける者は。/完

こういうクライマックスシーンを切り抜いた小ネタ大好きです
あと次はちゃんと本編書くんで勘弁してください……

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