モバP「新しいアイドルを連れてきたぞ!」 (114)


モバP「凛、……あ、間違えた、まゆ~」まゆ「……」
コレの続き


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事務所

幸子「あれ、まゆさん、何をしているんですか?」

まゆ「……うふふ、手帳に予定を書いているの」カキカキ

幸子「へえ、随分ゴツイ手帳ですね、黒表紙のシステム手帳なんて」

まゆ「……そうね、うふふ」カキカキ

幸子「随分ご機嫌じゃないですか」

まゆ「手帳に予定を書きこむのが楽しくて」カキカキ

幸子「あ、ちょっとわかりますよ、白いページに文字を入れるのは楽しいですよね、ボクもノートの清書とかよくしますし」

まゆ「時々事務所で書いてるわよね……幸子ちゃんは字が上手でうらやましいわ」

幸子「ふふん、もっと褒めてもらっても構いませんよ?」

まゆ「そうね……幸子ちゃんは字が綺麗なだけでなくてとっても可愛いわ」

幸子「え!? あ、ありがとうございます……」

幸子(軽く冗談のつもりで言ったんだけど……まさか本気にするなんて)

まゆ「あとは、繊細だけどとてもポジティブでそういうところも素敵だと思うし、それに……」

幸子「ま、まゆさん! その辺でストップです!」

まゆ「え? なんで?」

幸子「じょ、冗談で言ったんですから本気にしない下さいよ」

まゆ「そうだったの? ごめんなさい……」

幸子「ま、まゆさんが謝ることじゃないです! ボクが先に変なこと言ったんですから……」

まゆ「そうかしら、まゆは思ったことを言っただけだけど……」

幸子「……と、とにかく、作業の邪魔してすみません! ボクの事は気にせずに続けてください!」

まゆ「そう? それなら……」カキカキ

幸子(……まゆさん、いい人過ぎます……アイドルって裏表がある人が多いって聞いたけど、まゆさんはライブで見たまんまだし……)

まゆ「……」カキカキ

幸子(こうやって手帳に予定を書いている姿も可愛らしい……もちろん、ボクの次くらいにですけど!)

まゆ「……」カキカキ

幸子(……でも、やっぱり、どう見てもまゆさんにはあのゴツイ手帳は似合わないですね……今度、ボクが可愛い手帳を見繕ってあげよう……)

まゆ「……♪」カキカキ

…………
車内

みく「ふふんふーん♪」

モバP「お、ご機嫌だな、みく」

みく「当然! ラジオの収録現場なんて初めて見るにゃ!」

モバP「ははは……言っておくけど、騒ぎ過ぎて迷惑かけるなよ? 一応、凛の後輩ってことで現場見学させてもらうんだから」

みく「わかっているにゃ、プロデューサー」

モバP「……ふむ」

みく「どうかしたかの?」

モバP「いや、なんだかみくにプロデューサーって呼ばれるのがむず痒くてな」

みく「でも、プロデューサーはみくをプロデュースするんだからプロデューサーであってるよ?」

モバP「それはわかってはいるんだが……」

みく「……まあでも、実はみくもプロデューサーって呼ぶのが少しよそよそしい感じがしていたにゃ」

モバP「そうだったのか……なんだったら名前で呼んでもいいぞ?」

みく「それはダメ、みくは事務所に入ってから誓ったの! 公私混同はしないって!」

モバP「公私混同って……それならどうするんだ?」

みく「うーん……とりあえず、親しみを込めて、プロデューサーちゃん……あ、いや、Pちゃんって呼ぶことにする!」

モバP「Pちゃん……俺はインコか?」

みく「にゃははっ! 結構お似合いの呼び方になったにゃ、よろしくね、Pちゃん」

モバP「はあ……わかったよ」

…………
ラジオスタジオ

モバP「おはようございます」

みく「おはようございます!」

ラジオ局P「プロデューサー君おはよう……その娘が新人の?」

モバP「ええ……みく、自己紹介だ」

みく「前川みく、15歳だにゃ! みんなを元気にできるアイドルを目指して頑張ってるにゃ!」

ラジオ局P「元気いっぱいだね……凛ちゃんとはまた別の路線のアイドルだね」

モバP「ええ……今日はよろしくお願いしますね、現場では静かにさせますから」

ラジオ局P「スタジオは防音だしあんまり気にしなくていいよ……おや、凛ちゃん」

凛「プロデューサー、来たんだ」

モバP「もちろんだ、朝に話した通り、みくを連れてきたぞ」

みく「凛ちゃん! 今日はよろしくにゃ!」

凛「うん……まあ、みくの参考になればいいと思うけど」

モバP「あんまり考えすぎるなよ、いつも通りで十分だからな?」

凛「わかっているよ……というかみくが居ても居なくても関係ないし」

モバP「相変わらず頼もしいな、凛は」

みく(……なんだかそういう言い方をされるとちょっとショックなのにゃ)

凛「プロデューサー、ちゃんと見ててね、普段は全然来ないし」

モバP「す、すまん……凛がしっかりしているかついつい甘えちゃってな……」

凛「別に責めてるわけじゃないよ、本当にただ見てほしいだけだから」

モバP「もちろんだ、今日はしっかりと凛が頑張ってる様子を見てるからな」

みく「凛ちゃん、みくも……」

凛「うん、ありがとう、それじゃあそろそろ始まるから」

みく「……り、凛ちゃん!」

凛「何?」

みく「み、みくも見ているにゃ!」

凛「うん、知っているよ、みくは見学のために来たんでしょ?」

みく「あ、うん……」

凛『……はい、それではふつおたのコーナーです、ラジオネーム……』

みく「……」

モバP「どうだ、みく? 凛のMCは?」

みく「……なんだか、いつもの凛ちゃんみたいにゃ、全然緊張してない……」

モバP「だろう、最初こそ淡々としているって批判されてたけど、今じゃあ逆にそれがこのラジオの売りになっているんだよ」

みく「……」

モバP「本当にごく稀にメールとかで笑ったりするんだけど、リスナーはその瞬間が聞きたくて、たくさんこのラジオにメールを送るのさ」

ラジオ局P「そうだね……このラジオ、聴衆率はあんまり高くないけど、メールの数は他の番組の倍近くきたりするから」

みく「でも……なんだか簡単そうにゃ」

モバP「おい、みく……」

ラジオ局P「はは、まあ凛ちゃんのMC見てたらそう思うよね……実際はマイクの前にくると緊張でしゃべれなくなっちゃう子が多いんだけど」

みく「……」

ラジオ局P「凛ちゃんは第一回の放送から普通に話せてたね、でもそんなのかなり珍しい方だよ、業界に入って間もない15歳の女の子ができることじゃない」

みく「……みくだって、15歳にゃ!」

モバP「みく、ここでは騒ぐなって言っただろう……すみません、失礼なことばかり言って」

ラジオ局P「元気があっていいんじゃないかな……何だったらゲストということで出てみるかい?」

モバP「え!? ほ、本気ですか……?」

ラジオ局P「飛び入りだから大して時間は取れないけど、最後の曲紹介の前にフリートークがあるからそこになら入れられるよ」

モバP「いや……まあ、出していただけるのなら願ったりかなったりなんですが、本当に大丈夫なんですか?」

ラジオ局P「まあこれ生じゃないし、問題あったら切るだけだよ」

モバP「なるほど、そういうことでしたら……」

みく「……Pちゃん、みくは出れるのかにゃ!?」

モバP「らしいぞ……いいか、みく、ラジオだからって変にかしこまるなよ、もし失敗しても凛がフォローしてくれるからな」

みく「わかったにゃ!」


凛『えーと、それで今日は特別ゲストが来ています……みんな多分知らないと思うけど……というか絶対知らないだろうけど』

みく『ひどいにゃ! みくだって最近ライブで……』

凛『みく、ゲストは紹介があるまでしゃべらないでね』

みく『ご、ごめんなさいにゃ……』

凛『はい、それじゃあ名前を言っちゃったけど、前川みくちゃんです、自己紹介して?』

みく『うん!凛ちゃんと同じ事務所に所属してるみくだにゃ!』

凛『所属じゃなくて預かりでしょ』

みく『あ、そうだった……えーと、今日は凛ちゃんのところに遊びに来たにゃ! ……えーと……』

凛『みくは私の事務所の後輩で最近デビューしたばかりなの、みんな名前だけでも覚えていってね』

みく『にゃ、にゃあ……そうだにゃ! 覚えておいてほしいにゃ!』


モバP「……見事に空回ってますね」

ラジオ局P「そうだね」

モバP「……すみません、これカットですよね?」

ラジオ局P「いや、使っても面白いんじゃないかな」

モバP「ええ!?」

ラジオ局P「空回りしているとはいえお地蔵さんになるよりマシだし、凛ちゃんもフォロー出来てるから、聴けない事もないし」

モバP「あ、ありがとうございます……それなら、これからもゲストって形でみくも出れますよね?」

ラジオ局P「ちゃっかりしているなあ……まあ、そこら辺は今日の放送の反響しだいだね」


凛『じゃあ、最後はみくに曲紹介をしてもらおうかな』

みく『み、みくが!? ……わかったにゃ! みくが一世一代の……』

凛『ごめん、長くなりそうだからやっぱり私がやるね、今週の曲は……』

みく『ひ、ひどくない……?』

…………
車内

みく「ふうー……」

モバP「ご苦労さん、疲れたか?」

みく「とっても疲れたのにゃ……みくはあんなに短い時間ででこんなに疲れたのに凛ちゃんはすごいにゃ」

モバP「ははは、みくは全力を出し過ぎだ、凛はリラックスしてやってるんだよ」

みく「むむむ……ラジオのMCへの道はまだ遠そうだにゃ……」

モバP「あ、そうだ、凛、聞いてくれよ……みくのやつ、MCなんて簡単そうだとか言っていたんだぞ」

凛「……」

みく「ちょっとPちゃん!」

モバP「はは……」

凛「プロデューサー」

モバP「うん?」

凛「今は運転に集中して」

モバP「ああ、すまんな」

みく(……凛ちゃん、ちょっと不機嫌なのかにゃ? ……もしかしてさっきのラジオでみくがいきなりゲスト参加したことに怒っている……?)

みく「凛ちゃん……」

凛「なに?」

みく「今日はとっても勉強にになったのにゃ! 凛ちゃんはやっぱりすごいのにゃ!」

凛「そう? ありがとう、でも本当にいつも通りやっていただけだよ」

みく「……みくもいつか凛ちゃんみたいなMCになれるかにゃ?」

凛「うん、みくはもうちょっと冷静になれば普通に回せるようになると思うよ」

モバP「よかったな、みく、先輩MCからのありがたいアドバイスだぞ」

みく(本当によかったにゃ……話しかけても普通に答えてくれるし、不機嫌だと思ったのはみくの勘違いだったみたいだにゃ)

凛「プロデューサー、赤だよ」

モバP「わかってるって」

凛「……それで、みくがMCは簡単だって言った話だっけ?」

モバP「え?」

みく(え? さっきその話……したよね?)

凛「それで私に話しかけたじゃん」

モバP「……ああ、そうそうその話な、それで……」

凛「プロデューサー、私と話す時は私の方を向いて話して……前にも言ったでしょ」

モバP「悪い悪い、でも運転中だしさ、話すだけだったら顔を向けなくても出来るだろ?」

凛「ダメだよ、プロデューサーはすぐに私と他の娘を間違えるから」

モバP「そんなことは……まあ、あったか」

凛「それに赤信号の時に話しかけてるから、今ならよそ見しても大丈夫だよ」

モバP「そう言われてみればそうだな……えーと、それで、みくが調子こいているなって話しなんだが……」

凛「うん、そうだね」

みく「ちょ、ちょっと待つにゃ! 凛ちゃん!」

凛「……」

みく(無視!? もしかしてやっぱり怒っているんじゃ……)

モバP「……まあ、でもさっき凛の言っていた通り、みくも冷静になれれば上手くやれるかな」

凛「うん、そうだね……もしくはあれで突き抜ければ逆にいいかもしれない」

モバP「ああ凛の逆パターンか、それもいいかもしれないな」

凛「それに……」

モバP「お、青だ」

凛「……」

モバP「凛? さっき何か言いかけていたけど……」

凛「運転に集中」

モバP「あ、悪い……」

みく「……」

みく(どうしよう……凛ちゃんを怒らせちゃったにゃ……)

…………
事務所内

モバP「ただいま戻りました」

凛「ただいま」

ちひろ「お帰りなさい……あら?」

みく「……」

ちひろ「みくちゃん、どうしたの?」

モバP「実は今日、ラジオの収録に飛び入りで参加する事になりまして……」

ちひろ「みくちゃんが、ですか? よかったじゃないですか」

みく「……」

モバP「まあ、それでちょっと空回りしまして、それでショックを受けちゃったみたいなんですけど……」

ちひろ「はあ……そうなんですか」

モバP「車内でも途中まで元気良かったんですけどね……」

みく「……」

モバP「まゆはもうレッスンに行きましたか?」

ちひろ「はい」

モバP「それなら……おーい、幸子、営業に行くぞ」

幸子「……え? ああ、プロデューサーさんですかお帰りなさい」

モバP「スマホいじって何しているんだ?」

幸子「可愛い手帳を探してるんですよ……そうだ、プロデューサーさん、営業が終わったらちょっと寄ってほしいところがあるんですけど……」

モバP「駅前の雑貨屋あたりか?」

幸子「察しがいいですね、さすがボクのプロデューサーです」

モバP「まあ、それくらいなら構わないぞ」

みく「……Pちゃん」

モバP「うん?」

みく「……みくも一緒に行きたいにゃ」

モバP「え? 今日はもう仕事ないし、寮に戻って大丈夫だぞ?」

みく「……お願いにゃ」

モバP「まあ、別に連れて行くくらいなら構わないけど、幸子の営業の見学でもするのか?」

みく「……そんなところにゃ」

モバP「わかった、幸子、今日はみくも一緒に来るけど構わないか?」

幸子「問題ありませんよ、みくさんにもボクの可愛さを知ってもらえるいい機会ですから!」

モバP「ははは、そうだな……ちひろさん、そういうことなんでみくを連れて行きますね」

ちひろ「はい、わかりました」

モバP「じゃあ、行ってきますね」

幸子「行ってきます」

みく「……」

バタン

凛「……ねえ、ちひろさん」

ちひろ「うん、なにかしら?」

凛「ここに置いてあったプロデューサーの手帳知らない?」

ちひろ「えーと……知らないけど、プロデューサーさんの手帳なら本人が持っているんじゃ?」

凛「ううん、プロデューサーは今朝、机に手帳を置き忘れてたから……」

ちひろ「でも、時々事務所に戻ってきたから、その時に回収したんじゃない?」

凛「それはないよ、さっき車内で鞄の中を見たけど入ってなかったし」

ちひろ「……」

凛「まあ、いいか、どうせまゆだろうし」

ちひろ「……」

凛「ちひろさん?」

ちひろ「はい」

凛「私、外の自販機で飲み物買ってくるけど、ちひろさんは何かいる?」

ちひろ「いえ、何もいりません」

凛「そっか」

バタン

ちひろ「……」

ちひろ(……最近なりを潜めていたと思ったけど、久々にきたわね……本当に勘弁してほしいわね)

ちひろ(みくちゃんと幸子ちゃんが来てくれたおかげで露骨に対立する機会は減ったけど、時々見せるプロデューサーへの執着は全然収まる気配がないし……)

ちひろ(当のプロデューサーさんは相変わらずとぼけているし、私の口から言っても意味ないだろうし……)

ちひろ「……はあ、気が重いなあ」

凛「何が?」

ちひろ「え!? い、いつの間に!?」

凛「さっき帰ってきたばかりだよ、それよりも……はい」

ちひろ「……え? このお茶は……?」

凛「いつも頑張っているちひろさんへのお礼、今飲みたくないのなら冷蔵庫に入れておくけど?」

ちひろ「あ、ありがとう……いただくわ……」

ちひろ(……凛ちゃんもこういうところで気が利くのよね……その気遣いをもっと別のところに回せないものかしら……)

凛「……」

ちひろ(スマホいじり始めちゃった……こちらの気も知らないで……)

…………
車内

幸子「ここで降ろしてください」

モバP「わかった、それじゃあここで路駐しているから買い物が終わったら戻ってきてくれ」

幸子「はい……それでは……」

バタン

モバP「ふう……どうだった、みく? 幸子の仕事ぶりは?」

みく「……よくわからなかったにゃ」

モバP「……だよな、なんだか上の空な感じだったし」

みく「……え」

モバP「ずっとうつむいているんだから丸わかりだよ」

みく「……もしかして幸子ちゃんにもバレていたのかにゃ」

モバP「多分な、幸子は結構人目を気にするし、みくが見てない事にも気づいていたと思うぞ」

みく「……凛ちゃんだけじゃなくて幸子ちゃんにも失礼なことしちゃった……みくはダメなアイドルだにゃ」

モバP「……なに言っているんだ?」

みく「Pちゃん……みくはどうすればいいのかわからないにゃ、きっと凛ちゃんも幸子ちゃんもみくに呆れかえっているのにゃ」

モバP「……とりあえず、なんでそんなにネガティブなのか、その理由を聞かせてくれ」

…………

モバP「なるほど、凛が冷たい、と」

みく「……うん、きっとみくが凛ちゃんのラジオを滅茶苦茶にしちゃったから怒っちゃたんだにゃ……」

モバP「うーん……凛がそんなこと気にするかな……」

みく「気にしてなかったらあんな無視されないにゃ!」

モバP「無視? されてたか?」

みく「してた! もう帰りの車とか完全に無視されてたし!」

モバP「そうか? 平常通りの凛にしか見えなかったけど」

みく「……Pちゃんは無視されてなかったから気付かなかっただけにゃ」

モバP「うーん……そうなのかな」

みく「Pちゃん、どうしよう……みくは凛ちゃんに嫌われたくないにゃ、アイドルとしても先輩だし、友達としても仲良くなりたいにゃ」

モバP「まあ俺としても、みくが凛に引けめを感じてほしくはないが……」

みく「……みく、凛ちゃんにラジオの事を謝ろうと思う、それでなんとかならないかな?」

モバP「……ふむ、そこまで考えているのなら俺がとりなしておこうか?」

みく「とりなす?」

モバP「ああ、俺は凛の元専属プロデューサーだぞ? ご機嫌を窺うなんてわけないさ」

みく「……なんか頼りないにゃ」

モバP「なんだと失礼なやつめ、この!」

みく「にゃにゃ!? や、やめるにゃ!」

モバP「このこの」

みく「にゃはは、くすぐったいにゃ! やめるにゃ、Pちゃん……」

モバP「ははは、もとの良い顔に戻ってきたぞ、みく」

みく「にゃはは、え?」

モバP「やっぱりみくは暗い顔より笑顔が似合うよ、それでこそ俺がプロデュースするアイドルだ」

みく「Pちゃん……」

コンコン

モバP「お、幸子、戻ってきたか」

ガチャ

モバP「おかえり」

幸子「ただいまです」

モバP「良いものは買えたか?」

幸子「ええ、すぐに買えましたよ、おかげでお二人のイチャイチャを見届ける羽目になりましたけど」

みく「イ、イチャイチャって、そ、そんなんじゃないにゃ!」

モバP「なんだ、終わったのならすぐに声をかけてくれればよかったのに」

幸子「可愛いボクは空気も読めますからね、まあちゃんとプロデューサーらしい事をしていたのは認めてあげますよ」

モバP「ははは、ありがとう、それじゃあ事務所に戻ろうか」

…………
事務所

凛「……」ガタッ

ちひろ「……凛ちゃん? どうしたの?」

ガチャ

モバP「ただいま戻りました」

ちひろ「あ、プロデュー……」

凛「お帰りなさい」

モバP「おう、ただいま」

ちひろ「…………お疲れ様でした、お仕事はどうでしたか?」

幸子「もうバッチリですよ、ボクの可愛さが余すところなく発揮されました」

ちひろ「ふふ、幸子ちゃんもお疲れ様」

みく『……Pちゃん』ギュッ

モバP『うん? どうした小声で……』

みく『みく、凛ちゃんにメチャクチャにらまれてる……』ギュウ

凛「……」

モバP『ふむ、確かにご機嫌斜めっぽいな……というか、みく、強く手を握りすぎだ、流石にゴリゴリされると痛い』

みく『だ、だって……こ、怖いんだもん……』

凛「……」

みく「……」

モバP(みくは完全に委縮してしまっているし、ここは凛のご機嫌をとって場を和ませるか)

モバP「凛、腹減ってないか?」

凛「減ってないけど」

モバP「そうか……」

凛「何?」

モバP「いや、レストランで飯でも奢ってやろうかと思ってな」

凛「そう」

モバP(……さて、早速ご機嫌取り作戦が失敗してしまったわけだが)

凛「で、どこに食べに行くの?」

モバP「え、行くのか?」

凛「行くよ? 私、行かないって言った?」

モバP「いや、言ってないな……そうか、でもあまり腹減ってないみたいだし、レストランじゃなくて喫茶店にでも行くか」

凛「うんいいよ、いつ行くの? 今?」

モバP「待ってくれ、ちょっとやることがあるから、それを済ませてからにしよう」

凛「そう、それじゃあそれが終わったら声かけて」

モバP「待て、凛に用があるんだ」

凛「私に? いいけど」

モバP「ああ、ちょっと会議室に来てくれ、さあ、みくも」

凛「……みくも?」

モバP「そうだ、どちらかといえばみくが……」グイッ

モバP『なんだ、みく?』

みく『Pちゃん! このタイミングで行くの!?』

モバP『当たり前だろ、凛の機嫌も取れたことだし絶好のタイミングじゃないか』

みく『あんなので機嫌が良くなるわけないにゃ! 相変わらず凛ちゃんぶっきら棒だし!』

モバP『だからあれが凛の平常運転なんだって、大丈夫だ、俺を信じろ』

凛「ねえ、さっきからヒソヒソしてるけど何してるの?」

モバP「何でもないさ、さあ行こう……みくも、な?」

みく「うう……」

…………
会議室

凛「それで、なに?」

モバP「さあ、みく」

みく「うう……凛ちゃん」

凛「……」

みく「…………本当にごめんなさい!」ペコ

凛「……?」

みく「みくはそんなつもりなかったんだけど、でも凛ちゃんを邪魔しちゃったのは本当の事だから……」

凛「……みく」

みく「だから……本当にごめんなさい」

凛「みく」

みく「……はい」

凛「まず顔を上げて」

みく「……」オソルオソル

凛「次になんで謝ったのか説明して」

みく「え?」

凛「私、みくに謝ってもらうようなことされてないと思うけど」

みく「……ええ?」

モバP「な、言っただろ? 凛は気にしてないって」

みく「……あれ?」

凛「……プロデューサー、説明して」

モバP「みくが謝ってるのはラジオの事さ、あの時ラジオに乱入して凛の番組を滅茶苦茶にしちゃったんじゃないかって」

凛「別にそんなことないけど」

みく「で、でも! 凛ちゃんは、その、みくのこと……無視、してなかった……?」

凛「無視……」

みく「……」

凛「……ごめん、考えてみたけどみくの事無視した記憶がない、いつの話のこと?」

みく「か、帰りの車の時にそう感じたけど……」

凛「してない……というか、してるつもりはなかったけど、みくはそう感じたってことだよね?」

みく「え、あ、本当に無視されたてたわけじゃなかったの……?」

凛「うん、ごめんね、私よく無愛想って言われるからそのせいだと思う」

みく「ううん! ううん! みくの勘違いならそれでいいの! ……なんだ、みくの勘違いだったんだ……」

モバP「だよな、凛なら気にしないって思ってたよ……て、みく、なんで泣いてるんだよ」

みく「グスッ、だ、だって、安心して……それに勘違いしたのが、グスッ、恥ずかしくて……ふええ、凛ちゃ~ん」ダキッ

凛「みくって意外と泣き虫なんだ」

みく「ふええん、よかった……みくと凛ちゃんは、グスッ、これからも友達だよね?」

凛「みくがそう思ってる限り、友達だよ」

みく「凛ちゃ~ん」ギュッ

モバP「誤解が解けてよかったな、みく」

みく「うん……」

凛「ところでプロデューサー、喫茶店行くんじゃないの」

モバP「おお、そうだな、みくも来るか?」

みく「あ、じゃあみくも……」

凛「みくはダメだよ」

モバP「え、何でだ?」

凛「アイドルが泣きはらした顔をみんなに見せちゃダメでしょ」

モバP「ああ、なるほど」

凛「じゃあ行こうか……みく、離して」

みく「あ、うん」

…………

ちひろ「お話は終わりましたか」

モバP「ええ、それと息抜きがてらちょっと凛と喫茶店に行ってきますね」

ちひろ「はい、どうぞどうぞ」

モバP「あ、でも待てよ……そろそろまゆがレッスンから帰ってくる時間だな」

凛「……」

ちひろ「……」

モバP「伝えておきたいこともあるし、ここは一旦待って……」

ちひろ「私が代わりに伝えておきますね」

モバP「え?」

ちひろ「私が代わりに伝えておきます、ですので出かけても大丈夫ですよ」

モバP「ああそうですか、それならお願いします、明日の入り時間が変更に……」

ガチャ

まゆ「ただいま戻りましたぁ」

ちひろ「あ……」

モバP「おお、おかえり、まゆ」

まゆ「プロデューサーさん……今日もまゆは頑張ってきました」

モバP「レッスンお疲れ様、それにタイミング良く帰ってきてくれたな」

まゆ「タイミング良く……うふふ、きっとプロデューサーさんと心でつながってるおかげですね、まゆもプロデューサーさんが呼んでると思って急いで帰ってきたんです」

モバP「そうか、それで伝えなきゃいけないことがあるんだけど」

まゆ「……」

モバP「明日の収録だけど、入り時間が変わって10時になったから遅刻しないようにしてくれ」

まゆ「……わかりましたぁ、明日はプロデューサーさんも来てくれるんですよね?」

モバP「もちろんだ、ちょっと朝寄るところがあるから現地集合にはなるけど、収録は一緒にいるからな」

まゆ「楽しみです……あ、そうだプロデューサーさん……」

凛「プロデューサー、まだ?」

モバP「ああ、今行くから」

まゆ「……凛ちゃん、まだまゆの話が終わってないよ?」

凛「急ぎの事じゃないなら後でいいでしょ」

まゆ「……それを決めるのは凛ちゃんじゃないと思うけど?」

凛「プロデューサー、私、先に行ってるからね」

モバP「ああ待てって、まゆ、何の話だ?」

まゆ「……プロデューサーさんの手帳を拾ったので渡そうと思ったんです」

モバP「手帳? ああ……そういえば鞄に入れた記憶がないな、拾っておいてくれたのか、ありがとう」

まゆ「いいんですよぉ、これはまゆとプロデューサーの予定が書いてある大切なものですから無くさないでくださいね」

モバP「ははは、まゆにたしなめられる日が来るとはな」

幸子(……あれ? あの手帳……)

モバP「サンキューな、そうだ、拾ってくれたお礼に明日の昼飯奢ってやるよ」

まゆ「本当ですか? ありがとうございます」

モバP「それじゃあ、ちひろさん、ちょっと出てきますね」

ちひろ「はい……」

バタン

まゆ「……」

ちひろ「……」

みく(なんか一瞬変な空気になった気がする……もしかして凛ちゃんとまゆちゃんって仲悪いのかな……?)

幸子「……あの、まゆさん」

まゆ「なに、幸子ちゃん」

幸子「実はまゆさんにプレゼントしたいものがあるんです」

まゆ「え?」

幸子「これなんですけど……」

まゆ「すごく可愛い手帳……これをまゆにくれるの?」

幸子「ええ……」

まゆ「ありがとう……でも、なんで? 何かの記念日だったっけ?」

幸子「いえ、今朝まゆさんがゴツイ手帳を使っているのを見て、ボクがまゆさんにふさわしい手帳を選んできたんです」

まゆ「そうだったの、改めてありがとう、大切にするわ」

幸子「はい……それでちょっと聞きたいことがあるんですけど……」

まゆ「何かしら?」

幸子「今朝書きこんでいた手帳なんですが……心なしか先ほどプロデューサーさんに返した手帳に似ていた気がしたんですが……」

まゆ「ああ、あれはプロデューサーさんの手帳よ」

幸子「……やっぱり……でもそれって……」

まゆ「どうしたの?」

幸子(キョトンとしてる……他人の手帳に悪戯書きなんてやっちゃいけないことなのに、まるで悪気がないみたいだ……)

まゆ「……?」

幸子(どうしよう、ここはハッキリと注意しておくべきなのかな……でもまゆさんは良い人だし、とてもそんな悪いことをする人には見えないし……)

まゆ「幸子ちゃん?」

幸子(……いや、これはまゆさんのためだ、生意気に思われるかもしれないし、嫌われてしまうかもしれない、けどまゆさんには間違ったことをしてほしくない!)

幸子「まゆさん!」

まゆ「は、はい」

幸子「他人の手帳に悪戯書きをするのはいけない事だとボクは思います!」

まゆ「悪戯書き……?」

幸子「今朝の事です、まゆさんはあの手帳に色々と書きこんでたじゃないですか」

まゆ「ああ、あれの事……あれは悪戯書きじゃないの」

幸子「え……どういうことですか?」

まゆ「幸子ちゃんは入ったばかりで知らないかもしれないけど、プロデューサーさんって結構うっかりさんなの」

幸子「は、はあ……」

まゆ「だからね、予定とかを手帳に書きこみ忘れちゃうことがあるのよ、まゆが見た時は手帳が真っ白だったもの」

幸子「ええ……?」

まゆ「このままだとプロデューサーさんのお仕事が失敗しちゃうでしょ? だから、まゆが予定を代わりに書きこんであげていたのよ」

幸子「そ、そうだったんですか……すみません、ボクは何かとても失礼な勘違いをしていたみたいです……」

まゆ「いいのよ、むしろ幸子ちゃんが素直な言葉をまゆに言ってくれてうれしかったわ」

幸子「まゆさん……」

幸子(やっぱり……まゆさんは良い人だ、この人と同じ事務所でよかった)

みく「まったくPちゃんは本当におっちょこちょいにゃ」

幸子「まったくですね、ちゃんとボクらをプロデュースしてくれるんでしょうか」

まゆ「大丈夫よ、プロデューサーさんはまゆがついてるから」

幸子「そうですね、まゆさんのようなしっかりした人がいれば心強いです」

ちひろ「……」

…………
喫茶店

モバP「凛は注文なにがいい? なんでも遠慮なく頼んでいいぞ……さて俺は何するかな……」

凛「……」

モバP「凛? どうした?」

凛「コーヒー」

モバP「そんなのでいいのか?」

凛「お腹減ってないって言ったじゃん」

モバP「あ、そうだったな、それじゃあ俺は……グラタンにするかな、昼軽めだったし……いや、待てよ、ここは……」

凛「プロデューサー」

モバP「う~ん、なんだ?」

凛「プロデューサー」

モバP「聞こえてるぞ? 流石にグラタンは重すぎかな……とすると、サンドウィッチセットに……」

凛「プロデューサー、私と話す時は私の顔を見て」

モバP「うん? ああ、すまん、なんだ?」

凛「事務所でまゆから手帳返してもらったでしょ? それちょっと貸して」

モバP「いいけど、何に使うんだ?」

凛「中身確認するだけ」

モバP「確認ってただの普通の手帳だぞ? ……あれ? 確かあの場に凛いなかったよな、なんで手帳返してもらったこと知ってるんだ」

凛「わかるよ、そんなことくらい」

モバP「うーむ、まるでエスパーだな、それともホームズばりの推理力か?」

凛「どちらかといえば後……」

モバP「俺の行動が読まれてるってことは、まるで俺たちが通じ合ってるみたいだな」

凛「……そうだね、どちらかといえば前者かな、プロデューサーのことはだいたいわかるよ」

モバP「ははは、凛も冗談がわかるようになってきてくれて嬉しいよ……それで、俺の手帳の中身はおかしくなってたか?」

凛「うん」

モバP「だよな、そんなわけ……え?」

凛「来週までの予定がびっしり書き込まれてるよ」

モバP「そ、そんなはずは……うわ、本当だ、おかしいな……いや手帳に予定が書きこまれるのはおかしい事じゃないだがな?」

凛「知ってるよ、プロデューサーはスマホに買い替えてからそっちにスケジュール書きこんでるから、最近その手帳開いてないんでしょ」

モバP「そうなんだよ……あれ? その事も話したっけ?」

凛「通じ合ってるからわかるの」

モバP「な、なるほど、エスパー凛侮りがたし……じゃなくて誰がこんなことを……」

凛「まゆでしょ」

モバP「まゆ? ……ああ、確かにこの丸っこい字はまゆの字みたいだな……」

凛「……」

モバP「うーむ、もしかしてこれはまゆが世話を焼いてくれっていうことなのか……?」

凛「……私と話す時は私の顔を見て、何度も言ってるでしょ」

モバP「ああ、スマン……それでどう思う?」

凛「そうだね、多分、まゆのお節介だよ」

モバP「やっぱりか……勝手に人の手帳を開けるのはよくないが善意でやってることなら怒りにくいしな」

凛「別に怒らなくていいんじゃない」

モバP「そうか? だけどここは大人として注意しておいた方が……」

凛「というかさ、これって結局のところ誰が一番悪いかっていったらプロデューサーでしょ?」

モバP「お、俺が悪いのか?」

凛「プロデューサーが手帳にきちんとスケジュール書きこんでたらこうはならなかったんだし」

モバP「いや、でも俺はスマホの方に……」

凛「それもどうかと思うよ、私もスマホ使ってるけど、あれってすぐに電池なくなるじゃん」

モバP「ああ、確かにな、俺も携帯充電器買ったわ」

凛「スケジュールなんていつでも確認できるようにしておかなくちゃいけないのに、いざっていう時に電池切れだったら大変でしょ?」

モバP「……」

凛「それに電話しながら予定の確認もできないし、不便なことだらけだよ? ……どうしたの、プロデューサー、黙っちゃって」

モバP「……一回り下の女の子に諭されてることにショックを受けていたんだ」

凛「なにそれ」

モバP「……そうだな、凛の言うとおりだ、これからはまた手帳の方にスケジュールを書きこもう」

凛「そうじゃあ、喫茶店出たら行こうか」

モバP「え? どこにだ?」

凛「文房具屋さん、私がプロデューサーに新しい手帳を見繕ってあげる」

モバP「いや、この手帳があるから大丈夫だぞ」

凛「そんなダサい手帳使い続けるの?」

モバP「ダ、ダサいか、これ?」

凛「アイドルのプロデューサーやるんならもっとセンスあるやつ使いなよ、女の子ってこういう小物を見てその人がセンスあるかどうか判断するんだよ?」

モバP「そうだったのか……そういえば今日、幸子が可愛い手帳を探してるって言ってたな……」

凛「……そういうこと」

モバP「よし、それじゃあ俺もコーヒーにするから、一杯飲んだら出かけるか」

凛「うん」

…………
夜・居酒屋

ちひろ「……はあ」

モバP「大きいため息ですね、どうしました?」

ちひろ「考えが甘かったんですよねえ」

モバP「……?」

ちひろ「人が多くなれば私にかかる精神的プレッシャーも減るんじゃないかって思ったんですけど、大して変わらなくって」

モバP「もしかして事務所のことですか? そりゃあアイドルが多くなれば負担も増えますって、でも同じくらいやりがいも増えますよね」

ちひろ「……」ジトー

モバP「な、なんですか?」

ちひろ「今日もプロデューサーさんの奢りで」

モバP「ええ、今日もですか!? そろそろ俺のお財布もキツイというか……」

ちひろ「はい、プロデューサーさんに奢ってもらうお酒でかんぱーい」

モバP「か、かんぱーい」

ちひろ「ゴクゴク……ぷはっ、何も考えずにお酒を飲めるのがこんなに楽しいことだとは思いませんでした」

モバP「そんなに仕事がきついなら、社長に新しく事務の人を雇ってもらうようかけあってみましょうか?」

ちひろ「いえ、これは仕事の悩みではないので……まあ広義的に言うと仕事のことかもしれませんけど」

モバP「はあ」

ちひろ「こっちは大変なのに相変わらずノンキな顔してますね」

モバP「いきなり絡み酒ですか? まあでも最近は新しく2人もプロデュースしなくちゃいけいなくなったので疲れる暇もありませんよ」

ちひろ「みくちゃんと幸子ちゃんですよね」

モバP「ええ、あの2人どうですか? 特にみくとか事務所に居る時とか迷惑かけてませんか?」

ちひろ「2人ともいい子ですよ、みくちゃんはちょっと騒がしいかもしれませんけど、あの年頃だったらむしろあれが普通な気がします」

モバP「そうですね、凛とまゆは落ち着いてますから……幸子もまあ、普段は大人しいですし」

ちひろ「みくちゃんと幸子ちゃんの方のプロデュースは順調なんですか?」

モバP「順調といえば順調ですよ、後は俺も出来る限り努力しますけど、本人たちも音を上げずに頑張れるかってとこが重要ですね」

ちひろ「……」

モバP「どうしました?」

ちひろ「いえ、プロデューサーさんにしては慎重だなって思いまして、普段なら『俺がトップアイドルに押し上げてやりますよ』くらい言いそうなのに」

モバP「勿論そのつもりでプロデュースしてますよ、ただ凛やまゆをプロデュースしたやり方だとちょっと合わないんじゃないかって思って、俺自身も模索してるところなんです」

ちひろ「……そういえばみくちゃんも幸子ちゃんもプロデューサーがスカウトしてきたにしては普通ですよね」

モバP「あの2人普通ですか? かなり個性的だと思いますが……」

ちひろ「ああ、いえ、普通っていうのはそういう意味ではなくて……とにかく、なんだか、こう……まゆちゃんや凛ちゃんとは違うじゃないですか」

モバP「違う……まあ、違うといえば俺がスカウトしてきたっていうのも違うんですけどね」

ちひろ「え? でも2人ともプロデューサーさんが連れてきたじゃないですか」

モバP「連れてきたのは俺ですよ、ただ厳密に言うと俺がスカウトしたわけじゃないんです」

ちひろ「……?」

モバP「……実はですね、みくは俺の親戚なんですよ」

ちひろ「ええ!?」

モバP「本人がアイドルやりたいっていうことで親戚周りから強く言われまして、まあそれならってことでうちの事務所に連れてきたんです」

ちひろ「そういえばみくちゃん、やけにプロデューサーさんと仲良くなるのが早いなって思ってましたけど……」

モバP「まあ、本人も公私混同はしないって言ってるんですが、それが守れているからはちょっとわかりませんね」

ちひろ「ちなみにこのことを社長は……?」

モバP「勿論知ってますよ、一応社長を交えての面接もしましたしね……だからみくは事務所の所属じゃなくて預かりっていう扱いなんです」

ちひろ「あー……そうだったんですか、じゃあ幸子ちゃんは?」

モバP「幸子は向こうの方から声かけてきたんです、『アイドル事務所のプロデューサーさんですよね?』って、どうも俺が凛に声をかけたのを見ていたみたいで」

ちひろ「それで……連れてきたんですか?」

モバP「いやあ、『ボクを今この場でスカウトしないと絶対後悔しますよ!』って自信満々に言ってくるものですから、とりあえず事務所に連れてきて社長と面接して正式に事務所に入ったんです」

ちひろ「そうだったんですか……私はてっきりプロデューサーさんの感性がまともになったものかと」

モバP「それは一体どういう意味なんでしょうか……?」

ちひろ「深く考える必要はありません、まあでもこれからはスカウトじゃなくてプロデュースの方に専念していく感じですか?」

モバP「そうしようかなって思ってたんですけどね……実はですね、ちひろさん」

ちひろ「な、なんですか、声をひそめて……」

モバP「見つけちゃったんですよ、新しいアイドル候補」

ちひろ「……プロデューサーさんが、ですか?」

モバP「もちろん、俺がです」

ちひろ「みくちゃんや幸子ちゃんの時みたいじゃなくて……」

モバP「俺が街中で声をかけたんです、凛やまゆの時みたいに」

ちひろ「……」

モバP「まだ名刺渡した段階なので、OK貰えるかはわかりませんけど、でもあの様子ならきっと連絡がくるはずですよ」

ちひろ「……」

モバP「楽しみです、あの娘は一目見てピンときましたから」

ちひろ「……ちょっとすみません、追加注文でこの獺祭ってやつを」

モバP「え!? このお店一番高いやつじゃないですか……」

ちひろ「これから胃を鍛えなきゃいけないので、いいお酒をたくさん飲みます、覚悟しておいて下さい」

モバP「か、勘弁してくださいよ……」

END

後日談

モバP「それじゃあ自己紹介してくれ」

智絵里「お、緒方……智絵理……です、あの、えと……全然わからないことばかりで……その……」

凛「……」

まゆ「……」

モバP「大丈夫だ、智絵里、みんな良い子ばかりだからな」

智絵里「は、はい……が、がんばります……よ、よろしくお願いします」

みく「こちらこそよろしくだにゃ! 智絵里ちゃん!」

幸子「そうですね、困ったことがあったら先輩であるこのボクに頼ってくれてもいいんですよ」

智絵里「あ、ありがとうございます!」

ちひろ(……よかった、引っ込み思案みたいだけど、比較的普通の子みたい……)

モバP「とりあえず今日は先輩の仕事の様子を見てみようか……今日だと……ちょっと待ってろ」

凛「この後、私のラジオが打ち合わせがラジオ局であるよ」

まゆ「午後からまゆの営業が入ってます」

モバP「お、サンキュー、せっかく新しい手帳買ったのはいいけど、あんまり使う機会無いな」

まゆ「……ところでプロデューサーさん……1つ聞きたいことがあるんですけどぉ」

モバP「なんだ?」

まゆ「智絵里ちゃんとやけに距離が近くないですかぁ? 肩が触れ合ってますよ」

モバP「ああ、これか? これはな……」

凛「……手をつないでいるのを隠してるんでしょ」

モバP「お、よくわかったな、智絵里が不安だっていうからさ、安心させてやるためにな」

凛「……」

まゆ「……」

ちひろ(……あれ? ちょっと空気が……)

みく「にゃはは、智恵理ちゃんは甘え坊さんにゃ」

モバP「おいおい、みくだって前に不安だっていうから手をつないで……」

みく「Pちゃん、シー!」

幸子「不安になる気持ちはわからないでもないですよ……まあボクは不安になった事なんかありませんけどね!」

智絵里「は、恥ずかしいです……」

モバP「ははは、まあこんな感じで恥ずかしがりやだけど、よろしく頼むよ」

まゆ「……プロデューサーさん、智絵里ちゃんの自己紹介も終わったし、もう手を離してもいいんじゃないですかぁ?」

モバP「ああ、そうだな」

智絵里「あ……離しちゃうん……ですか……?」

モバP「え?」

智絵里「離しちゃうん……ですか?」

モバP「えーと……」

凛「プロデューサー、車出して」

モバP「え、もう出るのか? ちょっと早くないか?」

凛「智絵里、プロデューサーの邪魔になるから手を離して」

智絵里「……でも……」

モバP「まあいいじゃないか、手を握って何か減るもんじゃないし」

智絵里「……プロデューサーさん……」

モバP「さあ、今日も元気に行くぞ、目指すはトップアイドルだからな!」

みく「わかったにゃ!」

幸子「当たり前ですね」

智絵里「はい……」

まゆ「……」

凛「……」

ちひろ(……さて、胃薬の在庫はあったかしら……)

END

某まとめブログで前作が「冒険・バトル」になってて超笑ったw

おうこの作者探してたんや

モバP「ありすー、俺のありすー」
モバP「凛、……あ、間違えた、まゆ~」まゆ「……」
モバP「新しいアイドルを連れてきたぞ!」

以外の作品って何かある?

あと逆セクハラは読んだ!

逆セクハラって、

モバP「え? これってセクハラだったんですか!?」

ってやつ?

おお、ありがとう
全部好きな奴だけど、同一作者だとは気づかなんだ

次も期待しています

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