小鳥「ええ!? お見合いですって!?」 (44)

小鳥母『あんたもいい年だから早くいい人見つけないといけないと思ってね』

小鳥「だからってそんな!?」

小鳥母『このままじゃあんた三十路になっても結婚できないよ!』

小鳥母『そんなの嫌でしょ?』

小鳥「確かにそうだけど…」

小鳥母『それじゃあね、頑張るんだよ』ガチャ

小鳥「ああ、ちょっと…!?」

ツーツーツー

小鳥「…はぁ」

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小鳥「いい人ね…」チラッ

春香「………」ゴゴゴゴゴゴ

美希「………」ドドドドドド

P「」

小鳥「あの中に混じることはできないわね、まだ死にたくないし」

小鳥「まあいいわ、横取りするのは良心的に傷つくし」

小鳥「ここはやるしかないわね」

レストラン

小鳥「もうすぐ来るはずだけど…」

小鳥「あ、あの人かな?」

桜庭薫「初めまして、桜庭薫です」

小鳥「音無小鳥です」

小鳥(なんかとてもカッコいい人だな~)

薫「飲み物は何にしますか?」

小鳥「え? じゃ、じゃあ紅茶で」

薫「すみません、紅茶とコーヒーを一つずつ」

http://i.imgur.com/4i6fpsG.png?1

小鳥「それで、桜庭さんは何をやっていたのですか?」

薫「前歴は外科医を担当していました」

小鳥「外科医!?」

小鳥(イケメンに外科医!? 元らしいけどそれでも及第点を余裕で超えたわ!)

薫「それで、音無さんは?」

小鳥「え? 私は事務所の事務員を行っておりまして」

薫「事務員ですか、大変ですね」

小鳥「それはもう!」

小鳥(礼儀正しくていい人だわ)

小鳥「それで、ご趣味は何ですか?」

薫「趣味…ですか、普段は詩を読んでいます」

小鳥「へえ、どんな詩ですか?」

薫「姉の書いた詩です」

小鳥「素敵ですね、お姉さんは今何を?」

薫「病で亡くなりました」

小鳥「」

薫「…」

小鳥「ご、ごめんなさい…」

薫「別にいい、気にしてはいない」

小鳥(いきなり重くしてどうするのよ! 私の馬鹿!)

薫「………」

小鳥(な、なんか機嫌が悪そうね… どうしたのかしら?)

小鳥「あの…、どうかしましたか?」

薫「…このお見合い自体が気に入らなくてね」

小鳥「え?」

薫「親から勧められたんだが…どうもやる気がおきない」

薫「そもそも僕は今こんなことをやる暇がないというのに…」

小鳥(何よ!? 私だって好きでやってるわけじゃないのに!?)

小鳥(来た人に対して失礼じゃないの!? …って人のこといえないか)

小鳥(とりあえずお互い気が進まないままお見合いをされたということね)

小鳥(でもこのまま何もしないで終わると何がしたかったのかわからなくなるわね)

小鳥(何とかしないと)

小鳥「あの、これから一緒に散歩でも行きませんか?」

薫「ええ、構いませんが」

小鳥「いい天気ですね~」

薫「ええ」

小鳥「ところで桜庭さんって普段どのようなことをやっているんですか?」

薫「大金稼ぎだ」

小鳥「お金稼ぎ?」

薫「先ほども申し上げたように僕は姉を亡くしてしまった」

薫「その原因はとても普通では直せない病だったんだ」

薫「だからその病を治すために医者を辞めて金を稼ぐことにしたんだ」

小鳥「いや医者続けてくださいよ!」

薫「医者を続けても膨大な金を稼ぐのに限度がある!」

薫「だからこうして別のことを行って稼いでいるんだ」

小鳥「そ、そんなに熱くならなくても…」

薫「…失礼、つい感情的になってしまった」

小鳥「いいんですよ、別に」

薫「…付き合ってくれて悪いがこのお見合いはなかったことにしていただきたい」

小鳥「え?」

薫「僕には身を削ってまでしても姉を失った病を無くさなければいけない」

薫「無くすまで僕は結婚もするつもりもない」

小鳥「そうですか…」

薫「自分のわがままに付き合ってくれてすまない」

小鳥「いえ、いいんです 応援しています、頑張ってください」

薫「礼を言う…」


小鳥「失敗しちゃった…」

小鳥母『相手の人もきっと大変だったんだろうね』

小鳥「ええ、彼の熱意は凄まじいものね… 私が入ったら水を差しちゃうかもしれないわ」

天道輝「なあ、桜庭 お前お見合いしたんだって?」

薫「ああ」

輝「どんな女性だったんだ? 教えろよ」

薫「お前に言う必要はないだろ」

輝「なんだよ~、付き合い悪いな~」

輝「もしかして照れ隠しとかか?」

薫「…ふん」

薫(二度と病で人を死なせないためにも)

薫(今は努力してなんとか金を稼ぐんだ)

薫(結婚活動など後からでも遅くないからな)

小鳥「前は失敗したけど今度こそうまくやってみせるわ!」

小鳥「化粧や着替えに時間がかかったからちょっと遅れたけど…」

小鳥「相手の人怒ってないかな?」

小鳥「…って相手の人どこ?」キョロキョロ

渡辺みのり「こっちですよ!」

小鳥「え?」

みのり「こっちこっち」

小鳥「え! あの人!?」

小鳥(女性みたいな見た目だけど確かに男物のスーツを着てるわね)

http://i.imgur.com/3rwLtf0.jpg

小鳥「え!? 31歳!? どうみても20代にしかみえませんよ!」

小鳥「いったいどんなケアをしたらそこまで若く見えるんですか?」

みのり「ハンドクリームを塗るだけでいいんですよ」

みのり「あ、でもハンドクリームにも質の悪いものがあるからそこのところを注意しないといけません」

小鳥「どんなクリームを使っているのですか?」

みのり「これです、よかったら使ってみますか?」

小鳥「はい!」ヌリヌリ

小鳥「へぇ~、こういうのもあったなんて知らなかったな~」

みのり「よければどうぞ、まだ他にもあるので」

小鳥「ありがとうございます!」

みのり「あとこの花をどうぞ」スゥ…

小鳥「薔薇の花ですか?」

みのり「花にはそれぞれ言葉があるのはご存知ですね」

小鳥「ええ」

みのり「例えば今渡した薔薇は愛、温かい心です」

小鳥「まあ!」

みのり「ちょっとキザっぽかったかな?」

小鳥「そんなことありません、素敵です!」

みのり「そうか、よかった」

みのり「俺も選んだ甲斐があったな」ハハハ

小鳥(いける…、これなら間違いなくうまくいく!)

小鳥「ちょっと散歩でもしましょうか」

みのり「はい」

小鳥「それでどうしてお見合いに?」

みのり「俺、もう30越えているので早く結婚しないといけないと思ったんです」

みのり「おじさんもきっとそう望んでいることでしょう」

小鳥「そうですか」

???「探したぜ、みのりちゃん」

二人「!?」

ヤンキー1「デートとはお暑い所を見せ付けちゃってくれてるな」

みのり「お前たち…どうして!?」

ヤンキー2「出所したんだよ、泥水をすする思いで辛い作業を繰り返して」

ヤンキー3「やっとのことで出してもらえたんだ」

ヤンキー4「貴様に復讐するためにな!」

みのり「………音無さん、どこか安全なところに批難してください」

小鳥「え!? でも…」

みのり「早く!」

小鳥「は、はい!」

ヤンキー1「なんだ? 女を逃がし一人で挑むなんて…ヒーロー気取りか?」

ヤンキー2「痛い痛い、王子様かなんかか?」

ヤンキー3「今すぐおじさんのところに逝かせてやるよ!」

みのり「………」

ヤンキー1「なんかしゃべろやァ!」

みのり「…!」ギロッ

グォチョ! バキッ!

ググググッ グチャリ

ズン! ボゴォォ! ズブウウウウ

ピキ…ピキキ…ベキッ!

ギャアアアアアアアアアアアア!

小鳥「大丈夫かしら…みのりさん」

みのり「音無さん」

小鳥「みのりさん!」

みのり「もう大丈夫ですよ」ポタ…ポタ…

小鳥「」

みのり「どうかしましたか?」ポタ…ポタ…

小鳥「あの後振っちゃったけど悪いことしちゃったな…」

小鳥「傷ついてないかな…みのりさん」

小鳥『守ってくれたのに振るなんてひどすぎない?』

小鳥「ええ、私ももちろんそう思ってる」

小鳥「でも、正直怖かった…」



みのり「はあ…」

ピエール「どうしたの? みのり?」

みのり「いや…、前にお見合いしたんだけどね」

ピエール「うん」

みのり「彼女を守るつもりが逆に怖がらせてしまったんだ」

みのり「情けないよ…ホント」

ピエール「元気出して、みのり! ボク、応援する!」

ピエール「大丈夫 次はきっとうまくいく」

みのり「ありがとう、ピエール」

小鳥「…んん、ムニャ?」

小鳥「うわぁ! 遅刻だ、まずい!」

小鳥「急がないと、また待たせちゃう!」

小鳥「早くしないと!」

小鳥「ええっと…、かばんどっちだっけ?」

小鳥「ああ、まずい! 時間がない!」

信玄誠司「…」

小鳥「ごめんなさい、本当にごめんなさい!」

小鳥「ただ…その…寝坊してしまって…」

誠司「別にいいさ、誰だってそういうことはある」

小鳥「すみません…」

誠司「ほら、謝る必要はないから」

誠司「もうすんだ事なので、何か食べませんか?」

小鳥「あ、はい それじゃあ…」

http://i.imgur.com/qmSm1hx.jpg

小鳥「元自衛隊?」

誠司「ええ、ちょっと事情があってやむを得ずに辞めることになりましたけど」

小鳥「そうですか」

誠司「………」

小鳥「………」

誠司「………」

小鳥「………」

誠司「………………」

小鳥「………………」

誠司「………………………」

小鳥「………………………」

小鳥「あの…、何か話しませんか?」

誠司「すみません…、女性と話す機会がほぼなかったものでどういえばいいのかわからなくて…」

誠司「今回のお見舞いも本当はやる気が起きなかったんですが…」

誠司「姪にいろいろ言われて…」

誠司「幼い姪に舐められたら大人としての威厳が欠けると思ったので」

誠司「こういうことになったんです」

小鳥「大変ですね」

誠司「なんとかしないと自分でもわかっているのですが…」

誠司「………………………」

小鳥(ああ…、また黙ってる…)

小鳥「そうだ! 実は私、手土産を持ってきたんです!」

誠司「え? 手土産?」

小鳥「お互いの仲を深めるなら贈り物を渡す、これは基本ですよ!」

小鳥(今までそうしておけばよかった!)

小鳥「待っててください、今出しますので」ガサゴソ

誠司「お気遣いありがとうございます」

誠司「音無さんはやさしいのですね」

小鳥「そんな、優しいだなんて///」

小鳥「あ、あった これです」

http://i.imgur.com/y57SYVw.jpg

誠司「」

小鳥「」

小鳥(持ってくるかばんを間違えた…)

小鳥「姪に悪影響を与えさせたくないという理由で数十分でお見合い終了」

小鳥「私…ダメだなぁ…」


木村龍「誠司さん、お見合い失敗したんですって?」

誠司「ああ、まあな」

握野英雄「やっぱ女慣れを克服してなかったのが原因か?」

誠司「いや、それ以前の問題だ 俺は女性について完全に誤解していた」

誠司「アイドル活動を続けて女性というのはどういうものかを知る必要があるな」

誠司(とりあえず女性はああいうものが好きだということはわかった)

誠司(姪を別れる言い訳に使ったがああいうのを知れば女性の気持ちがわかるかもしれないな)

誠司(今度読んで見るか)

ザアアアアアアアアアアア

小鳥「結局全滅か… 情けないな…」

小鳥「プロデューサーさんのほうも激闘の末美希ちゃんが勝ったらしいし」

小鳥「もうだめ…マジ無理詰んだ」ピヨォ…

???「あの…」

小鳥「?」

ピエール「お姉さん ビショビショ、風邪引く」

小鳥「え?」

ピエール「この傘とタオル、あげる」

小鳥「でも…」

ピエール「ささやかな気持ち 受け取って」

小鳥「…それじゃあお言葉に甘えて ありがとう」ニコッ

ピエール「お姉さん、笑顔、とても似合う!」

ピエール「笑ってくれて ボク、とても嬉しい!」

小鳥「私もよ」

ピエール「それじゃあ、さようなら!」

http://i.imgur.com/jFk4WS3.png

小鳥「…そうね、ここでへこたれても仕方ないわよね」

小鳥「よし、明日からまた頑張るぞ!」

小鳥(それにしてもあの子、可愛かったな…)


数年後、小鳥さんは本物のお姫様になりましたとさ

美希はPのお姫様になりましたとさ

春香は千早の王子様になりましたとさ

冬馬は掘られましたとさ

おしまい

なぜ冬馬を犠牲にした!言え!

>>37
A.冬馬だからさ

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