荒木比奈「昼ご飯」兵藤レナ「を賭けた勝負」 (83)

比奈「えっ? いやいや普通に食べまスよ」

レナ「ちょっとしたお遊びよ?」

比奈「それに食事代全部出せる程お金持ちでもないでスよ」

レナ「全部なんて、そりゃ無茶よ。そうね……デザートひとつ、それくらいなら?」

比奈「うーん……まぁ、それぐらいなら負けても大丈夫でス」

レナ「じゃあ皆呼んでくるわね」

比奈「はいはい……えっ?」




・・

・・・

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レナ「というわけで事務所に居た皆で集まったわ」

比奈「いやいやいやいや、これ何人居るんでスか」

レナ「二十人よ」

瑞樹「人が多いほど食事は楽しいものよ?」

心「そうそう☆ ファミレスの安い食事でも腹一杯だぞ☆」

美優「ちょうどお昼を用意していなかったので……」

早苗「ついでに甘味がタダになると聞いて」

友紀「ビールも?」

楓「お酒も?」

比奈「後半聞いてないっス」

レナ「私も言った覚えはないわね」

真奈美「しかし大所帯だな」

千秋「大勢で押しかけると店に迷惑よ?」

千夏「じゃあお店、予約しましょうか」

時子「暇人が多いわね」

亜季「まぁまぁ、時子殿もお昼の予定はないのでしょう?」

あい「話は聞いたが、我々は構わないもののこの子達はどうする?」

比奈「どういう事スか?」

薫「みんなとお昼ご飯!」

智絵里「あの……わたしも一緒に行っていいんですか?」

みりあ「デザート!」

雪美「……甘いの」

ありす「食事が出来ればどこでも、構いません」

唯「ゆいも負けたらお金出すの?」

レナ「さすがに未成年と子供には……」

比奈「ところで何をやるんでスか?」

レナ「そうそう、言ってなかったわね、ルールはとても簡単よ?」

レナ「使うものはトランプ」

薫「かおる知ってるよ! 七並べとか!」

ありす「この大人数で、賭けとして連想されるものはポーカーですが」

美優「あの……私、あまり複雑なルールは……」

レナ「大丈夫、運試しに近いものもあるから」

楓「運試し……うーん、試しにやって……違う」

友紀「ん、今日は不調だね? お酒足りてない?」

瑞樹「昼間から事務所で飲酒は止めなさい」

早苗「そうよ、ご飯の時にしなさい」

心「飯時でも止めろ☆」

レナ「ダウト、知ってる?」

千秋「聞いた事はあるわね」

真奈美「順番にカードを出すだけのシンプルなものか」

時子「この人数でやるつもり? 時間が掛かってしょうがないわよ」

みりあ「嘘つきのゲーム?」

智絵里「難しそうです……」

あい「勿論変更している点はあるのだろう?」

――スチャッ

比奈「説明するより解説しながら勝負……って」

千夏「確かにその方が飲み込みは早いと思うけど」

唯「ちなったん、持ってるカード三枚だけ? あれ、皆も?」

レナ「そう、とても短期決戦できそうでしょ?」

時子「アンタこれちゃんと配ったんでしょうね?」

レナ「イカサマなんてしないわよ、それじゃあさっき説明した通りに。一番手はひとまず私」

――タンッ

レナ「……場に裏向きでカードを出す、最初だから一……つまりエースを出したわ」

心「本当かー? 三枚しか手札が無いのに都合よくエース持ってたとか怪しいぞ☆」

早苗「嘘つきは泥棒の始まりー」

楓「そしてこれが嘘だと思ったら……ダウトと言う?」

レナ「そう、誰も言わないなら次の人の順番」

雪美「二……これ」

――タンッ

千秋「これでいいのよね?」

比奈「子供と未成年組は、誰かとペアって事で、千秋さんは雪美ちゃんとでスね」

みりあ「私は美優さんと!」

智絵里「わたしは楓さんと……」

あい「ま、楽しく遊ぶという事でな……勝とうが負けようがデザートには有りつけるよ」

薫「かおる頑張る! あいお姉ちゃんの為に!」

レナ「三番目、出すのは三よ?」

心「はぁとの順番☆ ほい正直者の三!」

――タンッ

友紀「三枚しかないカードが既に二枚になってる!」

亜季「……このままでは順番が最後の私は問答無用で負けますが?」

ありす「ではダウトを宣言しますか?」

亜季「むむ……いや、人を疑うのは……」

瑞樹「そういう遊びよ」

真奈美「見事嘘を看破すれば、場に出ている三枚は彼女の元へ戻る」

心「やーん☆ でもでも正直者のはぁとにダウトっつったら失敗すんぞ☆」

唯「ダウトって言ったらどうなるの?」

千夏「出したカードを表に向けて、真偽を確かめるのよ。その結果、嘘じゃなかったら言った人が代わりにカード回収」

唯「うぇー、じゃあゆい達ピンチになるじゃん」

早苗「けど言ってナンボじゃない?」

レナ「その通りよ、もっと気楽に。それに、言って得することもあるのよ?」

時子「相手にカードを渡すだけじゃないの?」

レナ「ええ、手札から一枚カードを捨てていいわ」

比奈「手札が三枚なのに捨てる事が出来るんでスか」

レナ「面白いでしょう? だからね、とにかく楽しくやりましょ?」

智絵里「でも……負けたら……」

楓「大丈夫、智絵里ちゃんや皆のお食事になら惜しくないもの」

友紀「子供のうちにオゴって貰ったらいいってー」

薫「うーん……」

あい「どうしたのかな?」

薫「かおるとあいお姉ちゃんの番だけど……」

レナ「次は四ね、でも手札は三枚だけだから持ってない事もあるでしょ? そんな時はパスしてもいいのよ」

時子「パス? ダウトにパスは無かったはずだけど」

レナ「このルールだとアリよ。で、どうする?」

あい「出してもいいさ、薫にダウトなんて言う人はいないよ」

千夏「そういうゲームじゃないでしょう」

薫「んー、じゃあ出す!」

――タンッ

亜季「……誰も動かないのでありますか?」

瑞樹「じゃあ言う? 亜季ちゃんが」

亜季「いやいや順番でも不利なのに数でも不利には……」

レナ「なら、私がルール説明も兼ねて……ダウト」

あい「おっと? では……これを表に向けて」

薫「かおるが出したのは……」

――4

レナ「あら、本当だったの?」

薫「かおる嘘つかないもん!」

美優「ではこの四枚はレナさんの所へ……」

レナ「そうね、これで手札は六枚……少し不利ね」

雪美「少し……?」

みりあ「私達は見れないの?」

レナ「ええ、私の手札になるからね? ……変ねぇ? 一、二、三、四と手札が来るはずなのに、別のカードがあるわよ?」

千秋「もう誰かが嘘を突き通したの?」

レナ「そうみたい。ま、私は一目瞭然なんだけどね……?」


兵藤レナ
『A・2・4・4・4・8』

瑞樹「次は私とありすちゃんね」

ありす「橘です……ところで、この場合次に出す数字は?」

レナ「そのまま番号が進んで、次は五よ」

あい「数字は変わるのか?」

瑞樹「良かったわね、なら出せるじゃない」

ありす「……あの、それを言うと私達が四を持っていない事が」

瑞樹「あっ」

真奈美「次は私か、六だな……よし、出そうか」

――タンッ

時子「ダウト」

ありす「ダウトで」

真奈美「……ほう? 二人が言ったが、この場合は?」

比奈「先に言った方でいいんじゃないでスか、時子さんが権利と責任持ちましょう」

時子「……その言い方は癪ね。ま、いいわ、開けるわよ」

――10

ありす「やはり」

友紀「おっ、なんで分かったの?」

早苗「出す時一瞬間があったからじゃない?」

真奈美「フフッ、これは手強いな」

レナ「では手札を一枚捨てて、何にする?」

時子「そうね……これを一枚、で、次は――」

友紀「じゃあ次あたしが七!」

――タンッ

早苗「続いて八!」

――タンッ

亜季「行け行けでありますな」

早苗「出せる時に出さなきゃね? 三枚しか手札ないし」

友紀「そこに四枚と六枚の人もいるけどね」

楓「次は……時子ちゃんです」

時子「誰が時子ちゃんよ。私はパスよ」

心「おっ、さんざんパスは無いとか言ってて出さないのか☆」

美優「えっと……次は私達?」

みりあ「九ならあるよ!」

美優「パスだと数字は変わらない? なら、それで」

みりあ「うん!」

――タンッ

唯「次は私達! 十は出す? それとも」

千夏「出さない、パス」

比奈「アタシも出さないっス」

智絵里「わたし達は……」

楓「ここに来て止まっちゃったわね、でも私達も出さない」

亜季「ふふふ、ようやく順番が回って来ました! それでは私がここで十を出しますとも!」

――タンッ

時子「ダウト、開けなさい」

亜季「なっ」

瑞樹「あら大胆、結構場に溜まってるわよ?」

時子「ちゃんと見抜けばいいんでしょ」

亜季「はははは、開けてもいいんですか? 後悔しませんか?」

千秋「開けるわよ」

――9

時子「ほら見なさい」

亜季「なぜ見抜かれたのでありますか……」

レナ「よかった、これで私とカードの枚数が同じ人が出たわね」

雪美「二人……すごい、いっぱい……」

時子「カード捨てていいのよね? 一足先に残り一枚よ」

レナ「あら、早いわね……でも順番の関係上私のが先、負けには遠い。次はジャック……十一ね?」

――タンッ

千夏「ダウトで」

時子「ダウトよ、開けなさい」

比奈「あー、じゃあもう関係ないでスけどアタシもダウトで」

千秋「出遅れたけどダウトよ」

レナ「ちょっとちょっと……」

――4

唯「ちなったんすごーい!」

レナ「もう、手札が多いんだから見逃してくれてもいいじゃない」

千夏「一枚捨てられるのは魅力的だわ」

あい「それに、それだけ強敵と認識しているわけだよ」

友紀「四番が嘘ついちゃダメだねー」

雪美「私は……」

千秋「パスしておきましょう」

心「次はクイーン? はぁと女王だけど出さない☆ ってか持ってねぇ☆」

薫「パス!」

ありす「同じく」

比奈「消極的になったっスね」

真奈美「勝つのではなく負けなければいいからな。クイーンは持っている、出そう」

――タンッ

友紀「おっ! 真奈美ちゃんやるー! じゃああたしキング持ってるから出せるー! あと一枚ー!」

――タンッ

亜季「次はエースからでありますか?」

レナ「一周したからそうね」

早苗「エースかぁ、惜しいけど持ってないわね」

時子「パスよ」

みりあ「美優さん! 出せるよ!」

美優「そうね、これであと一枚……!」

――タンッ

唯「早ーい。 あっ、でもでもちなったん二が出せるよ」

千夏「言われなくても出すわよ、これで私達も残り一枚。お次どうぞ」

――タンッ

比奈「三は持ってねーっスよ……どーしたもんでスかね、一枚も出せてない……」

楓「じゃあ持っている私達が出しましょう?」

智絵里「えっと……三、です……」

――タンッ

亜季「では私が続けて四を! 早くこの手札を処理しなければ」

――タンッ

レナ「……ダウト!」

亜季「…………あの、レナ殿」

ありす「場には今出したものも含めて六枚……」

瑞樹「で、亜季ちゃんは手札が五枚」

友紀「おっ! 凄い事になってる!」

早苗「これはどっちに転んでも大勝負ね……」

亜季「その宣言……失敗するとレナ殿の手札が十二枚になりますが?」

レナ「成功すればそっちがほぼその枚数よ」

亜季「後悔しませんか?」

レナ「賭けるわ」

楓「じゃあ開けますね?」

――クルッ

――9

亜季「ま、まずいのであります」

心「その枚数で嘘ついたお前もヤバいぞ☆」

比奈「……最下位、決まったようなものじゃないでスか」

時子「無様ね」

レナ「ま、諦めないでね。それだけいっぱい持ってたら出せるカードも多いはずよ」

千夏「ついでに誰が嘘言ってたかも分かって面白いじゃない」

亜季「……十一枚。それに皆様は正直者が多いと分かりました」

真奈美「という事は、クイーンから三までの連番をそのまま所持しているという事か」

ありす「手持ちが分かれば嘘も見抜きやすくなります」

亜季「むむむ……」

レナ「じゃあ再開――」

亜季「いや、ちょっと……余りにもカードが多いゆえ、少ーしだけ特例を頂きたいのですが」

レナ「?」

早苗「真剣勝負よ、慈悲はない」

楓「この後デザートを自費で……ふふっ」

亜季「手持ちの札も見抜かれていて……現在の番号は五、これは恐らく……間に合いませぬ」

亜季「だから次の数字を……変えて貰っても構いませんか!」

あい「……それは直接次の順番である彼女に聞こう」

レナ「ちょうど私ね……ふーん」


兵藤レナ
『A・2・4・4・4・8』


レナ「……そうだ、忘れるところだったわ、一枚カードを捨てる」

レナ(ほとんど番号は通り過ぎた後……何の数字に変えるかはわからないけど、恐らくクイーンより前のはず)

レナ(なら私は別に構わない、あとは他の人次第)

レナ(NEXT) :A・2・4・4・4
千秋・雪美 :■■
心 :■■
あい・薫 :■■
瑞樹・ありす :■■
真奈美 :■■■
友紀 :■
早苗 :■■
時子 :■
美優・みりあ :■
千夏・唯 :■
比奈 :■■■
楓・智絵里 :■■
亜季 :■■■■■■■■■■■

レナ「……まぁ、あまりに可哀想だし、いいわよ」

亜季「感謝します!」

千夏「でも数字を変えたところで関係あるの?」

ありす「逆です、あまり関係ないからこそ交渉を受けたという可能性も」

比奈「いやぁ分かりませんよ、流れは間違いなく変わりまスから」

レナ「それで、何番から?」

時子「せっかくの権利なんだから、頭使って考えなさいよ」

亜季「…………十で!!」

レナ「十……ならパスよ」

雪美「……十、出す」

――タンッ

時子「ダウト」

雪美「……!」

――K

早苗「容赦ないわね」

時子「出す方が悪いのよ」

雪美「…………ごめんなさい」

千秋「いいのよ、それにしても十が好きね?」

時子「気のせいよ……ところで、コレで私は終わり?」

レナ「不満そうね? 確かにカードを一枚も出さずに終わりっていうのは……」

時子「私は構わないわよ、別にコレで和了りにならなくても」

真奈美「余裕だな?」

時子「負ける気がしないもの、ハンデよハンデ、この一枚は自力で捨ててみせるわ」

レナ「……そう言うなら、そうさせて貰うわ」

心「よっし次はジャック☆ これでラスイチだぞ☆」

あい「私達は持っていない、パスだ」

瑞樹「同じく」

真奈美「14×3では42枚しか使用されていない、という事は足りないカードもあるだろう……パスだ」

友紀「あと一枚しか無いから出せない! パス!」

早苗「二枚あっても出せないわよ? 同じく」

時子「三枚でも出せないのよ、パスよ」

みりあ「うーん……」

美優「パス、しておきましょうか」

みりあ「じゃあパスで!」

唯「むー、ジャックなら出せたのにねー? 嘘かもしれないけどねー?」

千夏「そうね、でも今はクイーンよ、パスで」

比奈「……絶妙に出せないっス、パス」

楓「あらあら、全員パス? もちろん私達も」

亜季「ほうほう、ならば先程大量に頂いたクイーンから三までのカードが活きます! これがクイーンです!!」

――タンッ

瑞樹「番号変更がジャスト采配ね」

友紀「よっ! 名将!」

亜季「あと十枚ほど残っておりますが」

レナ「それでも全員が硬直している間に出し続ければ枚数は減るのよ、私は……キングは持ってない、パス」

雪美「今度こそ……これ、キング」

――タンッ

千秋「私達もあと一枚よ」

心「次はエースか☆ 持ってねぇわ☆」

薫「じゃあかおるが出すー! これがエース!」

――タンッ

あい「我々もあと一枚だ」


――パス三名

早苗「よっし! 二は出せるわよ! これであたしもあと一枚!」

――パス五名

亜季「三を持っているのは皆ご存知でしょう! 私も出します!」

レナ「あら残念……じゃあ四を出しましょう」

――パス四名

真奈美「五か、出そう。出しても、私の手札は少々多い二枚か」

友紀「パース」

早苗「へいパース」

時子「……パスよ」

比奈「次は六でスけど、そもそも誰もダウトに行かないっスね」

亜季「それは、比奈殿もこんな手札になりたくないでしょう」

千秋「でもこのままだと本当に膠着状態……誰も和了らない」

――タンッ

みりあ「……六!」

美優「やったわね、これで全部使い切った!」

レナ「あら、一抜け?」

千夏「……じゃあ私も七、これで和了りよ」

真奈美「連続か、いい流れだ」

唯「えっ……あっ」

比奈「流れがあるのに出せないっス……」

美優「じゃあ私達、先にお店の方に」

みりあ「待ってるよー!」

千夏「お先にね」

唯「…………」

唯(最後、七って言ったけど……七なんてあったっけ?)

千夏「何してるの? 行くわよ?」

唯「うーん……見間違いかなっ」

智絵里「やった……出せますっ」

――タンッ

楓「八ね、そしてあと一枚……」

亜季「無論! 手札が九枚もあれば出せますとも! 九です! これは本当です!」

――タンッ

時子「そりゃそうでしょ、アンタ一回九出したじゃない」

早苗「覚えとかないと不利よー?」

友紀「うへぇ、全然覚えてない……」

レナ「次は私ね」

真奈美「手札は四枚、まだ一枚も見えてない十が一枚くらいあるのではないか?」

レナ「そうね……どっちだと思う?」

楓「持ってない」

レナ「正解、パスよ」

雪美「出せない……」

千秋「私たちも」

心「女は度胸だぞ☆ はぁとは嘘つかないから出さねぇけど☆」

薫「かおるも!」

瑞樹「じゃあ私達はどうする?」

ありす「十は……時子さんが毎回ダウトと言っています」

時子「あら、そうだったかしら」

早苗「それはあたしも思ってたなー、一枚も普通に捨ててないし、カード被ってんじゃない?」

ありす「とにかく、出しません。恐らくダウトと言われます」

瑞樹「そう、ならパスね」

時子「面白くないわね、もっと挑戦しなさいよ」

比奈「そうは言いましても、もう場に十枚以上出てまスから……」

友紀「ここで失敗すると亜季ちゃんみたいになるもん」

亜季「友紀殿も、手札が一枚では淋しいでしょう、増やしませんか」

友紀「嫌だよ! 負けたくないもん!」

真奈美「では、次の順番は私だな……出そう、十だ」

――タンッ

時子「……!」

ありす「なっ……」

亜季「ほう、さすが真奈美殿! それで、どうですか? 嘘か真か!」

あい「まだダウトと言ってないだろう」

千秋「といっても……他の人は誰も言わないでしょう?」

真奈美「どうだ、勝負しないか? これで私もあと一枚だ」

早苗「やるわね……」

時子「…………」

時子「……言わない、スルーよ」

真奈美「そうか、それもアリだ」

比奈「これ、嘘で十を通してたら大したものでスよ……」

レナ「でも、そういうゲームよ。いかに嘘を通すか、そして勝ち抜けるか!」

心「なかなか面白いぞ☆」

友紀「面白い、面白いけど……次はJ? なら、持ってないし安全圏だからパスで」

早苗「あたしも、この流れに乗りたいけど勝負タイミングは今じゃないはず」

時子「もちろん私もパス」

比奈「Jでスね!? Jでいいんでスね! ようやく一枚出せまス!」

――タンッ

比奈「これは本当っスよ?」

智絵里「クイーンは……無い」

楓「最後の一枚は仕方ないわね?」

亜季「クイーンは持っています! 出します!」

時子「あら、あなたさっきもクイーン出さなかった?」

真奈美「……だな、二枚も持っていたのか?」

亜季「むっ……」

早苗「おっ、嘘? お姉さんダウトって言っちゃうぞ?」

亜季「……いや、確かにクイーンは持っています、持っていますが……先に通した方が嘘だったかもしれませんが?」

薫「もう嘘ついてたの!? 全然分からなかった!」

あい「なるほど、ならば真偽は分からないな」

亜季「それでもダウトと言いますか!」

早苗「いや……冗談よ、止めとく」

亜季「賢明です!」

――タンッ



亜季(……危なかったであります、Qなど持っておりません)


大和亜季
『A・2・7・8・9・J・K』



・・

・・・


時子「パスよ」

レナ「九人連続でパス……キングは誰も持っていないのね」

比奈「ちょっと待った! 次はアタシっス! 出せまス!」

――タンッ

亜季「おぅ……」

心「残念そうな顔すんなって☆」

智絵里「エースも……無いです」

亜季「いやしかし、エースも持っています……出しますとも」

――タンッ

瑞樹「確かダウトで回収したカードにエースは混ざってたわね」

ありす「本物かは分かりませんが、エースの順番は混ざっていました、ここでダウトは軽率です」

亜季「どうして私の時だけ皆さん冷静に検討を重ねるのでありますか」

レナ「それだけ読みやすいのと、情報が多いからよ。で、私も久々にカードを出せる、二よ」

――タンッ

雪美「二は……私が出した……」

千秋「そうね、私達が出した二を回収してるはずだから、持ってるわね」

友紀「んー、なるほどそう覚えておくのかー……」

千秋「三は持ってないわ、パスよ」

心「はぁとも無いぞ☆ いつ出せるんだこの最後の一枚☆」

早苗「さぁねー、パスが続いて誰かと被らなければ自然と出せるわよ」

友紀「そうそう、頭使わなくてもそのうち勝てるってー」

真奈美「気楽だな……」

――タンッ!

薫「三! 三なら出せるよ!」

あい「おめでとう薫、私達が三位だ」

智絵里「わぁ、おめでとう!」

友紀「えっ? あちゃー……」

早苗「……えっ?」



瑞樹「先を越されちゃったわね、見届ける?」

あい「いや、私も先行組に合流するよ。修羅場の見学になるかもしれないからね」

薫「……?」

比奈「と、とにかくどうぞ、後から向かいまスから」

あい「では遠慮せずに、行こうか薫」

薫「うん!」

瑞樹「……で、私達の番だけど?」

ありす「四は持ってませんね、パスです……しかし……」



ありす(今の……)

時子(……顔に出過ぎよ)

レナ(なんだか不穏な動きだったみたいね?)



早苗(……まだ余裕はあるけど、次も数字を先に出されると……まずいわ)


片桐早苗
『3』

レナ :A・4・4
千秋・雪美 :■
心 :■
あい・薫 :
瑞樹・ありす :■■
真奈美(NEXT) :■
友紀 :■
早苗 :3
時子 :■
美優・みりあ :
千夏・唯 :
比奈 :■
楓・智絵里 :■
亜季 :2・7・8・9・J・K

真奈美「四か……出しても構わないが」

時子「出したらダウトよ」

真奈美「では止めておこう、パスだ」

友紀「パスで!」

早苗「あたしも!」

時子「……パス」

比奈「おお、早い早い……ま、アタシもパスで」

智絵里「出せない……」

亜季「四はちょっと……」

レナ「じゃあ私が四を出すわ、やっと追いついてきたわ」

――タンッ

千秋「……誰も言わない?」

楓「全員がスルーしてからの手出しなら……言う人は居ないでしょう」

雪美「じゃあ……パスで」

心「パース☆」

ありす「同じく……」



瑞樹(……やっと出せるわね、次)

ありす(ですが、他に出されてしまうと一転してピンチです)

瑞樹(う……で、でも皆膠着状態よ?)

ありす(順番が回ってくるまではなんとも……)


川島瑞樹・橘ありす
『6・7』

真奈美「五か、和了りだ」

――タンッ

比奈「うわー……皆早いっスよ」

早苗「そーだそーだ、あたしだって勝ちたい」

レナ「こればかりは運と度胸で勝負よ」

時子「手札だけは優秀なんだから」

真奈美「そう思うかな? では失礼する」

瑞樹(……次、六と七がそのまま一巡すれば)

ありす(かなり望み薄ですが)



時子(……イカサマされた訳じゃないわよね)


財前時子
『10』

レナ「……楓さん、智絵里ちゃん」

楓「えっ? 何かしら?」

レナ「順番です、皆パスしましたよ」

智絵里「あ、すいません……番号は?」

比奈「変わらず六でス」

智絵里「じゃあ、パスです」

千秋「……で、次は?」

亜季「はい! 出します! 六ですね?」

――タンッ

ありす「!」

瑞樹「あっ」

亜季(……無理です、これ以上後手は無理であります!)

ありす「…………六、ですか?」

亜季「ええ、六です」

亜季(本当は九であります)

瑞樹「六……? 六……」

ありす(場に一度六と宣言したカードが出されて……確か美優さんとみりあさん)

ありす(では……本物でしょう)

瑞樹(で、こっちの手元に一枚……二枚だけね?)

ありす(なら、持っていてもおかしくはない……?)

亜季「……いやぁ、最初から持っていましたが、一度も出す機会が無かったのであります」

早苗「んー……そういえば、六の順番の時に亜季ちゃんはカードを出す機会が無かったわね」

亜季「でしょう!」

瑞樹(……本物っぽい?)

ありす(ですね……)

レナ「じゃあ私、パスするけどいいかしら?」

亜季「どうぞどうぞ」

亜季(セーフ!)

千秋「私達は続いてパスよ」

心「以下同文☆」

瑞樹「じゃあ私達は出しましょう、七よ」

――タンッ

ありす「これでラスト一枚……」

ありす(さっきダウト宣言していて、成功していたら……いや、どの道成功なら負けはないです、考えないでおきましょう)

時子「ずいぶんパスが続いたわね? もしかして、誰かが出したカードを持っているんじゃない?」

雪美「そうなの……? 出しちゃった……?」

友紀「あたしには関係なーい、パース!」

早苗「あたしもよ、パスで」

レナ :A・4
千秋・雪美 :■
心 :■
あい・薫 :
瑞樹・ありす :6
真奈美 :
友紀 :■
早苗 :3
時子 :10
美優・みりあ :
千夏・唯 :
比奈 :■
楓・智絵里 :■
亜季 :2・7・8・J・K

亜季「……結局、私の順番です。 それでは八を出します」

――タンッ

ありす(……今度はあっさり)

時子(さっきは嘘だったかしら、見誤ったわ)

レナ「なんだかんだで、枚数も随分減ったわね? 追いつかれそうだけど……パスよ」

雪美「私も……パス……」

心「お? パス? パスか?」

千秋「ええ、そうだけど」

心「念願の九! はぁと五位抜け!」

――タンッ

心「嘘じゃねーぞ☆ はぁと嘘つかない☆」

レナ「そう? じゃあ私が最初にダウトされて贈られたカードの中に三が無かったのは何故かしら?」

心「やぁんバレた☆」

早苗「ちゃっかりしてるわね……というか初手から嘘ついてたの……」

亜季「なぜ私だけこのような目に」

智絵里「いっぱい……」

雪美「手札……」

友紀「不公平だー、嘘つきが勝つなんて卑怯だー」

心「真面目にゲームに取り組んだのに視線が痛いぞ☆」

時子「積極的に潰しにいかないから手札が溜まるのよ、私を見なさい、出さずに残り一枚よ?」

心「出さずにっていうか、出さない気だろ☆」

千秋「出さない?」

時子「失礼ね、私はしっかり勝つ気よ」

心「そういう意味じゃなくて……あー、別にいいわ、どうせ次出して終わりだろ☆」

ありす「次……? 次は十ですが、それまでに出す人が居るかもしれませんよ」

早苗「十、確かに時子ちゃんは毎回ダウトって言ってたけどね、最初に二枚持ってたから積極的にダウトって言った?」

時子「……ええ、これは十よ、だから次で私は勝つ」

友紀「言っちゃった? あたしが十を出すかもしれないよ」

時子「出せるものなら出しなさい」

ありす「私はパスで」

友紀「出せるものならって……まぁ無理だよねー、パス」

早苗「ここで無茶は……パス」

時子「見なさい、所詮こんなものよ」

――タンッ

時子「十よ、これでおしまい」

楓「誰も阻止しない?」

亜季「無理であります、こんな枚数はさすがに……」

時子「終わったから言うけど、アンタこれちゃんと配ったんでしょうね?」

レナ「ええ、故意に操作はしていないわよ」

時子「最初の私の三枚、全部同じカードだったんだけど」

比奈「え? それはまた……難儀な手札でしたね」

雪美「でも……勝ってる」

時子「消極的だとそれだけで不利よ」

心「哲学的☆」

亜季「積極的に挑んだ結果がコレでありますが」

時子「それは下手なだけでしょ」

比奈「あと八人でスか……まだアタシはパスで」

智絵里「一緒……です」

雪美「次は……J……」

亜季「お二人はパスですか、では私が出します!」

――タンッ

千秋「あら。ようやく最初の手札枚数に戻ったわね」

亜季「長かったであります……ああ、なんと持ちやすい事か」

レナ「でも私と亜季ちゃんだけよ、二枚以上手札を持っているのは」

亜季「い、いや、三枚でも二枚でも十枚以上よりマシであります」

レナ「次はクイーン……パスね」

早苗「クイーンは結構出た後だからねー、誰も持ってないんじゃない?」

雪美「……あっ」

千秋「出すわ、クイーンね?」

――タンッ

ありす「出した……?」

瑞樹「都合よく持ってるものね」

千秋「ずっと出せなかった所に回ってきたから、出すしかないでしょう?」

友紀(やっばい……どうしよ、いつ出せる? このカード……)

楓「~♪」



雪美(……私、持ってたの違う)

千秋(そうね、今出したのはクイーンじゃなくてそのひとつ前、ジャックよ)

千秋(でも今しかタイミングが無かった。クイーンは三回も出たけど、今居る全員はパスしてたはず)

千秋(なら四枚目のクイーンは使われてないか、既に捨てられた……じゃあ嘘を言っても見抜かれないはずよ)

雪美(分からない……でも、和了り?)

千秋「誰も阻止しないなら、私達も行くわよ?」

早苗「時子ちゃんがいないから誰もダウト言わないわよ、ここまで逼迫してたら……」

雪美「バイバイ……」

ありす「次はキングですか、パスです」

友紀「同じく!」

早苗(友紀ちゃん全然出さないわね……何を持ってるのかしら)

早苗「……あたしもパス」

比奈「同じくっス」

楓「私もよ」

亜季「では再度私が、キングは最初に押し付けられたものが残っているのであります」

――タンッ



ありす(その通り……真の可能性があるならダウトは言えない)

早苗(追いつかれそう……あの枚数差だったのに)

比奈(……いや、もう少しで出せる、出せるはずっス)

レナ「ありがとう亜季ちゃん、これでエースが出せるわ」

――タンッ

レナ「これで私もあと一枚」

瑞樹「完全に並んじゃったわね」

ありす「まだ二枚の方もいます……パスしても大丈夫なはず」

友紀「次は二……二かぁ……パス」

早苗「パス、さぁ早くパス!」

比奈「な、なんでそんなに急いでるんスか……いや、パスは一緒でスけど」

智絵里「じゃあ……!」

――タンッ

亜季「お?」

楓「二、これで終わり」

智絵里「やりました……! わたし、勝ちました……!」

レナ「おめでとう、もう最終決戦に近いわね。六人でカード七枚……!」

友紀(よーし! そろそろあたしのカード!)

早苗(三が出せる!)

比奈「あー! 負けたくねーっス!」

楓「次は三……みなさん頑張って……ふふっ」

瑞樹「最後の最後でいつもの調子よ」

レナ「後から合流して、泥酔してない事を祈るわ」

友紀「で? で? パスするの? しよう!」

比奈「随分数字回ってきてないんでスね……」

早苗「そーなのよー、皆があたしの邪魔をするのー」

レナ「パス? なら私も……」

亜季「待った! ちょっと待った! 私も皆と同じ位置に向かいます!」

――タンッ

亜季「三! 出します!」

早苗「ほー……う……」



亜季(あのリアクション……あれ、もしかして私失敗したでありますか?)

亜季(いやしかし、ここで出されてしまった二を抱える方が無茶のはず……)

友紀(うーん、三かぁ……)

レナ(三……これで三枚目かしら? なら、嘘じゃなく本物の可能性も?)

早苗(なんてことするのよ……いやでも、ダウトって言うには……あの大量回収の時に三も持っていったはず)

早苗(一度三は出されてるけど……二枚持ってたかも、もう一枚がどこにあるか分からないし)

亜季「……次、レナ殿です」

レナ「嘘か本当か分からないけど……とにかくお礼を言うわ、はい」

――タンッ

レナ「これが四、和了り」

比奈「次々と、あーヤバイっス」

亜季「残り五人で正々堂々と!」

ありす「誰もダウトしないんですねもう」

瑞樹「行っちゃう?」

ありす「やめてください」

友紀「そ、そそそそうだよ、じゃなくてそうそう、ダウト言っちゃった方がいいんじゃない?」

早苗「まだ大丈夫、大丈夫……」

レナ「……?」

レナ「皆は先に行ったけど、私は最後まで見守るわ。次は五、ありすちゃん達から」

早苗「ねぇ、その前に確認なんだけど……誰も数字を出せずに一周したらどうするの?」

比奈「確かに……仮に次の五が誰も出せずにもう一度ありすちゃんの順番になったら」

ありす「橘です」

レナ「その場合は、戻ってきた段階で数字をひとつ進ませる方がいいわね」

亜季「それは……実質、五から早く数字が回ってくる人の勝ちなのでは?」

友紀「運試しになっちゃう!」

比奈「事はそう上手く行かないっスよ、自分の数字が他に出されたら大惨事っス」

早苗(それをついさっきやられたところ)

レナ「次、五だけど……持ってる? それとも、持ってなくても出す?」

ありす「五、五ですか……」

瑞樹(……出す?)

ありす(それも考えてますが……)

『6』

ありす(次、誰かが五を出しても出さなくても、数字は回ってきます……無茶は止めましょう)

瑞樹(そうね)

瑞樹「……じゃあ、パスよ」



友紀「パース」

友紀(これ、どこかで出さなきゃ駄目なんだけど……)

友紀(ありすちゃんのペアが悩んだ結果出さないって事は、たぶん今出すべきなんじゃないんだろうなー)



――タンッ

早苗「……出すわ、五でしょう?」

早苗(友紀ちゃん……もしかしてあたしと一緒? なら、このまま行くと負ける!)

比奈「パスですかね! じゃあアタシも出しまス」

――タンッ

ありす「えっ! ちょっと……!」

比奈「おろ?」

亜季「むむ? 今なんだか変な気がしましたが五、六と出されたのなら七であります! 出します!」

――タンッ

レナ「あらあら……どう処理しようかしら」

ありす「待ってください! 今絶対に比奈さんが違うカード出しました!」

比奈「ぱ、パスじゃないんでスか」

早苗「出せる時に出さなきゃね」

亜季「しかしその後に私も出しました、もちろん本物の七であります! 逆転!」

瑞樹「これ、今ダウト宣言しても……」

亜季「私のカードが対象になるのでは」

瑞樹「いや駄目よ! じゃないと」

友紀「んっ!? じゃないと!?」

ありす「瑞樹さん!」

瑞樹「……あっ」

亜季「と、とりあえず私は和了りでよろしいですか?」

レナ「いいと思うわよ、パーティゲームではよくあることだもの……ダウトが来なければね」

ありす(……今の発言、もしかしてこっちの手がバレたかもしれません)

友紀(五、六、七でストップ掛けた……んー?)



レナ「次は八だけど……どうする? 亜季ちゃんダウトする?」

友紀「待って待って、考えさせて……言わなきゃ負けの可能性もあるんだよね?」

友紀(あたし持ってるカードはコレでしょ? 今は八……あたしが勝てるのは、向こうが五から七を持ってた場合だけ?)

ありす「…………私は別にどちらでも構いません、どの道次に八を出して終了です」

レナ「あら、こう言ってるわよ?」

友紀「げっ……」

瑞樹(八? あれ、持ってるカードって確か……)

ありす(六ですけど、こう言わないと負けますよ)

友紀「んー……んー……」

友紀(思い出せあたし……今持ってるのはコレ、最初に持ってたのは……七とキング!)

友紀(でもってあたしがパスした……持ってないことになってる数字は……)

友紀(クイーンと、二と、六……ジャック、でもってもう一回キング、四……もう一回六)

友紀(そんでもって……八もパスしたかな、十も……)

友紀「あたしが持ってるのは……」



友紀「九! ……だから、その八を持ってるなら、あたしの負け」

ありす「……九ですか」

友紀(間違ってなければ……一番早く回ってくる、そしてあたしが持ってる可能性のあるカードの数字!)

瑞樹(九ってどうなの? 嘘ついてるの?)

ありす(いや……九は一度も友紀さんはパスも出してもいません、持ってる可能性はあります……)

瑞樹(じゃあ、私達の本当に持ってる六より早く……)

ありす(…………)

亜季「ではこの勝負は友紀殿が負けで?」

比奈「デザートお願いしまス」

友紀「しょうがないなー……」

瑞樹「いや、待って……カードを出す前に」

ありす「亜季さん……ダウトです」

亜季「んな……え、今でありますか?」



レナ「別に構わないけど……わざわざ宣言しなくても勝ちよ?」

瑞樹「いいえ、私達のカード……もう最後ですから開けても構いませんね」

――クルッ

比奈「あれ、八じゃなかったんでスか? これ……六っスよ」

瑞樹「だから九を持ってる友紀ちゃんに負けるのよ」

友紀「……なるほど」

亜季「だから私にダウトするしかないという事でしょうか?」

ありす「望み薄ですけど……そうです」

友紀「ねーねー、もうあたしのカード、勝負に関係ないよね?」

レナ「そう……ね、成功しても失敗しても、ほぼ関係ないわ」

友紀「ならあたしも開ける! 持ってたカードは……」

――クルッ

ありす「……えっ?」

友紀「三……!」

早苗「あら……怖い怖い、あたしさっき五の時出してなかったら詰んでたわ」

比奈「え、てことはあのカード五じゃなかったんでスか」

早苗「持ってるわけないじゃないあのタイミングで」

レナ「よく通したわね」

瑞樹「あれ……という事は?」

友紀「いやー……先にダウトって言ってくれて助かったよー」

友紀「言ってくれなかったら、あたしがカードで勝ってるのにダウトって言う事になってたから」

亜季「なんと、危険回避ですな」

瑞樹「も、もう少し粘っていたら……勝ってた?」

ありす「いや、まだ希望は……そのカードでどの道ダウトを成功させれば……!」

亜季「残念でありますが」

――7

ありす「あっ……」

亜季「私は正直であります。……最後に限ってですが」

比奈「じゃあ結構嘘で通してたんでスね」

亜季「その結果があの手札大氾濫であります」

レナ「でも、勝ったじゃない」

瑞樹「…………」

ありす「そんな馬鹿な……私が……」

瑞樹「いや、たぶん私が変な反応しちゃったからよ、きっとそうよ……」

友紀「よっしゃー! 勝利祝いだー! あたしデザートじゃなくてビールね!」

比奈「デリカシー」

友紀「細かい事気にしない! じゃああたし先に行くね! 待ってて宴会場!」

比奈「今は昼っス」



亜季「いや、なかなか楽しかったであります」

レナ「たまにはいいでしょ?」

ありす「…………」

瑞樹「ほ、ほら、落ち込まないで……私がなんでも頼んであげるから」

友紀「ビール!」

瑞樹「黙ってて!」

ありす「……次は負けませんから」

レナ「いつでも挑戦待ってるわよ、でも次は何も賭けずに、遊びでやりましょ」

ありす「…………」

瑞樹「じゃあ私は」

比奈「皆の所に行きましょうか」

瑞樹「いいえ、ATMに」

比奈「……ご馳走様っス」

レナ「ところで、もう勝負は決まったけど……その溜まりに溜まった場を見てみましょうか」

比奈「おっ、そうっスね、気になりまス」

亜季「一枚二枚三枚…………三十六枚も残っているであります」

早苗「さっきから考えてたんだけどね、皆最初は何持ってたの?」

比奈「最初の方は全然出せませんでしたが」

瑞樹「えーっと、この捨て札の一番下は……四ね、誰が出したカードだった?」

レナ「四? いや、確かジャックだったはずよ? その証拠に次はクイーン、キングと並んでる」

早苗「じゃあこれ嘘ついてるじゃない、まったく……誰よ最初の一枚目から遠慮なく偽物捨ててるのは……」

比奈「そういえば、ダウトによって捨てられたカードもありまス」

亜季「ダウトは五回成功しましたが、時子殿が一度捨てずに進めた為四枚が除外されているであります」

ありす「……八とジャック、そして十と……もうひとつ十があります」

レナ「随分嫌われているのね、十は」

比奈「誰が捨てたんでしょうね」

早苗「そりゃあ……ねぇ?」

レナ「そうね、ダウトした人は限られてるもの」

友紀「ねーねー、考察もいいけど早く行こうよー」

瑞樹「酒飲む気満々ね……いいわよ、負けたから払うわよ」

友紀「やったー!」

レナ「それじゃ、行きましょうか」

ありす「次は……必ず!」

:A・4・4:レナ
:2・J・K:千秋・雪美
:4・8・9:心
:A・3・4:あい・薫
:5・6・7:瑞樹・ありす
:10・Q・Q:真奈美
:3・7・K:友紀
:2・3・8:早苗
:10・10・10:時子
:A・6・9:美優・みりあ
:2・8・J:千夏・唯
:5・J・K:比奈
:2・3・8:楓・智絵里
:9・9・J:亜季



おわり

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