怪盗「安価で盗む」(23)

怪盗「私は巷を騒がす怪盗。今宵は安価で色々と盗んでご覧に入れよう」

怪盗「何を盗もうか? ↓1」

怪盗「美少女の春を盗めばいいのだな! なるほど素晴らしい!」

怪盗「さて、怪盗らしく犯行予告をするとしよう」

怪盗「犯行予告の手紙だ。これには『今夜、美少女の春を奪いに参上 怪盗より』と書いてある」

怪盗「さて、この手紙をどこへ送ろうか。特定の美少女の家か、はたまた警察署か。それとも……」

怪盗「よし、決めてもらおうか。↓2」

怪盗「TV局か! 私の犯行予告を多くの人知らしめることができるな! センスあるじゃないか、キミ」

怪盗「では早速、この手紙を伝書鳩の足に付けて……と」

伝書鳩「デッテイウ」

怪盗「そら、伝書鳩よ! TVへ飛んでいくのだ!」

伝書鳩「デッテイウ」パタパタ

怪盗「はーっはっはっはっ!」

――TV局

バイトの人「プロデューサー! プロデューサー!」

プロデューサー「なによ、バイトくん。またお弁当の発注忘れちゃった系?」

バイトの人「違います! 今、局の中に入る時にこんな手紙を見つけたんです!」

プロデューサー「へー、なに、手紙? 怪文書系?」

バイトの人「違います、違いますって! 怪盗からですよ、怪盗! 怪盗からの犯行予告です!」

プロデューサー「それを怪文書って言うのよ、バイトくん。なに、怪盗? この時代に?」

バイトの人「で、僕、今その犯行予告読んでみたんですけど」

プロデューサー「バイトくん一応局に来た手紙なんだから勝手に開けるのはやめようね。どれ、貸してみ」

プロデューサー「ふむふむ……」

プロデューサー「……」

バイトの人「すごいでしょ?」

プロデューサー「うーんこの」

バイトの人「さっすが怪盗ですよね! まさか季節を盗むだなんて」

プロデューサー「?」

バイトの人「気になるのはこの『美少女の』ってところですね。きっと怪盗なりの洒落た謎かけだと思うんですけど……」

プロデューサー「バイトくん」

バイトの人「はい」

プロデューサー「あのさ、バイトくん。まさか『春』のことを季節の『春』だと思ってない?」

バイトの人「え? 他に何かあるんすか?」

プロデューサー「今、言うような話でもないんだけどさぁ……。ちょっと耳貸してみ」

バイトの人「はい」

プロデューサー「……」ゴニョゴニョ

バイトの人「ええっ! 処女ォォーーッ?」

ざわざわ

プロデューサー「しーっ、バイトくんしーっ! やめて、恥ずかしいから!」

バイトの人「だってぇ……」

プロデューサー「とんだレ〇プ魔だよねぇ、この怪盗さんとやらは。しかもこの手の込んだ犯行予告ときた」

バイトの人「最低な奴だったんすね、怪盗。番組に使えるネタだと思ったんだけどなぁ」

プロデューサー「バイトのキミがそんなこと気にしなくていいの! とりあえず上司と警察には連絡しとくよ。ありがとね、バイトくん」

バイトの人「は、はいっ!」

プロデューサー「ったく、頭がおかしいヤツもいたもんだ」

怪盗「……」ワクワク

怪盗「…………」ワクワク

怪盗「……」

怪盗「……あれ?」

怪盗「ずっと待っているんだが、テレビで私の犯行予告が放映されない。何故だ?」

怪盗「うーむ」

怪盗「そうか、報道規制か! 私の存在は警察や報道関係の邪魔になっているのかもしれない!」

怪盗「ふふ、受けて立とう。犯行予告の時間が近づいている。テレビでは話にも上がらなかったが、街は警察官がうろついているはずだ。細心の注意を払って、且つダイナミックに行動しよう」

怪盗「さて、どうやって美少女の元へ行こうか? ↓2よ、考えてくれ」

怪盗「美少女の家の玄関から堂々と入れば良いのだな!」

怪盗「怪盗なら怪盗らしく奇をてらった行動をするのだろうと思いきや逆に堂々と玄関から入るそのやり方!」

怪盗「気に入った。逆に怪盗らしい」

怪盗「では、行動に移るとしよう……と、いいたいところだが」

怪盗「実はこの街には美少女が何人かいる。美少女の大安売りだ」

怪盗「キミ達が安価してくれている間に、その美少女の家の中から良さそうなところをピックアップしてみたぞ」

1、普通の家

2、豪邸

3、人気の無い家

怪盗「どれか1つがハズレな気がするが、↓2よ、この中から選んでくれ」

怪盗「豪邸だな! 行くぞ!」

――豪邸前

怪盗「私は怪盗だからわずか3行で着いたぞ! しかしさすがは豪邸。豪邸前の門には数人の警備員が見回りをしている。門より奥に入るのも一苦労しそうだな」

怪盗「しかし妙だな。門の前にいるのは警備員のみ。警察官が1人もいない。なぜだ?」

怪盗「むむ……」

警備員「おい、お前! ここで何をしている!?」

怪盗(しまったバレた! 私は怪盗らしい格好をしているので、このままでは怪盗がいると知られてしまう! どうにかして切り抜けねば!)

怪盗(ちなみに、私は怪盗だから変装、逃走、攻撃なんでもできるぞ。まあ大っぴらに暴れるのはやめておいた方がよいかもしれんが)

怪盗(さて、↓1よ。私はどうすればいい)

怪盗「ふふ、ここは『彼』になりすましてみよう。これを見れば相手も怯むはず」

警備員「おい、お前さっきから一体何をブツブツと」

怪盗「ふふふ……」

警備員「何故後ろを向いている! こっちに顔を向けろ!」

怪盗「ハハハハハ!」バッ

警備員「お、お前は!」

ルパン(怪盗)「神出鬼没の怪盗紳士。アルセーヌ・ルパンとは私のことだよ!」

警備員「誰だよ!」

ルパン(怪盗)「このゆとりめ! ルパンを知らんのか!」

警備員「変な奴がいるぞー! みんな来てくれー!」

ルパン(怪盗)「な、なに! 人を呼ばれただと! おのれ、こうなったら……↓1」

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