【MONSTER HUNTER】ナルガクルガが嫌いな男の話(40)


「俺はナルガクルガが嫌いだ」

「俺には過去があるから…俺がそう呼ばれるから」

「だからそれを忘れないために、俺はナルガクルガを身に纏う」

ギャグほぼ無し
ややオリ設ありです

◆渓流◆

「はっ…はっ…はっ…」


躓きながらも渓流を駆ける一人の少女


「グルルゥゥゥ…ガッ」ザッ


その少女を追う紅い眼をした黒いモノ

「はっ…はっ…きゃあっ!」ズシャッ!!

「きゃああああああ!」ガラッズザザザザザ…

坂道を転がり落ち、気を失う


「ガアゥ」ガッガッガッガッ…


「ゥルルルルルル」スンスン


――ボッ‥ファアアアン!!


「ギャアアゥン!!!」


それが少女の首筋に噛み付こうとした刹那、強い閃光に眼を焼かれた


「そこまでだ…ナルガクルガ!」カチャ

◆ベースキャンプ◆


少女「…ぅ…痛たた…」


少女「ここは…?」ムクッ


男「…ん、気がついたか」

少女「あなたは?」


男「…ここはベースキャンプ、俺はハンターだ」

男「ここにはナルガクルガを狩りに来た」


少女「ナルガ、クルガ?」

男「…さっき襲われただろ」

少女「さっき…あれがナルガクルガ」

少女「は、そうだ! お母さんたちは!」

男「ん?」


少女「私たち、家族で旅をしてるんです!」

少女「でもこの渓流の近くではぐれちゃって…」

男「……」

男「…その人たちの服装を教えろ」


少女「え…服は私と同じ感じですけど」

男「…見てないが、この辺は脇道が多くて遠くに離れたやも知れない」

男「帰ったらギルドに探させよう」


少女「…わかりました」

男「…ギルドの迎えだ」


―ガラガラガラ…


職員「お疲れ様です」


男「ああ。…おい」


少女「あ、私ですか?」


男「…先に乗り込んでろ」

少女「は、はい」


男「…ちょっといいか?」

職員「何でしょう?」


男「…エリア8にある遺体を回収してやってくれ」

男「それと…」

◆ユクモ村◆

男「達成報告は済んだ。今後暫くの生活やなんやはギルドに頼め。じゃあな」

少女「あ、あの!」


男「…なんだ?」


少女「私はルミナです。15歳です!」


男「…だから何だ?」


ルミナ「私を、あの…弟子にしてください!」


男「………あ?」

一時停止

ルミナ「今までの旅で色々な街や村を見てきました!」

ルミナ「その中にはハンターが居なくて滅んだ場所もあって…」


ルミナ「だから私がハンターになりたいって前から思ってたんです!」

男「ふざけるな! どうして俺がそんな」

ルミナ「お願いします! 両親が見つかるまででも良いんです! どうか!」

男「大体なんで俺なんだ! ハンターは他にもたくさん居るだろ!」

ルミナ「…眼が優しかったからです」


男「! 眼が、優しいだと?」

男「このよく分からん奇病で紅い眼がかッ!」ガシャン!!

ルミナ「はい!」


男「っ!?」

ルミナ「……」ジー


男「………くっ!」


男「…少なくとも最初1年は訓練所に通え! 話しはそれからだ!」

男「わかったか?」


ルミナ「…は、はい! よろしくお願いします、師匠!」


男「………はぁ…」

ルミナ「あ」


男「んん?」


ルミナ「そう言えば師匠の名前はなんですか?」

男「…(どうせ隠したって)」


男「はぁ…ラクスだ。歳は18」


ルミナ「ラクスさん。若いとは思ってましたけど…3つしか変わらないんですねぇ」ジー


ラクス「ほらさっさと訓練所に行け! 破門するぞ!」


ルミナ「りょっ、了解!」

―1年後―


鍛冶屋「ほれ、出来たぞ」

ルミナ「わぁ~! ありがとうございます!」


ラクス「ん…出来たのか」

ルミナ「あ、師匠!」


ルミナ「見てください、これ! 訓練所を卒業、ハンターとして世に出て2ヶ月」

ルミナ「漸く素材が集まって完成したんです!」


ラクス「…鉄刀【神楽】がか」

ルミナ「…今馬鹿にしました?」

ルミナ「そりゃあ師匠のナルガs一式とヒドゥンブレイズには劣るどころの話じゃないですけど、ジャギィ一式合わせて頑張って揃えたんですよ!」

ラクス「…別に馬鹿になんかしてない」


ラクス「それより、今日もお前の両親らしき人は見付からないそうだ」

ルミナ「…そう、ですか」

ラクス「……」

ラクス「代わりに渓流でドスジャギィの狩猟依頼が来てたぞ。初心者のお前には丁度いいんじゃないか」

ルミナ「わかりました。行きましょう」


ラクス「今回も基本指示しかしないからな」

◆渓流・ベースキャンプ◆
ルミナ「地図と…砥石と…」


ラクス「…」


ラクス「(なんだ、この空気…)」


ルミナ「準備できました、師匠」


ラクス「……」


ルミナ「師匠?」


ラクス「…ん? あ、あぁ」


ルミナ「珍しいですね」

◆渓流・エリア7◆


ルミナ「せえええいッ!」ズパッ!!


ドスジャギィ「グゥアッ!!」ヨロッ


ラクス「今だ、畳み掛けろ!」


ルミナ「はい! ぃやあああ! ハッ!」ズッ!ズバッ!

ドスジャギィ「グギャァアアッ!!」ドサッ

ドスジャギィ「」


ルミナ「やった! やりました、師匠!」

ラクス「馬鹿。狩り場で気を抜くな」


ルミナ「あ、すいません…」


ラクス「わかったらさっさと剥ぎと――」ゾクッ!!


ラクス「っ!!!」バッ!!

ルミナ「師匠? どうしたんですか?」


ラクス「…………」


ルミナ「あの森になにか居るんですか?」

ラクス「…いや、なんでもない。帰るぞ」ザッ

ルミナ「え、まだ剥ぎ取り、あ、ちょ、師匠~!」












「ギャウゥゥゥゥゥ…グルルルルァ…」

―数ヶ月後―


ラクス「おい」


ルミナ「…師匠、前から思ってたんですけど、どうして名前で読んでくれないんですか?」

ルミナ「私にはルミナって名前があるんですよ!」

ラクス「…ふん。お前はお前で充分だ」

ルミナ「なっ!?」


ラクス「それよりだ。渓流にクルペッコが出た」

ルミナ「え…また、ですか?」


ラクス「また、とは」

ルミナ「いえ、最近渓流での狩猟クエストが多いなぁって…」


ルミナ「あ、私はまだ凍土とかに行けないからそう思うだけかもしれませんけど」

ラクス「いや、同感だ。最近渓流が騒がしい」

◆渓流・エリア6◆


クルペッコ「クルルルッ!ガガァ!」タッタッ

ラクス「良いか、鳴き真似だけは使わせるな!」

ルミナ「はい!」


ジャギィ「ギャァ!」バシッ!!


ルミナ「きゃあっ!」ドサッ!


ラクス「周りにも気を張れ!」ズドッ!!

ジャギィ「ギャッ!!」グシャ


ルミナ「師匠! クルペッコが!」


クルペッコ「グゥ…」スゥゥ‥

クルペッコ「オゥッオゥッ…」


ラクス「させるか!」シュッ

―キイィィイイイイン!!


クルペッコ「グギャアゥ!!」フラッ


ルミナ「あれが音爆弾!」

ラクス「はあぁぁぁ…せいっやぁ!」キィン…キィン…ズドン!!


クルペッコ「アギュイアゥ!!」バギッ!!


クルペッコ「ググゥ…」バサッバサッバサッ…



ラクス「……」


ルミナ「逃がしちゃいましたね…」

ルミナ「でもペイントが効いてます! 追い掛けましょう!」


ラクス「…待て」


ルミナ「え、何でですか? 弱ってるんですよ?」

ラクス「静かにしろ!」

ラクス「……何か来る」


―バサッバサッ…バシャァァン…!!

「グゥゥゥゥゥ…」



ルミナ「あ…あれは…」


ラクス「…ナルガクルガ!」



ナルガクルガ「スゥ…ギィアアァアアァアァア!!」


ラクス「食らえ!」シュッ

―ボッ‥ファアアアン!!


ナルガクルガ「ギャアァン!!」ヨロッ



ルミナ「どっ、どうしましょう!」


ラクス「…お前はクルペッコを追え。一人で倒すんだ!」


ルミナ「そんな! 私一人じゃ…そもそも師匠は!」
ラクス「俺はコイツの相手をする」

ラクス「一緒にクルペッコを相手取っても、鳴かれては合流されてしまう!」

ラクス「だったら俺はコイツを食い止める!」


ルミナ「師匠…」

ラクス「早く行け! もうすぐ目眩から回復するぞ!」


ルミナ「…はい!」ダッ!







ラクス「ナルガクルガ……ナルガクルガァァァァァ!」ブォン!!


クルペッコ「オゥッオゥッオゥッオゥッ!!」

ジャギィ「ギャ」ヒョコッ

ジャギィ「ゥアッ」ヒョコッ


ルミナ「しまった!」


ルミナ「くっ! でもこれくらい越えられなきゃ師匠には追い付けない!」チャキッ

ルミナ「はああああああああ!!!」ダッ!


ルミナ「(待っててください、師匠!)」


ナルガクルガ「ゥガア、ゥガア…ガッ!!」ゴウッ!!


ラクス「食らうか!」ゴロン、ズザッ


ラクス「ぇぃやあ!」ブォン!


ナルガクルガ「ギャァァイン!!」ブヂッ!!


ラクス「…まずは尻尾」


ラクス「次はその命をもらう…!」スチャッ

ルミナ「はぁ…はぁ…はぁ…お、終わった」


ルミナ「はやく剥ぎ取って…師匠を追い掛けなきゃ…」カチャカチャ


ルミナ「待っててください…今、行きます」フラフラ…

◆渓流・エリア9◆


ルミナ「こっちからペイントの臭気が…あ!」


ラクス「ん? …遅かったな」


ルミナ「師匠! ナルガクルガは!」


ラクス「あそこだ」クイッ


ナルガクルガ「」


ラクス「…お前も剥ぎ取っておけ」


ルミナ「は、はい」


ルミナ「(やっぱり師匠は凄い。ナルガクルガをこんな簡単に狩るなんて…)」カチャカチャ


ルミナ「(本当に私なんてお荷物みたいで…)」カチャ‥

ルミナ「(認められない、はずだよ)」スッ


ラクス「………」


ラクス「クルペッコは、仕留めたな?」

ルミナ「…え? あ、はい」


ラクス「…そうか」


ラクス「…よくやった、ルミナ」スッ


ルミナ「…え」


ルミナ「え! し、師匠! 今、名前…」


ラクス「帰るぞ」スタスタ‥


ルミナ「わっ、待ってください!」タッタッタッ‥


ラクス「(…おかしい)」


ラクス「(クルペッコの鳴き声は中断させた上、あの声はドスジャギィのもの…ナルガクルガが来るはずはない)」


ラクス「(渓流で、何が起きているんだ…!)」

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