梓「クッキーと一緒に紅茶が飲みたい」 (17)

梓「ねぇー、律せんぱーい」

律「ん、なに? 今忙しいんだけど」カキカキカキカキ

梓「もう。せめてこっち向いてくださいよー」

律「はぁ......。なに?」クルッ

梓「しません?」

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律「ちょっ!? 口でゴム咥えるな!? 」バッ

梓「私、巷ぢゃ合法ロリなんで!!」

律「私の巷とお前の巷はほとんど同じなんだけど、私、梓が合法ロリって呼ばれてるの聞いたことねぇよ」

梓「あはは、せんぱい、最近引きこもりですもんね」

律「仕事してんの!! 仕事!! 家でやる系のお仕事なの!!!!」

律「てか、ゴムいらないだろ、無駄経費を使うんじゃない。家計苦しいんだから」

梓「いやいやいや、よく見ろ......よく見てよ」

律「......くっち悪いわー、この後輩くっち悪いわー」チラッ

律「......これは!! ゴムではなくて、リプトン」

梓「......挿れて?」

梓「じゃなかった、淹れてください♪」

律「もうお前色々まちがっているよ、色々、言葉遣い以前に、忙しいって言ってる私に紅茶淹れろってオカシイだろ!!」

梓「あ、お菓子はクッキー用意しましたから!!」

律「......頭痛がしてくる」


梓「えっ!? 大丈夫ですか!? パブロンしますか?!」

律「大丈夫じゃないかな、梓がいると。パブロンする? ってなんだよ。パブロンって動詞なのかよ、いや、飲んだら頭痛薬として私の身体の中で様々な効力を発揮してくれるのかもしれないけどさ!!」

梓「うーん。......あ、バファリンもありましたよ? どっちにします?」

律「梓、むしろお前がバファリンから優しさを半分分けてもらえ、そして私をその優しさで敬え」

梓「なんか、律せんぱい、元気そうですね。 仮病だったんですか?」

律「うーん。梓との会話にむしろぶっ倒れた方が負けかな、って思い始めてはいるよ」

梓「まぁ、ほら、クッキーありますから」ホラ

律「......じゃあ、頂くとするかな」

梓「私、先に食べとくんで」

律「なら、私は紅茶でも淹れてくるか」ドッコイショ

梓「はーい、待ってまーす! 私、律せんぱい、待ってまーす!!」ポリポリ

律「私を待ってるってマジで私を待ってるだけでクッキーは食っとくんかい......もういいわ」



紅茶コポポポポ

律「......あれ、なんで紅茶淹れてるんだろ」

律「淹れてきたー」

梓「あ、待ってました!!」

律「紅茶を、だろ、ほら」

梓「ありがとうございまーす」ワァイ

律「......」ジィ

梓「♪」ゴクゴク

律「......」ジィ

梓「♪」モグモグ

律「......」ジィ

梓「......はぁ、美味しかった」ゲプ

律「......」

梓「......?」

律「気づくのがおせーよ」

梓「クッキーと紅茶を堪能している私の姿を堪能しているのかと」

律「ははは。私の冷たい視線にそんな意図はなかったんだけどな。で、私の分のクッキーは? もうクッキーの空箱しか目の前にないけど」

梓「え?」


律「なにその、『律せんぱい、クッキー食べるの?』って反応」

梓「私は『クッキーがここにある』と示唆しただけで、律せんぱいに『クッキー食べて はぁと』とは色仕掛けしてません」

律「いや、たしかに色仕掛けはされてないけどさ、なんていうかこう、一緒に食べるだろう、流れ的に一緒にクッキー食べる流れだったろう」

梓「その空気の流れ、そのエアーフロー、私には見えませんでした」

律「もうどうしちゃったの? 高校生の頃の『練習しましょうよ唯先輩』って真面目腐ってた梓はどこにいったの?」

梓「あはっ、今の私の声真似、似てた! 」

律「そこじゃねぇよ、私が注目してコメントもらいたかったのはそこじゃねぇよ!!」

律「くそ、声真似のうまさが仇になったとかやるせない。もう二度と梓の声真似の練習なんてしない」

梓「私の声真似が上手いとか連絡とか、普段私がいない時になにしてるんですか、律せんぱい」

律「その話の切り口はもう私がなにしてるか知ってるんだろ? 絶対言わないからな!!」

梓「はいはいオナニオナニ」

律「ワロスワロスみたいにネタバレすんなよ!! くそっ!! あぁあああああああああああ!!!!」

梓「さて、落ち着きまして? 私の声真似をオナネタにする変態先輩」

律「......なんだよ、変態先輩って語呂悪いな」

梓「さっきのセリフだと高校生時代に真面目じゃなかったの、唯先輩だけみたいな流れですけど、律先輩も真面目じゃなかったですからね?」

律「話戻して人の揚げ足取れるなら、さっきのクッキーの流れ読めよ!!ちゃんと空気の流れ吸引しとけよ!! 私の分のクッキー残しとけよ!!」

梓「文句が多い人ですねぇ。そもそも高校生時代は私、あまり律せんぱいに注意ってしたことないですからね? 覚えてないんですか? それとも注意されすぎて混乱してるんですか?」

律「えっ、そうだったっけ? って素で言っちゃうくらい覚えてないんだけど、そうだったっけ?」

梓「......はぁもうしねよデコっぱち」

律「ひらがな表記だからって衝撃が和らぐとかそんなことないんだからな。マジで傷つく」

梓「ちなみに本当に律せんぱいが死んじゃったら私も後追うからやめてね?」

律「私、死ぬの怖い。自分が死んだ後の梓の行動を想像するのが怖い」

梓「高校生時代に律せんぱいに『おい、練習するぞ!! この女ったらしのアバズレ、調子のいいデコチビ、低給料、テンポ感0』って律せんぱいを折檻、叱咤激励してたのは秋山澪先輩じゃないですか」

律「いや、澪にそこまで言われてないよ!? 私、澪にそこまでひどいこと言われたことないよ!? むしろ今お前が私のことそう思ってるってだけだろ!? お前私のことそう思ってたの!? 折檻なうだよ!? 精神的DVで名誉毀損で訴えるぞ!? というか、『秋山澪先輩』って、澪フルネームかよ!! 私が知らない間にお前と澪の間で何があったら梓は澪をフルネームで呼ぶ事態になるんだよ」

梓「でも、テンポ感0って『永遠の0』みたいでかっこいいなって思ったでしょ?」

律「うん」

梓「もう、律せんぱいってば。秋山澪先輩のことは、まぁ、秋山澪先輩のTwitterとかブログとかFacebookとか見て知ってください」

律「澪、そんな公の場で何書いてるの!? 私が最近、ムギとか澪とか3年2組だったクラスメイトからの風当たりが強いのと関係あったりするのか!?」

梓「あはは!! もう、律せんぱいったら、心配性なんだから!! きゃっ!! こっち来てくださいよ、頭撫でてあげます」

律「......今更優しくされても、信頼も0なんだけど。人が怖い、梓が怖いよ」

梓「いいから来いよ!!」グイッ

律「のわっ!? そしてまさかの膝枕!!」イェ-イ

梓「そういうところがちょーし良くて可愛いからウザいんですよ、律せんぱいは」ナデナデ

律「褒めるかけなすかどっちかにして、テンションどうしたらいいのかわからなくてすっごい腹の上辺りがモヤモヤしてる、すっごいモヤモヤしてる」

梓 「律せんぱいが女ったらしのアバズレでも、私は全然気にしてないですし、低給料なのに、たまに部屋に女の子を入れてることとかそんなこと全然気にしてないですから」

律「......」

律「......」

律「......」

律「......」

梓「なんか言ったら?」ナデナデ

律「お、女の子連れ込み......はおそらく唯です、はい。それしか最近は心当たりがありません」

梓「唯先輩がなぜ我が家に?」ナデナデ

律「我が家ってか、ここ元々私の家だからな?」

梓「なぜ元律せんぱいの家に?」ナデナデ

律「元、じゃねーし。今も現律せんぱいの家だし」

梓「......」グイグイ

律「いたた!? 無言で髪の毛引っ張るなよ!?」

梓「髪の毛を引っこ抜きたい気持ちを我慢していることをむしろ褒めて欲しいですよ、この状況」ヌキヌキ

律「おい!? 抜くのやめろ!? 今2本くらい抜いたろ!?」

梓「唯先輩から、メールが来たんですよー」

律「えっ!? えっ!? なんてなんてなんてなんてなんて?? 」

梓「はい、黒。......焦りすぎでしょ」ギュイ-ン

律「あっだーーー!? だから、やめてーー!! 髪の毛はやめろーー!!?いってぇぇええええ」ブチブチ

梓「メールの内容はこうです

『愛しのあずにゃんへ♪
今日りっちゃんの家に荷物届けるから、受け取りよろしくね!
中身はあずにゃんが前に好きって言ってたメーカーのクッキーだよぉ~~!
ちょっと奮発しちゃった♪
りっちゃんと仲良くお食べ♪
また今度一緒に遊ぼうねはぁと
りっちゃんによろしく!!』」

律「......」

律「......なぁ」

梓「なんですか?」

律「このメール、明らかに梓の方が黒じゃね?」

梓「はっ?」

律「『また今度一緒に遊ぼうね はぁと』ってなんだよ。こんなの事前に遊んでなきゃ書かないだろ」

梓「わ、私にだって色々付き合いがあるんですよ!!」

律「ふーん。ふーんふーーーん」

律「てか、このメールいつのだよ」

梓「一週間前」

律「一週間前!?」

律「私が唯を家に入れたのも一週間前だよ」

梓「......? え、どういうこと?」

律「いや、だからさ、梓が仕事でいない間に唯がクッキー持って来たんだよ」

梓「......宅配便じゃなくてあの人、自分で持って来たの?」

律「おう」

唯『あれ? あずにゃんいないの?おっかしーなー、お菓子だけにおっかしーなー。 ま、いっか!! りっちゃん久しぶり!! 喉乾いたらかお茶ちょーだい!!』

律『お、おいおい。 私、勝手に人を家に入れたら梓に怒られるんだけど』

唯『あー、大丈夫大丈夫。私、連絡してから来てるから。てか、ここ元りっちゃんの家でしょ?』

律『元じゃねーし。現在進行形で私の家だし』

唯『なら、大丈夫って!! はい、もう入っちゃったー!!おじゃましまーす』ドタドタドタ

律『こら、走り回るなよ!? 下から天井ドンされるんだっての』

唯『りっちゃん、あずにゃんとそんなに激しいのしてるのー? もーやだー、まだお昼だよ?』

律『あぁもう、なんなの、唯なんなの』

唯『あ、忘れてた。これ、クッキー!! あずにゃんと食べてね
!!』

律『なぜクッキーを?』

唯『いやー、ちょっとあずにゃんに色々手伝ってもらったからそのお礼!!』

律『よくわからないけど、そうか、お礼なら遠慮なく頂くと思うよ、梓は』

唯『うん!! あ、りっちゃんにも言っとこう!!』

律『え、なに? 転職でもすんの?』

唯『ううん! あのね、私、この度澪ちゃんと付き合うことになったんだぁ』デヘへ

律『そうなの!? そりゃーめでたいじゃないか』

唯『うん!! その報告をあずにゃんに口で直接言いたかったんだ、お礼も兼ねて!!』

律『なるほどね。 梓、昨日から急に出張で居ないんだよ。タイミング悪かったな』

唯『ううん、メール送ったからいっか!!って思ってズボラした私が悪いから!! 』

律『唯が立派なことを言っている』

唯『あはは......じゃあ、私そろそろ帰るよ!! またね、りっちゃん!!』

律「こんな感じ」

梓「唯先輩の声真似までできるんですか、律せんぱい......」

律「うまかっただろ?」

梓「えぇ、うますぎて、ドン引きでしたけどね」

律「久しぶりにやったけど、予想以上に私の喉は唯を覚えてたよ」

梓「喉が唯先輩を覚えているっていうのがもうよくわかりませんけど、さっき私が食べたクッキーはつまり唯先輩のお礼のクッキーだったというわけなんですね」

律「うん、そういうこと」

梓「なら、私が1人で食べたことは間違いではなかった。このSSもう終わりでいいじゃないですか。私、クッキー食べたし紅茶も飲んだし、もいいです」

律「いや、良くねぇよ。何飽きてるんだよ高いクッキー。 唯は私に『あずにゃんと食べてね』って言ってクッキーくれたんだぞ高いクッキー? 私、食いそびれたんだぞ、高いクッキー。そして私は女の子を部屋に連れ込んだっていうあらぬ疑いをかけられて髪の毛を抜かれてるんだぞ、高いクッキー」

梓「会話中に一部分だけ唯先輩の声真似やめてください。うまくて臨場感がありまくりであずにゃん分を補給されそうです。あと、語尾が高いクッキーってなんですか。律せんぱいには私というものがありながら食い気しかないんですか、私クッキーに負けるんですか?」

律「散々言うけど、私はクッキーに負けたってことだからな。高いクッキーに。てか、お前らまだ『あずにゃん分補給』とかって抱き合ってるのかよ」

梓「私と唯先輩、仲良いので」

梓「クッキーに負けたくらいで律せんぱいの私への愛情が覚めることはないと信じてます」

律「人の交友は鎖国に追い込んでいるのに、しれッと自由貿易で360℃からガッポガッポかよ。いや、好きだけどさ、めっちゃ大好きだけどさ」

梓「あはっ、んもうバカ律せんぱいったら」

律「もう言われてることの隙間隙間から微々たる愛情を読み取ろうとしている私がいるよ」

梓「オランダとの貿易は許してるじゃないですか」

律「オランダ?」

梓「編集者さんとか、唯先輩とか」

律「なかなか遊ぶ時間が作れない私も私だけど、やっぱお前の嫉妬と束縛も改めると酷いよな」

梓「それにしても、まさか本人が宅配便してくるとは。てっきり宅急便で送りつけてくるのかと思ってたから、暇人の自宅警備員に任せてたんですけどねぇ」

律「さりげなく人をニート扱いするのやめて!! 私は家でするお仕事を自分の家でしているだけだ!!」

梓「そういえば、なんで律せんぱいは私が唯先輩からメールが来たと言ったらあんなに慌てふためいておしっこ漏らしたんです?」

律「おしっこ漏らしてないからな!! 嘘混ぜてくるなよ!!」

梓「えへへ」

律「かわいこぶっても.........あぁ、ダメだかわいいわ」

律「あれは、なんか久しぶりに唯と、というか梓と編集者以外の人と会話したことを思い出して、テンションがあがったというか。唯の気分を害することをしてしまっていてお咎めのメールが梓に来たのかと」

梓「なんかさみしい。聞いててさみしい。ごめんね、律せんぱい」ナデナデ

律「やめろ、謝るなよ、本当にさみしい人になるだろ!?」

梓「私これからは律せんぱいに優しくするね」ナデナデ

律「そうしてくれると助かるかな。頭皮的にも」


梓「ふぅ......ちょっと喋りすぎて喉渇いちゃった」

律「私も喉が渇いた......」

梓「律せんぱい、お茶ちょーだい? はぁと」

律「えー、さっき私がいれたんだから今度は梓が」

梓「お茶くれたらキスしようかと思ってたのになぁー」

律「......」


お茶コポコポ

律「......」

律「結局、こうなるのか」

律「......あ、ネタ降りてきた。これ使おう。てか、締め切り......ネームできてねぇ」

梓「律せんぱーい! はやくー!喉が渇きましたー!!」

律「あ、うん!! すぐ行く!!」

おわり

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