京太郎「……やっと解ったよ、照お姉ちゃん」(118)







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 ( ´・ω・) ようこそ!ID腹筋スレへ!
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 しー-J


ここはsageずに書き込み、出たIDの数字の回数だけコークスクリューツモをするという、

硬派なトレーニングスレです。

例1 ID:wwh7KM12 の場合 7+12=19 なので19回頑張りましょう。
例2 ID:bicycle. の場合 数字がないので今日はおかしを食べましょう。

どんな方向の話を期待してるんだよ

俺がこのスレタイで考えると照か咲が自殺してしまうような話になるんだけど

 好きだよ。

「――も――ちゃんのこと好きだよ」

 嬉しい。両想いだね。

「うん。えへへ……」

 両想いなら……いいよね?

「……えっ?」

「――ちゃん? どうしたの?」

 どうもしてないよ。大丈夫。

「ねえ、何でそんなことするの?」

 いいから。じっとしてて。

「どうしたの? 顔が怖いよ……」

「やだ……! やめて……やめてよっ! ――ちゃん!」

咲「京ちゃん……京ちゃんっ!」

京太郎「……咲か。悪い、寝てた」

咲「私もつい夢中になって本探しちゃってたからそれは別にいいけどさ。……うなされてたみたいだったけど?」

京太郎「……あぁ、最近よく昔の夢を見るんだ」

咲「昔?」

京太郎「過去の過ちっていうかなんていうか、そんな感じ」

咲「ふぅん。東京に来てから元気ないのもそのせい?」

京太郎「バレてましたか」

咲「幼馴染なんだから当たり前でしょ。みんなも薄々とは感づいてるんじゃないかな」

京太郎「そっか……気をつけるよ。大事な試合前に心配かけるわけにゃいかねーし」

咲「それで?」

京太郎「ん?」

咲「大丈夫なの?」

京太郎「……大丈夫だよ」フイッ

咲「そっか……本当に辛かったらいつでも相談してね?」

京太郎「姫様のお心遣い、痛み入ります」

咲「誰が姫だ。まったく、こっちは真面目に心配してるんだからね!」

京太郎「はは、ほんとに大丈夫だって。咲は心配性だなぁ」フイッ

咲(そりゃ心配するよ。京ちゃん、嘘つく時は目を逸らすんだから……)

京太郎「咲? 置いてくぞー」

咲「あっ、ちょ、ちょっと待ってよ京ちゃん」

京太郎「なあ咲」

咲「ん?」

京太郎「本当にどうしようもなくなったら相談するよ」

咲「……わかった。でも高くつくからね」

京太郎「マジか。うまい棒とかでいいか?」

咲「安っ!? 超安いよ!?」

京太郎「ははっ。冗談だよ」

咲「まったくもう……」

京太郎「……」

咲「……」

京太郎「……ありがとな。心配してくれて」

咲「……うん」

京太郎「ただいま戻りましたー」

咲「ましたー」

久「お帰りなさい、咲、須賀君」

まこ「おー、お帰り。遅かったのう」

京太郎「いやー咲がいつまでも本屋から出たがらなくて」

咲「私!?」

優希「あー、なら仕方ないな」

和「咲さんですからね」

咲「私ってそんなイメージなの……?」

京太郎「あちゃー、もう豆ないな。買ってくればよかった」

京太郎「コーヒー豆買いにコンビニ行きますけど何かいるものあります?」

まこ「わざわざコンビニまで行かんでも自販機のでええんじゃないか?」

京太郎「何も買うものが無かったらそれでもいいですけど、まあ散歩ついでに」

まこ「ほうかい。んじゃお茶に合いそうな和菓子がええのぅ」

京太郎「了解です」

優希「タコス! タコスを買ってきてくれぃ!」

京太郎「お前ほんとそればっかりな」

和「何か甘いものがあったら欲しいです。クグロフとか」

京太郎「なにそれ初めて聞いた」

咲「私は「うまい棒な。わかった」ちょっ……」

久「私は飲むヨーグルトで。いつもありがとうね須賀君。はいお金。お釣りで好きなもの買ってきていいから」

京太郎「了解です、それじゃ行ってきます」

京太郎「しっかし近くにコンビニがあるのは便利だなぁ」

京太郎「和が言ってたグスタフとかいうのは無かったけど、似たような名前のがあったからそれ買ったし」ドンッ

京太郎「おっと、すいま……せ……ん」

「いえ、こちらこそ余所見をしてしまっていて」

京太郎「あ……あ……」

「あの、大丈夫で……」




照「もしかして……京ちゃん……?」


京太郎「はぁ……はぁっ……!」

照「ほんとに京ちゃんなの……?」

京太郎「なん……で……」

照「京ちゃん……だよね? ずっと会いたかった」

京太郎「っ……ぁっ……ぐっ……!」

京太郎(息が……できない。心臓が暴れまわってる……! 冷や汗が止まらない!)

照「汗すごいよ。大丈夫? あ、ハンカチあるよ」スッ

京太郎「!」ビクッ

京太郎「う、うわあああああああああああ!」

照「あっ、待って!」

菫「どうかしたのか照」

照「っ! ……なんでもない」

菫「あれだけ大声を出しておいてなんでもないことはないだろう。今の男は知り合いか? 悲鳴を上げて逃げたようだが」

照「知らない。私に知り合いはいない」

菫「悲しくなるからやめろ。というか私は知り合いじゃないのか」

照「? 菫は友達だよ」

菫「そっ! ……そうか」

照「……」

菫「……」

照「照れてる?」

菫「照れてなどいない」

菫「……追わなくていいのか?」

照「いい。京ちゃ……あの人は知り合いじゃない。それに私は追っちゃいけないから」

菫(どう考えても知り合いだが……訳ありなのか?)

菫(話すつもりはなさそうだな)

菫「そうか。よくわからんがそろそろ戻るぞ」

照「わかった」

照(……京ちゃん)

京太郎「ただいま……戻りました……。これ、買ってきたものです」ゼェゼェ

久「おかえりー……って、すごい汗じゃない」

優希「まるで全力疾走してきたみたいだじぇ」

まこ「散歩じゃなかったんか」

和「でもそんなに息があがるまで走るなんて……何かあったんですか?」

京太郎「いやぁ……ちょっと……テンションが上がって……」フイッ

咲「!」

和「それで全力疾走って……いえ、やりそうな人物に1人心当たりはありますけど」

咲「私はなんとなくわかるなぁ! 知らない場所ってちょっとワクワクするよね!」

優希「咲ちゃんがそれを言ってしまうのか」

まこ「そんなんじゃから迷子になるんじゃろうに」

久「お願いだから出かける時は誰かと一緒にね」

和「出かけたい時は声をかけてくださいね。必ず誰かが付き添いますから」

咲「あれー!?」

京太郎「そういえば和が言ってたトカレフとかいうのが無かったから別の買ってきたんだけど」

優希「トカレフ?」モグモグ

久「拳銃ね」

まこ「んなもんコンビニに売っとってたまるか」

和「そんなもの頼んでませんよ。っていうか頼んだクグロフ買ってきてくれてるじゃないですか」

咲「あれ、京ちゃん私のうまい棒は?」

京太郎「いや、咲にはプリン買ってきたんだけど……うまい棒の方がよかったか?」

咲「ううん! ありがとう京ちゃん」

京太郎「はいよ」

久「じゃあちょっと休憩したら一年生で四人で打ってもらいましょうか」

京太郎「え、いや俺はいいっすよ。試合があるのに俺なんかと打ったってしょうがないでしょ」

久「だからこそよ。須賀君に勝って勢いを付けるの」

京太郎「思ったよりひどい理由だ!?」

優希「あー」

咲「あー」

和「あー」

京太郎「みんな納得しちゃった!?」

久「というのは冗談で、誰かに指導するのって自分の勉強にもなるのよね」

まこ「というのも建前で、本当は京太郎を構ってやりたいんじゃろ」

久「ちょ、ちょっとまこ!」

和「インハイが始まってからは須賀君に色々と押し付けてしまって麻雀の指導ができてませんでしたからね」

優希「まったく、部長は素直じゃないじぇ」

ワイワイガヤガヤ

京太郎「なんか悪いな。俺なんかのために」

咲「なんか、じゃないよ。京ちゃんも麻雀部の大事な仲間だもん」

京太郎「咲……」

咲「みんな京ちゃんのこと好きだからね」

京太郎「っ!」

 ――ちゃんのこと好きだよ。

京太郎「……っぐ! はっ……はぁっ……」

咲「もちろん仲間としてだけど……って、京ちゃん? どうしたの!?」

京太郎「だい……じょ……ぶ、だ」ハァハァ

まこ「なんじゃ。顔色悪いぞ京太郎」

優希「なんか悪いものでも拾い食いしてお腹痛くなったのか?」

和「高校生にもなって拾い食いはないでしょう」

京太郎「ちょっと……トイレ行ってきます……」ヨロヨロ

久「須賀君……まさか本当に拾い食いを……?」

咲「京ちゃん……」

ガラガラガラ ペッ

京太郎「あー、まだ頭ガンガンする」ガチャッ

京太郎「ゲロ吐いたのなんかいつぶりだ……」

咲「京ちゃん」

京太郎「っ!? ……咲か」

咲「コンビニの帰りに何かあったの?」

京太郎「……何もねーよ」

咲「嘘だよ。吐いたって言ってたじゃない」

京太郎「咲……男子トイレを覗く趣味なんかあったのか?」

咲「京ちゃんが言ったのはトイレ出てからでしょ! ……話を逸らさないでよ」

京太郎「……悪い。話したくない」

咲(つまり、何かあったってことだよね)

咲「わかった。今回は聞かないでおくよ」

京太郎「すまないな」

咲「でも、次に何かあったら話してもらうから」

京太郎「それ、は……」

咲「それが嫌なら、いま話して」

京太郎「……」

咲「心配なの。京ちゃんのことが」

京太郎「……わかった。わかったからそんな泣きそうな顔するな。次は絶対に話すから」

咲「ん……約束だからね」

京太郎「おう」

咲「そろそろ戻る? みんな心配してたよ」

京太郎「あー、悪いんだけど今日はもう休みたい」

咲「ん、わかった。みんなには私から言っておくよ」

京太郎「ありがとな」

咲「貸しだからね。今度いっぱい奢ってもらうんだから」

京太郎「お手柔らかにお願いします」

咲「ただいま戻りました」

久「おかえりなさい。あら、須賀君は?」

咲「え、えっとぉ……コンビニ帰りに1リットルの飲むヨーグルトを一気飲みしたけど腐ってたみたいでお腹が痛くなったから今日はもう寝たいって」キョドキョド

久「そうなの……」

まこ「それなら仕方ないのぉ」

優希「飲むヨーグルトなら仕方ないな」

和「腐ってたならお腹が痛くなっても仕方ありませんね」

咲(よし、うまくいった!)グッ

久(嘘ね)

まこ(嘘じゃの)

優希(嘘だじぇ)

和(嘘ですね)

照「はぁ……」

淡「テルー、どうしたの?」

照「ちょっとね」

淡「そっかー」

菫「ふむ……どう思う?」ヒソヒソ

尭深「最近ずっとため息ついてますね」ヒソヒソ

誠子「まぁ……なんでもないってことはないでしょうね」ヒソヒソ

菫「前のコンビニでの件からずっとだ」ヒソヒソ

尭深「男の人が悲鳴を上げながら先輩から逃げたっていうあの……?」ヒソヒソ

誠子「男……逃げる……。ハッ! も、もしかして恋ですか? 失恋ですか?」ガタッ

照「はぁ……死にたい」

淡・菫・尭深・誠子「!?」

淡「あわわわわわわ」

菫「おい亦野! お前が余計なこと言うから!」

誠子「わ、私のせいですかぁ!?」

尭深「……」

誠子「尭深がゴミを見るような目で私を見てる……」

淡「テルー! 死んじゃやだよー!」ギュー

照「ん、大丈夫。まだ死なない。私にはやらなきゃいけないことがあるから」ムニムニ

菫「そ、そうか。インターハイ3連覇もしなきゃいけないからな」ホッ

照「それは割とどうでもいい」

菫「」

照「……もし」

照「もし、あの時、私が違う行動をとっていたらどうなってたんだろうって、最近よく考える」

誠子「昔の話ですか?」

照「そう。もしそうなっていたら私はずっと長野にいたかもしれない」

照(そして、私の隣には……)

淡「でもそしたら私達は会ってないかもしれないよ? 私はテルと……みんなと会えて良かったと思ってるよ」

尭深「淡ちゃん……」

照「うん。私もみんなと会えてよかったと思ってる。でもそうなった原因を考えるとね」

菫「後悔してるのか」

照「とても。すごく」

照「おかげで私の胸が減ってしまった」

淡「ふむー」

菫・尭深・誠子(……反応に困るなぁ)

菫「……それで、やらなきゃいけないことって何なんだ」

誠子(胸の話から逸らしつつ元の話に戻した)

尭深(さすが部長)

照「……会いたい人がいる。会って話をしたい人がいる」

淡「それって長野の人?」

照「そう」

菫「長野……今年のインハイ出場は清澄か」

誠子「たしか勝ち上がってきてますよね。反対のブロックですけど」

尭深「このまま勝てば……決勝で当たりますね」

淡「テルの妹がいるって学校だよねー?」

照「……」

照(……あの時、京ちゃんは制服だった。なら自分の試合か、同じ学校の女子の応援に来たのかもしれない)

照(また、会えるかもしれない。会えなくても選手の人から何か聞けるかもしれない)

淡「おーい、テルー? どうしたの?」

照「気が変わった」

淡「?」

尭深「なんの話です?」

照「さっき3連覇はどうでもいいって言ったけど、絶対に決勝にいって、清澄に会う」

菫「お、おう」

誠子(本気でどうでもいいって思ってたんだ……)

照(そして京ちゃんに会う……!)


もう会うことなんて無いと思ってた

いや、そうじゃない

会いたくないと願っていたんだ

京太郎「……………………」

照姉

咲のお姉ちゃん

俺は昔、あの人と絶対にするべきではない間違いを犯した

今でも忘れることはない

忘れることなんて出来るわけがない


ーーどうして、なんで……っ


京太郎「忘れることなんて、出来るわけがなかったんだ」


京太郎「照姉……」

東京になんか来るべきじゃなかった

いるって解ってたんだから

来ないべきだった

京太郎「……俺は」

それなのに、ここに着た

照姉に会うためじゃなく

清澄のみんなの応援をするために

その善意が裏目に出た

京太郎「くそっ」


忘れたのか

それとも忘れた振りをしてくれていたのかは解らないし

今はどうか解らないけど

再会してしまった時の照姉は普通だった

京太郎「どうして普通で居られたんだ」

悲鳴をあげたり、逃げ出したり……

もっと反応があってもよかったはずなのに


京太郎「……」

もう一度会って、話すべきだと思う自分がいる

でも、また繰り返したらどうするんだと怯えている自分がいる

京太郎「照姉……」

迷って、悩んで、考えて

それでも答えは出てこなかった

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