男「超美形になって異世界に転生したったw」(47)

男「くそが!顔がいいだけじゃどうにもならねえんだよ!」

美形になれば人生イージーモードじゃね?そう思っていた時期が私にもありました。

男「金がない、力がない、人脈がない!ないないづくしでどうすりゃいいんだよ……」

ほのかに悪臭が漂うここは貧民街だ。

くそったれなクズ共が集まって出来たくそったれな街。

男「異世界ktkr!と思ったらこんな場所で生まれるとか本当についてねえ……。普通はさ、貴族の家に生まれてメイドさんを見て髪が青色!?とかって転生人生が始まるんじゃねえの?」

愚痴っててもどうにもならない。だけれど愚痴ってないとやってられない。

俺が生まれたのはいかにも不衛生そうな今にも崩れ落ちそうなボロ屋。

メイドさんもいなくて居たのは酒をかっくらってるおっさんと体中に痣をつくった女の人。

俺はそれを見て神様を恨んだね。なんてところに転生させてくれてるんだって

男「本当に……くそったれだ」

そんな俺もようやく十歳になった。だがなんの力も無いガキが大したこともできるはずもなく毎日をなんとか死なないように生きるだけで精一杯。

俺tueeeeは?チートは無いんですか?隠された力が覚醒するとか!

……そうやって現実逃避するのにももう無理が出てきた。

男「さてと、今日も頑張らなきゃな」

本当は体も育ってないガキが仕事をするのにはある程度人数が揃った方がいい。

数人集まってようやく一人分の働きが出来る。そんなことはわかりきっているのだが俺には関係ない。

はぶられていなかったら俺もそうしているからさ。

そもそも俺がはぶられるようになったのはこの顔のせいだ。

ガキ大将が好きだった女の子が、この俺の顔に惚れた。それだけではぶられた。

力も強いし、リーダーシップもそこそこあるもんだから誰も逆らわない。

生前、顔のことがコンプレックスで美形になることを望んだが役に立っている気がまるでしない。

デブのブスにはレイプされかけた。

ショタ趣味のおっさんにもレイプされかけた。

そもそもこんな不衛生な街でセックスとかする気が起きない。性病が怖いからだ。

娼婦なんかいくらでもいるこの街だが出入りが激しい。

性病にかかって床に伏せたり、鼻が落ちたりとその末路はどうしようもなく哀れだ。

その日暮らしの奴らが医者や治療術師に見てもらえるもなく……。その後はお察しの通りだ。

そんなこんなで体を売るわけにもいかない。まあ、掘られるつもりなんて全く……

戦士「……い。おい!聞こえてんのか!」

男「はい!?」

思わず上擦った声が出てしまった。どうやらまた注意がおろそかになっていたらしい。

いつの間にか筋肉ムキムキなお兄さんが目の前に立っていた……見た感じ冒険者っぽい。

こんな感じで頼む

戦士「あー、とりあえず聞くが男の子?女の子?」

まだ育ちきっていない俺は超美形であることが関係して一目では男女の判別がつきにくいようだ。

男「……男だけど?」

そう答えつつ俺は逃げる準備をする。

目の前の冒険者はどう考えても怪しい。この辺りであんな奴なんか見たことが無い。
それに冒険者がこんな金にならなそうな所に用も無しに来るとは考えられない。

戦士「……男か。まあでもそれでもいいか。せっかくの上玉なのになぁ。生まれる性別間違えてんだろ……」

ぶつぶつと呟いている男を後にして俺は駆け出す。
触らぬ神に祟り無し。面倒事はごめんだ!

戦士「おい、逃げるなよ」

しかし俺はすぐに捕まってしまう。ちゃんとこっちのことを見ていたみたいあだだだだ!

戦士「いきなりバックレるなんていけないぞ?人の話は最後まで聞こうな、ボク」

男「わかったから!痛いって!」

……おとなしく話を聞くことにしよう。とても逃げれなさそうだ。

戦士「とりあえず自己紹介からだな。俺は見ての通り冒険者やってる。歳は24!」

黙っていても挑発するだけなので素直に自己紹介することにする。

男「……ここに住んでる。歳は十歳」

戦士「十歳かー。で、早速だけど俺が君を引き止めた理由はね。雑用が欲しいんだ」

男「雑用?」

戦士「そっ。こう見えて腕はそこそこよくてね。今までソロでやってきたんだけど一人ってのは寂しくてね」

思わず話に聞き入る。
……ここから脱出して自立するチャンスかもしれない。

戦士「そんな無理はしてないから戦力が欲しいわけでもないんだ。それに冒険者と組むと儲けは折半だしね」

……話が読めてきた

男「……つまり、金も少なくてこきを使う相手が欲しいということですか?」

戦士「有り体に言うとそうなるね。雑用してくれるのと、俺の話相手になって欲しいんだよ」

これだけじゃまだどうしたらいいのかがわからない。
もっと情報がいる。

男「あの……待遇とかは……」

戦士「お、食いついてきたね。今のところ衣食住の保証と望むのなら冒険者としてのいろはを叩きこむつもりだよ」

……おいしい。
冒険者は命がけなのだろうがこの貧民街も殺し合いなんてよくある話だ。
自立するための技術も教えてくれるという。こんなチャンスはなかなか……

そうしてふと気づく。おかしい。美味しすぎないか?
ただのガキをそこまでして?雑用をしてくれと言っているが俺が出来ることなんてたかが知れている。

戦士「あれ、どうしたの?」

俺の眼が冷めていったのを見て目の前の冒険者が慌てる。

男「やっぱりいいです」

俺は断りの言葉を告げる

戦士「待った!……本音を隠さず言うから待ってくれ!」

……力づくでされたら俺は逆らえない。
逆上させるよりは話をきちんと聞いてから断ろう。

戦士「……かっこつけて終わらせたかったけど仕方ない。雑用が欲しいだけと言うのは嘘だ」

その言葉を聞いて俺はつい身構えてしまう。

戦士「そう身構えないでくれ。何もしないから。俺はこの前、貧民街の近くを通ってね。そこで……」

溜めてないでさっさと言ってくれ。

戦士「……恋に落ちたんだ」

へー、そうなんだ。で?と内心思いつつ顔には出さないようにする。

戦士「その子はまだ子供でね。だけど貧民街を生き抜くたくましさと……可憐さに満ち溢れていた」

ん?嫌な予感がする。

戦士「子供を好きになるなんて自分を疑ったよ。だけどこの気持ちは日に日に強くなっていった。我慢の限界が来て俺はついにその子に会うことにしたんだ」

まずい。これはとにかく不味い。

戦士「男だと聞いた時も俺の気持ちは揺らぎはしなかった!好きだ!恋人前提で俺について来てくれ!」

うわああああああ!

※ホモ臭くなります。ご注意下さい

男「嫌だ!」

もうなりふり構ってなんていられない。
逃げるのは無理だろうとは思ってはいても俺は駆ける。処女を守るために!

戦士「お願いだ!待ってくれ!」

短い逃避行が終わりを告げた。

男「嫌だ!嫌だ!掘られるなんて冗談じゃない!」

戦士「暴れないでくれ!というかその顔で掘られるとかわめかないでくれ!」

それでも俺は最後まで抵抗をやめない。やめてたまるか!

戦士「俺も無理やりだなんて考えていない!約束する!無理やり迫ったりなんてしないから条件をもう一度考えてくれ!破格だろう!?」

それはそれ……なのだが一旦暴れるのをやめる。
そして即座に距離をとり警戒するのを忘れない。

……魅力的ではある。さっき言っていたおぞましいことが嘘でないのなら俺を大切に扱うはずだ。
もしそうならここでの暮らしよりは遥かに快適だろう。

今の自分の暮らしを冷静に振り返ってみることにする。

この世界での両親……。
酒を飲むのだけは一人前でろくに働きもしない父親。
ろくに自分の子供のことを構いもせず、そんな父親を支えるために必死で働いて暴力を振るわれようが尽くすことを止めない母親。

ろくでもないな、うん。

戦士「考え直してくれたかい?」

今すぐにでもこのお誘いに飛びつきたいが問題はこのホモ野郎だ。
暴力に怯えなくては済むだろうが貞操の危機に怯えなくてはならなくなるだろう。

もし言っていることに嘘がなければとんでもない好条件だ。
だけどそれだけの好条件に見合うだけの物が俺にはそれくらいしかないのも事実。

考えろ!考えるんだ俺!
相手が差し出してきた条件を呑む以外でここから抜け出すにはどうしたらいいのかを!

ホモは嫌だ!だけど待遇はいい!
そうやって俺の思考が堂々巡りになっていると……

戦士「……どうやら望んだ答えはくれそうには無いみたいだね」

当たり前だろ。俺はお前と違ってノンケだからな。

戦士「未練たらたらでいてもかっこ悪いだけだしね。元々無理強いはするつもりはなかったし、君のことはすっぱりと諦めるよ」

男「え?」

はあ!?ちょっと待てよ!そんな簡単に諦めんなよ!俺の生活がかかってるんだぞ!

戦士「だけど……」

男「……だけど?」

戦士「踏ん切りをつけるために君からきちんと言葉にして俺に伝えて欲しい。断るか、条件を呑むのかを」

男「……交渉の余地は……?」

戦士「すまないけどイエスかノー。どちらかだけだ」

こいつぅぅぅううう!人が交渉しようかと考えてた途端にかよ!
狙ってやってるのかはわからんが……ぐぬぬぬ。

貞操を取るか、生活面の向上をとるか。二つに一つ。
……だめだ。どちらを選んでも後悔しそうだ。

戦士「さあ、どちらにするのかな。言うまでもなく俺としては一緒に来て欲しい」

くっそおお!なんでこんな所でいきなり人生の岐路に立たされるんだ!?
選べ!選ぶんだ俺!正解の道を……!

そこで気づく。貞操の危機はどちらにしろ、ある。
今までにここ、貧民街で襲われたことも実際にある。と、いうことはだ。
どちらにしろ貞操の危機があるのなら好条件のである方を選ぶのが正しい答えなのではないのだろうか。

よく気づいた俺!どちらにしろこの顔だから狙われるんだ!泣きたいけどそれが現実。なら……

男「……決めました」

戦士「そうか。……どうするんだい?」

男「……あなたに、ついて行きます」

戦士「ほ、ほほ本当かい?」

男「はい」

戦士「や、やったぁぁぁ!き、君を必ず幸せにしてみせるから!」

そうしてくれると嬉しいが言い方がキモい。

なんか面白そうだと思ったらホモかよ

>>20
ホモっつうか友達以上恋人未満?なじゃれあいを書きたい。

戦士「えっとやっぱりいろいろな準備があるだろうな。別れを告げる相手もいるだろうし」

男「いえ、すぐに行きます」

別れを告げる相手なんぞいない。

子供達からははぶられていたし、世話になったような大人もいない。
親は喜ぶか難癖をつけてくるかのどちらかだろう。

家には自分の物もほとんどないから着の身着のまま行ける。

戦士「……そうか」

何やら察してくれたらしい。まあこいつもこいつで苦労したことがあるんだろう。

戦士「それじゃあ、行こうか」

そういって手を差し伸べてくるが、野郎の手を握るつもりなんてさらさら無い。

戦士「あー、ごほん。行こうか」

そいつは手を所在なさげに動かした後、咳払いをしてそう言った。

ようやくここから抜け出せれると思うと感慨深い。俺は貧民街を一瞥し、とことこと前を歩く戦士の後ろについて行った。



俺達は服屋の前に来ていた。

戦士「とりあえず君の服を買おうか」

俺は自分が着ている物をじっと見る。
長い間着ていたから気にならなかったが、薄汚いし擦り切れていてお世辞にも上等な服だとは言えない。

衣食住を保証してくれると言っていたし、早速それを実行するつもりなのだろう。

どうやら言ったことはちゃんと守る質のようだ。これからの生活にも期待が持てるな。

戦士「じゃ、入ろうか」

男「はい」



店員「いらっしゃいませー」

店内に入ると早速店員がこちらの方へやってきた。

店員「何をお求めですか?」

戦士「この子が着る服が欲しいんだ」

戦士がそう言うと店員がこちらの方を見て納得したかのように頷く。

店員「なるほどこちらの方が着る服をお求めですね。どのような服に致しますか?」

俺は自分の要望を伝えようと口を開くとそこに間髪入れずに戦士が口を挟んできた。

戦士「ワンピースにしてください。白の」

……何言ってんだこいつは?

男「すいません、ワンピースって女物ですよね」

戦士「そうだな」

店員「そうですね」

男「お……僕は男ですよ」

戦士「知ってるよ。だけど君に似合うのは白のワンピースしかない。いや、それがいい」

こいつ変態だ。わかっていたけど。

店員は何も聞かなかったふりをして服を持ってきた。
……白のワンピースを。

店員「サイズ的にはこちらの物になりますね」

戦士「うん。いいんじゃないかな」

店員がワンピースを俺の体に当ててサイズを測る。

ワンピースを着るのなんてまっぴらなので必死の抵抗をする。

男「いや、おかしいですよ。それにそんなの着るのなんて嫌です」

店員「と、申されいますがどうなさいますか?」

戦士「お金を払うのは俺なんで」

店員「わかりました」

わかっていたさ。無駄なことだなんて。

だが食い下がる。男としての尊厳を失うようなことは……!

店員「お似合いですよ」

戦士「すっごく可愛いよ」

なんということでしょう。匠の手により薄汚い服からあっという間にワンピース姿に。
無駄のない動きで着替えさせる動きに匠の技を感じさせます。

……尊厳、守れなかったよ、俺。

戦士「それじゃあと、ワンピース数着と下着なんかをください。あとこの服は処分で」

ろくでもないとは言え、思い出の詰まった服の処分を頼みやがった。
どうあっても俺をワンピース姿でいさせたいらしい。

べ、別にこれくらいで保養主の機嫌がとれるのならちょろいもんだし!……別に泣いてなんかねーし!

これからも女装させられるかと思うと軽く鬱になるが負けるな俺!

戦士「それじゃ支払いはこれで」

店員「はい確かに。またのご来店をお待ちしています」

俺達は服屋を後にした。



てくてくてく。

どんどん前に進む戦士の後ろを俺ワンピースを着ているという羞恥に耐えながら歩いていた。

戦士は時々こちらを見ながら、歩調を俺に合わせている……ように見えてその顔がにやついているので妄想でもしてるんだろう。気持ち悪い。

男「次はどこに行くんですか?」

戦士「もうそろそろ昼だし、食事にしようと思ってね」

おお、飯か。ちょうど腹が空いてきたところだったのでありがたい。

戦士「行きつけの安くて美味しい店があるんだ」

そう言われるとつい期待してしまうではないか。

どんな料理が食べれるのだろうと考えながら歩いていると人が多くなってき始め、あたりに食べ物の匂いが漂いだす。

戦士「ここら辺は食べ物の屋台が集まっててね。お昼時にはこんな風に人が集まるんだ……あっ、ほらあそこだ」

そう言って戦士が指差した先の店では店員が香ばしい匂いを漂わせる肉を野菜と共にパンに挟んでいた。

戦士「あのサンドイッチがうまいんだ」

空腹なのもあってかそのかぐわしい香りを嗅ぐとついごくりと唾を飲み込んでしまった。

戦士「ははは、気に入ってくれたようで何よりだよ。すいませーん、二つください」

おばちゃん「あらあら、あんたまた来たのかい嬉しいねえ」

戦士「ここのサンドイッチはうまいからね」

どうやら行きつけというのは本当らしい。店員のおばちゃんと親しげに話し始めた。

するとおばちゃんが俺の方を見る。

おばちゃん「おや、その別嬪さんはどうしたんだい?あんたに妹は居なかったはずだけどねえ」

おばちゃんは不思議そうに尋ねる。

戦士「俺だけの天使さ」

何言ってんだこいつ。

おばちゃん「……犯罪はだめだよ?」

男「ワケあってこの人のお世話になってるんです」

戦士「今はね」

おばちゃん「……まあ、詳しくは聞かないよ」

どうやらおばちゃんは深く考えるのを止めたらしい。
さっきの店員といい商売人はスルースキルがないとやっていけないのだろうか。

おばちゃん「それでサンドイッチ二つだったね?」

戦士「ああ」

おばちゃん「それじゃあどうぞ。こぼさないようにね」

そういってサンドイッチを手渡される。まだ温かくておいしそうだ。

それから漂ってくる匂いに我慢できずにすぐにかぶりついてしまう。

おばちゃん「どうだい?」

その問いの答えは無言で続けてサンドイッチにかぶりつくことだった。

うまい。薄切りの肉、葉野菜にたっぷりとソースがつけてあってその甘辛さが病みつきになる。

まともなものなどほとんど食べられなかったのもあってあっという間に平らげてしまった。

おばちゃん「おやおや、いい食べっぷりだねえ」

戦士「気に入ってくれたようで何より」

気づくと二人が微笑ましそうにこちらを見ていた。
その気恥ずかしさに俺は顔が赤くなってしまう。

戦士「可愛い!すごい可愛い!」

にやにやとこちらを見つめてくる戦士が気に食わないので睨みつける。

戦士「そんなに情熱的に見つめられると照れるよ」

逆効果だった。

おばちゃん「お嬢ちゃんお腹が空いているのならもう一つどうだい?」

食べたいのは山々だがいいのだろうか?戦士の方を見ると頷いてくれた。多分了承の意だろう。

財布が許可を出したので俺は遠慮なく二つ目を手にとる。

俺のことを女の子だと思っているようだがワンピースを着ている今言っても面倒なことになりそうなので流す。

……女装少年よりは女の子だと思われてた方が良いはず。きっと。多分。メイビー。

戦士「それじゃ食べながらでもいいから次の目的地に向かおうか」

おばちゃん「またくるんだよ」

戦士「ああ、そうするよ」

サンドイッチを食べながら出店のおばちゃんに別れを告げる。

ちなみにサンドイッチの値段は貧民街出身の俺からするとやっぱり高かった。

それでも出していいと思える値段だったのだが。

戦士「次はギルドに向かうからね。依頼について行くだけでもいろいろ登録してないと面倒だから」

男「わかった」

ギルド。なんともファンタジーっぽい響きだ。

登録ということは一応俺も冒険者の端くれになるということだろう。

やっぱり成長してデカくなったら巨大な大剣とか使ってみたいな。
てめえの顔も見飽きたぜ!的な!

そういやこの兄ちゃんはどんな武器を使うのだろうか。
良く見ると腰に剣を身につけている。刃の大きさから見て片手で扱う用だろう。

一旦ここまで。
地の文有りはなかなか面倒くさいな。ダンジョンの方もよろしくノシ

戦士「これが気になるのかい?」

そういって戦士は自らの腰に差している剣の柄を握る。

なんだか語りたそうにこちらを見つめてくる。
うっとうしいことこの上ないがギルドがあとどれくらいの距離なのかわからないので時間つぶしに話を聞くことにする。

男「はい。戦士さんはその長剣で闘うんですか?」

戦士「ああ、そうだよ。あと敬語は別にいいよ?」

口調をくだけさせて親しくなられたと思われるのもいやなのでそれを聞き流す。

男「なんかかっこいいですね、それ」

戦士「そうだろう!?この剣は本当に高かったんだよ。お金を苦労して貯めてようやく手に入れたんだ」

男「業物ってやつですか?」

戦士「まあ、魔術的な加工によって鋭さが増しているからね。見た目よりも斬れるよ」

男「そうなんですか」

魔術による加工が施された剣とか本格的にファンタジーだな。効果は地味だけど。

戦士「君はこの剣で絶対に守るから安心しててくれ」

男「……はい」

守ってもらえるのは嬉しいけどそのセリフはまったく嬉しくない。俺はつい顔を逸らしてしまった。

強くなっていつかそんなことを美少女に言ってみたいなあ。

戦士「任せてくれ!」

俺が顔を逸らしたのを照れ隠しだと思ったらしい。なんか鼻息を荒くしてるよ。

まあ、気合いを入れて守ってくれるのならありがたい。
とっとと冒険者としてのいろはを覚えて掘られる前にとんずらしよう。

そんなことをやっているうちになんだか歩く人たちの服装が物々しくなってきた。
でかい大剣を背負ってる人や明らかに魔法使いっぽい人も居る。どう見ても冒険者だ。

戦士「ついたよ。ここがギルドだ」

その建物は……

男「……大きいですね」

周りの建物に比べて少し大きい。それぐらいしか特徴がなかった。
造り自体は周りにある建物とほぼいっしょ。大きさぐらいしか特筆することがない。

戦士「大きさぐらいしか特徴がないんだよ。まあ変に凝って周りから浮くよりはましなんじゃないかな」

そんなことを言いつつ戦士はギルドの中へと入っていった。置いていかれないように俺も続く。

どうしよう。

入ってすぐにわかったが今の俺はひどく場違いだ。

鎧やローブに身を包んでいる冒険者達が集まる場所へワンピースを着た子供。

すると当然珍しいので注目が集まる。

男「あ……うう……」

痛い痛い視線が痛い!そんなにジロジロ見ないでくれ!すごく居心地が悪い!

無遠慮にざすざすと刺さる好奇の視線に耐えきれず俺は戦士の影に隠れる。

べ、別にあんたを頼りにしてるわけじゃないんだからね!勘違いしないでよ!

戦士「はぁはぁ」

めっさ勘違いしとる。

するとそんな俺達へ野次が飛ぶ。

「おいおい、ここは託児所じゃねえんだぞー?」

建物が笑いの声に包まれる。くそぅ、顔覚えたから覚悟しとけよお前!

「つうか本当にどうしたんだそれ?まさか隠し子か?」

戦士のことを見知っているらしい冒険者がこちらに事情の説明を求めてきた。

どう説明するのだろうか。

戦士「すう……」

戦士が深呼吸をする。おそらく大声を出すつもりなんだろう。あ、なんかいやな予感がする。

戦士「この子は俺の恋人だ!手を出した奴はぶっ飛ばすからな!」

先ほどの笑い声とは打って変わってしんとした静寂が建物を包む。

何言ってんだこいつは!というかその言ってやったぜ?的な顔でこっちを見るな!うっとうしい!

「……お前ロリコンだったのか」

戦士「違う。この子は男だ」

「はあ?」

こいつに喋らせてはいけない。

更に状況が悪化したんですけど。ひそひそ声がすごい聞こえるんですけど!

「……お前、そんな奴だったのか」
「女装少年を恋人にするとかレベル高すぎんだろ」
「密かにかっこいいと思ってたのに……!」

続き思いつかないんで寝る。
こういうスレって需要あるんかね?

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