晶葉「これは、精神年齢を変動させる装置だ」 (43)

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(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1367404525/)
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晶葉「ついに研究していた装置が完成したぞ!」

P「ああ、最近研究室にこもってたもんな。で、どういうものなんだ?」

晶葉「うむ、光線の照射パターンによる刺激で催眠状態に導入し、一時的に人格を書き換えるんだ」

P「話を聞く限りかなり物騒そうだが……」

晶葉「なに、大したことじゃない。あくまで一時的なことだし、個人の範囲は超えない程度だ
   ……あ、もちろん記憶は残るようにしてあるから、やましいことには使えないからな?」

P「せんわっ、失礼な! ……しかし個人を超えないなら人格は変わらないんじゃないか?」

晶葉「ふむ、その指摘もわかるが。……まあ論より証拠、結果を見て貰った方が早いだろう」

まゆ「プロデューサーさぁん……。まゆ以外とお話しするの、楽s」

晶葉「えいっ」

ビビビビビ

まゆ「」

P「……」

まゆ「……まゆのっ!」

P「!?」

まゆ「プロデューサーさんはまゆのだからとっちゃダメっ!」
ギュッ

P「」

晶葉「このように脳内で個々の経験に基づくパーソナルを瞬時に分析し
   指定した年齢に則した社会性や羞恥心、自己中心性などを強調・抑制させる
   まあ、誤解を恐れず簡単に言えば、精神年齢を変動させる効果があるというわけだ」

P「……なるほど」

まゆ「……」
ギューッ

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1369227563

※下げるを変動にしたのは融通が利くようにってことで


晶葉「うむ、さすが私の発明、完璧な効果だ」
ウットリ

まゆ「うーっ」
ムギューッ

P「まゆ、大丈夫だよ。誰もとったりしないさ」

まゆ「……ほんとぅ?」

P「ああ。……だからあんまり強くしがみつくのはやめて///」

まゆ「……うん」
シブシブ

晶葉「……」
イラッ

P「まゆはあっちで休んでなさい」

まゆ「はぁい」
トコトコ

P「……ふぅ」

晶葉「…………変態」

P「な、なにがだっ」

晶葉「……私にだって少しはあるんだぞ」

P「だからなにがっ」

晶葉「ええいうるさいうるさい!」

P(……理不尽だ)

晶葉「……実験効果の確立に必要なものは何かわかるかね、助手よ」

P「はい、先生。わかりません」

晶葉「うむ、お約束をありがとう。それは再現性だな、定量性やらなにやらはこの際おいておこう」

P「はぁ」

晶葉「わかるかね」

P「まあ、なんとなくは」

晶葉「……簡単に言えば、同じ条件の下必ず同じ事を起こせるかってことだ」

P「ああ、なるほど」

晶葉「というわけで、次の実験対象を求めてさあいくぞプロデューサー!」

P「はいはいりょーかーい」

晶葉「お、おあつらえ向きに。おーい菜々くん」

菜々「? 誰かナナのこと呼びましたかーっ?」

晶葉「うむ、私だ」

菜々「あ、晶葉ちゃん。どうかしたんですかっ?」

晶葉「……ほい」

ビビビビビ

P「なっ……、いきなりかよ」

晶葉「観測対象に予断を与えては純粋なデータが取れないからな」

菜々「? なんですかーっ?」

P「……変わらないじゃないか」

晶葉「……いや、そんなはずは」

ビビビビビ

菜々「何かの遊びですかっ? ナナもやりたいですっ」

P「……」

晶葉「……くっ」

ビビビビビ

菜々「わぁ、面白そうです! はやくナナにも貸してくださいっ!」

P「……年齢が下がってるのか素なのか判断がつかんな」

晶葉「いや、5・6才は下がる設定にしてるから目に見えて低年齢化が進むはずなんだ……くそっ」

ビビビビビ

菜々「もう、貸してくれないとナナにも考えがありますよ?」

P「……」

晶葉「どういうことだっ!?」

P「失敗したんじゃないか?」

晶葉「そ、そんなはずはないっ! 私の作ったものが完璧じゃないなんて……っ」

P「いや、たまにはそういうこともあるだろ……、って!?」

菜々「えーい」
パッ

晶葉「な、ななななにをするっ」

菜々「ふふふ、ナナを無視して晶葉ちゃんばっかり撃つからですよっ。それ、バーン☆」

ビビビビビ

晶葉「」

P「……晶葉?」

晶葉「……ヒック」

P「……?」

晶葉「してないもん……。晶葉、失敗なんてしてないもん……」
グスグス

P「」

晶葉「晶葉、かんぺきだもん……。間違ってないもん……っ!!」
メソメソ

P(数十分で効果は切れたが記憶は残っていて、真っ赤な顔で誰にもしゃべるなと釘を刺す様子が可愛かった
  役得ではあったが、ではなぜ菜々には効果がなかったのか……。全くもって不思議なこともあるものである)

美嘉『でさ、そこで莉嘉がなんと――』

P『ははは、莉嘉らしいな』

美嘉『でしょー? でねでね? ――』


莉嘉「……」
コソコソ

晶葉「……なあ、城ヶ崎妹よ」

莉嘉「んー、なに? 今お姉ちゃんたち見張るのに忙しいから手短に言って」

晶葉「いや、そもそもなんで私たちがこんなコソコソ見張ってるのかを聞きたいんだが」

莉嘉「ああ、それはねー」


美嘉『あ、そういえば……。こないだの収録で莉嘉がプロデューサーに助けてもらったって』

P『……ああ、共演者の××さんのあれな。あの人、人は悪くないんだけどちょっと女癖が悪いとこあるんだよなぁ』

美嘉『うん。……でさ、……もしよかったらお礼にちょっとご飯でもどうかなって』

P『バーカ、お前に奢ってもらわにゃならんほど落ちぶれちゃいないわ』

美嘉『あ、あはは……、……そうだね』
ショボン


莉嘉「と、いうわけなのです」

晶葉「うむ、全くわからん」

莉嘉「もう、晶葉さん鈍すぎだよっ!」

晶葉「むぅ……」

莉嘉「お姉ちゃんがもっと簡単にPくんを誘ったり出来るようになればいいなーってこと」

晶葉「……趣旨はわかったが、なんでそこで私が出てくるんだ?」

莉嘉「昔はお姉ちゃんもあんなに照れ屋じゃなかったんだよねー
   だから晶葉さんの若返り銃でバーンと撃っちゃえば、って思って」

晶葉「誰に聞いたかは敢えて聞かんがね
   まあ実験対象が増えるから私は別にかまわんよ」

莉嘉「よぉし! じゃあ隙を見てやっちゃおーっ!」

美嘉『――でね、この間収録で一緒だった子に聞いたんだけどさ』

P『ああ、7○5の子だっけ?』

美嘉『□□ってお店なんだけど、スイーツがすごく美味しいらしいんだよね』

P『ふーん』

美嘉『……ところで、プロデューサーってそういうの大丈夫な人?』

P『スイーツのことか? ……うーん、人並みだな。嫌いってわけじゃないが、わざわざ店行って食うほどでもない』

美嘉『そ、そっか……』
ショボボン


莉嘉「……もー! Pくんも察してあげなきゃダメだけどお姉ちゃんもお姉ちゃんだよっ
   そこはそんなPくんもハマるくらい美味しいかもよとか言って誘い出さなきゃっ!」

晶葉(……中一の妹に恋愛面で駄目出しされる高三の姉というのもどうなんだろうな)

莉嘉「やっぱりここは晶葉さんの出番だよっ。すたんばーいっ」

晶葉「はいはいすたんばいおっけー」

莉嘉「さん……、に……、いち……。……ってーーーっ!!!」

晶葉「はいふぁいやー」

ビビビビビ

P『そういや765といえば、こないだ星井美希と担当プロデューサーの食事シーンがデートとしてフォーカスされてたよな
  事実がどうかは知らんが、お前らも気をつけろよ? 今みたいな普通の会話もそれっぽい見出しがつけばデートにされるからな』

美嘉『はは……。うん……、気をつける……』
ショボボボン

P『ん? どうしたんだ美嘉?』

美嘉『……なんでもないよ、……なんでも』
グッスン

ビビビビビ

美嘉『』

P『? 美嘉』

美嘉『……むー』

P『どうした?』

美嘉『プロデューサーは、アタシなんかとデートしたくないんだ……』

P『は? いきなりなにを……』

美嘉『だって……、……さっきもいやそうに普通の会話って』
グスグス

P『なんでそうなる!? あくまで気をつけろと言ったまでで……っ』

美嘉『……うう』
グシュグシュ

P『うわっ、泣くな! わかった言うとおりにするから泣き止んでくれ!』

美嘉『二人で、お菓子、食べに行きたい……』

P『……はぁ、まあそのくらいならいいか』

美嘉『……えへ。……プロデューサー、大好きっ』
ニコパッ

P『』

莉嘉「おーっ! 言ったよ! お姉ちゃん言えたよっ」

晶葉「まあ装置の効果で羞恥心や愛情表現が小中学生レベルになってるだけだがな」

莉嘉「いいのっ! まずは一歩踏み出すことが大事なんだよっ。Pくんも意識するだろうし」

晶葉「……うーん、間違ってはいないが、な」

莉嘉「でしょ?」

晶葉(しかし、プロデューサーは装置のこと知ってるわけだしそのうち気付くだろうな
   あと、城ヶ崎姉にとっては荒療治すぎて逆にトラウマになるんじゃないのか? これ)

美嘉『んー……。ふふ』
スリスリ

P『……あのな、美嘉』

美嘉『……んー?』
ギュー

P『ちょっと離れてくれないかなー』

美嘉『やー』

P『そうですかー』

美嘉『うんー』
ベター

P『……事務所内ならまだいいか』


晶葉「あれは、……ちょっとまずいんじゃないのか?」

莉嘉「あのくらいは大丈夫! 最近はみんなしてるよ!」

晶葉「……ちなみに、ソースは?」

莉嘉「え? ……お姉ちゃんが出てる雑誌とか」

晶葉「……城ヶ崎妹、キミはもう少し世間を知れ」

莉嘉「えー、だって少女漫画でも」

晶葉「……待て、動きがあるようだぞ」


美嘉『えへへぇ、……ちゅーっ』
ギューッ

P『』


晶葉「さすがにこれ以上はまずいだろ。……って莉嘉?」

莉嘉「すとーっぷっ!! いくらお姉ちゃんでもそれはダメーっ!!!』
ズダダダダダッ

晶葉「……、ヤキモチ焼くくらいなら、最初からしなければいいだろうに」
ヤレヤレ

P(途中から怪しいと思っていたがやはり例の装置の効果だったようだ。……まああんな美嘉も新鮮で可愛いと思ったので莉嘉も晶葉も説教は勘弁しておいた
  それはともかく、我に返った美嘉が恐縮しっぱなしで可哀想だったので、子供がやったようなものだから気にしないと言ったら莉嘉に蹴られた。……なぜだ)

スレのっけからパソ壊れて修理出しで心折れ気味な>>1です
とりあえずスマホから書いてみたが出来についてはなんとも
データ無事だといいけどなー、無理かなー


P(今日は晶葉がロケで留守にしている。……一応装置は持たされているが)

P「さて、仕事の時間だぞ、杏」

杏「うーん……。ね、プロデューサー」

P「どうした?」

杏「今日はお休みにしない?」

P「……なんでだよ」

杏「杏はだるいのさ」

P「だるいからって仕事サボる奴がどこにいるんだよ」

杏「ここにいるけど?」

P「当たり前のようにいわないでくれ」

杏「杏は杏だからね!」

P「だからなんで誇らしげなんだ」

杏「杏は杏だからね!」

P「全く、お前って奴は……」

杏「ひひひ」

P(……待てよ?)

P(今の杏が怠け者だったとしても、昔の杏がそうとは限らないんじゃないか?)

P「んー、よし」

杏「え?もしかして本当にサボっても」

ビビビビビ

杏「」

P「さて、果たしてどうなるか……」

杏「……だる」

P「ですよねー」

杏「……」

P「しかし仕事にはいかねばならぬ、行くぞ杏」

杏「……だっこ」

P「は?」

杏「だるい、だっこ」

P「…お前一応仮にも女の子だろ」

杏「仮じゃなく杏は女の子だ」

P「女の子なら男にだっこして運べとかいわんぞ」

杏「そうでもないよ、恋人同士とかはする」

P「驚いた、俺とお前は恋人同士だったのか」

杏「それはないね」

P「……お前が言ったんだろ」

杏「だっこする実例を挙げただけだよ」

P「んなことするのは恋人同士くらいって話じゃないのか?」

杏「……うるさい。だっこ」

P「……へーへー」

P(結局もっとダラダラになっただけか)

杏「よいしょ」

P「待て」

杏「?」

P「百歩譲ってだっこは認めたがその体勢はおかしい」

杏「どこが?」

P「うん、真正面に顔があったり首に腕をかけてたり腹辺りを股でカニばさみしてたりとかかな」

杏「頭がフットーしちゃう?」

P「いやそれはないが」

杏「ちぇ」

P「これならまだお姫様だっこの方がましだ」

杏「じゃあそれで」

P「いやましってだけでやるとはいってないが」

杏「ぶーぶー」

P「あのな? そもそも、もしそういうとこ撮られたら人気急落だぞ?」

杏「ならプロデューサーに養ってもらうよ」

P「じゃあその前に養ってやれるくらい稼がせてくれ」

杏「んー、わがまま」

P「どっちがだよ、全く」

P(まあ最終的には押し負けて車まで運ぶことになったわけだが)

P「ついたぞー」

杏「ん」

P「……なんぼなんでも局入りでは無理だぞ?」

杏「んー」

P「いやだから無理なもんは無理で」

杏「んっ」

P「さっきも言っただろ? 撮られたらまずいんだぞ?」

杏「ん!」

P「……わかったよ、どうなってもしらんぞ?」

杏「ん」

P(結局、杏は捻挫という体でこの局面をクリアした
いつのまにやら包帯まで用意していたのは驚いたが
収録スタッフに怪しまれることもなく、そこは杏のおかげという他ない)

P(そして、収録も終わり)


杏「つかれたー、だっこしてー」

P「へーへー」


杏「うちまで送ってー」

P「へーへー」


杏「鍵開けてー」

P「へーへー」


杏「お風呂の準備ー」

P「へーへー」


杏「トイレ連れてってー」

P「うん、それはないな」

杏「え?」

P「え? でもないな」

杏「流石にパンツ脱がせろとか言うつもりはないよ?」

P「それ以前の問題だ」

杏「まあプロデューサーが土下座して一年くらいお休みくれるならさせてあげても」

P「もとより興味など毛ほどもないわ」

杏「うーん、それはそれでなんかむかつくけど。まあ実際されても困るし今はいいや」

P「今とかそういう問題じゃないからな。……で」

杏「?」

P「いつから戻ってた?」

杏「収録終わった頃にはもう、かな」

P「案外あっさり認めたな」

杏「嘘ついてもしょうがないしね。というか、なにあれ?」

P「かくかくしかじかでな」

杏「へー、すごいね」

P「俺としてはお前の筋金の入り具合の方に感心したよ」

杏「杏は杏だからね!」

P「ああ、思い知ったよ……」

杏「むー、いいじゃん。おかげでプロデューサーも役得だったでしょ?」

P「得?」

杏「杏の身体にベタベタさわれてさ」

P「……得?」

杏「しっつれいだなぁ」

P「アホなこと言うからだ」

杏「でもちょっとくらいむらっと」

P「かけらもないな」

杏「ひどくない?」

P「一応担当とアイドルだからな」

杏「ああ、そうやって自分の気持ちをごまかしてるんだね」

P「お前のその手のことに関しちゃ100%天然物の無関心だ」

杏「……ひどくない?」

P「いや、普通にプロデューサーがそういう風に見る方がひどいだろ」

杏「んー、そうかなぁ」

P「じゃあもし仮に俺が杏たんのつるぺたボディハァハァとか言ってたらどうするんだよ」

杏「通報する」

P「……どうしろと」

杏「なんていうか、全くそういう風に見られないのも嫌だけど見られすぎるのも嫌なんだよね」

P「わがままだなぁ」

杏「要はさ、ちょっとだけでもドキッとしてくれればいいんだよ」

P「ああ、ドキドキはしてたぞ」

杏「ほほう?」

P「いつ職質されるかと」

杏「ですよねー」

P「完全に小児誘拐犯だ」

杏「引っかかるけど納得」

P「な」

杏「世知辛いね」

P「な。……お、風呂湧いたみたいだ」

杏「……んー」

P「どうした?」

杏「もっかい撃ってみて」

P「なんで?」

杏「いいから」

P「……へーへー」

ビビビビビ

杏「……あれ?」

P「どうした?」

杏「なんないみたい」

P「そういや短期間での連続使用は効果を弱めるとか言ってたような」

杏「……そっか」

P「で、何がしたかったんだ?」

杏「んー、……いいや」

P「いいのか」

杏「ん。……今日も疲れたし、杏はお風呂にはいるとするよ」

P「ああ、じゃあ俺は帰るわ」

杏「……じゃね」

P(その後何だか杏が妙にさみしそうだったので
冗談めかして一緒に風呂はいるかと言ったら真っ赤になってぶん殴られた
……いくらなんでも冗談にそこまで怒らなくてもいいだろうに、全く最近の娘は謎である)

パソコンが無事だった記念



晶葉「……」

P「……」

晶葉「……」

P「……なあ晶葉」

晶葉「どうしたプロデューサー」

P「仕事も終わったし後の予定もないのになんでここにいるんだ?」

晶葉「……ああ、気付かなくて済まない」

P「いやっ、悪いとかそういうことじゃないんだが」

晶葉「空腹なら言ってくれれば……。食事くらい付き合うぞ?」

P「……そういうことでもないんだが」

晶葉「ならなんだというんだ、言いたいことがあるならはっきりと言え
   自慢じゃないが持って回った言い方をされたら100%わからん女だぞ、私は」

P「確かに自慢じゃないなぁ……」

晶葉「そんなことはどうでもいい、なにがそんなに気にくわないんだ」

P「だから気にくわないとかじゃなくてだな」

晶葉「だからなにが言いたいんだ、はっきりと言ってくれ」

P「……さっきからなんで俺の周りに張りついてんの?」

晶葉「…………」

P「……?」

晶葉「……いや、別に深い意味とかはないんだぞ?」

P「あ? ああ……」

晶葉「キミはなぜかやたらアイドルとエンカウントするからな
   例の装置の実験対象を探すのにうってつけだろうという判断だ」

P「うーん、実感はないんだが」

愛梨「あ、おはようございます。プロデューサーさん、晶葉さん」

晶葉「な?」

P「……実感はないんだが」

愛梨「?」

P「というか愛梨、今日は仕事じゃないだろ?」

愛梨「ああ、ちょっとケーキ作りすぎちゃったんで、差し入れにきたんですよー」

P「ははは、いつものうっかりか。仕事の時は勘弁してくれよ?」

愛梨「もー、ひどいなぁプロデューサーさんはー」

P「しかし余ったっていっても冷凍でもしとけば日持ちもするんじゃないか?」

愛梨「うーん、やっぱり作りたての方が美味しいですし、人に批評してもらった方が上達しますもん」

P「そうか、じゃあ遠慮なくもらうが」

愛梨「はい、どうぞ召し上がれ」
サッ

P「ん、……うまいなーこれ」

愛梨「……えへへ」

晶葉「なあ十時くん」

愛梨「はい?」

晶葉「私は菓子関係には詳しくないが、その手の類は材料の計量が重要なんだろう? そんなに完成量を間違うものか?」

愛梨「……えーっと。……いっぱい量を作ると美味しくなるんだよ」

晶葉「ふむ。そういうものか」

愛梨「うん、そういうもの。……えへへへっ」

晶葉「なるほど……。ところで、これは私もご相伴に預かっていいのかな」

愛梨「うん、もちろんだよー」
サッ

晶葉「……うむ、確かにうまい」
ハムハム

愛梨「えへへ、自信作なんだよー」

晶葉「ところで、プロデューサー」

P「ん?」

晶葉「残してる分はもう食べないのか? 食べないなら私が食べてやるが」

愛梨「あ……、それは……」

P「ああ、かまわないぞ? しかしお前がそんなにがっつくとは意外だな」

晶葉「なにを言う。頭脳労働に糖分補給は不可欠。それ以上の意味はない。……ん?」
ムグムグ

愛梨「……」
ピクッ

P「どうした?」

晶葉「いや、さっきのと比べて甘くない気が」

愛梨「……」
ソワソワ

P「そうか? 甘いもん食ったから麻痺してるんじゃないか?」

晶葉「そういうものか?」

P「だいたい同じケーキを違う味にするなんて労力の割りに意味ないだろ」

愛梨「……」
ドキッ

晶葉「うーん……。違う気がするんだがなぁ」

P「そんなに気になるなら本人に聞けば?」

晶葉「愛梨くん、どうなんだ?」

愛梨「え、ええっと……。同じはずですよ? あはは……」

P「ほらな」

晶葉「むー。……舌が鈍ったか?」

愛梨「……ほっ」

愛梨「じゃあ、お皿とかかたしちゃいますねー」
カチャカチャ

P「あ、ああ、悪いな」

愛梨「……『冷蔵庫にケーキあるよ、先着3名!』と。メモ、机に置いといてください」

P「ああ。かな子が見つけないことを祈ろう」

愛梨「ふふっ、ひどいですねプロデューサーさん。いくらかな子ちゃんでも独り占めしたりはしませんよ、きっと」

P「いや、わからんぞ? そのぐらいお前のケーキはうまいからな。甘いものが得意でない俺も食えるし」

愛梨「えへへっ、お世辞でも嬉しいです」

P「お世辞じゃないって、本当だ」

晶葉「……んー」

P「ん? どうした晶葉」

晶葉「いや、何か忘れているような気がするのだ」

P「……実験は?」

晶葉「 ! ! ? ? 」

P「本気かよ……」

晶葉「……もちろん、冗談だじょ?」

P「だじょってお前……」

晶葉「いやいやいやいや、違うんだ」

P「そんなにケーキが気にいったか」

晶葉「いやそんなんじゃないぞ? そんなんじゃない」

P「今度奢ってやろうか? こないだ美嘉に聞いた店があるんだが」

晶葉「行きます」

P「……」

晶葉「……はっ!? 貴様なんという罠を……」

P「……」
ニヤニヤ

晶葉「な、なんだその目は!」

P「……」
ナデナデ

晶葉「やめろっ、頭をなでるな!」

愛梨「ふふ、仲がいいですねぇ」

P「ああ、愛梨のケーキがよっぽどうまかったらしい……っておい!」

晶葉「うりゃ!」

ビビビビビ

愛梨「」

P「お前、いくら恥ずかしいからってなぁ……」

晶葉「ふん、当初の目的を果たしたにすぎん。今までのは壮大なネタ振りだ」

P「……あーはいはい」

愛梨「……」
パチクリ

晶葉「だいたいだな、この俊英鬼才の英知溢れる池袋晶葉様がケーキごときで冷静さを失うわけがないだろう」

P「今度奢ってやるって話だけどおかわりもいいぞ」

晶葉「わーい♪」

P「……」
ニヤニヤ

愛梨「……」
スススッ

晶葉「ちょ……いや、違うぞ?」

P「……」
ポンポン

晶葉「あーもーっ、ポンポンすんな、バカーっ」
ダダダダダッ

P「あー……、ちっとからかいすぎたか」

P「まあそのうち戻ってくるだろ」

愛梨「……」
ピトッ

P「……」

愛梨「……」
ダキッ

P「……あー、愛梨?」

愛梨「えへへ」

P「どうしてくっつくんだ?」

愛梨「くっつきたいからー」

P「……そっかー」

愛梨「うん」
スリスリ

P(中身は子供だ中身は子供だ中身は子供だ……)

愛梨「んー、あったかいねー」

P「……ま、まあな」

愛梨「んふふー」
ベター

P「……」

愛梨「……」

P「……というか」

愛梨「……あついー」

P(おかげで変な空気は飛んでったが)

愛梨「ぬぐぐぐぐ」
ベターッ

P「そんなに暑いなら離れれば……」

愛梨「やー」

P「…………そっかー」

愛梨「うん」

P「……」

愛梨「……」

P「なんで?」

愛梨「晶葉ちゃんと仲良しだからっ」

P「……なんで?」

愛梨「しらないっ」
プイッ

P「?」

愛梨「……ぶー」

P「……」

愛梨「……」
ムギュッ

P「……。……でもな、いつまでもくっついたまんまじゃ暑いだろ?」

愛梨「……うんー」

P「だから離れて」

愛梨「……ぬぐ」

P「は?」

愛梨「ぬぐーっ」

P「脱ぐってお前それワンp ( Д )  ゚  ゚」

愛梨「……ふぃー、きもちー」

P「」

愛梨「ふふー、これであつくないね」
ペター

P「」

愛梨「んふー」
スリスリ

P「」

晶葉「さて私の戦略的転身によって誤解を解かれるだけの冷静さをキミも取り戻したこととと思うが……って!」

P「」

晶葉「……戻ってきてみれば、お前は」

P「」

晶葉「……い つ ま で 見てるんだっ!!!」
ゴキンッ

P(その一撃とともに俺の意識はあっさりと暗転した)

P(ちなみに晶葉の機嫌は数日の経過+約束通りのケーキ奢り(無制限)で原状復帰。財布の中の尊い犠牲たちに涙を禁じ得ない

  愛梨の方はというと照れまくってはいたが特に怒ってはおらず、今後のプロデュースもこれまで通りにいけそうで安心した
  ただ、その別れ際に聞こえた『よかったような惜しかったような』という愛梨の呟きは一体どういうことだったのか。それだけが謎である)

しかしデータ無事でよかった…

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