大臣「魔王の軍勢が第一駐屯地を壊滅させたと報告が」

王「もはや一刻の猶予も無い、か」

王「…仕方無い」

大臣「…では国王」

王「その魔法使いを呼べ」

符「」

王「よくぞ参った魔法使いよ」

符「」ﾎﾞｿｯ

大臣「ん、何か言ったか？聞こえなかったが」

符「『魔法』じゃない、と言った」ｷﾞﾛｯ

王「」ﾒﾝﾄﾞｸｾ

王「え～と、符術使い？よ」

符「…はい」

大臣「既に話は聞いていると思うが、魔王の軍勢が第一駐屯地を壊滅させた」

王「お主には早速だが魔王軍の討伐に向かってもらう」

符「」ﾎﾞｿｯ

大臣「声が小さい！」

符「」ｷﾞﾛｯ

符「魔王の討伐と聞いた」

王「魔王は勇者でしか倒せぬ。お主には勇者が現れるまでの時間稼ぎをしてもらう」

符「…いつまで？」

大臣「勇者が現れるまでだ！」

符「」ｷﾞﾛｯ

符「わかった」ｸﾙｯ ｽﾀｽﾀ

大臣（ふん、一介の魔法使いが随分と高圧的な態度を取れるものだな。勇者が現れれば即刻処分して…）ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

符術・ファイアボール

大臣に５００のダメージ

大臣「熱っつ！」

符「魔法じゃないと言った筈だが？」ｷﾞﾛｯ

大臣「す、すいましぇん」

符術使いは魔王軍討伐に出る為に城下町を出ようとした

「ちょいと、ちょ～いと」

符「？」

「見たところ、かなり腕のたつお人とお見受けしやす」

符「まぁな」

「そんな貴方様に是非ともお頼みしたい事がございやして」

符術使いは王の命令で魔王軍討伐に向かうところだったので躊躇ったが、大臣が嫌いなので寄り道しようと考えた

「ありがとうございやす」

符「で？」

「へい、ここから西に行った所にある洞窟に住む盗賊に荷を奪われちまいやして」

符「取り返せ、か」

500のダメージで死なないとか大臣は前線に立つべき

商人風の男に言われ、洞窟に向かう

符「ここか」

昼という事もあってか洞窟は少し薄暗い程度だった

符「一枚伏せる」

符術使いは札を手の甲に張り付け洞窟を進む

途端に背後から何者かが襲い掛かった

盗賊の下っぱ「ひゃっ…」

符「やはり来たか」

符術・落とし穴

背後から現れた盗賊の下っぱは、いつの間にか空いていた落とし穴に吸い込まれるように消えていった

下っぱ「はあぁぁ…」

符術使いは何事も無かったように先を進む

洞窟の中は入り組んでいたが、途中途中に現れる下っぱに道順を吐かせて、宝物庫の前まで辿り着いた

「遅かったなぁ」

宝物庫前に黄金の鎧を纏う大男が現れた

大男が身に付けている鎧は、商人風の男に頼まれていた荷のひとつだろう

「摩訶不思議な術を使うとは聞いていたが、術の発動には札が必要らしいじゃねぇか。ここに辿り着くまでに何枚使った？」

符「貴様が盗賊の親玉か？」

「おいおい、聞いてるのはこっちだぜ？まぁいいや、冥土の土産に教えてやる。俺様が盗賊団の頭にして魔王軍第一潜入工作部隊隊長の…」

「ゴーヨク様だ」

符「御託はいい、掛かってこい」

符術使いは盗賊の頭がベラベラ話している間に札を一枚壁に貼り付けた