悪魔のリドル 柩「ダチュラ時代から今のお話」 (748)

本編前から本編終了後を短編でちょこちょこと書いていきます
・オリキャラ多数出ます(オリキャラ無双はない予定)
・柩ちゃんの設定はほとんど捏造なので並行世界かなんかだと思ってください
・ダチュラの設定も捏造です
・晴ちゃんの進路も捏造です


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電池切れからの昼休み終了コンボでなんも書けんかった…これから書きます

本編終了後という序章


柩「はいリンゴ剥けましたよ」

千足「ありがとう、柩」

柩「………」

千足「………」

柩「あのっ」

千足「なんだ?」

柩「ぼくの話を聞いてもらっていいですか?」

千足「急にどうしたんだ?」

柩「ずっと話たかったんです…でもそのためにはエンゼルトランペットとして貴女に裁かれてからでないと卑怯な気がして…」

千足「……」

柩「実のところ自分の過去を話せば同情した千足さんがぼくを受け入れてくれるかもしれないとか考えた事もあります…でも千足さんへの気持ちだけは…この初恋だけは裏切りたくなかった…」

千足「…っ!そうか!君も名無しだったのか!?」

柩「そうです、最下級エージェント名無し…コードネームどころか本当に名前もなくただ番号で管理される存在…ぼくの本名は被検体No.205、桐ヶ谷柩は黒組に来る前に先輩につけてもらった偽名にすぎません」

千足「だから彼らは名を得るために死んでくれと…本当に名前が欲しかったんだな…」

柩「千足さんはエンゼルトランペットを狙って何人か名無しを斬ってましたからね、本部からは貴女を殺すだけで上級エージェントに昇格させるとエサをばらまいてました」

千足「私も追われる側だったのか…皮肉な話だ」

柩「もっとも千足さんが出会った敵は皆殺しにしてましたから、エンゼルトランペットが黒組に参加するという情報を流して食いついてきて初めて貴女という存在に気づいたみたいです」

千足「私の参加もあっさり通したし…理事長あたりはわかっていて同室にしたのか…?」

柩「狙い通りなのか計算外の事態か聞いてみたい気はしますね、ぼくとしては感謝の言葉しかありませんが」

千足「私も今は感謝している」

柩「////」

千足「あー、うん、柩…君の話をもっと聞かせてくれないか?」

柩「あ、そ、そうですね…ぼくはそもそも親の顔も知らないんです」

千足「………はい?」

柩「ぼくはダチュラに誘拐された憐れな子供か、それとも借金のかたに売られたのか、拾われた孤児なのか…物心つく頃にはダチュラの私設にいました…このぼくっていう一人称はその時同室だった男の子みたいに元気な娘の影響が強いかも」

千足「へえ…その子は?」

柩「ぼくが殺しました、あれが初めての殺人でしたね」

千足「」

柩「殺せなければ役立たずとして毒薬の被検体にされますから、みんな必死に殺しあいますよ…そうですね蠱毒みたいなものだと思ってくれたらわかりやすいかも…」

千足(あの時もそうだが柩にはどこか殺人に対して罪悪感が薄い気がしていたが…なるほどこういう事か)

柩「名無しになるまでに二桁は殺してたと思います」

千足「それは同じ私設の人間を、か?」

柩「そうですね…たまに迷い込んだ馬鹿な人間を殺せるかどうかやらされました多分中継して賭け事にでもしてたんじゃないですかね?」

千足「腐ってるな…」

柩「ぼくはそれが当たり前だと思って生きてきましたから…だから千足さんといると時々自分を消したくなる気持ちになるんです、こんな毒虫が貴女のような人の側にいてはいけないって」

千足「私は君の思うほど立派な人間じゃない、だから気負うな」

柩「…ありがとう、ございます…自分と向き合うために話そうって決めてきたのにダメですねぼく」

千足「辛いなら、また今度にでも」

柩「それはダメです!これ以上千足さんの優しさに甘えるのは…ダメなんです」

千足「柩…」

柩「もう千足さんを騙すような事だけはしない、ぼくは罪を聞いてもらって楽になりたいわけじゃないんです…罪を自覚して戒めるために今、話しているんです…だから」

千足「……」

柩「もう、何も言わずに頭を撫でるとかずるいです…」

千足「大丈夫、私はおまえを嫌いになることはない…これだけは断言できる」

柩(ナチュラルにこれが言えるから…ああもう…)

柩「こほん、話を戻しますね…」

千足「ああ」

柩「ぼくは…その…発育不全なのか…その…あんまり見た目が変わらないので…不意討ちで暗殺するのが上手くなりまして、面も割れないまま成果をあげてついにエンゼルトランペットというコードネームを貰えるまでに至りました」

千足「大丈夫か?本当に辛そうだぞ!?」

柩「いえ…自分で言ってちょっと悲しくなっただけです…」

千足「私は好きだからな、自信を持て」

柩「時に優しさは人を傷つけるんですよ千足さん…」

~回想~

?「よっすー、チビッ子、コードネームもらったんだって?」

柩「あ、ベラ先輩こんにちわ、今日からエンゼルトランペットと名乗る事になりました!ようやく名前持ちになれたんですよー」

この人はダチュラ諜報部のエージェントでぼくの先輩で
コードネーム:ベラドンナ
真っ赤な髪をショートボブにした犬飼さんと言えばわかりやすいかな?
口は悪いけど面倒見がいい先輩で危なっかしいとぼくの世話を焼いてくれた唯一の人、この人がいなかったらぼくは名無しになる前に毒薬の被験者として消費されたかもしれない


ベラ「へー、エンゼルペタロリっこ?ぴったりな名前じゃん」


前言撤回いつか殺す!この人泣きながら命乞いするような惨めな目に合わせてから殺す!

柩「エンゼルトランペットですよ!ペタロリっこってどんな毒草ですか!?」

ベラ「あー、悪い悪い最近徹夜だったから聞き間違えたわー辛いわー」

柩「こんな元気な徹夜続きの人間見たことありませんよ」

ベラ「エンゼルロリーは厳しいな」

柩「変なあだ名つけないでください!?」

ベラ「えーかわいいのにエンゼルロリー」

柩「最近、支給品のニードルガン自分で改造したんですけど先輩で試していいですか?」

ベラ「いやーん、ロリったらこわーい」

柩「…」バシュッ


ベラ「うっわ!マジで撃ちやがったこいつ」

柩「チッ」

ベラ「おいおい私じゃなければかわせてないぞ今の!?危ないなーロリーは」

柩「あなたならかわせるとおもいましたから」(棒読み)

ベラ「目を見て話せよーロリっこー」

柩「もう、ロリでいいです諦めました」

ベラ「で、ピンクダチュラは」

柩「いきなりエンゼルトランペットの別名でいきなり呼ばないでくださいよ!?」

ベラ「あーやっぱボケたらつっこんでくれるって最高だよなーうちのやつらつまんなくてさー」

柩「本当に自由だなこの人…」

ベラ「ま、いいや名前持ちになるって事はいつも以上にろくでもない仕事やらされっから覚悟しとけよ?」

柩「…あ、はい」

ベラ「ま、報酬は段違いになるけどなーあーそうそう、名前が売れると知らんとこから恨み買ったりするからさ、その時に狼狽えないよーにな?」

柩「…よくわかりませんね?こんな仕事だから恨みを買うのは仕方ないじゃないですか?何を狼狽えるのかわかりません」

ベラ「そのうち嫌でもわかるさ」

柩「そんなものですか」

ベラ「そんなもんさ」

結局、ぼくは先輩の言葉が何を意味するかを知らないままに順調に仕事をこなし気づいたらダチュラのエースなどと呼ばれる存在になっていた
正義の弁護士なんていうのを殺したことなんてたくさんある仕事の中の一つにすぎず記憶に欠片も残っていなかった


ベラ「よっすー!ロリペタッ子元気かー?」

柩「だーかーらー!」

ベラ「エースなんだからもっと広い心を持てよーだからおっぱいでっかくならねーんだぞー?」

柩「くっ」

ベラ「ま、いーか聞いてるかー?"ブレード"ってやつの事」

柩「うちの名無し達が刀剣の類いで殺されてるってアレですか?」

ベラ「そうそう、最近さうちのやつが回収に行くときまで生きてたヤツがいてさー」

柩「それで?」

ベラ「やつはエンゼルトランペットを狙ってるって言って息絶えたんだってさ」

柩「……」

ベラ「で、それを聞いた上層部が動いてなー」

柩「なるほど、それでこれですか?」

ベラ「そ、10年黒組。そこでおまえさんにヤツを殺してこいってさ」

柩「何者かわかってるんですか?」

ベラ「わかってたら私がデータまとめておめーの端末に送ってるさー、エンゼルトランペットが黒組に参加するって噂流して釣る気らしーよ?」

柩「はぁ…大丈夫なんですか?それ」

ベラ「あっちの理事長がうまくやんじゃね?相当なやり手らしいよ?」

柩「うちの組織もいい加減な…先輩じゃあるまいし…」

ベラ「いい加減な方が人生楽だぜー?」

柩「でもこれ、ぼくは本来の標的とブレードさんとかいうのを殺さないといけないんですよね?」

ベラ「暗殺者集めたバトルロイヤルって噂だからいくらでもチャンスはあるっしょー?」

柩「噂だけですよね?」

ベラ「まー若い暗殺者集めてなんかやらせんだからろくなイベントじゃねーさ」

柩「あれ…でも…これってもしかして…」

ベラ「気付いた?おまえの顔バレの危険性がめっさ上がるって事」

柩「う、参ったなぁ…任務終えた後が大変かも」

ベラ「黒組の勝者になれたら幹部にしてもらってさ現場からは引けばいいんじゃないの?」

柩「でも…もう殺せないと思うとそれはそれで…残念というか…」

ベラ「シリアルロリーめ」

柩「殺しを仕込んだのあなた達じゃないですか」

ベラ「まー死にたくなけりゃ殺せだしなー、もういっそ私みたいなスタイルにしたらどうよ?」

柩「毒薬使わないから閑職送りとか見習いたくないです」

ベラ「だって毒薬の管理とかめんどいじゃんよー?名前もらったらポーイよポーイ!」

柩「組織のシンボル捨てないでくださいよ」

ベラ「でも毒薬効かないやつとかいたら怖いじゃん?」

柩「そんなやつに普通の武器効くんですか?」

ベラ「そこに気づくとはやはり天才か」

柩「ダメだこの先輩はやくなんとかしないと」

ベラ「でも実際、社蓄になるのはいかんよー少しは肩の力抜かんともたねーぞ?」

柩「先輩は少しは力入れてください」

ベラ「いやー無理、このスタイルで長いこと生きてるから」

柩「なんでこの人に名前あげたんだこの組織…」

ベラ「ま、やることはやってるからなー私、安心しろよ諜報部として黒組参加者のデータ調べあげてやっからさ、そのうち」

柩「最後の一言でまったく信頼できません」

ベラ「いやいや、多分帰ってきたら土下座して感謝するねーその平らな体地面にぴったりと…ってあぶね!?」

柩「チッ」

ベラ「怖っ!?今の毒まで塗ってあったよな!?」

柩「うふふふ、ちょっと濡れてただけですよ?」

ベラ「今のダチュラNo.1の逃げ足を誇る私じゃなければ死んでたぞ絶対…こえーシリアルロリこえー」

柩「ロリロリ言わないでくださいいい加減にしないと殺しますよ」

ベラ「殺そうとしてから言うなよ、流石におねーさんも引くぞ」

柩「ぼくはあなたが喋る度に引いてますけどね」

ベラ「もういい…組織の後輩がかわいくないってスレでも立てて慰めてもらおう…」

柩「いや仕事してくださいよ」

ベラ「あ」

柩「なんです?」

ベラ「そもそもこれ、ロリーに渡すために来たんだった私」

柩「…………あ、これ履歴書?」

ベラ「そりゃ学園入るのに名前がエンゼルロリペタッ子ってわけにもいかんしょ?」

柩「エ ン ゼ ル ラ ン ペ ッ ト です!……桐ヶ谷柩ですか?」


ベラ「柩って名前はどうかと思うけどなんかかっこよくね?」

柩「…桐ヶ谷柩…ふふ」

ベラ「んー、気に入ったみたいねーんじゃ、その名前刻んどけ名前呼ばれて誰?って顔したら恥ずかしいからなー」

柩「あ、はーい…桐ヶ谷柩…ぼくの名前…か…」

~黒組開始後~ベラドンナside

ベラ「よっすー!元気か?」

名無し「あ、ボスお久しぶりです」

ベラ「ミョウジョウに一般生徒として送り込んだんだからさー定期的に連絡ちょーだいよ、おねーさんかなしいよ?」

名無し「すいません、あたし白組なもんで黒組のエンゼルさんはなかなか見れないんですよぉ」

ベラ「おいおい頑張れよダチュラ諜報部の名折れだぜ?」

名無し「いやいやいや、無理です無理ですミョウジョウの走りとかいうのがヤバイです黒組探りに行こうとすると気づいたら背後にいたりするんですよ!?」

ベラ「走り鳰…裁定者ねぇ……なんで冬服なんだこいつ?」

名無し「わかりません、そういうとこもなんか不気味で…」

ベラ「んーでもそろそろ金星祭だろ、一般生徒でもチャンスあるっしょ?」

名無し「あたしマークされてなきゃいいんですが…」

ベラ「大丈夫、大丈夫死ぬ気でゴー」

名無し「……うわーん」

~数日後~

ベラ「お、生きてたかー」

名無し「軽く言わんでくださいよーなんとか写真撮ってきましたよー」

ベラ「おうおうゴクローさん……おい」

名無し「いやー流石エンゼルさんすわ暗殺対象デレデレですよこれ」

ベラ「……悪い、ちょっと切るわ」ピッ

名無し「え?ボ…」

ベラ「おいおいどうなんこれ…柩ちゃんさぁ…完全に恋する乙女じゃないのさ…」


この直後に桐ヶ谷柩と生田目千足の心中による退学という報がミョウジョウより届けられた

そしてさらに後日、名無し帰還後

ベラ「でさマジで死んだのか?あれ」

名無し「あーはいあたし見てましたけど生田目千足の持ってたナイフは本物でした、なんでエンゼルさんが無抵抗に刺されたのか、あいつが自殺したのかわかりませんでしたが…けっこうな血の量でしたからねーありゃ死んでますよ」

ベラ(こいつが走りに見逃されてた理由ってまさかこれのためか?しかも二人の遺体の返還はなしときた…普通怪しむだろ、上のやつも何か知らんが納得してるみたいだし…)

ベラ「ただの被験体がエースとして目立ちすぎたから体よく切り捨てたかったってとこかねぇ?」

名無し「…おっかねえ話ですね」

ベラ「任務放棄して死ぬなんてあのくそ真面目なあの子じゃ考え難いんだけどさー」

名無し「うちに不満でもあったんですかねぇ?名前有りって相当な優遇じゃないですか?」

ベラ「金はあっても愛はないってな」

名無し「黒組にはあったんですかね、愛」

ベラ「さぁね、でも…私もあの子にゃこんな顔させてあげられなかったからなー」

名無し「ボスはエンゼルさんのことお気に入りだったみたいですね」

ベラ「からかうと面白かっただけだよ…」

名無し「そういえば」

ベラ「ん?」

名無し「聞いてます?研究室にいた地味なやつが暴れだして捕まったとか」

ベラ「No.300か…あれ確か、あいつの後輩だったよな?」

名無し「ええ、ミョウジョウに殴り込むとか叫んで暴れてたみたいですけど」

ベラ「あの地味なやつはさ、暗殺の才能ないけど頭はそこそこだってロリ子が研究室に推薦したんだよ」

名無し「才能のないやつがダチュラで生き延びるなんて奇跡みたいな話ですね」

ベラ「実際、使えるみたいでねロリ子の毒のサポートとかしてたらしいわ」

名無し「ロリ子、ロリ子て…エンゼルさんに祟られますよ」

ベラ「お別れの挨拶もしに来ない恩知らずに会ういい機会だ、むしろ祟りにこいっての」

~柩side~

柩「へっくち」

鳰「おやくしゃみで目覚めるとは斬新な」

柩「…?…?!」

鳰「せっかく助けたんだから体は大切にしてくださいよー?」

柩「…なんでですか?」

鳰「はい?」

柩「ぼくは千足さんに裁かれて死んだはずなのになんで…助かっているのか、と聞いているんです」

鳰「ミョウジョウ驚異の医療技術?」

柩「…チッ…ニードルガンさえあれば…」

鳰「笑えないからやめてほしいっスそれ」

柩「…ぼくを生かしておいて何かメリットでもあるんですか?」

鳰「さぁ?ウチは理事長の指示で動いただけっス」

うお、寝落ちしてた…
なんか場面転換がまとまらないのう…

とりあえず最終的にひつちた+兎角+(黒組のある同室カプ)vsベラドンナ&新エンゼルトランペット(No.300)+ダチュラの裏切り者粛正部隊【蝎】
のバトルになる予定

メモ

ベラドンナ(如月朱嶺)
・ダチュラの元エース
・諜報部所属
・毒を使わない暗殺者(実は過去の任務がトラウマで毒を使えなくなった)
・ある特殊能力持ちで気に入った仲間を陰ながらサポートしてる(柩の手柄の何割かはこの人が殺ってる、弁護士は柩単独の仕事)
・格闘戦能力はナイフ持ちで春紀にギリ負けるくらい(回避能力だけはやけに高い)
・戦闘スタイルは基本不意打ち、しくじったらすぐに逃走する生き延びるためなら味方も平気で捨てる(ごく一部お気に入りだけは別)
・口が悪いが悪気は一切ない


名無し(諜報部、No.258)
・実は潜入初日に鳰に洗脳されてる為ミョウジョウ側に有利になる情報しか流せない
・ロミジュリ見てたモブ
・特技:盗撮
・地味、無個性


新エンゼルトランペット(No.300)
・ヤンデレ、柩LOVE
・基本柩の劣化コピー的な戦法しか使えない
・瓶底眼鏡、猫背のため身長やや低めに見られる

鳰「ま、腐ってもダチュラのエース様っスから、その知識や持ってる情報だけでも充分な価値はあるっス」

柩「はぁ、見くびられたものですね…」

鳰「少なくとも毒の知識はすぐにでも必要っス」

柩「どうしてです?」

鳰「あなたの愛しい千足さんの治療のためっスよ」

柩「は?……どういう事ですか!?」

鳰「心中するつもりだったんスよ生田目さん、桐ヶ谷の持ってた毒飲んで」

柩「う、そ…」

鳰「剣持さんの血清使って助けるには助けたんスけどね」

柩「あぁ…一番借りを作りたくない人にとんでもない借りを…」

鳰「因果応報っスよ、ダチュラは毒を使う分その毒に対する治療も研究しているとも聞いてるっス」

柩「カルテを見せてください…ぼくにできるだけの事はします…ですが」

鳰「ま、今は生田目さんの治療優先でいいんじゃないっスか」

柩「そうですね」

~はじまりの話~

名無し「ボスってエンゼルさんの事よく構ってたじゃないですか」

ベラ「ん?そーだな」

名無し「ボスって他の人にはあんなにスキンシップしたり冗談とか言わないじゃないですか」

ベラ「ん?そうだっけ」

名無し「そうですよ」

ベラ「まぁ、あいつとは縁があるっつうかほっとけないと言うか…」

名無し「ずいぶん歯切れ悪いじゃないですか」

ベラ「…とりあえずこれ見てみ」

名無し「…古い記事ですね……製薬会社重役宅に強盗侵入、一家殺害……末娘の桐ヶ谷柩ちゃん(2)だけが行方不明、誘拐されたものと判断…まさか」

ベラ「それ私の初仕事」

名無し「……いろいろと突っ込みたいところがあるんですが…」

ベラ「うん」


名無し「エンゼルさんに偽名と称して本名名乗らせてたんですか!?」

ベラ「本人もやけにしっくりくるとか喜んでたし」

名無し「そりゃそうでしょ…一応二年も名前で呼ばれてたら記憶になくても懐かしくなるでしょうよ…」

名無し「なんでこの子だけ生かして連れてきたんです?」

ベラ「そりゃ有効活用のためよ、判断したのは上の人間だけどな、私まだガキだったし」

名無し「そっか、そうですよね」

ベラ「私をBBAだと思ってたな貴様」

名無し「いやいやいや」

ベラ「ま、桐ヶ谷の血筋は優秀らしいから本部もお喜びでね、私らも下請けからダチュラに入ったわけよ」

名無し「…そのうち本気で祟り殺されるんじゃないですか?」

ベラ「まー本当に死んでるなら出るかもな」

名無し「あたしの報告は確かですよー」

ベラ「そういうのはは三桁くらい殺してからいいなさい仮死状態だったら判別つかんだろー」

名無し「ボスが殺しすぎなんですよ数だけならエースより上じゃないですか」

ベラ「そんな人間でも死体と死んだふりを見逃す事もあるんよ、おまえの言葉にどれだけの重みあるのよ?」

名無し「うー…でも見たでしょあの出血量」

ベラ「あれが逆にひっかかるのよー私的に」

名無し「疑りすぎじゃないですか?だいたいシリアルキラーっぽいあのエンゼルさんがうち以外でやってけるとは思えないんですけど」

ベラ「まーな、あいつの殺人への抵抗の無さはちょっと引くレベルだった」

名無し「あーうち恒例のアレで新記録だしたんですよねエンゼルさん」

ベラ「付き合いの長いルームメイト殺すのに悩みもしなかったからな…忘れられねーよ」

~数年前~
ベラ『あーテステス、みなさーん!おはよーございまーす!今日はダチュラの暗殺者候補のみなさんにビッグなイベントを用意いたしましたー!』

柩「んー?うるさいなぁ…なに?イベント?」

204号「あ、おはよう205号ちゃん…イベントかぁ…なんだろうね」

ベラ『これから一時間以内に部屋にいる相方ぶち殺してくっださーい!どっちか死ぬまで部屋から出れないからそのつもりで!ではみっなさーん!グッドラック!』

204号「え…何?何て言ったのあの声」

柩「ああ…そっか、これがうちのやり方なんだ」

204号「どうしたの?」

柩「ぼく、君の事、嫌いじゃなかったよ」

204号「え?」

ドスッ

柩「ごめんね、ぼくまだ生きなきゃいけないの」

ベラ「あー、しばらくかかるだろうから寝ていいか?」

名無し(♂)「いえ、ベラドンナ様、10号室終わりました」

ベラ「はぁ!?まだ始まって一分経ってねえだろ?」

名無し(♂)「ですが、事実です、10号室から終わったと連絡がありました…確かに一人しか生体反応もありません」

ベラ「マジか…」

名無し(♂)「死体の回収行かせますか?」

ベラ「おう、ついでに私も行く、どいつだ躊躇なくダチ殺せるイカれ野郎は?」

ベラ「入るぞー」

ピッ、ピー、ガチャッ

柩「あ、お疲れさまですコレ片付けておいてくれます?」

ベラ「…おまえ……あ、ああ!?そっかあの時の!」

柩「なんです?ぼくはあなたなんて知りませんけど…?」

ベラ(なるほど優秀な血筋ねえ…こっち方面で優秀だとは聞いてねーけどこりゃ逸材だわ)

柩「?」

ベラ「何年か前に会ってるんだよおまえと私は覚えてないみたいだけどな」

柩「そうなんですか?」

ベラ「おまえ、何か勘違いしてるけど、私はベラドンナ、名持ちで死体回収班じゃないぞ?」

柩「……っ!?すいません!ぼく、つい」


ベラ「あー気にしてない、気にしてないしっかし人殺しといて優雅に読書とは畏れ入るわ」

柩「え?だってぼくコレをヤルために育てられたんですよね?」
べラ「……たいした大物だよおまえ」

柩「そうですか?」

ベラ「まーいいや、その調子ならすぐに名前貰えるんじゃねーかな」

柩「…名前…」

ベラ「じゃ、腹減ったら食堂こいよ、飯おごってやる」

柩「はぁ…ありがとうございます」

ベラ「お、来たか何食う?」

柩「水だけでいいです、食べる気分になりませんから」

ベラ「ふーん?」

柩「なんです?」

ベラ「ちょっと安心したわ」

柩「?…おかしな人ですね」

ベラ「ま、うちじゃ一番の変わり者って評判でね」

柩「変な人に絡まれちゃったんですねぼく」

ベラ「目の前で言うなよー」

柩「言っても堪えない人にははっきり言っとくべきだと判断しました」

ベラ「なーるほど」

ベラ「でさ」

柩「はい?」

ベラ「初めての殺人ってどうよ?辛いか?」

柩「どうという事もなく」

ベラ「つれないねー」

柩「ぼくは習った事を実践しただけでそこに何の感情もありません、あの娘は運がなかったそれだけです」

ベラ「運ねえ」

柩「運ですよ、ぼくと同室にならなければ死ななかったかもしれないですし」

ベラ「ほー、なんで?」

柩「精神以外は優秀だからですよ、だからぼくが生きるには開始直後に殺すしかなかったんです」

ベラ「にゃるほどねーで、これからも殺っていけそう?」

柩「それくらいしかできませんしね」

ベラ「可愛げねーなー」

すごく面白い。柩に関して本編で語られず仕舞いだった事が補完されるようで読んでいて新鮮。ベラのキャラクター造形が嫉妬したくなるほど見事。
支援です。

>>33
読んでくれてありがとうございます
アニメ終了直後からダチュラネタは考えてたんですが、ガイドブックになし、原作でも詳しく語られる事無く終わりそうなんでもう自分のオリジナルをそのままやっちまえ!と思って書き始めました
ベラさんは初期は桐ヶ谷殺して過去の栄光を取り戻そうとするゲスキャラだったんですが
過去編作るのにぼっちよりも柩にからんでくるウザい先輩とかいたら面白そうだと作り直して今のキャラになりました

柩「ぼくなんて面白味もない人間ですよ?かまうだけ時間の無駄だと思います」

ベラ「そーか?次代のエースかもしれない娘に興味がわくのは当然だと思うよ?」

柩「まさか、ぼくが?」

ベラ「うちのやり方叩き込まれてるだろー?だったら体格とか、身体能力とかあんまり重要じゃないって知ってるよな?」

柩「…まぁ、そのために知識詰め込みはしましたが」

ベラ「まぁ知識はいるけどさ、どちらかというとおまえの殺しに対する抵抗の無さ、これが大きいかな」

柩「だから理由は話じゃないですか」

ベラ「人間って理屈で割りきれるもんじゃねーのよ?特に人殺しなんてタブーを犯すにはかなりの覚悟が必要なわけ」

柩「そうなんですか?」

ベラ「そこを理解できない時点でおまえは殺しの才能ありまくりなわけさ」

柩「はぁ」

ベラ「いいねーその顔、何を言ってるのこいつ?って感じが実にいい!私が保証してやるよ、おまえはうまくやれる」

柩「なぜですかね…ほめられてる気がしないですが」

ベラ「私としてはかなりほめてる方さこれでもね」

柩「ニヤニヤ笑いながら言われても…」

柩「…そういえばやけに人少なくないですか?」

ベラ「あのさ、おまえみたいに才能あふれる娘なんてほとんどいないから長丁場になるんよ部屋別の殺し合いはさ」

柩「あ、そうかまだやってるんですね他の部屋の娘達は」

ベラ「数日決着つけられずに二人とも衰弱死なんてケースもあるしねー」

柩「止めないんですか?」

ベラ「助かった後は薬物のモルモットにされるだけよ?死なせてあげたほうが幸せよ」

柩「でもそういうシステムですよ、ここは」

ベラ「まーねー、育てるのもただじゃないしねー、本当は無理にでも生かして二人ともモルモットにしなきゃなんけどさ」

柩「職務怠慢ですね」

ベラ「幼女のくせに難しい言葉使うね?」

柩「もうすぐ10歳になりますから難しい言葉も学びますよ」

ベラ「……あー、そう」

柩「?」

ベラ(あれから8年経ったのかい、早いもんだ)

柩「急に考え込んでどうしました?」

ベラ「ちょっと時の流れの残酷さに想いを馳せてみただけよ?」
柩「失礼を承知で言わせてください」

ベラ「ん?」

柩「キモイです」

ベラ「あははー素直だなーおまえ……今度靴に画鋲仕込んどくわ」

柩「子供の嫌がらせじゃないですか!?」

ベラ「いや、おねーさんまだ若いのよ?」

柩「…もういいです、帰ります」

ベラ「えーやーだー!もっとかまってよー!」

柩「袖つかまないでください!伸びますから!…あーわかりましたもう少しだけいますから!」

ベラ「ふ、わかればいいのよ」

柩「キメ顔とかしなくていいです、不快です」

ベラ「先輩に対する敬意がすっかり無くなってきたね」

柩「せめて敬意をはらえる先輩になってください」

ベラ「そーゆーのは他のやつに任せてるから」

柩「なら、このままでいいですね」

ベラ「どうしてこうなった…」

柩「いや、ぼくも驚いてますよ、出会って数時間の間だけで扱いがぞんざいになる人間がこの世界にいるなんて…」

ベラ「深刻そうな顔でdisるなよーおねーさん泣くぞ」

柩「なら少しは先輩らしくしてください」

ベラ「えー」

柩「どうしろと…」

ベラ「仕方ないなーそのままでいいやーおねーさんが譲ろう」

柩「いやいやいや!ぼくのわがままみたいなまとめ方おかしいですよね!?」

~数ヵ月後~

ベラ「おう、まだ生きてるな、流石私の見込んだだけはある」

柩「はぁ……せっかくのお昼なのに…」

ベラ「あからさまに飯が不味くなるみたいな顔すんなよー」

柩「食事というのはね…一人で、自由で、豊かで…なんというか救われてなきゃダメなんです」

ベラ「おまえ後でアームロックな」

柩「やめてください、小ネタにたいして大人気ないです」

ベラ「私が大人気ないのは初めてあった時から知ってるだろー?」

柩「そうでしたね」

ベラ「そうなんだよ」

柩「で、何の用です?」

ベラ「白米食ほおばるロリがかわいいから観察しに」

柩「………」イラッ

ベラ「……」ニヤニヤ

柩「ごはんが不味くなりますから消えてくださいませんか?」

ベラ「久々に会った先輩に酷いな」

柩「ぼくは会いたくなかったです」

ベラ「そうも言ってられんのよ、おまえさ頑張りすぎなんだよ」

柩「ぼくは、できる事を淡々とこなしただけです」

ベラ「人よりこなしすぎたんだよ」

柩「何なんですか?」イラッ

ベラ「おめーの実戦投入が決まった」

柩「はい?」

ベラ「組織であてがわれたモルモットじゃなく標的を殺せって事さね」

柩「冗談ですよね?」

ベラ「こう見えて一応忙しいの私、お気に入りとはいえ意味もなくロリっ娘いじりしてる暇はねーのよ」

柩「真面目な話の時くらいちゃんとしてください」

ベラ「とりあえず、上はおまえが使えると判断したみたいでさ軽く殺らせてやるみたい」

柩「軽くやるような暗殺があるんですか」

ベラ「セキュリティが甘ければ楽なもんよ、後はおまえのKAKUGO次第さ」

柩「まったく…いちいちふざけないと話せない病気みたいですね」

ベラ「あはは、まぁ私がサポートにまわるから好きにやんなよ」

柩「先輩がですか?」

ベラ「不満か?」

柩「不安です」

ベラ「おまえダチュラのサポートしてもらいたいランキング3位の私に不安があるとか酷い言い種だな」

柩「それ、絶対今作りましたよね?」

ベラ「騙されなさいよ」

柩「騙される方がおかしいです」

ベラ「ロリ子は酷いな」

柩「ロリ子ってなんですか!?」

ベラ「成長期なのに数ヵ月経っても変わらないからおまえにピッタリなあだ名」

柩「くっ…憎しみで人が殺せたら…」

ベラ「ロリ子って言われ続けたくないなら頑張って名前持ちになりなさいな」

柩「……頑張ろう」

柩「ところで」

ベラ「何?」

柩「結局、先輩的にぼくは頑張りすぎなのか頑張ならないといけないのかよくわからない感じなんですが」

ベラ「実戦投入は早すぎると思うけどさ、決まったからには突っ走るしかないみたいな」

柩「説明下手なんですね」

ベラ「ロリ子が心配でちょっとおかしくなっただけだよ」

柩「人をイラつかせるのは上手いですよね」

ベラ「だろー?」

柩「そのどや顔に熱々のお茶ぶっかけたいんですけど、いいですか?」

ベラ「あはは、断る」

ベラ「しっかし同期の連中随分減ったなー」

柩「あそこの双子くらいですかね、ぼく以外で訓練に来てるのは」

ベラ「あいつらか…今回は面白いのが残ったね」

柩「そうなんですか」

ベラ「最初の殺しの時に外部と連絡とれないのは経験してるから知ってるっしょ?」

柩「はい」

ベラ「あいつら対象を同時に殺してんのよ、しかも二人とも相手の喉元切り裂いて」

柩「へー」

ベラ「固体の力はそこそこみたいだけど二人揃うと桁違いの実力を出すって話さ」

柩「それじゃ、あの二人も?」

ベラ「あいつらは別口でね…担当するヤツが胸糞悪いから心配だわ」

柩「先輩に胸糞悪いって言われるって相当酷いんですね」

ベラ「あー、うん私らって毒草とか毒花の名前からコードネームが与えられるんだけどさ」

柩「はい、聞いてます」

ベラ「一部に毒虫の名前を与えられた連中がいてね」

柩「あーもういいです、聞いたらせっかくのごはんの余韻が…」

ベラ「うん、流石に私も今回はやめとくわ」

~桐ヶ谷柩の初仕事~ベラドンナside

標的はとあるジャーナリスト
見せしめの為に皆殺しにしてくれっていうから楽な仕事ではある
正直初の実戦としては悪くない……これだけならば
厄介な事にこいつが暴力団と関係持ちで用心棒や銃器の所持してるなんて情報が来たから私が出張る事にした
別にかわいいロリ子ちゃんの仕事ぶりが見たかったわけじゃないんだからね!


ちょっと大きい邸宅の回りを徘徊するやーさんを私はいつもの手際で始末する
所詮は素人、銃を持って気が大きくなったただのチンピラ
一人始末したら後はそいつの声を奪って仲間呼び出して処理するだけの簡単なお仕事
SPとかだとこうはいかないのよねー

後はロリ子が潜入して一家を処理して、私が証拠隠滅したらそれで終り
帰って、風呂入って、酒飲んで寝るだけ
うーん、手応えがないちょっと煽りすぎたかなー

ロリ子の訓練は動画で全部チェックしてるあの子がし失敗する事はまずないだろう
とりあえずやーさんの残骸は手下に任せて邸内に入る事にする


静まりかえったリビングでロリ子がストップウォッチを見ている
何をしているのか聞いてみたら

「ああ先輩、いいデータが取れましたよ…やっぱり子供の方が毒のまわりは早いんですね、症状の出方も違うし…興味深いです」

かなりもがき苦しんだジャーナリスト一家の遺体を前に天使のような笑顔で話すロリ子ちゃん

私とんでもねえ悪魔拾っちゃったんじゃ?

~桐ヶ谷柩の初仕事~ 柩side

待機していたら先輩からメールが届く
どうやらぼくの侵入ルートの敵は排除されたようだ
いい加減な人だけどこういうのはキッチリこなしてくれるようだ
ぼくは用意されたカードキーを使い堂々と入っていく、ご自慢のセキュリティも対処法さえわかっていれば何の障害にもなりはしない

ぼくはまず、ターゲットの娘(五歳)を起こしてナイフを突き付け人質にとると家族をリビングに集めさせた
子供の命だけは助けてやると言って研究室からあずかった毒薬を夫妻に飲ませると同じものが入った注射器を使い娘にも投与する

ぼくはストップウォッチをポケットから取り出すとサンプルがいつ息絶えるかを計り出す
数滴水に混ぜるだけで死に至る毒を原液で飲んだのだから彼ら抵抗する事もできない
喉をかきむしりながら痙攣するモノ
激しく痙攣した後、白目を剥いて動かなくなるモノ
苦しみから逃れるためにタンスに頭を打ち付けて気を失うモノ

…気絶されると困るんだけどなぁいつ死んだかわからなくなるじゃないですか

~帰りの車内~

ベラ「で、どーよ?初仕事は」

柩「やっぱりサポートは必要ですね、個々の脈拍数や心拍数を正確に測ったり…データ収集には手が足りません」

ベラ「なんでついでに頼まれた方の感想から出るかなー」

柩「だって、ターゲットは子煩悩で娘さえ抑えちゃえばおしまいでしたし…潜入するのも先輩の御膳立てが完璧すぎてただレールの上を走らされただけというか」

ベラ「物事には手順があるからさ、全部ルーキーにやらせるわけにもいかんでしょ」

柩「それは、そうですけど」

ベラ「まー、次から難易度上げてやるから安心しとけ」

柩「期待しないで待ってますよ」

ベラ「おう待っとけ」

~休日~

ベラ「ロリ子って本好きだよなー」

柩「……」

ベラ「無視かよロリ子ー」

柩「ロリ子はやめてください、まだ番号で呼ばれた方がマシです」

ベラ「えー、かわいいじゃんロリ子」

柩「…」バシュッ

ベラ「っ!?…あぶなっ!」

柩「この距離でかわされてしまいますか…まだ改良の余地がありますね」

ベラ「いやいやいや!私じゃなければ死んでたろ!?」

柩「ふふふ、やだなぁ先輩以外に使うわけないじゃないですか」

ベラ「そっかー、なら安心…ってアホか!」

柩「アホとはいくら先輩でも失礼ですよ」

ベラ「日々、私に対する態度が雑になってきてるよなー」

柩「敬意をはらえる先輩に生まれ直してきたら改めますよ?」

ベラ「敬意よりおねえちゃん♪とか言って甘えてくるような感じがいい」

柩「やめてください気持ちがわるいです」

ベラ「もっと蔑んだ感じでワンモア」

柩「…」

ベラ「…」

柩「…」

ベラ「放置されたらボケは死ぬんだよ!?」
柩「抱きつかないでください!変態が伝染ります!?」

柩「だいたい忙しいとか言ってたじゃないですか変態、ぼくなんかにかまってていいんですか変態」

ベラ「あー、ある程度流れに乗ったからあとは手下に投げた」

柩「……あなたの部下にはなりたくないですね」

ベラ「なーに、おまえはもう少しで名前もらって独り立ちさ」

柩「せ、変態のサポートもらってようやく殺してるようなぼくが?」

ベラ「わざわざ先輩いいかけたのなおさんでも…それでも、おまえの年考えたら異常な貢献度だからね、上も動かざるを得ないさ」

柩「でも、それは先輩がやたら仕事持ってくるから…」

ベラ「その無茶ぶりに応えたのもおまえ、そこは自信持っていいぞ」

柩「……」

柩「あんまり、その認めたくはないのですけど」

ベラ「ん?」

柩「所詮、ぼくはこの見た目で油断させているに過ぎないじゃないですか?」

ベラ「何か問題あんの?」

柩「ですが…」

ベラ「それも才能だよ?油断してくれてる間に殺れるのもな、おまえ真価はそこじゃないし」

柩「なんです?」

ベラ「相手が自分の容姿で油断してるかどうか的確に判断できる冷静さと思考の裏をかく為の努力…対象のデータに合わせて武器自作したりな」

柩「そんなの当たり前の事じゃないですか」

ベラ「当たり前の事ができないのが多いのよ人間ってやつは」

ベラ「わかったか?」

柩「…だいたいは…でも、ぼくを持ち上げたところで何も出ませんよ?」

ベラ「まー、その胸じゃ出ないわな」

柩「胸の話しは関係ないですよね!?」

ベラ「いやさー、だっておまえ初仕事の頃は良かったけどさー…流石にあれから二年経っちゃったし…」

柩「この変態やっぱり殺そう…」

ベラ「いやーんロリ子こわーい」

おかしいな
王子様好きみたいな雑談するつもりだったのが明後日の方向に走り出してしまった…
夜書こう

~蠍~

ベラ「うげ」

柩「どうしました先輩?」

?「おやおや、誰かと思ったらベラドンナさんじゃあありませんか?」

ベラ「その芝居がかった動きがキモいんだよワカメ」

?「はぁ!?僕がキモいとかやめてくれませんかね!?それに僕の名前はオブトだワカメなんかじゃあない!」

柩(誰なんです?)

ベラ(昔ちょろっと話たろ…毒虫の話)

柩(オブト…あぁ、オブトサソリの事かなるほど)

ベラ「違うだろー?おめーの名前はデスストーカー(オブトサソリの英名)だろーがワカメ頭!」

オブト「その言い方はやめろぉ!?」

ベラ「あはははは!忍び寄る死とか美しい…とか言ってたくせに何、恥ずかしがってんの!?」

オブト「嘘だ!?捏造だ!?訴えるぞ!?糞あばずれがァ!?」

ベラ「お前が名前貰った時の飲み会ムービー流すぞ」

オブト「…やめてください、お願いします、僕が悪かったから!」

柩(お祝いの飲み会とかあるのか…意外にアットホームな組織ですね、ここ)

ベラ「ちなみにバックアップはキッチリ取って隠してあるから迂闊な事するなよワカメ」

オブト「くそぅ…」

柩(なんだろう…ダメな人ばかり増えていく)

オブト「……そこの君はエンゼルトランペット君じゃないか?」

柩「あ、はい、初めましてワカメ先輩」

オブト「ワカメじゃない!オブトだ!……君はそんな女に影響されちゃあダメだぜ?」

柩「はい、確かにそうですね反省してます…」

ベラ「私の影響とか言われたら露骨に嫌がるなよー」

オブト「はぁっははは!後輩は見る目があるって事だろぉ!」

ベラ「神◯浩◯みたいな声がイラッとくるんだよワカメ」

柩「怒られそうなんでそういう名前出すのやめてください先輩」
ベラ「ロリ子はどっちの味方なのよ!?」


柩「正直どっちの味方もしたくないです、その呼び方やめてください本当に殺しますよ?」

ベラ「あいかわらず厳しいなー」

オブト「エンゼルトランペット君!ならばそいつが不審な行動をとったらすぐに僕に連絡すればいい!なぜなら!僕は!」

?「しゅくせい ぶたい"さそり"のたいちょう、だからです」

オブト「空気を読め!馬鹿者がぁ!?」

ベラ「おや双子ちゃんだおひさー」

双子(姉)「どうも、べらどんなさま」
双子(妹)「おひさしぶりです」

ベラ「……おいワカメ」

オブト「なんだい?…いやワカメじゃない!?」

ベラ「あれをやったのか?」

オブト「僕の部下になるとはそういう事だろう?」

ベラ「チッ、相変わらずのゲスっぷりだなーワカメよー」

オブト「粛正部隊に感情なんていらない、任務を遂行する機械であればいいんだよ?」

ベラ「…おめーがこうなれば良いと思うよ?」

柩「先輩、もしかしてこれ」

ベラ「薬と催眠教育による感情を消した兵隊を作る、こいつらのやり方だよ…でもこの二人は優秀だったはずだろ?」

オブト「そいつらは優秀だけどさァ、ちょっと決定力に欠けるんだよねェ…だから余分なモノを無くしてより純粋な兵士にしてあげたんだよ?」

ベラ「てめっ!」

双子(姉)「やめて ください」
双子(妹)「ますたーに きがいをくわえるなら べらどんなさまでも」

柩「退いてください先輩、少し感情に流されすぎです」

ベラ「………ちっ、どうせ改造するなら弱っちい自分をなんとかしろよ…

オブト「やだね、僕は頭脳労働なんだ肉体労働はこいつらみたいなモルモットにやらせておけばいいのさ」

柩「……」

双子(姉)「ますたー」
双子(妹)「そろそろおじかんです」

オブト「おっと、そうだった、君らもせいぜい組織のために頑張りたまえよ、ははははは」

柩「……先輩、なんですかあの不快な海藻頭は?」

ベラ「裏切りものをぷちぷち殺して悦に入ってるゲス野郎、あの双子も蜘蛛の姐さんとこに行ったと思ってたんけどな…」

柩「あれ粛正しといた方が良くないですか?」

ベラ「私もそう思う」

柩「…なんとか一服盛れないかな…」

ベラ「やる時は言えよ、全力で協力してやる」

柩「うふふ…ちょっとやる気出てきました」

ベラ「ところで、話変わるんだけど」

柩「はい?」

ベラ「あの双子、おまえの同期だろ?」

柩「はい」

ベラ「何食ったらあんなにおっぱい成長するか聞いとけばよかったのに」

柩「OK、ワカメと一緒に地獄に送りますね」

あー容赦なくぶっ殺す枠のクズ書いてたら気分悪くなってきたので

ちょっと時間飛んだ外伝的な短編をば

~本編終了後の病院~

看護士「生田目さーんシーツ変えに来ましたよー」

千足「あ、ああどう、も」

看護士「……病人が腕立て伏せしないでください!」

千足「いやぁ、回復してくるとどうにも落ち着かなくて」

看護士「あなたは、少し前まで死にかけてたんですからね!体は労ってください」

千足「…すみません」

看護士「退屈しのぎに話くらいなら聞きますよ?シーツとふとん変えながらですけど」

千足「それは助かります」

看護士「そういえば今日は妹さん来てないんですか?」

千足「妹?」

看護士「妹」

千足「……ああ!」

看護士「?」

千足「いや彼女は妹じゃないですが」

看護士「ええ!?…じゃあ…ちょっと答え言わないでくださいよ!今当てますから!」

千足「はいはい」

看護士「部活の後輩でマネージャーですね!」

千足「違います」

看護士「なん…だと…」

千足(面白い人だな)

看護士「じゃ、じゃあ……娘?」

千足「わからないならやめていいですよ?」

看護士「ふふふ、わかりましたよ…」

千足(これは外すなぁ)

看護士「従姉妹です!」

千足「はずれ」

看護士「くっ…殺せ!」

千足「どうしよう、私にはこの人のボケが拾いきれない」

看護士「わかりましたよー、もう降参、降参しますよ」

千足「クラスメイトですよ」

看護士「…いやいやいや!?え、あれ?…まさか…留年?」

千足「してませんよ!」

看護士「世の中には不思議な事もあるんですね」

千足(神秘扱いされてるぞ柩…)

看護士「クラスメイトのロリ子ちゃんはなんであんなに胸がな…いえ熱心に通ってきてるんです?」

千足「ロリ子じゃなくて柩です、桐ヶ谷柩、あと失礼な事良いかけませんでしたか?」

看護士「いやお持ち帰りしたいぐらいかわいいじゃないですか彼女」

千足「すいません、ちょっと警察に連絡を」

看護士「ちょ、ジョークですよ、ジョーク」

千足「…えっと、桐ヶ谷が通ってる理由は彼女にしかわかりません、ですが」

看護士「ですが?」

千足「私が今ここにいる原因に関わっていて、あの娘は真面目だから責任を感じて…」

看護士「クソニブチンが…ロリ子も苦労するわ」ボソッ

千足「何か言いました?」

看護士「なんでもないですよー?」

千足「いや、なんだかたまに看護士さんから黒い何かを感じるというか」

看護士「真面目なだけであんな熱心に通うわけないと思っただけですよーやだなぁ、あはははは」

千足「そうですか…?」

看護士「生田目さんは同性の愛はダメな方です?」

千足「……え?」

看護士「例え話ですよ、例え話」

千足「正直、よくわかりません…ですが好きになった相手がたまたま同性だったなんて事があるなら、それはそれで仕方ないというか」

看護士「生田目さんは好きになった相手が同性で戸惑ったりしてます?」

千足「急に食いついてきましたね」

看護士「女はいくつになっても恋ばなは好きですからねー」

千足「私からも、例え話していいですか?」

看護士「いいですよ?」

千足「その娘が大好きでも、その娘のしたことだけは赦せないとしたらどうしたら良いと思います?」

看護士「なかなか難しい話ですね」

千足「どちらも蔑ろにしたくない、真剣に考えたいとしたらどうします?」

看護士「その娘は反省してるんですか?」

千足「してると思います、思いたいです」

看護士「……反省してるとは言っているがいまいちわからない?」

千足「そう、ですね」


看護士「その子としっかり話合うしかないんじゃないですかね?」

千足「やっぱりそうですよね」

看護士「その娘はその娘の事情で本当に仕方なくやったかもしれませんしね」

千足「確かに、そうですね」

看護士「まぁ…あとは、赦せないなら側にいて償いを手伝うみたいなのも良くないですか?」

千足「?」

看護士「反省してるならそれにたいして償いをするはずですから、それを見てから判断しても遅くないと思いますよ?」

千足「確かに」

看護士「若いんだから焦らない、焦らない」

千足「これはあくまで例え話ですよ看護士さん」

看護士「あら、失礼」

千足「でも、参考にはなりました」

看護士「…はい、お仕事完了っと、私は次に行かなきゃならないんでここまでにしますけど、一度シャワーなり、湯で濡らしたタオルで体拭くなりしてから着替えてベッド入ってくださいよ?」

千足「はい、少し名残惜しいですね」

看護士「なーに、また来ますよ、そしたらまた雑談しましょ」

千足「そうですね」

~数分後~

柩「こんにちわー」

千足「やぁ柩、こんにちわ」

柩「どうしたんです?」

千足「私も最近回復してきたからストレッチとか筋トレ始めて」

柩「無理はダメですよ?」

千足「君も心配症だな」

柩「君も?」

千足「ああ看護士さんにも怒られた」

柩「そりゃ怒りますよ」

千足「うーん、軽い運動程度なんだけどなぁ」

柩「内臓のどこが弱ってるかわかりませんからね、熱出して倒れたりしたらどうするんですか」

千足「解毒はすんでるんだろう?」

柩「ゲームじゃないんですから毒が消せてもダメージは消せませんよ」

千足「それも、そうか」

柩「少なくとも今は病人なんですからおとなしく寝てください」

千足「それがだな」

柩「なんです?」

千足「少し前にシーツ替えてもらったんだけど汗かいたし着替えついでに体を拭いてしまいたいんだ」

柩「…はい?」

千足「病院のお風呂は使用するのに面倒な許可が必要で、シャワー浴びるのも一苦労でね」

柩「そんな環境ならノープランで汗かく行為しないでくださいよ」

千足「そうは言うが、私も早く回復するだけでなく鍛えておかないといけないんだ」

柩「どうしてです?」

千足「追手が来たときに姫を守れない騎士に価値はあるかい?」

柩「あ、あの、その姫って…その…あの」

千足「他に誰がいるんだ」

柩「あ、あ、あぅ」

千足「表向き死んだように見せかけてもいつかはバレる、その時が来るまでには万全な状態に戻しておきたい…というのはわがままかな?」

柩「わがままです……でも、うれしい」

柩「えっと、そ、それじゃお湯とタオル用意しますね!」

千足「よろしく」

柩「ぼく、頑張って拭きますから!?」

千足「いや、そんなに気を張らなくても」

柩「千足さんが悪いんです!うれしすぎる事いきなり言うから!」

千足(かわいいなぁ)

柩「じゃ、行ってきます!……ってあれ?」

千足「どうした?」

柩「いえ、今気づいたんですけどシーツから何か懐かしい匂いが…?」

千足「シーツは替えたばかりだよ?」

柩「…なら、気のせいですかね?」

千足「確かに少し花の香りがするな干していた時についたのかな?」

柩「そうかもしれませんね、今度こそ行ってきます」

千足「よろしく柩」

柩「はい」

寝落ちしたけどなんとか書けたよかった、よかった

次はまた過去に戻ります

メモ2

デスストーカー(オブトサソリ)

・粛正部隊蠍の隊長格(別に蜘蛛姐さんことブラックウィドウの率いる特殊戦闘部隊"蜘蛛"がある)
・キャラ名が最初毒の樹木イチイ(アララギ)のせいでモデルが某ワカメ(HFルートあたりのCCCのかっこいいワカメ要素はない)
・組織の特色を出すため毒虫四天王のオブトサソリに名前を変更デスストーカーという英名もキモいキャラに合うのでグッド
・本人の戦闘力は低い
・ボスか幹部の血縁というだけでいる職場で嫌われる馬鹿息子


ツインズ(個人は名無し)
・銀髪の双子姉妹
・柩と同期だけど二歳くらい上
・武器はカタールとかナイフ系
・感情を失っているが実は姉妹愛だけは残されている
・柩がうらやむCカップ
・銀髪、双子と目立ちすぎる特徴があったため組織として扱いに困ってたらしい

~はじめての部下~

柩「ぼく達、人事部じゃないですよね?」

ベラ「人事なんて部所ごとにけっこう好き勝手やってるなぁ」

柩「今回の生け贄の選定でもするんですかね?この書類の山は」

ベラ「いんや、おまえ欲しい子いたら死んじゃう前に選んどけって話しようと思って呼んだ」

柩「?」

ベラ「名持ちになるとパシリが貰えるのよ、新人から」

柩「……」

ベラ「急に黙ってどうした?」

柩「もしかしなくても、ぼくって」

ベラ「聞きたい?」

柩「聞きたくないです」

ベラ「我ながら他のヤツよりいい先輩だと思うのよ、私」

柩「自分で言わないでください」

ベラ「つれないなー」

柩「でも毎年というわけではないとしてもやる度に死なせすぎじゃないですか?あれ」

ベラ「胸糞悪い話していい?」

柩「海藻頭の話以外なら」

ベラ「んじゃOKね、おまえが名持ちになった話せるんだけどさ、あの殺し合い配信してるのよ有料で」

柩「世の中腐ってますね」

ベラ「ちなみにロリ子は仕事が早すぎて放送のらんかったから安心していい」

柩「それは喜んでいいのか複雑な気分です、あとその呼び方ねじ込もうとするのやめてください」

ベラ「呼びやすいのに」

柩「最近、ニードルガン自作してみたんですけど試していいですか?」

ベラ「銃口向けてから言うなよー」

柩「撃たないだけ良心的だと思います」

ベラ「納得しそうになるから困る」

柩「で、話を戻しますけど」

ベラ「ん、何?」

柩「本当にあれだけ殺した元取れるんですか?」

ベラ「すぐに遺体から内臓回収して売り払うとか色々とやってるからむしろプラスらしいよ」

柩「…」

ベラ「だから胸糞悪い話するっていったじゃん?」

柩「ぼくも散々人殺してますけどドン引きですよ」

ベラ「まーそんな組織だからさパシリくらいはさー」

柩「部下って言ってください」

ベラ「でも私、かわいい娘以外パシリあつかいだし」

柩「本当にクズしかいませんね」

柩「しかし…今の話聞くとこの書類見るの気が重くなりますね」

ベラ「気に入ったのだけでも助けてやれよー」

柩「十代で胃潰瘍とか嫌ですよぼく…」

ベラ「そんな繊細なキャラじゃないだろー」

柩「しかしよくも、まぁ拾って来ますね」

ベラ「スルーするなよー、まぁ、このイベントの為に送り込んでくるキチガイ金持ちとかいるらしいよ?だから外国人とか混ざってたりさ」

柩「立派な暗殺者に育ったら返せとかいうんですか?」

ベラ「さぁ?だいたい死んでるから知らね」

柩「もしかして優秀な暗殺者育てる儀式的なものじゃなくて、殺人ショーメインですか?」

ベラ「ほとんどね」

柩「生まれは選べないとはいえ悲惨なものですね」

ベラ「ちょっと休む?」

柩「いえ、もう少し…ん?」

ベラ「なんかあった?」

柩「この娘なんですけど」

ベラ「借金のカタに連れて来られたのかねー、それなりの年齢だし…こいつがいいの?」

柩「いいって言うわけでもないんですが…」

ベラ「ですが?」

柩「このままいくとこの娘、絶対死にますよね」

ベラ「どんくさそうだからなー」

柩「直接会うことはできます?」

ベラ「今のおまえなら多少の無茶はきく」

ベラ「でもただ情で生かすならやめとけ、お互い傷つくだけだからさ?」

柩「そうでもないんですよ、この娘の経歴見てください」

ベラ「…、薬剤師の子供?」

柩「ぼく、どちらかというと使う薬物面でのサポートが欲しいというか」

ベラ「あー、私にはない発想だわ」

柩「毒の研究もやってるんでここ」

ベラ「もっと凶悪なやつが欲しいの?」

柩「いえ、使い安いやつとか携帯に向かないのをなんとかするとか」

ベラ「ふーん、なるほど」

柩「こういう話のできる信頼できる人間が一人は欲しいな、と」

ベラ「毒使うの放棄した人間でごめんなー」

柩「どうでした?」

ベラ「オッケーだってさ、こいつ運動面からっきしだし映像映えしないから引き取ってもらえたほうが良いって」

柩「会ってから決めるつもりだったのに過程飛ばしますか」

ベラ「おまえ、容赦ないけど話して情のわいた相手簡単に見捨てないだろ?」

柩「…ぼくのやってきた事知ってていいますか?」

ベラ「知ってて言ってるの、殺したルームメイトの命日に律儀に墓参りしてるような子だってさ」

柩「…なんで知ってるんですか」

ベラ「私が、諜報部の人間だって忘れてんだろ」

柩「諜報部隊はストーカーの集まりか何かですか?」

ベラ「似たようなもんさ…私は、そのアンバランスさが怖いのよねーいつかやらかすんじゃないかって」

柩「やらかすって?」

ベラ「惚れた相手にわざと殺されてあげるとか?」

柩「うわーろまんちっく」(棒読み)

ベラ「茶化してる訳じゃないんだけどね」

柩「まぁ、愛しい人が実は敵とか憧れますよね現実にあると思えませんが」

ベラ「なきゃいいんだけどさ、おまえ仲良くなってから毒打ち込むとかたまにやるじゃん?」

柩「そんなの演技ですよ」

ベラ「演技ですまされない日がいつか来ないとも限らないよマジで」

柩「今日はいつになく絡みますね」

ベラ「なんつーか、ここに愛想尽かしかねない話したから柄にもなく不安なのかもな、私が」

柩「…大丈夫ですよ、ぼくも薄汚い毒虫なんですから」

ベラ「不安になるようなキャラじゃないでしょ(キリッ)みたいなツッコミないのかよー」

柩「声真似やめてくださいあなたの場合シャレにならなくてキモい」

ベラ「キモいとか言うなよ泣くぞ」

柩「それこそ泣くようなキャラじゃないでしょうに」

着々と心中フラグを立てていく柩ちゃんであった…
タイトルのわりに新キャラ出せてない不具合
頭回らないので寝るある

~初めての部下はアホの子~

柩「生きてますかー?」

No.300「あと五分…」

柩「…まだ余裕ありそうですね」

No.300「…あなた誰?」

柩「あなたのご主人様です」

No.300「……はい?」

柩「被験体No.300さんあなたは、本日からエンゼルトランペットの所有物となりました」

No.300「監禁されたり、脱出しようとしてボコボコにされたりして、女の子の所有物?なんの冗談なんですか?」

柩「その傷は冗談ですんでないでしょうに」

No.300「そうなんですよー女の顔殴るとかひどくないですか!?」

柩(…人選間違えたかな)

No.300「なんでそんなかわいそうなものを見る目をするんです?」

柩「いろんな意味でかわいそうな感じですね」

No.300「そうですか?」

柩「今のあなたは家族も財産も名前も失いました、それは理解してます?」

No.300「いいえ?」

柩「…」

No.300「?」

柩「すいません、ぼくも殴っていいですか?」

数日後

柩(まさか目の前で家族殺されてちょっと精神おかしくなってるとか…そういうの書類に書いといてくださいよ…)

No.300「ますたー!ますたー!これ針じゃなくて釘打ち出せるように改造してみましたー!」

柩「一生懸命で良い子なんですけどねー」

No.300「…すいませんますたー」

柩「どうしたんです?」

No.300「一回撃つと壊れますこれ」

柩「使い捨てにすれば…って薬品入れてる部分割れたら撃ったほうが危ないじゃないですか!?」

No.300「あははー、やり直しですねー」

柩「まったく…」

No.300「どうしました?」

柩「アイデアは悪くないので設計から見直しますよ」

No.300「いえす、ますたー」

ベラ「あー最近ロリ子の付き合いが悪い」

名無し「ボスは仕事してください」

ベラ「あの子、地味な感じだったけどロリ子相手だとテンション高いなー」

名無し「あれですよ飼い主にだけやたらなつく犬みたいな」

ベラ「あー、納得」

名無し「見てくださいよ、あれ完全に保母さんと園児ですよ」

ベラ「流石に園児はかわいそうだろロリ子が泣くぞ」

名無し「本気で殺されますよ?」

ベラ「いやーそれはな…あぶねっ!?」

柩「あ、せんぱいじゃないですか、すいませんてがすべりました」(棒読み)

名無し「やっぱボスすげーや、あたしなら死んでました」

ベラ「だろ?」

柩「チッ」

柩「諜報部暇なんですか?」

ベラ「私いないほうがまとまるんだよ」

柩「納得しました」

名無し「納得しないでくださいよー、先輩までそんなん言い出したらボス本当に仕事しないですよー」

柩「この人、真面目に仕事する気ゼロだから無理です」

名無し「そんなー」

ベラ「で、どーよ?あれは」

柩「気長に教えるしかないですね」

ベラ「使える目処はあると?」

柩「まぁ…わりと物覚えは悪くないので、まともに使えるのが何年後になるかわかりませんが…」

ベラ「本当に気が長い話だな、おい」

~一年後~

No.300「武器の整備終わりましたよ、ますたー」

柩「うん、問題ないです、もう任せてもいいかもしれません」

No.300「えへへー」

ベラ「本当に使いもんになるとわねー」

柩「おや、先輩こんにちわ」

No.300「…こん、ちわ」

ベラ「…相変わらずおまえ以外にはまともに話せないのなー」

柩「なんなんでしょうね?」

ベラ「ちっちゃい方が警戒心持たずにすむとか?」

柩「試し撃ちしますよ?」

ベラ「それ痛そうだからやめて」

柩「多少の厚着なら撃ち抜きますからねこれ、体感してみません?」

ベラ「尚更、お断りだ」

柩「残念です」

ベラ「しかし、これじゃおまえの当初予定してたサポートは期待できないのかー」

柩「それなら、この娘には薬品知識も叩き込みましたから大丈夫です」

ベラ「マジか」

柩「研究室のほうには少し話せる子もいるみたいで留守にしても安心できるようになったんですよ」

ベラ「たいしたもんだわ、教育の才能あるかもよ?」

柩「元々才能があるんですよこの娘、ちょっと忘れてるのを思い出す手伝いをしただけで」

No.300「えへへー、ますたーになでられるの好きですよー」

柩「マスターとか呼ばれるのは今でも慣れないんですけどね」

ベラ「尊敬されてるんだろうから呼ばせとけ、主従が円満にまとまってるなら良い事だし」

柩「そうですね」

~そして黒組参加直前~

No.300「あのマスター」

柩「ん?どうしたんです」

No.300「今度の任務は危険だと聞いて、あの」

柩「所詮、相手は名無しの構成員を何人か斬った程度の人間、もう一人ほうは素人らしいですからぼくなら余裕です」

No.300「ですが」

柩「…最悪帰らなくても研究室で使ってもらえるよう頼んであるから、今後の心配はしなくていいですよ?」

No.300「そんな話はどうでもいいんです…マスターが無事に帰ってきてくださるなら」

柩「わざわざ死にに行くつもりはないから安心してください、先輩の部下も先行したみたいですし」

No.300「本当に大丈夫ですよね?」

柩「大丈夫です」

No.300「頭なでるのはズルいです」

柩「この数年で随分成長したと思ったけど、こういうところはかわらないですよね」

No.300「全部、マスターのおかげです、私が頑張れたのもマスターに誉めてもらいたいからで…」

柩「ちゃんとわかってますよ、心配性ですね」

柩(この子に悟られるくらい、ぼくは不安になってるという事なのかな…暗殺者同士の殺し合いなんて初めての経験だし)

お膳立て終わり
ようやく黒組絡みに移行できる

~諜報部による黒組参加者の情報~


裏オリエンテーションの三日後、先輩からメールが届いた
参加者の情報をできるだけ集めたらしい…

・東兎角
有名な東のアズマの跡取り
17学園での成績も良く高い戦闘力を持つと思われる要注意人物
ただし実戦の記録がないため殺人経験は不明
カレー大好き


柩「東のアズマかぁ…厄介な人が守護者になったなぁ……最後のはいらなくないですかね先輩?」


・犬飼伊介
暗殺者犬飼恵介の娘(血縁関係はないらしい)
近接から銃器も扱う万能型、薬物もあるよ!
勝つためには手段を選ばないところがあるのでバッティングは避けた方が無難
おっぱいデカイ


柩「この人は最後に余計な情報入れないと死ぬ病気か何かですかね…」

神長香子
クローバーホームからの刺客
爆弾使うらしい
眼鏡が似合って知的な感じがいいと思うけど、どうよ?


柩「どうよ?じゃないですよ…」


・剣持しえな
集団下校所属の暗殺者?
殺人経験に関しては本人は殺したと思ってるけど事故っぽい
からかうと楽しそう


柩「えーっと…ほとんど一般人じゃないですか?」


・寒河江春紀
フリーの暗殺者
高い身体能力とワイヤーを使った絞殺、ワイヤートラップを使う
貧乏で人情家、情にうったえて味方に引き込むのもあり
わりと私好み


柩「いや、あんたの好みは聞いてないから…」

・首藤涼
NoDATA
情報求む
しゃべり方かわいくね?

柩「……もう死んでください」

・武智乙哉
シリアルキラー
21世紀の切り裂きジャックはこいつらしい
警察から逃げるために黒組に逃げ込んだとのこと
多分一番早く仕掛けると思うので要注意
この前、じゃんがらで相席したけどわりと良い子かも

柩「本当に何やってんですかあの人は…」


・走り鳰
探りに行ったやつが帰ってこないのでとりあえず注意しとけ


柩「アバウトなうえに不安にさせるだけなら何も書かないで」


英純恋子
英財閥のお嬢様
幼少時に四肢欠損する怪我をしているので高性能な義肢つけてるか影武者だと思われる


柩「…その高性能な義肢ってどんななんですかね」


番場真昼/真夜
NoDATA
二重人格なのはわかった


柩「仕事してください」

柩「このわざとらしい構成…ようするに残りの二人が標的ですよね…」


・一ノ瀬晴
一ノ瀬家唯一の生き残り
女王蜂候補※別記参照の事
毒殺されかけた事も何度かあるらしいので彼女を狙う際は量、濃度に注意する事


柩「別記って…プライマー?……なるほど、働き蜂候補というわけですかぼくたちすらも…そうはいきませんよ」


・生田目千足
西洋剣術の使い手
エンゼルトランペット参加の噂を流した数日後に黒組参加が決まっている
法で裁かれない悪を斬る暗殺者らしい(未確定情報)
99%"ブレード"と思われる


柩「……まぁ、こんな事じゃないかと薄々気づいてましたけど…当然ミョウジョウ側はこれ知ってて同室にしたわけですよね…」

おかしい……かつてルームメイトを殺して生き延びた人間が今さら何を悩むというのだろう
優しくされたから?
違う、優しくしてくれた人ならいくらでもいるし、そうやって近づいて暗殺した相手だって一人や二人じゃない
かっこいいから?
理由になってない、見た目で殺せないとか暗殺者として論外じゃないですか

ふと、握ってもらった手の温かさを思い出す
胸のあたりがなんだか痛い…こんな感じは初めてだ…

一目惚れ?

そんなバカな!ぼくは、ダチュラのエース…あのイカれた組織の暗殺者なんてやってる人間がそんな漫画みたいな…
でも、他に説明が…

いけない、よくない方向に思考が回っている
生田目千足を殺す自分を想像しよう

……悪くない、でも千足さんがぼくを好きになってくれたうえで殺さないとなんというかしっくりこない

絶対に無理だろうなぁ…だってぼくは彼女にとって標的でしかないはずだし

じゃあ、逆はどうだろう…千足さんに斬られて死ぬ自分を想像してみる…そんな趣向はないはずなんだけど…これも悪くない気がする

……何をバカな事を考えているんだろう

考えて、考えて気づいた事がある
ぼく、初めてなんだ…人に好かれたいと思ったの…

先輩にも、あの子(No.300)にも、最悪嫌われてもいいって思っていたから平気でキツイ事を言えていた

それなのにあの人に対してだけはキャラを作ってでも好かれるように振る舞おうとしている自分がいる

好かれるわけがないと思ってるくせに好かれようと努力する自分…どうしようもないくらい矛盾している


ここに来て、たった数日で暗殺者エンゼルトランペットは壊れてしまった

そうだ、ぼくはもう壊れている
なら認めてしまおう、桐ヶ谷柩は生田目千足が好きであると

うん、良い感じ
心が少し軽くなった気がする

組織に対して感謝はしているが忠誠を誓ったつもりはない裏切る事に問題は…

ない

大丈夫あの子には世話をしてくれる友人もいるし
あんまり頼りにしたくないあの人もいる

それに、ぼくがいないほうが自立できるかもしれないし
こんな人間が保護者面なんてしていいわけがない


なぁんだ、ぼくなんて…いらないじゃないですか…うふふふふふふ

なら、もう少しだけこの生活を楽しませてもらおう
おそらくこれは出来レース
東兎角を一ノ瀬晴と同室にした時点で仕組まれた茶番に違いない
…あの先輩がどうやって一族や女王蜂の情報を手に入れたかわからないけど
おそらく標的二人の情報は真面目に集めたはずだ


なら、楽しもうこの茶番を…ぼくのこの好意がただ一過性のものか本物か確信できるまでは

恋愛感情にうとい柩ちゃんが初恋に惑わされる感じが出てたらいいなーと

No.300は大好きなますたーがいれば満足だと理解してないという悲劇
見捨てられた時の悲しみとか知らないのでちょっと疎い感じなのです

~甘味処まんじ屋~

一族の男「何故、こんな店を選んだかと疑問だったがなるほど…地下に隠し部屋とはな」

?「まぁ、そういう事じゃ、お互い交流があるなど知られたくあるまいよ」

一族の男「貴様が御前か」

御前「左様、わしがダチュラ諜報部の長じゃ」

一族の男「要求された資料は全て揃えてやった受け取れ」

御前「ほう……女王蜂か、しかしこれは一族の中でも秘中の秘であろうに」

一族の男「一ノ瀬が消せるのなら背に腹は変えられん、女王蜂一人でどれだけの序列が狂うと思う!?我等の努力はただ力を宿しただけの小娘の前に全て無駄になるのだ!」

御前「あまり興奮するでないわ、ふむ…なるほど…しかし厄介じゃのう」

一族の男「何がだ?」

御前「一ノ瀬晴のルームメイトは東兎角、東のアズマじゃ」

一族の男「東のアズマ…奴が働き蜂として使役されると?」

御前「まだわからんが…この資料が示す通りなら同室にしばらくいたら危険じゃろうて」

一族の男「我々は黒組とは別に報酬を用意しているのだ、確実にしとめてもらわねば困るぞ」

御前「うちの刺客は実績はあるがの、あれほどの相手とは対峙した事がない」

一族の男「話が違うではないか!あのエンゼルなんちゃらなら確実に一ノ瀬を消せると聞いたから協力してやっているのに!」

御前「まぁ待て、あくまで対峙したらの話じゃ、ようは戦わなければよい」

一族の男「…まぁいい、結果さえ出せば何をしようがかまわん」

御前「おやゆっきりしていけば良かろうに」

一族の男「立ち寄ってみやげの甘味でも買った設定のほうがやりやすいのだ」

御前「そうかい」

ガチャ

御前「くっくく…」
バサッ
ベラ「バーカ御前なんて人間いないっての」

店長「何バカ笑いしてるんだ、お嬢」

ベラ「いやさ、あいつ私の事は門前払いのくせに架空のお偉いさん作ったらコロッと騙されてさー」

店長「そうか…久しぶりに来たと思ったらババアのコスプレして接待始めるからイカれちまったのかと」

ベラ「そう言われたら泣きたくなってきた…」

店長「お嬢、おまえ一族にケンカでも売る気か?」

ベラ「いやー、そこまでバカじゃないって」

店長「ならいいんだが」

ベラ「ただのお節介、かわいい後輩を死なせたくないんだ」

店長「…あのお嬢が後輩のだめに骨を折るようなまねをするなんてなぁ…親父さんの墓前に報告に行くか…」

ベラ「マジ泣きするくらい、今までの私は薄情な人間だったのかよ」

店長「しかし女王蜂なぁ…一族ってのはとんでもねえ血族がいるもんだ」

ベラ「んー、でもこれ曖昧すぎてよくわからんよね…フェロモン的なものならロリ子にも勝機はあるのかね?」

店長「…かわった名前だなお嬢の後輩」

ベラ「私がつけた愛称だよ!」

店長「そりゃそうか…ってそれ愛称というよりいじめじゃないのか?」

ベラ「そんなことないよー」※柩本人はとても嫌がっています

店長「しかし、なんでここで取引きしたんだ?」

ベラ「うちも一枚岩じゃなくてねー、目立ってきたロリ子に失敗して死んでもらいたいとかいうやつらもいるみたいなのよ」

店長「…どこの組織も似たようなもんか」

ベラ「出る杭は打たれるってね、出たくて出たわけじゃねーのに」

店長「お嬢と違って真面目なんだろうなその娘」

ベラ「裏の仕事してんのに真面目なんて精神病むだけよ」

店長「お嬢も少しは凹まされたみたいだな」

ベラ「まーね、連れてった連中みんな殺したの私だし」

店長「そうか、あいつらみんな死んだか」

ベラ「あの時の私に近い状態なのよロリ子はさ…最近、ずっと嫌な予感しかしないんだわ」

店長「余計な情報を与えると混乱する場合もあるぞ、特にこれは…知らないほうがいいんじゃないのか?」

ベラ「どーなんかねぇ…あいつ、優秀だからさ情報があればあるほど活きるタイプな気がするのよ」

店長「最終判断はお嬢に任せる、俺はその子の事を知らんからな」

ベラ「じゃ、送信っと…んー、そろそろ帰らんと地味子が泣くかなー」

店長「そうか元気でな、盆には墓参りくらい行ってやれよ」

ベラ「気が向いたらね」

甘味処まんじ屋
いかついおっさんが店主の和菓子屋、豆かん、白玉クリームあんみつがオススメ
お持ち帰りもありますよ

※実在しません

~息抜き番外編・桐ヶ谷さんと剣持さん~

柩「会いたいといったのはぼくですけど…なんで千葉くんだりまで…」

しえな「よく来たな、桐ヶ谷」

柩「あの、剣持さんあなた確か幕張のほうに住んでませんでした?」

しえな「久しぶりに会うついでだ、ちょっと協力してくれ!」

柩「え?」

~京成ローザ~
パンツァーフォー

柩「剣持さん…」

しえな「なんだ?」

柩「なんでぼく二人で映画見てるんですかね…?」

しえな「とりあえず話は本編を見てからにしよう」

柩「はぁ…」

ワレワレアンツィオハヨワクナイ!イヤツヨイ!

柩(…けっこうに面白いかも)

~終了後ロビー~

柩「まったく、なんなんですか…」

しえな「入場者特典が付く日だったから援軍が欲しくて、つい」

柩「このフィルムですか?」

しえな「そうだ、ファン垂涎のアイテムだとは思わないか?」

柩「まったく理解できません…あ、カルパッチョさんだ」

しえな「!?ボクなんてスタッフロールの文字だけという仕打ちなのに!」

柩「…何もしらない人間巻き込んだ罰が当たったんですよ」

しえな「なんて事だ…」

柩「いります?」

しえな「マジ?」

柩「いや、いらないなら持ち帰りますけど」

しえな「是非に…」

柩「大事にしてくださいね」

しえな「おまえ、いいやつだったんだな…」

柩「はぁ……あのぼく、剣持さんに話があって来たんですけど…」

しえな「そういや、そうだったな」

柩「おいこら」

しえな「とりあえず飯食べにいかないか?」

柩「いいですね、とりあえずイタリアンで」

しえな「とんだ飯テロアニメだったな…イタリアン以外ありえないだろこれ」

柩「とりあえず下のフードコート行きます?」

シナリオドウリニイカナイモンダー(着うた)

しえな「ちょっと待て…あー、ボクだけど、うん…うんOK…いやおさげは…うん」


柩「?どういう会話ですか」

しえな「うん、参考にしてみる、うん、ありがとうな…だーかーら!それはだめだって!…あ、うん切るぞ……とりあえずバス停に移動しよう」

柩「はい?」

~バ◯バブ~

柩「なかなか雰囲気のある店ですね」

しえな「…そうだな」

柩「なんで、ちょっと引いてるんですか?」

しえな「いや、別に、ちょっと本格的すぎてビビったりしてないぞ?」

柩「あなたが連れて来といてなんでビビってるんですか!」

しえな「電話の相手にイタリアンでオススメの店聞いたんだよ…」

柩「なるほど…でもおさげ?」

しえな「まーその話はどうでも良いじゃないか!移動でさらにお腹空いたし入ろうか!な!?」

柩「…あやしい」

柩「うわぁ…ショーケースにケーキがたくさんならんでますね…あ、ストロベリータルトだ!千足さんのおみやげに買って帰ろう」

しえな「帰りにしよう、な」

柩「あれにときめかないとか剣持さんテンパりすぎじゃないですか?」

しえな「おまえが自然体すぎるんだよ」

柩「家族連れも居ますしハードル低いほうだと思いますよ?」

しえな「そ、そうか」

柩「ダメだこの人…はやく何とかしないと…」

ウェイトレス「あ、二名様ですねーこちらへどうぞー」

しえな「あ、ひゃい!」

柩「どうしようちょっとかわいく見えてきた…」

柩「木製の額にメニューがあるのがなかなか…黒板に手書きでオススメメニューまでありますよ剣持さん」

しえな「あ、ああどれにしようか」

柩「かくかくしてないでメニュー見てくださいよ」

しえな「見てるぞ、見てる、うん、見てる」

柩「今、何食べても味しないんじゃないですかこの人」

しえな「…そういえばボルチーニリゾットがすごいから食べろって聞いたんだ」

柩「リゾットはいいですね…2、3人用らしいので二人でわけましょう」

しえな「うん、そうしよう…パスタも食べるか?」

柩「パスタも二人で別のを頼んで一口づつでも試してみます?」
しえな「いいかも」

柩「季節の野菜のカルボナーラで」

しえな「おい」※野菜嫌い

柩「本当は夏野菜のペペロンチーノもいいんですけど…」

しえな「何か問題か?」

柩「千足さんに会いに行くのに…にんにくはちょっと…」

しえな「ブレスケア一気飲みしろまな板」

柩「冥土に送るぞ地味眼鏡」

しえな「まぁ、冗談はさておき…マルガリータピザとカルボナーラが人気らしい」

柩「ネットに食レポ載ってるんですね」

しえな「無難に行くのが良いと思うけど、どうする?」

柩「今出た三品を頼んで分けて食べますか?デザートは食べ終わった時にいけたら頼むという感じで」

しえな「じゃ、それで」

柩「じゃ、店員よびますね」

柩「…けっこう大きいですねピザ」

しえな「一人、一種類とか頼まなくてよかったな」

柩「なかなかですね」モグモグ

しえな「端のカリカリしたとこ好きなんだよ」モグモグ

柩「食感が良いですしね」モグモグ

店員「おまたせしましたー」ガラガラ

柩「…」

しえな「…」

柩「な、何なんです?あれ」

しえな「…でかいな、チーズというより漬け物石?いやもっとでかいか」

柩「僕たちこんなの頼んで…チーズの器でポルチーニリゾット…これですか」

しえな「…確かにすごいけども…あいつ…」

店員「少々お待ちくださいねー」

柩(くり貫かれたチーズの中でリゾット混ぜ始めてますね…これは)

しえな(当たり前だけどチーズ臭い、チーズの臭いヤバイ)

柩(軽くテロですよこれ)

しえな(周りの席のお客さんマジすいません)

店員「どうぞー」

柩「まぁ、当然ですけどあのチーズは流石に持ち帰りましたね」

しえな「あれ置かれたらチーズでテーブル埋まるからな…」

柩「…チーズでトロトロですね」

しえな「強烈だな、これは…クセ強すぎてランクインしないわけだ」

柩「じゃいきます」

しえな「お、おう」

柩「…すごいです、これ、ぼくの中でチーズリゾットの概念ぶっ壊された感じですよ、これ」

しえな「すごい濃いな…すごいけど、ボクちょっと苦手かもしれない」

柩「残りはぼく食べるんでピザのほうよろしく」

しえな「うれしそうだな」

柩「米好きですから」

しえな「しかし、これにんにくどころの騒ぎじゃないな」

柩「あ…もう、いいです、美味しいもの万歳」

しえな「ブレスケアじゃなくてファブリーズ帰りに買わないとな」

柩「駅前にマツキヨありましたよね」

しえな「あるある、しかし、食うのはやめないのなおまえ」

柩「むしろ吹っ切れたので食べることに集中できますよ、うふふ」

しえな「頼んだのはボクだけど恨むなよ?」

柩「恨み…ませんよ、美味しいですし」

しえな「今、ちょっと間があったよな!?」

?(すっごいびっくりするから一回食べてみてよ!しえなちゃん)

しえな「あいつの言葉を信じたボクがバカだったけど…結果オーライなのか?これ」

柩「例の知り合いの話ですか?」

しえな「ああ…幕張のコンパニオン引っかけてここで食べて美味しかったとか言ってた」

柩「剣持さんって変な交遊関係あるんですね」

しえな「あいつが特殊すぎるんだあいつが」
柩「ふーん」

しえな「なんだよ?」

柩「そのわりに真っ先に相談するんですね」

しえな「そいつが、外食ばっかしてるからだよ?別に他の意図なんてないぞ!?」

柩(わかりやすい人だな…こんなだからぼくはあの場所ではあなたを…)

柩「さて、カルボナーラ来ましたがどうします?」

しえな「おまえ、リゾットけっこう食べたろ?ボクが少し多めに食べるよ」

柩「助かります、こういう店だけど量はガッツリなんですね」

しえな「複数頼まなくてよかったな…あれの後だとこのクリーミーさに癒される」

柩「そうですね、あえてシンプルなのにしたのは正解でした」

しえな「それじゃさっさと食べてしまおうか」

http://m.youtube.com/watch?v=nXpBVauALOM

二人「ごちそうさまでした」

柩「ふぅ…」

しえな「ふぅ…しばらく動きたくないな」

柩「同感です…ところで」

しえな「なんだ?」

柩「ぼくがあなたに会いに来た理由わかってます」

しえな「…そういや、なんでだっけ?」

柩「……」

しえな「おい、メニューの角はやめろマジで死ぬ」

柩「うふふ…そりゃ殺す気ですから」

しえな「目がマジで怖いです桐ヶ谷さん」

柩「真面目な話なんですが」

しえな「…ごめん」

柩「千足さんはまだ入院してますが、後遺症も残らずに助かったのはあなたから作られた血清のおかげです、それについては感謝してるんです」

しえな「ボクはおまえに殺されかけただけだぞ」

柩「死なずにいてくれたあなたの生命力に感謝しているというか…まぁ一ノ瀬さんがあのタイミングで来てくれたおかげなのかもしれませんが」
しえな「おい、こら」

柩「いや、本当にありがとうという気なんですよ?」

しえな「まぁ、電話ですむ話を千葉くんだりまで出てきてくれたしな」

柩「電話ですますとか、そこまで薄情じゃないですよ」

しえな「薄情云々って…おまえが言うとなんというか」

柩「うふふふふふ」

しえな「怖い怖い怖い」

しえな「ボクも生田目が助かったのは良かったとは思うけど」

柩「…」

しえな「こわい、笑顔がこわい」

柩「大丈夫ですよ?もう毒は使わないって決めたし」

しえな「そうなのか」

柩「……しばらく麻痺する程度のやつはもってますけど」

しえな「…それ普通に毒だよ?」

柩「後、ですね」

しえな「何さ」

柩「いくらでも恨んでくれていいですけど、あの時の事だけは互いに暗殺者としての駆引きの結果なのでぼくは謝りませんよ」

しえな「ああ、それはいい」

柩「おや?」

しえな「ボクがおまえの手の内読み切れなかっただけだしな、おまえルール違反はしてないし」

柩「それはそうですが…本当に?」

しえな「……まぁ、入院中はめちゃくちゃ荒れた、後遺症でも残ってたら一生恨んだろうけど」

柩「それくらいぶっちゃけてもらえたほうが安心しますよ」

しえな「でも、恨み言はこれくらいでやめとく」

柩「なんでですか?」

しえな「おまえの場合赦されたほうがダメージ入りそうだし」

柩「…」

しえな「楽になろうとしてるヤツにささやかな復讐だ」

柩「…なんで、その分析力を本番で活かせなかったんです?」

しえな「うっさい」

~帰り道~

柩「色々ありましたが楽しかったですよ…不本意ですが」

しえな「おまえは…こう、もっと素直に…いや素直なのか?これで」

柩「まぁ、屈折してますから、ぼく」

しえな「いや、自分で言うなよ」

柩「あなたの前で猫被る必要ないですしー」

しえな「おい…まぁ、そっちのほうが話やすいからいいか」

柩「そうですか?」

しえな「黒組時代のおまえら近寄りがたい雰囲気出しすぎだったぞ」

柩「…?」

しえな「本当に自覚なかったんだな…バカップル」

柩「バカップルゆーな」

~病院~

千足「今日は来ないかと思ってたよ」

柩「千足さんのお見舞いは絶対に欠かす気はないですよ?実は、ちょっと剣持さんに会いに行ってたんですけど、色々ありまして…あ、これおみやげです」

千足「そうか、剣持に会ったのか」

柩「元気でしたよ」

千足「ちょっと心配してたんだ剣持は少し思い詰めてた感じだったから」

柩「良くも悪くも吹っ切れてました…会う前に色々考えてたのバカらしくなるくらいに」

千足「柩…何かあったのか?」

柩「彼女を見る目が少し変わりましたよ、わりと面白い人でした」

千足「へぇ、演技指導の時に豹変した時は私も驚いたが…」

柩「あれは大変でしたね…でも」

千足「あの舞台は私達にとって本当に忘れられないものになってしまったな」

柩「……ちょっと忘れてほしい部分もありますが」

千足「…エクスタシーのくだりとか?」

柩「やっぱりぼくの事殺してください!今!すぐに!」

千足「おちつけ!悪かった私が悪かったから!」

柩「すいません…お見苦しい姿を」

千足「いや、私こそごめん」

柩「…正直、引きましたよね?」

千足「あの時はそれどころじゃなかったから」

柩「…あの時だけは、ですよね?」

千足「……」

柩「やっぱり引いてるじゃないですか!」

千足「いや、あれはあれで愛情表現の一つだと解釈すれば大丈夫だぞ、うん」

柩「もう、いいですよ……あんな醜態さらしたぼくに毎日会ってくれてるだけで満足ですから…」

千足「いじけないでくれ、私はちょっと変わったところはあるけど柩が好きなんだから」

柩「その笑顔は反則です…あと頭なでないでください…子供じゃないんですから……あっ」

千足「ん?どうした」

柩「いえ、ちょっと」

柩(あの娘もこんなくすぐったい感じが好きだったのかな…元気にしてればいいけど)

~今回のオチ~

柩「まぁ、こんな感じだったんですけど」

千足「なるほど映画(アニメだけど)見て、食事して、最後に買い物(マツキヨ行って消臭剤買っただけ)したわけだ」

柩「……あれ?」

千足「その感じだと気づいてなかったな」

柩「……」

しえな「桐ヶ谷にペースつかまれたくないから無理矢理連れ回しちゃったけど…わりとうまく行ったな」

柩からもらったフィルム眺めながらちょっとにやけてしまった

しえな「意外に付き合いよかったなあいつ…映画も、食事も、最後にちょっと買い物して………あれ?」

デーデデデーデッデデデッデ-(帝国のテーマ)

しえな「桐ヶ谷から?」

ピッ

しえな「もしもし?」

柩「あの!剣持さん!」

しえな「なんだ?どうした?」

柩「あの…今日の…あの…アレはノーカンですよね?」

しえな「?……っ!ノーカン!ノーカン!当然ノーカンだよな!」

柩&しえな(完全にデートみたいだとかありえないから!)

しえなちゃんがオタクなのは八割くらいVIPのせい

次回から最終回以後の話に移ろうかと思います

ダチュラ幹部「!?っ、貴様は!」

オブト「やぁ、こんばんわ」

ダチュラ幹部「何の用だ?」

オブト「黒組の件でお聞きしたい事が、あるんですよ」

ダチュラ幹部「…死肉漁りに何を答える義務がある?」

オブト「困るんですよ、組織を私物化とかされると」

ダチュラ幹部「貴様に何がわかる?」

オブト「わかりませんよ、僕はね裏切り者を[ピーーー]だけの存在ですから」

ダチュラ幹部「裏切り?馬鹿な、ミョウジョウを敵に回すのが組織にとってプラスになるとでも?」

オブト「あー!あー!聞きたくない!聞きたくない!聞きたくない!そういう私は組織の為に苦渋の決断しましたとかいらないんですよ!?」

ダチュラ幹部「ひっ」

オブト「仮にもエースなんですよ、被検体小娘だからって勝手に売り払われても困るんですよねぇ!」

ダチュラ幹部「任務に失敗して死んだはずのガキを死んだままにしただけだろ…」

オブト「あーあ、お話になりませーん!」

パスッ

ダチュラ幹部「ガッ!」

オブト「なんだよ?一発で死んじゃうとかつまんないですけどー?」

双子(姉)「マンションの住人全て抹殺完了しました」
双子(妹)「命令通り、ペットも残していません」

オブト「あははははははははははははははは!良い!良いね!組織に残ってる馬鹿な考えて持ったバカに見せつけてやらないと!こうパーッとさ!」

鳰「理事長」

百合「どうしたの?鳰」

鳰「うちに来たダチュラのおっさんいたじゃないっスか」

百合「…消されたみたいね」

鳰「あらー、情報が早いっスねぇ」

百合「こっちに飛び火するとしたら桐ヶ谷ちゃん狙いかしら?」

鳰「まーだ、晴の事も狙ってるみたいっスよ、一族の誰かがスポンサーになってるみたいで」

百合「あらあら、大変ね」

鳰「楽しんでません?」

百合「そんな事はないわよ?」

鳰「まぁ、情報をまとめると晴と桐ヶ谷二人とも殺ってエンゼルトランペットの襲名式とするみたいで」

百合「新人さんは凄腕なのかしら?」

鳰「桐ヶ谷が煮え切らない感じっスけど、多分たいしたやつはいないはずだ、と…ただ」

百合「ただ?何かしら」

鳰「ヤバイ先輩が出てくるはずだって言うだけで」

百合「師弟対決的な展開が期待できるわね」

鳰「もう隠そうともしてないっスね」

百合「…でも、これ、おかしくないかしら?」

鳰「あ、やっぱりわかります?」

百合「鳰さん」

鳰「はい」

百合「この茶番、必ずハッピーエンドにしてみせなさい」

鳰「了解っス」

ミスった…双子の台詞全部平仮名だった…

もうなんか色々酷いけど導入あと少しだしがんばろう

~甘味処まんじ屋~

ベラ「まさか、姐さんに呼び出されるとは」

蜘蛛「たまには良いだろう」

ベラ「まさか、ここをご存知とは、ね」

蜘蛛「霞殿とは旧知の仲でね」

ベラ「あのおっさん、あなどれないなー」

蜘蛛「ふふ、この店の主人としての顔しか知らないのだったな君は」

ベラ「おっさんの話はいいんですよ、どうして私をここに呼んだか、ですよ」

蜘蛛「おまえ、この件から手を引く気はないか?」

ベラ「はい?」

蜘蛛「今回は蠍の暴走のようなものだ、ゆえに任務の成否に限らず粛正対象になる」

ベラ「あのアホ娘も?」

蜘蛛「エンゼルトランペットの名を欲しがっているあの娘か?例外は無いだろう」

ベラ「…詳しく聞かせて貰えませんか?」

蜘蛛「黒組在籍中の一ノ瀬晴と黒組を卒業した一ノ瀬晴では一族にとっての価値がまるで違うのはわかるな」

ベラ「はい」

蜘蛛「反一ノ瀬の連中も気安く手を出せないのだ今は、下手をすれば自分の首が危うい事になる」

ベラ「ようは今のダチュラは一族に宣戦布告してるようなモノだと?」

蜘蛛「うむ、こんな馬鹿な事はない…だが蠍はそれを理解していない」

ベラ「アホだからなあいつ…」

蜘蛛「しかし、やつの暴走を利用して一ノ瀬晴を消してしまいたい人間もけして少なくない」

ベラ「……ようは実行犯の首で手打ちにしようって事ですか」

蜘蛛「そうだ」

ベラ「私も参加すれば殺されるって事か…」

蜘蛛「考える必要などあるまい、手を引け」

ベラ「あの…姐さん、私は姐さんの密偵として内偵をするために参加したって話にしたらどうなります?」

蜘蛛「ふむ」

ベラ「まぁ、姐さんに迷惑がかかるというのなら…」

蜘蛛「よかろう」

ベラ「良いんですか?!」

蜘蛛「その代わりに条件がある…」

ベラ「聞きましょう」

柩「おはようございます晴さん」

晴「柩ちゃんおはよー!あれ?千足さんは?」

柩「いつものあれです」

晴「あれ、ね」

柩「いくら退院したとはいえオーバーワーク気味で少し心配です…」

晴「兎角さんがついてるから大丈夫じゃないかな」

柩「そうですね、東さんダメそうなら容赦ない言葉でやめさせそうですし」

晴「まー、あれも優しさなんだよ?かなり不器用さんだから」

柩「ぼくはまだ慣れませんけど千足さんも笑って流しますよね…」

晴「なれると可愛いんだよ本当に」

柩「そんなものですかねー」

晴「柩ちゃんは意外に頭固いのかも」

柩「これって、そういう問題ですか?」

晴「でも残念だなぁ…兎角さんも一緒に勉強できたら良かったのに」

柩「恩師に連れ戻されたんでしたっけ?」

晴「うん、任務失敗した罰だとかで卒業まで17学園に通う事になって…」

柩「でも同棲は認めてくれてるんですよね」

晴「うん、まぁ」

柩「全寮制にしては異例ですよこれ」

晴「でも、これってさ…まだ護衛が必要って事だよね?」

柩「まぁ、一族の人間なんですからそこは諦めてください」

晴「そうだよねぇ」

柩「グループの系列とはいえ、一応普通の学校に通えてるんですから学生生活だけでも普通に楽しんでください」

晴「そうだよね!何事も楽しんでいかないと」

乙!あと少しで終わっちゃうのは名残惜しいけどがんば!

>>132
最終章(ただしブリーチ並み)いや…終わらせる気はあるですよ


柩の台詞
×オーバーワーク
◯オーバートレーニング
です千足さん働いてないよ!

兎角「生田目、大丈夫か?」

千足「ハァ、ハァ、ハァ…すまん、東…」

兎角「いや…正直な話驚いてる、私は最初に突き放しておまえがどれだけ鈍ってるか現実を見せるつもりだったんだが…」

千足「…酷いな」

兎角「自覚していない方が危ないぞ、思ったより動けないとか言っても相手が容赦してくれる訳じゃない」

千足「…確かに、優しいな東は」

兎角「そ、そんな事はない!…こほん、で、おまえは私に着いて来れるだけの体力があったようだからペースを落として様子見してみる事にした」

千足「なるほど」

兎角「まぁ、黒組の時よりは体力が落ちてはいるが気になるほどじゃない…おまえ入院中無茶してないか?」

千足「…あまり暇だからつい…」

兎角「つい、じゃない」

千足「柩や看護士さんからも怒られたよ」

兎角「当たり前だ、ちょっと桐ヶ谷と仲良くなれそうな気がしてきたぞ」

千足「晴ちゃんもわりと無茶するものな」

兎角「笑い事じゃないからな」

兎角「なんでそんなに急ぐ?もう少しペース落としても充分な気もするが」

千足「もし、君が同じ立場ならのんびりリハビリしていられるか?」

兎角「…仕方ないな」

千足「フフッ」

兎角「笑うな!///」

千足「本当に素直だな君は」

兎角「…うるさい」

千足「まぁ、そんな訳でこれからよろしく頼む」

兎角「…やるからには徹底的にいくからな」

千足「…からかいすぎたか」

~ダチュラ本部~

ベラ「生きてるかー?」

?「あら先輩じゃないですかお久しぶりです」

ベラ「なんだその人形?」

?「人形じゃないですよー」「いやだなぁ先輩、ぼくですよ?」

ベラ「……」

?「なんですか?先輩急に黙っちゃって」「ひどいですよねー、ますたーが話しかけてるのにー」

ベラ「珍しく、忙しくて見にきてなかったけど、ここまで重症とは思わなかったわ…」

No.300「おかしな先輩ですね」「あははーおかしー、おかしー」

ベラ「なぁ…おまえは大好きなマスターが死んだと思ってそんなになっちゃったみたいだけどさ」

No.300「なんです?」「なんなのー?」

ベラ「おまえのマスター生きてるよ」

No.300「…はい?」

ベラ「もっかい言うぞ、おまえの大好きなマスター生きてるよ」

No.300「…………」


ベラ「……」

No.300「うふふ、うふ、うふふふふふ、ひひひひひ…ははははははははははははははははははははははははははははははは!」

ベラ(はやまったかなー?)

No.300「生きてる?!生きてるますか!?ぼくが!?」「あたしは捨てられたんですか!?」

ベラ「ああ、ほい画像」

No.300「ああああああああ!ぼくが、ぼくです、ぼくですよ!?」「ますたー!ますたー!ますたー!?」

ベラ「満足か?」

No.300「ふふふだめじゃないですか、ぼくを捨てて出ていくなんて」「だめだめだめだめだめだめ!あたしを捨てるなんてだめ」

ベラ「会いに行く気あるか?」

No.300「!?」「あるよー」

ベラ「マスターを殺せるか?」

No.300「それは無理」「いやー」

ベラ「…じゃあどうしたいんだよ?」

No.300「二度と逃げれないように手足をちょんぎりましょう」「せつだーん!せつだーん!」

ベラ「達磨にして部屋に飾る気か…たいしたイカれ具合だわ…」

ベラ「おまえ、なんかしたか?」

オブト「いや?彼女はそのままだ、あんなアホ女に話しかけたくもないしね」

ベラ「おまえが何かやったと思うくらいの仕上がり具合だよまったく」

オブト「おやおや、そりゃあいいね!あのガキの絶望する顔が楽しみだ」

ベラ「ぶれなさすぎて、ヘドが出るわ」

オブト「あれの監視は君の仕事だからな」

ベラ「はいはい、ところで本当にあれにエンゼルトランペット名乗らせる気か?」

オブト「手柄を立てたら酬いてやらないと、僕は優しい男だからな」

ベラ「まぁ、ロリ子も一ノ瀬も一筋縄にはいかねーけどな」

オブト「おやおや敵の肩を持つのかい?」

ベラ「味方が頼りねーって話だよ」

オブト「僕らもいるのにかい?」

ベラ「東のアズマにうちの元エースってだけでも不安になるさ、それに何が加わるやら」

オブト「安心しろ隠し玉くらいある」

ベラ「ほーう?」

オブト「だが、教えてやらないぞ、秘密兵器だからな」

ベラ「別にいいよ」

オブト「本当にムカつくなおまえ!」

ベラ「で、聞きたいんだけどさ」

オブト「なんだよ?」

ベラ「あいつが要求した報酬はロリ子四肢切断して生かしたまま飼いたいってさ」

オブト「……正気か?」

ベラ「イカれてるだろ?」

オブト「いいんじゃないか?殺すより辛いだろうし」

ベラ「まーな、伝えとくぞOKって」

柩「……何やら寒気が」

晴「風邪?気を付けた方がいいよ」

柩「いえ、体調は悪くないはずなんですが…」

晴「熱はないみたいだねー」

柩「…う」

晴「どしたの?」

柩(ナチュラルにおでこくっつけてくるから抵抗するのも忘れてしまいました)

柩「晴さんって無防備すぎて逆に怖いというか心配になるというか」

晴「そうかな?」

柩「そうですよ」

晴「そっかー」

柩(…東さん苦労してそうだなぁ)

晴「柩ちゃんって兎角さんみたいな事言うんだねー」

柩「多分、だいたいの人が同じ感想を持つだけですよ」

晴「でもそんな事言うの二人だけだよ?」

柩「言わないだけです」

晴「うー、そんなに無防備なつもりないんだけど」

柩「前は東さんが過保護すぎると思ってましたが認識を改めないといけないかもしれません」

晴「兎角さんも過保護なとこあると思うけどな」

柩「過保護にならざるを得ないというか…これが能力というやつですか?」

晴「…それは冗談だとしても怒るよ?」

柩「すいません、失言でした」

晴「そういえば柩ちゃんは女王蜂の事知ってたんだね」

柩「ぼくの先輩がどこからか調べてきて、正直半信半疑でしたけどね…だからあの時は確信があっていったわけじゃないんです」

晴「あの時はびっくりしたよ、直後にあれだし」

柩「ぼくが死んで終わりのつもりだったんですが、世の中うまくいかないですね」

晴「柩ちゃん」

柩「わかってますよ、もう死ぬ気はないですから」

晴「うん、今度バカな事やろうとしたら私が止めるから」

柩「晴さんを本気にさせたら怖そうなんで大丈夫ですよ」

晴「もー!怖くないよ!」

柩(正直、この人のお守りとか無理だと思ってたんですけど意外となんとかなるもんですね)

ことの起こりは二週間ほど前


鳰「どーも!お二人さん元気っスかー!」

柩「……こんにちわ」

千足「久しぶりだな走り」

鳰「桐ヶ谷さーん!なんかあからさまに嫌そうな顔してないっスか!?」

柩「あなたが来るなんてだいたい録な話じゃないんでしょ?」

鳰「あははー、そんな事ないっスよ?」

千足「とりあえず話だけは聞こう」

鳰「味方いねえし!?」

柩「ま、あれですよ日頃の行い?」

鳰「まーいいっスけどね…ところで二人共、学生やる気あります?」

千足「どういう事だ?」

柩「ぼく達表向きは死人なんじゃないですか?」

鳰「足抜けするのに、それが都合良いと思ってたんスけど…二人は今うちの人間という扱いになってまして」

千足「そうなのか」

柩「まぁ、ぼくは行き場もないのでかまいませんけど」

鳰「ダチュラの幹部と話す機会があった時にうちにケンカ売るようなマネするくらいなら、どうせ任務失敗した死人程度、見逃してくれると」

柩「失敗じゃないです放棄です」

鳰「それもどうかと思うっス」

千足「まぁ、それはいいんだが…なぜ私達が学生に?」

鳰「晴ちゃんが学校入るんで護衛兼お友達として着いてって欲しいと」

柩「…ぼくが?」

鳰「まぁ、理事長に言わせると今のうちにちゃんと学生やっとけと」

千足「東はどうした?彼女がいれば私達はいらない気もするが」

鳰「兎角さんなら17学園に戻ってるっス」

千足「よく一ノ瀬から離れたな」

柩「それが一番驚きますよ」

鳰「兎角さんも恩師には逆らえなかったみたいで」

千足「そんなにすごいのか…流石は17学園の教師と言ったところか」

柩「侮れないですね」

鳰「ま、兎角さんの話はさておき、お二人に晴のフォローを頼みたいんスよ」

柩「走りさんは?」

鳰「晴の転入先はミョウジョウじゃないんで無理っス」

千足「そうなのか?」

鳰「まー、ちょっとした大人の事情で…」

柩(一族がらみなんでしょうね)

千足「なら何処に?」

鳰「ここなんスけど…」パサッ

千足「普通の高校だな」

柩「…でも17学園から、二駅くらいの距離って完全に狙ってますよね?」

鳰「一応、うちの系列なんスけど影響力の少ないところで、あと晴のためにプールの授業とかないとこをチョイスしたッス」

千足「一ノ瀬って泳げないんだったか?」

柩「そういえば、千足さんは一ノ瀬さんは身体中に傷があるの知らないんでしたっけ?」

千足「そうなのか、それは見られたくないだろうな」

鳰「けっこうすごいっスよ?一度見る価値はあるっス」

柩「趣味が悪いですよ…」

鳰「つーわけで、命を狙われる以外にも色々障害があるんスよ晴って」

柩「思ったより大変な任務ですね、これ」

千足「私は受けてもいいと思う」

柩「ぼくも借りを作りっぱなしってのも性にあいませんし」

鳰「OKっスか、助かるっス」

柩「でも、本当に大丈夫なんですか?ぼく達が表に出ていっても」

鳰「その辺は、こっちの仕事なんで任せてほしいっス」

千足「本当に、偽名とか髪染めたりとかしなくて大丈夫なのか?」

鳰「そこをクリアできてるんで依頼してるっス、それに無理に別人になろうとしてもボロが出るっしょ?」

柩「ぼくはともかく、千足さんは無理っぽいですよね」

千足「そうかな?」

鳰「生田目さん、多分黒組メンバーで一番嘘が下手だと思うっス」

千足「そんな事は…」

柩「番場さんも千足さんよりはうまそうですね」

千足「そんなにか…」

柩「落ち込まないでください、誠実な人柄だからって話なんですから」

鳰「まー、暗殺者としてはどうかと思うっスけど」

柩「千足さんは暗殺なんて向いてないんですから、これでいいんです」

千足「……」

鳰「めっちゃ落ち込んでるっスよ?」

柩「あ」

鳰「この、嘘下手な人ほど事実を指摘すると気にする現象はなんなんスかねー」

柩「誠実で良い人って意味ですから!むしろ長所になりうるところですから!」

千足「いや、大丈夫だ…うん、大丈夫」

鳰「番場ちゃんより嘘つけなさそうってそんなにショックだったんスか」

千足「あの娘、嘘つきそうなイメージがあまりなくて」

柩「夜のほうの真夜さんの方は、千足さんより嘘つけないかもしれませんけど真昼さんは侮れない気配を感じるんですよね」

鳰「嘘つけなさそうな感じに見えるのが落とし穴な感じがするっスね、でも小さい嘘重ねてくるタイプだと思うっス」

柩「…そんな感じしますよね」

千足「聞いてるほうが怖くなってくるな」

鳰「あははー」

柩「まぁ、いない人の話はこれくらいでやめときましょう」

鳰「ま、後の手続きは書類に名前書くくらいなんで学校の資料渡すんで読んどいてほしいっス」

柩「あと一度は、一ノ瀬さんには挨拶しといたほうがいいですよね?」

鳰「まぁ、それは後日セッティングするって事で…あと制服のサイズとかこれでいいか確認頼むっス」

柩「手際がいいですね…悲しいかな成長していないので大丈夫です…」

千足「私も問題ない…しかし、スカートか」

鳰「そういやはいてるとこ見たことないっスね」

千足「一応、暗殺者同士の生活だったから動きやすい母校の制服やジャージだったから」

鳰「なるほど、福槌と違ってそこは選べないっスからねー」

柩「スカート姿とか新鮮な感じがしますね…」

千足「何年ぶりかなぁ…中学時代も何かと理由つけてジャージ着てたりしたし」

鳰「体育会系特有のあれっスね、部活連中はジャージのまま授業受けてたりするやつ」

千足「それそれ」

柩「ぼくはそういう経験ないからうらやましいです」

千足「ほとんどダチュラの施設で過ごしたんだったな」

柩「だから、ちょっと不安ではあるんです…一般人に混じって生活って初めてなんで」

鳰「そうなんスか?」

柩「ええ、思えばそんなだからバスにも乗れなくて千足さんに助けられたんですよ」

千足「それほど前の話でもないはずなのに、何だか懐かしい」

柩「思い返せば、ぼくの脱落はあそこで決まってたようなものですよね…我が事ながらちょろいというか」

柩「優しく手を引かれただけで、人の胸はあんなに高鳴るものかと思わなくて…」

鳰「おい、自虐かと思ったらのろけ始めてんじゃねーっスよ」

柩「ここから盛り上がるところですよ?」

鳰「聞きたくないっス」

柩「…残念です」

鳰「つか、本題から逸れすぎっスよ!晴のフォローどころか桐ヶ谷さんまでダメだと色々考えないと」

千足「大丈夫だ、私がいるし、柩はすぐに適応できる娘だから」

柩「千足さん…」

鳰(しばらく見ない間に元のバカップルに戻って…いや悪化してないっスかこれ?)

千足「どうした?」

鳰「いや、晴の事置き去りにしてイチャつかないか心配になっただけっス」

千足「イチャついてるかな?」

柩「いえ、まったく」

鳰「……」

~新居~
柩「まさかお隣さんとは」

千足「まぁ、このほうが楽ではあるんだが」
鳰「こっちとしては連絡の手間とか考えたらこれが一番楽なんス」

柩「それじゃ、顔合わせしておきますか」

ピンポーン

晴「はーい!」
ガチャッ

晴「うわ!どうしたの!?」

鳰「確認しないでドア開けるのは感心しないっスよ…晴」

柩「一ノ瀬さん、こんばんわ、これ引っ越し蕎麦です」

晴「わ、ありがとー」

千足「こんばんわ、一ノ瀬、事情は聞いてると思うが色々と話しておきたい事もあるかと思ってお邪魔した」

晴「お邪魔なんかじゃないですよ!みんな早く入って!入って!」

鳰「じゃ、お言葉に甘えてお邪魔するっス」

柩&千足「お邪魔します」

兎角「誰が来たかと思ったらおまえらか」

鳰「相変わらずウチに対する野良犬を見るような視線がたまらないっス」

兎角「…ウザい」

晴「やめなよーせっかく引っ越し蕎麦まで持ってきてくれたのにー」

鳰「いやーもうこれ恒例みたいなもんスから」

千足「こんばんわ、東久しぶりだな」

兎角「生田目か元気になったみたいで何よりだ」

鳰「これが格差っスか」

柩「…どうも、こんばんわ」

兎角「…ああ」

晴「…なんだろうね、この感じ」

鳰「思うところがあるけど、生田目が許してるから仕方ないみたいなアレっス」

兎角「そこ、うるさい」

兎角「しかし、この二人が晴のクラスメイトになるとは」

千足「世の中というやつはどう転ぶかわからないものだ、本当に」

柩「ぼくも暗殺者は廃業してるんで安心していいですよ?」

兎角「…別に疑ってるわけじゃない」

柩「そうですか」

晴「やっぱり何とも言えない空気だねー」

鳰「この微妙に対応に悩んでる兎角さんはなかなか面白いっス」

兎角「部外者は帰っていいんだぞ?」

鳰「とりあえず困ったらウチにぶつけとけみたいなのはどうなんスかねー」

兎角「むぅ」

晴「それよりみんな、せっかくだし蕎麦食べよ!蕎麦!」

鳰「兎角さんがカレー以外食ってる絵面って貴重な気がするっス」

兎角「そうか?」

柩(危ない…同意しかけました)

晴(だよねぇ)

千足(そういや、そうだな)

兎角「だいたいわかった…おまえらの考えてる事が」

柩「先入観って怖いですよね」

鳰「桐ヶ谷さんが言うと説得力が違うっスね」

晴「あはは…」

千足「でも、ほら、イチローも毎日カレー食べてたとか言うし」

柩「千足さん優しさが空回ってます」

兎角「蕎麦食べただけでこの扱いはなんなんだ!?」

鳰「日頃の行いとか?」

兎角「…」

鳰「痛い!?デコピン痛てえっス!」

晴「それにしても、蕎麦おいしいねー」

柩「ぼくの先輩、ちょっとアレな人ですけどおいしい店とか教えてくれる人で、どうせ引っ越し蕎麦渡すなら良いものを、と思いまして」

晴「うん、これは良いものだよー」

柩「ふふ、気に入ってもらえたようで良かったです」

千足「……あっちはいいのか…?」

鳰「痛い!痛い!痛い!ギブ!ギブっス!」

兎角「なんだ?腑抜けてるな走り、犬飼ならもう少し耐えたぞー」

鳰「いや!?もげる!もげるって腕が!?腕がぁ!」

晴「んー楽しそうだからいいんじゃないかな?」

柩「ですね」

千足「まぁ、東は楽しそうだが」

晴「食後のお茶だよー」

柩「どうも」

千足「ありがとう」

兎角「うん、うまい」

鳰「……おまえら」

晴「鳰、大丈夫?」

鳰「その言葉をかける前に助けてほしかったっス」

晴「ほら楽しそうだから邪魔しちゃ悪いかなって」

鳰「いやいやいや!あの人、手加減知らねーとしか思えない酷さだから!」

晴「会う度に地雷踏むほうも悪いよ?」

鳰「…そりゃ、まぁ」

晴「兎角さん反応面白いから気持ちはわかるけどねー」

柩「…みんな変わるものなんですね」

千足「ん?どうした」

柩「少し前の東さんなら走りさんが何言おうが睨んで終わりって感じでした」

千足「確かに」

柩「一ノ瀬さんも、何ていうか余裕みたいなものがあって、走りさんも悪意というより東さんにかまってもらいたいような感じで…」

千足「私達がいない間に黒組でも色々あっただろうし、特にあの三人は最後まで残っていたからね」

柩「本気で殺しあいしてた相手でもああいう仲になれるんですね」

千足「そうだな」

柩「…ちょっとうらやましいです」

千足「?」

柩(自分を偽らないでもっと自然に話せるようになりたい…とか恥ずかしくて言えないです)

~回想~
柩「職業病?」

ベラ「そ、私らは特に人を騙してぶっ[ピーーー]じゃん?」

柩「…まぁ、そうですが…もう少し言い方があるでしょうに」」

ベラ「いーじゃん、私とロリ子だけだし…ってあぶねっ!」

柩「チッ」

ベラ「毒針クイックドロウ選手権とかあったらいいとこいけるよおまえ」

柩「嫌な大会ですね、それ…後、ロリ子はやめてくださいって何回言わせるんですか殺しますよ?」

ベラ「毎回ガチで殺しに来てるよね?」

柩「うふふ」

ベラ「まー、いいや」

柩(いいんだ…)

ベラ「話を戻すと人を騙してるうちに素直な自分を作らないと落ち着かないというか、虚言癖になるというか…」

柩「なんとなくわかります」

ベラ「これが、好きな人ができても無意識にやっちゃうというかむしろ積極的に愛されるキャラ作りに走るわけよ」

柩「はぁ」

ベラ「んー初恋もしてないお子ちゃまには早かったか」

柩「殴っていいですか?」

ベラ「虚しいだけだよ?」

柩「…いいじゃないですか、こんな生き方じゃ恋とか縁がありませんし」

ベラ「そんな事言ってる奴がころっと標的とかに惚れたりすんのよ」

柩「うわぁ、それはこわいですね」(棒読み)

ベラ「まー、私くらい後戻りできないのはどうしようもないけどさ、あんたはまだなんとかなるんだから意識しといたほうがいいぜ」

柩「…本気みたいですね、すいません」

ベラ「いいよ、私はどうにもならんから、どうやっても不真面目に見えるようになっちゃったから」

柩「それこそ真面目なキャラを作ればいいんじゃ」

ベラ「私がそーゆーのやったら胡散臭いだろ?」

柩「…確かに」

ベラ「…納得するなよー」

柩「胡散臭さが服きて歩いてるようなものですよ?」

ベラ「マジかー」

柩「自覚あったんじゃないですか?」

ベラ「ほら、こういう時に否定してくれるもんじゃん?」

柩「素直でいたほうが良いという流れでしたので」

ベラ「けっこー根に持つタイプだよなおまえ」



柩(あの人の忠告を真面目に聞いとけば良かったとか思うようになるなんて…はぁ…)

千足「どうした?ため息なんかついて」

柩「あ、すいません、なんでもないです!」

千足「疲れてるなら、先に帰ってもいいんだぞ?」

柩「いえ、本当に大丈夫ですから!」

鳰「ほーら見てくださいよお二人共ー、油断するとすぐいちゃつくんスよやつら」

兎角「僻むなぼっち」

鳰「ひでえ!?今の剣持さんもぶちギレるくらいひでえ!」

晴「基準がわかりづらいよ鳰ー」

柩「東さん…流石にぼっちはどうかと思いますよ?」

鳰「ほらほら、小学生も引くレベルっスよ?」

柩「東さん、骨へし折りましょう」ニッコリ

兎角「仕方ないな」

鳰「いやー!やめれー!」

千足「流石に止めたほうがよくないか?」

晴「もう一回折られたほうがいいんじゃないかな」

千足「…怒ってる?」

~新居~

千足「…疲れたな」

柩「おかしいですね、引っ越しの挨拶とこれからの話を少しするだけだったはずなのに…」

千足「寝室と、キッチン周りだけでもやっておいて正解だったな…流石に今日はなにもしたくない…」

柩「…すいません、ぼくも悪のりしすぎました…」

千足「まさか一ノ瀬がキレるとは、思わなかったよ」

柩「あはは…まだ頭痛いですよ、げんこつで頭叩かれるとかはじめてかも」

千足「柩があんな風に楽しそうなのも、はじめてみたかも」

柩「そう、ですか?」

千足「年相応というか、あんまり感情的になるのを見たことがなかったから」

柩(千足さん相手に感情的になったら、大変な事になりそうだから抑えてるとか言えないし…)

千足「だから、ちょっと安心した」

柩「なぜです?」

千足「柩が過去を話してから、ずっと明るい演技をしてるように見えてたから」

柩「…ちょっとだけですよ、千足さんと話せるだけでぼく幸せなんですから」

千足「やっぱりか」

柩「さっきもそうなんです、三人を見て自分を作らないでいられるのを羨ましいって思ってたり…恥ずかしいですよね?」

千足「…」

スッ

柩「え、千足さん?」

千足「すまない、私も気づいていたのに何もしてあげられなかった」

柩「…もう、千足さんは仇にも優しすぎますよ」

千足「これが性分だから仕方ない」

柩「あと、無意識に演技しちゃうのは暗殺者としての業というか、職業病みたいなものですから深刻に考えないでください」

千足「いや、それはわりと深刻な問題なんじゃ?」

柩「実はさっきまで、悩んでましたがなんかふっきれました」

千足「そうなのか?」

柩「千足さんがぼくの事をちゃんと見てくれてるのわかったし、なら、こういう癖があるって告白しちゃったほうが楽になれるかもって」

千足「それは自棄になってるわけじゃない?」

柩「自棄になるよりは千足さんに甘えるというほうが近いかも」

千足「甘える?」

柩「ぼくは好かれたいからつい演技っぽくなるんですってのをしっかり理解してもらって、直すとか考えないようにしようかなって」

千足「柩…」

柩「だって、ぼくは金星祭の時にはもう告白してますから、愛してますって、よくよく考えたら怖いものなんてなかったんです」

千足「やっぱり自棄になってない?」

柩「だいたい、こんな風に自然に抱きしめてくれたりするから、ぼくのテンションがおかしくなっちゃったりするんです!多分、明日になったら恥ずかしすぎて死にたくなってかもしれないけど…」

千足「あ、えと、ごめん」

~廃倉庫~

「グッドイブニ~ン♪ゲンキデスカ~?」

廃倉庫に響き渡る片言の陽気な声
シスター服に金髪の女、間違いない…新しい追っ手だ
私は息を潜ませてやりそごそうと試みる

「ヘーイ、ミスカミナガー!イルンデスヨネー?オネーサンとアソビマショー♪」

一見、無警戒にふらふらと歩いているようだが、隙がない…私程度が挑んで勝てる相手ではない
黒組を退学になってから久しく感じていなかった相手との力の差
それがなんとなくだが解るのだ
喉が渇き、全身から嫌な汗がふきだしてくる…今すぐにでも逃げ出したいが…
恐らく下手に逃げても背中を撃たれて終わりだ

「カミナガー?オトナシクデテキタラ、ノーテンブチヌイテオワリニシテアゲマスヨー?」

ふざけるな…ここで死んだら全て無駄になるそれだけは、絶対に避けなければいけない
正直、手持ちの弾薬も、爆弾も残り少なくなってきている
ここで使いたくはない何せいくらヤバイとはいえ相手は一人だ
ホームの数だけは多い追っ手のほうも相手にしなければないならのだから


…おかしい、あの変な声が聞こえない…
諦めてくれたのだろうか?

いや、違う、何か嫌な感じがする

背筋に嫌な気配を感じた私は咄嗟に横に飛ぶ
少しの間の後、気の箱が砕け散る

あのシスターが箱を蹴り砕いたらしい

「ハーイ♪ミスカミナガ、インドーワタシニキテアゲタYO♪」

「…何故、わかった?」

「ンー?オトメのカン?」

はぁ…ふざけている、しかし、彼女から出る禍々しい殺気はさらに鋭さを増している…

「名前くらい教えてもらえませんか?」

少しでも時間を稼がなければ、と、とりあえず問いかけてみる

「シスタークリス、とイエバワカリマスカ?」

最悪だ、なんで彼女がアメリカから来ているんだ…二丁拳銃(トゥーハンド)のクリスティナ・ロイズ

アメリカ支部の問題児にして最強の戦力

「ソノメヲミレバワカリマス、リカイガハヤクテ、トテモ、ヨロシイ♪」

どんな手品を使ったのか両手に現れた銃を構えて私に向けるシスタークリス

「グッバイ♪」

反射的に避けたものの銃弾は左肩と右腿のあたりをかすめ、わずかではあるが肉を抉っていく

「ぐぅ!」

痛みをこらえながら奥に転がり込んで逃げ込む、埃が舞って視界をふさいでくれる…と思ったが、あのシスターには無駄なようだ

「カミナガ!オウジョーギワガワルイデース!」

痛みのわりに出血は酷くはない
まだ動ける、まだ生きれる、まだ敗けてはいない…!

足を引きずりながらなんとか奥に逃げ込む
…奥の手を使うしかない
たった一人相手に使いたくはないが、このままでは確実に殺される

「カミナガー?ミズカラオクニニゲルナンテ、アレデスカ?ホンノージのノブナガデスカ?」

「生憎、まだ死にたくはないんですよシスター」

「ザンネンデスガ、ワターシガヨバレタトキカラ、ゲームオーバーナンデスヨ、アナタ」

「さて、それはどうでしょう?」

私は奥に仕込んであったスイッチを押す
本来ならホームの連中が大挙して押し掛けて来た時用に作った罠だが仕方ない

ボン! ボン! ボン!
と派手な音を立てて廃倉庫を支える柱が爆発する
流石のクリスも私よりも爆発に気をとられてくれたようだ

「!?、カミナガ!アナタ!ワターシとシンジュースルツモリデスカ!?」

「さて、どうでしょう?」

私は不敵に笑うと崩れた床から下水道に飛び込む
後は運試しだ

「シット!」
クリスが銃を構えた時にはすでに香子の姿は無い

そして、崩れ落ちた天井がシスタークリスに襲いかかってくる

「ヤッテクレタナ、イエローモンキー!」

瓦礫の中を走り抜け、何とか脱出をはかる、が
人の足では崩れる速度には勝てるはずもなかった

数刻の後、クローバーホームのシスター達が廃倉庫に急行するが、そこは瓦礫の山と化していた

「なんという事だ…」

ホームのシスター達が立ち尽くしていると入り口近くの瓦礫が持ち上がり、中からボロボロになったシスタークリスが現れた

「…チッ、オッセーンダヨ、ザコドモガ」

呆然とするシスター達を無視して、シスタークリスは車に向かうと、中に置いておいた携帯を取り出した

クリス「オイ」

支部長「なんですか、いきなり!シスタークリス、あなたは提示連絡もなしにふらついていて今さら連絡とは」

クリス「チョットダマレよニガー」

支部長「な、なんですって」

クリス「東の果て(イーストエンド)でドサマワリシテル、ザコハダマレトイッタンダヨ」

支部長「…あなた」

クリス「ヨウケン、ダケイウカラ、キイトケ…ワタシイガイノエージェントはゼンインヒカセロ」

支部長「は?!」

クリス「コーコ・カミナガはワタシノエモノトナッタ、ダレモテヲダスコトハ、ユルサナイ」

支部長「そんな勝手が通るとでも!?」

クリス「ヒカナケレバ、ワタシガ、ミナゴロシニスルマデデスヨ?」

支部長「……わかりました」

クリス「スナオデヨロシイ」

シスター「いいんですか?支部長」

支部長「仕方ありません、あれは言い出したら本当にやる、そういう生き物です」

シスター「……」

支部長「アメリカもアレをもて余してこっちに押し付けて来たとしか思えません」

シスター「心中お察しします」

支部長「本当に、香子とあれが共倒れになってくれればありがたいんですが」

シスター「あまりそういう事を口に出さない方が…」

支部長「そうでしたね…はぁ…」

シスター「……」

~下水道~

「…医療キットもこれで最後か…」

銃器は下水に浸かってばらして内部を清掃して、一部部品交換しないと使えないだろう
爆弾はすでに使いきった
手持ちの金は雀の涙ほど


「はぁ…生き延びたとはいえ、これじゃ手詰まりもいいとこだ」

ミョウジョウあたりに逃げ込むか?
いや、自分を助けるメリットがあると思えない
捕らえられてホームに引き渡される可能性すらあるだろう

「ん、何か入ってる…温泉の素…?」

そういえば…一回でいいから使えってあいつから渡されたんだっけ…元気かなぁ首藤…

「ふっ…」

まだ笑える
大丈夫だ、まだ戦える
手段は後から考えよう
とりあえず、寝ていてもネズミにかじられないところまで移動しよう

?「…みつけました ますたー かみなが こうこ です」
?「すこし うすぎたないけど まちがありません ますたー」

香子「…いきなり出てきて失礼な連中だな」

?『いやいや、申し訳ない、気を悪くしないでくれたまえ』

香子「何者だ?私を知っているようだが」

オブト『僕の事は蠍とでも呼んでくれ、この双子は…名前なんてたいそうなものはないから気にしなくていい』

香子(…蠍、そうかダチュラか)

実は、ダチュラとホームは多少縁がある
ホームでは不要な身体障害者や精神を病んでしまった人間を安値で売り払っているとか、なんとか
イレーナ先輩もこの話をする時だけはあからさまにホームへの不満を隠さなかったな

香子「私を捕らえてホームに恩でも売り付けるのか?」

オブト『いやいや、もしその気ならすでに君は双子に殺されている』

香子「……ふむ、確かに」

丸腰云々を抜きにしてもこの双子と正面からやりあったら勝ち目はなさそうな気がする

香子「では、私に何の用がある?」

オブト『君を雇いたいと言ったらどうする?』

香子「ほう?」

オブト『簡単な話さ、君に爆弾を作ってもらいたい』

香子「ダチュラならホームにでも頼めば…いや、そうか」

オブト『そう、組織同士の取引ではなく僕、個人が必要なんだ』

香子(だとしたら…少し利用できるかもしれないな)

オブト『どうした?』

香子「報酬は?」

オブト『ある程度は勉強してあげるよ、お互い気持ちよく取引したいからねぇ』

香子「いいだろう、その話乗った」

オブト『おや、意外に決断が早いね』

香子「どうせ断ったら殺す気だろうに」

オブト『はははははは!いいね、賢い娘は嫌いじゃない』

香子「さっそくだが、頼みがある」

オブト『なんだい?』

香子「風呂に入りたい」

ようやく香子編ぶっ込めた

テンポ悪いから加速させるか悩みどころだな


香子も大変だよなあ…

>>173
あざっす

蠍組の企みとぽんこつでも誤爆キャラでもない香子ちゃん書いてみたくなったのがうまく噛み合いそうなんでぶっ込んだらさらにハードモードになってしまった…

なんかキャラも増えてきて…増えすぎて一回整理も兼ねて近況込みで紹介

とりあえず名前有りオリキャラは打ち止め…の予定


・東兎角
黒組終わってようやく平穏な日々を送れると思ってたら厄介事が向こうからやってくる貧乏くじ体質
シリアス担当のつもりがカレーネタには勝てなかったよ…
千足さんとの朝のトレーニングに付き合った後、17学園のシャワー室を使っているため、東さんが毎日イケメン女子をシャワー室に連れ込んでるとか噂になっているが本人は知らない


・一ノ瀬晴
相変わらず狙われるヒロイン
兎角さんとラブラブだけどちょっと嫉妬深くなったとかなんとか
柩に晴ちゃんと呼ばせようと頑張って晴さん呼びにまでこぎつけた



・桐ヶ谷柩
小悪魔ロリ系主人公
黒組の擬似的な学生生活と勝手が違う学生生活に戸惑いつつも満喫している
浮かれてるせいか千足さんへの愛が暴走しがち


・生田目千足
長期入院で休学してた設定とかつけられて晴のクラスメイトになった苦労人
とりあえずブランクを取り戻すためにトレーニング中


走り鳰
黒組終わって寝れると思ったらまた厄介事だらけで結局睡眠不足
兎晴の家に遊びに行っては地雷踏んで怒らせている

・デスストーカー(オブトサソリ)
調子に乗ってる粛正部隊隊長
元来へたれなので、けしかけたやつがいるんじゃないかとベラドンナ姐さんが内偵中

隠し玉がいくつかあるらしい…そのひとつに香子が含まれている


ダチュラ幹部(故人)
この辺になると暗殺者ではなく、スポンサー的なポジションになってくる
主に毒薬の提供や、人身売買などを取り仕切る企業のトップ達で
本来なら蠍程度が手を出せる相手ではないが、ミョウジョウとの勝手な交渉とそれによって得た資金などを着服したために粛正を黙認された


ツインズ
双子のアサシン、固有の名は無い
白い肌に銀髪の美少女コンビだが、薬物による洗脳と身体強化の影響で短命らしい…ワカメは許されないよ

ブラックウィドウ(柚樹稜)
通称、蜘蛛姐さん
ダチュラ最強の暗殺者
柩をはじめとする暗殺者達は基本的に素人を相手だが彼女だけは対暗殺者専門の戦闘屋
元から名の売れた人斬りだったのをスカウトされた

くそ強いのに躊躇なく毒を使うチートキャラなので本編にはもう出ない

・神長香子
蠍の食客
胡散臭い雇い主をどう出し抜くか考え中


・ベラドンナ(如月朱嶺)
ダチュラ諜報部員
蜘蛛姐さんと交渉して蠍の内偵役となる
何やら色々企んでる模様


・No.300&エンゼルちゃん
柩そっくりな腹話術人形エンゼルちゃんとともに柩の犯行をコピーするヤンデレ暗殺者
エンゼルトランペットの名を貰うために先代が失敗した一ノ瀬晴の命を狙う
人形を弄るとキレる


名無し(No.258)
諜報部のモブ子
ベラドンナは極秘任務のために不在のため現在はミョウジョウ学園に潜伏しっぱなし

・クリスティナ・ロイズ
クローバーホームフロリダ支部の暗殺者
金髪碧眼の美女でトリガーハッピー(銃さえぶっぱなせれば相手の生死に頓着しない)
香子の知識は実は誤りで近接戦闘のクリスと狙撃手のアンジェリカのコンビでアメリカ最強と言われていた(アンジェリカは別の任務で本国にいる)
白人至上主義っぽいが実は日本贔屓、好物はや◯い軒の塩鯖定食とビール
次に出るときは日本語に少し馴れてきてるはず


・支部長
クローバーホーム東京支部長
黒人シスターなのでクリスに嫌われている


・店長(霞のおやっさん)
甘味処 まんじ屋の店主にしてベラドンナの父親の元部下
裏家業は引退して和菓子職人として頑張っている
地下の隠し部屋はお得意様専用
百合さんもここの水羊羹が好きでたまに鳰がパシらされる

朝から、コーヒーとトースト、それにサラダ
久しく忘れていた人らしい暮らしだな…軟禁されて爆弾作りをやらされていなければだが

これではあまりホームにいた頃と変わらない気がするが、今は雌伏の時と割りきろう
生き延びてホームで燻る者達に希望を見せなければ意味がないのだから

しかし、ダチュラの資材もなかなか興味深いのも確かで、火薬よりも化学薬品を組み合わせるタイプの試作がなかなか捗る…トラップのレパートリーも増やせるかもしれない

問題は録なことに使わないであろうあのワカメ頭なのだが、どう騙したものか…

とりあえず試供品として渡した物は、本気で作った物なので信用は得られそうではあるのだが…

ふと、朝刊に目を通す…見出しをあおり文を見ただけで頭痛がした
私はすぐにワカメ頭に電話した

オブト「どうしたんだい?ミス神長」

香子「少々聞きたい事があるのだが…朝刊のあれはおまえ達の仕業か?」

オブト「そうだけど、何か問題でも?」

香子「大アリだ!何故試供品をいきなり実戦で使ってるんだおまえは!?」

オブト「ああ、あれは全て終わった後に仕掛けたから問題ない、君の作品のテストに調度いいと思ってね」

香子「…つまり、おまえ達はわざわざマンションの住人を皆殺しにしたうえで、爆破した、というんだな?」

オブト「僕の兵隊の性能試験も兼ねていたからね、とても有意義なイベントだったよ」

香子(クズめ…わざわざ朝刊まで差し入れたのは私に対して裏切ればどうなるかを見せしめるためか…)

オブト「どうしたんだーい?ミス神長、急に黙って」

香子「少々考え事をな、とりあえず朝刊を差し入れさせた意図は理解したよ」

オブト「…ふん、理解が早くてうれしいよ」

香子「ひとつ確認したい、私の作品を使うのはこれ以上のイベントになると考えていいのか?」

オブト「期待してくれていいよ」

香子「そうか、了解した」

ピッ

香子(参ったな、あの馬鹿が何をするか気になって機を見て脱走するわけにもいかなくなった…なんとか土壇場で邪魔してやらないと安眠できそうにない)

高級マンション謎の爆発、住人全員死亡の報を受けて平穏な日々が壊れようとしていた


~ミョウジョウ学園情報処理室~
鳰「あ、理事長っスか!?あ、はい大丈夫っスだいたいの情報は集まったんで整理して上げるだけなんで…え?今すぐ来い!?…無茶言わないでくださいよー」


~ダチュラ諜報部~
ベラ「蜘蛛姐さん!?え、今来れるかって?はい、えー、あの甘味屋ですかー?あ、いや、いきます!いかせていただきます!」

~生田目、桐ヶ谷宅~

柩「……」

千足「どうしたんだ柩?難しい顔しながら新聞読んでるけど」

柩「…近々、何か起こるかもしれません」

千足「何かあったのか?」

柩「この記事なんですけど」

千足「これか、酷いな」

柩「ここの爆発した部屋、ダチュラの幹部の部屋なんです」

千足「それは、本当か?」

柩「ええ、間違いないです…幹部クラスを暗殺して、何故か住人全員殺した人達がいるという事になります」

鳰『…あ、桐ヶ谷さんスか?』

柩『そろそろ来る頃合いだと思ってました、状況はどうなってます?』

鳰『お察しの通り、ウチと交渉してた人間が殺られたっス、おそらく内部の人間に』

柩『ぼく達は…』

鳰『晴の願った平穏な日常を叶えるためのお手伝いっスから、そのまま続けてほしい…と言っても難しいっスかね?』

柩『…依頼を受ける前のぼくならすぐに引き上げたいと言ったでしょうけど…ぼくも晴さん達に余計な心配をかけたくないので…』

鳰『ありがとう…こっちも害が及ぶことがないよう動くんで安心してほしいっス』

柩『あの、気を使わなくていいんですよ?』

鳰『何の事っスか?』

柩『ダチュラについて、ぼくの知ってること全部話してもいいんですが?』

鳰『…いいんスか?知られたくない話も聞いちゃうかもしれないっスよ?』

柩『好意に甘えすぎるのも嫌ですから』

鳰『了解…っス』

~駅前の某定食屋~

クリス「んー」

?「お悩みかの?」

クリス「OH、そこのおジョーさん!調度良いデス、ワタシの晩酌に合うのは塩鯖かしまほっけのどっちがいいと思いマスカ?」

?「外人さん渋い趣向しとるの、しかし、晩酌ならこれも捨てがたい」

クリス「焼き魚と茄子の味噌め?」

?「迷った時は別の選択肢を選ぶのも新鮮でよかろう?」

クリス「ふーん、悪くないデスネ」

?「何かの縁じゃ、わしも同席してよいかの?」

クリス「酌でもしてくれマスカ?」

?「学生に酌させるのも海外の作法かの」

クリス「HAHAHA、サバ読みすぎデスヨ?ミスシュトー」

涼「なんじゃ、知っておったか」

涼「こちらが茶ではしまらんところじゃが」

クリス「この出会いに」

二人「乾杯!」

クリス「くはー!この一杯のために生きてルネー!」

涼「いい飲みっぷりじゃの」

クリス「何事も豪快にいくのがワタシのモットーデス」

涼「ま、おかげで探すのに苦労しなかったがの」

クリス「なんでワタシを?」

涼「突然、街を徘徊していたシスターが消えておまえさんだけが夕方になると飲んだくれてると聞いての」

クリス「ミスカミナガの事を聞きたいと?」

涼「虎穴に入らずんば虎児を得ずというじゃろ」

クリス「わりと、無茶しますネあなた…ワタシに殺されたらどうするんデス?」

涼「わしも馬鹿ではないここ数日の観察から無意味な殺しをする相手ではないと思ったから接触したのじゃ」

クリス「殺気がないから放置してましたがアナタでしたかアレは」

涼「気配に気づいても手出ししてこないのがわかったからの少し尾行させてもらったぞ」

クリス「ま、最初に出会った時以来カミナガは行方不明ですカラ、答えようも無いデスけどネ」

涼「そうか」

クリス「ま、生きていればそろそろ回復してる頃ですカラ、本気出して探しても良いのデスガ…」

涼「何じゃ?」

クリス「正直な話、ここの支部なんて潰れてかまわないからやる気が微妙なんデスヨねー、カミナガは久しぶりにそそる獲物なんデスガ」

涼「なるほどのう、なんとなくぶらぶらしてるだけという印象を受けたのは勘違いでは無かったのじゃな」

クリス「カミナガにしてやられた時はぶち殺す気満々でしたけどネ、すぐに殺したらせっかくの日本の味覚を味わう暇もナイと気づいてしまいマシタ」

涼「食い気に助けられるとは数奇なもんじゃのこーこちゃんも」

クリス「食は生きるための基本デスヨ、ミスシュトー」

クリス「それにカミナガは運があるようデスから」

涼「ほう?」

クリス「ワタシの愛銃(あいぼう)達は日本に持ち込めなくて、ヤツラが支給したのトカレフ二挺デスからネ、照準が少しずれて初弾を外しましたヨ…」

涼「東京支部の人に感謝じゃ」

クリス「だから、味方に足を引っ張られたくないからシスター達は引かせたんデスヨ」

涼「そのおかげでわしも動きやすくなったわ、おまえさんにわしの情報が流れてるという事は同部屋のわしも警戒されておるわけじゃろ?」

クリス「カミナガには頼れる相手が少ない…いえほぼいませんカラ、ルームメイトのアナタはカミナガと一番長く接触した外部の人間になりマスから」

涼「なるほど、しかし頼ってもらえるほど親密にはなれんかったがの」

クリス「…では、アナタは自主的に動いているのデス?」

涼「知人が死ぬのはあまり見たくない、それにわしは、こーこちゃんに思い入れがあるからの」

クリス「片想いというやつデスカ」

涼「わしにもようわからん、しかし放っておけない魅力はあるのう」

クリス「あまりカミナガについて話さないほうが良いデスヨ?」

涼「ん?」

クリス「狩るのが楽しくなったら困るのはアナタデスヨ?」

涼「むぅ、確かに…なるほどそういう御仁であったか」

涼「話は変わるが」

クリス「?」

涼「箸使うのうまいと思っての」

クリス「ダディが日本被れでネ、その影響デスヨ」

涼「なるほどのぅ…好きな日本食に抵抗がないのもそのせいか…好きな番組とかあるかの?」

クリス「闇を斬るデス」

涼「渋すぎるじゃろ」

クリス「闇奉行に証拠はいらねえ!って開き直って悪党をぶち殺すのは痛快デス」

涼「あれは斬新じゃったな、里見浩太郎がまたかっこよいし」

クリス「それで、日本語もだいたい覚えてマシタが、イントネーションは現地が一番デスネ、大分馴れてきたデスヨ」

涼「まさか、外人さんと時代劇の話ができるとは…世の中わからんものじゃの」

クリス「闇奉行の話をシテも誰も知らなかっタからワタシとしても僥倖デスヨ」

涼「妙な日本語知っとるの」

クリス「偏ってますかネ?」

涼「うむ、まぁ良い、ところで」

クリス「ハイ?」

涼「デザートに和菓子はどうかの?」

クリス「良いデスネ」

~甘味処まんじ屋~

涼「久しぶりじゃの坊(ぼん)元気か?」

店長「涼さん久しぶり…なんで店終いに来るかね」

涼「ふと思い付いての」

店長「…仕方ねえな、残り物しかないぞ?」

涼「ありがたい、後もう一人おるんじゃが」

クリス「ハロー♪」

店長「…最近、珍客ばかりだなオイ」

涼「外人さんに和菓子の素晴らしさを叩き込むんじゃ」

店長「いきなり無茶ぶりだなぁ…涼さんらしいっちゃ、らしいが」

店長「とりあえず茶でも飲んどいてくれ、冷蔵庫見てくる」

涼「うむ、頼むぞ」

クリス「玄米茶おいしいデスネ」

涼「ふむ、待ってる間暇じゃし…とりあえず和食でダメなのあるかの?」

クリス「納豆とイカくらいデスカネ…あ、クサヤは無理でシタ」

涼「ふんふん」

クリス「何を書き出しテルのデス?」

涼「いやな、せっかくできた縁じゃ、わしの行き付けの飯屋教えてやろうと思っての…」

クリス「ワーオ♪」

涼「定食屋ばかりではもったいないぞ?わしの名前出せば裏メニューも頼めるはずじゃ」

クリス「これは…困りましたネ…」

涼「何を書いとるんじゃ?」

クリス「ワタシは恩義も恨みも倍返しがモットーでしてネ、カミナガをわざと見逃す回数をメモしてマス」

涼「…むう、もう少し恩義を押し売りしておきたいがネタがないの」

店長「すまんなぁ、こんなもんしか出せないが勘弁してくれ」

涼「いや、悪くはないの」

クリス「これは?」

店長「きなこ餅の黒蜜がけだ」

クリス「OH、これがキナコモチ」

涼「素朴でよいな」

クリス「少し歩いて酒抜いておいて良かったデス、これは美味シイ」

涼「ところで坊」

店長「なんだい?」

涼「わしは肉食えんからの、そっち方面の飯屋の知識がない…よい店知らんか?」

店長「…あるには、あるが」

涼「どうしたんじゃ?」

店長「故郷に近い箱根なんだよ」

クリス「へい、シュトー」

涼「ん?」

クリス「カミナガと早く合流して箱根に逃げなサイ」

涼「無茶言うな」

とりあえずリクエストがあったのでばあちゃん乱入させてみた

洲崎「慣れたってなんだよーまだ名前の事とか根に持ってる?」

柩「あー…ありましたね、そんな事」

洲崎「…わざとらしい中にあきらかな動揺が見えるぞ…やはり気にしているな?細かい事気にするからおっぱいおっきくならないんだよ?」

柩「胸は関係ないですよね!?」

西野「やめてあげなよ!デリケートな問題なんだから!」

柩「あの…逆に傷つきます、それ」

西野「あ、ごめん」

晴「いやートイレ混んでて大変だったよー…三人は何を話してるの?」

洲崎「柩っちの胸はどうして大きくならないかって話を」

柩「してませんよ?!」

捻挫良くなったから再開するです

晴「柩ちゃんも洲崎ちゃんには弱いよね」

柩「この人のマイペースさは苦手です…ある人に似た感じで」

洲崎「あたしに似た感じの人とかいるのかー」

柩「人の気にしてるとこを集中的にネタにするとことか特に」

洲崎「あっはっはー、柩っちはいつもすましてるからさーキャラ崩れるポイント見つけたらそこを攻めたくなるのよ」

柩「むー」

西野「すーちゃんはやりすぎるから気を付けないとダメだよ」

洲崎「そーかな?ところで王子は?」

柩「王子って…千足さんならまた部活勧誘断りながら逃げてますよ」

洲崎「柩っちも嫁なら一緒に逃げてあげないの?」

柩「なんの逃避行ですか…ぼくがついてたらそれこそ足手まといですよ」

西野「生田目さんもいっそどこかに入っちゃえばいいのに」

晴「放課後はコーチ付きで自主トレがあるんで部活してられないんだよー」

洲崎「王子はなんで自主トレしてんの?」

晴「それこそ王子様でいるためだよ!」

柩「ややこしくなるんで変な言い方やめてください…退院して体力戻すのに部活のトレーニングじゃ物足りないだけです」

西野「それもどうなの…」

洲崎「ようするに王子は放課後師匠の下で修行してるわけだな!」

西野「違うと思うよ?」

柩(あながちまちがってないんですよね…)
晴「どーだろー、鬼コーチではあるけど」

洲崎「鬼コーチって響きがカッコイイな!」

柩「かっこいいですかね…」

西野「かっこよくはないかなぁ…」

洲崎「おまえらにはガッカリだ」

洲崎「で、王子はあれか?ウィンブルドンとか狙ってるのか?」

晴「鬼コーチって修造じゃないよ!?」

西野「まぁ、すーちゃんだしこんなオチだと思ったよ」

柩「すぐに修造が出てくる晴さんもどうなんですかね」

西野「あの二人は何か通ずるものがあるんだろうね」

柩「おかげで倍疲れますけどね」

柩(ま、傷の事とか気にしない上にフォローまで手伝ってくれるのは助かるんですが)

~?~

香子「君、それは桐ヶ谷の人形か?」

No.300「?」 「ぼくは、ぼくです、エンゼルトランペットですよ?」

香子「…そうか、桐ヶ谷は…」

No.300「そういえば、マスターが黒組に入る時に名乗った名前が」「桐ヶ谷柩でしたね」

香子(なんなんだ、この子は…?)

No.300「どうしました?」 「ぼくの事を知っているようですが?」

香子「いや、黒組で一緒だったんだ、私の在学期間が短くてあまり話せなかったが」

No.300「そうですか」「それは、それはぼくのオリジナルがお世話になりました」

香子「いや、礼を言われるほどでは…君は桐ヶ谷の身内なのか?」

No.300「はい、私のマスターです」「あの人はお疲れみたいですからぼくがかわりに稼業を引き継ぐつもりなんです」

香子「そうか…しかし、エンゼルトランペットはエースの称号だと聞いていたのだが君が名乗れるものなのか?」

No.300「いいえ…」「だから、ぼくは名を継ぐべく一ノ瀬晴を殺すんです」

香子「一ノ瀬を?」

No.300「はい」「オリジナルより優れているのを証明するのには良いでしょう?」

香子「そうだな」


No.300「それでは」「また会いましょう」

香子(私の爆弾を使うのは一ノ瀬殺害のためなのか…?いや、ダチュラとして一ノ瀬を殺すなら毒を使わなければ意味がないだろう…何かひっかかる…あのワカメ何を考えている)

~帰り道~
晴「そういえば、柩ちゃんて黒組ほど生田目さんにべったりって感じじゃなくなったよね?」

柩「今さらそれを言いますか」

晴「最初はなんとなく聞きづらくて…でも最近は悪い理由じゃなさそうだとも思えるようになってさ」

柩「黒組の時はみんな敵ですから普通は仲良くなんてする気はおきませんよ、ただ話が合いそうな相手とは多少交流は持ちましたけど」

晴「それ以上に生田目さん大好き!ってオーラすごかったけどね」

柩「それは、その、そう、ですけど……いえ今回は、普通に学生するんですから友達も作らないといけないって意識は持ってますから随分違います」

晴「友達を作らないといけないってのはダメかな」

柩「何故です?」

晴「友達がほしい!って感じじゃなくてあくまで演じてる感がするからかなぁ?」

柩「ふむ、なるほど…あの二人みたいにやたら食いついてくる人達以外とはなんとなく事務的になってしまうのはそのせいなんですかね?」

晴「そうかも…実のところ晴だって黒組まではろくに学校通えてないから友達作りについて語れるほどでもないんだけどねー」

柩「晴さんは並みの人間より友達作りに貪欲ですよ、多分」

晴「晴は欲張りですからね!」

柩「ポジティブな意味で使う言葉ですかねそれ」

柩「後は、家に帰れば基本二人きりですから、話のネタ探しとしても多少は別行動したほうがいいかな?とは思いますよね」

晴「こっちは兎角さんとは別の学校だから意識しなくてもネタに困らない分楽なのかなー」

柩「でも、同じ学校にいないって不安になりません?ぼくは怖いかも」

晴「そうかな?」

柩「東さんモテそうだし」

晴「んー、浮気とかよりも、告白された時の断りかたで傷つけてないかちょっと不安…」

柩「…時々、ストレートに罵倒しますからね東さん」

晴「興味ない相手には嫌われても構わないって態度するから、特に」

柩「でも、自分の好きな人に告白しようとする相手を気遣う必要もないですよね」

晴「同じ人を好きになるんだから趣味の合う友達になれるかもしれないよ?」

柩「その発想はなかったです」

ダダダダダダ!

洲崎「貴様らー!」ダキッ!

晴「うにゃあ!?」

洲崎「掃除当番だからってあたしを置いてくとはふてえ野郎だ!」

晴「ごめん!だから抱きついて胸揉むのやめてよぉ」

洲崎「けしからんなぁ、この揉み心地…」

柩「……」

洲崎「柩っちは揉めるほどないから勘弁してやるぜ?」

柩「……一般人じゃなければ…」

晴「もぉー、本当にやめて」

洲崎「だってー、晴っちは柔らかいから抱きつきたくなるんだよー、寒くなったら家に来て抱き枕する気ない?」

晴「えー、でもお泊まり会みたいのはやってみたいかも」

洲崎「あれだな!パジャマパーティとか」

柩「ぼくもセクハラ禁止なら参加します」

洲崎「セクハラされるくらいせいちょ…ぐはっ!?」

柩「すいません、鳩尾ががら空きだったのでつい」

洲崎「なんだよ…いいパンチ持ってるじゃねえか…」ガクッ

晴「ちょっとー!?」

洲崎「あー死ぬかと思った」

柩「生きてましたか残念です」

洲崎「かっこいいな、あたしも一回言ってみたいなそれ」

晴「無事で良かったよぉ」

柩「いや、ぼくのパンチくらいじゃ死にませんて」

西野「はぁはぁ、ようやく追いついた…」

洲崎「おそーい」

西野「私、そんなに、走る、の得意じゃないから…ひどい、よ、すーちゃん」

晴「ごめんね、晴達が先に帰ったから」

西野「ううん、急に追いかけたすーちゃんが何するか心配でついてきただけだから…二人も用事があると思ってたんだけど」

晴「うん、夕飯の買い出しがあって…あらかじめ言っておけば良かったね」

柩「火曜日はセールがあるそうなんです」

洲崎「なんだか主婦みたいだな」

柩「自炊してるんですから当然ですよ」

晴「野菜も高いからセールは見逃せないよね!」

西野「なら付き合いますよ」

晴「いいの?」

洲崎「あたしらがいればお客さまひとつ限りのやつがふたつ買えるぜ!」

柩「なるほど、その手がありましたか」

西野「火曜市ならあっちのスーパーのほうが良いかも」

晴「西野さん、お世話になりっぱなしで本当にごめんね」

西野「いいよ、一緒に帰る約束してたわけじゃないのにすーちゃんが暴走しただけだから」

~17学園付近の空地~

兎角「かなり調子が戻ってきたんじゃないか?」

千足「そうか?…東の相手をしていると、未熟さばかり思い知らされるが…」

兎角「入院してたやつにそうそう追いつかれてたまるか」

千足「それも、そうだな…」

兎角「何度も言うがわたしは手加減してない、今日まで持ってるだけでもたいしたもんなんだからな」

千足「なんだかこそばゆいな」

兎角「そうか?」

千足「君がべた誉めというのが珍しくて」

兎角「おまえは誉めるより厳しくしたほうが伸びるのは、剣持が証明済みだ」

千足「あの演劇でそんなところを見られていたとは」

兎角「そりゃ、あいつにはわたしもこってりとしぼられたからな…たかが脇役なのに」

千足「ははは、終わりを見ることはなかったが、あれは成功だったみたいだな」

兎角「あまり褒めたくはないが走り達の事後処理がうまかったんだろう、溝呂木のやつも気づかなかったようだし」

千足「あの先生はある意味大物だから」

兎角「…確かに」

千足「少し、相談があるんだが」

兎角「なんだ?」

千足「そのナイフ捌きを私に教えてはくれないか?」

兎角「…は?」

千足「私の得意武器はそうそう携帯できるものじゃない、いざという時に使える技術は習得しておきたいんだ」

兎角「やめておけ、付け焼き刃は命を危険に晒す可能性のほうが高い」

千足「確かにそうかもしれない…だが、私の事を知っている相手に対しての奇襲くらいには使えないだろうか?」

兎角「……」

千足「軽い思いつきではないんだよ、頼む東」

兎角「わかった…だが、わたしの許可なしに実戦で使うなよ?」

千足「ありがとう」

兎角「ふん、おまえが強くなってくれたほうがわたしの鍛練も捗るというだけだ」

千足「そうだな、恩はおいおい返していくよ」

~?~

No.300「…」「こんなものを見せて何がしたいんです?」

ベラ「おまえが見たがってたものかと思ったんだけど?」

No.300「私は…」「あんな腑抜けを見たくはなかったです…正直ガッカリ」

ベラ「タイマンでやらせてやるって言ったら乗る?」

No.300「え?」「あなたがオリジナルに危害を加えるのに協力してくれると?」

ベラ「一応、今はおまえの世話役だしー?ちょっとはサービスしてやってもいいかなってね」

No.300「あや、しい」「本当にそれだけですか?」

ベラ「まぁ、色々と私自身の目論みはあるけど、おまえにマイナスになる要素はないはずさ」

No.300「…」「まぁ、いいですよ、ぼくが仕掛けてる間邪魔しなければ」

ベラ「私は、他の仕込みがあるからあいつとは本当にタイマンでやらせてやるよ安心しな」

No.300「わかりました、私、マスターに会いたい」「思い知らせてあげましょう、ぼく達の想いを」

ベラ(ま、あいつにちょっとばかりキツいの入れとかないと私がヤル時につまらんからね…死ぬことはないだろうし)

~甘味処まんじ屋~

クリス「おや、ワタシこれ頼んでませんヨ?」

店員「それは私からのサービスです」

クリス「サービス?…メモ付きデスネ…ほう?」

店員「まー、シスターさんにちょっと相談というか…」

クリス「相談ねェ…これでヤれと?」

店員「それの分だけ働いてくれればOKです」

クリス「ふーん?」

店員「あ、お茶もってきますねー」

クリス「写真の相手を足止めネェ…あの店員見ない顔ですけど何者デス?」

~数日後~

洲崎「やっばい!遅刻じゃん急がないと!」

?「あの…」

洲崎「ん?すいません!いまあたし急いでて…あれ?」

ふらっ

No.300「ごめん、ね」「ちょっと死んでもらえます?」

洲崎「なに?…こい、つ…」

No.300「…」「ぼく特性のやつですからすぐに効いてきますよ?」
洲崎「ひ、つ…」

バタン

No.300「…」「さて、救急車よんであげますか、オリジナルにすぐに伝わるように、ね」

柩「どうしました?」

鳰『申し訳ないっス!まさかクラスメイト狙ってくるとか思ってなくて…』

柩「え?何が?」

西野「あれー?すーちゃんまだ来てないみたいの?…ママさんはちゃんと家を出たって」

柩「洲崎さんなんですか?」

鳰『そうっス』

柩「搬送先は?」

鳰『ウチの系列っス、桐ヶ谷さんに貰ったデータと症状からだいたい割り出して治療は間に合ったみたいっス』

柩「……はぁ、良かった…いや、良くないです、犯人は?」

鳰『眼鏡に白衣着て人形持った女が目撃されてるんスけど何故か見失ったみたいっス』

柩「……わかりました」

柩(あの娘が…いや、あの娘は素人、暗殺なんてできるわけがない…でも、なんだろうこの嫌な予感は)

柩(そういえば…千足さんもまだ来てない…)

晴「何かあったの柩ちゃん?」

柩「すいません、ちょっと用事が出来たんで!先生には体調不良で早退したと言っておいてください!」
晴「あ、ちょっとー!そんな元気な病人はいないよ!」

千足「あの、私は学校があるんですが」

看護士「久しぶりに会ったんだし、少しくらいつきあってよ」

千足「いい大人が学生にサボりを強要するのは良くないと思いますけど?」

看護士「エンゼルトランペット」

千足「?!」

看護士「ちょっと、興味出た?」

千足「何者なんですか、あなた」

看護士「ただのぺーぺーの看護士ですよー?」

千足「……」

看護士「この顔の人間は、ね」

兎角「なんだよ」

鳰『どうも桐ヶ谷さん、生田目さんになんかあったみたいなんスよ、ウチも急ぎますけど、兎角さんならもっと早くつけると思うんで』

兎角「…ちょっと無理だな」

鳰『は?ちょっと兎角さん!?』

ピッ

クリス「あら?お話終わりデスカ?」

兎角「おまえ、なんなんだ?」

クリス「ただのシスターデスヨ?」

兎角「そんな殺気出したシスター見たの初めてだわたしは」

クリス「少しだけ遊んでくれればすぐに通してあげマスよ」

兎角(デザートイーグル二挺?)

クリス「カッコイイでしょ?」

パスッ パスッ

兎角「痛っ?!なんだ、これ玩具か?」

クリス「本物は日本じゃなかなか手に入らなくてネェ…まぁお子様と遊ぶには充分ですよネ?」

兎角(こいつ、ふざけてるのか?)

とりあえず前哨戦
あんまり関係ないクリスVS兎角戦が一番長くなりそう

「なんで…だ?」

あのシスターの弾がうまくかわせない…
銃で大抵狙われても先に体が動いていたのに今回だけはうまくいかない…
改造されて並みのエアガンより弾速も射程距離も段違いになっているとはいえ考えられない醜態だ

無理をすれば間合いを詰めて一撃入れられるかもしれない…が、走りと話している時に出してきた殺気がそれを躊躇させる
もし本物を隠し持っていて挑発に乗るのを待っているとしたら…
公園の木々を利用しながら互いの間合いを図るのだが

「ヘイヘーイ♪東ビビってるー♪」

能天気な声が響いてくる

(くそ、イライラするな!)

下手に出ればまた弾を撃ち込まれる
BB弾は装填数が多いようで弾数を読み難いのも面倒だ…
しかも、なんであの女シスター服であんな機敏に動くんだよ…おかしいだろ!

四方八方からする能天気な声に兎角はすっかり惑わされていた

~クリスside~
かつて訓練中にアンジェにボコボコにされて負けた事があったのだが、彼女が言うには

「あんたくらい修羅場潜ってると殺気で攻撃読めるようになるけど、真逆の殺気のない攻撃には案外弱い」

だそうで多分、模擬用のゴム弾ではなく実弾なら自分がやられてたというのである

東兎角は優秀がゆえに高い能力を持った教官と実戦さながらの鍛練を続け、任務もだいたい暗殺者相手に立ち回っている
つまるところ素人の殺気のないイタズラじみた攻撃に対する対処とかあまり知らないタイプである
そう考えて今回の手を使うに至ったわけであるが…

「いやー、まさかこんなにハマるとは思いませんでしタ♪」

本来なら姿も隠してスナイプするのが一番なんだがハンドガンしか使わないというポリシーがそれを許さなかった

東が捨て身で突っ込んできたらエアガンしかない自分はかなり不利だが、最初にビビらせるくらいの殺気だしたり、はったりで奥の手があると思わせている…まぁ長くはもたないだろうが
ただの時間稼ぎ目的なのだから充分
バレたらさっさと逃げればいい

カイバ「はいはい兎角くん、君が一番醜態を晒した黒組の対戦相手は誰ですかー?」

兎角「英か、犬飼?」

カイバ「…おまえ本気?本当にバカだな…」

兎角「ッ!?」

カイバ「そんなだからおまえを卒業させられないんだよ?もう一度考えてみ?」

兎角「……?」

カイバ「はぁー、泣けてくるぜ兎角ゥ…首藤涼だろ、終始掌の上で遊ばされてたろ?一ノ瀬のひらめきが無ければあそこでゲームオーバーだ」

兎角「でも、あれは…」

カイバ「なら、ゲーム形式だから本当の実力が出せませんでしたーとかさ、おまえがガードしてた相手死んだ後でも言い訳できるか?」

兎角「…」

カイバ「プールや、宝探しみたいな目眩ましにかかってあれの本質が見えてない、だから忘れちまう…いや、目をそらしてんのかな?」

兎角「それは…」

カイバ「…まぁ、いいさ、卒業までイジメ抜いてやるからよぉ、そのガッチガチの石頭少しは柔らかくする事覚えろ」

あのシスターの人を馬鹿にした感じの煽りで嫌な事を思い出してしまった…

ところどころ被弾したところが痣になってるし…晴に聞かれたらめんどくさいな…


身を潜めた途端煽り声がしない
とりあえず、こっちが動かないと向こうも動きを止めるみたいだ

本当に時間稼ぎだけが目的なんだろうか?
とにかく、今の内に状況の確認と情報を整理しておこう

・晴達のクラスメイトが襲われた
・生田目と桐ヶ谷の元にも刺客が行っている可能性が高い
・晴は学校に待機していてとりあえずは無事
・走りから連絡が来た辺りで変なシスターに襲われた
・シスターはわたしの事を知っている
・シスターの目的はわたしの足止めである?
・シスターの武器は改造エアガン二挺(当たるとかなり痛い)
・シスターの射撃の腕は確かなもので、常人離れした身体能力をしている

こっちの情報をどれだけ相手が所有しているか、知りたいところだな

「敵って決めつけてたら仲良くなれないよ!話してみたら意外にいい人かもしれないし!」

何をバカな事をと思ってたが、ここは…晴の言葉に従ってみるか?
あのシスターなんか口軽そうだし
時間稼ぎ目的なら乗ってくるかもしれないな…

ダメで元々だ
とりあえず相手の出方を見るのは悪くない気がする

~クリスside~

「そのままでいいから、聞いてくれ!少し話をする気はないか!?」

思いもしない事を東から提案された…

正直な話、シスター服で公園の中走り回って疲れているし、少しづつこっちの攻撃に反応し始めている東をどう攻めるか悩み所だったので、この提案は渡りに舟と言ったところだった

まー、どうせホームの事とか聞かれる事はないだろうし適当に相手してやるのも悪くはない

でも、もらった資料の東のキャラからはあり得ない提案のような気もする…
まぁ、神長のデータも古くて役に立たなかったから気にするほどでもないのかもね

クリス「OK、せっかくのお誘いですし受けまショ」

兎角「…とりあえずダチュラの関係者かどうかだが」

クリス「No、デス、まー嘘かもしれないデスけど」

兎角「依頼主は…答えないよな」

クリス「流石に答えられないデスよね、それは…逆にこっちも聞きたいのデスガ?」

兎角「なんだ?」

クリス「急に話かけて来たのは何でデスカ?」

兎角「殺し合う気がないなら、話をしてみるのも面白いかもしれないと思ったからだ」

クリス「…なるほどネー」

兎角「意外そうだな」

クリス「一ノ瀬晴の受け売りデスカ?」

兎角「む…そんなところだな」

クリス「ふーん、なるほどネー」

兎角「なんだよ」

クリス「いやいや気にしなくて良いデスヨー、なるほど、なるほど、やはり人が変わるのは良きパートナーという事ですよネ」

兎角「…ふん、それより黒組全員のデータを持ってるのか?おまえ」

クリス「これの依頼人から参考資料と言って渡されマシタ、在学中のデータなんてあてにならないと痛感していますヨ」

兎角(思ってた以上にベラベラしゃべるなこいつ)

クリス「後は…なんで一回離れようとシテ、また近づいて来ているカ?という事ですカネ」

兎角「そっちが釣られるか試しただけだ」

クリス「そのまま逃げても良いんデスヨ?」

兎角「逃げてほしいの間違いじゃないのか?」

クリス「どうして、そう思うのデス?」

兎角「いや、実はそれしか武器ないだろ、おまえ」

クリス「…いつ気づきましタ?」

兎角「違和感があったのは最初から、確信を得たのは今だな」

クリス「はー、慣れない事はするもんじゃナイデス」

兎角「生田目も桐ヶ谷も自分の身くらい守れるだろうし慌てる必要もないしな、仕返しくらいはさせてもらうつもりだ」

クリス「あー、あの二人を襲うからワタシにこんな事やらせてたのデスネー」

兎角「知らなかったのか!?」

クリス「アナタの資料もらって、連絡来た時に足止めしろと言われただけデス」

兎角「わたしが言うのはなんだが仕事は選べ」

クリス「確かにぜんざい一杯じゃ割りに合いませんヨネ」

兎角「安いな、おい」

クリス「で、どうしマス?こっちは充分時間稼いだし、逃げたいとこデスガ?」

兎角「そう言われると、困るな」

クリス「じゃあ、夕日をバックに殴りあってみまス?」

兎角「いや今、朝だし」

クリス「さて、そろそろ…お互いの間合いに入りマスが」


兎角「どうしたもんかな」

クリス「帰りマス?」

兎角「お前がどこまで本当の事言ってるかわからないからな…」

クリス「OH、ワタシ、シスターですヨ?」

兎角「え?コスプレじゃないのか?」

クリス「OK、きついの一発ぶちこんであげマス」

兎角「……地雷踏んだか」

(とは言ったものの…あのナイフをどうしますかねー)

樹を一本隔てただけで、すでに背後まで来ている
せいぜい2、3本ってところだろう、が相手があの東というのが問題だ

(これが終わったらあのクソ女にクリームあんみつと抹茶パフェ…豆かんあたりも追加請求して…)

殺気の塊が一気にこっちに近づいてくる
参ったな…ちょっと楽しくなってきた

(とりあえず、エアガン撃たれる前に先に仕掛ける!)

手持ちには投げナイフ三本とプッシュダガーが、一本

飛び込み様にナイフを二本投擲する…が

「ビンゴ!」
外したブーケで器用にナイフを包み込みいなす金髪女
こいつ、エアガン捨ててやがる!

「くそ!」
受け身をとりながら足払いを放つが軽くバックステップでかわされる

まだ手持ちにナイフがあるのを警戒してか、追い撃ちはこない
互いに間合いを取り直して体勢を整える

「闘牛士か何かかおまえは…」

「No、生憎、スペイン系の血は入ってないデス」

クリス「東は攻撃が正確なんで助かりマス」

兎角「嫌みか」

クリス「ま、悪く言えば読みやすいデスヨネ、こっちのヤられたら嫌なところを確実に攻めてきますカラ」

兎角「なるほど…」

クリス(とは言ったものの…捌いたナイフ拾えなかったし、ヤバイのはあんまり変わらないんデスヨネー)

兎角(この会話とか知られたらまた石頭とか馬鹿にされるんだろうな…かと言って奇策なんて早々思いつかないし…)

クリス「そのナイフ捨てて格闘戦とはいきませんカネ?」

兎角「悪いが、フェアプレイとかする気ないから」

クリス「ですヨネー」

(ああ、あのブーケ防刃製なのか…ますますわからん)

多分、あの服も同じような素材だよな…
肌が露出しているところに当てるのは難しいか

なら、いっそ

あえて無防備に近づくと、相手が体勢を整える前に飛び上がりドロップキックをぶちかます

「なっ!?」

ガードされたものの完全に虚をつかれた相手は一瞬ふらつくがすぐに体勢を立て直す…が、一瞬崩せば充分だ

相手を踏み台にして間合いをとりつつ、最後のナイフを投げつける
一回体勢を崩しておいたおかげで反応が少し遅い
ナイフに気をとられたところに走り込んで踵落としを叩き込む

「ぐっ!」

これも防がれるが相手の表情が一瞬歪む
勢いをつけて全体重をのせた蹴りだそう簡単に防げるものじゃ…ない?

苦痛に歪んだ顔はいつの間にか不適な笑みに変わり、右手でわたしの足首をつかんでそのまま地面に叩きつけられる

「ハァハァ…地面とキスした気分はどう?」

「最悪…だ!」

「ッ!?」

空いた足で顔面を蹴りあげるがすんでのところでかわされてしまう

慌てて飛び退いたのかよろめいてはいるが、こっちも追撃できる余裕はない…

また仕切り直しか…

クリス「…そろそろ止めときマセン?」

兎角「…おまえの負けでいいなら」

クリス「OK、引き際誤ったワタシのミスデス」

兎角「…わかった」

クリス「ろくな報酬も無しにアナタとヤリ合うのはわりにアイマセン…正直想定以上デス」

兎角「そうか」

クリス「左腕、とても、痛いデス…泣き叫んで良いデスカ?」

兎角「本当にうるさそうだから、やめろ」

クリス「えー」

兎角「しかし、防刃製の修道服とか何者なんだおまえ」

クリス「ただのシスター兼殺し屋デス」

兎角「名称として並べちゃダメだろそれ」

クリス「事実ですから仕方ないデスヨ?」

兎角「ところで本当にわたしの足止めだけのために来たのか?」

クリス「Yes、ぜんざい一杯分で」

兎角「ぜんざいのせいで嘘っぽいんだよ!」

クリス「美味しいデスヨ?」

兎角「そうじゃなくてだな…」

クリス「まぁ、東トカクの実力を見てみたかったというのもありマス」

兎角「で、どうだった?」

クリス「銃器持ってこなくて正解でしたネ」

兎角「なんだそれ」

クリス「自制が聞かなくなっテ、殺し合いになってたかもしれまセン」

兎角「ぜんざい一杯で殺し合いは嫌だな」

クリス「そーですヨ、せめて白玉抹茶パフェくらいは」
兎角「命安いな」

とりあえず場外乱闘の兎角VSクリス終わり

ちなみにクリスの言う正確だからわかりやすい

というのは松坂の最高速のストレートはストライクゾーン内角低めギリギリに入るから狙いやすいとかいう無茶な話で普通のやつはわかっててもよけれません

看護士「とりあえずコーヒーでも飲む?」

千足「いや、おかまいなく」

看護士「えー、何から話そうか」

千足「あなたは何者か、とか」

看護士「ただの暗殺者だよ、ダチュラ所属の、ね」

千足「あなたのその姿は借り物だそうですが…」

看護士「本物なら、今頃家で寝てるよ、夜勤だったはずだし」

千足「そうですか」

看護士「何?殺してるとか思った?」

千足「ちょっとだけですが」

看護士「まー、ご先祖の業はそんなんだったみたいだけどね、私のは何回か顔に触れたりして覚えればいけるから」

千足「…まさか」

看護士「そう君にもなれるよ、看護理由に触りまくったしね」

千足「身長が違いますけど?」

看護士「あー、10cmくらいならなんとかなるから」

千足「赤いジャケットでも着て怪盗でもやったらどうです?」

看護士「私は、モンキーパンチより、せがわまさき、声ならクリカンより辻谷さん好きだから」

千足「で、なんで私に会いに来たんです?」

看護士「色々わかったんでね、とりあえず伝えるべき事は伝えとこうと思ってね」

千足「柩にではなく、私に?」

看護士「そう、生田目千足に教えておきたい話さ」

千足「聞きましょう」

看護士「まず君は、エンゼルトランペットが彼女を殺害したと、どうやって知った?」

千足「…それは事件を調べているうちに…あれ?」

看護士「ロ…柩の仕事は完璧でね、あれ事故死でカタがついてたんだよ、殺人だという事にたどり着くのも実は難しいんだわ」

千足「つまり、どういう事です?」

看護士「ようするに君、桐ヶ谷柩を殺すために選ばれた人間なんだわ」

千足「意味がわかりません、なんで自分の組織のエースを殺す必要が?」

看護士「あいつは派閥に所属しないままエースになったからさ、自分の派閥に所属しないエースなんていらないって狭量な人間がいたわけだ」

千足「…くだらない」

看護士「そう、くだらない話さ、そいつは、柩に恨みを持つ人間に適当に情報をばらまいて使える人間を探していた」

千足「私にダチュラの暗殺者と戦う機会を与えたのもそいつですか」

看護士「そういう事、そして優秀な刺客であると判断された君は黒組で殺し合うよう仕組まれたってわけ」

千足「二人揃って、踊らされたわけですか」

看護士「ロリ…柩もなーんも知らんまま黒組参加してるからね、酷い話だろ」

看護士「ま、だからあんたはこのヤマからは降りてもいいんだわウチの内部の争いに利用されただけだから」

千足「柩を見捨てて逃げろと?」

看護士「怖い目で見ないでよー、事実を言ってるだけなんだから」

千足「経緯はどうあれ私はすでに退けない状況になっています、それは確かです」

看護士「ならいいのよ、いざ決戦って時に動揺されないように余計な事まで教えに来ただけだし」

千足「お節介ですね」

看護士「ちなみに、この前ニュースでやってたアレであんたを利用しようとしてたヤツは死んでるから怨み言は地獄でよろしく」

千足「いくつか聞きたい事がありますが」

看護士「答えられる事ならいいよん」

千足「あなた自身は柩をどうしたいんです?」

看護士「着飾って写真撮りたい…って怖い目で睨まないでよー」

千足「真面目な話なんですが」

看護士「…まぁ君の影響で良くなってるしさ、見逃してもいいかなーとか思ってたんだけどねぇ…ちょっと気になる事があるんでねぇ」

千足「歯切れ悪いですね」

看護士「ちょっと殺し合うつもり」

千足「は?」

看護士「ほら、あれよ、拳を交えないとわかりあえない事とかあるじゃない?」

千足「だから真面目に…」

看護士「至って真面目なんだけどね」

千足「…柩はもう殺しはしません」

看護士「ま、そこでこれの出番なわけよ」

千足「随分古い記事…これまさか…」

看護士「あの娘には私を[ピーーー]だけの理由があるのはわかった?」

千足「悪趣味だな」


看護士「よく言われるよ」

千足「これを見せたとしても柩は、あなたを殺さないと思う」

看護士「ふふふ」

千足「そんなに、おかしいかな」

看護士「いや、そこまで信頼されるようになるなんてね…人間変わるもんだと思ってね」

千足「あなたの知ってる桐ヶ谷柩はもういない、だから無駄な事はやめてくれませんか」

看護士「無駄かどうかはこっちが決めるさ、あの娘の悪癖そう簡単に無くなるもんか試してみるのも面白い」

千足「柩を殺人鬼に戻したいのかあなたは」
看護士「逆かな、私とアレと殺りあってなお、君の信じる桐ヶ谷柩であったなら私は潔く消えてやるさ」

千足「アレとは?」

看護士「あの娘の罪の象徴みたいなもんさ、多分もう接触してる頃かな?」

千足「…エンゼルトランペットの後継者?」

看護士「ご名答、まぁ挨拶くらいで止められるようにはなってるから危険はないよ…多分」

千足「多分って…」

看護士「まー、最悪でもアレにはロリ子を殺す気ないから大丈夫じゃないかなー」

千足「それを信じろと?」

看護士「アレの標的はあくまで一ノ瀬晴だからね、桐ヶ谷柩が殺せなかった標的を殺す実力を示すのにシンプルかつ絶大なアピールになる」

千足「一ノ瀬を救うためという名目でそいつを殺させるつもりなのか?」

看護士「いんや、ロリ子にアレは多分、殺せないよ…アレだけは殺せない」

千足「どういう事だ?」

看護士「師弟関係とは…また違うんだよなぁ…こればっかりはロリ子、本人から聞いて」

千足「…あの」

看護士「何?」

千足「ロリ子って流石にどうかと」

看護士「やっべ、いつもの癖が」

千足(いつもそんな呼ばれ方してたのか…)

看護士「あー悪い、そろそろ行くわ」

千足「まだ聞きたい事もあるんだけど」

看護士「流石に丸腰の君に捕まるほど弱くもなくてね」

千足「…残念だ」

看護士「なーに、すぐにまた会えるからさ、その時は敵だけど」

千足「…最後にひとつだけいいかな?」

看護士「ん?」

千足「あなたが何者か聞いてない」

看護士「んーそうね、どーせパクるしか能の無い私らしい自己紹介で締めさせてもらおうか」

ベラ「ダチュラ諜報部所属、コードネーム、ベラドンナ…どんな相手も正々堂々、真正面から不意をうつ女と覚えておいて」

誘導されている…慌てて飛び出したが、よくよく考えれば、訓練もろくにしてないあの娘に仕事ができるとも思えない
先輩があの娘に化けてぼくを誘い出した…そう考えたほうが腑に落ちる
毒を使ったのが気になるけど、ぼくを挑発するためにやったんだろう

あからさまにつけられた目印をたどると人気のない路地裏にたどり着く
どうやらここにいるらしい

「あははは、マスター!本当にマスターだ!」

無邪気な声が響きわたる
ボサボサの髪に瓶底眼鏡、くたくたの白衣…ぼくを模した人形を持っている事以外、あの頃と変わらない格好のあの娘がそこにいた

「悪趣味な真似はやめてください、あの娘の姿でくるなんて」

「違うよマスター!私は私だよ!」 「やっぱり、ダメですね、あの性悪女とあなたを間違える程度に成り下がってしまいましたよオリジナルは」

は?
いったい何を言ってるんだろう
腹話術なんだろうけどぼくに嫌なくらい声が似ていて気持ち悪い…

「あいつが私に化けてきたとでも思ってたの?違うよ!私はマスターを取り戻しに来ただけなの!」

取り戻す?何で?
この娘は何を吹き込まれたんだろう…

「顔色が悪いよ?やっぱり何かされたんじゃないの?そうだよね!?何かされたんじゃなければ私を捨てるなんてしないもんね!」

すごい剣幕で近づいてくる
目は血走って完全に正気じゃない

本当に先輩が化けてるわけじゃないみたいだ…このやり方は、あの人の趣味趣向とは思えない

「ねえ?なんでそんな目で見るの?マスター?私は、会えたのがうれしくてたまらないのに!」

ぼくは、ただ圧倒されて後退る
言葉が出ない
体が思うように動かない
膝がカタカタと笑い出す

「ごめんなさいマスター、私…少し興奮しすぎたみたいで…本当に怖がらせてごめんなさい、ごめんなさいね」

謝ってはいるが顔は狂的な笑みが貼り付いたままで感情が一切読み取れない
でも、本当に謝らなければいけないのはぼくだ
この娘を狂わせたのはぼくだから
そうだ、謝ろう

 「ううん、謝らなければいけないのは、ぼくだから君のことを誰かにあずけて大丈夫だと思い込んでいた、ぼくの方だからごめんなさい…」

あの娘の動きが止まる
良かった、まだ、やり直せるかもしれない

「今更、遅くないですか?オリジナル」

あの娘からぼくの声がする
人形がこっちを睨むように頭をむけてくる…
何も写さないはずの目に
言い知れない恐怖を感じる

「ダメですよ、あなたはマスターを取り戻し、二度と離さないと決めたのでしょう?」

その声とともにかくかくと動きだすあの娘
何?
何なの?
これじゃどちらが人形なのかわからないじゃないですか!?

「そうだね、もう、黙って消えないように…マスターにはおとなしくしてもらわないとね!」 「そう、それでいいのですよ、あなたはぼくの手足、そして新しいエンゼルトランペットなのですから」

さっきまでと気配がまた変わった
ピリピリとした殺気が感じ取れる
ぼくを殺す?あの娘が?そんな事があるの?

「大丈夫ですよ」「あなたはただ動けなくするだけですから安心していいですよ?」

「ただ、一生寝たきりかもしれませんけどね!」

あの娘が飛びかかってくる
ダメだ…今のぼくは…


「はい そこまで です」

気づいたらあの娘の背後に銀髪の少女…あの双子の片割れがいた

「きりがやひつぎ には まだ てをだすな ますたーからの めいれいです」

「…」 「怖いですね、味方に刃物を向けるなんて」

「あなたは あくまで おなさけで さくせんに さんか させてあげたことを わすれない ように」

あの娘から殺気が消えて
ぼくに背を向ける
どういうわけかわからないけど
蠍にとって今、ぼくがやられるのは本意ではないらしい

「あーあ、仕方ない…でも必ず私の物にしてあげるからねマスター」 「せいぜい生田目とかいう人と仲良くしておいてくださいね、あの人は殺しますから」

二人が去った後、ぼくは膝から崩れ落ちる
どうしよう…ぼくはあの娘を…

オブト「くそ!どいつもこいつも勝手に動きやがって…僕の計画に支障が出たらどうしてくれるんだよ!」

香子「ん?珍しく荒れているな」

オブト「バカ女ばかりで困るんだよ!まったく!その点、君はいいよねぇ…黙々と役割を果たすところが実にいい」

香子「私は、私の成すべき事をしているだけだ」

オブト「そう、そういう人材がいいんだよね!忠実でもうちの双子はアドリブが効かないし困ったものだよ」

香子(薬で人格壊しておいてよく言うものだな…)

ブルルル

「おや、失礼…どうした?……ああ馬鹿は回収したのか、糞女も引き上げたのか、そのまま戻れと伝えておけ」

香子「アドリブ効かない子が頑張ったみたいだな」

オブト「そのようだね…そうだ!そろそろ完成させておいてくれよ?君の作品の出番はもう、すぐだよ」

No.300「あのさー」

ベラ「何?」

No.300「あなたが仕組んたんじゃないの?」 「あれが介入するタイミングが良すぎますよ?」

ベラ「さーねー?もっと早く仕掛けりゃ良かったんじゃないの?」

No.300「む」 「せっかくだから楽しみたいじゃないですか、ぼくのほうがエンゼルトランペットに相応しいという事を教えてあげないといけないし」

ベラ「うるさいぞ、人形」

No.300「マスターは腑抜けてしまったから、この子が怒るのも仕方ないの」 「まったくです、黒組での経験はマイナスにしかならなかったみたいですね」

ベラ「…」

No.300「ん?」 「なんだか不機嫌ですね?」

ベラ「その声でしゃべるな、マジ壊すぞ」

No.300「やめて!」

ベラ「…こんなののせいで、壊れんじゃねーぞロリ子」

鳰「あー、ようやく繋がった…」

兎角「あ、悪いちょっと変なのに襲われて出る余裕なかった」

鳰「変なのっスか?」

兎角「事情はわからないがわたしを足止めしろと依頼されていたらしい」

鳰「はぁ」

兎角「あんまり怪しいんで戦ったんだが…本当に足止め目的だった」

鳰「それは災難っスね」

兎角「でも、生田目と桐ヶ谷はどうせ無事なんだろ?」

鳰「まぁ、無事は無事…なんスけど…生田目さんは交戦には至らなかったみたいですし、ただ桐ヶ谷さんが」

兎角「何かあったのか?」

鳰「…ちょっと精神的にくる相手だったみたいで、うちの人間が見つけた時には軽いショック状態で」

兎角「…大丈夫なのか?」

鳰「しばらくうわごとのように謝ってましたが、鎮静剤打って眠らせたっス」

兎角「下手なケガより厄介じゃないのか、それ」

鳰「何とも言えないっスよ、本人の問題っスから」

兎角「なぁ…敵は、桐ヶ谷を精神的に追い詰めて満足して退いたって事か?」

鳰「そうなりますかね、今回の襲撃自体が桐ヶ谷さんにショックを与えるのが目的なんじゃないかってくらいで、意図がわかんねーっスよ」

兎角「…とりあえず桐ヶ谷の回復待ちになるのか?」

鳰「後は生田目さんから話聞いて何かしらわかればいいっスけど」

兎角「そうか、とりあえず放課後合流で良さそうだな」

鳰「そっスね」

千足「お疲れ様」

鳰「いやいやまいったっスね…って桐ヶ谷さんがあんな状態でよく落ち着いてますね」

千足「そう見えるなら、私はまだ大丈夫だな」

鳰「…申し訳ないっス、取り乱しそうなイメージがあったんで」

千足「主犯クラスと話たおかげだろうな、状態がまったくわからなければそうなっていたかもしれない」

鳰「主犯?黒幕じゃなくて」

千足「あの人は黒幕の企みを引っ掻き回すのが目的のような気がする…柩を襲った相手も本当に[ピーーー]気なら温存して切り札にしたほうが効果的だから」

鳰「そっスね、なるほど向こうは向こうで何やら揉めてる可能性もあるわけか…読めねぇ訳っスわ」

千足「柩が目覚めてから話を聞けば大まかな流れは見えるかもしれない」

鳰「正直な話、無事とはいえ戦線復帰できるかはわからんっスよ?」

千足「大丈夫だよ、あの娘なら」

鳰「たいした自信っスね」

千足「精神面なら私より強いよ、柩は」

千足「ところで、私の会った相手は何度か病院の看護士と入れ代わって来てたみたいなんだけど」

鳰「新人さんにうまいこと取り入ったみたいで、そいつちゃんと業務やって帰るから誰も気づかなかったみたいっス」

千足「おかしな人だな」

鳰「仕事休んだのに、翌日さも一日いたような扱いされて気味悪かったとか話してましたけど…一回、二回じゃないっスよね?」

千足「おそらく、たまにやたら私に話しかけてくるからその時はだいたいあの人が入れ代わってたと見て良いはず」

鳰「とんでもねー相手っスね」

千足「まぁ、忍者だし」

鳰「は?」

千足「濁してたけど、甲賀忍者だよ相手は」

鳰「…まさか生きてたっスか、あのねーさん」

千足「知り合いか?」

鳰「葛葉の師匠にくっついてた時に会った事があるっス…肉体改造レベルの変装とか如月のねーさんっスわ間違いないっス」

鳰「いや、しかしウチが会った後の仕事(ヤマ)で死んだって聞いてたんスけど…まさかダチュラにいたとは」

千足「世間の狭さというか奇縁に驚いてるよ、私は」
鳰「9年経っても変わらないみたいである意味安心したっスわ」

千足「というか、君は葛葉の人間だったのか」

鳰「あ」

?「あーもしもし」

?「あー、おねーさん久しぶり!何か用?」

?「あの、あなた今どこにいるの?」

?「んー勝浦」

?「あなた幕張あたりにいたんじゃないの?」

?「いやー、元祖の勝浦担々麺というのを食べてみたいからさー来てみたんだよねー」

?「はぁ…明日までに東京まで出てこれる?」

?「えーこのまま外房巡りたかったんだけどなー」

?「誰のおかげで出れたか覚えてないのかしら?」

?「おねーさんとしえなちゃんとこの組織がうまいことやってくれたからだよね、覚えてるよ♪」

?「なら、少しは恩返ししようという誠意を見せなさいな」

?「はーいわかりましたー…で、あたしを呼ぶんだからそういうお仕事なんだよね?」

?「あなた好みだと思う、多分ね」

?「おっけー、明日の何時?」

?「昼までに東京駅の…いいわメールで送るから確認して」

?「はいはーい」


ピロリン

?「おや、お早い仕事で…っと…ふーんなるほどねー…うわーなんかめんどくさい感じだな、これ」


黒組全員登場するのかな、楽しみ

>>265
ありがとうございます
なんか読みづらくてすまぬ

他のキャラねじ込むために乙哉の雇い先変えたりとか色々やってます
全員出したいけど春紀は足洗ってるから巻き込みたくないなぁとも思うジレンマ

~病院~

コンコン

千足「柩、入っていいか」

柩「あ、はい、大丈夫ですよ」

千足「よかった…思ってたより元気そうだ」

柩「すいません、心配かけて…もう大丈夫です」

千足「そうか…少し、話があるんだ、その」

柩「…先輩がそっちに行ったみたいですね、なんとなくわかります」

千足「うん、ベラドンナって人だった…見た目はここの看護士さんだったけど」

柩「あー、先輩のあれ完璧に他人になれるみたいなんですけど一度姿変えると元に戻すのすごい時間かかるらしくて」

千足「そうなのか?」

柩「はい、どんな仕組みであんな事できるのかわかりませんが肉体そのものを変化させてるらしいので」

千足「走りの言う人体改造レベルって話は冗談でもないのか…」

柩「あれ?走りさん先輩のこと知ってたんですか」

千足「どうも、かなり昔に会った事があるらしい」

柩「ん?そのわりに先輩は走りさんの事忘れてましたみたいですけど」

千足「多分、名前変えてたのと年月だろうなぁ…女の子は印象変わると言うし」

柩「…なるほど偽名ですか、あの人うっかりしてそうだし…忘れてもおかしくはありませんね」

千足「走り自身も昔しか知らないから参考になりそうな話は聞けなかったな…強いて言えば彼女の一族はほぼ全滅したとかその程度で」

柩「へぇ、それは初めて聞きました」

千足「9年くらい前に大仕事で彼女自身も死んだと思われていたそうだ」

柩「9年、ですか…ぼくはもうダチュラにいた頃ですから…先輩もすでにダチュラ所属のはず、ですね」

千足「走りも、お師匠さんから又聞きしただけだから詳細は知らないらしいが…」

柩「そうですか…」

千足「えっと、その、だ」

柩「どうしました?」

千足「まったく、なんであの人は…こんな事を私に…」

柩「何か、伝言を頼まれたんですね?」

千足「いくつかあるんだが…とりあえず、おまえを殺しに行くからそう伝えろと」

柩「あの娘は、前座扱いのつもりですか…まったく、えっと千足さんから見て本気でした?」

千足「…ああ、わざわざ柩を本気にさせるネタまで用意してきた」

柩「なんです?」

千足「正直、さっきまで寝込んでた人間にあまり見せたくはないんだが…」

柩「大丈夫ですから」

千足「これを、蛍光ペンで囲まれたところにある記事を見てほしい」

柩「………」

千足「…」

柩「……そう、ですか」

千足「その、だな」

柩「平、気、です」

千足(いや平気じゃないだろう)

柩「…最低な人間ですよ、ぼく」

千足「急にどうしたんだ」

柩「親の仇云々より先に、自分の名前が偽りじゃなかった事をうれしいって思うなんて…やっぱりぼくは人として壊れているんだと思います」

千足「…」

ギュッ

柩「え?」

千足「なんて言葉をかけていいか思いつかないんだ」

柩「…ずるいなぁ、下手に慰められるよりずっと効きますよこれ」

千足「無理はしなくていい」

柩「…ありがとうございます、少しだけ泣いていいですか?」

千足「うん」

~共同墓地~

クリス「ハロー♪」

ベラ「あーら、よくここが…っていうかよく私だってわかったね」

クリス「店長サンから聞いたのデス、怒ってましたよ?人の客を勝手に巻き込むなって」

ベラ「あははー、後で顔出さないと出禁にされそうだな…ま、調度いいや!ほいっ」

クリス「これは?」

ベラ「追加報酬」

クリス「…ここまでされる義理は無いデス」

ベラ「いやいやー東のアズマの戦闘データとか録らせていただいたしー」

クリス「…なんか気配がしてたと思ってたケド…アナタの手先でしたカ」

ベラ「まー、後は治療費かなその手の」

クリス「ん、これデスカ?これカミナガにやられた傷開いただけですカラ」

ベラ「ほう」

クリス「まー、咄嗟に怪我してる腕でガードしなきゃならいくらい見事な蹴りでしたケド」

ベラ「なんかわりーね、怪我悪化したら私のせいじゃんね」

クリス「いえ、引き受けたこっちにも咎がアリマス…で、これは?」


ベラ「それで、神長香子に会えるとだけ言っとくよ」

クリス「…サービスが過ぎて怖いデスネ」

ベラ「あんたとは争いたくないからね賄賂込みだよ」

クリス「聖職者に賄賂とは世も末デス」

ベラ「あははは、違いない…でも受けとるのね」

クリス「あいにく貰えるものは受けとる主義デス」

ベラ「ところで片手でも殺れんの?」

クリス(シュトーとの約束消化したいだけとは言いにくいデスネ)

クリス「ノープロブレム」

ベラ「本気のあんたも見てみたいから楽しみだわ」

クリス「…あんまり覗き見してると痛い目見ますヨ?」

ベラ「おぉ、怖い怖い」

クリス「……」チャキッ

ベラ「墓場で発砲はやめてねシスター」

クリス「行き先で、こっちの邪魔したら容赦なくイキますカラネ?」

ベラ「はい、イエス、大丈夫です、はい」

クリス「それから…気配はもう覚えたから誤魔化せると思うナヨ?」

ベラ「うわーマジこえー…東とやり合ってた時面白キャラかと思ってたのにー」

~まんじ屋~

店長「はー、今世紀の切り裂きジャックとか言われてたやつ死んだのか…」

乙哉「へー、警官に抵抗してやむなく射殺…そーきたかー」

店長「ん?嬢ちゃん何か知ってるのか?」

乙哉「あははー知らない、知らない」

店長「で、味の方はどうよ?」

乙哉「うん、知り合いに美味しいって聞いてたから楽しみにしてきたけど、期待以上だね♪またくるよん」

店長「おう、また来なよ」

乙哉「あー、おねーさーん♪おかんじょー」

店長「…なんなんだろうなアレは……まぁ客は客だし勘ぐりはしないようにしないとな…」

~数分後~

鳰「どうもー」

店長「お、今日も使いっぱか?」

鳰「いやいや、ちょっと聞きたい事がありましてー」

店長「……お嬢か?」

鳰「話が早くて助かるっス」

店長「下に来い」

鳰「はいはーい」

~地下室~

店長「先に言っとくが俺がお嬢に会ったのは十年ぶりだ、お前より会わなかった期間は長い」

鳰「ねーさんがダチュラの一員だってのも最近知ったと?」

店長「そうだよ、他の連中は死んだらしいが詳細は知らん」

鳰「…じゃあ例の事件は知らないっスか?」

店長「なんの話だ?」

鳰「甲賀の若い衆がダチュラの作戦に参加して全滅した話っス」

店長「知らん、というか教えろその話」

鳰「ウチも詳しくは知らないっスよ、その作戦で毒薬が間違って散布されて敵も味方も皆殺しになったとしか…そこでねーさんも死んだって聞いてたっス」

店長「……ちょっと待て」

鳰「なんスか?」

店長「それで、ダチュラにまだいるってどういう事だ?」

鳰「ウチもその辺を聞きたかったんスけど」

店長「俺が現役だったら探ってやりたいけどよ…生憎、今は一般人でなぁ」

鳰「いやいや、いいっスよおやっさんに何かあったらウチ殺されるっス」

店長「そうかい」

鳰「腕の良い職人は宝っスから」

店長「なんかわかったら俺にも教えてくれねえか?」

鳰「多分あんまり楽しい話じゃないっスよ?」

店長「承知の上だ」




店長「という話をしていたわけなんだが…」

ベラ「うん」

店長「なんで普通に顔出せんだよ」

ベラ「いやーあの葛葉のガキが走りちゃんとか気づかんしさ、さっき会ったパツキンねーちゃんにはおっさん怒ってるとか言われるし」

店長「散々調べてただろうに…」

ベラ「あの子、ミョウジョウの関係者だし裁定者だからブロック厳しいのよ?調べに行かせたヤツはなんか暗示かけられて帰ってくるわで散々よ?」

店長「まぁ、それはいい…色々聞きたい事があるんだが」

ベラ「教えると思う?」

店長「話せるとこまで聞かせろ」

ベラ「まず、私がまだあそこにいる理由なら蜘蛛姐さんがいるからってだけ」

店長「あいつか、なんか義理でもあんのか」

ベラ「命の恩人、姐さんは助かる運命だったから助かったとか言ってるけどね」

店長「なるほど…あいつらしいな」

ベラ「薄情かもしれないけどさ、死んだ奴らは運が無かったって事で割りきってるしね」

店長「そこに関しては同意見だな…仮にも甲賀の人間だ、てめえの世話できねえヤツは死んでも仕方ねえ…だから足洗えって言ったんだよ」

ベラ「若気の至りってやつだよねー、なまじ力を持ってると使いたくなるとかさ」

店長「パシられて死んでちゃ仕方ねえがな」

ベラ「耳が痛いねー」

店長「…今、やってんのはあいつも絡んでるのか?」

ベラ「いや姐さん出てきたら戦争だし、私が勝手に動いてる…という設定」

店長「…あいつも承知で動いてるわけだな」

ベラ「まーね、あとちょいなんだけどね。あの馬鹿がなかなか尻尾出さなくてさー」

店長「ミョウジョウに本気で喧嘩売る気かと思って冷々したぞ」

ベラ「その感じだと走りちゃんは騙せてるっぽいね」

店長「先に言っとくが誤解でも庇わねえぞ」


ベラ「おっさんはそのままでいいよ、私も気が楽だし…それに」



ベラ「ロリ子と殺し合いになるのは多分マジだし」

~英邸~


百合『お久しぶりね、英さん』

純恋子「ええ、そうですわね、直接話すのは黒組以来になりますかしら…今日はどのような用件で」

百合『急な話で申し訳ないのだけれど、少し調べてほしい事があるのです』

純恋子「…走りさんでは触れられない領域という話になるのかしら?」

百合『ええ』

純恋子「いいでしょう、英が反一ノ瀬から抜けた事で何やら騒がしくなっているようなので気にはなっていましたの」

百合『ありがとう、助かるわ』

純恋子「お気になさらず、助けられた借りを返す良い機会ですから」

純恋子「はぁ…なんというか、嘆かわしいものですわね」

執事「どうかいたしましたか?」

純恋子「こう、他人の足を引っ張る事でしか自分の立場を守れない人ばかりだと気が滅入りますわ」

執事「一度、力を得てしまったら手放したくないのは人としての性でしょうね」

純恋子「もはや盲執の類いでしょうけど」

執事「黒組関連だけでこれですから根深いようですねこの問題は」

純恋子「私が参加していなければもっとあからさまな介入をした者もいたかもしれませんわね…」

執事「一ノ瀬様はそこまで恨まれていたのですか?」

純恋子「彼女の家は女王の資質を持ちながら腐らせている事に怒りを覚えるもの、その資質がいつか牙を剥く事を怖れるもの…色々ですわね」

執事「ふむ、不発弾がいつ爆発するか気が休まらない心境のようなものですか」

純恋子「消したいと思っていた人はそうなのでしょうね」

執事「そういう方々にとって黒組は最後の機会だったわけですね」

純恋子「まだあきらめていない方もいるようですけどね」

執事「それが全て、交流のあった家のようですね」

純恋子「……はぁ」

真昼「あまり、ため息ばかりだと、幸せが逃げる、そうです、よ?」

純恋子「あら、番場さんごきげんよう」

真昼「ごきげんようです、お茶入り、ました」

純恋子「ありがとう…ふう…癒されますわ」

真昼「…////」

執事「番場様も近頃は腕を上げられましたね、私の仕事が奪われてしまいそうです」

真昼「そ、そんな事ない、です」

純恋子「おかけで、少しやる気が出ましたわ。手早く片付けてゆっくりとティータイムを楽しみましょうか」

執事「はい」

どうも、ありがとうございます

ちょっと脱線して裏方編的な話がもうちょい続きます

純恋子「だいたいの流れは見えてきましたけれど…」

執事「何か意図を感じますね、あからさますぎるかと」

純恋子「あの方は、黒組終了からほとんど外に出てきていないようですし…直接訪ねるしかないでしょうね」

執事「直接ですか、しかしそれは」

純恋子「この際、多少目立つのは仕方ありません。一応、交流もありましたし理由付けはいくらでもできますわ」

執事「では早速手筈を整えておきましょう」

純恋子「後、これに該当しそうな方を見つけておいてほしいのだけれど」

執事「…なるほど、了解いたしました」

~一族の男の別宅~


一族の男「何の用だ、私を笑いにでもきたのか?」

純恋子「あら、久しぶりに会いに来た親族に対して随分な対応ではなくて」

一族の男「…親族、親族か…ほとんど血の繋がりなど無いようなものだろうが…」

純恋子「ええ、確かに…ですが私達は一族の一員として仲良くしてきたではありませんの」

一族の男「白々しいな…ミョウジョウに引き渡すつもりなのだろう私を」

純恋子「あら、引き渡されるような事をしましたの?」

一族の男「私が黒組を利用して一ノ瀬を潰そうとしたのを知らないはずはないだろう!?」

純恋子「…その程度は百合さんの想定の内ですわ、咎めるほどでもありません。だ、そうですわ」

一族の男「なんだと!」

純恋子「そのような話なら自ら生徒として一ノ瀬晴さんを殺そうとした私はどうなります?」

一族の男「……」

純恋子「あなたは自意識過剰なだけですわ、私が聞きたいのはその時にした依頼が今、なお生きていているかについてですわ」

一族の男「は?何の話だ?私はあの後、ダチュラの連中に指示もしていないし、黒組で失敗した時点で報酬も発生しないが?」

純恋子「……どうやら、嘘ではないようですわね」

一族の男「嘘?私が嘘をつく必要がないだろう!?今、一ノ瀬が死んだら私が疑われるに決まっている!査問にかけられるなんてごめんだよ私は!」

純恋子「自覚があるようで安心しましたわ…では引きこもっているあなたに罪を擦り付けてダチュラを動かした者がいる事になりますわね」

一族の男「なんなんだ!さっきから!?おまえは何を!」

バタン!
真夜「おーい純恋子!お片付け終わったぜ!」

一族の男「」

純恋子「あらあら、真夜さんまだ御話し中ですのに」

真夜「あ、わりーわりー」

一族の男「ななな、なんだこいつは!?」

純恋子「あなたの命の恩人…になるのかしら?」

一族の男「は?」

真夜「たいしたやつらいなかったぜ?俺いなくても大丈夫だったんじゃねーの」

純恋子「引きこもり一人消すのなら余裕だとでも思ったのかしら…怪我がないようでなによりですわ真夜さん」

伊介「あーら、伊介もいるんだけどー?」

純恋子「犬飼さんもお疲れ様、全部片付きましたの?」

伊介「まーねー♪一族の刺客なんて聞いてたのに伊介拍子抜けよー?まぁ楽にお金貰えるならいいけど」

一族の男「…なんなんだ、これは…」

純恋子「簡単にまとめてしまうなら、あなたに罪を被せて一ノ瀬晴の殺害を企む何者かに利用される所だった…というところでしょうね」

一族の男「なら、私を殺したら意味がないだろうに」

純恋子「幸いあなたは、最近引きこもり気味ですから、殺した後に死を隠しておいて一ノ瀬晴暗殺後に自殺したように見せかけてこの件を終わらせるつもりだったのではないかしら」

一族の男「そんな事がうまくいくとでも…」

純恋子「あなたの過去の行いからそうなっても疑われないように思われているのです、少しは反省してくださいな」

一族の男「……」

伊介「ねぇ?話続くならシャワー借りていい?」

純恋子「」

真夜「おめえ、空気読みやがれよ、純恋子固まってんじゃねえか」

伊介「えーだって伊介にはかんけーないし、不細工殴って気持ち悪いし」

一族の男「下にあるから勝手に使え!」

純恋子(やっぱり人選間違えたかしら)

~回想~

純恋子「…犬飼さんですの?」

執事「はい、まだそれほどなを知られておらず、腕が立ち、ここに来てもあまり怪しまれない信用できそうな暗殺者となると彼女が適任になります」

純恋子「同窓生とはいえ犬飼さんがここに来たら目立つのではないかしら…」

執事「かつての黒組最後の攻防に残られた三人ですから再会して旧交を温めるなど不自然ではないでしょう」

純恋子(思いっきり不自然な気がしますわ)

真夜「まー、犬飼は金払ってる分には信用できるみたいだぜ?」

純恋子「真夜さん?」

真夜「こういう荒事は真昼には無理だからよぉ、また叩き起こされた…せっかく寝てたってのに」

純恋子「……」

真夜「どうした?」

純恋子「真夜さん!」ガバッ

真夜「おい!?いきなり抱きつくな!?執事困ってんじゃねえか!」

純恋子「だって、だって…本当に久しぶりなんですもの…」

真夜「真昼がようやく自立できそうなのによぉ、俺がいつまでもお世話するわけにも…」

純恋子「私は真夜さんとのお話も、お茶会も楽しかったのに…何も言わずに消えてしまうし…最後の時は会い損ねましたし…」ヒックヒック

真夜「参ったなぁ…」

執事「犬飼さまの事はこちらで進めておきますのでお嬢様をよろしくお願いします番場さま」

真夜「お、おう…ってそれでいいのか!?」

執事「番場さまは信頼できる方だと思っていますので」

真夜「……あんたもかわりもんだなぁ」

~その頃、喫茶店~

伊介「ってわけで、しばらく留守にするから」

春紀「海外旅行から帰ってきてからけっこう忙しいみたいだな、伊介様が忙しいってのはあんまり良くないんだろうけど」

伊介「あー、今回はちょっと違うみたいよ?」

春紀「そうなのか…って伊介様って暗殺者以外の事できんの?」

伊介「ひっどーい傷つくわー」

春紀「いや、だってさ…」

伊介「黒組の時はあんたが家事好きそうだから任せてただけよ?」

春紀「本当に?」

伊介「あんた退学後の部屋を見せてあげたいわー完璧よ完璧」

春紀「今度、走りにでも連絡して聞いてみよう」

伊介「そんなに信用ねーのかよ」

春紀「いや、だって気になるし完璧な部屋」

伊介「そ、そーね気が向いたら見せてあげるわよ自宅のほうだけど」

春紀「え?ええ!?」

伊介「何か変な事言った?」

春紀「いや、あたしを部屋にあげてくれるって」

伊介「春紀なら家族にも紹介したいしねー」

春紀「そ、そうか」

伊介「どーしたの?なんか変よ」

春紀「いや、うん、ちょっと」

春紀(何、焦ってるんだあたし!思春期のガキか!)

伊介「で、仕事の話に戻すけど」

春紀「あ、うん」

伊介「なんか古い家だから色々と整理したいみたいでねーお手伝いしてほしいみたいなのよ」

春紀「旧家の倉の片付けとか?伊介様よりあたし向けっぽい感じだけど」

伊介「まー詳しくは知らないけど、倉掃除だったら紹介する?給料は高いみたいよ?」

春紀「いいの?」

伊介「んー、とりあえず聞いておくわよ」

春紀「伊介様の人脈って底知れないな」

伊介「何言ってんの?あんたも知り合いよ」

春紀「え?」

伊介「依頼主は英財閥だもの」




しばらく後に春紀が一人で英家の倉掃除のバイトしたとかなんとか

で、その働きぶりに英家メイドにファンができたとか

とりあえず純恋子さん組はあんまり深くやると黒幕先に潰しそうなんで次はメインに戻します

伊介様が濁してるのは暗殺で稼いだ金だと春紀が素直に奢られてくれないから

春紀としては暗殺で稼いだ汚いお金が嫌とかそういう意味でなく、自分がやめといて伊介様に金ださせるのはなんか違うとかめんどくさい感じ
伊介様のほうはクソ真面目な線引きしてる春紀になんか意地でも奢らせたくなってる感じで

純恋子サイドはダチュラ幹部粛正の次の日くらいから動いてます

間が空いてしまって申し訳ない

~ミョウジョウ学園理事長室~

名無し「失礼しまーす」

百合「はじめまして…あなたは9年、白組の…舘由良さん、でいいのかしら」

名無し「はい、あたし名前ないんで、そっちでお願いします」

百合「そうなの?…では由良さん用件を聞きましょうか」

名無し「えっと…ですね全部これに入ってると思うので読んでください、あたしはあくまで伝令なんで」

百合「鳰さんには知られたくないのかしら?」

名無し「みたいですねー、あたしも最近まで走りさんに暗示かけられてるなんて知らなかったんですけど」

百合「あなたの上司はわかっていて放置したのね」

名無し「下手に暗示解いてマークされるより、操られた前提で流れされてくる情報にはそれはそれで価値があるので…って聞いてます」

百合「…なるほど、ある程度はわかりました。必要な資料はこちらから届けさせましょう」

名無し「ありがとうございます」

百合「そうそう」

名無し「はい?」

百合「事情はどうあれ、ここの生徒である限りはミョウジョウ学園はあなたの味方であるという事を覚えていてくださいね」

名無し「は、はい!」

百合「…あと、言いにくいのだけれど」

名無し「なんです?」

百合「偽名に駄洒落はどうかと思うの」

名無し「すいません上司の趣味で」

柩「すみません…もう大丈夫です」

千足「こんな時くらいもっと甘えてもいいのに」

柩「ダメですよ、優しくしすぎるとぼく調子に乗っちゃいますから」

千足「いいよ、私がフォローするから」

柩「…でもダメです。この件だけはぼくが向き合わなきゃいけないんです…できる事ならぼく一人で決着を…」

千足「あの人が怖いの?」

柩「……」

千足「君の先輩が本気になったらどうなるかわからなくて、私達を巻き込みたくない?」

柩「なんで…」

千足「ん?」

柩「千足さんってわりと鈍いと思ってたのに…」

千足「本気だから」

柩「え…」

千足「ずっと柩と一緒にいると決めた時に、例え傷つける事になっても踏み込む覚悟も決めたから」

柩「本気にかっこよすぎですよ、もう」

千足「だから、自分を卑下して一人で罪を抱え込もうとするのも許さないからね」

柩「あ、う……はい」

千足「大丈夫、今の私は黒組の時よりもずっと強くなれた。君を置いて死んだりしないさ」

柩「急に饒舌になられたら怖いですよ…死亡フラグじゃないですか」

千足「ふふ、本当に少し元気が出てきたみたいだね」

柩「もう…撫でないでください…」

千足「嫌?」

柩「…………嫌じゃないです」

千足「ならいいじゃないか」

柩「…本当に危ないのに…」

千足「わかってるよ、あの人が直接会いに来てるからね、柩の傍にいる私が一番邪魔だろうしね」

柩「ひとつだけ約束してくれます?」

千足「何を?」

柩「先輩とぼくの戦いは手を出さないでほしいんです」

千足「あの人に勝てる?」


柩「正直なところ勝算なんて二割ないです…けどあれだけお膳立てしてきたからには応えないと…ぼくの過去と本当に向き合うために」

千足「………わかった」

柩「それにしても」

千足「ん?」

柩「今日はやけにスキンシップ過多な気がします」

千足「しばらく特訓やらでかまえてなかったし…」

柩(やっぱりかわいい人だな千足さんて)

千足「あと、せっかく私以外とも仲良くしてる柩に水さしたくなかったし…」

柩「あの二人はそんなんじゃ動じませんよ…晴さんは慣れてますし」

千足「そうかな…」

柩「まぁ、走りさんあたりに言われたんでしょうけど…お二人がいちゃつきすぎて話しかけづらいっスとか」

千足「……」

柩「台詞まで当てちゃったみたいですね」

柩(あのアホ毛いつか引っこ抜く)

年明けて何も進められない不甲斐なさに泣ける
少しエンジンかかってきた…かも

~都内某所~

?「なー、ヤニくうけどいーか?」

乙哉「いーよー、嫌だって言っても吸うだろーけど」

?「わかってんじゃねーの、おめーは物わかりがいいから好きだぜー」

乙哉「つーか、おねーさんキャラ全っぜん違うよねー」

?「そりゃーストレスたまる職場にいるからな、こーゆー時くらいだらけてーよ」

乙哉「警察の人間がそれを言っちゃうかな」

?「しかたねーだろ…あたしゃ犯罪の尻拭いなんてクソみてーな事やらされてんだからさ」

乙哉「今回はあたしが全部殺ったけどねー」

?「たりめーだ、有用なとこ見せないと捨てられるぜ?」

乙哉「それは困るなー…ってさっきから何してんの?」

?「あー?あたしのストレスの元がまた何かやらかしてるらしくてな」

乙哉「一族とかいうやつ?」

?「軽々しく言うなよー寿命減るぞー」

乙哉「おねーさんの言い方が軽いってば」

?「あいつら動くと派手に人死ぬからめんどくせーんだよ、あー!くそっ」

乙哉「イライラしてますなー」

?「うっせ、入った時から一ノ瀬がらみの火消しやってんのに…まだついて回りやがる…」

乙哉「晴っちの事?」

?「あー、そうそいつ、一族の試練って御題目で家族皆殺しにされたりしてんの」

乙哉「わーお!…あー…なるほど色々納得した」

乙哉「もしかして家族が殺される時ってさ」

?「派手にやるぞ、わざ大事故起こしたりな…それをきっちり事故として処理させんのがうちらの仕事ってわけ」

乙哉「いやー晴っちも強くなる訳だわ…ってあたしの件におねーさん出てきたのはなんで?」

?「手駒が欲しかったのと、おめーに殺らせた連中が普通に裁くとめんどくせーから」

乙哉「切り裂きジャックフリークの娘に、模倣犯、便乗して罪をあたしに被せようとしてた殺人鬼のおっさんとか…」

?「最初の小娘以外は身寄りもないから死んでもらったほうが楽に処理できんのよ」

乙哉「男切りたくなんてなかったのにー」

?「うっせ、あんなののために税金無駄に使わせたくねーっての、それに同類同士で殺し合わせとけば公務員が傷つかずにすむしな」

乙哉「流石にあんなのと同類はやめてよぉ」

?「美学云々はどうでもいいってシリアルキラーさんよ」

乙哉「美学じゃないよー信念だよ?チョキチョキするのに楽しめないやつと一緒にされたくないんだよー」

?「人が死んでるのは変わらねーって…つーか今年だけで死にすぎだよまったく」

乙哉「マンションの住人全滅とかすごいよねー」

?「…今やってんのそれがらみなんだよ…」

乙哉「ありゃ」

?「…ふふふ…でも良いんだ…これうまくいったらダチュラやら、あのクソやらに大打撃与えられんだからな…」

乙哉「ふーんダチュラ?キチガイナスビ?」

?「おまえって裏の話全然知らないくせによく生きてたよな」

乙哉「だってただの殺人鬼だもん」

?「ッチ…暗殺組織だよ、名前通りの毒使いのな」

乙哉「へー、有名なの?」

?「それなりにな、政治家やら、あいつらが関わっててうちらじゃ直接手が出せねーって厄介な連中よ」

乙哉「そりゃまた御愁傷さま」

?「ま、今回はこっちは見てるだけでかたがつくから楽なんだけど…っと、終わったー!やっと終わったぞこのやろー」

乙哉「おつかれーってこれ何?」

?「お・つ・か・い」

乙哉「なんであたし?」

?「クラスメイトのお宅訪問だ、よろしくな」

乙哉「誰?」

?「英財閥行ってそれ渡したら、走りってやつに合流して指揮下に入れ、以上」

乙哉「いやーんブラックな臭いがぷんぷんするー」

~17学園~

カイバ「遅刻はするわ、無茶ぶりするわ、兎角よぉおまえ王様か何かか?」

兎角「仕方ないだろ、事態が事態だ」

カイバ「やれやれ、何時になったら教師に対する礼儀が身に付くんだろうなぁ、先生悲しくなっちゃうぜ」

兎角「せめて悲しそうな顔して言ってくれ」

カイバ「ほんと、可愛くないよなーおまえ…ま、頑張る教え子に手を差し伸べてやるのもできる教師の務めってやつだな、ほれ資料」

兎角「…あんな断片的な話で本当によく集めたな…その…アリガタイ」

カイバ「礼を言うときは目をそらさないようにな」

兎角「うるさい…ってこいつクローバーホームの関係者か?」

カイバ「ま、おまえとやりあえそうな女シスターなんて滅多にいるもんじゃねーからな…なかなかの大物が引っ掛かった」

兎角「本当にこの資料通りの化物なのか?あれが」

カイバ「現場にいたわけじゃねーから断言はできないが、本気じゃなかったか本気を出せない状態だったか」

兎角「…わたしと戦う前に負傷していた可能性もあるのか」

カイバ「三合会の楊、ロシアンマフィアのセルゲイ、ファミリーのルキアーノ…そいつが日本に来てから殺したのはそれなりに名の通った連中だ正直、神長とおまえを殺さなかった理由が手を抜いていた意外に思いつかんレベルだわな」

兎角「足止めと断言していたわたしの方はともかく、あの神長があれ相手によく生き延びたな」

カイバ「士別れて三日ならば、即ち更に刮目して相待つべしってな」

兎角「なんだそれ」

カイバ「人間、その気があるなら三日もありゃ化けるって話だよ。おまえさー三国志とか読んで…ないよなぁ」

兎角「悪かったな」

カイバ「何にせよ、黒組関係者がこうも巻き込まれてるってのはなかなか面白いとは思わないか?」

兎角「誰かが意図的に仕組んでいるとでもいうのか?」

カイバ「そうかもしれないし、ただの偶然かもしれない」

兎角「おい」

カイバ「俺は探偵じゃないんだぜ?かっこよく推理して真相を語るような事はできないし、する気もない…ま、教師として生徒に判断材料を提供する程度の事はするがなー」

兎角「本当に口だけはよく回るよなクソ教師」

カイバ「おまえさ、数時間で資料集めた先生にクソ教師はひどすぎやしないか?」

と、いうやりとりの後、生田目からだいたいの話を聞き、これ以上の襲撃は無いと見たわたしは午後の授業には出て放課後に晴と合流した
被害者の洲崎という娘の見舞いに行くらしいので一応護衛がてら付き合う事にする

クラスメイトの西野という娘を紹介されたが、もしかしたら初めてなんの裏事情もない一般人の娘と自己紹介を交わしたかもしれない
良い娘だけど、晴と同じで無防備で危なっかしい感じがする
実は、前から晴が紹介したがっていたが、東のアズマなんてものと一般人が接点を持つものではないと避けていたのだが
結局巻き込まれてしまったのだから仕方がないと自分を納得させる事にした

桐ヶ谷のほうは生田目に任せようと言ったら二人ともやけに素直に頷いた
こいつらならすぐに会いに行くとか良いかねないと思っていたのだが

晴「早く行こうよ兎角さーん」

西野「はるちゃーん走っちゃダメだよー」

兎角「西野の言う通りだぞ、病院で騒ぐな」

晴「もー二人とも心配じゃないの?!」

西野「うーん…すーちゃん殺してもしななそうだし」

兎角「…そうなのか、すごいなそいつ」

晴「…倒れた時は慌ててたくせにー」

西野「あの時はビックリしたけどー…多分、拾ったものでも食べたんだよきっと」

兎角「流石に高校生が拾い食いは…」

晴「…あはは」

兎角「おまえも否定しないんだな」

西野「ちょっと破天荒というか、変わってるんだすーちゃん」

兎角「…なんだか不安になってきたぞ、違う意味で」
晴「大丈夫だよ、怖くないよ!」

兎角「なぁ、晴…わたし達は入院したおまえのクラスメイトの見舞いに来てるんだよな?」

晴「んーと…この病室だよー」

?「あのー困りますから」

?「ちょっとくらい、いいじゃないのー♪」

兎角「……ここ病室だよな?」

西野「……二人とも、少し待っててもらってイイカナ?」

二人「!?」

~数分後~

西野「どうぞー」

晴「看護士さんすごい勢いで逃げていったけど…」

洲崎「おっす!皆の衆!」

兎角「なんだ、入院の原因は打撲か…リンチでもされたか」

西野「あははーそうみたいー」

晴(西野さん時々おっかないよぉ…)

洲崎「なんだよー王子夫妻は来てくれてないのかよー」

晴「柩ちゃんも倒れちゃって、今は別の病室にいるんだ。千足さんはそっちに行ってるよ」

洲崎「あいつら病室デートか!?けしからんな!…でそこのイケメンは晴のカレシ?」

兎角「わたしは女だ、まぁ一緒に棲んではいるが」

洲崎「OK、晴のカレシって事で記憶した」

晴「やだもーカレシだなんてー♪」

兎角(今なら言える、カイバ…17学園に残してくれてありがとう…おかげで毎日こいつと晴のテンションに振り回されずにすんだ)

晴「倒れたって聞いた時は心配したけど、元気そうで何よりだよー」

洲崎「うーん…よくわからないけど…かっちょいいおねーさんが助けてくれた気がした」

西野「なーにそれ?」

洲崎「あたしもよく覚えてないけど変な女に襲われてさ」

西野「襲われたの?」

洲崎「多分…死んでくださいとか言ってたし」

西野「すーちゃん、ついに殺されるくらい恨まれて…」

洲崎「いやいやいや!?あたしはみんなに好かれるクラスのアイドルだよ!?」

晴「それは」
西野「どうだろー」

洲崎「はっはっはー羨むのはわかるが素直に認めなさいよ」

兎角(なんかこいつなら死ななそうだから狙われたんだろうか)

洲崎「で、なんかされて気持ち悪くなったんだけどさー」

晴「何されたかわからなかったの?」

洲崎「出会い頭だったからねー…で、しばらく倒れてたとこになんかかっちょいいおねーさん来てさ」

西野「おねーさんに病院まで連れていって貰ったの?」

洲崎「いんや、なんか薬打たれた

兎角「おい」

洲崎「なんか、どくのちりょーはそくどがだいじだからとか言ってさあたしになんか薬打ってくれたらしい」

西野「夢でも見てたんじゃないのー?」

洲崎「そーかもしれない、その後ちょっとだけ気分良くなってすぐに救急車が到着して今に至る的な?」

晴「きのこ拾い食いして幻覚見たとかじゃないよね?」

西野「ありそー」

洲崎「失敬だな君たちは!?」

兎角(こいつが倒れて、病院に搬送された事を桐ヶ谷に伝えれば良いだけだったとしても…ここまで配慮してるのはなんなんだ?)

洲崎「カーレーシーなんか表情暗いぞー?」

兎角「うるさい、元からこんな顔だ」

洲崎「初対面の相手にキツいな!?」

兎角「初対面の相手にカレシとか言い出すやつに言われたくない」

晴「良かった仲良くなれたみたいで安心だよ」

西野「そーなの?」

晴「兎角さん嫌いな相手にはあんな反応しないから」

西野「へー」

晴「苦手なタイプだとは思うけどね」

西野「すーちゃん空気読めないからねー」

~十年前~

葛葉「言霊?あるよ」

ベラ「マジでか」

葛葉「あんたが思うてるもんじゃないけどな、あんたが今身を寄せてる組織も近いことしてるし」

ベラ「そうなん?」

葛葉「名前でなく番号で管理しとるでしょ、更に使えるようになったら毒草やらの名を与えて役割を縛る立派な言霊よこれ」

ベラ「へー」

葛葉「元から名前がある人間にはわからない感覚だけどな、名前無いと自我が希薄になるんよ」

ベラ「なるほど組織の駒として使うには都合がいいのか」

葛葉「そういう事」

ベラ「呪術も似たようなもんなの?」

葛葉「秘術以外はちょっとしたものの積み重ねだわね」

ベラ「ふーん…話は変わるけどさ」

葛葉「なーに?」

ベラ「あそこの飢えたハイエナみたいなガキ本当に使えんの?」

葛葉「いいでしょあの娘、世界の全部を憎んでる暗い目が最高」

ベラ「良い趣味してるわ」

葛葉「うちの性質上仲良し師弟関係なんて望めないもの…憎まれてるくらいがちょうど良いのよ」

ベラ「辛くない?」

葛葉「いや楽しいよ?本格的に憎まれるのはきっとこれからだし」

ベラ「あの娘にも刻むのか、それ」

葛葉「ある意味これこそが葛葉みたいなものだからね…これ見て平気なのはあんたくらいよ?」

ベラ「破術なんて役に立つ日がくるとは思わんかったけど使えるもんだね」

葛葉「マニアックなもの覚えてるなぁ、死ねば良いのに」

ベラ「ひっでー」

………

……



名無し「ボスー!ボスー!こんな所で寝てたら風邪引きますよ」

ベラ「んにゃ?」

名無し「最近、忙しいのわかりますけど寝るなら仮眠室行ってくださいよ」

ベラ「あー、うん、走りちゃんの事聞いたから変な夢みちまったわ…」

名無し「もーしっかりしてくださいよー、あたしがミョウジョウからの資料届けに来なかったら本当に風邪引いてたかもしれないですよ」

ベラ「だから悪かったって」

名無し「戦力外のあたしじゃ雑用くらいしかできないですけど、健康管理くらいは口出しますよ」

ベラ「んーー、いや…役に立つよ?」

名無し「え?」

ベラ「重要任務受ける気ある?」

名無し「は、はい!」

~とかはる自宅~

晴「どうしたの兎角?」

兎角「走りからメール来てたんだ、桐ヶ谷は大丈夫だと言ってるが生田目の話じゃ今日、明日に襲ってくる雰囲気じゃないから集まるのは明日に延期にしようってさ」

晴「柩ちゃん、本当に大丈夫かな…」

兎角「わたしにはどうとも言えないな」

晴「もう…」

兎角「あいつは金星祭の頃とは別人だ、生田目とああなって憑き物が落ちたようになっている…今の桐ヶ谷は剣持に毒を撃ち込めるかも怪しい」

晴「でも、それは悪い事じゃないんじゃ?」

兎角「人として生きるにはな…だが、今は枷になる可能性が高い」

晴「……」

兎角「わたしには自分の師から命を狙われる経験もないからあいつにかかる心労がどれほどか想像もつかないし」

晴「…わりと心配してるんだ?」

兎角「は?」

晴「やけに饒舌だから」

兎角「む、そうか?」

晴「うん」

兎角「そうなのか…」

晴(自覚ないんだ)

寝落ちして続き全部消してた…

晴「でも、それだと」

兎角「なんだ?」

晴「柩ちゃんって昔の友達に狙われてて、自分の手で決着をつけたいって言ってるんだよね?」

兎角「そうらしいな」

晴「兎角の話だと柩ちゃんは死にに行くようなものじゃない」

兎角「私が見た印象の桐ヶ谷のままならな」

晴「どうゆうこと?」

兎角「その知り合いは府抜けた桐ヶ谷を殺しても意味がないから今日の茶番を仕組んで活を入れるつもりだったんだろう」

晴「そんな事のために洲崎さんは」

兎角「そんな事だからわざわざ死なないように処置までしたんだろう」

晴「死ななければ済むって話じゃないと思うけど」

兎角「まぁ普通ならな」

晴「そんな言い方しなくたって!」

兎角「でもな、襲われた本人が気にしてないし」

晴「……うん、なんかごめん」

晴「ところでさ」

兎角「なんだ?」

晴「上着脱がないの?」

兎角「まだ、ちょっと寒いから」

晴「暖房も効いて汗かいてるよね?」

兎角「…あれだサウナ効果的な何かをだな」

晴「隠し事とかしないって約束したよね?」

兎角「いや、その、だな」

晴「いいから脱ごうか?」

兎角「…はい」


この後、滅茶苦茶説教された

~都内某所~

涼「まさか、おぬしに呼び出されるとは思わなんだ」

クリス「たまにはお誘いしないとネ」

涼「良いのか?わしと待ち合わせなぞして」

クリス「OK、OK問題ないヨー♪涼は中華はイケる方?」

涼「肉料理以外ならなんでもいけるが」

クリス「なら決まりデス、話はそこでしましょーカ」

涼「うむ」

クリス「ちょっと、歩きますけど良い店ヨ」

涼「そうか」

クリス「…ちょっとTELしますネ」

プルルルル

クリス「あ、どーも♪ワタシだよ♪…ちょっと虫の駆除をお願いしたいんですガ…OK、任せマース」

涼「…」

クリス「じゃ、行きまショー♪」

涼「ほう、地下にこんな店が」

クリス「なかなか良いデス、ちょっと分かり辛いのが難点デスが」

涼「ふむ、しかし客は多いみたいじゃの」

クリス「じょーれんさんデスヨー」

店員「これは、これはクリス様、奥の部屋が空いてますのでそちらへ」

クリス「OK、食事は肉使ってないものをテキトーに運んでくだサイ」

店員「かしこまりました」

涼「…」

クリス「どーしましタ?」

涼「三合会を敵に回したはずの人間が親しすぎではないか、とな」


クリス「シュトーはこっちの人間じゃないのでその辺は詮索しないほうが良いかもデスヨ?」

涼「…なるほど、了解じゃ」

言い訳しながらあのシスター殴っとけば良かったとか思う兎角さんであった

涼「ところで、飯に誘いたくて呼んだ訳ではないのじゃろ?」

クリス「Yes、シュトーに見てもらいたいものがありマス」

涼「ふむ……ふぉッ!?」

クリス「どう思いマス?」

涼「作業着のこーこちゃんかわいすぎじゃろ…」

クリス「いや、そうじゃナイ、そこじゃナイ」

涼「何処でこんなお宝を?」

クリス「聞いてないネ…」

涼「いや、すまん少しばかり興奮してしまった」

クリス「ナチュラルに写真、懐にしまってんじゃネーヨ」

涼「ダメか?!」

クリス「写真は後に出せば良かったヨ…」

涼「すまんすまん、こーこちゃん分をしばらく摂取していなかったのでな、ちょっとばかり取り乱してしまった」

クリス「おかげで、どうしていいかわからなカッタヨ…」

涼「で、お宝はこの手紙に添付されてたわけじゃな」

クリス「ソーデス」

涼「坊のとこの変なバイトに東の足止めを依頼されて、報酬として受け取ったのがこれか」

クリス「どー思いマス?」

涼「まぁ、胡散臭い内容じゃから写真でも添付してみたんじゃろうが…」

クリス「でも真顔でピースしてる写真ってどうなんデス」

涼「違うな」

クリス「?」

涼「微妙に照れておる」

クリス「それ、すごくどうでもイイ」

クリス「いやワタシが聞きたいの」
涼「こーこちゃんの意図じゃろ?」

クリス「そうデス」

涼「ま、ダチュラに拾われたが逃げるに逃げられず頼れるものもないんでおぬしに荒らしてもらって逃げる隙を作りたいとかそんなとこじゃろうが…バイト女は何故協力してるのかがわからなくなるか」

クリス「極東支部とダチュラはズブズブみたいデスからカミナガを匿ってるのをバラしたら混乱を起こせると考えたかもしれまセン…が、ワタシここの支部のバカとは仲良くないのでムダなんデスヨネ…この説もやっぱりあの女の意図がわからない」

涼「バイト女とやらは本当にダチュラの人間なのかの?」

クリス「ダチュラの連中がワタシが東と遊んでる間に彼女の友人襲撃したみたいデスからほぼ間違いナイかと」

涼「わしから坊に聞いてみるか?」

クリス「頼めマス?」

涼「仕方あるまい」

クリス「センキュー」

涼「じゃが、やつは今はカタギじゃから詳しく知ってるかはわからんぞ?」

クリス「ちょっとでもわかればジューブンデス」

涼「うむ、ならばよい明日中に聞いておこう」

クリス「後ひとつ…シュトーは、このパーティのお誘いは受けるべきだと思いマス?」

涼「おぬしをけしかけねばならぬほど切迫しておるようじゃからの…参加してこーこちゃんの安否を確認してもらいたいとこじゃな」

クリス「標的として狙う殺し屋に頼みますかソレ」

涼「お互い様じゃろ」

クリス「ソーデスネ」

涼「…しかし」

クリス「?」

涼「よい目をするようになったの」

クリス「黒組のカミナガと印象変わりマシタ?」

涼「少なくとも、東とやりあう前日の…逃げたくて仕方ないような、追い詰められた雰囲気は消えておる」

クリス「なるほど、黒組の頃のデータなんて役に立たない訳デス」

~香子自室~

香子「…もしもし、聞こえてるか?」

ベラ『あいよー、聞こえてるよー委員長ちゃんのかわいい声が』

香子「どうやら大丈夫のようだな」

ベラ『クールだねー、秘匿通信だから盗聴される心配もなし、そっちの監視は大丈夫だよね?』

香子「逃げる手段がないと高を括っているのか、幸い監視は弛い…外部との接触は厳しいが」

ベラ『まー、あれが仲介役になるなんて思ってもいなかっただろうしね』

香子「あの桐ヶ谷人形持ったのはなんなんだ?」

ベラ『ちょっと頭のイカれたロリ子の元部下かな』

香子「なんだロリ子って…いや、いい、わかった」

ベラ『いいあだ名だろ?』

香子「趣味が悪いな、ところであの娘を経由して渡したアレなんだが」

ベラ『大丈夫、本人に直接わたしたよん』

香子「そうかすまない、感謝する」

ベラ『いいって事よー、ところでさ』

香子「なんだ?」

ベラ『あれはガチなん?』

香子「私に依頼された爆弾の用途がどうもアレを爆破するためのものらしいのと、あのワカメ頭がわりと友好的でいらない事まで教えてくれた」

ベラ『なるほどね、まー委員長ちゃんはワカメの好みにどストライクだから』

香子「……迷惑な話だな…」

ベラ『あと少しの辛抱だから我慢してね』

香子「衣食住に不自由せずにいられるのだから多少の不満は我慢できる」

ベラ『泣けるねぇ』

香子「ところで」

ベラ『なーに?』

香子「何やらそちらから私達の声が聞こえるのだが?」

ベラ『そだね、黒組の授業とか盗撮したやつ見てるし』

香子「どういう事だ?」

ベラ『資料だよ、ちょっとした』

香子「監視されているとは思ってはいたが、授業中も盗撮されていたのか…」

ベラ『実験室のフラスコみたいなもんだからね、あそこ』

香子「そうなのか?…いや、まぁそうなのか」

ベラ『なかなか異常な感じで楽しいわーこれ』

香子「異常?私が在席してた頃には特におかしな事はなかっただろう?」

ベラ『うん、わりと普通に授業してる』

香子「なら、問題は」

ベラ『でも、それが異常なんだよねー』

香子「…ああ、そうか」

ベラ『一部除いて演技じゃないよこれ、普通に学生生活楽しんでる…殺し合いしようってのにさ』

香子「だが、担任に気づかれてはいけないルールがある以上仕方ないような気もするが」

ベラ『そうかなぁ?』

香子「何が言いたい?」

ベラ『委員長ちゃんが早期退場したのってこの空気に毒され始めたのが怖くなったからかなー?とかさ』

香子「切るぞ?」

ベラ『あら図星?』

香子「…当たらずとも遠からず。とだけ言っておく」

ベラ『一応答えてくれるあたり、ほんと真面目だよねー好きになるわ』

香子「私は嫌いになりそうだ」

ベラ『嫌わないでよー』

香子(なんで私が出会う人は変人ばかりなんだろうか…)」

香子「ところで」

ベラ「なんだい?」

香子「わざわざ私と通信できるようにしたのは何故だ?彼女が警戒されていないのなら今まで通りでもいいはずだ」

ベラ「あいつを頻繁に行き来させたら流石にヤバイっしょ」

香子「そんなにやり取りするような事がこれ以上あるのか?」

ベラ「ワカメの動向は知りたいしね、後ろで糸引いてるヤツもそろそろ尻尾出す頃だろうし」

香子「やつを動かしてるのは組織ではないのか」

ベラ「ぶっちゃけダチュラとしてはもう壊れた人形に興味はないんだ、柩が派閥に所属してないのが逆に幸いしてろくな情報持ってないから」

香子「なんで組織はあれを止めない?」

ベラ「一応、裏切者を始末するのは筋が通ってるしね…後、ワカメはダチュラの有力者の孫でね」

香子「あの妙に尊大な態度はそれか」

ベラ「暗殺ギルドの粛正部隊長のくせに偉そうにしてるのは滑稽だけどね」

香子「違いない」

ベラ『あら意外、こういうのにはノッてこないタイプだと思ってた』

香子「私だって人間だ、気に入らんやつの一人や二人くらいはいる、特にあれはことあるごとに私のとこに来て偉そうに自慢話したり、くだらない愚痴をヒステリックに言うだけ言って帰るんだぞ…」

ベラ『それ…私なら殴るわ、鈍器で』

・?さん
名前が決まってない(笑)
乙哉の上司でキャリア組だったのに余計な事を知ったせいで貧乏くじひきまくりなおねーさん
隠密同心ばりのブラック環境で日夜がんばっている
武智を道具扱いするが自分も似たような立場なんでわりと甘い


・切り裂きジャックフリークの女
まんじ屋で流れたニュースで射殺扱いされた娘
切り裂きジャックの名前を汚した!と武智を出所させて殺そうとしたが返り討ちに

乙哉「殺しは楽しまなきゃダメだよ、アンタつまらなそうだから論外」

だそうで

香子とベラが話しているのと同じ頃

~ダチュラ薬物研究施設地下~

オブト「で、どーなのさドクター?」

博士「調整は順調です、しかし」

オブト「なんだい?」

博士「戦闘力に特化したもので反動か知性のほうが…」

オブト「セキュリティはかかっているんだろ?」

博士「はい、あなただけは攻撃しないようにはなっています…ですが他の方々は」

オブト「あはははは!なぁんだ問題ないよ!いいよそれで!」

博士「しかし…」

オブト「ドクターだって自分の生み出した怪物がかの東のアズマをぶち殺したとか成果が欲しいだろ?正直になろうぜ」

博士「…実戦データはこれからのために必要になりますからね喉から手が出るほど欲しい」

オブト「そうそう、それでいいのさ、これはさ復讐でもあるんだからさやる気出していこうぜ?」

博士「復讐?」

オブト「僕や君を軽視した愚かなやつらへの復讐さ」

博士「では…あれは本当なのですか」

オブト「そうだよ?ダチュラを潰して高飛びしようぜ兄弟」

~鳰自室~

鳰「はいはーいいつもニコニコ諜報活動、走り鳰ッスよー」

涼『久しいの、走り』

鳰「いやー首藤さんから連絡くれるなんて珍しい事もあるもんスね」

涼『旧交を暖めるのも良いのじゃが、そちらも時間があるわけでもなかろう?』

鳰「…えーっと、どこまで知ってます?」

涼『実のところ、ほとんど知らん』

鳰「いやいやいや!なんスかそれ!?」

涼『ボケたわけではないぞ、わしは部外者にすぎん』

鳰「部外者のわりに何やら御存知のよーですが?」

涼『所詮、又聞き程度じゃ…じゃが、そちらの知らない事を知っとるかもしれん』

鳰「ほっほーう?」

涼『とりあえず明日時間はあるかの?そこで話たい事があるんじゃが』

鳰「んー………時間はこちらから指定しても?」

涼『かまわん』

鳰「んじゃ、後で待ち合わせ場所も合わせてメールするッス」

涼『うむ』

鳰「ところで」

涼『後ろで谷村新司熱唱してるおねーさんはなんなんスか?』

涼『今、カラオケBOXでな知り合いがマイクを離さん』

乙哉「電話終わったー?」

鳰「武智さーん、人の部屋で寛がないでくれます?」

乙哉「いーじゃーん、一仕事終えて疲れてるんだよ?」

鳰「こちとら現在進行形でお仕事ッスよちくしょーめ」

乙哉「あははー大変だねー同情するよ」

鳰「労る心があるならプチメロ買ってきて」

乙哉「いやでーす」

鳰「幻術かけるのと、自主的にパシられるの好き方を選ぶッス」

乙哉「やめてマジやめて」




乙哉「労いの気持ちを込めてチョコチップメロンパン買ってきた」

鳰「お疲れー」

乙哉「でさ、なんで黒組同窓会になりかけてんのこれ?」

鳰「ウチが聞きてーッスよ話を総合すると春紀さん以外絡んでるみたいだし…」

乙哉「しえなちゃんも絡んでるの?」

鳰「…」

乙哉「…」

鳰「アハッ」

乙哉「あたしのしえなちゃん忘れてたな!?」

鳰「まー剣持さんは絡まないほうがいいんじゃないスかねー」

乙哉「おーい目を見てー?」

鳰「いやほんと、あの人にはある意味、因縁の相手ッスからねダチュラは」

乙哉「そーいや桐ヶ谷ちゃんの元の職場かぁ」ウフフ

鳰「悪そうな顔してんなー」

乙哉「やだなー、しえなちゃんの恨みを復讐代行してあげるだけだよー?桐ヶ谷ちゃんを送り込んだ組織にね」

鳰「ヤル気なのは何よりですが…乙哉さんは遊撃兵なんスからあんまり目立たれても困るッスよ?」

乙哉「えー」

鳰「アンタは貴重な容赦なく相手を殺れる戦力なんだから一緒に裏方がんばってもらうッスよ」

乙哉「仕方ないなー…ま、お仕事だし仕方ないか」

>>347の最後の行
乙哉「つまんないなー…ま、お仕事だから仕方ないか」

です


もっとテンポよく進めたい
何故かおばあちゃんの出番が増えていく不思議

実はマライア→ホイットニー→谷村新司という謎の流れに鳰がつっこむというのやろうか悩んだけどやめた、多分やめてよかった

蚊帳の外なしえなちゃんですが出番はあるのかないのか

柩「みなさんこんにちわ、最終エピに入ってからいまいち目立てない桐ヶ谷柩です。スレタイ詐欺とか言われてないか不安で夜は千足さんに添い寝してもらわないと眠れません」

鳰「なにやってんスか、それに添い寝は好きでやってるじゃないスか…」

柩「あ、走りさんこんにちわ、なんだか千足さんに余計な事吹き込んでくれたそうですね?」

鳰「怖い怖い怖い!」

柩「やだなぁ、今のぼくは無害な人間ですよ?西の葛葉に勝てるわけないじゃないですか…」

鳰「いやいやいや!こういうメタ時空じゃウチ絶対勝てない役回りじゃないスか?!」

柩「うふふふふ、大丈夫痛くしないよう努力しますから」

鳰「あー!いやー!?やめてアホ毛だけは!アホ毛だけはー!」

柩「ふぅ……いい汗かきました」

鳰「うぅ…もう、お嫁にいけにゃい…」

柩「はい、そこ泣いたふりしない」

鳰「いやわりとマジ泣きたいくらいの事されたッスよ?」

柩「知りませーん」

鳰「ま、いいッス…エントラもどきとねーさん相手にタイマン2連戦とかヤバイイベント控えてますからね。少しくらいサンドバッグになってやるッスよ、ウチできる女なんで」

柩「やさしさになみだがでそうです」 (棒読み)

鳰「はいはいありがとーございます、ところで何故この二人かと言いますと」

柩「首藤さんとの待ち合わせにぼくも引っ張りだされたからです」

鳰「ダチュラの内部知ってる人間がいたほうがスムーズに話が進みますからね、適材適所ッス」

柩「名付けて仮病インフルコンビです」

鳰「インフル便利ッスよねー感染防止のために一週間休める!!」

柩「いや授業遅れるから大変なんですよ?ほんと」

鳰「あははー、ウチほとんど寝てるからかんけーねえッス」

柩「今の発言は理事長に報告しますね」

鳰「やめて!!!!!」

柩「そろそろ本編に戻りますか」

鳰「そっスね」

柩「そういえば、聞いてみたい事が」

鳰「なんかありましたっけ?」

柩「昔の先輩の話」

鳰「あー…つまんない話ッスよ?ほんの少しの間ですし」

柩「かまいませんよ」

鳰「うー…じゃ、ちょっとだけ」

~10年前~
ベラ「はーはーはー」

鳰「……これ、殺していい?」

葛葉「やめなさい」

鳰「なぜ?」

葛葉「それ私のだから」

鳰「………はい」

ベラ「いや、あんたのじゃねーし」

葛葉「その調子なら大丈夫ね、おーい鳰!飯の準備しといてー」

鳰「…はい」

ベラ「…西の葛葉さんにしては優しすぎやしませんかね」

葛葉「[ピーーー]価値ないからね」

ベラ「ぐはっ!ひっで!私ひどく傷つきましたよ?!」

葛葉「あはは、冗談だよ。私に正面からケンカ売ってくるバカなんて貴重だからさ…うれしいんだよね」

ベラ「バカですみませんねー」

葛葉「バカでいいじゃない?おかげで命拾えてんだから」

鳰「…ご飯」

葛葉「ありがと、鳰はできる娘だねぇ…って自分の皿に野菜入ってないのはどうしてかな?」

鳰「…嫌い、だから?」

葛葉「あんたねぇ、食べないと大きくなれないよ?」

鳰「…いい」

葛葉「あー、もう!いいから食え!!」ガバッ

鳰「うにゃあ!?」

鳰「…うー」

葛葉「ダメよ、睨んでも克服するまで毎日食わすからね」

鳰「…鬼」

葛葉「鬼でけっこう、西の看板背負ってるからね悪鬼羅刹と呼ばれるくらいじゃないとね」

鳰「……そういえば」

葛葉「何?」

鳰「…あれはいつまで飼っておくの?」

葛葉「ペットじゃないからねアレは、甲賀の外法使いってレアな生き物なんだから」

ベラ「キコエテンゾー!メシヨコセー!」

鳰「…げほーつかい?」

葛葉「忍術使いのほうがわかりやすいかな?要はさ」

葛葉「忍者になれなかった半端な存在って事」

キリがいいのでこのへんで

ちなみに鳰の三下しゃべりはめーちゃんの下についてから
つまり「走り」を名乗りだしてから

鳰「半端者…生きてるなら飯食うか」

ベラ「覚えたての言葉使いたくて仕方ないのかよ、がきんちょ」

鳰「…じゃあこれはいらない、ね」

ベラ「待て、待ちなさいって!」

鳰「…なに?」

ベラ「それ、欲しいなー」

鳰「…ください」

ベラ「は?」

鳰「お願いしますからください、って言えたら考えてあげる」

ベラ「あのさー」

鳰「5、4、3…」

ベラ「葛葉のかわいいお嬢さん、それを無様な私めに食べさせてくださいませんか?……これでいい」

鳰「…ま、いいか」

ベラ「おにょれ…体さえ動けば…」

ベラ「料理うまいなあんたら」

鳰「…そう?」

ベラ「見た目雑なわりにすげーうまい」

鳰「…誉めてるの?」

ベラ「誉めてるよ、おかわり欲しいレベルで」

鳰「…ないよ」

ベラ「だよねー」

鳰「…ちょっと聞いていい?」

ベラ「何さ?」

鳰「…弱いくせになんでケンカ売るの?」

ベラ「名を取り戻すため…だったんだけどねーダメだわ、甲賀や伊賀忍軍さえ残ってたら葛葉や東なんぞに最強の座なんてやらなかったとか思ってたんだけど」

鳰「…忍者になれなかったくせに」

ベラ「そりゃなれりゃなってたさ」

鳰「…修行投げ出したとかじゃない?」

ベラ「いや違うよ、なれないのよ全ての口伝が残ってたらまだ希望はあったんだけどねー」

鳰「…技術が残ってないの?」

ベラ「徳川と服部半蔵ちゃんに滅ぼされたからうちと伊賀の里は太平の世には不要だってね」

鳰「…」

ベラ「逃げ回りながら一族の秘伝的な術を細々と伝えるのが精一杯でさ…まぁ残りカスみたいなもんよ私は」

鳰「…馬鹿なの?そんなのが師匠に勝てるわけない」

ベラ「まぁ大馬鹿だよね、私の秘伝に破術があったからこれあれば呪術くらいには勝てるとか思ってたわけだし」

鳰「なら、さっさと帰ればいいのに」

ベラ「いやー、これくらいしっかり負けとかないとさ諦めつかないじゃん?」

鳰「師匠の気まぐれがなければ死んでたのに、なんでヘラヘラ笑えるの?」

ベラ(何?こいつ)

鳰「ウチには、わからない無駄な事をするおまえも、師匠の考えも」

ベラ「まさか…妬いてんの?」

鳰「…よく、わから、ない」

ベラ(こいつ…もう少しここで遊んでくのもいいかもな…ダチュラの仕事はあいつらに任せときゃいいや)

蜘蛛「病室を抜け出したのか」


屋上で黄昏てる私のところに蜘蛛の姐さんがやってきた
ほとんど完治してるのに病室にいるのは退屈だから仕方ない

ベラ「いやー暇なもんで…」

蜘蛛「ふむ、今回は目元を変えてきたか別人になるのもほどほどにしておけ、看護士が混乱していたぞ?」

まぁ患者が消えたらそりゃ焦るか
いもしないはずの患者が増えても気づかれないのに

蜘蛛「ところで」

ベラ「なんです?」

蜘蛛「退院したらどうするつもりだ?あんな事もあった後だ、抜けるなら今のうちだと思うが」

ベラ「あ、諜報部のほうから誘われてるんで受けるつもりです」

蜘蛛「いいのか?」

ベラ「こう見えて私、義理堅いんすよ?まず姐さんに助けられた恩を返さないと」

蜘蛛「たまたま、生存者を拾っただけだ助かったのはおまえの天運だよ」

ベラ「だとしてもです」

蜘蛛「いつも滋賀の方を見てふて腐れてるのもその性格ゆえと言ったところか」

ベラ「…ただの感傷ですよ」

蜘蛛「ところで最近、葛葉で面白い動きがあってな」

ベラ「……なんです?」

蜘蛛「あそこは血筋にこだわらず素質のある子供を集めて殺しあわせてより良いものを後継者に選び出すという…のは知っているな?」

ベラ「いや、初耳ですよそんなの」

蜘蛛「葛葉の友人からは聞いてないのか」

ベラ「あの人とはお互い深いとこには踏み込まないのが約束でしてね」

蜘蛛「ふむ、とにかく蠱毒を作るように何度もそれを繰り返し生き残った者がようやく技能を伝授される訳なのだか」

あの人が無理に恨まれようとしてたのはそれか
なんか空回りしてたけど

蜘蛛「今回は早期で打ち切られたらしい」

ベラ「どういう事です?」

蜘蛛「簡単な話だ。一部の後継者候補が圧倒的すぎて繰り返すのが無駄だと判断された」

ベラ「天賦の才ってやつですか?」

蜘蛛「一人はな、選ばれたのは二人いてもう一人は一足先にすでに呪印まで彫られた変わり種だったのも大きいみたいだが」

ベラ「反則な気味なやつもいたもんですねー」

蜘蛛「ちなみに後者はおまえの知り合いだ」

ベラ「は?」

いやいやあの人何やったんだ
先走るにもほどがあるだろ

蜘蛛「葛葉の呪印伝承と師匠殺し、これだけで資格は充分なんだがその娘は自ら殺しあいに参加して自分の組の人間を皆殺しにしたそうだ」

ベラ「それはすげえっすね」

あー、がきんちょ
あの無表情なまま泣くこともできないでいるんだろうな
ごめんな
最後に姉さんなんて呼んでくれたのになんもしてやれねーで

蜘蛛「…大丈夫か?」

ベラ「大丈夫ですよ、あの姐さん」

蜘蛛「なんだ?」

ベラ「あのがきんちょが本当に師匠殺ししたんですかね?」

蜘蛛「何故、私が知っていると思う?」

ベラ「ダメ元で聞いてみただけです、なんとなく知っていそうなんで」

蜘蛛「流石に山奥で修練を積んでいる人間の事など知り得ぬよ」

ベラ「ですよねー」

蜘蛛「ただ」

ベラ「なんです?」

蜘蛛「おまえが山にいた頃に師弟二人以外の人間はいたか?」

ベラ「いや、いませんでしたよ?」

蜘蛛「あくまで聞き齧り程度の話だから話半分くらいできいてくれ」

蜘蛛姐さんの話によると

葛葉の呪印はまさに葛葉そのものと言えるものでそれを刻む時にはそれこそ術者の命を削る作業になるという事
それゆえ葛葉の呪印を刻む際は高位の術者が交代しながら三日三晩かけて呪いとともに刺青を刻むという事
中には儀式の最中に死んでしまう者もいるそうで、まず一人で行う事はないらしい

もし、彼女が一人でそれをやったとしたらがきんちょに殺されるまでもなく死んでいる可能性が高いそうだ

命を捨て、禁忌を犯してまで何故それをやったかは私にはわからないしあんまりわかりたくもない

あんたが好きだったのは鳰なのか鳰の才能だったのか
いつか地獄であったら聞いてみたいもんだ

~side 鳰~

何が起こったのかわからなかった
というかここ数日の記憶がなかった
ただ義母さんに縛り付けられてすごく痛い事をされたのは覚えている
喉が枯れるくらい泣き叫んだのは多分生まれて初めてだった

まぁそんな事はどうでもいい

それよりもウチの手に握られた血塗れの短刀と

微笑みながら死んでいる
痩せこけて、白髪になっている義母さんによく似た肉塊は何なのか、だ

指が石のように固くて短刀を離せない

足も棒みたいに動かない

こまったなお腹すいたのにこれじゃ準備もできない

義母さんとご飯食べなきゃいけないのに


「なんや【鳥】さん帰ってこない思うたら死んでるやん」

急に背後から声がした
ゆっくり振り返ると
和服の少女がいた
何が面白くてニコニコ笑ってるかわからないけど
怖いというか危険なやつだというのはすぐにわかった

「ま、仕事はきっちりしたみたいやなぁ…先走るにも程があるけど…」

なめ回すように上から下までウチの体を見てきた
そこでようやく自分が裸である事に気付いた
あと、なんか体に模様がついてる
なんだろ、これ?

「名前は?」

ぼんやりしてたら顔を覗き込みながら話かけられた

「…に、お」

「におねぇ…鳰?なるほど滋賀で鳰か!うまいなぁ~、いい感じに濁ったいい目しとるし」

何をはしゃいでるんだろ
すごくうざい

「じゃ、行こか?」

「え?」

「葛葉の里よ、あんたが次の【鳥】になれるか試さんと」

葛葉の里か
里になら義母さんがいるかもしれない
ウチは【龍】と名乗った少女について葛葉の里に行くことにした

義母さんの死を受け入れるのはこれから一年後くらい先になる

鳰編はこの編で
脱線が楽しすぎて困る…誰か使いたい人いたら書いて(笑)

葛葉頭領【四獣】

葛葉 玄武
四十近いおっさん
過去に空身さんに両目潰されて盲目になったがそれ以来呪術の実力は上がったらしい
復讐の為に腕を磨いてたら空身さんがすぐに亡くなってしまい里から出なくなった
頭部から上半身に黒い玄武の刺青


葛葉 龍華
関西弁ロリBBA
和服に隠して呪符大量に持ち歩いてる
現リーダー
背中に青い龍の刺青

葛葉 虎斗
褐色貧乳格闘系
呪印の刺青は白い虎で興奮状態になると全身に浮き上がるタイプ
催眠や精神操作を自らに施すことで戦闘力が跳ね上げるバーサーカー

【鳥】は現在欠番

~幕間~

柩「回想半分くらい乗っ取られてましたね」

鳰「お互いの描写が薄いのはすっかり忘れてたからというのがありまして」

柩「へー」

鳰「姉さんは姉さんでウチがミョウジョウに暗殺に行って死んだと思ってたからッスからね!死んだ人間の事うじうじなやまないだけなんスからね!?」

柩「わりと忘れられてたの気にしてたんですね」

鳰「理事長に仕えたのはプライマーだからって見逃してもらってるけど非公式死合で兎角さんに負けたのバレたら龍ちゃん以外はキレて殴り込んでこないか心配ッスね」

柩「あ、話を反らした」

鳰「【虎】は殺しの天才だけど基本バカなんでいじりがいがあるキャラかもしれないッスね」

柩「そういうの今の話終わらせたてから話してくださいね」

鳰「桐ヶ谷の誕生日あたりに終わる予定だった頃が懐かしいッスね」

涼「そろそろ出待ちにも飽きてきたのじゃが」

柩「すいません後でPしておきますから許してあげてください」

~まんじ屋地下~

涼「ほう、こんなところがあったとは」

店長「涼さんは普通の客としてしか来た事ないから仕方ないさ」

涼「普通、甘味処で密談なんぞせんからのう」

店長「まったくだ、どこで聞き付けてくるのか最近頻繁に使いって言われてなぁ」

涼「便利に使われるくらいなら高い使用料ふっかけてってやればよかろう」

店長「それもそうか」

涼「まぁ、明日以後にな」

店長「涼さんからは取らねえって」

年度末だからって仕事入れすぎだと思うの
とか愚痴らずに続き、続き

涼「元気そうで何よりじゃな、二人とも」

鳰「あ、お久しぶりッス」

柩「お久しぶりです、首藤さん」

涼「うむ、桐ヶ谷も無事でよかった」

柩「首藤さんにはお世話になったんで生きてる事だけでも伝えようと思ってたんですが、その、すいません」

涼「連絡先教えるような状況でもなかったからの、仕方ない」

鳰「ま、ほとぼりが冷めるまで死人やっといてくれって頼んだのもありますんで」

涼「組織柄みというのはどこもややこしくていかんの」

柩「結局、こんな事態になっちゃいましたしね」

鳰「毒薬ギルドなんて一枚岩なわけないのに油断してたこっちの落ち度もあるんで申し訳ないッス」

涼「今日はやけにしおらしいではないか?走りよ」

鳰「ウチらがしっかり見とけばいくつかは防げた事もありますからねー。ダチュラの名前を昔に聞いてたの忘れてたのが特に致命的で」

柩「幼少の頃の記憶なんて曖昧なのは仕方ないです、幸い犠牲は…出てましたね赤の他人とはいえ」

鳰「幹部の人は同情できないッス、けど住人皆殺しはやりすぎッスよ」

涼「やはり、あの事件もこれに絡んでおったのか」

鳰「最近、東京近辺で起きてる殺しはだいたいこの件に繋がると見てもらっても間違いないと思うッスよ」

涼「確かにな、こーこちゃんも絡んでるとなればそうなるかの」

柩「神長さんが?」

鳰「やっぱり、そうなんスか」

涼「詳しく話せないのじゃが、ある人物からこれを見せてもらっての」

柩「…チケットに手紙?」

鳰「なんかぶっそうなラブレターッスね…殺しにきてみろとか本当に神長さんが書いたんスか?これ」

涼「まぁ、それを貰ったのはホームの関係者じゃ」

鳰「ダチュラとクローバーホームって裏で手を組んでるって話みたいですけど?マジなんスか?」

涼「ダチュラが自分を匿ってるのがわかればホームの介入で計画を潰せるし、そいつが単身でこーこちゃんを殺しに乗り込んで騒ぎを起こしてくれても逃げるチャンスも生まれると考えた…かもしれん」

鳰「状態を察するに、神長さん軟禁状態で爆弾作りやらされてるんじゃないんスか?なんでこんな手紙を」

涼「妙な女が手引きしたらしい」

柩「妙な」
鳰「女ねぇ…」

涼「どうした?」

柩「絶対先輩ですよね?」

鳰「同じ事考えてたッス」

涼「二人の知り合いか?」

鳰「ええ、ウチは一年未満のお付き合いしかないッスけど」

柩「ぼくの元上司というか、なんというか…」

涼「こういう事をしそうな人物なのかの?」

柩「ええ多分、それは楽しそうにやると思います」

鳰「あの人、本当に何がやりたいのかわからねーッスよ…」

涼「なんか難儀な人物のようじゃのう」

柩「…ぼくとのけじめをつけるためと、ついでにあの海藻頭を始末する気とかならなんとか…つながるかも」

鳰「海藻頭?」

柩「マンション皆殺しの犯人ですよ」

涼「話が見んので説明してもらっても良いかの?」

鳰「ウチも初めて聞いた話なんでくわしく」

柩「うちには裏切り者を粛正するための部隊がいるんですけど、そのトップが海藻みたいな髪の毛したサソリって男で」

鳰「姉さんの上司なんスか?」

柩「いえ、先輩は諜報部の末席でダラダラしてます」

鳰「そうなんスか」

柩「走りさんの聞いた事件以来あんまりやる気出してないみたいで、ぼくも先輩にお世話にはなってますけど基本的には実行部隊に籍がありました」

涼「なんで、その末席の人間が粛正部隊と動いているんじゃ?」

柩「そこまではわかりません、けどぼくの部下だった子がエンゼルトランペットの名を継ごうとして動いているのでその後見人にでもなったか、ぼくとの仲もあるので海藻頭にかり出されたか…」

鳰「表向きはそんな感じなんスかね」

柩「実際は、ぼくの予想ですけど蠍のやり方は流石にやり過ぎですからね…元上司とかなんとか言って無理矢理入り込んで彼らを潰すつもりなんじゃないかと」

鳰「桐ヶ谷さんを殺すってのはフェイクっスかね?」
柩「…わかりません、ただ千足さんの話だと冗談のような語り口でも目が真面目だったそうなので本気で殺しにくる覚悟はしておかないとダメな気はしてます」

鳰「首藤さんの言う通り本当に難儀な相手ッスねぇ」

涼「ふむ、これではこーこちゃんのフォローを頼むのも難しいかの」

柩「無理ですかね?」

鳰「なんでウチを見ますか?」

涼「桐ヶ谷はその先輩とやらの相手で手一杯じゃからな」

鳰「えー、つか罠とわかってる逃げ場の限定された船とかありえなくないッスか?まとめて毒殺とかシャレにならないッスよ?」

柩「それは大丈夫です」

涼「ほう?」

鳰「あっさり言い切るッスねー、根拠は?」

柩「相手が蠍なんで、そういう殺し方はしないんです。先輩がメインだったら船には行かない方がいいんですけど、彼の場合ある程度付き合ってあげた方が付け入るのは楽なんです」

鳰「楽な殺し方はしないって」

柩「裏で出回ってるダチュラの殺人ムービーって知ってます?」

鳰「あー」

涼「噂には聞いた事がある、薬の実験にされて死んでいく子供やら、子供同士の殺し合いやら流してというあれか」

柩「これを始めたのがダチュラの上位幹部である彼の祖父だそうで、彼自身もそういうのを好む傾向にあります。ですから」

鳰「桐ヶ谷さんと生田目さんあたりは公開処刑したいとかそんなとこッスか?」

柩「多分、晴さんも入ってると思います。依頼主がイカれてるって聞いてますから…黒組の時も殺す時に余裕があったら映像に記録しろとか言われてました」

鳰「あんたも姉さんも、ようそんな組織にいれたッスね…」

柩「物心ついた時にはいたんで、今考えたらゾッとしますけど」

涼「苦労したのぅ」

柩「急に頭なでないでください」

涼「ああ、すまんつい」

柩「こほん、それにデメリットばっかりじゃないんですこの話」

涼「ほう」

柩「蠍は裏切り者の死体は直接確認しないと気がすまないタイプなんで、必ず出てくるという事と…限定された空間に先輩がいるのがわかってる方が対策も立てやすいんです」

鳰「あー姉さんが街の通行人に化けて奇襲してくるよりはマシかもしれないッスね……」

柩「あの人が本気なら入院中に何回…何千回殺すチャンスがあったかとか考えたら寒気もおきますよ」

鳰「看護士さんと何度か入れ替わってたらしいッスね」

柩「千足さんのとこにだけ顔だしてたみたいですけど、あの頃のぼくなら余裕で殺せたはずです」

鳰「本当に厄介な相手ッスね、あの人」

涼「桐ヶ谷、勝算はあるのか?おぬしの手の内も知っていて、かつどんな姿でくるかもわからない相手に」

柩「ゼロではないとしか言えないです…あの人が知らない今のぼくだけにできる事、そこに勝機があると思っています」

鳰「いやいや!そんな根拠薄い状態で姉さんとやりあうなんてあり得ないッスよ!?」

涼「走りよ、そりゃ本人の方がわかってるじゃろ」

柩「ええ、でも向こうが舞台整えて勝てるかもしれない状況まで作ってくれた上で誘ってきてますから」

鳰「その舞台、罠だらけじゃないッスか」

柩「先輩なら仕掛けてくるでしょうね、でも」


柩「相手の掌で踊りつつ、油断したところで横っ面に一発かますにはかえっていいかもしれませんよ?」

待たせて申し訳ないけど
まだ風呂敷畳むための前ふり作業続きます

~とあるビルの屋上~

名無し「首藤さんが出てきましたー、やっぱり接触したみたいですよ」

ベラ『おー、予定通りいけそうじゃないこれ』

名無し「裏から走り…さんとエントラじゃなくて柩さんも出てきました。確定ですねー」

ベラ『わりと賭けだったけど、流石首藤ちゃんは期待を裏切らん人だったわ』

名無し「だいたい計画が雑すぎるんですよ」

ベラ『知るか!あの馬鹿が適当すぎるんだよ!フォローする身にもなれって話よ』

名無し「今までよく機能してましたね蠍」

ベラ『下が苦労してんのよ』

名無し「あー」

ベラ『含みのありそうな「あー」だなおい』

名無し「ソンナコトナイデス」

ベラ「おまえ、今度おしおきな」

名無し「ひどい」

ベラ『まー、口には気をつけようって事で』

名無し「うぃーっす…ところで」

ベラ『なんぞ?』

名無し「あたしでいいんですか?走りさんに見つかったら全部バレちゃいますよ」

ベラ『だから大丈夫なんよ、あいつこういう不合理な手とかに案外弱いから』

名無し「そうなんですかー」

ベラ『情報の大切さを知ってるあいつにしてみればおまえを使うなんて悪手を打つなんて発想が出ない…ロリ子がおまえがまだミョウジョウにいるの気づかれたらヤバかったけどな』

名無し「なるほどー意外に頭かたいんですねお姉様って」

ベラ『おい』

名無し「はい?」

ベラ『なんか今、不穏当な発言を聞いたような』

名無し「あ、あはは…」

ベラ『おまえ、何やられたんだよ!?』

~幕張 剣持家~

武智が仕事があると言ってからもう一月くらい連絡がない
いや、そういうやつだよなあいつはなんかくやしいのでこっちからは連絡しない

「組織のほうからのメールもなしか…ん?」

あのバカ!なんで端末じゃなくてPCにメール送ってきてんだよ!?
あー!くそっ!こういうツッコミもわかってて画面の向こうでニヤニヤしてんだろあのシリアルキラー!
開けてみれば「これ見たら電話ちょーだい」の一文だけとかふざけてんのか!いや、ふざけてんだろうな…うん冷静になろうなボク
たかがメール一つで慌てすぎだ

無視してやろうか?
いや、ここは普通に対応して余裕を見せてやったほうがいいな

なんか番号違うような気がするけど機種変でもしたんだろうか?

とりあえず電話をかけてみると

「…もしもし」

『あれ?剣持さんお久しぶりッス』

…あのポニテいつかぶん殴る

いたずらかと思ったら走り自身は本当にボクに用があったらしい

鳰『…という訳なんスけど、聞こえてます?』

しえな「聞こえてる、おまえの後ろで笑い転げてるバカの声までしっかりと、な」

鳰『すいませんねぇ出たのがウチで』

しえな「いいから、それはもういいから!」

くそ!走りまでニヤニヤしてんのがわかるぞ!いじめか!?新しい趣向のいじめだな!

鳰『まぁ全部終わったら武智さんは好きにしていいんで、バイトのほうはお願いできます?』

しえな「ところでボクである必要はあるのか?それ」

鳰『依頼主からのご指名ッス』

しえな「依頼主ねぇ…」

~東京都とある建築現場~

春紀「あの、何かあったんですか?」

職長「寒河江、まぁ座れ少し話そう」

こういう仕事にはよくある話だけど
現場仕事はよほど大口のものでもない限り一ヶ所に留まる事はないらしい
うちのような零細企業は特に仕事があれば県外でもなんでも出かけて稼がなければやっていけないというのが現実だ

職長「ここでの仕事ももうすぐ終わりだ」

春紀「そうですね」

職長「実は大口の仕事が入ったんだが…場所がな」

春紀「東北…です、か」

職長「…おまえはよくやってくれてるし、その頑張りに触発されてか野郎供の仕事の能率が上がったくらいでな…正直なところ社員待遇で迎えたいくらいなんだが」

春紀「…あの」

職長「いや、おまえの家族の事情はわかっている、だからおまえを連れていくわけにはいかない」

春紀「…すいません」

職長「あやまんなよ、おまえは所詮バイトだ。気負う必要は何もない」

春紀「でも、結局一人抜けるわけですし」

職長「なーに代わりは見つけるさ…おまえの穴だと二人くらい雇わなきゃいけないけどな」

職長は笑っているけど
アタシはそんな気分にはなれなかった

職長「むしろ、食い扶持稼ぐ立ち場のおまえは自分の心配しなきゃならんだろうに」

春紀「そうですね」

そうだよな、あと数日でここ終わったらまた仕事探さなきゃならないんだよなぁ…どうすっかな

職長「そこでだ!」

ニヤリと笑う職長サン

職長「おまえなら俺も安心して紹介できるからな、いくつか見つけといてやった」

春紀「は、い?」

職長「紹介状は書いといてやったから履歴書のコピー用意しとけ後の書類は俺が準備すっから」

春紀「そんな、悪いですよ」

職長「次の職場も見つからないで、不景気な顔されてお別れなんて嫌だっていう俺のわがままだから受けといてくれ」

春紀「はぁ…」

職長「大丈夫、まともな仕事しかないから安心しろ」

数日後の打ち上げでは送別会までやってもらって
現場のみんなからカンパされたお金まで退職金だと言って渡されてしまった

職長「おまえがうちで真面目にやってきた証みたいなもんだから受け取らないなんてなしだからな!」

とりあえずカタギとして働きたいと思って適当に選んだ給料の良さそうな仕事ってだけだったのに…
やっぱり人間諦めなければ良いことってあるんだな晴ちゃん
アタシも赦されてるんだな本当に

その日の打ち上げの焼肉は少ししょっぱかった

~数日後~

社長「あー寒河江くんね、ヤッさんから聞いてるよー」

春紀「すいません、急に時間作っていただいて…」

社長「いいよ、いいよー本当に聞いてた通り真面目な子だねー…見た目は今時の娘って感じなのにねー」

春紀「は、はぁ、どうも…」

テンション高いなこの人、なんか苦手だ…

社長「あら、寒河江くん、フォークに玉掛け…床上式クレーンも使えるの!?」

春紀「職長サンから、おまえはやめなさそうだから使える資格とらせてやるって言われまして…あ、ホイストクレーンは使えますけどトロリーは実習の時にさわったキリなんで、少し自信がないです」

社長「大丈夫、流石に新人にそんなデカイクレーン使わせないから…いやいや、本当にアタシ運がいいわぁ」

春紀「はぁ…」

社長「最近、急に仕事が増えてねー欲しかったのよー人が」

春紀「良かった、無理に入れてもらうのは少し気が引けてたんで忙しいんですね」

社長「そーなのよー、港の搬入と搬出作業だから寒河江くんならすぐに覚えられると思うわー」

春紀「あの、それじゃ」

社長「二日後から現場入りしてもらっていいかしらー?」

春紀「あ、はい!大丈夫です!」

社長「じゃ、契約書ねー内容よく読んでから決めてねーアタシは良くても寒河江くんが条件合わなかったらやらなくてもいいからね」

春紀「はい」


変な社長サンだけど仕事事態は真っ当な感じだし
給料もヤッさん…職長サンの口利きもあってか高い気がする…
アタシは契約書にサインをすると、そのまま現場見学からアタシの上司になる人も紹介してもらった
仕事に空きがなくて本当によかった
みんな姉ちゃん頑張るからな

仕事という事で借りてきた猫状態の春紀さん

ちょっとかわいそうな巻き込まれ方します

~とかはる自宅~

晴「豪華客船ですか!?」

兎角「おい」

鳰「…」プルプル

柩「期待通りの反応ありがとうございます」

千足(緩いなー)

鳰「いやいやほんと、ぶれないッスね、逆に安心しまわす」

柩「でも、豪華客船って単語にときめきを感じるのは仕方ないですよね」

晴「だよね!」

兎角「罠じゃなければ、好きなだけときめいてろと言いたいが…」

鳰「まぁ、いいんじゃないッスか、今回は罠をどうつぶすかよりも罠をつぶしてあるのを気づかれずに敵の頭をつぶすかなんですしー」

千足「私達がいないうちにそこまで進んだのか」

鳰「仕込みは上々、時間に余裕がないんでギリギリっスけどね」

柩「あとは東さんと千足さんがどれだけ敵の目を引き付けられるか…それと」

兎角「…なんだ?」

柩「ぼくに晴さんの命預けられますか?」

兎角「…」

晴「晴は柩ちゃんを信じるよ」

鳰「相手はおそらく敵の中でも最悪の戦力ッス」

千足「最強ではなく最悪か」

柩「はい、先輩を例えるなら最悪としか言いようがないですね」

兎角「勝てるのか?」

柩「勝つための布石は打ってあります…最後の決め手にやや不安はありますけど」

兎角「おい」

柩「命を預かりますから嘘はつけません、二人にはそれを承知したうえでこの作戦に乗ってくれるか確認しないと意味がないです」

晴「兎角さん、晴なら大丈夫だよ?」

兎角「…桐ヶ谷」

柩「なんです?」

兎角「おまえはその先輩を殺せるのか?」

柩「殺せますよ…殺さずに済ませられるほど強くないですから、ぼくは」

兎角「……晴になにかあったら許さないからな」

柩「それは安心してください、ぼくが死んでも晴さんだけは無事に」

晴「ダメ」

柩「…」

晴「始まる前から死ぬことなんて考えちゃダメだよ」

柩「そうですね」

兎角「ところで」

鳰「なんスか?」

兎角「なんでここに指定しようとしているんだろうな」

鳰「簡単な話ッス、この船の持ち主なんスけどね…」

晴「…!」

柩「この人、ぼくのかつての依頼主なんですよね」

千足「ではダチュラに一ノ瀬殺害を依頼した」

柩「そうですね…あと」

鳰「まぁ、あんまり本人前に言いたくもないんですが…晴の家族を殺した張本人ッス」

兎角「晴、大丈夫か?」

晴「うん、大丈夫…」

鳰「ちなみにこの人、やりすぎたみたいで色々たいへんみたいなんスよ」

千足「ついでに金のかかる船も沈めて保険金でももらうつもりとか?」

鳰「まーそういう事をしそうな人なんスが」

兎角「なんだ?」

鳰「その人どーも黒幕ではなさそうなんスよ、くわしくは調査班からの報告待ちッス」

柩「なんだか煮え切らない答えですね」

鳰「簡単に言えば晴を殺せる機会は黒組終了までなんス」

兎角「そういえば真オリエンテーションで晴がそんな事を言ってたな」

晴「はい、晴は黒組が最後の試練になるから生き残れば普通の生活に戻れるって言われて参加したんです」

鳰「ぶっちゃけ、女王の力なんてあやふやなもんスからね…とりあえず生き残れた人は資質があるとして保護されるッス」

柩「随分とアバウトですね」

鳰「曖昧にしとけば逃げ道作ったり、後付けできますからねー」

千足「そんな事でよく崩壊しなかったな…」

鳰「そこはそれ、女王蜂様のお力ッスよ…多分」

柩「急に投げ出しましたね…でもそうなるとこんなに目立ったら危ないですよねその人?」

鳰「そういう事ッス」

兎角「ならダチュラのほうにも手を回せるんじゃないのか?」

鳰「今のところ一ノ瀬晴には手を出してないって事でうまく逃げてるみたいッスね」

兎角「ふざけてるのか?手を出されてからじゃ手遅れだろうに」

鳰「多分、くだらねー事考えてるやつらもいるんスよお上様には」

晴「晴が、この事態を生き抜けるかを見たいとか?」

鳰「ウチの憶測にすぎないッスけどね」

鳰「一部には今回の黒組で死人が出なかったのが気に入らないのもいるらしくて」

兎角「なんだそれは」

鳰「殺すより生かして終わるほうが難易度高いってのを理解してない人もいるんスよ」

柩「…他人の殺し合いを見たいがために大金を払うような人間というのもいますからね、気に入らないのかもしれません」

晴「自分の家族や友達が傷ついたりした事がない人達なのかな…」

鳰「考えない方がいいッスよ」

柩「晴さんとは相容れない存在でしょうね」

千足「一ノ瀬が勝者には変わりがないから口は出さないが、こういう時に邪魔をして死人が出るような戦いをさせたいって事なのか?」

鳰「それと兎角さんの暴走というか、晴のためにあえて命を奪おうとした行動のせいで難癖つけるやつもいたんで今回の件を晴が乗り切る事で黙らせたいってのもあるみたいッス」

柩「ぼくや千足さんがこうしているのも理事長の気まぐれという訳ではないみたいですね」

千足「元黒組の人間が動いても、それは一ノ瀬の能力という言い訳にでもするのか?」

鳰「実際、お二人がただ友情で動いたとしても向こうが屁理屈でごねてるんスからこっちだって、ねえ?」

兎角「厄介な話だなまったく」

晴「結局、晴はみんなに迷惑をかけてばっかりなんですね」

兎角「おい」

鳰「気にしないでいいッスよ、ウチは自分の裁定者としての仕事に難癖つけられて気に入らないだけッスから」

柩「迷惑なんて言い出したら今回、ぼくのほうがよほど迷惑かけてますから晴さんはそんな顔しないでください」

千足「私は今の生活に満足していてね、きっかけをくれた黒組に感謝しているくらいだ。だから一ノ瀬は何も気にしなくていい」

晴「みんな…」

兎角「まぁ、わたしなんて迷惑なんてかけられっぱなしだからな今さらだ」

晴「ひどいなぁ」

兎角「ところで桐ヶ谷、蠍とかいうのを黙らせればダチュラだって手を引くんだよな?」

柩「はい、蠍さえ倒せばダチュラも手を引くと思います」

鳰「という訳で、兎角さんは派手に暴れてくださいね、ウチがキッチリ黙らせますんで」

兎角「…そうだった…」

鳰「そこ、あからさまに不安そうな顔しない!」

やらかしてた訂正
兎角「わたしなんて、ずっと迷惑かけられっぱなしだから今さらな話だ」



ちなみになんで船かというと初期プロットの頃はとかはる卒業旅行中に襲撃される話があった名残

春紀「さて、あとはこの納入書にサインもらって終わりだな…」

?「あーら、春紀ちゃんじゃなーい?」

ふいに呼び止められる
気のせいだと思いたい…
多分、二度と会いたくない人間の一人だ…

?「やっぱり春紀ちゃんじゃない、ちょっとぉ久しぶりじゃないのよー」

春紀「いや、カタギになろうって人間がアンタに関わっちゃダメだと思うんだよ藤堂サン」

藤堂小春
この界隈で裏の仕事を斡旋してる小狸みたいな婆さんだ
あたしが人殺しに手を染めるきっかけを作った張本人…まぁ結果的に母の医療費を払えずに一家離散なんて事にならなくてすんだのはこの人がいてくれたからではあるのだけど…どうにも苦手だ

藤堂「老い先短い婆さんのお茶の相手ぐらいしたって罰は当たらないわよ?」

いやいや、殺しても死ななそうなくらい元気だよアンタ…
つか、なんでこんなところにいるんだ?
嫌な予感しかしない

藤堂「春紀ちゃんさ、お金に困ってない?いい仕事あるんだけど?」

春紀「…数秒前にカタギの人間だって話たよね?」

藤堂「あはは!そーね!」

春紀「…あんたがピンハネしてきた金の話に戻そうか?」

黒組にいた頃、伊介様に殺しやっててなんでそんなに金に困るのか?とつっこまれて、後々問いただしたところ相当な金額を懐に入れていたようで
黒組に推薦した仲介料とカタギになるにあたって裏の痕跡を消す根回ししてもらうって事で手打ちにしたのだ

藤堂「おほほほ…年をとると忘れっぽくてやーねー?」

わざとらしい愛想笑いしながら目を反らす藤堂サン

春紀「悪いけど、あたしも仕事に戻らなきゃいけないんで話はここまでに…」

藤堂「いいから、これだけ受け取ってみてよ!」

無理矢理渡された紙きれには書かれていたのは…

~数日後 金星寮七号室~

鳰「おんやー?お久しぶりッス春紀さん!珍しいじゃないたッスか!鳰感激ッス!」

春紀『わざとらしすぎてつっこむ気も失せるよ…』

鳰「あははー、ちょーっと最近立て込んでてテンションおかしくなってるんスよー」

春紀『それ、晴ちゃんや兎角サンに関係してるか?』

鳰「……は?」

春紀『いや、少し気になることがあってね』

鳰「…春紀さんには関係のない話ッスよ」

春紀『知らない、じゃなくてあたしには関係ない…か…うん、そっちも把握はしてるみたいだね』

鳰「春紀さんは今、一般人なんスから知らないふりして済むなら知らない事にしてほしいッス」

春紀『…わかった…ただこれだけは聞かせてほしいんだけどさ、ミョウジョウは晴ちゃん達の味方なのか?』

鳰「当然、味方ッスよ?暗殺対象だったのはあくまで昔の話ッス。黒組の勝者になった晴はウチらにとって保護すべき対象に変わったッスから」

春紀『そっか、安心した』

鳰「春紀さん、もう一回言うッスよ?一般人として生きるならこんな事に関わっちゃダメっス」

春紀『はいはい、わかってるよ、急に変な電話して悪かったね』

鳰「いやいや、元気な声が聞けてなによりッス」

春紀『…鳰のくせにちょっとうれしくなるような事言うなよ』

鳰「ウチだって元クラスメートの心配くらいするッスよ!」

春紀『あはは、悪かったって!じゃあ晴ちゃん達によろしく言っといてくれよ!じゃーな』

ピッ

鳰「……春紀さんまでこんな電話よこすとか…女王蜂の力とかじゃないッスよね?」

~都内 湾岸倉庫~

春紀「関わるな、か…ってもなぁ…」

ガヤガヤ

春紀「こんなもん、見たら心配にもなるって」

藤堂「なーに?やっぱり来たんじゃない春紀ちゃん」

春紀「いや、人の職場の近くでこんな集会されたら気にもなるよ」

藤堂「運の悪さは相変わらずよねーいや、私の運がいいのかしら」

春紀「どっちにしろ、あなしには迷惑な話だよ」

藤堂「そんな事言わずにこのチャンスに乗りなさいよ」

春紀「チャンスねぇ」

数でかかればなんとかなる相手じゃないっての
東のアズマは、さ
戦った人間ならわかる…伊介様の話じゃあたしがやりあった時より強くなってるみたいだし

春紀「にしてもさ」

藤堂「なに?」

春紀「手当たり次第って感じだよなこれ」

藤堂「まさに烏合の衆ってところかしらねー」

春紀「暴走族からチンピラ、チャイニーズマフィア…あの一角は竜神会系の組員じゃ?」

藤堂「そーねー、竜神会系の佐久間組とか黒川組の若頭じゃないかしら…妙にギスギスしてるのが伝わってくるわー」

春紀「楽しそうだねぇ」

藤堂「私のような口入れ屋が送り込めるのなんて数人だからねー組織が適当に自滅してくれたほうが助かるのよ」

春紀「あれじゃ仕事の前に自滅しそうだよ」

藤堂「んーそれは困るわねーアズマの体力削るくらいはしてもらわないと」

春紀「取らぬ狸の皮算用…」

藤堂「なーにー?」

春紀「なんでもないですよー」

~同時刻 倉庫内~

ベラ「ついに外に出られたか、おめ」

香子「…少しは初対面を装え、バカ者」

ベラ「大丈夫、大丈夫だって私いつもこんなだから」

香子「それはそれでどうなんだ…」

ベラ「で、監視もゆるいみたいだけど、なんか取り引きした?」

香子「少しな、どうせやつの企みなんて承知の上で放置してきたんだろうから特にそちらには話さなかったが」

ベラ「まーねー、ただアイツの後ろにいるやつは知りたいとこだね」

香子「流石にそこまで信頼されているわけではないから聞き出せてはいない…あれはあれで孤独なようだからなホームで燻っていた私の過去を知り似たような境遇だと思い込んでくれて仲間に誘ってきただけだ」

ベラ「あいつらしいっちゃらしいけど…あいつがああなったのはほとんど自業自得だしなぁ」

香子「その点は、私も同じだよ」

ベラ「そう?」

香子「昔の私はただ流されていただけだった、ただ与えられた仕事をこなしていれば何か変わると盲信していただけのバカだった」

ベラ「で、それで脱走までいったの?」

香子「黒組が終わってから考えていたんだ…私は一ノ瀬ほど自分の運命に逆らって生きてきたか、と」

ベラ「あの子の過去を知ったんだ?」

香子「シスターの一人がからかうように言ってくれたよ、標的は女王蜂候補だからおまえに殺せるなんて初めから思ってなかったと」

ベラ「なーる、ホームが乗り気じゃないのは女王蜂の知識があったからか」

香子「私は、所詮自分の失敗でふて腐れていた子供でしかない…このまま本当に腐り果ててしまう前に行動を起こさなければいけないという衝動に駆られて…」

ベラ「おねーさん、ちょっと泣けてきたよ」

香子「おい、やめっ!頭ををなでるな!」

ベラ「いーじゃん、あんまり誉められた事なさそうだし私が誉めてあげるよー」

香子「いらん!やめろ!」

香子「で、この集会は何なんだ?」

ベラ「対兎角ちゃん用に人員確保ってとこかねー」

香子「数で押しきれるか?東のアズマを」

ベラ「時間さえ稼げればいいんでしょ、多分あいつらみんな殺す気だし」

香子「…だろうな」

ベラ「まー殺すリストには私も入ってそうだけどね」

香子「予定では私とアレ以外は海の藻屑になるはずだ」

ベラ「わーお、双子まで切り捨てる気だったなんて」

香子「あの二人も命令の根幹部分は組織のために死ねというのがあるから最終的に邪魔になるらしい」

ベラ「よくもまぁ…そんな秘密ぺらぺら話すもんだ」

香子「アレは腹に何かを溜め込めない人間なんだろう…私が相槌打ってるだけで本当によく話すからな」

ベラ「お疲れさま」

味方増えすぎて敵が不憫になってきたんで

増えるキャラはオリキャラではないですが

~倉庫内~

?「やれやれ、舎弟共がろくでもない事に首つっこんだらしいから来てみれば…ってなんでアンタがいるんだい?」

?「…我が魂の赴くまま、闇の胎動を感じたゆえ」

?「…また、矢川あたりにそそのかされたんじゃないのかい山崎?」

千代「山崎ってゆーな、僕は漆黒の堕天使、断罪の大鎌だからね、志摩さん」

志摩「で、その堕天使ちゃんはこんな胡散臭い仕事を受ける気?」

千代「だって矢川ちゃんが、僕の悪魔憑き(デモンズリアクター)としての位階を上げるために東から来た鬼との邂逅が必要だって…」

志摩「それで東のアズマねぇ…本当に命知らずだねぇ」

千代「堕天使たる私を冥界に送るなど、人の身には不可能…」

志摩(どこまで本気なんだコイツ)

千代「かの暗殺者も堕天使とは刃を交えた事はあるまいしな…」クククッ

志摩「はいはい…ってあれ」

志摩(あれ藤堂のババアの横にいるのは寒河江春紀か…?)

千代「ん?どうしたの志摩さん」

志摩「いんや、ちょっと面白くなりそうな予感がしたんでね」

千代「ふむ?」

志摩(ババアが黒組に紹介したのはアタシじゃなく寒河江だった…どんだけやれるかようやく見れそうだ)

~倉庫内最奥~

オブト「そうだねぇ君にはポイズントードの名を与えよう、ダチュラの臨時構成員としてがんばりたまえ」

ポイズントード「へへ、ありがとうございます」





オブト「…くくく、せいぜいに肉壁としてくらい役に立ってくれよ」

双子「よろしいのですか ?なをかってにあたえるなど」

オブト「かまわないさ、あくまで臨時の措置というやつだよ…それに用が済んだら君らが消してくれればいい」

双子「…はい」

オブト(組織のため、ねぇ…)

オブト「そういえば、神長ちゃんは?」

双子「ひさしぶりにそとにでたので すこしかぜにあたると」

オブト「そーかい」

オブト(まぁ、いいさ…今さら逃亡生活に戻るような愚は犯さないだろうしねぇ)

さっきからつけて来てるヤツはなんなんだろうな
人がせっかく無防備に人気のないほうに行ってるってのに…

「寒河江春紀だな?」

背後から声をかけられる
ようやく仕掛けてくる気になったらしい
声をかけてくる時にした音から銃を持っているようだ

「…あたしに何か用かい?」

「少し聞き…」

相手が話終える前に腰を落として足払いをかける

「!?」

不意を突かれた相手は体勢を崩すが倒れてはいない
が、はなから倒せるとは思ってはいない
目的はあくまで相手に満足な体勢で銃を撃たせない事にある

相手より先に体勢を立て直したあたしは素早く懐に入り込むと銃を持つ手を抑えると空いた手で相手の喉を…って

「おまえ神長!?」

香子「久しぶりだな、寒河江」

春紀「いや、おまえ真顔だけどかなり間抜けな状況だろこれ」

香子「…どうしていいかわからなくてな、あと痛いので手を放してくれると助かる」

春紀「あ、わるい」

香子「いや、私もいきなり銃を向けたのは悪かった」

春紀「…」

香子「…」

春紀(なんだこの状況!?)

どうやら、漫画とかでよくある敵のふりして手をあげたら「ふふ、私だよ」みたいなのをやりたかったらしい
で、あたしが反撃してきたのが予想外でテンパったみたいだ

春紀「わりとアドリブ弱いタイプだよな」

香子「…そうかもしれない」

ああ、なんかマジで落ち込んでるよこいつ

春紀「でも、まぁ…神長ってそういうのやらないタイプだと思ってたから意外だ」

香子「そうだな、自分でもなんでイタズラしようなんて思ったんだか…久しぶりに知り合いを見つけてテンションが上がったのかもしれないな」

春紀「そっか」

香子「黒組なんて茶番だとか思っていたのに不思議なものだ」

春紀「あー、それわかる。馴れ合いなんてしないほうが良いって思ってたけどさ…最近あいつらみんな元気かな?とか考えたりするし」

香子「なんだ、寒河江もか」

春紀「兎角サンに負けちまったけど、あそこで得たものはそれなりあったって事かね」

香子「かもしれないな」


あたし達はすこし他愛もない雑談をした後
互いの身の上を話してなんでこんなとこにいるのかとか把握した訳だけど

思ってた以上にヤバイ話かもなこれ

春紀「…人が食糧とか搬入した先でそんな殺人ショーみたいな事やるなんてねぇ」

香子「当日は、仕事を早く済ませて船を出るようにしたほうがいい」

春紀「そうだな、降りるの遅れて出港されたら大変だな」

香子「…それと、頼みたい事があるんだが」

春紀「あたしを追いかけてきた本命はそれかい?」

香子「これを東に渡してほしい」

春紀「…カードキー?」

香子「やつのゲームじゃあの倉庫内にいた連中を使って東を消耗させるために扉に対応したキーを持たせて番人にするらしい…これはマスターキーのようなもので全ての扉に有効なものになる」

春紀「なるほどねぇ…こんなもの持ち出して神長は大丈夫なのか?」

香子「爆弾を設置するのに一応必要だろうと渡されたが、仕事は終えたし…当日はどうせヤツの傍から動けないしな問題はない」

春紀「でも流出させたのバレたら無事じゃすまないんじゃないか?」

香子「まぁ、なんとかごまかすさ」

春紀「大丈夫かなぁ」

香子「大丈夫だ、ところで」

春紀「ん?」

香子「それを渡してくれるだけでいいからな、寒河江は家族もいるんだこれ以上関わらないほうがいい」

春紀「今さらそれを言うかね」

香子「あの女に頼んで当日まで東の手に渡らないかもしれないなんて事を回避したかったんだ…それに、おまえの家庭の事情を知らなかったし…」

春紀「ま、そんなベラベラ話して回るような事じゃないからね、知らなくてもしゃーないさ」

香子「…すまない」

春紀「ほんと真面目だねぇ、安心しろよキッチリ渡してやっからさ」

香子「ありがとう。名残惜しいがあまり時間もないのでこれで失礼する」

春紀「はいよ、元気でな」


さて、何はともあれ関わる口実ゲットだ
悪いがガッツリ関わらせてもらいましょーかね

その頃

オブト「どうしたんだい、なんだか気になる事でも?」

香子?「いやなんでもない」

オブト「ふーん?まぁいいか」

香子?(委員長ー!早く戻って来てくれー!)

鳰「どーも困った時の言い訳コーナー司会担当走り鳰ッス!」

柩「またですか…」

鳰「ウチもロクデナシのフォローなんてしたくはないんスよ…でもわずかながらいる読者様を思えばこそ!」

柩「それには同意しますが今回はなんなんです?」

鳰「いっそ当日まで一気にすっとばしたいなぁ…との事ッス」

柩「飽きてきました?」

鳰「いやダラダラと書いてはいたんスけど…姐さんがおか◯さんといっしょのおねえさん風のコスプレしたルール説明ビデオとか、内容聞いてごね始めた兎角さんを晴が説得したりとか…で、ふと、これいるか?ってなりまして」

柩「そういえば寒河江さんの時も労働話から打ち上げまで長々書いて没にしてましたね」

鳰「春紀さん以外おっさんしかいないのであまりに誰得すぎてあれはバッサリ切れたッス…一応後々使う伏線というか布石はあるけど後でいい程度だったし」

鳰「まさか春紀さん乱入させるだけでキャラが増えまくるとは思ってなかった。反省はしているが後悔はしていない!…だそうッス」

柩「おかげでぼくと千足さんの出番が遅れまくりなんですけど」

鳰「あとは…クリスさんは神長さんを殺さない真の理由を考えてたら勝手に話デカくし始めて困る…って知るか!!」

柩「あの人、東さんに対抗できる戦闘バカってコンセプトだったのに、むしろ味方サイドが強化されたってわけのわからない状況になりましたね」

鳰「クローバーホームも考えてたら相当深い闇があるんじゃないかってなり始めたら深みにハマったみたいッスね…とりあえずそーゆーのは目の前の仕事片付けてからにしてからっしょ」

柩「まったくです」

鳰「話を戻すッス、ぶっちゃけ主人公チームはすでに覚悟完了してるから変に引き延ばすより先に進めたほうがみんな幸せになれる気がしてきたとの事ッス」

柩「まぁ、そうかもしれませんが…」

鳰「どうしました?」

柩「一応、主役なんで前日に少しくらい話とかしたいじゃないですか」

鳰「そーですね、モチベ上げるのは大事ッスよね」ニヤニヤ

柩「…」(P銃を取り出す音)

鳰「やめて!?」

追加キャラ補足

粟津 志摩
志摩だったり志麻だったりする雑の犠牲者
春紀同様藤堂にスカウトされて暗殺者になったという設定
黒組候補だったが先着順で春紀に資格を取られるが理由に納得がいかず、彼女の実力を確かめたいと常々思っていた
春紀がカタギになったせいで手を出せずにイライラしていたらしい
相棒の歪ちゃんがいないのはダチュラが胡散臭すぎて巻き込みたくないから

山崎千代
ランドルート(島根県)から来た最強の悪魔を見に宿した(自称)米農家の娘
一人称が僕と私に変わるのは本人と悪魔の人格どちらが主体かという解釈
ド派手に装飾された大鎌を使うが農作業で鍛えているせいかわりと侮れない
兎角さんを殺したいわけではなく戦う事で自己に施された封印を解除し魂を開放し位階を上げる事が目的らしい
志摩とはクラスメイト


藤堂小春
イメージ的には女装した春風亭小朝師匠(三匹が斬るの燕陣内の人)
口入れ屋(江戸時代の職安)を自称し裏の仕事の斡旋をしている婆さん
守銭奴だけど信頼はできるため文句を言いながらも仕事を引き受ける者は少なくない
謎の人脈で事件にならずにもみ消された殺人多数



あとAKキャラもう一人出ます

~英邸~

純恋子「走りさんから?」

執事「はい」

純恋子「人の口には戸は立てれぬとは言うけれど…まぁ、良いですわ繋ぎなさい」

執事「はい、では」


鳰『夜分遅くすいませーん♪英さんお久しぶりッス!走り鳰ッスよぉ』

純恋子「お久しぶり走りさん、何か急用でも?」

鳰『実は、そちらさんの進行具合を聞こうと思いましてー』

純恋子「なんのことでしょう?」

鳰『理事長からは口止めされてるみたいですけど、ウチの情報網なめてもらっちゃあ困るッスよ?』

純恋子「…一応の目星はつきましたわ、後は気付かれる前に動いて捕らえるだけですわ」

鳰『流石、英さんッスねえ!理事長の無茶ぶりからあっさりと仕事をこなすできる女っぷり!見習いたいっス』

純恋子(なんと白々しい)

鳰『そんな英さんにお願いしたいことがありましてー』

純恋子「何です?聞くだけは聞きますけれど」

鳰『実は…』

~前日の夜~

千足「今日は少し温めにしてあるんだな」

柩「はい、温めのお湯にじっくりと浸かり体をリラックスさせたほうがよく眠れるって言いますし」

千足「そうだな…しかし、その」

柩「どうしました?」

千足「こう、狭いとゆっくり寛ぐという訳にもいかないかな、と」

柩「ぼくとくっついてお風呂に入ったら落ち着かないんですか…?」

千足「そうじゃない、私は別に、かまわないんだが」

柩「ならいいじゃないですか♪」

千足「…なんだか私がバカみたいだ」

柩「ふふ、そういうところは変わらないですよね」

千足「そうそう変わるものでもないさ」

柩「ぼくなんて千足さんと出会ってから生まれ変わったような気分ですよ、自分でも驚く位に新しい自分を発見する日々です」

千足「私だけじゃない、柩は一ノ瀬達としっかり接するようになってから本当に、その、魅力を増したというか」

柩「良い話なんですから良いよどまないでくださいよ」

千足「ちょっと妬けるくらいかわいい時があるんだ」

柩「……」

千足「?」

柩「…すいません、我ながら、こんなことで動揺する…とは」

千足「そうみたいだな、柩の心臓の音がすごく早くなってる」

柩「も、もうやめてください///」

千足「だって、こんな寄りそっているんだから全身で柩の音を感じてしまうよ」

柩「…千足さんもドキドキしてますね」

千足「…少し自分で言ってた台詞に恥ずかしくなってきて」

柩(かわいいなぁ、もう)

千足「実は、剣持に演劇の時に特訓されたせいかたまに自分でも驚くくらい恥ずかしい台詞言ってしまう時があるんだ」

柩(…今度、剣持さんにはお礼しないといけないですね)

千足「話は変わるんだけど」

柩「はい」

千足「東ほど言いはしなかったけど、私は本当に助けに行かなくていいのか?」

柩「前にも千足さんは長い時間見られてますから、危ないんです、だから助けに来ちゃダメです」

千足「しかし」

柩「信じてください。ぼくは一ノ瀬さんを守りきりますから」

千足「そこなんだ、それが心配なんだ」

柩「何がです?」

千足「柩は一ノ瀬は守りきると言い切るのに自分が生きて帰ると口にしたことがないんだ」

柩「…う、それ、はですね」

千足「相討ち狙いなんて、私は許さないよ?」

柩「一応、勝ちにいくつもり、ですよ?」

千足「どうしてはっきり言えないんだ?」

柩「先輩はいい加減だし、ウザいし、人の事ロリ、ロリ言うし、言うこと嘘ばっかりだし…本当にダメな人なんです」

千足「はぁ」

柩「でも、あの人が本気になったら一番怖いのも知ってるんです、だから」

千足「勝てないと?」

柩「勝てます、多分これだけは通用するであろう策があるんです」

千足「本当に?」

柩「仕込みも終わってて、さっき走りさんからもうまく行ってると聞きましたから大丈夫です」

千足「嘘…じゃないみたいだな」

柩「話てたら、少し落ち着きました…後、あの人にいつか復讐しようとしてた気持ちも思い出しましたし…ウフフフ」

千足(気負いは無くなったみたいだけど違う意味で心配になってきたな)

柩「千足さんて」

千足「ん?なんだい」

柩「髪洗うの…というより髪を扱うの上手ですよね…」

千足「そう言ってもらえるとうれしいな」

柩「おかげでこうして千足さんに洗ってもらわないと落ち着かないくらいです…入る時はお湯で軽く洗うだけだったのはこういう事だったんですね…」

千足「シャンプーなんて何度も使ったらむしろ髪を傷めてしまうからね、ゆっくり浸かって汗をかいている頭皮をお湯だけで洗うのも良くはないと思うし…痒いところはありませんか?姫様」

柩「大丈夫です、えーと…よしなに。とかで良いんですかね?」

千足「ふふ、無理しなくていいよ」

柩「うぅ…気のきいた言葉が出てこない自分が恨めしい…ん」

千足「どうした?」

柩「なんでも、ないです」

柩(気持ち良くて変な声出ちゃったとか言えない)

柩「それじゃ、かわりますね」

千足「ああ、頼むよ」

また、増えてる…
背中を洗おうとして目に入るのは痣や傷
東さんとの鍛練でついたものだ
今日も実戦を想定してハードな訓練をしてきたらしい

せっかく綺麗な背中に傷が残ったりしたら恨みますよ東さん

千足「ん?どうしたんだい?」

柩「あ、いえ…大丈夫ですか、傷?」

千足「ああ、今はほとんど痛みはないよ。東には本番前という事もあって本気で相手してもらったからね無傷というわけにはいかないよ」

柩「もう、千足さんも女性なんですから肌に傷跡が残ったら大変ですよ?少しは気を付けないと…」

千足「それを言うなら」

ふいに千足さんが振り返ってぼくの胸元に指が触れる
細く美しい指が傷跡の上を滑るように撫でていく

千足「柩に、こんな傷をつけてしまった私は取り返しのつかない罪を犯した事になる」

柩「っん、……これは前にも言いましたけど…」

そう言ってにっこりと微笑む
そう、この人は時々恐ろしいくらいぼくを困惑させるような事をするから困るんです

天然なのか
剣持さんの特訓の悪影響なのか

後者なら本当にPしてごめんなさい剣持さん

結局、話をはぐらかされてしまった
本当に千足さんには甘いなぼく…

でも本当に傷だらけにしたらもったいないんですってば!
晴さん経由で東さんのほうから言った方が効果あるのかな…?
それはそれでなんだか負けた気がします

千足「これからは少しは気を付けるようにするから、そんな難しい顔をしないで、ね?」

柩「あ、はい…わかってくれたらいいんです、はい」

鏡越しに表情が見えてたんですね

ん?少しは気を付けるって

柩「これ終わっても東さんとの早朝トレーニング続けるって事ですか?」

千足「うん、実践的な戦闘訓練みたいなのはやめるかもしれないけど、相手がいる方がストレッチとかはやりやすいしね」

柩「はぁ…そうですか」


早起きすべきだろうか…
いや戦闘民族の東さん相手にぼくのようなもやしっ子がついていくのは無理です、うん無理
千足さんは合わせてくれるかもしれないけど…足手まといは嫌だし…

悩ましい…

あんまり鍛えて健康的になりすぎると油断させにくいとか思って身体を鍛えてこなかった事を少し後悔してみたり

くやしいのでちょっとだけ新しい痣の辺りを強く擦ったりしてみる

千足「痛っ?」

やりすぎたみたいです
でも千足さんが悪いんですからね!

~金星寮7号室~

鳰「本当にブレねーなあいつら」

乙哉「ラブラブだねぇ…ってマンションでも盗撮してんだねこれ」

鳰「金出してるんだからこれくらい許容しろってことなんじゃないッスかね?」

乙哉「うわー…黒組の時は監視が厳しいだけだと思ってたけどさ、これって趣味入ってない?」

鳰「知らねッス」

乙哉「んー?なんだかご機嫌ななめだね」

鳰「色々と考える事があるのにこんないちゃいちゃされたら気が散るわ!!…って感じッスかね」

乙哉「モニター切ればいいのにー」

鳰「明日の事を思えば、あの二組の状態を把握しておかなきゃならんのですよ…それが何スかね、緊張するどころかいちゃいちゃいちゃいちゃいちゃいちゃと…」

乙哉「あははー目が怖いよ」

鳰「あれで寝不足になったりしても知らねーッスよ、ほんと」

乙哉「鳰ちゃんってさ」

鳰「はい?」

乙哉「わりと黒組のみんな好きだったりする?」

鳰「うっとおしいだけッスよ」

乙哉「ふーん…ま、いいかそういう事にしとこう」

鳰「ニヤニヤしてないで乙哉さんも早く寝てくださいよ?明日はコキ使いますから」

乙哉「へーい」

~当日、昼の埠頭~

鳰「うわ、わりと警備厳重じゃないッスか…ちょおっと手こずるかもしれないッスねぇ…」

乙哉「鳰ちゃーん!お昼のメロンパン買ってきたよ!」

鳰「あ、どーも…乙哉さんボリューム下げてくださいね?」

乙哉「はいはい…あとリ◯トンのレモンティーね」

鳰「なかなか良いチョイス…やっぱりパックの紅茶ならこれッスねー」

乙哉「おいしいよねー」

春紀「で、どーなのよ?行けそう?」

鳰「んー、ちょっと厳しいッスねぇ…とりあえず見張りの交代を見計らって一人操って…とか考えてるッス」

春紀「噂の呪術ってやつかい?でも、中の監視カメラとかは誤魔化せないんじゃないか?」

鳰「そこが悩み所ッス」

春紀「とりあえずあたしが見てきたあたり書き出すわ、見取り図あるんだろ?」

鳰「マジッスか!いやー助かりますよ春紀さん………春紀さん?」

春紀「よ」

鳰「…」

乙哉「…」

春紀「…」

鳰「アイエエエエエエ?!ハルキ!?ハルキナンデ!!?」

乙哉「買い出し行った帰りにそこで会ったから連れてきた」

春紀「昼休みにぶらついてたら武智がいたんで挨拶したら連れてこられた」

鳰「おまえら…って昼休み?」

春紀「ここ、あたしの職場(船を指差して)あれが今日の主な搬入先、OK?」

鳰「…あーそういう事ッスか」

春紀「そういう事だ」

乙哉「どーゆー事?」

鳰「春紀さんがこの件に関わるような話どこで仕入れたか気になってたんスよ…」

春紀「あのあたりにあるデカイ倉庫あるだろ?あそこで蠍とかいうやつが兎角サンと戦う刺客集める集会やっててさ」

鳰「……」

乙哉「たのしそー、何?東さんと戦うやつ決めるのにトーナメントバトルとかやったの?」

春紀「ただ集めて兎角サンと晴ちゃんと…桐ヶ谷かな?殺したら幾らか払うみたいな事を言われて後は契約してって流れだったかな?途中で抜けたから詳しくは知らんけど」

鳰「ダチュラって人いないんスかね…」

乙哉「ほんとがっかりだよ」

春紀「…武智は楽しそうだな、人生」

乙哉「うん、わりと」

鳰「経緯はなんとなくわかったッスけど春紀さんはなんで首突っ込むんスか?もうこういうの関わりたくないんじゃ」

春紀「晴ちゃんと兎角サンに負けなきゃ今のあたしはいないんだ。向こうはどう思ってようとこの恩義はあたしの中ではかなり大きいんだよ」

鳰「春紀さんが危険な目に会うのはあの二人だって嫌がるッスよ?」

春紀「わかってるけどさ、だからってはい、あたしは部外者ですなんて言えるわけないだろ?」

鳰「まー、そうですが」

乙哉「いーじゃん春紀さん強いし仲間増えた方が生存率上がるよ?」

春紀「それに搬入作業やってるあたしならおまえらをあの中に送り込むのは簡単なんだよなー」

鳰「むぅ…」

乙哉「鳰ちゃーん、利用できるものはなんでも利用するんでしょ?」

鳰「なんであんたはそう軽く言えるんスかぁ」

乙哉「だって春紀さんマジだもん、覚悟決めてる人は強いよ?今の春紀さんならチョキチョキしたいくらい素敵」

春紀「おいおい」

乙哉「だいじょーぶ、おねーさんに禁止されてるからしないよ?」

春紀「おねーさん?」

鳰「乙哉さんの上司ッス、この人これで宮仕えになってるんですよ」

春紀「へー物好きもいるもんだな」

乙哉「ひどくない?」




鳰「あのー」

春紀「なんだ?」

鳰「なんでウチと乙哉さんは梱包材と一緒に木箱に詰められてるんスかね?」

春紀「そりゃーノーリスクで潜入するためだ」

鳰「ノーリスク?」

乙哉「この状態はそれなりにリスクがあると思うんだけど?」

春紀「見張りに見つかる事はないだろ?」

鳰「まー確かに」

春紀「あたしがなかで使う工具とかをまとめて運ぶという体で送るから他人に開けられる心配もないから大丈夫だ」

乙哉「春紀さんくるまで箱づめのままだよね…」

鳰「…ッス」

春紀「大丈夫、大丈夫すぐに行くって」

鳰「いやーな笑顔…っていきなり蓋をしめないで?!」

乙哉「なんか端に釘打ってるみたいだけど!?」

春紀「ちょっとクレーンで吊るからしゃべってると舌噛むぞー?」

鳰「は?!」

乙哉「それ人間を運搬する方法じゃないよね!?」

春紀「地切りよーし」

鳰「なんか浮翌遊感が!?」

乙哉「心の準備がー!?」

春紀「お疲れさん」

鳰「」

乙哉「あやうく、密閉空間で二人もんじゃ焼きパーティはじめるところだったよ…」

春紀「梱包材汚れるのは困るな」

鳰「そこかよ!」

乙哉「あ、鳰ちゃんおかえりー」

鳰「絶叫マシンとかそういうのと違う次元のヤバさがあるッスね…これ」

春紀「ま、人運ぶの禁止だからな普通」

乙哉「鬼だよ、鬼がいるよ…」

鳰「ウチ、二度と春紀さんのアイデアには乗らないッス」

ミス
鳰「なんか浮翌遊感が!?」です

あーピーと一緒なんですねなるほど

ちょっと私用が入って書けなかった
せっかくラストまで来たのでもう少しペースあげたい…夜に書きます

~船内・倉庫~

春紀「ここは大丈夫だな」

鳰「あのー」

春紀「なんだ?」

鳰「なんで棚卸しをウチらまでやらされてるんスかね?」

乙哉「はっるきさーん!こっち終わったよー!」

鳰「あんたは順応早すぎッスよ!?」

春紀「仕事早く終わらせたらあたしもミーティングに参加できるだろ?」

鳰「まー春紀さんが仕事してる横でミーティングしてるのもアレですが」

春紀「ならさっさと終わらせよう」

鳰「なんか便利に使われてる気がする…」

春紀「いやー助かったわ」

鳰「いつの間にか作業着にまで着替えさせられていたッス…何を言ってるかわからねーと思うが…」

乙哉「作業員のふりすれば警戒されないからお得だよ?」

鳰「いやもうウチらほとんど作業員なんスけど…」

春紀「細かい事気にすんな」

鳰「うわーめっちゃいい笑顔」

乙哉「このポカリもらうねー」

春紀「おう飲め飲め」

鳰「まさか労働の対価がこれとは…?」

春紀「いやいや、この後の労働で返すからさ兎角さんのサポートすりゃいいんだろ?」

鳰「まぁ、兎角さんなら心配いらん気もしますが…兎角さんッスからね…お願いするッス」

乙哉「んじゃ、あたしは生田目ちゃんの方でいいの?」

鳰「ウチと一緒にモニタールーム制圧したらッスけどね」

乙哉「おっけー」

鳰(あれ?最初から手伝うって話だから対価になってなくね?)

春紀「そーいや」

鳰「これ以上はなんもしないッスよ?」

春紀「そんなに警戒せんでも」

鳰「で、なんスか?」

春紀「集会の時も目立ってたんだけどさ、外の見張りの半分くらい竜神会系のやーさんだったろ?なんか知ってるかと思ってさ」

鳰「んー…思い当たる事はありますが」

春紀「なんだよ?歯切れが悪いな」

鳰「キマイラって知ってます?」

春紀「?」

乙哉「危険ドラッグだっけ?」

鳰「それッス桐ヶ谷の話じゃ、あれはどうもダチュラで毒物研究してる際にできた失敗作らしくて」

春紀「失敗作が裏で出回ってるって事か?」

鳰「中毒性と連続使用による致死率がダンチだそーで、だいたい使用量オーバーで死んじゃうらしいッス。まさに魔の薬ッスね」

乙哉「死んでもいいから至上の快楽を味わいたいわけだねー」

鳰「ダチュラの方でも製造は禁止されてたらしいんスけど…」

春紀「一部の人間がヤクザと手を組んで密造して儲けてるって事か」

鳰「なんかあいつら三合会敵に回して右往左往してたッスから資金なんていくらあっても足りないでしょうし」

乙哉「なんか桐ヶ谷ちゃんの身辺とかじゃ片付かない問題になってない?」

鳰「ま、そっちは乙哉さんの上司とかに任せればいいッスよ」

乙哉「それ、あたしまたパシらされるじゃーん!」

~夕方・船物資搬入口~

兎角「……やっぱり納得できない」

千足「相手の申し出に乗りつつ裏をかくという方針上、仕方ないだろうあきらめろ東」

兎角「わたしは入口すら別なんてきいてない」

千足「賓客として呼ばれたのは一ノ瀬と柩だけ…私達はいわば客を楽しませるための道化役のようなものだから仕方ないさ」

兎角「おまえは桐ヶ谷が心配じゃないのか?」

千足「心配に決まっているさ、けど信じると決めたから」

兎角「…」

千足「一ノ瀬だってただ守られるだけの弱い娘じゃない…精神力なら私や君以上だと思うくらいだ」

兎角「…まぁ」

千足「走りだって、信頼できないところあるが与えられた自分の仕事はやりとげるだろう」

兎角「いちいち言わなくてもいい」

千足「…本当は一ノ瀬をエスコートしたいだけとか?」

兎角「ッ?!…そんな事はないぞ、パーティとかめんどくさいだけだ」

千足(少し同様したな)

兎角「おまえはどうなんだよ」

千足「そうだな、ドレスアップした柩をエスコートしてみたいとは思うが……ふむ」

兎角「何を想像してんだ」

千足「………うん、確かに少し心配になるな…変な虫が寄り付かないか」

兎角「…そうか」

見張り「お?あんたらがゲスト様かい」

兎角「そうらしいな」

見張り「やる気満々って感じだな…東ってのはおまえか?」

兎角「ああ」

見張り「じゃあいつに着いていってくれ」

ヤクザA「…来い案内してやる」

兎角「わかった」

見張り「生田目とかいうのはおまえか…おーいおまえ!」

ヤクザB「へい」

見張り「こいつの案内を頼む、中層エリアの…この部屋だ」

ヤクザB「ういっす、あお嬢さんよろしく」

千足「あ、ああよろしく」

兎角「ここで一旦お別れだな」

千足「健闘を祈るよ」

兎角「おまえこそ、わたしとの模擬戦しかしてないんだ気をつけろよ?」

千足「はは、東以上の相手なんてそうそういないさ」

兎角「だといいが」

ヤクザA「早く行くぞ」

兎角「急かすな」

ヤクザA「……ふん」

ヤクザB(兄いが眼力で気圧された…なんなんだこのガキ…)

なんか台詞読み辛くなっててすまん

~正面入口~

晴「柩ちゃんのはシンプルなんだね」

柩「まぁ、動き回りますからね…この綺麗な状態を千足さんに見せられないのが残念です」

晴「かわいいのにねぇ」

柩「晴さんだって、東さんに見せたかったんじゃないですか?」

晴「でも兎角さんってこういう姿見せてもあんまり反応してくれないんだよぉ」

柩「ああいう人は表に出さないだけですから、思ってる以上に効果はあると思いますよ」

晴「ならいいんだけど」

柩「大丈夫、ベタぼれです」

晴「ベタぼれですか」

柩「間違いなく」

晴「えへへ…」

~船内・ホール~

晴「…晴達、なんか場違いな感じがする」

柩「そうですね…他の人達はVIP待遇な方ばかりですし」

晴「何か知ってるの?」

柩「ダチュラのスポンサーやら組織の上位幹部の身内ばかりです…見たことない人は多分その身内とか友人なんでしょうけどいずれも富裕層でしょうね」

晴「へー、すごいねぇ」

柩「ぼく達は事が動くまで端っこでおとなしくしてるのが一番ですよ」

晴「んー、それじゃあここの食べ物はとりあえず安全?」

柩「はい、それにおそらくヤツらの狙いは…」

~船内・VIPエリア再奥~
オブト「あの女もわりとやるもんだねぇ…それともあいつらが自信過剰なのかね?ここまで素直に従うとは」

部下A「いいんですかい?あの方々に危害が及ぶような事があればボスの立場も…」

オブト「だーいじょーぶさぁ!問題ない!僕の計画は完璧だからねぇ」ククク

部下A「はぁ…それはなによりで」

オブト「しかし東のアズマの宣伝効果は抜群だねぇ、なかなか腰を上げないお歴々までショーを見たいと来てきれたよ」

部下A「裏の世界の有名人ですからね、例の黒組でも実力が圧倒的だから殺すまでもなく決着がついたとかいう噂も聞きやす」

オブト「まぁ、質より量で攻める事になったけど派手な立ち回りになってくれれば退屈はしないかな」

部下A「しかし、東相手なら蜘蛛の三幹部さんに出ばってもらう事もできたんじゃ」

オブト「あいつらはダメだ」

部下A「はぁ」

オブト「毒虫の四天王として僕への敬意がないようなのは信用できないんだよ?」

部下A(そりゃ実力で地位を得た三人とコネのあんたじゃ…)

オブト「何か?」

部下A「い、いえ…確かにあの、お三方がボスの指示に従うとは思えないですね、はい、自分の考えが浅はかでした」

オブト「ふん、わかればいい…おい」

部下B「はい」

オブト「あいつらは」

部下B「すでに配置済みです、命令さえ出せばすぐにでも生田目千足の首を持ち帰ると思われます」

オブト「くくく、双子の連携も久々に見れそうだねお客様も満足してくれるだろうさ」

部下B「はい、後は」

オブト「出港次第ジャミングをかけるのを忘れるなよ?」

部下B「はい」

オブト(これだけの人間が死んだらお祖父様もただではすまない…さて復讐をはじめようか)

~港~

社長「春紀ちゃんが帰ってきてないって本当なの?」

社員「はい、あいつまだ船の中にいるんじゃないかって」

社長「携帯は?」

社員「あの船には電波届かないみたいで…」

社長「そうなの?あれかしら…例の米軍輸送機のせい?厚木とか木更津にも来てるんでしょ?」

社員「あー、それですかね」

社長「まぁ、あの娘なら無事に帰ってくるとは思うけど…家族の方が心配するといけないから、なた連絡しておいて」

社員「了解しました」

社長「…無事に帰ってきなさいよ春紀ちゃん」

社長さんは裏の事情を知ってるわけではなく警備にヤクザもんが混じってるのに気づいて心配してるだけです念のため

~兎角side~

ヤクザA「つーわけだが、なんか質問は?」

兎角「ない。要は全員倒せばいいんだろ?」

ヤクザA「…ま、そうだが」

ん?そんなに引かれるような事は言ってないと思うんだが?
人を化物でも見るような目で見ないでほしいもんだ

ヤクザA「その扉の向こうに行ったらゲーム開始だそうだ。せいぜい頑張んな」

兎角「あんたはやらないのか?」

ヤクザA「冗談じゃねえ、こう見えて荒事は苦手なんだよ」

兎角「そうか」

ヤクザA「つーわけで、俺はここまでで引き上げさせてもらうぜ」

男が引き返したのを見送った後、わたしは扉のノブに手をかける

鳰や桐ヶ谷の話を聞くかぎりわたしは見せ物の主役だそうだからいきなり殺しにくるような罠はないだろうが一応は警戒しておこう
慎重に扉を少し開け、中の様子を確認する

ん?

なんだ?

人が数人すでに倒れているじゃないか

春紀「よっ!待ちくたびれたぜ兎角サン」

おかしい
いるはずのない人間の声がする

部屋を覗き込むと
寒河江春紀が部屋に置かれた木箱に腰かけてポッキーを食べていた

春紀「つーわけなんだけど」

兎角「おまえバカか?神長の言う通りそのカードキー届けて関わらない方が賢いだろ」

春紀「バカなのは黒組の頃から知ってんだろ?」

兎角「ここまで大バカだとは知らなかったぞ」

春紀「ひでえ言われようだな」

兎角「無駄に命を捨てるようなマネをしてればひどい言い方にもなる」

春紀「いやいや無駄じゃねーって、あたしがいりゃ兎角サンだって負担が減るんだからさ」

兎角「わたしは…別に」

春紀「実戦で数押しの相手とやりあった事ないんだろ?」

兎角「…まぁ」

春紀「なら無駄じゃないって」

兎角「そういうおまえはどうなんだ?」

春紀「仕事でドジ踏んで追いかけ回された事はある。面は割れなかったからたすかったけど」

兎角「それはダメじゃないか?」

~再奥~

部下A「本当に信用してよかったんですか?」

オブト「何が?…ん、あれか信用なんかしてないよ」

部下A「…何故あんな申し出を受けたんで?」

オブト「面白そうじゃないか」

部下A「はぁ」

オブト「あの女が何を企もうと僕たちには被害は出ないよ?金につられたバカ共がいくらやられてもかまわないだろ」

部下A「それは…そうかもしれませんが」

オブト「お客様も楽しんでるようだしねぇ」

兎角達の様子は無音ではあるが船内のカメラで撮影され来賓達への見世物として流されている
いきなり謎の女の乱入でギャラリーは盛り上がっている様子だ

オブト「何より興味もある」

部下A「東のアズマを殺せるという発言ですか」

オブト「ああ…本当かどうか見せてもらおうじゃないかじっくりとね」

~一時間前~

春紀は物陰に潜み、獲物を待っていた

まず最初に着た小柄な男を背後からワイヤーで締め上げて気絶させる
油断していたせいか、ほとんど抵抗もされず簡単に落ちた
次に入ってきた男に気絶した男を投げつけるという力技で怯ませて顔面に手甲で強化された拳を叩き込み沈める

所詮小手調べ用に選ばれた前座にすぎないチンピラ達は予定外の奇襲に動揺してまともに反撃もできずに倒されてしまった

春紀「おいおい、この程度で兎角サンとやりあうつもりだったのかよ…」

流石にあっけなさすぎて呆れるしかない

春紀「これ、なんとかって暴走族の連中のほうがまだ統制とれてるんじゃないか?」

そういや、あいつら集会には来ていたが何故かすぐに帰ったみたいだったがなんだったんだろう
まぁ、いない奴等の事はいいか
とりあえず船内の有線電話を使い上との連絡を取る事にしよう


『何者だ?』

まぁ、あのカメラからばっちり見られてるのはわかってたけどさ
一応、事務的なやりとりとかやんないのかね?
ま、手間が省けていいか

春紀「あたしはただの作業員さ、ちょっとばかり腕に自信がある。ね」

『なるほど、その作業員さんは何が目的でうちの兵隊に手を出したのかな?』

春紀「売り込むなら実力見せたほうが早いだろ?」

『ふむ、うちに入りたいと?』

春紀「いやいや、あたしは金だけ欲しいんだよね…東のアズマを殺ったらかなりの額がもらえるらしいじゃないか」

『ほう、あの集会には参加してたのか?』

春紀「いや又聞き程度だよ、ただ運良くあたしが働いてる船でやるみたいだったからね…ちょっと強引だけど参加させてもらうことにしたのさ」

『へぇ、そりゃ数奇な運命だね』

春紀「それにただ殺しても面白くも無いだろ?あたしに任せりゃ少しは盛り上げてやるよ」

『…いいだろう、それに君一人に負ける程度のコマじゃどちらにしても盛り上がりには欠けていただろうしね』

春紀「質より量って言ってもこりゃ酷いよ…まぁ、あたしは楽に認めてもらえてラッキーだけどさ」

『その幸運アズマを殺るまで持てばいいがね』

春紀「ま、見てなって…策はあるんだ」

『安心していい僕らは全て見ているからね』

春紀「はいよ…あ、そうそう」

『なんだ?』

春紀「あたしは金だけ欲しいんだわ、東を殺したっていう名誉?はそっちに譲るから適当に名乗っといて俺が東を殺したー!ってさ」

『ははは、おもしろいなおまえ』

春紀「そーかい?」

『いいだろう、君の望み通りにしよう』

春紀「ありがと、交渉成立だな」

『口先だけでないことを祈るよ』

~ホール~

晴「あれ…春紀さんだよね?」

柩「はい、あれ寒河江さんですね」

晴「…」

柩「そんな顔されてもぼくは何も聞いてませんよ」

晴「だよね」

柩「多分、走りさんの仕込みだと思うんですけど…東さんも何も知らないみたいですね」

晴「だねぇ」

画面の向こうでは春紀に何やら詰め寄っている兎角が写し出されていた

「あら、あんなかわいい娘達が今日の犠牲者なの?」
「楽しみですなぁ」
「あの小柄な娘がアズマらしいですわよ?」


柩(相変わらずですね…この人達は…)

~再奥~

オブト「さて、最初の相手は誰だっけ?」

部下A「ポイズントードとセンチピードのコンビです」

オブト「…誰だっけ?」

部下A「コードネームつけたのあなたなんだから忘れないでください」

オブト「…あ、デブとモヤシか」

部下A「他に言い様があるでしょうに…」

オブト「思い出したよあいつらも口先だけは強そうだったね」

部下A「ええ」

オブト「あの女とアズマの実力見るにはいい相手なのかねぇ」

部下A「だといいですね」

~下層エリアの一室~

志摩「始まったみたいだね」

千代「こんな奥でいいの?ぼく達に出番こないかも」

志摩「安心しな、どうもあいつも来てくれたみたいだし確実にここまで来る」

千代「…まさか志摩ちゃんも第六の目に目覚めて未来視を…」

志摩「ねーよ」

千代「じゃあ、なんでわかるのさ?」

志摩「チンピラにゃホンモノの相手は務まらんからさ」

千代「ホンモノか…ふふふ」

志摩(変なスイッチ入れちまったか)

千代「ホンモノ…僕の漆黒の波動が真に目覚めるにはやはり東との宿命に彩られた黄昏の聖戦が…」

志摩(設定が甘いんだよなァこいつ…いや、変につっこんで趣味がバレたらまずい)

千代「ん?どうしたの?」

志摩「いやなんでもない」

~兎角side~

春紀「それじゃ開けるよ」

兎角「ああ」

カードリーダーにカードを通すと赤色のランプが緑に切り換わり扉のロックが外れる
開いた扉の向こうには

ひょろ長い痩せ型の男と太った背の低い男がいた

春紀「どっちにする?」
兎角「右」
春紀「OK」

短いやりとりの後、寒河江とわたしは自分の相手に疾走する

太った男「貴様が東か?俺はポ…」

何か言ってるようだが関係ない
助走をつけて飛び上がるとそのまま相手の顔面目掛けて蹴りを放つ

反応が遅れたのか無防備な顔に足が突き刺さり
鼻から盛大に血を噴きながら男は仰向けに倒れた



ポイズントードは名乗る事も出来ずに退場した

痩せた男「なんだ?おまえ?東はひと…」

無駄口叩いてる暇があるなら腰のナイフを抜けばいいのに…
まぁ、これから長いんだ雑魚相手に手加減なんてしてられねぇ!

ダッシュでついた勢いそのままに動揺する痩せ男の顔面に右ストレートを叩き込む

痩せた男「ぷぎゃ!?」

前歯数本と血を撒き散らしながらぶっ飛んでいく痩せ男はそのまま壁にぶつかって動かなくなる


センチピードもまた名乗る事も出来ずに退場した

…準備運動にもならなかった

倒れたまま動かなくなった男の生死を確認する
よかった生きてる
打ち所が悪くて死んだりされたら大変だった
こんなので殺人処女卒業とかしたくないしな

春紀「相変わらず小柄なわりにいい蹴りするよなぁ」

兎角「おまえもな…というか、前に戦った時より強くなってないか?」

春紀「ま、暗殺やめようが鍛えるのまでやめる必要はないしな」

兎角「確かにな」

春紀「実は、前の会社でさ」

兎角「長くなるか?」

春紀「そこそこ?」

兎角「じゃ、今度聞く」

春紀「それ聞く気ねーよな」

~再奥~

オブト「あいつらダメじゃないか!?」

部下A「そうですね、でもあの女の方は使えそうですよ」

オブト「…そうだな、あの女のほうは強いみたいだな、うん」

部下B「双子から、まだ動かなくていいかと連絡が来ていますが」

オブト「待機だ、生田目の方のゲームを始めるのは早い」

部下B「了解しました」

オブト「そーいやあのベラのやつは?」

部下B「どこかに潜伏中かと」

オブト「まったく、困ったやつだな…一応は僕の下についている事になっているだろうに…」

部下A「そういえば…神長とかいう女は?」

オブト「船酔いでダウンしてとなりの部屋で寝てる」

部下A「それは…大変ですね」

~ホール~

?「あのキック痛いんだヨネー」

?「下に行く準備が出来たそうだ」

?「仕事が早いネ」

?「入り込ませたうちの構成員がうまく手引きしてくれている」

?「ワタシの服と銃も」

?「ああ、部下達が用意してあるから下に行きがてら受け取れ」

?「OK」

?「香主からの仕事を最優先だと言うことを忘れないでくれよ」

?「ハイハイ、任せといてヨ」

~?~

乙哉(ねー鳰ちゃん、そろそろやっちゃっていいよね?)

鳰(まだっス、相手の切り札が見えないうちは退路を絶つために準備は念入りにやらないと…)

乙哉(げんじゅつなんてその刺青ぱーっと見せちゃえば終わりじゃないの?)

鳰(…そんな単純な話じゃないんスよ、これは)

乙哉(めんどくさいなぁ…)

~エレベーター前~

ヤクザA「今は使用禁止ださっさと戻れ」

?「だ、そうだけど?」

?「…任せる」

?「OK♪」

ヤクザA「…何を言って…ッ!?」

いつの間にかドレスの女の左手の出現した銃が眉間につきつけられていた

パスッ

乾いた音の後に男の背後に咲く赤い花

?「あ、扉汚れちゃった…」

?「…さっさと行け」

?「行かないノ?」

?「俺が行く必要あるか?」

?「…無いネ」

~再奥~

オブト「なんだ?」

双子(姉)『ますたー えれべーたーが むだんでしよう されていますが』

オブト「へぇ?」

部下B「…三合会の連中が何かしているようですね」

オブト「奴等は何を?」

部下B「来賓のいるエリアから一人下に下ろしたみたいで」

オブト「こっちには来ることはなさそうかい?」

部下B「はい」

オブト「そうか……えーっとおまえは気にするな問題ない」

双子(姉)『わかりました』

オブト「そうそう、もう少しで出番だから手筈通りに頼むよ」

双子(姉)『はい』

部下B「本当にいいんですか?彼ら、私達の直属ではないとはいえ一人殺してますが?」

オブト「下に行く分にはかまわないさ」

部下B「…はぁ」

~下層エリア兎角side~

何部屋か進んだが、相手は数人のチンピラばかりで寒河江とわたしを苦戦させるような者は今のところ出てきていない

しかし、なんだろうな
この嫌な感じは

春紀「どうした?兎角サン顔青いぞ?」

兎角「いや、特に何かあったわけではないんだが」

春紀「なぁ兎角サン、酔い止め飲んできたか?」

兎角「酔い止め?船酔いなんてしたこともないからな」

春紀「…マジか」

兎角「驚くような事か?」

春紀「いや、普段酔わなくてもこんなところで動き回れば」

?「酔いもするよなぁ」

奥の部屋から女の声がする次の番人か

志摩「東のアズマって言ってもさ、所詮は長野の山育ち沖に出た船で動き回ればご覧の有り様ってね!通気の悪いここならなおのことさね」

千代「これが狙いだったの?わりと姑息じゃない?」

志摩「うるせ…ま、おまえが相手じゃハンデとしちゃ不足だろうけどね」

千代「失礼な!僕の闇の力に刮目せよ!漆黒の刃、我が鎌が東方より来たる鬼神を狩る姿を!」

けったいな格好した女が意味がわからない事を言っている
ウザい

春紀「なんか…ご指名みたいだけど?いけるか?」

兎角「…大丈夫だ、あんなのには負けない」

千代「ふふふ…あんなの呼ばわりとは恐れを知らぬな東よ!僕の能力(ちから)を見て戦慄するがいい!」

志摩「どっちが恐れを知らないんだか…ハァ」

春紀「で?あんたはあたしの相手って事でいいのか?」

志摩「そういう事さ寒河江春紀」

春紀「あたしを知ってるのか?」

志摩「そりゃ、もう…あんたがあたしを差し置いて黒組参加したんだ忘れたくても忘れられないさ」

春紀「チッ…あのばあさん柄みかよ」

志摩「そーゆう事だ理解したなら始めようか、たのしいたのしい喧嘩をね!」

あーミョウジョウ制服のちたひつかわいいよぉ…


ごめんねいちゃいちゃどころか別行動にしてごめんね…

ようやくまとまってきたんで船酔いポンコツ暗殺者vs厨二病のただの一般人によるリドル史上でも一番へっぽこな戦いが始まるかも

千代「ふふふ…」

志摩「あ、始まったか」

春紀「何が?」

千代「私は漆黒の堕天使!八人の悪魔最強の存在!さぁ東よ!その命を我が贄として捧げるがいい!」

兎角「…」

千代「口もきけぬか無理もない…そもそもその不調も我が力で精気が吸われたからに他ならぬのだからな…」

変なポーズを決めてくっくっくと笑うゴスロリ女
かなりウザい

志摩「あれが千代の悪魔モードだ…ああなると普段の倍はウザくなる」

春紀「強さは?」

志摩「変わるわけがねーだろ」

春紀「ああ、そう」

千代「立っているのも辛いのだろう!?ならば手早く終わらせてやろう!」

大鎌を袈裟斬りに振るうゴス女
腕力はそれなりにありそうだ…が

スカッ!

紙一重どころかかなり距離が離れたところを刃が通過していく…
空を切ったせいで勢いそのままにくるくると回転している
が、回転の勢いを利用してさらにもう一撃を繰り出してくる!

のだが

スカッ!


五歩先くらいの位置を刃が通過していく…
なんなんだこれは?
わたしは一歩も動いてないんだが…

千代「ふはははは!流石は東よ!我が連撃をかわすとはな!?」

兎角「いや…何もしてないんだが?」

千代「なん…だと?あれか東の力で私の間合いを狂わされているというのか!?」

兎角「いや、そんな力無いんだが?」

千代「…過ぎたる謙遜は嫌味だぞ?東よ…いいのだ!貴様の力を言い当ててしまった私の魔眼の力を恐れているのだな!?」

どうしようウザい
こいつめっちゃウザい
ちょっと本気で殴りたくなってきた
だが、体がうまく動かない…
体調が悪いというだけではない…
このウザい女…

晴に匹敵するくらい日向の匂いを纏っているのだ

千代「ふふふ…力を使いすぎたのだな、顔色が悪いぞ?」

兎角「おまえの話聞いてると気分が悪くなるからな」

千代「ふむ…どうやら無意識に言霊の力まで解放していたようだな…東、恐ろしいやつ私にここまでやらせたやつはいない、ぞ?」

兎角「…そうか」

何を言っても無駄なようだ…困ったなナイフ投げたら殺しちゃいそうだし
かといってあの鎌をすり抜けてあいつを潰すのは今のわたしには厳しい気がする

寒河江の相手は…強そうだな援護は期待できないか

さてどうする?


千代「神々の黄昏(ラグナレク)!」

飛び上がりながら鎌を振り下ろすゴス女
半歩下がるが…今度は横にかなりズレて鎌が床に突き刺さる

千代「ん!にゃああああ!」

無理矢理引き抜くと今度は横凪ぎの一撃を繰り出してくる
うん今回はよかったぞ二歩先くらいまで刃が来た

とか言ってる場合じゃないな…こいつ身体能力だけはわりと高いぞ

千代「ふふふ…今のは少し驚いた…鎌が抜けなかったらどうしようかと思った…ぞ」

兎角「…抜けて良かったな」

千代「あ、うん、ありがとう」

本当になんなんだよこいつ!?
わたしの戦意を削ぐために連れて来たのだとしたらくやしいが大成功だぞ

千代「…あー、こほん……ふはははは!東よ次こそ貴様の体をこの魂の狩り手(ソウルスティーラー)が切り裂くであろう!覚悟せよ!」

ビシィ!とポーズを決めるゴス女
名前今考えたよな?さっきまでそんな名前ついてなかったよな?

とはいえ、こいつの鎌は当たったら本当に致命傷になりかねない…どうする?
もう一度床に鎌を刺させてその隙に倒すか?

……あれ?あれは…

~船内中層~

ヤクザB「出番だ」

千足「ん、ようやくか」

ヤクザB「随分と余裕だな」

千足「休めるときには休んでおかないとね」

ヤクザB「そりゃ、そうだが…」

千足「で?私はどうしたらいいのかな」

ヤクザB「あの先にエレベーターがある、番人を倒したら好きな方に加勢に行けるってわけだ」

千足「番人か」

ヤクザB「ああ、主催者側のヤバイ奴等らしい」

千足「奴等、か」

「双子と戦う時は絶対に同時に相手にしないでください!誰かと組んで当たるか、逃げて狭いところで一人だけを相手にするようにしてくださいね」

柩がこんな事を言っていたけれど…さて…


エレベーター前のスペースに銀髪の少女が並んで立っている

悪い予感は当たるものだな

双子(姉)「ごきげんよう みす なまため」
双子(妹)「これより あいてを させていただきます」

双子「あんしんしてください われらのしめいは」

双子「じかんを かけて あなたを なぶりごろしにする こと です」

棒読みで物騒な物言いをするなこの娘達は…さてどうするか…

~下層エレベーター前~

?「貴様が…例の」

?「そうだヨ、ワタシの荷物は?」

?「ほら、これだ」

?「OK、ちょっとお色直しネ」

?「…香主は何を考えているんだ…あんな金髪女に任せずとも我らで充分でだろうに…」

~ホール~

晴「どうしたの?柩ちゃん気分わるいの?さっきからハンカチ口にあてて休んでるけど」

柩「いえ、そうじゃないんです…その、ごめんなさい」

晴「え?」

カクン

急に膝に力が入らなくなる

晴「あ、れ?」

周囲を見ると他の客達も崩れ落ちるように倒れて動かなくなっている

柩「この部屋の空調から少しづつ誘眠ガスを流し込んでいたみたいです」

晴「…どう、して…」

柩「あの娘とはぼく一人で話たかったんです…本当にごめんなさい…」

晴「…そっか…なら、仕方な、いね…」

耐性があるとっ言っても完全に防ぎきれるわけでもないんですよねこれ

千足さんの方と同時に始めるあたり趣味の悪さが出てますね…あの天パーワカメめ

某所で千代ちゃんのイメージ聞いたらしえなちゃんクラスという意見が多数だったのでこんな感じになってしまいました

志摩vs春紀はガチバトルです

~兎角vs千代~

兎角「すごいな、それだけ長物振り回してまだ動けるのか」

千代「ふ、ふふふ…私、は、悪魔だからな、当然なのだ…」

息を調えながら鎌を構え直すゴス女
ウザいだけだと思っていたので、少し感心している
まぁ、一回も決定的な攻撃はきていないんだが

千代「しかし…この私の力を持ってしても捉えられぬとは…かの触れえざる者なのか?東というのは」

兎角「多分、違うと思う」

千代「ふむ、自覚がないだけかもしれぬ…さて我が力、この体でどこまで解放したものか…」

さっきまでのただ振り回すだけの攻撃は無駄だとようやく悟ったようだ…悟ったよな?
しかし、こいつ何なんだ
物騒な物振り回してるくせに殺意がないし、汗のせいか日向の匂いが強くなってきて反撃する気力がどんどん削がれていく
そろそろこっちも決めないと思わぬところで怪我をしかねない

千代「顔色が悪いぞ東、そろそろ私に倒されて楽になれ」

兎角「それもいいかもな」

千代「何?」

わたしは首のあたりを指差してここを斬れと挑発する
バカにしたような笑みを浮かべて…いるつもりなのだがうまく笑えているかはわからない

千代「首を落とせとは…死ぬつもりか?いや…東ならば首だけで動く事も可能なのか?」

ない。それはない
東のアズマは別に妖怪の類いではない

兎角「怖いのか?」

千代「ほざいたな!東!私の本気の一撃を!神をも殺すこの!断罪の力を!」

大きく振りかぶるゴス女
わたしはさっき拾った梱包用のガムテープ(未使用品)を額目掛けて思いっきり投擲した

千代「きゃいんっ!?」

ぱこーん!と小気味いい音を響かせてガムテープが命中した
ゴス女は目を回しながら仰向けに倒れてそのまま気絶した

兎角「…疲れた…」

~春紀vs志摩~

志摩「なぁ、寒河江」

春紀「なんだ?」

志摩「ちょっとした挨拶代わりだ、受けるか?」

ハンドポケット
なんつーか、こいつ雰囲気から感じてたが、わりと古風なヤンキー染みたところあるみたいだな

春紀「…女同士でやるか、それ?」

志摩「別にやらなくてもいいんだぜ?」

春紀「…あんまり目立つ怪我とかしたくないんだけどなぁ…」

ため息をついてみたものの、内心乗り気になってきている
実のところこういうケンカは嫌いじゃない

志摩「【総長】粟津志摩、いっちょ根性しめさせてもらいます!」

春紀「寒河江春紀だ!かかってこい!」

春紀、志摩「うらぁ!!!!」

とくに示しあわせたわけでもなく名乗りを挙げた二人はそのまま勢いよく頭をぶつけ合う
頭突きのみの勝負
いわゆる昭和のヤンキーの根性試しである

志摩「は、やるじゃねえの」

春紀「…ってぇ、おまえもな」

お互い笑いながら額の血を拭う
何度か繰り返された頭突き合戦は引き分けに終わった

志摩「ぶっ倒れるまでやるのも悪くないんだけどね」

春紀「そりゃ勘弁だ、あんまりやりすぎると冬香に心配かけちまう」

志摩「そーかい」

ポケットから出した手にはブラスナックルが握られている

志摩「それじゃ入院くらいで勘弁してやるよ」

春紀「いやいや、入院代とか払えないっつーの」

志摩「そりゃかわいそーだ…な!」

不意に繰り出されるハイキックをバックステップで避けつつ足先を手甲で受け流す
少し揺れるせいで反撃しようにも体勢がうまく整わないのが惜しまれる

ちょっとおまけ

~なんで船酔いしないの?~

春紀「毎日、船上作業で慣れた。初日は悲惨だったけどなじわじわくるんだあれ」

志摩「乗り物には強いんだだあたし」

千代「悪魔が酔うわけないじゃない」←思い込みの激しさLvMAX


どうでもいいけど瞬殺コンビは歌舞伎町のぼったくりバーの用心棒という設定

お詫び

船の特性上、客船クラスだと安定してよほどの事がない限り体勢崩れるほど揺れません(東京湾内なら尚更)
揺れをほとんど体感しないため油断してた兎角さんが無意識下でストレスを感じて酔うという流れをプロット作ってた頃より時間が空いてすっかり忘れて書いてしまうというミスをしてました
春紀vs志摩戦の揺れも普通じゃ起きないんです


おまけの春紀の体験話は船の大きさが異なるのと作業による緊張感とか環境の関係です

春紀vs志摩


クソ!まずいな、これ
相手の武器は両手のナックルダスターナイフ…伊介様が使用している物とナックルのスパイクと刃の形状がやや異なるがほとんど同じである
当たれば致命傷になりかねないそれを手甲で受け流しながら反撃の機会を狙っているのだが…

伊介様より荒っぽいけど一撃が重いな
刃による攻撃はともかくナックルの打撃は手甲でも衝撃を消せるわけではない
じわじわと腕が痺れてきている
蹴りでも入れてやりたいが足を斬られたらそこで終わってしまう
ゆえに焦れた相手が決めにくる一撃に対してカウンターを狙っているのだが…

左右から絶え間なく繰り出される拳はまるで疲れを見せない
それどころか次第に速度を増しているように感じるほどだ

志摩「まるでサンドバッグじゃねえか!なぁ寒河江よぉ!?」

楽しげに話かけてきやがるなこいつ…まだまだ余裕かよ

春紀「ルーキーに攻めさせてやる先輩の余裕だっつーの」

志摩「はっ!言うじゃねーの!」

いやいや何強がってんだよあたし
動きにゃなれてきたが手甲よりも先に腕がイカれそうだぞ!
どうすっかなぁ…多少のリスクは覚悟して無理矢理にでもカウンター入れるか?
斬られる場所次第じゃいきなり詰みかねないが、このままだと確実に負けそうだしな…少しガードに隙を作って相手の必殺の一撃を誘い出す。か…

志摩「ちっ!」

と思った矢先、バックステップで下がる志摩

志摩「…こういう根比べも悪くねえと思ったんだけどよ」

いきなりナックルを外して捨ててしまう
何だよ?何がしたいんだ?こいつは

志摩「ほんの少しだけどさ、やりあってわかったんだよ…アンタは久々にただのケンカを楽しめそうな相手だって…さ」

春紀「ただのケンカね…さっきまでの恨み言はもういいのかい?」

志摩「ああ?それな。どーでもいいや、勝ち負けとかももうどーでもいい…もう、直にさぁ…こいつで殴りあわないとおさまらねぇんだよなァ…」

狂気じみた笑みを浮かべて志摩が構える
なんだこいつ刃物が無くなった分楽なはずなのにヤベー気配ビンビンなんだけど?

志摩「シャアッ!!!!」

早い!?両腕をクロスして防ぐが想像より重い一撃に後ずさる
志摩の右の拳から出血してるがまったく動きに淀みがない
拳に気をとられた一瞬をついて左の拳があたしの脇腹を捉える

春紀「がッ!?…ふっ!」

ってぇ!なんだよこいつ!さっきまでと別人みてえな動きしやがって…

志摩「ようやく当たった…」

ヘラヘラと笑う志摩
確かに今のはいい一撃だったが…油断しすぎだ!
動きの止まった相手の顔面に容赦なく拳を叩き込む!…が

志摩「っらぁ!」

打撃が伸びる前に額で受けて来やがった!?
頭突きの時の傷をさらに広げながらもこっちの拳にダメージを与えてくるクソ石頭

春紀「…ってぇな」

志摩「カウンターなんて予想済みだボケナス」

春紀「血ぃダラダラ流して言ってもかっこつかねーぜ?」

志摩「頭に血がのぼりやすいからな、調度いいんだよ」

春紀「…そうきたか」

よくないな…これ
ちょっと楽しくなってきた

そもそもあたしはこいつからノーダメで勝てるほど強くないんだよな
先があるとか、身内に心配かけたくないとか余計な事考えてるから思いきりのいい相手に翻弄されてるところもあるんじゃないだろうか

下らないことを考えるのはやめよう
怪我したら鳰にでもたかればなんとかなるだろ


~モニタールーム~

鳰「へっくし」

乙哉「なーにー鳰ちゃん風邪?」

鳰「いや、なんか寒気が」

志摩「考えごとは終わったかい?」

春紀「あんたも血は止まったか?」

志摩「頭に血が上りやすいからこれで調度いいってね」

春紀「そりゃよかった…さーて本番いきますか!」

志摩「はっ!一撃入れたらむしろ元気になりやがったかい」

春紀「クッソ痛いけどな。おかげで目ぇ醒めたわ」

志摩「口が減らねえ女だな」

~side志摩~

会話が止まる

どちらが先という始まりではなかった
同時に前に出ていた
間合いを探ろうともしない
いきなり全力でぶつかりあったのだ

捻りをあげてぶつかり合う四つの拳
肉と肉がぶつかり合い激しい音を奏でていく
型のないただ暴風のような攻撃
だが春紀の顔にはまだ一撃も入ってはいない
腕や肩の筋肉が全ての攻撃を受けきっていた

そうだ!これだ!渇いた体に水が染み渡るような満足感に満たされていくのを感じていた

総長となった自分を怖れてロクなケンカもできなくなり
餓えを満たすためにババアの誘いに乗って暗殺なんてものに手も出したが懐が潤うだけで
この飢餓感を満たすものはまったくなかった

だが
今はそれがここにある
全身が全細胞が震えている
ただ殴り合うという事に歓喜している

さぁ、楽しもうぜ寒河江春紀
おまえの力はこんなもんじゃねえだろ?

~side春紀~

恨み、つらみだ、殺すだのないただの殴り合いなんて久しぶりだな
こういうのも悪くない

しかし、いい加減ダメージも蓄積されてきている
だが退がるわけにはいかない
退いたらもっとパンチを受ける事になる
少しづつ前へ出る
じりじりと間合いを詰めつつ
ローキックを繰り出す

三発ほどローキックを入れたがこの女、まるで怯まない

なんつータフさだ
けど悪くない…こんな時だが楽しくなってきた

二人は気づいていない
この殴り合いが始まってからずっと互いに笑みを張り付かせたままだという事に

不意に志摩の脇が開いた
焦れて大振りのパンチを繰り出そうというのか

悪いがいただくぜ!
春紀の左拳が志摩の右脇に突き刺さる
ミシリという感触が伝わってくる

しかし志摩の笑みは崩れない

志摩「バカがかかりやがった!」

その声が聞こえた時には春紀の顔面に降り下ろされた拳が叩き込まれていた

肋を折ったと確信して一瞬できる隙をついて全力で殴り付ける
勝ちが見えた瞬間こそ相手は脆くなる
正気とは思えない作戦を志摩は実行したのだ

凄まじい衝撃の後、体が横倒しに倒れた

何が起こったのかわからなかった
ただ口の中に充満する鉄のような臭いと凄まじい痛みで自分が殴られた事を理解した

もし春紀の一撃が後少しでも軽ければ志摩の拳の威力は落ちずにそのまま意識を刈り取り戦いは終わっていただろう

よろよろと立ち上がる追い討ちは来ない

春紀「なんだよ…随分紳士的じゃないか」

志摩「せっかく楽しい殴り合いだあっさり終わらせてもつまらねえだろ?」

しかし実際は追い討ちしなかったのではない
できなかったというのが正解だ
肋への一撃だけではなく三発のローキックのダメージで走り込む事ができなかったからだ

春紀「三本逝ったか?」

志摩「いんや二本だ」

春紀「マジか、三本持っていったと思ったんだがな」
志摩「あてが外れて残念だったな」

春紀「あんまかわんねーだろ」

さっきの一撃ヤバかったなぁ
無意識に首をまわして威力を殺したのと、下手に踏ん張らずに倒れたために致命傷は逃れた
下手に踏ん張ろうなんてしていたら歯の数本、いや顎の骨もどうなっていたか…

しかし、相手の動きも殴りあっていた時とはあきらかに鈍くなっている

ローとか思いっきり入れてやったもんな…
あれが効かなかったらお手上げだわマジで
しかし、まいった
相手にローが効いてきたように乱打を受けていた両手が痺れてきている
一回集中が切れたせいか全身に疲労と痛みが一気に襲いかかってきたようだ

まったく、これで終わりじゃねえってのに…どうすっかな…

しかして決着は意外な形であっさりと着いた

志摩の背後に山崎千代を倒した兎角サンが現れたからだ

兎角「…悪いが、見守る義理はない」

ナイフを突きつけられた志摩はあっさりと手を挙げて降伏の意を示す

志摩「…千代がやられるまでにキメれなかったあたしの落ち度か」

春紀「わりとあっさりだな」

志摩「あの一撃で終わらせられなかったんだ悔いは残るが納得はしてるのさ」

春紀「あんなカウンター?初めてだったよ」

志摩「骨まで斬らせて命を絶つってね」

春紀「頭おかしい」

志摩「うっせ」

志摩「あーそうそう気を付けろよ」

春紀「何が?」

志摩「この先から内装も相手も変わるからさ」

兎角「どういう事だ?」

志摩「あのワカメヘアーとつるんでる竜神会系の奴等がいるんだよこの先の番人役でね」

春紀「そういや今まで出てこなかったな」

志摩「あいつらは待遇が異なるみたいだから奥の部屋も広くなってるし人数も桁が変わるみたいだよ」

春紀「げ、おまえとマジでやりあうんじゃなかった…」

志摩「あたしだってあうつらのアシストになるようなマネはしたくなかったけどね、まぁあんたがあんまり美味そうだから仕方ねーよな」

春紀「兎角サンも本調子じゃねーってのにどうすんだよ…」

~VIPエリア・再奥~

オブト「なんだ、わりとやるじゃないかあの二人組」

部下A「東の動きも何やら鈍ってるようでうまく消耗してるようですね」

オブト「いやぁ、残念だなぁ!せっかくの処刑シーンをギャラリーに見せられそうになくて」

部下A「流石にこの後に控える…あのボス?」

オブト「ん?どうした?」

部下A「あの…これ…」

オブト「………おい!どうなってるんだよ!?これぇ!!」

部下A「いや、俺に言われても…」

オブト「…いや、いい、あれが東達を殺るなら、結果は同じだ…うん」

部下A「はぁ…」

オブト「おい!おまえ!」

部下B「はい」

オブト「念のためにエレベーター止めとけ」

部下B「よろしいので?」

オブト「いいからやれ!」

部下B「了解しました」

~中層・エレベーター前~

千足「くっ!」

バックステップで部屋の外に下がる
双子は部屋の外までは追ってこない

「わたしたちのやくわりはここのししゅ そして あなたをなぶりごろしにすること」

という事で、部屋から出ると彼女達は元の配置に戻ってしまうのだ
正直バカにされているようで腹が立たないわけじゃないのだが
もし、相手が本気ならこれまでに三回は殺されている

柩がしてくれた忠告は本当だったんだと思い知る
一人、一人ならば苦戦はしても勝てない相手ではないのだが二人揃うと別物になる
連携というよりは一人の人間が分身しているかのような隙の無さ
ナイフとレイピアのリーチ差のおかげでなんとか捌いているようなものだ

双子(姉)「…ほんとうならあとごかいはころせている はず」
双子(妹)「そうていよりも はやいですね」

千足「誉められていると受け取っていいのかな?」

双子(姉)「こうていです あなたの のうりょくは そうていよりもたかい」
双子(妹)「かてごりーびー から かてごりーえー へとにんしきをかえるひつようがあるとおもわれます」

千足「それはどうも」

東が来るまで時間を稼ぐというのも考えたがモニターを見る限り苦戦しているようで期待はできない
切り札はあるものの、間合いが狭いため確実に倒せる状態で出さなければこちらがやられる
さて
どうする

双子(妹)「すこし ほんきを だしていいですか?」双子(姉)「そうですね はんのうをみておきましょう」

千足「何を…ッ!?」

一瞬、何を言い出したかわからなかった
気づけば銀髪の少女は目の前にいた
速い!
振り上げられたナイフをなんとか受け流そうとするが二の腕あたりを切り裂かれる

あぶない…防刃効果のあるインナーを着ていなければ腱まで斬られていたかもしれない

双子(妹)「これは?」
双子(姉)「それなりの たいさくは してある ようですね」

肉を斬るに至らなかった感触に違和感に首を傾げる少女とは対照的に様子見をしている方は気づいているようだ
だが、そう何度も切りつけられては保ちはしないだろう

双子(姉)「かおを ねらいましょうか いえ それでは しんでしまうかも」
双子(妹)「ゆびを おとしましょうか」

棒読みで物騒な事を淡々と言われるのは怖いな

ドーピングで身体強化されているとは聞いていたが
これが本来のスピードという事か…
しかし体にかかる負荷も大きいだろうからそう長くはもたないはず…

などと考えている間に

ジャッ!!
風を切る音とともに蹴りが飛んでくるのを慌てて避ける

双子(妹)「おや かわされた?」
双子(姉)「おおぶりすぎです いきおいをつけるのは」

双子(姉)「わるくないの ですが」

不意に声が近くなった気がした時には

ドン!

腹部に衝撃が走っていた

千足「かっ…はっ!?」

いつの間にか懐に入り肘打ちを入れられていた
拳法の頂肘とかいう技だったか?

双子(姉)「こうげきは やはり さいしょうげんのうごきで こうかてきに ね?」
双子(妹)「みごとです」

いつの間に?
などと考えている隙はない
すぐに体勢を立て直さないと…

双子(姉)「そして おいうち」

少し下がった顎に掌底を叩き込まれる

千足「…がっ!」

双子(姉)「も わすれないように」

意識が飛びそうになるのをなんとか耐える

一瞬、もう一人に意識を向けたこの時しかない!

私はのけぞりながらも隠し持っていた東のナイフを取り出し切りつける

双子(姉)「あ」

油断していた少女の左目のあたりに赤い筋が走り
血が吹き出す

双子(妹)「ねえさん!?」

双子(姉)「きずはあさい だいじょう あ」


双子(妹)「うああああ!」


初めて聞く血の通った感情のある声
ナイフは当てたもののふらついて倒れてしまった私が起き上がろうとして見たものは
悪鬼と化した少女の姿だった

双子(妹)「ころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころす」

凄まじい殺気を出しながらゆらゆらと歩いてくる

双子(姉)「わたしは だいじょうぶ だ おい もどれ」

姉の言葉も届いていないようだ…
まずい

ドン!
ドン!

不意に天井のあたりから音がする

部屋の奥にあるモニターが消えたと同時に
せまってくる少女と私の間に天井の板が落ちてきた

テレレッ
\シグナルバイク!ライダー!/

?「追跡!惨殺!いずれもぉマッハ!」

?「仮面ライダァ!マッッハァ!」

双子(姉)「」
双子(妹)「」
千足「」

そして作業着に変身ベルトをつけた武智乙哉がポーズ着けながら下りてきたのだった

初の給料で買ったマッハドライバーのお披露目と
久しぶりに女の子をチョキチョキできるのでちょっとテンション上がりすぎな感じ

文章が拙すぎてなんか書きたい事の百分の一も伝わってない気がするけど
エタるよりは良いと割り切って書いているので脳内補完をお願いします

武智さん乱入させといて別の場面に移していくスタイル

~ホール~

どうやら誘眠ガスも薄らいできた
この場で動けるのはもはや自分だけのようだ…となれば

柩「そろそろ出てきてもいいんじゃないですか?」

扉が開き、人形を抱えた女が入ってくる
やけに似てるのがなんか気持ち悪い

No300「随分と強気じゃないですかオリジナル」

柩「…」

No300「どうしました?ぼくに」

柩「黙っててくれませんか?模造品は」

No300「何を…」

柩「ぼくが話たいのはあなたじゃないんです」

No300「はぁ?」

柩「それが演技なのか、生み出された別の人格なのかはわかりませんが…声真似までして正直気持ち悪いです」

No300「な、なな」

柩「ダメですよ?エンゼルトランペットの真似をしたいならもっと余裕を持ってくれないと…情けなくて涙が出ちゃいます」

No300「なんなんですか?この前はあんな醜態を晒しておいて!そんな上から目線で!」

柩「あぁ、そんな事もありましたね…ありがとうございます」

No300「はい?」

柩「おかげで目が覚めました」

No300「なんなんですか!なんでそんな笑顔ができるんですか?!毒も使えなくなったあなたはただのガキじゃないですか!」

柩「そうですか?ならなんでそのただのガキ相手に」

柩「怯えているんですか?」

柩の指摘で初めて自分が後ずさっている事に気づいてNo300は動揺する

柩「どうしました?」

No300「…もういい…」

柩「はい?」

No300「まずは!あなたを動けなくしてから!」

ニードルガンを取りだし構える

柩「ダメですよ?」

柩は微笑みながら何かを地面に叩きつける

閃光が視界を塞ぐ

No300「フラッシュグレネード?!」

柩はそのまま間合いをつめて手に持っていたくまのぬいぐるみ(普段とは違うデザインのもの)の足をつかんで振り回す

それはブラックジャックやサップなどと呼ばれ古くから暗殺の道具として用いられてきたもの
シンプルかつ安価で手に入る鈍器

ようは砂の詰められた革袋である

一見ただのぬいぐるみだったそれは
頭部に砂や石をつめてある凶悪な鈍器なのだ


柩「ふっ!」

踏み込みながらNo300の持つ人形目掛けてそれを振り下ろす

ガシャン!

という音を立てて人形の頭部から上半身あたりが砕け散る

柩「確かに、ぼくはただのガキにすぎませんけど…」

柩「素人物真似に負けるようなやわな訓練つんでないんですよ?」

No300「……あ、あ、あ…」

視力はまだ戻らないが軽くなった手元で
何が起こったかは察したらしい

人形を媒介とした特殊な二重人格はそれを失う事で崩壊する

No300「あ、あ、あー!あー!あー!」

膝から崩れ落ちて意味不明な叫びを上げるだけのNo300

柩「…ごめんなさい」

懐から鎮静剤を取り出すと彼女の首筋あたりに打ち込んで眠らせる

目覚めた後に正気に戻るかはわからない
けど、もうこの娘を見捨てる事はしない
そう誓うのだった

ブツン

他のエリアを写していたモニターが一斉に落ちる
どうやら走りさんがうまくやってくれたらしい

でも、まだ気は抜けない
多分…ここまではあの人の思惑通りな気がする
何となくですけど…

晴「…柩…ちゃん?」

背後から晴さんの声がする
薬物に耐性があるとは聞いていたけど思っていた以上のようだ

柩「もう、目が覚め…」

晴「うん、すっかり気分爽快って奴かなぁ?」

パン パン パン

晴の手に握られた小銃が火を吹き
柩の体が崩れ落ちる


晴「あははは!まだ本命が残ってるのに気を抜いちゃダメじゃないロリ子ちゃ~ん」

柩は初手で殺れないと詰むタイプなんで巻きが入ったわけじゃないよー

柩「かっ…はっ…ゲホッゲホッ」

晴「いいねぇ、ちゃんと防弾ベストは着てるみたいだね…ま、弾は抜けなくても衝撃は充分みたいだけどね♪」

柩「……いつ、から、ですか?」

晴「ん?入れ替わりなら最初からだよ?」

柩「は…?」

晴「晴ちゃんがこれに着替える時にミョウジョウのエージェントいたでしょ?あれがア・タ・シ」

柩「嘘…いや、でも…」

晴「葛葉のがきんちょがうまくやってくれてるみたいだし…ま、色々話ましょうか?」

柩「ッ?!」

晴「ごっめーん撃たれたとこ踏んじゃった♪わざとだけど」

柩「…」

晴「泣いていいんだぜ?」

柩「誰が!」

柩「…晴さんは…無事なんですか?」

晴(ベラ)「当然!つか蜘蛛姐さんから請けた仕事はただ一つ、一ノ瀬晴の確実な生存だからね」

柩「じゃあ…」

晴(ベラ)「ここにはいないし、うちの娘(こ)が護衛してるしね」

柩「名無しちゃんがですか?」

晴(ベラ)「そ、あれでもやれる子なのよ?」

~?~

晴「…ここは?」

名無し「あ、どーもーおはよーございまっす…って今は夜でしたっけ」

晴「っ!?誰ですか?」

名無し「名乗る名前も無いのはこーゆー時に困りますよねー…あたしの事は名無しとでもお呼びくださいね」

晴「じゃあ、ななちゃんに聞きますけど晴はどうしてこんなところに」

名無し「いきなりフレンドリーっすね!そーゆーとこ嫌いじゃないですよ!あたし」

晴(テンション高いなぁ)

名無し「簡単に言うとあんな危険な船なんぞに乗せて万が一にも死んだら困るって人がいるんで拉致監禁してます」

晴「…え?でも、晴がいないと」

名無し「無問題!ノープロブレム!うちのボスが見事に化けて晴ちゃんの…あの、晴ちゃんって呼んでいいですか?」

頷く晴

名無し「晴ちゃんの!代わりを見事に勤めあげておりますのでご安心を!」

晴「……そのボスさんって柩ちゃんの?」

名無し「そーですね、エントラさんの上司でもあったベラドンナさんですね…ってこれ言っていいのかな?ま、いっか」

晴(面白い人だなぁ)

名無し「で、晴ちゃんにはしばらくおとなしくしていていただけると、あたしとしては助かります」

晴「…でも…」

名無し「船はとっくに海の上ですよー?無理ですよー?」

晴「晴は…嫌です…兎角さんや、みんなが大変な目にあってる時にこんなところにいるなんて…」

名無し「…あのーですね」

晴「はい?」

名無し「どーしても!って言うなら別のほうの決着をつけてもらうっていうのがあるんですけどー」

晴「?」

名無し「うちの腐れワカメ頭をけしかけた人の正体がわかったんですけどねーその件でぇ…」

ヴー ヴー ヴー

名無し「あ、すいませーんちょっと電話でますね」

ピッ

名無し「はいはい、名無しです。あー今、目覚めました…あ、はい…はい…マジっすか」

晴(何が起こってるんだろ)

名無し「こっちもやる気があるなら従えって言われてますし…はい、はい…どーもわっかりましたー」

ピッ

名無し「あのー晴ちゃん」

晴「なんですか?」

名無し「詳しい話は後なら来る人がしてくれるみたいなんで」

晴「はい」

名無し「とりあえずご飯たべます?」

~英邸~

執事「お嬢様」

純恋子「来ましたのね?」

執事「はい…一ノ瀬様も真実を知りたいそうで…」

純恋子「では、参りましょう。真夜さん達には予定通り先行して露払いをしておくように連絡を」

メイド「はい」

執事「…お嬢様」

純恋子「何かしら?」

執事「その、この件は一ノ瀬様には少々キツいのではないかと」

純恋子「本人も承諾しているのですからかまいませんわ。彼女なら、すべて終わってから知らされるよりも自ら決着を着けたほうを選ぶでしょうし」

執事「なるほど」

純恋子「普段のへらへらした所しか見たことのないあなたなら危惧するのも仕方ありませんけどね」

~車内~

執事「お嬢様、先行させた三人が全て終わらせてしまう可能性もあるのでは?」

純恋子「…それはそれで構いませんわ、彼女は生かして捕らえておくよう言ってありますし」

執事「あちらはマークされている事にも気づいてない様子ですし、私兵を持ってはいないようですが」

純恋子「ええ…ただ気になる事がありますの」

執事「と言いますと?」

純恋子「最近いただいた資料に番犬の調教師という名目で出入りしている娘がいるのですわ」

執事「ああ、眼帯の彼女ですか」

純恋子「零崎薫子…扮装地域で生き抜いた生粋の兵士。なんでこの娘がそんな役回りで出入りしているか気になって」

執事「そのような人間を相手に真夜様や犬飼様は大丈夫でしょうか?」

純恋子「犬飼さんは能力以上の力を出すかもしれませんわね」

執事「何故です?」

純恋子「少し似ているんですわ…犬飼さんの嫌いな人に」

~モニタールーム~

オブト『おい!?どうなってるんだ!』

オペレーター「現在原因を究明中です」

オブト『さっさと直せよ!とりあえず一ノ瀬の死に様だけはきっちり撮れ!確実に!』

オペレーター「了解です!」

言葉とは裏腹にモニタールームで作業する者達は 接続を切ったり、復旧とは真逆の行動を取っている

鳰にかけられた暗示のせいである
彼らは自分達の行動に一切の疑問も持たず自らの手で設備を壊していった

~エアダクト内~

鳰「あーめんどくせーなんでウチがこんな事を…」

鳰「武智さんはうまくやってるんスかねぇ…」

鳰「あつい!せまい!ながい!」

鳰「…独り言は虚しいッスね…」

~中層エリア~

乙哉「いやっほー生田目さーん!助けにきたよん♪」

千足「あ、ああ…」

双子(妹)「…」

双子(姉)「たけちおとや なぜ ここに」

乙哉「切り刻みたい娘がそこにいるから…かな?」

双子(妹)「…」

乙哉「あーれー?どしたの?かわいい顔が…」

双子(妹)「じゃまをするな」

乙哉「おっとぉ!かーげきー♪」

繰り出された一撃を事も無げにかわす乙哉

双子(妹)「どけ わたしは なまためをころす」

乙哉「い・や・だ」

双子(妹)「なら さきに しね!」

乙哉「あははは!いいね!いーよ!その感じ!やっぱりさぁ活きのいい獲物じゃないといけないよねぇ!!!」

双子(姉)「さて こちらも はじめますか」

千足「手負いでも手加減はできないが?」

双子(姉)「それは こちらの せりふです」

千足「それもそうだな」

姉を傷つけられた事で精神操作に乱れが生じたせいか
妹の動きは千足を追い詰めた時のような機械のような精密さは失われている
しかし人生のほとんどを人を殺すためだけに費やし、薬物による身体強化を施された兵士であるこの少女を相手にできる人間などほとんどいない

はずだった

乙哉「いやー、すごい!すごい!かわいいのに強いってサイコー!」

無邪気に笑いながら全ての攻撃を捌き切る乙哉
作業着の一部が切られているものの身体は無傷
両手に持った鋏で器用にナイフを受け流されるのに少女は苛立っていく

今までイライラするという感情などなかったため自身の変化に少し戸惑いを覚えながらも

この おんなを ころせば このくるしさは きえる

そう信じてナイフを振るう
焦燥が動きを単調にしてしまい乙哉に読まれていることにも気付くこともなくただガムシャラにナイフを振るう

乙哉「あ」

力任せの一撃を受け流し切れず右手の鋏が壊れる

いける

そう思った瞬間

乙哉は壊れた鋏を投げつけて撹乱し
バックステップで距離を取る

乙哉「あーもー!それけっこう気に入ってたのにー!」

双子(妹)「なら なげるな」

距離を詰めて再びナイフを振るう

カラン

ナイフが床に落ちていた

少女の指数本と一緒に

双子(妹)「おや?」

乙哉「試しに使ってみたけどこれすごーい」

シザーバッグから西部のガンマンの抜き撃ちのごとく新たな鋏を取り出して振り上げられたナイフを受ける…つもりだったのだが
切れ味が良すぎたようだ

乙哉「へっへー♪いいでしょこれ!古槍なんとかって人が作った…試作型マインドなんちゃらって鋏なんだよん」

双子(妹)「なんとか とか なんちゃら ではいみが わかりません」

はしゃぐ乙哉を尻目に残っている左手でナイフを拾う少女
落とされた指には目もくれず再び構える

乙哉「ねー?痛くないの?」

双子(妹)「はい つうかく などありませんから」

乙哉「……は?」

双子(妹)「?!」

乙哉から表情が消えた
ただならぬ殺気を感じて妹は少し後ずさる

乙哉「いやいやいや!ありえないでしょ!痛くないとか!ねえ!痛いでしょ?!痛がりなよ!痛がってよ!」

双子(妹)「だから つうかくなど ないと」

乙哉「えー!やだやだやだ!痛みに泣き叫ぶとこを切り刻むからたのしーのに!気持ちいいのに!嘘でしょ!?今からでも嘘って言ってよぉ!」

何をそんなに憤慨しているのかさっぱりわからない
少女は困惑する

乙哉「あー!もー!極上のごちそうかと思ったら食品サンプルでしたー!って何のどっきり番組なのこれ!ありえない!ありえないよー!」

しばらく地団駄を踏んだり喚き散らしていた乙哉が急に動きを止めた

乙哉「もういい…」

瞳から光が消えたように見えた

そして

気づいた時には乙哉が目の前にいた
能面のような無表情に何も映さない虚ろな瞳の殺人鬼がそこにいた

乙哉「つまらないから終わりにしよ?」


何が起きたか理解する前に

少女の首から血が噴き出した


試作型自殺志願(マインドレンデル)
あまりに鋏に寄りすぎたために廃棄されかけたそれは武智乙哉にとってあまりに相性の良すぎる凶器だった

まるでバターを切るように頸動脈から首まわりの筋を切断し

文字どうり少女の命を終わらせた

双子(姉)「ふむ やりますね」

千足「それはどうも」

リーチ差と片目を潰したというハンデがありながら攻めきれない
いや、おかげでなんとか戦えているというべきか…

負担が大きいのかあまり使っては来ないものの、あの加速と拳法…八極拳だろうか?の組み合わせにはまだ対応できていない
先の片目への奇襲のおかげで深く踏み込んでこないので助かっているようなものだ

じりじりと間合いを計りながら互いに攻め手を探り合う

永遠に続くかと思われた時間は唐突に終わりを告げる

武智乙哉の叫び声が消えた途端
部屋に鉄のような臭いが充満しはじめたからだ

双子(姉)「…」

千足「武智がやったのか…?」

双子(姉)「ますたー めいれいに そむきます」

千足「何を?」

双子(姉)「たけちおとやをころさねばなりません、あなたにはすぐにしんでもらいます」

片目を潰されても平然としていた少女の気配が変わった
やはり彼女も姉妹の情だけは残っていたようだ

千足「すまないな、私も死ぬわけにはいかない」

双子(姉)「いえ、あなたにはむりです」

少女が構える
あれが来る
今度は本当に必殺の一撃として二の打ち要らずの殺人拳が

身体を加速させ頭部へ全力の打撃
それだけで終わり
強化もされていないただの人間の生田目千足に自分を捉えられる訳がない
少女は確信していた



結果はそうはならなかった

双子(姉)「かっ はっ」

吐血

細剣が胸を貫いていた

何故?

千足「君達は痛覚がないそうだが…しかしダメージを感じないだけでそれは確実に体を蝕んでいるんだ」

双子(姉)「…なにを…」

千足の視線の先を見る
太股にさっき自分の片目を奪ったナイフが刺さっていた
先程の小競り合いの最中に刺されていたようだ

千足「すまないな、こんな手ではなく正々堂々勝ちたかったが…」

双子(姉)「いえ、ありがと、うござい、ます」

千足「え?」

双子(姉)「これで、もう、だれもころさ」

いい終える事も無く少女は崩れ落ちる
その死に顔はどことなく笑みを浮かべているようにも見えた

妹と自分の死に直面してすこし正気を取り戻した的な

殺さなければ、殺されていたし
柩の話から殺すくらいしか救いがないのも知っている
だが
けして後味のいいものではないなこれは…

黒組に来る前の自分なら正義と称してもっと割り切って殺せていたような気がする

弱くなったのだろうか私は…


乙哉「あー気分わる…」

千足「酷い顔だな武智」

乙哉「生田目さんもねー泣き出しそうな顔してるよ?」

千足「そうか?…そうなのか?」

乙哉「あたしも泣きたいけどねー…こうなったら嫌がるしえなちゃんのおさげでも切らないとおさまらないよ…」

千足「剣持になんの恨みがあるんだ」

乙哉「あいじょーひょーげんだよぉ?」

いや、不思議そうに首を傾げるな
私がおかしいみたいじゃないか

千足「ところで」

乙哉「なに?」

千足「その凶々しい鋏はなんだ?」

乙哉「これー?いいっしょー上司のおねーさんから貰ったんだ♪仕事の時だけ使っていいって約束で」

千足「なにを考えてるんだその上司とやらは…」

乙哉「あはは知らなーい」

千足「武智を雇うなんて相当の変人なんだろうが」

乙哉「それを目の前で言うかな」

千足「あ、すまない」

乙哉「…生田目さんて面白い人だね」

千足「?」

乙哉「ところで生田目さん」

千足「どうした?」

乙哉「どっちに行く?」

上と下を指さして武智が聞いてくる

千足「東の方は寒河江もいるようだし…柩のフォローにまわりたいのだが」

乙哉「まーそうだよね、そうなるよね」

千足「ん?エレベーターの明かりが消えているな…非常階段でも探すしかないのか?なぁ、武智」

乙哉「ライダーチョップ!」

千足「な!?…武、智?」

戦いの疲労と油断していたせいかあっさりと気絶させられてしまった

乙哉「ごめんねー桐ヶ谷ちゃんと水入らずで決着つけたいんだって、情報提供者さんが」

乙哉「だからそっちに行くなら邪魔しないといけないんだ…って、もう聞こえてないか」

千足さんあんまり活躍させられなくてすまぬ

~下層エリア~

志摩「こんな感じでいいか?」

春紀「さんきゅ、テーピングうまいな」

志摩「まぁ、あたしも生傷絶えない生活してっからな」

兎角「…仲良いなおまえら」

志摩「一度本気で殴りあったらそらおめー戦友(ダチ)よ」

春紀「だ、そーだ」

兎角「そうか…」

春紀「しかし準備いいな簡易医療キットとか持ってるなんて」

兎角「こんなところに来るんだから当たり前だろう」

春紀「…なぁ、兎角サン」

兎角「なんだよ?」

春紀「この酔い止めに晴ちゃんの字で思いっきり船に乗る前に飲んでねって書いてあるわけだが…」

兎角「…」

春紀「…」

兎角「その、晴には言うなよ?」

春紀「いやモニターでばっちり見られたろ」

志摩「ところでよ」

兎角「なんだ?」

志摩「なんでおめーらこんな罠に付き合ってんの?」

春紀「あたしは、あのワカメみたいな髪したやつぶち殺すためとか聞いた」

兎角「あいつはなかなか表に出てこないうえにすぐ逃げるらしくてな、こんな大がかりな茶番に付き合うはめになったんだ…」

志摩「にしてもよぉ」

兎角「それに神長がダミーを仕込んだとはいえこの先に船を沈める爆弾があるって設定らしいから少し必死になってやらんとリアリティがな」

春紀&志摩「は?」

春紀「あたし爆弾の話きいてねえ!」

志摩「ちょっと待て!あのワカメ最初からみんな殺す気か!?」

兎角「そりゃ目撃者はみんな消すだろ」

春紀「でもダミーなんだろ?」

兎角「神長はそう言っていたそうだ」

春紀「…神長が、言ってたんだよな?」

兎角「そうだな」

春紀「休憩はもういいか!」

兎角「少し楽になった気がするし進むか」

志摩「おめーら急にどうした?」

兎角&春紀「いや、なんだか急に不安に」

~?~

香子「小型ヘリとは自分だけは助かる気満々だな、まったく…」

カチャ カチャ

香子「よし、これでいい…もし東や走りから逃げきれたとしてもヤツは終わる」

~?~

晴「あれ?ななちゃん?」

名無し「はい!目の前にいますよー!」

晴「あ、あれ?」

名無し「すいませぇん!気い抜いちゃいました!ゴメーヌ」

晴「へ?」

名無し「いやー最近ちょっと自信なくしてたんですけどね!晴ちゃんには効いてるみたいでちょっと安心しました!」

晴「なに?なに?」

名無し「あたしってちょー影薄くて気付かれない事多いんですよ!だからこんなキャラしてるんです!」

晴「え?よくわからないけど、黙ってごはん食べてるだけで消えてるみたいになるの?」

名無し「はい!ボスがあたしにコードすら名乗らせず名無しにしてるのも言霊的な効果があるとかなんとか」

晴「名前がないことに意味があるの?」

名無し「名前っていうのはその個人を決定付ける要素としてかなり強い力があるらしいんですよ!名前が無いというのは個が無いのも同じだとか」

晴「でも名前がないなんて…」

名無し「あたしの場合、組織で生まれて育てられたんで番号管理ですからね慣れすぎて気にしないですよ!」

晴「無理してるみたいで痛々しいよ」

名無し「そんなつもりは無いんですけどねー」

晴「でも、友達とか呼ぶのに困らないかなー」

名無し「大丈夫!あたしぼっちですから!」

晴「それ大丈夫じゃないよ!?」

ヴー ヴー ヴー

名無し「おおう!晴ちゃん御迎えきましたよ!」

晴「迎え?」

名無し「ちょっと移動しますんでくわしくは車内で!」

晴「あ、うん…」

名無し「ドーモ!執事さんよろしくお願いします!」

執事「はい」

晴「あれ?英さんの執事さん!?」

純恋子「私もいますわよ」

晴「英さんどうしてここに?」

純恋子「説明していないのですね」

名無し「すいませーん、ついさっき起きたんで色々と説明不足な状態です」

純恋子「わかりましたわ…一ノ瀬さん早く乗りなさい車内で話ますわ」

晴「あ、はい!お願いします!」

執事「こちらこそ」

名無し「じゃ、あたしはトランクにでも…」

純恋子「あなたもいいから乗りなさいな」

名無し「すいません」

純恋子「-という事なのだけれど」

晴「…」

名無し「あの、晴ちゃん…」

晴「あ、大丈夫…」

純恋子「一ノ瀬さんも流石にこたえたからしら」

晴「いえ、その逆というか…なんでだろう…むしろしっくりきたというか…」

純恋子「…納得できてしまった事に驚いている、と」

晴「そう、ですね」

純恋子「一応気いておきますが、これから彼女と話す覚悟はよろしくて?」

晴「はい!大丈夫れす!」

名無し(噛んだ)

執事(噛んだ)

純恋子(噛みましたわ)

×純恋子「一応気いておきますが
◯純恋子「一応聞いておきますが

豪快な誤字だな…たまげたなぁ

~下層エリア~

春紀「この先からだっけか」

志摩「ああ、そっからが奴等のエリアだ」

兎角「待て」

春紀「なんだよ?急に」

兎角「ずっと…おかしいと思ってたんだよ」

春紀「何が?」

兎角「あの糞教師の話が嘘なんじゃないかって思うくらいアイツからは何にも感じなかったんだ…」

春紀「さっきの薬になんかおかしな物でも…」

兎角「今ならわかる。わたしの鼻がおかしくなるくらいヤバイやつだったんだアレは…扉の向こうにいるのがわかるくらいに」

春紀「向こうになんかいる…」

と言いかけた時
ガン! ガン! ガン!

春紀が手をかけていた扉に何かがぶつかる音がした

志摩「なんだよ!鉄の扉が少し凹んでるじゃねえか!」

兎角「…大丈夫、今なら開けてもいい…多分終わった」

春紀「…あ、ああ」

恐る恐る扉を開ける春紀

流れ出す鉄錆の強烈な臭い

春紀「うげ」

志摩「千代のやつ寝かしたまま置いてきて良かったわ…こりゃ」

兎角「…」

部屋の中は真っ赤に染まっていた
かつて人間だったものの残骸が大量に転がり
一部の壁は抉れて焦げていた


そんな地獄絵図の中
一人だけ佇む
金髪のシスター

クリス「東じゃないデスカ!元気してマシタ?」

上機嫌に話かけてくるシスタークリスがそこにいた

兎角「なんで…おまえがここに…って神長狙いか」

クリス「んー、カミナガはどうでもいいカナ?今日はお仕事デスヨ」

兎角「仕事?」

クリス「リュージン会系のヤクザを皆殺しにスルのがワタシの役目デス」

春紀「…兎角さん知り合いか?」

兎角「不本意だが、な」

春紀「で、アレとの仲は」

兎角「襲われたから戦った…というより遊ばれた。かな」

クリス「一応は本気でしたヨ?」

兎角「嘘つけ、あの時と違うんだよ気配も、臭いも」

クリス「それはそーデス!楽しいお仕事とこんなゴミ掃除じゃ気分が違いマス」

志摩「しっかし、まぁ派手にやるもんだねぇ…」

春紀「なぁ、アンタ」

クリス「アンタ違うクリスデスよサガエ」

春紀「あたしまで知ってんのかよ」

クリス「黒組のデータは把握ズミデス。面白い人ばかりデスカラ」

春紀「そうかい、でクリスサンはあたしらとは争う理由はないんだよな?」

クリス「まぁ…アナタ達がこのミンチどもと関係なければデスガ」

兎角「ない」

春紀「ない」

志摩「あってたまるか」

クリス「エー…ちょっとでも関係あったら殺るつもりだったノニィ…」

春紀「なんで心底がっかりしてんだよ」

兎角「こういうやつだから会いたくなかったんだ」

~下層エリア・爆弾設置ポイント~

兎角「なんで着いてきてるんだよ」

クリス「ヒマだカラ♪」

春紀「なんだかなぁ」

志摩「しかし…まぁなんだ」

春紀「ここに来るまでの話はやめようぜ」

志摩「…だな」

兎角「しかし、よくもまぁ…あれだけ部屋を赤くできたもんだ」

春紀&志摩「やめろよ!思い出したくねえよ!」

クリス「だってスポンサーから色々貰えたカラ試し撃ちしてたらツイ…」

春紀(試し撃ちであれかよ)

志摩(つっこんだらもっとあほみたいな話し出すからやめておこう)

兎角「走りから渡された地図だとこの奥らしい」

春紀「兎角サン、マイペースすぎだろ」

クリス「ン?」

兎角「なんだよ…ってあれはなんだ?」

春紀「カプセル?」

シンニュウシャ カクニン システム キドウ

電子音声が流れた後にカプセルが開き
中から人らしきものが出てくる

春紀「なんだ…ってぇ!?」

カプセルから飛び出してきた人影が春紀に飛びかかってくるのをなんとか押さえる

志摩「だらぁ!」

志摩の渾身の右ストレートが春紀に飛びかかってきた人型をとらえる

薄気味悪いくらい青白い肌をした継ぎ接ぎのような人型のそれは首が曲がったまま立ち上がる

春紀「なんだいありゃ?」

志摩「さあな…ただ」

クリス「とりあえず頭と心臓ぶち抜いたら止まるみたいネ」

兎角「だな」

志摩「あの二人は大丈夫みたいだ」

春紀「ああ、うん」

志摩「…なぁ」

春紀「…わかってるから言うなよ」

志摩「…わかってる、けどよ」

クリス「…せっかくB級映画みたいになってきたノニ…ガッカリデス」

兎角「作業の邪魔だからあっちいってろ」

春紀「…兎角サンってあんなに強かったのな」

志摩「おまえが来てくれて良かったわ…千代と二人がかりなら不意突いてなんとかなるとか思ってたけどあれはねーわ」

春紀「…あたしらは怪我人だから調子でなかったって事にしておこう」

志摩「…そうだな」


動かなくなった
フランケンもどきを眺めながら二人は深いため息をついた

兎角「中にあったのは中身のないダミーの爆弾だった」

春紀「神長はうまくやったって事か」

志摩「とりあえず終わりか?」

兎角「上の連中が終わらせてればな」

春紀「助けに行くか?」

クリス「エレベーター止まってたから階段さがして上らないとネ」

兎角「まだ来るのか?」

クリス「こっちで足止めされて神長には会えなかった…風にしておきたいカナ?」

兎角「寒河江、上の方頼めるか?」

春紀「ああ」

志摩「…結局やるのかよ」

兎角「やる口実をずっと作りたかったんだろ?」

クリス「このガラクタがもう少し強ければネここでお別れでも良かったんデスガ…」

兎角「さっき会った時からずっと欲求不満そうだったよな…殺気と臭いでわかってた」

クリス「東があのまま不調だったら諦めたカモ」

兎角「嘘つけ」

クリス「いえ、本気の出せナイ東には価値がありまセンヨ?」

兎角「ちっ…不調のふりしとけば良かった」

クリス「あのガラクタもそういうトコでは役に立ったというコトネ」

兎角「手加減しろよ?」

クリス「できないの知ってるカラ、サガエ達逃がしたんデショ?」

兎角「言ってみただけだ」

~再奥~

オブト「まだか!まだ復旧しないのか!」

部下A「はい…全力で対応しているのでもう少し待てというばかりで」

部下B「私が行って…エレベーター止めてましたね」

オブト「動かすなよ、モニターが消えて状況が把握できてないんだからな」

部下B「はい…」


シュウウウウ

オブト「なんだ!?」

部下A「煙!?」

部下B「…毒性はないようです」

オブト「いいから守れ!僕を守れ!」

部下達「は!」

オブト「なんなんだこれは…少し薄くなってきたか?」

鳰「あははーちょっとした演出ッスよ蠍さん」

オブト「なんだよ?おまえ?」

鳰「ただの掃除屋ッスよ。薄汚いゴミを駆除しにきただけの」

部下達『ネズミが!』

鳰「いやいや、あんたらこんなとこでぶっぱなしたら跳弾してそこのワカメに当たるかもしれないッスよぉ?」

部下D「ちっ」

鳰に飛びかかる黒服だが

鳰「ほいっと」

ザシュッ

首もとをナイフで斬られてあっさりと倒される

鳰「あー、ウチっばけっこー強いんでぇーなめない方がいいッスよぉ?」

ナイフを回しながらおどけて見せる鳰
声こそ軽くバカにしているが
その目は完全に殺し屋の目に変わっている

オブト「やれ!早くやれぇ!」

一斉に襲いかかる部下達にも鳰は怯む様子はなく
軽々とかわしながら一人、また一人と倒していく

部下A「化け物か」

部下B「…ここは逃げてください」

オブト「…仕方ないなぁ」

部下B「はい?」

オブト「東のアズマあたりが来るかもしれないと用意してきたのに…こんなやつに使う事になるなんてさぁ!」

部下A「…何を?」

オブト「ちょっとだけ時間稼げ」

部下B「は、はい」

脱字が…

×ウチっば
◯ウチってば

鳰「逃げるってわけじゃ無さそうッスね…」

部下B「闇雲に突っ込むな」

部下A「体は小さいんだ!間合いをとれ!間合いを!」

部下達『はっ!』

鳰「まー、ウチは小兵ッスからねぇーリーチ差で攻められたらヤバイかもぉー」

鳰「なんつって!」

部下E「消えた?!」

鳰「ほいっと」

部下E「がっ…」

部下F「貴様!」

鳰「お仲間どーん」

蹴られた死体が黒服にぶち当たる

部下F「このやろ…」

鳰「これ、そちらさんのなんでぇ…お返しするッス!」

部下F「あ、が…」

ドスが眉間を指し貫く


部下達「…」

包囲がじりじりと下がる
すでに戦意は失われつつある
腹心と思われる二人も遠巻きに見ているだけでただ時間が過ぎるのを待っているような消極的な動きしかしない


鳰(なーんか手応えないッスねぇ…鬱憤晴らしに暴れてやるつもりだったのに)

オブト「見てろよ…くそが…」

ブシュー

オブト「さぁ!目覚めろ!」

?「……グルル」

オブト「さぁ、好きに暴れていいぞ!そのために連れて来たんだからなァ!」

部下A「そろそろ」

部下B「限界か?」

オブト「お疲れぇ、諸君」

部下A「ボス!」

部下B「それでは…あ」

グシャ

?「…グルル」

部下A「……ひっ!ひいいい!」

オブト「ダメダメダメぇ!そいつの進路に居たら死んじゃうよ!」

鳰「うっわーなんスかね、こいつ」

オブト「僕の部下が研究してるテーマでね、最強の兵士を作り出すってのがあってさぁ!これはその最新作ってわけさぁ!」

人造兵士「…グルル…フシューフシュー」

鳰「あはは…これ人間以外も混ぜちゃってますよねぇ?」

オブト「人間を強化するのも双子やら地下の失敗作やらで限界が見えちゃったからさ、だったら獣を混ぜてみようってのがこれなんだよね!」

部下G「あぁ」
グシャッ

部下C「ひっ」
グシャァ

鳰「なーんか味方殺しまくりッスけど…」

オブト「そりゃそうさ!そいつは僕以外を無差別に殺す!殺人兵器だからね!」

鳰「ほっほーう…アンタだけッスかぁ」

人造兵士「ガアアアア!」

鳰「…」

グシャ!

オブト「…なんだよ?随分あっけなく終わったな?」

オブト「よしよし、このまま他のヤツも…どうした?」

人造兵士「ガアアアア!」

オブト「え」

グシャ

鳰「…ダメッスよ、大事な事は話ちゃ」

鳰の死体のあった場所には黒服の死体が転がっていた

鳰「あんま知能無さそうだから複雑な幻術はかけられないんですけどねぇ…アンタを別の何かに誤認させる程度なら目さえ合わせりゃ余裕なんスよねぇ…ってもう聞こえてないか」

カチャ

鳰「お疲れさん」

パァン

銃声と共に人造兵士の頭に穴が開いて
血を噴きながら倒れる

鳰「…あ、話きけねーやこれ」

香子「…なんだこの惨状は」

鳰「あ、神長さんチーッス!」

香子「…おまえ一人でやったのか?」

鳰「これくらいなら余裕ッス」

香子「…そうか」

鳰「思うとこでもあるんですかね?」

香子「いや、一応しばらくすごした人間達だからな」

鳰「修羅場潜り抜けたって聞いてますけど。相変わらずセンチなとこがあるッスねぇ」

香子「うるさいっ」

鳰「ま、こいつ殺れたのも神長さんのおかげでもあるんで感謝してるッスよ」

香子「お互い利用しあっただけだよ」

鳰「あ、そーだ!忘れてたッス」

香子「なんだ?」

鳰「後で晴から受け取ってくださいよ」

香子「何を?」

鳰「黒組卒業証書ッス」

なんか音沙汰ない人いるように見えますが出番あるんで

~?~

?「ねえ」

薫子「はい」

?「少し仕事を頼みたいのですが」

薫子「私の仕事はあの子達の訓練だったはずですが?」

?「あなたにしてみれば本業とも言える仕事よ」

薫子「ふむ、その場合新たに仕事を請け負うものとして契約をしていただかないと」

?「…守銭奴が」

薫子「こちらも商売ですから、嫌ならば仕事を終え次第帰りますが?」

?「…わかりました。いいでしょう」

薫子「話がわかる雇用主で何よりです」

?「…ふん」

薫子「ああいう雇い主は信用できないところがあるが…」

受け取った資料に目を通す

薫子「ほう、なかなか興味深いな…」

薫子「正直、まだ実戦には早いのだが…」

薫子「おまえ達」

薫子の周囲に集まってくるドーベルマンやシベリアンハスキー

薫子「御主人様からの命令だ…狩りを始めよう」

~門前~

伊介「ようやく、着いたわね」

真夜「なんだよ、いかにもって感じを期待してたんだけどなぁ…魔王の城にしちゃ貧相じゃねえの?」

伊介「いーんじゃない?伊介広い屋敷駆け回るなんてしたくないしー」

真夜「せっかくだし、真昼に珍しいものを見せてやりたいんだけどなぁ」

伊介「相変わらずねー」

純恋子?「二人共、行きますわよ」

伊介「はーい」
真夜「おう」

~?邸内~

?『あなた!』

薫子「ん?どうした血相変えて」

?『今すぐこれからくる人間を皆殺しにしなさい!』

薫子「剣呑な話だな、相手の戦力は?」

?『相手は三人、あなたなら充分でしょ?』

薫子「ふむ…では、この子達を使ってもかまないと?」

?『任せるから好きになさい!』

薫子「相手のデータはあるか?」

?『あー!もう端末に送るから!確認してすぐに行きなさい!』

薫子「慌てなくてもいい。あなたのところにネズミが行く事はないのだから」

?『…任せましたよ』

薫子「…何を慌てているのだか…ほう、これはなかなか良い狩りができそうだ」

伊介「あっさり入れたわねぇ」

純恋子?「ええ、予想より簡単に受け入れてくれましたわね…アポもないので時間稼ぎに難癖つけてくると思いましたのに」

真夜「…ヤバイな」

伊介「あら、気づいた?」

真夜「なんとなく、だけどな」

純恋子?「…問答無用という事かしら」

バタン!
後ろの門が自動で閉じてしまう

伊介「あーら逃がす気はないって感じねー」

真夜「かまわねーだろ、逃げる気ないんだから」

伊介「まぁ、ね」

純恋子?「…複数の唸り声、そろそろ来ますわよ?」

真夜「ご歓迎だぜ」
伊介「知ってた」

それを合図にするかのように一斉に影から襲いかかってくる番犬達

真夜「っしゃあ!」
伊介「ふっ!」

真夜の拳と伊介の蹴りが番犬の顔面を捉えて叩き落とす

続いてくる番犬もそのまま回転を利用した蹴りで打ち落とす伊介と頭をつかんで叩き落とす真夜

伊介「あーら、得意のハンマーは使わないの?」

真夜「動物と遊ぶのに武器は無粋だろ?」

伊介「あっそ…」

純恋子?「まだ来ますわよ?」

真夜「問題ねえ!」

伊介「犬臭くなるのはいやなんだけど…ねっ!」

純恋子?「これで打ち止めかしら?」

伊介「まー、こいつらまだやる気みたいだけどねー」

六匹の番犬…真夜に叩きつけられた一匹は動かなくなっているため
今は五匹が
体勢を立て直して三人を囲んでいる

伊介「…番場ちゃん」

真夜「あん?」

伊介「ちょっとこいつらの相手頼んでいい?」

真夜「なんで?」

伊介「高見の見物決め込んでるやつがいるから蹴っ飛ばしてきたいんだけど?」

真夜「なるほど、行ってきな」

伊介「ありがと」

純恋子?「ちょっと!勝手に決めないでくださる?」

伊介「番場ちゃんがOK出したんならなんとかなるわよー」

真夜「たくさんの動物と遊ぶのが真昼の夢だったんだよ、むしろお歓迎するぜ!」

純恋子?「まったく…あなた達は…」

伊介「こんばんわ」

薫子「ほう、ここまで来るかお嬢様の護衛はいいのか?」

伊介「あれくらいならいらないわ…っよ!」

薫子「ふ、良い蹴りだ」

伊介「あら、少しはやるじゃない?影でこそこそしてるわりには」

薫子「君は勘違いしているようだ」

続けざまに放った蹴りを受け止めそのままつかんで回転しながら倒しにかかかる

伊介「なっ!?」

薫子「私は隠れていたわけじゃない。出るほどの相手か見極めるつもりだっただけだ」

ギリッ

伊介「うあっ!」

関節をキメられて伊介が喘ぐ

薫子「不用意に蹴るのは感心しないな。30点」

技をといて離れる薫子

伊介「何よ…あんた…」

薫子「少し興が乗った。私が教練してあげよう犬飼伊介」

伊介「教練?何様よこの眼チビ帯」

薫子「ヒールで底上げしてるが、おまえもそこまで大きくないだろう犬飼伊介」

伊介「…チッ」

なんなのこいつ
すごくイライラする
つか、よく見たらなんかアイツに似てるし…
気づくんじゃなかったわ!よけいにイライラするじゃないの!

薫子「素手のままでいいか?こちらも合わせてやるぞ犬飼伊介」

伊介「いちいちフルネームで…」

伊介「呼ぶな!」

踏み込んで掌底を放つが、するりと流れるように回避されてしまう

薫子「殺気が前に出すぎだ。減点だぞ」

伊介「っるさい!」

左右のコンビネーションも軽くかわされる

薫子「最初の蹴りに比べて攻撃が荒いぞ犬飼伊介…減点10だ」

伊介「いちいちうるさい!」

捻りを加えたバックナックル
だがこれもかわされる

薫子「このままでは落第だ。とてもプロフェッショナルとは言い難いぞ?」

伊介「その面が気に入らないのよ!」

薫子「また、蹴りか…芸のない…む?」

蹴りはフェイントにすぎない
本命は身長差を活かした振り下ろし気味の右フック
しかし、これは受け止められてしまう

薫子「少しは冷静になったようだが…」

薫子「まだ足りない!」

伊介「なっ!?」

宙を舞う伊介の体
腕を取った勢いをそのままに薫子に投げられてしまったからだ

伊介「いったぁ…」

薫子「闘志が萎えないのは良いぞ犬飼伊介。加点してもいい」

伊介「このクソ眼帯…」

あー、くそ!
なんなのよこいつ余裕ぶっこいた上から目線で何様のつもりだっつーの…

でも参ったわねー
普通にやったら勝てそうにないわこれ
こいつの隊格闘技はちょっと…いや、かなり厄介よねー


薫子「どうした?考え事か犬飼伊介」

伊介「うっさい黙れ」

相手に動く様子はない
完全になめられてるわ!
あぁ!ムカつく!ムカつく!ムカつく!
何よりあのクソ東そっくりな顔でうすら笑ってる顔がムカつく!

武器使う?
いや、相手にも使われたらアウトだ
この様子じゃただ武器使っても勝てる訳がない
冷静に、冷静になれ犬飼伊介
東のやつに敗けを味あわせようって頑張ってるのにこんなので躓いてらんないつーのよ!

伊介「…」

薫子「どうした?まだ折れるには早い…なっ!?」

伊介「うらぁっ!」

一瞬怯んだところに
伊介の蹴りが今度こそ入る

薫子「かっ…はっ…なん、だ?何を、した?」

伊介「スマホのラ・イ・トよ♪暗いとこにいたから効いたでしょ?」

薫子「…ふふ、なるほど…あれはなかなかの光量だったな…」

伊介「悪いけど一気に終わらせるから」

薫子「ふ、やれるかな犬飼伊介?」

伊介「だから!フルネームで!呼ぶな!」

畳み掛けるように殴りかかるが

薫子「…減点だ。少し有利になったからと言って油断してはいけない」

伊介の拳をかわして
カウンターで放った薫子の拳が伊介の腹部に突き刺さる

伊介「かはっ…!」

薫子「追い詰めたと思った時にこそ自らの心に隙が生まれる事に気をつけなければいけないぞ」

伊介「ゲホッ、ゲホッ…あんた…」

薫子「今のカウンターでまだ倒れないのはなかなかだ。面白いぞ犬飼伊介」

伊介「その眼帯は伊達かよ…」

薫子「普段から暗闇になれさせているのもあるが、こういう時に役に立つからな」

伊介「ほんっと、ムカつくわ…あんた」

大筋の黒幕連中先に潰しちゃいそうだけどいいんだろうか…

薫子さん強すぎな気もするけど設定からして強キャラだしいいか
伊介様アウェイだと弱そうだし

~邸内地下隠し通路~

?「とりあえず早く逃げないと…あれが時間を稼いでる内に…」

ガチャ

?「とりあえず身を隠して熱りが冷めるまで…」

名無し「どーもー!」

?「なんなんです!?あなたは!」

名無し「いやー名乗る名前も無いただの三下でござんす」

?「ひっ!」

ダッ!

名無し「あ、すいませーん」

背を向けて逃げようとする女の腕をつかんで軽く捻る

?「い、痛!」

名無し「もー、往生際わるいですよ?一人だけ逃げようとしてたのに今さら戻るとかカッコ悪すぎですよー」

ヴー ヴー ヴー

名無し「はいはーい!」

純恋子『確保はできまして?』

名無し「はーい!予想通りの予定通りってやつです」

純恋子『それでは連行してきてくださいな』

名無し「らじゃー!」

?「どういうこと…?」

名無し「三下のあたしには答えようがありませんのでー」

?「…くそが」

名無し「はいはい、毒吐く暇があったらキリキリ歩いてくださいな、あんたの事は晴ちゃんに任せますから」

?「…なっ!?」

名無し「へい!詐欺師いっちょ出前にきました!」

純恋子「ご苦労様」

?「あなた、なんで!?」

純恋子「表に来ていた私なら影武者ですわ」

?「な、なんで?」

純恋子「あなたなら、逃げ出してくると読んでこういう手段を取らせていただきました」

?「……」

純恋子「いたずらがバレて逃げ回る子供のような往生際の悪さだと聞いてましたし、ね」

?「…クソガキィ!」

名無し「もーうるさいですよ」

ギリギリ

?「痛い!痛い!痛いィ!」

純恋子「…手早く終わらせましょう、出番ですよ」

晴「はい」

?「……あ」


晴「お久しぶりです伯母さん」

伯母「あ、あ、あのね」

晴「全て聞いているので安心していいですよ伯母さん」

名無し「こわいっす」

純恋子「下手に怒りをぶつけられるよりあの笑顔は恐ろしいでしょうね…」

伯母「…」

晴「あの頃、身内がほとんど居なくなってしまった晴にとって遠縁とはいえ、伯母さんがいてくれた事は励みになったんです。本当に」

伯母「だったら、この無礼なのを下がらせてくれないかな晴さん?」

晴「でも…あなたがした仕打ちは…あの、やっぱり…赦してあげられない、です」

伯母「何を吹き込まれたかは知らないけど…」

純恋子「一ノ瀬さんの兄や弟…失語状態で心が死にかけていた当時の一ノ瀬晴さん本人にも生命保険をかけさせ、受取はあなた名義にさせた。これは信頼できる筋から得た情報です」

伯母「それはあの子達に何かあった時に大人が正しく運用…」

純恋子「反一ノ瀬派と結託し、自分の身の安全だけを確保して一ノ瀬さんの家族を確実に殺せるよう情報を流し続けたあなたがそれを言いますか?」

伯母「…」

晴「英さん」

純恋子「…少し、出しゃばりすぎましたわね」

晴「いえ、ありがとうございます…」

純恋子「…」

伯母「仕方ないじゃない!私だって死にたくないもの!家には男しか生まれなくて蚊帳の外にいたのに一ノ瀬の名に連なるだけでなんで…」

晴「…伯母さん、それはみんな思ってる事です。でも…兄や弟の命から得たお金を自分の会社を立ち上げるのに使って、借金がかさんできたから晴を殺す計画を立てた人の逃げ口上にしちゃいけないと思います」

伯母「うるせえ!てめえの母親の頃からこっちは迷惑かけられてんだ!当然の報酬だろうが!」

純恋子「醜い」

名無し「…」

ギリギリ

伯母「痛い!痛い!痛い!」

晴「ななちゃん」

名無し「折っちゃうくらいしていいと思いますけど?」

晴「やめて」

名無し「イエス、マム」

晴「蠍を動かしたのは伯母さんなんですよの?」

伯母「…晴を殺した証拠を持参したら顔と名前を変えて養子にしてあげると言ったら乗ってきたわ、後はあいつが好き勝手に動いただけ」

名無し「あはは、そーゆー自分には責任ありません的な言い方、イラッときますよねー」

ギリ

伯母「ぐぎゃあ!」

晴「そこのななちゃんも巻き込まれた一人なんで不用意な一言は危ないですよ伯母さん」

純恋子(相当怒ってますわね)

晴「でも、安心してください晴はなにもしませんよ。後は一族の査問会に判断を委ねますから」

伯母「…え?」

純恋子「一族の儀式を私欲に利用しましたからねこれは仕方ありませんわ」

伯母「…あ、あの」

名無し「んじゃま、連行いたしますー」

伯母「いや、あの、やめて!晴ちゃん!いっそ今殺して!ねえお願い!」

晴「罪はしっかり生きて償ってください」

伯母「いやぁ!あの!聞いて!は、晴ちゃん!」

純恋子「見苦しいので早く運んで」

執事「はい」

晴「…あの英さん」

純恋子「なんですの?」

晴「少しだけ泣いていいですか?」

純恋子「少しと言わず、存分に泣きなさい」

晴「ありがとう…」

純恋子「よく、がんばりましたね」

晴「うぅ…うわああああ」

~中庭~

真夜「なんだよ、だらしねえなもう終わりか」

周囲にはぐったりと横たわる犬達

純恋子(影)「お見事…と言いたい所ですが」

真夜「なんだよ?」

純恋子(影)「当家の誇るボディスーツを着用していなければ、右腕、左肩、両足脛、首元に致命傷となる傷を受けていました」

真夜「これを着てるから無茶したんだよ」

純恋子(影)「…真昼様の体でもあるのです。その無茶は看過できません鍛練メニューの見直しも考えないといけないと進言しておきます」

真夜「お小言はもう良いって…」

純恋子(影)「いえ、今度という今度は言わせていただきます!あなたは英家において栄誉たるお嬢様の護衛に選ばれた人間なのですから…私は認めていませんけど」

真夜「なんだよ?やるか?」

純恋子(影)「真昼様の体に傷をつけたくないのでお断りいたします」

真夜「ちっ!つまんねえやつ」

純恋子(影)「私はお嬢様の影ですから、面白さなど必要ありません」

真夜「そうかよ…おっ」

掴もうとした真夜の体が綺麗に一回転して地面に倒れる

純恋子(影)「少しは力押し以外覚えてください」

真夜「そのうち泣かすからな」

純恋子(影)「はいはい」

~邸内~

薫子「ん?すまん電話だ。ちょっと待て」

伊介「は?」

薫子「ふむ、了解した」

伊介「いきなり電話とかあんた、ほんとムカつくわね」

薫子「犬飼伊介、今回はこれで退く事にした。教練はここまでにしたい」

伊介「何を言い出してんのよ」

薫子「依頼主が勝手に逃げて捕まった。報酬の出ない仕事を続ける理由はあるまい?」

伊介「こっちはやられっぱなしってわけにはいかないって…言ってるでしょうが!」

腰のデリンジャーを抜き放つが
薫子は動じた様子はない

薫子「金にならない仕事はしないのだろう?私は無名の傭兵だ命をかけて倒しても名誉はない」

伊介「…るさいわねぇ」

薫子「まぁ、今の貴様に倒される事はないが」

伊介「あ?」

薫子「その銃の射程では私は捉えられんよ。また会おう犬飼伊介」

背後の暗闇に融けるように消える薫子
引き金を引く前に気配は消えていた

伊介「クソ!」

思わず壁を殴る
拳に血が滲む

ふと足下を見ると名刺が落ちていた

傭兵 零咲薫子

ただシンプルにそう書かれていた
後ろには連絡先まで書いてある

伊介「あのチビ!今度会う時は顔面蹴り飛ばしてやる!」

薫子さんは元々戻ってきたワカメ始末する要員だったり

純恋子(影武者)

元々は英家のメイド
学力、武芸、礼儀作法等本人に泥を塗らぬよう日々研鑽を欠かさない真面目な少女
純恋子が四肢を失った際に容姿が似ていた事から影武者に志願し以後影として支えてきた
ぽっと出の真夜にイライラしつつも真昼のほうは保護欲を掻き立てられるらしく仲が良い


零咲 薫子
紛争地域で軍人をしていた少女
孤児院と愛犬(ナポリタン・マスティフ)を養うため暗殺者をしている
眼帯は暗闇でも銃を撃てるように馴らすためにつけている
一見兎角さんに似てるが155cmとやや小柄
AKでは兎角さんに敗れていたりする
本名リーリエ


晴の遠縁の伯母さん
一ノ瀬家が都合よく、襲撃されてたのはこの人のせい
一族の男の計画を引き継ぎ罪だけは彼に被せて金を手に入れようとしていた
吐き気のするようなゲスです
自分さえよければ他人がいくら死んでも心が痛まないタイプ

~下層再奥~

クリス「銃使えるノ?」

兎角「正直、好きじゃない…けど、嫌でも叩き込まれる」

クリス「格闘や武器と違ってあっけないからネェ…つまらないデスカ?」

兎角「武器は、あの感触があるからこそ…いや、いい」

クリス「人を撃った事がナイならやめいた方がイイヨ」

カチャ

クリス「アタシ相手にするなら特に、ネ」

兎角「かもしれないな」

クリス「ちなみにアタシの残弾は残り三発。これを使わせ切ったら東の勝ちネ」

兎角「そうか」

クリス「リアクション薄いヨー?」

兎角「性分だ」

クリス「本気でイクヨ?」

兎角「早く来い」

クリス「OK」

パァン!

最初の銃弾が放たれる
牽制目的の適当な一発
横に飛んで銃弾をかわす

クリス「HEY!」

先回りしてダッシュしてきたクリスのサッカーボールキックが兎角の頭部を襲う
両腕をクロスしてダメージを減らしつつ受け身をとる

そこに走り込んでくるクリスが回転式拳銃を握ったままの拳で殴りつけてくる

兎角「なんだそれ!」

クリス「これも立派な鈍器ダヨ♪」


それで故障しにくい回転式か!

鈍器として使う気なら装填数より壊れにくさとメンテナンスの容易な方がいい

相変わらずわけのわからない女だなこいつ!

クリス「どーしたの?スロウリィだよアーズーマー?」

拳に気を取られると鉄板入りのブーツの蹴りが飛んでくる
体格差もあり一撃が重い
下手に食らえば終わりのはこっちだ…って前回とは別物すぎるぞこいつの動き!

クリス「格闘もタノシーネー♪」

兎角「少し黙れ!」

クリス「ヤダ♪」

クリス「ホントにHappyだから仕方ないヨ」

兎角「何がだ」

クリス「こんなクダラナイ挑発で東とまた戦えるナンテ思ってなかったカラネ♪」

兎角「わたしも何でおまえの申し出に乗ったのか…後悔してる」

クリス「エェー」

兎角「だが、晴の命を狙うやつがまだいるようだし…研鑽の為におまえみたいなのとやり合っておくのも悪くないとも思ってる」

クリス「今回は死ぬかもしれないヨ?」

兎角「死ぬ気はないし、負ける気もない」

クリス「後、二発…撃たせて見せてヨ」

兎角「いいだろう」

~とある少女の独白~


頭が痛い
気づいたら寝ていたらしい

まったく…やっぱりあいつらの誘いになんて乗るんじゃなかった…

そりゃ金払いはそこそこ良かったし
なんか新しい経験ができたけどさ

けど、あいつがやけに真剣に頼んでくるような事態なのは本当だったって事なのか?

よくわからないな
体めちゃくちゃダルいす…

ん?

なんだあれ?

これか?これなのか?
おまえがボクを必要とする理由って?

ちょっと状況が飲み込みきれてないけど

信じるからなおまえの事

~船内ホール~

ベラ「まず、あんたら勘違いしてるみたいだから言っとくと私が病院にいたのは二人の生存確認じゃなくて、晴ちゃんの容態確認のためだから」

柩「あぁ、なるほど…」

ベラ「リハビリ施設のほうであんたと生田目ちゃん見つけたのはたんなる偶然なんだよね~おかげで入り浸る事になってしばらくは晴ちゃんの担当までやってたんだから観察はバッチリってもんよ」

柩「晴さんの顔で先輩の声だとなんかイラっときますね…」

ベラ「なんだ、酷い事を言うなぁ柩は」

柩「千足さんの声を出すな!…ったたた」

ベラ「折れてると思うから無理すんな~?ってか折ったんだけどね」

柩「…不覚でした。あの時気づけないなんて…」

ベラ「生田目ちゃんにもう受け入れて貰えないかもしれないけど、ぼくがんばる!って感じだったもんね~気づけないよね~」

柩「…楽しかったでしょうね、ぼくの空回りぶりは」

ベラ「まっさか~嬉しかったよ?あんたにまだああいう心があったって知れたのはね」

柩「…」

ベラ「だからさ、上の取引であんたらは死人だからもう詮索するなって話が出た時には手を引くつもりだったんだよ」

柩「なんでこんな事に」

ベラ「そりゃあ…」

グリグリ

柩「あっ!うぁっ!?」

ベラ「ちょっと聞き捨てならない話を聞いちゃってさ~?」

柩「ッ…な、なにをですか?」

ベラ「おまえさ、生田目ちゃんに殺させて一生傷としてあいつの中に刻み込もうとしたろ?」

柩「…」

ベラ「汚ねえよな~?」

柩「あなたに何がわかるんですか!ぼくの気持ちなんて!」

ベラ「わっかんねえし、わかりたくもない。自分は悲劇のヒロインですぅ…あの人に気持ちが届きそうもないからトラウマになってやるですぅ…なんてのはさ」

柩「そんな、わけじゃ…」

ベラ「じゃあどんな訳?おねーさんに聞かせてよ?私けっこー生田目ちゃんの事も気に入っちゃったからさ、このままおまえみたいなのをくっつける訳にはいかんのよ?元保護者としてさ」

柩「ぼくを殺す事でしかあの人は幸せに…なれない」

ベラ「殺したって幸せになんてなれねーだろバーカ」

柩「バカはないでしょ!バカは!…はっ…くぅ……」

ベラ「おまえが生田目ちゃん本気で好きで一緒に居たんならすでに気持ちは通じてんだよ?途中から路線変更とかしてんじゃねーよ!どうせ死ぬ気ならもっと別のやり方あったろうが!」

柩「…う」

ベラ「結果的に生田目ちゃんのほうが後追いで重症になったじゃねーかよ、あれでおまえだけ生きてたらどうするよ?」

柩「…けど、あの時のぼくには!あれが最善策だとしか思えなくて…」

ベラ「…困った時に相談もしてくれないもんなぁ…泣けるわ私」

柩「え?」

ベラ「なんでもねー独り言」

ベラ「という事でおねーさんは不肖の弟子におしおきするために色々利用させてもらった訳さ」

柩「巻き込みすぎでしょ…」

ベラ「うっせ、調度うちも内部の膿を全部出そうって話も出ててね大掃除もやらなきゃならなかったんだけどさ」

柩「あの子の事も…ぼくに見せたかったんですか?」

ベラ「あれはあのまま壊れるよりマシかなとは思ったんだけど、どーよ?」

柩「あなたを倒した後で時間をかけてゆっくりと謝るつもりです」

ベラ「お?私を倒す?この状態で?かわいい事言うじゃないのロリ子は~」

グリグリ

柩「あっ…!?ぐぅ…ぼくは…」

ベラ「何よ?」

柩「何日もずっとあなたに勝つためのシミュレーションをしてきました…何百、何千とケースを想定して」

ベラ「へ~それで?」

柩「全敗でしたよ?」

ベラ「なんだよ、その今日一番の笑顔は、さ?」

柩「どうしてもぼくの一手先を読まれてしまうそんな不安しかなかった…最悪相討ちも考えましたけど、そんな考えじゃ勝てないって…」

ベラ「で?なんなのよ?」

柩「勝てる人間を呼べばいいって結論に至りました」

ベラ「はい?」

柩「東さんや鳰さんならあなたに勝てそうですけど、そんなものは封じてくるでしょうし観察され続けた千足さんは論外です」

ベラ「ほう」

柩「だから、適度な薬物耐性を持っていて、けしてあなたに警戒されない…ぼくの手札にあるのを知られていない人物」

ベラ「……あ」

柩「あなたが一般人だと切り捨てた人間があなたを倒す」

バチッ!バチチチチ!

ベラ「があ!?」

しえな「なぁ!桐ヶ谷!本当に良かったんだよな!?これ一ノ瀬じゃないんだよな!?」

柩「ナイスです剣持さん…最高の仕事でした」

この時のためにずっと出待ちさせてました

ちなみに眼鏡なしポニテバニーガールしえなちゃん

~下層エリア~

兎角「はー、はー、はー」

クリス「…今回はワタシの勝ち…ネ?」

兎角「なんで、お互い、ボロボロだろ…?」

クリス「これ…二発撃ってナイ…」

兎角「これ……そういう勝負か?」

クリス「そーゆー勝負ヨ」

兎角「…なら仕方ない」

クリス「…東とヤると楽しーけど、なんか調子狂うんデスよネ」

兎角「…何が?」

クリス「説明できたら苦労はナイ、デス」

兎角「…くそ、また傷だらけだ…」

クリス「傷だらけで済んだだけイーデショ…」

兎角「うるさい、こっちにはこっちの事情があるんだよ…」

クリス「…またヤローネ?」

兎角「二度とごめんだ」

クリス「アハハハ、前も同じ事言ってたヨ」

兎角「…そうだっけ?」

~ホール~

しえな「とりあえず、この一ノ瀬?を縛っとけばいいのか?」

柩「…お願いします」

しえな「んしょ…」

ベラ「いや~んしえなちゃーんそんなにキツくしちゃダメだよー」

しえな「!?…うわっキモッなにこれ!」

柩「武智さんの声だされたくらいで動揺しすぎです」

ベラ「どーせならしえなちゃんの手で亀甲縛りとかお願いしたいかなー?」

しえな「きりがやー…マジキモいこれー」

柩「そんな情けない声ださないでくださいよ…」

ベラ「冗談だよ、しえなちゃんお願いだから晴を縛るのやめて?」

柩「さっきのスタンガン本当に効いてました…?」

ベラ「なーにー?うっざいわねー晴はーちょー痺れたっつーの」

しえな「今度は犬飼かよ、だんだん面白くなってきた」

柩「…いいから縛っといてください、それ危険物ですから」

ベラ「まったく…ロリ子は酷いな」

柩、しえな「!?」

柩「だから!千足さんの声を出すな!…いたた…」

しえな「なんか本人よりちょっと艶かしいといかエロい…」

柩「そこの人も…病院送りにしますよ…」

しえな「おまえが病院行かないとダメだろ…」

ベラ「なぁ、マジかわいいだろこいつ」

しえな「それが素の声かよ…」

ベラ「一応ね」

しえな「…キュアスカーレットみたいな声してんのね」

ベラ「プリキュア?」

ベラ「ケンモッティ容赦ねーな、手首痛いぞ」

しえな「変なあだ名つけんな」

柩「その人の趣味なんで諦めてください」

しえな「なにそれ」

ベラ「もう何もしないからさー弛めてよ?」

柩「あなただけは信用しませんので」

ベラ「つれないなー…ま、いっか、おめでとう合格だよ」

柩「何がです?」

ベラ「あんな事されたけんもっちゃんがこんなあぶねーヤマで協力してくれる程度には関係作れるようになってんなら、安心したって話」

柩「…急にそういう話やめてください」

ベラ「結局の話、わたしゃロリ子が生田目ちゃんとこれからやってけるか試したかっただけだし」

柩「…」

しえな「…ロリ子…プフッ」

柩「…剣持さん、後で泣かす」

ベラ「あと、多分なおまえシリアルキラーじゃねーわ」

柩「はい?」

ベラ「いや私もさ、そんなにサンプル知らんしそんなもんだと思ってたんだけどさ…乙哉っちみたいなホンモノ見てからずっと違和感があったんよー」

柩「どういう事です?」

ベラ「おまえみたいな頭でっかちが自分を保つために無意識下でそういうキャラを作り上げたという方がしっくりくる」

柩「…」

ベラ「あんなクソみたいな環境に適応しようとして歪んだんだろーね」

しえな「いったいどんなとこなんだよ…」

ベラ「ルームメイトの殺害」

しえな「え?」

ベラ「小学生くらいのガキにそれをやらせんのよ、ウチ」

しえな「…マジ?」

柩「マジです」

ベラ「ちなみにこいつ、最短記録保持者」

しえな「………うわぁ!」

ベラ「なに悶えてんだよ、かわいいな」

柩「自分とぼくは同類みたいな台詞言った事に今さら恥ずかしくなったんでしょ」

ベラ「あれかー録画見て笑った笑った」

柩「あんなとこまで監視されてましたか」

ベラ「晴ちゃんに完璧に化けるためにミョウジョウから資料もらいまくったしねー」

柩「…理事長、絶対違う意図ありますよね?」

ベラ「さー、どーだろね…にしても、あの時のロリ子のキレ方ときたら…クク」

柩「殴りたい、すぐにでも殴りたい…」

しえな「なんか…いろいろごめんな」

柩「今、あやまらなくていいです」

ベラ「あやまる必要ないぞーけんもっちゃん」

しえな「でも、ボクはこいつの抱えてるもん知らなかったし」

柩「いいんですよこんなの知らなくても」

ベラ「つか、キレていい、そいつの最後の言葉覚えてる?」

しえな「いや、あの時それどころじゃなくて」

ベラ「千足さんに憧れるなんて許さないから」キリッ

柩「……////」

しえな「うわっ!似てる!」

ベラ「ケンモティーはロリ子の事知らんかもしれんけど、うちらはさーできるだけの資料作ってロリ子に流してんのさ」

しえな「ボクの事も知っていたからああいう煽りをしてきたと」

ベラ「かわいーだろ?あの時涼しい顔して煽り返してっけど内心キレまくりよ?」ニヤニヤ

しえな「へー」ニヤニヤ

柩「あとで二人とも殺します」

ベラ「まぁ、簡単にいうとだな…しえしえと立場が逆なら今すぐ愛しい千足さんに告白できるのに!なんでこいつ自分は別世界の人間みたいな事言っちゃってんのゴルァ!って感じでPされたのよ」

しえな「そんな馬鹿な」

ベラ「ぶっちゃけあんたが殺した人間なんて生田目が殺した人間よりも低俗なクズだしねー…つか殺してねーし」

しえな「は?」

ベラ「とどめは他の集団下校構成員がやってるし、いくつかは原因ではあっても決定的な死因はせいぜい事故死に分類されるんじゃないかねーシエナッチャンが殺人の罪を自分で背負子んで組織に依存するなら向こうもウェルカムだし」

しえな「…」

ベラ「ま、そんな事せんでもシエナッティは集団下校LOVEだから余計な事しなくていいのにねー」

しえな「いや、そこまでわかるわけが」

ベラ「実体がつかみにくいとはいえ中小組織だものいくらでも調べられるってば」

しえな「ボクは…信用されつなかったのかな」

ベラ「さーねー、例えあんたの親友ゆかりんとやらが本当にけんけんを信頼してても組織の方針ってものもあるからねーなんとも言えんよ」

しえな「そっか…」

ベラ(チョロかわいい)

柩(チョロい)

ベラ「話戻すよ?ロリ子は生田目ちゃんの仇討ち対象だったしさ、しえなチャンの立場が羨ましいのも仕方ねーよな」

しえな「は?なにそれ」

ベラ「あれ?知らんの?」

柩「そういえば言ってないですね、千足さんとボクが入院するまでの顛末とか」

しえな「おいー!?」

柩「…とまぁ、こんな話なんですけど」

しえな「桐ヶ谷ぁ…おまえ大変だったんだな」グスッ

ベラ(チョロい)

柩(引くくらいチョロい)

ベラ「ま、そんなわけでめっちゃナーバスな時にしえなっちが遭遇して煽ったから八つ当たりで入院させられたわけだ」

柩「この言い方!」

しえな「でも…おまえじゃ生田目とくっつけないとか言っちゃったし…」

柩「あの、本当にごめんなさい…そう思い詰めた顔されたら困りますから」

ベラ「剣持かわいい」

しえな「ついでにボクのほうも勘違いを訂正させてもらうけどいいか?」

柩「…はい?」

しえな「ボクは生田目のロミオが美しくて見惚れたし、確かに好意があったのは確かだけどさ、違うんだよ」

柩「何がです?」

しえな「TVの向こうの役者に憧れる感情であって、けしてお付き合いしたいとかそういうのとはまた違うんだよ…正直おまえと生田目のロミジュリは絵になりすぎてて感動したくらいだし」

柩「…恥ずかしい事よくいいますね、この眼鏡」

ベラ「すいませんうちのロリ子がツンデレで」

しえな「うん、わりと嫌いじゃない」

柩「あーもー」

ベラ「そろそろ全部決着ついてる頃じゃねーかな」

柩「そうですね、ちょっと千足さんのとこが心配ですけど」

ベラ「ガキんちょが誰か送っただろ、流石に…双子のデータは渡したし」

柩「ならいいですけど…」

しえな「そういや、桐ヶ谷あの人はどうするんだ?」

柩「あの子は…」

ベラ「一回壊れてるから、大丈夫だろ多分」

柩「そんなものですかね?」

ベラ「あーゆーやつはしぶといもんさ、とりあえずさ今度は置いてくなよ」

柩「はい、そのつもりです」

鳰『あー、みなさーん蠍は潰滅したんでぇ…ゲーム終了ッスー』

柩「…終わったみたいですね」

ベラ「あー、報告めんどくせー」

柩「ちゃんとやってくださいよ?二度とこんなのはごめんです」

ベラ「へいへい」

ゴールが見えてきたようなそんな気がする

この三人思いの外面白くて暴走した反省はしているが後悔はしていない

~蠍のアジト~

連絡も無ければ船が爆破された形跡もない…失敗した

クソ!何がこれから輝ける人生だ!研究し放題だ!
実験体まで全て失ってしまったではないか!

とにかく研究資料だけでもまとめて…
後は例の薬物をさばけば当座の生活費には困らないだろう

早く、早くここを出なければ…


?「随分とお忙しいご様子ですけど…」

博士「なんだおまえは?」

?「後始末をたのまれただけのバイトですわ」

博士「なんだと?」

?「これ以上、会話する気なんてありませんの」

ブスッ!

博士「ひっ!?」

?「うふふ…やっぱり注射針を刺す感触って…最・高!ですわ」

博士「あ、あががががが」

?「あら?即効薬にしようとは思いましたけれど…少し強すぎました?」

返事はない、白目を剥いてただ痙攣するだけだ

?「強すぎたみたいね…ウフフ」

さて、と
懐から携帯を取り出して依頼主に連絡をとる

『天邊くんか?首尾はどうかね』

光「はい、アジトに残っていた最後の生き残りも始末しました。資料は持ち帰ります?」

『いや、いい全て焼却してくれ』

光「…そうですか、了解しましたわ」

『そのだな、蠍の席が空いたそうなので君に』

光「申し出は光栄ですが、お断りいたします」

『何故だね?』

光「まだ学生をしていますし、ダチュラにはお世話になっていますけど一員になったわけではありませんので…要らぬ争いの種になるような事はいかがなものかと」

『残念だ…だが今後も仕事の方はよろしく頼む』

光「ええ、今後ともご贔屓に」

組織に入る、ましてや地位を得るなど…人生を捧げるようなもの
まだまだ生活の自由を奪われたくなんてありませんもの…

だってまだ…好きな時に好きに殺したいですし

うふふふ


炎に包まれ始めたアジトから少女は姿を消した

こうして人造兵士等の研究資料は全て失われる事となった

~?~

蜘蛛「蠍は全滅、巻き込まれたVIPは全員無事とのことです」

?「ふむ」

蜘蛛「…蠍が勝手に行っていた研究や活動の資料は全て抹消しておきました」

?「…ご苦労、にわかが手を出すような代物でもあるまいよ…しかし、無様よの…我が孫ながら情けない…」

蜘蛛「あの方の最後は、自分達の作り出した兵士に頭を潰され原形をとどめないほど酷い有り様だったそうです」

?「カカッ!分を弁えぬ愚者にはお似合いの末路ではないか…最後まで道化らしく死んだ事だけは評価しようかのう」

蜘蛛「…しかし幹部たちはこのままでは納得しないのでは」

?「承知しておる、老兵が去るには良い機会よ」

蜘蛛「…すでに退陣なさるおつもりでしたか」

?「腐り果てた組織を一新するのだ…老いた頭がそのままという訳にはゆくまい?」

蜘蛛「…御大がそのつもりなら従うのみです」

?「しかし…後を託せるような人材が見当たらぬのは…少々不安ではあるが…な」

蜘蛛「…いっそ終わらせますか?」

?「カカッ!おまえの判断に委せるぞ、新たな雛鳥が卵の殻を割れずに死にそうなら介錯してやれ」

蜘蛛「…は」

~船内・下層~

?「…報告がないと思ったら何を寝ているんだこいつは」

兎角「…なんだおまえ」

?「おまえは、東の…なるほど余計なちょっかいかけられたようだな、すまんな迷惑をかけた…よっと」

疲れて気持ち良さそうに眠っているクリスを担ぎ上げる
黒服の男

?「アホみたいな寝顔しやがって…」

兎角「そいつの上役なら首輪でもしといてくれ、うっとおしくてたまらない」

?「残念だが今回一緒に働いていただけにすぎんよ」

兎角「そうか」

?「お互い厄介者に振り回されたな東の」

兎角「兎角だ」

?「俺に名乗ったところで二度と会わないだろうが、覚えておこう…俺の方は名乗らんぞ?三合会になど日本人が関わるもんじゃない」

兎角「…そうだな、わたしも関わるつもりはない」

?「…たいした怪我はなさそうだし、置いていくがかまわんな?」

兎角「ああ、そのうち誰かくるだろう」

?「それじゃお疲れ様」

兎角「ああ、お疲れ」

~中層~

乙哉「エレベーターも復旧したみたいだねー…起きてー終わったみたいだよ?」

千足「眠らされたり、起こされたり、忙しいな…まったく」

乙哉「ごめんねー、言葉じゃ生田目さん止まらなそうだから」

千足「そんな人を猪みたいに…」

乙哉「だって、桐ヶ谷ちゃんがらみだしー」

千足「私が、柩の事では盲目のような言いかた…を……」

乙哉「自覚があるのは何より」

千足「…」

春紀「おー、武智に生田目じゃん無事か?」

乙哉「春紀さんおつかれー、東さんは?」

春紀「下でイカれたシスターとデートしてる」

乙哉「なにそれ?」

千足「またか」

春紀「邪魔しちゃ悪そうだし、逃げてきた」

志摩「お?ここも派手にやってたみたいだな」

千代「うわ…左奥の壁が真っ赤…」

春紀「よ、来たか」

志摩「この寝坊助起こしてたら時間かかってよ」

千代「我が眠りは深淵のごとく…痛っ!やめてよ頭凹む!」

志摩「るせぇ」

乙哉「わーおゴスロリ!あたしゴスロリ大好きー!」

千代「ひゃあ!?」

千足「なぁ、寒河江…」

春紀「なんだね生田目くん」

千足「今、瞬間移動してなかったか?」

春紀「あたしは何も見ていない」(棒読み)

志摩「黒組って変人の集まりみたいだな、不参加で良かったかも」

春紀「おまえが言うなよ」

~ホール~

鳰「ちーっすみなさんおつかれー…って何やってんスか」

ベラ「…ひさしぶりー」

鳰「十年ぶりにあった人がJKのコスプレして緊縛されてるとか、どんな顔していいかワカンネェ…」

しえな「ボクが本当に亀甲縛りしたみたいな言い回しやめろよ!?」

柩「剣持さん往生際が悪いですよ?」

しえな「え?なにこの四面楚歌」

ベラ「この適度な縛り具合はプロフェッショナルの業だね技でなく業」

しえな「おまえら絵がないからって好き放題だな!」

ベラ「打てば響くって良いよね」

鳰「いやはやまったく」

柩「本当にサンジさん並みに出待ちしてたんですからいじり倒してあげないと」

しえな「いらないよ!」

鳰「竜神会系115名、蠍構成員25名が死亡…雇われたチンピラ共重軽傷あわせて32名…よくも、まぁ一人も欠けず無事でしたねウチら」

ベラ「ヤクザのほうはほとんど金髪ちゃんと三合会が殺ったみたいだけどねー」

鳰「あの馬鹿が三合会まで乗せてたのが幸いしたみたいッスねー…つか倒れてる中にいないって事は幹部級も撤収してるみたいッスね」

ベラ「パーティ直後に姿は消してたね、あそこのやつら」

鳰「竜神会潰しだけが目的みたいでたすかったッス」

ベラ「あれまで絡んできたのは私も思って無かったからねぇ…ダチュラであいつらとつるんでるのはいないし」

鳰「意外ッス、姉さんが仕込んだもんかと」

ベラ「そこまで、手を広げてる余裕はねーって…だいたい香主黄龍が竜神会に凄まじい恨みを持ってるなんて裏じゃ有名な話だしややこしくなるだけだもの」

鳰「なるほど」


しえな「なぁ…なんか聞いちゃいけない話してるような」

柩「とりあえず全部忘れるか、聞かなかった事にしたほうが良いですよ」

しえな「……うん」

ベラ「そいじゃ、ちょっとお色直ししてくらぁ、ちょっと付き合え」

鳰「おいっス」

しえな「…あれ?さっきちゃんと縛ったよな…?」

柩「本当に亀甲縛りくらいやっとけばよかったんじゃないかと」

ベラ「ま、細かい事気にすんな」

しえな「細かい事かなぁ」

ベラ「とりあえずこの顔だとややこしい事になりそうだから、特に東ちゃんは」

柩「…なるほど」

しえな「あぁ」

鳰「ウチがついてるんでお二人供休んどいてください」

~部屋の外~

ベラ「ありゃ、なにしてんの?」

香子「いや」

鳰「いっしょに降りてきたのにまだそこにいたんスか神長さぁん」

香子「桐ヶ谷や剣持に今さらどんな顔して会えと…」

ベラ「……この前、寒河江ちゃん追っかけた時も途中で余計な事考えて時間掛かった感じ?」

香子「…」

鳰「相変わらず、くそ真面目とゆーか、頭固いとゆーか」

香子「…しかしだな、再び後ろ楯を無くした私と接点を持ったところで録な事には…」

ベラ「少なくとも今は自由だよ」

鳰「そーそー、ホームの目はないッスから」

香子「一人いるはずだが…」

ベラ「あー、あいつなら多分大丈夫」

香子「どういう事だ?」

ベラ「私にもわからん、けど首藤ちゃんの話だと大丈夫なんだと」

香子「首藤?なぜ首藤の名前がここで出る?」

ベラ「ちょっとした縁でね、彼女は彼女で動いてたみたいで人伝だけど話は聞いたんだわ」

鳰「相変わらず得体が知れないッスねぇ、あの人も」

香子「…わけがわからないな」

ベラ「黒組の事は茶番だ、何だと思ってもさ生まれた縁は本物なんだよ」

鳰「うわ、くっさ」

ベラ「うるせ」

鳰「結局、元黒組全員巻き込まれちゃってますからー、多少の介入はあったにしろなんかしらあるのかもしれないッスねぇウチら」

香子「厄介なものだな縁というのも」

鳰「ま、こういうのは大事にしとけば良いこともあるかもしれないッスよ?」

香子「…今後を考えるとやはり…」

ベラ「うりゃ」

香子「なんだ!?いきなり胸揉むな!」

ベラ「いちいち考えすぎだっつーの、お互い元気な顔見せあうだけで得られるもんはあるんだよ」

鳰「いやだ、おばさん説教くさーい」

ベラ「おばさんって歳じゃねぇし」

香子「おまえら…」

鳰「おばさんの話ついでにウチからも、とりあえずあんたはもう少しバカになった方がいいッスよ?」

香子「なんだそれは」

鳰「ガス抜き下手そうなんスよ神長さんは」

香子「…何かよく言われるなそれ」

ベラ「だからとりあえず知り合いとバカ話でもしてみろって…んじゃ行くぜい」

鳰「はいはい」

香子「…バカ話とか」

香子「どんな話したらいいんだ…」

しかし、まぁ…
寒河江と話をした時に少し楽しかったのは確かだな

どうせまた一人で逃げることになるのなら
少しくらい他人と触れあえる機会は大切にした方が良いのかもしれないな

鳰「軒並み姉さんの予定通りってとこッスかねー」

ベラ「どうなんかねえ…」

鳰「おや?なんかひっかかる事でも?」

ベラ「まー、確かに私のやりたい事はだいたいうまくいったけどさ」

鳰「歯切れの悪い言い方ッスね」

ベラ「しばらく晴ちゃんの身近で監視してた私が例のフェロモンとやらにヤられちゃってた可能性ってあるんじゃね?って気づいてさ」

鳰「…ほう」

ベラ「ま、あくまで私はやりたい事をやっただけだし後悔とかないんだけどね」

鳰「気にしない方がいいッスよー?拗らせて殺そうとまでしたポンコツもいますしー」

ベラ「そのポンコツに負けたやつが言うなよ」

鳰「…」

ベラ「けけけ、まだ気にしてたか」

鳰「うるせぇ」

ベラ「いやいやー良い顔見せてもらったわ」

鳰「チッ…あんたは本当に変わらないッスね」

ベラ「おめーは随分変わったかと思ったけど…根っ子は変わってねーなやっぱ」

鳰「…悪い?」

ベラ「んにゃ、ちょっとうれしい」

鳰「…ほんとむかつくわぁ」

ベラ「あーそれから今さらだけどさ」

鳰「なんスか?」

ベラ「大事な時にいなくてごめんな」

鳰「…バーカあんたがいてもいなくても、結局何も変わんなかったッスよ」

ベラ「かもね、ま、私のエゴだから謝られとけ」

鳰「…はいはい」

鳰「で、ホールで寝てる連中ウチらで保護していいんスか?本当に」

ベラ「ん、そのほうがいいだろあいつらに恩売っとけばダチュラもミョウジョウに手を出すような事も無くなるだろ…ま、組織がどうなるか知らんけど」

鳰「恩を仇で返しそうな感じもしますけどねー」

ベラ「あいつら金だけ出して自分は安全地帯で眺めていたいだけのヘタレ共だから、今回みたいに自分達も巻き込まれかけたら少しは反省するんじゃないかね」

鳰「どーっすかねぇ…まぁ、恩を売りつけないよりはマシってとこですか」

鳰「……過程を見てるとほんとキモいッスね」

ベラ「恥ずかしいから見ないで///」

鳰「バーカ」

ベラ「んだよ!もっと気のきいた返ししろよ!」

鳰「嫌でーす」

ベラ「バレない分だけ時間かかるんだから仕方ねーだろ」

鳰「便利なんだか、使いにくいんだか…」

ベラ「うちの家もこれだけのために研鑽してきたと思うとなんだかなぁって思うわ」

鳰「あははーコメントしずれぇ」

鳰「しかしどーしたもんすかねー」

ベラ「何が?」

鳰「ホールのやつらはともかく、ちょっと死体多すぎてこのまま港に戻すと大変ッス」

ベラ「あー」

鳰「いっそ…沈めちゃいますか」

ベラ「目からハイライト消えてるぞ」

〆くらいは丁寧にやろうと思ってなかなか終われない

多分誰も興味ないであろうネタ

人造兵士(失敗作)
機械に人工皮膚を被せた完全なロボ
機械だけにタフだが、身体制御に容量食われてるせいか動きが遅いうえに武器などの使用は現状不可
しかもコストが高すぎるため商品にならずお蔵入りしたもの
本来は消耗しきった兎角への最後のトラップだったのだが…人工物なので兎角さんは容赦なく戦えるため無惨な結果となった
頭部と胸部の制御ユニットを壊さないとしぶとく動くので春紀、志摩のような格闘タイプは相性がめちゃくちゃ悪い
博士が10話の人形の動き見たら多分ショックで寝込む



人造兵士(人狼型)
人間に獣の遺伝子を掛け合わせて造られた人造人間
凶悪な戦闘力を誇るが主人以外の生物に無差別で攻撃してしまうため実用には向かない
また生命維持のために特殊な薬品が多く必要なためこれもコスト面で問題があり研究打ち切りにされてしまった


無職になりかけたところを人造兵士にロマンを感じたワカメにスカウトされたとかなんとか

?「そこの二人、ダチュラのベラドンナとミョウジョウの走り鳰でいいのか?」

鳰「…誰っスか?」

楊「三合会の楊つーもんだ、化粧室に入るわけにもいかんのでこのまま外から話させてもらう」

ベラ「おや?死人が出てきていいのかい」

楊「どーせお前らなら把握してるんだろうからな、かまわんよ」

鳰「で、その楊さんが何か?」

楊「竜神会の死体処理ならウチが引き受けるがどうか」

鳰「おや、そりゃ助かりますがわざわざなんで?」

楊「こっちの事情だ。あんまり詮索しないでくれると助かる」

鳰「まー、ウチらにしたらあいつらどうでもいいんでかまわないッス」

楊「了解した」

ベラ「しかしなんであんたが」

楊「しばらく身を隠すつもりだったんだがこっちも人手不足なんでね」

ベラ「…大変だねぇ」

鳰「どこも人使い荒いッスねぇ」

楊「で、この船はどこへ行く事になっているんだ?本来のコースから外れているようだが」

鳰「英の管理してる港につけてとりあえず生きてる人間は降ろすつもりだったッスが…」

楊「くわしい場所を教えてくれ、こちらも人を向かわせたい」

鳰「おーけーッス、ウチから英の方に連絡入れとくんでお互い不干渉って事で」

楊「おう」

楊「…さて」

?『どうした?』

楊「俺です大哥」

?『ふむ接触できたか?』

楊「はい、話はだいたいつきました。場所も陸の連中にメールしてあります」

?『すまんな、本来俺が行くべきだろうがエレベーターが使えなくなってな…上に行くにも一苦労だ』

楊「そりゃ大変だ、下は臭いでしょうしね…あのゴミどもの臭いで」

?『まったく最悪だ』

楊「上に来るより外に出た方が早いんじゃないですか?」

?『あいつら来ているのか?』

楊「そりゃ俺達はともかく大哥に何かあったら香主に顔向けできませんから。小さな船なんで乗り心地は保証できませんが」

?『かまわんさ』

楊「なら場所を指示してやってください…姜の番号知ってますよね?」

?『ああ、あいつか』

楊「多少の無茶振りは大丈夫でしょうから好きなとこに呼びつけてやってください」

?『そうしよう…おまえのほうは?』

楊「後で合流します」

?『わかった。後は頼む』

楊「承知しました」

~英家自家用車内~

純恋子「あちらもみなさん無事なようですわ」

晴「よかった…」

純恋子「このまま、合流場所に向かっていますから、しばらくすれば直接無事な姿を確認できるでしょう」

晴「ありがとうね、英さん」

純恋子「私は、見届けただけです。礼を言われるほどの事はしていませんわ」

晴「それでも、晴はありがとうって言いたいの」

純恋子「…そうですの、ならその気持ち受け取っておきます」

晴「えへへ」

純恋子「ところで…いつまでそんな不機嫌な顔をしていますの?」

真夜「…」

伊介「…」

真夜「あいつおまえと同じ顔でグダグダうるせえんだぜ…居残りする時もあなたと違って信頼されてますからみたいな顔しやがって…」

純恋子「まぁ、あの娘がそんな事を」

真夜「しかも真昼のためにとか言いやがって…俺と真昼の関係なんてあいつに踏み込めるようなもんじゃねぇってのに…」

純恋子「ふふ、私から言っておきますから真夜さんは気になさらないで」

真夜「いや、そりゃダメだ!俺の力であいつに認めさせないと気がすまねぇ」

純恋子「…


真夜「どうした?」

純恋子「なんでもありませんわ」

純恋子(少し嫉妬してしまったなんて言えませんわ)

伊介(…何よ、こいつ全然本気じゃなかったって事?)

英の持っていたあいつの資料を見れば見るほど苛立ってくる

単身で挑んで生き残れただけでも見事だなんて言われたけど
実際はただ遊ばれただけ
あの処女ガキに負けた時以上の屈辱を味あわされるなんて…


晴「あの、伊介さん?」

伊介「何よ?」

晴「あ、あの大丈夫ですか?」

伊介「…なにがー?」

晴「いえ、なんだか辛そうかなって…」

伊介「ちょっとだけ考えごとしてるだけよ」

晴「そうですか…あはは」

伊介「…伊介にあれだけやられて懲りないわね、あんたも」

晴「だって、もったいないから」

伊介「何が?」

晴「晴にとって初めてのクラスメイトだから…殺しあう理由もない今なら仲良くなれるかもしれないじゃないですか?」

伊介「……わかんないわぁその感覚」

晴「そうかなぁ」

伊介「そーよ」

晴「あはは…」

デコピンでもやって黙らせてやろうかと思ったけど…なんかしらけたわ
とりあえずこいつへの仕返しはまた後で考えよう

零咲薫子…絶対に泣かしてやるから

~船内下層~

千代「ふっ…満身創痍だな我が宿敵よ…このまま触れたら精気を吸って冥府へと…」

兎角「…誰が宿敵だ」

気づいたらゴス女がいた
また妙な身振りをしているが額の絆創膏のせいでかなり間抜けだ

香子「どうやら無事のようだな」

なんだこの組み合わせ?
まぁ、いい話のできそうなのがいるのは良いことだ

兎角「お陰さまでな…まったくおまえの知り合いのせいでひどい目に会ったぞ」

香子「すまない」

兎角「今回は別件らしいから気にするな」

香子「別件?」

兎角「よくわからん、おまえを殺すわけにはいかなくなった言ってはいたが…わかるか?」

香子「…私はあいつに殺されかけてから一度も会っていないからわからない…」

兎角「そうか」

香子「…ふむ」

千代あのースルーされてると僕も辛いんだけど」

神長と話してる間、一人でポエムを垂れ流していたゴス女が会話が途切れたのを見て入ってくる
というかおまえなんでいるんだよ

香子「東が上がってこないから様子見に行こうという話になったが、生憎と怪我人や消耗してる人間ばかりでな…走りや武智じゃもめそうなので私達が来たんだ」

わたしの表情で察したのか神長が説明してくれた

千代「ふ…我が故郷のランドルートでは同胞が育みし命を聖別し蔵へと蓄えていた事もあるのでな!東程度の身体を抱くなど容易きことと名乗りを上げたまでよ!」

どうやら力仕事は得意だと言いたいらしい
まぁ、あの大鎌を振るう力だけは凄かったな、うん

兎角「おまえ、わたしを狙っていたんじゃないのか?」

千代「互いに刃を交わし死力を尽くした闘争を終えた我らはすでに宿敵(とも)であり戦友(とも)…」

さっぱりわからん

千代「志摩ちゃんから借りた魔導書(グリモア)にも戦友のために力を奮うのは王道だと記されているしね!」

兎角「…そうか」

やっぱり苦手だこいつ

香子「…まぁ、皆と合流してから話そう」

千代「うむ、任せよ」

ひょいっとわたしの身体を持ち上げて肩に担ぎあげるゴス女
…なんだか間抜けな気がするが身体が動かないので抵抗できない…

香子「…東、大丈夫か?」

兎角「…もう好きにしてくれ」

兎角「なぁ神長」

香子「どうした?」

兎角「さっき武智の名前が出てたんだが…あの武智か?」

香子「ああ、あの武智乙哉だ」

兎角「…なんでいるんだ」

香子「当たり前のようにいたんで特に気にしなかったんだが…知らなかったのか?」

兎角「何も聞いてない」

香子「…そうか」

兎角「なんだ?なんだその顔は!?」

香子「いや、なんとなく納得しただけだ」

死なない程度でお願い

兎角「おい神長。これはどういう事だ?」

香子「私達が出ていく時はここまでの惨状ではなかったんだが…」

千代「…汝の犠牲は無駄ではなかったぞ…」


目の前には半裸にされて毛布にくるまっている剣持と満足気な笑顔で気絶している武智がいた

鳰「あ、兎角さんじゃないッスか!お疲れさまっス!」

兎角「どうなってんだよこれ」

鳰「いやーウチも少し出てるうちにこうなったみたいで…」

春紀「すまんね…負傷中のあたしらじゃアレは止められんかったわ」

志摩「…まぁ死ぬことは無さそうだしな」

兎角「晴と生田目と桐ヶ谷は?」

鳰「あのバカップルなら別室で休んでるッス…あと晴なら実はここにはいないんで」

兎角「どういう事だ?」

鳰「まぁ、万が一を考えて替え玉がここに来ていたと考えてもらえば…」

兎角「無事なんだな?」

鳰「もちッス」

兎角「ならいいんだが…」

しえな「…うぅ…ボクはよくない……」

兎角「…何があった…いや武智に何かされたのか?」

千代「この刃に魅せられし悪魔に…純潔を…」

しえな「そこまでされてないよ!?」

しえな「神長と二人で桐ヶ谷を客室のベッドに運んんだよ…床に寝かせままじゃかわいそうだし」

兎角「怪我してたのか?」

しえな「あいつ肋折られてたみたいでそこ蹴られたりしてたから平気だとか言ってたけど…無理させることもないだろうってさ」

兎角「あいつも体張ったんだな」

しえな「うん、ボクが仕掛けるまで惹き付けようと無理したみたいでね」

香子「それに生田目に心配かけまいとそのまま無理をしそうだったからな」

兎角「それはいいんだが…何故」

しえな「ああ、それで後から合流する連中は広間に来るだろうってボク達だけでも戻ろうって話になって…」

~回想~

春紀「おー!神長に…剣持じゃゃんおまえもいたのか」

しえな「ああ、細かい話聞かされないまま巻き込まれたよ…」

春紀「そりゃあ災難だ」

千足「久しぶりだな剣持に神長…ところで桐ヶ谷と一ノ瀬は?」

しえな「ああ奥の客室で寝かしてきたよあいつも…」

千足「まさか!怪我でも!?」

しえな「ああ…でも本人は大丈夫って…」

千足「すまん、話はまた後で」

しえな「おい生田目!…って行っちゃったよ…あいつもけっこう酷い事になってないか?」

鳰「まぁ、あんな感じッスよいつも」

ベラ「いいよねぇ…若さみなぎってる感じ」

しえな「殺しあった仲とは思えないな…」

ベラ「吊り橋どころかあれよファイト一発的なアレを乗り越えたのよ二人は」

しえな「いや、さっぱりわからないよ…」

鳰「えー兎角さんアレとやりあってるんスか」

香子「やつが相手では東も危なくないか?」

春紀「ん…大丈夫だと思う。多分」

志摩「あれは遊びたくて仕方ないガキって空気だったしな」

鳰「そういう空気で殺すの好きなのがいますからねぇ…」

乙哉「なーにー?なんでこっち見てるの?」

香子「それに、死なないからと言って無事とは限らないぞ」

春紀「あー…それはあるかも」

鳰「拾いに行かなきゃダメッスかね」

香子「では、私が行こう」

鳰「いいんスか?」

香子「私のせいでもあるしな」

春紀「でもおまえ一応狙われてるんだろ?」

香子「だからこそだ。東とやりあったらやつも無事ではないだろうし…話を聞けるかもしれない」

ベラ「まぁ、あいつなら多分いきなり委員長ちゃん殺すような行動には出ないだろうし大丈夫じゃないかな」

鳰「本当に?」

ベラ「アレ呼んだの私だし」

鳰「…そっスか」

春紀「でも神長だけじゃ負傷した兎角サン連れて上がってくるの大変じゃないか?」

乙哉「あたしはパスねー…双子さんと戦った傷に響くし」

しえな「どう見ても無傷だろおまえ?」

乙哉「いやー内気功の使い手だったんだよー」

しえな「嘘くさい…」

鳰「ウチも用があるので他の方にお願いしたいッスね…それに助けに行って文句言われるのは嫌なんで」

乙哉「あははー鳰さん嫌われてるもんねー」

春紀「つか、好きなやついんの?」

鳰「おまえら!」

千代「ふむ、ならば僕が助力しよう」

鳰「あんたが?」

千代「うむ、膂力には多少自信があるのだ」

志摩「そいつ、実家の農業手伝ってたから体力はあるぞ」

鳰「なるほど…ってそういやあんたら誰ッスか?」

志摩「寒河江の戦友(ダチ)だ」

春紀「ダチだったのか」

志摩「違うってのか!?」

春紀「いや、まぁいいけど…殴りあったらダチって漫画か」

千代「ともかく、我も東には借りがあるので助力は惜しまぬぞ!」

鳰「はぁ…まぁ悪い人には見えないしいいっスかね」

千代(というかあの鋏のお姉さんから早く逃げたい)

鳰「まぁ…あの二人なら大丈夫ッスかね」

ベラ「そんじゃ行きますか」

鳰「へいへい」

春紀「どっか行くのか?」

鳰「ちょっと後始末というか」

ベラ「簡単に言うとこいつに術解かせて、私がおさめるってとこかね」

春紀「さっぱりわからん」

鳰「とりあえず船の進路変えなきゃいけないんでめんどいけどやらないといけねぇッス…」

ベラ「案外戦いより後始末のほうが大変よねぇ」

志摩「あんたは楽しそうだな」

ベラ「私は隣でこいつが苦労してんの見てるだけだからねぇ…そりゃ楽しい」

春紀「ひでえ」

乙哉「…」

しえな「なんだ?どうした?急に黙って?」

乙哉「うふふふ…ようやく鳰ちゃんがいなくなった…」

しえな「え?」

乙哉「あたし、なんか逆らえなくてさーあの娘にだけは」

しえな「なんだよ怖いぞおまえ!?」

乙哉「ずっと我慢してたんだよ…あたし…ここに来てから…」

しえな「何を…?」

乙哉「だって…しえなちゃん…が…そんな服着てるから…誘ってるよ…ねぇ!ハァハァ」

※お忘れの方も多いと思いますが剣持さんは現在バニーガール姿です

しえな「これはただの仕事着で!」

乙哉「大丈夫!体に傷はつけないから…ね?」

しえな「いや絶対にそんな理性ないだろ!?」

気づいたら朝だった

乙哉「しえなちゃんのこのちょっとだらしないお肉のついた太股が網タイツにつつまれているなんて…あぁ」

しえな「やめろバカ!だらしないとか言うな!」

乙哉「あはは、ごめんねぇ…でも、こうむちっとしててあたし好きだよ」

しえな「おっさんみたいな事言ってないでやめろ、な?」

乙哉「やーだ♪…ごめんねちょっと痛いかも」

ビッ!

しえな「ッ!バカ!?これ借り物なのに何やってんだ!」

乙哉「ほら、網タイツを引き千切るってなんかそそらない?」

しえな「わかんないよ!」

乙哉「この引っ張った時に歪む太股のお肉とかすっごくいいのにぃ」

しえな「お肉、お肉言うなぁ」

志摩「なぁ…寒河江さんや」

春紀「なんだよ粟津さんよ」

志摩「あれ、止めなくていいのか?」

春紀「一回、気が抜けたせいか体が思うように動かないんだよなぁ」

志摩「奇遇だな、あたしもだ」

春紀「まぁ、だいたいおまえのせいなんだが」

志摩「お互い様だな」

春紀「まぁ…死にはしないだろうし」

志摩「そりゃそうだろうけどよ」

春紀「いいリアクションで武智喜ばせてるあいつも悪いって事で」

志摩「ひでーな」

乙哉「ああ、もう終わっちゃった…」

しえな「気がすんだか?なら離れてくれよ」

乙哉「え?何言ってるの?前菜が食べ終わったってとこだよ?」

しえな「」

乙哉「本当なら…このようやく剥き出しになった生足に…」

しえな「やっ、やめ」

乙哉「あははは、驚いた?大丈夫だよ刃の部分は当ててないから」

しえな「鋏の感触が嫌なんだよ!」

乙哉「ふふ…内腿をこう」

しえな「んあっ!?」

乙哉「冷たい鉄がなぞる感覚って…良くない?」

しえな「…良くない」

乙哉「えっちい声だしたくせにぃ」

しえな「…驚いただけだバカ」

ちょっとくらいサービス的なものもいれていきたいというスタイル

乙哉「それじゃいくよー♪」

股のあたりから刃を滑らせスーツに鋏を入れる
ジョキン!ジョキン!と音を立ててバニースーツが切られていく

しえな「ば、ばか!?やめろよ!?」

乙哉「んー…い・や・だ♪」

しえな「本当に怒るぞ!バカぁ!」

乙哉「ダメだよしえなちゃーん今動いたら手元狂うかも」

しえな「くっ…」

鋏の刃はお腹のあたりにまで達している
レザー素材を紙のように切り進む刃が体に刺さればただではすまないだろう

乙哉「うん、いいよーそうやって静かにしていればすぐに終わるからー♪」

しえな「おまえ、ボクに何かあったら…」

乙哉「わかってやってるんだから無駄だって理解してるでしょ?」

しえな「いいのか?ボクがおまえを道連れに死ぬ覚悟があるとしたら破滅するんだぞ?」

乙哉「怖くて体が震えてるのに?そんな度胸ないでしょしえなちゃんには?」

しえな「ボクにだって…」

ジョキン!

乙哉「残念!時間切れでーす!」

刃はすでに胸元まで到達していた
スーツは真っ二つに切り裂かれて肌を隠す機能を失った

乙哉「へー…なにこの下着ほとんど紐だよーエロいねーしえなちゃんのくせにエロいねー」

しえな「仕方ないだろ!こんな服じゃ普通の下着なんて…ってしえなちゃんのくせにってなんだ!バカ武智!」

乙哉「あはははは♪いいよねーほんとしえなちゃんはいいリアクションしてくれるから大好きだよ!」

しえな「ボクは嫌いだ!バカぁ!」

乙哉「ふーん…そんな事言うんだぁ?」

ベリッ!
にやにやと笑いながら乙哉が乳首にはられたニプレスを乱暴に剥がす

しえな「いたっあ…!」

乙哉「ごめーん!わざと痛くしちゃった♪」

しえな「~~!」

乙哉「ちょっと傷ついちゃったかな?ごめんね」

しえな「な、なに…あっ!?」

乙哉「何?ほらこれくらいなら舐めれば治るかなって」

しえな「バっ…はっ!…ひぁ!?」

胸を掴みあげて乳首に下を這わせていく乙哉

しえな「や、やめろ…」

乙哉「ん、いいの?少しかたくなってきてるけど?」

しえな「知らない」

乙哉「あたしね、こういうの自分じゃ感じないけど…わかるんだよねぇ悦ばせてあげると…ふふ…みんないい顔してくれるから…」

しえな「聞きたく、ない…や、めろ…離れろ…バカぁ」

乙哉「でもさ」

指先で乳首をつまみ擦りあげる

しえな「あっ!」

乙哉「体は正直なんじゃない?」

しえな「痛い…だけだよ…」

乙哉「ふーん…ちょっと本気出しちゃおうかなぁ?」

しえな「え…?」

乙哉「おりゃっ」

しえな「え?あっ?!」

急に下半身を持ち上げられてしえなは困惑する
不意をつかれ抵抗する事もできずに体勢を変えられてしまう
両足を持ち上げられでんぐり返しの途中で止められたような状態
いわゆるまんぐり返しと言われる体位である

乙哉「ほら、しえなちゃん」

しえな「な、なに」

乙哉「この小さな下着がいやらしく濡れてるのわかるでしょ?」

しえな「…汗、だよ…もう、やめて武智、あやまるから…こんな恥ずかしいかっこうは…」

乙哉「うふふ、だーめ」

しえな「な、やめっ!?」

ほとんど下着の役割をはたしていないそれの上から乙哉の舌がしえなの秘部を舐めあげる

しえな「汚いからやめっ!うぅ!は、ぁ!?」

乙哉「んー汗にしては匂いが独特な気がするけど?」

しえな「…しら、ない…や」

乙哉「目を反らさないでさ?ほらぁ、しえなちゃんの自身の体なんだから…」

しえな「は、うっ」

乙哉の指先がしえなの割れ目をなぞりながら押し広げていく

乙哉「ねぇ?ほら、どうしてここだけすごく濡れてるのかな?」

しえな「…やめて、恥ずかしい、か…ら…」

しかし今まで避けてきた直接的なエロ描写ぶっこんでるがいいのか俺

ようやく美少女殺せると思ったら無反応でかなりたまってたところにいい反応するしえなちゃんがいたから仕方ないね

乙哉「んー、じゃああっちにいる春紀さん達にも見てもらおっか?」

しえな「っ!?」

乙哉に襲われて混乱していたせいか気づいていなかった
今の自分の姿を第三者からも見られているという事に

しえな「武智ぃ!やだ!ダメ!放してぇ!!」

恥ずかしさに叫びながら
おさえられた体をなんとか揺すりながら抵抗しようとする

乙哉「ダメだよぉ、しえなちゃん」

しえな「うるさい!放して!早く!」

乙哉「そんなに騒いだらその辺で寝てる人が起きちゃうかもよ?」

しえな「!?」

睡眠薬で眠らされて倒れている客達が視界に入る

しえな「あ……あ…うぅ…」

乙哉「うふふ、わかったみたいだねぇ…あれぇー?」

しえな「な、に?」

乙哉「しえなちゃんのここさっきより濡れてるんだけどぉ?なんでかなぁ?」

しえな「…しら、ない」

乙哉「しえなちゃんってドM?」

しえな「違っ!?」

乙哉「あー声だしたら」

しえな「あぅ…」

乙哉「かわいいなぁ~しえなちゃんは」

しえな「うれしくないよぉばか」

乙哉「えー?じゃあ、悦ばせてあげるからうれしくなって、ね?」

しえな「え?」

乙哉「せっかくだし」

クイッ

しえな「ん!ふぁ?!」

乙哉「えっちい下着は有効活用しないとねぇ」

しえな「や、いた、いよ」

乙哉「しえなちゃんのここ下着が食い込んで、クリトリスの形までよくわかるよ…ふふ、固くなってきた」

クチュ クチュ カリカリ

乙哉「ほら、指が引っ掛かるくらい…勃起しちゃってる…どう?気持ちいい?」

しえな「や…っあ…!…せつ、めい、するなぁ…」


乙哉「でもぉ、おつゆの方はさっきより多くなってるし…すべすべのお尻もピンクに染まってかわいいよ」

しえな「だ、からぁ…」

クチ クチ

乙哉「ほら、しえなちゃんのピンク色のが興奮してはみ出してきたよ♪」

しえな「ん、やぁ…」

チュプ

乙哉「しえなちゃんの処女ま◯こ、あたしの指を下着の上からなのに食べちゃってるぅ…えっちだなぁ」

しえな「ひうっ!?」

乙哉「痛い?」

しえな「いたく、ないけど」

乙哉「なら、そのまま力抜いててね、痛がるのもいいけど…今回はかわいいしえなちゃんが気持ちよくなるところを見たいから」

しえな「あ、うぅ…」

乙哉「しえなちゃんのここ指をちゅうちゅう食わえてきてかわいいよ」

ジュプ ジュプ ジュプ

乙哉「いっぱいヨダレが溢れてきてるよ…音聞こえる?」

しえな「やっ!はっ!うぁ!」

下着をずらして乙哉の舌がクリトリスに触れる

しえな「っ!?」

ピチャ ピチャ グチュ グチュ

わざと音を立ててしえなの固くなったそこを舌で転がすように舐める
同時に秘部を責める指も動きを増していく

しえな(なにこれ?しらない!ボク、こんな感じしらない!?)

自慰行為くらいはしたことはある
けどこれは、こんな感じは初めてだ

しえな(流されちゃダメなの、に…でも、何、これぇ…気持ち良すぎる?!)

実際のしえなの口からは意味をなさない喘ぎ声のみが出ていた
戸惑いが消え甘く、快楽を享受する喘ぎ声が

しえなの体から力が抜けきったのをきっかけに乙哉は、下着をずらして直に指を挿し込む
より深く、激しい動きで膣を掻き回すように動かす

しえな「ふぁっ!?はぁ!あう!」

瞳は快楽に蕩け、だらしなく開かれた口はただ動きに反応するだけの喘ぎ声を発するだけ

乙哉(初だとは思ってたけど…ここまでなんてね、肌も綺麗だし性的な虐めは受けてなかったみたいだねぇ…それだけはいじめっ子に感謝しないと、ね)

罵倒も懇願もないのは少し物足りないけど反応は上々

乙哉(しばらくOLのお姉さんとか歳上ばっかりだったし…こういうのも良いかもね)

しえな「あっ!はぁっ!!ふ、はぁ!?」

頭の中が真っ白になる感覚
自慰行為では辿り着くことの無かった激しい絶頂感を味わう

しえな(武智の舌と指だけでイカされちゃった…)

しかし

乙哉の責めは止まらない

しえな(え…?)

一度、絶頂をむかえ敏感になった体にさらなる快楽を刻み付けてくる
弛緩し、完全に抵抗がなくなったのを確認した武智は押さえつけていた手が胸を責め始める

しえな「や!?た、けっ!?」

言葉にならない
体に刻み込まれる予想外の快楽に舌が回らない

しえな(やだ、何、これぇ!?感じるのとまらない!?)

春紀「流石にヤバイか?」

志摩「どうした?急に」

春紀「武智のやつ、本当に箍が外れちまってるみたいだわ…」

志摩「そりゃ、最初からじゃ」

春紀「いんや、最初のほうはフリっぽかったんだけどな…止めねえとヤバイかも」

志摩「いけるのか?」

春紀「気づかれたら無理だろうな…でも今ならあいつ完全に剣持だけに気をとられてるし大丈夫だろう」

志摩「んじゃ、手伝おうか」

春紀「いいのかよ」

志摩「まだおまえとちゃんと決着つけてねーしな、死なれたら困る」

春紀「死なねーっての」

エロとか初めて書いたからなんか時間かかってしまった

しえな「はぁ、は、ふ、は…」

呼吸がうまく整えられない…
まるで持久走を終えた後みたいな疲労感だな

トクトクと鼓動を刻む心臓の音が大きく聞こえる

しえな(…終わったのか…?)

頭がぼんやりとして思考がまとまらない

体が少し楽になっているのはあの恥ずかしい体勢から仰向けに寝かされているからだとようやく気づく

乙哉「しえなちゃん」

しえな「ん、あ…たけち?」

乙哉の声がする

乙哉「ほら、しえなちゃんがあたしの指を食べたまま離さなかったからこんなにふやけちゃった」

愛液で濡れた指をしえなに見せる

しえな「…あ、う、ごめん…」

乙哉「素直だね、しえなちゃん…だったら綺麗にして…しえなちゃんのお口で」

乙哉の指が半開きになった口にさしこまれる

しえな(ボクのせい、なのか…ならしかたないかな?)

ぼんやりとしていて頭がまわらない
ただ言われるがままに丹念に乙哉の指を舐め始める
舌を指にからませて指についた自分の体液を綺麗に舐め取る

乙哉「ふふ、いいよ、とってもいいよしえなちゃん」

しえな(ああ、たけちがよろこんでる…)

少し嬉しくなって指をやさしく、舐めていく

乙哉「…ありがと、しえなちゃん」

満足したのか、乙哉は指を口から引き抜く

しえな「あ、うん」

少し名残惜しそうな声が出てしまう

乙哉「んじゃ、ご褒美ね♪」

不意に唇が重ねられる
乙哉の舌がしえなの口腔内に入り込み舌を絡めとるように動く

しえな「は、ぅ!?」

前に冗談じみた挑発からキスした時とは違う
口の中を愛撫する舌の動きに頭に電気が走るような衝撃を受ける

しえな(や、うそ?やだ、ボク…っ!?)

視界がパチパチと明滅する感覚

しえな(やだ、これ、この感じ…嘘だよ…キスだけで…)

下腹部が熱くなるのを感じる

しえな(やだ、ぼく、こんなえっち、じゃ…)

明滅する感覚が縮んでいく
またあの感覚がくるのがわかる

しえな(うそ、だよ…ぼ、く、また、いっちゃ…)

不意に乙哉の手が胸に触れる
優しく包み込むように撫で上げる

それが、とどめとなって
しえなの思考は再び白い光に飲み込まれてしまった

しえな「はー、はー、はー」

乙哉「しえなちゃんえっちでかわいいよ」

しえな「や、ちが、う、の」

乙哉「あたしはうれしいよ?しえなちゃんが感じてくれて…だから」

不意に胸のあたりに冷たい感触がする
胸を撫でるように鋏の腹が触れているのが視界に入る

乙哉「あたしも感じたくなっちゃった」

しえな「っ!?」

乳輪の周りをなぞるように刃が滑る

しえな「っつうっ!?」

浅く傷をつけられた肌から血の雫が滲み出てくる

イカされて弛緩した体では抵抗する力も出るわけもなく覆い被さっている乙哉になすがままにされてしまう

乙哉「いただきます♪」

傷口に舌を這わせ血を舐めとりながら固くピンと立った乳首を責める
さながら母乳を吸う赤子のようにも見えるが
傷口に触れる舌はさっきまでと違い乱暴に胸を蹂躙する

しえな「はあっ!?うあ!あ!?」

顎を反らし、目を見開いて喘ぐ
痛みと快楽が混ざりあった奇妙な感覚に戸惑いと恐怖を感じながらも抵抗する事ができない

乙哉「ん、ちゅぱ…ふふふ…いいよぉ、しえなちゃんの声さいこぉだよ…」

乙哉の目に狂気の色が見えている

しえな「たけ、ち…だめ、だよ…」

乙哉「うん、わかってる…わかってるけど…ダメなんだよぉ…しえなちゃんがかわいすぎて、あたしも感じたくて…止まらないの…」

~回想~

しえな「監視役ですか?」

?「そ、あいつがフリーの時はなるべく一緒にいてあげて」

しえな「なんで、ボクが…」

?「あいつを逃がそうとしたのと、あんたの組織をお目こぼししてやる交換条件ってとこかな」

しえな「…」

?「返事は?」

しえな「はい、わかりました」

?「よろしい、ちなみにあんたが死んだ場合…これは武智乙哉に殺された場合に限らずあいつが関わった事件に巻き込まれて死んだ時もふくめてだけど」

しえな「いきなり物騒な…」

?「武智乙哉には処刑命令が下る事になるから」

しえな「え?」

?「だから、処刑命令だって凶悪犯だから問答無用で射殺してよしって上から許可が下りるんだって」

しえな「そんな無茶苦茶な」

?「殺人鬼を手駒にしようって時点で無茶苦茶でしょうよ」

しえな「う、そう、ですけど…」

?「あいつも承諾済みだから安心していいと思うよ?流石に自殺するようなマネはしないでしょ、あの性格なら」

しえな「だといいんですけど」

しえな「とまらないじゃない…こんな事で死にたくないだろ…」

乙哉「…うん、そうだね…でも」

乙哉の指が胸からお腹の辺りまでを撫でまわしていく

しえな「は!うっ!」

乙哉「力の抜けた上気した綺麗な肌がね…目の前にあるの…いっつも逃げられてたしえなちゃんの体が…無防備なまま目の前に…あるの…ふふ、ふふふ」

しえな(ああ、ダメだこいつ…なんでボクはこんなやつを…)

乙哉「好きだよしえなちゃん」

しえな「いまの、おまえに言われ、ても、うれしくない」

乙哉「声は震えてるのに…そのいつかぶん殴ってやるみたいな目がたまんないよぉ」

恍惚な表情で鋏を振り上げる



その手を不意に背後から現れた手が掴んだ

志摩「そこまでだ」

乙哉「え?」

春紀「ちょっと寝てろ」

志摩に気をとられた一瞬を狙って春紀が背後から一撃

乙哉「っ!?」

完全に不意をつかれたせいか抵抗する事もできずに意識を刈り取られてしまう

春紀「…はぁ…悪いな剣持、こいつが油断しきるまで手が出せなくてな」

しえな「…いや、いいんだ…ありがと」

春紀「…とりあえずあたしの上着羽織っとけ」

しえな「…うん」

志摩「しかし、なんだ」

春紀「どうした?」

志摩「裸に作業着って変にエロいな」

春紀「あー」

しえな「…あぅ」


鳰「てな事があったッス」

兎角「災難だったな剣持」

しえな「…なんでおまえはそんなに詳しく知ってるんだよ…」

鳰「そりゃモニタールームでしっかりと見させていただいたので」

しえな「…」

ベラ「エロかわいかったぞけんもっち」

しえな「……うわああああああ!?」

春紀「おい!暴れるなって!?」

鳰「大丈夫ッスよモニタールームの連中は記憶改竄してるし、データも消したんで」

しえな「…本当?」

鳰「はい」

ベラ「本当だよ」

しえな「…良かったぁ……」

鳰(理事長のおみやげにバックアップ取ってあるのは秘密ですけど)

ベラ(なかなかかわいかったからデータのコピーもらったけどな)

~港~

涼「久しぶりじゃな一ノ瀬に英」

晴「あ、首藤さんお久しぶりです」

純恋子「ごきげんよう、首藤さん…長生きとはいえ、あなた三合会にもつてがあったんですのね」

涼「いやいや、最近できた奇縁じゃ」

純恋子「はぁ、そうですの?」

涼「香主の暇潰しに将棋の相手なんぞしてみたら妙に気に入られてしまってな」

純恋子「どんな経緯を辿ればそんな事になるのだか…」

涼「ん?犬飼と番場は…寝とるのか?」

晴「ちょっと頑張りすぎたみたいです」

純恋子「戦い抜いた戦士には休息が必要ですからね」

涼「そちらはそちらで難儀な事になっていたようじゃの」

晴「あはは…申し訳ないです」

純恋子「お気になさらず、私達は勝手に手を出しただけだと言ったでしょうに」

晴「そう、でしたね」

涼「気にやむ必要などない」

晴「でも」

涼「友人のために動くのは当たり前な事じゃ」

涼「まぁ、犬飼あたりはただ仕事をしただけだというじゃろうがな」

晴「あはは…そうかも」

涼「浮かない顔じゃな」

晴「そんなことは…」

純恋子「そうやって自分のせいでまた誰かが死ぬかもしれないのが怖い…そんなところかしら」

晴「…」

純恋子「安心なさいな、東さんはともかく、あなたのために死のうなんて思っている人なんていませんから」

晴「でも、誰が死んでもおかしくない状況だったじゃないですか」

涼「しかし動かねば確実に誰かが死んでいたじゃろうそれが桐ヶ谷や生田目か香子ちゃんかはわからぬが」

晴「それはそうですけど」

涼「おぬしとて友人が危機に晒されれば体が先に動く質じゃろ?」

晴「う」

涼「ならば気にするな、そんな顔では東がまたギャーギャー騒ぐぞ」

晴「そうです、ね」

純恋子「命を狙っていた人間が友人というのもおかしな話かもしれませんけどね」

涼「違いない…しかし英よ」

純恋子「おぬしも出番が来るまで黒組での生活を心から楽しんでいたクチじゃろ?」

純恋子「……否定はしませんわ」

~船内・客室~

千足「柩」

柩「あ、ちた、あうっ」

千足「痛むんだろう?寝たままでいいよ」

柩「そういう千足さんだってボロボロじゃないですか」

千足「そうだな」

柩「ぼくが忠告したのに無理をするからですよ」

千足「はは、確かにな…私は柩が思ってる以上に強くなったつもりだったのだけど」

柩「だって、あの二人は、十年以上ただ人を殺す事だけに人生を費やしてきてますからね…ぼくですらあの二人に比べたらまだ人間らしい生き方ができていたんです」

千足「なるほど、病み上がりで勝てるほど甘い相手ではなかったね…実際、彼女達がその気なら何回か死んでいた」

柩「無理をしないで逃げればよかったのに」

千足「命を懸けずに騙すことはできないだろう?」

柩「ぼくには無理をするなと言っておいて、千足さんは勝手です」

千足「すまない」

柩「う、なんでそう…」

千足「心配かけてすまない柩」

柩「…ああもう、いいですよ!ぼくだってこんなですし」

千足「だから、無理しちゃダメだろう」

柩「…千足さんのせいです」

千足「ごめん」

柩「…だから、あやまらないでくださいよぉ…どうしていいかわからなるんです」

千足「私もあやまるくらいしか思い付かないんだ」

柩「本当にあやまらなきゃいけないのはぼくの方なのに…千足さんの人生を滅茶苦茶にしたぼくが…」

千足「自分で選んだ道だから謝らなくていいよ」

柩「本当に…後悔してないんですか?」

千足「今日はやけにしつこいね」

柩「自分について考えさせられる事が多かったんで…つい」

千足「後悔ならずっとしてる」

柩「…」

千足「もっとうまくやれなかったか、もっと人が死なずに済む方法があったんじゃなかったかとかね」

柩「抱え込みすぎですよ」

千足「性分だから仕方ないさ」

柩「まぁ、そういうところも好きなんですけど」

千足「ふふ」

柩「なんです?」

千足「少し調子が戻ってきたみたいだなって」

柩「もう」

柩「あの、千足さん…話は変わりますけど」

千足「ん?」

柩「これ、先輩からです」

千足「これは…?」

柩「ある弁護士の暗殺計画の詳細をまとめたものだそうです」

千足「…」

柩「直接的にはぼくが仇という事になります。でも」

千足「ダチュラに依頼した人間…つまりあの人を亡き者にしよいとした存在がいると」

柩「はい」

千足「何故これを」

柩「千足さんが言っていたじゃないですか…恩師さんは娘が殺された理由、真実が知りたがっていたと」

千足「…そうだったな」

柩「より辛い思いをさせてしまうかもしれません。けどこれも必要な事だと思います」

千足「私に今さらあの人に会う資格はあるのだろうか」

柩「会わなければ終わらないし、始まらないと思います」

千足「先生は君を殺そうとするかもしれない」

柩「その程度、最初から覚悟してますよ」

千足「私は…」

柩「ぼくは恨まれても、殺されても仕方ない事をしてますから…逃げちゃダメなんです。これを終わらせないと次に進めない気がします」

千足「晴れ晴れとした顔でそんな事を言われると、止めれないじゃないか」

柩「黒組が終わった後から今までずっと目を背けてきた癖に今はとても苦しいんです…罪を背負い償うにしても、これは終わらせなきゃいけないんですよ」

千足「…わかった」

柩「だから、ただ見届けてください。その後でまたぼくと一緒に歩いてください」

千足「ああ」

~港~
涼「どうやら着いたようじゃな」

晴「あの人達、なんかすごい勢いで入って行きますけど…」

涼「色々と大変みたいじゃからな…搬入口の方は見ない方がいいぞせっかく終わったのに余計なものを知って関わるものではない」

晴「はぁ」

純恋子「では移動しましょうか」

伊介「なーにー?うっさいわねぇ」

真昼「なんで?私、港に?」

純恋子「あら起きましたの二人とも」

真昼「はい、真夜はまだ寝たりない、って交代しましたけど」

純恋子「あらあら、まだ暗いのに」

真昼「大丈夫、です」

晴「あ、真昼ちゃんお久しぶりです」

真昼「あ、その、一ノ瀬さん…お久しぶり、ます」

純恋子(やはり、前の口調もかわいいですわ)

春紀「あ~ひでえ目にあったわ」

鳰「自分から首つっこんだんでそれを言うか」

乙哉「あははは」

春紀「…るせぇ」

伊介「げっ」

春紀「げっ」

志摩「どうした?」

乙哉「あー、犬飼さんだ!おひさー」

伊介「おい」

純恋子「なんですの?」

伊介「春紀がいるなんてきいてないわよ」

純恋子「ええ、私も聞いてませんもの」

伊介「…ちっ」

春紀「なんだよー伊介様、裏の仕事じゃないとか言ってたのに」

伊介「あんたも、カタギになったんじゃねーのかよ」

春紀「それは、その成り行きで」

伊介「…それよ!伊介も成り行きなのよ!」

春紀「じゃ、しょーがーねーよな」

二人「あはははははは」

志摩「なんだよあれ」

乙哉「複雑なんだよめんどくさいカップルは」

志摩「あー、寒河江はあーゆうのが好みか」

乙哉「そゆこと」

晴「兎角さーん!」

兎角「晴!」

晴「良かった!無事で…って、また傷だらけですね」

兎角「主に金髪クソ尼にやられただけだから気にするな」

晴「誰にやられたかとかどうでもいいです!ちゃんと薬塗ったりしないと!」

兎角「つばでもつけとけば」

晴「「だ め で す !」

兎角「…う」

千代「東の鬼神も想い人には勝てぬようだな…」

兎角「うるさい」

晴「あなた誰?」

千代「うむ!我は神より使わされし断罪の刃、漆黒の堕天使!」

香子「山崎千代、君達と同じ高校生だそうだ」

千代「貴様!?」

晴「千代ちゃんかぁ…よろしくね!」

千代「くっ…この無垢な笑顔…東が勝てぬのも無理はなしか!」

涼「久しぶりじゃの香子ちゃん」

香子「首藤なんでここに?」

涼「最近知り合った金髪の尼さんから香子ちゃんがこの船にいると聞いてな」

香子「どういう事だ?」

涼「詳しくは後で話そう、これからの事もな」

香子「おまえまさか」

涼「心配はいらん、身寄りもない一人ぼっちの人間じゃ香子ちゃんの手助けをしたところで迷惑する身内もいない」

香子「そういう問題では…」

涼「そうそう香子ちゃんの置き土産な」

香子「あれか」

涼「あれがたいそう役に立ってな、借りはしっかり返さないとの」

香子「あんなもののために命を捨てる気か?首藤」

涼「捨てる気なんぞない」


涼「わしも、香子ちゃんも笑って生きれる明日を手に入れようと言っておる」

香子「本当に」

涼「ん?」

香子「本当にバカだ…おまえは」

涼「少しくらいバカな方が人生たのしいぞ?香子ちゃんはもう少しバカになる事を覚えた方が良い」

香子「意味がわからないぞ」

涼「こういうのは言葉で伝えきれるものではないからの…実践あるのみじゃ」

しえな「うわ、黒組勢揃いか」

柩「ちょっと早い同窓会ですね」

しえな「喋って大丈夫なのか?」

柩「みんな心配しすぎですよ」

千足「本当にな」

しえな「二人してけっこう酷いぞ…まったく主役二人がボロボロじゃ舞台が締まらないじゃないか」

柩「ロミジュリじゃなくて少年漫画ならありなんじゃないですか?」

しえな「それだけ言えれば大丈夫か」

柩「剣持さん」

しえな「なに?」

柩「巻き込んでごめんなさい」

しえな「なんだよ!?なんだか気持ち悪いぞ!」

柩「…」

千足「茶化すな剣持」

しえな「怖い、二人が怖い…」

柩「あの、けっこう大変な目にあわれたみたいで」

しえな「あれは武智のせいだ、桐ヶ谷は関係ない…それに」

柩「それに?」

しえな「桐ヶ谷に呼ばれなければボクだけ茅の外じゃないか…けっこうキツイぞ」

柩「大丈夫ですよ」

しえな「慰めはいいから」

柩「剣持さんも黒組の一員ですから、ぼっちの話が無くても巻き込まれてましたよ。きっと」

しえな「運命とか信じちゃうタイプだっけ?桐ヶ谷はリアリストだと思ってた」

柩「信じてますよ…だって」

千足「…そうだな」

柩「千足さんと出会えたから」

しえな「…ごめん桐ヶ谷前の言葉は訂正する。やっぱりおまえらお似合いだよ」

鳰「はいはーい!怪我人は早く車乗ってくださーい!治療は早さが命ッスよ!」

伊介「にーおー」

鳰「おや伊介さんおひさー」

伊介「ちょっとさぁ、これ調べてくんない?」

鳰「…零崎?うわああからさまに偽名くさい名刺ッスね」

伊介「なんでもいいから情報がほしいのよ、弱点とかわかればなおよし」

鳰「いいッスけど、高いッスよ?」

伊介「ぜえんぜん構わないわよぉ…踏み倒すから」

鳰「うわー、流石ッスわ」

伊介「じゃ、よろしくぅ」

鳰「でも、伊介さん」

伊介「なーにー?」

鳰「伊介さん自身が強くならないと多分意味ないッスよ?」

伊介「あぁ?」

鳰「凄んでもダーメ、実力の底上げ、これは絶対ッス」

伊介「知った風な口を…」

鳰「だってぇ、ウチ裁定者ッスからみなさんのパーソナリティはだいたい把握済みッスもん」

伊介「過去のデータだろ」

鳰「伊介さんが精神と時の部屋で修行したとかならわかりますけど、ぶっちゃけ並みの鍛練じゃ伸び悩んでるんじゃないんスか?」

伊介「…で?」

鳰「はい?」

伊介「何か策でもあるの?」

鳰「最近、生田目さんをレベルアップさせた素晴らしい教官がいるッス」

伊介「誰?」

鳰「あれッス」

伊介「ないないない!あいつだけはない!」

鳰「強さは折り紙つきッスよ?」

伊介「知ってるわよバカ!…でもあれはダメ」

鳰「まー、いいッスけどぉ…調べた情報渡す時にまた聞くんで」

伊介「…ムカつく」

~?~(会話は英語で行われています)

クリス「はいはーい」

アンジェ「ようやく出た!ちょっと何考えてんのよ!あんた!」

クリス「うるさいよ、ちょっとボリューム下げてさぁ」

アンジェ「なんでアンタはそう暢気なのよ!」

クリス「どーせ私がホームに叛意ありとでも報告されたんでしょ?」

アンジェ「わかってるなら!」

クリス「でも、ボスもアンタも信じてないでしょ?そんな報告」

アンジェ「はいはい、あんたがバカやって誤解されたって話で収まってるわよ…だけどね!」

クリス「はいはい、連絡遅れてスイマセーン」

アンジェ「あー…殴りたい」

クリス「でも今回はちょっと違うんだなぁ」

アンジェ「どういう事?」

クリス「ここの支部なんかおかしいのよ…それこそイレーナのやつが死んだ後…いや前からかな?」

アンジェ「…裏切りものはやつらの方って事?」

クリス「どーもね、神長香子脱走もわざと見逃してるみたいだし」

アンジェ「なんなのよそれ」

クリス「あの子の脱走を理由に先代の長である神父の更迭、一部幹部の粛清…めんどくさいから後でまとめたの送るわ」

アンジェ「…あんたねぇ」

クリス「そんなわけでホームの関係者神長香子は保護して内部事情を確めなきゃならなくなったわけ」

アンジェ「わかった。あんたが話し出すとボスの健康面に支障が出そうだし…事情は私が話しておくわ」

クリス「ありがと、愛してる」

アンジェ「死ね!」

~病院~
春紀「検査入院とか大袈裟なんだよ…」

志摩「まったくだよな」

春紀「いや、おまえ骨折れてるだろ感触でわかったぞ」

志摩「骨の一本や二本で入院なんてしてられないって」

春紀「…あっそ」

志摩「ところで」

春紀「なんだよ?」

志摩「あの、おっぱいとはちゃんと話さなくて良かったのかい?」

春紀「ま、お互いちょっと混乱してたし後日話すさ」

志摩「ふーん…あ、そーだ!」

春紀「どうした?」

志摩「ほらよ」

春紀「なんだよこの封筒…うわ!?なんだこの金額!」

志摩「おめーらとやりあう前にキメラのサンプルとか色々とな婆さんに頼まれた事済ませたからね、その報酬の取り分だよ」

春紀「なんであたしに?」

志摩「あんたらのおかげで船に堂々と乗り込めたし、暴れてる間はこっちがノーマークだったからねぇ」

春紀「はぁ…でもこれは良いのか?」

志摩「婆さんからの餞別もあるんじゃねーの?」

春紀「…らしくねぇなぁ」

志摩「いいから貰っとけ、あたしも退院したら母ちゃんとこに振り込まねえとな」

春紀「おまえも」

志摩「あんたみたいに大家族じゃねえから楽なもんさ」

春紀「そうか」

志摩「ところでさ」

春紀「ん?」

志摩「今度またやろーぜ」

春紀「やだよ、入院したくねえし」

志摩「けっ、つまんねーな」

バタン!

社長「春紀ちゃーん!」

春紀「社長!?」

社長「あなた船に取り残された挙げ句、チンピラに絡まれたお客さん庇って怪我したって本当なの!?」

春紀(あー)

志摩(そーいう設定にされたかー)

春紀「あ、はい、まぁ…」

社長「大丈夫なの!?」

春紀「はい、一応…打撲傷とかあるんで少し休めとは言われましたけど」

社長「いーのよー休みなさい!元気になってからで大丈夫だから!」

春紀「あ、はいありがとうございます」

社長「もー男気溢れる春紀ちゃんらしいけどー無理はダメよー」

志摩(濃いな…このおっさん…)

社長「あなたは?」

志摩「たまたま同室になっただけのただの女子高生デス」

社長「ふーん?この娘、良い娘だからよろしくたのむわよー?」

志摩「了解であります」

社長「じゃあ、怪我に障るといけないから帰るけどー…あと妹さんにもちゃんとあやまりなさいよー」

春紀「はい!わかってます」

志摩「なんだあれ…」

春紀「うちの社長」

志摩「おまえまさかオカマバー…」

春紀「違うわ!それにあたしゃ女だ!」

柩「記憶が戻った?」

ベラ「そうみたい、精神が退行するまえのロリ子と出会う前の彼女にね…ただ」

柩「No300としての記憶はすべて失ったと」

ベラ「おかげであの娘はリアル浦島太郎状態よ」

柩「結局…本当に謝ることはできないんですね…ぼくは」

ベラ「ま、しかたないさね…ただあれが死なずに済んだのはおまえが手をさしのべて、そして殺さずに勝ったからだ。帳消しにしていい程度の恩はあるさ」

柩「本当にそうでしょうか?」

ベラ「毒虫のおまえが今じゃ恋するただの女の子だ…人間生きてりゃ道は開ける」

柩「…確かに」

ベラ「今日は怒らないね」

柩「事実ですから」

ベラ「はっ、いい顔しやがる」

柩「あの、これをあの子に」

ベラ「……いいの?」

柩「お金はいくらあっても困らないでしょ?」

ベラ「まー、そうだけど…おまえ本当に報酬ためこんでたのね…」