なる「ねえヤヤちゃん……シャンプー変えた?」 (47)

vipで書いたヤツに加筆修正して落して行きます

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ヤヤ「?」

ヤヤ「別に変えてな……」

ヤヤ「あっ」

なる「……」

ヤヤ「よ、よく分かったわね。試しに変えてみたんだー、良い匂いでしょ?」

なる「……ハナちゃんとお揃いのにしたんだ」

ヤヤ「え、そそ、そうなの? それは知らなかっ」

なる「そういえば昨日……ヤヤちゃん、家に居なかったよね」

ヤヤ「!?」

なる「どこかにお泊まりしてたらしいけど……誰の家に行ってたの?」ニコ


ヤヤ「…………」

なる「どうしたのヤヤちゃん」

なる「顔、青くなってるけど」

ヤヤ「べ、別に、青くなってなんかっ」

なる「体調悪いなら、保健室連れて行ってあげるよ」

ヤヤ「ほ、保健室……?」

なる「ベッドに横になればすぐに楽になると思うから」

なる「ほら、行こ。ヤヤちゃん……」グイ

ヤヤ「ちょ、な、なるっ!」

なる「どうしたの……? 体調悪いんだよね……そんなにも暴れちゃダメだよ……」

ヤヤ「体調は普通だから! 私は至って健康で……!」

なる「保健室、行こ……ヤヤちゃん、ほら、早く……」

ヤヤ「な、なるっ、ちょっ」

ヤヤ「引っ張るな! あとちょっと落ち着きなさい!」

なる「……」

ヤヤ「きゅ、急にどうしたのよ」

ヤヤ「よく分からない質問されたかと思ったらいきなり保健室に連れてかれそうになるし……い、意味不明なんだけど」

なる「……私はヤヤちゃんが考えてることの方が分からないよ」

ヤヤ「な、なる? アンタ勘違いしてそうだから言っとくけど、昨日は別に何も……」

なる「嘘だよ」

なる「私、知ってるんだよ? 昨日ヤヤちゃんがハナちゃんの家に居たってこと……」

ヤヤ「なな、なんのことだかさっぱりなんだけど……」

なる「……どうして、嘘つくの 」

ヤヤ「う、嘘なんてついてないわよ!? 本当にハナの家なんて行ってな」

なる「……」スッ…

ヤヤ「!?」

なる「これ……ヤヤちゃんとハナちゃんだよね……」

ヤヤ「な、な、なな……」

なる「2人とも、仲良いんだね……一緒の布団で寝るなんて……」

ヤヤ「ち、違うから!? そ、それはアイツが寝ぼけて私の布団に入って来たからで……!」

なる「ハナちゃんの家、泊まったんだよね」

ヤヤ「あ……」

なる「……どうして、嘘つくの?」

ヤヤ「…………」

なる「……ヤヤちゃん、さっきよりも顔青くなってるよ」

なる「やっぱり、体調悪いんだよね」

ヤヤ「な、なる……」


なる「保健室、行こっか」

 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ヤヤ「な、なるっ、聞いて。あのねっ」

なる「……」

ヤヤ「その、違うの。本当にハナとは何も無かったの」

ヤヤ「て、てかそもそも女同士だし、何かあるとかそういう話もおかしいしで」

なる「……」

ヤヤ「は、ハナの家に行ったのは相談に乗ってもらうためで、そもそも最初は泊まるつもりなんて無かったんだけど」

ヤヤ「なるも知っての通り昨日はあの雨だったし、家に帰れなかったの」

ヤヤ「だから仕方なくハナの家に泊まることになっただけで、別に泊まる気なんて無かったし、ハナと何かしようなんてこれっぽっちも……!」

なる「……話は中でゆっくり訊くから」

ヤヤ「っ……」

ヤヤ(ほ、保健室……)

なる「先生居ないみたいだから……勝手に入らせてもらおうね」

ヤヤ(な、なる本気で怒ってる……)

ヤヤ(早く誤解を解かないと、なるに嫌われて……)

ヤヤ(最悪、絶交なんてことに……)


―――カチャ


ヤヤ「え……?」

なる「……」

ヤヤ「な、なる……? なんで鍵閉めたの……?」

なる「……なんでだと思う?」

ヤヤ「…………」

なる「……ヤヤちゃんはやっぱり鈍感だね」

ヤヤ「え?」

なる「話の続き。しよっか」

なる「隣、座って」

なる「ちゃんとゆっくり、目を見て話し合おうよ」

なる「そうすればヤヤちゃん、嘘つかないよね」

ヤヤ「ぅぅ……」

なる「ねえヤヤちゃん……私ね、別に怒ったりはしてないんだよ?」

なる「ただ、本当のことが知りたいだけなの」

なる「昨日、2人で何をしたのか……どうしてヤヤちゃんが嘘をついたのか」

なる「それが知りたいだけなの」

なる「全部教えてくれるよね……ヤヤちゃん」

ヤヤ「な、なる……」

なる「もう一度嘘ついたら……ふふ、絶交だよ?」ニコ

ヤヤ「っ……」ゾク…

なる「もう二度と話してあげない……よさこい部もやめてもらおうかな……」

ヤヤ「わ、分かった……嘘は絶対につかないから、なるも私のこと信じてね……?」

なる「信じるよ? ヤヤちゃんのこと大好きだもん」

ヤヤ「っ……」

なる「それじゃあ嘘つかないって約束もしたし、1つずつ訊いていくね」

なる「まず最初に……相談に乗ってもらうためにハナちゃんの家に行ったらしいけど、何の相談をしに行ったの?」

ヤヤ(しょ、初っぱなからキツい質問が……)

なる「その相談は、私だと力になれないような内容だったの?」

ヤヤ「う、うん……」

なる「……どんな相談?」


ハナ『ヤヤさん、相談ってなんですか?』

ヤヤ『な、なるのこと、なんだけど』

ハナ『なるのこと、ですか?』

ヤヤ『その、どうやったら……告白して成功するくらいまでいけるかな、って……』

ヤヤ『ほら、私たち女同士だし……こんなの、普通じゃないし……』

ハナ『ヤヤさん……』


ヤヤ(む、無理……絶対に言えない……!)

ヤヤ(言える訳ないでしょこんなことっっ!!?)

ヤヤ(こ、これを言うってことはつまり、告白するのと同じことで……!)

なる「……ヤヤちゃん?」

ヤヤ「ご、ごめんなる……これだけは、その……パスしていい……?」

なる「どういうこと……?」

ヤヤ「お願い、何も訊かないで……これ以外のことならなんでも答えるから、だから……」

なる「……私には言えないけど、ハナちゃんには言えるんだね」

ヤヤ「っ……」

なる「うん、分かった。相談の内容は言わなくていいよ」

なる「嘘つかれるくらいなら……そっちの方がいいから」

ヤヤ「……ごめん」

なる「その代わり、それ以外のことは全部答えてね」

ヤヤ「へ?」

なる「黙秘権が使えるのは一回だけだよ?」

ヤヤ「わ、分かりました……」

なる(実は一番知りたかったことだったりするんだけどな……)

ヤヤ「……」

なる「……次の質門するね。どうしてハナちゃんの家に行ってない、って嘘をついたの?」

ヤヤ「……」

なる「別に隠すようなことでもないよね」

ヤヤ「それは……ハナとそういう関係だってなるに知られたくなかったから……」

なる「そういう関係……?」

ヤヤ「へ、変な意味じゃなくて!」

ヤヤ「その、私が大切な相談を自分じゃなくてハナにしてる、って知ったら、なる、嫌でしょ……?」

なる「……うん」

ヤヤ「それに、なるをハブったみたいに思われちゃうのも嫌だったし……だから……」

なる「……次の質問、するね」

ヤヤ(な、納得してくれたのかな……?)

なる「一緒にお風呂、入ったの?」

ヤヤ「っ……」

なる「誰と一緒かは……言わなくても分かるよね」

ヤヤ「……」

なる「一緒に入ったの? それとも別々?」

ヤヤ「……い、一緒に入りました」

なる「ふーん……」

ヤヤ「あ、アイツが一緒に入ろうってうるさかったからで!」

ヤヤ「わ、私から誘ったとか乗り気だったとかそんなんじゃないから!?」

なる「……でも一緒に入ったんだよね」

ヤヤ「……うん」

なる「……仲、良いんだね」

ヤヤ「ぅぅ……」

なる「普通、中学生同士で一緒にお風呂なんて入らないよ」

なる「特別な関係でもないのに……おかしいよ」

なる(私でもヤヤちゃんと一緒にお風呂入ったの、小学生の時だけなのに……)

ヤヤ「アイツは海外で育ってるから、その、そういう常識がちょっと抜けてるのよ」

なる「ハナちゃんはともかく、ヤヤちゃんはそういう常識があるのに受け入れちゃうんだね」

ヤヤ「う、受け入れたんじゃなくて押し切られたの!」

なる「頼まれたら断れない性格、直した方がいいと思う」

なる「……ヤヤちゃんは優し過ぎるよ」

なる(そんなに優しいのは……私だけでいいのに)

ヤヤ「……善処するわ」

なる「どうせ直らないと思うけど」

ヤヤ(な、なんかなるの態度が……どんどんそっけなくなってる気が……)

なる「次の質問するね」

なる「2人が私の知らない間に仲良くなってるのは十分分かったけど……」

なる「この画像はどういうことなのかな」スッ

ヤヤ(さ、さっきの……)

なる「いくらなんでも仲が良過ぎると思う……」

なる「ちょっと怪しいよ? 2人とも……」

ヤヤ「ぜぜ、ぜんっぜん怪しくないから!?」

ヤヤ「そもそも寝るときは私とアイツは別々の場所で寝たし、一緒に寝ようなんて言ってもないし言われてもないし!」

ヤヤ「だからそれは寝ぼけたアイツが私の布団に入り込んで来ただけで……!」

なる「顔、近いね」

ヤヤ「不可抗力よ! 寝てるのにどうすることも出来ないでしょ!?」

なる「こんなにも密着されて顔近づけられて、起きない方がおかしいと思うな……」

ヤヤ「お、起きなかったものは起きなかったの! わざと受け入れたとかそういうのは絶対にないから!」

なる「……」 ジト…

ヤヤ「そ、そもそもその画像誰がどうやって撮って……てかなんでなるが持ってて……!?」

なる「教えてあげてないもん」

ヤヤ「私には知る権利があると思うんだけど!」

なる「そんなの私には関係ないもん」

なる「……ヤヤちゃんがどんな相談したのか教えてくれたら、教えてあげても良いけど」

ヤヤ「……そ、それだけは絶対に無理」

なる「なら私も絶対に言わない」

ヤヤ「もう、変なとこで意固地なんだから……」

なる「ヤヤちゃんに言われたくないよ……」

ヤヤ「はぁ……」

なる「……次の質問、だけど」

ヤヤ「次はなに……」

なる「……変なこと、してないよね?」

ヤヤ「へ、変なことって……」

なる「その……キス、とか……そういうこと」

ヤヤ「すすす、するわけないでしょ!?」

なる「本当に?」

ヤヤ「だ、だから私とアイツは女同士で……!」

なる「それは理由にならないよ……」

ヤヤ「え?」

なる「だって、女の子同士でも……そういうことは出来るから……」

ヤヤ「なっ……」

なる(わ、私、何言って……)

ヤヤ「……な、なるは」

なる「へ?」

ヤヤ「なるは……女同士とか、その……変だと思わないわけ……?」

なる「……」

なる「変だと、思うよ」

ヤヤ「っ……」

なる「普通じゃないって、おかしいって思う……」

ヤヤ「……」

なる「ヤヤちゃんも、そう思うよね……?」

ヤヤ「……当たり前でしょ」

なる「っ……」

ヤヤ「おかしいわよ……おかしいに決まってるじゃない……」

ヤヤ「だから!」


ヤヤ「一緒にお風呂入ろうと! 同じ布団で寝ようと!」

ヤヤ「私とハナはそういう変な関係じゃないの!!」


ヤヤ(こんなにも悩んでるんでしょ、バカっ……)


なる「……」

ヤヤ「……分かった? なるが心配してるようなことは一切ないから」

ヤヤ「そもそもアイツのスキンシップ過剰はよさこい部のメンバーなら全方位でしょ」

なる「……それもそうだね」

   
 
 「…………」

 
 
なる「……ごめんねヤヤちゃん、急に保健室になんか連れて来ちゃって」


ヤヤ「別にいいわよ、今さら……」

なる「そもそもヤヤちゃんとハナちゃんが仲良くしてても……私には関係ない話なのにね……」

ヤヤ「……」

なる「私ね……2人がもしそういう関係になってたら、って思うと……すごく不安になって、胸が苦しくなって……」

なる「それで、居ても立っても居られなくなって、こんなことしちゃって……」

ヤヤ(え……? それって……)

なる「本当に、良かった……すごく、ほっとした……」

ヤヤ「!」

ヤヤ(な……なんで泣いて……)

なる(どうしてだろう……心の底から安心してるのに、気分は晴れたはずなのに……)

なる「ぐずっ……」

なる(どうして……)

 
なる(こんなにも悲しいんだろう)
 

ヤヤ「なる……? ちょ、ちょっと」

なる「ひぐっ……ぐずっ……」

なる(どうしよう……涙、止まらない……)

なる(ヤヤちゃんに変に思われる……早く、泣き止まないと……)

ヤヤ「な、なにいきなり泣き出してんのよ。意味不明で……」

なる「ごめんなさい、ヤヤちゃん……ごめんなさい……」

ヤヤ(全然分かんない……なるがいきなり泣き出した理由が、まったく……)

ヤヤ(私の気持ちを遠回しに全否定されて、泣き出したいのはこっちだってのに……)

なる「うっ、うぅ……」

ヤヤ(……何が起こってるのかまったく把握出来てないけど、経験則上、こういう時は……)


ギュウ…


なる「……」

ヤヤ(だ、抱きしめれば……泣き止む、はず……)

なる「……」

ヤヤ(だけど……)

なる「……」

ヤヤ(む、無言……?)

ヤヤ(私もしかして、選択肢間違えて……)


グイ…


ヤヤ「え……?」

なる(ダメだよ、ヤヤちゃん……)

なる(こんなタイミングで、そんなことされたら……私……)

ヤヤ「な、る?」


なる「もう……我慢出来ないよ……」


ヤヤ(首筋に冷たいシーツの感触……ふと気が付くと、私はなるを見上げていた)


 
なる「……」
 

ヤヤ「な、なに……? 急にどうしたの……? なる……?」

ヤヤ「てか、ち、近いんだけど……」

ヤヤ(この状況……これじゃあまるで、私がなるに押し倒されてるみたいで……)

なる「……」

ヤヤ(みたいじゃなくて、押し倒されてる……?)

ヤヤ(嘘……あ、あり得ない……そんなこと、あるわけ……)

なる「ごめんね、ヤヤちゃん……」

ヤヤ「え?」

なる「本当に、ごめんなさい……」ギュウ…

ヤヤ「っ~~~!!?」

ヤヤ(な、なに!? なな、なんで私抱きしめられて……!?)

なる(髪はハナちゃんの匂いがするけど……身体はヤヤちゃんの匂いがする……)

なる(大好きな、ヤヤちゃんの匂い……)

ヤヤ(ちち、近い近い近い近い!?)

ヤヤ「な、なる! いきなりなにしてっ、てか離れ……!?」

なる「ヤヤちゃんが悪いんだよ……?」

ヤヤ「は……?」

なる「私の気持ち、何も知らないのに……あんなことするから……」

ヤヤ「な、なるの気持ち……? あんなことってなに……?」

ヤヤ「きゅ、急に抱きしめたのが嫌だったんなら謝るけど……」

なる「ほら、やっぱり何も分かってない……」

なる「鈍感なヤヤちゃんに全部教えてあげるね……私の気持ち……」

ヤヤ(なるの顔、近付いて……)

ヤヤ(え、嘘、嘘……)


チュ…


ヤヤ「……」

なる「好き……」

なる「ヤヤちゃん、好き……大好き……」

ヤヤ(こんな、ことって……)

なる「こんなことして、ごめんなさい……」

なる「嫌だよね……気持ち悪いよね……本当に、ごめんなさい……」

ヤヤ(私、何回キスされた……? もう5回以上、キスされて……あ……また……)

なる「ヤヤちゃん……」

ヤヤ(こ、これってつまり……なるは私のこと好き、ってことだよね……?)

ヤヤ(そうじゃないとこんなことするわけないし……)

ヤヤ(ど、どうしよう、ヤバい……めちゃくちゃ嬉しい……)

なる「……」チュ…

ヤヤ(でも、なんでだろ……さっきから気になってたけど……)

ヤヤ(どうしてなる、唇にはキスして来ないんだろ?)

ヤヤ(さっきから頬とか首のあたりばっかり)

ヤヤ(こ、これはこれで嬉しいけど……)

なる「……」ギュウ…

ヤヤ「なる……?」

なる「やだ……」

なる「何も聞きたくないっ……」

ヤヤ「私は訊きたいことあるんだけど……」

なる「……何が分からないの?」

ヤヤ「えっと……なるの考えてること、かな」

なる「え……」

ヤヤ「ち、違う。なるの気持ちはもう十分すぎるくらいに伝わってる」

ヤヤ「流石にここまでされて気付かないほど鈍感じゃないから……」

なる「じゃあ何が……」

ヤヤ「えっと……私のこと、好きなんだよね?」

なる「……うん」

ヤヤ「その……そっちの意味で」

なる「……」

ヤヤ「じゃあさ、その……なんで唇じゃないわけ?」

ヤヤ「この状況だし、そっちの意味で好きなら……普通は唇にすると思うんだけど」

なる「……私なんかが初めての相手だったら、ヤヤちゃん悲しむだろうから」

ヤヤ「……」

なる「女の子同士はおかしい、って言ってたし……初めては本当に好きな人と……」

ヤヤ「……アンタも大概鈍感ね」

なる「えっ?」

ヤヤ「それに不器用だし、こんな時まで乙女思考全開だし……」

なる「なに、言って……」

ヤヤ「……」グイ…

なる「へ……?」


―――チュ


なる「…………」

ヤヤ「……こういうことよ」

なる「……嘘」

ヤヤ「嘘じゃない」

なる「嘘だよ、こんなの……」

ヤヤ「……」グイ…

なる「っ……!?」


―――トサ


ヤヤ「……下から見上げるのも悪くないでしょ」

なる「っ……」ドキ…

ヤヤ「で……何したら信じるわけ? 言いなさいよ」

なる「へ……?」

ヤヤ「嘘だって言うなら……信じさせてあげるから」

なる「っ……」カァァ

ヤヤ「抱きしめる? それとももう一度キスする?」

ヤヤ「言っとくけどなるみたいなお子様なキスはしないわよ」

ヤヤ「まあ、そういうキスがいいならしてあげるけど……」

なる「や、ヤヤちゃん……」

ヤヤ「なに今さら顔真っ赤にして震えてんのよ……」

ヤヤ「さっきまでは私にちゅっちゅしてたくせに……」

なる「は、恥ずかしいよ……心臓も、痛いくらいドキドキして……」

ヤヤ「……ちょっとはさっきまでの私の気持ち分かった?」

なる「うん……」

ヤヤ「そう……でも、今のままじゃ全部は分からないでしょうね」

なる「っ……」

ヤヤ「全部分からせてあげるから……何されたいか言いなさい」

なる「そ、そんなの、言えないよ……」

ヤヤ「言わないならしないわよ?」

なる「ぅぅ……ヤヤちゃんのばかぁ……」

ヤヤ(そんなうるうるした目で精一杯の悪口言って……)

ヤヤ(こっちだって我慢の限界があるのに……無自覚にやってるんだから、本当にタチが悪いわ……)

ヤヤ「嘘だとか信じられないとか言ったのはなるの方でしょ」

ヤヤ「ほら、早く言いなさい。ヤキモチ焼きなお姫様は何されたいの?」

なる「……わ、私が言ったこと、なんでもしてくれるの……?」

ヤヤ「出来る範囲ならね」

なる「じゃあ……好き、って言って……」

ヤヤ「好き」

なる「っ……」

ヤヤ「なるのことが大好き……世界で一番愛してるわ……」

なる「っ~~~!」

ヤヤ(なるは乙女だから、こういう言葉が好きでしょうね)

なる(や、ヤヤちゃんずるいっ……絶対に私が恥ずかしがるの分かって……!)

ヤヤ(耳真っ赤になってるし……)クス…

なる「もうっ……ヤヤちゃんのばか……」

ヤヤ「何よそれ。言わせたのはなるでしょ」

なる「そんな風に言えなんて言ってないもん……」

ヤヤ「喜ぶと思ったんだけどなー」

なる「ばか……」

ヤヤ「で、私の気持ちは信じてくれた?」

なる「……まだ」

ヤヤ「そう……じゃあ次は何をすればいいの?」

なる「……私の、恋人になって」

ヤヤ「うん、分かった」

なる「っ……こ、恋人だよ? 付き合うって意味だよ?」

ヤヤ「確認しなくてもそのつもりだから」

ヤヤ(むしろ願ったり叶ったりね……こんな形とは言え、なるから告白されるなんて……)

なる(こ、こんなことって……あっていいの……?)

なる「つ、付き合うんだよヤヤちゃん……?」

なる「私以外の人と仲良くしちゃダメだし、デートとか、き、キスもするんだよ……?」

ヤヤ「分かってるって。むしろそれしないと付き合ってるって言わないし……」

なる「女の子同士はおかしいって、さっき言ったよね……?」

ヤヤ「……そう思う以上に、なるのこと好きだから」

なる「!」

ヤヤ「なるがそう言ってくれるなら……私に断る理由なんてないわ」

なる「……」ウル…

ヤヤ「……めんどくさいから泣くの禁止」

なる「うんっ……」

ヤヤ(ホント、泣き虫なんだから……)

ヤヤ「で、もういいの? そろそろこの体勢しんどいだけど……」

なる「……」ギュ…

ヤヤ「……」

なる「こうすれば、楽だよね……」

ヤヤ「……そうね」

ヤヤ(ここまで密着したら、私の心臓の音聞かれそう……)

なる「……」

ヤヤ(なる、可愛い……このまま時間が止まればいいのに……)

ヤヤ(時間と言えば、今何時なんだろ……? 先生戻って来ても全然おかしくないのに……)

なる「ヤヤちゃん……」

ヤヤ「?」

なる「最後のお願い……訊いてもらっていい?」

ヤヤ「……仰せのままに」

なる「キス、して」

なる「一生忘れられないような……思い出に残るキス……」

ヤヤ「……目、瞑りなさい」

なる「ありがとう……ヤヤちゃん、大好き……」

ヤヤ(一生忘れられないような、思い出に残るキス……)

なる「……」

ヤヤ(や、やっぱり、アレよね……その、深いヤツ……)

なる「……」

ヤヤ(カッコ付けてあんなこと言ったけど、や、やり方わかんない……)

ヤヤ(し、舌入れるんだよね……? その、口の中に……舌……)

なる「……?」

ヤヤ(あ、あれ……ど、どうしよ……いざやるってなったら、身体、動かない……)

ヤヤ(こんなにも緊張して、ドキドキすること……なるは、何回も……)

ヤヤ(で、でもなるのは軽いヤツだったし、私と比べるのは……)

なる「ヤヤちゃん……?」

ヤヤ「ま、まってなる……その、心の準備……」

なる「…………」

ヤヤ「み、見られてると出来ないから目瞑ってなさい!」

なる「見られてても出来ないの間違いじゃ……」

ヤヤ「で、出来るから! ほら早く!」

なる(時間かかりそう……)

なる(でも、この方がヤヤちゃんらしくて好きかも……)クス

なる(押し倒された時みたいに、カッコいいヤヤちゃんも良いけど……)

ヤヤ(や、ヤバい……意識すればするほど、身体が……)

ヤヤ(ふ、深い方をするって身構えるからダメなのよ……落ち着け私、まずは軽い方で行って、そこから……! )


キーンコーンカーンコーン


ヤヤ「っ……!?」

なる(最終下校のチャイム……そっか、もうそんな時間で……)

ヤヤ(は、早くしないと先生来る……)

なる「……」

ヤヤ(早く、しないと……)

なる「……」チラ…

ヤヤ「…………」

なる(……もう時間もないし)ハァ

なる「……」スッ…

ヤヤ「え……?」


―――チュ


なる「……また今度、ヤヤちゃんからしてね」ニコ

ヤヤ「…………」

なる「今日はもう時間だから、帰ろっか」

ヤヤ「……うん」

  
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ヤヤ「はぁ……」

ヤヤ(結局なるにキス出来なかった……)

ヤヤ(あとちょっと時間があれば出来たはずのに……!)

なる「……」

ヤヤ(でも、まあ……焦らなくてもゆっくりでいいか……)

ヤヤ(なるとはもう付き合ってるんだし、キスもしたし……)

ヤヤ(焦らなくても、ゆっくり……そ、それこそ、もうちょっと大人になってからで……)

なる「……」フフ

ヤヤ「……さっきからずっと携帯触ってるけど、何か面白いことでもあるの?」

なる「面白いことはないけど……ハナちゃんとラインしてて」

ヤヤ「ふーん……アイツとね……」

なる「お礼、今のうちに言っておきたかったから」

ヤヤ「お礼?」

ヤヤ(……何のお礼?)

なる「今日はもう、携帯触れる時間ないだろうから」

ヤヤ(どういう意味……?)

ヤヤ「ってもうこんな所……」

ヤヤ「それじゃ、また明日ねなる。今日は遅いし寄り道も無しってことで……」

なる「……」ギュ…

ヤヤ「……な、なる?」

なる「どうしたの? ヤヤちゃん」

ヤヤ「いや、手離してくれないと帰れないんだけど……」

なる「どうして帰ろうとしてるの?」

ヤヤ「へ?」

なる「私まだ……ヤヤちゃんからキスして貰ってないよ?」

ヤヤ「……」

なる「一生忘れられないような、思い出に残るキス……してくれるんだよね」

ヤヤ「えっ、と……」

なる「今ここでしてくれるならそれでいいけど……出来ないよね」

ヤヤ「……」

なる「とりあえず……私の家、行こっか」ニコ

ヤヤ(あれ……これ、なるにキスするまで私帰れないんじゃ……)

なる「♪」

ヤヤ「な、なる? あの、家におばさんたちいるんだよね?」

なる「実は今日、2人とも旅行に行ってて―――」



終わり

以上でした
乗っ取りだったのでラブコメではないです
また気が向くか良い感じのスレが立ってたら書きます

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