少女「わ、私に魔法を伝授してください!」(29)

ミヨシ「ふあ~~~~ッ」

ミヨシ「いい天気だなあ………」

ミヨシ「今日も何もなければいいけれどなあ………」

ミヨシ「全くこの森も大変なことになったよ。」


俺の名前はミヨシ。年齢は25歳。
この森周辺を守護をしていての森の中にある小屋で一人で住んでいる。
俺は他の人にオリジナルの魔法を教えられる特殊能力を持っている。

ミヨシ「最近侵入者が多過ぎなんだよ。」

ミヨシ「誰がまったく……」ブツブツ

ミヨシ「見回り面倒なんだよ……」ブツブツ


今俺が困惑していること。
それは毎日のように誰かしら森の中に侵入してくる。

ミヨシ「あ・・・まただよ………。」

ミヨシ「ここは注意するしかないか………」

ミヨシ「おい!そこの君!」

少女「は!あわわわ………」ビクッ

ミヨシ「君さ、何故ここにいるんだ?」

少女「え、えと……わ、私は魔法使いの見習いで………」ガタガタ

ミヨシ「それでなんだ?何故こんな森の中にきたんだ?」

少女「そ、それは………」ガタガタ

ミヨシ「君、震えてたらわかんないよ?」

少女「こ、この森の中に魔法を教えてくれる人がいるって聞いたもので……」オロオロ

ミヨシ「あー………。(洩らしたやつめ一発お仕置きしといてやろう。)

少女「そ、それでですね……。その人はどこにいるのかな、と………。」オロオロ

ミヨシ「悪いがそんな人はいないよ。」

少女「そ、そんなぁ………。」シュン

ミヨシ「あと俺は忙しいんだ。帰った帰った。」シッシッ

少女「強い魔物から逃げ回ってやっとこの森に着たばかりなのに……」ウルウル

ミヨシ「…………。あのさ、そんな涙目になっても駄目だから。」

少女「あ…ああ………。」


俺は少女に冷たくし、その場を去った。
少女は何かを言いたそうにしていたがそんなのはどうでもいい。
ここのところ毎日そうだ。
そんなことを思いながら俺はこの森の見回りをして行く。

数時間後───
ミヨシ「全く………。おちおち飯すら食えないわ……。」

ミヨシ「前まではそんなに忙しくなかったんだけどなあ………。」

ミヨシ「しっかしこの森は静かだよなー。」

シーン

ミヨシ「青々と茂っていて日差しが少し入ってくるのはとても気持ちいい。」

チュンチュン

ミヨシ「誰の邪魔もないから助かるなー」ノホホン

ガサガサ

ミヨシ「ん?何だ?」

ガサガサ

ミヨシ「動物か?」

ガサガサガサ

??「まったく森ばっかりじゃねえかよ~」

ミヨシ「また来客かよ…、面倒くさいな……」

??「ん?何だ兄ちゃん。」

ミヨシ「それは俺の台詞だよ。君は何故ここにいるんだ?」

??「はぁ?それが人に聞く台詞か?」

ミヨシ「あぁ……いや……」

??「てめぇ喧嘩売ってんのかオラァ?!」

ミヨシ「いや、すまん。(くそ、めんどくせー)」


俺は大柄であり太った男、簡単に言うと大男と遭遇してしまった。
しかもなんか体臭がきつい。

ミヨシ「(くせー……)」ゴホゴホ

大男「何だ兄ちゃん。不摂生か?」

ミヨシ「俺はちゃんと摂生してる。(お前の体臭がきついんだよ!)」

大男「がはは。それはどうでもいい。」

ミヨシ「それで何故あなたがここに?」

大男「魔法を伝授してくれるやつがいるって聞いたからよー、来たんだよ。」

ミヨシ「はぁ………。(マジで教えたやつ殴りたい………)」

大男「兄ちゃんどうしたんだ?」プーン

ミヨシ「(くっせー)」ゲホゲホ

大男「まあいい。どうせ兄ちゃんも魔法を伝授してもらいに来たんだろう?」

ミヨシ「え………?」

大男「言うな。俺にはわかるぞ。お前も同じ理由だったのか。がははは!!」

ミヨシ「い、いや違うんだけど………」

大男「あん?案内してくれよ?」

ミヨシ「いや、俺はここで休んでただけなんだけど……」

大男「俺はな!遠路はるばるここまで来たんだ!」

ミヨシ「そんなこと言われてもなあ………」

大男「てめぇ、俺の言うことが聞けないのか?」グイ

ミヨシ「は……へ………(うわ、うわ、くさい………)」

大男「返事をしろ」バキッ

ミヨシ「ぐふっ・・」バタ

大男「一発殴っただけなのにこいつ気を失ったな」

ミヨシ「」

大男「こいつが気を失ってる間に金目の物でもいただきますか……」

………
……


ミヨシ「ううう………」

ミヨシ「あいててて………」

ミヨシ「くっそ………、殴られた………」

ミヨシ「は!」ソワソワ

ミヨシ「ない!」

ミヨシ「俺の大切なものがない…!」

ミヨシ「金もない!アクセサリーもない!」

ミヨシ「あの豚野郎!!!」

ミヨシ「絶対に許さん!どこに行った?」ダダダ

ミヨシ「俺の大切なレーダーまで盗まれてる…。」ダダダ

ミヨシ「本当にどこに行ったのか?」

???「きゃぁぁぁ!!!助けてッ~!!!」

ミヨシ「女の子の声?!」ダダダ

ミヨシ「どこだ?!」

???「誰か~!!いやぁああ!!!!」

ミヨシ「マジどこにいるんだよ!」

???「誰か助けてくださぁ~い!」

ミヨシ「俺が………俺が助けに行くぞ!」

ミヨシ「しかしなんてことだよ。畜生!」

ミヨシ「しかし声は近くにあるのは確かだ。」キョロキョロ

???「おねがぁ~い………」

??「ぐはははははは!」

ミヨシ「男の声?!」

ミヨシ「こっちのほうだな…」ダダダ

そして俺はそれを見つけた。
2つの影を。
1つはさきほどいた魔法使い見習いの少女。
もう1人はくさい男。


大男「誰もいないんだから楽しもうぜ?」

少女「お願いします……。やめてください………。」ウルウル

ミヨシ「う………、衣服を半分脱がされてる……、こりゃやばいな……」

大男「しかし幼い顔つきのわりにはでかい胸をしてるなあ」グヘヘヘヘ

少女「ふえええぇ~ん……」

ミヨシ「くっ……結界でも張っておこう」ギーカシャン

大男「お~お~お~お~ういの~」

少女「や………め………て……」

ミヨシ「おいてめえそこまでだ。」ガサガサガサ

大男「チッ、誰だ。」

少女「え?!」

ミヨシ「よくも俺の縄張りを荒らしてくれたなあ?」

大男「何だと?」

少女「あ………」

ミヨシ「俺の盗んだものを返してくれれば早くその場から立ち去れ!」

大男「はぁ?誰が立ち去るか!」

ミヨシ「………」

大男「しかもよう。こんないい上玉がいるのに手放すことができるかってえの!」

少女「ひぃ!!」

ミヨシ「いいからここから出て行けよ……」

大男「うるせえんだよ!」ドゴッ

ミヨシ「ごふっ……」

少女「きゃ!?」

ミヨシ「じゃあ殺るしかねえな……」

大男「ふははそれは無理な話だなあ」

ミヨシ「氷雨………」ゴー………

大男「ぐわあ!!」

少女「!!」

ミヨシ「ファイヤ」ボッ

大男「あっつっ!!」

少女「……」ガクガクブルブル

ミヨシ「てめえ、俺の盗んだものを返せ………」

大男「貴様、よくも俺を!」

ミヨシ「金縛り………」ビリリヒリ………

大男「ぐああああ………」ビリビリ

少女「………」

ミヨシ「痺れている間に俺の物を返してもらおう」ガサゴソ

大男「て、てめえ!!」ビリビリ

ミヨシ「よし、これで全部俺の物が返ってきた。」

大男「お前、ぶっ殺してやる!」

ミヨシ「いや、てめえは今からすぐに死ぬ。」

大男「何だと!?」

ミヨシ「クタバレ!死ねぇ!!三次砕破ァ!!」ズドーン

大男「ぐわあああああぁぁぁッッ!!!」

ミヨシ「ふ……」

大男「」

ミヨシ「全くくだらないことをするから命を落とすのだ。」

少女「」ガクガクブルブル

ミヨシ「エルプション……」ボーン

少女「あ………、燃えて無くなった………」

ミヨシ「はぁ………」

少女「」ビクッ

ミヨシ「なあ?」

少女「は、はひ?!」ビクン

ミヨシ「君さ、俺は帰れって言ったよな?」

少女「え、あ、はい……。そ、そうなんですけども………」ビクビク

ミヨシ「なにか理由でもあるのか?」

少女「え、えと……、ここの森、とても広くて道に迷ってしまって………」ビクビク

ミヨシ「そうか、君には迷ってしまう道か……」

少女「あ、あと……この周辺の森って強い魔物とかがうじゃうじゃしてて……」

ミヨシ「うーん」ポリポリ

少女「…………」

ミヨシ「とりあえず結界でも切っておこう」シューン……

少女「………」

ミヨシ「なあ……」

少女「は、はい?!」

ミヨシ「君、本当に帰れないのか?」

少女「」コクリ

ミヨシ「あと君さ、着衣に乱れが大いにあり」

少女「え?あわわわわ………」

ミヨシ「ふー」

少女「……//」ワタワタ

ミヨシ「」ジー

少女「み、見ないでくださぁい!!」アタフタ

ミヨシ「わ、わかった。」

少女「………」

ミヨシ「しかし……君本当に魔法を教えを請いにきたわけ?」

少女「」コクン

ミヨシ「君年齢は?」

少女「………17歳です。」

ミヨシ「そっか。」

少女「あ、あの……」

ミヨシ「ん?何?」

少女「あなたは……魔法使いではないんですか?」

ミヨシ「俺か?魔法使いなのかなあ……?」

少女「でも魔法にはない呪文もありました。」

ミヨシ「ああ、そりゃそうだよ。魔術の技能ではないからな。」

少女「え?」

ミヨシ「あれは陰陽術の技能だよ。」

少女「お、陰陽術?!」

ミヨシ「ああ。俺五大術のうちの4つの術が使えるからな」

少女「五大術………?」

ミヨシ「この世界には5つの術が存在する」

少女「ほぁ・・・・」

ミヨシ「魔術・陰陽術・密教術・妖術・淫術」

少女「いんじゅつ………?」

ミヨシ「俺は淫術だけは使えなくてな。淫術は特殊な術だからな。」

少女「は、はあ………」

ミヨシ「魔術と妖術は同じものとも言われてるけど、微妙に違ったりしているんだ。」

少女「な、なるほど………」コクリ

ミヨシ「ついでに魔法は魔術と妖術をまとめて総称したものだと思えばいいよ。」

少女「あ、はい。」

ミヨシ「しかしよくわからないのが職業を魔法使い、魔術師、陰陽師と区別することだ。」

少女「?」

ミヨシ「よくわからない……」ブツブツ

ミヨシ「それはどうでもいい。とりあえず君は帰る方法ないんだろう?」

少女「はい」コクリ

ミヨシ「しかしまあ……、俺は後悔している」

少女「後悔……ですか?」

ミヨシ「魔法を教える人物なんだけども……」

少女「え?あ、もしかして知ってるんですか?」

ミヨシ「それ、俺のことだよ」

少女「へえ……、て、えええええ?」

ミヨシ「本当だよ。」

少女「では何故そのことを……」

ミヨシ「さっき俺が殺した男がいただろう?」

少女「私を襲った人ですね」

ミヨシ「あいつも魔法を教えてほしいって言ってた。」

少女「ふぇ!!」

ミヨシ「俺が最初に断った理由わかっただろう。」

少女「な、なんとなくわかりました。」

ミヨシ「来る人来る人に伝授していたら悪用されてしまう」

ミヨシ「バカとハサミは使いよう・・・、とはよく言われるが、あの男はバカのままだろうな……」

少女「そ、それは私も思います。」

ミヨシ「だからこそあんな男には伝授したくないんだよ。」

少女「そうですね!」

ミヨシ「しかも俺が君を一度断ったせいであの男に襲われてしまった。」

少女「で、でも……キスもされてませんし、揉まれてたり変なところ触られてしまいましたけど……」

ミヨシ「……」

少女「わ、私は最後までやられなくてよかったと思います。」

少女「助けてくれたから嬉しく思ってます。」

ミヨシ「それならよかった。」

少女「大切なもの奪われてたら自殺しようと思ってましたよ……」

ミヨシ「だけどさ、あの男くさかっただろ?」

少女「はい………、鼻がもげるところでした………」

ミヨシ「ああいうやつを生かしておくと世の為にならん。」

少女「私もそう思います!」

ミヨシ「くっそ、疲れたなあ……」

少女「………」

ミヨシ「さて、帰るか………」

少女「あ、あの!!」

ミヨシ「ん?何だ?」

少女「わ、私に魔法を伝授してください!」

ミヨシ「おいおい、さっきも言っただろ?」

少女「それは重々承知しています。ですが私はまだ見習いの身。どうかお願いします。」ペコリ

ミヨシ「ならん。」

少女「雑用をしますから………」

ミヨシ「………」

少女「ダメですか………?」ウルウル

ミヨシ「色目を使うな………」

少女「すみません……」グス

ミヨシ「そして泣くな」

少女「はい……」

ミヨシ「あのな、俺はここの森周辺を守護をしている。」

少女「はい」

ミヨシ「俺は見回りをしなければいけないんだよ。」

少女「見回り?」

ミヨシ「今やったようなことだ」

少女「え、あ、はい、わかりました」

ミヨシ「あと、侵入者に対して戦わなければならない場合もある」

少女「え、あ、そ、そうですね………」

ミヨシ「正直のところ俺は物理戦には弱い。」

少女「それについては私も弱いです。」

ミヨシ「だから俺は五大術のうちの4つの強化に成功した。」

少女「………」

ミヨシ「それに俺の特殊能力も知っているだろうな?」

少女「はい、オリジナルの魔法を3つ伝授してくださるそうで……」

ミヨシ「その通りだ。」

少女「だから──」

ミヨシ「それで俺のところに来たというわけだったんだな……」

少女「はい……」

ミヨシ「ハッキリ言おう。今の君には無理。」

少女「へ?」

ミヨシ「君理解してる?」

少女「いいえ……。何故無理なんですか?」

ミヨシ「だって仕方ないだろ?今の状態で伝授しても効果は無い。」

少女「そ、そうですか……」

ミヨシ「しかし………ふー……まあいいか。」

少女「え?」

ミヨシ「教える。ビシバシ鍛えてやる」

少女「あぁ………、ありがとうございます!」

ミヨシ「すぐに逃げだすんじゃないぞ?」

少女「もちろんです!」

ミヨシ「よし!俺の家まで案内してやるついてきな」

少女「はい!」ニコッ


俺は少女と共に家路へと歩み始めた。

この日を境に少女は本格的に立派な魔法使いへの階段を駆け上がることになった。
今は魔法使い見習いであってもいつかは蛹から蝶になるように一人前の魔法使いになるだろう。
この少女がミヨシ青年によって鍛え上げられて立派な魔法使いとなるのはまた別のお話で。



終わり

あとがき

この少女につきましては現在執筆中のssに登場するかもしれません。
短編ものでしたが、読んでいただければ嬉しく思います。
どうもありがとうございました。

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