綺羅ツバサ「A-RISEという偶像」 (30)

ラブライブの二次創作です。

・主にA-RISE周りの設定について作者の妄想が山ほどに含まれます。
・台本形式ではありません

この辺が無理な方はそっとブラウザバックしていただくことをお勧めします。

何か不備がありましたら、ご指摘いただければと思います。

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『みんなで叶える物語』か…


第1回ラブライブで2位に圧倒的な差をつけて優勝し、ディフェンディングチャンピオンとして挑んだ第2回のラブライブ。

その最終予選で、私たちA-RISEはμ'sに敗れた。

最終予選でμ'sが披露した新曲「Snow halation」は、まさにμ'sの新境地を開拓する楽曲で、そのパフォーマンスは私たちを含め、他を寄せ付けない圧倒的なものだった。

当日の天気は雪で、まるで天まで彼女たちに味方をしているようだった。

私たちも自信をもって完璧といえるくらいのパフォーマンスができていたと思う。

だけど、トリを務めたμ'sのパフォーマンスが終わった瞬間、これはかなわないと思ってしまった。

思わされてしまった。

常に完璧、パーフェクトを目指し、それを実現してきた私たちA-RISEが、なぜ世間的に見ればぽっと出といってもいいμ’sに負けたのか。

なかなか気持ちの整理はつかなかった。

だから、直接話をしに行こうと思った。

μ'sのリーダー、高坂穂乃果さんに。


◆ ◆ ◆

私がUTXに入学した年の4月。生徒会から新1年生向けに、こんなお知らせがあった。

『UTXスクールアイドルプロジェクト メンバー募集!! オーディション開催!!』

ここ1,2年で流行りだしたスクールアイドルを、UTXにも作って学校をもっと盛り上げよう!
活動は生徒会を中心に全面サポート!
スクールアイドルとして3年間、充実の高校生活を送ってみませんか?

とか、そんな感じの文句が添えられていたと思う。

私はほとんど迷わず、このオーディションに応募した。

もともと歌ったり踊ったりするのは好きだったし、大きな声では言えないけれど、容姿もアイドルとして最低限のものはあるとも思ったから。

5月の初めにはオーディションが開催され、3名の合格が発表された。

それが、統堂英玲奈、優木あんじゅ、そして私、綺羅ツバサだった。


A-RISEとしてのファーストライブは夏休み明けの9月のことだった。

曲は今でも私たちの代表曲となっている「Private Wars」。

今のA-RISEと比べればさすがにだいぶ劣るパフォーマンスではあったけれど、当時としても、すでにスクールアイドルのパフォーマンスとしては全国トップレベルのものだったと思う。

それもそのはずで、私たちがA-RISEとして顔合わせをしたその日にはもう、UTXの生徒が作り上げた曲も、振り付けも完成しており、レッスン担当の先輩方まで決まっており、この先数か月のための万全の準備が整っていたからだ。

衣装だけは、私の身長に合わせていくらか手直しが必要だったのがちょっと悔しかったけれど。

UTXはいわゆるマンモス校で、さすがな色々な人材が揃っているのだと驚いたのを覚えている。

今考えてみれば、それも当たり前のことだったと思うけれど。


ファーストライブの映像は、夏休み前にオープンしたスクールアイドルのポータルサイトにアップロードされるとともに、UTXのモニターで定期的に秋葉原の街に向かって流されることとなった。

生徒会と、A-RISEプロモーションチームの力もあり、A-RISEの名前は一気に全国のアイドルファンに広がった。

それとともに全国的に「スクールアイドル」という種類のアイドル活動が爆発的に活性化することとなった。

まさにA-RISEはスクールアイドル人気の火付け役となったのだ。


A-RISEのプロモーション方針は、ほとんどプロのアイドルのそれに近いのではないかと思う。

他の部活とはだいぶ毛色が違うものではあったけれど、形の上ではアイドル研究部という部活動の一環としてA-RISEの活動は行われている。

だから当然授業は普通に受けるし、クラスに友達もいる。

その一方で、新曲や、今後の活動予定などの情報については私たちでも、公式サイトで発表済みのもの以外はむやみに話すことはできなかったし、練習も基本的には一般生徒が立ち入ることのできない専用の部屋を使っていた。

小さなイベントにはむやみに参加しないし、活動方針の決定権も最終的には生徒会が握っていた。

いわゆるブランドイメージというものを作るためだったらしい。

トイレや更衣室まで専用のものが用意されたのにはさすがに辟易したけれど。


UTXアイドル研究部の部員も私たち以外に20人以上が所属している。

作曲チーム、振り付けチーム、衣装チーム、プロモーションチーム…

1年生から3年生まで、それぞれの志望や特技を生かして、A-RISEの裏方として活動を支えてくれている。


他校の追随を許さない完璧な体制のもと、A-RISEの人気はうなぎ登りに上がっていった。

私たち3人も、表舞台に立つA-RISEプロジェクトの顔として、精一杯の努力をしたし、ライブも常に完璧なパフォーマンスを目指して行ってきた。

私たちは頑張ったと胸を張って言える。


3年生に進級し、A-RISEの人気もまさに絶頂、という絶好のタイミングで開催されたのが、スクールアイドルの甲子園、第1回ラブライブだった。

上位20組の選抜の段階でも圧倒的な1位だったA-RISEは、優勝候補の大本命と目される中、本大会で「Private Wars」を完璧なパフォーマンスで披露し、会場投票、インターネット投票ともにやはり2位に大差をつけて優勝を果たした。

A-RISEが活動を始めてから、新しい高校であることもあり、せいぜい都内とその近辺でしか知られていなかったUTXの知名度は全国区となった。

入学案内のパンフレットにも部活動紹介としてA-RISEが採用され、入学希望者も激増した。

A-RISEの2年間の活動の成果だ。


◆ ◆ ◆

UTXからも近い音ノ木坂学院高校に、μ'sという名のスクールアイドルグループができたということを知ったのは、ラブライブ開催が発表される少し前のことだったと思う。

プロモーションチームの部員が、ポータルサイトのランキングで急上昇しているグループを見つけたことを教えてくれたのがきっかけだ。

最初に見たPVのときには、まだメンバーは7人で、完成度という点ではお世辞にもA-RISEに遠く及ばなかったといっていいと思う。

にもかかわず、いい意味で手作り感のある振り付けや、可愛らしい衣装に目を奪われたのを覚えている。

すぐに英玲奈とあんじゅにも、こんなスクールアイドルが近くにいる、ということを伝えて、一緒にPVを見た。

二人も私と似たような感想を抱いたようで、以来、μ'sは私たち3人が注目する数少ないスクールアイドルのうちの一つとなった。

不思議と温かい気持ちになる、そんなグループがμ’sだった。


その後、μ'sは9人になり、順調にランキングを上げていき、このままいけば上位20組の枠にも滑り込めるだろうというところまで来ていた。

ランキング確定というところで、μ'sの参加が取り消されたことを知ったときは、かなりのショックを受けた。

ラブライブの舞台で彼女たちに会えることを、私自身、とても楽しみにしていたから。


ラブライブが終わってしばらくしたころ、μ'sが再びポータルサイトに登録され、ライブ映像が配信されたときには、3人で食い入るようにパソコンの小さな画面を見つめていた。

きっと3人とも、まもなく開催が発表される第2回ラブライブに向けて、こう思っていたと思う。

A-RISEのライバルが帰ってきた、と。


◆ ◆ ◆

穂乃果さんは、結局A-RISEとμ’sの違いを言葉に表せなかったようで、その時は明確な答えを得ることはできなかった。

でも、私も穂乃果さんも、その答えはすでに持っていたのだと思う。

μ'sのキャッチフレーズを見たとき、私はそう確信した。


◆ ◆ ◆

思いがけず、μ'sのメンバーをUTXに招待し、その場で合同ライブまで提案したのは、このころからもう、μ'sにはA-RISEとは違う何かがあると、きっと心のどこかで感じていたからなのだと思う。

そのころから、A-RISEが普通のスクールアイドルではないことに、私は気づき始めていた。

そのきっかけは、公式の発表の数週間前に、第2回ラブライブの開催が、おそらくA-RISEにだけ、知らされたことだ。

確かにA-RISEは第1回の優勝グループなのだし、他のグループとは異なる扱いをされることもあり得るのかもしれない。

そのころはそう思っていた。


かすかな疑念が確信に変わったのは、A-RISEが最終予選に敗れた後のことだった。

最終予選の敗北を機に、事実上、UTXアイドル研究部の活動は停止された。

敗北はショックではあったが、私たち3人は、残り3か月、全力で駆け抜けるつもりだったのに、だ。

なんということはない。商品価値が大幅に下がったA-RISEから、次の3年間を担うスクールアイドルへの転換の準備のためだ。

そして、その活動の中に、3月でUTXを卒業する私たちの席はなかった。


思えば、物事があまりにもうまくいき過ぎていた。

完璧すぎるほどに準備され、整えられた環境。

A-RISEのデビューする直前にオープンした、スクールアイドルのポータルサイト。

特定の学校設備の専有など、生徒会がいくら要望を出したところで普通は認められるはずがない。

極めつけは、私立UTX高等学校を実質的に経営する企業が、ラブライブのメインスポンサーであるということだ。

結局のところ、私のスクールアイドル活動は、UTXの生徒たちとともに作り上げられたものではなく、敷かれたレールの上をただ走っているだけだったというわけだ。


別にそれが必ずしも悪いことだとは思わない。

作曲や作詞、プロモーション活動など、生徒の活動であるという体を守るためではあるが、きっと彼女たちは自分のやりたいことを少なくともある程度はやれたはずだ。

私だって、歌や踊りをやりたい気持ちがあってオーディションに応募し、3年間ひたすら歌と踊りに打ち込めたのだから、むしろ感謝すべきなのかもしれない。

それでもA-RISEという活動に疑問符をつけてしまうのは、μ’sの存在があったからなのだと思う。


年が明けて、疑念が徐々に確信へと固まっていくなか、気が付くと私は、音ノ木坂へと、歩き出していた。


◆ ◆ ◆

英玲奈とあんじゅが、A-RISEについて今、どう思っているのか、実はよくわからない。

それでも今、3人で、3人だけで練習は続けていた。

3年間の集大成として、卒業ライブを行うために。

その中で、私は、ある提案をした。


それは3人で曲を作り、振り付けを考え、衣装を準備することだ。

A-RISEには海未さんも、真姫さんも、ことりさんもいない。

それでも、3人で新しい曲を作り、披露したいと思った。

今までA-RISEの物語は、誰かが叶えてくれた物語だった。

だからこそ、今度は私たちの物語を始める時だ。

偶像ではなく、アイドルとなるために。


卒業ライブにはμ'sのみんなを招待することにした。

ラブライブ優勝のお祝いも一緒に伝えないとね。

・・・・・・・

To:高坂穂乃果
From:綺羅ツバサ
Sub:優勝おめでとう!

穂乃果さん、そしてμ'sのみなさん、ラブライブ優勝おめでとう!
さすがのパフォーマンスだったわ。

ところで、私たちの卒業ライブを3月○○日にすることになったの。
私たちも、μ'sに負けていられないから、今精一杯準備しているところよ。
私たちがみんなで作り上げる物語、是非、μ’sのみんなで観に来てほしいな。
特等席を用意して待っているわ!

ツバサ


-End-

以上になります。
読んでくださった方がもしいらっしゃいましたら、ありがとうございました。

A-RISEのこういうの話もいいな

アライズはアライズでいろいろ複雑な話が多そう
乙でした


もっと続きが読みたい

乙 ただアライズってツバサ達が入る前からもともと有名だったんじゃないの?

アライズはたしか三代目じゃなかった?

1です。
ちょっとググったところによると、SIDではにこが中学3年の頃くらいから人気が出始めて、芸能科の選抜メンバー的な位置づけみたいですね
勉強不足でした

読んでいただきありがとうございました。適当なところで依頼しておきます

乙です

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