春香「歯科検診」 (19)

書き溜めありです一気に投下します

春香「イー……うーん」

千早「……」

春香「アーーン……うーん…」

千早「……」

春香「ねえねえ、千早ちゃん」

千早「…なにかしら、春香」

春香「アイドルは歯が命って言うじゃない?」

千早「突然ね…」

千早「まあ確かにそうね、アイドルだけじゃなく芸能人はみんな歯を大事にしているわね」

春香「だからね、私歯科検診に行こうと思うんだ」

千早「いいじゃない、普段しっかり歯を磨いているつもりでも案外磨けていなかったりするから」

春香「じゃあ、私先生やるから千早ちゃんは患者さん役やってね?」

千早「!?」

千早「……聞き間違いかしら? よく意味がわからなかったからもう一度言ってもらえる?」

春香「私が先生やるから千早ちゃんが患者さん役ね」

千早「つまりそれは」

春香「私が歯医者さんやるから千早ちゃんが歯科検診受けに来た人ってこと」

千早「ええ、そうでしょうね。でも歯科検診を受けに行きたい人は?」

春香「私だよ?」

千早「でも春香がやるのは?」

春香「歯医者さんだよ?」

千早「……」

春香「?」

千早「……」

春香「??」

千早「…はぁ、…わかったわよ」

             春香「歯科検診」

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―――
――


千早「あの、歯科検診受けに来たんですけど」

春香「うわっ!? ちょ、あなたいきなり何ですか!?」

千早「えっ」

春香「いきなり湧いて出てきて、あなた何者ですか!?」

千早「え、だから、いや歯科検診…」

春香「シシシ歯科検診ンンン!? あなた歯科検診受けに湧いて出てきたんですか!?」

千早「いや、だから湧いて出てきたって…」

春香「御用でしたら入り口から入っていただかないと困ります!!」

千早「……」

春香「御 用 で し た ら 入 り 口 か ら 入 っ て い た だ か な い と ! ! 」

千早「……」

春香「御 用 で し t 千早「わかりました出直してきます」

―――
――


千早「……カランコロンカラーン あの、歯科検診受けに来たんですけど」

春香「お帰りなさいませ!患者様~☆」

千早「ちょっと待って」

春香「うん?」

千早「仮にも病院よね?」

春香「うん」

千早「さすがに患者に向かって『お帰りなさいませ』はちょっと…ね?」

春香「確かに。常連さんじゃないと失礼だよね」

千早「いや、歯医者で常連さんってのもどうなのよ…」

春香「スタンプ10個貯まると歯を一本無料で抜いてくれるみたいな」

千早「そんな還元システムのために常連になる人なんていないわよ!」

千早「とにかく、『お帰りなさいませ』以外でやって頂戴」

春香「ほい」

千早「頼むわよ…」

―――
――


千早「カランコロンカラーン あの、歯科検診を受けに来たんですが」

春香「ようこそ、ハルカアマミデンタルケアクニ…」

春香「ハルカアマミデンタリュ…」

春香「ハルカアマミデンタルキャ…」

春香「ハルカクリニッ 千早「言えないならやめなさいよ?」

千早「もう、ちっとも進まないじゃない…」

春香「えへへ、ごめんって」

千早「もういいわ、…あの、初めて来たんですけどハルカアマミデンタルクア…」

千早「ハルカアミャ…」

千早「ハルカアマミデンタルキャ…」

千早「もう!なんなのよ!この名前!!」

春香「ケアが鬼門だね」

千早「カタカナが連なりすぎなのよ…」

千早「ケアまで辿り着かないことすらありそうよこの歯医者」

春香「大丈夫、今度はちゃんと言いやすい名前にするから」

千早「本当にお願いね…」

―――
――


千早「カランコロンカラーン あの、歯科検診がしたくて」

春香「ようこそ、春香歯科へ」

千早「予約してないんですけど大丈夫ですか?」

春香「ええ、大丈夫ですよ。たった今黙らせたんで」

千早「黙らせた!?」

春香「間違えた、抜いたんで」

千早「えっ、歯をですか?」

春香「いや、舌」

千早「本当に黙らせにいってるじゃない!!」

春香「ちょっとうるさかったんで…てへ」コツン

千早「いくら治療中にうるさくても舌抜いちゃダメでしょ!」

春香「で、今日は検診でしたっけ?」

千早「……ええ、そのつもりで来たんですけど」

春香「大丈夫ですよ。あ、診察券お持ちです?」

千早「いえ、今日はじめてなんです」

春香「ああ、それでしたら今日最後に診察券お作りしますんで、そこの紙にお名前を書いてお呼びするまでお待ちください」

千早「あ、はい」

春香「おまたせしました、如月さーん、如月千早さーん」

千早「意外と早いわね」

春香「ちょっと舌とか歯とかその辺に落ちてますけど踏まないように気をつk 千早「かたづけてぇぇぇ!!」

千早「だめでしょう!? その辺に患者の歯とか舌とかポロポロさせちゃ!」

春香「いやぁ、いつもは違うんですよ?」

千早「そりゃいつもポロポロさせてちゃ患者が逃げるわよ!」

春香「いつも掃除してくれる助手のほうが『今日だけはちょっと…』ってうるさいんで」

春香「抜いちゃいました」 千早「黙らせたの助手ゥゥゥ!!」

千早「ここはまずいわね…とんでもないところに来てしまったみたいだわ…」

春香「ところで如月さん、あなたもしかして…」

千早「は、はい? な、何ですか?」

春香「あなたもしかしてアイドルの?」

千早「あ、はい。そう、ですけど…?」

春香「いやぁ!だからかぁ! 最近の若い子の割には歯科検診なんて真面目だなぁなんて思いましてね」

千早「あ、ええ。職業柄歯は命ですから」

春香「いやぁ、関心関心。こりゃ私も気が抜けないなぁ ハハハ!」

千早「間違っても舌は抜かないでくださいね…」

春香「大丈夫ですよ、任せて下さい! …まあ立ち話もなんですし、その辺に座ってください」

千早「ああ、お気遣いどうも……じゃなくて!!」

春香「うん?」

千早「検診!」

春香「うん」

千早「世間話をしに来たんじゃなくて検診!」

春香「……あぁ~!」

千早「…はぁ、あなたからやりたいって言い出したんじゃないの」

春香「そうでした、ついうっかり…てへ」テレテレ

千早「もう、本当お願いよ…?」

春香「ごめんごめん」

―――
――


春香「はい、じゃあ早速検診はじめましょうか」

千早「よろしくお願いします」

春香「はい、じゃあ口開けて」

千早「はい、あー…」

春香「あ、その前に座ってもらわないと見れないです」

千早「…くっ! …これで良いですか先生」

春香「はい、じゃあ気を取り直してあーんしてください」

千早「……あー」

春香「はい、そのままでね~」

春香「うん、右上…良し。左上…良し。右下…うん。左下…うん?」

千早「ほぉひはひは?へんへえ?」(どうしました?先生?)

春香「うん?これね~如月さん、左下の奥歯なんだけどね?」

千早「ふぁい?」(はい?)

春香「虫歯になっちゃってますねぇ、これ」

千早「ふひは……へふは?」(虫歯…ですか?)

春香「うん、どうします? 時間さえ良ければこのまま治療しちゃいますけど?」

千早「あ、ひゃあほへはいひはふ」(あ、じゃあお願いします)

春香「あ、口閉じていただかないとちょっとわからないです」

千早「……くっ!!」

―――
――


春香「ええと、それでは治療始めますね」

千早「はい、よろしくお願いします」

春香「それでコースが幾つかあるんですけど」

千早「…コース、ですか?」

春香「ええ、まず機種が2種類ありますね」

千早「機種、ですか? …なにか違いがあるんですか?」

春香「はい、こっちの機種のほうが曲数が多いですね」

千早「曲、数…?」

春香「それで、機種を選んでいただいたあと、ワンドリンクかドリンクバーか選んでもらってます」

千早「ド、ドリンク…?」

春香「で、お時間なんですけど、3時間以上ならドリンクバーのほうg 千早「カラオケよね?」

春香「はい」

千早「機種とかドリンクとか時間とかカラオケよね、それ」

春香「はい」

千早「曲数とか少なくていいですし、飲み物もワンドリンクでいいですから検診してください」

春香「えーと、そうしますと4番のお部屋にごあn 千早「検診!」

春香「はい!」

千早「カラオケじゃなくて!」

春香「検診!」

千早「そうよ全く……そもそも何よ、3時間って…そんな治療しないわよ、ちょっとしたオペじゃない」

春香「で、お時間なんですけど、ちょっとあの虫歯の感じだと完治させるまで時間かかっちゃいますよ?」

千早「……1時間で。仕事もあるので今日は出来るところまでやってください。」

春香「1時間ですね。…ではワンオペということでよろしいですか?」

千早「いや、まあ確かに助手がいない今、ワンオペには変わりないでしょうけど」

春香「歯ァ空きだべアイドル」

千早「人の歯並びを訛りながら牛すき鍋定食みたいに言わないで!」

千早「それにすきっ歯じゃないわよ!」

―――
――


春香「はい、じゃあ治療始めますね」

千早「あ、あの先生…」

春香「どうかしましたか?」

千早「あの、恥ずかしい話なんですが…私、その…」

春香「? なにか?」

千早「その…ドリルの音が苦手で…」

春香「あぁ~! 大丈夫ですよ、お気になさらず!」

千早「と、いうと…?」

春香「よくいらっしゃるんですよ、ドリルの音が苦手な人」

千早「は、はぁ…」

春香「そんな人も安心して治療を受けられるように当院の治療台には音楽が流れるようになっています」

千早「なるほど! それなら安心ですね!」

春香「ではこのイヤホンをつけて…と」

千早「あ、はい」

春香「じゃあ、始めますよ キュイーーーーン」

千早「あ、あの先生、お、音が聞こえるんですけど…」

春香「はーい、口開けてくださーい キュイーーーーン」

千早「せ、先生?」

春香「ほら、あーんしてぇ、あーん キュイーーーーン」

千早「先生?」

春香「キュイーーーーン」

千早「 先 生 ! ! 」

春香「あ、なんか言いました? スポッ」

千早「あなたがつけてたんですか!?」

春香「私もあの音苦手で…えへへ」

千早「先生やるなら音に慣れてる設定でお願い!」

春香「あ、そういう設定でね?」

千早「…はぁ」

―――
――


春香「じゃあ、始めますよ?」

千早「…早くしてください」

春香「イヤホンしました?」

千早「はい、大丈夫です」

春香「では音楽流しますねぇ ドコドコドコドコ ヴォーーーーー シャンシャンシャン」

千早「えっ、ちょっえっ!?」

春香「どうかしました?」

千早「あ、あのなんかデスメタル?みたいなのが流れたので曲変えていただけますか…?」

春香「ああ、如月さん曲数少ない機種選んだでしょう?」

千早「え、あ、はい」

春香「だからその曲くらいしか入ってないです」 千早「機種変えてください」

春香「あ、でもその曲以外にも一応ありますよ」

千早「…ちなみにどんな曲ですか?」

春香「えっと、…あぁ~でもこれ如月さん嫌いかもなぁ…」

千早「アーティストの名前とか仰っていただければある程度わかりますけど」

春香「『レッド・ツェッペリン』 ですけど大丈夫ですか?」

千早「ええ、別に嫌いじゃないですけど」

春香「あっそうなんですかっ!? てっきり嫌いだと思ってました」

千早「? なんでそう思われたんですか」

春香「いやぁ、如月さんってどちらかと言えば『ブルー・テッペキン』だk 千早「春香」

春香「『ブルーt 千早「おい」

春香「……」

千早「……」

春香「…『b 千早「春香」

春香「はい」

千早「機種変えて」

春香「はい」

千早「やり直し」

春香「はい」

―――
――


春香「はい、じゃあもう機種変えられませんからね」

千早「ええ、大丈夫です」

春香「イヤホンしましたか?」

千早「しました」

春香「流す音楽のジャンルはどうします?」

千早「あ、じゃあ落ち着ける曲で」

春香「わかりました、ではクラシックとかで良いですかね?」

千早「ええ、それで構いません」

春香「じゃあ流しますねぇ」

千早「…うん、流れてきたわね…やっと落ち着けるわ シャカシャカ」

春香「……、……………!」

千早「すごい遮音性ねこのイヤホン、周りの音が全く聞こえないわ シャカシャカ」

春香「…………!………!!」

千早「この曲はショパンね、やっぱりクラシックは落ち着くわ…… シャカシャカ」

春香「…………、……!!」

千早「……ん?先生がなにか言ってr 春香「ギュイイイイイイイン」

千早「ぎゃああああああ!!」

千早「あっぶな!!危ないですよ先生!なんですかいきなり!?」

春香「いや、だからさっきから口を開けてって言ってるじゃないですか」

千早「聞こえませんよ!」

春香「いや、でも如月さんがドリルの音が嫌だって言うから……」

千早「…くっ、確かにそうですね」

春香「どうします?音を我慢して続ければ今日である程度のところまで治療できますけど?」

千早「…背に腹は代えられないですもんね、じゃあお願いします」

春香「如月さんは割と代えが効く方だと思いますけど」

千早「なにか言いました?」

春香「…いえ、なにも?」

―――
――


春香「はい、じゃあ一度口ゆすいでくださいね」

千早「はぁ、なんとか耐えられたわ…」ブクブク

春香「あはは、後もう少しですよ!」

千早「あ、すみませんもう一杯頂けますか?」ペッ

春香「えっ? ありませんよ?」

千早「えっ?」

春香「いや、だって如月さんワンドリンクでしょ?」

千早「えっ、口ゆすぐための水がワンドリンクなんですか!?」

春香「そりゃそうでしょう?」

千早「私てっきりジュースとかの事だと思ってて…」

春香「ははは、何言ってるんですか、ここは歯医者ですよ? 虫歯の原因になり得るジュースなんか出しませんよ」

千早「た、確かに…」

春香「全く、如月さんは案外冗談がお好きなんですねぇ? んん?」コノコノ

千早「なんか釈然としないわね…」

―――
――


春香「はい、じゃあ今日は終了です。お疲れさまでしたー」

千早「あ、はい、ありがとうございました」

春香「では、お呼びするまでまた待合室でお待ちください」

千早「わかりました」


春香「如月さーん、如月千早さーん」

千早「はい」

春香「今日はお疲れ様でした、今日が初回なので診察券お渡ししますね」

千早「ああ、どうもすみません、ありがとうございます」

春香「はい、ではこれが診察券ですね」

千早「ありがとうございます」

春香「で、今日の治療でスタンプ2個溜まったんで」

千早「スタンプ、ですか?」

春香「ええ、如月さんは初回で1個、治療で1個の合計2個です」

千早「あ、そうなんですか」

春香「10個溜まったら使えるようになるんで」

千早「治療費のお値引きとかしていただけるんですか?」

春香「ええ、もちろん! 『通院される方に優しく!』が当院のモットーなので!」

千早「嬉しいです!」

春香「ええ、ええ、そう言っていただけるとコチラも嬉しくなりますよ」

千早「ちなみにいくら位お値引きしてもらえるんですか?」

春香「え? そりゃ抜歯が1本無料になります」

千早「二度と来るか」


          おわり

以上です
どうもありがとうございました

これは元ネタがあったりするのかな

>>15
自分一人で考えたはずですが、もしかしたらいつかで見たネタも混じってるかもしれないです
よかったら 春香「進路相談」 も読んでくれると嬉しいです

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