唯「となりのトトミ」 (33)

律「さぁ~て、授業も終わったことだし部室に行くか」

唯「あいよ~」

和「引退したのに相変わらず部室通いなのね」

澪「まぁ、一応は受験勉強ってことなんだけど」

唯「ムギちゃん、今日のおやつは?」

紬「ロールケーキよ」

唯「わ~い!」

和「勉強……ね」

澪「……うん」

律「甘いものには巻かれろって言うだろ?」

澪「長いものだろ」

律「いやいや、ロールケーキだけにってことだよ」

唯「りっちゃんうまいねぇ」

律「いやいや、それほどでも」

澪「面白くないし、甘いものの方が巻かれちゃってるし」

紬「今日のロールケーキは舌を巻く美味さよ!」

律「お! ムギも乗っかってくるなぁ」

唯「ムギちゃんのうまさに私も舌をふぁふぃふぁふ」

紬「いやいや、それほどでも~」

澪「本当に舌巻いたら途中で何言ってるのかわからなくなっちゃってるだろ」

唯「ふぉふぉふぁふぁんふぉふぃっふぉふぃふぉふぉ?」

澪「もういいからちゃんと喋れ」

和「お誘いは有難いけど、遠慮しとくわ」

澪「え?」

唯「ふぇふぃふぉふぁふぃ?」

和「いいえ、今日は生徒会の会議は無いけど、ちょっと待たせてる人がいるのよ
  だから、先に帰るわね」

唯「ふぉっふぁ~。ふぁんふぇふ」

和「また今度ね」

澪「なんで意志疎通できてるんだよ……」

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和 キョロキョロ...

とみ「のんちゃん」

和「あ、おばあちゃん」

とみ「今日は3つ曲がり角間違えずに来れたねぇ」

和「うん、タイ記録」

とみ「じゃあこの4つ目の交差点を間違えずに行けたら新記録だねぇ
   いったいどっちだろうねぇ?」

和「ど・ち・ら・に・し・よ・う・か・な」

和「て・ん・の・か・み・さ・ま・の・い・う・と・お・り」

和「右」

とみ「残念、ここは真っ直ぐだよ」

和「ほら、私、無神論者だし、だから」

とみ「そうだねぇ、そういうことだねぇ、仕方ないねぇ」

和「おばあちゃんは優しすぎて調子が狂うから困るわ」

とみ「ごめんねぇ」

和「……」

とみ「じゃあ、そろそろ帰ろうねぇ」

和「うん、いつもごめんね、おばあちゃん」

とみ「いいんだよ、おばあちゃんが好きでこうやってのんちゃんのお迎えにきてるんだから」

和「でも……」
   
とみ「そういえば、商店街の和菓子屋さんが改装して新しくなったって聞いてね
   おばあちゃん、そこで好物のいちご大福買おうと思ってねぇ」

とみ「だけど、家で独りで食べてもなんだか寂しくてねぇ」

和「だったら、私がおばあちゃんの話相手になってあげる」

とみ「そうかい? 嬉しいねぇ」

 和菓子店

とみ「ここねぇ、息子さんがパリまで洋菓子の修行に行っててねぇ
   ちょうど今年その息子さんが修行を終えて帰ってきてねぇ
   本当はここのご主人さんは息子さんにも
   和菓子の職人さんになってほしかったらしいんだけど
   息子さんがどうしても洋菓子をやりたいって聞かなかったらしくてねぇ
   だから『ワシの代でこの店も終わりか』って気を落としていたんだけど
   『和菓子は親父から教わるんだ』って息子さんが言ったらしくて
   それがよっぽど嬉しかったのか、息子さんと一緒に店をやるために
   改装して洋菓子も扱うようになってねぇ
   ちなみにここのご主人が演芸大会でいつもマジックしてくれる
   シゲさんなんだけどねぇ、毎年マジックを披露するもんだから
   そろそろネタが尽きてきたってボヤいててねぇ
   おばあちゃんはシゲさんのマジック楽しみにしてるから
   続けて欲しいんんだけどねぇ」

和「ねぇ、おばあちゃん」

とみ「なんだい?」

和「なんで年寄りって別に聞きたくもない話を長々と話しちゃうのかしら」

とみ「なんでだろうねぇ。おばあちゃんちょっと難しいことはわからないねぇ……」

和「そう……」

とみ「難しいって言ったら
   シゲさんも毎年演芸大会でマジックするもんだから
   だんだんネタに困ってきたらしくてねぇ
   やっぱりマジックっていうのも中々難しいらしくてねぇ
   あと、ここの息子さんがパリまで洋菓子の修行に行っててねぇ
   本当は息子さんにも和菓子の職人さんになってこの店を継いで欲しかったらしいけど
   やっぱり和菓子っていうのも経営的には難しいらしくてねぇ
   でも、その息子さんも今年帰ってきて一緒に店をやるために
   改装して洋菓子も始めてねぇ
   息子さんも洋菓子を作って売る場を用意してもらって嬉しそうでねぇ」

和(そろそろボケが始まっちゃったのかしら……。心配ね……)

とみ「まぁ、同じようなことを2回話しても面白くもなんともないねぇ」

和(なんだ、よかった。ただの嫌がらせだわ)

とみ「あった、あった。おばあちゃんこのいちご大福に目がなくてねぇ」

とみ「中に入ってる苺も大きくてねぇ」

和「本当、美味しそう」

とみ「じゃあ、おばあちゃんとのんちゃんのと2つ買って帰ろうね」

和「う~ん……」

とみ「どうしたんだい? のんちゃんいちご大福嫌いかい?」

和「そうじゃないんだけど」

とみ「?」

和「ねぇ、おばあちゃん。もし、私と唯に何かお菓子のお土産を
  買って帰るって状況になったらどんなものを買う?」

とみ「そうだねぇ、唯ちゃんにはきっと見た目も可愛いケーキを買ってあげるだろうねぇ
   のんちゃんには、羊羹とかどら焼きとかそういう和物の渋いものを買ってあげたいねぇ」

和「やっぱりそうなんだ……」

とみ「のんちゃんは小学生の頃からどこかババ臭いところがあったからねぇ」

和「そこはせめて大人っぽいと表現してほしかった」

とみ「ごめんねぇ。おばあちゃんのんちゃんを見てると
   なんだか一緒にゲートボールがしたくなるんだよぉ!」

和「わかってる……名前からも連想されるように
  どこか和風なイメージを周りに抱かれやすいっていうのは」

和「でも、私だっていつまでも大和撫子を気取るつもりはないの」

和「そうやって縛り付けられちゃ私の可能性が削がれてしまう!」

和「だからここはその着物が似合う風の和服美人的なイメージを覆すために
  あえて私はそのパリで修行したという息子さんのハイカラな洋菓子をいただくわ」

とみ「和風というよりも、ババ臭いってことなんだけどねぇ」

和「店員さん!」

「いらっしゃいませ」

和「この右側のショーケースに並んでいるものが
  パリで修行したという噂のパティシエの作品ね」

「はい、どれにいたしましょう」

和「そうねぇ……」

和「じゃあこの『モンマルトルの丘羊羹・セーヌ川のほとりのオープンカフェ風』で!」

「ありがとうございます」

とみ「それも美味しそうだねぇ。じゃあそろそろ帰ろうかねぇ」

和(あれだけ言って結局羊羹かい! とかツッコんでほしかったわ……)

 とみさんの家

とみ「じゃあ、お茶淹れてこようねぇ」

和「あ、おばあちゃん私がやる」

とみ「そうかい? ありがとうねぇ」

和「はい、どうぞ」

とみ「あ~、なんだか娘が出来たみたいで嬉しいねぇ」

和「やだ、おばあちゃん、孫って言ってよ」

とみ「恐ろしいことだねぇ」

和(何が恐ろしいのかしら……?)

とみ「やっぱり独りよりも誰かと一緒に居るほうが楽しいねぇ」

和「それにしても、本当に大きないちご大福」

とみ「そうだねぇ、おばあちゃんも歳だからさすがに全部は食べ切れないねぇ」

とみ「よかったらのんちゃん半分食べるかい?」

和「いいの?」

とみ「もちろんだよ、お食べ」

和「じゃあ、いただきます」

 平沢家

 プルルルルルルルル!!

憂「はいは~い!」

憂「はい、平沢で……」

とみ『憂ちゃんかい!?』

憂「ど、どちら様ですか!?」

とみ『一文字ですけども~』

憂「あ、隣のおばあちゃん」

とみ『今ねぇ、のんちゃんが家に来てるんだけどねぇ』

憂「のんちゃん? あ、和ちゃんか」

とみ『のんちゃんがねぇ、おばあちゃんのいちご大福の苺だけを
   どういう訳か器用に食べちゃってねぇ』

和『だって、おばあちゃんが半分食べてもいいって』

和『だから、外の餅だけを剥いで食べるのはちょっとどうかと思って
  私のテクを駆使して苺だけを綺麗に取りだして』

とみ『半分って言ったら縦に割るなりなんなりして半分こするのが普通だけどねぇ』

和『その発想はなかった』

とみ『のんちゃんは頭が良いけど、時々恐ろしく馬鹿になっちゃうねぇ』

憂「あの……今、夕食の準備してて……」

とみ『ああ、ごめんねぇ。じゃあ今度またイナゴの佃煮作ったら持って行くからねぇ』

憂「いや、まだこの前貰ったざざむしの佃煮も大量に残って……」

   ガチャ ツーッ ツーッ

憂「……」

とみ「はぁ~……」

和「あの……おばあちゃんごめんね」

とみ「いいんだよ、この外側の餅だって美味しいからねぇ」

とみ「ああ、苺の甘酸っぱさが恋しいねぇ……」モキュモキュ

和「……」

和「私、この前も唯のケーキの苺取って怒られちゃったの」

とみ「おばあちゃんのいちご大福の苺の方が大きいし絶対美味しいはずだよ!」

和「うん、別にその苺の優劣を言ってるんじゃなくてね」

とみ「そうなのかい」

和「私ってば、すごく方向音痴だったりちょっと思いやりが欠けていたりするし」

とみ「あとババ臭いってのもあるねぇ」

和「それに比べて唯はどこか抜けていても皆から愛されてるし
  憂はシスコンだけどしっかり者でご両親からも家の家事を全て任されているくらい信頼されてるし」

和「そう考えたら私なんて……」

とみ「そんなことないよ」

和「……くすん」

とみ「欠点があるから人は他人を頼ることが出来るし、許すことが出来るんだよ」

とみ「完璧な人間は他人にも完璧さを強要しちゃいがちだからねぇ」

とみ「のんちゃんは一見完璧人間だけど、そういう欠点があるからこそ愛を受けたり
   その受けた愛情を他に振りまいたりすることが出来るんだよ」

とみ「唯ちゃんも憂ちゃんものんちゃんも
   3人みんな違うけど、3人みんな同じようにおばあちゃんは大好きだよ」

和「……うん。私もおばあちゃん大好き」

和「私、学校では生徒会長だし、しっかり者だって思われてるから
  こんな弱音なんてなかなか恥ずかしくて言えないけど」

和「どういう訳だかおばあちゃんには安心して聞いてもらえる」

とみ「のんちゃんの役に立てておばあちゃんも嬉しいねぇ」

和「ありがとう、おばあちゃん」

とみ「おばあちゃんは何もしてないよ。
   のんちゃんとお話できて楽しかったねぇ
   また今度もお茶しようねぇ」

和「今度はちゃんといちご大福の苺の部分をおばあちゃんに食べてもらうわ」

とみ「そうだねぇ、また楽しみが出来て嬉しいねぇ」

和「うん。じゃあ、私そろそろ帰るね」

和「って、言っても家までおばあちゃんに送ってもらわないといけないけど」

とみ「いいんだよ、気にしちゃだめだよ」

和(本当におばあちゃんが居てくれてよかった)

とみ「あ、そうだ。のんちゃん」

和「ん?」

とみ「のんちゃんあれだけ和風なイメージを覆すって言っといて
   結局買ったのは羊羹だったねぇ」

和「そのツッコミはとっくに旬を過ぎてるわ、おばあちゃん」

とみ「そうかい。残念だねぇ」

 真鍋家 和自室

和「うふふ、今度また苺全部食べたらどんな顔するかしら」

和「なんだかワクワクしちゃうわ」

和「……」

和「いや、さすがに1回目でも相当悲しそうな顔してたし
  これ以上はいくらなんでもヤバいわね」

和「それになんだかおばあちゃんに励まされちゃったし」

和「欠点も魅力の一つか……」

和「でも、私はやっぱり方向音痴を治したい」

和「……」

和「ちょっと、頑張ってみようかしら……」

 翌日 学校

澪「この前の校内模試の結果が貼り出されてるな」

律「どれどれ? おっ、和が1位だ!」

紬「本当、すごいわ!」

唯「いや~、きっとこの真鍋和という子はよっぽど周りに恵まれているんだろうね
  とりわけ幼馴染が優秀だからこんな良い成績ってわけだよ!」

和「その理論でいくと、この下位でくすぶっている平沢唯って子は
  よっぽど周りの環境が悪くて
  とりわけ幼馴染が残念な出来だから落ちぶれちゃってるのね」

唯「じゃあ理論的には私の方が和ちゃんよりも優秀ってことに!?」

和「でも、実際には私のほうが唯よりも成績が良いのよね」

唯「……あれ? なぜそのような事になってしまったのか」

和「この理論を証明することが出来たらノーベル賞ものよ」

唯「もはや理論的に理解できない」

紬「この2人はいったい何を言ってるのかしら?」

律「やべぇな、理論的とか口にしたら唯もなんだか頭がよく見えちゃうな」

澪「言ってることは馬鹿丸出しだけどな」

律「それにしても和はすごいよな、欠点なんて見当たらない」

和「そんなことないわ、私なんて欠点だらけよ」

律「またまたご謙遜を」

和「とくに方向音痴だし」

澪「そういえば、そうだっけ」

和「でもね、そういう欠点があるから他人にも優しくできるのよ」

紬「さすが生徒会長さんは言うことが違うわね」

和「受け売りだけどね」

唯「その理論でいくと私はものすごく優しい」

澪「もういいって。てか、それ自分で言ってて悲しくならないのか?」

唯「え? なんで?」

澪「……いや。唯がいいならいいんだ」

和「じゃあ、私もう帰るね。あなた達は相変わらず軽音部の部室で受験勉強?」

律「いや~、梓がどうしても先輩たちと一緒に居たいって言うもんでさぁ~」

和「あんまり可愛い後輩の練習を邪魔しないようにね」

紬「たまには和ちゃんも一緒にお茶していかない?」

唯「和ちゃん昨日は無理だったけど、今日は大丈夫でしょ?」

澪(あの昨日のふぁふぁ言ってたのは和を誘ってたのか……)

和「ごめんなさい、悪いけど今日も私やらなきゃいけないことがあるのよ」

唯「えぇ~。せっかく勉強も教えてもらおうと思ったのにぃ~」

律「うぅ~、校内一位の実力者を囲い込むことはできなかったか……」

和「また今度ね」

 軽音部 部室

律「前は練習なんてダルくてやる気もなかったけど」

唯「どういう訳か今やる気が溢れてくるんだよね」

澪「勉強から逃げたい一心でな」

唯「下手したらここで試験勉強始めてからの方がギターが劇的に上達してる気がする」

梓「本当に受験大丈夫なんですか?」

紬「うん、まぁ……」

唯「いざとなれば私には最終兵器和ちゃんがいるし」

律「なんだよそれ。まさか替え玉受験でもしようって魂胆じゃないだろうな」

唯「違うよ~。ちゃんと正攻法で勉強見てもらうの」

紬「和ちゃんって教えるのも上手そうよね」

唯「私がこの高校受かったのも和ちゃんが勉強教えてくれたおかげのようなもんだし」

唯「中学の先生からは絶対受からないぞって言われてたんだけど」

律「今だって常に成績はブービー争ってるもんな」

梓「そんなんでよく受かりましたね」

唯「だって、どうしても和ちゃんと一緒の学校がよかったんだもん」

澪「和も幼稚園、小学校、中学校ときて高校に入ってまで唯の世話をするとは
  思わなかったんじゃないか?」

唯「逆だよ、逆」

律「どう逆なんだよ」

唯「私の方が和ちゃんのことが心配だったんだよ」

梓「理解不能です」

唯「理論的に言うとだね」

澪「だから、それはもういいって」

唯「和ちゃんの方向音痴は免許皆伝レベルで一人で学校から家まで帰れないんだよ」

紬「さすがにそれは冗談でしょ?」

唯「いや、幼稚園のときはバスのお迎えがあったからよかったんだけど
  小学校、中学校と私が和ちゃんを家まで送り迎えしてたんだ」

梓「本当ですか!?」

唯「はじめてのおつかいってTV番組あるじゃない?」

律「あの小さい子がおつかいに行くやつな」

唯「和ちゃんあれに出演依頼が来てね」

澪「まぁ、小さい頃なんて誰しも方向音痴みたいなもんだろ」

唯「それが中学2年の時にオファーがあってさ」

律「嘘つけ、おつかいなんて年頃じゃねーだろうが」

紬「もはやただのショッピングね」

唯「いやいや、和ちゃんを舐めてはいけないよ
  その方向音痴っぷりがTV業界の人に知れて
  ちょっと面白そうだからって撮ってみようってなってさ」

梓「そんな回ありましたっけ?」

唯「結論から言うと、その回はお蔵入りになったんだよ」

唯「予想だにできぬ和ちゃんの斜め上の方向音痴っぷりに
  撮影クルーも和ちゃんを見失っちゃってさ」

律「相当だな、おい」

唯「1週間ほど行方不明になっちゃって」

澪「事件じゃないか」

唯「その後ローマで無事保護されたんだ」

梓「なんと海外」

唯「和ちゃん言ってたよ
  『すべての道はローマに通ずって本当だったわ』って」

紬「なんだかカッコイイわね」

澪「迷子だけどな」

梓「だけど、どうやって海外まで……」

唯「和ちゃんのお父さんお母さんが何があってもいいようにって
  常にパスポートとクレジットカードを持たせて外出させてるんだよ」

律「むしろパスポート持ってない方が海外へ行けなくなるから安全だろ」

唯「親の愛ってやつだね」

澪「和も和で、これ以上行ったら私海外行っちゃうんじゃないかしら?
  とか考えたりしないのかな」

唯「和ちゃんは常に自分が正しいという自信の元に行動してるからね」

梓「結構難儀な人ですね」

紬「ねぇ、唯ちゃんの言ってることが本当なら
  唯ちゃんは和ちゃんを送り迎えするために桜高へ来たってことよね」

唯「そだよ~」

紬「でも、唯ちゃん軽音部始めてから和ちゃんと一緒に帰るって目的が
  達成できてない気がするんだけど」

唯「……あれ? そう言えばそうだね」

澪「和が生徒会の会議がある日は帰る時間も一緒になるから和と下校したりしてるけど」

梓「和先輩が一人で帰る時はいったいどうしてるんですか?」

律「そうそう、今日なんて和一人じゃん」

唯「世の中には理論的に説明できないことが沢山あって……」

澪「今なら謝れば嘘ついたこと許すぞ」

梓「そうですよ、和先輩に対しても失礼です」

唯「本当なんだって」

律「さすがに信じることはできないなぁ」

紬「唯ちゃん! 嘘つく子にはお菓子あげませんよ!」

唯「うわ~ん! だって本当なんだも~ん!」

梓「あれ? お菓子取り上げるって言ったら素直に白状すると思ってたのに」

律「意外と本当のことなのかも……」

澪「お菓子ごときでそう判断される唯もどうかと思う」

唯「うぅ……くすん」

   ブーッ!! ブーッ!!

唯「あ、電話。憂からだ」

梓「ま、まさか唯先輩の泣き声にいち早く憂が反応した!?」

澪「て、テレパシーってやつか!?」

律「まさに携帯いらず!」

紬「り、理論的にお願いできないかしら!?」

唯「もしもし、なに?」

唯「……え」

澪「どうした?」

唯「和ちゃんが……迷子になったって……」


唯「憂~!」

憂「あ、お姉ちゃん!」

唯「和ちゃんが迷子になったって本当!?」

憂「うん……まだ家に帰ってないんだって……」

唯「そんな……」

律「いや、どこか寄り道してるだけかもしれないじゃん」

憂「はい、その場合誰かと一緒なら安心なんですけど……」

憂「駅前で和ちゃんを見たっていう最後の目撃情報によると一人で歩いてたらしくて……」

澪「なんだ、駅前ならすぐじゃないか」

憂「その後消息不明なんです……」

紬「消息不明って、さすがにすぐ見つかると思うんだけど」

憂「もうすでに国内にはいないかもしれません……」

梓「もしかして憂も和先輩の方向音痴がとんでもないってこと言ってるの?」

憂「うん、和ちゃんの方向音痴のおかげで
  未だ知られていなかった遺跡や秘境がどれだけ発見されたことか」

律「それって探検って言わない?」

唯「和ちゃんの恐ろしいところはそれが無自覚ってことなんだよ」

澪「まぁ、憂ちゃんがそう言うってことは本当のことなんだろうな」

唯「私が言っても信じなかったのに!」

紬「きっと日頃の行いのせいね」

唯「なんて理論的!」

とみ「唯ちゃん!」

唯「あ、おばあちゃん」

律「誰だっけ?」

澪「ほら、マラソン大会で唯が転がり込んだ家のおばあちゃん」

紬「あと演芸大会のゆいあずの産みの親でもあるわ!」

梓「ご、ご無沙汰してます」

とみ「あら、あずにゃんさん。元気だったかい?」

梓「はい」

とみ「ところでおばあちゃん、あずにゃんさんにずっと伝えようと思ってたことがあってねぇ」

梓「なんですか?」

とみ「高校生にもなってあずにゃんだなんてあだ名は、おばあちゃんどうかと思ってねぇ」

梓「こ、このあだ名は唯先輩に無理矢理つけられたんです!」

とみ「さすが唯ちゃんだねぇ、偉いねぇ、お小遣い千円あげようねぇ」

唯「わ~い! おばあちゃんありがと~!」

梓(このおばあちゃんなんなの……)

律「ところで和のことはいいの?」

唯「あ、そうだった!」

唯「おばあちゃん、和ちゃんが迷子になったって」

とみ「そうなんだよ、きっとおばあちゃんのせいだねぇ……」

澪「どういうことなんですか?」

とみ「昨日のんちゃんと一緒にお茶してたんだけど
   のんちゃんがおばあちゃんのいちご大福の苺だけを器用に食べちゃってねぇ」

とみ「そのときは仕方がないと思ってたんだけど
   時間が経つにつれてなんだかだんだんと腹が立ってきてねぇ」

とみ「気がついたら夜中にのんちゃんの家のポストに
   『いちご大福の苺食べたかったねぇ』
   っていう気持ちを綴った手紙を100通ほど投函しててねぇ」

とみ「のんちゃん責任感が強い子だからきっと学校帰りにいちご大福を買いに行って
   その途中で迷子になっちゃったんだろうねぇ」

律「なんだ、マジでばあちゃんのせいじゃん」

とみ「そうだねぇ……」

唯「りっちゃん! お年寄りに対してそんな言い方はよくないよ!」

律「そ、それもそうだな。ごめんねおばあちゃん」

とみ「ちょっと肩がこったねぇ」

律「あ、ああ。揉むよ。揉ませていただきます」

梓(このおばあちゃんに対しては同情の必要が無い気がする)

憂「とりあえず、まだ国内にいることを願って手分けして探しましょう!」

澪「う、うん」

紬「和ちゃんの携帯は?」

憂「さっきから繋がらないんです」

唯「私、駅前の方から探してくるよ!」ダッ!!

梓「あ、唯先輩!」

澪「私たちも探そう!」

律「よし!」

紬「わかった!」

唯「和ちゃんのバカ! すぐ迷子になるくせにっ!」



唯「どこにいるの!? 和ちゃん!」

   ブーッ!! ブーッ!!

唯「もしもし?」

憂「お姉ちゃん、さっきね3丁目の公園の池にメガネが浮かんでるのが見つかって」

唯「!?」

憂「まだ和ちゃんの物って決まってないんだけど……」

唯「す、すぐ行くよ!」


とみ「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏……」

唯「みんな!」

憂「おばあちゃん、お姉ちゃん来たよ」

とみ「!?」

唯「おばあちゃん!」

とみ「これ、これだよぉ」

  ┗┛┗┛

唯「はぁはぁはぁ」

とみ「……」

唯「はぁはぁ……」

とみ「……」

唯「……和ちゃんのじゃない」

とみ「はぁ~、よかったよぉ~。わたしゃてっきりのんちゃんのかと思ってぇ」

「なぁんだ、ばあちゃんの早とちりか」

「おーい! 間違いだってよ!」


律「どういう訳か私はこの光景に見覚えがある」

澪「奇遇だな、私もだ」

梓「子供のころに刷り込まれるくらい観ましたもんね」

とみ「のぉぉぉぉぉんちゃぁぁぁぁぁぁぁん!!」

紬「おばあさんもノリノリだわっ!」

カンタ「やーい! クリスマスプレゼント、焼き海苔~」

とみ「かんたぁぁぁぁぁぁぁ!!」

澪「誰だよ、あいつ」

唯「和ちゃんのメガネじゃなくて本当によかったぁ」

律「でも、池にメガネがポツンと浮いている状態ってなんだか怖くね?」

紬「例え和ちゃんのじゃないとしても、後で詳しく調べてみる必要ありそうよね」

澪「う、うん」

梓「まぁ、それは警察に任せましょう」

律「ところでさぁ、さっきから気になってたんだけど
  なんでばあちゃんは和のことのんちゃんって言ってんの?」

唯「のんちゃんっていうのは和ちゃんの昔のあだ名だよ」

律「だとしたら、のどちゃんでいいじゃん」

唯「なに? 『のどか』には『ん』が無いのになんで
 『のんちゃん』なのさ、とでも言いたいの?」

唯「りっちゃんはあれかい? マックって略すと
  『マクドナルドのどこに「ッ」が入ってんだよ』っていちゃもんつける系?
  マクドフライドおいもさん?」

律「いや、別に違うけど……」

唯「じゃあ、いいじゃん」

律「……うん」

憂「たしか、おばあちゃんがのんちゃんって言い出したんだよね」

とみ「唯ちゃんや憂ちゃんは2文字だからまだいいけど
   のんちゃんは『のどか』って3文字だったからねぇ
   おばあちゃんもう歳だからどうしても3文字言うのが
   面倒くさくなっちゃってねぇ」

とみ「一文字だけにねぇ」

唯「おwばwあwちゃwんwwwwwww」

憂「出たー! 往年のとみジョークwwwwww」

律「私が話振っといてなんだけど、聞かなきゃよかった」

紬(なんでのどちゃんじゃなくてのんちゃんなのかって疑問も残ってるけど
  これも別に聞かなくてもよさそうね)

梓「あの、そんなことよりもっと真剣に和先輩を探しませんか?」

紬「うん、和ちゃんの方向音痴の話が本当なら海外へ行く前に捕まえないと」

憂「今までは何事も無く帰ってこれたからよかったものの
  今回もそうとは限らないですもんね」

澪「暗くなる前に見つけないと」

唯「すまねぇな、みんな。ご苦労でも手分けしてたのむよ」


律「いたか!?」

澪「いや……」

梓「こっちにも見当たらなかったです……」

紬「私も、家の者も総動員で捜索に当たらせているんだけど」

とみ「あぁ……。のんちゃんにもしものことがあったら……」

憂「おばあちゃん……」

唯「大丈夫だよ、おばあちゃん。和ちゃん絶対無事に帰ってくるよ」

とみ「唯ちゃん……」

唯「ねぇ、思い出して。私と和ちゃんが小学校へ上がったくらいにあった出来事を」

唯「あのときも確かこんな夜の帳が下り不安が募る肌寒い晩秋のことだった」

とみ「……そういえば」

憂「私も、すごく覚えてるよ」

紬「いったい何があったのかしら……」

唯「……」

憂「……」

とみ「……」

梓「ごくり……」




唯「そんなこともあったよね~」

憂「あったあった」

とみ「そうだねぇ、懐かしいねぇ」

律「お前ら3人だけで思い出に浸って満足してもらっちゃ
  一緒にいる私たちが困るんだけど」

唯「ご希望とあらば……」

 ほわん ほわん ほわわ~~~~ん…


とみ「のんちゃん、唯ちゃん、憂ちゃん、もう暗くなってきたから帰るよ~」

幼和「唯ちゃん、帰ろ」

幼唯「うん! 憂~帰るよ~」

幼憂「待って、お姉ちゃん」

とみ「じゃあ、みんなで手を繋いで帰ろうねぇ」

唯憂和「は~い」

とみ「あいてて……」

憂「おばあちゃん!? どうしたの?」

とみ「ちょっと最近膝が痛くてねぇ……」

唯「死んじゃう?」

和「唯ちゃん、もうちょっと傷めつけないと死なないから大丈夫だよ」

唯「そっか!」

とみ「おばあちゃん、のんちゃんをうっかり車道へ突き倒して
   この世からすらも迷子にしちゃうかもしれないねぇ」

和「決めた! 私、将来お医者さんになって
  おばあちゃんの悪いところ全部治してあげるね」

とみ「おやおや、まさかおばあちゃんに対して良心の呵責攻撃をするとは
   精神的に責めてくるあたり、のんちゃんはなかなか見所があるねぇ」

とみ「でも、のんちゃんがお医者さんになるころには
   おばあちゃんもう生きてないかもしれないねぇ」

和「そんなこと言わないで! おばあちゃん」

唯「おばあちゃん、いつ死ぬの!? 今日? 明日?」

とみ「唯ちゃんたちが年金を収めるようになってからも
   しぶとく生き続けられるよう頑張るから心配いらないよ」

唯「まだ、死なないの!?」

とみ「唯ちゃんはおばあちゃんに早く死んでほしいのかい?」

憂「この前親戚の人が亡くなってお葬式に行った時、色々とご馳走が出たから
  お姉ちゃんったら人が死んだらそうなるもんだって思ってるの」

とみ「唯ちゃんは親戚でもなんでもないから、おばあちゃんが死んでも
   そういうご馳走が出る場にはきっと呼ばれないだろうねぇ」

唯「じゃあ、別に死ななくてもいいや!
  おばあちゃん、長生きしてね!」

とみ「嬉しいねぇ」

和「お医者さんになったら私がおばあちゃんの主治医になって臨終宣告をするんだから
  それまで死んじゃ駄目だよ」

唯「じゃあ、私は『大変です! 患者の容態が急変しました!』ってドクター和に伝える
  看護婦さんになる!」

憂「私はそんな和ちゃんと癒着して
  家族が死んでお葬式をする顧客の情報をいち早く掴み
  他の葬儀社を出し抜いて一儲けを企む葬儀屋さんになろっかな~」

とみ「将来の夢を語る子供はとても輝いているねぇ」

唯「そうと決まれば、和ちゃんが将来ちょっとでも良いお医者さんになれるように
  明日からはより濃密なお医者さんごっこをしよう!」

とみ「あんまり大人の階段を上りすぎないように気をつけるんだよぉ」


  ほわん ほわん ほわわ~~~~ん…

唯「本当に懐かしいよ」

澪「お前らなんなんだよ、本当に」

律「そして何故それを今この状況で思い出す必要があるんだ」

憂「お姉ちゃん、私が思い出していたのはそれじゃなかったよ……」

紬「まさかの思い出共有ミス」

とみ「おばあちゃんはもう歳で、物忘れも激しいから
   そもそもなんにも思い出せなかったねぇ」

梓(もはや、何も言うまい……)

和「あら? みんなで集まって何してるの?」

澪「おっと、あっさりと見つけてしまった」

紬「どっちかって言うと見つけられちゃったって感じだけど」

律「おい、結局和のとんでも方向音痴は嘘だったってことか?」

和「まさかこんな隣町まで来てみんなが勢揃いしてるとは思ってもみなかったわ」

梓「どうやら立派に迷ってらっしゃるみたいですね」

唯「和ちゃ~~~ん!!!!」

和「ど、どうしたのよ、唯」

憂「私たち和ちゃんが迷子になったと思って探してたんだよ」

和「そうだったの、心配かけちゃったわね」

唯「ちなみにここは桜が丘で、和ちゃんの家の眼と鼻の先だよ」

和「大丈夫、心の片隅ではもしかしたらそうじゃないかと思ってたから」

律「その程度の認識だとは」

とみ「のんちゃん……」

和「おばあちゃん……」

とみ「あんまり年寄りを心配させるもんじゃないよ」

和「ごめんなさい」

和「でも、私どうしてもおばあちゃんに昨日のお詫びがしたくて」

和「それに方向音痴の件もなんとかしたかったから」

和「だから、一人で昨日の和菓子屋さんまで行ってきたの」

とみ「そうだったのかい。それでいちご大福は買えたのかい?」

和「ごめんなさい。ちょっと健康のために歩こうと思って遠回りしてたら
  その和菓子屋さんすでに閉店時間過ぎちゃってて……」

和「あと、色々とすることもあったから……」

とみ「いいんだよ、たとえ健康のためだなんて苦しい言い訳をしたって
   おばあちゃんはのんちゃんが無事に帰って来てくれたのが一番だよ」

とみ「それにのんちゃんには家のポストに大量に入れた手紙のことも
   謝らないといけないねぇ」

梓「まぁ、そのせいで和先輩は責任を感じていちご大福買いに行った訳ですしね」

和「何のこと?」

澪「このおばあちゃんが昨日和に苺食べられた怨みつらみを書いた手紙だよ」

和「……あ~、確かに今朝新聞取りに行った時なんかやたらとポストに詰まってたから
  たまたま通りかかったちり紙交換に速攻全部引き取ってもらったんだけど」

和「あれっておばあちゃんの仕業だったのね」

とみ「ちっ」

律「舌打ちしやがった」

和「私は自分の意志でいちご大福を買いに行ったのよ」

和「それともう一つの大きな目的がコレよ!」

紬「なに? この模造紙は」

律「ま、まさかこれはっ!」

和「ええ、私お手製の桜が丘の地図!」

梓「イラストが随所に散りばめられた
  まるで小学生の夏休みの自由研究みたいですね」

唯「ビックリしようよ、あららのら」

憂「調べて納得」

とみ「うん! そうか!」

澪「そんなおもしろ地図を作ってたのか……」

和「探検して発見してきたのよ」

律「悪いが私にはどこに何があるのか全然把握できない」

和「私にはこの地図に桜が丘の全てが詰まってるように見えるわ」

梓「市販の地図じゃ駄目なんですか……」

和「私はそんな他人が作ったものをすぐ信じれるほどお人好しじゃないの」

和「自分の目で見て、自分の肌で感じ、自分の足で歩いてこそなのよ」

和「私はチョーさんからそれを学んだわ」

和「自分の歩く道は自分で切り拓く」

紬「彼女こそ現代の伊能忠敬」

澪「そんな大層な」

唯「じゃあ、もう桜が丘では迷子になることはないってこと?」

和「当然じゃない、こうやって一人で帰ってくることが出来たのがその証よ」

梓「え? でもさっきまだ隣町にいるって勘違いして……」

律「もう面倒くさいから掘り返すな」

憂「よかったね! よかったね、和ちゃん!」

和「ありがとう憂」

とみ「よくがんばったね、のんちゃん」

和「おばあちゃん」

とみ「でもこれでのんちゃんが一人で学校から帰れるとなると
   のんちゃんを迎えに行く楽しみがなくなっちゃうねぇ……」

和「これからは受験とかで忙しくなるけど
  出来るだけ時間を作っておばあちゃんの茶飲み友達をさせてもらうわ」

とみ「そうかい、嬉しいねぇ」

和「でね、いちご大福は買えなかったんだけど」

和「帰る途中でたこ焼き屋さん見つけて、たこ焼きを買ってきたの」

和「もし良ければ、おばあちゃんと一緒に食べたいな、って」

とみ「のんちゃんが初めて一人でおつかいして買ってきたのを食べるなんて
   なんだかもったいないねぇ」

和「もう、そんなこと言わないで、冷めない内に食べよ」

とみ「そうだねぇ。美味しそうだねぇ」

 誇らしげな顔の和ちゃんと
 少し寂しそうだけど嬉しそうなおばあちゃん
 私も一緒にそのたこ焼きを食べたかったけど
 憂の二人っきりにしてあげようという提案に賛成しました
 だって、本当のおばあちゃんと孫みたいだったから




 りっちゃん達は私が気づいたときにはもう既に帰っていました

 平沢家

唯「和ちゃんが無事で一安心だよ」

憂「そうだね」

唯「あ~今日は走りまわったからもうお腹ペコペコだよぉ」

憂「ご飯すぐ用意するね」

  プルルルルルルルル!!

憂「お姉ちゃん、ごめんだけど、出てくれる?」

唯「あいよ~」

唯「はい、平沢で……」

とみ『唯ちゃんかい!?』

唯「だ、誰!?」

とみ『一文字ですけども~』

唯「なんだ、おばあちゃんか」

とみ『あのねぇ、のんちゃんがたこ焼きのタコだけを
   どういう訳か器用に食べちゃってねぇ』

和『だって、おばあちゃんが半分に分けようって言うから』

和『たこ焼きの価値的にはこれで丁度半分くらいになるはずだけど』

とみ『8個あるんだら、4個ずつに分けるのが普通だけどねぇ』

和『その発想はなかった』

 おしまい

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