シンジ「この本面白かったよ」綾波「そう」(29)

シンジ「綾波ってこういう系統の本好きそうだなって思ったんだけど」

綾波「別に好きではないわ」

シンジ「そう、なんだ」

綾波「ええ」

シンジ「………」

綾波「………」

シンジ「あ、あー、綾波はさあ、どんな本が好きなの?」

綾波「分からないわ。あるものを読んでるから」

シンジ「そっかあ」

綾波「ええ」

シンジ「……」

綾波「……」

シンジ「綾波って好きなこととかないの?」

綾波「好きって?」

シンジ「え、あ、うーん。もっとやってたいと思うこととか、やると幸せになることとか。ごめん、僕もうまく言えないや」

綾波「ぽかぽか」

シンジ「え?」

綾波「心がぽかぽかするようなこと、という意味?」

シンジ「あ、うん!そういうこと、かな」

綾波「そう」

シンジ「うん……」

綾波「………」

シンジ「………」

綾波「あるわ」

シンジ「えっ!?」

綾波「………」

シンジ「……その、何をしているときなの?」

綾波「言わなくてはならないの?」

シンジ「あ、嫌ならいいんだ。ただ、綾波のことあんまり知らないから少しでも知りたいなって思って……」

シンジ「その、迷惑だよね。ごめん」

綾波「碇君といるとき」

シンジ「えっ?」

綾波「碇君といるときが一番ぽかぽかするわ」

シンジ「え、あ、あの、」

綾波「迷惑?」

シンジ「そんなことないっ!」

シンジ「その、あの、嬉しい」

綾波「そう」

綾波「……私も、碇君が嬉しいなら嬉しいわ」

数日後

シンジ「綾波!この本の中ではどれが一番好き?」

綾波「……この本の中から選ぶの?」

シンジ「うん!」

綾波「………」

シンジ「あー……ちょっと多すぎた?」

綾波「大分多いわ」

シンジ「ごめんね。綾波はこの間僕と一緒にいると嬉しくなるって言ってくれたから、綾波の好きなジャンルの本とか一緒に読んでたらもっと幸せ感じてくれるかもって思ったんだ」

シンジ「迷惑だったよね。ごめん」

シンジ「……ごめん」

綾波「問題ないわ」

シンジ「え?」

綾波「題名を見ればどんな内容かはある程度想像つくから」

綾波「だから好みかそうでないかの分別くらいならすぐにできる」

シンジ「あやなみ……!」

綾波「いいの。私も碇君と並んで好きなジャンルの本を読みたい。碇君のためじゃない。私のためにやるの」

シンジ「綾波……」

綾波「少し時間かかるけど、待ってて」

シンジ「もちろんさっ!」





綾波「碇君、これは何?」

シンジ「それは写真集だよ。モデルの人たちの写真が載ってるんだ」

綾波「そう」

シンジ「……」

シンジ「……」

シンジ「……」

シンジ「(嘘だろ)」

シンジ「(綾波がさっきから写真集をじーっと見つめてる)」

シンジ「(あれは、もう綾波の好みわっかんねぇ!とりあえず全ジャンルぶちこんじゃえ!と思ってとりあえずいれたただのものなのに)」

シンジ「(やっぱり僕は綾波のこと何も知らなかったんだな。まさかどこの誰とも分からないような人の写真が載ってる本が好きだなんて)」

綾波「これ、碇君のはないの?」

シンジ「へ?」

綾波「碇君のこういう写真集はないの?」

シンジ「いや、うん。そういうのは顔が整ってる人のしか需要ないしね」

シンジ「(どういうことだ?綾波は僕の写真を見て何をしたいんだ?)」

シンジ「(しかも綾波が持ってる写真集女の人ばっかが載ってるし)」

シンジ「(しかもこういう写真集とかいいながら開いてるページおもくそ女性用の服だし。フリルだし!)」

シンジ「(綾波!綾波が何を求めてるのか僕には分からないよ!)」

綾波「そう」

シンジ「(あ、でも見るからにしょんぼりしてる。綾波は僕の写真が見たかったのか?何のために?)」

シンジ「(……いや、理由なんて後でで良いじゃないか。綾波が僕の写真を見たがってる。それは、そるだけが真実なんだ)」

シンジ「(なら、僕がとるべき行動は1つ!)」

シンジ「綾波!あの、ちょっと待ってて!」

シンジ「きっと綾波が望むものをもってくるから!」ダッ

綾波「………」

綾波「……行ってしまったわ」













シンジ「綾波。これ、どう?」

綾波「それは?」

シンジ「えっと、僕のアルバム」

綾波「碇君の?」

シンジ「そう。といっても小さい頃の、母さんがまだ生きてた頃のしかないけどね」

綾波「碇君のアルバム……」

シンジ「あ、いや、見たくないなら無理して見なくてもいいんだ、けど……」

シンジ「(冷静に考えたら自分のアルバム見せる人ってどうなんだ。しかも可愛くないし。ナルシストなのか?ナルシストなのか僕は…!)」

綾波「………」

シンジ「……」

綾波「……」

シンジ「………」

シンジ「(反応neeeeeee目標、完全に沈黙しました!)」

シンジ「(やはり失敗か?そうだよね、可愛いくないもんねっ!見てはくれてるけど反応なしは辛い!)」

シンジ「あ、綾波」

綾波「何?」

シンジ「その、やっぱりそのアルバム部屋になおしてくるよ」

綾波「何故?」

シンジ「何故って……。綾波もそんな僕の写真見たって楽しくないだろ?」

綾波「そんなことないわ」

シンジ「え?」

綾波「ここにいる碇君は私の知らない碇君ばかり。碇君の知らない所を知っていくのは、とても嬉しい」

シンジ「………」

綾波「どの碇君も素敵な笑顔をしている。見てると私も笑顔になれそうな気がするの」

シンジ「綾波……」

綾波「ところでこのアルバムには碇君のお母さんと碇君は写ってるけど碇司令はいないの?」

シンジ「父さん?」

シンジ「あぁ、父さんは基本撮るばかりだったよ。やっぱり、僕なんかと一緒に写真に写りたくなかったのかな、なんて……」

綾波「………」

シンジ「……ごめん。父さんの話になると、やっぱり少し気分が落ち込むんだ」

綾波「………」

シンジ「諦めがついたはずだったのに……。どうしても諦めきれない僕がいるんだ」

綾波「………」

シンジ「ごめん。少ししたら元気戻ると思うから」

綾波「……私が碇君の元気を少なくしてしまったの?」

シンジ「ううん。綾波は悪くないよ。父さんを諦めきれない僕が悪いんだ」

綾波「碇司令の何を諦めるの?」

シンジ「……父さんに愛してもらえるかも、たとえ愛してくれなくても少しは関心を持ってくれるかも、みたいな期待かな」

綾波「どうして諦めなくてはならないの?碇司令はあなたを愛していないの?」

シンジ「父さんから愛してもらってる綾波には分からないよ!」

綾波「………」

シンジ「……ごめん。こんなの完全に八つ当たりだ……。」

綾波「あなたは碇司令からの愛を感じれないの?私は、分かるわ。あの人があなたを愛している、ということが」

シンジ「綾波に分かるわけないじゃないか。当事者の僕が分からないんだから」

綾波「あなたは碇司令のことを分かろうとした?」

シンジ「したよ!」

綾波「………」

シンジ「したさ」

綾波「………」

シンジ「した、はずなんだ……」

綾波「愛を伝えるのはとても難しいこと」

シンジ「………」

綾波「言葉にして伝えでも分かってくれない人もいれば愛の伝え方が不器用な人もいる」

シンジ「………」

綾波「だから待つだけでは本当に存在する愛を感じることはできない」

綾波「あなたが知ろうとしなくてはいけない」

シンジ「…ぼくは、どうしたらいいのかな?」

綾波「知ろうとすればいい」

シンジ「知り方が分からないんだ。僕は他人からの愛を、知ろうとしたことがなかったから……」

綾波「このアルバム」

シンジ「それがどうかしたの?」

綾波「このアルバムの中の碇君は、どれもカメラの方を向いて幸せそうな顔をしている。私が見たことないほどに」

シンジ「それは……」

綾波「あなたのお母さんが近くにいたこともあるのかもしれない。でもあなたはあなたを愛してくれていない人に向かってこんなに幸せそうな笑顔を向けれるの?」

シンジ「………」

綾波「あなたは心の底では感じていたのよ」

綾波「碇司令からの愛を」

シンジ「……僕は、どうすればいいかな」

綾波「私には分からないわ」

シンジ「そっか。そうだよね……」

綾波「………」

シンジ「……僕、明日から父さんに話しかけてみようと思う」

綾波「そう」

シンジ「少しずつ。くだらないこととかでもいいから父さんに話しかけてみる」

綾波「そう」

シンジ「最初は怖くて挨拶くらいしかできないかも知れない。でも、諦めない」

綾波「………」

シンジ「だって、やっぱり父さんのことが好きだから」

綾波「……碇君は、今どんな気持ち?」

シンジ「ぽかぽかしてるよ。綾波のおかげだ。綾波が大切なことに気づかせてくれた」

綾波「そう」

シンジ「うん。ありがとう綾波」

綾波「………」

シンジ「………」

綾波「私も」

シンジ「ん?」

綾波「私も碇君のこと愛しているわ」

シンジ「」

綾波「私、部屋に戻るから」

シンジ「え、っちょ、綾波、え、今の、え?」

綾波「あと、私が一番好きだった本は碇君のアルバムだったわ」スタスタスタ

シンジ「いや、待ってよ。綾波、っちょ、今のどういうことなのさ!」

シンジ「待ってよあやなみー!」




言い訳
エヴァンゲリオンはアニメも漫画も映画も知らないのでキャラ崩壊してたらすみません
友達に熱くエヴァンゲリオンを語られ、カヲシン?を書けといわれたので綾波とシンジを書きました
本当は>>6までだったのですが短いと文句言われたので無駄に長くしました
なのでグダグダですすみません
以上です
ありがとうございました

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