カズ「ふぅ・・・今日も疲れたな」(34)

カズ「最近・・・・疲れが取れにくいな・・・・」


カズ「帰ってから、じっくりケアしないとな・・・・」


カズ「そうだ、今日は大事なヨルダン戦があったな・・・」


カズ「早く帰るとするか・・・・」

駐車場


カズ「ん、あの人・・・・何か落としたぞ・・・」



男「・・・・・」テクテク


カズ「財布だ・・・・渡してあげないと!」



カズ「すみません! 財布落とされましたよ!」

男「ああ、すみません・・・・わざわざありがとうございます。」


カズ「いえいえ、大事なものなんで気を付けてくださいね」


男「ひょっとして・・・・三浦選手じゃないですか?」



カズ「は、はいそうですが・・・・」


男「やっぱり! キングカズに財布を拾ってもらえるなんて光栄です!」

カズ「いえいえ」


男「そうだ・・・・よかったら・・・これ、使ってください」


カズ「これは?」


男「きっとあなたに役にたつと思います。あ、私はこういう者でして・・・」


カズ「喪黒・・・さんですか・・・。本当に頂いていんですか?」


男「ええ、私からのお礼です。よかったらどうぞ」


カズ「では、せっかくなんで。ありがとうございます」


男「それでは。ホーホッホッホ!」

自宅


カズ「ただいま」



りさ子「あら、早かったのね!」


カズ「ああ、今日はヨルダン戦があるから、
   寄り道せずに帰って来たよ」


りさ子「今ご飯の準備するから待っててね」

食後


りさ子「あ・・・・その箱は?」


カズ「あ、ああ・・・これね。」


カズ「今日駐車場で財布を拾った人からお礼で頂いたんだ」


りさ子「中身は?」


カズ「いや、まだ見てないんだ。開けてみようか」ゴゾゴゾ

りさ子「オルゴール?」


カズ「中身は・・・・時計かな?」


カズ「説明書がある・・・・なになに・・・」


カズ「貴方のやり直したい年数・日付を合わせ、
   緑のボタンを押してください。」


カズ「やり直したい日に戻ったら、赤のランプが点滅します。
   48時間以内に再び緑のランプを押すと元の日に戻ります。」


カズ「そのままやり直したいのであれば、そのままボタンを押さずに
   お楽しみください・・・だって」


りさ子「パーティーかなんかで使うネタのおもちゃかしら?」

カズ「はは・・・・そういえばもらった人、ちょっと変わってたからな」


りさ子「あ、もうすぐ試合始まるわよ!」


カズ「そうだ! 今日は見逃せないぞ!」

試合後


りさ子「こうもあっさり決めてしまうとはね・・・・」


カズ「ああ・・・・今の子達は、本当に強いよ・・・」


カズ「またみんなにメールしとかなきゃな・・・・」


カズ「おっと、もうこんな時間か。」


カズ「今日は気持ちよく眠れそうだ・・・・」

寝室


りさ子「zzz・・・・・・」


カズ「ワールドカップか・・・」


カズ「全盛期の俺が・・・どこまで通用しただろうな・・・・」


カズ「・・・・・・・・・・」


カズ「もう一度さっきの時計見てみようか・・・・」ゴソゴソ

カズ「まさかな・・・・・」


カズ「戻りたい日か・・・・・」



カズ「・・・・・・・・・」キリキリキリキリ


カズ「1990・・7月・・・・」


カズ「もし・・・・日本に帰らずに、ブラジルでずっとサッカーしてたら・・・」


カズ「いや、どのみち日本に帰ってたか・・・・」


カズ「りさ子とも結婚してなかったかもな・・・・」

カズ「・・・・・・・・・」キリキリキリキリ


カズ「1993・・・・・10月・・・・28日・・・・」



カズ「ドーハ・・・」

カズ「あの時・・・・あのショートコーナーさえ・・・・」


カズ「あの時・・・・時間を稼ぐというプレイを徹底出来れれば・・・・」


カズ「・・・・・・」プルプル


カズ「・・・・・・・・」プルプル



カズ「・・・・・・・・・・」ポチッ



カズ「なんてな・・・・こんなものでやり直せたらどんなにいいか・・・・」



カズ「なんだ・・・・急に睡魔が・・・・」


カズ「眠く・・・・なって・・・・」

?「カズ! カズ! どうした?」


カズ「ん?もう朝か・・・・・?」


?「どこか具合でも悪いのか?」


カズ「こ、この声は・・・・」


ラモス「どうした? もうワールドカップは目の前だぞ!」

カズ「代表のユニフォーム・・・・」


カズ「ピッチに・・・俺が?」


カズ「あの時の・・・あのままだ・・・」


カズ「体も・・・・力がみなぎっている・・・」


カズ「まさか・・・・こんなことが・・・・」


カズ「夢か? いや・・・・夢じゃない・・・・」

カズ「はっ! 時間は?」


カズ「ロスタイム・・・・・相手のコーナーキック・・・」



カズ「よし・・・・」


実況「さぁ、残りわずかとなりました。
   イラクのコーナーキックです。」

実況「おおっと! 意表を突くショートコーナー!」


実況「いや、カズがこれをカット!前線にボールを送る!」


実況「武田フリーだ!・・・シュート!!」


実況「ゴーーーール!!!! 駄目押しの3点目です!!!」


カズ「よし! これで確実になったぞ!!」

実況「ここでホイッスル!!! 日本!! 
   初のワールドカップの切符を手に入れました!!!」


実況「ピッチでは選手・監督・コーチが皆喜んでます!!」


カズ「これは・・・・本当に夢じゃないのか・・・・」

試合後


中山「どうした?なんか嬉しそうじゃないけど?」


カズ「いや・・・実感がまだわかなくてな・・・」


中山「そうだな・・・・俺もよくまだわからないや」


カズ「・・・・・・・・・そうだ、あの時計はどこに・・・・?」


カズ「・・・・・あった。赤ランプが・・・・点滅してる・・・・」


カズ「・・・・・・・・」

次の日


カズ「本当に・・・・行けるんだな・・・・・w杯・・・」



カズ「時計はまだ点滅してるな・・・・」


カズ「・・・・・・・・まだ、考える時間はある・・・・」


カズ「なにより・・・このチームでw杯・・・・夢にまで見たw杯に行けるんだ・・・・」

カズ「このまま俺たちがw杯にいけば、さらにjリーグは盛り上がる・・・」


カズ「そして・・・・もっともっと・・・・日本は強くなる・・・・・」


カズ「俺も・・・・・もっと進化出来るわけだ・・・・」

さらに次の日

空港


カズ「すごい盛り上がりだな・・・・」


中山「なんせ初のw杯出場だからな!」


ラモス「このままw杯まで突き進むネ」


カズ「みんな・・・・・あの時とは、全然表情が違う・・・・」


カズ「当たり前か・・・・」

カズ「しかし・・・・これがもし夢でないとしたら・・・・」


カズ「俺は、この先の出来事も分かってしまうことになる・・・・」


カズ「でも・・・・・元には戻れなくなるのか・・・・」


カズ「時間は・・・・あと少しか・・・・」

カズ「どうする・・・・どうする・・・・?」



カズ「夢にまで見た・・・・・ワールドカップ・・・」


カズ「自分の全盛期に・・・自分の力で・・・・なによりも・・・・このチームで・・・」


カズ「迷うことはないじゃないか・・・・・」


時計「残り3分を切りました。元に戻る場合は、速やかにボタンを押してください。」


カズ「・・・・・・・・・・・・」

カズ「・・・・・・・・・このまま・・・・・」プルプル



カズ「・・・・・・・夢にまで見た・・ワールドカップ・・・・」プルプル



時計「残り・・・1分を切りました・・・・・」


カズ「夢を・・・・・夢を・・・・・・」プルプル


カズ「・・・・・・・・・・・・」


カズ「・・・・・・・・・・・・・」


時計「ブーーー」

時計「ジリリリリリリリリ」


カズ「・・・・・ん・・・・ん?」


カズ「・・・・朝?」


カズ「・・・・・・あれは・・・・夢だったのか?」

カズ「時計は・・・・・ちゃんとある。」


カズ「ボタンを押しても・・・・反応しないな・・・」


カズ「・・・・・・・・・・・」


カズ「不思議な時計だな・・・・・」


カズ「さ、そんなことより早く練習に行かないと」

グラウンド


カズ「ハァ・・・・ハァ・・・・」



喪黒「おや? またお会いしましたね?」


カズ「あ! 喪黒さん」


喪黒「今日は一人で練習ですか?」


カズ「ええ、チーム自体は今日は休みなんで」

喪黒「一人だけで?」


カズ「ええ。昨日ワールドカップ参加が決まったでしょ?
   だったら、僕も準備しとかないといけないから」


喪黒「準備?」


カズ「笑われるかもしれないけど・・・・
   万が一・・・代表にまた呼ばれたら、絶好のコンディションで行きたいですから」


喪黒「そうですか・・・・」

カズ「そうそう、この時計、お返ししますよ!」


カズ「この時計のおかげかもしれませんが、良い夢が昨日見れたんですよ!」


喪黒「そうですか。分かりました。」


カズ「じゃ! 練習があるんで!」


喪黒「がんばってください・・・・」

喪黒「・・・・・・・・・・・」


喪黒「やはり、あの人にはこの時計は必要ありませんでしたか・・・」


喪黒「常に今をひたすら走っている人には、過去をやり直す必要がありませんからね」


喪黒「さてと、次の人に会いに行くとしますか・・・・ホーホッホッホ」






助けて

いろいろ泣いた

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