のび太「ネットゲーム?」 (58)

ガラッ

のび太「…ドラえもん……」

ドラえもん「あ、おかえり…」

のび太「…」

ドラえもん「ど…どうしたの?」

のび太「もう…いやだあ…」


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ドラえもん「え?」

のび太「毎日毎日いじめられて…!もう耐えられない!」

のび太「今日も笑い者にされた!学校で!もういやだあ!」

ドラえもん「…のび太くん?」」

のび太「あいつら…死ねばいいんだよ…」

ドラえもん「落ち着いて…」

のび太「うわあああああん!ああああああん!」

ドラえもん (様子がおかしい…こんなに辛そうな…初めてだ)

ドラえもん「まあまあ、僕に任せてよ!」

のび太「…」

ドラえもん「気晴らしに何かやろう!タケコプターでも、どこでもド…」

のび太「いらない」

ドラえもん「…じゃあ、外に遊びに…」

のび太「なんで?」

ドラえもん「…え?」

のび太「空き地にはジャイアンがいるもん。いやだ」

ドラえもん「でも、野球とかバドミントンとか…」

のび太「スポーツなんてやりたくない。つまんない」

ドラえもん「…」

のび太「…」

ドラえもん「君は…何がやりたいの?」

のび太「家にいたい。家の中で遊びたい」

のび太「なんか出してよ、道具」

ドラえもん「…」

のび太「…」

ドラえもん (気は進まないけど…仕方ない)

ドラえもん「デスクトップパソコン・!」

のび太「これは…箱?」

ドラえもん「未来の機械だよ。と言っても僕の時代のよりは古いけど」


のび太「これで…何をするの?」

ドラえもん「何でもできるよ!」

のび太「何でも?」

ドラえもん「うん。でも、まずは簡単なネットゲームをやろう」

のび太「ネットゲーム?」

ドラえもん「まあまあ、やってみれば分かるよ!」

ドラえもん「テレパスTV&キーボード!」

のび太「???」

ドラえもん「よし!やってみよう!」

のび太「や、やってみようって…何をすれば…」

ドラえもん「僕が教えるから。慣れれば便利なものだよ」

ドラえもん「あ、忘れてた。タイム無線lanルーター!」

のび太「ルーター?」

ドラえもん「まあ、これは置いといて…」

ドラえもんはPCを起動した。
まずは『テレパスTV』というメガネをつける。すると視界全体がモニターになるのだ。

次に『テレパスキーボード』。カチューシャのような物体で、頭にはめると、全ての操作を脳波で行うことができる。
文字入力も、ゲームでの操作も、全部この機械を使用する。

のび太「すごい!こんなに便利な…どうなってるの?」

ドラえもん「理解できなくても大丈夫。ゲームはできるからね」

のび太「そのネットゲームってやつ…早くやりたいよ」

ドラえもん「よしきた!」

ドラえもん「ラストファンタジー16・!」

のび太「ラストファンタジー?」

ドラえもん「未来で大人気なんだよ!」

謎の技術で、インストールは5秒もかからずに終わった。

のび太「ワーッ!これがゲーム!?写真みたい!」

ドラえもん「技術の進歩ってやつだね」

のび太「ようし!早くやろうよ!」

ドラえもん「うん…」

ドラえもん (まてよ…いきなりネトゲをやるのは危険だ…)

ドラえもん「とりあえずこっちで遊んでみよう!」

のび太「これは?」

ドラえもん「練習みたいなものだよ。まずは慣れないとね」

のび太は、シングルプレイで少しだけ遊んだ。

のび太「ワクワクするね!本当に冒険してるみたい!」

ドラえもん「それは良かった!」

のび太「そのー、ネットゲームってやつは?」

ドラえもん「また今度説明するよ。まずは、それを進めるのはどうだい?」

のび太「そうだね!続きが気になるし」

のび太はゲームを再開した。
輝く目で、食い入るように画面を見つめている。

ドラえもん (PCを出したのは軽率だったかもしれないけど…)

ドラえもん (のび太くんは大丈夫そうだな…よかったよかった)

ドラえもんは笑みを浮かべ、部屋をあとにした。

ドラえもん「おーい、ごはんだよー」

数時間後、彼が声をかけに部屋へ戻ると、のび太はまだゲームに夢中だった。

のび太「うん」

ドラえもん「そろそろ疲れたんじゃない?」

のび太「うん…目がチカチカするよ」

のび太はゲームというものに慣れていないから、長時間プレイはなかなか厳しいようだ。

しかし表情は明かるく、プレイ前の彼とは別人のようであった。

ドラえもん (これなら、やりすぎの心配はなさそうだ)

食事の最中も、のび太は生き生きとした表情でゲームでの出来事を語った。

ドラえもんは満足げにそれを聴き続けた。

ドラえもん (これほど楽しそうなのび太くんは久しぶりだ。力になれて良かった…)

ドラえもん「のび太くん、いくらゲームが面白いとはいえ、宿題はちゃんとやるんだよ」

のび太「えー…」

ドラえもん「勉強の息抜きにゲーム。これが正しい使い方だよ」

のび太「もーう、つまんないなあ」

そう言いながらも、彼はちゃんと宿題をやった。間違えだらけではあったが。

翌日、彼は学校から帰るとすぐにゲームを再開した。

ドラえもんからの条件として、続けても夕飯の時間までで、それ以降はプレイ禁止となった。

のび太はそれを守った。
続けたい気持ちはあるが、どうしても疲れてしまうのだ。

のび太 (まあいいか。やりすぎると体壊しちゃいそうだし)

ある日の通学路

しずか「のび太さん、最近楽しそうね」

のび太「うーん?そうかな?」

しずか「そうよ。人が変わったみたい」

「おうい!」

スネ夫とジャイアンが追いついてきた。

しずか「あら、おはよう」

のび太「おっはよー!」

ジャイアン「おうのび太、ずいぶん楽しそうじゃないか」

のび太「そうー?」

スネ夫「お前らしくないぞ。どうしたんだよ?」

のび太「いやあ?別に。」

のび太 (ゲームのことは黙っていよう。どうせすぐ取られるもん)

しずか「たけしさん、珍しく早いのね」

ジャイアン「おう!最近は早起きしてるんだ!」

スネ夫「もう…僕が起こしに行ってるんだろ?」

ジャイアン「がはは!明日も頼むぜ、心の友よ!」

のび太「あはは!」

それから数日間、
のび太は学校でも明るく振る舞うことができた。
テストは変わらず0点ではあったが、気にせず、
むしろ自分でネタにできるぐらいだった。

プレイ開始から2週間、彼はやっと『ラストファンタジー16』の
シングルプレイをクリアした。

そしてその夜…

ドラえもんが押入れから顔をのぞかせ、
布団を敷いているのび太に声をかけた。

ドラえもん「のび太くん、来週の3日間、
ちょっと未来に帰らせてもらうよ」

のび太「あ、定期検診だね?」

ドラえもん「うん。悪いけど」

のび太「大丈夫。安心してよ!」

彼はドーンと胸をたたいた。

のび太「最近いじめられないし、心配いらないよ!
ドラえもんはゆっくり休んで!」

ドラえもん「のび太くん…」

のび太「あと…ありがとう、ドラえもん」

ドラえもん「え?」

のび太「ぼく…ワガママだったんだね。いじめられたりするのは、
自分にも原因があるって分かっているのに…」

のび太「何もしないで、ドラえもんに頼ってばかりだった」

ドラえもん「…いいんだよ。僕は、君を助けるためにいるんだから」

のび太「そうかもしれないけど…僕も、
なるべく迷惑かけないように、頑張るよ」

ドラえもん「…うん」

ゲームだけで、ここまで変化があるとは思わなかった。
苦し紛れの策だったのだが、成功したようだ。

よかった…
ドラえもんは心からそう思った。

のび太「そういえばあのゲーム、クリアしちゃったよ」

ドラえもん「そうかあ。じゃ、明日は『マルチプレイ』をやってみよう!」

のび太「わーい!」

ドラえもん (マルチは非常に危険だが…
のび太くんなら大丈夫だろう)

次の日は日曜日で、ドラえもんはじっくりと
マルチプレイの解説をすることにした。

基本的な流れは、パーティを構成して、ダンジョン潜る。
経験値とアイテムを集めながら、ボスまでたどり着き、倒す。

レベル上限は存在せず、全マップの広さは地球よりも大きく、
アイテムも3兆種類に及ぶ。

2090年代に爆発的な大ブームを起こし、社会現象になったのが、
『ラストファンタジー・オンライン』である。


ドラえもん「分かった?」

のび太「うーん…大体は」

ドラえもん「ま、やってみればすぐ慣れると思うよ」

ドラえもんはオンラインモードに切り替えた。

ドラえもん「まずは、こうやってキャラクターを作るんだ」

のび太「おー、顔を自分で作れるんだ!」

ドラえもん「顔、髪型、声…全部好きに選べるよ」

のび太「ようし、やってみるよ!」

ドラえもん (課金すればもっと種類増やせるけど…
教えない方がいいだろう)

のび太「こんな感じかな?」

ドラえもん「うん。あんまりセンスは無いけど」

のび太「なんだって?」

ドラえもん「ふふふ…とにかく始めよう!」

テテーン

ドラえもん「さ、始まったよ」

のび太「この街は…知ってるよ」

ドラえもん「そう。シングルプレイでもおなじみの、
『レイヴンタウン』だよ。
マルチプレイの拠点はそこなんだ」

のび太「ほー」

ドラえもん「ここでアイテムを手に入れたり、
クエストを受けたりするんだ」

のび太「おー」

ドラえもん「レベルを上げれば、もっと多くの街に行けるよ」

のび太「色々なキャラクターがいるんだね」

ドラえもん「彼らは全員、君と同じプレイヤーなんだよ」

のび太「え、全員!?」

ドラえもん「そう。それがネットゲームだよ。
全てのプレイヤーが、同じ世界に存在しているんだ」

のび太「すごいなあ…」

ドラえもん「とにかく、まずは
『クラン』に入ってみよう」

のび太「クラン?」

ドラえもん「ダンジョンの攻略も、
基本は最大20人のクランでやるんだ」

のび太「どうやって入るの?」

ドラえもん「街の広場の掲示板で、募集を探すんだ。
君みたいなルーキー向けのクランもたくさんあると思うよ」

のび太「ふうん、行ってみよう」

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