【モバマス】幸せを運ぶ、時をかけるアイドル (22)


※みじかいおはなしです。


私から私に届いた未来日付のメール

過去の茄子へのメールだなんて、しゃれてますよね。

ただ、そのメールの内容は……


『白菊ほたるに関わるな』



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1409661148


ふざけてますよね。削除しちゃいましょう。

きっと未来の日付にしてメールを送っただけのいたずらです。

こんなメールの内容だと、むしろほたるちゃんに関わりたくなります。

なので、今日はほたるちゃんについていきましょう!


……でも、もし私が過去へメールを送れるとして、

ほたるちゃんと "絶対に" 関わるように過去の自分を誘導するためならば、

私も同じ内容のメールを送るかもしれませんね……。


昼過ぎ 某スタジオ 収録前


ほたる「すごく大きなセットですね……」ジー

茄子「ほたるちゃん、顔色悪いけど大丈夫ですか?」

ほたる「は、はい。大丈夫です……」

茄子「あっ、今日お化粧してきていたんですね」ジー

ほたる「あ……う、はい。あの今日の収録に緊張して、寝むれなくて」

ほたる「目のクマを隠すために目元をすこし……」

ほたる「えへへ……。アイドル失格ですよね……」

茄子「いえ、可愛らしいと思いますよ♪」

ほたる「と、ところで、茄子さんはどうして私と一緒に……?」


茄子「うーん……。プロデューサーが忙しそうだったから、というのはどうでしょう?」

ほたる「いえ、あの、どうって聞かれましても……」

茄子「ほたるちゃんと一緒にいたかったから……でしょうか」

ほたる「……そ、そうですか」

茄子「迷惑でしたか……?」

ほたる「い、いえ! そんなことは!」

ほたる「あ、そうだ!」ゴソゴソ


ほたる「これなんですけど……」

茄子「そのスマホ、私とおそろいですねっ♪」

ほたる「はい。おそろいです。茄子さんの幸運にあやかろうと思って」

ほたる「でも、変えたばかりなので、まだ使い方がよく分からないんですけどね……」

茄子「あとで教えますよっ♪」

ほたる「あ、ありがとうございます!!」


茄子「それにしても、このスマホ、なんだかたくさん傷がありますね……?」

ほたる「さっきころんじゃって、ちょっと傷ついちゃったんです」

茄子「(ちょ、ちょっと、なのでしょうか??)」

ほたる「それに電源も入らないんです。たぶん電池が切れちゃったんですね……充電しなきゃ」

茄子「それなら事務所で充電しておいてもらえばよかったですね」

ほたる「あ、たしかに。……でもお守りがわりになるかなって」

ほたる「手に持っていると落ち着くんです」エヘヘ

茄子「ふふっ♪ まさしくお守りですね」


その後、私は飲み物をとるため、ほたるちゃんから離れた。

……それが悪かったのかもしれない。

ほたるちゃんのもとへ戻ろうとしたとき、

大型のセットが倒れていくのが見えた。

「嘘、そんな……」

このままだとほたるちゃんがセットに潰されてしまう!?

ほたるちゃんを守らなくては!!


『白菊ほたるに関わるな』

こういうことだったんですね。やるじゃないですか、未来の私

こんな風に私を誘導するなんて。

私は駆け寄り、ほたるちゃんを突き飛ばそうとした。

「きちゃだめですっ!!!」

ほたるちゃんが私に向かって叫んだ。

そのとき、ほたるちゃんが持っていたスマホがその手を離れ、ころがった。

そして私は……


そのスマホに足をとられて盛大にころんだのだった。

しかもほたるちゃんをも巻きこんで。

ただ、そのおかげで私達はテーブルの下に滑りこむことができたのだけれど……。


そして、かわりに犠牲になったのは……

ちいさなスマホだった。


夕方 事務所前


ほたる「やっと……帰ってこれました」

ちひろ「病院の検査とかいろいろありましたからね……プロデューサーさんも心配していましたよ」

茄子「みなさん怪我もなくて、よかったですよ♪」

ほたる「はい。無事でよかったです……!」

茄子「そういえばスマホ壊れてしまいましたね」

ほたる「はい。でも、これ大切にします。……大事なお守りですから」

茄子「ふふっ、そうですね♪」


ほたる「あ!!! このあと用事があったのを忘れてました!!!」

ほたる「すみません。帰りますね」

ちひろ「一人で大丈夫?」

ほたる「はい、また、今度……!! それでは失礼します」

茄子「うーん、残念です。でも用事があるならしょうがないですね。またね、ほたるちゃん」

ちひろ「気をつけてね、ほたるちゃん」


ちひろ「ふぅ、とにかくみなさん無事でよかったです」

ちひろ「まったく、安全管理はどうなっているんですかね……あら?」

ほたる「はぁっはぁ、ま、間に合いました!!」

茄子「ほたるちゃん?どうしたんですか?忘れ物?」

ほたる「え? 忘れ物?」

ちひろ「違うんですか??」


茄子「あれ? 何かが……? お化粧してない?」

ほたる「お化粧?? え、えーと、ギリギリ時間通りですよね?」

茄子「時間ですか??」

ほたる「え、えと、あれ? 鷹富士さんからメールでこの時間だって……」ぱかっ、かちかち


『今日のお仕事、私と一緒なのだけど時間が変わったって。集合時間が…………』


ほたる「はい。やっぱり、時間あってます……よね……?」

茄子「そのガラケー……」

ほたる「え、はい。そろそろ機種変しようかと思っているんですが……」

ほたる「えへへ、ぼろぼろですよね。よく落としたりするから」

ちひろ「……そういえば、ほたるちゃん、今日ケータイが壊れたって事務所に連絡くれませんでしたっけ?」

ほたる「えっ!? し、していないですよ?」

茄子「……」


――

(ほたる「と、ところで、どうして茄子さんは私と一緒に……?」)

(『白菊ほたるに関わるな』)


『私のスマホ』からのメール



(ほたる「さっきころんじゃって、ちょっと傷ついちゃったんです」)

(ほたる「はい。おそろいです。茄子さんの幸運にあやかろうと思って」)


傷ついていた『私とおそろいだというスマホ』



(ほたる「あ……う、はい。あの今日の収録に緊張して、寝れなくて」)

(ほたる「目のクマを隠すために目元をすこし……」)


目元をお化粧して何かを隠していた彼女


(ほたる「はい。でも、これ大切にします。……大事なお守りですから」)

壊れたスマホを大事に持って立ち去った彼女


(ほたる「『やっと』……帰ってこれました」)

もしかしたら、彼女は何回も私を助けようとしたのかもしれない……何度絶望をあじわったのだろう……


(ほたる「はい。無事でよかったです……!」)

この言葉に込められた彼女の想いは……

――

茄子「(どこに……いつに、帰っていったのでしょうね……あのほたるちゃんは)」

茄子「(私は……ほたるちゃんに守ってもらっていたのですね)」


茄子「ふふっ」

ちひろ「? なんだか嬉しそうですね?」

茄子「はい。今日、ほたるちゃんといれてよかったなって思いまして」

ちひろ「なにかいいことあったの? ほたるちゃん」

ほたる「いえ、私もよくわからなくて……」

茄子「ほたるちゃんは」

ちひろ、ほたる「?」

茄子「幸せを運ぶ子なんだって」

茄子「そういうお話です♪」ムギュー


わ、わ、急に抱きつかれると……あの……

ほたるちゃんから、ほたるちゃんへの幸せのお裾わけですよ♪

えっ、えええええ?? えっ? 涙……?



おしまい


おしまいです。ありがとうございました。

ほたるの公式セリフにもありますが、スズランの花言葉は「幸福の訪れ」だそうですね。

ところで、茄子、ほたる、それとヘレンさんの CD デビューはまだですか?


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