葉隠「2・一度は行きたい希望ヶ峰学園」大泉洋「ダメ人間っ!」 (531)

      予 告      


大泉「俺達は帰るぞ、絶対に外に帰るぞ!」

山田「ダメかよ![ピザ]でオタクじゃダメかよ!」


 絶 望 学 園 


舞園「桑田君、あなたは後枠です」

大和田「風と!寒さと!匂いと!危険を感じるぜ!!」


 閉 鎖 空 間 


石丸「ふぁんたじぃぃぃぃぃぃ!!」

霧切「あなた私のクリームパン食べたわよね!?」


 絶 体 絶 命 


桑田「ホヤひとつ食ったらエビの頭もらえんのか?」

江ノ島「あれ?こんなカット撮ったっけ?」


 最 低 最 悪 


朝日奈「……ばーか」

葉隠「ホワイトスネーク、カモン!」


モノクマ「死刑っ!」


ダンガンロンパ1に大泉洋をぶち込んだ再構成です。大いなるネタバレが存在します。
シリアスなんてものは存在しません。全て藤村Dの腹の中に収まりました。
北海道用語や大泉洋知識には注釈(Tips)が入ります。前スレで一度出たものにも改めて付けます。
一部キャラの独自設定(霧切が大泉ファン、葉隠が道産子)などがあります。ご注意ください。
なお>>1の大泉洋知識は2009年くらいまでが一番豊富です。たまに資料のない情報を載せますがご容赦下さい。


前スレ
大泉洋「私立希望ヶ峰学園?ドッキリじゃないの?」
大泉洋「私立希望ヶ峰学園?ドッキリじゃないの?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1401000541/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1409583078


主な登場人物

大泉洋…【超高校級の料理人】
このスレの主人公。道産子で、劇団【TEAM NACS】の四番手。
この希望ヶ峰学園では、モノクマから「学園の生徒っぽい肩書きを考えた」との事で【料理人】と呼ばれている。
酔い散らかすと安田顕に会いたくなる系男子。夢に出てきた事務所会長・鈴井の様子が引っかかっている。
ここまで桑田と舞園を対決列島方式で仲裁し、大和田の士気を(まずい)飯で落とし、死んだふりでセレスを欺いた。
ファンの事を必ず「子猫ちゃん」と呼ぶ。

霧切響子…【超高校級の???】
紫の長髪が特徴の、クールビューティー。過去の記憶を失っているため、自分が何の才能を持っているか覚えていない。
大泉に(理由不明の)好感を抱いており、この学園において「子猫ちゃん」と呼ばれている。
学園の謎を解くために一番に動いており、他生徒からも分からない動きをしている事がある。
が、大泉への愛情?が先走った結果たまに無駄な知識を披露する残念な子になりつつあり、なんかごめんな。

葉隠康比呂…【超高校級の占い師】
大泉曰くウニ頭の詐欺師。どんな事でも3割当たるインスピレーション占いが有名…らしい。
話してみたら道産子だったので特徴的な訛りで喋る事もしばしば。(~っしょや、だべやなど。独自解釈)
【ブギウギ専務】派なので、一刻も早く復活して欲しいと思っている。やっぱりわくちんがいた頃が最強だべ。

十神白夜…【超高校級の御曹司】
入学早々自分の服をパクられたのでやる気満々。その後一度は離反するも、大泉を鎮めるために戻った。
全く慢心のない状態なので本気モードである。そのため始めから生徒達を纏める能力を発揮している。
霧切からは「遅刻しないシゲ(戸次重幸)」と揶揄された。なお遅刻しなくても残念な模様。

苗木誠…【超高校級の幸運】
本編ダンガンロンパの主人公。しかし大泉さんとはすれ違いの毎日です。

モノクマ…【学園長】
みんなの愛しの学園長。大泉が残った事は唯一の誤算らしい。
なぜか水曜どうでしょうに詳しい。


主に話に出てくる名前

シゲ…【戸次重幸】
残念残念、また残念、ザッツ残念シゲ。
ケータイの待受にすると、その人に幸せを運ぶ。

会長…【鈴井貴之】
大泉の事務所【クリエイティブ オフィスキュー】の会長。ダメ人間。

水曜どうでしょう
怪物番組。ここから大泉・安田の快進撃は始まった。ちなみにアメリカでも放送してる。

どうでしょう班
鈴井(通称:ミスター)と藤村D(通称:ヒゲ、大魔神)、カメラ担当の嬉野D(通称:うれしー)に大泉を加えた4人の事。

TEAM NACS
大泉の他、北海道出身の5人組。お笑い芸人ではなく、劇団。

ハナタレナックス
その5人のレギュラー。なんでも12年目とからしい。

漫湖
まんこ。

とりあえずテンプレここまで。
本編投下は今しばらくお待ちください。

安田「ボクモノクマダヨ(裏声)」

大泉「喋ってんじゃねぇよ!!」どがっ

大泉(それは、少女だった)



大泉(え?なに?新しいスレのド頭からなに言ってんだって?分かるぜ?君らの思う事くらいは)

大泉(いや、少女だったんだよ。まぁ聞きなさいよあぁたら。ね?結論急ぐのは君らの悪いクセだよ?)


大泉(それは15日目、俺がセレスさんとの死闘を終え、プールを出た時にいたんだ)

大泉(まぁ、まあ落ち着いて聞いてくれ)


ざっ


大泉(フラフラしながらプールを出た俺の目の前に、ふと現れたのは)


「………」


大泉(黒づくめのヒトだった。そんで頭にはモノクマの頭みたいなマスクをかぶっている)

大泉(……悪趣味なコスプレだ)

大泉(俺はそいつに強い違和感を覚えて)


大泉「………ん?誰だい君、一体どっから」


大泉(来たんだい、と言いかけた)


ぎらっ


大泉「なんだいそれ」


大泉(おいおいおい、洒落んならんぞ)

大泉(……なんであの子、包丁みたいなの持ってるんですかね?ねぇ?)

大泉(さすがの俺も焦った。回らない頭をフル回転して)


大泉「いやもう今日は終わりでしょ?もう終わり、ね?」

大泉「よくばりさんなんだからもう、で…君、誰?」


大泉(……しばらく考えたんだが、誰だ?)

大泉(まぁ苗木や十神、子猫ちゃんがやるようなドッキリじゃねぇ事だけは確かだった)


大泉(もしかして)

大泉(生徒じゃ……ない?じゃあ、い、一体どこから出て来たってんだ)


「貴方は知らなくてもいい、大泉洋」


大泉(……?)


大泉「あれ、君…どこかで」


大泉(どこかで、聞いたような)

大泉(でもどこだろう)

大泉(……ダメだぁ、頭痛くて思い出せねぇ……)

大泉(その声は、ひどく可愛らしかった)





「初めまして、そして」


「さようなら、大泉洋」



大泉「………え」



大泉(それは死の宣告)

大泉(それは俺への敵意)

大泉(けれど俺は驚いて釘付けで)


「……っ」
たたっ


大泉「うおおおおあああああ!!?」


大泉(ダメだ子猫ちゃん、僕ぁ今回こそダメだ)

大泉(ナイフがそこまで来てるんだ、そこまでな)

大泉(悪いが後は任せたぜ)


大泉(情けない声を上げながら、心の中だけでカッコつけた)



ーーーーーーーーーーーーーーー


【Chapter4】

コーリング・コーリング・ユー

(非)日常編


ーーーーーーーーーーーーーーー






どすっ



大泉「……あれ?」


「……な………!?」


大泉(あれ、痛くない?)

大泉(そんなの漫画かドラマだけだと思ったが、実際にも起こるらしい)


大泉(なんせ、そこには)


……ぽたっ


「ち、弾き損ねたか」


大泉(腕から鮮血を流す大神さくらがいた)


大泉「お、大神さんっ!?」

「………!!」

大神「無事か、大泉」

大泉「な、んで…ここに…!」

大神「お主はすぐに倒れるのでな、心配で残っていただけだ」

「………」

大神「更衣室のそばで待ち伏せた我にも気付かないとは、鈍ったか?」

大泉「…マジで?」


大泉(嘘だろ?ぜんっぜん気付かんかったわ)

大泉(などと考えていたら)


すっ……


大神「待て」

「………」

大泉「………?」

「っ……!」

大神「…お主、何者だ…」すぅ

大泉「っ…大神さ」

大神「お主は黙っていろ」すうううう


大泉(大神さくらが構えた。それだけで空気が張り詰める)

大泉(黒づくめのその子は、縫い付けられたようにそこから動けなくなっていた)

大泉(威圧感。先に動いたら殺られる、と本能が察知したのか)

大泉(事実、俺もそれ以上は何も言えずそこに立ち尽くす)

大泉(まるで何時間も続いているような………息の止まるような、沈黙が数秒続いた)


……ぽたっ


大泉(傷は浅い。けれど、大神さんは間違いなく怪我をしていた)

大泉(情けねぇ話だ。俺のせいで)

大泉(辺りの緊縛はさらに高まって行き…)


ぽたっ


大神「お主………江ノ島か?」


大泉(沈黙を先に破ったのは、意外にも大神さくら)


大泉「え?江ノ島さん?」


大泉(そして、意外な人物の意外な行動から出てきた意外な名前に気を取られた隙に)


「………」


大泉(刹那、少女はそこから)


ひゅんっ

大神「っ!」


大泉(……爆発するように飛び去った)

大神「………」

大泉「………なんだったんだべあいつ」

大神「分からぬ……」

大泉「そもそもありゃ一体…何なんだい」

大神「それも分からぬ」

大泉「もしかして、あれが内通者…?」

大神「………今は憶測でしかない。何も結論は出せぬだろう」

大泉「まぁ………そうかもしれんけども」

大神「あの者がまだお主を狙うとも限らない…我は少し辺りを見てから戻ろう。お主は早く頭を洗え」

大泉「ぁあ、え?いいのかい?だって怪我…」

大神「プロテインを飲めば治る」

大泉(!? …プロテインをなんだと思ってんだこの子は!?)

大神「お主もプロテインを飲め、頭の怪我はすぐに治る」

大泉「……いやいやプロテインってそんな万能アイテムじゃねぇべ!?」

大神「我はお主と違い、簡単には死ねぬからな」

大泉「………いや、それは俺だって同じだって」

大神「………」

大泉「ん…?」

大神「…そうだな」


大泉(何か引っかかったが、何も言えず)

大泉(痛む頭を押さえながら、言われるがまま俺はそのまま風呂に向かった)

大泉(それから、とある子に遇って…)

大泉(………ああ、手当してもらったんだったな)

大泉(傷はそこまで深くないようで安心して、そのまま俺は部屋で寝た)

ーーーーーーーーーーーーーーー





夜中





ーーーーーーーーーーーーーーー


ふら………ふら………


苗木「……っ……」よろよろ


よろっ


苗木「………くそ、折角見つけたのに………」


苗木「それにしても………なんだか、頭が痛い………」よろよろ


がぁんっ!ばしっ、がしっ!
どがががが!!


苗木「」!

苗木「………なんの、音………だろ……」よろよろ


どがっ!ばきっ!
しゃきんしゃきんっ!
ずだだだだだっ!!



苗木「………」

苗木「………あ、れ……?」よろよろ

苗木「………!!?」

ーーーーーーーーーーーーーーー






16日目朝






ーーーーーーーーーーーーーーー

石丸「そんな非現実的な事が起きてたまるかね!」

葉隠「いやいや大真面目だって!俺ぁ持ってかれてんだよ!」

十神「そうか、それで真面目なのか…」

葉隠「え?なに?なんで信用してくんねぇの?」

石丸「むしろその話のどこに信用の要素があるのだね!」

葉隠「だから俺の証言が信用の要素だべ!?」

不二咲「あの、葉隠クン……その、嘘はよくないよ?」

葉隠「いやいやいやマジだって本気でだって、嘘じゃねーって!!」

朝日奈「ねぇ、葉隠ほんとに大丈夫?なんか……悪いもの食べたりしてない?」

舞園「昨日一日大変な目に遇ってましたからね…」

大和田「クスリだけはなんともならねぇからなぁ」

桑田「あー、クスリ!それで頭がイっちまったのか…」

葉隠「イってねぇし!俺は酒もタバコも嗜むけど、クスリはやらねーぞ!?」

舞園「芸能界ではみんなそう言うんですよ…」

朝日奈「正直軽蔑するかな」

葉隠「俺年上だぞ!もうちょい敬えよ!!」

腐川「残念ながらあんたの敬えるような場所は…もう…」

山田「お亡くなりになられています…」

葉隠「ひでぇぇぇぇっ!あんまりだぁぁぁぁぁぁっ!!」




大泉(改めてどうも、おはようございます)

大泉(わたくし、みなさんご存知!大泉洋でございます)

※Tips…【大泉洋】
このスレの主人公。北海道江別市出身の(2014年時点で)41歳。俳優・声優・死刑執行人などのマルチな才能を持った【北海道の大スター】。
【水曜どうでしょう】に事務所の社長(当時)【鈴井貴之】と出演し、一躍有名になった【すずむし】である。
所属する劇団は【TEAM NACS】と言う5人組。【北のドリフ】と呼ばれる、恐らく現在日本で一番チケットの取れない劇団。
この希望ヶ峰学園においては、他の生徒にあやかりモノクマから【超高校級の料理人】と呼ばれている。


大泉(……まぁ、かるーく僕について説明してもらったところで、だ)

大泉(16日目の朝も、何も変わらない、同じような朝だった)



大泉(ある一点を除いては)



セレス「こじゃっぺ言ってんじゃねぇっぺよこのでれすけ畜生がぁ!!」


※Tips
「冗談言うんじゃありませんわ、このバカくれ君」…と言う意味の栃木弁。


葉隠「」!?

十神「………なに?」

山田「面妖な…」

セレス「ぁあ!?」

大和田「…おい、今なんつったあいつ」

不二咲「えぇっと……?」

舞園「あの、そ、せ、セレスさん…」

苗木「え、と…今のは…」

桑田「や、やはー、オレの聞き間違いじゃあ……」

セレス「……ふん、…今更隠す事でもありませんもの」

セレス「それに、勝負に負けた者は勝った者の奴隷、いえ…それ以下の存在。尊厳などあってたまるかって話です」

不二咲「…どういう事ぉ?」

大泉「色々あったんだよ」

大泉(昨晩、戦意を完全に喪失したセレスさんに出会った)

大泉(そしてその結果、彼女は今と同じような事を俺に対しても言ったんだ)

大泉(敗者は去るべしと、だから自分は本来相手にされるべきではないのだと)

大泉(そのあと色々あって………)


大泉(………そこで何があったかは、彼女の尊厳のために黙っておこう、墓まで)


大泉(まぁとにかく、なんやかんやあってだ)

大泉(俺は彼女に、勝者としての権限を使った)

大泉(その結果がこれだ)



セレス「葉隠君がおかしいのは今に始まった事ではありませんわ」

葉隠「」オーバーキル

セレス「昨晩の事なら、薬はそんなに危険なものは使ってませんもの。おかしくなる事はあり得ませんわね」

セレス「まあ?眠るには少し多い量を使ったので、もしかしたらそのまま永眠パターンがあり得ましたけれども」

山田「それを今この状況で言いますか…」

セレス「だまらっしゃい!」

セレス「私からあなた方に言わなければいけないのは、ただひとつ」



安広「私(わっち)は安広多恵子、今をときめく【超高校級のギャンブラー】だって事だっぺよ!」



葉隠「」

石丸「」

大泉「………あー」


大泉(振り返ろう。あの晩、俺は確かに彼女に「ありのままの自分を出せ」と言ったんだ)

大泉(ま、こうなるとは思ってなかったけど…)

大泉(………訛ってんなー)

大和田「で、何の話してたんだった…?」

石丸「あ、ああ、ええと……」

セレス「このでれすけ(馬鹿で役立たずでどうしようもない葉隠君)のきゃ↑とる↓みゅーてれーしょんの話ですわ」

山田「急に田舎っぽいイントネーションに!?」

葉隠「っつーかカッコで囲んだ中も一緒に読むなよ!」

大泉「キャトルミューティレーション?」

十神「UFOなんてあるわけがないだろう、アホめ」

朝日奈「えっUFOいないの?ドーナツみたいでかわいいのに…」

霧切「UFO探してるのは矢追純一さんだけで充分よ」

舞園「ついUFOどこ?って聞いちゃいそうになるタイミングなんてもう一生来ませんから」

腐川「それどこの芸人よ」

石丸「リアクション全集に載っているかね?!」

大泉「待って話が脱線してるから!」

葉隠「あのなぁ!俺のハンバーガーは確実に連れてかれたんだよ!」

大泉「………葉隠、いいか?夢と現実に区別つけねぇとダメだぞ?」

葉隠「マジなんだってぇぇ!!」


大泉(こんなまったりとした日々がいつまでも続きゃあいいのに)

大泉(もうなんかこのままでいいのに)


苗木「……そう言えば、朝から見てないけど……大神さんは?」

朝日奈「え?さくらちゃんは、今日なんか調子悪いって言って部屋で寝てるんだって」

石丸「大神くんも人の子、休む時はしっかりと休まなければならないからなっ!」

葉隠「くっそぉ、オーガなら、それでもオーガなら…」

霧切「無理だと思うけれど」ばっさり

葉隠「………ほんとなのに………」

朝日奈「さくらちゃん大丈夫かなぁ」

苗木「………大神さん」


大泉(願うのに、祈るのに)

大泉(信じるのに、歩むのに)

大泉(それでもなお)


大泉(現実ってのは、いつも、いつも俺達を裏切ってしまうんだ)

短いけど今日はここまでやど。前スレもよろしくやで。
ちなみに今だから言うけど>>1は小顔(森崎ファン)です。

たえちゃん可愛いけどここまで壊す必要はあったのか

何言ってるんだいダベミくぅん、前スレはまだまだ小ネタをやる空きがあるじゃあないかぁ

おにぎり見ながら舞ってる

多忙だったので全く書いてないけどそろそろ書く、と言う宣言。

注※今日書くとは言ってない。

こんなんあった

大泉「今度の企画がウォール・マリア内を一周!?」
大泉「今度の企画がウォール・マリア内を一周!?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1410352597/)

今日の有吉ゼミ2時間スペシャルに戸次重幸さんが出ますよ。あの男、ついに世におおっぴらに出てしまうのか…。
と言うわけで行けたら今日投下する予告!

有吉ゼミまでに終わって良かった。結婚出来ない戸次。
相変わらず推敲はしたけどまだ間違ってるかもしんない。
それじゃ投下しまーす。

ーーーーーーーーーーーーーーー




登場



ーーーーーーーーーーーーーーー

モノクマ「やっほー!モノクマだよー☆」

大泉「ああ、はいはい」

モノクマ「もうっ、相変わらず冷たいなぁ…ところでさぁ」

モノクマ「おういるかい?キミ達、いるかい?ひとりも欠けず」

霧切「………何かしら?」

モノクマ「いやね、ここで重大発表しとこうと思ってさぁ」


ーーーーーーーーーーーーーーー




重大発表




ーーーーーーーーーーーーーーー


モノクマ「えー、学園の4階を解放しました」


ーーーーーーーーーーーーーーー




唐突




ーーーーーーーーーーーーーーー


大泉「どう言う風の吹きまわしだ?昨日もそんな事言ってたけどよォ」

モノクマ「いやね、ほら、大泉クンがさぁ、やってくれたじゃない?」

モノクマ「『ナゾ解明ッ!』って」


※Tips…【ナゾ解明!】
大泉が声優を務めた【レイトン教授シリーズ】の主人公、【エルシャール・レイトン】の決めゼリフ。
街に点在するナゾが解けた時にレイトン教授が言う。
前回、セレスとの対決中に何の前フリもなく大泉さんが2回ほど言った。


大泉「おい、バカにしてんのかてめぇ」

モノクマ「そそそそそんなわけないでしょ!腹筋崩壊したからYouTubeとかニコニコ動画に転載しちゃおうかな?とか一瞬も思ってないから!」

不二咲「か、監視カメラの映像をそんな事に使うなんて最低だよぉ!」

モノクマ「それはさておいて、とにかく学園の4階は開けておきました」

モノクマ「ま、勝手に探索すればいいんじゃね?」耳かゆかゆ

霧切(この余裕、モノクマ…あなた何を考えているの?)

霧切(なんのために、学園を解放しているの?その先にあるのは…)

石丸「と、とにかく行くしかなさそうだな」

十神「………」

霧切「………」

セレス「何をぼさっとしているのです、あなた達?」

舞園「あ、ええと、ありがとうございましたモノクマさん、今すぐ帰ってください」

大和田「今すぐ帰れすぐ帰れ、帰らなかったら危害は加えねぇ、大泉さんの飯食わせる」

大泉「俺の飯をなんかの罰ゲームと勘違いしてないかい、君は」

モノクマ「食べられないものを出すなんてひどい!」

大泉「」カチッ

モノクマ「それは暴力だよ暴力!校則違反で爆破するよ!大泉クンを!」

大泉「おぉなんだてめぇ、このシェフに喧嘩売ってんのかい?」

霧切「待って」

モノクマ「………なんだい」

霧切「大泉さんのは料理よ?料理を暴力だなんて、あなたどういう事?明らかなルール違反じゃないかしら」

大和田「けどよぉ…」

石丸「ぐぐっ、だがルールには料理を暴力とするとはないからな…」

セレス「あなた本当に校則しか見てませんのね」

モノクマ「いやいやいやいやぁ!?」

腐川「う、うるさいのよモノクマぁ…ああああ、あんたなんかドブの中の石ころよ」

モノクマ「扱い雑だな?!ボクぁ学園長だよ!?」

大泉「だーから、るせぇんだよ。言う事言ったんだからさっさと帰れ」

モノクマ「えー?ボクいっつも暇なんだから遊んでよぉ」


大泉(普段と変わらない、たわいもない会話がそこにあった)




葉隠「なぁ」




大泉(そしてそれを壊したのは、いつになく冷静なその声だった)

葉隠「まさかと思うけど、このまま普通に探索始める気じゃあねぇよな」

大泉「………あ?」

葉隠「俺はまだ納得してねぇぞ」

大泉「納得ってったっておめぇ…」


大泉(その視線はどうやら、セレスに向いていた。セレスも分かっていて葉隠を見返している)

大泉(………そう言えば。とふと思う)

大泉(この一連の流れで一番の被害を受けたのは葉隠だった)

大泉(しかも謝罪があったとは俺は聞いてない)

大泉(まぁそりゃそうだよなぁ。昨日の今日だ、許せるはずがないのは分かる)

大泉(そらぁ俺だってちょっと根に持ってるよ?でもなぁ…)

大泉(…葉隠の気持ちが分かるなんて、不意には言えなかった)

大泉(だってそうだろう?)

大泉(無意味に疑われ、全ての罪を着せられる予定だったと知った今、こいつが心安らいでいるわけがな






葉隠「俺のキャトルミューティレーションの話がまだ終わってない!!」






大泉(……あー、訂正……もうだめだこいつ)

ーーーーーーーーーーーーーーー




上った




ーーーーーーーーーーーーーーー


◆希望ヶ峰学園・校舎4階
―――音楽室


桑田「すっっっげぇぇぇぇ!!」

大泉「こりゃあ広いねェ…」

舞園「一連の楽器も揃ってるみたいですね?」

十神「この部屋の一通り、俺なら弾けるぞ(ドヤ顔)」

桑田「マジ?じゃあオレとバンド」

十神「やらん。そんな低俗な遊びしている暇があったら働け、愚民」

桑田「ぐはっ…ひでぇ!」

大泉「まぁいいでないの、またメンバー探せばさ」

十神「…桑田。そもそも、お前には適性があると言うのになぜ野球を捨てたがる?」

舞園「………」

桑田「だ、だからそれはぁ、オレモテたいからぁ」

大泉「単に素直じゃねーだけだろうが」

桑田「…っ!」

大泉「やりてーけど、やりてーって言ってやるのがかっこ悪いとでも思ってんじゃねぇのか?」

十神「まぁ気持ちは分かる。俺も経験はあるからな」

舞園「そうなんですか?」にやにや

十神「そう言う意味じゃない!」

十神「…お前ほど、才能に恵まれているならば…疎まれるだろうな、同じ競技を行う全ての人間から」

桑田「………」

大泉「で、どうなんだよ」

桑田「………野球って、結局チームプレイじゃねーか………」ちぇっ

桑田「オレの才能って周りには分かってもらえない的な感じなんだよ…」

大泉「図星か!」

舞園「それは…違いますよ、桑田君」

桑田「…舞園」

舞園「あの日、そんな話もちょっとしましたね……、でも…でも」

十神「あの日?」

大泉「あー、食い物対決やった日」

※Tips
具体的に言うとChapter1の事。前スレ参照。

舞園「でも、ほら、チームメイトだっていたんですよね?監督だっていたんですよね?」

舞園「もうちょっと………頼りましょうよ、仲間に」

桑田「…あー…うん、そうだな…」がしがしがし

大泉「このバカ。好きなら好きって言えってんだよな。なぁ?」

舞園「そうですよ。私だって色々ありましたけど!色々ありましたけど!!」

大泉「おいやめろ、その威圧やめろ」

桑田「………だからヤなんだよ、野球の話はさ」ぼそっ

大泉「………」


大泉(俺達では、計り知れない事がこいつにはあったのだろう)

大泉(悲しいかな、情熱を上回ってしまっていたのだろう)

大泉(でも…あれだな、もったいねぇな)


大泉「よし桑田君、君は減点だ」

桑田「何が?つか何の!?」

十神「黙れ、お前は減点だ」

桑田「十神ノリノリじゃねーか!」

腐川「そんな白夜様もかっこいいハァハァ」

十神「………あいつは何をしたら俺に幻滅するんだ、教えろ桑田…」

桑田「何でだよ………」

大泉「まあとにかくこっから出たら桑田君は野球やるって事で」

桑田「何でだよ!?ほんとになんでだよ!?」

十神「それはいいな。十神財閥がバックアップしてやろう」くっくっく

舞園「応援歌は私が歌いましょうか?」

桑田「全員やる気!?オレ断れないっしょそれ!?」

ーーーーーーーーーーーーーーー




そのころ




ーーーーーーーーーーーーーーー


がたがたがたっ!


霧切「………開かない?」

朝日奈「うん、鍵がかかってるみたいなんだよね」

すたすた

葉隠「おーっす………って何してんだ?」

霧切「いえ、学園長室なる場所を発見したのだけれど、鍵がかかっているのよ」

不二咲「情報処理室も入れなかったねぇ…パソコンがあればよかったんだけどなぁ…」

葉隠「ドア壊して入ったりすればいいんじゃねーか?ほら、オーガもいるんだし」

朝日奈「こら葉隠!さくらちゃんを何だと思ってんのよ!」

モノクマ「そうだよ!さくらちゃんはキ・キーマじゃないんだよ!」

葉隠「それなんてブレイブストーリー?…じゃなくてモノクマっ!?」

霧切「ブレイブストーリーの映画はあれね、ウエンツ瑛士がいい仕事してたわ」

葉隠「個人的には北陽の伊藤ちゃんもよかったべ」

モノクマ「なんでそんな短い登場シーンの人褒めてんだ!………じゃなくって!!」

不二咲「ごめん、何の話?」

朝日奈「全く分からなかった?」

不二咲「分かんなかったよぉ…」


※Tips…【キ・キーマ】
アニメ映画【ブレイブストーリー】で大泉が声優を務めた。簡単に説明すると、身長が3m近くある二足歩行のトカゲっぽい生き物。
運送業・ダルババ屋をやっている水人族の男で、非常に人懐っこい。主人公を幸運の印として面倒を見てくれた。
映画版のみ、大泉の特徴である北海道の方言がたまに出る。【宮部みゆき】の原作【ブレイブストーリー】では出ないのでご安心を。
【ウエンツ瑛士】は主人公のライバル役の声優として参加。大泉とはのちに【ゲゲゲの鬼太郎】にて共演する事となる。
葉隠が言っていた【北陽・伊藤】の他、当時放送されていた【はねるのトびら】メンバーが声優で出演している。オススメは司教役の【インパルス・板倉】。
実は朝日奈役の【斎藤千和】、並びに十神役の【石田彰】も出演していた。配給にジブリが関わっているためか、メインキャラは声優より俳優が多い。

モノクマ「そんな事より、物騒な言葉が聞こえちゃったんですけど?扉壊す気なんでしょ」

朝日奈「あ、それはほら、言葉の綾じゃん!」

霧切「そうね…本当に壊せるわけないじゃない…」

葉隠「まぁなぁ。そんな危ねー事するやつ、何人もいてたまるかって」

霧切「………言葉にトゲがあるわよ?」

モノクマ「そんな事言って…キミ達ならやりかねない!そこでボクぁね、校則を追加する!」

不二咲「校則を追加…?」


モノクマ「【鍵のかかったドアを壊すのは禁止】ッ!校則追加するからね、ちゃんと手帳見てね!」

◆校則が追加されました。


葉隠「つまり鍵を壊すのはおっけー、と」

モノクマ「出来るもんならやってみなよ!出来るもんならね!」

朝日奈「鍵が付いてない扉も壊していいんだね!」

モノクマ「ちょっと待って!直すの大変だから!扉全般壊すの禁止にするよ!?」

朝日奈「えー?じゃあなんなら壊していいのさ!」

不二咲「なんで壊す事前提なの?!」

霧切「………」じっ

モノクマ「そしてそこ!何かを考えない!」

葉隠「任せとけ!俺は手先が器用だべ!なんか分からんが爆弾の解体くらいなら出来そうだべ!」

モノクマ「どう言う事!?もうキミの経歴がさぁもうさぁ!」

霧切「爆弾の解体…?」ぴくっ

モノクマ「そこ!反応しない!」

不二咲「…と、とりあえず…こことあそこは開かない…んだね」

朝日奈「………だね。はぁ、なんかありそうなんだけどなー」

葉隠「………」ふむ

霧切「………」ふむ

モノクマ「ちょっとふたりとも何考えてるわけ…ドン引き…」

葉隠「………校則破ったらどうなるんだった?」

モノクマ「そらぁキミ、オシオキ!処刑!つまりバーニング!」

葉隠「………」ふむ

モノクマ「…ってちょっ、それを逆手に取る気だな!ダメだからね!!」

ーーーーーーーーーーーーーーー




そんな中




ーーーーーーーーーーーーーーー


山田「科学室、ですか…」

石丸「ふむ、面白そうな部屋だな」

江ノ島「あのさー、もう歩き疲れたから帰っていいー?」

石丸「………残念ながら却下だ。山田くんを見張る必要が僕達には存在する」

山田「まぁですよね」

江ノ島「そんなの十神もなんも言ってなかったじゃん?」

石丸「そうだ、これは僕の独断だ」

江ノ島「ならさぁ」

石丸「…だが、時として独断を行わなければならない事もある。それが今だ」

石丸「山田くん自身がそれを認め、そして受け入れたなら何より。セレスくんと再び結託しないよう見張る必要があるだろう」

江ノ島「………はー、そう………」

山田「これが舞園さやか殿の言っていた…「疑うならはっきりと疑ってくれ」、と言う事なのですな…」

石丸「僕達は常にチームだ。疑心は命取りと言ってもいい」

石丸「僕には難しい言葉だが、だが、【信じたいからこそ疑う】。」

石丸「彼女に…霧切くんに教わった事だ。まだ上手く出来ないけれど」

石丸「………かと言って今の僕には、それ以外出来やしない」

江ノ島「………」



江ノ島(信じたいから、疑う)

江ノ島(疑って疑って、疑って………その先に何があるのか)

江ノ島(なんにもないよ、信じられるわけがない)

江ノ島(その先にあるのは)


江ノ島(絶望だけだよ)

ーーーーーーーーーーーーーーー




そして




ーーーーーーーーーーーーーーー


がらっ


苗木「えっと、ここは…うわっ、花!?」

大和田「気味悪ぃな…誰がこんな事しやがったんだ?」きょろきょろ

苗木(部屋の机の全てに、花瓶に入れられた花が飾ってある。あの花は確か…)

大和田「ここは…職員室みてぇだな。昔はよくこんなとこに呼び出されたぜ」

セレス「あなたの場合、生活指導室ではなくて?」

大和田「…あー?そんなめんどくせぇ名前だったか?」

セレス「失礼、その程度の漢字を覚えていないとは思いませんでしたわ」

大和田「もしかしたら、そんな感じの名前かもしんねぇなぁ…」ビキビキ

セレス「あなた、意外とでれすけ(バカ)ですのね」

大和田「どたまかち割られてぇのか」ビキビキ

苗木「あっれぇぇぇ?!いきなりヤル気スイッチ入ってるよね!なんで!なんで?!ちょっとやめようよ!」

セレス「ちっ…別に好き好んで一緒にいるわけでもありませんもの…」

大和田「オレだって兄弟に言われなかったらわざわざオメェとなんか来ねぇよ」

苗木「だからなんでそんな事言うかな!?」

大和田「オレは女には絶対手は出さねぇと決めてる。だがよォ、テメェ…」



大和田「………葉隠と山田に、詫び入れてねぇだろ」



セレス「………」

苗木「!」


苗木(…そうか、葉隠クンも山田クンも、セレスさんに騙されたんだ…ってあれ大泉さんはいいの?)

苗木(と思ったが、どうやらセレスさんと大泉さんは既に和解済みだったらしいので除外されたようだ)


大和田「オレぁ人生で初めて女に手ェ挙げるかもしれねぇんだ…ぁあ?なんでちゃんと詫び入れねぇんだゴラァ」

セレス「なぜ、謝る必要が?」

大和田「テメェッ……!」ぎりっ

セレス「私は」

大和田「…」

セレス「自らの行動を恥じてはいませんわ。私がやりたいと考え、やりたいと思ったから起こした事」

セレス「そしてそれに山田君が同調し、たまたま葉隠君が標的になっただけですの」

セレス「………だからこそ詫びるなど余計に出来ない、してはいけない」

セレス「詫びると言う事は、私の命にも、私の言動にも、その結末にも、彼らの真剣にも水を挿す事になるのですから」

大和田「はぁ?」

セレス「ではお尋ねしますが…あなた」

セレス「暴走族の抗争で、いちいち倒した相手に謝りますか?倒された側は謝られますか?」

大和田「……ん?……」


苗木(セレスさんにも譲れない思いがあったって事なのかな?でも……それで謝らないのとはまた違うような……)


ひらひらひら…


苗木「ん?これ…?」ぴらっ

苗木「………!?」

ーーーーーーーーーーーーーーー




出た




ーーーーーーーーーーーーーーー


苗木「なんでこんな……」

モノクマ「あ、こら!」ぴっ

苗木「っ、モノクマ!何するんだよ!」

モノクマ「これはボクのなのっ、返してよ」

苗木「落ちてたのを拾って見てただけだろ!と言うか、大事なら落とすなよ!」

モノクマ「……正論ですな」

苗木「それよりそれ、どう言う事なんだ?」

モノクマ「ほぇ?」

苗木「だから!」

苗木「―――なんでセレスさんと山田クン、それに舞園さんが!」

苗木「見た事ない人と一緒に農作業してんのって!」

モノクマ「あ、この人は森崎さんです」ぴらっ

苗木「そんなの今聞いてないよ!と言うかセレスさんが農作業ってどう言う事なんだよ!」


※Tips…【森崎さん】
大泉が所属する劇団【TEAM NACS】の【リーダー】こと【森崎博之】。声と顔がでかいリーダーと覚えよう。
【東川】と言う米所出身で、稲刈りが尋常じゃなく早い。【北海道フードマイスター】の資格を持っている。
現在は北海道内外にて農業タレントとして活動しており、たまに農業に関する講演を大学などで行っている。
晴れ男からランクアップした【晴れ神様】であり、美味い飯を食わせると雨雲が本当に晴れる(2時間かかる)。
運動音痴で歌も音痴、ついでにハゲ…を気にしている。さらに高所もダメ、カナヅチなので海もダメである。
割と天然で、みんなが知っている事を知らない。料理のさしすせその『そ』は『粗食』だと思っていた。
メンバーいち、ちんちんがデカい(長いとか太いとかじゃなくてデカい)。そして足の匂いがしない。妖精かな?


苗木(なんか今すごくどうでもいい情報が増えた気がする……!)

モノクマ「ホクレンっ!って感じの写真ですね、いい笑顔だわ」

苗木「ともかくなんなんだ、その写真……学園の写真なのか?」

モノクマ「ちゃんと学園の写真だよー?これは」

苗木「………でも、ボクはその人は知らないよ」

モノクマ「ま、精々迷っときなさいよ少年!ほげっちゃ!」ぴゃーっ

苗木「あ、待て!モノクマ!」


※Tips…【ほげっちゃ】
北海道でもごく一部の人間しか使わない方言・【モリ語】のひとつ。
発見から10年以上経ったが、今だにこの言葉の意味は分かっていない。
森崎博之がこの言葉を使う時は、大体締めの挨拶として用いられる。北海道弁だと【したっけ】のようなものか。


ぴゃーっ


苗木「くそっ、逃げられ……」

霧切「どうしたの?」

苗木「!」くるっ

霧切「苗木君?」

苗木「ああ、霧切さん…いや、モノクマが変な写真を持ってたから…」

霧切「………写真?」

苗木「……うん、よく分からなかったんだけどね……」

霧切「…ねぇ、苗木君。ひとつ聞きたいのだけれど…」

苗木「?」

霧切「何か隠してない?私に」

苗木「…っ!」

霧切「………何を隠しているのかしら」

ーーーーーーーーーーーーーーー






探索終わり







ーーーーーーーーーーーーーーー

大泉(さて、4階の探索も終わったんで俺達は食堂に集まったのだったが)


大和田「…訳分かんねぇ」

セレス「………」

石丸「うむ、済まないがもう一日様子を見させて欲しい」

山田「是非もなし、ですな。疑われたままで日常を過ごす事は出来ないでしょうし」

霧切「………」いらいら

苗木「………」しゅーん

江ノ島「はぁ…」髪の毛くるくる

葉隠「………」

朝日奈「………」もぐもぐ


大泉(なんだか雰囲気は、悪かった)


朝日奈「ん?どったのみんな?」もぐもぐ

大泉「………なにふつーにドーナツ食ってんだよ」

朝日奈「あ、大泉もいる?」ほいっと

大泉「いやいいです」

朝日奈「って言うか何そんなピリピリしてんの?」もぐもぐ

不二咲「そ、そのぉ………みんな仲良く………」


十神「と言う訳にも行くまい」


不二咲「ふぇ?」

葉隠「………まーな」

セレス「………」

腐川「う、うう…」きょろきょろ

桑田「なんだよ葉隠ー、まだ根に持ってんのか?オレん時は全部水に流したぜ?」

葉隠「オメーと一緒にすんな」きっぱり

桑田「うげ、懐せっま」

大泉「君と彼じゃ立場が違うだろ?そらぁ彼だって怒るさ」



大泉(桑田じゃ………違いすぎる。いや、置かれた立場は一番近いのだけれど)

大泉(呼び出されて何もなくずんだ吐いたやつと…呼び出されて捕まり、濡れ衣着せられたやつとでは)

大泉(…桑田ん時は、子猫ちゃんが間に合ったから良かったんだけどな)


※Tips…【子猫ちゃん】
大泉のファンの総称。元ネタは【水曜どうでしょう】の企画、【ジャングルリベンジ】の
大泉「もっと荒々しいのを撮ってくれよ。でないと僕の子猫ちゃんが満足しないんだよ」
と言う発言より。そこから自然に、ファンの事を子猫ちゃんと呼ぶようになった。しかし大泉は猫が苦手である。
希望ヶ峰学園においては霧切を指す名称として使われている。
なおこののち、事務所会長である【鈴井貴之】がブログで「大泉のファンが子猫なら、僕のファンは子虎だ」と発言した。


葉隠「……そうだべ。一歩間違えりゃ、俺が人殺しにされてたとこだった」

朝日奈「でもさ、ほら…解決したんだし…」

大泉「どっちにしろ俺ぁ死んでないから未遂なんだけどな」

葉隠「それは結果論だろ!」机ばんっ

不二咲「っ!」びくっ

石丸「き、気持ちは分かるが落ち着いて…」

葉隠「俺は……落ち着いてるべ」

大泉「…だけどもねぇ?」

葉隠「つーか大泉っちもイラっと来てんだろ?オメー、殺されかけてんだぞ?」

大泉「いや、僕ぁ……」

舞園「やめましょう?こんなの……こんなのっ……」

葉隠「真っ先に殺人企てたやつは黙ってろ!」

舞園「!」

苗木「葉隠クン、そんな言い方って!」

十神「だが事実だ」

舞園「………そう、ですね」

大泉(……最悪だった)

大泉(何を言っても、きっとこの場では……)


霧切「とりあえず私達はやるべき事を終わらせましょう」

苗木「…うん」

霧切「それまではあなたも我慢してもらえるわよね、葉隠君?」

葉隠「…さっさとしてくれ」

不二咲「………え、ええと………」

十神「探索結果を報告しろ」メガネキリッ

朝日奈「あ、あのね、学園長室を発見したよ!でも」

霧切「鍵がかかっていたわ。入れなかった……あとは校則が増えてたわね」

葉隠「ああ……【鍵のかかった扉を壊すのは禁止】。当然違反したら、オシオキなんだとよ」

大泉「あー、な事言ってたっけか?」

不二咲「鍵のかかった扉は、学園長室と情報処理室ってところ、ふたつあったよぉ」

苗木「情報処理室?」

霧切「そうよ苗木君。さすがのあなたも知っているでしょう?」イライラ

大泉「……子猫ちゃん?なしたの?」

苗木「あはは……」

霧切「もし入る事が出来るなら……そこにパソコンがあるんでしょうね。なんとか入りたいのだけれど」

桑田「あとー………あ!音楽室があったぜ!これでオレもメジャーデビュー出来るかもしんねぇな!」

十神「出来んから黙ってろ。あそこには一通りの楽器が揃っていた…」

桑田「ひでぇっ!あんまりだ!」

腐川「コンサートホールみたいだったわねぇ、あそこ。防音だったわ」

石丸「うむ。あとは科学室だな!棚に様々な薬品があったのだ!」

朝日奈「薬品ー?」

山田「そうでしたな。プロテインから毒薬、劇薬まで大量にありましたよ!」


葉隠「…劇薬」ぴく


朝日奈「………プロテイン」ぴく

十神「悪用されんように管理が必要か。今は各々に気の迷いを起こすな、としか言えんが」

セレス「それと、職員室がありましたわね。不気味な事に、その机の上には…花がありましたわ」

大和田「……あぁ、机全部に置かれてやがったぜ。どっかで見た花だな」

苗木「あれは…確か【ガーベラ】だったと思うけど」

大泉「だ、誰がそんな事を?」

腐川「…モノクマが?」

舞園「しか考えられませんけど、なんのために…」

十神「大方俺達に精神的ダメージを与えるための策に違いない。現に」


十神「―――ガーベラの花言葉は【希望】だからな」


石丸「妙な嫌がらせをするものだな、モノクマも」

葉隠「ねぇよ、希望なんか」

大泉「………葉隠」

葉隠「ここにも、こんなとこにも、もうどこにもねぇべ」


大泉(追い込まれている?…葉隠が?)

大泉(それも、俺が思うよりもずっと、早く…?)

大泉(それは誰のせいなのか)

大泉(分かってるけど、分かってたけど)


大泉(それを言ってもどうしようもねぇんだよな、今は)



朝日奈「うるさいバカ葉隠今日はさっさと寝ればいいじゃんばーかゲラゲラポー!」



苗木「え?」

大泉「…いやいやいやいや」

葉隠「んなっ!」がーんっ

朝日奈「私はさ、濡れ衣がどうとかされてないし、難しい事分かんないけど………セレスちゃん恨んでそれでどうなんのさ!」

葉隠「…どうなるとかこうなるとかって問題じゃねぇだろ…!こんなんされて信じろって方が無理だ!」

葉隠「それともオメーらは…こんな扱いされてセレスっちを信用して?そんで今まで通りにしろってのかよ!」

大泉「いや、そうじゃなくって」

葉隠「そんなの無理だべ…なんだ、オメーらもグルなのか?オメーらこぞって、俺だけ生贄にでもする気なのか?」

苗木「葉隠クン、落ち着いてって!」

葉隠「だから俺は初めから…」

セレス「言っておきますが葉隠君」

葉隠「………何?」

セレス「私は絶対に謝りません」

葉隠「………」

セレス「―――己の信念を曲げる事だけは致しません」

葉隠「………あ?」ひく


セレス「そもそもあんな紙切れに騙されて呼び出される、その可哀想な頭をどうにかしたらいかがですの?」


大泉「この後に及んでおめぇは…」

葉隠「…セレス!」がたんっ

朝日奈「やめてよっ!」

大泉「!」

霧切「……」

石丸「朝日奈くん…」

朝日奈「………ばか!ばかだよみんなっ!そうやって意地張ってさぁ!」

不二咲「もう…やめようよぉ…っ、疑って疑われて…その先に何があるのっ!!」

山田「………」しょぼんぬ

石丸「とにかく…今は全員頭を冷やすべきだろう」

葉隠「ちっ」

セレス「………」


霧切「………ねぇ」


葉隠「なんだよ!もう全部終わったんだろ?ならもう」

霧切「いいえ、もうひとつ残ってるわ」

腐川「も、もうひとつ?なによ…」

霧切「………この最悪のタイミングで言う事ではないけれど」

大泉「なんだい子猫ちゃん、このタイミングでって」


霧切「混浴よ」きりっ


大泉「混浴か!」

苗木「…混浴なの?」

葉隠「混浴、って」

朝日奈「混浴だね!」

不二咲「混浴だねぇ!!」

山田「混浴ですな!!!」

十神「黙れお前ら!」

石丸「なぜそんなに嬉しそうなのかね」

大泉「混浴だからな!」

腐川「…」

江ノ島「えぇ…?」

霧切「これで機嫌直してもらえないかしら?葉隠君?」

霧切「教えてあげるわ、色々、ね」

葉隠「………っ」

大泉「…そのあとで話は聞いてやる。ゆっくりな」


大泉(もちろん言っておくが、そんな怪しい事じゃあない)

大泉(変な事はしないぞ、絶対にな)

ーーーーーーーーーーーーーーー





混浴♨︎





ーーーーーーーーーーーーーーー

アルターエゴ『みんな集まってくれたんだねぇ、ありがとう!』

霧切「………」かたかたかた

アル『そうなんだ、遂にデータのロックを全部外す事が出来てねぇ』

大泉「って事は」

石丸「何か分かったのかね!」

霧切「そうなるわね」

苗木「………い、いつの間に………」

霧切「」ぎろ

苗木「………」

大泉(子猫ちゃんもなんか殺気立ってんな)

大泉(ぶっちゃけ居づらい)

霧切「……探索が終わって、みんな戻って来る前に一度見に来たのよ。その時に聞いたの」

霧切「だから何があっても、もとよりみんなここに呼ぶつもりだった」かたかたかた

霧切「大神さんはまだ具合が悪いようだから、ちょっと呼べなかったけれどね」かたかたかた

大和田「……抜け目ねぇなオメェは」

アル『分かったよぉ、霧切さん』

不二咲「アルターエゴ、何が見つかったのぉ?」

アル『うん、それがね』


アル『………どうやらこの学園ではある計画が進んでたみたいなんだ』

アル『計画は希望ヶ峰学園の学園長が主体となって動いてたみたいなんだけどね』

アル『それによると、場合によっては生徒は…隔離された学園で一生を過ごさなければならない、って』

アル『その計画が建てられたのは、とある事件がキッカケみたいなんだよ』


霧切「学園長…?」

かたかたっ

アル『?』

桑田「っつか、あ、え?ちょっ……ちょちょちょ、ちょい待ち」

腐川「隔離された学園で一生、って……そそそ、そんな…非人道的な…っ!」

石丸「僕達の状況に一致する!」

十神「そしてそれを企てたのが…」

霧切「………希望ヶ峰学園、そのもの?」

大泉「おいおい、ちょっ、と意味が…」

霧切「…どう言う事なの?キッカケになった事件って…何なの?」かたかたかた


アル『ああ、ええと……』

アル『【人類史上最大最悪の絶望的事件】』

アル『………そう呼ばれてる事件が、一年前にあったらしい』


大泉「一年前の…」

朝日奈「何?人類…」

十神「【人類史上最大最悪の絶望的事件】、だと?」

葉隠「はは、そんなの…って…」

セレス「………馬鹿げてますわね」

霧切「………ッ!」ぎりっ

苗木「霧切さん?」

霧切「見つけないといけない、気がするの…」

霧切「【学園長】を…!」

大泉「…気がする?」

セレス「また、あなたにしては珍しい事をおっしゃいますのね」

霧切「………」

霧切「………これで」

かたかた

霧切「………あなたの役目も終わり、ね………」

苗木「!」

大泉「解析すべきデータはもうねぇんだ。あいつにやれる事は…終わった」

かたん


霧切「ご苦労様。」


アル『………うん、そう…だね』

アル『僕もちょっと、疲れちゃったし…へへ、お休み、しよっかな…』

ぶつんっ

大泉「電源が切れたのか」

不二咲「アルターエゴ…」

山田「…なんだか、可哀想ですな」

葉隠「………」

舞園「何かしたいのに出来ない、って…どんな気持ちなんでしょうね」

セレス「分かりませんわ」

苗木「…セレスさん」

セレス「結局、それはただの機械ですもの」

不二咲「…そうかもしれない、けど」

苗木「アルターエゴはボク達の、仲間だよ」

十神「………」

朝日奈「………」ドーナツもぐもぐ

霧切「………これで、終わりよ?」

葉隠「………そうかよ」

大泉「………ああ、終わりさ」


大泉(気まずい雰囲気が流れた)

大泉(そして、俺はそのあと葉隠の話を聞いてやろうと部屋に誘ってだ……)

ーーーーーーーーーーーーーーー







夜時間







ーーーーーーーーーーーーーーー



◆大泉の部屋


霧切「で、どうしてこうなったのかしら?」


大泉「っひゃっひゃっひゃっひゃっwwwww」

葉隠「っはっはっはっはっwwwww」

大泉「いやぁwwwww楽しい夜だよねぇwwwww」

葉隠「あぁ最高wwwww」


霧切「……」

霧切(「葉隠君と腹を割って話す!」と言い出したからどうなるかと思ったら、酒盛りってあなた達……)

霧切(いつの間に、大泉さんは石丸君に取られたはずの泡盛を取り戻して居て)

霧切(……葉隠君も、抜け目なく倉庫の奥の方に置いてあったお酒を見つけて来たし……)

霧切(一体誰があんなものを入れたのかしらねぇ学園長…?)

霧切(………そもそも学び舎だからないんじゃなかったの?)


黒幕「視聴率(すうじ)が取れそうだったので入れときました」キリッ


霧切(どう言う意図かは知らないけれど…)


大泉「そん時のねぇwwwww安田ったらねぇwwwww」

葉隠「知ってるwwwww雪に埋まってたやつなwwwww」

大泉「あらご存知!」

葉隠「知ってるべwwwwwリアルタイムで見てたwwwww」

大泉「あれは神が舞い降りてたねぇwwwww」

葉隠「俺あれも好きwwwww生霊安田wwwww」

大泉「おめぇあれ笑うけど、なーまらこえぇんだぞ!」

葉隠「いやあれはwwwwwモリが「ハイチーズ」っつって普通に写真撮ってっからwwwww」

大泉「あのおっさんは怖がんなさすぎなんだよwwwww」

葉隠「そもそもヤスケンどんだけ見つかんだwwwww」

霧切(かなり通ね、葉隠君!?)


※Tips…【生霊安田の心霊写真対決】
【ハナタレナックス】の最初期企画のひとつ。発案(のちにスタッフであった事が判明)、企画MCは安田顕。
【HTB本社ビル】を丸ごと貸し切りお化け屋敷化して、その中のお化けの写真を何枚取れるか?を競った。
MCである安田を撮影すると高いポイントが得られるため発見されると逃走するのだが、何度逃げても森崎に発見され撮影された。
ビビリで御馴染みの大泉・戸次がとにかく悲惨な事になった。最強の刺客・ピンクのせいで大泉が半泣きに。
最後には撮影した写真を無理やり心霊写真と認定し、戸次へと【恐山旅行】の罰ゲームを行ったのだった。

葉隠「あとなんだろなぁ…」

大泉「っはっはっはっはっ」

霧切「は、葉隠君?」

葉隠「ん?なしたん?wwwww」

霧切「もういいの?葉隠君、その…セレスさんの話は…」

葉隠「あ?ああ……」

霧切「………」

葉隠「………」


霧切(やっぱりまだ根に持ってるわよね…あれだけ怒っていたんだし…)







葉隠「その話もうしたからいいわwwwww」

大泉「軽いわ!軽すぎるわ!wwwww」

霧切「えっ」


霧切(いや、いや、きっと酔ってるからだわ!)


葉隠「だって悪いのはモノクマだろwwwww」

大泉「よっ!よく言った葉隠ぇっ!その通りだっ!」

霧切「えっ、ちょっ…」

葉隠「それにセレスっちの言う通りだしなぁwwwww騙された俺にも非はあるべwwwww」

霧切「いや、ないと思…」

大泉「そうだ!そうだぞォ!騙されやがってこのォ!wwwww」

葉隠「すまんべwwwww」

霧切「あの」

葉隠「あ、onめんなさいwwwww」

大泉「それで許すと思ってんのかおめぇはよぉ!wwwww」

大泉「………許ーすッ!」

葉隠「っはっはっはっはっwwwww」手ぱんぱんっ

霧切「」

霧切(ダメだ!酔ってる!凄まじく酔ってて正常な思考が働いてない!)

霧切(………だから私も連れて来たのね
?!)

ーーーーーーーーーーーーーーー




約1時間前




ーーーーーーーーーーーーーーー


葉隠「止めんな大泉っち!」

大泉「分かるけど!分かるけどやり返したらおんなじじゃねーかよ!」

葉隠「俺はッ、あの女本気で殴らねぇと気がすまねぇんだって!」

大泉「ああ分かるぜ葉隠ェ、俺も被害者だかんな」

葉隠「ならなんでオメーは怒ってねぇんだよぉッ!」

大泉「………まぁ、そうだねぇ」

大泉「生きてるだけで充分じゃねぇの。それにセレスの計画は潰したんだしな」

葉隠「けどそんなやつ信じろったって」

大泉「まあまあまあまあまあ、とにかくぐーっと飲め。な?」

つ泡盛

葉隠「………」

葉隠「………そうかい?」←にやけた

大泉「おぉ、そうだよぉ。まずは一回グッ!と飲んでさ?」

葉隠「四の五の言うな、男は零だッ!と!」

大泉「それてめぇ!上杉だろ!?」


※Tips…【生粋】
旧【サッポロ飲料】、現在の【ポッカサッポロフード&ビバレッジ】から発売されていた缶コーヒー。
北海道で先行発売されたのち、好評だったため全国展開された。2013年の【サッポロ飲料】と【ポッカ】の統合時に終売。
葉隠の言っている「男は零だ!」は、生粋シリーズの【零仕立て】と言うコーヒーが発売された時のフレーズ。
【ブギウギ専務】にてプロモーションを行った【上杉周大】が出演、またCMで流れる【生粋のナンバー】の作詞作曲を担当した。
(その後ブギ専の缶コーヒープレゼントにイッチは当選。コーヒー1ケースと、CMソングのCDが入ってました。アルバム収録の【生粋のナンバー】とはアレンジがちょっと違うんだよねー。)


大泉「とにかくな、俺ぁ…よ、セレスの事も信じてやりたいんだ」

大泉「そんなセレスを、そんなあいつをな」

葉隠「なんでオメーはそんなに…!」

大泉「帰るぞ」

霧切「……」

葉隠「……」


大泉「誰一人欠けず、絶対に、俺達は外へ帰るぞ」

葉隠「…だけどそれとこれは」

大泉「はい飲む!」ぐーい

葉隠「」あぶあぶあぶ

霧切「ちょっ、大泉さん!?」

葉隠「………」ほけーっ

大泉「ほい、どんどん飲みなよ」

葉隠「んあ………」ほけーっ

大泉「はい!はい!」

葉隠「んー………」ぐーい



ーーーーーーーーーーーーーーー









ーーーーーーーーーーーーーーー



葉隠「っひゃひゃひゃwwwww」

霧切(すっかり出来上がっちゃった…)

大泉「っはっはっはっはっwwwww」

霧切(いつの間にか大泉さんもベロンベロンだったし…)

大泉「なwwwwwおめぇもうセレスが許せるだろ?wwwww」

葉隠「もうどうでもいいなwwwww」

霧切「それでいいの!?」

葉隠「いやぁ、俺ぁちゃーんと考えて言ってるぞッwwwww」

大泉「そうだぞォーッwwwww葉隠だってぇwwwww大人なんだからぁwwwww」

霧切「いや、その」

葉隠「………なぁ霧切っちwwwww」

霧切「あなたはただ酔ってそう言ってるだけでしょう…?」

葉隠「まあ聞けって」

霧切「!」

大泉「…だそうだよ?子猫ちゃん」

霧切「………はい」


葉隠「俺は………誰にも信じてもらえなかった」

霧切「………」

葉隠「俺の言う事は誰にも信じてもらえなかったんだ。3割ったって、全然信用してもらえなかった」

霧切「………」

葉隠「それでも俺はみんな信じてよ、でも騙されて騙されて、誰も信用出来なくて」

葉隠「だから俺は俺と、占いだけ信じてやってきた」

大泉「………」酒ぐいっ

葉隠「占いは確かに外れる…外れる事もある。でも、それは確定した3割なんだよ。あったかもしれない未来だ」

葉隠「だからこそ俺はそれを信じてきた、ずっと」


霧切(ここまでの信頼は何…?【確定した3割】………どう言う事、なの?)

霧切(………彼の過去に…何があったの…?)


葉隠「……今俺は何してる?誰かを騙してるのか?」

霧切「………」

葉隠「俺が誰かのためになる、って思ってやってる事は、誰かを騙すような事なのか?」

大泉「………」

葉隠「もしそうなら」

葉隠「………」

葉隠「………」

大泉「………」

霧切「………」

葉隠「………」

霧切「………そうなら?」

葉隠「………」

霧切「………?」

葉隠「………グー」


ーーーーーーーーーーーーーーー




寝た




ーーーーーーーーーーーーーーー


霧切(………えええええ………?)

大泉「………ちょっとだけ、垣間見れたな」

霧切「え?」

大泉「こいつの、深いとこだよ」

霧切(指を指す先には、随分安心した様子でぐーすか寝ている葉隠君がいた)

霧切(私はそうね、と短く返して)

ーーーーーーーーーーーーーーー




翌朝




ーーーーーーーーーーーーーーー








大泉「………」げっそり

葉隠「………うえぇ………」

霧切「」


霧切(………しばらく、二日酔いの彼らの世話を焼く事になったのだった………)





葉隠「………あー、でもスッキリしたべ」

霧切「それはさっき吐いたからでしょう!?」

大泉「っはっはっはっはっwwwww」

はいここまで。
3章よりハードルが高い4章です。どう考えても、全員脱出のキーはさくらちゃんと葉隠。
なんかまたへんなとこあったらごめんな。

>>26
すまんな、方言フェチ出ちゃった。

>>29
おぉなんだい?僕ぁ一生どうでしょうしますよ?

>>30
実はおにぎりって最近ちゃんと見れてない。藤尾君がいっつも資金やっすいのしか引かないとこしか見てない。

>>34
バレたわ。

>>38
こっちの1さんは何と言うか知らないけど、僕ぁ一方的に応援するよぉ。
ただーし!迷惑になるから向こうにこっちの話を持ってったり、逆の事は止めてくれッ!

有吉ゼミみて思ったのは戸次さんってなんだかすごい残念な人

いま、東京MXで欧州制覇シリーズやってるけど、大泉はなに食べても「美味しくない」「酷い」「マズい」しか言わなくて感じ悪いのな

>>78
大泉さん、どうやら外国の食べ物が基本苦手みたいですね。欧州シリーズでは確かにいつも「まずい」と言ってました。
ただスタッフ以下誰も否定しないところを見ると、日本人の口に合わなかったのでは?と言う弁解は出来る。と思います。
その点、アメリカの時なんかは全く弁解出来ないんですけどね。吐いちゃったのは体質の問題だとしても。
ユーコンの時はマズかったの、大泉作のグレーリング飯(魚一尾まるごと米と一緒に炊いた料理)だけだしなぁ。

それに比べて大魔神藤村の胃のなんと強きことか…

いいかい?
うぬぼれるつもりはねぇんだけどねぇ、僕ぁねぇ、チャプター4に入ってようやく再構成って難しいなァって思ったんだよぉ…
つまりどう言う事かってぇとスランプなんだなぁ……なるべく早く書きたいけど、書けねえんだもんなぁ……

チャプター4が難しくて本編進まないなら、まったく関係ない短編と言うか番外書けばいいじゃない!
スランプの時って、書いたら直る時とチャージしたら直る時とあるからなぁ。
とりあえず待ってるぜ
おにぎり暖めますかでも見てチャージしろい、だべみ

私も波瀾爆笑でおみまいされたので、なるはやで次を書いてみんなにおみまいする予定!お待ちください。
最近洋さんよりJさんのがテレビ映ってんじゃねーかと思うくらいJさん見る。

どうあがいても面白くならないけどできてる分だけ投下しろと大泉が言うので


「いいから投下しなさいよ!」

「いいのかい?」

ーーーーーーーーーーーーーーー






17日目朝







ーーーーーーーーーーーーーーー

苗木(ずっと聞きたい事があってモヤモヤしていた)

苗木(だから事実が分からないのに、これを話すなんて出来なかった)

苗木(………霧切さん、ごめん。ボクは………)




◆食堂




がちゃ


苗木「あ、大神さん!」

大神「………苗木か」

苗木「昨日は調子が悪かったって……その、だ、大丈夫?」

大神「ふ…問題ない。プロテインを飲んだからな」

苗木「プロテイン?」

大神「先程朝日奈に聞いたのだ。4階が解放されたのだろう?」

苗木「…あ、そうそう!話が早くてよかった。それで…」

大神「科学室とやらに高級プロテインがあったそうだ。保健室にあるものとは段違いの、な」

苗木「……えーと……そうなんだ…?」

大神「ああ。あのプロテインの質はかなりよかった。さすが希望ヶ峰学園と言うところか」

大神「………あやつにも一口、食わせてやりたかったが………」

苗木「え?今…」

大神「む?どうしたのだ、苗木よ」

苗木「………あの」


苗木(違う、違うんだ。ボクは聞きたい事があったから話しかけたんだ)



―――我はもう決めたのだ!もう引かぬ!もう媚びぬ!もう省みぬと!

―――仲間は信用する、なんて言ってあなたは仲間を全く信用していなかったのね。


―――………最低。



苗木(聞かなければ、あの事を)




―――ボクは言っちゃってもいいんだよ?『内通者』の事をさ!ブヒャヒャヒャヒャ!

―――あなたがそのつもりなら、私にも考えがあるわ。

―――あなたなんか、信用するんじゃなかった。





―――ねぇよ、希望なんか。





苗木(………大神さん)

苗木(15日目の夜、霧切さんに言われて見に行った、【2階男子トイレの隠し部屋】…)

苗木(そこには、見た事のない本がたくさんあった。きっと、黒幕も知らなかったボク達のための情報なんだろう)

苗木(そこで見つけた『外には出るな』と言う警告文)


苗木(あれはなんだったんだろう)


苗木(確認しようと思ったら後ろから何者かに殴られて……気を失ってる間に、本もメモもなくなっちゃってたし…)

苗木(…でも、もっと気になるのはその帰りに体育館で見た、大神さんとモノクマだ)

苗木(大神さんはモノクマと戦っていた……)

苗木(モノクマは…「人質」がどうのと言っていた…)

苗木(そして大神さんは、モノクマにはもう従わないと告げていたんだ…)

苗木(…もう従わない、だ。と言う事は…前は従っていたのか?)

苗木(……もしかして……)


苗木(でも、信じたくない)


苗木(だけど疑わなきゃいけない)



苗木(………大神さんが………




内通者なのか?)



苗木「あの、大神さん…」

苗木(そうだ、早く聞かないと)

苗木(ボクは、モノクマが以前に脅していた事も忘れて言葉を紡ぎかけた)

苗木(そう、仮に聞けたとして、大神さんが言うわけがなかった)


───なんせ、モノクマは「バラしたら殺す」と言っていたはずだったのだから



大神「………もう良いか?」


苗木(だからボクは不意を突かれたような声を上げてしまった)


苗木「え?」

大神「まだあまり調子が戻っておらぬのだ。済まぬが、部屋に戻らせてもらおう」のし

苗木「あ、えと、あの…」

苗木(大神さんは、腕に包帯を巻いていた。モノクマと戦って……怪我を?)

苗木(けれどなんと聞けばいいのか、頭の中で整理出来なかったボクは、)

苗木「………うん」

苗木(彼女を引き止める事に失敗してしまって)


ぎいい
ばたんっ


苗木(………分からなかった)

苗木(このモヤモヤは一体、どうしたらいいんだろう)


苗木(疑いたくないのに、疑ってしまう自分の戒め方を、ボクは知らない)

ーーーーーーーーーーーーーーー





一方

大泉の部屋






ーーーーーーーーーーーーーーー

大泉「あー……頭痛ェー…」

霧切「昨日はお楽しみでしたね」

大泉「あー………まぁね。大人になったら君もどうだい一緒に」

霧切「遠慮します。あんな飲み方には付き合えませんから」

大泉「…そうかい」

霧切「そもそも怪我人のくせに生意気です」

大泉「………」

霧切「………額。」


(監視カメラからでは見えにくい…が、大泉の額には包帯が巻かれている。下にはガーゼが貼ってあったようだ)

(セレスとの対決時、山田に闇討ちされた大泉の額は裂けていた)

(その後セレスに手当てしてもらった名残である。前日から付いていたようだが、今やぐちゃぐちゃになり取れている)


大泉「い、いやー、昨日ははしゃぎすぎちゃってねぇ!」はっはっは

霧切「………巻き直しますよ」

大泉「…いいよ、そんな」

霧切「私も、他の生徒もよくありません」


(霧切が大泉の頭の包帯を巻き直している。この状況を見越していたのか、新しいガーゼも用意してある)


大泉「……悪いね、いろいろ」

霧切「悪いなんて……少ししか思ってません」

大泉「思ってんのかい」

霧切「多少は。絡み酒が過ぎますよ、ふたりとも」

大泉「楽しくなっちゃうんだよなァ」

霧切「にしても、失うものが多すぎませんか?………はい、終わりましたよ」びっ

大泉「お、ありがと子猫ちゃん」

霧切「そう思うならご自身を大事にしてください」

大泉「……ま、いいじゃない?葉隠とちょっと分かり合えた…っぽいし」

霧切「………」

大泉「ね?」

霧切「………あなたがそう言うならそう言う事にしておきます」

大泉「そう睨むなっちゅうの、いでででで」

霧切「傷?それとも二日酔いですか…?」

大泉「……どっちも、らしいねぇ。酒で血行良くなりすぎたか、ちょっと飲みすぎたべか……」


がちゃ


葉隠「ゔー………」

大泉「おぉ、おめぇ先に起きてたのかい、葉隠」

葉隠「…まぁな…つーか、気持ち悪くて目ぇ覚めてよ」

霧切「……あらそう」

大泉「奇遇だねぇ」

葉隠「あー……大泉っち、まさかとは思うけどオメーもか?」

大泉「おう、葉隠ェ……ってぇ事はおめぇもかい」

霧切「飲み過ぎたのね?」

葉隠「………」そっと目をそらす

霧切「葉隠君?」いらっ

葉隠「はい」

霧切「飲み過ぎたのね?」

葉隠「はい」

霧切「吐いたのね?」

葉隠「はい、吐きました」


ーーーーーーーーーーーーーーー


葉隠さんリバース!!
(でんでんっ!)←緊迫したSE


ーーーーーーーーーーーーーーー


大泉「あんなに余裕こいててリバースかよぉ」

霧切「飲んでる量が異常でしたから、彼」

大泉「安田といい勝負すんじゃねぇかってくらい飲んでたもんなぁ」

霧切「あの人は……」

葉隠「ちげぇって、大泉っちがよえーだけ……ゔー」

大泉「うるせぇな!」

霧切「でも安田さんも確か泡盛で記憶を無くしてたような…」

大泉「あー、そうだったかも……」


※Tips…【安田顕】
やすだ・けん。室蘭市出身の舞台俳優、【TEAM NACS】の2番手にしてサブリーダー。又の名を【北海道の最終兵器】。
よく飲みよく脱ぐ。ナックスちんちんのあだ名は伊達じゃなかった。北海道一前張りの似合う男である。真冬にほぼ全裸でドラマ撮ってた(ドラバラ)。
不器用すぎて業務用の掃除器具が取り扱えず、コードに絡め取られ、器具ごと自分が回った。これを【安田ポリッシャー】と呼ぶ。
また不器用すぎて、4WDの車を大破させた事もある。その時助手席には森崎が座っていた。…もちろん、ふたりとも無傷であった。
(ただの事故映像なんだけど、これを無修正で面白いって流すハナタレもハナタレである。なおこの時大泉は爆笑していた模様)
その前には全速力のポケバイで思いっきり転倒してたけどやっぱり無傷だった。天才怖い。


葉隠「あ"ー、俺今日は無理。寝る」ぼふっ

大泉「おい待てよォ!おめぇだけ寝かすわけねぇべやこの!」

葉隠「うるせぇうるせぇ!頭に響……あー!」

大泉「俺も頭いてぇの!怪我してんの!」

霧切「……全く夜から朝まで騒がしい……」くすっ

大泉「おめぇのせいだ葉隠っ!」

葉隠「うるせーって!」

ーーーーーーーーーーーーーーー




あさごはん





ーーーーーーーーーーーーーーー


大泉「」

葉隠「」


(ふたりとも魂が抜けたように座っている映像)


大泉「」

霧切「おはよう、朝日奈さん」

朝日奈「………食べないの?」

大泉「」

葉隠「」

ーーーーーーーーーーーーーーー
















ーーーーーーーーーーーーーーー

大泉(体調の戻らないせいで、その日の昼は必然と葉隠が共にいた)


葉隠「………」ぐでー


大泉(ふたりとも、朝飯も食べる気が起きず、食堂でぐったりしていたのだが)

大泉(まぁ寝た方がいいだろうと再び俺の部屋に引き返したのだった)

大泉(事態が事態なので、大の男がふたり並ぶには多少狭いが致し方がない。俺と葉隠は隣同士で天井を見上げている)

大泉(しかし悔やまれるなぁ)

大泉(………本当ならこんなのを、子猫ちゃんや朝日奈ちゃんとするはずだったんだぞ…くそー、葉隠は許されねぇ事をした)

大泉(だってそうじゃねぇか、俺の純情を返してくれよ!)

大泉(ちっくしょー。ここ出たら相手取ってやる)


葉隠「あー……昨日飲みすぎたの、今んなって反省してるべ……」

大泉「あれ罠だよなぁ……」

葉隠「………まー、話出来たからいいけど」

大泉「って言うかねぇ、君ね……昨日の事ちゃんと覚えてるかい?」

葉隠「あ?も、モチのロンだべ?」

大泉「ほんとかよ…」

葉隠「大泉っちこそ怪しいもんだべ。ちゃんとなんの話したか、覚えてんのかよ?」

大泉「ぁあ?」

葉隠「だからなんの話したか覚えてんのかって聞いてんだよスズムシ」

大泉「ぉお?やんのかヒゲおい」

葉隠「どこもヒゲじゃ………いやこのヒゲはむしろチャームポイントだべ!」

大泉「んな事ぁ聞いてないんだよぼかぁ…っつーか大声出さんでくれるかな、頭に響く」

葉隠「自分で言わしといて…いや、まぁいいけどな」

大泉「はぁ……君じゃ張り合いがないね」

葉隠「張り合いとか知らん!」

大泉「……ふぅ」

葉隠「……」

大泉「………」

葉隠「………」

大泉「………」

葉隠「………」

大泉(沈黙が苦しい)

大泉(何が悲しくてこんな髪の毛もっさいやつと横並びでぐったりしてんだ俺は)


大泉「………葉隠」


大泉(何か言わないといけない気がして口を開いた)


大泉「おめぇ、その」

葉隠「もう諦めついたから」

大泉「………え?」


大泉(さっきまでと声色の違う、突然の言葉で俺は突拍子もない声を上げた)


葉隠「セレスっちの事だべ?」

大泉「ああ、やだな…なんだ、ほんとに覚えてたの」

葉隠「だから覚えてるっつったべ」

大泉「いや、まぁそうなんだけどもね…?」

葉隠「あんまり本意ではねぇんだけどな、ほんとならもっと色々聞きてぇし…」

大泉「……大人になったんでないの…」

葉隠「いや元から大人だしよ……もうどうこう言う気ねーって…めんどくせぇし」

大泉「………ああ、そう」

葉隠「………」

大泉(なんだろう)

大泉(めんどくせぇ?葉隠のその答え方に)

大泉(嫌な予感が、そんな予感が、ふとした)

大泉(なんでかは分からない)

大泉(強いて言うなら、直感だった)



葉隠「それに、もういいしな」

大泉「なにが?」

葉隠「俺は………」


大泉(そこから、あいつらしからぬ沈黙が数秒続いて)


葉隠「いや、何でもね」

大泉「そこまで言ったんなら言えよ…」

葉隠「………」


大泉(けれど言えなかったのは、きっと仕方がなかった)

大泉(なんで気づいてやれないんだろうかって、終わってから毎回後悔する)

大泉(だってそうなんだ。決定的に、双方の見解が間違っていたんだと気付いたのは)



大泉(俺が甘かったって気付かされるのは)

大泉(この生活が、どれだけ葉隠を追い込んでたのか)

大泉(モノクマのあの言葉が、どれだけの影響を与えてたのかは)



大泉(そしてそれを実感するのは)

大泉(…もっとずっと後の話なんだ)


ーーーーーーーーーーーーーーー






夕方





ーーーーーーーーーーーーーーー


◆校舎へ続く道





大泉(そろそろ頭を冷やしなさい、と自分に言い聞かせて立ち上がった)

大泉(あれからしばらく葉隠とは、どーでもいい話をしてたな。最後は僕が葉隠を部屋から追い出した)

大泉(娘の事を言ってきたので本気で3発ほど殴ってしまった気がする。あの野郎には絶対娘は近づけない、そう絶対にだ。来たら殺す)

大泉(………そう言えば)

大泉(ふと、映像がよぎった)



大泉(なんで、あの映像は娘じゃなかったんだ)



大泉(最初の、殺意を起こすためのDVDだ。ふと思い出した事が、俺の頭に引っかかった)

大泉(殺意を起こすためだ、娘でいいはずだ)

大泉(いや、娘じゃなくて安心はしたんだけど、なんで娘を映像に映さなかった?)


大泉(それとも映せなかった?なにか理由が?)


大泉(解せない)

大泉(その謎が未だに頭に引っかかって離れない)

大泉(確かにあいつらも大事だ。だけど親になった今の俺が一番大事にしてるのは、やっぱり自分の娘なのに)

大泉(逆に言えば、恐らくあいつらでなければならない理由がある)

大泉(それが何かまで、俺には残念ながら推測が出来ない)

大泉(けれど確実に理由がある)

大泉(一体その理由ってのはなんだ?)

大泉(娘や家族ではなく、そちらを映した理由は?)

大泉(この学園生活には、まだ秘密がありすぎる)



大泉(黒幕の狙いはなんだ?)







大泉(なんて思っていたら)



どんっ




大泉(曲がり角で、そう……購買に向かう曲がり角で誰かにぶつかり、しまいには跳ね返された。………ん?跳ね返された?)




大泉「うおわっ」よろよろ

舞園「あ、だ、大丈夫ですかっ!?」

大泉「………ま、舞園ちゃん?」

ーーーーーーーーーーーーーーー







エントランス







ーーーーーーーーーーーーーーー

舞園「………それでこちらに、ですか」

大泉「まぁね。ちょっと歩けば、もっと頭がすっきりすんじゃあねぇかと思ったんだけども」

大泉「よくよく考えたら外に出れねーんで、風に当たれないよねぇ。俺やっちゃったなぁって思ったりしたのよさっき」

舞園「あはは、大泉さんらしいですね」

大泉「内緒よ内緒」

舞園「いきなり歩いてきてぶつかるから…どう言う事かと思いましたよ、始めは」

大泉「驚かせちゃったんなら悪かったって!」

舞園「いいえ?今日はあんまり姿を見ないからどうしたのか、少し心配してたんですよ」

大泉「………あらそうかい?」

舞園「ええ。大泉さんはいっつもみんなを笑わせてくれるから」

大泉「え?ほんと?(いい声)」

舞園「本当ですからね」

舞園「だから、いない分普段より寂しく見えたんです、どんな風景も」

大泉「そう言われるんなら役者冥利に尽きるね」

舞園「………ほんとですよ?」

大泉「あんま言うと嘘っぽいから止めて?」

舞園「それにしても」

大泉「ん?なに?」


舞園「…まさか倉庫にお酒があったとは思いませんでしたね。調理酒ならともかく、飲酒用って…」

大泉「確かになぁ」

舞園「モノクマは確かに、「学び舎だから置いてない」と言ってたはずです、それなのになぜ…」

大泉「それな。一体なんでだろうねぇ?突然なんだよなぁ…」

舞園「もしかして黒幕の仕業なんでしょうか?」

大泉「さぁねぇ。そんなら狙いがわかんねぇけどな。酒なんて喜ばせるだけじゃないの」

舞園「………例えば、大泉さんに派手に動かれたら困る人がいるから、足止めに使ったとか?」

大泉「ぇえ?」

舞園「お酒とか、飲める人は限られますし」

大泉「だとしたら、娯楽が足りない成人男性が何を求めるか分かって欲しかったもんだけどね」

大泉(そんなもん当たり前だろ!!



 A V だ よ ! ! )






大泉(………当然舞園ちゃんには言えないので黙ってました、が)



舞園「…そうですよね、そう言うものが欲しいですよね」

大泉「…ん?」

舞園「いえいいんですよ?男性がそう言うものを欲しがるのは当然だと思います!」

大泉「いやちょっ、待って舞園ちゃ」

舞園「むしろその方が健全です!」

大泉「あの」

舞園「でも………その、女性の前でそう言う事考えるのは危ないですよ、大泉さん」

大泉「」



大泉(おいエスパー?なに人の考え読んでんだコラ、止めとけよ?)



舞園「………」

大泉「………後生だからそれは誰にも言わねーでくれんかね」

舞園「………」

大泉「………」

舞園「………」ちらっ



大泉(しかし無情にも、舞園さやかはちらりとそのエントランスに付けられている監視カメラを見つめて)

舞園「………」にっこり

大泉(天使のような悪魔の笑顔を浮かべたのだった)



大泉「ななな、なんで笑ってんのよ」

舞園「え?いえ、なんでもないですよ?」にっこり

舞園「ただ………」

大泉「ただ?」

舞園「手遅れかもしれませんね………色々と………」


大泉(それを聞いて俺は初めて、この生活の恐ろしさを知ってしまった)

大泉(と同時に)

大泉(部屋にも監視カメラがある事を思い出してしまったのである)

大泉(いや、忘れていたわけではないのだけれど、それでも隠せば何とかなるかな?とか思っていたわけで)

大泉(それは僕の主観だ。カメラがあると言う事は、隠しカメラだってあるに違いないのだし…つまりなんと言えばいいのか)

大泉(僕のビッグマグナムがね?こう、ね?黒幕の…ほら、網膜に焼きついて離れないなんて事になったら……ほら……)


大泉(………………………)


大泉(………さてここで問題だ。僕は何回、部屋でいかがわしい行動を取っただろうか?)

大泉(答えはほぼ毎日)

大泉(それを思い出した時の僕の気持ちったらもうね)


大泉「あ………あぽ………?」


大泉(時間は取り返せない、それってすごく重い事だなと思いました)


ーーーーーーーーーーーーーーー






終了(ドラのSE)






ーーーーーーーーーーーーーーー


大泉「これじゃなんだか俺が不埒な男みたいだねぇ、おいおい止めてくれよぉ!」

大泉「ぼかぁ紳士的な男なんだよぉ?そんなねぇ」

舞園「分かってますから!」

大泉「でもさぁ!」

舞園「大丈夫ですよ!モノクマ以外には見られてないはずですから」

大泉「…ああ、まぁそうだろうさ。学園の中の映像だからな」

舞園「多分、ですけどね。万一外に漏れてたら……」

大泉「…おいおい、それって一体?」

舞園「ほら、モノクマが言ってたじゃないですか」


ーーーーーーーーーーーーーーー



回想



ーーーーーーーーーーーーーーー


モノクマ「いやね、ほら、大泉クンがさぁ、やってくれたじゃない?」

モノクマ「『ナゾ解明ッ!』って」

大泉「おい、バカにしてんのかてめぇ」

モノクマ「そそそそそんなわけないでしょ!腹筋崩壊したからYouTubeとかニコニコ動画に転載しちゃおうかな?とか一瞬も思ってないから!」

不二咲「か、監視カメラの映像をそんな事に使うなんて最低だよぉ!」


ーーーーーーーーーーーーーーー



終了



ーーーーーーーーーーーーーーー


舞園「あれを聞いて思ったんです」

大泉「へ?」

舞園「もしかしたら………私達の様子をほんとに外に見せる事も可能なんじゃないかなって」

大泉「………え………?」


大泉(その発想は、今まであるようで実のところなかった)



舞園「たとえ話やからかいにしてはやたらと明確だったんです。つまりこれって、事実なんじゃないかと思うんです」

舞園「例えば、監視カメラの映像を……それこそYouTubeにアップするくらい出来そうな、そんな言い方でしたから」

舞園「もしかして私の寝顔がインターネットに流されてたりして?それなら事務所に言わないといけませんね」

大泉「でもあのモノクマだぜ?信じてもいいもんなのかねぇ?」

舞園「いいんじゃないですか?」

大泉「それにさぁ、舞園ちゃん?ちょっと待ってよ」

舞園「どうしました?大泉さん」

大泉「だって、だってそんなの誰が得するんだい?外の人が俺達なんか見たら」



大泉(…あ)

大泉(その先の言葉を、僕は慌てて飲み込んだ)



大泉「………!?」

舞園「気付きました?」

大泉「………舞園ちゃん、それ以上は言わない方がいいと、俺は思うんだよな」

舞園「そうですね、ふふっ。まだ…終わるわけにはいきませんから」

大泉「………」


大泉(恐ろしいまでの洞察力だな、舞園さやか…何よりも冷静すぎる)

大泉(今思えば、桑田を狙った事すら完璧な計算だったと称賛出来るほどだな)

大泉(この子…どこまでそれを読んで……)


舞園「でもあくまで仮に、の話ですから」


大泉(しまいにはこうして釘を刺してくる余裕まである…彼女は…)

大泉(とりあえず敵じゃなくてよかった)



舞園「そう不安がらないでくださいよ、大泉さん?絶対に大丈夫ですって!」

大泉「へ?」

舞園「大泉さんがへんな事をしているシーンは流されていないと思いますから!」きりっ

大泉「お、おう、そうだねぇ、そうだねぇ」





大泉(その日、俺はブンブンより、あるいは死ぬより辛い刑を受けた気持ちで部屋に帰ったのだった)

ここまで。ほんとは動機提示まで行きたかったけど無理でしたァーン!
あらかじめ言っておきます。さくらちゃんと葉隠の衝突は避けられません。でも死人は出ません。


>>77
あいつは残念な男なんです。
ガンダム見ながら泣いてる男なんです。
そんな彼は、「ゴッドタンのキス我慢出たい!」とブログに書いて実現しました。かっけー。

>>80
鉄の玉を飲むおじさんをなめてはいけない。

>>87
短編はいつか書きたいんですが、このメンツのこの雰囲気で、そしてこのタイミングではむづかしくってねぇ。
Chapter4終わったらやろうかねぇ。


そして大泉・安田・戸次出現情報ありがとうございます。
次は音尾・森崎を見つけたら教えてください。
特に森崎見つけた人は多分道民です。捕まえろー!

音尾と言えば今度主演舞台が行われると聞いたぞ

あと何日家で来れたら来たいという宣言

ちゃんとサイコロで札幌行き出したら帰れるで(ニッコリ

今朝のZIPで女性用タイツを穿く大泉洋をみて、やっぱりこのお方はすごいなと思いました

この前あのはかた号がリニューアルするというニュースを見たなあ…
…誰か乗る人いねえかなぁ

藤村「おい>>1!いつまでかかってんのよこんなもんに!」

1「ぁあ?!」

藤村「出すぞ!HTML化スレに依頼出すぞ!」

1「やめれ!今書いてるだろ?」

藤村「あと15分で書いてください」

1「なにぃ?」

藤村「でなければ我々(依頼を)出します」

1「待てよおい!おぉい!」


終了(ドラのSE)

ーーーーーーーーーーーーーーー















ーーーーーーーーーーーーーーー

大泉(ひどい辱めを受けた)



大泉(しかもそれをモノクマに見られていると想像しただけで絶望しそうだよ、僕は)

大泉(もうカメラ嫌いになりそう)

大泉(けれどそれって、そんな会話でだらだら出来てたってのはぁ、実のところ平和である事の証明だったりしたんだ)

大泉(誰かと誰かが睨み合いしてたんじゃおちおち大法螺も飲めやしねぇさ)


───ぴーんぽーんぱーんぽーん!


大泉(だからこそ、それは俺に、俺達にとっての本当の絶望の報せだった)


───えまーじぇんしー!えまーじぇんしー!

───ちょっとこれから発表があるから、体育館に今すぐこーい!

───来なかった子はオシオキだよ!


───こんなくだらない事で死にたくないでしょ?



大泉(生徒を殺すような、そんな事本当にするのか?)

大泉(疑う余地はいくらかあった。それでも、そんな慢心で死にたくはない)

大泉(なんせ初日に爆発してるロボットだからな、モノクマは)





(それに)

(あいつの思惑に反して、誰も死んでないんだ)



(見せしめが一人くらいいてもおかしくない)

ーーーーーーーーーーーーーーー





体育館





ーーーーーーーーーーーーーーー




モノクマ「待ちくたびれちゃったぁぁぁんもうっ」

モノクマ「あんまり遅いからどうでしょう本読み終わっちゃったよ!!」

モノクマ「しかも2冊ともだよ2冊ともっ!!いいからさっさと3を出せ!!」

十神「黙れ」


※Tips…【どうでしょう本】
藤やん(藤村D)とうれしー(嬉野D)が全編書き下ろし、さまざまな企画や特集、さらに大泉・鈴井の連載などが載せられた豪華な本。
水曜どうでしょうの美術スタッフ【BgBee(びじーびー)】がイラストを担当しており、彼らの作った広告などが載っている。
一番後ろには【今日のonさん】なる安d…onさんのページも。そしてスタイリスト大喜利では、おやびんことスタイリスト小松の仕事がうかがえる。
1号はスペイン、2号は四国を特集。ちなみに2号でD陣とともに四国の取材に当たったのは、チームナックス森崎。
森崎は本編こそ四国逆打ちにしか出ていないが、意外なところでどうでしょうに絡んでいる。(ドラマ脚本会議やリターンズの構成など)
なお第3号も発売予定だが日時は一切未定である。特集は【いっそ九州】で、これだけ決まっているらしい。そして森崎はここにも同行したとの事。
(なんでそのおっさん連れてって俺にはなんもないの?と大泉がキレそうだが仕方ないね)


モノクマ「3号の着手が2007年だよ!?それからどんだけ待たせんだよ今何年だと思ってんの!!」

大泉「水曜どうでしょうのスタッフにスピード感求めちゃダメよ?」

霧切「作りたい時に作る、それが彼らどうでしょう班」

モノクマ「待たされる身にもなれよぉ!」

舞園「それ愛情なんですか?番組への」

モノクマ「不器用だからね……ってうるさい!」

霧切「あなた、ろくろと一緒に回るタイプね」

葉隠「お前が回るんだったらろくろ止めろよ」

モノクマ「誰がヤスケンだよ!やめてようるさいな!!」


※Tips…【お前が回るんだったらろくろ止めろよ】
【シェフ大泉 夏野菜スペシャル】の一幕より。
料理を作るはずが野菜がないので畑を耕し、ようやく野菜が出来たと思ったら今度は皿がなかった。
そのためシェフ大泉一行は皿を作るために陶芸をする事となる。
(その前にパイ生地腐らせたり、「パイ食わねぇか」発言があったりした)
しかしそこで、onさんこと安田はあまりに不器用すぎたために、ろくろを回しながら皿が作れなかった。
結果ろくろと共に体が回ってしまい、大泉に上記のセリフを突きつけられるはめとなる。


モノクマ「もう!スゴイシツレイ!」

桑田「どーっでもいいから早くしろよ」

モノクマ「ねぇ君達学園長をなんだと思っ」

不二咲「ま、マスコット?」

モノクマ「違いますけど!?」

朝日奈「ちょっとモノクマ!私、まだ寝る前の50mの最中なんだからさっさとしてよ!」

モノクマ「ボクの発表とそっちとどっちが大事n」

朝日奈「プール!!!」

モノクマ「ああんもうっ!じゃ分かった分かったって!さっさと発表して終わらs」

霧切「先生、まだ腐川さんが来ていません」

大泉「何ィ!?あいつ死ぬ気か!?」

モノクマ「あああああああああ!!」

ーーーーーーーーーーーーーーー







数分後







ーーーーーーーーーーーーーーー

腐川「」ぐったり

モノクマ「揃ったね!」

山田「すでに一名脱落してるんですがそれは」

モノクマ「揃った!揃ったんだよ!」

大泉「パワープレイねぇ…」

葉隠「おーい、腐川っち……?」とんとん

モノクマ「もう発表するから。ね?分かったかい?」

苗木「モノクマ…腐川さんに何をしたんだ!」

モノクマ「何をしたっていうか、探したら大浴場で逆上せてたから連れてきたけど?」

石丸「くっ……ありがとうございます!」

江ノ島「すっげー悔しそうな顔してお礼しなくても」

大和田「なんで逆上せてたんだ?」

十神「肩まで浴槽に漬かって5万数えろと言う命令ならしたが」

朝日奈「確実に原因それだよねー!?」

石丸「だが体を温めるのは大事だぞ!」

江ノ島「なんか話ズレてね?」

大神「いつまでも焦らすな、モノクマ。何を言うつもりなのだ?」


モノクマ「え?あー、ああ大神さくらさんはボクの内通者でしたって話だけど」

葉隠「あー、なるほど!オーガはモノクマの内通者って話かー!」


葉隠「…………え?」

モノクマ「え?」

朝日奈「へ?」

霧切「は?」

石丸「は?」

モノクマ「はにゃ?」

腐川「」



大泉(その唐突さに)

大泉(一瞬誰もが、止まった)

苗木「え?……え?」

舞園「あの、モノクマさん?ちょっと私、うまく聞き取れなくて」

モノクマ「え?いやだから、ボクの内通者、キミ達の裏切り者は大神さくらさんでしたよ?」

朝日奈「え?あはは、もーモノクマって冗談上手いんだからー!」

セレス「苦し紛れに切ったカードには興味ありませんわ。延命して何になりますの?モノクマさん?」

十神「俺達を陥れるならもっとマシな嘘を吐くんだな。例えば───」

モノクマ「例えば?」

十神「お前の協力者が江ノ島だ、とかな」

江ノ島「ッ!?」どきん

モノクマ「へーそらすげーや(棒読み)」

江ノ島(モノクマひどいや)

苗木「そ、そうだよ!大神さんが……大神さんが内通者なんて………」

苗木(………でも、そうなると…やっぱりあれは………)

大神「………」

朝日奈「ね?違うよね、違うんだよね?さくらちゃん!?」

大神「………」

朝日奈「ねえっ、なんか言ってよ…!」

葉隠「……お、おい、嘘、だよな?」

大神「………」

十神「…沈黙は肯定とみなすが」

朝日奈「え?いや、いや、ちょっと待とう?さくらちゃんだって、いきなりこんな事言われたら困るに決まってるよ」

桑田「こ、混乱してるってオメー……」

大神「………」

モノクマ「あれあれ、いいの?大神さんが言わないならボクが言うよ?」

大神「止めろ」

朝日奈「さくらちゃんっ!」

大泉「…なんだよおめぇ…、俺達を、騙してたのか?」

大神「………」

大泉「俺はいいよ、騙されるのが仕事みたいなとこあるからな…けど」

大泉「こいつらも…おめぇの事信用してたこいつらも、騙してたのか?」

大神「………」

霧切「待って」

大泉「でも子猫ちゃん、それとこれは…」

霧切「もっと冷静に考えてください」

葉隠「これのどこが冷静でいられんだよ!」

朝日奈「ちょっと黙ってよ!まださくらちゃんは何も言ってない!」

石丸「そ、そうだぞ……これは、何かの間違いなのだ…た、例えば僕達を疑心暗鬼に落とし込むための罠とか…」

モノクマ「ボクが嘘を言った事ってあった?」

セレス「此の期に及んで何を…と思いましたが、そうですわね」

セレス「あなたは確かに私達を愚弄しましたが……嘘は一度も言っていないかもしれません」

朝日奈「せ、セレスちゃん…なに、言ってるの…?」

大和田「ちっ、いっぺん落ち着け……どいつもこいつも……」

翔「っあー、ゴメンなんの話だっけ?藤村Dが役者デビューした話?」

苗木「なにそれ!?って言うかジェノサイダー翔さん!?」


※Tips…【藤村D役者デビュー】
50歳になった2014年の春、突然「役者やってみる」とまさかの役者デビューを果たした藤村D(ふじやん)。
しかもその初舞台は、大泉らがかつて所属していた【劇団イナダ組】の新作。さらにほぼ主役級だった。
それで勢いがついたのか、藤村Dは呑みの席でミスター(鈴井)に「俺を出せ、主役級で出せ」とオファー。
ミスターが主宰する【OOPARTS】の約2年ぶりの新作舞台【SHIP IN A BOTTLE】に船長役で出演する事となった。
この出演はHTBの仕事の一部として計算されているらしく、嬉野D曰く「日本で唯一全国ツアーをするサラリーマン」。
……ただしこの大泉ロンパにおいては、時間軸が止まっているため、上記の情報は大泉は知らない。


モノクマ「そんな話いつしましたっけ!?」

葉隠「茶化すな!」


大泉(しん、と静寂がその場を支配した)

大泉(らしからぬ大声のせいだった)



葉隠「………やっぱり、オメーら……グル、なんだろ……?なぁ、もう……いいって」

霧切「………」

十神「………ふん」

葉隠「あ?」

十神「これだからバカは嫌いなんだ、そこでずっと思考停止していろ、バカ」

葉隠「んなっ……」

十神「だが」

大神「………」

十神「大神……事と次第によっては、お前を信用する事はもう出来ない」

朝日奈「………さ、さくらちゃん、言ってやってよ………違うよって、嘘だって、そんなの───」





大神「もうよい、朝日奈」





朝日奈「………え?」





大神「いつか必ずお主らには告げねばならぬと思っていて、長引いてしまった」

大神「ならば、今がその時。我はお主らにはその事実を伝えねばならん」

十神「やましい事がある、と言う事だな?」

大神「そうだ」

苗木「そうだ、って……」

大和田「んじゃあ、大神…オメェさっきの…」

大神「ああ」

朝日奈「さくらちゃん、もういいよ!そんな事言わなくても……」



大神「我はモノクマと内通していた」



苗木「………!」

十神「…そうか」

霧切「なるほどね」

朝日奈「……そん、な……」

不二咲「大神さんが…?」

葉隠「やっぱり、やっぱりそうじゃねぇか……!」

大神「だが、我はもう決めた」

大神「あやつの思い通りにはならん……とな」

モノクマ「いいご身分だよねぇ。今まではこんな顔してボクの味方のフリしてたのに」

モノクマ「此の期に及んでこれだよ。だから今回は、内通者って事をバラしてみましたー!」

大神「誹られるのは、承知だ」

翔「うんうん、まーそうよねぇ。テメーでやましい事して綺麗に片付くわきゃねーっつーの」

大神「それでも我は、守りたくなったのだ」

大泉「…それがあの時の言葉ってわけかい?」

不二咲「あの時……?」

大泉「ああ、大神さん……この場が心地よくなってる、って言ったよな?あれは……」

大神「事実だ。モノクマの言を守る気が、なくなった」

霧切「それは今まで全く事件を起こさなかった事からも証明出来るわ。つまり」

苗木「大神さんは、嘘は言ってない」

大泉「……ああ、それに俺も助けられてるしな」

苗木「どういう事ですか?」

大泉「ちょっと色々ね。それを考えりゃ大神さんの言ってる事ぁ分かるけど…」

葉隠「………だからって信用出来るかよ」

霧切「あなたの気持ちも分かるわ」

葉隠「分かってねぇ!」

不二咲「一度落ち着こうよぉ、そんな、声を張り上げても…」

セレス「…落ち着いてどうなりますの?」

江ノ島「どっちでもいいよ、マジうざ…」

朝日奈「江ノ島ちゃんっ!」

江ノ島「やったかやってないかじゃないっしょ。今までアタシらに黙ってモノクマと繋がってたってのが問題だし」

苗木「江ノ島さん、待って…」

江ノ島「少なくとも、アタシはどうかと思うね。あんだけ仲間ヅラしといてそれ?」

苗木「仲間ヅラなんかじゃない、大神さんは仲間だよ!ここから脱出しようって考えてる仲間…」


葉隠「なかま?」

葉隠「じゃあなんでそんな事する必要があった?」

苗木「それ、は……」

葉隠「一番仲良い朝日奈っちにすら言ってねぇんだぞ、オーガは」

十神「言えるわけないだろう、バカが」

葉隠「バカバカうるせぇ!」

葉隠「そんな、ヤバい隠し事してたやつを…、今までずっとスパイだった奴を、今までも信用出来たから今度も信用しろって?」

翔「ゲラゲラゲラ!修羅場なうwww」

山田「笑ってる場合ですか!?」

舞園「言ってる事は分かります。でも、疑ったってどうしようもないでしょう?」

葉隠「俺の事は疑ってたろ?」

舞園「それは!」

セレス「………」

石丸「あ、あの時は死人が出たと思ったから…」

葉隠「逆に聞くけど、じゃあオメーらは誰かが死ぬまで仲良しごっこのつもりか?誰も疑わねぇんか?」

不二咲「やめようよぉ……どうしてこうなるの……?」ぐすっ

葉隠「………俺、オメーらも信用なんねぇよ…なんでそんな簡単に信用出来るんだよ………」

葉隠「オメーらは騙されてたんだぞ…オメーらの、その人の良さに漬け込まれてたんだぞ…」





葉隠「…なんで嘘ついてるそいつが許されるんだよ、なぁ」

大泉「葉隠……」

葉隠「………っ………」

葉隠「………部屋、戻るわ」

霧切「待って、まだ話が───」

葉隠「したくねぇ」

十神「その程度の知能しかないのか?もっとましな事を言ってみろ」

苗木「十神クン!」

葉隠「うるせぇ!なんだよ、なんで……くそっ!」


すたすた

霧切「待っ…」

がしっ

霧切「っ…」

大神「良い」

霧切「……だけどこのままじゃ、勘違いが……」

大神「原因は我だ…我が責任を取る」



大泉(止まらない、止まれない、止める事は出来ない)

大泉(……仮に今ここで葉隠を止めてどうなる?あいつは納得するか?いや、しない)

大泉(ならどうする?今は行かせるしかねぇわなぁ)



朝日奈「ひどいよ……葉隠、なんでさくらちゃんを信用してくれないの……」

セレス「種を蒔いた私が言うべきではありませんが……まぁ、今は無理でしょうね」

セレス「モノクマさんは…ひいては黒幕さんは、これも計算していたのでは?」

モノクマ「なんの…… 話かね?」

十神「生徒間の対立、か」

霧切「セレスさんに騙された直後の葉隠君ですもの、大神さんの裏切りを知ればひどく傷付く」

霧切「……それとも焦ったの?大泉さんがあまりにも宥めるのが早かったから?」

大和田「あ?宥める?」

大泉「あー………あれな………」

大泉(そうか、と思った。このタイミングでっつーのはおかしすぎんだ)

大泉(あの時俺と葉隠は、監視カメラのある自室で飲み明かした。モノクマが見ようと思えば見れる)

大泉(だからこそ、だからこそ大神と葉隠をピンポイントで狙い撃つ必要があった)

大泉(だからこそ、今このタイミングで言うしかなかった)


大泉(立ち直ってたら一巻の終わりだからな)



大泉「まぁ、あれ見てりゃ焦るわなぁ。いつかおめぇを東京湾に沈めてやるって話してたから」

霧切「そんな話しましたっけ?」

モノクマ「そんな話してたの?!」

大泉「あ、支笏湖だったかい?」

モノクマ「どっちでもいいよ?って言うか沈めんなよ!?」


※Tips…【支笏湖】
北海道千歳市のカルデラ湖であり、【支笏洞爺国立公園】に属する日本最北の不凍湖。
暖かい水が湖底に残るため、水温が下がりにくく凍りにくいと言われる。またその水は透明度が高く、水質調査で何度も日本一になっている。
名前の由来は「シ・コッ」。アイヌ語で「大きな窪地」と言う意味を持ち、窪地とは千歳川が削った谷の事。
アイヌ民族が呼ぶ時は【シコツ・トー】、改まった時は【シコテムコ・エアン・パラト】(シコツ川水源、そこにある広い湖)と讃えた。
なお千歳市を含む「シ・コッ」と呼ばれた地帯は日本語で「死骨」に通ずるとされ、1802年に現在の名に改名している。


大泉「ちなみに支笏湖の底に骨が埋まってるから死骨湖ってのは嘘な」

モノクマ「そうなのかー!………じゃないよ!」

モノクマ「そうやって議題を先延ばしてもなんにも変わらないんだからね?大泉クン?」

大泉「うるせぇんだよこの!おめぇがこっちに口出しすんな!」

大神「………」

モノクマ「ま、せいぜい疑い合いなよ」

十神「このタイミングで他人を疑うバカは葉隠だけだ、図に乗るなよ」

モノクマ「は?なんでそんな余裕そうなの?」














モノクマ「ボク、内通者はひとりなんて言ってないけど?」













 

苗木「───!?」

朝日奈「は………?」

霧切「どう言う事かしら?」

石丸「この中にまだ……」

翔「アンタの協力者、内通者がいるって?はっ………笑えねーわ」

セレス「面白くありませんわね、転がされているようで」


大神「……モノクマ」


モノクマ「ま、あとはどうなるか楽しみだね……んじゃ!」




大泉(それからすぐ、モノクマは去った)

大泉(人と人がすれ違うには、一瞬だけで時間は足りる)


大泉(…ある意味、見せしめだ)

大泉(大神さんは針のむしろ…誰も口にはしないが、疑われて当然だ)

大泉(疑わしきは罰せず、なんてレベル超えちゃってんだもんなぁ)


大泉(大神さんは、完全な黒だった)

大泉(でも、じゃあ、なんで俺を殺さない?)

大泉(じゃあなんで誰も殺さない?)


大泉(理由はひとつ───本人も言ったように、そうする気がなくなった)

大泉(それしかない、んだろうねぇ)


大泉(ま、だからなんだって話だけどな)

ーーーーーーーーーーーーーーー








晩御飯









ーーーーーーーーーーーーーーー

大泉「わかさぎ!」


※Tips…【わかさぎ】
大泉の被害者のひとつ。【釣りバカ】シリーズでよく釣っていた魚である。
基本的には釣りたてをてんぷらにして召し上がるのが非常に美味しい。基本的には。
しかし大泉はなにを思ったか、わかさぎを丸ごと酒に入れて「食前酒」と言い張ったり、刺身を作ったりした。
最終的に釣りたてのわかさぎを春野菜とともに炒めたが、油っぽすぎてふじやんがキレた。
ミスターはわかさぎ酒を吐いた。
ちなみに美味しいてんぷらも作ったが、そちらはまるまるカットされている。


大泉「………」

霧切「てんぷらですね」

大泉「………」←訝しげな表情

石丸「塩をつけて食べると美味しいぞ」

不二咲「ほんとうだぁ!」

大泉「………」ぱく



食べた



大泉「………」もぐもぐ

大泉「………美味いねぇ」

桑田「なんで肉じゃねーんだよ、肉」

石丸「好き嫌いせず食べたまえ!」

大泉「………うん、美味いねぇ」

桑田「あー、最悪エビで我慢すっから誰か焼いてくんね?」

石丸「………」食べてる

不二咲「………」食べてる

山田「拙者はお代わりを」がたん

桑田「いいからエビ焼けエビ焼け!」

山田「それフラグです」


※Tips…【いいからエビ焼けエビ焼け】
安田顕の体質を変えてしまった運命の一言。
【シェフ大泉】がHTBの駐車場で、【車内でクリスマスパーティ】を開いたときの場面である。
要約すると、大泉が【辛すぎるエビチリ】を作ったせいで、安田が聞いた事もないような病気にかかった。
以来安田はエビアレルギーである。
その後の流れはご存知の方もいるだろうが、ふじやんが始末書書いた。


大泉「エビ食べたいのかい?」

桑田「え?」

大泉「エビが食いたいのかい?」

桑田「あー、エビ」

大泉「エビチリ作ろうか?」がたん


霧切「」!

大和田「」!!


霧切「絶対にやめてください!」

大和田「殺人犯すつもりかよ!?」


大泉「………ひどいねぇ君達………」


大泉「………」←座った

桑田「お、おう……」


不二咲「………」

十神「………エビか………」



ーーーーーーーーーーーーーーー




翌日




ーーーーーーーーーーーーーーー


◆18日目朝


舞園「………大神さん、来ませんね」

大泉「うん………」

舞園「…葉隠君も、会いませんね」

大泉「ああ………」

舞園「………」

大泉「………」

十神「俺が見誤った。あいつらが仲違いしたせいのがまさか、全員の士気にも影響するとはな」

大泉「………」

十神「だが俺は、やはり大神を信用してやる事は出来ん」

朝日奈「………!」

十神「お前達のためなんだ」

朝日奈「なんにも分かってない……」

舞園「………」

朝日奈「さくらちゃんだって女の子なんだよ、ひとりの……人間なんだよ」

大泉「………」

朝日奈「もうモノクマの言う事なんか聞かないって言ってたじゃん……今までも大丈夫だったじゃん……」

朝日奈「なんで、信用してあげないの…?」

大泉「………おめぇにも、同じ言葉を聞かせてやりたいね、俺は」

朝日奈「はぁっ!?」

十神「とにかく、今は俺達が揉めている場合じゃ」

朝日奈「……もう、いい。しらない」

舞園「待ってください、そんなのって!」

朝日奈「───いなくなっちゃえばいいのに」

大泉「朝日奈?」

朝日奈「みんな、みんないなくなっちゃえばいいのに」


がたんっ


大泉「おい、朝日奈!」

朝日奈「………!」


だっだっだっ…



大泉(これさぁ、俺でなんとか出来るのかい?)

大泉(一体どうしろってんだ)

大泉(そんな俺に、どうしようもない俺に天使が舞い降りたのは───)


霧切「閃いたわ」

大泉「ん?なにが?」

霧切「大神さんも朝日奈さんも葉隠君も、団結出来る方法」


大泉(その日の、夕方だった)


霧切「………正直、博打みたいなものだけど、でも」

霧切「もうこれしかない……!」

大泉「……一応、聞いてもいいかい?それ」

霧切「ええ……こう言う内容なんですけど…」

大泉「………」

霧切「───、──────」








大泉「お前……頭おかしいんじゃねぇの……?」







 

ーーーーーーーーーーーーーーー





葉隠さん






ーーーーーーーーーーーーーーー


葉隠「………?」

葉隠「っ……、ちっ!なんで…」

葉隠「くそっ、くそっ…!こんなもん見ても意味ねぇ!」

葉隠「なんで俺が………」

葉隠「……オーガをさしてんだ……」

葉隠「………あー、もう寝よ………」

…ぐぅ

葉隠「………つーか、寝てばっか、か」

葉隠「…はぁ……」

葉隠「………」

葉隠「ほんとは……分かってんだよ……俺が情けねぇなんて……」

葉隠「………」


ーーーーーーーーーーーーーーー






数時間後






ーーーーーーーーーーーーーーー

葉隠(………さてオメーらに質問がひとつある)

葉隠(目が覚めた時、見た事もない部屋にいるってのは、こらぁ拉致だよな。拉致)

葉隠(じゃあ拉致された状態の俺が、さらに狭い部屋に詰められていたら、そられはなんだ監禁か?)

葉隠(拉致監禁!?おいおい一昔前のどうでしょうじゃねーか)

葉隠(と思ったがこれは違うな)


『よーし!準備出来たね?それじゃあ始めるよー!』



葉隠(………ありのまま起こった事を話そうッ!『部屋で寝て起きたら、いつの間にか知らない部屋に閉じ込められていた』)

葉隠(何を言ってるか分からねーと思うが俺にも分からねー…超能力とか絶望とかそんなチャチなもんじゃねぇ…)


葉隠(もっと恐ろしいものの片鱗を味わった……いや、味わってるんだ)


葉隠(なんてったって、これは)



『ではでは───』


『24時間以内に24個のミッションをクリアして、葉隠クンを助けてあげましょー!』




葉隠「………はぁ?」




『ゼツボウ24ー!スタートー!』





葉隠(…バラエティだ)

ーーーーーーーーーーーーーーー



Chapter4

コーリング・コーリング・ユー

非日常編



ーーーーーーーーーーーーーーー

ここまで。
おかしい、初稿と内容が違いすぎる。

>>126
消防士の役だか消防車の役だかやるって聞きました。
音尾さんはほんとダンディ。好き。

>>129
無情にも転がるサイコロは6!!

>>131
大泉さん曰く「僕らの普段やってる事は芸人さんでもやらない」そうです。
考えましたが、札幌の芸人はまずやらないですね…。

>>133
キングさすがの貫禄です。
多分乗ったらやられるぞ、キミィ………。

乙です

最近よくCMで大泉さんを見れてぼかぁ嬉しいぞダベミくぅん

思い出のマーニーにナックス全員出てるって本当かい?観る気無かったのにナックス目当てで観たくなっちゃったよダベミくぅん

千葉テレビでアメリカのリトルロックの30号線のくだりやってたんだけどクソ笑った

北海道のスターから、いまや全国区のエンターテイナーとなった俳優でタレントの大泉洋さん(41)

もう41なんですね

41と言えばアンジャッシュの渡部さんも41らしい、わっけーな

それはさておき自分自身に枷をつけるべく書き込む
次回Chapter4終わりまでは土日どっちか
次次回Chapter5の始まりは12/8(ヤスケンの誕生日)に
それぞれ更新するよ!

いいね、君ぃ!
こうでもしないとね、締め切り破るからね、こいつぁね!

ダベミくぅん、キミはユーコンとブンブンどっちがいいんだい?

大泉「セレスさあん、誕生日おめでとうござぁいまぁす」

セレス「うふふ、ありがとうございます」

大泉「と言うわけで僕がだぁ、君にぃ、とっても美味しいケーキを作ってきましたよぉ」



───数分後


セレス「」


大泉「ち、違うんだって!俺まじでやってない!やってねぇんだってっ!俺がケーキ作れるわけないっしょや!だから」

大泉「その、子猫ちゃんに手伝ってもらってぇ!そんでちゃんと分量測ってつくったって!これはひでぇよ!」


葉隠「プラシーボ効果か……」

霧切「大泉作と聞いただけでまずく感じるのね…」

十神「興味深いな…」



と言うわけでセレスっちおめでとさん。
では、ギリギリで書き終わって相変わらず推敲しながら投下する本編をお楽しみください。

霧切「閃いたわ」

霧切「大神さんも朝日奈さんも葉隠君も、全員団結出来る方法…!」


大泉(今考えりゃ、この時にもう少し冷静になれればよかったのだ)

大泉(俺も子猫ちゃんも、だ。こういう時に子猫ちゃんが言い出す策がおかしい事は、今の俺には予測出来たんだから)


大泉「一応聞いていいかい?」


大泉(だからこそ)

大泉(なーんかいやな予感がして、声を振り絞った)


霧切「ええ!ハナタレ24です!」

大泉「おめぇ頭おかしいんじゃねぇの?」


大泉(俺は初めてこの女を張り倒してやろうかと思った)


※Tips…【ハナタレ24】
【ハナタレナックス】で2009年頃によく放送されていたシリーズ。
メンバー5人のうち誰かが拉致され、部屋の一室に拘束される。それを2手に分かれて救出すると言うもの。
救出には【24分以内のミッションクリア】が必須であり、ミッションはアトランダムな様々なジャンルで出される。
救出出来ないとメンバーが水風船でびしょ濡れになる。が、救出出来た事は一度もない。そう、一度もない。
大抵は二手に分かれたチームがミッションそっちのけで遊び始め、囚われたメンバーは忘れられる運命にある。


霧切「任せてください、策があります」

大泉「いや、いやいやいやいやぁ!策とかじゃねぇじゃん!?」

霧切「終わりよければ全て良しと言います!どうでしようのラストランみたいなものです!」

大泉「いや確かにあれはいい最後だったけどね!?」

霧切「大丈夫です!」


大泉(けれど、そう言われれば)

大泉(なぜだか俺は安心してしまう)

大泉(………どんなに滑稽でも、どんなに無茶苦茶でも)



大泉(俺達は確かに、この女の策で全員生き残ってきたのだったんだから)


ーーーーーーーーーーーーーーー




それからしばらく




ーーーーーーーーーーーーーーー

◆体育館


苗木「ええっと、なんでボクは呼ばれ……」

霧切「証人よ。それはそうと…」

霧切「モノクマ!話があるわ!」

「ん~?聞こえんなぁ~?」


どひゅーんっ


モノクマ「で、何?」

苗木「随分ドライだな…と言うか聞こえてたんじゃないか!」

モノクマ「ボクのゴーストライターが囁いたから……」

苗木「それギリギリアウトだぞ!」

霧切「ねぇ、モノクマ。提案があるの」

モノクマ「……はぁ、なんだい霧切さん?ボクぁ君達が殺し合い始めないから退屈で退屈で……」

霧切「ゲームをしたいのだけれど」

モノクマ「あの、話聞いてた?」

霧切「聞いてなかったわ」

モノクマ「なんだ、聞いてなかったのか……って聞けよ!処すよ!罰として処すよ!?」

霧切「学園長なんでしょ、モノクマ?少し余裕を持って、まず私の話を聞かない?」

苗木(霧切さんがモノクマを挑発している…だと…)

モノクマ「………はぁ、分かった分かった。で?」

霧切「ええ。この学園生活も長くなって来て、みんなダレてきた。だから、これを機にゲームをしたいの」

霧切「ハナタレ24ならぬゼツボウ24……どう?ゲームコーナーは受けがいいと思うわよ?」

苗木「霧切さん、何言って…」

モノクマ「そんな事してボクに何の得があるんだい?」

霧切「むしろ得しかないはずよ!」びしっ

モノクマ「」!?

モノクマ(………まさかついに気付いたのか、霧切さん)

苗木「ど、どういう事?」

霧切「疑問に思った事があったの」

霧切「………なぜ監視カメラは、あらゆる場所に設置されているのか」

霧切「なぜ大浴場にだけはないのか」

モノクマ(こいつやっぱ鋭いなー、消しとけばよかった)

霧切「きっと大浴場の映像は使えないのよ……」

霧切「モザイク処理が大変だから」にやぁ

モノクマ(……ん?モザイク?ああいや、確かにそうだけど、でもモザイク処理なんて出来……)

モノクマ(もしかして霧切さん、変なことを……いや、まだだ、まだ慌てるような時間ではない)

霧切「そしてこう結論づけたわ……」

霧切「モノクマ、あなたは」


霧切「この学園生活を」


モノクマ(いやぁ…しかしほぼノーヒントなのにそこまで分かってるんだ、やっぱすごいな霧切さん)


霧切「録画・編集してパッケージ化し、通信販売しようとしているわね!」びしっ


モノクマ「………あー」

モノクマ(ただし斜め上に飛んで行ったけど)

苗木「え?」

霧切「私達は入学式の段階で、誓約書にサインをしていない……つまり重大な契約違反じゃないかしら」

霧切「そんな事しても無駄よ、必ずオフィスキューに通報するわ」

モノクマ「」

霧切「通報されたくなくば私の提案を飲む事ね」どやぁ

モノクマ「」

苗木「霧切さん?そんな訳ないと思うけど…」

霧切「あら、あなたは何も思わないの?今までの自分の日常をDVDに纏められてチャプタータイトルまで付けられてるのよ!」

霧切「それでいいの、あなた?」

苗木「いや、あの……」

霧切「きっとこの後編集作業されて、DVDボックスまで作られた挙句ロッピーで予約販売するのよ!」びしっ


※Tips…【ロッピー】
コンビニエンスストア【ローソン】に置いてある、複合機。
コンサートチケットの発券や、カードのポイントを使った引換券の発行、ウェブマネーの購入などが出来る。
その中には【水曜どうでしょうDVDの予約】と言う、おおよそどうでしょうバカ共のための機能もある。
なおローソンは【青屋敷】、DVD発売日にローソンに行く事を【討ち入り】と呼ぶのがどうバカのしきたり。

モノクマ「ちげぇよ!な事ボクがするわけねーだろ!!」

霧切「ふーん、違うんだ」ニアァ

モノクマ「こいつ、ぬけぬけと……いやそうじゃなくって!」

霧切「とにかく私の提案を飲んだ方がいいんじゃないかしら、モノクマ?あなたのやっている事が事実なら」

霧切「【数字】は無視出来ないわよね……?」

苗木「数字?」

モノクマ「………」

モノクマ(こいつやっぱ気付いてんじゃねぇのか?)

霧切「それに……あなたにとっても悪い提案じゃない」

霧切「一番最後にどんでん返しがあるようにしておけばいいのよ」

モノクマ「………え?」

苗木「………霧切さん?」


霧切「………」


モノクマ「わ、分かった、分かったから…話は聞くだけ聞いてあげるよ。それで?」

霧切「ええ───」


苗木(それからしばらくモノクマと霧切さんは、打ち合わせをして)


霧切「どう?この最後のミッション、刺激的じゃないかしら」

モノクマ「いいねぇ…葉隠クンが大神さんをねぇ……」

苗木「え?」

霧切「あとのお楽しみよ」

ーーーーーーーーーーーーーーー


それから数時間後
葉隠部屋の前


ーーーーーーーーーーーーーーー


大泉「おwwはwwよwwうwwごwwざwwいwwまwwすww(小声)」

霧切「キャプテン大泉…まさか生で見られるなんて…」ぐすっ

苗木「なんで泣いてるの霧切さん!?」


※Tips…【キャプテン大泉】
【ハナタレナックス】の名物キャラのひとりにして、大泉の代表キャラのひとつでもある(他には【ハヤシT】【滝沢先生】など)。
沖縄ロケの定番である寝起きドッキリで必ず現れ、メンバーに対し【ハッカスプレーをかける】【水と思わせ泡盛を飲ませる】
【メンバーの両親からビデオレターをもらう】【って言うかもう現地に父親連れてくる(音尾)】などの悪行を行った。
戸次は「もし大泉に寝起きドッキリ仕掛けられるなら、寝たままプールに叩き込みたい」と言ってしまった故に、
逆に自分が寝ているところをスタッフに運ばれ、そのままプールに叩き込まれた事がある。
かなりの迷惑キャラだが、現在はほとんど見られず、沖縄ロケにも登場しなくなってしまった。再登場が望まれる。


大泉「と言うわけでこれから葉隠に寝起きドッキリを仕掛けます」

苗木「………え?えええ??」

霧切「ちなみにこれから彼を4階の学園長室前まで連れて行くわ。本当は中に入りたいけど、そこは我慢よ」

苗木「どこから質問したらいい?」

霧切「質問は受け付けないわ」

大泉「ってぇかね?なんでぼかぁこんな事させられてるんだい?ねぇ霧切さん?」

霧切「そう言わないでください、大泉さん。これで全員が救われるんです、たぶん」


ーーーーーーーーーーーーーーー


たぶん


ーーーーーーーーーーーーーーー

大泉「………ぉおい、いま君たぶんって言わなかったかいたぶんって?」

霧切「たぶんって言ったらたぶんなんですよ、仕方がありません」

大泉「開き直ってんじゃねぇよこの!」

霧切「これも全て平和のため!」キリギリッ

苗木「………どこまで本気なの?」

霧切「いつも本気よ?私はね」

苗木「ほんとに?」

霧切「大丈夫よ。上手く行けば、全員の結束力が高まるわ」

ーーーーーーーーーーーーーーー


そして今
18日目
18:00


ーーーーーーーーーーーーーーー


『ゼツボウ24ー!スタート!!』



葉隠「」

葉隠「………は?」

葉隠(ここはどこわたしはだれ状態なんですけどー!?)




霧切「さぁ行くわよみんな!葉隠君を助けなきゃ!!」←満面の笑みを浮かべている


苗木「」

十神「またお前何かしたのか……」

大泉「俺ぁ何も言えんよ」

セレス「またすごいいい笑顔ですわね」

苗木「ボク、霧切さんが分からなくなってきました…」

ーーーーーーーーーーーーーーー




ゼツボウ24

スタート

(ずどーん)←爆発のSE




ーーーーーーーーーーーーーーー

◆寄宿舎・食堂


十神「……ルール説明だけでも…頭が痛くなるな」

江ノ島「そもそもなんで葉隠が捕まってるわけ?意味がわかんないんだけど」

大神「これもまた我のせいか」

苗木「合ってるけど違う!」

腐川「つまりなに…全員で一致団結して葉隠を助けろって?なんでまたそんな面倒くさい事を…」

石丸「だが僕達が救わなければ彼は死んでしまうのだぞ!」

桑田「……けどよ、オーガって内通してたんだろ?オレらの邪魔とかしてくんじゃ……」

朝日奈「桑田っ!!」

大神「いいのだ朝日奈、そう言われても致し方がないのだからな」

朝日奈「でもっ!」

大神「我は行動で示す……モノクマとの縁は断ち切った事を」

大泉「んで、さっそくだけど…どうするんだい?」

霧切「手分けしましょう。幾つかのグループに分けるわ」

霧切「………ここに24枚のカードがある。そのうちの一枚は大神さん、あなたが持っていて」す

大神「む?何故?」

霧切「とりあえず今はいいから!」す

苗木「もしかしてそれって……」

霧切「」ぎろっ

苗木「」

不二咲「ええと…それで?」

霧切「ミッションは24時間で24個。だから、得手・不得手を考えて振り分けた方がいい」

大和田「なるほどな。挑戦するミッションが決まってから人を振るっつってんだろ?」

霧切「あら、賢くなったわね大和田君」

大和田「それほどでもねぇよ」

大神「褒められてはおらんと思うが……」

十神「べらべらと話している場合か?さっさと始めろ、霧切」

霧切「ええ。じゃあ……朝日奈さん、一枚引いて」

朝日奈「なんで私!?」

石丸「引かないなら僕が引くぞ!」

朝日奈「分かった分かった!引くから……」

霧切「なんて書いてあるのか、読んでもらえないかしら」

朝日奈「えーっとね……」


ーーーーーーーーーーーーーーー



第一のミッション

あつあつおでんをたべきれ



ーーーーーーーーーーーーーーー


朝日奈「」

霧切「………大和田君、大神さん…あと私が行くわ」

石丸「あつあつのおでんか!時期が外れているが仕方があるまいっ!ふんばれ兄弟!」

大和田「お、おう、任せとけ!」ひくひく


※注
北海道はもう雪が積もりましたが、当SSはまだ夏前とかです。


腐川「一瞬顔が引きつったの見逃さなかったわよ」

十神「3人?それで足りるのか」

霧切「もうひとつのミッションが時間がかかる可能性があるでしょ?それならこちらは最小限でいいわ」

大神「場所はどこだ?」

霧切「厨房ね。そこにあつあつおでんが準備されてるみたいよ」

大泉「っつーかなんでミッション全部ひらがなよ」

霧切「大方、読むのに時間をかけさせるためでしょう」

朝日奈「えと、…ほんとにやるの?霧切ちゃん」

霧切「やるわ……私達が行くその間にもう一枚引いて、石丸君」

石丸「うむ!」


ーーーーーーーーーーーーーーー




第二の選択




ーーーーーーーーーーーーーーー

桑田「つかさ、今思ったんだけど、結局全部やんのになんで一枚ずつ選んでんの?」

苗木「」!

霧切「ルールだからよ」

桑田「る、ルール?」

霧切「そうよ…そう言うルールなの」

桑田「そういやオレらまともにルール聞いてn」

霧切「なに?文句があるの?」

大泉「いや文句とかじゃなくってだねぇ」

霧切「黙ってやりなさいよ!」びしっ

大泉「………ぉお?!www」

桑田「いやいやいやいやいや」

石丸「よぉし引いたぞ!」

大泉「空気読めよ石丸ぅ!」ばしっ


ーーーーーーーーーーーーーーー


ミッション


ーーーーーーーーーーーーーーー


石丸「ドミノ倒しだ」

だんだんっ(緊迫した感じのSE)


ーーーーーーーーーーーーーーー


どみのをすべてならべてたおせ


ーーーーーーーーーーーーーーー


腐川「ドミノ……倒し…」

十神「残った全員体育館へ、ドミノをさっさと片付けるぞ」くるっ

腐川「はい白夜様」だっしゅ

江ノ島「ちゃっちゃと終わらせよー」

桑田「ちょっ……待っ……、………あああ分かったやってやるから!」

ーーーーーーーーーーーーーーー







ドミノ倒しスタート








ーーーーーーーーーーーーーーー

(だだっぴろい体育館にたくさんのドミノが置いてある)

(溜息をついたり肩を落としたりする者もいるが、すぐに作業に取り掛かる)

………

………

………

(黙々とドミノを並べる生徒達)

(納得が行かないと言った様子で桑田が首をひねっている…)

………

………

………

何も起きない………

………

大泉「絵面が地味だなぁ……」

山田「熱々おでんの方が画的には派手ですな」

舞園「おでん食べたいんですか?」

大泉「………」

山田「………いや」

舞園「………」

山田「………」

桑田「………ふぁ………」

<ガシャーッ

桑田「あ、っべ」

大泉「桑田ァ!!」だっしゅ


ーーーーーーーーーーーーーーー


厨房


ーーーーーーーーーーーーーーー


大和田「っ…www だから言っただろ…がんもどきはあぶねぇって……www」

大神「ぬぅーっ!ぬぅぅーっ!!」がくがく

霧切「頑張って大神さん!」

大神「ごはっ……!」どさぁ

霧切「おwww………大神さん………www」

ーーーーーーーーーーーーーーー



数時間後



ーーーーーーーーーーーーーーー



石丸「………」

とん

ぱたぱたぱたぱた
ぱたぱたぱたぱた
ぱたぱたぱたぱた……

かっしゃーん

朝日奈「やったぁっ!」ぴょいん

大泉「人間ねぇやりゃあ出来るんだよやりゃあよぉ」

桑田「だーっ、疲れた!終わんねぇかと思ったぜ…」ばたん

苗木「こんなのがあと22こもあるの……?」

腐川「も、もうあたし帰りたい…」

舞園「大丈夫ですっ!ちゃんとやれば終わりますよ!」

セレス(………付け爪?)ひょい

江ノ島(やべ、付け爪剥がれた)

霧切「───こちらも終わったようね」

苗木「霧切さん!」

霧切「休んでる暇はないわよ、次に行きましょう」すっ


ーーーーーーーーーーーーーーー



それではここからは
ダイジェストでどうぞ



ーーーーーーーーーーーーーーー

③マシュマロキャッチ

ひゅうう

桑田「ほっ!」

すとーん(真横に落ちるマシュマロ)

桑田「………www」←うつむいて苦笑いしてる


腐川「…っ」すぽ

大泉「オォーッ!?」

江ノ島「意外すぎるんだけど!?」

腐川「………まずいわね」もぐもぐ



④ゴルフパット入れ

ころんっ

セレス「ま、この程度はギャンブラーとしては当然ですわね」にっこり

大泉「優秀!君達優秀!」ぱちぱち

霧切「どんどん行きましょう!」



⑤ボーリング

十神「慌てるな、まだスプリットになっただけだ!」

朝日奈「スプリット作ったの十神じゃん!」

大泉「スペア取りゃーいいんだろう?僕がさぁ」くいっ

苗木「いや、そう簡単に言いますけど……」

霧切「大丈夫よ、あの人は」

苗木「え?」

かこーんっ

大泉「ぃよぉーしっ!」

「「うぉおぉぉぉっ!!」」

大和田「すげぇ……マジで取りやがった……?」

大泉「まぁほら、僕がこのくらい出来なきゃハンデにならんでしょ?」

江ノ島「なんのハンデだし?」



⑥射的

ったーん

江ノ島(あ、成功しちゃった)

セレス「あらお上手」ぱちぱち



⑦知恵の輪


石丸「ぬぉぉぉぉ!!」がきがきがき

ちゃりーん

石丸「よし!取れたぞ!やはり人間やれば出来る!」

不二咲「すごい顔してたよ…今…」

ーーーーーーーーーーーーーーー




その頃




ーーーーーーーーーーーーーーー


葉隠「………つーかなんなんこの部屋………」

葉隠「……」

葉隠「……」

葉隠「………んんん!!」がちがちがちがち


でれない


葉隠「うおっ、鍵ぃ?………外から鍵かかってんのか?…っと」

どんっ

葉隠「なんだこの箱……」

葉隠「………」

葉隠「………はー……」がしがしがし

葉隠「………ふぁ………」






暇だった

ーーーーーーーーーーーーーーー





ーーーーーーーーーーーーーーー


不二咲「……ええと、ダンクシュートを決めろ?」

腐川「だ、ダンクシュート!?」

大神「我が行こう」すくっ

山田「大神さくら殿が奮戦しておりますな」

腐川「…そ、そりゃ大神は…自分の事責めてるから、ここでもう裏切らないって見せたいんでしょうけど…」

大泉「もう全部大神さんでいいんじゃねぇかな?」

朝日奈「ちょっと大泉!それは私が許さないんだから!」

大神「気にするな朝日奈、我にはやるべき理由がある」

朝日奈「いや、そうかもしれないけd」

大神「ぬぅおぉぉぉお!!」だだだだだ

大泉「っはっはっはっは!」←崩れ落ちた


だーんっ


ーーーーーーーーーーーーーーー


(ナレーション:藤村忠寿)
ここまで、順調にミッションを攻略してきた大泉さん達。
続く9番:紐釣りパン食い、10番:ひらひら紙キャッチ、11番:間違い探しと順調にクリア。
残すはあと13ミッションとなった。
非常に快調に飛ばす大泉さん達であったが、既に時間は22時を回っており、
また、大神さんをはじめメンバーにも疲れの色が見え始めていた───

さらに石丸さんの「良い子はもう寝る時間である」と言う主張から意見は対立。
ここに来て、メンバーの結束が今……敗れようとしていた。


ーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーー



22:55

希望ヶ峰学園・校舎1階
体育館



ーーーーーーーーーーーーーーー


大泉「うん、今日のところはここで切り上げて、明日にしねぇかい?」

十神「この程度で終わらせるのか?もし失敗すれば葉隠が死ぬんだろう?……いいのか、大泉」

大泉「よかねぇよ?よかねぇから寝ないかい?って言ってんのさ。もうみんな眠いだろう?」

朝日奈「私はまだ行けるけど、そもそも考えたらこれ葉隠のためなんだよね……」

舞園「ひとひとり助けるのはどれだけ大変か、私達に教えてくれてるんですよ。モノクマさんは」

大泉「……それは違うんでない?」

大和田「あー…で、どうすんだよ?まだやれるっつー意見もあんぞ」

大泉「いや、時間も時間だから。今日は一回みんなで寝てね」

石丸「そうだぞ!メシより宿だ!」

大泉「そうそうwメシより宿………なんで知ってんの?」


※Tips…【メシより宿】
【ヨーロッパ・リベンジ】で生まれた格言。
メルヘン街道を走り、途中で小ネタを挟みながらも、いばら姫のモデルにもなった【ザハブルグ城】で食事する事になったどうでしょう班。
レストランに入ったのが夜の8時、食事を始めて1時間半経過してもメインが来ないが、それ以上に宿を取っていなかった。
結局食事が終わったのは10時50分。そこから宿を探すもどこも埋まっていて泊まれない中、藤村Dは「12時までに宿が見つからなければ野宿」と宣言する。
宿を探す車中、この事件の原因が大泉と嬉野Dであり、彼らが宿よりメシを優先したがゆえにこうなった事が判明。
宿が取れない事態を前もって予測したD陣だったが、持ってきたテントは2人分。しかも大泉は(いつも通り騙されたため)軽装しか持っていない。
どこにもない空き部屋、迫る時間。そして時計が12時を指し、藤村忠寿はその辺の道端に車を止めてこう言ったのだ。
「ここをキャンプ地とする」
これは実にシンプルながらインパクトのある名言であり、どうでミー賞名ゼリフ部門の2位を記録している(1位は【おいパイ食わねぇか】)。
その後彼らの旅の掟として、食事を取るよりまず宿を探す事が鉄則となった。
(その後【ミスターええじゃないか運動】などがあるがそれはまた別の話)


不二咲「眠いと集中出来ないもんねぇ」

江ノ島「賛成ー、もうだるくてさ。寝よ寝よ」

大和田「………宿はあるだろ」


ーーーーーーーーーーーーーーー


え?


ーーーーーーーーーーーーーーー


石丸「………はっ!そうだった!」

霧切「寄宿舎って事ね」

十神「大和田に気付かされてどうする、馬鹿が」

大和田「それほどでもねぇよ」

桑田「その天丼意味ねーから!」


※Tips…【天丼】
業界用語。主にお笑い芸人のネタに用いる。
同じ事で複数回の笑いを取る事を指す言葉。
その由来は天丼に海老天が2本並んで乗っている事から、「同じものを何度も食べられる」事を指していると言われている。


ーーーーーーーーーーーーーーー


その頃


ーーーーーーーーーーーーーーー


葉隠「………Zzz」


もう寝てた


<ブーッ



ーーーーーーーーーーーーーーー




深夜




ーーーーーーーーーーーーーーー


霧切「頼むわ、苗木君」

苗木「………うん、行ってくるよ」

『おねがいするね、苗木君…』

苗木「………これで、もしかしたら………」

ーーーーーーーーーーーーーーー



翌日



ーーーーーーーーーーーーーーー


◆19日目 8:00
寄宿舎


石丸「タイムリミットは夕方の6時……つまり、10時間もないと言うわけだ」

石丸「と言うかもっと早く始めるはずではなかったのかね」

霧切「大泉さんが泥酔したから仕方がないのよ」

大泉「まだ泡盛が残ってるんだもなぁ」

大神「また酒盛りしていたのか…」

朝日奈「もー、バカぁ!」

十神「とにかく!次に行くぞ。あまり辛いものでなければいいが……」

霧切「じゃあ山田君、引いて?」

山田「すっかりこのルールに慣れてますなぁ」

桑田「ルールにつべこべ言っても仕方ねーし」

朝日奈「ルールあっての競技だよ」

山田「くっ、スポーツ脳め……!」

セレス「ルールを破るのもまた競技ですわ」

苗木「セレスさんは破る事前提で考えないでよ!」

大和田「ルールって校則みてーなもんだろ」

苗木「違うよ!」

大泉「ルール?そんなもんやりながら変わってくんだよ」

苗木「それもう競技じゃないです!」

山田「先が思いやられますなぁ…」

霧切「今日はまだ長いのよ。さくさくと行きましょう」

山田「………はい、引きましたぞ」

ーーーーーーーーーーーーーーー





ーーーーーーーーーーーーーーー


お箸でお豆キャッチ


不二咲「………っ!」

からーんっ

不二咲「よかったぁ…ひとつも落とさず出来たよぉ…」

セレス「手先が器用なんですわね」

不二咲「うん、ちょっと自信あるんだぁ」

セレス「私も自信ありますわよ。どうです、今度勝負でも」

不二咲「あはは、セレスさんに勝てるかなぁ…?」


ーーーーーーーーーーーーーーー





ーーーーーーーーーーーーーーー


瓦割り


石丸「ズェァッ!!」ぶん

ぺきっ

石丸「ぁっ………」



………ぺきっ?



大泉「……wwwwww」

舞園「今なんか…なんかすごい音しましたけど…」

石丸「いや大丈夫、大丈夫…」

大泉「数秒前まで『なにもかも大神くんにやらせるわけには行かないだろう!』って言ってたのに…wwwww」

舞園「石丸君ちょっと見せ……wwwて……www」

石丸「だから大丈夫だと言っているではないかっ!」涙目

大泉「なんか赤くなってるwwwww」

石丸「折れてないぞ!指は全部動くから折れてはないぞ!!」涙目



※このあと結局大神さんが割りました。



ーーーーーーーーーーーーーーー





ーーーーーーーーーーーーーーー


卓球10ラリー


十神「ふっ」こん

大泉「ほっ」こん

十神「っ……」こん

大泉「ほぉい」こん

腐川「器用ね……」

十神「まだ行けるぞ」こん

大泉「どこまで行けるかねぇ」こん



江ノ島「10往復でいいんだけど…」

霧切「楽しそうだしやらせておけば?」

苗木「ダメだよ霧切さん…」

朝日奈「って言うか全然チーム分散出来てないし…」

桑田「まぁいいんじゃね?時間まだ余裕あるっぽいしさ」

ーーーーーーーーーーーーーーー




その頃




ーーーーーーーーーーーーーーー


葉隠「………監禁ってさぁこう……」

葉隠「なんつーか、こうもっと……あー、腹減った……飯来ねーんか?」

…………

………



葉隠「モノクマも見てねーのか……ご丁寧に水のボトル置くんなら飯も寄越せってーの」

葉隠「………」

葉隠「………」

ちゃりん

葉隠「………ん?」

葉隠「………なにこれ、鍵?」


なんかみつけた


葉隠「………」じー

葉隠「………」ふむふむ

葉隠「………」

葉隠「………趣味悪っ」



悪態ついてた

ーーーーーーーーーーーーーーー



ダイジェスト



ーーーーーーーーーーーーーーー


⑮紙飛行機飛ばし


朝日奈「こんなのよく思いつくよねぇ」

大和田「………」おりおり

江ノ島「………」おりおり

大泉「………」おりおり

大神「………」おりおり

朝日奈「………誰か喋んなよ」

十神「ふっ!」ひゅーん


⑯ハンドベル


桑田「どうしろと」

腐川「えーと………ハンドベルで規定の曲を演奏出来ればいいみたいよ」

舞園「なるほど!」

霧切「さっそくやるわよ」


が。


りんごーんっ

石丸「む?ワントーン高いな……僕の番ではないようだ」

腐川「何回やり直すのよ……」


ーーーーーーーーーーーーーーー


(ナレーション:藤村忠寿)

ここまで順調に来ていた大泉さん達だったが、ここ16番のハンドベルで大きくブレーキ。
時間を大きくロスしてしまう事になった。
しかしそのロスをなんとか取り戻そうと、全員が奮闘。だが主に石丸さんが足を引っ張り、30分かかってようやくハンドベルを突破。
さらにその後怒涛の追い上げを見せた彼らは、息つく暇もない状態で⑰⑱⑲⑳㉑と一気に攻略したのだった。
その勢いで大泉さんが飯をのんびり食ったせいで
時間はいよいよ16:30になった。
制限時間の24時間まであと1時間半となってしまい、葉隠さん救出のタイムリミットまで…猶予はほとんどなくなった。


ーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーー





ーーーーーーーーーーーーーーー


宝探し



◆プール

朝日奈「ぷはっ!」

霧切「それが宝ね」

朝日奈「なにこれ、鍵?」

十神「あっさりとクリアしたな。まだ1時間以上時間があるぞ」


ーーーーーーーーーーーーーーー



あと2つ



ーーーーーーーーーーーーーーー


霧切(………時間はまだある。ここは焦らず取り組むだけ)

霧切(いつの間にか全員が一丸となって、このゲームに取り組んでるわ)

霧切(狙いは完璧。……時間調節しながら来たけど……ここまで余裕があるなら、もう少し追い込む方がよかったかしら)

霧切(ただ問題があるとするなら、次ね)



◆4階教室


苗木「で、次は?」

霧切「以心伝心ゲーム……ですって」

霧切「ルールは簡単。当たり前すぎる問題が出るから、この中から1名選んで、その人と回答を合わせるだけ」

霧切「全員、答えはフィリップに書いてもらうわ」

舞園「………フィリップ?」

霧切「フィリップよ」

山田「外人かな?(すっとぼけ)」

霧切「紙よ!!」


※Tips…【フィリップ】
正しくはフリップである。
リーダー森崎は必ずフィリップと言い間違える。
周りから突っ込まれてもなお間違える。


不二咲「なんだぁ、それなら簡単に終わりそうだねぇ……」ほっ




ところがこれが大誤算となる───



霧切「まずはこの中から1人、みんなの答えになる人を選ばないとならないのだけれど」

セレス「模範的、一般的な回答をしやすそうな人を選ぶべきですわね」

苗木「じゃあボクがその1人って言うのやるよ。自分で言うのも悲しいけど、ボク………普通だし」

大泉「………おぉ、そうだねぇ。君がいいんじゃないのか」

江ノ島「………ん」

霧切「始めましょう。ええっと、確か問題は……」

ぺらっ


Q:猫の名前と言えば?


不二咲「うわぁ…」

十神「………」さらさら

セレス「………」

ーーーーーーーーーーーーーーー


答え合わせ


ーーーーーーーーーーーーーーー

苗木「タマ!」かっ

朝日奈「違うよミケだよ!」

セレス「いいえ、違います…」

不二咲「これいきなり難しいねぇ」

大和田「猫の事なんかわかんねーな」がしがし

苗木「ちなみに霧切さんは?」

霧切「ニャンです」

大泉「お前帰って寝ろ」


※Tips…【ニャンさん】
【ベトナムラストラン】の時に同行してくれた、クラス・ガイドのサーヴァント。【ホーチミン師の歌】を歌う姿が印象的である。
ちなみに11年経った今でも指名が多いらしい。
なお「ニャンです」「お前帰って寝ろ」は、ベトナムの料理店での藤村と大泉の会話。
酔ったふじやんが何を聞かれても「ニャンです」としか答えなくなり、結果大泉が怒った。


霧切「気を取り直して次行くわよ」

ーーーーーーーーーーーーーーー


(ナレーション:藤村忠寿)

以心伝心クイズ。
普通に普通すぎる苗木さんの普通の回答を予想して答えるのがこのクイズである。
しかしそもそも普通の思考回路を持たない超高校級達が、普通の人間である苗木さんの思考を予想出来るわけがなかった。
当然と言えば当然ながら、一般的な回答がほぼ決まっているような問題に対応出来るはずもなく、全員見事に撃沈。
足並みも揃わないまま、いたずらに時間だけが過ぎていった───

そのままなんと1時間以上、何も起こらないまま過ぎてしまったのである。

無情に流れる時と、どんどんすれ違うメンバー。
焦りは募り、答えはどんどん合わなくなっていく。
虚しく響く苗木さんの励ましの声。

残された時間は10分を切り、あとわずか。
クイズに挑戦している余裕もほとんどない。
このままでは葉隠さんは、ルールに則ってオシオキと言う名の処刑をされてしまう。
さすがの霧切さんにも、次第に焦りが見え始めていた…。


ーーーーーーーーーーーーーーー

十神「お前達!合わせるつもりはあるのか!?」

朝日奈「あるよ!十神こそないじゃん!さっきから3問連続外してるし!」

十神「なに…?」

大神「言い争っている場合か!」

石丸「う、うむ、そうだぞ…時間も限界だ、次の問題を最後にしよう」

大泉「だね、次こそ最後になるようにしようぜ!」

大和田「苗木の考えてる事って当たんねぇもんなんだな」

舞園「………私達がちょっと遠すぎるんでしょうか…ね?」

苗木「大丈夫、絶対クリア出来るから!霧切さん、次お願い!」

霧切「………ええ」


ーーーーーーーーーーーーーーー



北海道のソウルフードと言えば?



ーーーーーーーーーーーーーーー


桑田「これはオメー、チャンス問題だろ!」

大泉「あー!」

苗木「これは行けるよみんな!」

腐川「な、何が…」

不二咲「もしかして…」

江ノ島「あー、あれ?」

苗木「せーの、でみんなの答えを見せあおう!」

朝日奈「これは自信ある!」

舞園「行きますよ!せーの!」


「「「スープカレー!」」」


※Tips…【スープカレー】
大泉が序盤で生徒達にお見舞いした料理。
みんなの苦い記憶である。


霧切「………全員一致した!」

大和田「これ意外と嬉しいぜ…」かぁぁっ

石丸「僕達は一致団結出来たのだな!」ぶわわっ

江ノ島「あー、疲れた。ちょーお腹減ったしー」

山田「テンション上がってきた」

朝日奈「やったあぁぁぁっ!」ぴょーん



朝日奈「…あれ?でもこれまだ23個目だよね?」


ーーーーーーーーーーーーーーー



あとひとつ



ーーーーーーーーーーーーーーー


朝日奈「ど、どうしよ…ヤバイじゃん……」

石丸「諦めるな!まだ時間はある!」

苗木「急いで行こう!最後は!」

霧切「大神さん…あなたのカードだけよ。」

大神「………」

桑田「あ!一番最初にオーガに渡してた!」

霧切「行きましょう、あそこに…学園長室に。それまでそのカードは見ないで」

霧切「…最後のミッションはあなたと、彼がいなければ出来ないんだから」

かつかつかつかつ…

大神「………霧切」


ーーーーーーーーーーーーーーー




学園長室




ーーーーーーーーーーーーーーー


葉隠「………Zzz」


また寝てる


葉隠「………んぐ」




どんどどどんどんどんどどんどんどん



葉隠「」びくっ

葉隠「ななななななんだなんだ取り立て!?」

葉隠「ひぃぃぃまだ金はねぇっつーか返すようなもんはねーってーの!」


がちゃっ


霧切「外に鍵をかけるなんて、モノクマもかなり手の込んだ事をするわね」

葉隠「………霧切っち?」ぽかーん

霧切「とりあえず、出てきてもらえないかしら」

ーーーーーーーーーーーーーーー




出た




ーーーーーーーーーーーーーーー


◆学園長室前


霧切「……あと5分。時間の余裕はないわね」

葉隠「あの、全然状況が飲み込めんのだけど」

霧切「だと思うわ。とりあえず、ひとつ……大神さん、カードを葉隠君に」

大神「…ああ」すっ

葉隠「んあ?カード?なんじゃそら」

霧切「………読んで」

葉隠「え?えーと…ミッション?……は?」

霧切「それが最後のミッション。これが出来れば私達の勝ちよ」


苗木「霧切さん!先に行かないでよーっ!」どたどたどた


葉隠「………いや、でもこれは出来ねって」

霧切「だめ。それはあなたがやるべき事なの」

大神「なんと書いてある?」

葉隠「…あー…ええと………」

葉隠「………その………」すっ



大神「なに?『はがくれがおおがみをさす』?」



霧切「勝ったわね」キリッ

葉隠「さす、って……」

霧切「ええ。あなたのいた部屋にきっと箱があったはずよ…中身を持ってきてちょうだい」

葉隠「箱?……あれの……中に?」

霧切「時間はないわ。やらなければあなたが死ぬ」

葉隠「え?え?今さらっととんでもねー事言わなか」

霧切「いいからやりなさいよ!!」びしっ

葉隠「」

大神「………これも運命だな」

苗木「霧切さん!大神さ……あれ?」

朝日奈「葉隠ぇ!いつのまに!」

葉隠「………っ」

霧切「早くなさいよ!」

大泉「子猫ちゃんどうしたの、キャラおかしくねーかおい」

霧切「とにかく早く!」

葉隠「あ、ああ……箱の中な……」


(一度出てきた部屋に葉隠が引っ込む)

(先ほど蹴躓いた小さい箱の蓋を開けた)

(しかしその中身を確認した葉隠が、そのままの格好でフリーズした)


葉隠「………」

霧切「ほら、あと3分!」

大神「どうした?」

葉隠「いや、でもこれはオメー……」

霧切「ナイフでも入ってた?」

葉隠「!!」

苗木「ナイフ!?」

十神「待て、話が読めん!どうしてそうなる…!」

霧切「ほら、早く」

葉隠「でもっ、でも……」

霧切「あなたは死にたいの?」

腐川「霧切?あんた何を…」

霧切「それをやらなければあなたは死ぬの。それはもう動かない」

腐川「霧切っ!」

霧切「大丈夫!」

十神「なにがだ!?」

葉隠「これで俺がオーガを…」

朝日奈「なに?何が起きてんの?」

大泉「子猫ちゃん、あと2分!」

霧切「ほら、早くこっちに来ないと…」

葉隠「分かった、分かってっから…分かってっから…」

ぎゅっ

江ノ島「………」

こつ、こつ、こつ

(部屋から葉隠が戻って来る)
(右手に何か握っている)


大泉「………葉隠?」

腐川「あ、あ、あんた何する気…」

葉隠「……まじかこれ……」ぎらっ

大泉「って、ちょっ!あれ何だい、包丁なんかじゃねーだろ!」

霧切「刃渡何センチかしらね。刺されたらひとたまりもなさそうだけど」

十神「……軍用のナイフだな…作りが頑丈だ」

朝日奈「ま、待って、葉隠はなんでナイフ持ってんの?」

霧切「ミッションのためよ」

朝日奈「へ?」

霧切「ほら早く大神さんをささないと」

朝日奈「………え………?」

山田「えー……霧切響子殿、今なんと?」

大泉「1分切ってる!!」

苗木「葉隠クンが……大神さんを……?」

霧切「ええ、さすの」

江ノ島「やらなきゃ自分が死ぬ。でもやったら相手が死ぬ……モノクマらしいね」

セレス「ここまでチームワークを試してきて、最後の最後の選択を、救われるべき対象にさせますか」

桑田「……いや、でも」

大神「良い、葉隠。我はそれを覚悟してきた」

葉隠「は……いや、覚悟とかわかんねって、俺が覚悟出来てねーし!」

霧切「大丈夫、大丈夫だから」

大泉「30秒!おいどうすんだよ葉隠ェ!!」

葉隠「……出来るわけ、ねーだろ……」

葉隠「死ぬ勇気もねーけど、誰か殺す勇気もねーよ……なんだよ、いきなりクライマックスすぎんだろ……」

葉隠「オーガにもオメーらにも悪いとは思ってっけど、俺が情けねーから迷惑かけたとは思ってっけど!」

霧切「だからなんでそんな思い詰めてるの?」

大泉「15秒!」

不二咲「そんな…だめだよぉ…!」

石丸「やめろ!やめるんだ…でもやめたら葉隠くんが死んでしまう!ああ、どうしたら!!」

霧切「させば、いいのよ」

葉隠「だからそんな事!」

霧切「落ち着いて」

大泉「10秒!」

朝日奈「葉隠!あんた……さくらちゃんを……!?」ぎりっ

霧切「──────」ぼそっ


葉隠「………ああ、そう言う事か………」


大泉「5!」

葉隠「っ……、」

大泉「4!」

すっ……

大泉「3!」

葉隠「………ほれ、オーガ」

大泉「2!!」

ぴっ

大泉「1───」

葉隠「さしたぞ」

大泉「………え?」

大神「ぬ?」

葉隠「いや、だから言われた通りやったろ。俺がオーガを」



葉隠「 指 で 『 指 し た 』 ぞ ? 」



十神「………」
朝日奈「………」
石丸「………」
苗木「………」
大泉「………」
江ノ島「………」
モノクマ「………」



「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」」

霧切「だって葉隠君が大神さんを『さす』、とは書いてあるけど」

霧切「何でどうするかまでは指定されていない」

霧切「じゃあどうする?答えはひとつよね。指で指せばいい」


葉隠「は、はは……なまら焦った……腰抜けたわ……」へたっ

苗木「え…?じゃなんでナイフを持って来させたの?」

霧切「演出よ」きりっ

山田「そのこだわりどんだけ!?」

霧切「…だってスリリングだったでしょ?それに───」

霧切「聞けたじゃない、彼は大神さんを殺してまで残ろうとはしなかった。それに、十分私達に申し訳なさを感じていたわ」

霧切「………私達はもっと、互いを理解し尊重すべきよ。そうでしょう?」

大神「我を許すのか、霧切」

霧切「許す許さないじゃない、あなたも元々仲間だったってだけよ」

江ノ島「………なんだそれ………」

不二咲「で、でもよかったよぉ、誰も傷つかずに終わっ」

モノクマ「ちょっと待ったーーーっ!」

苗木「あれ?モノクマ?いつからここに……」

モノクマ「こんなのクリアに含まれないよ!ナイフがあるんだからナイフでさしてよ!」

葉隠「あー、じゃこうでいいか?」

(大神の腰辺りにナイフを突っ込む葉隠)

葉隠「ほれ、ナイフ差した」

大神「おお」

モノクマ「おおじゃねーよ!!なんだそりゃ!霧切さんっ!!初めからこれをわかってて……!!」

霧切「当然じゃない」ふっ

霧切「あなたがわざわざルールをひらがなで書いてくれたからよかったわ」

モノクマ「だから!!ナイフで!!刺せよ!!!」

葉隠「しゃーねぇなぁ………オーガ、悪いけどちくっとさせていいか?」

大神「うむ、覚悟は出来ている」

ぷすっ(←おへそ辺りに先っちょだけ刺した)

朝日奈「あ………葉隠っ!!」

大神「よい、朝日奈。これでお互いおあいこだ」

葉隠「じゃこれで」

モノクマ「納得出来るかぁぁぁぁっ!!こんなのだめよダメダメ!!葉隠クンは罰ゲームに決まって…」

霧切「それは違うわ!」

モノクマ「」

霧切「ルールを守ってちゃんとさしたのに?それはあなたのルールの解釈の問題じゃないかしら」

霧切「葉隠君はミッションに則って大神さんを指したわ。それに抗議するあなたのために、差したし刺したのにまだ何かあるの?」

霧切「それなら初めからしっかりと「葉隠君が大神さんをナイフで刺す」と書くべきであって、それを書かなかったのはあなたのミスよね」

霧切「自分のミスを他人のせいにするの?それで【みんなが納得するかしらね】?」

モノクマ「ぐ、ぐぐぐ、ぐぐぐっ……!」

苗木「…モノクマ、ゲームクリアでいいんだよね?」

モノクマ「………クリアだよ………しょぼーん………」

朝日奈「よ、よかった……!葉隠もさくらちゃんも死ななかったぁ……!」

葉隠「その、なんつーか俺……」

大神「良い。誰でもお主の立場なら、そうなる」


大泉(……人間不信者と、絶対信者)

大泉(大神さんは強すぎて、葉隠は弱すぎた。お互い分かってる、分かってるからもう何も言わなかった)

大泉(何もなかった。もう理解し合えた、許し合えたから、それでいいじゃないか)

モノクマ「そうだね、このゲームはクリアさ。キミ達の勝ちだ」


モノクマ「クリアだけど」


ひゅ


大神「………葉隠!」どんっ

葉隠「ほえっ?」


すとんっ


葉隠「げべっ!?」どさ

大神「……無事か!」

大泉「今ので無事じゃなくなったと思うぜ……っつーか」

十神「ナイフが壁に……?」

腐川「ど、どっから飛んできたのよ…!」

モノクマ「……クリアだけどクリアじゃないよ……そうだよね、霧切さん。ゲームは楽しいよね、見てて」

霧切「……何?」

モノクマ「次のゲームをしようよ、霧切さん」

「私と、死の追いかけっこを」


大泉(その時、俺達は見た)

大泉(江ノ島盾子が、己の髪の毛を掴んで思い切り引っ張る姿を)


大泉(俺は見た)


大泉(死神を)



「私は戦刃むくろ」


「超高校級の軍人、です。」


大泉「………は?」


大泉(そして彼女の声は、確かに俺の命を奪おうとしたその人の声だった)

ーーーーーーーーーーーーーーー



Chapter4

コーリング・コーリング・ユー

非日常編


【END】




残り【16人】



ーーーーーーーーーーーーーーー

セレスさん誕生日おめでとう!
二次元キャラの中で一番好き


葉隠が股間のナイフで挿す、という選択肢もあったよね

ここまでです。
さくらちゃんが強すぎて、葉隠が弱すぎた。その結果が原作Chapter4だと思ってます。
強いまま、弱いままでそれぞれ思いっきり大泉色に染めようと思ったら、いつの間にかハナタレになってたでござる。なんでだ。
最初は葉隠がさくらちゃんを殴打するはずだったのになんでだ。

>>163-166
なんだいキミ達ぃ、なんでそんな事言うんだい?
全部拷問じゃねぇかよぉ、おいぃ!

>>167
東芝のCMにも出てやがんだよ、あの鈴虫はよぉ。

>>168
マーニーは全員出てます。
シゲが「声優すげーわ」って言ってたのが確かマーニーの仕事の時のはず

>>169
あの件はすごく自然にホット・スプリングスに向かうから面白いですね。
しかもミスターが起きて早々気づいちゃうって言うねw

>>170
出たての頃は大学生だったのにね。時代は早いですよ。

>>173
実家か名古屋かの選択肢がよかったよぉ!
強いて言うならユーコン。

>>211
セレスさんは今日誕生日です。おめでとう。
股間のナイフ………ごくり

むくろちんが活躍すると聞いて

期待


寄宿舎の部屋以外で寝るのってルール違反だった気がするけど葉隠大丈夫か

次は1文字も書いてないけど12/8更新予定。
ヤスケン(と東京03角ちゃんとロッチ中岡さんとペコの中の人とペコの中の人がやったミサトさん)の誕生日です。
コメ返しも次回更新にしよう。いいね?


で、前回終わりで紹介しようと思った動画貼り忘れたんで貼っておきます。

ttp://youtu.be/eDDjkq4LtvU
打首獄門同好会/88
四国88ヶ所へのリスペクトで作られた名曲。このPVで笑えるのはどうバカ。

1おつ待ってたぞ!ダベミ
むくろの今後がすごく気になってる
待ってる

ダベミ家をキャンプ地とする!

ダベミは来年四国八十八ヶ所回らないのかい?

ダベミ家でインキー・インキーしてやるぞぅ

藤村「おい1くぅん……今日が締め切りだぞぉ、書けたか?」

1「いや、1500字ほど…」

藤村「全然足りねぇぞこのバカ」

1「………」

藤村「だからねぇ、ぼかぁねぇ、言ったじゃない。ちゃんと書き溜めておきなさいって」

藤村「そこでファイティング・クライマックスやってる暇があるんならねぇ、書き溜めなさいって」



締め切りを破りかけている>>1
果たして12/8の投下は間に合うのか───!



(以下、>>1にこねたssを無茶振りする流れ)

関係ないが今日は俺誕生日なんだ
ダベミさん投下待ってます!!

ダベミが〆切遅れそうなのは
妖怪の~せいなのね♪そうなのね♪

普段よりちょっと短いけど、とりあえずChapter5の出だし出来たから投下。

大泉(それは死神だった)

大泉(死神なんて呼ぶには似合わない細腕のせいで、これはなんかの冗談なんじゃねぇかと思っている)

大泉(……俺もこの何十年、生きてて死ぬかもと思った事は何度かある)

大泉(カブでウィリーした時も、アメリカで急に倒れた時も、まっ暗いなかでトラ見つけた時もだ)

大泉(正直死ぬと思った。でも全部笑い事で済んだし、実際ネタになってきた)

大泉(どんな時もだいたいなんとかなったんだ)



大泉(でもどうだい、これは全く笑えんぞ?キミ)


モノクマ「ぶっひゃっひゃっ!これでキミたちのぼうけんはおわってしまうんだー!」


「戦刃むくろ。超高校級の軍人……です。」


大泉(だってさぁ、彼女の手に握られたナイフは)


大泉(命を刈り取る姿をしてるじゃあないか)


ーーーーーーーーーーーーーーー





【Chapter5】

疾走する青春を巻き込んでハリケーン

非日常編





ーーーーーーーーーーーーーーー

モノクマ「うぷ…うぷぷ……!ボクは本気だよ、みんな!これから生死をかけたゲームに挑んでもらうから!」

山田「せいしをかける(意味深)」

不二咲「ど、どう言う意味?」

腐川「ぶっかけよ」

朝日奈「うどん?」

大泉「どっちも好きだねぇ」

葉隠「下衆だな」

モノクマ「大泉クンが下衆かどうかはともかく、余裕こいてるねぇみんな」

モノクマ「ペナルティも兼ねて、ゼツボウモードでの挑戦をしてもらうよ?」

霧切「ペナルティ?どう言う事……?」

モノクマ「え?キミ達知らないの?ほら戦刃さん」

戦刃「それは…私が説明する」

戦刃「校舎内2階男子トイレ内に隠し部屋を発見。中にインターネットケーブルに接続されたノート型のパソコンを発見しました」

苗木「」!

不二咲「…ノート型の、パソコン…それってもしかして!?」

戦刃「内部を確認したところ、アプリケーションが実行中。インターネットに接続し、何かの作業をしていたところでした」

ごそごそ

(戦刃がポケットを弄っている)

戦刃「これを我々は校則違反と捉え、」


ごとんっ


戦刃「接続した生徒が見つからないため、ノート型のパソコン及び内部アプリケーションに対し【オシオキ】を実行しましひゃ」がりっ

戦刃「………舌噛んじゃった」

苗木「…え?お、オシオキ……?」

朝日奈「あ、見て……あれ……」

不二咲「う……!」

大和田「ありゃあ……」


大泉「………銀色のボール?」

モノクマ「この学園を調べるのは勝手って言ったけど、インターネットつなげるのはやりすぎです!よって、オシオキしました!」

苗木「そんな……」

石丸「ああ、扉をバーン……」

桑田「……安田さん……」

霧切「あなた達、最初に思うのはそこなのね」

大神「しかし、我らの望みが…」

モノクマ「って言っても分かんないよねぇ?もうパソコンの原型ないもんね」

不二咲「ごめんね……アルターエゴ……」

桑田「ど……どうすりゃパソコンがこんな綺麗なボールになるんだよ……」

モノクマ「日本の科学力の結晶です」

大泉「な事ぁ聞いてない!……おい、モノクマァ……」

苗木「アルターエゴを殺したのか……」

モノクマ「………は?」

戦刃「理解出来ないよ。ただのコンピューターとただのプログラムでしょ」蹴り

ごろごろごろ…


(てっかてかでぴっかぴかなアルターボールが廊下を転がっていく)

(山田がキャッチした)


山田「てめぇらの血は何色だ……」わなわな

モノクマ「」?

山田「アルたんは……立派に戦って、死んだんです」

山田「それをそうやって軽んじる権利はあなた方にはありませんっ!」

モノクマ「へー、そうなんだ!すごいね!(AA略)」

大神「待て、山田……!」

山田「でも」

十神「敵の狙いにみすみす引っかかってやる必要もあるまい……こらえろ」

モノクマ「十神クンは出来た大人だね。まぁいいや……それじゃ、次のルールを説明します」

戦刃「あなた達がどうしても殺し合いをしたくないのは分かった。なら不本意だけど違う方法でみんなを絶望させる事にする」

戦刃「今は19日目夕方。ゲームは明日20日目より開始」

戦刃「そこから22日目の23:59までがゲーム時間。それまでに条件を満たせばクリア」

セレス「簡単に言ってくれますわね」

戦刃「その通り、条件は簡単。制限時間までに、私が持ってるこの……」

すっ

石丸「それは何かね、カード?」

戦刃「うん。とある場所で使うカードキー。これを、校舎のどこかにいる私から奪えればクリア」

戦刃「私は校舎内全ての部屋への出入りが可能、しかし全ての部屋に『情報処理室』と『学園長室』は含まれない」

戦刃「また私が寄宿舎に行く事は出来ない」

霧切「そう。それじゃあ校舎で袋叩きにでもしたら、すぐ捕まってしまうんじゃないの?」

戦刃「…私は全力で抵抗する。武器の使用はこのナイフのみ許されているから、ナイフで抵抗する」

戦刃「手段・方法・場所・人数・私の生死は問わない。私からカードを誰かが奪えばクリア」

十神「生死は問わないだと……?」

セレス「なるほど?殺せばカードを奪うのは簡単ですわね」

苗木「そ、そんなの…」

十神「………」

葉隠「いや、はは…まさか…」

朝日奈「いや……そんな事誰もしないよ……」

戦刃「そう。私も死ぬ気はないよ」

戦刃「超高校級の軍人の名にかけ、あなた達になんて絶対に殺されない」

大泉「おいおい、おいおいおい…」

モノクマ「ちなみに、もしこのゲームに失敗したら、キミ達のうち誰かをランダムにオシオキするからね」

霧切「なるほどね……本当に飽きたの。私達誰かを見境なく殺そうとするなんて」

山田「ふ……ふんっ!あなた方の思うようにはいきませんぞ……!」

舞園「そうですよ!カードが奪えさえすれば、誰も死なずに………」

モノクマ「あ、ごっめーん☆言い忘れちゃった☆」



モノクマ「カードが奪えたらキミ達の勝ちとして、戦刃さんがオシオキされます」



大泉「はぁ?」

腐川「あんた……な、に言ってるの……」

苗木「オシオキって、おい、モノクマ……」

モノクマ「はい!どっちか絶対に死にます!」


大泉(能天気な声で、脳味噌が壊されるかと思った)

大泉(どっちか絶対に死ぬ)

大泉(その意味を飲み込むのに時間がかかった)


戦刃「どうあがいても絶対に誰かが死ぬ。それってとっても絶望的で素敵だよね」

戦刃「私も、あなた達を反撃では殺さないようにするから。あなた達誰かが、オシオキで殺されるところが見たいから。だから」


戦刃「頑張ってカードを奪いに来てね」


大泉(そこで彼女は笑った)

大泉(戦刃むくろとして初めて笑った)

大泉(腹の奥まで冷えるような、冷たい笑みが怖かった)



大泉「……お、おおい、待てよ君達」

戦刃「何?」

大泉「突然なした?いきなり今までと違いすぎねぇか?」

戦刃「答える義務はない、黙秘する」

モノクマ「あ、ついでに明日、学園の5階も開放しとくから!」

「「「いやいやいやいや」」」

葉隠「やる事多すぎだろ!」

山田「それ以前に!フィールドが大きくなったら我々が不利では!?」

モノクマ「黙れ(怒)!」

大泉「言うに事欠いて黙れとはひでぇな!?」

戦刃「うるさい」ナイフびゅーん

腐川「白夜様には絶対に刺させないぃぃぃ」

大神「ふんっ」ぺきっ

戦刃「…軍用ナイフが折れた?あなた、なんて馬鹿力…!」


ごごごごごご

大泉「…いきなり緊張感なくなったねぇ」

大泉(そんなところに救われたんだけどな、特に今に関しては)

腐川「白夜様には指の一本も触れさせないわぁぁぁぁ」

十神「お前も黙れ」

モノクマ「じゃ、これで話は終わりだから………あと葉隠クン」

葉隠「ん?」

モノクマ「確認なんやけどな」

モノクマ「お前完全に校則違反したやろ」

葉隠「へ?いや」

モノクマ「したな?お天道様は見てんで?」

戦刃「お天道様………?」何ソレ

セレス「太陽ですわ」

朝日奈「なんで関西弁なの?」

大泉「太陽は関西弁なんだよ」


※Tips…【関西弁の太陽】
四国シリーズに現れた太陽。四国なのにもかかわらず関西弁である。
主に旅の不正をちゃんと見ている(うどん屋に行くために、以前のVTRを使いまわして寺に行った事にするなどの不正)。
それらを確認した場合、行きたいうどん屋を定休日にするなどのペナルティをどうでしょう班に与えてくる。


モノクマ「あのなぁ、校則違反はしたらあかんで?」

モノクマ「いやまぁなぁ?わても忙しくて注意出来んかったけどな?」

苗木「モノクマが関西弁ってなんかその…」

モノクマ「よぉ考えたら、そらぁやる事なかったら寝るわな。そこはわてのミスや」

モノクマ「でも校則は破ったらあかんやろ?分かるやろ、自分」

葉隠「あの」

モノクマ「お前もペナルティや」

葉隠「ちょ」

戦刃「軍隊式の格闘術を使うね」にっこり

戦刃「大丈夫、ちょっと右肩を故意に脱臼させるだけで許してあげるから」

モノクマ「こんなのでオシオキして殺して頭数減らすのもつまんないしねー」

葉隠「待て待てそれ意外と痛いやつ……」


ごきっ


ぬああああああああああ!!?



大泉(……絶対に憂さ晴らしだろうなぁ)

ーーーーーーーーーーーーーーー








ばんごはん








ーーーーーーーーーーーーーーー

大泉「カツ丼!」

舞園「いただきます!」


むしゃむしゃむしゃ


大和田「うまいっ!」

不二咲「うんっ、うまいっ」へへへ

翔「ちーたんのうまいっいただきましたー」

山田「これはあれですなぁ、マニアは喜びますなぁ」

翔「そうですなぁ、これだけでご飯食べられますなぁ」

山田「これは本が売れますなぁ………」

翔「薄い本がさらに薄くなりますなぁ………」

苗木「いつの間にかジェノサイダー翔さんになってるし」

朝日奈「薄い本?取説?」

苗木「なんの?」


だばーんっ(扉が開く音)

石丸「こらっ!廊下は走ってはいけないぞ!」

大神「動くなと言っているではないか!すぐに治す!」

葉隠「怖い怖い怖い!腕折れるだろ絶対に!?」←腕吊ってる

石丸「しかしそのままにしておいても酷い事になるだけだ!」

セレス「では腕が折れないにベッド、100万ペソ」

葉隠「儲ける気ゼロ!?」

大神「おとなしくしなければ肋を折る」ごごご

葉隠「なぜさらに怪我させる気なんっ!?」



大泉(こうして、激動の1日は終わる)

大泉(明日から命がけのゲームやるんですってよ奥さん、これは笑えねーよ)

大泉(でも断れるような立場じゃないのは、誰もが分かっていた)


霧切「それにこれはモノクマとの直接勝負」

霧切「絶対に負けられない戦いが、はじまるわ」


大泉(子猫ちゃんのその一言を胸に、俺達はいよいよ20日目を迎えるのだった)

今日ここまで。短い?締め切りに間に合ったんだから褒め称えなさいよ!(暴論)


>>215
ここからは大活躍(?)です。

>>216
しっかりとオシオキさせていただきました。

>>219
なるべく死なないように頑張ります。

>>220
ただのワンルームじゃないですか…!

>>221
妖怪大戦争が起こるのでだめです。

>>222
この時期にか?インキーにインキーか?死ぬ気か?

>>225
そうか、おめでとう。私の知る限り今日はさまぁ~ず大竹さんなど、変態の誕生日だ。だが君が変態でない事を祈ります。おめでとう。

>>227
ウォッチ!今何時!もう日付変更線ギリギリー!


うぃっす。

むくろん噛んでやんのプギャー
しかし大泉くんよ、どうやってむくろんを倒すんだい
倒しちゃったら死んじゃうけど…

トラか?トラなのか?

 
 
 
   ダ  ベ  ミ  で  し  た

ダベミさん今他に書いてんの?

シンジ「ハナタレナックス・・・?」 : 【SS宝庫】みんなの暇つぶし http://minnanohimatubushi.2chblog.jp/archives/1876768.html


バタバタしすぎてまだ全く書けてない。ほんますまんやで。弾丸ウォッチもなんとか年内完結したいんやで。
こっちは年内あと2回は更新したいが……

>>246
はリアルタイムで見ました。ハナタレ知ってる人なら懐かしい気持ちになりつつ、笑いが止まらないはず。オススメです。

#どう考えても年内投下できなさそうなので小ネタ


大泉「僕さぁ、みんなでジャングル探検に行った事があんだけどね」

苗木「は、はい……」

大泉「その時はね、みんなもうすごい揉めてねぇ」

苗木「揉めたんですか」

大泉「だってコウモリがちゅーちゅー言ってる洞窟に入れって言うんだもの!しかも若手だからって俺ばっか先に行かせようとしてね」

大泉「結局鈴井さんが先行してガイドさんと一緒に行ったんだけどさ」

苗木「はあ……」

大泉「その時ったらすごい荒れたね、僕達は」

大泉「嬉野さんなんか、蛇が出たって聞いて震えながら『ホワイトスネーク、カモン』だの言い出すし」

大泉「藤村さんは自分が通れなさそうな道出てきちゃって声が震え出してねぇ」

苗木「なんですかそれ!?」

大泉「おぉい大泉君、僕を置いてくんじゃないよぉ、ダメかよ、デブでヒゲ生えてちゃダメかよ!」

大泉「くっくっく……いやいや、ヒゲ関係ねーからあとから来なさいよ!って言ってさ」

大泉「……すっごい揉めたし荒れたけど、楽しかったな」

苗木「きっと、会えますよ。ここを出れば」

大泉「ああ。それまでひとりも欠けないように頑張ろうじゃないか。な、苗木君」

苗木「………そうですね。だからそれまでには」

大泉「…なんだい?」

苗木「死人が出ない料理を作れるようになってください」



#皆様、ご愛読ありがとうございます。頭がコンクリートに突き刺さる程の感謝の極みです。来年も何卒よろしくお願いいたします。

sageない奴はブンブンの刑に処す
トラを見るまで

新年は逃走中で遊んでたな
生存確認できたから良かったよ
こっちも色々な案で脳内大変みたいだが
上手く纏めての更新待ってるよ

いきなりのヤスケンの女装に吹いた

http://i.imgur.com/PzWwcGZ.jpg
飛び魚当たった。

ーーーーーーーーーーーーーーー




20日目


8:30
寄宿舎 食堂




ーーーーーーーーーーーーーーー

(食堂で面倒くさそうに頬杖ついてる大泉らの光景)


霧切「おはようございます」

石丸「おはようございます!」びしっ

大泉「はい、おはよう…」

大和田「うす」

葉隠「おーす……って、なんか暗くねーか、全員」

大泉「ま、そりゃそうだろ?前途多難すぎるしなぁ」

舞園「…昨日はあんな事になっちゃいましたけど、その…」


大泉(あんな事なぁ。どっから説明したらいいやら)

大泉(あ、葉隠はもうピンピンしてるぞ。)


大泉「仕方ないじゃない。よく考えたら、初めから遊ばれてるのは僕達の方なわけだし」

霧切「むしろここまで手玉に取れたのが奇跡なのよ、アドバンテージもほとんどないのだから」

大和田「……しかし気が重てえんっすけど、女とやらなきゃなんねぇっつーのは……」

石丸「ふふ、やはり兄弟は紳士だな!男子たるもの、女子に暴力をふるうべきではないのだ!」

舞園「暴力をふるう必要はないですよ?ないですけどね?」

大泉「腹ぁくくんなさいよ大和田くぅん。人は時に、己を曲げてでも戦わなきゃなんない時があるの、それが今なの」

大和田「そうかもしんねっすけど……」

霧切「大丈夫よ。あなたは私が守るもの」

大和田「それはそれでかっこつかねぇだろ!」

大泉「めんどくせぇな!」

葉隠「つーか……はぁ、ここから先……何があってもおかしくねーだろ?」

霧切「……まさかモノクマが直接攻撃を許すとは思わなかったわね」

石丸「確かにそうだな。戦刃くん……とやらの様子もおかしかった……」

葉隠「……誰かしら戦って自爆とかしねぇよな?」

霧切「宮司の事ね!宮司の事なのね!」きっ

葉隠「なんで睨まれてんの俺」

大泉「自爆でそれが出てくる君の思考回路が僕ぁ怖いよ」


※Tips…【白龍神社の宮司】
【ホワイトストーンズ】シリーズのキャラクターだが、登場は1・2のみ。3では、昔の話をしているメンバーの話題になかなか上がらない、ちょっと不憫な男。
小さい頃のホワイトストーンズを育てたり、全員に雅楽を教えてあげたり、ホワイトストーンズの命名をしたりと割と活躍してるのに不憫な男。
2では、いよいよ自分が戦わくてはと決意し、ホワイトストーンズを改造した川北博士に頼んで自分も改造してもらった。
そしてラスボス・レッドローズ(悪の首領)に突撃し、ホワイトストーンズを思いながら自爆していったものの、ラスボスは傷を癒し即復活した犬死な男。
しまいには自分がいた白龍神社は、特に説明もないままいつの間にか主要人物の北郷(戸次)が管理し、孤児にすごい好かれてた。そんな不憫な男。
役名【宮司】の他に本名があってそれが公開されるのかと思いきや、そんな事も一切なかったし、そのままフェードアウトした不憫な男。
なお【小説版ホワイトストーンズ】では高齢の男性に設定されており、割と腹黒なキャラである。注意されたし。


舞園「…えっと…それでまずは、今日はどうしますか?」

石丸「最初、5階の探索をしようと思うのだがな。…それでいいですか?大泉さん」

大泉「ああもう、俺には断る権利ねーもの。君らで決めて君らで行きなさいよ」

霧切「ではそうさせてもらいます。全員揃ったら行きましょう」

石丸「ああ、号令は僕にやらせてくれ!」

大泉「号令?」

ーーーーーーーーーーーーーーー





号令





ーーーーーーーーーーーーーーー

石丸「行くぞっ!はいやーっ!」


たったったったっ
(いつのまにか取り出した馬の頭がついたステッキと共に軽快なステップで走る石丸)


大泉「おいおいなんだいその……その掛け声はぁ……www」

霧切「やはり力強く号令をしてもらわないと」

大泉「廊下は走っちゃいけねーんじゃねーのかよぉ!!」

石丸「はいやーっ!」たたったたっ

大和田「まだ全員揃ってねーから戻ってこい兄弟ー!」

葉隠「っつーか……wwwいつ、いつのまにあんなもん仕込んで……www」


※Tips…【馬に乗る王子】
【前枠後枠】シリーズより。なお、【前枠後枠】には様々な時期が存在するが、これはまだ【大泉黄金期】の作品である(鈴井が企画説明し、大泉が変な事をやるパターン)。
【サイコロ4】の前枠で、雪山を馬(の頭だけ)で走り回って戻ってきてから、カメラ前で何か王子らしい事を言わなければならなかった大泉さん。
しかし「はいやー!」と威勢良く出てきたものの、出だしでいきなり躓き、雪の中で盛大にすっ転んでしまった。
なんとか時間内にカメラ前に戻って来れたものの、「王子!」の一言しか制限時間に間に合わず、結局何度かやり直した。
しかしやはりそこでも上手くいかず、セリフもあまり面白くなかったため、一番最初の「王子!」でセリフが切れたものが採用された。
なお、どうでしょうにおける【前枠後枠】は、唯一制限時間やセリフががっちり決められたテレビらしい事をしているコーナーである。

ーーーーーーーーーーーーーーー





大泉さん、ぼやく





ーーーーーーーーーーーーーーー

◆AM 9:30
ようやく全員の支度が終わる
(食卓テーブルに置かれた馬の頭のどアップ映像)


セレス「遅くなりまして申し訳ありませんでした……お洋服を綺麗にしていたら時間が……」

舞園「その洋服、手入れ大変そうですもんね」

不二咲「柄物と一緒に洗ったら大変だよねぇ……」


朝日奈「………」もぐもぐ

大神「朝日奈はドーナツが本当に好きだな」

朝日奈「えへへー!」

苗木(これはまだ支度が出来てるに入らないんじゃあ……)

桑田「ふぁ……髪の毛決まんねーな……」

十神「………」

朝日奈「………食べる?」つドーナツ

十神「いらん」

葉隠「やべ、眠くなってきた」

大泉「……」

大泉(いいのか、いいのか俺達ぁこれで)

大泉「………いやー、しかしあれだな。君達はさぁ」

朝日奈「ん?どったの?」

大泉「危機感がないなぁ」

朝日奈「…まぁね」

葉隠「正直死ぬかと思ったけどな」

大泉「おめぇは脱臼で済んだ事をもっと感謝すべきだぞ、おめぇだおめぇ」

葉隠「………?」きょろきょろ

大泉「そう言うのいらねぇんだよぉ!w」

石丸「しかし、確かに危機感がないのは問題ですね」

苗木「実際ここまでなんとかなってきたから……次もきっとなんとかなるんじゃないかなって思うんです」

大泉「なんとか?」


大泉「誰か死ぬかもしれないのに?」


苗木「…それ、は…」

大泉「ここにいるのは確かに超一流の高校生と北海道の大スターかもしれない。でもただの人間なんだよ、君」

葉隠「さりげなく自分を上げたべ」

山田「恐ろしいテクニックです」

セレス「なかなか出来る事じゃありませんわ」

大泉「綺麗事上等で言うけどねぇ、ぼかぁねぇ、死ぬってのはよくないと思うんですよぉ」

大泉「俺も確かに色んな事やったさ。色んな場所で吐いたり怪我したり転んだりしたさ!」

葉隠「かっこわりーぞそれ」

大泉「安田は牛乳を吐き、おならで階段を上がったよ!音尾と戸次なんかお前、滝で修行とかしたよ!」

大泉「……あとモリはハゲかけてるのがバレたよ」

不二咲「それはそれで一番辛そうなんですけどぉ……」

桑田(不二咲が突っ込んだ!?)

大泉「だからねぇ、笑いに変えられるのってのぁ、無事だからこそ笑いになるんであってだよ君達ィ」

霧切「それに同意します」きりぎりっ

苗木「バラエティでは血を映しちゃいけないってやつ、ですか……?」

大泉「そーそー、やっぱりねぇ?怪我するかしないかギリギリだからこそぉ、笑って済ませられるってところがねぇ…」

葉隠「ん、死んだら笑えねーもんな」

大泉「……おめぇが死んだら墓の前で思いっきり笑ってやるよ」

石丸「大泉さん!人の死を笑うのは倫理に反します!」

葉隠「つーか何年後だよそれ」

腐川「あんたの事だし……」

セレス「案外近い将来なんじゃありませんこと?」

朝日奈「あ、それもそうかも……」

苗木「………(ノーコメント)」

不二咲「えっ……」

葉隠「…え?止めようぜみんな、なんかマジっぽい雰囲気出すの止めよう?そう言うのが昨今のいじめを」

大泉「行くぞ葉隠ェ!」ぐぃっ

葉隠「…ここ出たら全員相手取ってやるからな」

セレス「負け戦をわざわざやりに行くんですね」

葉隠「………」

山田「……ファイトだよ!」

ーーーーーーーーーーーーーーー





5階





ーーーーーーーーーーーーーーー

(全員で訪れた初めてのフロア。今までとは全く雰囲気が違い、多少の開放感も感じるほどの場所がじっと写っている)

(そこに突如現れる迷彩服の女性……なぜか頭は悪役プロレスラーのマスクをかぶっている。首からカードキーをカードホルダーに入れて下げている)


戦刃「戦刃むくろだっ!」ばっ


ーーーーーーーーーーーーーーー









ーーーーーーーーーーーーーーー


十神「何をしている?」

戦刃「オンちゃんを……いじめないで!いじめないで!」地団駄だんだんっ


ーーーーーーーーーーーーーーー




???




ーーーーーーーーーーーーーーー


霧切「………」白い目

戦刃「……えっ、これやったら笑い取れるって聞いたのに……」


◆Tips…前枠後枠のプロレスラー
【原付東日本制覇】の前枠・後枠は、大泉と安田がonちゃんと一緒にプロレスに興じる内容となっている。
その時の安田の発言(何夜かまで正確に覚えてない)がこれ。安田が出て来るまでは大泉がonちゃんをボコボコにしている。
なお安田はこの時ミル・マスカラスなどの扮装をしている。大泉はタイガージェットシン。
その後【サイコロの旅】がゴールデンで放送された時に行われた【30時間テレビ】では、鈴井がタイガーマスクをかぶってリングインした。
この時大泉はアントニオ猪木風の衣装であり、同じ猪木風の安田が増えて鈴井と絡む事を、【タイガーのダブル猪木】と呼ぶ。

桑田「……いやー……」

大泉「誤解を恐れず言うけどさぁ……」

戦刃「は、はい……?」

大泉「ぶっちゃけねぇ、寒い」

戦刃「なーっ!?」がーん

苗木「さすがにそこまで言ったら可哀想なんじゃあ……」

腐川「そそそそそうなのよこのドブネズミ!今更なんて顔してあたし達の前に現れてんのよ!」

戦刃「いや現れるのは仕方がないよね!?そう言うゲームだしね!?」

石丸「………っ、くく、……」

大和田「兄弟?」

戦刃「!」


石丸「ぶっはっはっはっはっ!なんだねそのアンバランスな衣装!!」手ぱんぱん


戦刃「………そっち?!」

石丸「こ、こうそ、っははは、校則違反!違反しすぎだ!あははは!っひゃっひゃっひゃっ!!」

石丸「ふはははっ!ひっ、ひいいっ、こ、呼吸出来なくなる!マスク、ま、マスクを取りたまえ!」

大和田「そこまで笑うもんか!?」

舞園「人の笑いのツボって違いますからね」

戦刃「わ、分かった、取るから……」


ーーーーーーーーーーーーーーー




とった




ーーーーーーーーーーーーーーー

石丸「………」

戦刃「………」

大和田「兄弟が、まるでオレが死んじまったかみてぇに真っ青な顔してんだが…」


3章のあの石丸の立ち絵参照。

朝日奈「石丸大丈夫?保健室行く?」

石丸「…す、すまない、大丈夫だ………」

大和田「テメェ………兄弟になにしやがった………」ゴキゴキッ

戦刃「えぇぇ…?あらぬ誤解だよ、なにもしてないよ……」

苗木「ええっと、どうしようか…」

霧切「とりあえず、そうね…(あのキャラがうっとおしいけれど)カードキーを取るしかないんじゃないかしら」

十神「………あれからか?」

霧切「ええ」

桑田「それマジで?」

セレス「本気ですの……?」

霧切「仕方ないじゃない……」

戦刃(今のでどんだけ引かれてるの私……)

十神「………」

大泉「いやぁ……」

戦刃「?」

大泉「厳しいなぁ……」

葉隠「あんまり触れたくないって言うか……」

桑田「だな……扱いに困るし……」

腐川「あんまり近寄りたくないわよね……洗ってない犬の臭いしそうだし」

十神「それはお前だ腐川」

苗木「みんな辛口だなぁ」

石丸「これがいじめの始まりなのか……」

戦刃「多分違うよ」

大神「……(コメントに困っている顔)」

朝日奈「何ていうか接しにくい……?」

山田「まぁキャラ的にも、編集的にも?」

朝日奈「へ?編集?」

霧切「黒幕は私達の学園生活をDVDにして荒稼ぎしようとしてるのよ」

セレス「この方も片棒担いでるのですね」

不二咲「監視カメラの映像を悪用するなんて最低だよぉ!」

大泉「そうだぞこの!人の私生活切り売りしやがって!」

葉隠「訴訟起こすべ!」

霧切「裁判なら勝てるわね」

山田「絶望しました、みくにゃんのファンやめます」

戦刃「みんなしてひどくない!?あとみくにゃんって誰?!」

舞園「もちろんそれだけじゃない、んですよね?」

十神「当然だ。こうして無防備なフリをして俺達全員の前に現れるって事は、何か策があっての行動だろうしな」

大神「であろうな。このままかかって行って、どうなるか目に見える」

腐川「そそ、そうよね……大和田が束になったって敵わないわよ……」

大和田「なんでオレ基準なんだよ」

腐川「あ、あたしがあんなのに勝てるわけないでしょ!?」きぃぃ

石丸「だが兄弟はそれはそれは強いんだぞ!いい勝負はするだろう!」

大泉「いや大和田は女の子殴らないんだからぼろ負けじゃねぇの?」

戦刃「……えーと……」←策とかない

霧切「このままじゃ埒が開かないわね。どうせこのフロアに居座る気なんでしょうし、戦刃さん」

戦刃「も、もちろんだべ(棒読み)」

朝日奈「ねぇ、なんとか戦いとか危ない事せず穏便にカードもらえないかなぁ?」

大泉「……不二咲さん、頼んで見ればいいんでない?」

不二咲「え?」

苗木「大泉さん、何言って……」

戦刃(はい?)

大泉「やってみって、一回だけ、一回だけさ」

不二咲「……」すたすた

戦刃(ほんとに来たし……)

不二咲「……あの、そ、そのぉ……カードくれませんかぁ?」

戦刃「いや、さすがにそれは出来ないかな……私も死にたくはないし」

大泉「あー、断られた……」

十神「だろうな」真顔

大泉「……もう一回行っとくかい?」

山田「ファイトだよ!ファイトだよ!フフフフファイトだよ!」

不二咲「もう一度は無理だよぉ……」

セレス「いいから渡すっぺ!」だらぁっ

戦刃「ひっ」

大泉「お!いいねぇ、セレスさんの素の喋り。方言フェチが喜ぶよ。うちのリーダーとかが」

葉隠「自分も訛ってんのに方言フェチなん、あの人」

十神「そこは今どうでもいい!」

苗木「そこも、だけどね」

山田「あのー、僕が言うのもなんですが……話が脱線しすぎなんですけど?」

舞園「と言うかこのままだと探索も進みませんし」

大神「ならばどうする?対策はあるのか」

十神「……こちらにも策はある。が、少し危険だ」

セレス「まさか十神君、あれを使うなんて言いませんわよね?」

十神「使う。俺達の最大戦力に数えられるからな…」

石丸「十神くん、何を……」

十神「腐川、準備をしておけ。お前が頼りだ」

腐川「えっ……///」かぁぁ

石丸「まさか彼女か!」

大和田「あいつ絡み辛ぇんだよな…」

霧切「そうね……」

桑田「すっげぇ舌長いしよ」

大泉「目も怖いもねぇ」

苗木「なんかもっと根本的な問題(殺人鬼だと言う事実)があると思うんだけどなぁ…」

腐川「よ、呼びたくはないけど、白夜様がやれって言うんならぁ……」

十神「あいつならばこの拮抗を崩せる」

大神「……ならん」

十神「なに?」

大神「危険を背負うのは……戦うのは我だけでいい!」

腐川「えっ……///」とくん

十神「お前は今すぐに投身自殺してこい、骨は拾ってやる」

大泉「これ何?コント?」

戦刃「もう……締まりないなぁ!」

大神「戦刃ァ!」豪っ!

戦刃「なに?やるって言うんなら私だってやるよ!」

十神「待て、大神!相手の策を……!!」

大神「牽制だけだ!」ぶんっ

戦刃「っ!」ばっ

(バックステップで大きく距離を取る戦刃)

大泉「おぉっ!?」

山田「膝だけであの跳躍!?」

舞園「す、すごい……」

朝日奈「陸上とか強そうだよねー」

葉隠「見えた!紫!」心眼発動

霧切「あのスピード……まさか、ヤスダッタ!?」

桑田「なんだその生物」


※Tips…【ヤスダッタ3D】
【N43】と言うNACSの短編映画のうちのひとつ。監督・主演は安田顕。
そもそもヤスダッタとは、インドのヤスダッタ教授により発見された新種の奇病で、日本への上陸は2009年頃とみられている。
感染すれば最後……理性を失い始め、完全体になればその速度はマッハ5にもなり、野山を駆け回って人に襲いかかる。
好物は日本酒と鮭とば。
報告によるととある個体は、自分が人間だった頃に歌っていた演歌を流されて、涙ながらに山を降りてきたと言う。
…ちなみにこの作品に参加している役者の苗字は全員【安田】である(例外として【安田大サーカス】が参加している)。


大神「我の拳を躱した、だと!」

戦刃「ふふんっ、足には自信あるんだ!そんな大振りの攻撃、私には当たらな」


ぶち


戦刃「………い?」

ーーーーーーーーーーーーーーー





       !





ーーーーーーーーーーーーーーー

ぽてっ



大神「………」

戦刃「………」すたっ

霧切「あら」

不二咲「今の、って…」

葉隠「い、いや、いやいや…」

大泉「………あのー、まさかとは思うんだけどねぇ?その…」

桑田「いやいやいや、さすがにねーだろ」

山田「それで終わっちゃったらねぇ、もう山場なしですよ?」

戦刃「な、なにが?」


ーーーーーーーーーーーーーーー




動揺してる




ーーーーーーーーーーーーーーー


大神「………お主…その、」

戦刃「だから、だからなにが……」

大神「カードはどこにやった?」

戦刃「……」

戦刃「…………」

戦刃「……………あ」


ーーーーーーーーーーーーーーー




あ?




ーーーーーーーーーーーーーーー

腐川「………ねぇ、あんたこれ……」

ひょいっ

戦刃「あっ、待って拾わな……」

腐川「……」←もう持ってる

戦刃「………あ」

不二咲「そ、それって……もしかして……」

朝日奈「……らしいね」

大泉「……なぁ、おい冗談って言ってくれよ……君ィ、こんなのってないだろ?」

戦刃「…………」

葉隠「えーと、今回俺達がやんなきゃならんのは?」

不二咲「戦刃さんが首から下げてるカードを、どんな方法でもいいから奪う…だよね」

朝日奈「そうだよね!」

舞園「手段は問わないんでしたよね?」

大神「ああ、戦刃の生死も問わないとな」


大泉(おりこうな生徒ならわかっただろう)

大泉(寺の数を「おちんこ」と答えるクソ坊主でだってこの答えはわかったはずだ)

大泉(たった一つのシンプルな答え)

大泉(認めたらそれで全てが終わってしまう、そんな答えは───)


苗木「ねぇ、腐川さんが今持ってるのって……」


腐川「……あいつの首から下げてたカードだけど」

ーーーーーーーーーーーーーーー





終了


じゃーん(ドラのSE)




ーーーーーーーーーーーーーーー

今日はここまで。あけましてたし、おめでたかったです。来れたら明日も来たい。
ところでたまに自分のコテとかでエゴサーチするんですけど、このスレなぜかまとめられてるサイトがありました。
待って、ここより前スレ纏めて!!


>>240
うわー、このままじゃ戦刃さんが死んじゃうよー!
助けてーキューレンジャー!
次回をお楽しみに。

>>242
ミスターにふにゃふにゃのマットで迎撃されます。

>>245
長期っぽいサイヒルスレが始まる→癒しを求める→大泉ロンパが捗る

>>256
新年も動物は一匹もいません

>>257
こうなっちゃいました。てへぺろ

>>258
ヤスケンの映画見たいけど見る時間はまたしてもなさそう。

飛び魚いいなー
ボードゲーム当たったがやる人がいない...

ギャグ補正って凄い
改めて思いました

ハナタレ全国放送キターーー!!

みくにゃんは可愛いだろいい加減にしろ
メガネ掛けた前川さん最高に可愛かっただろうが

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150121-00000024-mantan-ent
2/15 13:55~テレ朝系にて!

先日


友「どうでしょうくじ引きたい」

1「ええよ、こないだくじひいたよ」

友「何当たったの?」

1「飛び魚」

※ケータイホルダー。雪面の飛び魚と呼ばれる靴がモチーフ。詳しくはサイコロ3

友「いいな、私も飛び魚欲しい」

1「じゃあ引こうよ」

(まだ飛び魚が置いてあるコンビニ)

店員「っさーせー」

友「あ、飛び魚引きたい」

1「じゃあ1回ずつ引こうよ」

友「先に引いていいよ」

1「ざーっす」がさがさ










http://i.imgur.com/gXbO8bK.jpg





出しちゃった───

【前回まで】

前回、大泉さん達は命がけの鬼ごっこをする事になってしまった。
しかし、戦刃さんがまさかの凡ミス。
それにより、奪うはずだったカードを手に入れてしまった───

これで、戦刃さんの死刑は確定。
ゲームは終わるはずだった……。




大泉「……え……?」

戦刃「ど、どうしよう、もうちょっと引き伸ばさないと行けないのに、あ、うそ……」

大泉「これで……終わり?」

霧切「後味が悪いけど、そうなるわね」

石丸「はは……まさか、趣味の悪い冗談だろう?」

セレス「これで勝っても……嬉しくもなんともありませんもの……!」

戦刃「ところがどっこい、これが現実……っ!」ぐにゃぁぁぁ

山田「自分で言ってて悲しくなりません?」

腐川「…か、返すわよ……いいわよ、あたしは拾ってないって事にして……」

戦刃「そう言うわけにはいかないよ!」

腐川「な、なんでよ!こんなもん……」


戦刃「みんな見てるんだから!」


霧切「……みんな?」

十神「見ている……?」


戦刃(あっ)


桑田「や、やはー……んならオレらが見てないって口裏合わせりゃー……」

朝日奈「そっか、監視カメラ!」

十神「なるほど……そう言う事か。監視カメラがあるから、ごまかしは効かないと」

戦刃「そっ、そそ、そうなんだよ(棒読み)どうしよう(棒読み)」



大泉(そんな会話が、違和感ばかりで)



大泉「……いいのかよ」



戦刃「え?」


大泉(全員で、生きて帰る。)

大泉(俺が勝手に思っていた目標があっさりと崩れた瞬間だった)

大泉(だからだろうな、縋り付くように叫ぶ)



大泉「いや、君死んじゃうんだろ?そんな、こんなので死んじゃっていいのかよ」

大泉「んなんダメだろぉ?あんなくっだらねぇミスで死ぬんだぞ?そんなのでいいのかおめぇ」

大泉(しかし俺の怒りを込めたセリフは)

戦刃「あ、うん」

大泉(そんなあっけらかんとした声で打ち消されて)

大泉「……はぁ?」


戦刃「人間どうせいつか死ぬし、それがちょっと早くなるだけだもん」


大泉(呼吸が出来なくなる)

大泉「おま……それ、本気で……」

大泉(目眩がする)


戦刃「今までどんな戦場にいても私は死ななかったんだ。だから、こんな絶望的な死に方出来るなら本望だよ」


大泉(───理解出来ない、したくない)



戦刃「私の死があなたにとっての絶望ならお安い御用ってね」


戦刃「戦場では命は軽いの。分かる?」





大泉(頭が真っ白になる───)








モノクマ「うるせぇ!行こう!」どんっ

葉隠「ぎゃー!モノクマぁー!」

セレス「……ぁあ?何しに来やがりましたの?」

大和田「さっさとどっか行きやがれ」

石丸「校則違反だ!」

大泉「………」

モノクマ「もうちょっと驚いてくれてもよくない?」

葉隠「あ"ぁ"~!モノクマじゃぁ~!!」

朝日奈「だって今大事な話してるのに!邪魔しないで!」

腐川「そうよこんにゃく!」

モノクマ「こんにゃく?!いや、ボクも大事な話をしに来たよ!?」

霧切「大事な話?」

葉隠「アババーッ!モノクマ!モノクマァァァ!」がたがたがた

モノクマ「オメーうるせぇよ!もうなんもしねぇから!しねぇから!!ほら!」

葉隠「………なんも?」びくびく

モノクマ「………」手を広げるポーズ

葉隠「………」

モノクマ「……がおー」

葉隠「ああああーー!あー!コワイモノクマコワイベ!」がたがたがた

苗木(まるでとある東京03のとある角ちゃんみたいな驚き方だよ葉隠クン)

モノクマ「もうボクで驚いてくれるのキミだけだよ葉隠クン」

大泉「……んで?何しに来た?」

モノクマ「ちょっと反省会をね」

ーーーーーーーーーーーーーーー






反省会







ーーーーーーーーーーーーーーー

(校舎5階の廊下のなんか草木っぽいやつが写ってるだけ)
(そこに声だけが聞こえるどうでしょうスタイルでお楽しみください)




モノクマ「君ねぇ」

戦刃「はい」

モノクマ「どうすんだい?こっからさぁ」

戦刃「その……えっと……」

モノクマ「あのねぇ?だからぁ、ちゃんとねぇ、」

戦刃「はい」

モノクマ「不測の事態に備えなさいっつってんのね?ぼかぁさぁ」

戦刃「………は、い」

モノクマ「最初さぁ、ぼかぁ言ったよね?だからダミーを用意しときなさいよあんた、って」

モノクマ「あんた絶対なんかやらかすんだし、ねって?」

戦刃「……いや、あのね……」

モノクマ「ボク言ったよね?」

戦刃「ダミーになりそうなものがなかっ」

モノクマ「ぁあ!?なにぃ!?」

戦刃「だから、ダミーにn」

モノクマ「つべこべ言うんじゃないよ!」

戦刃「……ごめんなさい」

モノクマ「キミはいっつもいっつもそうだな、なぁ?大事な時にはなんにも言わねぇで勝手にやって勝手に失敗してさぁ」

戦刃「はい……」

モノクマ「お風呂入る時だって、咄嗟の言い訳全然思いついてなかったじゃねぇかよぉ」

戦刃「それほんと……ごめんなさい」

モノクマ「ごめんなさいで済むなら学園長は要らないんですよぉ」ばんばんばん

大泉「……モノクマ」

モノクマ「うん?なんだい大泉クン?」

大泉「それは今じゃないといかんのかい」

モノクマ「当然だろぉ?何言ってんだ?おいスズムシ」

大泉「なにぃ?」カチッ

朝日奈「ねー、もう探索行ってもいい?」

モノクマ「キミ達もちょっと反省会だ」

桑田「はぁー?オレら何反省すんだって」

モノクマ「いっぱいあるでしょうが」

十神「ないな」

腐川「ないわ」

大神「……モノクマ、お主の意見を聞いてやらん事もないが……」

モノクマ「憐れむんじゃないよ!」

霧切「………w」

苗木「哀れまれても仕方がないよ、今のは」

モノクマ「だーかーらーねぇー!」

石丸「なにかね!」

大神「まぁ、こやつの意見も聞いてやろうではないか?」

朝日奈「さくらちゃんがそう言うなら……」

モノクマ「そもそもだぁ、キミらがねぇ、あんなスピードでねぇ」

戦刃「うん」

モノクマ「まさか取るとは思わないもの、ボクだってさぁ、カードキーをねぇ?」

モノクマ「はじめに山場持ってきてどうすんだっての、キャンプしねーんだぞ?今回は。ええ?」

霧切「そうかもしれないけれど、これで決まりよね」

桑田「あ、そーだそーだ!これでオレらの勝ちだろ!」

モノクマ「いいんですかぁ?」

大泉「なにがよ」

モノクマ「なんつうの?勝ったの、キミら?盛り上がりもほとんどないしねぇ?そんなんでいいんですかぁ?」

不二咲「………ええ………?いや、僕は………」

大泉「な事言われても、なぁ」

桑田「や、全然いいんすけど……」

モノクマ「キミらが良くてもボクが物足りないんですよぉ」ばんばん

山田「あっ、これ文句つけたいだけだわ」

セレス「あなたの都合は知りませんわよ」

モノクマ「いや、だからねぇ?」

石丸「言いたい事があるならはっきり言いたまえ」

モノクマ「こんな勝ち方で恥ずかしくねぇのかい、キミ達はさぁ」

十神「それで煽っているつもりか?」

セレス「勝負など、勝てばよかろうですわ」

モノクマ「………」じとっ

苗木「なんだよ、モノクマ」

モノクマ「………じゃあ言うけどね」

モノクマ「ボクがあなた方を侮ってました、って言うかこの馬鹿な女も侮ってました」

モノクマ「キミ達もそうだけど完全に予想外でした、戦刃さんあなたのせいです」

戦刃「………!」


ぺたーっ


山田「土下座!?」

霧切「いいえ、あれは土下寝………土下座の最上級よ」

葉隠「ほ、北海道ではあれやられたら許すしかねーべ」

腐川「あんたらバカなの?バカなのね?」

不二咲「バカバカ言ったらダメだよぉ……」

桑田「じゃあアホアホアホアホ!」

モノクマ「聞けよ!(怒)」

十神「メリットがないだろう?帰っていいか?」

モノクマ「帰ったら裁きます」

舞園「ひどいですよモノクマ!」

モノクマ「とーにかくぅー!」

モノクマ「……正直ね、そのー……準備も出来てなかったんでねぇ」

大泉「何よ、だらだら喋ってねぇではっきり言えって!」

モノクマ「おうそんならぁ!じゃじゃじゃじゃじゃあ!恥を忍んで言おうじゃあないか、みんなぁ!」










モノクマ「ごめん、もっかいやらしてくんねぇか」

ーーーーーーーーーーーーーーー

        も
         っ
        か
        い
        や
        ら
        し
        て
        く
        ん
        ね
         ぇ
        か

ーーーーーーーーーーーーーーー




大泉(………静寂。そして───)




大泉「……くっくっくっくっくっwww」

モノクマ「いやほんと!マジで!ごめんほんと!!」

大泉「あっはっはっはっはっ!!wwwww」

霧切「」←呆れている

十神「」←困惑している

苗木「……は?」

葉隠「そう来たかー……」

舞園「ええと、話が読めないんですが……」

大泉「茶番がすぎるぞ!おいモノクマぁ!」

戦刃「そうだよ、罰ゲームやらなきゃ!」

大泉「やんなくていいんだよ!」

戦刃「えぇー?罰ゲームが一番美味しいんじゃーん!」

モノクマ「キャラ壊れんな!お前誰だ!?」

戦刃「ニャンです」

霧切「あなたも帰って寝なさい」

苗木「なんでみんなそんな余裕なの!?」

大泉「そらぁおい、このシリアスをモノクマがぶち壊したからだよ」

セレス「それ以上にゲームは一発勝負ですわよ、次があるなんて思わないでくださいます?」

大泉「……あ、待って、もう一回あれば、もしかしたら」

石丸「そうか!戦刃くんは死なずに……」

モノクマ「いや絶対誰かしらは死ぬよ?それは変えられないね」

山田「あんたなんでもかんでも死ぬ死ぬ言うんじゃないよバカタレ!」

朝日奈「そうだよ!そんなの死ぬ死ぬ詐欺じゃん!」

腐川「支笏湖に沈んできなさいよ!」

不二咲「ご、ゴミを増やすのはダメだよぉ!」

モノクマ「学園長ゴミ扱いっすか!?」

石丸「プラスチック?いや、鋼鉄製か?自然に分解されなさそうな……」

セレス「そんな真面目に考えるところではありませんわよ、そこ」

モノクマ「ああはいはい分かりました!」



ひゅん───


苗木「………え?」



どす



モノクマ「」



大泉「………は?」


新モノクマ「ボクに免じて許してよ。」


葉隠「ンアーッ!!今までいたモノクマの後ろから新しいモノクマが出てきて腹パンしたべー!?」

大泉「いやいやいやぁ!?腹パンつーか貫通してんぞ、おい!?」

苗木「え?ちょっと待って、貫通って……」


ばち、ばちばちばち


朝日奈「ねぇもしかして、あれ」

大和田「……爆発すんじゃねぇのか?」

桑田「ばっ、爆発だぁ!?バカじゃねーの!?」

霧切「くっ、距離が近すぎる……!」

十神「腐川!俺達のために犠牲になれ!」

腐川「あたしが白夜様のふにゃふにゃのマットになるぅぅぅぅ!!」ばっ

石丸「いや君は学生だ!」

大泉「意味わかんねぇ事言うなよ!」

舞園「そもそも誰も死なないって話してたのに本末転倒すぎませんか!?」がーん

ばぢ……

葉隠「ダメだぁ、おしまいだぁ……」

大神「諦めるな!まだ我らには死ねぬ理由がある!」

戦刃「あのさ、ここだと私も爆発に巻き込まれるんだけど」

山田「助けて神様仏様ちひろ様ぁぁぁぁ」

不二咲「僕じゃ無理だよぉ!?」

モノクマ「エクスタs」







ずどぉぉぉぉぉぉぉぉんっ!










<ずどおおおおん!どおおおおん!
<ぬおぉおぉぉぉおおぉぉぉ!!




旧モノクマ「ずどーん!どーん!」



十神「………」

舞園「………あれ?」

セレス「茶番、ですわね」

葉隠「ぎゃーっ!死ぬぅぅ!死んでぶっ生き返すー!!」

山田「なにそれなにシマムザホルモン!?」

腐川「………なによ!爆発しないじゃない!!」

セレス「焦りましたが……確かに爆発はしていませんわ。くだらない」

大和田「あんだけ言っといて口だけかテメェ」ごきごき

苗木「よかった……のかな」

大泉「───は……なに、助かっ……」

大泉(爆発した、と思ったそれは爆発音を奏でるだけで、実際に爆発するような気配はない)

大泉(ああ、良かったと息を吐きかけて)


モノクマ「うん、まぁね!君らに死なれたらつまんないし!」

モノクマ「【演者】あってこその【企画】!やっぱり演者が魅せなきゃ!でしょ?【大泉君】」


大泉「………え?あ、うん?」



大泉(直感だった。直感で、こいつは今までのやつと違う、となんとなく思った)


大泉「……あんた、もしかして」


大泉(その、しゃべり方がなぜか気になって)


モノクマ「大丈夫、怪我してないんでしょう?使える、使える」


大泉「………───」


大泉(最悪の事態が脳内を支配している)

大泉(あ、これやべぇな、もしこの人が敵だったら)






大泉(俺……今度はマジで死ぬかも)

今日はまさかのここまで。
次回はチョイのり放送日に間に合わせたい!がんばれぇ!


>残姉
残姉はこれからも残姉なのでよろしくです。
でも、このSSは誰も死なないを目標にしてます。
たからなんとか大泉さんが死なないようにしてくれる、はず、でちゅ。

>>284
全員食えないをひたすら引くゲームと化してる!?
いいなぁボードゲーム。マグカップも欲しかったなぁ。
あ、飛び魚2こ目は友達と交換しました。

>>285
ギャグだからなんでもありってわけじゃありませんが、ギャグだからなんとかなります。

>>286
だがちょいのりなのよな。
ハナタレ恒例のバトルものはオンエアされんのか?ヤスケンリバースはあかんのか?

>>288
みくにゃんのPになりたかったです。

>>289
ないすぅ。
キミには歌を歌っていい権利をあげよう。

更新乙!俺は飛び魚当たらなかったよ…

ええ、なんか面白そうだから一気に読んじゃったよ!
明日早起きしなきゃいけないのに!
どうしてくれるの!
続きはよ!
乙!

オチが読めたかも知れない。しかしその読めたオチがクソ面白そう。超期待しちゃう。

ふと思えば大泉さんもあと一月程で42歳になるのか
果たしてそれまでに終わるかなダベミ(ニッコリ

にょういずみさん誕生日4月3日だっけ?
まってるぞだべみ

あ、森崎さん、全国区の連ドラレギュラー出演おめでとうございます。
これを期にみんなでテレビの前に集合だ!

つーわけで、行くよ。

ーーーーーーーーーーーーーーー






探索






ーーーーーーーーーーーーーーー

(5階をふらふらと歩く大泉と舞園)

大泉「何事もなかったかのように探索してっけど君らねぇ」

舞園「……今はいろいろ考えても仕方がありませんよ。モノクマがああなんですし」


ーーーーーーーーーーーーーーー




ああなんです




ーーーーーーーーーーーーーーー





モノクマ「もっかいやらせてくんねぇか」





ーーーーーーーーーーーーーーー





困惑





ーーーーーーーーーーーーーーー


大泉「しかしモノクマらしくねぇと思わねぇかい?……あいつなら、それはそれで喜びそうっつーか」

舞園「確かに、そうですね」

大泉「………他の目的があんのか?いや、つっても目的なんて」

大泉「………まさか、な」

舞園「?」

大泉(まさか、なの後はなんとか言葉を飲み込むのに必死で)

大泉(だってそうだろう?今頭を過ぎったのは最悪の結末だった)

大泉(まさか、俺は本気で身内に殺されかけているとか、な)

大泉(まさか)

大泉(……俺が思ってしまったその人が、もしも黒幕だったなら)

大泉(俺を本気で殺そうとしてんなら───)




舞園「それでも、やるしかないんです」

大泉「!………舞園ちゃん」

舞園「私達はここから脱出するために、モノクマと戦うしかないんです」

大泉「……」

舞園「分かりますよ大泉さん、考えてる事くらい」

大泉「……」


舞園「エスパー、ですから」


大泉(だとしたら、僕は君になんて謝罪すれば許されるのだろうか)

大泉(まさか、あの人が、もしも黒幕だとするのなら)



大泉(……僕は、君達になんと言ったらいいんだろうか)


ーーーーーーーーーーーーーーー





武道場





ーーーーーーーーーーーーーーー


がららっ

大神「おお、これは……」

大和田「すげぇな。広さも充分じゃねぇか」

石丸「どこからどうみても武道場、だな」

朝日奈「ねえねえ!的を射るミニゲームって実装されてないのかな!」

石丸「なんの話かね?」

大和田「そういう話じゃねぇのか?」

石丸「だからなんの………」

朝日奈「でも弓矢がないや……つまんないね」

大和田「こっちにあんじゃねぇか?」

がちゃん

石丸「おお、ロッカーの中に弓と矢が」

朝日奈「なにそれ?本物?」

石丸「む!恐らくはプラスチックのようなもので出来ているのだな!」

大神「強度はなかなかのようだ。これを手練れが使えば………」

大神「………むう」

朝日奈「どしたの、さくらちゃん?」

大和田(………人を殺せる、とか言うつもりか?)

大神「しかし、桜……か」

大和田(っち、話の逸らし方が下手なんだよ……オレも人の事ぁ言えねーけど)

朝日奈「あ!さくらちゃんも「桜」だ!」

石丸「綺麗な桜だな………今は春なのだろうか」

大神「分からぬ……が、あまり桜、桜と言われると気恥ずかしくなるな」

大和田「自分が呼ばれてるみてぇだからか?」

朝日奈「さくらちゃんかわいい!」

大和田「しっかし、桜とさくらか。偶然にしちゃ出来すぎて……んのか?」

朝日奈「まさか桜とさくらは引かれ合うのかな……」ゴゴゴゴゴ

石丸「ハッ!なるほど!これは恐らくじょーくなのだ!」

モノクマ「違うに決まってんだろばーか!」

石丸「」!?

大和田「あ?モノクマ」

朝日奈「あれ?いつきたの?」

モノクマ「いつでもいいでしょうが!と言うか偶然だから!大神さんが来たところに桜咲いてるだけ!」

大神「ああ、そうだ。この桜だが」

モノクマ「植物学者が一晩でやってくれました。えー、つまり永年咲く桜です」

大和田「永年咲く?」

モノクマ「枯れないって事だよ」

モノクマ「と言うかこら石丸こら!掛詞とジョークを一緒にするなよ!」

モノクマ「とにかくその桜は枯れないから!おーけー?!」



ぴゃーいっ



石丸「……国語の勉強、か?」

大神「勉学から離れろ石丸」

朝日奈「でもいいね、桜。桜見ながらドーナツ食べたい!」

大和田「オメェもドーナツから離れろ」

ーーーーーーーーーーーーーーー





そのころ





ーーーーーーーーーーーーーーー


───5ーA



桑田「なぁ、」

葉隠「……ん?」

桑田「オレ、今の今んなってもまだ実感湧かねーんだよな」

大泉「うん?何がだい?」

桑田「……今の状態っすよ」

葉隠「いや、どう言う意味で……」

桑田「あー、その……だって、信じられるか、オメー?いきなり殺し合いしろっつわれてよ」

葉隠「いや、全然」

大泉「そ、だね。真に受けるような事はたくさんあった。あいつがやらせたい事も分かったけど」

葉隠「だからってなぁ、いくらなんでも……殺人なんて」

桑田「……だよ、な」

葉隠「ああ」

舞園「そうですよ、それが普通なんです」

桑田「……舞園」

舞園「相手の裏を読んだり、なにか勘ぐったり」

舞園「自分が死ぬかも、殺されるかもなんて怯えながら暮らすなんて」

舞園「……それが、本来は間違ってるんです」

大泉「そうだねぇ。そんなことばっかしててもいい事ないもんねぇ」

桑田「いい事あるないとかのレベルじゃなくね?」

大泉「まあまあ」

桑田「まあまあじゃなくて」

葉隠「まあまあ」

桑田「これ何のまあまあなんだよ!?」

舞園「あ、でも私が知ってる世界は……違いましたけどね」

葉隠「生憎だな、俺もだべ」

大泉「まぁそれ言ったら僕もだけどねぇ?」

桑田「え?オメーら全員そんな危険地帯いた事あんの?」

大泉「そうだよ桑田くぅん。僕らはプロだよぉ?舐めないで欲しいねぇ」

葉隠「全くだべ。商売やってる人間のこともちったぁ考えてほしいべ」

舞園「(アイドル戦国時代は)もう、やるかやられるかです」

葉隠「(バラエティでは)お互い毒を掛け合って先にどっちが死ぬかみてーなとこあるし」

大泉「(舞台は)常に生物だからねぇ」

舞園「(アイドルの世界は)誰かを倒さなきゃ残れないような場所なんです」

葉隠「そうそう!」

桑田「なんかわかんねーけど何となく噛み合ってねー気がする……」

大泉「それは言っちゃいかんぜ桑田君」



舞園「………それでもやっぱり、非常事態に人間は冷静さを欠くんです」

舞園「例えそれがどれだけ、荒唐無稽な状況でも」


桑田「今の話とオレの話も食い違ってるんだけど」

葉隠「まあまあ」

桑田「だからまあまあじゃなくて」

舞園「まあまあ」

桑田「これだからなんのまあまあだよ!?」

ーーーーーーーーーーーーーーー







目撃






ーーーーーーーーーーーーーーー




―――5-C




苗木「うわああああ!!」



セレス「真っ赤……です、わね」

霧切「ここは………」

十神「……死のにおいが蔓延しているな」

十神「血と……脂肪の臭い……最悪の」

霧切「……モノクマは本気だったのね」

十神「あんなにふざけているから、やる気がないのかと思っていたが」

苗木「っ………これって、いつ………」

霧切「いつかは分からない。けれど、私達よりも先にここで……」

セレス「……殺し合いをさせられた人がいる?」

苗木「っぷ……何でこんな、ひどい……!」


苗木(教室の中はひどい荒らされようだ)

苗木(あちらこちらに血痕が付着し、壁や床中に傷が残っていて)

苗木(どこもかしこも、何かの堅いもので引っかいたり刺したりした跡がある。どれも、人に当たっていれば間違いなく死んでいるだろう)

苗木(床には人の形の白い線が引いてある……ドラマで見た事があった。殺人現場なんかに、警察が引いているあれだ……)

苗木(まさか……本当に、人が……)

苗木(信じたくない……けれど……十神クンが言うんだ……)

苗木(なんだよ……なんなんだよこれ……)


モノクマ「えー、皆さんに一応言っておきますが」

十神「!」

セレス「……何しにこちらへ?」

モノクマ「ちょっと冷たいなぁ」

霧切「………何?」

モノクマ「ここはねぇ、実は!ある事件以来部屋を片付けておりません」

モノクマ「つまりそっくりそのまま、です。現場の保持って大事ですからね」

モノクマ「ほんとならねぇ、君達もこうなってるはずだったんですけどねぇ。おっかしいなぁ」



苗木(相変わらずの脳天気な口調でモノクマが言う)

苗木(意味が………分からない………いや、分かりたくない………)

霧切「………」

モノクマ「どうかしましたか?霧切さん?」

モノクマ「ボクを見ても鮭くらいしか出ませんよ?」

霧切「それは………その事件、と言うのはあなたも関係している……のかしら?」

モノクマ「さぁ~~~~~?どうでしょうねぇ~~~~~?」

セレス「テンプルにかちんと来ますわね、腹がスタンディングします」

十神「霧切、何を聞こうとしている?」

霧切「……」

モノクマ「何?僕の口はサファリパークいち堅いよ?」

霧切「………少し聞き方を変えましょうか」

苗木「うぷ………え?」



霧切「その事件は関係があるのかしら、

【鈴井貴之にも】」



モノクマ「………」

苗木「………え?」

セレス「? おっしゃっている意味が……」

モノクマ「………」

霧切「どうしたの?質問しているのは私だけれど」

モノクマ「……答える義務はないね」

霧切「答えられない?いえ、答えられるけど答えたくないが正解よね?」

霧切(そしてそれがもしも事実なら)





(誰も救われない)




ーーーーーーーーーーーーーーー




ちなみに




ーーーーーーーーーーーーーーー


―――生物室


ジェノ「さみー!風邪引くー!風邪引いたら白夜様に看病してもらえるかしらーァん!?」

山田「無理っしょ」

不二咲「山田君口調が……」

ジェノ「ったくよー、さっきの植物庭園も空振りだったしつまんねーなーオイオイオイ!!」

不二咲「……」

不二咲(ほんとに空振りだったのかなぁ……)

不二咲(変な草も生えてたし、にわとりもいたし………)

不二咲(それに……何より)


不二咲(あの【つるはし】……)


山田「しかし本気で、ここはなにに使う予定だったのでしょうか?」

ジェノ「さーねー。おおかた、死んだ奴を入れとくとかじゃね?」

ジェノ「………性根の悪そうな黒幕とやらならやりかねない。そう思わなァい?」

不二咲「こ、怖い事言わないでよぉ……」

ジェノ「いっくし」クシュン

不二咲「ワァイ」

腐川「………はれ?どこよここ?」

山田「デスヨネー」

山田(……しかし、ジェノサイダー翔殿……死人を作る側の意見も鑑みる)

山田(確かにこの部屋は寒いですし、キャスター付きの引き出しもある……ここなら)

山田(大神さくら殿でも入りそうな……ハッ!?)

山田「次にお前は「山田のくせに頭の良さそうな事を考えやがって」と言う」ドドドド

腐川「な、なによぉ……山田のくせに頭良さそうな事考え……ハッ!?」

不二咲「ふたりとも何してるのぉ?」

ーーーーーーーーーーーーーーー




集合した




ーーーーーーーーーーーーーーー


―――探索結果共有中



大和田「つるはし?」

腐川「し、植物庭園にあったのよ。誰かが何かに使ったら困るだろうけど……」

山田「手元に何か書いてあったのですがね……我々では読めませんでした」

朝日奈「でも私達以外にもちゃんと生き物いたんだね!」

大泉「あ?ああ、にわとりかい?」

舞園「確かに……今までは黒幕が管理していたんでしょうか?」

腐川「わざわざ餌やりに行ってたっての?」

石丸「いい人なのか悪い人なのか分からんな」

大泉「いや悪い人だろ」

葉隠「こっこかわいいべ!俺も後で触りに行くべ!な、苗木っちもどうだ?」

苗木「………」

葉隠「あり?苗木っち?」

霧切「……ふぅ……戦刃さんが退いてくれたお陰で色々と探索が進んだようね」

十神「永年咲く桜、それに……なんでも溶かす溶液を吐く植物、か。興味深いな」

大和田「あー、ありゃあ綺麗だったな。あの桜」

大神「そうだな……落ち着いたならあそこで花見でもどうだ」

桑田「おっ、花見いいじゃん?どうよ舞園ちゃん!」

舞園「いやちょっと……」

セレス「……暢気ですわね」

大泉「現実逃避でもしてねーとやってらんねーんだよ、多分」

不二咲「大丈夫?」

山田「ええ……なんとか」

苗木「………」

大泉「セレスさんも顔が青いよ?大丈夫?」

セレス「貴方が気にする必要はありませんわ」

大泉「………ああそう」

セレス「……そうです……」

大泉(メンタルダメージ受けなさそうなやつらが軒並みノックダウン、と。なんかあったのか?)

舞園「他に見ていない部屋は……」

十神「お前達はあの部屋、3ーCの部屋……見たか」

朝日奈「え?見てないかも……」

石丸「僕とした事がなんたるミスを!すまない、皆……!」

セレス「いえ、」

石丸「……何かね?」

セレス「あれは見ないのが正解でしたわ」

不二咲「え?それって……どう言う意味?」

セレス「荒らされていたのです」

桑田「荒らされてた?っつっても……誰にだよ」

霧切「……誰かは分からない。ただ」


霧切「私達がここに来るよりも前に、ここで―――殺し合いが起きていた」


大泉「……は?」

朝日奈「え……、ウソ……だよね?」

苗木「それならよかったんだけどね」

舞園「苗木君……?」

苗木「ボクは……ボク達は、見せられてしまったんだ……」

十神「部屋の中には大きな傷、それに血の跡がたくさん残っていた」

石丸「な………だ、だが………」

セレス「あの厭な臭い……それに、空気」

十神「あの部屋だけが異質だった。間違いないだろうな、あそこで殺人は起きていたんだ」

腐川「どどっ、どうせモノクマがあたし達を脅すために作った偽物とか……」

セレス「だとよかったのですがね」

舞園「ま、待ってください、ウソ……ですよね?」

十神「ウソではない、作り物でもない。モノクマが現場保持のため、と言って当時のままにしてあるそうだ。つまり……」

大泉「さ、殺人が起きた時のまま……部屋が、そのままに……」


大泉(俺達より前に、この学園で誰かが死んでる……?!)


ざわっ……!



葉隠「じょ、……冗談って言ってくれた方が気が楽んなるべ……」

十神「そう言いたいがそうも出来ん。それに……はっきりさせたい事がある」

石丸「はっきりさせたい事?それは何かね?」

十神「モノクマの、ひいては黒幕の正体だ………気付いてるんだろう?霧切」

霧切「気付いていると言うより、可能性がある人がいる、と言うだけ」

霧切「………でも、確証はない。ヒントが見つかったら、その時もう一度………」

モノクマ「僕がどうしたのかな?」ひょこ

大和田「おぉ!?なんだモノクマ、どっから……」

舞園「と言うかいつの間に来たんですか!」

葉隠「て、天変地異だべ!」

モノクマ「違いますけど!?」

腐川「1匹いたら周りに10匹いるわ、探して殺しなさい……!」

モノクマ「人をゴキブリみたいに言わないの!まぁ僕何回かしか見た事ないんだけどね」

霧切「寒い地方には生息していないものね」

モノクマ「そうそう」

葉隠「あー、そうだな。あんま寒いと死ぬし」

大泉「音尾もまだ見た事ねぇっつってたなぁ」

山田「テラウラヤマシス!」

セレス「気持ち悪い……」

石丸「ちなみにゴキブリの撃退にはミントの香りが効くぞ!」

朝日奈「そうなんだ!今度モノクマとゴキブリ見つけたら使ってみよう!」

モノクマ「もう僕ゴキブリ確定ですか!?」

大神「ゴキブリは我も触れぬ……」

朝日奈「やっぱりさくらちゃん可愛い!」

桑田「いやゴキブリ触れるか触れねーかで可愛さ計るのおかしくね!?」

霧切「………」

モノクマ「………なんだい」

霧切「………白状してもらえないかしら」

モノクマ「謎は最後まで取っておくべきじゃないかな」

霧切「とぼけないで」

モノクマ「あ、先に言っときますけど」

苗木「な、なんだよ………」

モノクマ「【ボク】は鈴井貴之じゃないんで、それだけ」

大泉「ッ!?」がたん

セレス「………大泉さん?」

大和田「あ?鈴井……って確か」

霧切「………」

十神「いいのか?そんな風に言って」

モノクマ「まーねー。別にそれがバレたところでどうもこうもないし、僕としては疑われたままって言うのもどうかなーって思うし?」

モノクマ「そうそう。人を疑うなんて最低だぞ!ボクはそんな風にキミ達を育てた覚えはあまりません!」

葉隠「育てられてねーよ!………つーか、あ?」

腐川「も、モノクマが2匹に……?」

モノクマA「ちょっとちょっと!僕のマネしないでよねー」

モノクマB「キミこそボクのマネしないでよぉー」

モノクマ「「ま、どっちも同じ学園長なんですけどねぇー!」」

大泉「シャラーーーーップ!!」机ばんっっ

霧切「………モノクマ………」


霧切(分かっている……どうせこれはウソ、言葉の綾を使った、遊び。懸詞……)

大泉(つーか、まだ確証もないって……そう言う事かい子猫ちゃん)

大泉(確かにな。証拠もねーし……)


霧切「………っ」

大泉「あー………子猫ちゃん?」

大泉(俺も正直頭の中が混乱している、が)

大泉(きっと彼女の心中は、穏やかではないのだろう)

大神「今日はここで帰るとしようか」がたん

霧切「!」

苗木「あ、そ、そうだね、そうだよ!帰ろう!」

不二咲「か、カラスが鳴いたからねぇ」

舞園「共有すべき情報も聞き終わりましたしね」

石丸「うむ?そうか?」

霧切「……そうね」がたん

モノクマB「あれ?また放置プレイ?」

モノクマA「ひどい事するなぁー、僕も仲間に入れてよねー!」

大泉「うるせぇぞこの!」

山田「……にしても、読めませんな。企みが」

腐川「あんたいつの間に謎解きキャラになったのよ」

桑田「キャラとかなんか分かんねーけど……よくそんなん考えようと思うよな。オレもう何がなんだか分かんねーわ……」

十神「お前は、お前達は無理に思考するな。俺が解き明かしてやる、十神の名にかけてな」

大泉「はいはい分かったから、分かったから十神君、寝るよ」

十神「おい何だその態度は」

大泉(穏やかではない心で、このまま話を聞いたってどうしようもなさそうだ)

大泉(大神さんの機転に感謝しながら全員を促す)




大泉(食堂から撤収しながら、)




「出来るもんならやってみろよ」






大泉(最後に聞いたのは、どこかで聞いた低い声)

大泉(とても馴染み深い、いつもとなりで聞いていたような、その声)

大泉(けれどそれが誰だったか、ついぞ俺は思い出せないまま)



ぱたん



大泉(―――食堂の扉を閉めた)

ーーーーーーーーーーーーーーー








深夜








ーーーーーーーーーーーーーーー

大泉「………」

もぞっ

大泉「………ん?」


大泉(真っ暗闇の中で目が覚めた。あれ、ここぁどこだ?)

大泉(辺りは……静かだ。学園でもない、俺が知ってる場所でもない)

大泉(あれ、俺はいったい何してたんだ)

大泉(つーかマジでどこよここ?)

大泉(そう思った時に、不意に声がした)


「大泉」

大泉「………こんな訳のわかんねぇとこでなにしてんのよ、おっさん」



大泉(暗がりからゆっくり前進してくるやつがいる……)

大泉(そのでけー頭と、例の声と、あと離れててもにじみ出る穏やかな雰囲気で分かる―――モリだ。森崎博之だ)

大泉(なしたべ、このおっさん。つーか、どうやってここに………)




森崎「そんな事はどーーーだっていい!!」




大泉「どうでもよくねぇべ!つーかここどこよ、あれか?またなんかの訳わかんねぇロケか?」

大泉「いや、つーかこの学園って封鎖されてんだけどアンタどうやって入ったん」

森崎「大泉ィィィィ!」

大泉「……ッククク……うるせぇなぁ、いちいちぃ!www距離近いんだから叫ぶなって……」



森崎「思い出せ!お前!忘れてんだ!!」


大泉(一瞬の、間)



大泉「……あ?」

森崎「お前は何のためにここに来たのかをだ!」

大泉「……なに?おっさんどうしたのいきなり、雰囲気変わりすぎで引くわ」

「洋ちゃん」

大泉「なにぃ……なんなのよもおぉ!」


大泉(振り返った先にいたのは―――音尾?)


音尾「そうだよ、洋ちゃんは大事な事を忘れてるんだ」

大泉「大事な事って……何よ」

森崎「だぁから!それを思い出せっつってるしょや!」

大泉「無理言うな!いきなりそんな事言われてほいほい思い出せる奴なんかいねーよ!」

音尾「それでも思い出してよ」

大泉「なによこれ!何したいのよお前等ぁ!」

「つべこべ言ってねーで思い出せ!」ごすっ

大泉(後ろから叩かれた。この野郎……と思って振り返る)

大泉「あいっ……シゲ!?」

戸次「はー……お前はバカだバカだと思ってたがやっぱバカだな!バカ!バーカ!」

大泉「おまっ、久し振りに会った友人に対してバカとは何だおい!」

森崎「久し振りすぎんだよぉ!」

大泉「おっさん黙ってろ、うるせぇ!」

戸次「お前がバカだからバカって言ってんだよ俺はッ!全く、変な事ばっかり考えて大事な事は忘れやがって……」

大泉「何の話してんだってもぉぉ!」

音尾「………とにかくね、洋ちゃん。今はかなりやばい状況なんですよ」

戸次「そうなんだよなぁ……お前が思い出せてないだけで」頭かゆかゆ

森崎「まあ仕方がないとこもあるけどもな」

大泉「………あ?なに?」

音尾「でも僕達から全部教えられるわけじゃないんだ」

戸次「とにかくー……何とか頑張れ」ぽん

大泉「最後めんどくさくなってんじゃねぇかよオイ!?」

森崎「屁の突っ張りはいらんですよぉ!ってなぁ!」

大泉「だからおっさんはぁ!あんただけベクトルちげぇんだよ!」


森崎「思い出せ大泉」

音尾「貴方は何のためにここに来たんですか」

戸次「お前がやるべき事は、ほんとにここから出る事なのか?」


大泉「な………に?なに、よ……これ……?」



大泉(俺が……やるべき事?俺が忘れている事?)

大泉(何を言ってるんだ……何を、言われているんだ)


大泉(俺は………何を忘れてるってんだ)



「そうだよ、洋ちゃん」


大泉(低い声が、暗闇から響いた)


大泉「………お前………」


大泉(振り返った先に―――もうひとり)


安田「忘れてるんだ……忘れさせられてるんだよ、お前は」

安田「本当に大切な事……本当に、やらなきゃならない事」


大泉「………俺が、何を忘れてるって?」

大泉(俺は何を忘れさせられてるって?)


森崎「お前はここから出て行くためにここにいるんじゃない」

戸次「お前は、ここに残るためにここにいるんだ」

音尾「それが僕らの願いであり、洋ちゃん自身の願いでもあるはず」

安田「思い出せ大泉、お前はここに残るためにここにいる」


大泉「………は………?」


「大泉」

「お前はここに残るためにここに来た」

「お前は出たいんじゃない、ここに残りたいんだ」



大泉(どう言う意味だ?俺が………)

大泉(ここに残るために……ここに………いる………?)

大泉(監禁されてんのに?閉じこめられてんのに?)

大泉(だから外に出ようとしてたのに……出るためじゃなくて、残るためにここにいる?)

大泉(意味分からん、辻褄があわねぇぞ……?)




「その通りだよ」




大泉(停止しそうな思考の中、随分耳慣れた声がした)

大泉(そいつは暗闇から、すぅと顔を出す)

大泉(………ああ、そいつは)



「そうだ……ぼかぁ知ってるよ」

「俺ぁ、ここに残るために……ここにいるんだ」

「出て行くんじゃない、ここに残るために……この中に、いるんだ」




大泉(そこにいるのは)




「それは俺が決めた事じゃないか」



大泉(なんで、とかそんな言葉はもう出て来なかった。ただ、そいつは)




大泉「俺自身が決めた事じゃないか」




大泉(俺の知らない俺だった)














バンッ!!







大泉(………)


大泉(………)


大泉(………?)

大泉(ふと、世界が急激に明るくなる)

大泉(………あのおっさん達はいつの間にかいなくなっていて)

大泉(代わりにそこにいるのは、希望の高校生達)

大泉(どこともしれない場所に俺達は集められており、円形に置かれた卓にそれぞれが着いている)

大泉(ここには15人いるのか……戦刃を除いて?いや、違う―――それでも一人足りない)

大泉(誰が……視線を泳がせて確認する)

大泉(―――ああ、キミがいないのか。葉隠)

大泉(葉隠のいるべき卓には、葉隠の遺影が立てられている……)

大泉(何が起きてるのかはよく分からんが、とにかく俺達は何かを話し合っているらしい)

大泉(……世界に、音が次第に……)


大泉(戻ってくる………)




石丸「……そうか、そうして」

苗木「事故死に見せかけて殺害した……」

霧切「……これが今回の手口ね」

大泉(何と言ったらいいか状況がよく分からない)

十神「まさか口火を切るのがお前とはな、大泉」

大泉「ち、がっ……俺ぁやってねぇよ!」

大泉(よく分からないうちに口からそんな言葉が出てくる)

舞園「そもそも、あなたと葉隠君は仲もよかったはずなのに……どうして!」

大泉(何が起きてる?俺が………)

苗木「………っ」




大泉(俺が葉隠を殺したって?)



霧切「ねぇ……」

霧切「………もしかして、言われたんじゃないの?大泉さん」

霧切「葉隠君に……「自分を殺せばいい、そうしたら出られる」って……」

大泉「………俺は………」

大泉(何が起きて……いや、でも、弁解しなくては……俺が葉隠を?いやいや、そんなわけ……)

大和田「大泉さん、認めてくれや……アンタしかいねぇんだ、こんなの出来んの」


霧切「保健室にあった鎮痛剤―――あれは【テトロドトキシン】だった」

苗木「ふぐの毒、と言えば有名なやつだよね。すぐに分かるかも」

十神「効果は強力な上、依存要素もない事から鎮痛剤としても用いられる事がある。一般人代表の苗木でも知ってるほどのポピュラーな毒だ」

霧切「貴方は保健室に置かれていた、錠剤型になっているテトロドトキシンを手に葉隠君のところに行った」

セレス「それも適量ではなく、恐らく処方されるべきよりも少し多い量ですわね」

山田「葉隠康比呂殿は、自分の占いを使った後に頭痛が止まらないと訴えておりましたからな」

大泉(おい、なんだこれ………)

不二咲「えっと……それで、いくら錠剤とは言え、劇薬に変わりはないわけで……」

石丸「それを葉隠くんに渡し、飲ませたのだな」

桑田「で、あのバカはそのまま体に毒が回った。痺れたりとか、筋肉が痙攣とかしてたはずだ」

大泉(俺が……何したってんだよ……)

霧切「貴方はそのまま、バスタブにお湯を溜めたの」

舞園「お湯にしたのは、死体の損壊具合から死亡推定時刻をズラして、自らのアリバイを工作するためですね」

腐川「そして、体の自由が利かない葉隠の頭をそこに突っ込んだ……」

大泉(なんだこりゃあ……何が起きてんだよ……)

大和田「……あいつが頭痛に悩んでたのは全員が知ってる事だ。だから薬を使うのも仕方がねぇ」

霧切「だからこそ、だからこそなの―――」

朝日奈「……ひどいよ……何でこんな事……したの?」

苗木「理由は、この際もうどうだっていいんだ」

腐川「そうね……あんたが犯人って事が一番重要で、最悪なんだから」

大神「アリバイ、そして全員の証言……それを鑑みるに」

十神「こんな事を出来るのはわずかに一人、そう」

苗木「貴方が犯人なんだ……大泉洋」

大泉「――――」



大泉(もう声も出ない)




   VORT
オオイズミ オオイズミ オオイズミ


オオアタリ!!


カンカンカーン




大泉(俺……が………)

大泉(ちが、そんなこと………してな………)


モノクマ「ではっ!」

大泉「………!」はっ

モノクマ「こんな人道に反する鈴虫には【オシオキ】を行います!」

大泉「お、い………それっ、て……」

霧切「………」

苗木「………大泉さん」

大泉「な、なぁ、オシオキ……って……」

十神「処刑だ」

大泉「しょ、けい……?」

大神「お主の事は絶対に忘れん」

大泉(頭が、真っ白になる)

セレス「………あの時の大見得は何だったんですか、つまらない」

大泉「俺が……処刑……?」

モノクマ「それでは!」


大泉(ありもしない記憶が脳内を駆け回る)

大泉(犯したはずのない罪が脳味噌をぐちゃぐちゃに掻き潰す)

大泉(俺はいつの間にそんな事を)

大泉(喉から叫びが込み上げた)


大泉「待てよ……違う、アレは事故なんだ……」

モノクマ「大泉クンのオシオキ!」

大泉「待ってくれ!俺ぁやってねーんだ!助け……」

モノクマ「張り切っていきましょー!」

大泉「やめろおおおお!!!」



ぽちっ



ーーーーーーーーーーーーーーー




オオイズミクンがクロに決まりました。

オシオキを開始します。。。




ーーーーーーーーーーーーーーー


大泉(………う………)


大泉(……ここ、は……)


(大泉は何匹かのモノクマと一緒に「絶望駅」と書かれた謎の駅の前に立っている)

大泉「……ぅ……」

ヒゲモノクマ「」ひょい

大泉「これ……」

(ヒゲモノクマの手元がアップになる―――チロルチョコの箱のサイコロだ)

大泉「………振れ、って?」

ヒゲモノクマ「」こくん

カメラモノクマ「」

ハイパーメディアクリエイターモノクマ「」





大泉洋  オシオキ
【6分の1の絶望旅人】



(ヒゲモノクマが大泉の前にフリップを出した)




【サイコロの旅EX 希望の一泊と絶望の深夜バス】最後の選択

1  スカイマーク403便で千歳
2  フェリーで函館
3  とりあえず絶望ですが一泊
4  もっと四国   香川
5  いっそ九州   はかた号で福岡
6  企画終了    あの世




大泉「……ハァーッ……、ハァーッ……」

ヒゲモノクマ「」ふりふり

カンペ「さいころ振って!」


(大泉は言われるままにいつもの構えをとる)


大泉「何がでるかなっ!何がでるかなっ!」

大泉「それはサイコロ任せ、よっ!」

ぽーんっ

ころころころ……



大泉「―――あ」



(無情にも―――サイコロの目は6)




がしっ


大泉「っんな、や………やだ!止めろ!俺は!俺はぁぁぁぁっ!」

(バスに乗せられる大泉。体に鎖らしきものが巻かれている)

大泉「降ろせぇぇぇっ!」

(そのバスは大泉が座ったと同時に、モノクマ達を乗せたまま超加速する)


ご、ぉっ!


(運転モノクマの手元のゲージがぐんぐん上がっていった)

(見れば時速は150キロを越えようとしており、中にいる彼らにも強い力が掛かりだしている)


大泉「お、れは………そん、な………」

ぼーんっ!


大泉「は………!?」

(見ればヒゲモノクマがジャンプしてバスから脱出している)



ぽぽぽぽーんっ!



(続けてカメラモノクマ、運転モノクマ、そしてハイパーメディアクリエイターモノクマも脱出した)

(映像は上空、そして地面に落ちる)


がしゃんっ!


(カメラモノクマは壊れたのか、アングルが動かない……)


「あああああああああああ!!!」


(カメラから一気に遠ざかるバスから聞こえる絶望の声)

(そしてその行き先は奈落……バスの向かう先に道はない)

(が、その乗客である大泉の最後を、明確に映像として捉える事は出来ない)

(映像の奥の方で、バスが超速のまま飛び出していった)

(そして吸い込まれるように、地面の下へと落ちていって―――)











………ぅぅううううう



ごすんっ!



「っだぁ!?」

ーーーーーーーーーーーーーーー

















ーーーーーーーーーーーーーーー

大泉「………あ」

大泉「……ゆ、め……?」


大泉(気付いたら俺は、ベッドから不時着して変な体勢になっていた。頭を打ったらしい……額が痛い)

大泉(ったく、いたた……傷も治りきってないってのに……)

大泉「………」もそ



大泉(体に厭な汗がまとわりついている)

大泉(随分とやな夢を見た)

大泉(おっさん達に、学生達に………なんだってこんな変な夢ばかり……)

大泉(時間は……うわ、まだまだ早朝じゃねーか。………寝よう、寝直そう)

大泉(今日が正念場だ。勝つか負けるかの………)


ぴんぽーん


大泉(……あ?誰だ?)

大泉「あー……はいはい」


がちゃ





江ノ島「よーっす、未来のチャンピオン」




大泉「………」

ばたん

ぴんぽんぴんぽんぴんぽん

がちゃ

大泉「え?あの………え?え?」

江ノ島「あ、江ノ島盾子ちゃんですけど」

大泉「………は?」

江ノ島「来ちゃった。」



大泉(それは22日目の早朝、俺達とモノクマの真剣勝負の合間の出来事だったのだ)

ここまで!いやー、一番の山場を乗り切った気持ちです。あとは多分……大丈夫だと思うメイビー。
なんとなーく思いついたので最後の方にオシオキぶち込んでおきました。恐らくこのSS最初で最後のオシオキになるでしょう。
大泉さんの最後がカメラに写らないのは、どうでしょう班が
「4人がもし死ぬならうれしーが倒れてもまだカメラ回ってて、ミスターが倒れふじやんが倒れ、最後大泉が倒れる」
みたいな事を言ってた朧気な記憶からです。最後の最後がカメラに写らない皮肉。


>>305
未だに袋から出してません。もったいなくって……どうしよう飛び魚……。

>>306
すまんの。次はもっと早く来る予定です。すまんの。

>>307-308
はたして本当にその人だけかな?ぐっふっふ。
と言うか、最初の案からかなり内容が変わりまくったので……。すまんの!


>>310 >>312
終われるようにがんばります。
そうやね。もう少しで大泉さんの誕生日やね。


と言うわけで次はなるはやで。

乙です

グレーリング飯を差し入れてあげよう

なんていうか、すげえ絶望感だった
文字だけなのに寒気したわ

すげえ楽しみ!自分のペースで書いてくれ

今まで大泉洋は名前だけしか知らなかった。そんな私は今、彼が出ているというだけで朝ドラ『まれ』を観ています。(※エイプリルフールじゃないよ)

ダベミ殿、最後まで楽しみに全裸待機しています

今日中に絶対投下する……!ちょっと待ってちょっと待っておにいさぁーん

大泉「おぉい、今日は何の日か知ってるだろう?」

大泉「そうだぁ、僕の誕生日なんだぁ……」

大泉「いいかぁい?思いっきりぶちかますよ?ぼかぁ今回は思いっきりやるよ?」

大泉「なお今日を最終回にしようとしたけど無理だったみたい。ごめんなさいね」

大泉「あとね、また校正してないから。誤字と脱字が凄いからたぶん。直しながら落とすけどね」

大泉「ついでに、多分君ら気付いてないと思うけど今回結構訳分かんないから。」

大泉「え?いっつもわかんねぇってかい?」

大泉「ひでぇなぁおい!ま、すべての種明かしは次々回!って事で」

大泉「それじゃあ!張り切ってどうぞ!」

江ノ島「おーっす、未来のチャンピオン」





ばたん



大泉(は?は?は?え?あ?ああ?)

大泉(え?あー……今のは)



ぴんぽんぴんぽんぴんぽん



大泉(江ノ島盾子)

大泉(……戦刃さんじゃ、なかった)

大泉(え?じゃあ……)


がちゃ


江ノ島「……来ちゃった。」



大泉(……えーと、どうなってんの?)





ーーーーーーーーーーーーーーー




黒船襲来!!
(毛筆)




ーーーーーーーーーーーーーーー

◆22日目 3:50
大泉の部屋の中



大泉「……」

江ノ島「うぷぷ、ありがとね!ボクを入れてくれて!」

大泉「……勝手に入ったんだろ……」

江ノ島「まあどうせこれも【黒幕】に見られているのでしょうが、構いません。黒幕を絶望に犯すまでは私もまた死ねませんので」

大泉「なんだい、君は……君は、江ノ島さん?」

江ノ島「……うん、そだよ……僕が江ノ島盾子……」ボソボソ

大泉(なんかいきなり安田っぽくなった……なんだこいつ)

江ノ島「とにかく僕が本物の江ノ島盾子ちゃんですー」

大泉「もう頭いてぇ……で?その江ノ島さんがなんだい?」

江ノ島「一度話さなきゃなと思ってたから」

大泉「……俺と?」

江ノ島「キミ以外に誰がいるの?」

大泉「どうしてまた……つーか、そもそも何がどうなってんだ」

江ノ島「え?何が?」

大泉「最初にいた江ノ島が戦刃むくろだった、それはいい。それはいいが―――」

江ノ島「ん?最初からいた私様?」

大泉「ああそうだよ!おめぇに化けてたあの!」

江ノ島「ああ、あれ」

大泉(その時の江ノ島さんの顔の、なんとまぁ感情の無い事か)

大泉(背筋が凍った)

江ノ島「ま、もういいじゃん?あんなのの事は忘れてアタシの話を聞きなさい」

大泉「いや、あんなのっ、て……」

江ノ島「だってぇ~、今は大泉さんの方がぁ~大事的なぁ~?」

大泉「………」


大泉(言葉を見失う)

大泉(……なんだよ、何で……俺なんだ)

江ノ島「オメーと【もうひとりの黒幕】はイレギュラーの存在だったんだべ」

大泉(だべ)

江ノ島「実際、こうして俺は締め出されたわけだしな!」

大泉「イレギュラーって、おいおい……今まで仲良くやってたんでないの?」

江ノ島「まあ仲良くない訳ではないけどな。あれだ、あれ。志を共にした仲間みたいな?」

江ノ島「実際問題、彼の提案によって多くのサプライズが発生しました。よってその効果は非常に高かったと思われます」


大泉(サプライズ?効果?なんかよく分からんが……)


大泉「はーん……読めたぞ。そのサプライズってのがこれか……、その時にこんな残忍で冷酷な殺し合い学園生活なんてのを思い付いたんだな?」

江ノ島「あ、ごめんそれは私」

大泉「あ?」

江ノ島「だからー、」









江ノ島「コロシアイ学園生活を主催したのも首謀したのも計画したのも実行したのも私なの」









大泉(………)

大泉「………」

大泉「………」

大泉「………は?」

江ノ島「もう1回言いますか?」

大泉(上手く言葉を飲み込めない)

大泉(なに?コロシアイ学園生活を主催したのが江ノ島盾子?)

大泉「いや………え………?」

江ノ島「だーから俺がやったんだよ!このコロシアイ学園生活は!人が説明してやってんだから話を聞け!」

大泉「………江ノ島盾子が、コロシアイ学園生活の、主謀者にして………黒幕?」

江ノ島「そしてもうひとりの黒幕……それが今回の、キミ達をおもちゃにしてる悪だよ」

大泉「おめぇの他に……もうひとり……」


大泉(おいおいなんだい、急展開だね。この話がもうすぐ終わっちまうみたいじゃないか)

大泉(横から鈍器で殴られたような衝撃に、目がくらんだ)


江ノ島「貴方は思わなかったのですか?突然なんかモノクマ変わったな、と」

大泉「………」

江ノ島「ゲームなんて始めて、変だなと」

大泉「………あ」


大泉(いや、いや確かに、そう言われりゃそうなのだ)

大泉(モノクマは俺達に殺し合いを初めて欲しかったはず)

大泉(にも関わらず大神さんの不動を咎めず、まして子猫ちゃんの意味不明過ぎる申し出も断らなかった)

大泉(つまり―――そこから示される事実)

大泉(黒幕がもう一人いると言う現実)

大泉(やっぱり、黒幕は………)


江ノ島「ま、そいつが誰なのか、どうしてこんな事をしたのか……それは私の口から話すべき事ではないし」

江ノ島「言えたとしても言うかよバーカ!クソして寝ろ!」外道!

大泉「それを伝えに?」

江ノ島「いけませんか?大泉洋」

大泉「悪かぁねぇけどよ……そんな事言っちまっていいのかい?」

江ノ島「このゲームだって絶対に、黒幕のやつは楽しんでるはずよ」

江ノ島「アタシを差し置いて絶望を堪能しようなんてズルい……絶望的……」ぎりっ

大泉「」

江ノ島「だから江ノ島盾子の名において命ずる!この鬼ごっこを絶望的な展開で終わらせろ!」

大泉「………」

大泉(どこまでほんとを喋ってるのか分からない)

江ノ島「沈黙は肯定と……」

大泉「おおっと誤解すんなよぉ?ぼかぁ、まだ君を信じた訳じゃあないんだぜ」


大泉(……俺が真っ先に黒幕だと思った人物は、違うのだろう)

大泉(鈴井さん。会長……モノクマは違うと言ったんだ)

大泉(それをあえて江ノ島盾子が答えない理由は?あくまで俺達に謎解きさせるため?)

大泉(……いや、待てよ?)

大泉(それだけなら子猫ちゃんがあんな顔をするわけがない)

大泉(俺達は何か勘違いしてるのか?あの言葉の意味を)


「【ボク】は鈴井貴之じゃないんで、それだけ」


大泉(………ボク、は………か)

大泉(そのボクってのぁ果たして誰なのか)

大泉(まさか……そのボクはモノクマを指すのか)

大泉(……と、言う事は……だ……)

大泉(………そうか……なるほどなぁ、そう言う考えに至るだろう事まで予測済みかい?)

大泉(つまりあんたは自ら、自分自身の正体を晒したわけだ―――)

大泉(気付いてしまえば足が動かなくなるから)

大泉(このタイミングで、俺と子猫ちゃんを潰すためだけに)


大泉(………そうだろ、ダメ人間)


江ノ島「じゃ、そう言うわけで」すくっ

大泉「行くのかい?」

江ノ島「言う事言ったしヤる事やんねーとなんねーからな」

大泉「は?君、一体何する気なんだい?」

江ノ島「言うと思う?何するか」

大泉「……言ってくれた方がありがてぇんだけど」

江ノ島「あっそ」


すたすた

ずいっ


江ノ島「これが最後にならないといいけど」

大泉「おい、何を……」




(一瞬の静寂)

(唇を重ねているように見えるふたりの映像が監視カメラに映る)




大泉「……ぁ、おめ、なにを……?」

すたすた

江ノ島「んじゃね、すずむし。精々足掻きなよ」

大泉「………っ」

江ノ島「あんたは既に逆転のための鍵を握ってる、そうでしょ?」

大泉「お前は、俺に何をさせたいんだよ……」

江ノ島「このゲームが楽しくなるようにしてほしい、そんだけ」

がちゃ

江ノ島「明日、床に転がって死んでるのは誰だと思う?」

江ノ島「ねぇ、大泉洋」


ぎぃ

大泉(うれしそうな、しかし悲しそうなとも言える、なんとも複雑な表情を浮かべた彼女は)

江ノ島「ばいばい」

大泉(そのままゆっくりと扉を閉めるのだった)


ぱたん


大泉(引き留めればよかったのか)

大泉(何か話せばよかったのか)

大泉(……ただひたすら分からないけれど、俺の脳内はかき乱されていて)

大泉(心が折れてしまいそうなまま、立ち尽くす)

大泉(それからどれだけ時間が経ったか分からない)

大泉(ただ何も考えられず―――崩れるようにベッドに落ちた)



ーーーーーーーーーーーーーーー





学園のどこか





ーーーーーーーーーーーーーーー




「……そっか……うん」

「………そう言う事をするんだね、江ノ島さん。江ノ島盾子さん」

「………」

「………」

「ほんと、予測の範囲外な事ばっかりしてくれるなぁ……」

「なるほどね、今からやっても時間は足りない……それに、外に出たらバレてしまう」

「かと言ってモノクマの大きさでは届かない」

「………………………………………くくっ」

「ふふ………あははは………っくく………」

「笑っちゃいますよ……こんなの、笑わない方が難しいでしょ……」

「……ふぅ、それにしても」


「やってくれたね……これじゃあ、ぼく、は……」


「……」

「…………」



「………………………」

ーーーーーーーーーーーーーーー





       朝





ーーーーーーーーーーーーーーー

◆食堂


大泉(なんとか平静を保って、食堂までやっていく……既に全員揃っていた)


霧切「……おはようございます、大泉さん」

大泉「うーい……おはよう、子猫ちゃん」

石丸「遅いですよ、大泉さん!もう今日しかないと言うのに……!」

大泉「あー、悪かったって」

大泉(あのあと二度寝して寝過ごしたとか言えないし、何より……)

霧切「……」

大泉(気付いたんだよなぁ、その事実に)


十神「揃ったな?」

大和田「全員いるぜ……まあ、ひとり減っちまったけどよ」

苗木「今日は……どうしよう?」

十神「どうするもこうするもないだろう?」

朝日奈「でもさ……いいのかな」

十神「何がだ?」

朝日奈「このままだと、絶対にどっちかが死んじゃうよね?……なんかないのかな、どっちも助かる方法とか」

十神「ない」

不二咲「………そんな………」

十神「ない、今回ばかりはどうしようもない」

不二咲「で、でもぉ」

セレス「そんな抜け穴、あるなら初めからどうにかしてますわ」

苗木「何かないのかな……みんな助かる方法」

腐川「……あんた達甘いのよ……、な、なんでそもそも敵を助けてやんなきゃなんないわけ……?」

大泉「誰も死なないなら死なない方がいいじゃあないか」

朝日奈「そ、そうだよ!敵とか味方とか関係ない!」

苗木「それに……今まで一緒だった【あの江ノ島さん】も……仲間だよ」

十神「どいつもこいつも甘い奴らだ。そんな事じゃあ、仮に外に出ても生きていけないぞ」

朝日奈「そんなの分かんないじゃん!十神の石頭!」

舞園「……ですけど、このままじゃほんとに何の答えも出せませんよ」

石丸「むぐぐ……ルールは絶対、だがルールを守れば誰かが必ず死ななければならない……!」

セレス「抜け穴もない、イカサマも出来ない……手詰まり感が否めませんわね」

大泉「くっそー、なんかいい案ねえか?誰か」

葉隠「時間切れの時にカードを誰も持ってないとか?」

大泉「はあ?(半切れ)」

霧切「……それはどうなるのかしらね、そう言えば」

大泉「え?なにがだい?」

舞園「つまり、カードの行方が分からなくなっていた場合、と言う事ですか?」

不二咲「ええっと……どうなるんだろう?」

苗木「………そう言えば、その場合は何も言ってなかったね」

葉隠「お?俺の案、なかなかいい感じなんじゃねーか?」

大神「待て、葉隠。それには無理がある」

葉隠「ほぇ?」

大神「昨日の様子を見る限りでは……我らのうち誰かがカードに触った時点で所有権は我らに移っていた」

葉隠「………あー、そういやそうだな」

腐川「ったく、あんたほんとロクな事言わないわね、このクズッ……!」


苗木「じゃあどっちが最後に触ったか分からなかったら?」


大神「………どういう意味だ」

苗木「そのままの意味だよ。モノクマがもし、最後にカードを触ったのがどっちか分からなければ……」

セレス「それは『監視カメラの無いところで、戦刃さんと取引して、最終的にどちらもカードを持っていない』と言う事ですか?」

桑田「いや、それ無理じゃね?カメラねーとこなんて大浴場しかねーだろ?」

不二咲「そ、それに寄宿舎には戦刃さんは入れないって言ってたよぉ?」

霧切「………いえ、校舎側にも監視カメラがない場所があるの。そこまで行ければ」

大和田「あ?どこだそりゃあ」

霧切「言うわけないじゃない」

不二咲「でも、もしそこまで行って戦刃さんがそこにカードを置いてくれたら……」

大泉「まあ、出来ない事はないだろうけどさ」

腐川「あんたバカぁ?そんな事戦刃がするわけないじゃない……!」

霧切「………確かに現実的ではないわね」

朝日奈「現実的じゃないけど、もし出来ればさ……」

十神「現実的な話をしろ!」



大泉(珍しい大きな声)

大泉(十神のその声で、全員が静まり返る)

大泉(……十神も必死なのだ、全員生きて返したいのだ)

大泉(ただそれを明確に言わないだけで)

大泉(しかしその目の必死さを全員が分かって、押し黙る)



十神「他に……何か方法はないのか」

霧切「……」

十神「主体性がなさすぎるんだよ、お前達愚民は……やりたいやりたいとばかり言って、それを叶えようとしない……!」

十神「そもそも、さっきから黙ってる奴らばかりだな……何も思い付かないのか?」

山田「と言われましても……そんなの、カードが2つあればまた違うんですがね……」

霧切「……カードが2つ?」

山田「お互いがカードを持ってたらどうなるのかなと思いまして……」

セレス「無理な話ですわね」

腐川「そ、そうね……あたしが持ってたやつも取られたし」

桑田「っつーことは……」

十神「……ないんだな、ほかの案も」

舞園「……そう、ですね」

苗木「ほんとうに……ないのかな」

大泉「今は……無理さ。誰もなんも思いつかねえんだから……」


大泉(重苦しい空気が、場を支配した)

大泉(しかしそれでも時間は待ってはくれなくて)

大泉(俺達は行かなければならない、生きなければならない)

大泉(ならばどうする?苦肉の策だ、勝つしかないさ)

大泉(十神の号令で全員が食堂から、やがては校舎へ、最後の決戦地へと出て行った)

大泉(俺もまた出て行こうとして)

霧切「大泉さん、ちょっと」

大泉「ん?なした子猫ちゃん、もう行かないと」

霧切「いえ、こちらは私達でなんとかしますから」

こそっ

大泉「………?子猫ちゃん、こらぁよぉ」

霧切「今はまだ、必要な時が来たら使ってください」

大泉「……子猫ちゃん!」

霧切「ところで大泉さん、」

大泉「あ?」

霧切「新見さんは元気ですか?」



※Tips…【新見さん】
大泉に3度に渡って【とある物】を作ってくれた人。
現在はなぜか鞄職人をしている。



大泉「はぁ?いや、そんなの分かるわけ」

霧切「大泉さん、気付いてください……上を」

大泉「なに?上がなしたって……あ」

ーーーーーーーーーーーーーーー







それから数時間後






ーーーーーーーーーーーーーーー

石丸「時刻はまもなく正午……だな」

十神「………見つかったか?石丸」

石丸「いや、こちらにはいないようだよ」

十神「そうか……ちっ、どこにいる」

石丸「………なぜだ?なぜどこにもいない?」

十神「まさかとは思うが……」

石丸「む?」

十神「いや、こんなゲームを提案してくるんだ。まさか隠れているなんて……」

石丸「……確かに」



(ナレーション:藤村忠寿)

あれからしばらく戦刃さんを全員で探していた我々だったが、なぜか戦刃さんがどこにもおらず、途方に暮れていたのだった。
さらにここで十神さんが重大な事実に気が付いてしまった。

「もしも戦刃むくろがどこかに隠れていたら?」

制限時間が決まっており、またこのままでは我々の負けは確定している。
戦刃さんが負けないただひとつの条件、それが「カードを奪われないこと」。
ではそれを死守するにはどうしたらいいのか?

答えはひとつ。
見つからないように隠れていればいい。
制限時間いっぱいまで見つからなければ、これは戦刃さんの勝ちが決定しているようなもの。


今ここに、一番恐れていた事態が起きてしまったのである。



十神「ぬかった……、あんなルールを提示してきたから、あんな事を言ってきたから……てっきり戦刃が隠れないものだと思っていた!」


(私は全力で抵抗する)

(逃げも隠れもしない)


十神「……くそっ……!」

十神「俺のミスだ……」

石丸「そんな事はない、この事態を予測出来なかったのは僕達にも責任がある」

十神「……ふん、慰めのつもりか?」

石丸「それは違うな、励ましのつもりだ」

ーーーーーーーーーーーーーーー






さらに数時間経過






ーーーーーーーーーーーーーーー

大和田「だーっ!どこいやがる戦刃ァァァ!」

朝日奈「もう5時だよ?なんでどこにもいないの……?」

大神「それ以上に、どうやって隠れているのか……」

苗木「……分かんないよ……心当たりがある場所は全部見たはず……」

苗木「プールのロッカー、監視カメラのないあの場所、」

モノクマ「路地裏の中、向かいのホーム」

葉隠「そんなとこにいるはずもないのにな!」

モノクマ「キミ怖がるのか乗っかるのかどっちかにして?」

葉隠「……なしたんモノクマ」

モノクマ「あ、もう怖がってすらくれないのね、僕寂しいよ」

苗木「そ、そうだモノクマ!お前なら知ってるんじゃないのか!?」

モノクマ「知ってたら言ってるよ!」

霧切「……あなたも知らないのね」

モノクマ「おっと霧切さん」

霧切「モノクマが知らないのなら、場所は絞られるはず」

十神「どういう事だ?」

山田「つまり……監視カメラがなくて、さらにどうやって行ったのか分からない場所?」

霧切「そうなるわね」

モノクマ「いや、途中までは追えてるんだよ」

霧切「……え?」

苗木「じゃあ監視カメラがある場所にいたの?」

モノクマ「ただ……」

石丸「ただ、何かね?」

モノクマ「ある時間を境に、校内の監視カメラのほとんどが作動しなくなっちゃってね」

腐川「はぁ?じ、じゃあアンタ……さっきから今まであたし達がどこにいるのか把握出来て無かったって事!?」

モノクマ「あ、それは大丈夫。電子生徒手帳が君達の居場所を分からせる機能を担っててね」

モノクマ「それに校則違反を関知した場合、アラームが鳴るシステムも出来てるんだ!」

モノクマ「にしても全く……最悪だよ。まさかこんな手のひら返しを受けるなんて、本当に絶望的さ」

大和田「手のひら返しだぁ?誰にな事されたんだよ」

モノクマ「言えませんな!」ふんす

桑田「つーか途中まで追えたのかよ!?んじゃ先にそれ言えやオメー!」

モノクマ「そう言う君達に有利な情報を先に出しちゃったら、僕が損するじゃないですかぁ」

十神「とにかく、それはどこだ?どこまで追えている?」

モノクマ「今回全く使ってないあの場所さ」

モノクマ「寄宿舎から出てすぐ、まっすぐ行った突き当たりの赤い扉」

モノクマ「どうやってか分からないけど、鍵も壊さず【彼女達】はそこへ消えた」

石丸「そんな場所、あったかね……?」

苗木(そう言えば、そんな場所があったような気がする)

苗木(彼女達、と言うのが気になるけど、それを突っ込んでいる余裕もないみたいだ)

苗木(思い起こして、その場所を頭に浮かべる)


苗木「……ずっと鍵がかかっていた、あそこ?」

石丸「ああ、あの扉か。特に校則にも何もなく、モノクマも何も言わないので分からなかったが……」

セレス「そんな不気味な場所、何に使うつもりだったので?」

モノクマ「そいつは言えないね!」

セレス「言えやゴルァ」

大和田「!?」

モノクマ「まあまあ……みんなでそこに行ってみればいいじゃない」

霧切「なぜ」

モノクマ「?」

霧切「貴方はそこから先を、自分で見に行かなかったのかしら……それとも、見に行けなかった?」

霧切「まさかさっきまで寝ていたとか?」

モノクマ「ぎぎぎぎぎくぅぅ!!」

苗木「そんなザルな感じで大丈夫なのかよモノクマ!?」

山田「大丈夫じゃない、問題だ」

霧切「ま、確かにアメリカと言いアラスカと言い、よく寝過ごしていたものね……【貴方達】は」

モノクマ「……」

霧切「そろそろ話したら?貴方が何者なのかを」

モノクマ「……バーカ」

霧切「私達に謝罪の言葉はなかったんですね?」じりじり

苗木「霧切さん?」

十神「とにかく、行ってみる他はないか」

モノクマ「そうだね!行くといいよ!そこが君達の墓場になるかもしれないし!」

不二咲「………そんなの、嫌だよぉ」

苗木「大丈夫!何とかなるはずだよ、希望は……前に進むんだ」

苗木「思えば、願えば……言葉にして【言えば叶う】。ボクはそう信じてるよ」

モノクマ「……彼みたいな事を言うんだね、苗木クン。それは素?それとも知ってたからこそ?」

苗木「え?」

大和田「つーかいいのか?大泉さんは置いてって……あの人どこだ?」

霧切「彼なら………いいの、料理を作ってるから」

桑田「えっ」
大和田「えっ」
腐川「えっ」
朝日奈「えっ」
苗木「えっ」
モノクマ「えっ」


大泉「よおォォォォし………」

大泉「お見舞いしてやっからな………」



大泉「覚悟しとけよ、鈴井貴之」




モノクマ「………」さぁぁぁ

霧切「あら?逃げるの?監視カメラも使えないのにどこかに行くの?まさか大泉さんを止めに行くの?」

霧切「いいえ、出来ないわよね?しないわよね?させないし、それに【出てこれるのかしら】?」

霧切「貴方……この学園のシステムを使いこなせていないんじゃないの?」

モノクマ「……キミ、いつからこの事実に……」

霧切「朝の時点で気付いてたわよ、食堂の監視カメラの様子がおかしい事なんて」

霧切「けど、個室のカメラは動いてる。それに校舎も一部のカメラを除いて動く気配がない」

霧切「なら答えはたったひとつ。貴方は私達の居場所こそ分かれど、映像では捉えられていない」

桑田「霧切!知ってたんならなんで今まで黙って……」

苗木「いや、黙ってた方がよかったんだよ」

桑田「は?」

苗木「ボク達がその事実に最初から気付いていたら、カメラに映る姿が全て不自然になってしまう」

舞園「敵を欺くにはまず味方から、ですか。何を企んでそんな事を?」

霧切「……それは最後までお楽しみにしておいてくれないかしら」

モノクマ「みんなほんと……面白いね……ふふふふふ……それじゃあ、行こうか」

ーーーーーーーーーーーーーーー







赤い扉






ーーーーーーーーーーーーーーー

がちゃ……


苗木「開いた!?」

霧切「つまり、ずっと閉まってたはずの扉が開いてたのね」

十神「不気味な場所だな」

朝日奈「……なんなの、ここ……」

モノクマ「この扉の先からは全て映像が途切れてた。悔しいけどね」

モノクマ「僕もしばらく頑張ったけどどうしようもなかったし、それに霧切さん、キミの言うとおりさ」

モノクマ「盛られた。しっかりぐっすり寝てしまったよ」

モノクマ「今だってちょっと覚束ないくらいだね」

腐川「……ど、どこまでほんとなのよ」

モノクマ「僕が君達に嘘言った事あるかい?」

十神「……ふん、どうせ大方、昼まで眠ってしまって体が動かないんだろう?」

モノクマ「ぎくぅ!!」

舞園「床擦れですか?」

葉隠「あー、んで……」

モノクマ「多分、それに乗ったんじゃないかな。その、目の前にあるエレベーターに」

苗木(大きなエレベーターだ……ボク達全員が乗れてしまいそうな大きさのそれ)

霧切「……行きましょうか」

苗木(それを合図に、ひとり、またひとりと、何も言わず乗り込む)

苗木(これが最初で最後になると信じたかったから、信じたいから)

苗木(ボクが乗り込んだあと、その扉はゆっくりと―――)


がしゃんっ



苗木(閉まった)



ごうん……ごうん……


苗木(……どういう事なんだろう)

苗木(何が起きているんだろう)

苗木(ボク達では、分からない事ばかりだ)

苗木(それが、どう結末を迎えるかもまた分からないまま)


ちーんっ


苗木(辿り着いた先にいたのは)





江ノ島「いらっしゃいませこの野郎」

戦刃「盾子ちゃん、もう降りてくれないかな……」




ーーーーーーーーーーーーーーー




     !?




ーーーーーーーーーーーーーーー


苗木(裁判所みたいな場所の最奥、特設ステージみたいなところに2人はいた)


モノクマ「やっぱりここだったね、江ノ島さん」

江ノ島「やっと起きたんだ?強めの薬使ったから、今日中は動けないもんかと思ってたけど」

苗木「え?江ノ島……さん?」

石丸「こ、校則違反だ!ぶ、分身なのか!?」

江ノ島「ちげーわボケ。アタシが江ノ島盾子。本物の江ノ島盾子」

戦刃「そして私が戦刃むくろ……偽物の江ノ島盾子として、みんなの中に入ってた」

江ノ島「アタシ達は双生児……あ?なんで名字が違うのって?それは各々で考えるように!」

戦刃「案ずるな受験生……じ、盾子ちゃん、そろそろ良いかな?」

江ノ島「ダメよダメダメ!残念なお姉ちゃんは私の椅子としてここでヨツンヴァインになってなきゃダメ!」

葉隠「は?は?はぁ??いや、ちょっ……」

腐川「あ、あんたのペースで話進めんじゃないわよ!!」

江ノ島「オメーら愚民のペースに合わせてたら老人になるっつーの!」

モノクマ「……それで?君達、これから何する気なんだい?」

江ノ島「え?オシオキだけど」

モノクマ「……あ?」

山田「ちょ、ちょっとちょっと待ってお姉さん!?オシオキするって何ですのん!?」

江ノ島「アンタら見てないの?」


江ノ島「もうこの残念なお姉ちゃん、略して残姉のカードは首に掛かってないけど」


モノクマ「……な、に……?」

江ノ島「一服盛った時にヤらせていただきましたァん!」

葉隠「つまりどういう事だべ!?」

江ノ島「そう言う事だろ!」



ぽちっ


ういーん!ういーん!ういーん!



苗木「な、なに!?どうなって……」

桑田「なんだっつーんだよ!?オレらに分かるように順序立てて説明しろゴルァ!」

セレス「とにかく、今分かっている事はふたつ」

十神「俺達は勝ったらしい……そして」

朝日奈「戦刃むくろは………負けた?」

江ノ島「うぷぷ……えー、ではでは……」

モノクマ「き、霧切さん!?まさかそれも知ってて!!」

霧切「………」

大和田「モノクマァ!テメェが見てねぇのが悪いんだろ!止めろ!」

モノクマ「止められるなら止めてるの!学園のシステムが……言う事を……」

江ノ島「当然だよ……貴方に残したのはモノクマを操作するシステムの権限だけですから……」

舞園「そんな……!じゃあ!」

江ノ島「そゆこと。アタシが全権限を握ってるのは変わりない。むしろモノクマだって、今やろうと思えば操作出来る」

江ノ島「このコントローラーでね!」

ばばーんっ!!


苗木(江ノ島さんは両手にコントローラーを握っている……コントローラーと言うか、あれってiPad的な物に見えるんだけど……)


江ノ島「説明は全部後で!とにかくまずは……」



ぴょいーんっ


苗木(江ノ島さんはそう言って、やっと戦刃さんから離れた)

苗木(よく見たら、戦刃さんは既に動けなかった……両手両足を、枷によって床に固定されていたんだ)

苗木(今まで見た事がない笑顔を浮かべる江ノ島さんがステージを降りる)

苗木(そのステージには、見た事がないあらゆる器具が用意されていた)

苗木(バイク、ピッチングマシーン、扉、プレスマシーン、怪獣……ありとあらゆる個性の塊が、そこら中から見え隠れする)

苗木(何に使うつもりだったか、想像は容易い)



苗木(そうして江ノ島盾子は言ったんだ)













江ノ島「アタシのために死ねよ、戦刃むくろ。」















ぽちっ

ゴゴゴゴゴゴ!!!


十神「江ノ島ぁ!」

江ノ島「もう無理よ。私様を止めたところで、戦刃むくろの死は動かない」

不二咲「そんな……ここまで来て……」

セレス「こんな意味の分からない状態で……私達が負ける……?」

江ノ島「負けじゃない、勝ちだよ?アンタらのね!ぷぎゃー!!」

戦刃「盾子ちゃん、私……」

江ノ島「ほら言いなよ、絶望的で最高だって!!最愛の妹に殺されるなんて最高な死に方で最強に絶望的だって!!」

大神「お主……!」

苗木「くそっ……なんとか……」

苗木(頼む……奇跡でも希望でも幸運でもなんでもいい、何か起きてくれ……!!)

山田「ひいいい!?もう何なんですかぁ!?」

十神「論理が破綻している……死が最高だと?肉親を、姉妹を殺して最高だと!?」

江ノ島「そう言う風に出来てるんだよ、俺達はね……」

葉隠「もうなんだってんだ!オメーは一体何なんだぁあぁっ!!」

江ノ島「【超高校級の絶望】、それが我ら姉妹の……」










戦刃「私、まだ死にたくないよ」


江ノ島「―――」











ピーーーーーーーーーッッッ!!!



江ノ島「……は?」


苗木(そこで初めて、ここまで余裕の表情を浮かべていた江ノ島さんが、狼狽した)

江ノ島「え?なに?どうしたの?」

江ノ島「私様のコントロールを離れた?なぜ?」

江ノ島「おいテメェ!動け!」

江ノ島「なんで?なんでなの?アタシの計画は完璧だった!」

江ノ島「全員を欺いて―――そして、ここで残姉を殺して、今度こそ絶望的なコロシアイ学園生活を再会する予定だった!!それが!!」

江ノ島「動け!動け!動け動け動け動け動け!」



江ノ島「動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け」




江ノ島「動けええええええええ!!!」



『……させない、よぉ……!』



苗木「……あ」


苗木(その声は、紛れもなく)

苗木(もうひとりの不二咲千尋のそれだった)

苗木(もう会えないはずの、君だった)


江ノ島「やり、やがったな……」




江ノ島「アルターエゴォォォォォ!!」



『もう……誰も……コロ……させな……い……!』

ーーーーーーーーーーーーーーー




Chapter5
疾走する青春を巻き込んでハリケーン


非日常編
【END】


残り【17人】【……?】




ーーーーーーーーーーーーーーー

江ノ島「くそくそくそくそくそっ!動け動け動けえええええ!!」ぽちぽち

戦刃「……盾子ちゃん……もう」

江ノ島「だあってろ残姉ェェェ!!」

がしゃんっ!

十神「!」

セレス「コントローラーが!」

舞園「と、取ります!」

江ノ島「……かくなる上はこんなもの使わなくたってかまわない……アンタは!ここで殺す!そうでもしないと!」

江ノ島「私の!アタシの!わたしの!私達の!一番の絶望が消えてしまう!!」

江ノ島「だから死ね、戦刃むくろ!残姉!おねぇちゃん!」

大神「そうはさせんっ!」

大和田「だな!テメェはここで終わり……」

すっ

大神「霧切!なぜ止める!?」

霧切「……大丈夫。もう大丈夫」

十神「何?」

霧切「……大丈夫だから」

江ノ島「シャラポワァァァァ!!」




モノクマ「……ガ、ガガ……あ、」


江ノ島「……?!」


モノクマ「……イズ……く……やめ……」


江ノ島「……あ?」


モノクマ「……」


モノクマ「…………」


モノクマ「………………………………」


江ノ島「なんだってのよぉ!」

ーーーーーーーーーーーーーーー





どうも 絶望の皆さん





ーーーーーーーーーーーーーーー



江ノ島「!?」

十神「!!?」

霧切「……間に合ったみたいね」

『……システム……停止……』

江ノ島「!」

朝日奈「い、今の声って……」

桑田「ああ、間違いねーけど……」

不二咲「……なにが、どうなってるのぉ……?」

ーーーーーーーーーーーーーーー





どうも 絶望の皆さん
知ってるでしょう?





ーーーーーーーーーーーーーーー


セレス「今までどこで何してたんですの!?」

桑田「つか、マジに全く状況掴めてないんすけど!?」

腐川「ぶぇくしっ」

大和田「なんかわかんねぇぞ、霧切!なにが大丈夫なんだ!?」

霧切「……死人は出ない、けど、死に近い人はひとりいるかも……」

朝日奈「それってある意味ダメじゃない!?」

石丸「貴方は今どこにいるんですか!?」

ーーーーーーーーーーーーーーー






どうも 絶望の皆さん
知ってるでしょう?
大泉洋で





ーーーーーーーーーーーーーーー


江ノ島「まさか……まさかとは思うけど、アタシのしらないところで」

苗木「監視カメラの映像は……江ノ島さんすら見られなかった」

葉隠「はは、当然だろ……あんなちっちぇー画面で何が出来んだって」

霧切「甘く見てたわね、江ノ島さん」

江ノ島「こんな風にしろなんて……アタシは言ってない……!」

江ノ島「こんな風にめちゃくちゃにしろなんて!」

江ノ島「何の味付けもしてない料理の方が旨いような調理しろなんて言って言ってねぇんだよぉぉぉぉぉ!!」

ーーーーーーーーーーーーーーー






どうも 絶望の皆さん
知ってるでしょう?
大泉洋で
ございます






ーーーーーーーーーーーーーーー



「―――おい」


大和田「あ……?」

石丸「そんなところに!」

舞園「よかった……」

ジェノ「なにこれ?大団円?」

桑田「つか、これマジどういう事?」

戦刃「分かんないけど……」



江ノ島「……!!」









大泉「パイ食わねぇか」









苗木(そして、その瞬間……地下にあったモニターの全てに、大泉洋が大写しになったのだった)

ーーーーーーーーーーーーーーー





Chapter6

どうも 絶望の皆さん
知ってるでしょう?
大泉洋で
ございます
おい パイ食わねえか


非日常編





ーーーーーーーーーーーーーーー

ここまで。
今回はもう何の説明もないうちにぽんぽん進む回。
次回から説明回、あとネタばらしです。


大泉「次回!最終回だったらいいね!」

大泉「そして新番組!【絶対絶望中年】!」

戸次「絶対にやらんぞ」



>>349
ありがとうございます。がんばります

>>350
ありがとうございます。丁重にお断りいたします。君は藪におしっこに行って蚊に刺されてきなさいよ。

>>351
ありがとうございます。夏に読むと寒くて良いかもしれませんね。

>>352
ありがとうございます。最近自分のペースを見失っております。

>>353
ありがとうございます。
ところでまれ、まだ見れてないんですがどうですか、大泉大先生は?なんか不評もちらほら聞くのでハラハラしております。

行くよー。

(地下の会場、大写しのモニターには不敵な笑みの大泉が映っている。光がないのか、なんだか画が暗い)

江ノ島「なん、で………!?」

大泉『待たせて悪かったねぇ、子猫ちゃん?』

霧切「……待ちましたよ、大泉さん」

苗木「ええっ、と……?」

大泉『さて、どっから説明してやろうか……』

大泉『……とその前に、みんなにひとり紹介したい人がいるんだわ』

石丸「ん?僕達に?」

ジェノ「なになに?何の話これ今」

舞園「………私もよく分かりません」

大泉『はいこの方』

(大泉がハンディカムのようなものを持ち上げた)

(よく見ればその場所はメカメカしい……カメラやらマイクやらが備わり、多くのボタンが目の前に置いてある)

(画面がそのままくるっと反転して)

男性『』

(黒髪の男性が何か食べながら床にうなだれている)

霧切「鈴井さん!!?」

大泉『はいこれうちの会長です』

「「「「!!?」」」」

桑田「は?は?はあ?」

大泉『いやー、モノクマ操作してたのはうちの会長でした』


◆Tips…【鈴井貴之】
言わずと知れた【クリエイティブ オフィスキュー】の代表取締役社長、現在は会長。
北海道で強烈な人気を誇った伝説の演劇グループ【OOPARTS(オーパーツ)】の主宰であり、映画監督でもあり、(音痴すぎる)歌手でもある。
その様はかつて本人が【ハイパーメディアクリエイター】と名乗っていた事があるほど(とある番組の企画での肩書き。実際に名乗ったわけではない)。
【生涯現役】を掲げ、下の人間には全くその座を譲るつもりがない事が分かる。実際、ナックスと共演すると誰よりも笑いを取りに行く。
多くの番組の企画構成にも参加しており、【水曜どうでしょう】の企画もまた彼である。そして自分で企画したロケで誰よりも苦しむ。
安田顕に対して「僕によく似ている」と語った事がある。安田もまた鈴井を尊敬しており、師弟関係が成立している。
その一方でオクラホマ・藤尾とは【友人の関係】らしい。色々と一線越えすぎである。まぁドラマ撮影時に、ディープキスの手ほどきした間柄だから、多少はね?
ちなみに事実かどうかは不明だが、【水どう】内では「僕はバイですよ」と発言した事がある。大泉のケツが心配されているが、特に問題はなさそうで何よりである。

鈴井『不味いよぉ大泉くぅん………』しくしく

大泉『あんたは黙ってそこで食べてなさいよ、絶望したかったんでしょ!勝手に食って勝手に絶望してなさいよ!!』

鈴井『もういいってこれ……ほんとに不味いから……』しくしくげふげふ

大泉『ミスター!あんたにはほとほと困らされましたよ、我々は!』



(大泉「子猫ちゃんにも困っちゃうねぇ……全部話せばいいのに」)

(大泉「………?」)

(大泉「……あ?なんだこれ」)



大泉『朝子猫ちゃんから、カメラが動いていない事を知らされた俺は、黒幕とっつかまえるための準備をしてたんだ』

大泉『パイを作ってねぇ、おみまいしてやろうと!』

石丸「なぜそうなるんです!?」

霧切「シェフ大泉だからよ」

山田「↑結論!?」

十神「こいつがおかしい事は今更言う必要も無いだろう」

大泉『おかしいって言われちゃ心外だねぇ』

苗木「それで……」

大泉『……ああ。厨房で僕ぁ、自分のポケットにカードキーがあるのを知った。江ノ島さんに……本物の江ノ島さんにハメられたんだ』

大泉『前日の夜、俺の部屋には江ノ島さんが来ていた。その時に恐らくポケットに、俺が気付かない間に入れられたものだろうな』

大神「しかし勘のいい、などと言われるお主が違和感に気付かない事はあり得るのか?」

大泉『色々あってね……心身共に喪失状態で寝たもんだからさっぱり気付かんかったよ』

大泉『で、厨房だ。違和感がしたからポケットまさぐったらカードキーだろ?意味もなく僕にこんなもの託すか?僕ぁ考えたよ』

大泉『そこで気付いた。ひょっとしてカメラが動いてないのは……これを仕掛けるためだったのではないかと』

葉隠「つまりどういう事だべ?」

大神「我らを出し抜き、モノクマをも出し抜き、戦刃を殺すつもりだったと?」

大泉『ま、そうなるね。カードがここにあるんだ、モノクマが気付いてんならその時点で勝敗が決した事をアナウンスすべき』

苗木「でもアナウンスはなく、戦刃さんも見つからず、モノクマも来なかった……」

霧切「江ノ島さんは、モノクマをも殺すつもりだった。監視能力のない、まして校則に従っていない黒幕を生かしておく理由はないもの」

大泉『カードキーは、このモノクマ操作室に入るための物だったよ。……こいつが本当に最後の勝負になる予定だったみたいだね』

石丸「で、では、アルターエゴは」

大泉『まあまあ、そこは追々説明するさ』

霧切「江ノ島さん。白状するわね?」

江ノ島「……」

十神「お前のやろうとしていた事は全て破綻した。もう言い逃れも、新しいゲームもない。どうする?」

江ノ島「……あ、」

十神「なに?」

江ノ島「この状況に飽きました。」

舞園「あ、飽きた?って、そんな……」

江ノ島「………はー、仕方ねーか……こうなったらネタばらしするしかねーし」

不二咲「え?な、なにぃ?ネタばらし?」








江ノ島「そう、黒幕は初めから2人いたのよ」


ーーーーーーーーーーーーーーー




回想・入学式より遙か前




ーーーーーーーーーーーーーーー


学園長「霧切仁です」名刺すっ

鈴井「これはどうもすいません……鈴井です」

学園長「まさか引き受けていただけるとは思っていませんでした……学園の宣伝ですし、てっきり断られるものかと」

鈴井「まさか!うちのタレントを使って頂けるだけでありがたいですよ。うちのはみんな仕事大好きですから」

学園長「は、はぁ……」

鈴井「それに実際、入学を考えてる学生さんとか、頑張ってる学生さんの応援もしたかったと言いますか……」

学園長「しかし、今回オファーするのはご多忙な大泉さんですし」

鈴井「ああ、それも安心してください」

学園長「………と、言いますと」

鈴井「いや、ほら、最近は物騒じゃあないですか?色々と。ここ数年に比べて、謎の暴徒が発生したり」

学園長「まあ確かに……」

鈴井「僕もロケを中止しなければならない事態が度々発生してます。アレがなんなのか、誰も分からないみたいですけどね」

鈴井「でももしアレがヒドくなったら……もしかすると移動出来なくなる可能性もある、大泉が怪我する可能性だってある」

鈴井「なので出来れば、大泉を共同生活させたいんです」

学園長「それは……体験入学と言う事ですか」

鈴井「一年間の体験入学。生活を学生と共にする……そのくらいやらせないと、大泉にはドキュメンタリーは撮れませんよ」

鈴井「って、すいません……そんな事可能ですか?」

学園長「勿論!と言うより、学生が喜びます!いいんですか、そんな事を?」

鈴井「スケジュールは切ろうと思えばいくらでも切れます。それにここは交通の便もいい」

鈴井「大泉にも言って聞かせますし、あいつも中身は学生みたいなもんですから」

学園長「ああ、ありがとうございます……」



ーーーーーーーーーーーーーーー




現在




ーーーーーーーーーーーーーーー


江ノ島「最初は本当に、本当に純粋に大泉……アンタの身を案じて、あの会長さんはここにアンタを入れた……」

大泉『え?そうなんですか?』

鈴井『当たり前でしょ……自分とこのタレント心配しない取締役なんていないでしょ……』ぐったり

山田「なんか死にかけてるーーー?!」

霧切「会長、貴方が食べているモノは……その、何ですか?」

大泉『ん?パイ』

セレス「パイ……ですか」

大泉『僕の得意の、タイのパイ包みだね。中身はちょっとアレだけど』

葉隠「んな不味そうなパイがあるわけねぇべ!」

舞園「確かに……焦げてますし……」

山田「にもかかわらず中身半生ってDo you court on?!」

大泉『るせぇなぁ!おみまいするぞ!』

葉隠「」

江ノ島「すべてが変わったのは、1年前。そうでしょ、ミスター?」

鈴井『………ああ、そうだね』

朝日奈「1年前?なんかあったっけ?」

ジェノ「もしかしてあれ、かしらァ」

十神「何だ、言ってみろ」

ジェノ「【人類至上最大最悪の絶望的事件】」

石丸「それは確か、アルターエゴが言っていたな。だが」

大泉『待てよ、今から1年前?そんな事件微塵も覚えて………』

江ノ島「そらそうよ」

鈴井『君達の記憶は消されたんだからさ』

大泉『………は?』

鈴井『ごめんね大泉君』





鈴井『君達の共同生活は、これで3年目なんだ』




大泉(一瞬、意味が分からなかった)

十神「なにを……言っている?」

山田「ええと……事件が起きたのは1年前なのですよね?」

大和田「なのにオレらは3年も一緒にいる?どう言う事だぁ?」

不二咲「じ、じゃあみんなは……ずっと一緒に勉強してきたクラスメイトにもうなってたの?」

霧切「3年目……つまり、もうすでに2年間共に勉強している……と言う事になるわ」

十神「バカな……そんなはずはない!こいつらとはほんの短いつきあいだ!」

朝日奈「そ、そうだよね?私達が一緒に過ごすのが、3年目?そんなはず……」

鈴井『ない、とは言い切れないよね?君達は覚えがあるはずだよ』

大泉『………あんた、ほんと何言ってんだ?』

鈴井『おかしいと思わなかったの?』

霧切「学園に入った途端、意識を失い……」

苗木「気付いたら教室で寝てた!あれの事!?」

鈴井『そう。あれは君達の記憶の接合点が、学園の門を潜ったところと……』

江ノ島「あたし達によって記憶消去の処置が終わり、全てを忘れ眠っているところだったから」

鈴井『君達は眠っているだけだと思っただろうけど』

石丸「その間に……目が覚める間に2年も経過していた……?」

舞園「おとぎ話やファンタジーじゃあるまいですし……まさか……」

鈴井『……それが、事実なんだ』

ーーーーーーーーーーーーーーー







回想・学園 校門前







ーーーーーーーーーーーーーーー

大泉「今日あれなんですよね、入学式なんですよね?」

(カメラが頷く)

大泉「だってねぇ、僕も事前にね?今年の入学生がどんな人なのかっつって資料もらってさぁ…」

大泉「俺入学すんじゃないのにちょっと緊張してたっつうの」

大泉「うちの娘もおっきくなったら、こんなとこに入学すんのかねぇ」

大泉「………」

大泉「あ、やべ、泣きそ」

「大泉さん、早く中に入ってください」

大泉「うるせぇなぁ!!人がコメント考えて喋ったっつうのに!!」

大泉「…とりあえず行きましょうか」すたすた

大泉「いやぁ、なまらすげぇ!もう門からしてデカ―――」






―――~~~~~~~~~~~~~~―――






大泉「―――い!」


すたすた

大泉「びっくりするねぇ……こんなん見た事ないもの。凱旋門くらいかい?こんなデカい門ったら」

「会場はこっちです」

大泉「はいはい、行きますよぉ……待ってなさいよ、学生諸君……」すたすた



がらららっ!




大泉「やあやあやあ、新入生諸君!」

大泉「いやあ突然で悪いねぇ、けど僕も混ぜちゃくれないかい?大事な発表があるんだよ」

大泉「僕は大泉洋!北海道の大スターって呼んでもらって構わないです!」

大泉「君ら風に言うなら【超高校級の料理人】とでも名乗っちゃおうかな?」

大泉「とにかーく!僕ぁなんか君らと共同生活する事になったらしいからよろしく!」


苗木「………え?お、大泉洋!?」

霧切「本物!?そんなバカな」

江ノ島(―――!?)

学園長「本物さ。これから君達と共に生活をしてもらう事になる」

葉隠「マジか……専務がよかったべ」

大泉「はぁい、これから僕のパチモンである上杉の方がいいって言った人は次々におみまいしていきまーす」

葉隠「」!?


※注
ウエスギはパチモンではありません。【第二の大泉洋】とは呼ばれていますが。
そんなウエスギのバラエティ【ブギウギ専務】はこの春、実に2年ぶりのレギュラー放送を再開しました。おめでとう。
ついでに言うと、ウエスギ銀幕デビューも果たしました。バナナマン日村勇紀主演の【新撰組オブザデッド】に出演。おめでとう。


戦刃「じ、盾子ちゃん………」

江ノ島(落ち着け……落ち着いて素数を数えろ……どうしてこうなった……)

大和田「………ケッ、タレントかよ」

大泉「タレントって呼ばない、マルチタレントね!マルチ!そこ大事!それ魅力!ってぇか俳優ね!舞台俳優!チームナックス!!」

十神「黙れ、ただの愚民が」

大泉「愚民じゃないでしょ、北海道の大スター!ご存じ!大泉洋でしょう?ほら、年上には敬意を払いなさいよ、ちゃんとねぇ?大泉さんと呼びなs」

朝日奈「大泉!」

大泉「」カチッ

ーーーーーーーーーーーーーーー





現在





ーーーーーーーーーーーーーーー





大泉『そんな、バカな……話が……』

鈴井『それがあるんだ、大泉君』

大泉『……』

鈴井『最初の一年間は、君達は普通に過ごした』






ーーーーーーーーーーーーーーー




回想・入学式後の夜




ーーーーーーーーーーーーーーー

大泉「何で僕が君らと同じここに泊まらなきゃなんねぇんだい?おい」

苗木「まあまあ……」

舞園「事務所公認なら仕方がありませんよ、大泉さん」

大泉「かもしれないけどねぇ?」

舞園「私も一緒ですから、ね?」

大泉「……はぁー……」

石丸「溜息を吐くと幸運が逃げると言うのは本当だろうか?」

十神「迷信だ、とも言い切れんな。溜息を吐く人間のイメージはあまりよくない。陰気な印象を与えるからな」

腐川「そ、そうなの……?」

十神「……」

桑田「っつかさ、そんならみんなでわーっと笑えるような事しねー?枕投げとか!」

朝日奈「あ、いいね枕投げ!」

石丸「良い子はもう寝る時間だぞ!」

十神「くだらん、俺は帰るぞ」

葉隠「むっ!?十神っちは明日の早朝、悪夢で目覚めると出たべ!」

大神「なんだそれは……」

大泉「おいそこのもじゃもじゃ!俺とキャラ被ってんだよ!パーマキャラ被ってんじゃねえっつーの!!」

葉隠「うっせぇな!コレは地毛なんだよ!」

大泉「地毛でそんなんなるわけねーべや!」

石丸「むっ?大泉さんの髪型も随分ですが」

霧切「彼のは天然パーマにパーマをかけているそうよ……」

苗木「いつの間に調べたの!?」

江ノ島「あ、アタシはちょっと具合悪いから寝るわ……」よろよろ

戦刃「盾子ちゃん?」

江ノ島(なぜだ……どうして?どうして私様が知らなかった?分からなかった?なぜ?)

桑田「えー?江ノ島ちゃん来ねーの?んだよ……」

舞園「調子が悪いみたいですし、初日から無理したら大変ですよ」

葉隠「ま、そうだけどよ。若い子とわいわい出来るタイミングってのもなかなかねーから新鮮だべ!」

大泉「おめぇも充分若いからな」

セレス「くだらないですわね」

桑田「んな事言わずにいいから枕投げだ!枕投げ!」

朝日奈「うんうん、ほらセレスちゃんもやろうよ!」

セレス「私はそんな下品な遊びはしませんの!」

朝日奈「そう言わずさ!ね!」

石丸「僕は就寝する、君達もバカな真似は止めて寝るんだ!」

十神「俺も部屋に戻るぞ」

桑田「けっ、なんだよ十神の潔癖症!金髪!あと……黒!」

戦刃「色って悪口なの?」

苗木「それは違うよ!?」

ーーーーーーーーーーーーーーー




現在




ーーーーーーーーーーーーーーー


江ノ島「そう、学生生活の最初の1年。それは……すっごく平和でとても楽しくてムカつくほど希望に溢れた生活でした」

江ノ島「ですが、その後に起きてしまうのです」

石丸「そ、それが先程からあがっている」

鈴井『【人類史上最大最悪の絶望的事件】、なんだよ』

大泉『………!?』

江ノ島「そゆこと」

苗木「……それは……一体どんな」

江ノ島「どんな事件か?まあそうねー、テロにテロがテロって繰り返すこのテロリズムって感じよ」

鈴井『簡単に言えば全世界で同時に崩壊が一気に加速したんだ。今までよりも、目立って、わかりやすく……』

戦刃「それまで表面上に出ていなかった絶望が、今までみんな見て見ぬ振りしてた恐怖が全面に現れたの」

江ノ島「もちろん希望ヶ峰学園も半壊、生徒もほぼ死亡……そしてアンタらはその事件の戦火を逃れるために、学園長が主体になりある計画を実行した」

不二咲「まさか、アルちゃんが言ってた事?」

山田「ああ、確か半永久的に、学園で……生活…………え?」

ジェノ「……アタシはその時表立って出てないからよく知らないわよ。でも、それならなるほどねェ」

桑田「えーと、待て待て?んじゃこうなるわけか?オレらはそのナントカ事件に巻き込まれないために」

大泉『俺達自らで……自分達で学園をシェルター化した?!』

苗木「え……?」

大神「なるほど……それなら、内側から鉄板が付けられている事も納得が出来る」

舞園「じゃあ、閉じ込められたんじゃなくて!」

十神「閉じこもっていた……のか!」

鈴井『記憶を奪われた君達は、それを作り上げた事を忘れていた』

江ノ島「だからこそ誰かに捕まった、閉じこめられたと思っちゃったんですよねぇ……」

江ノ島「つまりこうです」



みんなで仲良く入学

ーーーーーーーーーーーーーーー
幸せで平和な学園生活の1年

1年後、人類史上(ry が勃発

学園長「こーれはあかん」
希望ヶ峰旧校舎を改造してシェルター化
高校生(とついでに大泉)を保護する計画実行
本人同意あり

シェルターと化した学園生活の1年

同じクラスメイトのと生活、3年目突入
私様達、期を見て作戦実行
全員の記憶を喪失させる
ーーーーーーーーーーーーーーー

コロシアイ学園生活開幕(3年目の学園生活)



葉隠「なーるほど!つまり俺達全員、仲良く揃って【2年分の記憶喪失】ねー!そんなら納得………」



葉隠「 す る わ け ね ー だ ろ ! ! 」



鈴井『まあ、そうだろうと思うよ』

霧切「でも、それなら色んな事に説明が付くのよ」

大和田「ちっと待てや霧切、色んな事っつーのは何だ?」

霧切「そうね、色々上げて見たらいいんじゃないかしら?」

十神「5階の異質な部屋」

苗木「ボクが見た謎の写真……」

朝日奈「こ、黒板に書いてあったイラスト?」

石丸「扉をばーん……」

朝日奈「いやそれは関係ないと思うけど……」

苗木(朝日奈さんのはどうなんだろ)

大神「だが、2年も経てば体も変わる。我等が誰一人とて、肉体の変化に気が付かない訳が……」

鈴井『そこね、不思議に思ったでしょ?』

江ノ島「アンタ達の記憶は、うっすらと―――少しだけ、自分でも認識出来ないレベルで残ってたの」

桑田「ちょっと何言ってんのかわかんねんだけど……」

江ノ島「つまり!自分の体の変化が分からないようにしてあったって事!」

鈴井『あたかも最初から、自分の肉体がこうであったかのように思いこませてきたって事だよ』

葉隠「で、でもよ!んな事、実際に可能なんか?俺はオカルトは信じねーぞ!」

鈴井『信じないなら信じないで結構。だけど証拠ならある―――寄宿舎の2階にね』

苗木「寄宿舎の……2階?」

大泉『鍵かかってたとこじゃねぇか』

鈴井『そこに痕跡が残っているはずだよ、壊れてなければね』

霧切「………私達が、共に過ごしてきた時間の証拠、と言う事?」

鈴井『そうなるね。みんなでいろいろやったんだよ』

鈴井『たまに大泉の友達も来てくれてね、楽しかったなぁ』

大泉『あのおっさん達の事言ってる?それ友達って言ってる?いや友達だけどさ』

鈴井『……もっとも、この2年で君達の身長体重はさほど変わりないけどさ』

苗木「!!」がーんっ

大泉『苗木少年の未来潰すなよミスター!!』

戦刃「………だ、大丈夫だよ、苗木君はそのままが一番」

江ノ島「黙れや残姉」ぺちーん

不二咲「そ、そうなんだぁ……」しゅん

江ノ島「体重管理については、主に石丸……アンタとこの残姉がやってたからね。学生たるもの、運動不足はいけないぞ!とか言いながら、ギャハハ!」

石丸「なんだと!?では僕は、気付かないうちにこの事象の手伝いをしていたのか!」

江ノ島「ま、結果的にはそうなったわね」

鈴井『そこにいるのは、紛れもない【超高校級の絶望】だ。この【事件】を起こして、犯罪を犯して、世界中を破滅させようとしているのが彼女だ』

山田「いやいやいや……またまた、スケールが大きすぎやしませんか?」

石丸「……ふむ、確かにな。一個人どうこうでなんとか出来るレベルじゃないだろう?」

江ノ島「そうね、そう聞くと無理っぽく思うだろうけど、やることは簡単だった」

霧切「……火のあるところに燃料を撒く……」

苗木「え?」

大和田「つまり、ドンチキやってる奴らを焚きつけたって事か?」

江ノ島「そゆこと。そして【超高校級の絶望】は完成した、いや、完成しかけていた……」

江ノ島「人を越えた、事象として絶望が世界を覆っていたはずだったの、そのはずなの!」

戦刃「そして世界は滅亡に動き出したんだよ……」

セレス「ダウト―――そんなはずはありませんわね。世界が崩壊しているのならば、なおさら私達を閉じこめる必要がありません」

江ノ島「バカかテメェはよ!世界が滅んだって生きてるやつはいるんだ!」

山田「……はい?」

霧切「監視カメラ……それってもしかして……」

鈴井『そうだよ。君が気付いた通り』

十神「どう言う事だ?」

霧切「……本当にこれで、私達を撮っていて……誰かに見せているとしたら……」

セレス「まぁ……その人達に私達の生活を見せていると?」

江ノ島「今更どうだっていいでしょ、アンタらには」

鈴井『あ、今だから言うけど、この学園生活は全世界に生中継で配信しているから』

江ノ島「あっ、ネタばらしすんな!」

大泉『あ?』

桑田「……アポ?」

舞園「全世界に……生中継……?」

苗木「は……?」

霧切「DVD化よりタチが悪いわね……」

朝日奈「それまだ引きずってたんだね」

十神「そんなバカな、そんな……電波ジャックだと?簡単に」

鈴井『出来たんだよ。ま、それは僕が手助けしたんだけどさ』

葉隠「………今も誰かに見られてる、って事かいな?」

霧切「そうね、この地下でも数個、それに大泉さん達のカメラが生きている」

ジェノ「いえーい!見てるー?」

大和田「何見てんだゴルァ!」

石丸「止めんか兄弟!目のところに線を入れられるぞ!」

江ノ島「これ生放送だからそう言うのしないから」ムリムリ

鈴井『彼女は、そうする事で君達を、世界を、何もかもを絶望させるつもりだったんだ』

鈴井『ただひとつ、彼女の―――江ノ島盾子の想定した未来に間違いがあったとするなら』

鈴井『それは間違いなく、大泉君。君がいた事だ』

大泉『……は?』

江ノ島「何回も、このコロシアイ学園生活をシュミレーションした」

大泉『………』

江ノ島「何回も……何万回ってレベルのシュミレーションもした」

江ノ島「そのたびに筋書きは違った、死ぬ人間も違った。全員死んだ事もあるし、何人か残った事もある」

江ノ島「私は……なによりもアンタ達を絶望させて、自分も絶望したかったの……」

江ノ島「自らを完全に絶望に浸すため、世界中を絶望させるため……自分のクラスメイトは残しておいた」

苗木「……え………ちょっと待って、よ」

江ノ島「待たないし待てないわね。それが現実なんだから」

江ノ島「アンタらはこの世界が絶望した事だけ知ってればいいの」

江ノ島「でも世界の中には、希望を諦められない人がいた」

江ノ島「当然、世界がそう簡単にある日突然滅亡したわけでもない。じわじわと、そして時にぼうぼうと……世界は壊れていったわけ」

鈴井『そして……わずかに残った希望を全て潰すための作戦。それがこの学園生活だったんだよ』

霧切「学園に残ったはずの、人類の希望と呼ばれる学生達が」

舞園「監禁されたと思いこんで、自分達で殺し合いを……?」

石丸「そんなふざけた道理があってたまるか!」

鈴井『けれど実際、君達は踊らされた、踊らされてしまった』

江ノ島「何回も何回もシュミレーションした!」

江ノ島「必ず誰かが殺人を犯して、必ず誰かが裁かれて、お互いが憎しみあって恨みあってさぐり合っていたのッ!」

江ノ島「虫一匹殺せない不二咲でさえ!アタシの脳内では!最低1回、全員殺害してる!」

江ノ島「舞園も大神も朝日奈も霧切も!石丸も十神も葉隠も苗木も!桑田も大和田も山田も、セレスも腐川も……どいつもこいつも!一皮剥けばただの人!」

江ノ島「薄汚いッ!奇麗事ばっかり言って結局自分が可愛いだけのクソ野郎共ッ!」

江ノ島「だからッ!だからこそッ!アンタ達ならコロシアイをしてくれると!アタシは知ってたのッ!」

江ノ島「……それなのに、アンタがいた。いてしまった。」

ーーーーーーーーーーーーーーー





回想・入学約1年後





ーーーーーーーーーーーーーーー


「鈴井さんが行方不明ッ!?」


◆クリエイティブ オフィスキュー事務所内


森崎「あんまおっきい声出すんでない、安田」

安田「だ、だけど!」

音尾「顕ちゃんが狼狽えてるとこって珍しいね」

安田「………ッ」

森崎「なんも、わかんねぇんだ。まだな」

北川「そもそも、私達は何が起きてるのかも把握出来てませんし……」

スタッフ「朝から連絡が付かないと社長(鈴井嫁)から聞いたのが数日前です」

安田「そこから……消息不明?」

北川「と言う事になりますね」

戸次「誘拐か……失踪か……」

大下「それで僕ら全員集合した、と?」


※Tips…【大下宗吾】
おおした・しゅうご。オフィスキューのお笑い芸人の1人。黒髪にメガネの、とても控えめな印象の好青年。
元はピンで活動しており、北海道では深夜の映画番組を長らく勤めている。
オクラホマとの合同ライブや、小橋亜紀とのユニット【大小】としての活動も多い。
ちなみに、【エンタの神様】に一度だけ出た事がある。


安田「………なるほどね」

音尾「確かに電話もつながんないし、メールも全然帰って来ないんだわ」

スタッフ「僕達も分かる範囲では探してるんですが、社長も……マネージャーすら連絡が取れなくて……」

安田「なんで黙ってた」

スタッフ「………思い違いであって欲しかったからですよ。でも」

戸次「もう黙ってられなくなった、と。そりゃそうだわな、この数日、誰も姿見てねーわ連絡取れねーわだもんな!」

北川「……誰でもいい、誰か会長の事を知ってる人は……」

戸次「知ってりゃ言ってるだろ……」

森崎「じゃあ……いないんだな」

安田「なんで……」

音尾「………安田さん?」

安田「なんでみんな、そんなに冷静でいられんだよ……これが、どうして」

戸次「仕方ねーだろ、状況が状況ですよ?」

安田「お前ッ……!」

戸次「んなら俺らがわーわー言やぁ会長帰ってくんのかよ!ただでさえ大泉は向こう(希望ヶ峰)だぞ!?俺らだけで何とかしねーとなんねーんだ!」

安田「だからって!警察でも何でも言えるだろ!なんでここでみんなで固まってんだって言ってんだよ!」

戸次「警察も今それどころでねぇべや!」

安田「それどころって!!」

森崎「うるさーーーーーい!!」机ばんっ!!

安田「!」

音尾「……洋ちゃんは安全が確保されてるからさておいても……さ。全員、道内にいる時でよかったよ」

北川「って言っても飛行機がもう飛べないですけどね……」

安田「……あ……」

大下「ニュース、みました?安田さん」

安田「そうか……千歳空港」

森崎「占拠されたんだってな、絶望とか名乗ってる奴らに」

音尾「……はぁー……なんなんだろうね、あの人達」くしゃくしゃ

大下「僕達は手出し出来ないし、大泉さんの無事を祈るしかないですよね」

森崎「まあ、……大丈夫だろ、あいつは。希望ヶ峰はセキュリティすげぇって話だしな」

戸次「それに殺しても死ななそうだしな」

森崎「やーめーれー、シゲ!縁起でもねぇ!」

戸次「な事でも言ってないともう持たねって」

安田「……俺」

がたんっ

森崎「どこ行くのよ、安田」

安田「探してくる……!」

戸次「馬鹿、勝手にどっか行ったら……」

安田「絶望だかなんだかしんないけど、市内も危ないんでしょ」

音尾「かもしんないけど、顕ちゃんも!」

安田「でもこのままだったら……会長だって危ないでしょ」


ばたんっ

ーーーーーーーーーーーーーーー




回想・約1年後のその頃




ーーーーーーーーーーーーーーー


藤尾「もしもしー、あ、ごめんな突然」

『あ、おはざいます……どうしたんすか?突然』

藤尾「今大丈夫?」

『これから番組の収録が……でも今日中止かもしんないっす』

藤尾「やっぱそっか……」

『道内の主要な交通機関はマヒしてますし……それで、どうしたんすか?』

藤尾「いやな、うちの会長知らへん?」

『はい?』

藤尾「いや、原田君やったら知ってるかなと思ってさ。なんか交友関係広そうやし」

『……よく別事務所の後輩に軽率に電話出来ますよね、藤尾さん』

藤尾「それ誉めてるやろ」

『誉めて……るようなないような……って言うか会長さん、なんかあったんすか?』

藤尾「まぁー……うん、どこにもいてないから」

『はっ!?』

河野「ふーじーおー!言うていい事とあかん事あるやろ!」

藤尾「んあ?あ、うん、ごめん」

『どういうこと、ですか』

藤尾「………いなくなったんや。それで探してる」

河野「藤尾!」

『そうだったんすか……』

藤尾「うん。ごめんな、原田君」

『いや、全然。とりあえずオレ、周りの芸人とか友達当たってみます。誰も知らないかもしんないですけど……』

藤尾「おん、頼むでー」



河野「……確かにスタッフ誰も知らんけど、だからってほかの事務所かけんなよ!」

藤尾「もうしゃあないやろ?河野君、このままじゃ見つからんって」


※Tips…【他事務所の芸人】
北海道で芸人の事務所、と言われると真っ先に挙がるのが【札幌吉本】である。正式名称は【よしもとクリエイティブ・エージェンシー 北海道事務所】。
かつて【タカアンドトシ】【アップダウン】、マイナーどころでいけば【ジェリービーンズ・コレクション】などを排出した。
が、タカトシがかつて語った通り、北海道のお笑い文化はオフィスキューによって作られた歴史が濃く、札幌吉本はあまり語られない。
現存メンバーだと【タカトシ牧場】で牛の世話をした、初代牧場芸人こと【しろっぷ】がやや有名か。
なお、上記に名前が出た【原田】とは、漫才師の【市原】の原田。この春をもって東京へと進出した(藤尾と電話出来る仲かどうかは知らん)。
コンビの解散と結成が非常に激しい事務所であり、テレビのレギュラーがあるコンビ・トリオすら簡単に解散する。
具体的に行けば、男2女1の近年では珍しい編成であった【サンモジ】は、元々別のコンビとピン芸人の合体した姿。
その後レギュラーなども持っていたが、夏に女性メンバーのあゆみが脱退。コンビで活動後、3月末でツッコミのたいちも芸人を引退した。
札幌吉本に残るのは、元【加我正源】【サンモジ】で、現在ピン活動中の【加我卓也】である。
ちなみに勿論当然だが、札幌吉本以外にも事務所は存在し、お笑い芸人も数多くいる。無所属と言う人も。


藤尾「使えるもんは全部使わんと……」

河野「せやけど他の事務所巻き込むんは」

藤尾「事務所がどうとか関係ないやろ!」

河野「ッ!?」

藤尾「人が!ひとり!いなくなってんねんぞ!」

河野「………藤尾」

藤尾「あ、えっと……ごめ」

河野「そうやな」

藤尾「………」

河野「………ちょっと出てくるわ」

すたすた……



藤尾「………何やねん、絶望どうのこうのって……訳わからんわ……」くしゃっ

ーーーーーーーーーーーーーーー




現在




ーーーーーーーーーーーーーーー


江ノ島「アンタがいたからアタシの計画は狂った、狂ってしまった」

江ノ島「それでも世界は順調に狂っていて、少しずつおかしくなっていた」

江ノ島「アタシの最終計画を遂行するために、答えを導き出した」

鈴井『それが―――大泉君、君を効率的に殺す方法だった』

葉隠「じゃ、邪魔だったから消そうとしてたってか?」

戦刃「そう……絶望の為の糧になってもらいたかった」

江ノ島「でもただ殺したって面白くない。だからこのまま計画を実行する事にしたわけよ」

苗木「……希望ヶ峰学園での、コロシアイ学園生活……」

朝日奈「そんな事のために、私達と2年一緒にいて……その記憶を奪って……」

ジェノ「異常、アブノーマル、まさに最悪で災厄よねぇ」

鈴井『けどこのままじゃ大泉君を絶望させて殺す事は出来ない』

江ノ島「そのためには協力者が必要」

鈴井『だからこそ僕はここに呼ばれたんだよ』

大泉『じゃあ、まさか……』

江ノ島「1年前のその時の時点で」

鈴井『僕はすでに絶望していた』

霧切「……!」

葉隠「はぁっ!?ちょ、意味がわかんねーぞ!」

鈴井『分からない分からないばかりだねぇ君は……あー、もう大泉の飯マズい』

大泉『おっさんもう食うの止めれ』

江ノ島「説明しなくていいとこは全部省くから、あと脳内補完よろしくー」

十神「それで納得すると思っているのか?」

江ノ島「思ってるわよ」

舞園「そんなわけ……ないじゃないですか」

江ノ島「……うっせーな!オメーらは黙ってろモブ!」

ーーーーーーーーーーーーーーー






回想・その時





ーーーーーーーーーーーーーーー



「か、会長見つk……なんだよ!」

「あんまでけぇ声出すなって……いいか?周りには気づかれんなよ」

「な、なにそれ………なんかあったの」

「メールが来たんだよ」

「メール?」

「どうやって送ったかしんねぇけどな、オレのケータイに……たぶん会長のケータイから情報抜き取ったんだろうけど……ほら」

ぴっ


【鈴井貴之はこのビルの中にいる(地図が添付されている)】

【事を荒立てたくなければ、お前達NACS4人だけで来い】

【お前達以外の人物がビル内に入ったら鈴井は殺す】

【警察に通報してもまた殺す】

【このメール送信から48時間以内に来なくても殺す】


「これっ、て……!」

「完っ全に脅迫状だな」

「………なあ、なんで俺らが4人だけって知ってんだ」

「そんなのオレが知るかよ。あー、あれじゃね?希望ヶ峰の入学式ってニュースになるから」

「空港が使えないんでここにいねーって分かってたとでも?」

「としか考えらんねぇよ」

「………」

「で、どうする?行くか?」

「………」

「………はぁー………」

「他のふたりは」

「もう知ってる」

「なんて答えたか、分かってるよ」






扉「ばんっっっっ!!」





安田「鈴井さんッ!」




ーーーーーーーーーーーーーーー




現在




ーーーーーーーーーーーーーーー


大泉『………ん?1年後のその時点……つまり、【絶望的事件の起きた時点で鈴井さんは絶望していた】?』

大泉(つー事はもしかして……)

大泉『お、おい、おおい、待てよ……んじゃあよぉ……』

江ノ島「あ、気づいた?気づいてしまった?」

鈴井『君が思った通りさ』

霧切「……鈴井さん、なぜ」

鈴井『僕も呑まれたんだ。絶望という現象そのものにね』

江ノ島「幸い接触は簡単だったし、状況調べんのにこの人、ちょくちょく希望ヶ峰に来てたからねー」

戦刃「………だから、脅した。そして、壊した」

鈴井『それが君達の過ごした、平和な1年で起きていた出来事』

鈴井『僕が自ら作り上げた希望を壊すために転じた出来事』

江ノ島「語るに及ばないバックグラウンドよ」

苗木「………!」




ーーーーーーーーーーーーーーー





さかのぼって、その時





ーーーーーーーーーーーーーーー




こつ……こつ……


安田「鈴井、さん」


鈴井「」

音尾「誰がやったんだろうね、こんな事」

森崎「いすに縛られるって罰ゲームでしか見た事ねぇぞ俺」

音尾「罰ゲームだったらいいんだけどさ」

こつ、こつ……

戸次「つうか、おい……目ぇ開けてくれよ鈴井さん……」

鈴井「」

音尾「………いやいやそんな、まさか」

安田「そうだよ……俺達はちゃんと約束守ったぞ……会長が死ぬわけ……」

こつ……

安田「………そうですよね………」

鈴井「」

安田「………鈴井さんッッ!!」がっ

森崎「安田、あんま興奮すんでない!」

音尾「……」

鈴井「」

安田「なぁ!寝てる振りなんだろ鈴井さんっ!目ぇ開けてくださいよ……!」

安田「俺……まだ貴方に返せてない……」

安田「恩とか!感謝とか!まだまだいっぱいあんのに!!寝てるふりとか止めてくれよ……!」

鈴井「うんわかった」

安田「よかっ………は?」

鈴井「寝てるふりなんてよく分かったねー」

安田「………え」


とす


安田「!?」

音尾「……おっと?」

戸次「なん、だ?」

安田「………か、はっ………?」

森崎「え?え?ちょっ、安田……」

安田「あれ、からだが、うごか……」

どさ

音尾「………顕ちゃん!?」

戸次「なんかおかしいって……なに、これ、どうなってん」

縄するするする

安田「………ぁ………」

すたんぬ



鈴井「あ、ごっめーん☆安田君にはちょっと強めの麻酔打っちゃったー☆」



安田「………!?」

森崎「あ?な、なによこれ、なんの悪い冗談……」

鈴井「ごめんね、ほんとにごめん、めんごめんご」

鈴井「でもさぁ、見たいじゃない?僕が捕らわれたーって事を聞いて必死に探しにくる愛弟子の姿?」

音尾「……え?な、え?」

鈴井「見たくない?みたいよね?」

鈴井「自分が手塩にかけて育てた愛弟子が、自分の危険を省みずにこうして僕を助けてくれた愛弟子が」

鈴井「泣きそうになりながら起きてくれって、僕に死なないでくれって嘆願する愛弟子がさぁ………」

鈴井「この僕に!裏切られて!地面を這い蹲るところ!!」

森崎「……何、言ってんだ……この人……」

戸次「あんた誰だ」

鈴井「………え?」

戸次「あんたは……違う、オレらの知ってる鈴井貴之じゃ、ない」

鈴井「んー?」



鈴井「 オ レ ら の 知 っ て る ? 」ぎろっ



戸次「………!?」ゾクッ

鈴井「なーにちょっとでも僕の事理解した気になってんのかなぁ、君達は」

音尾「どう言う事、ですか」

鈴井「君らが知ってるだけが僕じゃない、君らが見た事ある場所だけが世界じゃない……」

鈴井「とんだ思い違いもいい加減にしてくれよ、迷惑だからさ」

戸次「ッ……!!」ぎりっ

森崎「なんっか、わかんねぇけど……会長、帰りましょう?みんな心配してますし……」

鈴井「……どうしよっかなー?」

安田「………、………ッ」ずる……

音尾「っちゅうか、なんか顕ちゃんがヤバいしょ!もう会長ッ!」

戸次「あー……音尾運んでくんね?」

音尾「またそうやって人に任せてぇ……!」つかつか

安田「………」

森崎「……っ!?走れ音尾!」

音尾「え?」

とすっ

戸次「おい、おいおい、おいぃ………」

音尾「あ、れ……な、だれ……」ずるずる……

こつこつこつ………

音尾「う………そぉ………」べちゃ

ざっ


名も無き青年達「「「………」」」

戸次「………クマの被り物?」

ざっざっざっざっ!!

森崎「ちょ、おおおお!?」がしっ

戸次「んだオラァ!誰だオメーらッ!?はーなーせー!」


どすどすっ 
どさぁっ……


鈴井「んなっはっはっはっはっは……はぁー」

鈴井「いやー、ほんとめんごめんご。」

鈴井「テラ茶番なわけ、これって。」


戸次「………っ、が……!?」

森崎「な……かい、ちょ……」

安田「ど、いう……」

音尾「こと……で……」


安田(ダメだ、体がもう……意識が……)






鈴井「捕まったなんて嘘に決まってるじゃん(笑)」







安田「―――そん、な……」


がくん……

鈴井「どう?した?しちゃった?絶望しちゃった??」

鈴井「誰よりも何よりも信じていたはずの事務所の会長に騙されて裏切られて絶望しちゃった?」

鈴井「ねぇ、どんな気持ち?今どんな気持ち?うぷぷぷぷ……」

鈴井「バカ面晒しながら今にも殺されてもおかしくないのに体が動かないってどんな気持ち?」

鈴井「悔しい?ねぇ悔しい?w」

鈴井「ほんと爽快だよ、痛快だよ」

鈴井「あはははは、今まで大切だったものを壊すなんてこんな気分だったんだねぇ……」

鈴井「あ、もう死にたいとか思った?ダメだよぉみんな」

鈴井「僕はまだまだ足りないんだ、君達ももっともっともっと絶望したいよね?」

鈴井「大丈夫だよ、そのための手はずは全部整ってるんだ」

鈴井「君達にも見せてあげるよ」

鈴井「僕がもっともっともーっと」

鈴井「絶望させてあげるからね」

ーーーーーーーーーーーーーーー




そして現在




ーーーーーーーーーーーーーーー


大泉『……!!』

鈴井『君を焚き付ける口実が必要だった。君が道を違える口実が』

鈴井『と言うわけで、僕のひと芝居であの四人は簡単に捕まえられたわけ』

江ノ島「それでもアンタは道を間違えなかった」

鈴井『だからこうして、他の生徒を焚き付ける方向に戻したんだ』

山田「にわかには信じがたいですな……」

霧切「騙しやどっきりは……彼らの十八番よ」

大和田「けどそりゃあんまりだろうが……!」

大泉『おいオッサン』

苗木(……今までに聞いた中で一番低い声だ)

ぐいっ

大泉『あいつらは今どこだ』

鈴井『どこだろうね』

大泉『言えよ!!』

鈴井『……死んではないよ』

大泉『アンタもう絶望してないんだろ!いいから言えよ!』

霧切「………待って、もう絶望してないってどう言う事なの!?」

大泉『今それどころじゃあないんだよ、待ってくれ!』

苗木「気持ちは分かりますけど!」

鈴井『そう、気持ちは分かるけどね』

大泉『………あ?なんだ、なんだよ………』

鈴井『確かにもう、僕は絶望はしていない』

不二咲「それって……」

鈴井『アルターエゴをあのパソコンから避難させておいたのは僕だ』

山田「な?!ではあのアルたんの亡骸には」

十神「既にアルターエゴはいなかった……」

鈴井『さっきの局面、僕ではもうコントロールが取り戻せなかった。だからアルターエゴに、江ノ島さんからコントロールを奪ってもらった』

江ノ島「最悪です……私に裏切られた的な事言っておきながら、しっかり私の邪魔をしてくるなんて最悪です……」

苗木「なんでそんな……」

鈴井『………君達を見ているうちに、思い出しちゃったんだよ』

鈴井『あ、そっか、僕はこれを期待してたんだって』

鈴井『世界が滅んでも、君達が生きていれば』

鈴井『この世界に希望があれば―――きっと、必ず人々はやり直せるって』

苗木「………鈴井さん」

大泉『だからって、だからって今まで黒幕のふりして殺し合い起きないようにコントロールしてたってのかい!』

江ノ島「本来だったら、誰も動かねー場合は大神さくらが動く予定だったからな!」

大神「我に釘を刺したのはモノクマだ。まだ動くなとな」

鈴井『スタンスを崩していないように見せながら、江ノ島さんにバレないようにしながら、それでもなんとかなるかと思ってた』

鈴井『今回も、こんな事にさえならなければ……』

大泉『な事もういいべや、誰も死んでねぇ!貴方もまだこっちに戻ってこれる!だから!』

鈴井『もうダメなんだよ、大泉君。』

大泉『あ?何が!?』

江ノ島「そう、その人はもう戻れないの。アンタ達と同じ場所には」

大泉『………は?』






鈴井『本当に、ごめんね』





大泉『……あ……』


大泉(胸騒ぎがする)


大泉(それは言うな、と叫びたい)



鈴井『もう戻れないんだよ』



大泉(ダメだ、それ以上喋るな)



鈴井『だって僕は』



大泉(言うな)



鈴井『一年前のあの時点で』



大泉(お願いだから)



鈴井『犯してしまったんだ』



大泉(………鈴井さん)


鈴井『大きな罪を―――』












鈴井『僕はあの時、学園長を』




鈴井『霧切仁を、殺した。』






大泉(―――俺の世界の、時が止まった。)





ここまで。
説明回です。

次回、ほんとに最終回。

ダベミよぉ…ぼかぁねぇ、次はダンロン2と大泉洋のSSが読みたいぞぉ

この本文を十神白夜に捧げる。

大泉(……)

大泉(……あ?)

大泉(何も………聞こえない、感じない)

大泉(今、なんて言った?)

大泉(すずいさんがひとをころした?)

大泉(意味が、分からない。)

大泉(分からない。分からない。分からない。)

大泉(………改めて理解しようと、言葉にしてみる)


大泉『………鈴井貴之が、霧切仁を、殺した』


大泉(分からない。分からない。意味が、理解出来ない)




大泉『鈴井さんが、人を、殺した』




大泉(理解したくない、出来るならそれは誰も信じて欲しく、ない)

大泉(俺自身否定したい。鈴井さんにも、否定されたい)

大泉(嘘だって、たちの悪い冗談だって)

大泉(縋るように鈴井さんを見る)


鈴井『そうだよ、大泉君。それが事実なんだ』

鈴井『絶望に身を落とした僕は、正常な判断を持ち得なかった』

鈴井『全てを壊して快楽を得ようとしていた』

鈴井『その足がかりが、君達を束ねる学園長の殺害。』

鈴井『そうして完全に無防備になった君達を、僕達は無力化した』


大泉『うそだ、って……演技だって……言ってくださいよ……』


鈴井『僕はね、大泉君。』

鈴井『君の死に様すら、面白おかしく見ようとしていたんだ』

大泉『―――!』

鈴井『僕が作り上げた希望が、絶望的に死ぬところをみようとしていたんだ』

鈴井『だから僕が許されちゃいけない、』


鈴井『……君達と共には、歩めない』


大泉(絶望が、足下に―――)


がしゃんっ!


大泉『………』


(地下室の大写しのモニターの一つが暗転した)


大泉『………』


(持っていたカメラを落とした事に、大泉洋は気付かない)

(モノクマ操作室に設置された他のカメラが、彼の有様を非情にも映し出している)


大泉『………』



(大泉は微動だにしない)

霧切「ちょっと、待って……」

桑田「つ、つかさ、今名前!」

霧切「学園長、学園長……【学園長の名前が霧切仁】……?」

セレス「どう言う事ですの、霧切さん!」

霧切「なぜ、その名が……!?」

江ノ島「まだ分かんねーのか、霧切響子?」

鈴井『この学園の、希望ヶ峰学園の学園長は、霧切仁……君のお父さんなんだ』

霧切「………!!?」

江ノ島「そしてアンタの父親は、あの鈴井貴之に殺されたの」

霧切「………」

苗木「ちょっと待ってよ!何でそう言い切れ……」

江ノ島「鈴井さんがボタンを押したんだよぉ?そう!宇宙旅行への、二度と生きては戻れない旅のボタンをね!」

霧切「………」

不二咲「……き、霧切さん……」

霧切「………」

苗木「それでも………」

江ノ島「あ?」

苗木「それでも僕は……認めない……!」

苗木「絶望がなんだ、こんなのがなんだ!」

苗木「希望は前に進むんだ……お前なんかに屈さないぞ……!」


江ノ島「………ウザイ」


戦刃「盾子ちゃん……」

江ノ島「あーーーーーウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザい!!」

江ノ島「ついでだから苗木ィ!アンタも含めて全員黙らせる!」

翔「何?やる気スイッチ押しちゃう感じ?」

江ノ島「うるせぇよ」胡椒ふりふりー

翔「あっテメッずり……っくしゅんっ!」

十神「何をするつもりだ?もう足掻いてもお前の負けは決まっている」

舞園「……そ、そうですよ、私達は殺し合いなんてしません」

江ノ島「あー、もうそれいいや。」

朝日奈「へ?それ、って?」

江ノ島「計画失敗で充分アタシは絶望したしさ、後はアンタらが穏やかに絶望すればいいや。」

石丸「僕達は何があろうと決して屈しないぞ!」

大神「……ふ、そうだな。例えお主がまた人質を取っても……我らは引かぬ!」

江ノ島「つべこべつべこべうるさいゾ☆」

山田「そら(絶望がどうこう言われたら)そう(反論したくなる)よ」

江ノ島「いいからいいからー、盾子を信じてー」

葉隠「それ信じられんやつだろ!?っつーか、いい加減何する気なんだべ!?」

江ノ島「現実を教えてあげるだけだよ……鈴井さん」

鈴井『……』



江ノ島「ほら、見てごらん」


(江ノ島の指示で、モニターがひとつを除き全て切り替わる)


桑田「は?何見ろって……」

腐川「ん、んん……今なんの話……」

苗木「……!?」


(映ったのは―――)





(大凡、自分達の記憶からかけ離れた、世界だ。)




苗木「……!?」

十神「………は?」

大和田「なん、っだこりゃあ……」

霧切「………」

朝日奈「うそ、だよね?」

江ノ島「まさか」




(瓦礫、瓦礫、瓦礫。)

(爆発、何かを壊す人々、爆弾、銃声)

(叫び声、怨みの言葉、人の形をした、ナニカ)

(血、肉、骨、眼球、壊れた町並み、幸せそうな家族写真、死。)

(見た事があるような建物が複数爆発している)

(どこかでは大きなキノコ雲が、膨れ上がってクマの形になった)

(クマの被り物をした集団が、世界各国で、あちこちの建物を破壊したり、人を襲ったり、争いを起こしたりしている映像が)

(幾重にも幾重にも流されてきた)




苗木「……なんだよこれ……!?」

江ノ島「これがアンタ達の目指した外の世界」

鈴井『君達が学園長と約束して隔離してもらった世界だ』

十神「ば、かな……そんなわけ……」

江ノ島「だからこれが事実なの」

大泉『………』

戦刃「これが、貴方達が忘れていた現実、だよ」

霧切「………」

朝日奈「そんな……はず……」

江ノ島「十神君?どう?十神財閥は今どうなってると思う?そう、正解!滅びました!親族一類ありとあらゆる、十神財閥に関係している人物の死亡ないし失踪を確認済みだよ?よかったね!もう十神財閥の事を知っているのは十神君ただひとり!ねぇ?どんな気持ち?後ろ盾失って、御曹司(笑)になったのってどんな気持ち?お金も地位も名誉ももう形無しだね!」

十神「……!」

江ノ島「石丸君、君の大好きな風紀やルール、人としてあるべき姿ってナニかな?それってやっぱり、自分がやりたい事を好きなだけやるって事だと思うんだよね。だからそのために他人が犠牲になったって構わないし、自分のルールを守らせるためなら他人の意志はどうでもいいと思わない?それにほら、君の嫌いな総理大臣のデータも跡形もなく消えたよ?よかったじゃん!」

石丸「風紀が……ない……」

江ノ島「大和田くーん?こんな秩序もない希望もないこの世界で戦うのに必要なのは君みたいな、何も考えずただ暴走して走り回ってモノを壊していく蛮勇だと思うなー。ま、外に出たら全員暴走族みたいなもんだし(笑)がんばってね。あ、そうそうチームは解散したよ、アンタがいないから存続出来るわけないじゃん。お兄さんの残したモノ?なにそれ、多分それトラウマだけだよ?」

大和田「ああ?何?チームが……解散……?!」

江ノ島「不二咲君。君、ここにいてよかったんじゃない?外に出たら一発で死ぬと思うんだよね、アンタ貧弱だし。貧弱貧弱ゥ!男らしいって何?じゃあアンタ男じゃないの?ちなみに外ではパソコンらしきものは大体機能停止してるからアンタ能なしだね。かわいそうにね。でもここにいれば安心安全!それにちーたんマジ天使!掘られないし!」

不二咲「そん、なぁ……」

江ノ島「葉隠君!君が大切にしていたコレクション?アレ全部ぶち壊しました、私が。あんな偽物で喜ぶなんて、よっぽど脳味噌お花畑?って言うか見えてなかったの?この未来は。はー、アンタのインスピレーションとやらほんと使えないよねぇ。3割?嘘言えバーカ。アンタはただのクズ、それ以上でも以下でもない。才能もない上、根性もないの。ねぇ、なんで生きてるの?」

葉隠「俺……もう、未来が……見えねーよ……」

江ノ島「山田君?こんな瓦礫と崩壊した世界で君の好きな二次元の世界って存在すると思ってる?そんな事より日々の生活だ!ってなってんの、漫画家とか声優とか小高和高は必要ないわけ。分かる?この意味。紙切れに意味はない、文字を理解する必要はない、アニメなんて必要ない世界なの。残念だったね。これが現実、だから部屋の外に出なよピザ」

山田「ぶー子がいない……世界……」

江ノ島「桑田君。ね、言わなくても分かるよね?LL学園も当然なくなってまーす。あ、それに野球なんかもやってる場合じゃないし?アンタが走り回りたかったグラウンド、ね。あれもう瓦礫に埋まっちゃってるし、多分地雷とかあるから危ないよ。今やバットで打つのはボールじゃなくて人の頭蓋骨。知ってるルールじゃない?アンタならすぐ馴染めるんじゃない?」

桑田「嘘だ……そんな……アホな……」

江ノ島「舞園さーん。そう、あなたのアイドルグループも当然!解散しました。ウケるよね、最初何にも知らないで桑田殺そうとしてたんだし。出れたところでお前の帰る場所ねーから。なのにあんな必死になってさぁ……夢?希望?ファンサービス?くだらねぇ事言ってんじゃねぇよ、枕営業してんだろ?ま、もう枕する相手もいねーけどよ!ギャーハハハ!」

舞園「私の帰る場所が……ない……?」

江ノ島「大神さん。道場の門下生は全員無事と言ったな、すまん。ありゃ嘘だ。何人か絶望に立ち向かっていって、そして死んだらしい。らしいってのは、アタシがやったわけじゃないから分かんないのよね。残念!でもでも何人か残ってるし、その全員が全員、アンタの道場で学んだ技術で世界を、人間を壊してるよ!よかったねー、リアル北斗の拳じゃん!」

大神「そんなバカな真似をする門下生が……いるはずは……」

江ノ島「腐川さーん………あ、アンタはもう充分絶望してるからいっか?とりあえずアンタの父親も、ふたりいた母親もみんな揃って行方知らずらしいからそんだけ。アンタがふたりになっちゃった理由を作った人が軒並みいなくなってよかったねぇ?ちなみに腐川さんの本は聖書並によく燃えるとみんなに評判です。純文学?シラネ」

腐川「………あ………」

江ノ島「朝日奈さん。あなたの愛してやまなかったプール、全部なくなっちゃいました。今ではプールらしきところには水じゃなくて血が溜まってるとかいないとか。怖いね。絶望のみんながピラニアとかワニを中に入れてアスリート泳がせて遊んでたんだって、怖いね。あ、そうそうドーナツも壊滅的。食べるなら作ってあげてもいいよ?中身がナニカは知らないけどね」

朝日奈「……プールはそんな事する場所じゃ……ないよ……」

江ノ島「セレスさん?いや、安広多恵子って呼ぼっか。何セレスって、セレスティア・ルーデンベルクってだっせぇ(笑)とりあえず言っとくと宇都宮も絶望のみんなが占拠したから、アンタの愛する餃子も食べられませーん。それと、夢だったらしい西洋のお城?あー、あれね、全部ぶっ壊したから。要らないもん、そんなもの。お金も不要、必要なのは毎日生き延びる命だけだよ」

セレス「……私の……愛する故郷が……」

江ノ島「霧切さん?まず教えて上げると、あなたの才能は【超高校級の探偵】でーす。で、なんで教えたかって?だってもう使えないでしょ、探偵の才能。意味ないもんこんな世界じゃ。死神のw足音wが聞こえるらしいけどwこの世界じゃ人なんて簡単に死ぬから、そんなの聞こえてたら死神タップダンスするわwwwwあ、あとアンタさ、お父さんに絶縁言い渡すためだけにこの学園に来たらしいね。うぜー、あーうぜーうぜーファザコンうぜー」

霧切「………」

江ノ島「ついでだぜ、大泉さん。ね、分かるでしょ?北海道のみならず、全国あらゆる舞台たる舞台は崩落した訳よ。スタジオ?セット?スタッフ?全部消えてなくなりました!残ってるのはかの学園生活を生中継してくれてる人達だけ!何かの役柄を演じる、なんて悪人がする事だよね。だってそれって詐欺師にも似てるでしょ?自分も他人も偽ってさぁ、それで楽しい?」

大泉『………』

苗木「………みんな………」



江ノ島「さて苗木君、苗木誠君。希望は前に進むと言った、苗木誠君」

江ノ島「この状況のどこに希望があるか述べよ」

苗木「………!!」

舞園「私の……居場所が、夢が……」

山田「ぶー子が、僕が認められていた、唯一の世界が……」

セレス「私の愛したものが、すべて……存在していない?」


苗木「みんな……」


大和田「兄貴、すまねぇ……オレ……」

腐川「……何なのよ、あたしだって好きでこうなったわけじゃ……」

葉隠「なんで世界がこうなったって?俺がなにしたっつーんだべ……」


苗木「……みんな……!」


石丸「秩序が、風紀が、人としての在り方が……」

朝日奈「プール……ドーナツ……スポーツ……」

十神「………」


苗木「………どうしたら………」


桑田「んだよ……なんだよ、なんなんだよコレッ!」

大神「我の門下生に限ってそのような……」

不二咲「うう……どうせ僕は……」


苗木「………」


江ノ島「ゲームセット、終了。完了。私様の大勝ち。それ以外あり得ない」

江ノ島「現実を知って打ちのめされて、それから這い上がる気力だって絶対にもうない」

江ノ島「大切なモノはもう残ってない」

江ノ島「自分に出来る事なんて何もない」

江ノ島「アンタ達は自分達で選んでこうしている」

江ノ島「今に絶望しろ」

江ノ島「過去に絶望しろ!」

江ノ島「明日に絶望しろ!!」


苗木「………」







鈴井『それは違うね』






苗木「………え?」
大泉『………は?』


鈴井『確かに外の世界は滅んだ。けれど』

鈴井『彼らは、それでもやっぱり世界の希望なんだよ』

戦刃「………なんで」

鈴井『………』

戦刃「なんで諦めないの……貴方が犯した殺人で、みんなが絶望してるのに……どうして……」

鈴井『どうして?』

鈴井『そうだね、希望は前に進めるからだよ』

戦刃「………は?」

大泉『鈴井さん……?』

江ノ島「虫のいい事言ってるんじゃねぇよ、人殺し」

鈴井『確かに僕は罪を犯した。だからその償いはするつもりさ……アルターエゴ』

『制御完了したよ、ご主人たま♪』

不二咲「……え、あ、アルターエゴ?」

鈴井『残念だったね、江ノ島さん。君が持っていた主導権は今、僕が握らせてもらった』

江ノ島「今更何するつもり?」

鈴井『………みんな、よく聞いて欲しい』


鈴井『確かに君達に戻る場所はもうない。夢も希望も、秩序もない。この世界は滅びに向かっていると言ってもいい』

鈴井『でもね、みんな。君達は間違いなく希望なんだ。この世界に期待された希望なんだ』

大泉『そんな、わけ……ねぇよ。アンタのせいで希望なんかねぇのに、なんで……』

鈴井『これを見て欲しいんだ』

ぶんっ




(モニターの全てが、とある映像に映り替わる)





『これを見ている……と言う事は、もしかしたら私はこの世にいないのかもしれない』

『私は今代の希望ヶ峰学園、学園長の霧切仁だ』


霧切「……霧切仁……!」

江ノ島「……」

十神「これが、本物の学園長……」

『絶望と呼ばれる人々の支配が強くなってきた……君達に何かあった時のために、このビデオを残そうと思う』

『なにかの足しになれば幸いだが、そうならなかったのなら僕の事を罵ってくれればいい』

『……君達にこの、希望ヶ峰学園シェルター化の選択を取らせたのは、本当に申し訳なかったと思っている』

『けれど、それが最善だと私は信じていた』

『君達さえこの世界に残っていれば、他にどんな事があったって必ず、この世界はやり直せるからだ』

『私は性善説を信じているんだ、みんな。きっと君達なら、超高校級と呼ばれた君達なら……必ず世界を正しい方向に導く事が出来る』

『外の混乱が収まるのが何年、何十年後になるかは分からない。だが、君達が力を合わせれば、世界はきっと変わる』

『君達もそう約束してくれた。君達自身が自分を信じてくれた。だから、私も安心して君達に全てを託す事が出来る』

『みんな、これからの世界を頼んだよ』


苗木「学園長……」

山田「そんな事を、生前にビデオに」

江ノ島「……」

舞園「自分に何か起きるかもしれないと、予期していた……?」

セレス「私達を案じて……私達達を信じて?」

大和田「本気かよ……こいつ……」

大泉『………』




『惜しむらくは響子』



霧切「………え?」




『最後までお前のそばにいてやれなかった事だ』




霧切「………!」

『私はお前を、愛していた。お前が誇る【名誉ある探偵である霧切家】の名を捨ててもなお、愛していた』

『お前には多くの苦労をかけた。幼いながらに母も亡くし、私もまた家を追われ、お前だけを残してしまって』

『謝ってお前が許してくれるとは思わない。けれど、私はお前を愛していた』

『学園長として、愛していた。そして、それ以前に、父として、お前を愛していた』


霧切「―――!」


『響子、迷惑をかけてばかりでごめんな』

『でも父さん、お前が希望ヶ峰学園からのスカウトに乗ってくれた時、本当に嬉しかったんだ』

『歴史の闇に隠れ、名をひた隠しにしてきた探偵の一家であるはずのお前が、私に分かるように活動をしてきて』

『私を恨んでいる、憎んでいると言う報告も聞いていた。それでも嬉しかったんだ』

『なんと言われてもいい、お前に堂々ともう一度会いたかった』


霧切「………学園、長」

桑田「随分恥ずかしい事喋ってんな」


『そして私の生徒として、この学園に入ってくれた。お前がどう思って、どう考えていたのかは私には分からない』

『それでも、間違いなく、お前は私の希望だったよ。響子』


『……そして、お前と私をつなぐひとつの絆が【水曜どうでしょう】だった』


大泉『……え……?』

霧切「!」

『お前が小さい頃から好きだったと風の噂で聞いていたよ……誰から教えてもらったかは分からないが、友達に勧められたのだと後から聞いた』

『お前はそんなバラエティなんて見るような人ではないのに、なんでまたそんな?私もあの時ばかりは驚きが止まらなかった』

『なぜあんな旅番組もどきに?と最初こそ私も疑ってかかっていたのだが、見ている内に私もどっぷりハマってしまってね、ははは』

『お前は人前ではあまり笑わない子だったので、それを見て笑ってくれているのだと思ったらいてもたってもいられなくなった』


大泉『………あ!』

鈴井『だから僕に話が来た。だから君達は出会った』


『だからサプライズで大泉さんを呼んだ。そして、共同生活なんて大がかりな真似までした』

『あの時、本当に嬉しそうに目を細めて笑っていた事を、今でもすぐに思い出せるんだ』

『お前の喜ぶ顔が見れたから、私はもう満足だよ―――響子』

『生きていてくれてありがとう。そして、このビデオを響子が生きて見てくれている事を願う』


霧切「なによ……それ……」

霧切「………勝手なのよ………」


『最後に、学生諸君』

『私の我が儘に最後までつきあってくれて本当にありがとう』

『君達が例え今日に絶望しても』

『やりきれない思いが、今日雨を降らせたとしても』

『新しいこの朝が、いつものように始まるから』

『何もなかった頃から同じように、地球は回っているから』


大泉『………【6分の1の夢旅人】………!』

『疲れ切った足下から凍り付くしたとしても、』

『いつの日にか、きっとまた南風は歌い出す』

『だから君達は、前に進み続けてくれ』

『だって』




『一人きりでは出来ない事も』

『タフな笑顔の仲間となら、乗り切れるだろう?』





ぽたっ

霧切「なによ……それ……」

苗木「霧切さん……」

霧切「思い出したわよ……、才能の事も父の事も……!どうでしょうの……事も……!」

ぽろぽろっ

大泉(泣いてるのか、子猫ちゃん)

霧切「そう……昔の、一番大切な【親友】との思い出……」

霧切「あの人が……、【この手の傷を作ったあの人が】……最初に勧めてくれたのが、どうでしょうだった……!」

霧切「結局その人とは、喧嘩別れしたけれど!でも!……忘れられなくて、貴方は悪くないから……大泉さん、だから忘れられなくて」

霧切「それより父はなんで……本当に、こんなの……なんなの、本当に身勝手で……でも……」

霧切「………ありがとう………!」ぽろぽろ


ぷつんっ


江ノ島「………は?は?は?は?は?」

江ノ島「こんな安っぽいビデオ一本で何とかなるとか思ってんの?ねぇ鈴井貴之!!」

鈴井『ところが思ってるんだよ』

江ノ島「………あ?」

鈴井『江ノ島さん、君が握っていた主導権は全部剥奪したと言ったよね』

鈴井『だから、僕は今、あらゆる学園のセキュリティないしシステムを使いこなす事が出来るようになった』

鈴井『君達にはふたつの道がある』


鈴井『ひとつ、学園長の意志に従ってこのまま学園に残り、絶望した世界の片隅から希望を作り出す』

鈴井『ひとつ、この安全な学園を出て、絶望と危険がある、ほんのわずかに残った希望を探しに行く旅に出る』


鈴井『どちらを選ぶかは君達次第だ。そしてどちらを選んでも、僕が協力しよう』

鈴井『その後で僕はちゃんと、けじめをつける』

大泉『……何する、つもりなんですか』

鈴井『僕も死ぬ。』

大泉『………あ………?』

鈴井『それが僕の出来る最善の……』

がたんっ!

大泉『冗談じゃねぇ……!』

鈴井『……苦しいよ大泉君、胸倉掴まないで』

大泉『アンタが死んだら!本当に、本当に希望なんか無くなっちゃうじゃねぇか!!』

鈴井『……』

大泉『俺はアンタを!ずっと尊敬してて!アンタがいたから!ずっとやれてたのに!』

大泉『安田を……残して逝く気か?おい、何も言わずに逝く気なのか?』

大泉『なんでそんな事簡単に言えんだよ!なんでそんな事出来んだよ!アンタ、アンタはぁ!!』

大泉『………なぁ………!』ずるずる……

鈴井『………』

大泉『……』床ぺたん

霧切「………で」

鈴井『?』

霧切「死なないで……貴方は生きて、生きて、生きるの」

鈴井『……霧切さん』

霧切「父がなんて言ったのか、分からない。どんな状況で死んだのか、それも分からない」

霧切「けれど、性善説を信じる父ならば、貴方に死ねとは言わない……貴方だって、世界と同じようにやり直せる」

霧切「それに証拠がない、自白でしかない。物的証拠もないのに殺人の罪には問えない」

霧切「仮に死体が見つかって、殺害方法は?そもそも本当に貴方が殺したの?」

霧切「それに貴方の背後には江ノ島盾子がいた。精神的に薄弱状態の貴方に、ボタン一つ押させて殺人なんて到底出来るはずがない」

霧切「例えそんなシステムが可能だったとしても、貴方は既になにも考えられなくなっていたはず。それに実質、安田さん以下4名の人質も取られていた」

霧切「殺人教唆の可能性はあっても、それが確定した殺人とは言い切れないんじゃないかしら」

鈴井『………ほんと理詰めだね、霧切さんは』

苗木「違います」

鈴井『ん?』

苗木「信じてるんです、霧切さんも……」

苗木「ボク達が希望なら、この世界に残ったら希望ならば」

苗木「ちゃんと前に進めるんだって」

苗木「全部引きずりながら、後悔しながら、それでも忘れないようにしながら、思い出しながら、たまには喧嘩しながら、思いやりながら」

苗木「どんな世界でも、ボク達が選んだ世界だから、ちゃんと正しく前に進めるんだって」

江ノ島「だからウゼェんだって!どこも進めねーよ!希望がないって、世界は滅んだって言ったろうが!聞いてなかったのかよ!」

苗木「だからって諦めたくない!」

江ノ島「!?」

苗木「ボクは………どんな理由でも、ただひとつ」

苗木「お前(ぜつぼう)に屈したくない!」

大泉『苗木君……どうしてそこまで……』

苗木「悪い事があれば、必ずいい事もある。それが人生だ。悪い事ばっかりなんて絶対に起きる訳ない」

苗木「ボクはそう信じてます」

苗木「後ろを向いて全て諦める前に、今出来る事を全部やりたい」

霧切「……苗木君……」

苗木「十神クン」

十神「………苗木風情が説教か」

苗木「確かにこの世界に、もう財閥はないのかもしれない」

苗木「でもキミはその程度で全てを放り出すような人じゃないって、ボクは知ってる」

十神「………」

苗木「今までの学園生活でも、率先してみんなを引っ張ってくれた。何も起こらないように、実は誰よりも気を使っていてくれた」

苗木「そんなリーダーが、選ばれた存在が、世界が滅んだからって真っ先に諦めていいのかよ!」

十神「……苗木……、愚民のくせに……くくっ」

苗木「石丸クン!」

石丸「………ああ、苗木くん………」

苗木「ルールや風紀、人があるべき姿はこれからまた作っていけばいいじゃないか」

苗木「古いモノを守るのも大切だけど、新しいルールを作るのだって立派に【風紀を守る事】だと思うよ」

石丸「だが、僕にはそんな……」

苗木「何事も諦めず、努力すれば立ち向かえるんじゃないのかよ!」

苗木「何もせずに力不足だって、そうやって諦めるような人じゃないだろ!」

石丸「……それは……ああ、苗木くん、僕は……!」

苗木「……大和田クン」

大和田「オレは……オレは兄貴の、約束を……大切なモンを……」

苗木「お兄さんが言いたかったのはそう言う事じゃないんじゃないかな」

大和田「………あ?」

苗木「チームと言う目に見える形じゃない、自分の信念を貫ける仲間を作って欲しいって、そう言いたかったんだと思うんだ」

苗木「もしバラバラになっても、キミが声をかければ必ず戻ってくるって!そう信じようよ、キミと仲間の絆を」

苗木「大丈夫。全部知ったその時でも、絶対にキミに着いてくる仲間はいる。ボクは、そう思う」

大和田「オレは……オレもまだやれるのか……?」

苗木「不二咲クン」

不二咲「あ、あの……僕、どうしたら……」

苗木「パソコンが壊れた、インターネットがなくなった?そんなの絶対に嘘だよ」

不二咲「………へ?」

苗木「この映像はインターネットでも中継されているんだよ?って事は、外にはインフラ環境が整っているはず」

苗木「そして映像を見るための機械だって絶対にあるはずだよね?」

不二咲「あ……!」

苗木「絶望の映像を届けるだけがパソコンやインターネットじゃない。キミにはアルターエゴって味方もいるじゃないか」

苗木「もし壊れたらまた組み立て直せばいい……ボクも、詳しくないけど手伝うからさ」

不二咲「苗木君……優しいね……」

苗木「………葉隠クン」

葉隠「なんだべ!なんだべ……俺は、もう……」

苗木「ボク達が出会えたのは、きっと偶然じゃなくて運命だったんだと思うんだ」

苗木「未来が見えなくても、先に進もうよ。今日を、今を積み重ねた先が未来なんだから」

葉隠「でも!俺ぇ……」

苗木「今まで集めてたのが仮に偽物でも、それなら本物は必ずどこかにあるって事だよね」

苗木「いいの?葉隠クン。キミが手に入れる前に本物が無くなるなんて、ボクはイヤだよ」

苗木「一歩、踏み出そうよ。例えその道筋が真っ直ぐじゃなくても、キミの占いなら乗り切れる」

葉隠「……信じるんか、俺を……?」

苗木「山田クン」

山田「ふあああ……僕はっ……」

苗木「ボクはアニメの、マンガのちからを信じてるよ」

苗木「今の世界に必要ないなんて絶対に嘘だ。今だからこそ、鼓舞するためのモチーフって必要なんだよ」

苗木「それは時に二次元だからこそ表現出来るものがある。どんな写真より、どんな現実よりイラストの方が美しい事だってあるじゃないか」

山田「ぶひぃ!?な、苗木誠殿ェ……」

苗木「キミの力は絶対にこの未来に必要なんだ。今の空は晴れてなくても、キミが描く空は絶対に青く澄んでいるはずだよ」

苗木「このまま屈するなんていやだよ……かわいい女の子に負けて終わりなんてアニメは絶対に流行らない!」

山田「……うう……た、確かに……女の子は剥かれてナンボですぞ……!」

苗木「桑田クン!」

桑田「………あ?アホ……何でオレこんなヘコんでる訳?マジで……」

苗木「桑田クン、ほんとは野球大好きだったんだよね」

桑田「あ、改めて言うなっつーの恥ずかしいじゃねーかっ!」

苗木「ロックスターなんか、歌手なんかならなくたってキミはすばらしい」

苗木「もちろんなれるのかも知れないけど、でも桑田クン。キミが求められてるのはあのグラウンドなんだよ」

苗木「そんなグラウンドが、野球のやの字も知らない人にぐちゃぐちゃにされてるんだよ。許せる?ボクは、イヤだな」

桑田「オレ……オレやっぱ、野球が……!」

苗木「舞園さん」

舞園「私は、私は……私の夢は……」

苗木「ボクは絶対に舞園さやかを忘れたりしない。前にも言ったと思うけれど」

苗木「ボクは絶対にキミを忘れない。舞園さやかを忘れない!」

舞園「……苗木、君」

苗木「今だって舞園さんはアイドルじゃないか!ボク達のアイドルなんだよ!」

苗木「みんな舞園さんを待ってる。舞園さんがいれば、メンバーもきっと必ず揃う、再結成出来るんだよ!」

苗木「終わりじゃない、これは始まりなんだ。だから絶望しちゃだめだ!」

舞園「……これは始まり……、そうだ……終わってなんかない……!」

苗木「大神さん」

大神「……苗木よ、我は」

苗木「大神さんが伝えたかった技術が悪用されてしまった事は、拭えない」

苗木「でもこのままにしておいたら、本当にみんなに誤解されたままで終わってしまう」

大神「ぬ……」

苗木「違うんだ、大神さんはもっと強くて、もっと優しいのに……そんな暴力的な拳を教えたかったわけじゃないのに!」

苗木「だからみんなにちゃんと教えようよ、大神さんが伝えたかった事、この力でしたかった事を!」

大神「我の力で、したかった……事……!」

苗木「腐川さん」

腐川「……なな、なによ、あたしは……」

苗木「腐川さんの小説、燃やされてるんだね」

苗木「ボク、悔しいよ。腐川さんの小説、何冊か持ってたから……その中身の、よさを知らないまま火を付けられてるのが」

腐川「苗木、あんた……」

苗木「文学がこの世界から消えてしまうなんて、イヤだ。ボクは確かに活字はあんまり読まないけど、でもそう思うんだ」

苗木「腐川さんが生きてさえくれれば、この絶望の先に必ず文字が、活字が必要になる世界は存在する!だから!」

腐川「でもあたしは、殺人鬼の……」

苗木「翔さんだってきっと!殺人は止められる!」

腐川「……!」

苗木「ボクが止める……だからボクを信じて欲しい!」

腐川「あ、そんな……な、何よ……!」

苗木「朝日奈さん……」

朝日奈「ねぇ、苗木……どうしよう、プールが、グラウンドが、ドーナツが……」

苗木「しっかりするんだ、朝日奈さん!プールは、泳げる場所は必ず存在してるはずだ!」

苗木「キミが絶望して諦めてしまったら、残っているはずのプールだって全部なくなってしまうかも知れない!」

朝日奈「……え?プールが!?」

苗木「朝日奈さんがやりたいと思う事に取り組める未来がボクはみたいよ、朝日奈さん」

苗木「プールを悪用している、アスリートを脅かしている、そんな悪いやつらを野放しにはしておきたくない」

苗木「ちゃんとプールの正しい使い方を教えて上げようよ。泳ぐのは楽しいんだって、後ろ向きなだけじゃないんだって伝えようよ、ね」

朝日奈「プールの楽しさ……泳ぐ事の……、そうだよね……!」

苗木「セレスさん」

セレス「あら、安広多恵子でもいいですわよ」

苗木「……安広さん。ボクはキミのその名前、好きだ」

セレス「!?」

苗木「多くの恵みの子。ご両親が望んでくれた事じゃないか。たくさんの恵みを、たくさんの出会いをキミは得てきた」

苗木「それでも隠したいって言う話なら、ねぇ、セレスさん。簡単に絶望して諦める前にボクとひとつ賭をしようよ。」

セレス「……何ですって?」

苗木「この世界は完全に絶望したか、していないか。ボクはしていないに、ボクの命をかけてもいい」

苗木「ギャンブラーとして、ボクとの賭は受けてもらってもいいよね?命を懸けたギャンブルに、さ」

セレス「good……私は、貴方の誘いに……、ギャンブラーとして誘われてあげても……」

苗木「……」

霧切「……」

鈴井『……』

江ノ島「は、はは、なんだよそれ……あり得ねー……」

江ノ島「そんな……やすっぽい説得で……!ここまでの絶望が……!!」

苗木「霧切さん」

霧切「ええ、覚悟は出来たわ」

江ノ島「……ぁあ?誰よりヘコんでたファザコンが何だって?」

霧切「私は未来を見たい、真実が知りたいだけ。それがたとえ希望でも絶望でも」

苗木「……どうだ、江ノ島盾子……!」

苗木「ボク達は、諦めない……!」

江ノ島「だからぁ!そんなくっせーことやってんじゃねぇっての!今時かっこいいセリフで立ち直ってがんばるとか流行ってねーっての!」

苗木「大泉さん!!」

大泉『……少年……君は……』

苗木「北海道の大スターなんですよね、カリスマなんですよね……エンターテイナーなんですよね!!」

苗木「そんな貴方が、悲しい顔してたら!全国の子猫ちゃんが悲しみます!」

大泉『……は、はは……そうだねぇ……』

苗木「ほら、笑ってください。そして行きましょうよ、次のステージに」

苗木「貴方が信じたものが無くたって、貴方には自分の足がある」

苗木「それに鈴井さんは貴方に全てを託してくれている!」

大泉『……鈴井さん、アンタは……』

鈴井『僕はきちんと責任を取るよ、この場でね』


鈴井『【僕の命を絶つ事が責任の取り方だ、それ以外はあり得ないよ】』

苗木「……それは違うッ!」


大泉『―――苗木!』

鈴井『……苗木君、君は僕までも救おうとしているのかい?』

苗木「僕は貴方を信じている!死ぬ事が責任の取り方なんて、そんなの僕は認めない!それは負の連鎖を起こすだけだ!」

苗木「だから!貴方も外に出るんだ!貴方も進むべきなんです!!」

鈴井『……でも、僕は』



葉隠「でもでもうっせーぞ?会長さん」



鈴井『!』

江ノ島「………は?なに割って入っちゃってんのパーマ」

葉隠「コレはドレッド!地毛!……それはともかく!」

葉隠「少なくとも俺の知ってる鈴井貴之はそんな人間じゃねーべ。それはそこの大泉っちの方が知ってると思うけどよ」

葉隠「………俺、思ったんだ。生きるってのは前に進む事なんだよな、つらくても……怖くても……前に向かう事なんだ」

葉隠「だから、そっから見りゃ死ぬって事はそこで立ち止まる事だ」

鈴井『………』

葉隠「北海道のエンタメを最前線で開拓してきたアンタが、そんな辛いから怖いからで足を止めるような人とは思えんべ」

葉隠「アンタはここで死ぬ人間じゃない。俺のインスピレーションもそう言ってんだ」

葉隠「なぁ、アンタはこのまま逃げていいんか?このまま足止めてていいんかよ……そんなん俺が納得いかねー……!」

苗木「……葉隠クン」





江ノ島「ああああ!うっざぁぁぁいっ!」




江ノ島「お涙頂戴とかざっけんじゃねぇって言ってんだろボケがぁ!お前等の帰る場所なんざねぇ!希望はねぇ!!」

江ノ島「この世界は滅びる!」

江ノ島「くだらねぇ理想論で!現実逃避してんじゃねぇぞオラアアアア!!!」

江ノ島「なにが希望は前に進むだ、ポカホンタス!希望なんかどこみたってねぇんだよ!悪を憎んだって、戦ったって、正義もないんだ!」

江ノ島「見ろよ!現実見ろ!世界が終わってんの!SEKAI NO OWARIなの!ドラゲナイの!!」

江ノ島「なのに………」


石丸「……ありがとう、苗木君。目が覚めたよ」

舞園「これは終わりじゃない……新しい未来の始まりです」

苗木「ボク達はもう迷わない」


江ノ島「なのになんで………」


大泉『僕らのやる事ぁもう決まってるからねぇ』

セレス「城がないならまた建てればいいだけですものね。餃子だって、職人は世界各地におります」

不二咲「全部無くなった訳じゃない……僕達にはまだ残されてるものがあるんだよぉ……!」


江ノ島「なんでどいつもこいつも………」


葉隠「全くしゃーねーなぁ、手の掛かるおっさんだべ!」

鈴井『君も説得されてたけどね』

腐川「さっきの苗木……ちょっと格好良かったわ……ハッ!いや、あ、あたしは白夜様一筋で!」

十神「ふん……黙れと言いたいが今日は許可してやる。俺もまた愚民に下がりかけていたのだからな」


江ノ島「なんでそんなに!前を向けるんだよ!!」


苗木「それが、ボク達だからだ」

江ノ島「………!!!?」

戦刃「盾子……ちゃん」

江ノ島「……あ?な、なにこれ?ナニコレ?ナニコレ珍百景?」

戦刃「……」

江ノ島「はは、バカじゃね……うそだろ……寒いんだよ……そう言うの、そう言う逆転劇……!」

戦刃「盾子ちゃん」

江ノ島「あ?」

戦刃「私も……見たくなっちゃったよ」

江ノ島「……なに?」

戦刃「誰よりも悪いはずの私が、誰よりも生きて生きて、誰よりも愛している盾子ちゃんが絶望する未来」

江ノ島「は……?なに、アンタまで……そんなくっせー事言うの……」

戦刃「私はここで止まりたくない、終わらせたくないな」

江ノ島「そんな……お姉ちゃん……?」

戦刃「絶望してくれてる?それは本当に幸せ?私は盾子ちゃんの幸せになれてる?」

江ノ島「………あ………」

戦刃「もうわかんないよ……もう分かってあげられないんだよ……」

江ノ島「………」

鈴井『ゲームオーバーは君の方、みたいだね』

大泉『………決まったな』

江ノ島「………ふ」

苗木「……?」

江ノ島「ふふっ、くくく………あっはっはっは………!」

江ノ島「いいねぇいいねぇ……最高に絶望的ィ……!」

江ノ島「ほらほらほらほら、もっとつまんねぇ事言いなよ……勝手に希望感じちゃいなよ……!」

大泉『……こいつは……』

江ノ島「希望くそ食らえ!現実見れないおこちゃまの話なんかどうだっていい!!」

山田「じゅんこは こんらんしている!」

霧切「……」

石丸「江ノ島くん、投降したまえ」

大和田「今なら半殺し……いや九分九厘殺しで済ましてやるぜ……オレァ女は殴んねー趣味だけどよ!」

桑田「むしろそれ死んだ方が楽な奴じゃね!?」

セレス「いえ、それよりは首だけ残して体を地面に埋めましょう」

大泉『さりげなくみんな残酷な事考えすぎだからね!?』

苗木「ボクは君を逃がさない、ボクは君を殺さない」

苗木「希望はいつだって前に進める、君を絶望から救う事だって諦めない……!」

鈴井『おや、プロポーズじゃないか江ノ島さん。これは受けてあげなよ』

江ノ島「……」





江ノ島「 だ が 断 る 」





ぽち

舞園「ぽち?」

ゴゴンッ

苗木「……え」

舞園「な、なんで舞台装置が動いて!コントローラーは私が……」

鈴井『セキュリティも全てこちらの支配下のはず……まさか江ノ島さん、緊急用のスイッチを!?』

十神「バカな!最後まで俺達を愚弄するつもりか!江ノ島ァ!!」

大神「それよりも奴を止めろ!!」

戦刃「待って!」

朝日奈「え、江ノ島ちゃん……!」

大神「止めるな戦刃ッ!」

戦刃「……違う、今行くと危ない!貴方も死んじゃう!」





江ノ島「いいかい希望の諸君」




すたっ


苗木(江ノ島盾子は、特設のステージの上に立った)

苗木(道化のように、人形のように)

苗木(ひどく笑顔で)


江ノ島「希望の先には絶望しかないんだ。それでも進むの?」

苗木「……ああ、ボクは進む」

江ノ島「あっそ」



苗木(そして、次の瞬間)



苗木(ボク達の目の前で―――)






ぐちゃっ。







苗木(江ノ島盾子は、大きなプレスマシーンに潰された)

ーーーーーーーーーーーーーーー





Chapter6

どうも 絶望の皆さん
知ってるでしょう?
大泉洋で
ございます
おい パイ食わねえか


非日常編


【END】


残り【18人】→【17人】


ーーーーーーーーーーーーーーー

鈴井『えのっ……!大泉君、走るよ!』

大泉『……!!』

ばたばたばたばた……




朝日奈「……ッ、うぐ……」

霧切「これが彼女の結論、なのね」

石丸「人は……分かりあえると思ったのだが」

葉隠「あいつの負けだろ。足止めたんだ、現実に面食らったのはあいつの方だったんだべ」

苗木(無駄に葉隠クンがかっこいい……)

戦刃「……盾子ちゃん、最後すごい楽しそうだった」

苗木「え?」

戦刃「きっと……貴方達への挑戦状。焚きつけた本人がいなくなった、この混乱を収束出来るのかって、挑戦状」

戦刃「私もまた、全てを失った。生きるべき目標を、必要性を失った」

苗木「……だから、ここから始めるんだ」

霧切「私達はまだ、スタートラインにすら立てていないのだから」



苗木「出よう」




舞園「……ここから、外へ」

不二咲「そうだね……」

十神「……ふん、導いてやってもいいぞ?【最後の十神】の名にかけてな」


苗木(これは、避けられなかった結末だったんだろう)

苗木(ボク達は静かに、ただ静かに)

苗木(誰とも言わず、真っ直ぐ見つめていた)

ここまで。
さて、ぼかぁ君達に謝らなければならん事がある。



今回が最終回と言ったな、すまん。ありゃ嘘だ。



そう、まだ【エピローグ】があります。
なのでエピローグをもって、この大泉ロンパは最終回となります。
ほんとに次回が最後です。


それと、もうひとつ。江ノ島盾子は死んだんだ。もう帰ってこないんだ。



>>443-444
2のクロスで大泉さんが出る事はおそらく出来ないでしょう(諸般の事情で)。
ですが、きっと違う人が入ってくれるでしょう。書けるかどうかは別として、ですが。
今はまだ、囚われているおっさん達の事が心配です。

最終回!おみまいするぞー!
……また誤字脱字見つけたら心に閉まっておけ!絶対それただのミスだから!おっかしいなぁ、見直してるのになぁ……。

「だからえらくなれねぇんだろ、おぉい」

………ぁあ?

ーーーーーーーーーーーーーーー




【エピローグ】




Never
~抗い続けた絶望の先に~




ーーーーーーーーーーーーーーー

チーンっ
がらららら………



鈴井「江ノ島さんッ!」

大泉「こりゃあ、よぉ」

苗木「あ、大泉さん………」


大泉(俺と鈴井さんは、あのあと急いで4階から走ってきた)

大泉(今になって汗が噴き出した。無理もない、ここからじゃ地下は遠すぎた)


大泉「………江ノ島盾子は」

十神「死んだ」

鈴井「………」

大神「押しつぶされた。あの大きな機械にな」


大泉(特設ステージがある。俺達のいる裁判場みてーなとこからすぐ目の前に)

大泉(その舞台は今、大きな機械が占領していた)

大泉(中央が真っ赤に染まって……いて……)

大泉(………死んだ)

大泉(江ノ島盾子は……死んだんだ)


鈴井「……救えなかったんだね、彼女は」

鈴井「誰よりも希望していたのに」

舞園「絶望に対する希望、ですか」

戦刃「………私は………」

山田「可愛い子は制服剥かれてナンボですぞ、戦刃むくろ殿。死んだらそれも出来ないでしょう」

葉隠「一部にはそっちの気の奴もいるけどな」

山田「死姦ダメ、絶対。ただし2次元で、他人に迷惑かけないならその限りではありませんぞ」

戦刃「……はは、なにそれ」

鈴井「………」

霧切「………鈴井さん」

鈴井「………君達、ここを出るんだったね」

苗木「はい」

鈴井「約束だ、僕が力を貸そう」

苗木「でもその前に」

鈴井「………ん?」

苗木「寄宿舎2階……そこだけ見せてください」

セレス「あの、私達がともに生活した記録が残っていると言われた場所ですか?」

苗木「最後に見ておきたいんだ、どんな記録が残っているのか」

鈴井「分かった。鍵を開けておくよ」

大泉「おぉーし、それじゃあみんなぁ、早速見に行こうか。ね?」

戦刃「……了解、した」

鈴井「ああ、みんなで先に行ってくれないかな」

苗木「……鈴井さんは?」

鈴井「これを片付けないと」

大泉(鈴井さんは血塗れのステージを見つめた。誰もが何も言わない)

十神「………そうか。それがお前の責任の取り方ならそうすればいい」くるっ

苗木「え?十神クン」

十神「行くぞ。望みを叶えてやれ」

苗木「………う、うん………」

すたすたすた

大泉「ちゃんと後から、来ますよね?」

鈴井「………」にこ

大泉(扉が、閉まった)


ごうんごうんごうんごうん………



鈴井「………」





鈴井「………ごめんね、みんな」

鈴井「コレで僕も逝ける」

こつこつ………

鈴井「長いようで短かっただろうけど、」

鈴井「僕にとってこの3年、本当に楽しい日々だった」

鈴井「ありがとう、希望の高校生達」

鈴井「そんな君達を裏切る真似をする僕を、どうか許して欲しい」

ぽち

ういいいいん

……ぽた、ぽた、ぽた……


鈴井「………」

鈴井「本当なら、僕も君達の隣にいたい」

鈴井「それでもやっぱり、僕はこの方法しか分からないんだ」

鈴井「僕の死で、負の連鎖に終わりを作ろう」

鈴井「………」

鈴井「さよなら大泉君」




鈴井「未来を頼んだよ」






ぽち




ーーーーーーーーーーーーーーー






2階






ーーーーーーーーーーーーーーー



こつこつこつ


桑田「うっわ、瓦礫!」

腐川「ず、随分ボロボロね……」

セレス「そして崩壊した部分を鉄板で直した跡がありますわね」

大泉「僕ら、本当に大変な争乱に巻き込まれてたらしいねぇ」

朝日奈「……ぜんぜん、実感無いね」

大泉「全くだ」

十神「随分な荒れようだな。入れる部屋も限られているとは」

石丸「外は……もっと酷いのだろうか?」

十神「さぁな。見てもいないのに判断は出来んだろう?」

大泉「覚悟するんならしておけよ。あの映像みたいなのがばーっと広がってるかもしんないからね」

舞園「そうですけど、あんなに前向きに言っておいて脅さないでくださいよ……」

十神「さて、そっちは?」

がちゃ

石丸「ここは………ロッカーか?」

苗木「みたいだね。ボロボロだけど」

戦刃「ここはみんなのロッカーだった。だから、機械が生きてるロッカーに、決まった人物の電子生徒手帳を翳せば開く」

舞園「私のは………ダメですね。他の人のも……あれ、霧切さん!葉隠君!」

霧切「このふたつだけ無事なようね」

大泉「さっさと開けてごらんなさいよ」

葉隠「言われなくても……」



ぴぴっ


がちゃん

桑田「………あ?水晶玉?」

葉隠「ああああ!!これはっ!!」

大泉「あ?何よ?」

葉隠「一億の水晶玉!!」

セレス「!?」ぴく

大神「………一億………それがか」

葉隠「そうだべ!こいつは象が踏んでも大魔神が踏んでも壊れねぇと言う代物のっ!」

大泉「また随分なしろもんだねぇ……つーか一億て」

葉隠「あのナポレオンが所有したと言われてるもんなんだ!マジでだからな!!」

苗木「騙されてる、絶対騙されてるよ……」

腐川「外に出たら少しは治るといいわね、その残念な頭……」

戦刃「自分が言われてるみたいで辛いよ……」

朝日奈「戦刃ちゃんどんだけ残念残念言われてたの!?」

桑田「つかそれ割れないんなら投げていいか?」

葉隠「なぜそうなる」真顔


がちゃん


霧切「こちらは……」

苗木「手帳みたいだね」

霧切「………学園の事、絶望の事、父の事……色々書かれているわ」

苗木「………」

がちゃ

大和田「おい、奥にも部屋があるみてぇだぞ」

霧切「………そう」

大和田「多分ありゃあ……誰かの個室なんだろうけどよぉ、見るか?」

苗木「………うん」

ーーーーーーーーーーーーーーー








地下








ーーーーーーーーーーーーーーー



















ぽた………















鈴井「あれ?」










鈴井「なんで僕は死なない?」

鈴井「なんで僕が死ねない?」かち

鈴井「なんで機械が動かない?」かちかち

鈴井「なんで、なんで!」かちかち

鈴井「僕が、僕さえしっかりしていれば、こんなに人は死なずに済んだんだ、だから……だから頼む」かちかち

鈴井「僕を!」かち


かちかちかちかちかちかち


『ダメ………貴方は、死なないでよぉ………』


鈴井「!?」はっ



『貴方がいなくなったら……僕、本当に悲しいから……!』



鈴井「アルターエゴ!?だ、ダメなんだよ!」

鈴井「命の対価は払わなきゃいけないんだ!僕がこの場ですべてを償わなきゃいけないんだよ!」かちかちかち

鈴井「分かってくれアルターエゴ!!」かちかちかちかちかち




ざ、ざざざ








   『って言ってますよ先生』

『いやぁそらぁ違うねぇミスター』







鈴井「………あ………!?」

『いやぁ、遅れちゃいましたなぁwww』

   『大遅刻ですよ』

『僕ら一応電波扱う仕事だからねぇ、電波ジャックに対抗とか、法に触れない方法では出来ない訳よ』

   『藤やんは単に技術ないだけでしょ』

『うるさいですよぉwww』

   『本当の事でしょ、ずっとどれがなんだか分かってなくって』

『それは嬉野さんもそうだったでしょう?貴方この手のもの詳しいって言うから任せたのにねぇ』

   『その話は関係ないでしょ!』



鈴井「……無事、だったんですか……」



『……ん?ぁあ?当たり前でしょう?僕ら4人は運命共同体なんですから』

   『そうそう、みんなで旅しながら死ぬんでしょ?』

『貴方がねぇミスター、先に死んだら、嬉野さんの出番なくなるもの』

   『そうだよミスター、年功序列は守んないと』


鈴井「………そん、なの」


『アンタがいなかったら、次の旅、誰が大泉君騙すのよ』


鈴井「………でも、僕は………」

『でもでもうっさいねぇ!赤福食わせるよ!』


※Tips…【赤福】
三重県の名物。どうでしょう的には、ミスター鈴井の苦手なものツートップ(もうひとつはずんだ餅)。
あーかふく!あーかふく!
餅の上にこし餡を乗せた餅菓子であり、その起源は今から300年以上前の1704年。川のせせらぎ、川底の小石をモチーフにしている。
2011年の【原付西日本完全制覇】では、伊勢市に入った途端数多の赤福の看板が町に現れ、これを【赤福コール】と呼んだ。
あーかふく!あーかふく!
その後藤やんとミスターは赤福対決をする事になるのだが、ミスターはなんと1箱6つ(ハンデあり)のうち4つを一気に口に放り込むと言う作戦にでた。
結果藤やんが笑ってしまい「死んじゃうってミスター!」を連呼、赤福が進まずミスターが勝つ。が、いろいろな理由を付けてこの甘味対決の結果自体は次回に持ち越しとなった。



鈴井「いや、赤福はちょっと………サンフルーツか梅干しにしません?」

『ダメだよ、そんなのミスターが絶対勝つじゃない』

鈴井「いやいやいや、ずんだとかだと藤村さん有利すぎますから」

『そんなにサンフルーツ対決したいんなら生きてそっから出てきなさいよ』

鈴井「………」

『ちゃんと全うに出てきたら、ちゃんと全うに対決組んでやるからさ。いいかい?』

鈴井「………僕は」

『確かにアンタは許されない事をしたよ、ミスター』

   『そうだね。ミスター……ミスターがやった事は多分、みんな許さないよ』

『でもさぁ、それではいおしまいってのは、僕の流儀じゃあないんだよねぇ』

鈴井「………」

『我々、代替わりとかもしてないわけ。もう老化してくだけよどうでしょう班。あとはさ、全員死ぬまでどっか旅出ましょうよ、ミスター』

『アンタが檻の中で、反省するまで待っててやるからさ』

『そんで出てきたら、また旅に出ましょうよ。今度はちゃんと、しっかり企画作ってさw』

鈴井「………藤村、さん」

   『そうだよミスター。ミスターじゃないと、成り立たないんだから』

鈴井「嬉野さん………」

『ほら、大泉君待ってるんでしょ』

鈴井「………」

『行けよ、ミスター。アンタを待ってくれてる人の為に』

鈴井「………どいつもこいつも、ほんと優しいんだね」

『違うぞぉ?ぼかぁミスターの苦しむとこがみたいだけなんだぁwww』

   『やめようよぉwww死んじゃうよ次www』

『そうだねwww赤福一気食いとかはダメだからねミスターwww』

鈴井「はは、ほんとに………ありがとう」








『ほらぁ、行けよ。行けよダメ人間。そんで俺らをまた四国に連れてってくれよぉ』



『さいころとボード用意して待っててやるからよ』





鈴井「………行ってきます。」




ーーーーーーーーーーーーーーー






2階
個室








ーーーーーーーーーーーーーーー

腐川「あ、ここ、は」

霧切「学園長のプライベートルーム、と言ったところかしら」

苗木「みたいだね」

大和田「ついでにこんなもんもあったぞ」

がちゃ

桑田「あー?これって………」

不二咲「DVDだよねぇ?多分、読み取り出来るかなぁ」

大泉「DVD?なんの」

大和田「分かんねえっす」

セレス「そこのパソコン、動いておりますの?それで再生してみては?」

霧切「そうね。どうかしら?不二咲君、パソコンは」

不二咲「確認するね」


かたかたかたかた……

不二咲「……うん、正常だね。壊れてるとこはないよ。アンチウィルスプログラムもちゃんと作動してるみたいだし」

苗木「見てみようか」



ういいいいん




じ、じじじ………


ぱっ


『これから、君達にひとつ質問をする』


桑田「あ、この人!確かー……」

霧切「背中しか映っていないけど、学園長……父ね」

苗木「相手は………ボク、みたいだね」

大神「ほう、このようなモノが」

セレス「もしかして、全員分あるんではありませんの?」

葉隠「んあ、かもしんねーな……」



『このビデオは最終確認として撮らせてもらっている。いいね』

過去の苗木『はい』

『これから君達には、安全なシェルター化した希望ヶ峰学園旧校舎にて、共同生活を送ってもらう』

『この争乱が収まるのが何年後になるか分からないが、平和になるその時までは君達にここに入っていてもらう』

過去の苗木『………はい』

『そしてもしも世界の終わりが終わったら、この学園から出て、世界の復興に手を貸して欲しい。了承してもらえるかな、苗木君』

過去の苗木『……こうなった以上、仕方がない……ですよね』

『ありがとう、そして申し訳ない。私のわがままに付き合わせて』

過去の苗木『わがままなんかじゃないですよ、学園長』

『え?』

過去の苗木『大丈夫、ボク達はちゃんと前に進めます』

過去の苗木『例え何があっても―――』







「『希望は前に進むから』」



ぷつん


苗木「………ボク、あんま変わってないのかな?」

大泉「やっぱり、この物語はキミの物語だったな、苗木君」

苗木「え?」

大泉「いや、つまりさぁ、」

大泉「僕らを引っ張っていけるのは、やっぱりキミだけだって事さ」

霧切「……そうかもしれませんね」くす

苗木「え?今のでどうしてそうなったの!?」

朝日奈「と、ところでさ、みんな……この部屋、隙間風が吹いてるんだけど」

石丸「欠陥が?いや、そんな風には見えないな……」

大神「否、壁に何かがあるが?」

腐川「あ、あら、本当だわ……全然気付かなかった……」

戦刃「なにこれ……知らなかった……」

大泉「どこまでも残念ねぇ、君は」

舞園「もしかして、そこの壁は扉……なんでしょうか?」

霧切「隠し部屋なのね。パスワードは………今なら分かる」


かたかたかた


苗木(………kyoko………)


ぴー……
がこん………


霧切「そして恐らく、苗木君。ここに私の父はいる」

苗木「………え?」



苗木(その部屋は、コンクリートで四方を囲まれていた。)



苗木(壁には一面霧切さんのポスター?が貼られている)

苗木(あとうちわとかネックレスとか写真とかある)

苗木(さりげなく【どうでしょう祭のポスター】も貼ってあるな)



霧切「」

葉隠「ネタにしちゃやりすぎだな」

大泉「まったくだね、怖いよ。末恐ろしいよ」

苗木(そんな一室の真ん中に、机と………その上に大きな箱があった)

霧切「………」ぱか

朝日奈「それ、って」

大和田「骨だな……骨だ」

十神「人間、成人男性と思われるな。頭蓋骨の大きさからそう考えていいだろう」

桑田「一人分丸ごと入ってるとか、言わねー……よな……?」

大神「………本数や質量からすると、もしや」

朝日奈「わーわーわー!」
桑田「マジかよシャレんなんね……!」

霧切「………」そっ




「………お父様」ぼそ




苗木「え?」

霧切「コレはきっと、いえ、確実に………父よ。……父の亡骸よ」

大泉「これが?って……骨が……」

戦刃「………」

腐川「じ、じゃあこれをあの鈴井とか言う人が……」

霧切「………でも、やっぱり証拠がない」

苗木「!」

大泉「子猫ちゃん」

霧切「だからあの人は、罪に問えないわ。……悔しくても悲しくても、ね」

霧切「………行きましょう。感傷に浸っている場合じゃない。私達は」

苗木「……いいの?」

霧切「いいのよ。きっとあの人も、この結末は読めていた」

大泉「………行こうか」

苗木「………」



霧切「さようなら、お父様」

ーーーーーーーーーーーーーーー







玄関






ーーーーーーーーーーーーーーー

苗木(ボク達が玄関ホールに向かうと、そこには鈴井さんが先に待っていた)


鈴井「やぁ」

霧切「……来てくれたんですね。来ないかと思ってました」

大泉「やっぱりアンタ死ぬ気だったな」

鈴井「ま、色々あってね」

大泉「色々ってなんですか色々って!」

鈴井「とにかく、僕は死ねなくなっちゃったよ。君のせいだからな、大泉君」

大泉「………へぁ?」

舞園「とにかく、いいじゃないですか、今はこれで」

鈴井「……そうだね。僕が償うのは、もう少し先延ばしにさせてもらおうと思うよ」

大泉「先延ばしねぇ。なんでもかんでも先延ばしにしてぇ……」

石丸「いつか必ず守られる約束なのでしょう?ならば問題ありません!」

霧切「守るかしらね、鈴井貴之が」

鈴井「ちょっと止めてよ」

大神「だが、我らがひとりも欠けなかったのは……貴方のお陰。感謝いたします」

鈴井「いやだからほんと、いいから僕の事は」

桑田「ここ出たら胴上げしねー?」

大和田「何のための胴上げだ?鈴井さんのか?」

石丸「ああ、そうだな!僕達を案じてくれていたミスターどうでしょうを胴上げしよう!」

山田「しかし人一人持ち上げる筋力はナイーヴ……」

葉隠「んならオーガ一人で間に合うべ」

朝日奈「聞こえたよ男子……」ごごご

葉隠「なんで朝日奈っちが怒るん!」

桑田「つかオレらも巻き添え!?」

腐川「あ、相変わらずこのタイミングでうるさいのよ!」

山田「まあまあまあ、いいじゃあありませんか、今は」

戦刃「最高のエンディングではないけど、でも最良のエンディングなのかもしれないね」

苗木「エンディングじゃないよ、これは新しいスタートなんだから」

舞園「そうです、ここからまた新しい旅が始まるんです」

大泉「たどり着いたらそこがスタート、ってね。ゴールを決める余裕なんてのぁ、今はないんだよぉ」

葉隠「まんま夢旅人の受け売りじゃねぇか!」

大泉「うるせぇなぁ!」

鈴井「………苗木君、これを」

苗木「え?」

鈴井「この扉を開けるボタンさ」

霧切「そうね、それを押すなら苗木君がいいかも」

十神「押さないなら俺が押してやってもいいぞ」

朝日奈「それはいいや」

十神「!?」

石丸「新たな門出だ。僕達を勇気づけた君こそ、そのスイッチを押す権利がある」

不二咲「そうだねぇ。お願いだよ、苗木君」

葉隠「んだな!苗木っちが押すといいと俺のインスピレーションにも出て」

大泉「お前のはマジではずれたら困るから黙っとけ」

葉隠「何で!?」

朝日奈「あー、葉隠もいいや」

葉隠「!!?」

セレス「ふふ、いつの間にか私達のナイトになっておりましたわね?苗木君」くすくす

苗木「あー、えーと、じゃあ、ボクが押すけど……」


苗木「………このボタンを押したら、外に出られるんだよね」



苗木「………こう言うのも、一応【卒業】って言うのかな?」


霧切「ふふ、そうね。卒業おめでとう」

大泉「………つーか、ここ出たらとりあえずどうすんだ?」

鈴井「僕は少しやる事があるよ。大泉君、一緒に来るかい?」

大泉「もちろんですとも、ミスター。貴方が行くところなら、例えユーコン、北極圏、HTBの駐車場、四国……どこへでも」

朝日奈「あ、じゃあ私はドーナツ屋さん探す!」

山田「僕もまんだらけ探しますかねぇ……」

大和田「んなもんあるか?」

苗木「可能性はゼロじゃない、んじゃないかな?」

大和田「そうかよ……んならオレぁ、チームのメンバー探してみるか……」

舞園「私もメンバーを探します!……みんなきっと無事ですよね……?」

石丸「僕はどうしたらいいんだ……ううむ……」

不二咲「じゃあ、僕は大和田君に着いていくよ」

大和田「!?」

不二咲「ダメ、かな」

大和田「いや、別にダメじゃあ……」

石丸「兄弟ッ!僕も連れて行ってくれ!三人寄れば文殊の知恵だ!」

大和田「なんだそれ」

大泉「慣用句だよ」

大神「我はまずは道場の生き残りを捜してみるとするか……お主等は?」

桑田「あ?オレはー………あー、グラウンドみてーなとこねーか見てみる」

葉隠「素直じゃねーなオメーも」

桑田「うるせぇよ!オメーこそどうすんだよ!」

葉隠「わかんねー、とりあえず俺のインスピレーションの赴くままに歩いてみっかな。探してぇ人もいるからよ」

セレス「ふふ、では私も探したいものがありますので、そちらに行かせてもらいます」

十神「俺もだ。十神財閥の生き残り……一部は失踪と言っていた、まだ望みは残されている。早急に復興してみせる」

霧切「腐川さんは………」

腐川「ダメって言われても白夜様に着いてくわよ」きりっ

十神「ダメだしその辺で倒れておけ」

腐川「あああああああ!すみません白夜様ああああ!!」

十神「俺が次に視界に入れるまで死ぬな、面倒だからな」

腐川「了解いたしましたぁん!!」

霧切「みんなバラバラね。貴方は?戦刃さん」

戦刃「……私に選ぶ権利はないから」

霧切「そう。じゃあ、私達と一緒に、行きましょう」

戦刃「え?」

苗木「……ええと、私達って」

霧切「当然貴方も入っているわよ、苗木君。貴方にはやるべき事があるでしょう」

霧切「……最後まで諦めなかった貴方の、【超高校級の希望】を、この世界に広めるための旅」

苗木「超高校級の希望……」

霧切「それまでではないにしても、それに近い事を考えていたんじゃない?」

霧切「外に残っているはずの人を捜す旅、それを始める予定だったんじゃないの?」

霧切「違う?それともそれ以外の事を考えていた?」

苗木「すっごい考え読まれてたみたいで恥ずかしいよ……あと超高校級の希望って何?それもなんか恥ずかしい」

霧切「……言ってみただけよ」

戦刃「希望、か。私も、抱いていいんだよね、希望……」

苗木「もちろんだよ」


苗木「希望って言うのは、どんな人にでも平等に存在するんだから」


ぽちっ


ご、ごごごご


大神「しばしの別れだな」

葉隠「まあまたどっかで会うだろ、生きてりゃな」

戦刃「そうだね、きっとまた会えるよ」


ごごごごご


セレス「ふふ、その時までみなさん、どうぞお元気で」

石丸「ああ、みんなも体調管理には気をつけるんだぞ」

大和田「風邪とか引くんじゃねぇぞ、その……心配するからよ」

舞園「ふふふ、そうですね」


ごごごごご


鈴井「もしかしたらまた近いうちに会う事になるかもしれない。その時はよろしくね」

不二咲「それって……うん、でもその時はやれる事をやります」

朝日奈「うんうん!私でよかったらなんでもするよ!」

山田「今何でもするって言ったよね?」


ごごごごご


桑田「この期に及んで変な事言ってんじゃねーよ!カッコつかねーだろ!」

十神「全くだ、折角の門出が台無しになる……」

腐川「びびび白夜様の新しい人生に何してくれてんのよぉ……」

霧切「まぁいいじゃない、いつもどおりで」

大泉「そうだねぇ、気張らすそのままでいいよ」


苗木「……行こう、未来へ」





ごごごごご―――




苗木(そしてボク達は、歩き出す)

苗木(絶望と死が支配している、)

苗木(それでもわずかに希望が残った現実へ)

苗木(大丈夫、きっと大丈夫)

苗木(みんなならきっとちゃんとやれるよ)

苗木(ボクはそう信じている)

苗木(例え誰かが信じるのを止めたとしても、)

苗木(ボクは絶対に諦めない)

苗木(必ずいい事が訪れる、ってボクは信じる)

苗木(みんなの事を信じてる)

苗木(この世界を信じてる)


苗木(だって―――)






苗木(人より少し前向きなのが、ボクの取り柄なんだから)




ED:6分の1の夢旅人2002
http://youtu.be/z0Ik6-Wn4Po



彼らの戦いはこれにていったんおしまい。


この扉の向こう側に何があるのか、それはまだ誰も知りません。

けれど、きっと。

その先には、希望が待っているんじゃないかと、思います。

今はまだ、それだけです。


きっとこの先彼らには苦難がたくさん待ち受けているでしょう。
けれど、希望は前に進みます。
だから諦めないでください。
この世界はそんなに、捨てたもんじゃないと思います。


と、ちゃんと読者さんに媚びを売ってだwww

最初は「全員生還のifを大泉洋をぶち込んでやってみよう」なーんて思っちまったわけです。
いやぁ、長かったねぇ。
こんなにシリアスになるとも思ってなかったしねぇ。

完全な意味での全員生還にはなりませんでしたが、これが彼らの結論です。
舞台版見てよけいにねぇ、殺したくないなッ!みんな生き残れよッ!って思っちまったんだもんねぇ。
仕方ないよねぇ。

まあまあまあ、あんまり長く語ってもアレですから。締めますよぉ。






大泉洋「私立希望ヶ峰学園?ドッキリじゃないの?」


         完




















ーーーーーーーーーーーーーーー





      ???




ーーーーーーーーーーーーーーー












(……)


(………)



(………………)




(………………暑い、)


(暑い、なまらあつい……)

(今年の北海道はやったらめったら暑いなぁ、大泉ィ……)


ざざーん………


(………………)


(………………)

(………………)



「あの、えっと……」


(………………)



「大丈夫………です、か………?その、なんでこんなところで倒れてるんですか………?」


(………………)


(………………ん?)


がばっ


(ここは、北海道じゃ………ない………?)





森崎「どこよここ」

日向「俺も分かりません」



ーーーーーーーーーーーーーーー


スーパーナックスロンパ2 さよなら平岸公園

に続………く………?


ーーーーーーーーーーーーーーー

続くとか言ってアレですけど今のところ未定です。書くかどうかも未定です。そもそもモリが出るかどうかも未定です。


大泉洋と、チームナックス。
そしてダンガンロンパの生徒達。
オフィスキューの皆さん。
スパチュンさん。ラストでなぜか呼び捨てしちゃった小高さん。

ここまで読んでくれた皆さん。
SS速報さん。
あとはもういろんな人。


全員に最大級の感謝を込めて。


本日のご来場誠にッ!!ありがとうございましたァァァァァッ!!

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom