真姫「私の一番欲しいもの」 (61)


よく、お金では買えないものがあるっていう言葉あるじゃない?

正直、私は今までその言葉。馬鹿にしてたわ。そんなものはあるわけないじゃないって。

でも、それはにこちゃんに会うまでの私の話…。



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真姫「ねぇ、にこちゃん」



にこ「…ん、何?真姫ちゃん」



真姫「あの…その………」



にこ「何よ。歯切れが悪いわね」



真姫「あの、にこちゃん!……その…い、今付き合ってる人とかっているの?」



ついに聞いちゃった…。



にこ「……あー、いるわよ」



は?…今なんて言ったの?にこちゃん

真姫「…はぁ」



穂乃果「どうしたの?真姫ちゃん」



真姫「穂乃果…」



穂乃果「最近、元気ないみたいだけど…何かあった?」



真姫「大丈夫よ」




穂乃果「そう?あ、そうだ!今日は用事あるし帰るね?」



真姫「ええ…」



穂乃果「練習出れないって他の人にも伝えてもらってもいいかな?」



真姫「そのぐらい自分で伝えなさいよ…」



穂乃果「お願いしますーっ!直接言ったら絶対、海未ちゃんが怒るよ~」



真姫「分かったわよ…今日だけだからね?」



穂乃果「うん、ありがとう!」



…私も今日は練習って気分でもないわね。まだライブやイベントの時期でもないし休んでも今日はいいわよね?



―――
――


はぁ…。何で買い物なんかに、来ちゃったんだろう…。今日くらい家でゆっくりしておけば良かったのに。


まぁ、いいわ。次はあの店にしようかな?


……ん?あれ、にこちゃんがいる…。
後ろからじゃ、よく分からないけど、とても楽しそうね。にこちゃん。


でも、隣にいる子が誰かって事は一目瞭然ね…。
茶髪で黄色いリボンにサイドテール。……そう、にこちゃんの彼女って穂乃果だったたのね。


にこ「あれっ、真姫ちゃん?」



しまっ…つい、ボサッとしてたら気付かれてしまったわね。



真姫「にこちゃん。…それに、穂乃果も」



穂乃果「真姫ちゃん、今日練習は?」



真姫「ああ…何だか今日は調子が悪くってね。それで休ませてもらって、買い物を気分転換にしてたのよ」



にこ「ふーん?まぁ、いいんじゃないの」



…ねぇ、にこちゃん。
今までにこちゃんと穂乃果が放課後、学校に居なかった事がたまにあったけど、いつもこうしてデートしていたのね…



穂乃果「あ、じゃあ穂乃果達も行くね?じゃあ、また明日ね。真姫ちゃん」




穂乃果、本当は私がにこちゃんの事好きって知ってるのよね?

なのに何で言ってくれなかったの…?どうして!?ねぇ、何でなのよ!?


どうしてよ…にこちゃん……。
顔だって私の方が可愛いし、頭だって私の方が上よ?



どうして、にこちゃんの隣は私じゃないの?

穂乃果「にーこちゃん!」



にこ「ちょっと、抱きつかないでっ」



穂乃果「えー、いいじゃんーっ」



にこ「人前だし…その…」



穂乃果「もうー、にこちゃんのへたれ」



真姫「…何でもいいけど、部室でいちゃつくのやめてくんない?」


ほんと目障りなんだけど…


穂乃果「ご、ごめん…」




あの後、にこちゃんが穂乃果と付き合ってるって事をメンバーにだけ打ち明けた。
まぁ、私は知っていたし大して驚かなかったけど他の人はびっくりしてたみたいね。

――― 
――


「おつかれさまー!」





真姫「ねえ、穂乃果」



穂乃果「ん、何?」



真姫「今日は一緒に帰らない?」



穂乃果「うん、いいよ」


とある日の練習後、私は穂乃果を誘って一緒に下校する事にした。






穂乃果「…で、何か話でもあるのかな?」


歩きながら、穂乃果はそう言った。
結構、穂乃果って勘のいい子ね。



真姫「まぁ、ちょっとね」



穂乃果「ふーん、で話って何?」



真姫「…穂乃果はにこちゃんといつから付き合ってるの?」



穂乃果「穂乃果が生徒会長になる辺りの頃かな?」



真姫「へぇ…」



穂乃果「何か言いたげだね」



真姫「…いや……べつに」



穂乃果「ごめんね」

真姫「何?いきなり」



穂乃果「本当は真姫ちゃんがにこちゃんの事ずっと前から好きだったって事知ってたんだよね」



真姫「…」



先に私が告白しておけば違った未来もあったかもね…



穂乃果「先に私が告白しておけば…とか思って、こんなのフェアじゃないって思ってるでしょ?」



真姫「……え、まぁ…少しは」



穂乃果「前ににこちゃんが言ってた事だけどね」



穂乃果「真姫ちゃんの事は妹にしかみえないって言ってたよ」



…嘘



穂乃果「本当手のかかる妹にこね~、って言ってたかな?」



その似てない物まね、本当に腹が立つ…



穂乃果「良かったね、告白しなくて」



このっ……。その言葉を言われた瞬間、私は穂乃果を反射的にぶってしまっていた。

穂乃果「いたっ…」



にこ「ちょっと!!真姫ちゃん!」



え…。何でここに、にこちゃんがいるの…



真姫「何でここにいるのよ…」



にこ「それは…ちょっと気になって後つけていったってだけよ。…それより、何で穂乃果をぶったのよ」



真姫「それは、穂乃果が」



穂乃果「ごめんね、真姫ちゃん。全部、穂乃果が悪いんだよね?」



にこ「穂乃果…」

真姫「ええ、そうよ。私にあんな事言うから……」



にこ「…にこはあんた達から少し離れていたから理由はよく分からないけど、穂乃果を傷つけたって事には変わりないわ」



真姫「…ごめんなさい」



にこ「さ、穂乃果も謝りなさい」



穂乃果「ごめんなさい…」



にこ「まったく…。もうこんな事しないでよね」




にこ「…あ、穂乃果は大丈夫だった?」



穂乃果「…うん」



にこ「あ、少し晴れてるわね…。さ、早くにこの家に行きましょう。手当てしてあげるわ」



穂乃果「うん」



にこ「真姫ちゃん。にこは暴力が一番嫌いなのよ。もし、また穂乃果を傷つけるような事をしたら真姫ちゃんとは絶交するからね」



にこ「じゃあね、真姫ちゃん」




すべてがどうでもいいと思えてきた。

私は欲しい物が手に入らないと思う瞬間なんて永遠に来て欲しくなかった。


二度とこんな思いしたくない…。
…もう、二度と恋なんてする事ないかもね。

終わりです

ほのにこが一番だね!

ほのにこが一番だね!

あれからというもの私の世界に、にこちゃんという光が無くなってしまった。

何もしたくない、何も考えたくない…。



教えて、私はどうすればいいの…?


真姫「はぁ…」



今日も暇ね…。
退屈な授業、退屈な日々。

にこちゃんと穂乃果とはあれから少し気まずいし、放課後の練習にも顔を出しづらいわね…。





絵理「あらっ?真姫どうしたのよ。練習行かないの?」



真姫「…ごめん、今日は行きたくない」




絵理「ふふ。じゃあ一緒にさぼっちゃう?」




真姫「…え?」



意外ね、エリーがそんな事言うなんて



真姫「まぁ、いいけど…」



絵理「でも、今日だけよ…?」


絵理「ふぅ…。いっぱい買っちゃったわね」



真姫「あなた買いすぎよ…」



絵理「まあ、いいじゃない。あ、あそこのカフェで休憩しない?」



真姫「ん、行きましょうか」



――― 
――


「いらっしゃいませー」



絵理「真姫。コーヒーでいい?」



真姫「ええ」



絵理「コーヒー、二つ下さい」



「はい、かしこまりました」




真姫「…」



絵理「何、悩みごと?それともコーヒーに砂糖でも入れる?」



真姫「…ああ、じゃあ一つ入れようかな」



絵理「ここ、いい店ね」



真姫「まぁまぁね…」




絵理「……私ね、穂乃果の事好きだったの」



真姫「いきなりね。で、それが何?」



絵理「つれないわね。あなたもにこの事好きだったんでしょ?」



だった?
ふっ、そうやって過去形に出来たらどんなに気が楽なんでしょうね。


真姫「まぁね…」



絵里「でね、こっぴどく振られちゃったのよね。穂乃果に」



真姫「…なによ、慰めて欲しいの?」



絵里「お互い同じ境遇なのにその言い方はないんじゃないのかしら?」



絵里「失恋同盟ってことで……ね?」



真姫「何が失恋同盟よ。勝手に入れないでよ」



絵里「まぁ、細かい事は気にしない」



真姫「もう…、分かった入るわよ」



絵里「やった」

絵里「じゃあ、言うけどね。あなたちゃんと失恋出来てないんでしょ?」



絵里「おおかた、告白する前に穂乃果と付き合ってるって事を知ったってとこでしょ?」



真姫「それはエリーもじゃないの?」



絵里「ふふん、私は穂乃果がにこと付き合う前にちゃーんと告白したわよ」



真姫「振られたくせに、えらそうよ!」



絵里「…どうするの?あなた、そのままじゃ新しい恋だって出来ないわよ」



真姫「いいの。この気持ちと共に私は朽ちていくわ…」



絵里「真姫…」



真姫「心配ありがとう。でも大丈夫よ、あなたと話してちょっとは気が楽になったわ」



絵里「ふふ、先輩は頼るものよ?」



ありがとう…絵里

一旦休憩

この先どうなるかはまだ何も考えていない

にこ「ねぇ…。真姫ちゃん」


真姫「ん、何か用?」


にこ「いや、最近真姫ちゃんと話してないなーって思ってね?」


真姫「別に…こっちからは特に話しかける用事も無かったってだけでしょうよ」


にこ「そっか。…あの時の事、まだ気にしてるの?」


真姫「…別に」


にこ「ねぇ、今からにこは真姫ちゃんに酷い事言うと思う」


真姫「…え」


にこ「それでも聞いて欲しいの。いいかな?」


真姫「…うん、聞くわ」

にこ「にこはね、穂乃果の事が大好きなの。だから、真姫ちゃんとは付き合えない。ごめん」


真姫「あなた何言っ「穂乃果から聞いたの」


にこ「穂乃果がね。あの後、私に言ってきたのよ。泣きながらね、真姫ちゃんに酷い事しちゃったどうしよう…、てね?」


真姫「そっか…穂乃果がね」


にこ「ごめんね…穂乃果には散々叱っておいたから、許してあげて」


真姫「いや、あれは手を出した私もいけないのよ」


にこ「まぁ、加減はしてくれてみたいで良かったわ…」


真姫「うん…」


でも、これで私も振られちゃったのかぁ…。

これで、エリーみたいに過去の事って割り切る事が出来たからいいな…。


にこ「んじゃ、帰るわね。穂乃果が外で待ってるし」


真姫「うん、また明日」

行っちゃった…。
でも、何故か今は爽やかな気持ちね。

…新しい恋かぁ。少しは考えてみようかな?


あら?あそこにいるのはーー


絵里「どう?ちゃんと振られてきた?」


真姫「何で、知ってるのよ…」


絵里「そんなの、今のあなた顔を見れば分かるわよ。…すごい綺麗な顔してるわよ、真姫」


真姫「あ、ありがと…。エリーのおかげよ」


絵里「ううん、頑張って現状を受け入れたのは真姫じゃない」


真姫「エリー…」


絵里「ん、何?」


真姫「新しい恋、私に教えてくれるかしら?」


絵里「ええ、もっちろんよ」




終わり

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