雪歩「催眠療法……ですか?」 (182)




●主な登場人物 … 雪歩、P



●序章の【雪歩と催眠術】は冗長な導入なので、おそらく飛ばしても読めます。

●エロはございません。

●細けぇことはいいのです。




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●目次


case.1 …【雪歩と催眠術】[43/43]

case.2 …【雪歩と犬】[29/29]

case.3 …【雪歩とご褒美】[25/25]

case.4 …【雪歩と男の人】[22/22]

cace.1´…【完璧な催眠術】[8/8]






 【雪歩と催眠術】






―――765プロ事務所―――



 ガチャッ…


雪歩「……。」トボトボ



P「おお、雪歩。おかえり」

雪歩「っ!! ……は、はい」ビクビク

P「うん? どうした、浮かない顔だな」

雪歩「ごめんなさい……ごめんなさい、ぷろでゅーさぁ……」ジワッ

P「……もしかして、仕事がうまく行かなかったか?」

雪歩「……っ」コクッ





P「……そっか。だけど大丈夫だよ、雪歩。失敗は誰にでもあるからな」ニコッ

雪歩「でも、私……私……」ウルウル

P「おいおい、午後の仕事に目を腫らして行くつもりか? ほら、ハンカチ」スッ

雪歩「ごめんなさい……でも、午後のお仕事も、うまくできる自信がありません……」

P「公開収録のラジオだったよな。前にも一回やったじゃないか」

雪歩「……その時も、緊張して、うまく喋れなくって……」シュン

P「ああ……そういえばそうだったか」

雪歩「こんなダメダメな私なんて……!!」ジワッ

P「あっ、雪……!!」ガタッ


 バサッ


雪歩「―――あれ、その本……『催眠療法』?」





P「ああ、これな。友達に海外で働いてる医療関係者がいてさ、ちょっと教えてもらったんだ」

雪歩「催眠って……催眠術のことですよね?」

P「そうだ。テレビで見るヤツは、ちょっと胡散臭いイメージだけどな」

雪歩「それって、危なくないんですか……?」

P「大丈夫だよ、危険はない。べつに『ゴリラになれ~!』なんて催眠をかけるわけでもないし」

雪歩「じゃあ、なにをするんですか?」

P「苦手なものや怖いものを克服させたり、気持ちをリラックスさせたりだな」

雪歩「……! あ、あの、それってもしかして……」

P「あはは、わかっちゃったか……そうだ、雪歩の男性恐怖症や緊張症をどうにかできないかと思ってさ」

雪歩「……プロデューサー」ジーン





P「でも、俺は雪歩に催眠をかけることはできないんだよな……」

雪歩「え? えっと、どうしてですか?」

P「ほら、このページを見てくれ。ここに……ほら」ペラッ

雪歩「『施術者と被術者のあいだに信頼関係がなければ、催眠にはかかりません』……?」

P「ああ。催眠術を習う前に、知っとくべきだったよ」

雪歩「え、えっ……? あの……」





P「響とか、美希とかならかかるのかな? 今度ちょっとだけ試してみようかな」

雪歩「あ、あのっ!」

P「っ!? ど、どうした雪歩……?」

雪歩「どうして、私にはかからないんですか!? 私、プロデューサーのこと信頼してますっ!」

P「そう、なのか……? だが雪歩、お前が仕事を上手くこなせないのは、俺のせいじゃないか」

雪歩「え?」





P「雪歩の性格や適性に合わせて仕事を与えてやるのが俺の役割だ。それなら、雪歩がこうして落ち込んで帰ってくるのは……」

雪歩「ち、違いますっ! それは、私がダメダメだからで……プロデューサーのこと、本当に、信頼してるんですっ……」

P「……雪歩」

雪歩「それならプロデューサー! 私に催眠術をかけてください!」

P「え、今からか?」

雪歩「はい! 私がプロデューサーのこと、すごく信頼してるってことを、証明しますっ!」





P「はは……そう言われるとプレッシャーだな。でも、わかったよ」

雪歩「!」

P「もう雪歩に、自分をダメダメだなんて言わせたくないからな。やってみよう!」

雪歩「は、はい!」

P「と言っても、べつに大それたことをするわけじゃないんだけどな」

雪歩「そうなんですか……?」





P「ああ。雪歩は授業中にうたた寝したことはあるか?」

雪歩「えっと、はい……レッスンで疲れてたりすると……」///

P「催眠術をかける時って、『あなたはだんだん眠くな~る』とかやるイメージないか?」

雪歩「あ、たしかに……五円玉を揺らしながら……」

P「そうそう。それでな、うたた寝してる時と、催眠にかけられる前にボーっとしてる時って、ほとんど同じ状態なんだ」

雪歩「ええっ!? そうなんですか……?」

P「若干大袈裟に言ってるところもあるが、だいたいそういう認識で間違いない」





P「そういう状態っていうのは、『否定』ができないんだ。それは違うよ、とかな」

雪歩「だから、言うこと聞いちゃうんですか?」

P「そうだな。『目が開かなくなる~』とか言われると、あ、たしかに開かないかも……って思い込むんだ」

雪歩「な、なるほど……」

P「だけど、被術者がどうしても嫌だと思ってることは、直接的に強制はできないことが多い」

雪歩「えっと……?」

P「つまり、雪歩に『ここで服を脱げ』とか命令することはできないってわけだな」

雪歩「うっ、は、はい……」///





雪歩「でも、それじゃあ『男の人を怖がるな』とも命令できないんじゃ……」

P「そうなるな。でも『雪歩は今、自分の部屋に1人きり』『室内はとても蒸し暑くてたまらない』と暗示をかけたらどうだ?」

雪歩「……あっ」///

P「もしかしたら、服を脱ぐかもしれない。そうやって間接的にゴールを目指すんだ。将を射んと欲すればまず馬を射よ……だな」

雪歩「なるほど……」





P「だけどそうなると、どんな暗示をかけられるか怖いよな? だから、信頼が必要なんだ」

雪歩「そ、それは大丈夫です……プロデューサーは、そんな変なことしないって信じてますから」

P「それはもちろんだ。大切な雪歩に酷いことはしないよ」ニコッ

雪歩「はぅ……はい」///

P「雪歩、そこのソファに深く腰掛けてくれ。全身から力を抜いてな」

雪歩「は、はいっ」ポフッ





P「よし、そしたら深呼吸してくれ」

雪歩「え……?」

P「酸素をたくさん脳に送らなきゃ、催眠はかかりづらいんだ。目を閉じてゆっくりと、酸素を吸ってくれ。深呼吸でな」

雪歩「は、はい! すぅ~……はぁ~……」

P「息を吐くたびに、体の力も一緒に吐き出していこう。ゆっくりでいいからな」





P(……「さぁ催眠術を始めます」なんて言ったら、雪歩は絶対に緊張して身構える)

P(かといって「気を落ち着けるために深呼吸しましょう」なんて言っても、逆に身構えるしな)

P(このままシレっと催眠に移行しよう。身構える暇もなく)





P(……『プロデューサーを信頼してるから絶対に催眠術にかかる』っていう自己暗示もさせたことだし)

P(まずは簡単な催眠に何度かかけるか。権威暗示を植え付けて、俺の催眠にかかりやすくしよう)

P(雪歩は絶対に被暗示性の強い子だとは思うが、有名どころをかけてみて具合をチェックだな)





P「雪歩、額に軽く触れるぞ」トン

雪歩「は、はいっ!」

P「これで雪歩は絶対に立てなくなったぞ。試しに立とうとしてみてくれ」

雪歩「えっ、あっ……あれ? あれ……ええっ!?」///

P「俺が肩とポンと叩くと」ポン

雪歩「あっ……立てました……す、すごいっ!」





P(すごくない。ソファに深く腰掛けてて、額を押さえられてたら、立てなくなるに決まってる)

P(こんなものは催眠でもなんでもない。人体構造学とか、そんな感じの分野だ)

P(さて、次は……)





P「よし、じゃあもう一度だ。今度は肩に触れるぞ」ポン

雪歩「はいっ……」

P「雪歩は絶対に立てなくなる。足と腹に力が入らなくなるからな。絶対に立てない」ジッ

雪歩「……は、はい……あっ……やっぱり立てません……」プルプル

P「今度はそのまま座ってていいぞ。しばらく立てないからな」

雪歩「ええっ!?」





P(第一段階はクリア、だな。権威暗示の下ごしらえも済んだ)

P(今のは催眠術だが、本当に立てなかったわけじゃない。雪歩が無意識で“立たなかった”んだ)

P(ここで立ってしまったら俺のメンツも丸つぶれだし、立ってはいけないと考えた。だから立てなかった)

P(だが雪歩自身は、催眠術で肉体をコントロールされてしまったと思っているだろう)


P(雪歩の被暗示性はかなり強そうだ。もう少し宴会用の催眠で深化法を続けて、暗示を深くしていくか)





P「大丈夫、怖くないぞ。しばらくしたら立てるからな。安心してくれ」ニコッ

雪歩「あ……はい、プロデューサーのこと、信頼してますからっ」

P「ありがとう。じゃあ次は、この100円玉を握ってくれ」スッ

雪歩「はい……」ギュッ

P「もっと強く握っていくぞ。強く、強く握っていく……」

雪歩「ん~っ!」ギュゥゥ

P「よし、もういいぞ。そして俺が優しく手を握ると、手が開かなくなる」ギュッ

雪歩「あっ……は、はいっ。あの、開かないです……」///





P「じゃあ、100円玉に意識を集中してみてくれ」

雪歩「はい……」

P「だんだん重くなるぞ。ゆっくりゆっくり重くなって、腕が下がっていくぞ……」

雪歩「あ……手が……」スス…

P「腕と同時に、ゆっくり、まぶたも下がっていく。ゆっくり、そう、重くなって、閉じていくよ……」

雪歩「う、ぁ、ほんとに目が……こ、こわいですぅ……!」

P「大丈夫、安心してくれ。すぐに戻してやるからな。さぁ、目が完全に閉じるぞ。そして自分では開けない」

雪歩「あぅ……」パチ





P(自分に自信がない、他人の言葉に流されやすい、弱気でいつもビクビクしている……)

P(それでいて、素直で、想像力が豊かで、理解力や集中力もある……)

P(そんな子ほど被暗示性が強くて催眠術にはかかりやすいものだが、雪歩はかなりの逸材だな)

P(こんなにあっさり引っかかってオロオロ慌ててるのは、ほんとに可愛いもんだ)


P(さて、筋肉のコントロールはだいたい掌握したし、下ごしらえはこんなもんだな)





P「じゃあ俺が手を叩くと、今までの暗示がすべて解けるぞ。立てるし、手も開けるし、目も開く」スッ


 パンッ!!


雪歩「っ!!」ビクッ

P「よし、目が開いたな。手はどうだ?」

雪歩「ひ、開きます。えっと、足も動かせるみたいですっ」

P「よしよし、いい調子だな。ウォーミングアップはこんなものでいいだろう」

雪歩「い、今のはウォーミングアップだったんですか……?」





P「ああ。こういう準備体操をしておけば、本番の催眠も簡単にかかるんだ」

雪歩「そうなんですか……」

P「雪歩は適性があるみたいだから、これなら絶対に上手くいくよ。安心してくれ」ニコッ

雪歩「は、はいっ!」///

P「だが雪歩自身も、自分を変えたい、もっと素敵な自分になるために催眠にかかりたい……そう強く願うことが重要なんだ」

雪歩「……はいっ」

P「よし、じゃあ目を閉じて、また脳に酸素を送ろうか。はい、腹式呼吸で深呼吸してくれ」

雪歩「すぅ~……はぁ~……すぅ~……はぁ~……」





P(ここからは本気を出さなくちゃな。心のコントロールは、筋肉のコントロールとは難易度が段違いだ)

P(とびっきり優しい声で、ゆっくりと声を発音する……まずは雪歩を眠くさせなければ始まらない)

P(眠気を我慢させているという状況が重要だ。そうしてトランス状態へと導いて、深層意識へとアクセスする)

P(ゆっくりと、ゆっくりと、眠気で……意識を、心を麻痺させていく……毒のように、ゆっくりと)





P「……雪歩、そのまま目を閉じて、静かに聞いてくれ……」

雪歩「はい……?」

P「雪歩が一番落ち着く場所はどこだ……? 自分の部屋か? お風呂か? 布団の中か?」

雪歩「……穴、です」

P「穴? 自分で掘った?」

雪歩「はい」

P「なるほど、たしかに落ち着きそうだ。そこがいい。よし、ここからは返事をしなくていいからな。イメージに集中してくれ」





P「……想像するんだ。今、雪歩の目の前に『穴』がある。これは雪歩が自分で掘ったものだ」

雪歩「……」


P「そいつは底が見えないくらい深いけど、飛び降りても絶対に怪我しない、優しい『穴』なんだ」

雪歩「……」


P「雪歩の身体は羽根のように軽いぞ。そっと、飛び降りてみよう。ふわっとな」

雪歩「……」


P「ふわーっと、ゆっくり落ちていく、落ちていく……周りはどんどん暗くなるけど、それはとっても安心する暗さだな」

雪歩「……」





P「どんどん降りていって、やがて周りがなにも見えないくらい真っ暗になる。この世界でもっとも安心できる場所だ」

雪歩「……」


P「俺はこれから、この場所を『穴』と呼ぶ。雪歩も、俺が『穴』と口にしたら、この場所を思い出すんだ」

雪歩「……」


P「ここは雪歩を怖がらせたりするものの存在しない場所だ。安心していいからな」

雪歩「……」


P「この『穴』には今、雪歩しかいない。なにも怖くないし、とっても幸せな気分だよな」

雪歩「……」





P「雪歩の……羽根のように軽かった身体が、さらにもっともっと軽くなっていくぞ」

雪歩「……」


P「なにも考えなくていい、なにも心配しなくていい。だからとっても気持ちが楽になっていく」

雪歩「……」


P「頭が空っぽになっていく。脳が脱力していくと、思考がどんどん抜け出ていって、最後にはなにも残らない」

雪歩「……」


P「なにも考えない、なにも気にならない……とても気持ちいいよな。そう、そうだ……その調子だ」

雪歩「……ぅぁ」



P(口が開きっぱなしになったか……頭が空っぽになって、おばかになってるな)

P(トランス状態に入ってるとは思うが、一応試しておくか)





P「さぁ、遠くから声が聞こえてくるぞ。だけど、雪歩はなにも考えなくていい」

雪歩「……」


P「この声は、雪歩の心の声だ……この『穴』には雪歩しかいないんだから、当然だよな」

雪歩「……」


P「雪歩の心の声に、答えていこう。ここには雪歩しかいないから、誰も聞いていないよ」

雪歩「……」


P「声が聞こえたら、ゆっくりと、小さく、正直に、答えてあげような」

雪歩「……」





P「私の誕生日はいつ?」

雪歩「……12月……24日」


P「私の血液型はなんだっけ?」

雪歩「……A型」


P「私の大親友は?」

雪歩「……真ちゃん」





P「私は昨日、家に帰ってから寝るまで、なにをやってたっけ?」

雪歩「……家に帰って……ごはんを食べて……宿題をして……」


P「それから?」

雪歩「……恋愛の詩を書いてたら……身体、あつくなって…………をして……お風呂に入って……すぐに……寝た……」


P(これは……トランス状態に突入してるな)

P(早く次のステップに移らないと。本当に眠られても困るんだ)





P「さぁ、そろそろ雪歩の心の声が遠ざかっていく……」

雪歩「……」


P「今度はプロデューサーの声が聞こえるが、その声を聞いていると、どんどん気持ちが安らいでいくぞ」

雪歩「……ぁ」


P「聞き覚えのある声は安心するよな。家族や親友の声を聞いたりすると安心するように」

雪歩「……」


P「だから……俺の声を聞くと、とても安心する。その声は、心の奥底まで、届くんだ」

雪歩「……」





P「雪歩の家には、いかつい男の人たちがたくさんいるんだよな。それは怖いよ、俺でも怖がるさ」

雪歩「……」

P「だけど、その人たちに比べて、雪歩のファンの人たちはどうだろう? 屈強じゃないし、雪歩のことが大好きだ」

雪歩「……」

P「雪歩のことを絶対に傷つけたりしない。雪歩に酷いことなんて、絶対にしない」

雪歩「……」

P「みんな雪歩のことが大好きだ。それって、とっても幸せなことだよな。素晴らしいことだよな」

雪歩「……」





P「俺が雪歩を助けるのは、仕事だからじゃない。雪歩のことが大好きだからだ」

雪歩「……」

P「だからファンのみんなも、雪歩のことが大好きだから、雪歩のことを助けてくれる。素敵だよな」

雪歩「……」

P「雪歩は自分をダメダメだなんて言うけど、ダメダメだったら、みんなに好かれたりはしないんだ」

雪歩「……」

P「たとえ雪歩が失敗しても、雪歩が素敵で魅力的な可愛らしい女の子だから、笑って許せてしまうんだ」

雪歩「……」





P「雪歩はたくさんの人に見られると緊張してしまうみたいだが、それは間違いなんだ」

雪歩「……」

P「たくさんの人に見られて、応援されているから、愛されているから、緊張しなくてすむんだよ」

雪歩「……」

P「たくさんの人に囲まれて、見られているということは、とても素晴らしいことで、嬉しいことなんだ」

雪歩「……」

P「もし失敗したって、雪歩は可愛いなぁって許してくれるよ。だってみんなに愛されているからな」

雪歩「……」

P「だから緊張するなんて……おかしいよな?」

雪歩「……」





P「雪歩。今から俺が言うことを、ゆっくりと復唱してくれ。ゆっくりと、心の奥底に染み込ませるように」

雪歩「……はい」



P「みんな私のことが大好き」

雪歩「……みんな、わたしのことが、だいすき」

P「誰も私に酷いことはしない」

雪歩「……だれも、わたしに、ひどいことはしない」

P「たくさんの人に見られるのは嬉しい」

雪歩「……たくさんの、ひとに、みられるのは、うれしい」

P「だから私は絶対、緊張しない」

雪歩「……だから、わたしはぜったい、きんちょうしない」





P「よくできたな、雪歩。それじゃあ俺が言ったことを、よーく心に刻み込んでおこうな」

雪歩「……はい」

P「俺が今言ったことを、雪歩は決して忘れることはない。いつでも、どんなときでも頭の中にあるよ」

雪歩「……はい」

P「そして俺が『穴を掘れ』と言ったら、いつでも、今のとても心地いい『穴』へすぐに降りてくるんだ。いいな」

雪歩「……はい」

P「『穴』で俺が言ったこと、雪歩が言ったことは、思い出すことができない。それは当然だよな」

雪歩「……はい」





P「だけど言葉として、記憶として頭にのぼってこないだけで、言われたことは忘れてないし、心に残っている」

雪歩「……はい」

P「だから思い出すことはできなくても、俺に言われたことなら、考える前に実行できる」

雪歩「……はい」

P「それじゃあ、俺が手を叩くと、雪歩の意識は覚醒して、『穴』から出てくる」

雪歩「……はい」

P「目覚めるぞ」スッ


 パンッ!!


雪歩「―――っ!!」ビクッ





雪歩「あ、あれ……? えっと……」

P「どうだ、雪歩? なにか変な感じはあるか?」

雪歩「あ、あのっ、ごめんなさいプロデューサー! 私、途中から寝ちゃってたみたいで……!」///

P「いや、最初はそんなものだよ。だけど、もしかしたらちょっとは上手くいったかもしれないぞ」

雪歩「ほんとですか……?」

P「ああ、雪歩ほど純粋な子だと、寝ていたって暗示がかかりそうだしな」

雪歩「そ、そうなんでしょうか……」

P「そうとも。だから心配はいらないよ」





P「そうだ、午後の公開収録ラジオは、けっこうたくさんの人が見に来てくれるんじゃないか?」

雪歩「そ、そうですね。でも、緊張するっていうよりは、なんだか頑張らなきゃって気分になってきたかもです!」

P「おお、その意気だ! ファンのみんなは、雪歩のことが大好きだからな!」

雪歩「そう、ですね。えへへ、ちょっとくらい失敗しても、許してもらえたりして……」

P「もちろん許しちゃうさ。雪歩のそういうところだって、魅力の一つだからなっ!」ニコッ

雪歩「プロデューサーも……魅力的だって、思いますか……?」

P「おいおい、当たり前じゃないか。なにをいまさらって感じだぞ? 俺も雪歩のことは大好きだ」

雪歩「……あ、ありがとうございます」///





P「それじゃあ現場まで送っていくよ。そうだ、途中で昼食も食べなきゃな」

雪歩「はいっ!」

P「よし、じゃあ行こう!」

雪歩「はい」ニコッ

P「ああ、そういえば雪歩」

雪歩「なんですか、プロデューサー?」





P「なぁ雪歩。昨日の夜、詩を書いた後……なにをしてた?」

雪歩「…………ひとりで……えっちなこと、してました……」


 パンッ!!


雪歩「あ、あれっ?」ビクッ

P「ボーっとしてたぞ、大丈夫か?」

雪歩「はぅ、ごめんなさい……えっと、大丈夫です」

P「はは、まだ眠かったら、車でちょっと寝ててもいいからな。それじゃあ、今度こそ出発だ!」ニコッ

雪歩「はいっ!」ニコッ





 【雪歩と催眠術】 ―――了。






P「『穴を掘れ』」


雪歩「―――」ピタッ




書き込みエラーで、43と42の順番が逆になってしまいました。すみません><


パンツ脱ぐ……? 浣腸……伊織…… 鬱……やよい…… うっ、頭が……!

それでは続きを投下していきたいと思います。





 【雪歩と犬】






―――765プロ事務所―――



真「雪歩、なんだか最近機嫌がいいよね」

雪歩「えっ、そ、そうかなぁ……?」

春香「そうだよー。生き生きしてるっていうか、ねぇ?」

真「うん、向かうところ敵なしって感じ!」

雪歩「そんなこと、ないと思うけど……」///





真「お仕事中とかも、全然緊張とかしなくなったじゃない」

春香「なにかコツでも見つけたの? 緊張しなくなるコツ、みたいな!」


雪歩「え、えっと、プロデューサーと…………あっ、やっぱりなんでもないっ」///


真「えっ!? そこまで言っといて!?」

春香「ゆ、雪歩、プロデューサーさんとなにをしたの!?」

真「言えないようなことなの!?」

春香「うぇえっ!? な、ないない! それはないよ~、ねっ、雪歩? ねっ?」


雪歩「う、うん……///」プイッ


春香「雪歩っ!?」





P「こら2人とも、あんまり雪歩を困らせるんじゃないぞ?」


雪歩「あっ……プロデューサー♪」


春香「プロデューサーさんっ! 雪歩となにしたんですか!?」

真「もしかして、秘密の特訓ってやつですか!?」





P「秘密の特訓……まぁ、そんなところか。ただし春香と真には……うーん、ちょっと無理だろうな」

雪歩「はい、2人は、ちょっと……」


春香「がーんっ!」

真「そんなぁ……2人だけの秘密なんて、ズルいですよぉ」


雪歩「えへへ」///

P「ま、機会があったらそのうち、な」





・・・・・・



雪歩「あの、プロデューサー……」

P「うん? どうした、雪歩?」

雪歩「私、このまま催眠に頼っていてもいいんでしょうか……?」

P「なにか問題でもあったのか? 副作用とかはないはずなんだが」

雪歩「そ、そういうわけではないんですけど……でも、私、自分が変わったきっかけを真ちゃんに話そうとしたとき……」

P「うん」

雪歩「みんなは自分の力で頑張ってるのに、私だけ催眠で、なんだかズルしてるみたいな気がして……」

P「……なるほどな」





雪歩「こんな裏技みたいな方法を使ってて、本当に大丈夫なのかなって思ったら……私……」ジワッ

P「……なぁ雪歩。これはな、裏技なんかじゃないんだよ」

雪歩「え?」

P「べつに、本来雪歩ができなかったはずのことを、無理やり催眠の力で出来るようにしているわけじゃないんだ」

雪歩「えっと……?」

P「俺が催眠で変えているのは、雪歩の“心”じゃなくって、“考え方”だけなんだよ」

雪歩「考え方、ですか?」





P「たとえば雪歩は、焼き肉を食べるだろう? そのとき食べている肉は、どこかの牛を殺してバラバラに解体したものだ」

雪歩「か、解体っ……」

P「そうだ。元気に生きていた牛を残酷に切り刻んで、バラバラにした、なれの果て……それが雪歩の食べている肉だ」

雪歩「……なんだか、食欲がなくなってきちゃいましたぁ……」

P「雪歩は心の優しい、いや、優しすぎる子だからな。このまま話を続けてれば、焼き肉を食べられなくなるぞ?」

雪歩「うぅ、それは嫌ですぅ……!」

P「とまぁ、考え方を変えるっていうのは、こういうことだ。雪歩に『焼肉を食べるなー』って洗脳したわけじゃないだろ?」

雪歩「……えっと、もともと私が気付けたはずだけど、見えてなかったことに気づかせた……?」





P「そうだ。だけど雪歩の悩みは、心の傷は、とっても根深い。だから考え方を変えるのも、普通の手段じゃ時間がかかる」

雪歩「だから、催眠を使うんですね」

P「そういうことだ。さすが雪歩は飲み込みが早いな。知ってるか? 催眠は頭の良い子にしかかからないんだ」

雪歩「……あぅ」///

P「それともう一つ……雪歩は『催眠療法』という言葉を忘れていないか?」

雪歩「え?」

P「雪歩に施しているのは、“治療”なんだよ。雪歩にとっては、病気や怪我を治すことは、ズルなのか?」

雪歩「い、いえ、違います……」

P「それじゃあ、雪歩が負い目を感じるようなことは、なにもないよな?」ニコッ

雪歩「は、はいっ!」





P「……とはいえ、雪歩がオドオドびくびくしている姿は可愛いから、治してしまうのはもったいないんだがなぁ……」

雪歩「ふぇっ!? か、かわいくなんて、ないですっ……私なんて……」///

P「いやいや、守ってあげたくなるというかさ。そういうところも貴重な魅力の一つだと思うんだよ」

雪歩「……///」プシュー

P「でもそれで雪歩が苦しんでいるなら本末転倒だしな。ゆっくり治していこう」ニコッ

雪歩「はいっ! よ、よろしくおねがいします」/// ペコッ





P「さて、そろそろたくさんの人に見られたりするのは、だいぶ慣れてきたんじゃないか?」

雪歩「は、はい! 最近はあんまり緊張もしなくなって、みんなからも、いいねって言ってもらえますっ」

P「そうかそうか、それは素晴らしいな!」

雪歩「……えへへ」///

P「それじゃあ、男の人や犬はどうだ?」

雪歩「あぅ……それは、ちょっと……」シュン





P「前にも犬は克服しようと特訓したことがあったよな?」

雪歩「は、はい……それで子犬なら、ちょっとは慣れたんですけど……」

P「男の人も、俺にはそれなりに慣れてくれたよな?」

雪歩「そ、それはもちろん、ですっ。プロデューサーは、とっても優しいし……その……」///

P「なら、もう克服の兆しは見え始めてるんだな」

雪歩「でも、まだまだ苦手で……お仕事で迷惑をかけちゃうことも……」

P「……ふむ」





P「それなら、まずは犬から克服してみようか」

雪歩「はい……えっと、がんばりますっ」

P「そんなに不安そうな顔をしなくても大丈夫だよ。雪歩が変わりたいと強く願っていれば、必ず上手くいくさ」

雪歩「そう、ですよね……! 私、か、変わりたいですっ!」

P「よし、その意気だ! それじゃあ、ゆっくりと深呼吸をしようか」

雪歩「はいっ! すぅ~……はぁ~……」





P(催眠っていうのは大体、術者への信頼と、催眠にかかりたいという意思……その両方があれば、概ねかかる)

P(すでに何度か催眠にかけて、結果も出している……俺の技術や、人格への信頼はかなりのものだろう)

P(そして雪歩は、催眠への興味と、変わりたいという強い意思がある)

P(さらに今日まで何度も深い催眠状態へ導いたおかげで、もう電話越しでも催眠にはかかるだろう)


P(……問題は、ここからだ)





P(もともと雪歩は、根は強い子だ。普段はその強さを表に出さないだけで……)

P(だから、人前で緊張しないようにするくらいなら、まぁどうにかなる)

P(だが、男と犬は、雪歩自身も、どうにもならないと強く思い込んでいる)

P(生半可な催眠じゃ、上手くはいかないかもしれない)


P(そしてここで“失敗”することは、俺への信頼と、催眠への信頼を、同時に失うことに繋がる)

P(……全力で行かないとな)





P「雪歩……『穴を掘れ』」

雪歩「―――」ピクン



P「雪歩は今、どこにいる?」

雪歩「……『穴』……です。暗くて、なにもない……」

P「そうだ、その通りだよ雪歩。だけど今日は、いつもよりもっと深いところに潜るぞ?」

雪歩「……はい」





P「雪歩の体はもっと沈んでいく……ずーん、と大きく沈んでいくぞ」

雪歩「……」

P「ずーん、もっともっと沈む……思考がどんどん抜け落ちて……雪歩の裸の心だけになっていく……」

雪歩「……」

P「雪歩の心は自由に形を変えて、俺の言った通りのものに姿を変えるぞ」

雪歩「……はい」

P「それじゃあ雪歩、これから雪歩は、犬になるんだ」

雪歩「……犬に、なる……」





P「犬は四つん這いで歩くよな。それに、人間の言葉は話せない」

雪歩「……はい」

P「飼い主を見ると、嬉しくなって飛びついて、つい尻尾を振ってしまう」

雪歩「……はい」

P「『撫でられたり』『褒められるたび』、どんどん際限なく幸せな気分になっていく。幸せな気分になると、気持ち良くなるよな?」

雪歩「……はい」

P「雪歩のイメージする“犬”に、すっかりなりきるんだ。そうすれば犬の気持ちがわかって、怖くなくなるからな」

雪歩「……はい」

P「それじゃあ、俺が指を鳴らすと、雪歩は完全に犬になる。いくぞ」スッ


 パチンッ


雪歩「っ!!」ピクン





P「おーい、雪歩ー」

雪歩「っ!!💛」パァァ

P「おいで、雪歩。遊んであげるよ」ニコッ

雪歩「わんわんっ♪」ヨチヨチ

P「おお、良い子だな。雪歩は偉いぞー」ナデナデ

雪歩「わんっ💛」///

P(すでに表情がとろけきってるな。よし、このまま……)





P「雪歩は可愛いなー、よしよし、良い子だぞー」ワシャワシャ

雪歩「わふっ💛」///

P「世界一可愛いぞー。よーしよし」ナデナデ

雪歩「わんわんっ!」グイッ

P「うおっと……ははは、雪歩は力が強いな。押し倒されてしまった」ナデナデ

雪歩「くぅ~ん💛」/// ペロペロ

P(うおおっ!? か、顔を舐めっ……そこまでやるのか!? いや、そうだよな、犬だもんな……)





雪歩「はぁーっ💛 はーっ💛」/// フリフリ

P「はは、お尻を振ってるぞ。そんなに嬉しいのか?」ナデナデ

雪歩「わんっ💛」スリスリ

P「よしよし、俺も嬉しいぞ。雪歩は良い子だなー」ナデナデ

雪歩「あっ……ふっ……💛」ピクッ ピクンッ

P「いっぱい幸せな気持ちになれたな、雪歩。だけどもっともっと気持ちよくなっていいからな?」ナデナデ

雪歩「わん……わ、ふぁ……💛」ゾクゾク





P(脳内麻薬がドバドバ出てますって感じの顔だな)

P(もう足腰に力が入らないみたいだ……完全に俺の上で溶けてしまった)

P(口元が弛緩しきって、よだれどころか舌まで出てる……俺のシャツが雪歩の唾液でぐしょぐしょだ)

P(……そろそろいいか)





P「雪歩、『穴を掘れ』」

雪歩「―――」ピクン



P「雪歩、犬になるのはもうおしまいだ。だけど今、雪歩が感じている幸せな気持ちは、犬も感じているんだ」

雪歩「……はーっ、はーっ💛」

P「犬は雪歩を怖がらせようだなんて、考えてない。今の雪歩みたいに、気持ちよくなりたいだけなんだ」

雪歩「……は、はひ」

P「だから、怖がるなんておかしいよな?」

雪歩「……はぃ……じゅるっ……」





P「それと、雪歩はこれから犬を見るたびに、今みたいに幸せな気分になる。心が気持ちよくなる」

雪歩「……はい」

P「そして犬を撫でると、もっともっと幸せで気持ちいい気分になれる。そのことをよく知っている」

雪歩「……はぃ」

P「だから犬を見ると嬉しくなる。だって幸せな気持ちにしてくれる動物だからな。そうだろ?」

雪歩「……はい」

P「それじゃあ、犬を見たって、もう怖くない。当たり前だよな」

雪歩「……はい」





P「それじゃあ、ゆっくり俺の上からどいて、そっちのソファに移動するんだ」

雪歩「……は、ぃ……」ガクガク

P「おっと、大丈夫か。ほら、掴まってくれ。ゆっくりで大丈夫だからな」

雪歩「……」フラフラ ポフッ

P「よし。それじゃあ俺が手を叩くと、いつも通り、雪歩が今の出来事を思い出すことはない」スッ


 パンッ!!


雪歩「―――っ!!」ビクッ





P「雪歩、大丈夫か?」

雪歩「あ、あれ……なんだかすごくドキドキして……汗も、かいてます」

P「気分はどうだ?」

雪歩「えっと、大丈夫です。なんだかふわふわしてますけど……」

P「催眠の直後だから、仕方ないさ」

雪歩「あっ、でも悪い感じじゃなくって……その、すごく心が軽いっていうか……」

P「そうか。きっと催眠が上手くいったんだよ。もう犬も怖くないかもな」

雪歩「えへへ、そうかもしれませんっ」ニコッ ///





・・・・・・



 ガチャッ


響「はいさーいっ!」



P「お、響。いぬ美は連れて来てくれたか?」

響「うん、連れてきたけど……急にいぬ美を連れてこいだなんて、どうかしたの?」

P「どうだ、雪歩? いぬ美は怖いか?」

雪歩「えっと……ちょっとは怖いんですけど……でも、不思議な感じっていうか……」

P「それは、良い気持ちか?」

雪歩「は、はい! なんだか、ふわふわして、気持ちいい気分です……!」///





響「ええーっ!? 雪歩、犬嫌いを克服したのか!?」

雪歩「そ、そう……なのかな? ちょ、ちょっとだけ、触ってみても、いい?」

響「もちろんだぞ! いぬ美、動いちゃダメだぞ?」


雪歩「……うぅ……」ソロー…


 ナデナデ


響「撫でた! 雪歩が自分からいぬ美を撫でたぞ!」

P「すごいじゃないか雪歩!」


雪歩「やった、やりましたぁ……!!」ピョンピョン





P「この調子なら、きっとすぐに犬が怖くなくなるな!」

雪歩「は、はいっ!」///

響「今日は雪歩の犬克服パーティだぞ!」

P「よーし、みんなを事務所に呼んでパーティするか!」

響「なんくるなーいっ!」

雪歩「そ、それは恥ずかしいのでやめてくださいぃ……!」///






雪歩(あれ……なんで、私……///)モジモジ





 【雪歩と犬】 ―――了。






 【雪歩とご褒美】






―――765プロ事務所―――



雪歩「ご褒美……ですか?」



P「ああ! 近頃の雪歩の活躍には、目を見張るものがあるからな!」

雪歩「そ、そんなことは……」///

P「いやいや、謙遜することはないぞ。それに見事、苦手だった犬も克服できたじゃないか!」

雪歩「えへへ……まだ大きな犬は、ちょっと苦手ですけど……」///

P「この短期間で大したものだよ! 雪歩には眠れる力がまだまだ備わっていたということだな!」





雪歩「でも、それもこれも、プロデューサーの“治療”のおかげです」ニコッ

P「はは、ありがとう。だけどやっぱり、これは雪歩自身が勝ち取った結果なんだ。もっと自分を誇ってもいいぞ」

雪歩「自分を、誇る……」

P「ああ。雪歩はそれに足るだけの、素晴らしいことをやってのけたんだよ」

雪歩「…………わ、私、すごい、かも……?」グッ

P「もっとだ、もっと!」

雪歩「わ、私すごいっ! がんばったもん! えっへん!!」///

P「そうだ、雪歩はすごく頑張った! ……だから、なにかご褒美をあげなくちゃな」ニコッ





雪歩「ご褒美……」

P「なんでもいいぞ。……あっ、あんまりお金はないぞ!?」

雪歩「そ、そんな、お金なんて……えっと、それじゃあ……」

P「急いで決めなくてもいいからな?」

雪歩「いえ、もう決まりましたっ!」

P「お、そうか。それで、なにがいい?」


雪歩「えっと、その……ご褒美は―――」





・・・・・・



P「痛くはないか?」モミモミ

雪歩「は、はいぃ……」///

P「マッサージなんてしたことないから、痛かったら言ってくれな」

雪歩「はいっ……」

P「それにしても全身マッサージか。雪歩は欲がないなぁ。伊織や亜美真美だったら、どんな要求をしてくることやら」





雪歩「最近、ちょっと体が疲れてるなって思っていたので……」

P「そうなのか? もしかして、催眠のせいなんじゃ……」

雪歩「い、いえっ、そういうことじゃないとは思うんですけど……!」

P「うーん、そうか?」

雪歩「最近、あんまりよく眠れていないっていうか……」

P「……それは、なんとかしないといけないな」





雪歩「でも、あの、今は……」

P「ああ、そうだな。溜まってる雪歩の疲れを、取り除いてやらないとな」

雪歩「ありがとう、ございますっ……!」///

P「いやいや、男嫌いの雪歩にこんなこと頼んでもらえるなんて、信頼の証だろう? プロデューサー冥利に尽きるよ」

雪歩「私、ずっとプロデューサーのこと信頼してました……あの、わかってもらえましたか?」

P「はは、あの時は悪かったよ」





P「それにしても、ほんとに雪歩の身体は柔らかいな……あ、いや、変な意味じゃなくてな?」

雪歩「あ、あの……」///

P「ん、どうした?」

雪歩「……あ、いえ、やっぱり……なんでもない、です……」///

P「なぁ雪歩」

雪歩「は、はい……?」

P「『穴を掘れ』」

雪歩「―――」ピクンッ





P「雪歩、いくつか質問するから答えてくれ」

雪歩「……はい」

P「いま、なにを言いかけたんだ?」

雪歩「……催眠を、使わないんですか……?」

P「どうして?」

雪歩「……催眠が終わったとき、たまに、すごく身体が熱いんです……」

P「それで?」

雪歩「……家に帰っても、熱いのが収まらなくって、一人で…………でも、それでも全然ダメで……」

P「もしかして、だから最近はよく眠れてないのか?」

雪歩「……はい」





P(脳や心への快感を催眠で与えすぎたせいで、通常状態での刺激に鈍感になりつつあるのか……?)

P(……雪歩なら絶対にないとは思うが、もしも通常の発散では物足りなくなって変態行為に走られても困るしな……)


P(もしかして雪歩は、“気持ちよくなる”っていう暗示を、肉体的な意味で捉えてたのか?)

P(だとすれば、あんなに乱れてたのも説明がつく……か。ちゃんと“気分が良くなる”って言えばよかったな……)

P(オナニーを頻繁にするエッチな女の子ほど、催眠にかかりやすいとは言うが……さて、どうするか)





P「それについて、雪歩はどう思ってる?」

雪歩「……もしかしてプロデューサーは、催眠でこっそりエッチなことしてるのかな……」

P「嫌な気持ちか?」

雪歩「……イヤじゃない、ですけど……」

P「けど?」

雪歩「……私の意識があるときに、やってほしいです……」

P「今回のマッサージは、どういう意味なんだ?」

雪歩「……こうしたら、プロデューサー、なにかしてくれるかなって……」

P「……。」


 パンッ!!


雪歩「―――っ!!」ピクッ





P「雪歩、言っておくが、俺は雪歩にエッチなことをしたりはしてないぞ」

雪歩「えっ、あっ……!? プ、プロデューサー、もしかして……!!」///

P「だが俺の暗示の意図と、雪歩の暗示の解釈がズレていた可能性はある」

雪歩「……え?」

P「とにかく、今の雪歩の悩みを解決するための暗示を思いついたぞ」

雪歩「……解決するための、暗示?」





P「そうだ。それは、『雪歩の催眠に関する記憶を封印する』ことと『雪歩の性欲を封印する』ことだ」

雪歩「せ、性欲……!?」///

P「しばらくは、だけどな。そうすれば雪歩は、悶々とした夜を過ごすこともないし、不安もなくぐっすり眠れるはずだ」

雪歩「…………っ」

P「それが一番手っ取り早い方法だと思うが……それでいいか?」





雪歩「……わ、わかってますよ、プロデューサー……」

P「ん? なにがだ?」

雪歩「わ、私の心を、催眠で変えたんですよね? その方法を、嫌がるように……」

P「変えてないぞ。そんなことするくらいなら、黙って暗示にかければいいじゃないか」

雪歩「違います……ぜったい、変えました……私を暗示で、エッチな子に変えたんです……」

P「雪歩、もし雪歩が今望んでいることがあったとしたら、それは雪歩自身の願望だ。催眠は関係ない」

雪歩「そ、そんなはずないですっ……! 私は、こんな……こんな子じゃないんです……!」///





P「……じゃあ、催眠の記憶と性欲を消すぞ? 雪歩、『穴を」

雪歩「だめぇっ!!」ギュッ

P「っ!?」

雪歩「あっ……ぁあ……///」カァァ

P「雪歩……?」

雪歩「うぅ、プロデューサー! わ、私を……気持ちよくしてください……///」ポロポロ

P「……」

雪歩「プロデューサーに、そういうこと、してほしいんです……だからぁ……///」ギュゥゥ





P「……プロデューサーとして、アイドルにエッチなことはできない」

雪歩「―――っ」

P「だが、雪歩が頑張った『ご褒美』にと言うなら、『気持ちよくなるマッサージ』をしてやることはできる」

雪歩「……!!」/// パァァ

P「そんな蕩けきった顔をする雪歩は、十分エッチだと思うけどな。イケナイ子だ」

雪歩「ち、ちがいます……プロデューサーが、私をイケナイ子に変えちゃったんです……💛」/// スリスリ

P「まぁそうとも言えるか。それじゃあ責任を取らないといけないな」ナデナデ

雪歩「はいっ、責任とってください……💛 はっ、はやくぅ……はやくお願いします……!」///

P「わかったわかった、そう慌てなくてもいいぞ。ご褒美は逃げないからな」

雪歩「……は、はいぃ……💛💛」///



P「雪歩、『穴を掘れ』」





・・・・・・



 ガチャッ


亜美「たっだいま→!」ピョコッ

やよい「ただいまもどりましたぁ!」ピョコッ



P「おう、おかえり。亜美、やよい」グッ グッ



亜美「あれ、兄ちゃんなにやって……わ、それ誰!?」

やよい「もしかして、雪歩さんですかぁ?」


雪歩「―――」





P「ああ。マッサージしてたら眠ってしまってな。寝顔を見られるのは恥ずかしいだろうから、頭にタオルをかけたんだ」モミモミ


亜美「んっふっふ→、それならば、ゆきぴょんの寝顔をキャメラに収めるしかありませんな~」スチャッ

やよい「もう、亜美! そんなことしたら、めっ! だよ?」


P「そうだぞ、亜美。そんなことしたら―――律子に例のことをチクるぞ」グニグニ


亜美「ぎくっ!?」

やよい「例のこと……?」





亜美「に、兄ちゃん、どれ!? どれのことを知ってるの!?」


P「さぁて、どれのことだろうなぁ……? ただ、律っちゃん軍曹大激怒……とだけ言っておこう」コリコリ


亜美「くぅっ……おのれ兄ちゃん……腕をあげたなっ!」

やよい「亜美、いけないことしたなら、ちゃんと謝らなきゃだめだよ?」

亜美「うあうあ→、やよいっちにそんなキラキラ見つめられたら、ジョーカーされちゃうよ→!」ダダッ

やよい「もぉー、待ちなさーい!」ダダッ


P「おーい、事務所で走るなよー? ……まったく、相変わらず元気だなぁ」モミモミ





雪歩「―――」

P「急にタオルかけちゃってごめんな、雪歩」グッ グッ

雪歩「―――」

P「でも、今の雪歩の顔を見せるのは、ちょっと教育上よろしくないからなぁ」ピラッ

雪歩「~~~っ!!💛 ~~~ッッ!!??💛💛💛」///



亜美「兄ちゃん兄ちゃん~!」トテテ



P「おっと」ピラッ

雪歩「―――」





亜美「冷蔵庫に入ってたアイス、食べていいっ!?」

P「ああそれな、いいぞ。ただし1人1本ずつな?」コリコリ

亜美「やった→! やよいっち、食べていいって!」

やよい「うっうー! ありがとうございまーっす!」ガルーン

P「あ、ここで食べるのか?」

亜美「ゆきぴょんも起こす?」

P「いや、ぐっすりだろうから起こすのは可哀想だな」グニグニ





亜美「それにしても、兄ちゃんにマッサージさせるなんて、ゆきぴょんも偉くなりましたな→」

P「いつも頑張ってる『ご褒美』だよ」グリッ グリッ

亜美「じゃあ亜美も兄ちゃんにマッサージしてもらおっかな~?」

P「おいおい、なに言ってんだ中学生」コリコリ

やよい「でも最近の雪歩さんは、ほんとにすごいと思いますっ!」

亜美「たしかにそーだよね→。前は小動物みたいにプルプルしてたのに、今じゃズドーンって構えてるもんねっ!」





P「それも元々雪歩が持ってた力だよ。今までは自分でも気がついてなかっただけでな」モミモミ

やよい「私たちも、まだまだい~っぱい力がありますかっ?」

P「もちろんだよ。きっと雪歩みたいに、いずれ自分の力に気づくときが来るさ」ギュッ ギュッ

やよい「えへへ、がんばりまーっす!」

P「はは、その意気だ」グリグリ





P「ところで雪歩の話とは全然関係ないんだが……」グッ グッ

亜美「?」

やよい「?」

P「刺激や感覚に耐える方法はいくつかある。すごく強い痛みを感じたとき、人はどうする?」コリッ コリッ

亜美「え? 痛ーい!! って、叫ぶとか?」

やよい「うずくまったり……あ、長介はゴロゴロ転がったりしてました!」

P「そうだな。一般的には、声をあげたり、体を丸めたり、のたうち回ったりっていうのがベターだな」グニグニ





P「強すぎる刺激に耐えようとする時、人は無意識にそういう行動で、刺激を外に逃がすんだ」

P「それじゃあもしも、声が出せない、体にまったく力が入らない……」

P「そんな状態で、耐えがたいほどの強すぎる刺激を受け続けたら……」

P「それは、どんな感じなんだろうな?」


やよい「……?」

亜美「急にどーしたの、兄ちゃん?」





P「いやいや、なんでもないよ。なんとなく、聞いてみただけさ」グリリッ!!


雪歩「―――」





 【雪歩とご褒美】 ―――了。






 【雪歩と男の人】






―――765プロ事務所―――



 ガチャッ


P「ただいま戻りましたー」


雪歩「っ!! プロデューサー、おかえりなさいっ♪」トテテ

P「ん? ああ。ただいま、雪歩」ニコッ

雪歩「い、いま、事務所には誰もいないんです……だから、えっと、その……」/// モジモジ

P「……なぁ、雪歩」

雪歩「は、はい?」






P「催眠やめるって言ったら、どうする?」



雪歩「―――っ!!」






 ガシッ


P「うおっ」

雪歩「……な、なんで、そんなこと……訊くんですか……?」プルプル

P「いやさ、そろそろ雪歩も一人前になってきたことだし、催眠は必要ないんじゃないかと思ってさ」

雪歩「そ、そんなことありませんっ! まだ、私ぜんぜん、ダメダメですし……っ!!」/// カタカタ…

P「雪歩、ちょっと落ち着け」

雪歩「だっ、だからそんな、そんなこと言わないでください……! いじ、いじわるなこと言わないでぇ……」ポロポロ





P「おいおい、泣くんじゃない。ほら」フキフキ

雪歩「なんでもしますからぁ……! だから、催眠やめるなんて、そんなこと嫌ですぅ……!」ギュゥゥ

P「雪歩……」

雪歩「な、なんでも言ってくださいっ……えへへ、プロデューサーのためなら、私、なんだって……しちゃいますからぁ」ニコッ

P「雪歩、いつからそんな媚びた笑い方をするようになったんだ?」

雪歩「だって、だってぇ……!」グスッ

P「大丈夫、催眠はやめないよ。だから安心してくれ、雪歩」ナデナデ

雪歩「あっ……💛 はい、ごめんなさい、プロデューサー……💛」トローン


(ちょっとここから先を書き直してきます……)

よぉーし、修正して順調に悪化しました! それでは投下していきます><




P「でも、『ご褒美』があるのなら、『おしおき』があってもおかしくないよな?」

雪歩「え……おしおき、ですか……?」ビクッ

P「たとえば、マッサージを一週間やめるとか」

雪歩「……っ!? そっ、そんなことしたら、私、お、おかしくなっちゃいます……!!」ジワッ

P「まぁ『おしおき』の内容は置いといて……これから雪歩を試験しようと思う」

雪歩「試……験?」



P「そうだ。今までは、催眠で雪歩の潜在能力を引き出して解決してきたわけだが」

P「今回は雪歩自身の、素の力でどこまで通用するのかを試したいと思う」

P「具体的には……催眠なしで、男の人と2人っきりになってもらう」





雪歩「さ、催眠なしで……ですか?」ヒクッ


P「最近は男性記者と2人っきりの取材でも、それなりに上手く受け答えできてるって聞くぞ?」

雪歩「は、はい……あの、でも……」

P「大丈夫、不安がることはない。最近の雪歩はすごい勢いで成長してるからな。きっと上手くいくさ」ニコッ

雪歩「う、うまく、いかなかったら……?」

P「……おしおき、だな」

雪歩「っ!!」ビクッ





P「なぁに、上手くいけばいいんだよ。肩の力を抜いて臨めば、大丈夫さ」ポンポン

雪歩「は、はいぃ……」

P「それじゃあ、相手役の男の人を呼んでくるから、そこのソファで待っててくれ」

雪歩「……はい」トボトボ

P「それから雪歩、最後に……」

雪歩「?」クルッ



P「『穴を掘れ』」


雪歩「―――」ドクンッ





・・・・・・



 ガチャッ


P「やぁ、お待たせ雪歩ちゃん! 今日はよろしく!」


雪歩「……っ、は、はい、よろしくお願いします!」ビクビク



P(よし……俺が“知らない男の人”に見えてるな。暗示は成功だ)

P(普段、雪歩が俺以外の男にどんな風に接してるのかは知らないからな……興味深いぞ)





P「雪歩ちゃん、隣に座っていいかな?」

雪歩「えっ……あ、はい……どうぞ」

P「そう固くならないでよ。よっこらせ」ボスッ

雪歩「……っ」ビクッ



P(さて、適当に近況でも聞いてみるか)

P(ソファの隣、30センチの距離に知らない男がいて……どれくらいパフォーマンスが落ちるものかな)





・・・・・・



P(これは……驚いたな)



雪歩「そのとき、真ちゃんがまた例の発作を起こしちゃいまして……」

雪歩「まっこまっこりーんって、あの呪文を唱える前に、私がなんとか抑えたんです」

雪歩「でも最近は、そういうところも含めて真ちゃんなんだなぁって思うようになってきました」

雪歩「……カメラが回ってる時は、ちょっとやめてほしいですけど……」ニコッ





P(以前は、初対面の男が相手だと、3メートルは距離を取らないと話せなかったのに……)

P(ややぎこちないところはあるが、それでもかなりスムーズに、しかも目を見て話ができてる)

P(ちゃんと笑顔もあるし……俺以外の男とも、それなりに話せるようになってるじゃないか)


雪歩「あ、あの……?」


P「ああ、ごめんよ。ボーっとしてた」

P「それより雪歩ちゃん、すごいねぇ。もうすっかり男性恐怖症は克服できたって感じかな?」





雪歩「そ、そんな、まだまだです……あ、でも最近、ちょっとは強くなれたかなって……」///

P「なにか特訓でもしたのかな?」

雪歩「う、あ、そのっ……特訓、のようなものは……はい」///

P「どんな特訓?」

雪歩「それは……えっと、ナイショです」///

P「ふぅん、そっかそっか」





P(まぁ、男と話せるようにする程度のことなら、催眠で事足りるんだ)

P(重要なのはここから……むしろここ以外どうでもいいとさえ言える)




P「……いやぁ、それじゃあ僕がこうやって触っても、大丈夫かなぁ?」ポンッ


雪歩「―――っ!?」ビックゥ!!





雪歩「え、あ、あのっ……!?」ササッ

P「安心してよ、変なことはしないから。これも特訓だよぉ」グイッ

雪歩「ひぃっ……!?」ゾワゾワッ

P「そんなに怯えなくてもいいじゃない。男を克服させてあげるからさぁ」スリスリ

雪歩「……っ、あっ……ひぅ……!?」ジワッ

P「叫んだり抵抗したら、どうなるかわかってるかい? 雪歩ちゃんに乱暴なことはしたくないなぁ」グッ

雪歩「痛っ……ひっ、ひぅ……!!」ガクガク





雪歩「や……やめてくださいっ!!」ブンッ


 パシンッ!!


P「―――っ!!」ヨロッ


雪歩「た、たすけてっ、助けてプロデューサー!!」ダダッ



P「……よし。雪歩、もういいぞ」スッ


 パンッ!!


雪歩「―――」ビクッ





雪歩「あれ……え、あ……プロ、デューサー……?」



P「きちんと抵抗できたな。怖くても、ちゃんと逃げて助けを呼べたのは偉いぞ」ニコッ

雪歩「……え、えっと……?」

P「すまない雪歩、今のは俺が一芝居うたせてもらったんだ。怖い思いをさせてごめんな?」

雪歩「……うぅ、プロデューサー……す、すっごく怖かったですぅ!!」ポロポロ




P(今の雪歩くらいどっぷり催眠に浸かってれば、催眠だけで男性恐怖症を治すことくらいはできるだろう)

P(だが男に対する恐怖っていうのは誰でも持ってるべきもので、迂闊に消したりしちゃいけない)

P(もしも催眠の加減を誤ったら、雪歩が危険なことを危険だと認識できなくなるかもしれない)

P(だから催眠で男性恐怖症を治すのはなるべく避けたかった……どういう結果になるか、わからなかったからな)





P「雪歩は催眠なんてかけなくても、今のままで立派に仕事ができてるよ」

雪歩「そう、でしょうか……?」

P「嫌なことは嫌だと、きちんと拒否できたんだから十分さ。素晴らしい成果だよ」

雪歩「はぅ……よかったです……」ヘタッ…

P「怖かっただろ、ごめんな。まぁさっきみたいな男はそうそういないから安心してくれ」



雪歩「それもそうですけど……『おしおき』がイヤで、怖くって……すっごくすっごく頑張りました……!」

P(……なるほど、やけに完璧だと思ったら、そういう後押しもあったわけか)

雪歩「あの、私、ちゃんとできてたんですよね……?」

P「ああ、素晴らしかったぞ! ついにこれで、男の人も克服だな!」ニコッ





雪歩「じゃあ……私、すっごく頑張ったので……」フラフラ… ギュッ


P「雪歩……?」




雪歩「えへへ……ご褒美、いただけますか……?💛」/// ペロリ…






P「……雪歩。今日まで本当によくやったよ。苦手だったものを克服して、今や怖いものなしだ」ニコッ

雪歩「プロ、デューサー……?」///

P「これが俺から雪歩に送る、最後の『ご褒美』だ」

雪歩「えっ……さ、最後……? プロ……」

P「受け取ってくれ」スッ


 ギュッ


雪歩「―――きッ、ひぃぃ!?💛」ビグンッ!!





雪歩「あっ、あっぁあああっ!?💛 にゃに、これぇぇっ……!?💛💛」ビクッ ビクンッ!!


P「俺に抱きしめられているあいだ、『褒められるたびに』雪歩の大好きな『マッサージ』の快感が倍増するからな」ギュゥゥ


雪歩「そっ、そんな……ふわぁああああああっ!?💛💛」ガクガク


P「もう一生分のご褒美をあげるようなつもりで暗示をかけたんだ。これからもずっと頑張れるようにな」ギュゥゥ

P「雪歩が本気で自分を変えようとしている姿を見て、俺は感動したよ! 本当に偉いぞ、雪歩!」

P「それに俺を信頼してついてきてくれたことも嬉しかったよ。おかげで、2人でここまでやってこれたんだ!」


雪歩「んひぃぃい💛 も、もぉ、やめっ……頭っ、おかひくにゃ……ひぁあああああんっ!?💛💛」ギュゥゥ!!





P「これも雪歩の、勇気と底力のおかげだ。すごいぞ、雪歩!」

P「もちろん、まだここで終わるつもりはないが……とりあえずの一区切りではあるから、しっかり祝おう!」

P「よくやった、雪歩っ!! お前は最高のアイドルだ!!」ギュゥゥ



雪歩「ひぁああああっ!?💛 だめっ、だめだめだめぇぇえええええ―――っ!!?💛💛💛」ガクッ ガクンッ!!



 プシャッ… プッシャァァアアアッ!!



雪歩「―――ぅ、ぁ……ぁあ……」ビクッ ビクッ


 ピュッ ピュルッ…





P「おっと。しまったな、床が……いや、今はそんなことどうでもいいな」

雪歩「ぁ、ぷろ、りゅ……しゃぁ……///」ヒクヒクッ

P「よしよし、痙攣を伴うほどの、かなり深いトランスだ。これならきっと上手くいくだろう」

雪歩「……ぅ……あっ……」/// ガクガク

P「さぁ、これが最後の催眠だ」






P「雪歩―――『穴を掘れ』」




雪歩「―――」ドクンッ…


………………

…………

……





 【雪歩と男の人】 ―――了。






 【完璧な催眠術】






―――765プロ事務所―――




雪歩「そしたらね、こーんなおっきなパフェが出てきちゃって!」クスクス

貴音「なんと……それはまこと、由々しき事態です」ジュルリ

真「ちょっ、貴音、垂れてる垂れてる……!」






P「……はぁ」ポケー


響「なに溜め息ついてるんだ、プロデューサー?」ヒョコッ


P「ん……なんだ響か」

響「うがーっ!? なんだとはなんだっ!?」///

P「ああ、いや、なんでもないよ。人前で溜め息なんてつくもんじゃなかったな。すまん」





響「どうかしたのか?」

P「いや、なんていうのかな……燃え尽き症候群ってところか?」

響「……? そういえばプロデューサー、最近雪歩とあんまり一緒にいないね?」

P「そうか? そんなことはないと思うけどな」

響「だってほら、前はなんだか雪歩がずっとプロデューサーに付いて回ってたじゃない。まるでカモの親子みたいだったぞ?」

P「……まぁ、そうだったかもな」





響「もしかして喧嘩でもしたのか?」

P「そんなことはないよ。ただ、雪歩との楽しい個人レッスンが終わっただけさ」

響「ふぅん?」

P「そんなことより響、最近なんだか悩んでないか?」

響「うっ……バレてたのか?」

P「お前の方こそ溜め息が多いぞ。もしかして、相談したくて近づいてきたのか?」

響「……まぁ、うん……そうだぞ」





響「最近歌もダンスも調子が悪くって、伸び悩んでるんだ……」

P「スランプか。誰にでもあるさ、あんまり深く考えなくていい」

響「そうは言っても……こんなんじゃ自分、全然、完璧じゃないぞ……」

P「……ふむ」

響「そういえば、プロデューサーと一緒にいるようになってから、雪歩の調子が急に良くなった気がするけど……」

P「いや、雪歩のアレは元々抱えてた症状を……」



P「……!」ピコーン





P「スランプはパフォーマンスだけじゃなくて、モチベーションの低下にも繋がるからな……早く何とかしないと大変だぞ」

響「うっ、そうだよね……どうしよう」

P「だが実は、そんなスランプを解消して、それどころか今まで以上の能力を発揮する方法があるんだ」

響「えっ……ほんとに!?」

P「それはすでに、雪歩で実証済みだろう?」

響「あっ……!!」





響「もしかして、雪歩が急に絶好調になったのと同じ方法なの!?」

P「その通りだ。きっとその方法を使えば、響もこれまで以上の力を発揮できるはずだよ」

響「……っ!!」/// パァァ

P「響は『完璧』を目指してるんだよな? それについても打ってつけの方法だ……どうだ、試してみるか?」

響「なになに、教えて教えてっ!!」/// キラキラ







P「なぁ響……『催眠療法』って知ってるか?」









 雪歩「催眠療法……ですか?」 ―――了。







●765プロ催眠術かかりやすい女子ランキング(主観)


◎ 素人でもかけられる
○ 入念な準備が必要
△ プロでもかなり困難
× ゲンガーでも無理


雪歩 … ◎

律子 … ◎

響 … ◎

小鳥 … ○

あずさ … ○

伊織 … ○

貴音 … ○

春香 … △

やよい … △

真美 … ×

亜美 … ×

美希 … ×

真 … ×

千早 … ×





みなさん、『エロはなかった』……そうですね?(催眠)




ここまでご覧いただき、ありがとうございます。 期待、支援、励みになりました!

アイドルとエロイことなんて、けしからんことはいけません。ええいけません。



簡単にかかる人3割、絶対にかからない人3割、それが催眠。

催眠が上手い人というのは、催眠にかかる人を見分けるのが上手いということです。



催眠は、用法用量を守って、ただしく使いましょう。


それでは、失礼いたします!


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