バンデッド・キース「夢限少女だと」 (274)

キース(人間ってのは死ねばそこでお終いのはずだ。死後の世界なんてありはしねえ)

キース(鉛玉で頭を撃ちぬかれて俺は死んだ。死んだはずだった)

キース(あの感覚は幻覚だとか思い込みの類じゃねえはずだ)

キース(だが俺は蘇った。信じられねえ話だが、現に今、こうして生きてる)

キース(これでペガサスと城之内に復讐できる。そう思った)

キース(鏡を見るまではそう思っていた)

キース(鏡ってのは当然のことながら自分自身の姿を映す)

キース(鏡に映っていたのは、見たこともねえ小娘だった)


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1409408458

トムの勝ちデース

キース(それが今の俺だ。ちよりとかいう小娘に俺は転生しちまったらしい)

キース(転生なんてオカルト普通なら笑い飛ばすだろうが、ペガサスがオカルト紛いの真似をするのはこの目で見ている)

キース(何より実際にこうなっちまったんだから受け入れるしかない)

キース(それだけならまだ良かった。ガキの姿でも復讐はできる)

キース(だがこの世界にはM&Wもそれを作ったペガサスも存在しなかった)

キース(異世界、並行世界、どんな表現を用いるかなんてどうでもいい)

キース(ここは俺のいた世界とは別の世界だった)

キース(手が拳銃になったり、体がガキになったりと訳の分からねえこと続きだったが、これだけは受け入れるわけにはいかなかった)

キース(せっかく生きかえったのに、復讐相手がいないなんてことがあってたまるか)

キース(俺は何とかして元の世界に戻る方法がないかを探した)

キース(だがガキの立場じゃできることも限られる上に、別の世界に行くなんてオカルトがそう簡単に見つかるわけもなく、俺の復讐計画は暗礁に乗り上げている)

キース(クソッ、復讐も果たせず女の姿のまま俺は一生過ごすのかよ)

キース(拳を床に叩きつけるが、体がガキのせいか大した音は鳴らず手が痛んだ)


トントン


キース(部屋のドアがノックされた)

キース(入ってきたのはちよりとか言うガキの親、つまりは今の俺の母親だ)

キース(最近、俺の性格が変わったことに戸惑っているようだが、そんなのは知ったことじゃねえ)

キース(母親は下らねえことを話した後にカードゲームのデッキを置いて部屋を出て行った)

キース(このカードは確かウィクロスだったか)

キース(キャラが女しかいねえカードゲームだが、この世界では男女共に流行っているらしい)

キース(何ともまあ女々しい奴らだぜ。俺は女モンスターのみカードなんかやる気にもならねえ)

キース(渡された箱を床に頬り投げる。カードが床に散乱した)





「ああ。こんにちわっす」

キース「……あ? 何だ……てめえは」

キース(オカルトを何度も経験したからといって、それに慣れるかと言えばそうじゃねえ)

「エルドラっすよ」

キース(目の前で喋っているのは、カードの中にいるメスガキだった)


――その出逢いは劇薬


エルドラ「どーもどーも、初めましてセレクターさん」


selector infected WIXOSS ―avenger―


――――――――――――――――
―――――――――――
――――――
―――

キース(ウィクロスで勝ち続けることによって、どんな願いでも叶えることができる資格を持ってるのがセレクター)

キース(そのどんな願いでも叶えられる存在が夢限少女)

キース(エルドラとかいうガキの話をまとめるとそんなところだった)

キース(正直、以前の俺だったら鼻で笑っていたはずだ)

キース(そんなオカルトあり得ねえと言い切っていた)

キース(だがこれまでの経験と動くカードを見せられれば、たちの悪い冗談と切って捨てるわけにはいかねえな)

キース(もちろんカードが動くからと言って、イコールどんな願いでも適うになるってわけでもねえだろう)

キース(このガキがホラを吹いてる可能性も十分にある。鵜呑みにするわけにもいかねえが……)

キース(それでも乗ってみる価値はあるぜ)

キース(思わぬ形で掴んだオカルトの力。手放してたまるかよ)

エルドラ「黙りこくってどうしたっすか」

キース「いや何でもねえ。いいぜ目指してやるよ、夢限少女」

エルドラ「そうっすか。それなら願いを教えてほしいっす」

キース「何で、わざわざてめえに教えなきゃいけねえんだ」

エルドラ「ルリグはセレクターのパートナー」

エルドラ「願いを知らないことには一緒に戦えないっすよ」

キース「……俺の願いは復讐。復讐相手の元へと行くことだ」

エルドラ「わかったっす。その願い共に叶えるっす」

キース「そう言えば一つ気になったんだが、てめぇらルリグはセレクターの願いを叶えて一体何のメリットがあるんだ」

エルドラ「……」

エルドラ「メリットなんてないっすよ」

エルドラ「ルリグは妖精みたいな存在っす」

エルドラ「夢を持った女の子の前に現れて、それを叶えるっす」

キース(ますます胡散臭せえな。そんなのはあのオカマ野郎が好みそうなコミックの中だけの話だ)

キース(とはいえここで問い質しても白を切られるだけ。破ると脅しても吐くかは分からねえ)

キース(いいぜ、なら当分はてめえに騙される無知なガキを演じてやる)

キース「そうかい、なら俺はラッキーだったんだな」

エルドラ「その通りっす。いやぁ、わかってくれたようで良かったっすよ」

キース「パートナーを信じるのは当たり前のことじゃねえか」

エルドラ「嬉しい言葉っす」

キース「それじゃあまずはデッキを強化するためにカード屋に行くぜ」

エルドラ「おっ、さっそく本気っすね。頼もしい限りっす」

エルドラ「でも予算はあるんっすか」

キース(……そうだった。今の俺はガキ。親から貰う小遣いは月2000円)

キース(買えるパックも限られるし、高額なシングルカードには手が出せねえ)

さすがせこいけど全米元チャンプ

キース(恐喝でもするか? いや、この体格じゃ厳しい)

キース(それなら――)

キース「欲しいものどんな手段を使ってでも手に入れる」

キース「それがバンデッド・キースのやり方だ」

エルドラ「?」


母親の部屋


キース(親が買い物に出かけたのを見計らって部屋に入る)

キース(確かタンスの奥に厚みのある封筒を入れてたと思うが)

キース(ビンゴ、やっぱりあったぜ)

エルドラ「な、何やってるっすか! それ泥棒っすよ」

そういや家族間の窃盗は罪に問えないんだっけ

キースはそういや機械系のデッキだったな
ウィクロスじゃ再現できねえなこれ

キース「俺がとったと思われなきゃ大丈夫だろ」

キース「こうやって窓ガラスを割って、部屋を荒らしとけば外から人が入ったように見える」

キース「俺は部屋で寝てたってことにすれば問題ねえってわけだ」


カード屋


エルドラ「あんたって人は、可愛い顔して何てことしてるんっすか」

キース「うるせえよ、TCGをやる上でカードってのはいくらあっても足りねえ」

キース「そのカードを買うのに必要な金をどんな手段を使ってでも手に入れるのは当然だろうが」

エルドラ「デッキは五十枚なんだから、そんなにお金はいらないっすよ」

キース「馬鹿か、てめえは。デッキは相手に合わせて使い分けるから、二つ以上持ち歩くのが常識なんだよ」

エルドラ「つまり赤、青、緑、白、黒の五種類のデッキを作る気っすか」

キース「種族もあるからそれじゃ足りねえな。多色デッキも含めれば20個ぐらいは作ることになるだろ」

エルドラ「お、多いっす」

キース「ガキがあんまり金を持ってると怪しまれるから、パックはスーパーや玩具屋をまわって少しずつ買っていくしかねえ」


自宅


エルドラ「随分買ったっすね」

キース「……」

エルドラ「あ、あれ無視っすか」

キース「……デッキの構成考えてんだ。少し静かにしてろ」

キースさんは主人公じゃないからオカルトパワーに頼れないもんね
それくらいやらないとチート主人公には勝てないか

キース(それぞれの色には特性がある)

キース(赤はバニッシュ。青はドローとハンデス)

キース(白はサーチとバウンス。緑はパワープラスとエナ加速)

キース(そして黒はパワーマイナス。破壊を優先するなら赤と黒入れるべきか)

キース(そんでもって次に重要なのがこの専用カードだ)

キース(使える能力を持つ反面、特定のルリグでしか使用できない)

キース(このガキの専用アーツは青属性のクロス・ライフ・クロス)

キース(ライフクロスにカードを仕込むっつートリッキーなアーツだ)

キース(おっと忘れてた。カードゲームをやるならあれを買わなきゃな)


雑貨屋


エルドラ「何を買いに行くかと思えばリストバンドっすか」

エルドラ「女の子なんだからオシャレに気を使うのはいいっすけど、それならシュシュとかにした方がいいと思うっす」

エルドラ「ていうかその頭に巻いてるアメリカ国旗のバンダナも趣味が悪いっすよ」

キース「ガキにこの良さが分かってたまるかよ」

キース「それになバンダナはともかく、リストバンドにはちゃんと意味があんだぜ」

エルドラ「?」

キース「このサイズならカードを内側に仕込んどける」

エルドラ「え? それってまさか」

キース「イカサマだ」

エルドラ「だ、駄目っすよ」

キース「あぁ? 卑怯だからやめろってか」

エルドラ「それもあるっすけど、夢限少女同士のバトルではイカサマはできないっす」

エルドラ「もしやろうとすればペナルティーを受けることになるっすよ」

キース「見つからないようにやってもか」

エルドラ「夢限少女同士のバトルは特殊な空間で行われるっす」

エルドラ「例え対戦相手に見つからなくてもペナルティーを受けるっす」

キース「ちっ、オカルト相手じゃ分が悪りいわな」

エルドラ「セレクター同士のバトルは正々堂々行うべきっす」

キース「はっ、下らねえ。勝負なんてのは勝てばいいんだよ」

キース「おっ、中々いいもんがあるじゃねえか」

エルドラ「リストバンドの次はサングラスっすか。さすがにイカサマに使うわけじゃないっすよね」

キース「当たり前だ。ファッションだよ、ファッション」

エルドラ「やっぱり趣味が悪いっす。小さい女の子がするもんじゃないっすよ」

キース(確かにこの姿じゃ似合わねえか)

エルドラ「それよりも早く帰ってデッキを作りましょう」

エルドラ「何ならアドバイスするっすよ」

キース「てめえの助言なんかいらねえよ」

エルドラ「そ、そうっすか」

キース「まあ見てな。小娘共相手に俺が負けるわけがねえんだよ」

4ヶ月後


エルドラ「いやー、感服すっわ。脅威の13連勝。まさに不敗神話っす」

エルドラ「まさか、ここまで強いとは思わなかったっすよ」

エルドラ「さっき戦ったセレクターもかなりの凄腕だったんっすけど。ちよりは別格っすね」

エルドラ「あれ、何で不機嫌そうな顔をしてるっすか」

キース「言わなきゃ分からねえか?」

エルドラ「うっ」

キース「何でこんだけ勝ってんのに、俺は夢限少女になれねえんだ」

キース「3回負けるとセレクターの願いはマイナスに落ちる」

キース「なのに何で13回も勝った俺が夢限少女になれねえんだよ」

エルドラ「ね、願いにも条件があるっすからね」

エルドラ「でも誰かのところに行くなんて簡単な願いなら、そんなに難しくはないと思うんっすけど」

エルドラ「とにかく条件が整わないことにはどうしようもないっす」

キース「で、その条件ははっきりしねえと」

エルドラ「ホント、すんません」

キース「役立たずが……もういい方針変更だ」

キース「これまでは出会ったセレクターを片っ端から狩ってきたが、これからはそいつらを手下にする」

エルドラ「どういうことっすか」

キース「他のセレクターが夢限少女になるところを見れば、条件とやらが分かるかもしれねえ」

エルドラ「そ、それはやめといた方がいいんじゃないかと」

エルドラ「セレクターの条件は人によって違うから参考にはならないっすよ」

キース「それを判断するのは俺だ」

キース(それに手下にした小娘を使って実験しておくのも悪くはねえと思ったんでな)

キース(三敗した時のペナルティ以外にも隠されていることがないかどうかを)

キース(そもそも本当に夢限少女とやらになれば願いが適うのか)

キース(適うとしたら、どんな形で適うのか)

キース(安全性を確認してからでも、俺が夢限少女になるのは遅くねえだろ)

キース(三敗した際のペナルティを隠してたことといい、あのガキはどうも信用できねえしな)

数日後


キース「あそこにいるガキ共の一人が持ってるルリグのカード、動いてやがる」

キース「おい、あの中にセレクターは何人いるんだ」

エルドラ「……四人いるみたいっすね」

キース「こりゃついんな、あれだけいれば一人ぐらいは俺の話に乗るだろ」

エルドラ「移動するみたいっすよ」

キース「とりあえず後をつけてみるか」

裏路地


キース「ほぉ、何かと思えばセレクターバトルを始めんのかい」

エルドラ「らしいっすね。バトル空間が展開されるっす」

「あれ、こんな所に子供が」

「待って、るう子。この子もしかして」

キース「ご察しの通り、セレクターだぜ」

「やっぱりそうか。じゃあ、私たちも」

キース「おっと待ちな。俺はここでする気はねえ」

「どういうこと?」

キース「そう身構えんなよ。俺はてめえらに話があるんでね」

キース「まぁ今はこのバトルを観戦しようじゃねえか」

「……わかった」

エルドラ「その前に自己紹介を済ませておいた方がいいんじゃないっすか」

「それがあんたのルリグ? まあいいや、私は遊月。紅林遊月」

キース「……ちよりだ」

キースって普通にゲーム強い人だから小娘が勝てる道理がねえwww

アニメ描写見てると真面目にデッキ構築してる子の方が少数派っぽいもんね

キース(ガキ共と自己紹介を済ませる)

キース(紅林の隣にいるガキは小湊るう子で、今バトルを始めようとしてるのは植村一衣と蒼井晶)

キース(この空間に入るまで一緒にいた男は紅林の弟らしい)

キース(名前を覚えつつもメアドの交換を持ちかけておく)

遊月「バトルが始まるみたいだよ」

キース(どうせ大したことはないと思いつつも俺はガキ共に目を向けた)

キース(植村の方が緑デッキで蒼井は青。実力は植村の方が上みたいだな)

キース(それなりのプレイングだし、カードの使い方も間違ってねえ)

キース(この勝負は植村の勝ちかと思ったんだが、蒼井が揺さぶりをかけたことによって戦局は覆った)

キース(大して意味のないハンデスや凍結で動揺しすぎだろ)

キース(勝負の決め手となったのは蒼井のアーツだ)

キース(ピーピングアナライズとかいうアーツは手札を捨てさせるだけじゃなく、相手の願いを見れるらしい)

キース(イカサマ禁止と言いながら、あれも半分イカサマみたいなもんじゃねえか)

キース(結局、植村は友達が欲しいとかいう下らねえ願いを覗かれて言葉攻めにされた挙句、戦意を喪失)

キース(その後は蒼井のやりたい放題だ)

るう子「……酷い」

遊月「ああ、こんなのあんまりだ」

キース(俺はそうは思わねえけどな)

キース(勝負なんてのはどんな手段を使っても勝てばいいんだよ)

キース(あの程度の揺さぶりでバトルを放棄した植村が悪い)

キース(だがまあ願いを覗き見ての言葉攻めなんて下らねえ真似は、メンタルの弱い奴にしか通用しねえだろう)

キース(そんなので潰れるたぁな。こいつじゃ、どっかで三敗するのがオチだぜ。夢限少女の実験体には使えそうにねえ)

キース(蒼井の方は逆にカードの腕が冴えねえな。トゥーバット使った後にピーピングアナライズたぁ、何をどう考えればそんなアホなプレイングができるんだ)

キース(下手くそのド素人が。こいつも夢限少女になれる器じゃなさそうだぜ)

キース(残りの二人に期待するしかねえか)

晶「あれ、一人増えてんじゃん」

晶「あきらっきー。晶とメアド交換しちゃおう」

晶「嫌だとか言わないよね」

キース「したいならこの場でやってもいいんだぜ」

晶「ピルルクたんが寝ちゃったから今は無理」

キース(そういや最初の頃は一戦ごとにエルドラも寝てやがったな)

キース「ほらよ、メアドだ」

キース(紅林からもメアドを聞き出した蒼井は愉快気な足取りで帰っていきやがった)

キース(植村に勝って気分がいいんだろうが、たかが一勝がそんなに嬉しいかね)

遊月「私はともかくこんな小さい子にまで強引に連絡先を聞き出すなんて」

キース「かまわねえよ。ありゃ教えなきゃ付きまとってくるタイプだ」

キース「今度やる時に徹底的に潰してやればいい」

香月「潰すって……物騒だね」

キース「それより本題に入ろうじゃねえか」

キース「なぁてめえら、俺とチームを組まねえか」

遊月「チーム?」

キース「言葉通りの意味だ。セレクター同盟を結ぼうってこった」

遊月「でも、それは」

キース「言いたいことは分かるぜ」

キース「セレクターの数は限られてる上に、何勝すればいいか分からないんだから、出会った奴とバトルしないわけにはいかない」

キース「だがよ、俺とここでするよりも多くのセレクターとやれるならどうだ」

遊月「それ、どういうこと」

キース「俺はこれまでかなりの数のセレクターを潰してる」

キース「その中の何人かはどこの学校に通ってるかも、知ってるってわけだ」

キース「対戦相手が欲しけりゃ、そいつらの居所をてめえらに教えてやる」

キース「代わりにそっちもセレクターを見つけらたら俺に知らせろ」

遊月「それって私が倒した後でかまわないんだよね」

キース「もちろんいいぜ。それで丁度3敗目なら仕方ねえさ」

遊月「……香月、花代さん。私はこの話を受けようと思う」

花代「ホントにいいのかい」

遊月「少し胡散臭い気もするけど、私は何としても願いを叶えなくちゃいけないんだ」

香月「遊月がそうしたいなら僕は反対しない」

キース「決まりだな。小湊はどうする」

るう子「るうは……悪いけど遠慮するよ」

キース「何故だ。悪い条件じゃなかったはずだが」

るう子「だってるうには叶えない願いがないから。願いを持っている人たちの邪魔をするようなことはしたくない」

キース「何? おい、エルドラ。願いのないセレクターなんているのか」

エルドラ「何とも言えないっす」

エルドラ「これまでのセレクターは皆何かしらの願いを持ってたっすからね」

エルドラ「るう子はイレギュラーな存在かも」

キース「……まぁいいさ。嫌がる奴を無理に誘いはしねえ」

キース(とりあえず一人は実験体を確保できたしな)

キース「じゃあさっそくだが紅林、デッキを見せろ」

遊月「……いくら同盟相手だからって、それはちょっと」

キース「勘違いすんなよ。俺は手助けするつもりなんだぜ」ガバ

るう子「凄い数のデッキがジャケットの裏側に」

遊月「こんなにいっぱい揃えるのに幾らかかったんだ」

キース子さんって想像つかない

キース「量だけじゃねえ、ここにあるのは格属性のエキスパートカードだ」

キース「これでてめえのデッキを強化してやる」

キース「だからさっさと見せろ」

遊月「わ、わかった」

キース「赤デッキか。この構成じゃあスピードはあってもパワーが足りてねえな」

キース「序盤はともかく中盤以降で巻き返されるだろ」

キース「とりあえずアダマスフィアとガンスナイプを何枚か積んどくか」

遊月「でも、それけっこう値段の高いカードなんじゃ」

キース「金はとらねえから安心しな」

キース「同盟相手なんだからカードはいくらでもまわしてやるさ」

遊月「……何か私、凄い子と組んだみたいだ」

遊月「るう子。今からでも同盟に入れて貰えばいいんじゃないか」

遊月「デッキも強化してもらえるみたいだし、やっぱり悪い話じゃないよ」

るう子「るうは自分でデッキを組みたいから。それもウィクロスの楽しみの一つだと思う」

遊月「そうか。るう子はウィクロスを楽しみたいんだもんな」

キース「終わったぜ、ほらよ」

遊月「随分中身が変わってる。花代さんはどう思う」

花代「いいんじゃないか。レアカードが入っただけじゃなくて、デッキのバランスも良くなってる」

花代「他人のデッキでこれなら、本人のデッキは……同盟を組むって判断、間違っていなかったと思うよ」

キース「そういうこった。それで同盟を拒否した小湊はここで俺とするのか」

るう子「え、るうは」

タマ「ばとぅする!」

るう子「タ、タマ」

キース「くく、ルリグは乗り気みたいだな」

遊月「ちょっと、ちょっと。止めてよ、ちより」

遊月「るう子は私の友達なんだから」

キース「同盟相手が言うんじゃ仕方ないわな」

遊月「あっさり引き下がってくれるんだ」

キース「俺が強引にしたがる奴に見えたかよ」

遊月「それは……だって言葉使いも荒いし」

エルドラ「いやぁ、すまねえっすわ」

エルドラ「この子の口の悪さは直させるようにするんで」

エルドラ「今後も仲良くしてやってください」

キース「余計なこと言ってんじゃねえ」

遊月「それで、対戦相手の居場所を教えてくれるってのは」

キース「安心しろ。二言はねえよ」

キース「次の休みにでもてめえの勝てそうな相手を紹介してやる」

自宅


エルドラ「それにしてもホント嘘が上手いっすね」

キース「ククク、そりゃモルモットになってくださいとは言えねえからな」

キース「あの小娘がどんな願いを持ってるか知らねえが、俺がサポートしてやれば負けることはなくなる」

キース「夢限少女誕生の瞬間をこの目で拝ませてもらおうか」

エルドラ「……」

休日 公園


キース「小湊たちはついて来ると思ってたが、まさか植村までいるとはな」

遊月「一衣とはあの後友達になったんだ。別に一緒に来てもいいでしょ」

キース「かまわねえが、同盟を組むなら、一応デッキを強化してやってもいいぜ」

キース(ま、大して期待はできえねけどな)

一衣「そ、それはいいです。私の願いはもう叶ったようなものですから」

キース「……ああ、確か友達が欲しかったんだったか」

キース(そんな下らねえ理由でよく、こんな得体の知れねえカードをやってたもんだ)

遊月「それで私の勝てそうな相手ってのは何処にいるの」

キース「慌てるんじゃねえよ。その前に駆除しとく害虫がいるだろ」

るう子「害虫?」

キース「紅林のところにもウザったいメールが来てるはずだ」

遊月「……晶か。ちよりが対戦相手を紹介してくれるって言ってくれてなかったら、私はあいつとバトルするつもりだったけど」

キース「なら丁度良かった。あの野郎からのメールがしつこいんで場所と時間を指定しといたぜ」

るう子(野郎って晶さんは女の子だけど……)

キース「そろそろ、ここに来るはずだ」

遊月「でもあいつのアーツは他人の願いを覗き見る」

遊月「対戦相手が他にもいるなら無理に戦う必要はないと思う」

キース「付きまとわれると面倒なんだよ。さっさとやって黙らせるにかぎる」

キース「俺が強化してやったデッキなら負けることはないはずだが、願いを見られたくねえってんなら仕方ねえ」

キース「俺が直接叩き潰して、てめえらに関わらねえように釘を刺しといてやる」

キース(こいつらを信用させるには丁度いい機会だ)

遊月「ちよりは嫌じゃないの。願いを見られるんだよ」

キース「生憎と俺は願いを隠す気なんてないんでね」

キース「覗くなら好きなだけ見せてやるさ」

晶「カモ発見! まとめて来てくれるなんて、あきらっきー」


公園裏


キース「じゃあさっさと終わらせるぞ」

晶「最初の相手はちよりんってわけ」

晶「改めて見るとマジでちっちゃい子供じゃん」

晶「ちゃんとウィクロスのルール分かってる?」

キース「……オープン」

晶「うわ、無視とか酷ーい。オープン」


バトルフィールドテンカイ


キース ライフクロス7
    ルリグ エルドラ

晶   ライフクロス7
    ルリグ ピルルク

晶「先攻いただき。あきらっきー!」

晶「カードを一枚ドロー」


手札5枚→6枚


晶「エナをチャージ。ピルルクたん、グロウ」

手札6枚→5枚

エナ1

コード・ピルルク→コード・ピルルクK

晶「シグニを二体場に出すよ」


コードアート F・A・N 2000
あなたの手札が対戦相手より多いかぎり、このシグニのパワーは5000になる

コードアート R・F・R 1000
カードを1枚引く。その後、手札を1枚捨てる

手札5枚→3枚


晶「コードアート R・F・Rの出現時能力を発動」

晶「カードを1枚引いて、手札を1枚捨てる」


手札3枚→4枚→3枚


晶「先攻に攻撃は許されていないから、あきらっきーはこれでターンを終了しちゃう」

観戦席


遊月「あれ、どうして晶はあんな事を?」

遊月「一枚引いても捨てるんじゃ手札は増えないのに」

花代「分からないかい、遊月」

るう子「よく考えてみて。晶さんはカードを一枚引いた後、違うカードを捨てた」

一衣「つまりいらないカードを処理して、必要なカードを手札に残したの」

遊月「な、何だって!」

花代「そうさ。青の特性はああやってカードを引いて自分の行動を幅を広げることにある」

遊月「手札を捨てさせるだけじゃなかったんだ」

遊月「それにしても晶の奴、自分のターンが終わった途端に台に足を乗せてる」

遊月「一衣の時もやってたけど、ほんとマナー悪いな」

一衣「でもあの子も相手のターンの間、台に足を乗せて踏ん反り返ってたよ」

るう子「ど、どっちもマナー悪いね」

一応言ってきます。
正確には「バンデット・キース」ですよ。

対戦場


キース「俺のターン。ドロー」

キース「後攻だから2枚引かせてもらうぜ」


手札5枚→7枚


キース「エナチャージ。エルドラをグロウ」


手札7枚→6枚

エナ1

エルドラ×マーク0→エルドラ×マークI

キース「さらに俺はこのタイミングでアーツ、チャージングを発動」


チャージング コスト0
あなたのデッキの一番上のカードをエナゾーンに置く

エナ1→2


キース「コードアート G・R・Bを召喚。起動能力を発動するぜ」


コードアート G・R・B 1000
あなたのデッキの一番上を公開する。それが電機のシグニの場合、それを手札に加える


手札6→5


キース「俺のデッキの一番上のカードはコードアート J・V」

キース「電機のシグニだから手札に加えさせてもらう」


手札5→6

観戦席


遊月「コードアート G・R・Bって、けっこうリスキーなカードだよね」

遊月「自分のデッキの一番上のカードなんて見るまで分からないわけだしさ」

花代「そうとも限らない」

遊月「どういうこと?」

るう子「デッキに電機を多く入れておけば、高い確率でカードを引くことができるよ」

遊月「そうか、その手があったのか」

遊月「それにしても、晶とちよりは同じ青のデッキを使ってるみたいだ」

るう子「それは少し違うよ、遊月」

花代「ちよりのエナゾーンにあるカードを見るんだ」

遊月「チャージングで増やしたのは……赤?! 赤だって!」

遊月「ちよりは赤のカードも使ってるっていうの!」

るう子「あそこにある轟砲ランチャーギアはウェポンのタイプを持つレベル3のシグニ」

一衣「ウェポンは銃器をモチーフにしたシグニで主に破壊の効果を持ってるの」

るう子「ちよりのデッキは電機とウェポンを組み合わせた機械(マシーン)デッキだよ」

対戦場


キース(さて、ここからセオリー通りに攻めるのは簡単だが)

キース(はっきり言ってこんな奴を倒したところで俺が夢限少女になれるとは思えねえな)

キース(こいつ程度のレベルならこれまで俺が倒してきた連中の中に何人もいた)

キース(どうせ勝つと分かってるバトルなんだ。時間をかける必要もねえ)

キース(馬鹿を罠にはめて速攻勝負を決めてやるぜ)

晶「なに長考してんの。早くしてくれない」

キース「手札が悪かったんでな。しょうがないからここは二枚目のアーツを使わせてもらう」

キース「アーツ――おっと、手が滑ったぜ」


サーバント T
ガード このカードを手札から捨てることで、ルリグの攻撃を一度無効にする
マルチエナ コストを支払う際に、このカードは全ての色を持つかのように扱う
ライフバースト エナチャージ1


キース「クロス・ライフ・クロスを発動」


エナ2→1


キース「ライフクロスからカードを一枚手札に加え、手札のカードをライフクロスに加える」

観戦席

遊月「クロス・ライフ・クロス。最初に晶の使ったシグニと同じく手札に良いカードを持ってくるためのアーツか」

るう子「それだけじゃないよ、遊月」

るう子「ライフクロスにカードを仕込むことができるってことはライフバーストを狙って発動させされるの」

花代「でも腑に落ちないね。あの子が仕込んだカードはサーバント T」

遊月「手札を落としちゃった時に見えたカードだよね」

遊月「それがどうしておかしいの、花代さん」

花代「サーバント Tのライフバーストはエナチャージ1」

花代「エナを一つ増やせるというだけの効果なんだ」

花代「わざわざアーツまで使って仕込むようなカードじゃない」

遊月「もしかしてさ、ちよりは他の出せるレベル1のカードがなかったんじゃないかな」

遊月「だからそれを引き入れるためにライフクロスからカードをとったんだ」

花代「……そう考えるしかないだろうね」

るう子「でも、何だろうこの違和感」

遊月「るう子?」

るう子「ちよりの狙いは何か他にある気がする」

機械で機銃ってキースらしいデッキだなぁ……。

対戦場


キース「ついてねえな。アタックフェイズに移行」

キース「エルドラで攻撃だ」


晶ライフクロス7→6

晶エナ1→2


キース「俺はこれでターンを終了するぜ」

晶「あは! もしかしてレベル1のカードが他になかったの」

晶「そんなに手札があるのに?」

晶「あきらっきー! 場ががら空きだから攻撃し放題」

晶「仕込んだカードがサーバントTだってことは分かってるし」

晶「カードを落とすなんてド素人じゃん」

晶「それじゃあ晶のターン。2枚ドロー」


手札3→5


晶「エナをチャージして、ピルルクたんをグロウ」


手札5→4

エナ2→3→2

コード・ピルルクK→コード・ピルルク・M

晶「コードアート S・T・Gを場に出してアタックフェイズ!」


コードアート S・T・G 5000
あなたの手札が対戦相手より2枚以上多いかぎり、このシグニのパワーは8000になる

手札4→3


晶「コードアート R・F・Rでライフクロスにアタック」


キースライフクロス7→6


キース「くくく、この瞬間ライフバーストが発動するぜぇ」

晶「エナチャージ1でしょ。分かりきってるんだから早くエナを」

晶「……は?」

観戦席


一衣「何が起こったの?」

遊月「晶の場のシグニが……一体残らず破壊された」

遊月「どういうこと花代さん!」

遊月「サーバントTのライフバーストはエナチャージ1じゃなかったの!」

花代「ああ、確かにサーバントTならそうさ」

るう子「見て遊月、ちよりのライフバーストを」


弩砲ガンスナイプ
ライフバースト:対戦相手のシグニを、パワーの合計が8000以下になるように好きな数バニッシュする


遊月「違う……! あれはサーバントTじゃない!!」

一衣「あの子が入れ替えたカードは確かにサーバントTだったはずなのに」

対戦場


晶「何、これ、一体どうなってるわけ!」

晶「ライフバーストはサーバントTじゃなかったの!」

晶「イカサマだ、てめぇイカサマしたんだろ!」

ピルルク「……セレクター同士のバトルでイカサマはできない」

晶「はぁ? じゃあこの状況は一体何なんだよ!」

晶「何で私のシグニが全部バニッシュされんだよ!!」

観戦席


花代「おそらくちよりはカードを入れ替える際にサーバントTの裏にガンスナイプを重ねていたんだ」

花代「そしてセットする瞬間にサーバントTだけを抜き取ってガンスナイプをライフクロスに仕込んだ」

遊月「それ……イカサマじゃないの?」

花代「別のところからカードを持ってくるのは違法だけど、手札から仕込むならその過程は問われない」

花代「晶のやっている言葉攻めと同じで、マナー違反ではあるがイカサマにはならないよ」

遊月「そうか。晶のやつ普段自分がやってる事と同じ、いやそれ以上のことをやり返されたんだ」

遊月「見ててスカッとしたよ。一衣もこれで溜飲が下がっただろ」

一衣「私は、ああいうことはしてほしくなかった」

遊月「一衣は人が良すぎだって。晶のやつがやってきた事を思えば完全に自業自得だよ」

遊月「るう子もそう思うでしょ」

るう子「るうも、ちよりにはあんな真似してほしくなかったよ」

遊月「はぁ、るう子も一衣も優しすぎだよ」

るう子(だってちよりは多分、あんな事しなくても、あんなことしない方が強いはずだから)

対戦場


晶「くそがっ! ピルルクでアタック」

キース「サーバントTでガード」


サーバント T
ガード このカードを手札から捨てることで、ルリグの攻撃を一度無効にする

キース手札6→5


晶「ちぃ、ターン終了」

キース「俺のターン、ドローカード」


手札5→7


キース「場からG・R・Bをエナにまわしてグロウだ」


エナ2→3→2

エルドラ×マークI→エルドラ×マークII

こんなイカサマバレるに決まってんじゃんwwwwwwwwと思ったらアニメでは手元がよく見えないくらい遠いんだったな。
こりゃあ騙されますわ

キース「場ががら空きだから攻撃し放題」

キース「こういう時何て言うんだったか」

キース「あきらっきー、で良かったかねぇ」

晶「てめぇ、ふざけやがって」

キース「背徳の象徴コスモと爆砲ランチャン、そして小砲ドラグノフを召喚」


手札7→4

背徳の象徴コスモ 7000

小砲ドラグノフ 1000
手札を1枚捨てる 対戦相手のパワー2000以下のシグニ1体をバニッシュする。

爆砲ランチャン 3000
手札を1枚捨てる 対戦相手のパワー5000以下のシグニ1体をバニッシュする。


キース「ランチャンとドラグノフは手札を一枚捨ててダウンさせることによって、相手のシグニをバニッシュできる特殊能力モンスター」

キース「もっとも相手の場に何もいない状態じゃ効果もクソもねえが、このタイミングで俺がこの二体を並べたのには理由がある」

キース「それはこいつらが両方ともウェポンの種族のシグニだからだ」

晶「何を訳の分からねえことを抜かしてんだよ!」

ルールに乗っ取ったイカサマとは……キースやるな。

宝剣かな?

観戦席


遊月「悪魔属性の黒シグニ? 機械以外のシグニがどうしてちよりのデッキに入ってるの」

るう子「黒のパワーマイナスと赤のトラッシュ。二種類のスペルを状況に応じて使い分けるつもりなんだと思う」

遊月「それとさ何で相手の場にシグニがいないのに破壊効果を持ったカードを出してるんだろ?」

るう子「ポイントはちより出したシグニが両方ともウェポンであるということだよ」

遊月「そう言えばちよりもそんなことを言ってたっけ」

緑子「ちよりは赤のスペルを使うつもりだ」

一衣「多分、そのカードは遊月のデッキにも入ってると思う」

遊月「私にデッキにも……そうか! まさかちよりはあのカードで」

花代「一気に攻めるつもりだろうね」

対戦場


キース「手札から光欲の宝剣を二枚発動」


光欲の宝剣
ターン終了時まで、あなたの鉱石、宝石、ウェポンのシグニいずれか1体はダブルクラッシュを得る。

エナ2→0


キース「てめえのデッキの中身は植村との対戦を見て完全に把握してるぜ」

キース「青デッキにも関わらずドントムーブとアンチスペルを入れねえたぁな」

キース「俺のことをド素人呼ばわりしてたが、てめえの方がよっぽどド素人だ」

キース「爆砲ランチャンでライフクロスをダブルクラッシュ!」

晶「くそっ……!!」

キース「ライフバーストは出ねえみてえだが、出たところでてめーのデッキは青単色」

キース「ハンデスかドローのような非攻撃妨害型が関の山だ」

キース「あるいはサーバントでエナチャージか」

キース「どちらにせよ他の色みてえに俺のシグニに干渉するカードは入ってないはずだぜ」

キース「残りのシグニで総攻撃と行こうじゃねえか」

観戦席


遊月「結局、出たライフバーストはちよりの言った通りドローとエナチャージが1枚」

一衣「全てがちよりの思惑通りに進んでいる」

花代「ガードを切ってルリグアタックを凌いだとはいえ、晶の残りのライフクロスは1枚」

遊月「もう事実上勝負は決まったも同然だけど、晶の奴は悪あがきをやめないはずだ」

るう子「前のターンの破壊と今の攻撃でエナは十分に溜まったから」

緑子「アーツ。ピーピングアナライズを使ってくる」

対戦場


晶「……」


手札3→5

エナ11


晶「ぷ、くくくく、あははははは」

キース「何だ、勝ち目がなくて狂ったか」

晶「違う違う。晶はね愉快でたまらないの」

晶「これだけエナがあればアーツを幾らでも使えるからさ」

晶「ちよりんの願いを覗くことができる」

ピルルク「……アーツを使用する前にグロウを」

晶「うるせえんだよ! ピルルク、てめえは黙ってろ!」

ピルルク「……」

晶「それじゃあいっちゃうよ、ポイポイタイム!」

ピルルク「……アーツ、ピーピングアナライズ」

晶「これから晶が指定するレベルのシグニを全部捨ててもらうから」

晶「まずはぁ1?」

キースがこの程度で狼狽する訳ないって……。

観戦席


るう子「今更、手札を削ったところで戦局は覆らない」

遊月「晶の願いを覗いてちよりの戦意を喪失させるつもりだよ」

緑子「それでもハンデス時はきっちりと揺さぶりをかけるみたいだ」

遊月「まずい、顔に出てる。あれじゃあ簡単にカードを当てらるよ」

一衣「あの子でも耐えられなかった……あの揺さぶりは本当に辛いから」

花代「……どうだろうね。私にはあの子があれで崩れるようには見えないけど」

るう子「うん。あれは多分……」

対戦場


晶「晶が指定するレベルは3」

キース「……くく」

晶「え……?」

キース「馬鹿を相手にすると本当にやり易いぜ」


キース手札
悪夢の続発リリス レベル4
サーバント D レベル2


晶「3の時に表情が歪んだのはブラフ!? どこまでも小賢しい真似しやがって……!」

晶「もういいピルルク、さっさと覗け!」

キース「……」

ピルルク「彼女の願いは……復讐」

観客席


遊月「ちよりの願いが、復讐」

タマ「ふくしゅうって、何?」

緑子「本人にとっては他人に知られたくないタイプの願いだ」

遊月「まずいよ、そんな願いを知られたんだから、ちよりは絶対に取り乱す」

一衣「最悪の場合……バトルの続行ができなくなるかも」

花代「……どうだかね。さっきも言ったけどあたしにはあの子がその程度で動揺するようには見えないよ」

るう子(復讐……だからちよりのバトルは)

対戦場


晶「へえ、何、何。そんな下らないことのためにバトルしてたの」

晶「馬鹿みたい。勝てないからって夢限少女の力に頼ろうとしてたんだ」

晶「マジで臆病者じゃん。そんなのが夢限少女を目指すなんて最悪」

晶「もうウィクロスやめちゃいなよ。ねえやめちゃいなよ」

晶「こんなのが同じセレクターなんて気分悪いんだけどー」

キース「……言いたいことはそれだけか、ジャップ」

晶「はぁ、一人前に怒ってんの? 臆病者の三下が」

キース「いつまでも下らねえこと、ぐだぐだと抜かしてんじゃねえぞ!」

キース「勘違いしてるようだから言っといてやる」

キース「俺が夢限少女の力で行うのはあくまで復讐相手の元へ行くことだけだ」

キース「復讐自体は俺の手で果たす」

キース「オカルトの力に頼って復讐なんてしても意味はねえからな」

晶「……何、それ。意味分かんない」

キース「表情が歪んだな。はっ、そうかよ」

キース「てめえは勝てねえ相手を夢限少女の力を使って引きずり降ろそうとしてたわけだ」

キース「臆病者の負け犬はてめーじゃねえか」

晶「ふ、ふざけんじゃねえぇぇぇ!!!」

観客席


遊月「……逆に挑発して晶のペースを乱すなんて」

花代「言った通りだろ。あれはそんなタマじゃない」

一衣「人には言えないような願いを堂々と胸を張って言えるなんて……少し羨ましい」

緑子「一衣……」

遊月「……それは確かにそうかも」

対戦場


晶「場を埋めないと次のターンでやられる」

晶「私は幻水シャークランスを」

キース「そいつは無理だぜ。てめーはこのターンルリグをグロウしてない」

キース「出せるのはレベル2までだ」

晶「な、なら今からグロウを」

キース「アーツを使用した以上、既にメインフェイズに入ってる」

キース「グロウフェイズを逃したなら、このターンはグロウできねえ」

晶「ち、畜生。どこまでもムカつくガキが」

キース「てめえのプレイングミスを人のせいにしてんじゃねえよ」

晶「ピルルク、何で言わなかった!」

ピルルク「……私は進言した」

晶「言い訳してんじゃねえぞ、役立たずが!」

キース「馬鹿の上にカスがパートナーだとルリグも苦労しそうだな」

エルドラ「それについては同意するしかないみたいっすね」

エルドラ「同じ性格が悪いセレクターでも有能か無能かでここまで違うとは」

キース「てめえいい加減燃やしてやろうか」

エルドラ「勘弁してほしいっす」

晶「舐めてんじゃねえぞ! アーツ、ドローツーを二枚使ってカードを四枚ドロー」


エナ8→4

手札5→9


晶「コードアート S・T・G、サーバント O、コードアート F・A・Nで、てめえの場の全シグニにアタック」


手札9→6

キースエナ0→3


キース「何とか壁を並べてきたか。思ったより粘るじゃねえか」

晶「余裕かましてんじゃねえぞ!」

晶「ピルルクでアタック!」

キース「通すぜ。ノーガードだ」

キース「俺のターンだな」


手札2→4


キース「くっははは、どうやらこのターンで決着みたいだぜ」

キース「俺がエナに回すのは黒の悪魔シグニ、悪夢の続発リリス」


手札4→3

エナ4→5


キース「グロウはなしだ。メインフェイズにアーツ、サルベージを発動」


サルベージ
あなたのトラッシュから、あなたのルリグと同じ色のシグニ1枚を手札に加える

エナ5→4


キース「俺はコードアート J・Vを回収する」


手札3→4

キース「コードアート S・C、コードアート J・V、爆砲ランチャンを召喚」


キース手札4→1

コードアート S・C 3000

コードアート J・V 7000


キース「更にランチャンの起動能力を発動」

キース「手札を一枚捨てランチャンをダウンさせることによってコードアート F・A・Nをバニッシュ」

晶「良い事教えてあげる。あきらっきーの手札にはサーバントがあるから」

晶「ルリグアタックは通らない」

キース「そんなことはてめえの手札が6枚ある時点で分かりきってることだろうが」

キース「ルリグアタックなんざする気もねえ」

キース「俺はアーツ、ブラッディ・スラッシュを発動」


ブラッディ・スラッシュ
あなたのシグニ1体をトラッシュに置く。そうした場合、対戦相手のシグニ1体をバニッシュする。


キース「俺がトラッシュに置くのは爆砲ランチャン」

キース「破壊するのはコードアート S・T・G」

晶「……あ」

キース「これで終わりだな、負け犬。サーバントがあってもシグニの攻撃は防げねえ」

キース「コードアート S・Cとコードアート J・Vで攻撃だ」


晶ライフクロス1→0→敗北

花代「終わったね。パーフェクトゲームとまでは行かずとも、ほぼそれに近い完勝」

遊月「凄いよ。まさかあんなに強いなんて思わなかった」

一衣「デッキのバランスもいいし、プレイングにミスもない」

緑子「とても子供とは思えない実力だ」

るう子「……」

タマ「るう?」

遊月「あれ、るう子どうしたの。そんな複雑な顔して」

遊月「さてはちよりとバトルがしたいって思ってるんでしょ」

遊月「あのデッキにどうやって勝てばいいかとかを考えてたとか」

るう子「……」

公園裏


晶「何だよ、何なんだよてめえは」

晶「なんで私の邪魔をすんだよ!」

晶「私をけちょんけちょんにして楽しんでたんだろ」

キース「自惚れてんじゃねえよ、負け犬」

キース「てめえ如きを倒したところで面白くもなんともねえ」

キース「俺にとって楽しい瞬間があるとすれば、それは復讐を果たした時だけだ」

キース「てめえみたいな雑魚を倒したところで、俺が夢限少女に近づくことがねえのはわかりきってんだよ」

キース「こんなバトル面倒なだけだから、さっさと終わらせたんだぜ」

キース「てめえなんざ踏み台ですらねえ、足元に転がってる石ころだ」

キース「今度俺たちに近づいたらただじゃ済まさねえからな」

晶「ガ、ガキが舐めた口聞いてんじゃねえぞ!」

キース「いいのか俺を殴って。警察沙汰になって困るのはてめーの方じゃねえのか」

晶「く、くそがぁ!!」タタタ

遊月「ちより、大丈夫だった。晶に何もされてない?」

キース「読者モデルが人を殴って警察の世話になるわけにはいかねえだろ」

遊月「はは、肝も据わってる。それでさ、まだ時間はあるよね」

キース「対戦相手の紹介だったな。時間もまだあるし一人ぐらい狩っとくか」

キース「この近くに住んでるやつがいるから、そいつのとこに案内してやる」

遊月「ホント。それじゃあさっそく」

るう子「ねえ、ちより。今から私としてほしいの」

遊月「るう子? いきなり何を」

るう子「るうには願いなんてないから、真剣に戦ってる人たちの邪魔をするのは駄目だと思ってたけど、ちよりだけは見逃せない」

るう子「だってちよりのバトルは間違ってるから」

るう子「晶さんみたいに初めから歪んでるならいい」

るう子「でもちよりはそうじゃない。本当はそんなバトルをする人じゃないはずだから」

るう子「復讐という目的がちよりのバトルを歪ませているなら、そんなバトルが間違ってるって、るうが証明してみせる」

キース「……黙って聞いてりゃ好き放題言いやがって」

キース「俺の事をろく知りもしねえくせに、生意気なことを言ってんじゃねえぞ!」

キース「いいぜ、やってやる。願いを持たねえセレクター。てめえには興味があったんだ」

キース「他とは違うてめえをぶちのめせば、俺が夢限少女に近づくこともあるかもしれねえからな」

キース「デッキを出せ、小娘」

キース、るう子「「オープン!」」

アニメ風次回予告


「でも駄目ね。あなたには決定的に欠けているものがあるもの」

「分からないっすよ。だってちよりは何も話してくれませんから」

「植村のことは残念だったな。まさかそんなペナルティがあったとは、俺も知らなかったぜ」

「ちより! てめえは殺してやるっ!」

「どうして、あなたが」

「終幕の刻だ、るう子」


――――その老人は黒幕

タイトルで吹いたw 
ウィクロスSSは貴重だから期待


胡散臭いルリグや後ろ暗いセレクターや妙に鋭いるう子とか原作の不穏さが良く出てるよね

キースみたいな喋り方するちよりちゃん想像できねーよww
期待

トムに負けた人のくせにかっこいい…
ウィクロス知らないけど、おもしろいの?

精神攻撃フェイズは基本

場違い過ぎて笑うわこんなの

顔だけキースになってるのしか想像できない

顔どころか声までキースだわ


他にこっちに来そうなやついるかな

キースさん小娘相手だったら普通に強いからなぁ……
でもるぅ子のガチデッキに果たして勝てるのか……

アニメ本編より本格的にカードゲームやっててワロタ
これは期待

キース ライフクロス7
    ルリグ エルドラ

るう子 ライフクロス7
    ルリグ タマ


キース「俺の先攻。ドローカード!」

キース「エナをチャージ。エルドラをグロウするぜ」

キース「そしてチャージングを使用。更にクロス・ライフ・クロスを発動だ」

キース「小砲ドラグノフとサーバントOを召喚」

キース「俺はこれでターンを終了する。さあ小娘、てめえのターンだ」

キース(俺のバトルが間違ってるだと。勝手なこと抜かしやがって)

キース(俺がペガサスの野郎に負けて味わった地獄も知らねえ癖に)

キース(本当のバトル? 知るかよ、そんなもん)

キース(カードゲームなんてのは勝ちゃいいんだ)

数ターン経過


るう子「るうはヴァルキリーの起動効果でサーバントTを手札へ」

るう子「タマの起動効果でランチャンをバウンス」

るう子「アークゲインでアタック!」

キース「くそっ、ドントムーブが使えねえ」

キース(このガキ、できる。蒼井とは段違いの才能!)

キース(蒼井に限った話じゃねえ。俺がこれまで潰したセレクター、いや全米チャンプ時代のデュエリスト共にも、ここまでの才能を秘めた奴はいなかった)

キース(だがそれでも俺がこいつより劣ってることはねえはずだ)

キース(なのに何で、俺は追い詰められている?)

キース(ペガサスの野郎の時みたいな、オカルト染みたサマが発動した様子はない)

キース(ライフクロスは互いに3枚。勝負は五分五分に見えるが、手札の枚数や場のシグニの状況的には俺が一歩遅れをとっている)

キース(馬鹿な、どうしてだ。なんで俺が願いも持たねえような奴に?)

キース(それにあのガキは何であんなに楽しそうにバトルをしてやがるんだ)

キース「くそがぁ! 俺のターン、ドロー」

キース「――何? フィールドが」

公園裏


清掃員「君たち、そこで何をしているんだい」

遊月「あ、すいません。すぐに立ち退きますから」

一衣「第三者の介入によって、バトル空間が解かれたの?」

緑子「そうみたいだね」

遊月「何かヒートアップしてるみたいだけど、一度二人共落ち着こうよ」

るう子「ねえ、ちより。あなたは」

キース「うるせえ!」

キース(小娘を突き飛ばして、俺はその場から走り去っていた)

キース(今回はオカルト紛いのサマを使われたわけでもなければ、向こうがツイていたわけでもない)

キース(あのまま続ければ、俺は……)

住宅街


キース「……俺は逃げたのか」

キース(あの小娘との再戦を恐れて俺は逃げたってのかよ)

キース「クソッ! クソが!」

「最近連勝しているセレクターと聞いていたけど、実物を見てみると正直がっかりね」

「ホントね。こいつからは負け犬の臭いがするもの」

キース「あ? 何だ、てめえは。喋るカードを持ってるってことはセレクターか」

キース「俺が負け犬とぁ言ってくれるじゃねえか」

キース「ぶち殺すぞ、小娘!」

「まあ、怖ぁい。どうするのイオナ。こいつとここでする?」

イオナ「そうね。あまり期待はできないけど、一応しておこうかしら、ウリス」

ウリス「こいつは他のセレクターとは違うし、それなりには楽しめると思うわ」

キース「く、くははは。どいつもこいつも俺を舐めやがって。いいぜ、お望みならしてやるよ」

キース「吠え面かかせてやるぜ、小娘。オープン!!」

イオナ「オープン」


バトルフィールドテンカイ


キース ライフクロス7
    ルリグ エルドラ

イオナ ライフクロス7
    ルリグ ウリス

キース「先攻は貰った。ドローカード!」

キース「エナをチャージしてグロウ」

キース「そしてコードアート G・R・Bを召喚。効果発動だ」

キース「デッキトップは……ちっ、ウェポンか」

キース(混色デッキである以上、不発の可能性はあるから仕方ねえ)

キース(予想範囲内だ。俺は城之内みたいなツキ任せの素人とは違うぜ)

キース(効果が不発だろうと勝ち切るだけの実力があるんだよ)

キース「サーバントOを場に出してターン終了」

>>101
ディヴァインとかハートランドとか。

数ターン経過


キース ライフクロス1

イオナ ライフクロス2


キース(何でだ、何でまた俺が劣勢になっている?)

キース(この女、同じだ。小湊るう子と同じ人種)

キース「こんな、こんなガキに俺様が」

イオナ「腕は一流。プレイングにミスもない。晶とは段違いの実力」

イオナ「でも駄目ね。あなたには決定的に欠けているものがあるもの」

キース「欠けているもの、だと」

蟹のような運命力

主人公補正

信仰だろう

イオナ「セレクターとしての魂」


――YOUは以前の私との戦いで、既にデュエリストとしての魂(マインド)を失ったようデース


キース「き、貴様ァァァァァァァァァ!!!」

イオナ「終わりにするわよ、ウリス」

ウリス「片付けましょう。アーツ、ブラック・デザイア」

キース「オーマイガァァァァァァァァァアアア!」

――――――――――――――――
――――――――――
―――――

数日後、自宅


エルドラ「そろそろ新しいセレクターを捜しに行きましょう」

キース「……」

エルドラ「一回負けたぐらいで何へこんでるんっすか」

エルドラ「ちよりらしくないっすよ」

キース「……うるせえよ。てめえに俺の何が分かるってんだ」

エルドラ「分からないっすよ。だってちよりは何も話してくれませんから」

キース「てめーに語ることは何もねえ。ぐだぐだ言わねえで黙ってろ」

エルドラ「……」

キース「心配しなくても俺は勝負を降りる気はねえぜ」

キース「ペガサスの野郎を潰す前に、まずはあのイオナとか言う女を倒す」

エルドラ「言うまでもないと思うっすけど、次負けると後がないっすよ」

エルドラ「確実に勝てる人を相手にした方がいいんじゃないっすか」

キース「ペガサスの野郎の時と同じだ。あいつを倒さねえことには俺は地獄から抜け出せねえ」

キース「あいつに復讐しない限り俺は前に進めねえんだよ」

エルドラ「……勝算はあるっすか」

キース「まずは紅林をあの女とぶつける。二度バトルを見れば完全にデッキの中身を把握できるからな」

エルドラ「でもあのセレクターの居場所が分からないことにはどうしようもないっす」

キース「イオナって名前をネットで検索すりゃ一発だったぜ」

キース「蒼井と似たようなもんだ。今流行りのアイドルだってよ」

エルドラ「スタジオの前で待ち伏せするわけっすね」

キース「そういうこった。とりあえずメールで紅林を呼び出すとするか」

キース「確認してなかったが随分メールが溜まってやがる」

エルドラ「一番新しいメールの文面は、あー、これはまずいっすね」

キース「ちっ、あの女。三敗した時のペナルティに気付きやがったな」

エルドラ「一衣は脱落しちゃったみたいっす」

キース「ほぉ、それでもバトルを続けるとさ。対戦相手を紹介してくれって書いてやがる」

キース「お望み通り相手を紹介してやろうじゃねえか」

スタジオ周辺


遊月「ちより……久しぶり」

キース「植村のことは残念だったな。まさかそんなペナルティがあったとは、俺も知らなかったぜ」

遊月「でも、ちよりもバトルを続けるんでしょ。その……復讐のために」

キース「まあな。だが俺のことはいい。セレクターの居場所を教えてほしいんだったな」

遊月「この近くにいるって話だったよね」

キース「浦添伊緒奈って奴を知ってんな」

遊月「最近話題のアイドルだったよね。もしかして彼女が」

キース「ご察しの通りだぜ。奴がスタジオから出るところを待ち伏せてバトルを挑む」

キース「とりあえずそこの電柱の陰にでも身を隠して」

「今から呼び出そうと思ってたのに、ここで見つけられるなんて、あきらっきー」

キース「あん? てめーは蒼井、か?」

遊月「晶……その顔、一体何が」

花代「セレクターの気配がしなくなってる」

エルドラ「大方、あの後二敗したか、あるいは既に一敗してて、最後のバトルで負けたってことじゃないっすか」

晶「ああ、そうだよ。イオナの奴を潰そうと思ったら私がこうなっちまった」

晶「だがなてめーらは、特にクソガキ、てめえだけは許さねえ」ジャキ

遊月「て、手にナイフを」

キース「このアマ血迷ったか」

晶「ゆずぽんは顔に傷をつけるだけで許してあげるけど――」

晶「――ちより! てめえは殺してやるっ!」ダッ

キース「くそ、このキチガイ野郎が」ドカ

晶「蹴りやがったな。抵抗してんじゃねえ!」

キース(くそったれ、城之内には遅れをとったとはいえ、俺は荒事にはそれなりに自信がある)

キース(だが今の体じゃナイフを持った奴相手に立ち回るのは不可能だ)

キース(せめてこいつが紅林を狙うなら逃げられるが、俺に執着している以上それも無理)

晶「死ね! クソガキ!」

キース「かはっ!」ドス

キース(は、腹を刺された。このアマ、マジだ。マジで俺を殺しにきてやがる)

晶「逃がさねえぞ、こら!」

キース「ぐぅ、がっ!」

キース(今度は太股を切り裂きやがった)

キース(足が動かねえ。こんなところで俺様が死ぬのか)

晶「これでトドメだ!」


――賞金を渡してもらうぜ、でなきゃここで今すぐ命を貰う


キース(カードの勝負に負けて逆上して暴力に訴える)

キース(あの時の俺はこんな無様な真似をしてたってのか)

キース(ペガサスの野郎の言う通りじゃねえか。かつての賞金王が何てザマだ)

キース(最後の最後になって、そんなことに気付くたぁな)

晶「死ねぇぇぇぇ!! クソガキ!」

遊月「やめろ! 晶」ドカ

晶「ぐぇ!」

キース「何!?」

遊月「く、痛っ」

キース「おい、紅林。てめーその腕」

遊月「私は大丈夫。ちより、早くここから逃げよう」

キース「……斬りつけられたせいで足が動かねえんだよ」

キース「あのアマは逆上してやがるから下手すりゃてめーも殺される。一人でさっさと逃げろ」

キース(我ながら、らしくない事を言ったもんだぜ。人間死ぬ間際になると殊勝になるもんなのかね)

遊月「そんなことをできるわけない」

キース「そんなに他のセレクターの情報が大切かよ。そりゃ俺に死なれりゃ困るのも分かるが状況ってもん考えろ」

遊月「違う。そうじゃない。友達をこんなところで見捨てられるわけないよ」

キース(何言ってんだ、こいつは。友達? いつからそんな関係になったよ)

キース(仮にこいつが俺のことを友達だと思ってたとして、自分の命を危険に晒してまで助けようとするものじゃねえだろ)

遊月「おぶさって、ちより」

キース「おい、何を勝手なことを」

晶「そんなことさせると思ってんのかよ!」

キース(こいつ一人ならともかく、俺を背負って逃げたら間違いなく二人まとめてやられる)

キース「下らねえ友情ごっこはいらねえから、さっさと一人で逃げろ!」

キース(何で、俺はこんなに必死になってんだ)

警察「こら、そこで何をしている!」

晶「ちっ、やべえ」

キース(ポリ公の姿が見えた途端、あのクソアマは人間離れした身のこなしで逃げていきやがった)

キース(ちぃ、俺の意識も霞んできやがったぜ)

―――――――――――――――――――
―――――――――――――
―――――

後日 病室


キース(結果的に蒼井につけられた腹の傷は致命傷にはならなかった)

キース(ジャケットの内側に仕込んでいたデッキの一つが緩衝材になり一命を取り留めたらしい)


コンコン


遊月「ちより、入るよ」

キース「弱ってる俺様を笑いにでもきやがったか? 生憎と体は普通に動くんでね」

キース「あと数日もすれば退院できるらしいぜ」

遊月「相変わらず素直じゃない。少しは性格と言葉使い直した方がいいよ」

キース「んなこたぁどうでもいい」

キース「てめーは他のセレクターの居場所が知りたいだけだろ」

遊月「いや、私はただちよりのお見舞いに」

キース「携帯貸せ」

遊月「それは、いいけど、何を」

キース「……」

キース「ほらよ、幾つかメアドを登録しといてやった。言うまでもねえと思うが、これは俺が潰したセレクター共のアドレスの一部だぜ」

遊月「でも今日はちよりが心配でお見舞いにきただけで」

キース「ガキの見舞いなんざウザったいだけだ。さっさと失せろ」

キース「そこ載ってる連中なら今のてめーのデッキなら確実に勝てる」

キース「てめーには叶えなきゃならない願いがあるんだろ」

遊月「……ありがとう。私、絶対に夢限少女になるから」

キース「まあ精々頑張んな」

キース「……だがな勝利し続けたところで必ずしも願いが叶うとは限らねえってことを覚えとけ」

遊月「それって、どういうこと」

キース「隠された事実は三敗のペナルティだけじゃねえかもしれねえってことだ」

キース「ルリグ共に聞いたところで答えないだろうがな」

花代「……」

エルドラ「……」

キース「もちろん叶う可能性もある。どう行動するかはてめー次第ってわけだ」

エルドラ「随分と親切っすね。モルモットにすると言ってませんでしたっけ」

エルドラ「どんな心境の変化っすか」

キース「……」


コンコン


キース「……今度は小湊か。てめーは情報が欲しいわけじゃないだろ。何しにきやがった」

るう子「るうも遊月と同じ。ちよりのことが、友達が心配だったからお見舞いに」

キース「そうかい、そうかい。ガキ共の頭の中はおめでたくていいぜ」

るう子「それと、ちよりが元気になったら私ともう一度バトルをしてほしくて」

キース「俺のバトルが間違ってるだったか。てめーにゃ悪いが俺にその気はねえ」

キース「俺はセレクターバトルから降りさせてもらう」

エルドラ「えっ! き、聞いてないっすよ、そんなこと」

キース「言ってねえからな。ペガサスの野郎への復讐も、浦添伊緒奈への復讐も、もうどうでも良くなっちまった」

キース「デュエリストだろうがセレクターだろうが、既に俺の魂とやらは失われてるんだろうよ」

るう子「違う。ちよりはまだやり直せる」

キース「……何を言ってやがんだ」

るう子「ウィクロスをカードゲームを純粋に楽しむことができれば、ちよりは今よりももっと強く、ううん、戻れるはずだから」

るう子「るうの知らない、昔のあなたはもっと強いはずだから」

キース「……病院ってのは暇でな、少し時間潰しがしたいと思ってたところだぜ」

キース「デッキを出せ、小湊」

るう子「でも、ちよりの体は」

キース「紅林にも言ったが、体を動かすのに支障はねえんだよ」

キース「さっさとしようや。俺の体を気遣いながらも、したそうな顔してるぜ」

キース「ここでしなきゃ、俺はてめーとはやらねえぞ」

るう子「……受けて立つよ、ちより」

キース、るう子「「オープン!」」


バトルフィールドテンカイ


キース ライフクロス7
    ルリグ エルドラ

るう子 ライフクロス7
    ルリグ タマ

キース「先攻は俺みたいだな」

キース(カードバトルを楽しむ。ペガサスに負けて以来、そんなことを考えたことは一度もなかった)

キース(だがここにペガサスはいねえ。そしてこの世界の俺はただのガキだ)

キース(ならガキはガキらしく、ガキと戯れてみるか?)

キース(……本当にらしくねえ)

三ターン目


キース「エルドラをグロウ。シグニを二体場に出し、アタックフェイズ」

るう子「るうはバロックディフェンスを発動」

キース(上手いタイミングだ。やはりこいつは強い。そして本当に楽しそうにバトルをしてやがる)

キース「ならこっちはブラッディスラッシュを発動するぜ」

キース(カードを始めた頃は俺も純粋にデュエルを楽しんでたんだったか)

五ターン目


るう子「るうはアークオーラを発動」

キース「させるかよ! アンチスペルで打ち消しだ」


七ターン目


キース「悪夢の続発リリスでライフクロスをアタック」

キース「続いてエルドラで攻撃だ」

るう子「サーヴァントOを切ってカード」

十ターン目


キース「エルドラでダイレクトアタック」

キース「手札にサーバントはあるか」

るう子「残念だけど、ないよ」

キース「そうか。なら――俺の勝ちだな」

るう子「うん――るうの負け」

キース「負けたわりに楽しそうな顔してるじゃねえか」

るう子「ちよりが同じ立場でもそうだったはずだよ」

キース「……そうかもしれねえな」

キース「ところでてめーのデッキ。どこかぎこちない部分があったぜ」

キース「何か足りねえカードがあったんじゃねえか」

るう子「アークゲインが高くて、まだ二枚しか手に入ってないから」

キース「あの高額カードか。白デッキならあれは四枚積みじゃねえといけねえな」

キース「ほら受け取れ」

るう子「でも、るうは同盟は」

キース「アホか。俺はセレクターバトルから降りるって言っただろうが」

キース「今更同盟なんか組むかよ」

キース「次する時は万全のてめーをぶちのめす。カードが足りないなんて言い訳されちゃ困るからな」

キース「今度、紅林のやつも連れてウィクロスパーティーにでも行こうや」

――――――――――――――――――――
――――――――――――――――
――――――――――

キース(紅林遊月がルリグになった。夢限少女になっても願いなんて叶わない)

キース(俺が夢限少女の真実を小湊から知らされたのは退院して間もなくのことだった)

キース「体を乗っ取る。それがてめーの目的だった。その事実に間違いはねえな」

エルドラ「……」

キース「どうなんだ、おい」

エルドラ「まったく遊月にも困ったもんっすね」

エルドラ「この秘密だけは絶対に喋っちゃいけないでしょうに」

キース「そうかよ。あっさり認めやがったな」

エルドラ「破らないっすか」

キース「どのみち女子高生の力で叶えられる範囲の願いしか成就しねえなら、俺の願いは叶わねえ」

キース「体が入れ替わる心配もねえってわけだ。そもそもその願いですら、今の俺にとっちゃどうでもいいことだしな」

キース「浦添とセレクターバトルをするにはてめーが必要だ」

キース「復讐じゃなく純粋なリベンジ。あんな無様なバトルは二度としねえ」

エルドラ「そうっすか。もう勝手にすればいいっす」

キース「ああ、そうさせてもらうぜ」

キース「浦添が主催するセレクターだけのウィクロスパーティー」

キース「そこで奴と決着をつける」

イオナ主催、ウィクロスパーティー会場


準決勝


キース「意外と早い再戦だったな、小湊」

キース「俺相手ならともかく、てめーはセレクターバトルを避けてたと思ったがね」

るう子「るうにも叶えたい願いが出来たから」

キース「叶えたい願い? だが夢限少女の絡繰りはてめえも知って」

るう子「タマは、私のルリグは特別で願いを叶えられるから、るうは夢限少女になって全てのルリグになった人たちを救ってみせる」

キース「なるほど。てめーらしい願いだが、それが叶うのはもう少し後になりそうだぜ」

キース「浦添の野郎とやるのは俺だ。どんな理由があろうが手加減はしねえ」

るう子「もちろん、手加減なんて必要ない」

るう子「全力のバトルで、ちよりを負かすから!」

キース「はっ、上等だぜ」

るう子、キース「「オープン!!」」

―――――――――――――――――――
――――――――――――――
―――――――

るう子「今度はるうの勝ちだよ」

キース「そうみてーだな。浦添とはてめーも因縁があるんだろ」

キース「さっさと行って決着をつけてこい」

キース「応援ぐらいはしてやる」

るう子「ちより……ありがとう」

つかキースの構築が謎過ぎるんだが
ガンスナより強力なLBあるのに赤混ぜる
アンサプ投入なら古代兵器積むのはわかるんだが何故リリス?

一衣「あ、あの、これ」

キース「あ? カードなんて出してどうし……そういうことか」

キース「……よう。案外元気そうじゃねえか」

ユヅキ「ちよりがそんな言葉をかけてくれるなんてね」

ユヅキ「何か悪いものでも食べたの」

キース「言い返せるぐらいの気力はあんのか」

キース「落ち込んでるか、そうじゃなけりゃ花代の野郎にキレてると思ったんだがな」

ユヅキ「花代さんにも事情があったんだ。望んで、こんなことをしたわけじゃなかったんだと思う」

キース「相変わらずの善人っぷりだな。まぁてめーが納得してんならそれでいいさ」

屋上


イオナ「やはりあなたが勝ち残ったわね。るう」

るう子「決着をつけよう、イオナさん」

キース「俺らは応援だ。まさか駄目だとか抜かすつもりじゃねえだろうな」

イオナ「別に見ているだけなら構わないけど、少し意外ね」

イオナ「あなたは他人の応援をするような人間じゃないと思ってたわ」

キース「心境の変化ってやつだ」

イオナ「そう。まあそんな事はどうでもいいわ」

イオナ「じゃあ始めましょう、るう。私とあなたの二人だけのバトルを」


ドン!!


キース「なん……だと」

一衣「これは……銃声?」

ユヅキ「一体、何が起こって……嘘でしょ」

るう子「イオナ……さん」

イオナ「ぐぁ、かはっ……!」ドサ

キース(浦添が血を吐きながら地面に転がった。何がどうなってやがる)

一衣「一体、誰がこんなことを」

「用済みになった駒は始末しなくちゃいけないねぇ」

イオナ「こんなの……聞いてない」バタ

「予定を変更したんだよ。プランを短縮できる存在が見つかったからね」

ユヅキ「どうして、あなたが」

「どうして、それはあたしが全ての黒幕だからだよ」

るう子「そんな、嘘でしょ……」










るう子「ばあちゃん……!!」











ばあちゃん「終幕の刻だ、るう子」










アニメ風次回予告


「冥途の土産に教えてあげるよ。このあたしの大いなる計画を」

「酷いよ……そんなの酷すぎる……!」

「コラテラルダメージ……!」

「そんなっ! 夢限少女になれば彼女は助かるって」

「楽しかったですよ~、清衣ちゃんとの友情ごっこォ~!」

「なら地獄でお前に勝つ」


――その魂は・・・

キース「……全ての黒幕。つまりてめえがこのセレクターシステムを作った張本人だってことか」

ばあちゃん「その通り。全てはあたしの悲願を遂げるために用意された舞台」

ユヅキ「それ、どういう事」

ばあちゃん「冥途の土産に教えてあげるよ。このあたしの大いなる計画を」

ばあちゃん「るうちゃん達は疑問に思わなかったのかい」

ばあちゃん「セレクターは負ければ大きなデメリットを負うが、勝利しても叶えられる願いは女子高生が自力で叶えられる範囲のもの」

ばあちゃん「どう考えても釣り合いがとれていないだろう」

キース「……てめえがプラスエネルギーを横取りしたってわけか」

( ゚д゚)ポカーン

ばあちゃん「良い答えだ。さすがに成人男性ともなれば頭の回転が違う」

ばあちゃん「間抜けな女子高生共よりは頭がいいようだねぇ」

キース「てめー、俺の正体を知って」

ばあちゃん「その話は後でいいかい。まずはあたしの大いなる目的を発表しようじゃないか」

ばあちゃん「そこで転がっている愚かな小娘さえ知らなかった、あたしの目的」

ばあちゃん「女子高生共から奪ったエネルギーであたしが成し遂げる願い」

ばあちゃん「それは……若返りだ!」

ばあちゃん「ピチピチの美少女に若返ることだよ」

キース「……正気か、ババア。そんな目的で、ここまで大がかりな仕掛けをしたってのかよ」

ばあちゃん「もちろん、ただの若返りじゃない。永遠の若さだ。ピチピチに若返って、あたしは永遠に生きるんだよ」

ユヅキ「そんな、そんな下らないことのために私たちの戦いは」

ばあちゃん「あたしのお肌の若さのためなら小娘共がどれだけ不幸になろうと、知ったこっちゃない」

ばあちゃん「おや、どうしたんだい、るうちゃん。震えてるねえ」

るう子「嘘、嘘だよ。ばあちゃんがそんな」

ばあちゃん「現実を見ないとは我が孫ながら嘆かわしいねぇ」

イオナ「……許さない。そんなカスみたい事のために私とるうを利用して」

るう子「イオナさん、撃たれたはずじゃ」

ばあちゃん「死んでないのは当然さ」

ばあちゃん「こいつの体はもう銃弾ぐらいじゃ死なない体になってるだろうからねぇ」

キース「まさか、ババア」

ばあちゃん「心当たりはあるんだろ。蒼井晶の常人離れした身のこなし」

ばあちゃん「そしてお前自身、ナイフで腹を刺されたのに生きてる」

ばあちゃん「カードデッキが緩衝材になったからといって、一命を取り留めるなんて出来過ぎていると思わないかい」

ばあちゃん「お前らはセレクターバトルをすればするほど化け物へと変化していくのさ」

ばあちゃん「最終的にルリグと入れ替わるが体は化け物のまま」

ばあちゃん「その後どうなるか教えてほしいかい」

キース「今のてめーの話で大よその察しはついた」

ばあちゃん「ほお、言ってみな」

キース「おそらくは……暴走」

ばあちゃん「ザッツライト!! そう、暴走するのさ」

ばあちゃん「暴走し近くにいる人間を片っ端から殺し、最後は心臓麻痺で死ぬ」

ばあちゃん「そいつの周りにいる家族はまず死ぬだろうね」

ユヅキ「嘘、嘘だ、そんな嘘だ」

ばあちゃん「最近の小娘どもは現実を見ないねえ」

ばあちゃん「あんたの弟はあんたの体を乗っ取った花代に殺されるのさ」

ばあちゃん「まあ、まだ暴走は始まってないみたいみたいだけどね」

ばあちゃん「姉に殺される弟ってのは興味深いから一度見たかったけど残念だよ」

イオナ「でも、これまで私は」

ばあちゃん「あんたは舞台を動かすのに必要な役者だったからねぇ」

ばあちゃん「エネルギーの一部を分け与えて暴走を抑えていたのさ」

イオナ「このゲス野郎……!」

ばあちゃん「本当はもう少し泳がせておくつもりだったが、その必要もなくなった」

ばあちゃん「そこにいるキース・ハワードのおかげでねぇ」

ユヅキ「キース……ハワード?」

ばあちゃん「そうさ。この小娘は別の世界では、カードゲームの元全米チャンプだった男」

ばあちゃん「死んだはずの男だったが、あたしの大いなる計画に巻き込まれて、この世界に転生しちまったんだよ」

キース「それで、俺の存在がてめーの計画を進めるってのはどういうこった」

ばあちゃん「イオナ、るうちゃん、そしてあんたを始末すれば、あたしの崇高な願いを成就させるのに必要なエネルギーは全て集まる」

ばあちゃん「その瞬間、全てのセレクターは死に絶えルリグは消滅、同時にこの街はなくなっちまうのさ」

ユヅキ「酷いよ……そんなの酷すぎる……!」

ばあちゃん「あひゃひゃひゃひゃ、酷い?」

ばあちゃん「コラテラルダメージ……!」

ばあちゃん「あたしの若さのためには致し方ない犠牲だよ」

キース「だが俺らは銃弾じゃ死なねえんだぜ。どうやって始末するってんだ」

ばあちゃん「セレクターを殺す唯一の方法はウィクロスのバトルしかない」

ばあちゃん「敗北者は死ぬ闇のバトルで始末するのさ」

キース「……俺らが勝負を受けなかったらどうする」

ばあちゃん「その時は時間をかけて計画を遂行するだけのこと」

ばあちゃん「どちらにせよお前らは死に街は消滅する」

ばあちゃん「ここであたしを倒せばそれを阻止できるんだよ」

ばあちゃん「勝負を受けないなんて選択肢、ありえないと思うけどね」

ばあちゃん「さあ、最初の相手は誰だい。かかっておいで」

イオナ「私が全てを終わらせるわ」

罰ゲーム!!1

るう子「イオナさん、でも怪我が」

イオナ「大丈夫よ、るう。見て」

一衣「傷口が……塞がってる」

キース「俺らはマジで化け物になっちまったってわけかい」

イオナ「それも、あの婆を倒せば全て解決する」

ウリス「あーあ、本当はこんなはずじゃなかったのに」

ウリス「このクソッタレと運命を共にするなんて」

ウリス「でも、仕方ないわね。これが正真正銘最後のバトル」

ウリス「こいつがそれを受け入れたなら私も腹を括るしかないじゃない」

ばあちゃん「さあセレクターによる闇のウィクロスパーティー」

ばあちゃん「その一回戦を始めるよ!」

ばあちゃん「来な、マユ!」

一衣「白紙のカードに女の子が」

キース「あれがババアのルリグか」

マユ「ようやく計画が完遂されるのですね、神よ」

ばあちゃん「そうさ、長かったねえ。あんたの協力がなければこうはいかなかったよ」

ユヅキ「あんたは……どうしてこんな奴に協力してるの!」

ユヅキ「こいつの計画が完遂されればあんたも」

マユ「何を勘違いなさっているのですか」

マユ「私は消えませんよ。逆に受肉します」

マユ「永遠に若い肉体を得て不老不死になるのです」

イオナ「貴様らの話は聞き飽きた。さっさとバトルを始めるわよ」

ばあちゃん「弱い犬ほどよく吠える。イオナ、あんたはあたしには勝てない」

イオナ、ばあちゃん「「オープン!!」」


バトルフィールドテンカイ


イオナ ライフクロス7
    ルリグ ウリス

ばあちゃん ライフクロス8
      ルリグ マユ

キース「どうなってんだ、おい」

ユヅキ「あいつのライフクロスがイオナより多い……!」

一衣「まさか、イカサマを」

ばあちゃん「人聞きが悪いねぇ。既にマユの特殊能力が発動しているのさ」

イオナ「特殊能力ですって?」

ばあちゃん「マユ、レベルゼロの特殊能力」

ばあちゃん「初期ライフクロスを8枚に増やすことができる」

ユヅキ「そんな! レベルゼロのルリグに特殊能力持ちなんて」

ばあちゃん「そうさ、普通はいない。でもこの子は特別でね」

ばあちゃん「唯一レベルゼロで特殊能力を持つルリグなんだよ」

ばあちゃん「もちろん持っているのはあたしだけさ」

キース「……汚ねえカード使いやがって。嫌な野郎を思い出したじゃねえか」

ばあちゃん「更にこの瞬間、第二の特殊能力が発動するよ」

ばあちゃん「通常、手札の引き直しは一回だが、マユの特殊能力によって、あたしは10回まで引き直すことができる」

ばあちゃん「……」シャカシャカシャカ

ばあちゃん「いーひっひっひ、これで理想の手札になったよ」

イオナ「バトルを続けましょう」

ばあちゃん「平気そうな面をしているが、それがいつ崩れるか楽しみだねぇ」

ばあちゃん「先攻はあたしだ、ツードロー!」

キース「待て、ババア! 先攻は一枚しかカードを引けねえはずだ」

ばあちゃん「甘いねぇ。この瞬間、マユレベルゼロの第三の能力が発動!」

ばあちゃん「最初のターン、通常のドローに加えて、もう一枚カードを引くことができる」

キース「馬鹿な、まだそんな特殊能力が」

イオナ「くっ……!」

ばあちゃん「マユ、レベルゼロをレベル1にグロウ」

一衣「どうやら今度は特殊能力はないみたい」

キース「それは違うみたいだぜ、植村。リミットを見ろ」

るう子「リミットが……3! レベル1のルリグのリミット上限は2のはずなのに!」

ばあちゃん「あひゃひゃひゃ、マユは特別なルリグだからねぇ」

ばあちゃん「だが、あたしがただシグニを三体並べるだけと思ったら大間違いさ」

ばあちゃん「羅植ローザリを三体召喚」

るう子「あんなカード、るうは知らない」

キース「俺もだぜ、少なくとも市販されている中にあんなカードはねえ」

ばあちゃん「いーひっひっひっひ、当然だよ。これはまだ一般には出回ってないレアカードだからねぇ」

一衣「でも、緑子限定って書いてるのに、どうして」

ばあちゃん「マユは全てのルリグを支配するもの。当然、全ルリグの限定カードを使用できるのさ」

ユヅキ「何だよ、それ。インチキ効果も大概にしろ!」

キースが主役のSS初めてみたww期待

ばあちゃん「いーひっひっひっひ、ひゃひゃひゃは。神には相応しいカードだろう」

ばあちゃん「それじゃあまずはローザリーの効果発動」

ばあちゃん「ダウンさせることによってデッキからレベル2の植物シグニを手札に加えることができる」

ばあちゃん「あたしは全てのローザリーの効果を使用し3枚の植物シグニを手札へ加える」

キース「手札を7枚に戻しやがった」

一衣「しかも場には三体のシグニが展開されている」

ばあちゃん「これで終わりじゃないよ。あたしはスペル、ゲットインデックスを発動!」

るう子「……今度はタマ限定の見たことがないカードを」

ばあちゃん「場のシグニをバニッシュすることにより、白シグニを一体手札に加えることができる」

ユヅキ「そうか、これで一気に3エナ溜めるつもりだったから最初にエナをチャージしなかったのか」

キース「だがローザリーは緑だから次のターンにマユをグロウするコストにはならねえはずだ」

ばあちゃん「普通ならそうだろうねぇ」

イオナ「……まだ特殊能力があるというの」

ばあちゃん「そう。マユにはねぇ、レベル0からレベル4までに共通して、自分のエナもマルチエナに変えるという特殊能力があるのさ」

キース「……このババア、どこまでふざけてやがる」

キース「ペガサス以上のチート野郎じゃねえか」

ばあちゃん「さあ、イオナ。勝負はまだ始まったばかり。あんたはいつも通りバトルを楽しむといいよ」

イオナ「っ……!」

8ターン目


ばあちゃん「あたしはブラック・デザイアを発動。フィールド上に存在する全てのシグニを破壊」

キース「だが、奴の場にあるカードはアークゲインが三体」

ばあちゃん「いーひっひっひ、ひゃひゃひゃ、アークゲインはルリグの効果以外は受け付けない」

ばあちゃん「二体のアークゲインでイオナにのライフクロスクラッシュ」

ばあちゃん「三体目でトドメさ」

マユ「裁きを受けるのです」

イオナ「ぐぅ、ぁぁあ」バタ

ウリス「この、クソッタレ共が」バタ

マユ「終わりましたね。流石は神。見事な戦略です」

ばあちゃん「いーひっひっひ、それ程でもないよ」

るう子「イオナさん、イオナさん……良かった、まだ息をしてる」

イオナ「うぅ、あぁぁぁぐぁ」

るう子「イオナさん?」

ばあちゃん「それが良かったと言えるのかねえ」

ばあちゃん「この闇のバトルの敗者は直ぐに死ぬことはない」

ばあちゃん「時間をかけて苦しみながら死んでいくのさ」

一衣「なんて、残酷なことを」

ばあちゃん「助けたければあたしを倒すことだねえ」

キース「なら望み通りぶちのめしてやるよ」

ばあちゃん「次の相手はあんたか。元全米チャンプ」

るう子「違うよ、ばあちゃん。次の相手は私」

ばあちゃん「ほう、るうちゃんが?」

キース「小湊、あのババアはてめーの」

るう子「分かってる、でもだからこそ、るうが倒さなくちゃいけない」

るう子「ばあちゃんを止めなくちゃいけない!」

ばあちゃん「コングラッツレイショーン! 素晴らしい心こがけだよ、るうちゃん」

ばあちゃん「自ら生贄になりたいなんて、流石は我が孫娘だねぇ」

ばあちゃん「さあ、それじゃあ始め……何だい、それは」

ばあちゃん「何なんだい、それは……!」

マユ「何が起こってるというのですか?」

るう子「遊月、それに……緑子」

ユヅキ「安心しなよ、るう子。あんたを一人で戦わせたりしない」

緑子「一衣、僕にこんなことを言う資格がないことは分かってるけど、君が彼女たちを思い出せて良かった」

キース「タマヨリヒメに紅林と植村のルリグだった小娘が融合した、だと」

タマ「今のタマは使える……ユヅキと緑子の限定カード!」

タマ「これなら対等……るう、全力でバトルできる!」

ばあちゃん「ふざけるんじゃないよ!」

ばあちゃん「神の力を模倣しようなど万死に値する行為」

ばあちゃん「このクソカス共が、もう無事で済むと思うんじゃない」

ばあちゃん「闇のバトルのレベルを上げてなぶり殺しにしてやる」

マユ「タマ、貴方には失望しました。まさか神の怒りに触れるとは」

マユ「私のペットとして受肉させようと思っていましたが、それも適いそうにありません」

マユ「残念ですが、貴方はここで終わりです」

イオナ「でも、るう。彼女たちの限定カードをあなたは持っているの?」

るう子「大丈夫だよ、イオナさん。私もデッキなら幾つか持ち歩いてる」

るう子「こうやってデッキを組み替えれば」サクサク

るう子「限定カードの入った三色デッキが出来上がる」

ばあちゃん「デッキを出せ、小娘……!」

るう子「……始めよう、ばあちゃん」

るう子、ばあちゃん「「オープン!」」


バトルフィールドテンカイ


るう子 ライフクロス8
    ルリグ タマ

ばあちゃん ライフクロス8
      ルリグ マユ

るう子「るうの先攻。ツードロー」

キース「三体融合によってタマヨリヒメもババアのルリグと同等の力を得ているみたいだな」

イオナ「これなら、勝てるわ。るう」

ばあちゃん「調子に乗るんじゃぁない。あたしは全てのルリグの専用カードを使えるが、その小娘は3体だけ」

ばあちゃん「所詮は猿真似だよ。神の域には達していないのさ」

るう子「るうは小盾ラウンドを召喚」

ばあちゃん「何か言ったらどうなんだい。るうちゃん」

るうちゃん「続いて、このカード」

ばあちゃん「無視してんじゃねーぞ、クソガキがっ!」

自称神は必ず滅びる。
この短気ババアは一番悲惨な死に方をするね。

るう子「……小弓ボーニャを召喚。デッキから三枚めくり好きな順番に入れ替える」

るう子「更にるうは宝具ミカガミを召喚」

ばあちゃん「そいつはデッキトップを見て、それがアームなら手札に加える特殊能力持ちのルリグか」

キース「くく、見事なコンボだ、小湊」

イオナ「ええ、流石私のるう。素晴らしいわ」

ばあちゃん「小弓ボーニャでデッキをいじることによって成功率を100%にしたのかい」

ばあちゃん「小賢しい真似をしてんじゃないよ!」

るう子「るうのターンはこれで終了。さあ、ばあちゃんのターンだよ」

ばあちゃん「このガキ! 今にその生意気な態度を改めさせて土下座させてやる」

六ターン目


るう子「るうは羅輝石アダマスフィア、幻獣神オサキ、原槍エナジェを召喚」

キース「どれもトップクラスの能力を持つ強力なモンスター。専用カードだが今の小湊なら使えるぜ」

イオナ「このまま押し切るのよ、るう!」

ばあちゃん「カスが調子に乗ってんじゃないよ!」

ばあちゃん「ブラックデザイア発動。フィールド上の全てのシグニを破壊」

ばあちゃん「いーっひっひっひ、どんなもんだい!」

ばあちゃん「るうちゃんには使えないだろう、この黒属性のアーツは」

ばあちゃん「これでそっちの計画は崩れたわけだ」

一番小賢しい真似をしてる奴が言ってもねぇ……

キース「(いや、それは違うな。気づいたか、浦添)」

イオナ「(ええ、あの婆はミスをおかした)」

キース「(ブラックデザイアとアークゲインを組み合わせることによって奴のワンターンキルは完成する)」

キース「(マユという特殊なルリグによって初めて成立する必殺コンボだ)」

イオナ「(でも奴はるうの専用シグニの連続召喚に焦って、アークゲインを並べてない状況でブラックデザイアを発動してしまった)」

キース「(それを狙ってたんだとしたら、くっく、恐ろしい娘だぜ、小湊は)」

イオナ「(最高よ、るう。これなら勝ち切れるわ)」

九ターン目


るう子 ライフクロス2
ばあちゃん ライフクロス 2


るう子「タマの効果でばあちゃんの場の3体のシグニをバウンス!」

キース「小湊のやつ、ここを勝負所にするつもりだな」

イオナ「今手札に戻されたシグニ以外に婆の手札はない」

キース「そしてバウンスされたカードにガードを持つシグニはいねえ」

イオナ「シグニ三体のアタックが通れば、婆のライフクロスはなくなる」

キース「ルリグで直接攻撃を決めれば小湊の勝利だぜ」

るう子「エナジェでライフクロスを」

ばあちゃん「調子乗ってんじゃねえぞ、バカガキがっ!」

ばあちゃん「アーツ、アンシエント・サプライズを2枚発動!」

イオナ「私の知らない、黒のアーツ」

キース「くそったれ、またこいつしか持ってねえカードかよ」

ばあちゃん「アンシエント・サプライズはトラッシュにカードが20枚ある時、相手の場の全てのシグニのパワーをマイナス8000する」

ばあちゃん「二枚でマイナス16000。貴様の場の全てのシグニをバニッシュだ」

ばあちゃん「いーっひっひ、これでるうちゃんの場にあたしを攻撃できるシグニはいない」

ばあちゃん「タマヨリヒメの効果の連続使用でるうちゃんの手札は0」

ばあちゃん「次のターンのこちらの総攻撃で終わりだねぇ」

ばあちゃん「あーひゃひゃっひゃっひゃひゃっひゃ、あたしの勝ちだぁ!」

るう子「……何勘違いしてるの?」

ばあちゃん「ひゃ?」

るう子「まだ私のアタックフェイズは終了してないよ」

ばあちゃん「なーに言ってんだい。るうちゃんのシグニは全部アタックを終えて」

るう子「アーツ、ホワイト・ホープ!」

ばあちゃん「ホ、ホワイト・ホープ。そのカードはっ!?」

るう子「このカードでるうはデッキからレベル2以下のアームまたはウェポンのシグニを二体まで場に出せる」

るう子「私は小盾ラウンドと中盾スクエアを召喚!」

マユ「か、神よ、これはまずいのでは」

ばあちゃん「だ、黙りな、神がこんなところで負けるはずは」

るう子「まず一体目、小盾ラウンドで……追加攻撃!」

イオナ「砕かれたライフクロスの破片が婆の体に……!」

ばあちゃん「うげぇぇぇぇ!!」ザク

るう子「二体目、中盾スクエアでアタック!」

キース「ここだ。ババアはアーツを使い果たしてる。ここでアーク・オーラが出なければ勝負が決まる」


ライフバースト サーバントO
効果、エナチャージ


イオナ「るうの……勝ちよ!」

キース「あの野郎、ついにやりやがった」

ばあちゃん「ば、バカな。神である私がこんな小娘に」

るう子「終わりだよ、ばあちゃん」

るう子「タマでプレイヤーにダイレクト」

ばあちゃん「ま、待っとくれ、るうちゃん!」

ばあちゃん「殺さないでおくれよぉ」

ばあちゃん「あたしが悪かった。だから、これ以上いじめないでおくれ」

ばあちゃん「るうちゃん、はあたしの孫。家族じゃないか」

イオナ「惑わされては駄目よ、るう!」

キース「セレクター同士のバトルではターンに時間制限がある」

イオナ「そいつの狙いは時間を稼ぐこと」

キース「さっさと勝負をつけろ、小湊!」

ばあちゃん「やめて、やめとくれぇ、腰が、腰が痛いんだよぉ」

ばあちゃん「あたしみたいな老人にはこれ以上バトルを続けるのは無理だよ」

ばあちゃん「るうちゃんのターンが終わったら、バトルは終わり、それでいいじゃないか」

ばあちゃん「セレクターやルリグたちも元に戻す。だから許しとくれぇ」

るう子「ばあ、ちゃん」

イオナ「セレクター同士のバトルは外から妨害がない限り中断できない!」

キース「そいつの言葉は嘘っぱちだ。騙されるんじゃねえぞ、小湊!」

ばあちゃん「るうちゃん、許しとくれ、許しとくれ」

ばあちゃん「ばあちゃんを殺さないどくれぇ、一緒に生活した日々を思い出しとくれ」

るう子「ばあちゃん、私は」

ばあちゃん「タイムオーバーだ、小娘」

るう子「え……?」

マユ「ふひひ、ターン終了時にホワイト・ホープで召喚されたシグニはトラッシュへ行きます」

ばあちゃん「この低脳のガキが焦らせやがって」

るう子「じゃ、じゃあ今の言葉は」

ばあちゃん「全部嘘に決まってんだろ、マヌケ!」

ばあちゃん「いーひっひっひ、勝機を逃したねぇ、るうちゃん」

ばあちゃん「二体のシグニでるうちゃんのライフクロスをクラッシュ!」

るう子「う、あぁぁぁぁ!」ザク

ばあちゃん「ヒャッハー、破片が体に刺さったか!」

イオナ「るう……!」

ばあちゃん「そ~し~て、マユで~、バカな小娘にダイレクトアタック!」

マユ「裁きの時間です」

るう子「あぁっ……!」バタ

タマ「る、るう」バタ

遊月「そんな、こんな結末って」バタ

緑子「済まない、一衣」バタ

ばあちゃん「ひゃははははは、ざまあないねぇ!」

マユ「さすがは神。見事な策略でした」パチパチパチ

ばあちゃん「それにしても本当に馬鹿なガキだねぇ」

ばあちゃん「自ら勝利を手放すなんて」

ばあちゃん「あんたもそう思うだろ。元全米チャンプ」

キース「あのガキ、何やってんだ? 勝てた勝負をみすみす逃しやがった」

イオナ「あなたって人は、やっぱり」

キース「少し前までの俺ならそう言ってただろうな」

ばあちゃん「……何?」

キース「でもな今は孫の思いを踏みにじる貴様に並ならぬ殺意を覚えてるぜ」

ばあちゃん「はっ! クズが今更偽善者の真似事かい」

キース「偽善者? そうかもしれねえな」

キース「自分でもそう思うぜ。キース・ハワードともあろう者がガキ共に影響され過ぎじゃねえかってな」

キース「だがそれも悪くない。偽善者だろうが何だろうが、俺はてめーをぶちのめす」

ばあちゃん「つまらないねぇ。あんたはあたしと同じ人種かと思ったのに。とんだ期待外れだよ」

キース「ぐだぐだ抜かしてねえで、デッキをかまえろ!」

ばあちゃん「調子に乗ってるが勝算はあるのかい」

ばあちゃん「今の勝負であたしが負けかけたのは、その小娘が卑怯な手段でルリグをパワーアップさせたからだよ」

ばあちゃん「普通のルリグであたしには勝てないのさ」

キース「元全米チャンプの実力を見せてやるぜ」

ばあちゃん「チャンプだろうが何だろうがチートには勝てないんだよ、バカが」

ばあちゃん「まあいい。それじゃあ、これより闇のウィクロスパーティー三回戦を」

エルドラ「あの~、盛り上がってるところ悪いんっすけど、この勝負私は降りさせてもらうっす」

キース「……てめえ、自分が何言ってるのか分かってんのか」

エルドラ「もちろんっすよ。このままだと全てのシグニとセレクターが全滅する」

エルドラ「でもそれって、ここで私らが負けたらの話っすよね」

エルドラ「ここでバトルが行われなければ、私は少しの間でも長く生きることができるっす」

エルドラ「あんたの腕がどれだけ凄かろうと、三体融合のルリグが負けた以上、普通のルリグじゃ勝てないでしょう」

キース「……エルドラ」

エルドラ「いや~、すまねえっすわ。カードの中から出られなくても少しでも長く生きたいんっすよ」

エルドラ「ここでお別れっす」

キース(エルドラがカードから消える。不思議と怒りは沸いてこなかった)

キース(俺とこいつの間には信頼関係なんてもんありはしなかった)

キース(そんなもんを深めようとも思わなかった)

キース(もし、ここにいるのが俺じゃなく城之内なら、エルドラとも仲良くなってたのかもしれねえ)

キース(エルドラのやつも最初はこっちを利用するつもりだっただろうが、あいつになら次第に心を開いてたかもしれねえな)

キース(最後は一緒にラスボスのババアを倒して大団円。そんな結末を掴みとったんだろうよ)

キース「……畜生。ここで終わりかよ」










「まだ、終わりじゃない」

キース「てめーは、蒼井の」





ピルルク「私があなたのルリグになる」





るう子「白紙だったカードに再び人の姿が」

ユヅキ「晶のルリグがどうして」

ばあちゃん「いいのかい。ここでこいつが負ければ、その瞬間にあんたは消える」

マユ「ピルルク。いいえ、清衣と呼びましょうか。せめて少しでも長生きしたいという気があなたにあるなら、逃亡をお勧めしますよ」

ピルルク「カードの中で延命することに執着はない」

ばあちゃん「生贄志望とはいい心がけだねぇ!」

ババアwwwチートって言っちゃってるwww
そしてエルドラは、うん

キース「力を貸してくれるのか」

ピルルク「今のあなたになら運命を託すこともできる」

キース「今の、俺だと」

ピルルク「以前のあなたの瞳は復讐心に濁っていた」

ピルルク「……私と同じように」

キース「じゃあ、てめーも」

ピルルク「そう。私もあなたと同じ復讐者だった」

ピルルク回想


清衣(ピルルク)「そんなっ! 夢限少女になれば彼女は助かるって」

リメンバ「ええ、確かにそう言いましたよ」

リメンバ「でも嘘に決まってんじゃーん!」

リメンバ「清衣ちゃんホントに馬鹿ですねぇぇ!!」

リメンバ「夢限少女になったところで願いなんて叶いませんよ」

リメンバ「一応入れ替わったルリグは願いを叶えるように努力しなきゃいけないので、看病はしますけど」

リメンバ「あー、めんどくせー、かったりー」

リメンバ「早く死んでくれないかなー」

清衣(ピルルク)「リ、リメンバ」

リメンバ「でもまあ、これで私はボディをゲットしてカードから出ることができました」

リメンバ「お疲れ様です、清衣巡査!」ビシ

リメンバ「楽しかったですよ~、清衣ちゃんとの友情ごっこォ~!」

清衣(ピルルク)「許さない! リメンバ、私はあなたを絶対に許さない」

リメンバ「どうせ、清衣ちゃんがカードの中から出られることはありませんよ」

リメンバ「そんでもって2、3年も経てば廃人。私のことなんて忘れちゃってます」

リメンバ「それじゃあグッバーイ、清衣ちゃん」

リメンバ「カードの中で楽しい生活をおくってください」

清衣(ピルルク)「リメンバァァァァァァ!!!!!!」

――――――――――――――――――
―――――――――――――
――――――――

ピルルク「その後も私は沢山のセレクターの願いを見てきた」

ピルルク「どれも自分勝手で欲望にまみれたもので、いつしか私は人間に絶望していた」

ピルルク「そしてあなたに出会った。私と同じ復讐の願いを持つ人間」

ピルルク「けれどもあなたは自らの手で復讐心を断ってみせた」

ピルルク「それがどれ程までに難しい行為か、私はわかっているつもり」

キース「……正直、ペガサスの野郎は今でもムカつく」

キース「だがカードゲームを復讐の道具にしちゃいけねえ」

キース「カードゲームを楽しむってことを俺は思い出しただけだ」

ピルルクで勝つ…あっ(察し)

ばあちゃん「下らないねぇ、実に下らない。お前らの話はどっちも下らないよ」

ばあちゃん「あたしのお肌の若さを保つ大いなる計画に比べればカスみたいなもんさ」

キース「やるぜ、ピルルク。これが最後の戦いだ」

ピルルク「キース・ハワード。私の力をあなたに託す」

るう子「このカードを受け取って」

キース「……」スッ

ばあちゃん「いいのかい。見もしないで、そのカードをデッキに入れて」

キース「小湊るう子ほどの一流のセレクターがてめーを倒すのに必要だと判断したカードなら、デッキに加えない理由はねえよ」

ばあちゃん「ふん、あたしとの戦いであんたは地獄を見ることになるよ」

キース(地獄なら嫌って程に見てきた、なんて後ろ向きなことはもう言わねえ)

キース(こんな時、あのガキは何て言ったんだったか。そう、たしか……)

キース「なら地獄でお前に勝つ」

キース、ばあちゃん「「オープン!!」」


バトルフィールドテンカイ


キース ライフクロス7
    ルリグ ピルルク

ばあちゃん ライフクロス8
      ルリグ マユ

ユヅキ「ついに始まった、私たちの命運を決める最後のバトル」

イオナ「対戦前に大量のカードで瞬時に新たなデッキを構築したのは流石だけれど、それだけで勝てるほどあの婆は甘くないわ」

るう子「うん。多分、一流のセレクターでもばあちゃんを倒すのは難しいと思う」

緑子「じゃあ僕達はここで消滅してしまうのか」

るう子「でも、キースは一流じゃなくて超一流」

一衣「超、一流」

るう子「普通のルリグでもばあちゃんを倒せる可能性がある唯一のセレクター」

キース「先攻は俺様だ。ドローカード!」

ばあちゃん「ひゃひゃひゃ、一枚しか引けないとは凡庸だねぇ」

キース「エナをチャージ、ピルルクをグロウ。そしてチャージングを発動」

ばあちゃん「だから無視すんなってんだろうが!」

キース「幻水コザメを二体召喚して、ターン終了だ」

ユヅキ「電機でもウェポンでもない、機械じゃないシグニをちより、いやキースが召喚するなんて」

一衣「あれは水獣。電機とは別に存在する青属性のカード」

ユヅキ「でもパワーがたったの2000のカードじゃ、あの婆さんには」

イオナ「よく見なさい。パワーは2000じゃないわ」

ユヅキ「そ、そんな馬鹿な。両方ともパワーが5000に上昇してる。どうして?」

るう子「幻水コザメは自分以外の水獣が場にいるときパワーが5000になるシグニなんだよ、遊月」

ユヅキ「そうか! 互いに水獣だからパワーが上昇したのか」

ユヅキ「これならあの婆さんも簡単にはバニッシュできないはずだ」

イオナ「それはどうかしらね」

るう子「るうたちはまだばあちゃんのカードを全部見たわけじゃない」

ばあちゃん「凡庸な、そんなカスみたいな戦術じゃすぐに負けるよ、元チャンプ」

ばあちゃん「あたしのターン、スリードロー!」

ばあちゃん「エナをチャージしマユをグロウ。生贄要因のシグニを場に出し、スペル硝煙の気焔を発動」

ユヅキ「今度は私の知らない花代さん限定のスペルを」

ばあちゃん「自分のシグニを一体バニッシュして、相手の場のパワー10000以下のシグニを一体破壊!」

ユヅキ「エナを溜めた上に、パワー10000以下をバニッシュできるだって!?」

イオナ「相変わらずふざけたカードを使うわね」

ばあちゃん「ひーひっひっひ、片方のコザメがバニッシュされたことによって、もう片方のコザメのパワーは低下」

ばあちゃん「これで簡単につぶせるねぇ。だが、その前にシグニ二体でライフクロスをクラッシュ!」

キース「おっと、通さないぜ、アーツ発動」

ピルルク「ドントムーブ」

ユヅキ「ドント・ムーブは使用にエナが3かかったはず。一体どうやって発動を」

イオナ「前のターンの彼女の行動をよく思い出しなさい」

るう子「キースは前のターンにチャージングで1エナ溜めている」

一衣「まさか、自分のシグニがスペルでバニッシュされてエナが3つになるのも計算済み?」

緑子「これが超一流。行ける、これなら勝てるよ、一衣」

ばあちゃん「小賢しい、ならラウンドでコザメをバニッシュ!」

ばあちゃん「そしてマユでライフクロスをクラッシュだよ」

キース「通し、ノーガードだ」


キースライフクロス7→6


ユヅキ「あれ、ルリグの攻撃はガードできるはずなのに手札にガードできるシグニがなかったのかな」

緑子「そうじゃないと思う。おそらくはグロウをスムーズに済ませるためだ」

ユヅキ「グロウをスムーズに済ませる? どういうこと?」

イオナ「シグニをレベル4にグロウさせるのに必要な標準的なエナは幾つか知っている」

ユヅキ「まずはレベル2から1エナ。レベル3で2エナ。私の場合だと赤2緑2だけど、普通は3じゃないのかな」

るう子「そう。つまりピルルクをグロウするのには合計で6つのエナが必要なの」

ユヅキ「それと攻撃と受けるのと何か関係があるの?」

イオナ「考えてみなさい。ドントムーブを使用した時点でキース・ハワードのエナは0。コザメをバニッシュされて1」

イオナ「ここでガードをすると次のターンのエナチャージで溜まるエナの合計は2になるわ」

エルドラ畜生すぎわろた
でも原作に忠実っぽくてイイネ!

ユヅキ「レベル2にグロウするのに必要なエナは1つなんだから問題ないじゃないの」

イオナ「たしかに次のターンは問題ないわ。更に次のターンでもエナをチャージすればギリギリ2エナは払える」

イオナ「でもレベル4にグロウする際に必要なエナは3。足りなくなるのは目に見えているでしょう」

ユヅキ「あっ! そうか一ターンにチャージできるエナは一つまでだからレベル4にグロウできないんだ」

るう子「ある程度攻撃を受けて、エナを溜めていくのも戦略の一つなんだよ、遊月」

ばあちゃん「ひゃははは、受けたね、攻撃を」

キース「何を笑ってやがる、ババア」

ばあちゃん「自分の体を見てみな」

キース「何を、これはっ!」

るう子「か、体の一部分が消えている!?」

ユヅキ「一体、何がどうなってるの!」

ばあちゃん「最終戦だからねぇ、闇のバトルのレベルを更に上げたのさ」

ばあちゃん「るうちゃんとのバトルはレベル5だったが、今回は最大値である10にまで引き上げた」

ばあちゃん「闇のバトル、レベル10ではライフクロスを失うごとに、プレイヤーは闇に体を喰われていく」

ばあちゃん「勝負が終わった時、勝った側は体を取り戻せるが、負けた側はそのまま闇の餌食になっちまうんだよ」

ばあちゃん「そして、それはルリグも同じさ」

ピルルク「私の腕も消えて……」

ばあちゃん「まさにデスゲーム!」

マユ「さあカーニバルと行きましょう!」

キース「調子に乗んじゃねえぞ、老いぼれが! 俺のターン、ドローカード」

キース「エナをチャージ、グロウ。幻水パールを二体召喚」

キース「更にコザメを場に出すぜ」


イオナ「戦術に変化なし、あくまで水獣のパワーを上げる戦法をとり続けるみたいね」

るう子「そうやってばあちゃんの破壊系シグニを使いづらくしてる」

一衣「アタックフェイズに入ったみたい」

緑子「やった、あの子のシグニが老人のシグニを全て倒した」

イオナ「パワーが上がっているのだからそれは当たり前として、やはりルリグアタックはガードされてしまったわ」

るう子「ばあちゃんには手札余裕があるし、一ターンに大量にエナを増やす方法もあるから」

イオナ「あの婆のチートカードに押され気味な現状をどうやって打開する気?」

ばあちゃん「あたしのターンだねぇ。マユをグロウ」

ばあちゃん「雑魚シグニを場に出し、硝煙の気焔を発動。パールを抹殺だよ」

キース「だが同じ水獣であるコザメがいる限り、残り一体のパールの攻撃力は上昇したままだぜ」

ばあちゃん「カスの分際で粘るんじゃないよ。さっさと生贄になればいいものを」

マユ「あなた達は所詮、養豚場の家畜でしかないのですから」

3ターン目


キースライフクロス5

ばあちゃんライフクロス8


キース「幻水シャークランスを二体召喚。起動効果でカードをドロー」

キース「コザメで壁シグニを攻撃。ピルルクでダイレクトアタック」

ばあちゃん「アーツ、バロックディフェンス」

マユ「神よ、ここは通してアーツを温存するべきでは」

ばあちゃん「何言ってんだい! 馬鹿か貴様は」

ばあちゃん「神の体が闇に喰われるなんてあってはならないこと!」

ばあちゃん「そんなことも分からないのかい」

マユ「……申し訳ありません」

キース「これはこれでターンを終了するぜ。さあババアてめーのターンだ」

ばあちゃん「あたしはグレイブ・メイカーを三枚発動してデッキからカードを18枚トラッシュへ送る」

るう子「ばあちゃんはトラッシュにカードを溜めて、アークゲインとブラック・デザイアによる禁断の必殺コンボを打とうとしている」

イオナ「使用されれば回避不能と言っても過言ではないわ」

るう子「今のでトラッシュが25枚以上溜まったはずだから、次のターンで来る」

一衣「もうどうすることもできないの」

緑子「そうだ、ピーピングアナライズだ。あれで4を選択すればいい」

遊月「そうか! あの婆さんの手札にアークゲインが何枚あろうと根こそぎ捨てさせられる」

ばあちゃん(馬鹿だねぇ、ガキ共は。こいつがピーピングアナライズを使うなんて想定内なんだよ)

ばあちゃん(今、あたしの手札にレベル4のシグニはない。あるのはスペル、ゲットインデックスさ)

ばあちゃん(次のターンにこれを3枚使ってアークゲインをサーチする)

ばあちゃん(キース・ハワードのピーピングアナライズは空打ちに終わりエナを無駄に消費するのさ)

キース「俺のターン。ドローカード」

ばあちゃん(さあ、ピーピングアナライズを使え……!)

キース「場からコザメをエナに回し、ピルルクをグロウ」

ピルルク「これが私の本当の姿」

ばあちゃん「な、何だい、それは。あんたの最終進化はピルルクTのはずだろ!」

マユ「し、知りません。全てのルリグを把握しているはずの私ですら知らない姿。それは一体何なのですか」

ピルルク「ピルルクTは晶に使われていた時の仮の姿。彼女では私の全力を引き出すことができなかった」

ピルルク「でも彼、キース・ハワードは違う」

キース「コードピルルクΩを召喚だ!」

ばあちゃん「コードピルルクΩ! 何だい、Tと何が違うんだい……!」

マユ「か、神よ、落ち着いてください、所詮は一体のルリグ。私の能力に勝てるはずがありません」

キース「こいつの能力を拝ませてやるのは少しあとだ」

キース「まずはコードハート V・A・Cを召喚」

キース「続いてシャークランス二体の起動効果でカードを二枚ドロー」

キース「そしてスプラッシュを発動だ。V・A・Cの効果で使用エナを一つ減らすことにより、こいつはアド損なしで使うことができる」

キース「効果使用後のシャークランスを破壊しカードを二枚ドロー」

キース「俺はもう一度スプラッシュを発動! シャークランスを破壊しカードを二枚ドロー」

キース「幻水姫スパイラル・カーミラを召喚。出現時効果でカードを一枚ドロー」

遊月「凄い勢いで手札を増やしている。でもあんたにたくさんの手札を使いきれるのかな」

一衣「ターン終了時に手札が6枚以上ある場合、6枚になるまで捨てなければならないから、あれだけ引いても使いようがないんじゃ」

緑子「何てことだ。彼女は恐怖のあまりミスをしてしまったのか」

るう子(キースは無駄なドローをするような人じゃない。じゃあ、もしかしてピルルクΩは……)


キース「そしてここでコードピルルクΩの効果を使わせてもらうぜ」

キース「手札から青シグニを捨てることで、相手の手札を一枚ランダムに捨てさせる」

ばあちゃん「はあああああああああ!?」

ばあちゃん「ふざけるんじゃないよ、何だい、そのインチキ効果は!」

キース「てめーが言うなババア。手札から青シグニを四枚切って全ハンデス」

ばあちゃん「ガッデーーーーム!」

キース「はっ! やはりゲットインデックスだったか」

キース「そのカードを何度も俺に見せたのがてめーの敗因だよ」

キース「そして完全に手札が尽きたな。この瞬間、スペルを発動」

キース「バッドコンディション!」

ばあちゃん「ヤヴァイ! そのカードは……!」

キース「バッドコンディションは相手の手札がゼロ枚の時のみ発動可能」

キース「相手のシグニをパワー関係なく一体破壊する」

ばあちゃん「ファアアアアアアアクッ……!」

キース「まだ終わりじゃないぜ。V・A・Cの起動効果で墓地からバッドコンディションを回収」

キース「おっとエナが減ってきやがったか。なら俺は更に2枚チャージングを打つぜ」

ばあちゃん「最後の一枚をアンチスペルとすると……まさか、貴様ピーピングアナライズを」

キース「ああ抜いたぜ、不安定なカードだしな。何より俺にオカルトは必要ねえ」

キース「再度バッドコンディション使用でシグニを破壊。もう一度繰り返して最後のシグニを墓地送りだ」

ばあちゃん「このクソカスがぁぁぁ!」

キース「がら空きになったところでオクトを追加しアタックフェイズに移行。総攻撃だ」


ばあちゃんライフクロス8→5


ばあちゃん「あ、あたしの体が! 神の体がぁぁぁぁぁああああ!」

このキースは完全にダークヒーロー

キース「コードピルルクでダイレクトアタック!」

ばあちゃん「く、クソ、手札がなきゃ、ルリグアタックを防げないじゃないかい!」


ばあちゃんライフクロス5→4


ばあちゃん「ぎょえええええええええええええええええ!」

キース「俺はこれでターン終了。さあ、てめーの番だ」

ばあちゃん「くそったれ、ドロー! ちい、これじゃ何もできない」

イオナ「ここまでやるとは思わなかったわ。キース・ハワード、以前私とした時とは段違いの実力ね」

ユヅキ「え? この状況ってキースにそんなに有利な状況なの」

ユヅキ「あの婆さんのライフクロスは4枚残ってるし、マユとかいうルリグの能力は凶悪だ」

緑子「1エナ消費して手札を一枚捨てることで相手のシグニをトラッシュへ送る」

一衣「タマや花代さんの上位互換と言っても過言じゃない起動効果」

イオナ「あの効果はウリスの上位互換でもあるわ」

イオナ「けれども、それを使うには手札が必要なのよ」

るう子「ばあちゃんの手札は2枚、壁シグニを展開することを考えれば、とてもじゃないけどマユの起動効果は使えない」

ばあちゃん「マユをグロウし壁シグニを二体出して……ターンエンド」

キース「俺のターン。エナをチャージしてバッドコンディションコンボを発動」

キース「ババアのシグニを全て抹殺!」

キース「更にV・A・Cを墓地へ送り、二体目のカーミラを召喚」

キース「こいつは相手より2枚以上手札が多い時、水獣の攻撃力を2000上昇させる特殊能力モンスター」

キース「二体いることによって俺の場の全シグニの攻撃力は16000に跳ね上がる」

キース「それじゃあ、アタックフェイズに移行するぜ」

ドロソもロクに確保せずにゲットインデックスでピルルク相手に余裕とか言ってるおばあちゃんが悪い

ゲインが受け付けないのは相手の使うルリグ以外の効果
自分の効果については通常通り処理するから自分のデザイアでバニッシュされる

キース「カーミラでライフクロスをクラッシュ」


ばあちゃんライフクロス4→3


キース「二体目のカーミラでライフクロスを」

ばあちゃん「舐めるな! アーツ、ホワイトホープ」

ばあちゃん「雑魚シグニを二体壁として場に」

キース「おいおい、婆さんよ。てめーあれだけ墓地にカード送っといて、果たして二体もレベル2以下のアームかウェポンが残ってるのかね」

ばあちゃん「……くそったれぇ! 一体しかいないじゃないかい!」

キース「プレイングミスか、ボケてんじゃねえのか? カーミラで攻撃を続行するぜ」


ばあちゃんライフクロス3→2


キース「場に出たシグニには攻撃せず、コードピルルクでライフクロスをクラッシュ」


ばあちゃんライフクロス2→1


キース「ターン終了。この瞬間、ホワイトホープで場に出たカードは墓地へ送られる」

ばあちゃん「く、くそ、何で、こんなことになってる」

ばあちゃん「このままじゃ負ける、あたしが闇に喰われて死ぬ」

ばあちゃん「どうしてカードなんて紙切れで死ななきゃいけないんだい」

キース「カードを紙切れ呼ばわりする時点でてめーにウィクロスをやる資格はねえよ」

ばあちゃん「黙れ! お遊びのチャンプ風情が神に生意気言うな!」

キース「いいからさっさとカードを引きやがれ」

ばあちゃん「くそが、言われなくてもわかってんだよ」

ばあちゃん(こうなったら奥の手を使うしかないね)

ばあちゃん(神にしかできない裏技を見せてやる。マユの隠された特殊能力発動!)

ばあちゃん(闇のバトルにおいてマユを操るプレイヤーは一度だけイカサマをすることができる)

ばあちゃん(袖に仕込んだカードをデッキトップにおいて、そのままドローしたふりをすれば……)

ばあちゃん「アークゲインのカードを引いた」

キース「ちぃ……!」

イオナ「これは……まずわね」

ユヅキ「え? どうしてさ、あの婆さんの手札はさっきの同じ2枚。状況は前のターンと変わらないんじゃないの」

るう子「それは違うよ、遊月。アークゲインにはエナを支払うことによって天使のシグニを場に出す出現時効果があるの」

ユヅキ「な、何だって!?」


ばあちゃん「ひゃひゃー! アークゲインの効果でもうもう一体アークゲインを召喚!」

ばあちゃん「犠牲の微笑キュアエルを手札から場へ、このカードは他の天使シグニが場にいる時、パワーが12000なる」

ばあちゃん「そして、アークゲインの効果でこのカードも相手のルリグ以外の効果を受け付けない」

マユ「アーツ、アンシエント・サプライズを2枚発動」

ばあちゃん「一枚目でパワーマイナス8000、二枚目でパワーマイナス16000」

キース「このババア……!」

ばあちゃん「パワー16000の壁? それがどうしたマヌケ野郎!」

ばあちゃん「貴様の場のシグニは全滅だよ」

ばあちゃん「カッカッカッカッカ! ひゃひゃひゃひゃ!」

ばあちゃん「シグニ3体でライフクロスをクラッシュ」


キースライフクロス5→2


ばあちゃん「マユでライフクロスをクラッシュ」

キース「……ノーガード」


キースライフクロス2→1


キース「ライフバースト、スパイラルカーミラ。俺はデッキからカードを一枚ドローを選択」

ばあちゃん「好きにしな! どうせあんたは次のあたしのターンで終わりだよ」

キース(こいつが使ったアーツはホワイトホープ、バロックディフェンス、そしてアンシエントサプライズが二枚。残り1枚のアーツは考えるまでもねえ)

ばあちゃん「そう、ブラックデザイア!」

ばあちゃん「次のターンにあんたがシグニを展開してアタックフェイズに入った瞬間、あたしはそれを発動する」

ばあちゃん「アークゲインによってあたしの天使シグニは破壊を免れるが、貴様のシグニは全滅」

ばあちゃん「次のターンに総攻撃を受けて終わり。ジ・エンドさ」

ばあちゃん「貴様に逆転の手段はない。チェックメイトだよ」

ライフクロス8枚もある状況でデザイア撃つなんてまず無理
それとアンサプ使った後ホワイトホープ使用は無理。アタックフェイズ開始時のアーツ使用の順番はターンプレイヤーが最初でその後相手に移る

緑子「ああ、僕達はここで終わりなのか」

一衣「せっかく、るう子と遊月のことを思い出せたのに」

タマ「タマ、嫌だ。これからも、るうと一緒にいたい」

るう子「……タマ」

イオナ「ここまで、のようね」

ウリス「善戦はした、けれどもあんなチート相手にはやはり勝てなかったのね」

緑子「もう終わりだ、何もかも」

ユヅキ「違う。まだ終わりじゃない!」

一衣「遊、月?」

ユヅキ「私の知っているあの子は、こんなところで負けるような子じゃない」

ユヅキ「全米チャンプとか転生とか難しいことはよく分からないけど――――」

ユヅキ「――――私はキースの勝利を信じてる」


キース(信じてる、か。俺のことをろくに知らねえってのに、本当におめでたいガキだぜ)

キース(……そういや城之内のやつも、こんな感じでギャラリーから応援されてたんだったか)

キース(下らねえと思ってたが、実際に自分が応援されると悪い気はしねえ)

ばあちゃん「さあ、最後のカードを引きな。いーひっひっひっひ」

キース「俺はこのドローにセレクターとしての全てを賭ける」

ばあちゃん「かっこつけてんじゃねえぞ、さっさと引いて、さっさと逝け!」

キース「ドロー!」シャカ

キース「……俺は今引いたスペルを発動する」

ばあちゃん「待ちな! あんたは引いたカードを見ていないじゃないか」

マユ「もしそのカードがスペル以外だったらペナルティを受けることになりますよ」

キース「かまわねえ、スペル発動だ!」

青にチャージング三枚入れたり白でヴァルキリー使わないとか構築が謎
あとアタックフェイズ中にアーツ使用とか>>1はウィクロスプレイしてないこと確定

緑子「発動されたのは……ピックアップ。ホントにスペルだったのか」

一衣「どうして見てもいないのにカードがスペルだと分かったの?」

キース(カードに触れた瞬間に伝わってきたぜ。小湊、てめーの魂の鼓動が)

るう子「ラストターンでキーカードを引き当てるなんて。キース、さすがは私が認めた最強のセレクターだよ」


ばあちゃん「ピックアップゥ? あんた正気かい。そのカードの効果が分かってて使ってるんだろうね」

キース「ピックアップは互いに手札を全て捨て、これらによって捨てられた手札で最も多い方の枚数、互いに山札からカードを引く」

キース「つまりこの場合は、俺だけが手札8枚捨てて、互いに8枚のカードを引くことになる」

一衣「一体、何を考えてるの。相手のハンドがゼロ枚なのに、こんなカードを使ったら」

ウリス「あっという間に、婆の手札が8枚に増えてしまう」

緑子「なんて馬鹿な真似を。ああ、絶望のあまり彼女は狂ってしまったのか」

緑子「だからこんなあり得ないミスプレイを」

イオナ「プレイングミスじゃないわよ」

緑子「え……?」

るう子「キースの狙いは相手の山札を削ること。それが勝利へのロードに繋がる」

ばあちゃん「ば、バカな、あたしの山札がなくなって」

キース「4枚引いた時点でてめーのデッキはゼロになった。この瞬間、リフレッシュが行われる」

キース「てめーは墓場にあるカードでデッキを再構築した後――ライフクロスを一枚墓地に送る」

ばあちゃんライフクロス1→0


ばあちゃん「ばばば、バカな、こんな馬鹿なことが」

ばあちゃん「だが、あたしのハンドにはサーバントがある! ルリグの攻撃は通らな」

キース「ピルルクΩの効果発動。手札の青シグニを4枚捨て、てめーの手札を全て墓地送りにする」

ばあちゃん「ぐ、ぐぎぎぎぎ、これじゃあルリグアタックを防げない」

マユ「か、神よ、これは一体どういうことですか。あなたに従えば受肉できると言ったでしょう。話が違うじゃないですか」

ばあちゃん「黙れ、アホンダラ! あんたは黙ってあたしに従ってろ」

キース「アタックフェイズ、ピルルクでてめーにダイレクト」

ばあちゃん「待てええええええ!」

キース「俺に小湊の時みてーな時間稼ぎは通用しないぜ」

ばあちゃん「そ、そんなことをする気はないよ。率直に用件を伝えるから聞いとくれ」

ばあちゃん「攻撃を止めてくれるなら、あんたにこれまで集めたエネルギーの一部を分け与える」

ばあちゃん「そのエネルギーであんたは元の世界に返るといい。な! 悪くない条件だろう」

キース「……」

緑子「よ、よせ! 君がそれを受け入れたら僕たちは」

ユヅキ「やめて、緑子。他の人たちも黙ってキースの選択を見守ってあげて」

一衣「遊月、でもそれは」

ユヅキ「キースは元々、この世界の人間じゃない。だからもし彼が元の世界に戻りたいなら私たちがそれを止めるのは駄目だと思う」

緑子「いや、でも僕はまだ消えたく」

イオナ「そうね。見守りましょう。彼がどのような決断を下すのかを」

るう子「キース、あなたの選択は……」

寝オチかな?

キース「なるほどな。たしかに悪くねえ話だ。向こうの世界に行っちまえば、こいつらに会うことはもうない」

キース「この小娘どもが死のうが消えようが俺には関係なくなるわけだ」

ばあちゃん「その通りだよ。そう、それが大人の選択だ」

ばあちゃん「いや、素晴らしい、すばらだよ、キース」

ばあちゃん「君は実に正しい選択を選ぼうとしている」

ばあちゃん「さあ、言っとくれ、あたしの力が必要だと」

キース「だが断る!」

ばあちゃん「何ィ!?」

キース「このキース・ハワードが最も好きな事のひとつは、自分の要求が通ると思ってるやつにNOと断ってやる事だ」

ばあちゃん「みすみすチャンスの逃すってのかい!」

キース「俺は向こうでは死んだ人間だ。死者は蘇らない。そんなのは漫画の中だけでいいんだよ」

キース「ピルルク、終わらせるぜ」

ピルルク「あなたのその選択を賞賛する」

ばあちゃん「マユ、何とかしな、こうなったのは全部あんたが使えないからだろうが!」

マユ「……何が使えないですか、おかしなタイミングでバロックディフェンス打ったり、無駄なルリグアタックしてライフバーストを発動させたり、マヌケなプレイングミスをしたのはそっちでしょう」

ばあちゃん「貴様、神に向かってそんな」

マユ「そのプレイングミスがなければチートである私が負けるはずがないんですよ」

マユ「お前は神なんかじゃない、クズだ!」

ばあちゃん「ふざけんじゃないよ、このビチグソがァー!」

マユ「肥溜めの汚物はてめえだ、この老いぼれババア!」

キース「ピルルクΩでプレイヤーにダイレクトアタック」

ピルルク「これで……終わり!」

ばあちゃん「あたしの、あたしの体がぁぁぁぁあああああああああ!!!」

マユ「ぐぇぇぇぇぇ!!! う、うげぇぇぇぇ!!!」

ばあちゃん「いやだ、死にたくなぁぁぁぁぁい!」

マユ「こんなはずじゃ、こんなはずじゃなかったのにぃぃぃぃぃ!!!」

キース「……終わったな。おい、ピルルク、てめー体が」

ピルルク「私が……受肉して」

ウリス「正確には違うわ。婆が消えて歪みが正されたことで、全てのルリグは本来の体に戻るのよ」

遊月「じゃ、じゃあ花代さんはどうなるの!」

緑子「心配しなくても大丈夫だって。彼女もまた君同様に元の体を持ってたのだから」

一衣「遊月と緑子が人間に戻れて、本当に良かった」

イオナ「夢限少女によって生じていた歪みが全てなくなる。初めから、そんなものはありはしなかったように」

るう子「全て。じゃあキースは……」

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3か月後


キース(元々この世界に存在しなかった俺はババアの消滅と共に消え去るのではないか)

キース(小湊だけじゃなく、それは俺自身も思っていたことだし、その覚悟もできていた)

キース(未練がねえと言えば嘘になるが、それが俺の選択の結果なら受け入れるつもりだった)

キース(だが予想に反して俺はこの世界に残った。小湊のルリグも受肉し、消えることはなかった)

キース(浦添曰く、ババアが蓄えていた力の一部が漏れ出したことによって、俺と小湊のルリグは消えずに済んだんじゃないかとのことだが、実際はどうなのか分からねえ)

キース(今となっちゃ調べようがねえことだ)

遊月「あ、いたいた。おーい、キース。こっちこっち」

キース「デカい声出すんじゃねえ。それから俺の事はちよりと呼べっつっただろうが」

キース「日本人の小娘がキースじゃ、明らかにおかしいだろ」

遊月「あ、ごめんごめん。でもこっちの呼び方のほうがしっくりくるからさ」

キース「ちっ、勝手にしろ。それで小湊たちはどうした」

遊月「るう子たちは清衣と一緒に後から来るってさ」

遊月「清衣の友達でこれまで植物状態だったんだけど、最近意識を取り戻した子がいるらしくて、その子と一緒に直接店に向かうらしいから」

キース「そうかい。なら俺達もさっさと向かうとするか」

遊月「ウィクロスパーティー、今日こそはキースに勝つつもりだから覚悟しといてよ」

キース「そういうのは一度でも勝ってから言うこった。そういや最近弟とはどうだ」

遊月「そ、それは、まあ、悪い感じじゃないけど。花代さんが進展させておいてくれたのもあるし」

キース「自分から話を振っといて何だが、てめーらの惚気話に興味はねえよ」

キース「……あ? あいつは……。おい少し用事が出来たから先に店に向かっとけ」

遊月「いいけど、キースも遅れないように来てよ」

キース「さて、と。行ったか。おい隠れてないで出てきたらどうだ」

エルドラ「あ~どうも、お久しぶりっす」

キース「ほー、てめーもちゃんと元も体に戻れたみたいじゃねえか」

エルドラ「いや~、それはちより、いえキースさんのおかげっすよ」

キース「これからウィクロスパーティーに行くんだが、てめーも来るか」

エルドラ「その、いいんっすか。というか怒ってないんですか、あの時のこと」

キース「本来ならてめーの顔面が潰れるまでぶん殴ってたとこだろうが」

エルドラ「……」

キース「生憎と今はこんななりなんでね。殴ったら俺の拳の方が痛んじまう」

キース「まぁ蹴りなら入れてやってもいいんだがな」

エルドラ「……それで気が済むなら、そうしてほしいっす」

キース「冗談だ。怒ってねえよ。俺はショップに向かうからてめーも来たけりゃついてきな」

エルドラ「あ、ありがとうっす。お供させてもらいます!」

キース(ガキと馴れ合いながらカードゲームをするなんざ、以前の俺だったら鼻で笑ってだろう)

キース(だが今はそれも悪くないと感じている。それに楽しみを覚えている)

キース(キース・ハワードではなくちよりとして生きることを選択したことを、俺は後悔していない)

ウィクロスパーティー会場


キース「一回戦目からてめーと当たったのは偶然か。それとも必然なのかね」

るう子「どちらもだよ。偶然でもあり必然でもある。それじゃあ始めよう、キース」

キース、るう子「「オープン!!」」


FIN

おまけ


リメンバ「はい。これにてこの物語は幕を閉じますぅ」

リメンバ「後半のオリジナル展開には私もびっくりしましたがssとして楽しむなら、これはこれでありでしょう」

ばあちゃん「あたしは納得いかないけどねぇ。善良な老人をこんな悪人にするなんて」

マユ「私もです。謎の多いミステリアスなキャラである私が何故、このような子悪党にならなければいけないのですか」

リメンバ「不満なら私にもありますよ。私が清衣ちゃんにあんな酷いこと言うわけないじゃないですか」

ばあちゃん「それはどうかねぇ。アニメの視聴者なら初めから願いなんて叶わないことは知ってるんだよ」

ばあちゃん「それなのに願いを一緒に叶えようなんて言って、胡散臭いったらないねぇ」

リメンバ「そ、それは、アニメの花代さんや緑子さんのように、心を痛めながらも仕方なく」

マユ「どうでしょうか? 清衣の願いは植物状態の友人を救うこと」

マユ「はっきり言って友達が欲しいや近親とはレベルが違いますよね。とても立派な願いですよ」

ばあちゃん「そんな願いを持つ娘をニコニコしながら平然と騙すとは。案外本編でもこのssと同じようなことになるかもしれないね」

リメンバ「ぐぬぬ、そんなこと言ったらマユさんだって、最終回で小湊さんが夢限少女になるのを妨害したじゃないですか」

マユ「あ、あれは、何か複雑な事情があったのかもしれないでしょう」

ばあちゃん「結局、潔白が証明されてるのはあたしだけってわけかい」

マユ「あなたは怪しげな電話をしている場面がありましたよね。それにウィクロスが強いという設定も気になります」

マユ「ネットなんかでは、ばあちゃん黒幕説はけっこう有名なんですよ」

ばあちゃん「酷いねぇ、憶測だけで老い先短い老人を疑うなんて」

リメンバ「まあいいでしょう。私たちがどうなるのかは、これから本編を見ていけば分かる話です」

乙です

キースが幸せでなによりです。

いやー、本当乙っす!
途中の友情ごっこで思わずベクタァーー!!と叫びそうになってしまった。

ばあちゃん「ところで気になったんだが、作中のバトルに幾つもおかしな点がなかったかい」

リメンバ「そう言えばありましたね。この人絶対ウィクロスやってないだろうと指摘してる人もいましたよ」

マユ「それが非常に嘆かわしいことに、この作者あんないい加減なバトル描写書いておいて、あれで一応リアルのウィクロスパーティーに何度も参加してるんですよ」

ばあちゃん「つまりルールは把握してると。なら何であんなアホな描写を書いてるんだい」

マユ「それはですね、何でも晶戦以降はノリと勢いで書いたらしいんですよ」

マユ「だからルールが変だったり、デッキ構成がおかしかったり、エナ計算が合わないなんて当たり前なんです」

マユ「最終戦でもエナは何となく数えてたそうなので。晶戦ですらどこかでエナや手札の計算をミスってるかもしれないそうです」

リメンバ「まあいいんじゃないですか。原作の遊戯王でに手札の枚数が場面が切り替わると変わっちゃうこともありますし」

リメンバ「カードの効果がリアルと違うなんてよくあるじゃないですか」

リメンバ「アークゲインとブラックデザイアが同じデッキに入ること自体、現実のウィクロスではあり得ないことですから、あくまでssの中だけとして見ればいいでしょう」

リメンバ「ワンキルで有名な太陽神さんも、リアルの効果は酷い有様だったですしね」

マユ「アニメのセレクター二期は秋から放送なのでぜひ見てください」

リメンバ「ウルトラジャンプでは私の活躍が見られますよ!」

ばあちゃん「ビッグガンガンでも新連載が始まるらしいねぇ」

マユ「秋にはスマホアプリ化もするので、存分にゲームを楽しんでください」

リメンバ「それではみなさん、次は本編でお会いしましょう」

※最後に。途中でご指摘があったのですが「バンデッド・キース」ではなく「バンデット・キース」でした。
スレタイから誤字です。違和感を覚えられた方は、ホントすいません。
キースのデッキ構成についてはガチデッキではなく原作に重ねた感じです。
電機+ウェポンで機械デッキ
ガンスナイプはリボルバードラゴン
デビルゾアは悪魔シグニ

ヲーは太陽神と関係ないって結論出ただろいい加減にしろ!

ウィクロスまったく知らないけど熱い展開で遊戯王してた!
超乙!!

晶にIVが憑依してファンサービスすると思ったがそんなことはなかったぜ

こないだ始まったかと思ったらもう終わってたww


チートラスボスにチート否定するキースが勝つ展開がいいね

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