男「来週までに返済するんだな?」(18)

金融社長「え、ええ、必ず」

男「…わかった。舎弟、行くぞ」

舎弟「へい、兄貴…おい、必ず百万用意しとけよ」

ガチャッ バタン

金融社長「どうすりゃいいんだ…百万なんて…ヤクザから借りてたなんて…海に沈められちまうよ…」

舎弟「兄貴、一週間もありゃ、アイツ絶対夜逃げしますぜ」

男「漢の約束だ、破りはしねえさ」

舎弟「ちぇ、兄貴は変わってらぁ」

一週間後

男「邪魔するぜ」ガチャッ

舎弟「ちゃんといるじゃねえか社長さんよ、百万用意出来たか?」

金融社長「は、はい、この封筒に」サッ

舎弟「ひいふうみい、確かに百万だ…引き上げましょうか兄貴…兄貴?」

男「おい、社長…その眼帯はなんだ?」

金融社長「あ…これは、ものもらいが…」

男「ちょっととってみろ」ペリッ

金融社長「あっ」

舎弟「うっ…目がねえ…」

男「闇医者に売ったか……」

金融社長「…はい。あなたたちに返すために…」

男「大した度胸だぜ…だがな!」バキッ

金融社長「ぐわっ!?」トサッ

男「そこまでしろとは言ってねえ!」

金融社長「う、うう…」

男「おい舎弟、その封筒を渡せ」

舎弟「はっ…はあ…」サッ

男「これは治療費だ、…済まなかったな社長」ポスッ

金融社長「…え、え?」

男「行くぞ」ガチャッ

舎弟「え、兄貴!?」

バタン

舎弟「兄貴、どうしてあんな事を?」

男「約束を守るために体張る奴は嫌いじゃねえ…だが、あんな選択をさせてしまうほど追い込んじまったんだ」

舎弟「責任を感じたんすか、兄貴…」

男「余計な事は聞くな。…金は俺が立て替える」

舎弟「…やっぱ兄貴はわかんねえや」

男「親父、ただいま戻りました」

組長「おお、男。どうだ、…金は取り立てられたか?」

男「はい、ここに」パサ

組長「お前は俺の見込んだ通りだ。この分だと時期組長はお前だな」

男「親父、簡単に決めるのはやめてください。じゃ俺、舎弟を待たせているんで…これで」

組長「ああ、ゆっくり羽を伸ばしてこい」

男「舎弟よ、今月のシノギはもう充分だ。仕事はまた来週ぐらいになるだろう」

舎弟「へい、兄貴。じゃあ俺、彼女に会いに行くんで…失礼しやす」

男「ああ」

男「…さて、夜の街をぶらつくか」

女「や、やめてください!」

不良「いいじゃんか、楽しい事しようぜ?」

不良2「そうだよ姉ちゃん!…痛い目みるよりいいだろ?」

男「事務所の裏を覗けばゴミ溜めにゴミがわいてやがるな」

不良「んだと…?おいテメエ!」

不良2「こいつから先に遊んじまおうぜ」

男「いいぜ、来いよ」

不良「俺はボクシングをやっててなあ…」シュッシュッ

男「それがどうした」

不良「あんたなんか一発koってこ…とぉ?」メリメリッ

男「そうか、俺も少しかじっていたからな…本当に一発koだったな」

不良2「…おい不良?…こいつやべー!逃げろぉ!」ダダダ

男「漢らしくねぇな…おいそこの女子高生、大丈夫か?」

女「あ、ありがとうおじさん。名前は?私は女」

男「俺の名前なんか知らない方がいい…じゃあな」スタスタ

女「あっ、ちょっと…行っちゃった…」

男「…ん?捨て犬か」

犬「くぅーん」

男「捨てるくらいなら、飼うんじゃねえよ」ヒョイ

男「誰か、引き取り手はいねえか…」ピッピップルルル

舎弟「はい、舎弟でした」

男「俺だ。悪いが、犬を育てられそうな知り合いは居ねえか?」

舎弟「それなら彼女が沢山……って犬?どうしたんすか急に」

男「いや…飼えそうな奴はいるか聞いてるんだ」

舎弟「それなら、組長がいいと思いますよ。最近飼ってた犬が亡くなったとか」

男「そうか。じゃあな」ピッ

男「組長か…しかし事務所に入れるには汚すぎる。銭湯に…入れていいのか?」

番台「らっしゃい」

男「大人一人で」

番台「あいよ」

男「バレなかったな。服から出てこい」

犬「ワン!」

男「犬に石鹸なんざ、上等過ぎるな」ゴシゴシ

犬「ハッハッハッ」ブルルル

男「ついでに俺の服も洗うか」

男「おい犬。牛乳飲めるか?」

犬「ワン」ピチャピチャ

男「…ふっ、ゆっくり飲めよ」

番台「ああ、あんた!なに犬なんか連れて来てんだ!」

男「済まなかったな。まだ服が乾いてないが…じゃあな」

番台「おい待て!」

男「まあ、走ってりゃ乾くな」

不良「居たぞ、あの野郎だ!」

男「ん?さっきの不良か」

不良「へっ…仲間を連れて来たぜ…これでテメエもお終いだ」ゾロゾロ

男「よくこんなに集めたもんだな」

不良「ざっと20人だ。…おめえら、これが終わったらメシだ。俺のおごりでな」

不良達「うおおお!」

男「ふん」ズドン

不良2「がっ」ドサッ

男「せいっ」ドボッ

不良3「あぎゃっ」

男「むん!」ガスッ

不良達「なんだこいつ、めっちゃ強ぇ…」

不良「お、お前ら空手やってんだろ!?さっさとやっちまえよ!」

男「空手か…道理で分かりやすい動きなはずだ」

男「教えてやるよ…俺は古武術をやっていた。相手の勢いを利用して、自分の呼吸と合わせるだけの、最小限の力で打ち倒す…」

不良達「何か言ってる…こいつやべえよ!逃げろー!」ズドドド

不良「ま、待てよー!」ダダダ

男「やっぱ漢らしくねぇ連中だ…、犬、大丈夫か?」

犬「ワフッ」

男「今度こそ事務所に行くか」

男「組長」

組長「どうした男。まだ何か用か?」

男「捨て犬を…育ててくれやしませんか?」

組長「捨て犬か…」

男「駄目ですか」

組長「いいぞ」

男「ありがとうございます!良かったな犬」

犬「ワン!」

組長「代わりという訳にはいかんが…ありがとよ、男」

男「何か言いましたか、組長」

組長「いや、何でもない。もう行け」

男「…?はあ。じゃあな、犬」

組長「犬か…そのままじゃかわいそうだ。こいつは太郎だ」

太郎「ワンワン!」

男「俺はこれで失礼します」ガチャッバタン

男「さあ…帰るか」

男「…今日もなかなか充実していたな…あの頃とは大違いだぜ…」

第一部 完

男「舎弟。この銃は?」

舎弟「ええ、それがですね、外人が捌いてるらしいんすよ」

男「外人…?」

舎弟「この街に外人が多いとはいえ、犯罪にゃ厳しい…」

男「どうにか警察の目をすり抜けてるようだな」
舎弟「街は最近、中国人の出入りが多いんで、中国人を探ってみやす」

男「ああ、気をつけろ」

男「俺も探ってみるか…外人が集まるクラブにでも行くか」

男「相変わらず騒がしいな…あれは?」

中国人「これで良かったか?」

不良「ああ、これがありゃアイツにやり返せる…」

男「何が出来るって?」ズイ

不良「おわあああ!」

男「お前が使っていい玩具じゃねえ…」ギン

不良「ひい!殺されるー!」ダダダ

男「銃は落としたな。あの売人は…居ない!もう出たか!」タッ

男「あの建物に入っていった…中国人経営の焼き肉屋か」

男「おい店員」

店員「何でしょうか」キョドキョド

男「中国人が入って来なかったか?」

店員「いいえ?」ガサッ

男「そうか、ジョッキ借りるぞ」ドガシャアッ

店員「うぐっ」ドサッ

男「こいつも間違いなくグルだ…ポケットの銃を出そうとしやがって。…逃げるならカウンター裏の厨房しかないな」バタン

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom