黒子「レベル5を目指しますの!」 (87)

ま た 禁 書 か 。

2度目まして、SS投稿2回目の初心者でございます。

本作品はちょっと書き溜めただけののんびり投稿の駄文でございます。
以下の内容が含まれます。

ご都合主義な時期設定、人物関係設定。
空間移動のレベル5を実現するための無茶な設定。
骨ェ鯖。
キャラ崩壊。
設定崩壊。
色々崩壊。

一応終わりは決めてありますので、完結はすると思います。
よろしくお願いいたします。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1369133305

学園都市 某所某日


黒子(少々遅くなってしまいましたの。……ん、あれは)

ヒュンヒュン

黒子「お姉様ぁぁ!」ガバッ

美琴「ひやぁ!? 何、って黒子!? ……あんたねぇ、走ってるのに危ないでしょうが!」

黒子「ああん、ごめんなさいですの! ごめんなさいですの!
   しかしお姉様、ここから走っていかれるとなりますとお時間が危ういかと……」

美琴「だから急いでるんでしょうが……あれ、黒子今日は風紀委員休みって言ってなかった?」

黒子「ええ、今日は私用での外出ですの。今帰るところですのでもしよろしければご一緒にと思いまして」

美琴「ほんと! やー、助かったー。間に合わないんじゃないかって焦ってたのよ。それじゃ、お願いしていい?」

黒子「もちろんですの。それでは失礼しますの」

美琴「……なんで抱きついてくるわけ?」

黒子「なるべく密着しているほうが演算が楽ですの!」

美琴「へー、今まで散々手繋いだだけで飛んでたと思うんだけど」

黒子「緊急で無い時くらいのんびり能力使用させていただきたいですの。というわけで、ぐへへ……」

美琴「あ、あんた絶対嘘ついてるでしょ! あちょ、どこ触ってんだごらぁぁぁぁ!!」ビリビリ

黒子「はぁぁぁぁぁん! し、刺激的ですの。
   しかしお姉様、ここでわたくしを罰するのは得策ではないのではございませんこと?
   寮監の折檻を受けるも受けないも黒子次第で」

美琴「へいタクシー」

黒子「ああん、お姉様のいけず!」


常盤台学生寮


美琴「間に合ったー!」

黒子「当然ですの」

美琴「よしよし、褒めてつかわす」

黒子「ああ、お姉様ぁ! 黒子は黒子は今幸せですの! もっと撫でてくださいませ!」

美琴「やー、久しぶりに連続空間移動させてもらったけど、やっぱり楽しいわね、あれ。
   下手なアトラクションなんか目じゃないわ」

黒子「お楽しみいただけたようでなによりですの。
   ですが、お姉様以外の方はそうそう飛ばすわけにはいきませんので、出し物にはできませんわね」

美琴「ん、なんで?」

黒子「わたくしの移動は演算を簡略化するために上空で行っておりますでしょう?
   必然的に落下と空間移動を何度も繰り返すことになるわけですが、あまり慣れてしまわれると困るんですの」

黒子「お姉様はたまにご自身でも飛び降りたりされますように、身体を守る能力をお持ちですからよいのですが、他の方はそうではありません。
   ”手を繋いでいるだけ”で落下に対する恐怖心を失うというのは、思った以上に危険なんですの」

美琴「あーなるほどねー。わたしが電気怖くないのと同じか」

黒子「そういうことですの。あんなに何度も何度も落下を繰り返し……」

黒子「…………?」

美琴「ん? どうしたのよ」

黒子「お姉様。今わたくし何かおかしなことを言いましたか?」

美琴「え? いや、普通だったと思うけど……」

黒子「……何か引っかかったのですけど……、まぁ気のせいですの」

美琴「? 変な黒子、って変なのはいつもか」

黒子「ま゛っ。随分な言い方ですの。
   黒子はいつだって変わらずお姉様のことだけをお慕いしておりますのに」

美琴「はいはい。ん、もうこんな時間か。先にシャワー浴びさせてもらうわよー」

黒子「あら、それではわたくしもご一緒させていただきますの」

美琴「……は?」

黒子「消灯時間まで間もありませんし、二人で入ったほうが効率的ですの。
   さぁお姉様。先ほどのご褒美ということで、ふひっ、お、お背中お流しさせていただきますのー!」

美琴「っこの、調子のんなー!」ビリビリ

黒子「あばばばばばばばば」


翌日 学園都市某所


黒子「風紀委員ですの。先ほど○○ショップで窃盗をされたのは貴方でよろしくて?」

 男「ちっ、カメラかなんかか……? 追われるようなへまはしてないはずなんだがな」

黒子「ええ、うちには優秀なナビゲーターがおりますの。
   ですから、どこに逃げようと無駄ですの。大人しくお縄につくことをお勧めいたしますわ」

 男「はいわかりましたって捕まるやつがいるかよ!
   俺は脚力特化の身体強化能力者! 捕まえられるもんなら捕まえてみやがれ!」

黒子「おやまぁ、器用なことですの。壁蹴りでビルを登れる方って実際に見るのは初めてですわ。
   ……ですが、張り合う相手を知らなさ過ぎですの」



 男「さってとぉ。屋上まで登ったは良いがカメラのないとこかぁ。……ま、適当に走りゃうごぉ!?」

黒子「申し遅れましたの。わたくし空間移動……あら?」

 男「」ピクピク

初春『ナイスドロップキックです。白井さん』

黒子「うーいーはーるー? ……はぁ、この男は下に運んでおきますので警備員に報告をお願いしますの」

初春『はい、お疲れ様でした』

黒子(わたくしとしたことがつい勢いをつけすぎましたの。
   ……いえ、この殿方が特別軟弱という可能性も……?)

黒子「……ん?」

初春『はい? 何かありましたか』

黒子「いえ、なんでもありませんの。貴女もナビゲートお疲れ様ですの」

初春『はぁ』

黒子(何ですの、この違和感は……。
   特に変わったことはしておりませんし、能力使用にも問題はありませんの。
   だというのに何かが引っかかる……、これは少々考えないといけないかも知れませんの)


常盤台学生寮


黒子「うーん、何も思いつきませんの」

美琴「黒子ー、シャワー空いたわよー」

黒子「はいですの」

美琴「帰ってきてからずっと唸ってるけど、何やってんの」

黒子「能力について少々気になった点がございましたので、ちょっと考えてみてるんですの」

美琴「へー、熱心ねぇ。これは常盤台3人目のレベル5もそう遠くないかしら」

黒子「非常に残念ですが、座標移動がレベル4である以上、性能的に劣るわたくしがレベル5認定されることはありえませんの」

美琴「そっか。でも、努力するのは間違いじゃないわ。
   それに成長もしてるじゃない、昨日の移動、前より早くなってたわよ」

黒子「まぁ! お気づきいただけましたの!?
   そうなんですの! 慣れと言ってしまえばそれまでですけど、移動に関しては演算速度が5%程短縮でき……あああああ!」

美琴「!? ちょ、どうしたのよ急に」

黒子「それですの! 流石はお姉様、これもわたくしへの愛のなせる業なんですのね!」

美琴「な、何。この、抱きつくなっ」

黒子「ああん、お姉様、ほねぇざばぁぁ。
   もっと黒子を見ていてくださいまし、お姉様の露払いとして更なる努力ををををあばばばば」

美琴「ったく、毎回これがなければいい子なのに……」

黒子「わたくしのお姉様への愛は永遠にとどまることを知らないんですの。
   では、少々失礼いたします。教官へ電話をしなくては」

黒子「もしもし、夜分遅くに申し訳ありません、白井ですの。
   能力開発の件でお話が……、はい、はい。
   そこでカリキュラムの調整をと思いまして。早いほうが喜ばしいのですが、え、明日からですの?
   はい、わかりました。では詳細は明日、ありがとうございました」


翌週 常盤台中学 空き教室


黒子「今までのわたくしは固定観念に囚われていましたの
   座標移動というわかりやすい上位能力者がいるおかげで、そのスペックに近づける方向性で能力開発を進めていました」

黒子「彼女と比して劣っている部分を強化しようとしていたんですの。
   しかし、現状重量も距離も伸び悩んでおりますし、始点は相変わらず自分からしか出来ませんの」

黒子「ですが、彼女と比して勝っている部分も存在しますの。
   それは演算の簡便さと速度……。
   そこにさらに精密性も加えて訓練をしてみましたの」

美琴「……その結果が、これ?」

黒子「そうですの! 昨日までの訓練を元に今日1日で作り上げたんですの。
   我ながら完璧な出来と言わざるを得ませんわ。
   この……」















  「1/1お姉様像は!!」



美琴「あほかあああぁぁぁぁぁ!!」ビリビリ

黒子「ぎょえええええぇぇぇぇ!!」






美琴「で、なんでこんなもん作ったのよ」

黒子「速度追求、精密転移性、イメージと演算の関連付け。全て訓練できる上にわたくしのモチベーションも鰻登りの完璧な題材ですの」

美琴「はぁ……。ま、でもよく出来てはいるわねー、どうやったの?」

黒子「では簡単なモチーフで実演してみせますの」

美琴「木材? と、それは……」

黒子「ただの小麦粉ですの。これを、

   こうやってーこうやってーこーっと

   するだけで完成ですの。はい、お姉様の大好きなゲコ太ですわよー」

美琴「ええええ!? こ、これっ、すごい! ねぇ、これもらっていい!?」

黒子「お喜びいただけたようでなによりですの」

美琴「うわー、うわー。これ世界で一つだけよねー、うふふふふ。
   いやー、黒子! これは確かに成長してるわね!」

黒子「ええ、わたくしもこれほどまでうまくいくとは思っていませんでしたの。
   なぜ気づかなかったのか不思議なくらい簡単なことですが、これは空間移動能力の研究において大きな一歩になるかと」

美琴「距離と重さだけじゃないのねー、うふふ、木目調もいいなぁ」

黒子「次は液体で同じことができるように訓練するつもりですわ」

黒子(ですが、先日覚えた違和感とはまた違う気もいたしますの。
   あの時は特に変わったことはしていませんでしたし……、一体何が気になったのか)

美琴「あ、そうだ。アンタ呼びにきたのに余りにも非常識なものがあったから忘れてた。
   今日って風紀委員非番なんでしょ? 初春さんと佐天さん誘って遊びにいかない?」

黒子「まぁ、それでは急いで片付けませんと。とはいえ、また使いますから軽く掃除して、それを提出したら終わりですわね」

美琴「は? ……提出って……これ?」

黒子「ええ、他に何が?」

美琴「ちなみに提出しないとどうなるの?」

黒子「今日の単位が認められないのではないでしょうか」

美琴「それくらいならいっか。さー壊すぞー」

黒子「!? お待ちくださいお姉様! これだけはご容赦を隙ありですのおおぉぉぉ!!」

美琴「しまっ


黒子「ふ、校庭からではもはや間に合いませんの。
   課題として提出、そのまま寄贈させていただきますわ。
   お姉様は常盤台のエースとして永遠に語り継がれることになりますの」


ファミレス


佐天「へー、そんなことが。なんていうか、白井さんらしいですね」

初春「あむ。むぐむぐ。大能力者でも訓練なんてするんですねー」

黒子「当然ですの。わたくし、お姉様と共にあるものとして常に上を目指しておりますのよ?」

美琴「もうちょっと考えろっての……。でも、あんたにはあってるかもね、あれ」

黒子「そうですわね。演算速度も向上しまして、移動速度でいいますと以前の1.3倍程になりましたの」

美琴「はぁ!? 1週間で!?」

黒子「自分でもびっくりですの」

佐天「初春、それってすごいの?」

初春「すごいですよ。空間移動能力者は特に演算が複雑なことで有名なんです。
   再計算までの時間が短縮される。つまり演算を簡略化するか習熟するか出来たというのは非常に大きな意味をもつんです。
   風紀委員としては転移不能な精神状態に陥るまでの余裕が増えることになりますから、今まで以上に仕事を無茶振りできます!」

黒子「うーいーはーるー?」

美琴「あっはっはっは。いいわよー、初春さん。じゃんじゃんこき使ってやって」

黒子「お、お姉様ぁ」

初春「むぐむぐ、了解です! あ、ちょっとすいません」

初春「はい、初春です。はい、はい、わかりました。白井さんも一緒ですので、伝えておきます。はい、はーい」

黒子「呼び出しですの?」

初春「急ぎではないみたいですけど、支部に顔を出してほしいとのことです」

黒子「でしたら解散後に」

美琴「今から行ってもいいんじゃない? どうせこの後は決まってないし」

黒子「あら、よろしいんですか?」

佐天「移動中に次どこ行くか考えましょう!」


風紀委員 第一七七支部



黒子「組織的な窃盗団、ですか?」

固法「ええ、どうやらそのようなの。先日白井さんが捕まえた窃盗犯もそうみたいなんだけど」

初春「その人から得られた情報なんですか?」

固法「いいえ。どうやらそうらしい、って出所不明の情報が先。
   単独犯にしては盗んだ品がおかしいと思った警備員が聴取を進めたら吐いたそうよ」

黒子「そういえば、盗品は持っておりませんでした……。すぐ警備員に引き渡してしまったので気にしておりませんでしたが、逃走中にどこかで受け渡しをしたということですの?」

初春「監視カメラの範囲内でそういった行動は見られませんでしたので、範囲外ですね。
   短時間だけ外れていた場所ならわかるかも知れませんが、長時間の場所ですと往来を確認してもわかるかどうか……」

固法「本人からは上に繋がる情報を得ることは出来なかったみたい。下っ端も下っ端ってことね」

黒子「ふむ。そのどうやらそうらしいというのは、どの程度の情報ですの?」

固法「首謀者、目的共に不明。故意に流布されたいたずらの可能性もあるけど、それも今のところ不明よ。事実を匂わせる情報が、窃盗犯一人の自供だけじゃね。
   まぁ、情報としてそんな話があるから全員に伝えておくようにって。今は軽く覚えておいてくれればいいわ」

初春「新たに情報か動きがあり次第ということですね」

固法「そうなるわね。さ、話は終わりよ。御坂さん達が待ってるんでしょ」

黒子「はい、それでは失礼しますの」






美琴「何の話だったの?」

黒子「お姉様、風紀委員には守秘義務がございますの。どこぞのレベル5様が事件に首を突っ込まないとも限りませんので、そう易々と口には」

美琴「ちぇー、けち」

初春「緊急招集もかからないような事案ですから、御坂さんの出番はないですよー」

佐天「それじゃ、ゲーセンいきますかー! ふふ、今日こそ御坂さんに勝ちますよ!」

美琴「ふっふー、返り討ちにしてあげるわ!」


翌週 常盤台中学 空き教室



美琴「んー? 今度は何やってんのよ、パソコンみて。能力の訓練はどうしたの?」

黒子「あら、お姉様。これはですね、画面越しに精密空間移動を行う訓練ですの。
   そちらのカーテンの向こうで作業をしてますわ。液体の空間移動は難しかったですが、なんとかなりそうですの」

美琴「そういや先週そんなこと言ってたわね。でもアンタ、液体飛ばせなかったの?」

黒子「私の空間移動能力には様々な特性がございますの。たとえば、触れていなければ空間移動させることはできませんが、これは正確ではありません。
   事実、こうして髪が触れぬようにして移動しても」ヒュン「ベストだけ脱げるなどと言う事はございません」

美琴「あー、ブラウス挟んでるから触れてないわね。それに、もしそうじゃないなら他の人も衣服全部触れて一緒に飛ばさないと全裸確定だもんね」

黒子「そういうことですの。もちろん取捨選択も可能です。いくつかの部品から出来た物体の、そのうち一つだけを空間移動させることは容易ですわ。
   ですが、液体となると範囲指定が面倒ですの。バケツ一杯の水を丸ごと空間移動させるのは簡単ですが、量と形状を限定して空間移動させるのは出来ませんでした」

美琴「なるほどねー。で、それが出来るようになったと。利点は?」

黒子「気体も可能になった状態を想像していただければ」

美琴「うわぁ……、えげつないわね」

黒子「ですが、これも先日覚えた違和感とは関係ないのですわよねー……、一体何が気になったのか」

美琴「そんなこと言ってたわね。その時の状況は?」

黒子「お姉様と一緒に空中移動と、窃盗犯にドロップキックですの」

美琴「いつも通り過ぎて何がおかしいのかさっぱりだわ」

黒子「ですわよねー」


翌日 学園都市某所


黒子「風紀委員ですの!」

不良A「ああん? おーおー、カモが一匹増えちゃったかー?」

不良B「っ! こいつ常盤台だぞ! 最低でもレベル3の!」

不良C「あー、あの。つっても大半がそのレベル3だろーが。大したこたぁねぇよ」

黒子「はぁ。どうしてこうお馬鹿さんばかり……。そこの貴方、今のうちにお逃げなさいな」

白髪「あァン? 誰に物を言ってンですかァ? ちっ、まァ楽できていいかァ」

不良D「だーれが逃がすかってんだよ。さっさと財布置いてきやがれぇ!!」

不良E「てめぇもだぞ、こらぁ!」

カチッ

黒子(っ! 5人同時、庇いながら戦うのは至難ですの。ここはこの白髪さんを逃がしてから)

ビゥン

白髪「あ?」

黒子「!? 何が、くっ!!」ヒュンヒュン

不良AB「「ぐがあああぁぁ!?」」

不良C「ひゃっはー!!」ガギン「……は? ぎゃあああああああ!?」

白髪「ざァンねン」

黒子「! こっの! 大人しくして下さいまし!」

不良DE「「がっ!? ぐふっ……」」







黒子「お待ちくださいまし。一般生徒の能力使用による傷害は認められませんの。
   今回は正当防衛ということで不問にいたしますが、今後このような事がございましたら、我々治安組織に任せてお逃げいただきたいですわ」

白髪「はいはいわかりましたァ。帰っていいですかァ?」

黒子「ええ。一人お任せしてしまい申し訳ありませんでした」



黒子(高位能力者ですわね。
   それにしても特殊警棒で殴ったほうがダメージを受けるとは、硬化か何かでしょうか。
   いえ、アルビノらしき特徴をもっているにもかかわらず、こんな日中に何の用意もなく出歩くとなると紫外線等もカットしている可能性が……)

黒子「……?」

黒子(また、ですの?
   今の白髪の殿方に、何か空間移動能力について、あ)

黒子「そういえば、あの殿方も飛ばせませんでしたの。
   類人猿のように能力が発動しないのではなく、演算に失敗して不完全に能力が発動した結果、移動しなかった……」

黒子(11次元の事象にすら干渉する防御能力なんて聞いたことがございませんわね……。
   一体どんな能力なのやら)


夜 常盤台学生寮



美琴「それ、一方通行よ。レベル5の第一位」

黒子「は?」

美琴「白髪のもやしのウルトラマンでしょ? 間違いないわ」

黒子「あ、あれが第一位……、学園都市の頂点……!」

美琴「しかし丸くなったもんね。昔なら黒子が着いた時にはその五人肉塊になってるわよ」

黒子「ただのダルそうな殿方でしたが……。なるほど、第一位ですか。えっと、わたくしの空間移動が作用しなかった理由はなんですの?」

美琴「アイツの能力はベクトル操作よ。11次元に変換して移動させてから3次元に変換しなおすのが空間移動なら、11次元上での移動ベクトルを操作してるんでしょ」

黒子「なっ、そ、そんなことが出来るのでしたら、空間移動も出来てしまいますの!」

美琴「なんか変になったんでしょ? 干渉してるだけで、正確に演算しきれてるわけじゃないんじゃない?
   普段も自分に有害なものだけをオート反射とかいう反則級の能力だから」

黒子「必要なものは反射してない、と。強制的に空間移動させられるのは拒否するというわけですのね。
   しかもそれがオートですか。流石第一位と言った所でしょうか」

美琴「私も常に電磁波の反射観測してるけど、慣れれば楽なもんよ?
   なんだろ、超サイヤ人で平静を保つみたいな。演算能力の底上げには使えるかもねー」

黒子「まぁ、そんな効果が!?」

美琴「って言っても、黒子の能力じゃ常時展開するものなんてないでしょ」

黒子「空間移動ですものねー、電磁波や反射ほど便利……な……あ、ああああああああああああ!!!?」

美琴「へっ!? な、何々!?」

黒子「そ、それですのおおおおおおおお!!!」

美琴「何? ど、どれ?」

黒子「お姉様、わたくし!」










黒子「レベル5を目指しますの!」


とりあえずここまで。短くてすいません。
プロローグかと思いきやそんなに長い予定はないのですが。
1日様子を見て突っ込みがありましたら修正していきます。

口調や設定面での指摘がありましたらよろしくお願いいたします。
ただ予測ネタばれは控えていただけると幸い。まぁそんな複雑なネタじゃないのでバレバレですが。

ここまで読んでいただきありがとうございます。
明日からもよろしくお願いいたします。

寝る前に。

された、なさった:すいません。敬語使い慣れてない駄目な子です。
一方通行の代理演算:してます。カチッって言うのが事前にチョーカーの電源入れた音です。御坂の説明は能力発動時の説明です。
作中の時期や人間関係や事件:わりと適当です。最新刊までの情報を含みつつ平和な世界の日常系つまりご都合主義、という説明が最も近いかと思われます。

今日の分投下開始。
能力説明回なので、興味ない部分は飛ばしていただいて結構です。
突っ込みどころ満載です。ご注意ください。
このSSではそういう設定なのか、と生暖かい目で見てくださればと思います。


翌週 常盤台中学 空き教室



黒子「むむむむむむ」

美琴「黒子ー、いるー? ……なにしてんの?」

黒子「お姉様……、ぐすっ」

美琴「な、何泣いてんのよアンタ」

黒子「気体が、気体が空間移動できないんですの……」

美琴「なんだ、そんなことか。私は出来ないんじゃないかって思ってたけどねー」

黒子「ど、どうしてですの!? 水は形状まである程度指定して飛ばせますのに!」

美琴「単純に影響の問題よ。
   仮に空気を空間移動させられるとしたら、アンタの重量制限だとざっと100立方メートルの空気を空間移動させられるわけだけど……ね?」

黒子「……厚さ1センチで空間移動させると、1万平方メートルが真っ二つですの……!」

美琴「破壊能力がそのままレベルとは言わないけど、私だってそれだけの効果を出そうとしたら、準備が色々必要だし、再攻撃までの時間もかかるし、何発撃てるかわからないわ。
   それをそこらに在るもの使っていつでもどこでも秒間1発で撃てるとか、原子崩しも真っ青よ」

黒子「つまり出来ればレベル5と」

美琴「かもしれないけど。できれば、よ?
   技術的な面も出力的な面も足りてるのに実現できないものって存在するの、なんでか知らないけどね。
   例えば私だったら荷電粒子砲とか」

黒子「荷電粒子は集められますわね、ワット数も足りそうですの。反動は?」

美琴「超能力としてそこに磁場が存在している、から無い様な物よ。
   それを言うなら超電磁砲だって反動あるはずじゃないの。あれだって目標まで能力によるレールを敷いて加速誘導させてるけど、その位置にある能力、だから私に反動はないわ」

黒子「理論としての荷電粒子砲は実現できても、現象としては起きていない、と」

美琴「ええ、まさしく自分だけの現実、ね。私の中に荷電粒子砲は存在してないのよ。
   超電磁砲も理論はもちろん押さえてるけど、それだけじゃ説明しきれない部分もあるの。
   だからあれは機械的に実現できる超電磁砲とは違うものなのよ。私だけの超電磁砲ってわけ」

黒子「なるほど、要素を満たしているか、よりも、自分だけの現実としての強固さのほうが重要というわけですの」

美琴「要素を満たしていること、がその強固さの所以になる場合が多いけどね。
   多分黒子は空気を移動させるものとして考えてないのよ。そこにあるのが普通の物、どこにでもある物と認識してるから対象にできない。
   あるいは単純に密度に制限があるとかそういう事かもしれないけど」

黒子「勉強になりましたの。感謝いたしますわ、お姉様」


翌週 ファミレス



佐天「最近入手した噂で、バッティングセンターでバットも持たずボールの直撃を受け続け悦んでいる常盤台の制服を着た小柄でツインテールの少女と言う物があるんですが。
   お二人は何か知りませんか?」

美琴「うえぇ、何それ、マゾって奴?」

黒子「……」

初春「小柄でツインテールですかー」

美琴「大体常盤台にそんな所に行く生徒ってほとんどいないわよ。特定しようとすればすぐなんじゃない?」

黒子「……」

初春「白井さーん、どうしたんですかー?」

黒子「な、なんでもありませんの」

佐天「風紀委員の腕章をつけてたって噂もあるんですけどー」

黒子「あああああ、もおおおおおお!! わかってるなら言えばよろしいですの!」

美琴「へ?」

初春「白井さんだったんですね」

美琴「え、アンタまさかそんな性癖まで……」

黒子「ちちち違いますの! 心外ですの!」

佐天「じゃあ、どうしてそんなことを?」

黒子「ひ、秘密の特訓ですの」

美琴「特訓ねぇ……、学校で時間もらえてるんだから、機材借りればいいのに」

黒子「先日からわたくしが学校で認められている能力研究は、一応工作機械への空間移動能力の応用を主題としておりますので……。
   個人的な能力訓練につかう時間ではございませんわ」

初春「真面目ですねー。でも、その時間って確か警邏中だったはずですよね」

黒子「うーいーはーるー?
   なんですの! わたくしに何か怨みでもあるんですの!?」

初春「いえ、特にないですけど」



佐天「それで、なんの訓練なんですか?」

黒子「未完成の技術をひけらかすような事はいたしませんわ。
   上位陣の行っている習慣を真似してみようと思っただけですの」

初春「習慣ですか? んー、でも習慣的に空間移動させるって、普通に歩いてる時も微妙に空間移動してるとかでしょうか」

黒子「そこは完成いたしましたら、お教えいたしますの。
   初春も、常に服の温度を一定に保つ、といった演算を自動で出来るようになれば、かなり便利に過ごせるのではなくて?
   演算能力の向上にも繋がるようですし」

初春「ええー、常になんて大変ですよ」

美琴「慣れたら楽なものよ? 呼吸と同じだし、寝てても出来るわ」

佐天「ふえー、寝てても。もしそれが出来たら、初春は真夏も快眠できちゃうね」

初春「おお! それは便利です!」

黒子「佐天さんは空力使いですので、常に身体周りの空気の動きを意識するなどと言う所から始めてみてはいかがですの」

佐天「空気の動きかー……。それを把握できるようになったら、また能力使えるようになりますかね?」

黒子「それはわかりませんが。次へ進む一歩にはなる可能性は否定できませんわ」

美琴「……初春さんの能力って良く考えると不思議よね」

初春「え?」

黒子「ふむ?」

佐天「えー、ただの魔法瓶ですよ?」


初春「佐天さん! もー」

美琴「あんまり熱い物とか冷たい物は保温できないのよね?」

初春「は、はい。私が火傷や凍傷になっちゃいますから」

美琴「っていう事は熱量の移動は起きてるわけよ。んーと、例えば熱したフライパンの取っ手を持ったら、そこからは火を消しても炒め物が出来たりする?」

初春「えーと、やったことはないですけど、その場合取っ手だけ保温されるんじゃないでしょうか」

美琴「でもお弁当とか保温する時は、外のパッケージ触ってるだけで中まで保温されてるでしょ?」

初春「あっ!」

美琴「黒子もそうだけど、触ってないと能力が作用しないなら、私が手を繋いで飛ぶと服が残っちゃうはずよね? でも実際には一緒に空間移動する。
   それが一つのものだ、って認識が出来れば多分能力が適用されるはずだから、フライパンなら出来ると思うのよ」

初春「な、なるほど!」

美琴「似たような能力の使い方でも、ちょろっと違うことするだけで演算に刺激が与えられるし、色々やってみるに越したことはないわよー。
   ううー、なんか能力講座してたら私も色々試したくなってきちゃうなぁ。
   荷電粒子砲にまたチャレンジしてみようかしら」

佐天「御坂さん! 私には、私には何かありませんか!」

美琴「んー、幻想御手を使ってた時に出来た事、がまずは実現目標のラインよね。
   あの時どれだけ能力を試したか知らないけど、思い出してみて出来た事、出来そうな事を凄く弱くていいから暇があれば実現させようとするといいかも。
   暑くて手で顔をあおぐ時に強くなれーって思うとか、こうしてしゃべってる時もペン回しみたいに指先で空気を回すイメージをするとか」

佐天「うわー、なんでもっと前に聞かなかったんだろう! さっそく今日からやってみますね!」

初春「佐天さん、どっちが先にレベルアップするか勝負しましょう!」

黒子「あら、わたくしは混ぜていただけませんの?」

佐天「ええー! レベル5になるつもりなんですか!?」

黒子「当然ですの」

初春「いいですよー、じゃあ、びりの人はケーキバイキング奢りでどうでしょう」

美琴「いいなー、流石にレベル6目指してじゃ無理すぎるし。くっそー」

佐天「御坂さんは皆のアドバイザーです! 贔屓無しでお願いしますね!」

黒子「では、負けた方はお姉様の分も奢りということで」

美琴「お、いいの? よーし、お姉さん本気で教えちゃうぞー」


翌週 常盤台中学 空き教室



黒子「こちらの方はどん詰まってしまいましたわねー……」

美琴「私も時間貰ったり研究所行ったりしたけど、やっぱり無理だったわ……。
   あーもう! 何が足りないのかしら」

黒子「わたくしはレポートをまとめたら元の生活ですわね。
   どこか研究所から要請があれば細部の研究に協力するという形になりそうですの」

美琴「私もかなー、サボった気がしないわー」

黒子「んま゛っ。常盤台のエースがそのような事ではいけませんの!
   かねてから言っていますように、お姉様にはもっと自覚というものを」

美琴「そんなことよりー、秘密特訓のほうはどうなったの? こちらの方はってことは進展あったんでしょ」

黒子「むっ。そんなことではございませんの!
   ……そちらの方は順調ですわ。思ったよりも制限が厳しかったので、当初の予定よりはかなり弱い効果になってしまいましたが」

美琴「形にはなったってこと? どんな能力なの、教えなさいよー」

黒子「あら、よろしいんですの?」

美琴「え、何が?」

黒子「わたくし、もしかしたらお姉様のプライドを傷つけてしまうかもしれませんわー」

美琴「む。……って言っても、空間移動自体が強い能力だし、不意打ちで負ける可能性は元からあるわよ」

黒子「では、お付き合いいただきましょう。
   この髪に向けて、超電磁砲を撃ってみてくださいまし」※髪を一房横に広げて

美琴「はぁ!? ど、どういうことよ」

黒子「わたくし後ろを向いておりますので。お姉様のタイミングで撃っていただいて構いませんの」

美琴「ええー……?」


美琴(どういうことかしら。まさか当たった瞬間に空間移動して避けるとか言わないわよね……。
   うーん、でもそれ以外思いつかない。バッティングセンターでもボールにぶつかっていってたらしいし。
   ……まぁ自信ありそうだったし、駄目でも何本か髪の毛切れるだけだし、ちょっと弱めに撃ってみようかしらね)

キィィィィン ドヒュッ ヒュン

美琴「!?」

チャリン……

黒子「うっふっふ、えっへっへっあっはー! 完! 璧! ですの!」

美琴「れ、超電磁砲が、止められた……!」

黒子「ですから言いましたでしょう? プライドを傷つけてしまうかも、と!」

美琴「ど、どういう原理なのよ。説明しなさいよこらぁぁぁ!」

黒子「今のは空間移動を応用した防御法、その1ですの!」

美琴「そ、その1!? いやいや違う、原理を説明しろっての!」

黒子「それでは説明させていただきますの」


黒子「まず、これは先日言っていた違和感。空中連続空間移動と空間移動後のドロップキック、そして第一位のオート反射から発想を得ましたの」

美琴「アンタの能力は空間移動でしょうが、それがどうしてオート反射と繋がるのよ」

黒子「空中で自由落下を間に挟み続けながら連続で空間移動する。
   対象に向けて空間移動し、ドロップキックを叩き込む。
   この間に、どのような差異があるかお分かりになられますか?」

美琴「は? 何よ。えっと……。っ! う、運動エネルギーの保存!」

黒子「その通りですの。11次元での運動を完了する際に、3次元上の運動までまとめて完了させてしまうことが可能、なんですの。
   もしそれが出来ないのであれば、わたくしは一度空中で連続移動を開始したが最後、滞空時間分の加速でもって地面へ叩きつけられてしまいますわ」

美琴「そんな……、コインの運動を完了させたって言うの……。
   で、でも演算時間は!? 超電磁砲の速度で髪の毛1本切れないうちに空間移動させるなんて無理でしょ!」

黒子「別のどこかへ飛ばすのなら、そうですわね。
   しかし、先程見ていただいたとおり、この防御法では対象物を"その場に"空間移動させますの。
   この方法のためだけの極限まで簡略化した演算により、空間移動開始まではほぼノータイムで行えますわ」

黒子「そして能力適用のタイミングは接触より少し手前ですの。
   これは衣服も空間移動対象に含まれるのと似た理由で、わたくしの自分だけの現実へ進入する、設定を超えるステータスを確認した時になりますわ」

美琴「設定を……、つまり、見ないでやってたし、……もうそれはオートで常に展開できてるわけ?」

黒子「そういうことになりますの」

美琴「ちょっと信じられないわ……。防御に特化したレベル4の準備万端ならわからないでもないけど、汎用能力で、しかもオートで発動する能力で超電磁砲が防がれるなんて」

黒子「わたくしもですの。ですが、全てはこの時のため……!」

美琴「くっ、下克上って訳……!」

黒子「いいえ! これでお姉様にスキンシップを止める手立てはございませんのおおおおおおおお」ガバッ

美琴「って、そんな理由でこんなにがんばんなやごらああああああああ!!!!!」ビリビリ

黒子 ヒュン「あばばばばばば」

美琴「……。あれ?」

黒子「……。ふっ。本当は体内を通される電子まで止めてそれを実現するつもりでしたの……」

美琴「……できなかったんだ」

黒子「……はいですの」


黒子「気体は相変わらず空間移動不可能なままなので、この防御法で止めることができる攻撃は130キログラム以下の固体か液体に限られますわ」

美琴「ふーん……、まぁそれでも十分有用な能力よ、すごいじゃない」

黒子「お姉様……!」

美琴「抱きつくな抱きつくな。あ、その2ってあるの?」

黒子「へ? あ、はい、ありますの」

美琴「それはどんな能力なの? まさかその1より硬いなんてことはないでしょうけど」

黒子「硬いですの」

美琴「へっ?」

黒子「防御力、というものを数値化できるのでしたら、最高クラスの一角足りえる防御法ですわ。
   お姉様の電撃ですら防御してしまえますの」

美琴「なん……ですって……」

黒子「ただし効果時間が0.2秒しかございませんが」

美琴「はぁ? どういうこと?」

黒子「発動条件はその1で対処不能な場合。
   方法は、"自身をその場に空間移動させる"というものですの」

美琴「! 空間移動はその空間を押しのける……!」

黒子「そうですの。"わたくしがいた何もない空間を押しのけている間"は物理的干渉の全てを拒否できますわ。
   ですが、当然持続的な効果を発揮するものには無意味ですので、電撃は受けてしまうのですが」

美琴「なるほどねぇ……。アンタ、マジでレベル5になっちゃうんじゃない?」

黒子「ほ、本当ですの!? お姉様にそういっていただけると、黒子は! 黒子はぁぁぁ!」

美琴「だから抱きつくなっつーの!」ビリビリ

黒子 ヒュン「お゛ぉん!」


というわけで、全うな努力物ではありません。
普通に成長させたら、あわきんの上になるだけですし。
しかし別の方向を成長させようとすると、設定の説明が長くなってしまうという。
上手に設定を読ませる才能なんてありませんので、駄文となっております、申し訳ありません。

こういう設定なんだなー、で納得できないほどの破綻がありましたら、巻き戻しで書き直しますのでご指摘いただければと思います。

本日もお付き合いいただきありがとうございました。


補足説明という名の1の認識

空中での連続空間移動:原作でも当然やっております。落下速度は加算されていない模様。
空間移動からの蹴り:正面から飛んで後ろから蹴るなんてこともしてるはずです。空中に完全停止状態で空間移動しても攻撃能力は皆無なため、方向まで変更しつつ空間移動できるものと思われます。
液体の空間移動:ガラスの空間移動をしております。
触れていない物の空間移動:御坂が裸になってません。

同時に空間移動させる物体の位置情報:鉄芯の位置関係が変わっています。別々に演算して1個ずつ移動させてる可能性あり。
自身の移動以外のリロード:鉄芯を連発しています。慣れた演算は高速使用できる可能性あり。同時に移動させている可能性あり。

一つの物体と思われる物の分割空間移動:出来るかどうかわかりません。例:人間の半分だけ空間移動させることはできるか。
気体の空間移動:出来るかどうかわかりません。
対象の大きさ制限:あるかどうかわかりません。


こんな所でしょうか。あわせて指摘お願いします。



運動完了:任意で選べます。理由は上記。
木製ゲコ太:木材の中へゲコ太の形になるように薄く小麦粉を繰り返し空間移動することにより切断をしております。説明不足ですいません。

今日は書く暇がなかったので更新はありません。
今から書く分は明日まとめて出します。


夕方 風紀委員第一七七支部



黒子「重機の盗難ですの?」

初春「はい、車種やナンバープレートはこれです」

黒子「3台も……」

固法「犯人は不明。でも」

初春「GPS等の防犯機能が動いてないんですよね。動力と関係するように設計されてるはずですから、キャンセルすると動かせないんですけど」

黒子「しかし、どこかに動かされている、と。トレーラー等で移動だけさせている可能性は?」

固法「もちろんその可能性も、というかそちらの方が高いのでしょうけど。
   ……前に言ってた窃盗団の盗品を組み合わせると、その辺をスルーできる装置が作れる事がわかったわ」

黒子「あらまぁ、それはまた臭いですわね」

固法「推測の域はでないけど、最悪は想定しておくべきね。
   当然重機を盗むことが最終目標ではないでしょうから、それを使って何をしてくるか……」

黒子「可能ならば先に発見してしまいたいところですわね。わかりました、警邏を強化すると共に、その辺を気をつけてみますわ」

固法「犯行のあった学区がバラバラだから、うちの担当範囲に手がかりがあるかはわからないけど、お願いね」

初春「相手はかなり監視カメラを意識して行動してるので、様々な施設のカメラが傍受されている可能性が高いです。
   うー、許可さえあれば罠張ったりできるんですけど」

固法「多分そこまでの許可は下りないわねぇ……」

初春「残念です」

黒子「本格的な捜査は警備員の仕事です。
   わたくし達は警邏の強化と新たな窃盗事案への早期対処に努めるしかありませんわ」


翌日 ファミレス前



佐天「みっさっかっさーん!」ダキッ

美琴「うひゃあ! 何、どうしたの佐天さん!」

佐天「全部御坂さんのお蔭です! ありがとうございます!」スリスリ

黒子「ちょ、佐天さん!? お姉様に抱きつくなんてうらやま、けしからんですの! はーなーれーてーくーだーさーいーまーしー!」グイグイ

初春「よっぽど嬉しかったんですねー」

黒子「なんなのかわかりませんが、それとこれとは別ですの!」ヒュン

佐天「あだっ!」

美琴「それで、そんなに嬉しい出来事ってもしかして……」

佐天「はい! あたし、能力が使えるようになりました!」

美琴「本当!? うわー、おめでとう!」

黒子「ま、それでは今日はお祝いですわね!」

佐天「ありがとうございます!」

初春「昼からずっとこんな調子なんです。御坂さん達には直接言いたいからって、メールするの我慢してたんですよ」

佐天「実は、前から使えてた可能性もあるんですけどねー。
   その辺も詳しく話します! まずは中に入りましょー!」


ファミレス



佐天「前までは風を生み出せるって勘違いしてたんです。
   でも、あたしが出来るのは風の操作で、しかも滅茶苦茶弱かったんです。
   そりゃ、今までの練習法で効果が見えないわけですよー」

美琴「つまり、練習の仕方を変えたら実は能力を使えていたことが判明したってこと?」

佐天「そうです! 線香の煙を誘導できちゃったんですよ!
   効果範囲が狭いみたいで、直接触れた煙だけなんですけど、手にまとわりつかせたり出来るんです!」

初春「大気の微妙な揺らぎレベルの風を、煙があれば視認できる程度で方向変換できるだけですけどねー」

佐天「そうそう、って言うわけで、強度は0のままなんですけどね」

黒子「なるほど、しかし能力の効果が目に見える形で確認できるようになったのは大きな進歩ですわね」

佐天「そうなんですよ! えへ、これはレベルアップ競争はあたしが1位かなー」

初春「むむ、そうは行きませんよー! 私だってエコ炒め出来たんですから!」

美琴「エコ炒め?」

初春「この間御坂さんが言ってたじゃないですか、フライパンを一度温めたらーって。とてもエコなので、エコ炒めと名付けました!
   他にもエコ鍋とか色々できて、春上さんも喜んでくれてます!」

佐天「でも、それって別にいままで使ってたのと変わらないじゃん。
   あたしはもう感覚は覚えたから、今だって使ってるんだよ! 知覚できるレベルじゃないけど、手先に渦が出来てるはず!
   これが感じられる程になったらレベル1だー!」

初春「い、色んなことをやれば刺激になるんです!
   そういえば、白井さんはどうなんですか? このままじゃビリは白井さんになりそうですよ」

黒子「そうですわね。わたくしのほうは目立った成果は上がっておりませんの。
   せいぜいお姉様の超電磁砲をガードできるようになった程度でしょうか」

美琴「ぐっ」

初春「えっ」

佐天「えっ」


初天「「ええええええええええええ!?」」


初春「み、御坂さんの必殺技を防げるって、それもうレベル5じゃないんですか!?」

佐天「コイン弾いてる間に避けるとかなしですよ!?」

黒子「いえいえ、それほどでは。いつでも正面から止められますのよ?」

美琴「ちょっと、御幣があるでしょうが」

初春「ん、やっぱり何か裏話があるんですか?」

黒子「うーいーはーるー、やっぱりってどういうことですの!」

美琴「いつでもは言いすぎってだけよ。まぁ、負け惜しみでしかないけどね。
   黒子の防御法は私の電磁波みたいに常に張っておくことが出来るタイプって話だったんだけど」

佐天「ええっ、不意打ちでも大丈夫なんですか!?」

黒子「後ろから佐天さんが金属バットで殴りかかってきても、大したダメージにはなりませんの」

美琴「私も最初見たときはびっくりしたんだけどさー。実は完全にオートって訳じゃないのよね。
   黒子が気をつけてる間だけ使えてるって感じ。だからサボってる時や寝てる時まで効果があるわけじゃないの」

黒子「お姉様のように呼吸と同じとまでは行きませんの。
   例えるならそうですわね、淑女としての嗜み、と言った具合でしょうか。
   姿勢を正し、言葉は美しく、楚々とした立ち振る舞いを——」

美琴「はいダウト。アンタのどの辺が楚々としてるのよ」

初春「あー、普段はかなりの確率で解除されてるってことですねー」

美琴「気を張ってるときでも、動揺したら使えなくなるのは変わらないみたいだしね」

黒子「初春っ! お姉様までひどいですの」

美琴「えー、超電磁砲防げちゃうような人なのに、こんなことで怒っちゃうのー」

佐天「あはは、結構気にしてるんですね。
   でも本当にすごいなー、御坂さんと喧嘩したら、もしかして勝っちゃったり?」


黒子「それはないですわね。不意打ちならまだしも、相対してはい始めではまず勝ち目はありませんの」

初春「そうなんですか?」

黒子「わたくしの空間移動にはタイムラグがありますの。最短で0.2秒程ですが、お姉様クラスになると普通に避けられますから」

佐天「えっ、人間の反応速度超えてるような……」

美琴「電磁波に引っかかった嫌な感覚は、とっさに避けちゃうからね」

黒子「それをまさしくノータイムでやりやがりますのよ。来る位置を予測して避けておくのではなく、空間移動を感じてから避けるとか信じられませんの」

初春「避けられない程大きなものを空間移動させたらどうなるんですか?」

黒子「今のはそうですわね、一本入れたら勝ちといった感じで話しましたが、殺し合いでしたら、ますます勝ち目はありませんわ。
   わたくしは最初の空間移動を始める事なく死んでしまいますの」

美琴「わ、私はそんなことしないわよ」

佐天「ふ、ふえー。雲の上の話だなぁ……」

初春「超電磁砲を防げるなんて状態でもまだそれだけの力量差があるんですかー……。
   レベル5って本当にとんでもないですね」

美琴「別に戦闘力がそのままレベルってわけじゃないわ。
   もしも黒子の能力が工作機械として転用できるような演算に出来るなら、革命的だしね。
   でも、空間移動の機械化はしばらく取っ掛かりも見つからなさそうよねー」

黒子「まぁ、他の能力と比べてもファンタジーこの上ありませんから、仕方がありませんの。
   そこで他の空間移動能力者と違うアプローチをするわたくしが役に立つことができれば良いのですが」

佐天「うーん。今のところ横並びくらいかなぁ? ってことは一番レベルの低いあたしが有利ですよね」

初春「レベル1から2が一番楽そうなイメージなんですけど。0から1と4から5はものすごい壁ですから」

佐天「いいえ、これでやっと能力で初春のスカートめくりが出来る目処がついたんだもん、ここからのあたしの頑張りはすごいよー?」

初春「そんな理由で頑張らないでください! っていうか、めくらないでくださいよー!」

黒子「目標があるのはいいことですの」

美琴「アンタも似たような理由だったわよね……」


ラスト変更のため書き直したら全然量が……。
今日の分はこれしかないです。

風力使いと空力使いが分かれていて風力使いが念動力らしいので、今SS中では、
風を生み出す:風力使い
風を操作する:空力使い
という認識で書きますのでよろしくお願いします。


風力使いと空力使いはおそらく解釈の差が大きい能力だと思いますので、この設定はこのSSだけのものと思ってください。
風力使い:0から風を作れる。分子単位でベクトルを与えられる。非接触型。
空力使い:元からある風を操作できる。単位体積辺りの空気の移動の方向と強弱を変えられる。接触型。

念動力は接触型らしき記述もありますが、空間移動能力にもあわきんという例外がいますのであまり気にしない方向で。
婚后さんと佐天さんの能力に差があるので、「空力使い=噴射点」ではないと判断しました。
空力使いという大別された能力の中で、トンデモ発射場ガールスタイルを選択したのが婚后さんという認識です。
そして婚后さんの能力はかなりレアです。
接触型なのに後れて発動は多分一人だけ。(離れた後に噴射)
気流操作系なのに対象選択型でモーメントまで制御できる。(トラックは回転せず、駆動鎧は回転した)
噴射点から空気は出るが、その反作用は物体全体。(点、もしくは手のひら大の噴射点のはずなのに部分破壊がない。上記モーメントにも関係)
すぐ出せるだけでこれだけ変です。もう気流操作じゃないですよ婚后さん。

このルールでの婚后さんの能力説明と佐天さんの能力説明も考えましたが長いのでやめておきます。
別の話ですが、レベル0は土御門の例があるとおり、全くなんの効果もないということではない、と認識しております。


翌週 常盤台中学



美琴「黒子ー。今日非番ー?」

黒子「まぁ、お姉様。デートのお誘いですの? それでしたら喜んでお供いたしますわ」

美琴「佐天さんからメールが来て、能力使えるようになったって言ってるんだけど……」

黒子「え? 先日も言っていたではありませんか。……まさか、レベル1程度になったと言う事ですの?」

美琴「そういうことかなぁと私も思ったんだけど、早すぎるわよねぇ」

黒子「うーん、幻想御手事件の後に能力の向上が見られた学生はおりましたし、視覚化出来た事によって急激に成長したという可能性はありますわね」

美琴「ま、見に行けばわかるか。それじゃ、行くって事で返信しておくわ」

黒子「お願いいたしますの。……そういえば初春は今日休みじゃなかったような」

美琴「そうなの? 休みって合わせてるものだと思ってた」

黒子「いえ、休みの予定だったのですが。書類がどうとか言っておりましたわ」

美琴「それは残念。でも、初春さんは学校で見せてもらってるでしょ」

黒子「そうですわね」


待ち合わせ場所



佐天「みっさっかっさーん!」

黒子「させませんの!」ヒュン

佐天「あいたぁ! うう、お尻打った……」

美琴「こんにちは、佐天さん。能力使えるようになったんだって?」

佐天「はい、そうなんですよ! 名付けて空中停止(ホバリング)です!」

黒子「空中停止?」

佐天「婚后さんに聞いたんですけど、空気を操作するのでも渦を作るのが得意な人、一方向にするのが得意な人、集積して噴射させる人っていうように得意不得意があるみたいなんです。
   あたしが得意だったのは、風の力で物体を空中に浮かせて維持することでした。
   なので空中停止です!」

美琴「へー、やってみてやってみて!」

佐天「いいですよー! んむむむむ、それっ!」

黒子「まぁ、葉っぱが。すばらしいですの!」

佐天「えへへー。これで初春のスカートめくり放題ですよ!」

美琴「あはは。程々にしてあげなよー?」

佐天「今の能力じゃ5キロくらいの物しか持ち上げられないので、手で押さえられたら無理なんですよねー。
   初春の腕力を超えてからが勝負です!」

黒子「一体何と戦っておりますの……。
   しかし、これは確実にレベル1認定されますわね。
   佐天さんも次回の身体検査で晴れて能力者の仲間入りですの」

佐天「ですよね! ううー、ついにあたしも能力者かー!」

美琴「でもこれって空力っていうより、念動力に見えるわね」

佐天「え? あ、そうですね。浮かせてるだけですし」

美琴「一番しっくりくる能力の使い方なのかもしれないけど、まだレベル1だし、あんまりこれって決めないほうが後々得すると思うわ」

佐天「ふむふむ、もっと色んなことをしてみろと……。浮かれちゃって駄目だなー、やっぱりそうやって考えを巡らせてないといけないんですね」

美琴「あ。ご、ごめん。折角喜んでるところに水を差しちゃって」

黒子「それでは、今日もお祝いにいたしましょうか」

佐天「ええっ、いいですよー。前もやってもらいましたし、それに白井さんには身体検査後も奢ってもらいますし」

黒子「んまっ、生意気いいますのね。少々能力が使えるようになったからといって調子に乗りますと事故の元ですのよ」

佐天「でも、レベルは上がってますから。白井さんはどうですかねー?」

美琴「黒子もいい線行ってると思うけどね。とはいえ、能力開花したての事故は本当に多いから気をつけてね、佐天さん」

佐天「はーい。えっと、この後どうします? 能力見せたかっただけで何も考えてきてないんですけど」

黒子「セブンスミストの最上階でアクセサリー展をやっているそうですの、もしよろしければ覘かせていただいても?」

美琴「それって、たっかいのじゃないの?」

黒子「意外と可愛らしいのもあるかもしれませんわよ?」

佐天「それじゃ、そこに行きましょうか」


セブンスミスト付近




prrrrr

黒子「ん、初春ですの。ちょっと失礼いたします。……もしもし、白井ですの」

初春『もっもしもし! 白井さんですか、大変なんです!』

黒子「! 何がありましたの?」

初春『窃盗団の続報です! 前にあった重機の窃盗がやっぱり彼らの仕業で、しかも昨晩それらを使用してある研究所を襲撃していたことが判明しました!』

黒子「なんですって!? 昨晩って、どうしてそんなことになってますの!」

初春『どこかで情報が止められてたみたいで。それより、盗まれた物が危険なんです!』

美琴「何々、どうしたの?」

佐天「なんか事件ですか?」

黒子「ええ。それで盗まれた物ってなんですの」

初春『対能力者用駆動鎧の試作機です!』

黒子「っ! スペックは!?」

初春『詳しくはわかりませんが、現在普及しているタイプを小型化して、キャパシティダウンを積んでいる、と』

黒子「……最悪ですの。他に情報はありませんの?」

初春『不明です。スキルアウト関係の犯行の可能性が高いというくらいです。
   私は情報収集を続けます。相性は最悪ですが、白井さんも支部に来てください』

ドゴォォォォン!! キャーワー

佐天「!? な、何!?」

美琴「! あそこ! セブンスミストの屋上よ!」

黒子「……初春。どうやらそっちに行く必要はなさそうですの」

初春『えっ?』

黒子「全治安関係者に連絡を、目標は」




 黒子「セブンスミストですの!」




もうクライマックス。短いですね。
続きは最後まで書けたらだします。
筆が進めば今日、進まなかったら明日になるかと。


数分後 セブンスミスト付近


キィィィィィィィン

黒子「つぅ……! どうなってますの、なぜこのような広範囲に……!」

美琴「これ、AIM拡散力場まで使ってるわよ、単純な音波や電波ならまだどうにかなるけど、これは……!」

佐天「な、なんなんですか、これ。頭痛い……」

初春『キャパシティダウンとAIMジャマーの技術を使った新型のようです。効果範囲は100m程、障害物もほぼ無視されます。
   白井さん、まずはそこから離れてください。避難誘導は警備員が行きますから、能力者は範囲内じゃむしろ足手まといです!』

黒子「しかし!」

美琴「黒子。初春さんの言うとおりよ、こんな状態で行ったってなんにもできやしない」

黒子「わたくしは風紀委員ですの! 犯罪を見過ごし、困っている人を助けないなんて出来ませんわ!」

美琴「落ち着きなさい! 効果範囲が100mって言ったって、一定なわけがないわ、AIM拡散力場には濃淡がある!
   80m以内でアンタの能力が使えるようになる場所があれば、そこから破壊ができるでしょ!
   アンタにしか出来ないことがあるのよ、しっかりしなさい」

黒子「っ! わ、わかりましたの。初春! 中の様子はわかりますの!?」

初春『今カメラの制御を奪ってるところです! 取れ次第伝えます!』

黒子「では、わたくしはこれから空間移動で攻撃できる位置を探しますの。新しい情報や動きがあったらまた連絡くださいまし!」


数分後




美琴「黒子! こっちはどう!?」

黒子「……駄目ですの」

佐天「白井さん、こっちも使えます!」

黒子「……っ! なぜ、なぜわたくしは……!」

美琴「立ち止まるな! 空間移動がより強く影響を受けるのは仕方がないでしょ!」

黒子「くっ」

黒子(あの訓練はなんでしたの! 超電磁砲が防げてなんだと言うんですの!
   レベル1の佐天さんより脆弱な演算、ちっとも伸びない射程距離、全然強くなんてなってませんの!)

prrrrr

黒子「! 初春、なんですの!」

初春『カメラの制御取れました! そちらに流します!
   警備員からの情報で、人質は3名、この映像の右奥にいる方達がそうです』

佐天「アクセサリー展の展示品目当てってこと? 相手の数はわからないの?」

初春『カメラで数えることは出来ますが、全てとは行きません!』

黒子「このカメラの位置、駆動鎧の位置……、やはり届きませんの」

初春『それと新型妨害機ですが、小型化を優先したみたいで、AIMジャマーのように能力効果を阻害するようには出来ていないみたいです。
   効果だけであれば、キャパシティダウンと同一と考えていいです』

美琴「撃てちゃえばどうにでもなるわけね。って言っても、そこまで近寄れないんだけど」

佐天「この人質の近くにいるのがその新型でしょ? これは一台なの?」

初春『はい、駆動鎧は一台だけです。背中の円筒が妨害機です』

美琴「黒子、私なら影響下でも多少は動けるわ。警備員が突入するならそのタイミングで私を空間移動させて」

黒子「この配置で人質を取られていては、警備員が突入することはありえませんわ。
   開放して脱出された後に追撃という判断になりますの」

美琴「ちっ、指をくわえて見てることしか出来ないって言うの!?」

黒子(あと10メートル……、たったそれだけでよろしいですのに、わたくしには埋めることができませんの……!?)

佐天「諦めちゃだめです! あたし達四人なら、なんでも出来ますよ!」

黒子「佐天さん……。はっ!?」


佐天「白井さん? どうしたんですか?」

黒子(で、できますの? それなら確かに10メートルを補えますの。
   カメラ越しの空間移動、精密移動、運動量の保存、駆動鎧を破壊できる威力……、要素は全て揃って……!)

美琴「黒子?」

黒子(問題はわたくしの演算速度ですの。本来の演算を使用せざるを得ませんので、出来るだけ距離を稼ぐには……)

黒子「!! さ、佐天さん、愛してますの!」

佐天「ええええ!? 急に何を言ってるんですか!」

黒子「お姉様! 超電磁砲をお願いいたしますわ!」

美琴「無理よ! 壁を貫通するような威力で撃ったら、人質がどうなるかわかんないわ!」

黒子「いいえ、わたくしに向けて、撃ってくださいまし」ファサ

美琴「どういう、っ、……出来るの?」

黒子「やるんですの。……これしか手はございませんわ。佐天さん、わたくしの髪を広げていただけますか」

佐天「え、はい」

黒子「ああ、危険ですので能力を使って下さいまし。なるべく水平に広いように」

佐天「これでどうなるんですか、あたしにはさっぱり……」

黒子「お姉様の超電磁砲を空間移動させてぶち込みますの。初春、カメラはリアルタイムですわよね?」

初春『はい! 駆動鎧は最初から殆ど移動していません!』

佐天「そんなことが出来るんですか? それとこの髪に何の関係が」

美琴「超電磁砲と黒子が接触している時間を出来るだけ多くとるためよ。貫通するまでに演算が終わらなかったらアウトってわけ。
   黒子、速度上げるのは愚作だからコイン溶接して威力を上げたわ、飛ばすのはこれ」

黒子「流石ですの、お姉様」ヒュン「OK、対象は把握しましたわ」

美琴「他に先に確認しておくことは?」

黒子「うまくいきましたら、そのまま突入いたします」

美琴「私も連れてきなさいよ」

黒子「一般学生の能力使用は」

美琴「超電磁砲撃ってあげない」

黒子「はぁ、仕方がありませんの」


美琴「それじゃ、いくわよ」

黒子「ええ、髪のことはお気になさらず。伸ばしすぎたと思っていたところですの」

佐天「平らに、平らに、むむむむむ」

美琴「強がっちゃって。あ、佐天さん。切れちゃった髪、出来るだけ回収しておいて」

佐天「あ、はい」

黒子「ああ、そんなのもありましたの」

美琴「緊張してる?」

黒子「愚問ですの」

美琴「ふふ、じゃ、やるわ!」キィーン

黒子「はいですの!」



  美琴黒子「「いっけえぇぇぇぇ!!!」」

  ドヒャァ! ヒュン   『ガァァァァン』



佐天「……や、った!」

初春『妨害機の破壊を確認しました!』

黒子「お姉様!」

美琴「黒子!」

ヒュン


セブンスミスト最上階



窃盗団A「なんだ! 何がおきた!」

窃盗団B「くそ、突入か!?」

駆動鎧「ぐ、あ? くそっ、なんだ! ジャマーが効かねぇ!」

ヒュン

窃盗団C「なんだと! 狙撃なんて出来る場所ないぞ!」

ヒュンヒュンヒュン

窃盗団A「落ち着け! まずは人質を確保しろ、ジャマーがなくても人質がいればなんとかなる!」

美琴「なーんて、本気で思っちゃってるわけ?」

黒子「人質は解放させていただきましたの」

窃盗団D「なっ、なんだてめぇら!?」







黒子「風紀委員ですの。
   器物破損、強盗の現行犯で逮捕いたしますわ!」






三日後 風紀委員第一七七支部



初春「以上が今回の報告です」

固法「確かに、能力者相手なら主力よね」

黒子「資金集めとしても適当ですの。何億って価値だったようですし」

初春「治安維持用の機体が犯罪に使われちゃうなんて」

黒子「ああ、あれは警備員の装備研究所から盗まれたんですの?
   全く、なってませんわねー」

固法「凄腕のハッカーも居て、だいぶ撹乱されたみたいね」

黒子「そのハッカーから映像をぶんどるとは、お手柄ですわね、初春」

初春「いえ、そんなー。私これくらいしか出来ませんから」

黒子「あの映像があったからこそ、あの作戦は成功したんですの。もっと胸を張ってよろしいですのよ」

固法「ふふっ」

黒子「? どうかされましたか、固法先輩」

固法「いえ、その髪型だと締まらないわねって。
   昔を思い出すけど、ふふ、随分可愛らしく感じるわ」

黒子「わたくし、まだ中学生ですのよ? 可愛くて当然ですの」

初春「大人のレディーからまた一歩遠ざかりましたねー」

黒子「うーいーはーるー!」

固法「なんにせよ、無事に解決してよかったわ。御坂さんにもよろしく言っておいて」

黒子「はいですの。今度はこのような無様な醜態を晒さぬ様、演算と能力の強化に励みますわ。
   平時の防御法にも慣れて、演算能力底上げされているはずですし」

初春「白井さんがレベル5ですかー、ちょっと信じられませんね」

固法「私もしばらくレベル上がってないから、なんとかしないと」

黒子「気が早いですわ。ですが、確かに手応えはあります、次の身体検査が楽しみですの!」


一月程後 身体検査の日 ケーキ屋



佐天「それじゃ、せーので発表しましょう!」

初春「はい!」

黒子「……」

美琴「せーの!」

初天「「祝! レベルアップ!」」

美琴「二人ともおめでとー!」

黒子「おめでとうですの」

佐天「いやー、判定もらえるのはわかってましたけど、いざ貰うとまた嬉しいっていうか」

初春「私までレベルアップできるなんて思ってもいませんでした。御坂さんのお蔭です、ありがとうございます!」

美琴「いやいや、二人が頑張ったんだよ」

黒子「どうせわたくしは頑張ってませんの」

佐天「うーん、白井さんがレベル5になれなかったのは、結構びっくりです」

初春「ちょっと茶化すのも躊躇われますね。何があったんですか?」

黒子「けっ、わたくしは一生レベル4でいいんですの!」

美琴「うーん、それがねー」



 回想

  計測員「はい、82メートル、135キロ、誤差無しですねー。お疲れ様でした」

   黒子「ちょ、待ってくださいまし! わたくしの真価はこのような計測では!」

  計測員「チェックリストにないんでー。レベル4です、お疲れ様でしたー」

   黒子「あ、ちょ、……どういうことですの……」

 回想終わり


美琴「ってことがあったみたい」

佐天「うわぁ」

初春「うわぁ」

黒子「なんでですのなんでですのなんでですの」

佐天「ざ、残念でしたねー」

美琴「じ、次回のためにチェックリストの改定を申請するといいんじゃないかなー?」

初春「ま、ここの支払いは白井さんですけどねー」






  黒子「納得いきませんのー!」





おしまいですの!


短くて申し訳ありません。あまり膨らませられませんでした。
途中で言ってた変更点は、結局全員レベルアップせずに、俺たちの戦いはこれからだエンドの予定だったんです。
が、みさくろ砲を撃つのに髪を広げようと思って、佐天さん使えるじゃんと思って、いやでも永遠のレベル0ですよとか迷ったんですが、こちらにしました。

このような駄文にお付き合いいただきありがとうございました。
3度目がありましたらよろしくお願いいたします。

では。

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