綾「!?」 リゼ「!!」 (346)

リゼ「……」

綾「……」

リゼ(私がいる!?)

綾(胸が大きな私がいる!?)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1408980807

~数十分前

忍「わぁ~…! 木組みの家に石畳の街、まるでイギリスの田舎町みたいな風景ですね!」

綾「ほんと綺麗な街ね。まるで日本じゃないみたい……」

アリス「シノ、前からこの街に来たがっていたよね」

忍「はい!」

陽子「それで、どこ行く? ていうかこの街って何が名物なの?」

カレン「とりあえずお腹すいたデース! なにか食べたいデス!」

忍「そういえば、この街には喫茶店が…」

カレン「あっ! あっちに面白そうなものがありマス! 行ってみまショー!」

綾「ちょっ、カレン!?」

陽子「お腹すいてるんじゃないのかよ!」

アリス「カレン! 勝手に行っちゃダメだよー!」

忍「みんな~、待ってくださ~い」

―――――――――――――――
―――――――――
―――――

綾(……ていう感じでカレンを追いかけてたらいつの間にかみんなとはぐれて、こんな所に来ちゃったけど)

リゼ「っ……」

綾(この人は一体……)

リゼ(……はっ!!)

リゼ(まさかこれは、噂に聞く……ドッペルゲンガーというやつか!)

リゼ(確かドッペルゲンガーに出会った者は……死ぬんじゃ!?)

リゼ「や、やや殺られる前に殺らせてももも、もらう!!」ガチャッ

綾「ヒッ!!」

綾(銃!? なんで!!)

綾「わわわ私!! おっ、お金はそんなに持ってません!!」

リゼ「黙れ! 私は絶対に死なないぞ!!」

綾「許してください!! 何でもしますから命だけは!!」

リゼ「そんなことを言って私を油断……ん?」

綾「あわわわ……」

リゼ「……」

リゼ(なんか…違う気がする)

綾「ひっ、ひぃ~」

リゼ(泣かせてしまった……)

・・・・・

リゼ「わ、悪い……いきなり脅かしてしまって」

綾「い、いえ……」

綾(ていうか、なんで銃持ってるのかしら……)

リゼ「別の街から来たのか。通りで見かけない顔だと思ったよ。……いや、毎日見てるような」

綾「似てますね、見た目が……私たち」

リゼ「ほんと驚いたよ。こんなそっくりな人に出会えるなんて」

綾「え、ええ……」ジーッ

リゼ「どうした?」

綾「いえ…なにも」

綾(胸が! 胸が全然違うわ!!)

リゼ「なるほどな、友達とはぐれてしまったのか。連絡は取れないのか?」

綾「一応メールは来たんですけど、みんなも今自分がどこにいるのか分からないみたいで」

リゼ「あー確かに、初めて来た人は道に迷いやすい街かも」

リゼ(ココアも最初の頃は迷ってたなぁ)

綾「どうしよう……」

リゼ「よし! じゃあ私もその友達を探すのを手伝うよ!」

綾「えっ、いいんですか?」

リゼ「ああ。さっきは悪いことしたし、そのお詫びも込めてな」

綾「あ、ありがとうございます」

綾(よかった。悪い人ではないみたい)

リゼ「そういえば自己紹介がまだだったな。私はリゼ。高校二年生だ」

綾「あっ、私も高二……」

リゼ「本当か!? すごいな、年齢まで同じなんて!!」

綾(年齢は同じなのに…なんで胸の大きさは違うのかしらね…)

綾「えっと、小路綾っていいます。よろしく…」

リゼ「よろしくな、綾!」

綾「……」

綾(私と違って、すごく凛々しくてなんだかかっこいい……)

リゼ(私と違って、なんていうか女の子女の子してて……かわいい)

綾「あの、一ついいですか」

リゼ「ん? なんだ?」

綾「……」

綾(『なんで銃持ってるんですか』っていきなり聞くのはまずいかしら)

綾(いえ、実際おかしいことなんだから聞いても……って、冷静に考えたら銃を所持してるなんて異常なことじゃない!)

綾(もしこの人がその道の人だったりしたら……!!)

リゼ『なんで銃を持ってるかって? 私の秘密を知るということは組織の秘密を知るということだ』

リゼ『悪いがここで始末させてもらう』

綾「ご、ごめんなさい!! 命だけは!?」

リゼ「!?」

リゼ「えっ、なんで銃を持ってるかって?」

綾「は、はい」

綾(結局聞いちゃった……)

リゼ「これはその、護身用というか……親父が軍人だから影響されてというか」

綾「……」

リゼ「あ、安心しろ! 私は普通の女子高生だ!」

綾(銃を片手にそんな台詞を言われても……)

リゼ「綾は持ってないのか? 銃とか」

綾「普通は持ちませんから!」

リゼ「そ、そうか。似てるからてっきり趣味も同じかと」

綾「さすがにそれは……」

綾「!!」

リゼ「どうした?」

綾「う、うさぎがいる!」

リゼ「ああ、野良うさぎだよ」

綾「野良!?」

リゼ「この街にはよくいるんだ。見ていくか?」

綾(銃を持った女子高生に野生のうさぎがいる街……)

綾(ここ普通じゃない!!)

うさぎ「……」

綾「あ…」

リゼ「ほら、近寄っても平気だぞ。人馴れしているからな」

綾(うさぎって、こんなに近くで見たの初めてかも)

うさぎ「……」

綾「……」

綾(かっ、かわいい……)

リゼ「気に入ったか?」

綾「はぇっ!? あ、あの」

リゼ「撫でたりしてもいいんだぞ。友達はよくやってるし」

綾「……」ジーッ

うさぎ「……」

綾「……」ジーッ

うさぎ「……」

リゼ「綾…?」

綾「あっ、いえ!? なんかちょっと緊張しちゃって!」

リゼ「ほら、モフモフして気持ちいいぞ」ギュッ

綾「あ…」

リゼ「な?」

綾「は、はい…」

綾(い、いきなり手をつかまれちゃった……けど)

リゼ「?」

綾(なんか…自分と似てるせいか親近感がわいて、あんまり嫌な感じじゃないかも…)

リゼ「なんか変な感じがするな」

綾「え?」

リゼ「今日初めて会ったのに、綾とはなんだか他人って感じがしないよ」

綾「そ、そうですね…」

リゼ「まるで妹ができたみたいだ」

綾「え?」

リゼ(しまった!? ついココアみたいなことを口走って!!)

リゼ「す、すまない。忘れてくれ……」

綾「は、はあ」

綾「……でも私もリゼさんと同じことを思ってました」

リゼ「え?」

綾「初めて会ったのに親近感があるというか。道に迷っていた私を助けてくれて頼りがあって、そういうところなんか陽子に……」

綾「……」

綾(って、なんでそこで陽子が出てくるのよ!! 別にいつも陽子に助けてもらってるわけじゃないし!? そもそもリゼさんと陽子は全然違うし!!)

綾「あーーもーーーっ!! 陽子のバカーーーー!!」

リゼ「!?」ビクッ

綾「す、すみません…」

リゼ「大丈夫か…? 突然叫んだりしてたけど」

綾「ほんと、なんでもないですから。ちょっと嫌なやつのこと思い出しちゃったっていうか、別に嫌ってわけでもないけどそんな好きってわけでも……」

リゼ「とりあえず落ち着け。……ひょっとして、友達とはぐれて寂しいのか?」

綾「ええっ!? そ、そんなわけじゃ…」

リゼ(顔に出やすいな)

リゼ「安心しろ、この街にいるかぎり必ずまた会えるよ。それまで私が側についていてやるから、寂しくなんかないぞ」


綾「あ……」ドキッ

リゼ「そうだ、敬語はやめてみないか?」

綾「えっ…」

リゼ「同い年なんだしタメ口でいいんだぞ?」

綾「そ、そう……ですか?」

リゼ「ああ!」

綾「……じゃ、じゃあ」

綾(変な感じ……。リゼさんと一緒にいると、なんだか……)

ガサッガサッ

リゼ「!!」

リゼ「下がれ綾!」

綾「えっ!?」

リゼ「そこにいるのは誰だ! 出て来い、姿を現せ!!」ジャキッ

綾(また銃!?)

ガサガサガサッ
ピョンッ

うさぎ「……」

リゼ「……」

綾「……」

リゼ「……見なかったことにしてくれ」

綾「は、はい……」

「あーっ! 待ってくださいデスうさぎさーん!」

綾「!!」

綾(この声は……!!)

カレン「やっと追いついたデスよ! このうさぎハンターカレンからは逃げられないデス!!」

綾「……」

リゼ「……」

カレン「……」

カレン「アヤヤが増えてるデス!?」

綾「増えてはないから」

寝ます
ペースは遅くなると思います

カレン「OH! こっちのアヤヤはおっぱいポヨヨーンデス!」

リゼ「おっ…!?」

綾「カ、カレン! 失礼でしょ!」

カレン「ところでなんでアヤヤが二人もいるデスか? まさか、分身の術!?」

綾「そうじゃなくて……。この人はリゼさんって言って、この街に住んでいる人なの。私とはその、たまたま似ているだけというか」

カレン「ナルホド! つまり影武者さんデスね!」

綾「ただのそっくりさんよ!」

カレン「九条カレンと申すでござい! よろしくお願いしますデス!」

リゼ「あ、ああ。リゼだ。……外国人なのか?」

カレン「ノンノン。私はイギリスと日本のハーフデスよ」

綾「とりあえず合流できてよかったわ。全く、元はと言えばカレンが勝手にどこかに行っちゃうからこんなことに…」

カレン「ところでアリス達はどこデスか?」

綾「だからカレンを追いかけていたらみんなバラバラになっちゃったの!」

綾「それで、リゼさんにみんなを探すのを手伝ってもらってて」

カレン「それなら私も捜索ごっこ一緒にやりたいデース!」

綾「ごっこじゃないってば……。とりあえずリゼさんはこの街に詳しいし、もう迷わないためにもリゼさんからは離れないでね」

カレン「分かったデス! よろしくお願いつかまつるデス、リゼ隊長!」

リゼ(隊長……!)

綾「隊長ってなによ」

カレン「探索隊の隊長デス!」

綾「そんなこと言ってリゼさんを困らせちゃ……」

リゼ「いいだろう」

綾「いいの!?」

リゼ「ただし上官に対しては言葉の最後に『サー』をつけろ! いいな!?」

カレン「サー?」

綾(なんかノリノリになってる…)

・・・・・

カレン「サー隊長サー! 見つからないデスサー!」

リゼ「もっとよく探せ! 視野を広くしろ! 敵はどこから襲ってくるから分からないぞ!」

綾「敵って誰……」

~♪

綾「!!」

リゼ「なんだ?」

綾「陽子から電話が来たわ!」ピッ

綾「もっ、もしもし陽子!? 今どこにいるのよ! こっちはずっと探してるっていうのに! だいたい私が電話した時はなんですぐに出なかったのよ!」

綾「……えっ、ちょっとなに? 聞こえないんだけど」

綾「ちょっ……陽子!?」

カレン「どうしたデスか?」

綾「切れた……また後でかけ直すって。なんなのよもう、陽子ってば」

リゼ「……さっきから気になっていたんだが、その陽子っていうのは綾にとっては大切な親友なのか?」

カレン「親友? フッフッフ」

リゼ「?」

カレン「親友なんて関係じゃ収まらないデス! アヤヤとヨーコはいかがわしい関係デス!」

リゼ「なにっ!?」

綾「ど、どういう関係よ!」

カレン「大親友って意味じゃないんデスか?」

綾「全然違うから!?」

リゼ「わ、私はてっきり陽子という名前から女と推測していたんだが……男だったのか……いかがわしい関係というのは……。な、なんてアダルトな……」

綾「こっちはこっちで色々と勘違いしてるし!?」

カレン「ノー! アヤヤとヨーコは女同士でいかがわしい関係デース!」

綾「カレーーーンッ!!」

カレン「間違えたデス。イケナイ関係デスか?」

綾「それも違うわよ! なんでそんな関係になるの!」

カレン「私の読んでる漫画ではそんな風に言ってマス」

綾「その漫画が間違ってる!」

リゼ「その陽子って人は綾のカ、カレシ……いや、カノジョなのか……!?」

綾「カ、カノッ……!?」

カレン「そうだったんデスか!? まさかアヤヤとヨーコがそんなことなってたなんて知らなかったデス!」

綾「普通の友達です!!」

綾「もーカレン、どうして変な風に話をこじらせるのよ」

カレン「私なにか変なこと言ったデスか?」

リゼ「い、いや、私が勘違いしてしまったのが悪いんだ。すまない」

綾「あっ、そんなことは……」

カレン「そうデス、ヨーコの話で顔が真っ赤になるアヤヤが悪いんデス」

綾「あ、赤くなってなんかないわよ!」

リゼ(そういう今も赤くなってるぞ)

ぐぅ~

リゼ「ん?」

カレン「お腹すいたデス!」

綾「もうカレンってば、みっともないじゃない」

リゼ「あはは、まぁ仕方ないさ」

カレン「探索は一旦やめて腹ごしらえしまショー!」

リゼ「それなら私の働いている店に行くか?」

カレン「リゼ隊長働いてるデスか?」

リゼ「ああ、アルバイトでな。喫茶店で働いてるんだ」

綾「へぇ…」

カレン「すごいデスね! かっこいいデス!」

リゼ「そ、そうか?」

カレン「なんていうお店なんデスか?」

リゼ「ラビットハウスっていうんだ」

カレン「rabbit?」

綾(……うさぎの家?)

カレン「かわいい名前デス!」

綾(まさかうさぎがいたり……なんて)

リゼ「一応言っておくが、うさぎはいないからな」

綾「こ、心を読まれた!?」

リゼ「えっ?」

カレン「とにかくなにか食べたいデス! レッツゴー、ラビットハウス!」

綾「ちょ、ちょっと待ってカレン。まだ陽子たちも見つかってないのに」

カレン「えー、お腹すいたデス」

リゼ「まぁ……これだけ探しても見つからないしな。一旦休憩を入れたほうがいいんじゃないか?」

綾「は、はあ」

ぐぅ~

リゼ「ほら、またお腹がなった。もうカレンの腹の虫も限界みたいだな」

カレン「今のは私じゃないデスよ?」

リゼ「え? じゃあ……」

綾「ぁ…いや、そ、その…///」

リゼ「……無理しなくていいんだぞ」

――ラビットハウス

チノ「はぁ……ココアさん遅い。一体どうしたんでしょう」

チノ「まさか道に迷ったりして……。なんて、ここに長い間経ちますし流石にそれはないですよね」

チノ「……いや、でも。まさか」

チノ「そういえばリゼさんも遅いですけど、どうしたんでしょう…」

カランッカランッ

チノ「!」

リゼ「遅れてすまない、チノ」

チノ「あっ、リゼさ…」

綾「こ、こんにちは」

チノ「……」

チノ(リゼさんが増えてる……!?)

リゼ「まぁそんなリアクションだとは思っていたが」

チノ「なるほど……そっくりさんでしたか」

綾(こ、子どもが働いてる。ていうか頭になにかいる…)

チノ「はじめまして、チノといいます」

綾「あっ、はじめまして。小路綾です」

カレン「OH! キュートな店員さんデス! 頭のモフモフはなんデスか? 帽子?」

チノ「これはティッピーといいます」

ティッピー「……」

綾「う、うさぎ……?」

リゼ「よく分かったな」

カレン「アハハ! モフモフしてておもしろいデース!」モフモフ

ティッピー「!?」

リゼ「適当にゆっくりしていてくれ」

綾「あ、は、はい」

カレン「きもちいいデスねー!」モフモフ

ティッピー(いつになったら放してくれるんじゃ…)

チノ「本当に似てますね。あの綾さんって人とリゼさん」

リゼ「ん? そうだな、自分でもびっくりしたよ」

チノ「リゼさんに妹がいたら、あんな感じなんでしょうね」

リゼ「妹か……」

リゼ(一応、同い年なんだけどな)

チノ「どうしたんですか?」

リゼ「いや…私は一人っ子だからな、妹がいたらどういう感じなんだろうって思って」

リゼ「姉妹って……なんだか憧れるな」

チノ「……そうでしょうか」

リゼ「今ココアのこと頭に浮かんだな?」

チノ「そ、そんなことは」

リゼ「ははっ。そういえば、そのココアはどうしたんだ?」

チノ「買出しに行ったきり戻ってきません。きっと道草でも食べてるんです」

リゼ「まったく、困ったもんだな」

チノ「本当です」

カレン「ココア? ココア飲めるんですか?」

リゼ「うわっ!?」

綾「カレン! 邪魔しちゃダメでしょ!」

カレン「はーい」

リゼ(ココア並みに落ち着きのないやつだな……)

リゼ「おまたせ。サンドイッチでいいか?」

綾「わぁ…! あ、ありがとうございます」

カレン「いっただきまーす!」

リゼ「そんなにがっつくとのどに詰まるぞ」

綾「リゼさんの言うとおりよ、カレン」

リゼ「‘さん’はいらないって」

綾「あ…ご、ごめんなさい」

リゼ「あはは。綾って結構人見知りなんだな」

綾「え、あ…その」

リゼ「ん?」

綾「え?」

リゼ「ほら、口の周り汚れてるぞ」フキフキ

綾「あ……へぇっ!?」ドキッ

チノ(本当にお姉ちゃんみたいです)

カレン「がっつくからそうなるんデスよ」

綾「が、がっついてなんかないわよ!」

チノ「……」ジーッ

カレン「どうしたんデスか?」

チノ「すみません、外国の方を見るのは初めてで……。それと、そろそろティッピーをはなしてあげてください」

カレン「?」モフモフ

ティッピー(く、苦しい……)

リゼ「さて、行方不明者を探す作戦でも考えるか」

綾「行方不明者っていうか……ただの迷子だけど」

リゼ「なにか案はないか?」

カレン「はい隊長!」

リゼ「おっ、なにか思いついたか」

カレン「おかわりお願いしマス!」

綾「少しは遠慮しなさい」

チノ「あの、ところで……携帯に電話をかけてここに呼んでみたらどうでしょうか」

綾「さっきもかけてみたんだけど……そうね、もう一度かけてみましょう。今度はちゃんと話せるかも」

~♪

綾「!」

カレン「ヨーコからメール来たデスね!」

綾「『今この場所にいるんだけど、分かる?』」って、写真がついて……。!?」

カレン「? ヨーコの隣に知らない女の子がいるデス」

綾(なっ、なにこの仲良さそうにしてる女の子は……!?)

リゼ「ココアだな」

チノ「……ココアさんですね」

カレン「お知り合いデスか?」

リゼ「まぁ、友達でありうちの店の従業員だ」

カレン「二人とも楽しそうデスね」

チノ「……」

綾「よ、陽子は私を探すことより知らない女の子と一緒に遊ぶほうが楽しいの!?」

リゼ「なんだ急に!?」

リゼ「お、落ち着けって。探そうとしてるからこうやってメール送ったんだろうし」

綾「うぅ……」

チノ「それにしても、ココアさんはバイトの時間に遅刻してるっていうのに何してるんですか」

リゼ「とりあえずココアに電話かけてみるよ」ピッピッ

プルルルル

チノ「あっ、もしもしココア?」

ココア『リゼちゃん。もしもーし?』

リゼ「お前……今なにやってるんだ」

ココア『今? えっと、バイトに行こうとしてた途中にこの街に初めて来たっていう女の子に会って』

ココア『それで、その子の友達を一緒に探すついでに街案内してて、今一緒にアイス食べながら楽しくお話してるところだよ!』

ココア『……あっ、バイトあったんだ!!」

リゼ「思い出したか」

ココア『ごめんねー! でも陽子ちゃんはこのままにはできないし…』

リゼ「それなら丁度その友達が今うちの店に来てるから連れてこい」

ココア「えっ、陽子ちゃんの友達そっちにいるの!? ねーねー陽子ちゃん!」

ワイワイキャッキャッ

リゼ「おい、もう電話切ってもいいのか?」

リゼ(なんか楽しそうに話してるな……)

リゼ「……はっ!」

綾「……」ムスッ

チノ「……」プクー

リゼ(拗ねてる……のか?)

リゼ「と、とにかく早く来いよ? いいな!」ピッ

リゼ「よかったな、これで友達と会えるぞ」

綾「……そうね」

リゼ(なんで怒ってるんだ……)

チノ「バイトをすっぽかした上に知らない女の子と遊ぶなんて……減給確定です」

リゼ(こっちもか!?)

リゼ「ま、まぁ一応人助けしてたわけなんだし……な? それより他の友達は」

カレン「シノとアリスデスか?」

リゼ「ああ。その二人には電話しないのか?」

カレン「フッフッフッ……甘いデスねリゼ隊長」

リゼ「?」

カレン「その二人は! なんと携帯電話を持ってないデス!!」

リゼ「……じゃあどうするんだよ」

――甘兎庵

千夜「さぁどうぞ、おめしあがれ」

アリス「うっぐ……ひっく……」

千夜「あらあら、大丈夫?」

アリス「シノぉ……うう……」

千夜「そのシノちゃんって子とはぐれちゃったのね。けど大丈夫よ、この街にいるのならきっとまた会えるから」

千夜「とりあえず今は、甘いものを食べて元気を出しましょう!」

アリス「ひっぐ……いただきます……」パクッ

アリス「……!!」

千夜「どうかしら?」

アリス「おいしい……」

千夜「よかった」

アリス「これってぜんざいですよね! こんなおいしいのはじめて!」

千夜「あらあら、よくぜんざいだって分かったわね」

千夜(本当は『海に映る月と星々』って名前なんだけど)

千夜「それにすごく流暢な日本語。外国の子よね? 日本には長く暮らしてるの?」

アリス「ううん、そうでもないんだけど……。日本に来る前から、イギリスでずっと日本のことを勉強してたの」

千夜「まぁ、それはすごいわね」

千夜(こんな小学生ぐらいの子が小さいときから勉強してるなんて……よほど日本のことが好きなのね)

千夜「どうして日本のことに興味を持ったの?」

アリス「えっとね、それはシノに会いたくて……」

アリス「……はっ!」

千夜「?」

アリス「シノ……どこかに行っちゃった……」

千夜(あらあら、はぐれちゃったことを思い出させたみたい)

千夜「そのシノちゃんって子、アリスちゃんにとってはとても大切な人なのね」

アリス「うん……」

千夜「きっとシノちゃんもアリスちゃんのことを大切だって想っているはずだわ。その気持ちがあれば二人は必ずまた会えるはずよ」

千夜「そう、それはまるで離ればなれになっても再会できる織姫と彦星のように……!」

アリス「織姫と彦星は、一年に一回しか会えないよね……」

千夜「そういえば、そうだったかしら。ところで、シノちゃんっていうのはどういう子なの? 食べ終わったら探すのを一緒に手伝うわ」

アリス「あ、ありがとうございます! えっと……」

千夜「私の名前は千夜よ」

アリス「チヤ! 素敵な名前!」

千夜「うふふ、ありがとう」

アリス「それに着物もとても似合ってる! とっても大和撫子!」

アリス「シノもね、着物がすごく似合う大和撫子なんだよ!」

千夜「じゃあシノちゃんと私、気が合うかもしれないわね」

アリス「そうだ! 一目でシノだって分かるもの持ってるよ!」

千夜「なぁに? 写真とか?」

アリス「はいこれ!」

千夜「……こけし?」

アリス「それシノに似てて可愛いんだよ~」

千夜「確かに素敵ね。お店に飾ったらいい感じになるかもしれないわ」

アリス「このお店にシノを? でも……その制服を着たシノも見てみたいかも」

アリス(きっといつもの大和撫子加減がさらに上がるんだろうなぁ)

千夜「そうだ、よかったらアリスちゃんもこの制服着てみる?」

アリス「ええっ! いいの!?」

千夜「ええ。せっかくだし」

アリス「じゃ、じゃあ…ちょっとだけ」

千夜「うふふ、遠慮しなくてもいいのよ。ほらこっちに来て」

千夜(可愛いわね、イギリスの小学生って)

――ラビットハウス

綾「……」

チノ「……」

リゼ(二人ともまだふくれたままだな……)

カランッカランッ

綾「!」

チノ「!」

青山「こんにちわ~」

チノ「……」

青山「残念そうなお顔をしていますけど、どうかされましたか?」

リゼ「いえ…なんでもないんです」

チノ「すみません……。どうぞこちらの席に」

綾「……」

コトッ

綾「……?」

リゼ「ほら、食後のカフェラテだ」

綾「絵が描いてある……花?」

リゼ「ああ。ラテアートっていうやつだ」

綾「リゼさ…リ、リゼが描いたの?」

リゼ「ん…まぁな」

綾「へぇーすごい。器用なのね」

リゼ「そ、そんなんでもないぞ」

綾「他の絵も描けたりするの?」

リゼ「まぁ……簡単なものとかなら」ババッ

綾「!?」

リゼ「大したことないけど…」

綾(ラテアートで戦車を描けることのどこが大したことないのかしら…)

綾「かわいい絵とは描ける?」

リゼ「かわいい絵? そうだな……」ババッ

リゼ「これとかどうだ?」

綾「わぁ……」

綾(うさぎの絵……になんで銃が!?)

リゼ「ちょっとはかわいくできたと思うけど…」

綾「か、かわいいけど…。リゼってこういうの好きなの?」

リゼ「ん? 銃のことか?」

リゼ「これは○○と言ってな、有名な…」

綾(急に語り始めた!?)

カレン「……」ジーッ

青山「どうかなさいましたか?」

カレン「なにしてるデスか?」

青山「そうですね……何かをしているようで、何もしていません」

カレン「?」

青山「言うならば、何も思いつかないのでペンが進んでいないのです」

青山「自己紹介が遅れましたが、私青山ブルーマウンテンと申しまして、小説家をやっています」

カレン「小説!!」

青山「小説はお好きですか?」

カレン「読むと眠くなるから読んでないデス。漫画の方が好きデス!」

青山「まあ、それはそれは。では眠くならないような小説を書けるよう頑張ってみましょう」

青山「そういえばお名前はなんとおっしゃるのですか?」

カレン「九条カレンと申すデス!」

青山「私、カレンさんを見ていたらなんだかインスピレーションがわいてきました。その美しい金色の髪……」

青山「はっ! 今度の主人公はカレンさんのような金髪の少女にしましょう!」

カレン「私がモデルデスか?」

青山「はい。ではさっそく執筆にとりかかりましょう」

カレン「書いてるところ見ててもいいデスか?」

青山「どうぞ。むしろ私もカレンさんを観察させていただきます」ジーッ

カレン「……」

青山「……」ジーッ

カレン「……書かなくていいんデスか?」

リゼ「でな、○○っていう銃はかの有名な……」

綾(この銃トークいつまで続くのかしら……)

綾「そ、それにしてもリゼって珍しいわよね」

リゼ「なにがだ?」

綾「だって、普通の女の子なら銃のことなんて興味持たないし」

リゼ「えっ」

綾「そこまで銃に詳しい女子高生なんて、世界中探してもなかなかいないわよ」

リゼ「そ……そうだな」

綾「?」

リゼ「いや、私も別に詳しいわけじゃないんだ。昨日たまたまテレビで銃の番組を見てただけで……」

リゼ「私はいたって普通の女子高生だ!」

綾(今さらどうしたのかしら……)

リゼ「よし、せっかくだ! 女子力の高いトークでもしよう!」

綾「え? ええ…」

リゼ「こういうのはなんて言うんだっけ……そうだ、女子会だ! よし、今から女子会だぞ!」

リゼ「女子力の高いトークで盛り上がろう!!」

綾「……」

リゼ「……」

綾「……」

リゼ「……」

綾・リゼ(女子力の高いトークってなに……?)

リゼ「綾は…女子力高そうだな!」

綾「そ、そうかしら?」

リゼ「ああ。なんというか、たたずまいがすごく女の子らしくて良いぞ」

綾「そ、そんなことは……。わ、私からしたらリゼの方がかっこいいし、理想的な女性に見えるわ。女子力高そう」

綾(胸も大きいし…)

リゼ「わ、私なんて全然! ほんと、女子力なんてないというか……」

リゼ「……ここだけの話、いいか?」

綾「な、なに?」

リゼ「みんなには隠しているんだが、実は私……銃をコレクションするのが趣味なんだ」

リゼ「それに軍事関係の知識なら詳しいけど、女の子の流行りの知識とかには疎くて……その、黙っててすまなかった」

綾「…そ、そう」

綾(今までの言動を見てたら別に驚かないけど…なんで謝ってるのかしら)

リゼ「こんなの、全然女子力のかけらもないよな……」

綾「でもそれも一つの個性なんだし、私はいい趣味だと思うわよ」

リゼ「そうか…? 女の子っぽいかな……」

綾「女の子っぽいかと言われるとまぁ……何とも言えないけど。でも趣味は趣味なんだし、女の子っぽいとかいちいち気にする必要ないわよ」

リゼ「そ、そうだな!」

綾(……あれ? 銃のコレクションってよくよく考えたら法律的におかしいんじゃ……)

リゼ「綾は何か趣味とかないのか?」

綾「えっ!? そ、そうね……」

綾「……勉強、とか」

リゼ「……」

綾(まずいわ……思いつかなかったからつい適当に答えちゃったけど、おかしいわよね。勉強が趣味なんて子いないし、引かれたかも…)

リゼ「へー、綾は真面目なんだな。偉いな」

綾「え…?」

リゼ「ん? だって勉強が趣味だなんてなかなか言えることじゃないだろ。綾は立派だな!」

綾「……」ウルウル

リゼ「ど、どうした!?」

綾「なんか…普通に褒めてもらえるのが嬉しくて。陽子とか絶対茶化してただろうし…」

リゼ「だからって泣くほどか……。他には何か趣味はあるのか?」

綾「そうね…あとは料理とかかしら。最近スイーツ作りに凝ってて」

綾「あっ、それと読者もよくするわね。恋愛小説とか特に読んでるわ。最近読んだ小説だと◯◯って本が面白かったわね。あとは…」

リゼ「へ、へえ」

綾「そうそう! 恋愛ものと言えば映画も最近面白いのがあって。◯◯っていうんだけどとても切ないラブストーリーで」ペラペラ

リゼ「……」

リゼ(スイーツ作りに恋愛もの好き……)

リゼ(女子力高っ……!!)

チノ(二人とも好きなことには饒舌になるんですね)

リゼ(私と綾でここまで女子力の差があったとは……)

綾「どうしたの?」

リゼ「私の完敗だ…これからは隊長と呼ばせてくれ」

綾「どういうこと……?」

チノ「それにしても、ココアさん遅いですね」

リゼ「ん? そうだな…あれから大分経つが…」

綾「……まさかまた二人で遊び呆けているんじゃ」

チノ「!!」

綾「人が心配してるっていうのに……。ごめんなさい、陽子ったらお調子者だからきっとそのココアさんって人を無理やり連れまわしているんだわ!」

チノ「いいえ、ココアさんもお調子者の上に能天気なところがありますから。きっと地元民きどりの風を吹かせて街の案内を無理やりしてるんです」

綾「ううん、陽子が絶対に悪いわ! 強引なところがあるからきっと振り回してるはずだわ」

チノ「ココアさんの方が悪いです! ありがた迷惑をかけてるに違いありません」

綾「陽子はいつも何も考えずに行動するから」クドクド

チノ「ココアさんも考えなしに行動するところがあって」クドクド

リゼ(なんか今度は愚痴で盛り上がってる……)

カランカランッ

ココア「ただいまーっ」

陽子「綾ー、おまたせー」

綾・チノ「「遅い!!」」

陽子「うわっ!?」

ココア「いきなり怒られた!?」

リゼ「まったく、今までなにしてたんだ」

ココア「それがちょっと道案内をしてたら盛り上がって……。あれ?」

リゼ「どうした?」

ココア「えっと……」

綾「?」

リゼ「なんだ?」

ココア「リゼちゃんが……二人!?」

チノ「そのリアクションはすると思ってました」

リゼ「チノも同じリアクションだったしな」

チノ「!」

リゼ「紹介するよ、綾だ。私とそっくりだが別人だぞ」

ココア「わぁ! もしかして陽子ちゃんが言ってた子?」

陽子「うん、そだよ」

ココア「はじめまして、ココアって言います。よろしくね綾ちゃん!」

綾「は、はじめまして」

綾(なんか…不思議な子ね)

ココア「でも本当にリゼちゃんとそっくりだねー。びっくり」

ココア「あっ、陽子ちゃん紹介するね。こっちがリゼちゃんでこっちがチノちゃん」

陽子「いやー、うちの綾がお世話になっちゃたようで」

綾「う、うちのってなによ!」

陽子「よろしくっ」

リゼ「ああ、よろしく。……私と綾のこと見間違えた素振りはなかったけど、すぐに分かったのか?」

陽子「え? 見間違えるも何も、全然違うじゃん。綾の顔はほぼ毎日見てるんだし、見間違えるわけないよ」

綾「なっ……!?」

リゼ(イ、イケメンだ!!)

サボってすみません
身の回りが落ち着いたのでまたボチボチ書きます

綾「ばかー!」

陽子「なにが!?」

リゼ「……」

陽子「ん?」

リゼ「!」

陽子「ん~…確かに綾と似てるところはあるな。声なんか特にそっくりだし。後髪型も」

ココア「まるで双子の姉妹みたいだね」

綾「双子だなんて……私、妹なんて持ったことないからなんだかこそばゆいわね」

陽子「いや、どっちかというと綾の方が妹に見えるぞ」

リゼ(姉妹か……)

ココア「あれ、リゼちゃんなんだか嬉しそう」

リゼ「な、なんなのことだ!!」

陽子(あっ。すぐ顔に出るところも綾にそっくりだ)

リゼ「そういえば陽子は綾といけない関係だと聞いたが」

綾「なっ!?」

ココア「いけない関係?」

陽子「誰だそんなこと言ったの!?」

リゼ「カレンだ」

陽子「カレーンッ!」

カレン「すぴー、すぴー」

陽子「って寝てるし!!」

青山「どうやら心地よい風と穏やかな陽の光が彼女を眠りの世界へと誘ったようですね」

リゼ(風も吹いてないし陽もここからは射してないんだが…)

青山「この幸せそうな寝顔を見ているだけで筆が進みます」

ココア「わぁーっ! 外人の子だ!」

チノ「ココアさん、買出しの……」

ココア「かわいい~! かわいいよぉ~!」

チノ「買出し……」

ココア「金髪だぁ~、サラサラ~」

チノ「……」

ココア「あっ、チノちゃん。買ってきたものどこに置けばいい?」

チノ「……」プイッ

ココア「無視された!?」

リゼ「そりゃそうだろ」

リゼ「そういえば、そっちはまだ迷子がいるんだっけか」

陽子「うん。でも二人とも携帯とか持ってないんだよなぁ」

綾「連絡取れないと心配ね。特にアリスとか……大丈夫かしら」

綾「しのは……まぁ大丈夫でしょうね」

陽子「なんか適当だな!?」

リゼ「けど、この街は結構入り組んでいるからな。地元じゃない人じゃ絶対に迷うぞ」

ココア「私も住み始めて結構立つけどたまに迷うしね!」

リゼ「それはどうかと思うぞ」

陽子「それに探すにしてもあてがなぁ……」グゥ~

陽子「……」

陽子「とりあえず何か注文してもいい?」

綾「まったく陽子ってば…」

陽子「いやー、考えてたらお腹すいちゃってさー」

綾「大して考えてもないでしょ」

陽子「失礼な! こう見えても頭をフル回転してしのとアリスを探す方法を考えてるって」

チノ「ご注文は何にしますか?」

陽子「んじゃえっとね……ってうさぎ!?」

ティッピー「……」

ココア「やだなぁ陽子ちゃんってば。うさぎはメニューの中に入ってないよ」

陽子「いや、そうじゃなくて…」

リゼ「それはチノが飼ってるペットだよ」

陽子「へぇー」

チノ「それで、ご注文はどうしますか?」

陽子「あっ、ごめんごめん。んー…無難にサンドイッチとかでいいかな」

綾「……」

綾(よく考えたら、飲食店にペットがいたり中学生が切り盛りしてたりっておかしいんじゃ……)

ココア「綾ちゃん!」

綾「!?」ビクッ

綾「な、なに……?」

ココア「はいこれ、どうぞ」

ティッピー「……」

綾「ティッピーが……どうしたの?」

ココア「難しそうな顔してたから。悩んでるときはティッピーをモフモフすると、気持ちが落ち着くよ」

綾「別に悩んでるわけじゃ……」モフモフ

綾「……」モフモフ

綾(……まぁ、細かいことはどうでもいいわね)モフモフ

ココア「綾ちゃんって、見れば見るほどリゼちゃんの妹みたいだね」

綾「なっ…」

陽子「このままリゼの家の子になるか?」

綾「なに言ってるのよ」

リゼ「う、うちはいつでも歓迎だぞ……!」

綾「本気にしてる!?」

ココア「なんなら、私がお姉ちゃんになってあげてもいいけど」

綾「結構です」

ココア「ふられちゃった……」

ココア「けど私にはチノちゃんっていう妹がいるから大丈夫!」

チノ「新しい妹ができたのならそっちへ行けばいいじゃないですか。私とココアさんはもうなんの関係もありませんから」

ココア「チノちゃんが怒ってるー!」

リゼ「まったくココアは…」

ココア「チノちゃんそれ重いでしょ? 私が運ぶよ!」

チノ「運べま……あっ」ガクッ

ココア「チノちゃん危ない!」

陽子「よっと」ガシッ

陽子「大丈夫?」

チノ「あ、ありがとうございます…」

陽子「結構重いし、あたしが持ってあげるよ」

チノ「いっ、いえ。お客様にそんなことは…」

陽子「気にしない気にしない。それにここに来るまで荷物はあたしが持ってきてたんだし」

リゼ「客になにやらせてるんだ!?」

ココア「えへへ、実は私じゃ買出しの荷物重くて持てなくて……」

陽子「まっ、あたしに任せなって。これぐらいの重さなら普通に持てるから」

ココア「なっ…なにこの強烈な頼れるお姉ちゃんオーラは!?」

綾「陽子は実際に弟と妹がいるお姉ちゃんよ」

リゼ「そうだよな!これぐらいの重さなら女子高生でも普通に持てる重さだよな!」

陽子「なんで嬉しそうなの? 手伝ってくれるのは嬉しいけど」

――フルール・ド・ラパン

シャロ「……」

シャロ(さっきから妙に視線を感じる……)

忍「はわわぁ~」

シャロ(あのおかっぱのお客さん……なんでさっきから私のことジロジロ見てるのかしら)

シャロ(あっ、ひょっとして注文が決まったのかも)

シャロ「お客様、ご注文はお決まりでしょうか?」

忍「いえ、まだです」ジーッ

シャロ(ならなんでさっきから見つめてるの!?)

忍(なんて素敵なお店なんでしょう……)

忍(洋風でオシャレな店内、心地よい香り)

忍(そして……かわいい格好をした金髪少女!)

シャロ「?」

忍(ふらっと寄ったお店でこんな大当たりを引くなんて、今日はなんてついているんでしょう!)ハァハァ

シャロ「お客様!?」

忍「ああ、ごめんなさい……ちょっと興奮してしまって」

シャロ(興奮ってなにが!?)

シャロ(怪しいお客さん……店長呼んできた方がいいのかしら)

シャロ(でも見た目私と同い年ぐらいよね……)

忍「あの」

シャロ「は、はい」

忍「私、このお店初めてで」

シャロ「あっ、はい」

シャロ(なんだ初見さんだったのね。さっきまで不審な行動も、なにを注文していいか分からなくて迷ってたせいかも)

忍「お聞きしたいことがあるんですが」

シャロ「はい! メニューのことなら何なりとお聞きください!」

忍「お名前はなんておっしゃるんですか?」

シャロ「……はい?」

忍「お名前をぜひともお聞きしたくて」

シャロ「えっと……私のですか?」

忍「はい!」

シャロ「……」

シャロ「そ、そういうサービスはやっていませんので…」

忍「?」

忍「あっ、まずは私から名乗るのが礼儀ですよね」

忍「大宮忍と申します。どうぞよろしくお願いします」

シャロ「ど、どうも。桐間紗路と申します……」

シャロ(はっ! つい名乗ってしまった!)

忍「シャロちゃん! 素敵なお名前ですね!!」

シャロ「あ、ありがとうございます。ところでご注文は……」

忍「この金髪の髪も衣装もとても素敵です! こんなに可愛い金髪少女に出会えるなんて今日は最高です!」

忍「ぜひとも私とお友達からお付き合いを!」

シャロ「お付き合い!?」

シャロ(まずい、他のお客さんの視線がこっちに集まっている)

シャロ「お客様、とりあえず一旦落ち着いて当店自慢のハーブティを飲んでみてはいかがでしょうか」

シャロ「今日はこちらのメニューがオススメですよ」

忍「わー、ここってハーブティのお店だったんですね」

シャロ(知らなかったんかい!)

忍「じゃあこれをお願いします」

シャロ「あ、ありがとうございます」

忍「あっ、もうひとついいですか?」

シャロ「なんでしょうか?」

忍「記念写真を撮らせて下さい」

シャロ「……」

忍「いきますよー、はい、ピース」パシャッ

忍「ありがとうございます!」

シャロ「……」

シャロ(なにしてるんだろ私……)

シャロ(平常心平常心……。変な人でも一応お客さんなんだし)

シャロ「お待たせしました、ローズヒップでございます」

忍「ローズヒップ…?」

シャロ「はいっ。こちらのハーブティは美肌効果が抜群で女性の方に大人気なんですよ」

忍「わぁ、すごいんですね」

シャロ「別名ビタミンCの爆弾とも呼ばれてて…」

忍「爆弾!?」ビクッ

シャロ「いえ、あの…例えなんでそんなに驚かなくても」

忍「それではいただきます」ゴクッ

忍「……すっぱい!?」

シャロ「ビタミンCが豊富なだけあって酸味は強いですから、ハツミツなどを混ぜて飲んでみてください」

忍「ローズというよりも、梅茶みたいな感じです……」

シャロ(……でもこの人ハーブティより梅茶とかの方が似合いそう)

シャロ「ちなみにローズヒップの効果は美肌だけではなく、ホルモンバランスを整えたり老化防止の効果もあるんですよ」

忍「老化防止!?」ゴクゴクッ

忍「おかわりをお願いします!」

シャロ「はやっ!」

忍「あっ、そうだ。つかぬことをお聞きしますが、この辺りで金髪少女二人とショートヘアで赤毛の女の子とツインテールの女の子を見かけませんでしたか?」

シャロ「いえ……うちには来てませんけど」

忍「そうですか…」

シャロ「……ツインテールといえば」

忍「なにか知っているんですか!」

シャロ「あっ、いえ。学校の先輩が同じツインテールだったってこと思い浮かべてただけで……」

忍「そうですか……」

シャロ「その人たちがどうしたんですか?」

忍「一緒にこの街に遊びに来た友達なんですけど、私みんなとはぐれちゃいまして」

シャロ(ああ……迷子だったんだこの人)

忍「私、携帯も持っていないからみんなとも連絡が取れなくて……」

忍「これからどうしようかとずっと不安だったんです」

シャロ「……」

忍「でもここのハーブティとシャロちゃんに出会えてすごく心が落ち着きました。ありがとうございます!」

シャロ「い、いえそんな…お礼を言われるほどでも」

忍「このハーブティを飲んだら、引き続きみんなをがんばって探してみようと思います」

忍「ではあと5杯お願いします!」

シャロ(飲みすぎ!!)

シャロ「……あの」

忍「はい?」

シャロ「よかったら、お友達探すのお手伝いしましょうか?」

忍「えっ…」

シャロ「もうすぐバイトも上がりですし、この後予定もないですし」

シャロ「一人でこの街を探し回るのも大変ですしね」

シャロ(なによりなんかこの人ほっとけない感じがするし)

忍「ほ、本当ですか……?」

シャロ「はい」

忍「やっぱり金髪少女は天使ですっ!」ギュッ

シャロ「ぎゃっ!?」

――

シャロ「よし、それじゃあ探しに行きましょうか」

忍「!!」

シャロ「どうしたの?」

忍「さ、さっきの衣装は……?」

シャロ「あれはお店の制服だって」

忍「そんな!? とってもかわいかったのに……もう一度着てください!」

シャロ「ムチャ言わないでください……」

忍「じゃ、じゃあこういう時のために持ってきた、このウサミミをつけてみてください!」

シャロ「……」

忍「わぁ~、とってもお似合いですよシャロちゃん!」

シャロ(こういう時って、どういう時なのよ……)

シャロ「……」ポイッ

忍「ああっ!? 似合ってるのに!」

シャロ「こんなのはいらない。真面目に探す気あるの!」

忍「でも似合ってると思うんですけど……」

シャロ「いいから早く行く」

忍「なんだかシャロちゃんって頼もしいですね」

シャロ「あなたが頼りなさすぎなのよ……」

シャロ(一緒にいるとちょっとココアのことを思い出す)

忍「私のことはシノでいいですよ」

シャロ「シノ?」

忍「はいっ。私のあだ名です。忍だからシノ、みんなからそう呼ばれているんです」

シャロ「でもまだ会ったばかりなのにあだ名なんて……恥ずかしい……」

忍「代わりに私もシャロちゃんのことをあだ名でシロちゃんって呼びますね」

シャロ「そんなあだ名はないわよ!」

シャロ「もお~……普通にシャロでいいから」

忍「はいっ、シャロちゃん!」

シャロ「……ちょっと。くっつきすぎだってば」

忍「はいっ、シャロちゃん!」

シャロ「だからくっつきすぎだてば!」

忍「じゃあせめて、手をつないで歩きましょう」

シャロ「……」

忍(素敵な金髪少女と一緒に素敵な街を散策できるなんて……素敵です!)

シャロ(なんでこの子こんなにテンション高いのよ……)

シャロ「あっ……まぁいっか」

忍「どうしたんですか?」

シャロ「幼馴染の友達がいるから、その子にも一緒に探すの手伝ってもろうかと思ったんだけど……」

シャロ「確かこの時間はまだお店の手伝いだったのよね。しょうがないか」

――甘兎庵

アリス「ご注文が入ったよ! 姫君の宝石箱2つお願いしまーす!」

千夜「はーい。ごめんねアリスちゃん、お店のお手伝いしてもらっちゃって」

アリス「全然気にしてないよ、チヤ。お客さん急にたくさん来て忙しそうだったし」

アリス「それにこんな素敵な制服着て甘味処で働けるなんて、わたしとっても幸せだよ!」

アリス「今すごく大和撫子な気分で充実してる!」

千夜「あら、なんだかとっても楽しそうね。じゃあお言葉に甘えて、もうちょっとお手伝いお願いしちゃおうかしら」

アリス「はーい!」

千夜(小さい子があんなに楽しいそうにしてると、和むわね~)

・・・・・

陽子「よーし、お腹も満腹になったし捜索に出発だ! よろしく隊長!」

リゼ「任せろ! 陽子たちから聞いた話で迷子の二人が行きそうな場所を何箇所かピックアップしたぞ」

リゼ「アリスって子は和風なものが好きなんだよな」

陽子「そうそう、日本の文化が大好き」

リゼ「なら和風喫茶の甘兎庵という店がある。まずはそこに行ってみよう」

陽子「おおっ、頼りになるぅ! さすが隊長!」

リゼ「フッ、任せろ」

陽子(いやー、ほんと綾は別人だわ)

リゼ「念のためにもう一丁銃を携帯しておくか」

陽子「なんのためだ!!」

リゼ「着いたぞ、ここが甘兎庵だ」

陽子「確かにアリスの好きそうなお店だなぁ~」

陽子(でもまぁ、いきなり会えるなんて都合のいいことあるかなぁ)

ガラッ

リゼ「こんにちわー」

千夜「いらっしゃいませー」

アリス「いらっしゃいませー」

陽子「って本当にいたし!?」

アリス「あっ、ヨーコ!」

アリス「ヨーコ~! よかったぁ、もう一生会えないかと思ったよ」

陽子「大げさな。ずっとここにいたの? なんか可愛い服着てる」

アリス「うんっ。チヤのお手伝いしてたの」

アリス「あっ、この子がチヤだよ!」

千夜「はじめまして、宇治松千夜です」

陽子「あっ、どうも。猪熊陽子です。いやー、アリスがなんかお世話になっちゃったみたいで」

千夜「いえいえ、こちらもアリスちゃんには助けてもらいました」

千夜「よかったわねアリスちゃん、お姉さんに会えて」

アリス「もう、なに言ってるのチヤ。私とヨーコは同い年だよ」

千夜「えっ」

千夜(最近の小学生って……凄く発育してるのね)

陽子「?」

アリス「でも本当によかった。ヨーコとアヤに会えて」

陽子「え?」

リゼ「ん?」

アリス「どうしたの?」

陽子「いや…」

陽子(ひょっとしてリゼのことを綾と勘違いしてるのか…?)

アリス「でもアヤ……しばらく見ないうちにちょっと変わった?」

陽子(いや待てよ。勘違いさせたままの方がおもしろいかも)

リゼ「ああそうか。私は綾じゃなくて……」

陽子「実はなアリス、綾は事故にあって記憶を失った引き換えにおっぱいが大きくなってしまったんだよ」

リゼ「なにを!?」

アリス「ええっ、そうなの!?」

リゼ「ち、違う! 私は綾じゃなくてリゼという人間で」

陽子「ほらな。自分をリゼって人間だと思い込んでいるんだ」

アリス「そんな……まさかアヤが……」

リゼ「ちがーう! 私はリゼだ、綾じゃなーい!」

アリス「だ、大丈夫だよ。いつか記憶は戻るし、胸も元通りしぼむから安心して」

リゼ「だから記憶喪失じゃないし胸は元からこうだ!」

リゼ「そうだろ千夜!?」

千夜「え、えっと……」

リゼ「なんでそこで黙る!?」

千夜(なんだか面白そうだから黙っておこう……)

アリス「落ち着いてアヤ、取り乱しちゃだめだよ」

リゼ「だから私は綾じゃないって言ってるだろ!」

リゼ「ほら見ろ、銃だって持ってるんだぞ! 綾がこんなものを持ってると思うか?」

アリス「!?」

リゼ「分かってくれたか」

アリス「ど、どうしよう……アヤがヤクザになっちゃった!」

アリス「道を踏み外しちゃダメだよアヤ! 今ならまだやり直せるから!」

リゼ「なんでだ!?」

・・・・・

アリス「えっ、本当に別人なの!?」

陽子「騙してごめーん」

リゼ「まったく、ややこしいことを」

千夜「ふふっ」

リゼ「千夜も千夜だぞ」

千夜「ごめんなさい、おもしろかったんだもの」

アリス「でも本当に似てるね。びっくりしちゃった」

千夜「そんなに似てるの?」

アリス「うんっ。まるで双子みたい」

千夜「そんなこと聞いちゃうと見てみたくなるわね、その綾ちゃんって子」

リゼ「今ラビットハウスにいるぞ。一緒に行くか?」

千夜「そうねぇ…今はまだ仕事が残ってるから、後で寄るわね」

千夜「じゃあアリスちゃん、お手伝いありがとうね。助かったわ」

アリス「ううん、私も楽しかったよチヤ!]

千夜「ふふっ、アリスちゃんは良い子ね。そうだ、お店のお手伝いをしてくれたお礼に…手作りの羊羹をあげるわ」

アリス「本当!? やったー!」

陽子「嬉しそうだなー、アリス」

アリス「うんっ! 私将来ここに就職したいぐらいだよ!」

陽子「それはちょっと気が早すぎるんじゃ」

千夜「じゃあいってらっしゃい、みんな。また後でね」

リゼ「ああ、また後で」

アリス「ありがとう千夜ー! 大好きー!」

陽子(今のをシノが聞いたらどう思うか……)

陽子「ところでアリス、いつまでのその制服着てるの?」

アリス「チヤが今日一日貸してくれるって」

陽子「へぇー、よかったな」

アリス「うん! あっ、後これも配るようにお願いされた」

陽子「なにそれ?」

アリス「甘兎庵で新しく発売される新作和菓子のチラシだよ」

リゼ(宣伝に使ってるのか!?)

陽子(ちゃっかりしておられる!)

――ラビットハウス

カレン「いらっしゃいマセー! 何名様デスか? 空いてる席へどうぞデース!」

ココア「ばっちりだよカレンちゃん! 制服も似合ってる!」

綾「眼を覚ましたと思ったら、急にお店の手伝いをしはじめて…」

チノ「まぁ、人手が減ったので助かりますけど…」

カレン「アヤヤはなにかご注文ありマス?」

綾「えっ、別にないけど」

カレン「ひ、ひどいデス! なんのために喫茶店に来てるんデスか! 冷やかしなら帰ってくださいデス!」

綾「そこまで言わなくても!?」

綾「じゃあ、コーヒーちょうだい」

カレン「かしまりデス! コーヒーはカプチーノにしマスか? エスプレッソにしマスか? それともブルーマウンテン?」

カレン「おっと! ブルーマウンテンと言っても先生のことではありませんデスよ!」

青山「?」

綾「一体なにを言ってるのよ?」

青山「……あっ、申し遅れました。私、青山ブルーマウンテンといいます」

綾「えっ、青山……ええっ!?」

カレン「どうしたデスか?」

綾「青山ブルーマウンテンって、あの『うさぎになったバリスタ』を書いた……?」

青山「はい。恥ずかしながら」

綾「ええええ!!?」

カレン「どうしたんデスか?」

綾「どうしたもこうしたも、あの有名な青山ブルーマウンテン先生よ!? うさぎになったバリスタって映画の原作者!」

綾「知らなかったの!?」

カレン「青ブルマ先生ってそんなに有名だったんデスか?」

綾「略さない!」

青山「いえ、私なんてまだまだで」

綾「あっ、ああああの、よよよよろしかったらササササ、サイ、サイ」

青山「サイですか? 動物は好きですよ」

カレン「サインくださいデース!」

綾「あっ、ず、ずるいわよカレン」

青山「はい。私のでよろしかったらどうぞ」

カレン「二枚お願いしマス。名前はこれで…」

綾「小説も読んだことないのに、どうしてサインが必要なのよ」

カレン「フッフッフッ、学校に行ったとき自慢するためデス!」

綾「もう、そんなことのために……」

カレン「アヤヤの分のサインも、頼んでおいたデスよ」

綾「え…」

青山「はい、書き終わりました」

カレン「よかったデスね、アヤヤ!」

綾(カレン……)

青山「どうぞ」

綾「あ、ありがとうございます!」

『アヤヤさんへ 青山ブルーマウンテン』

綾(名前は綾にしてほしかった……!)

ココア「もうカレンちゃん! 遊んでないで仕事しなきゃだめだよ!」

カレン「ごめんなさいデス、ココアおねえちゃん」ギュッ

ココア「いいよー、全然いいんだよー。カレンちゃんも頑張ってるもんねー」

チノ(もうココアさんの扱い方を分かってる……!? というかカレンさん、ココアさんより年上だったんじゃ)

青山「ふふ、賑やかで楽しいですね」

綾(本物の小説家ってなんて素敵なのかしら……。綺麗で優雅、オーラが違うわ)

青山「あの……そんなに見つめられると照れてしまいます」

綾「あっ、ご、ごめんなさい。……って、なんでスカート覗こうとしてるんですか!?」

青山「すみません、目を合わせるのが苦手で……ついこういった姿勢になってしまうんです」

綾「……」

綾「分かりますその気持ち!」

青山「まぁ、本当ですか?」

綾「私も人見知りでたまに目を合わせることができなくて」

綾「それに改めて青山先生みたいな有名人を前にすると……」

青山「……」

綾「……」

カレン「なんでお互いに照れてるんデスか」

カランッカランッ

カレン「あっ、いらっしゃいマセー!」

シャロ「えっ、なに、新人?」

忍「わぁ、カレン。その姿すごく似合ってますね!」

・・・・・

陽子「よしっ、アリスも捕まえたし。残るはシノだけだな」

アリス「シノに会えるの!?」

陽子「任せろ、必ず見つけ出してみせる! リゼが」

リゼ「ああ!」

アリス「なんかすごいねリゼって。アヤより頼りになるね!」

陽子「それを綾の前で言っちゃダメだぞ?」

陽子「それで、次はどこ行くの?」

リゼ「その前に協力者を呼ぼう」

陽子「協力者?」

リゼ「私の後輩だ。たぶん今の時間ならバイトも終わってるだろう」

陽子「なるほど、人数を増やして手分けして探す作戦ってことか!」

リゼ「いや、エサにするんだ」

陽子「エサ……?」

リゼ「シノという子は金髪が好きなんだろ? 私の後輩も金髪だから街に泳がせてシノを釣るって作戦だ!」

陽子「……お、おう!」

陽子(あれ……リゼも大丈夫かなこれ)

リゼ「さっそく電話して呼ぼう!」

prrrr prrrr

リゼ「……出ないな。忙しいのかな」

陽子「やっぱ、別の作戦にしない?」

リゼ「うーん、そうだな……」

マヤ「おーい、リゼー!」

リゼ「!」

マヤ「やっほー。なにしてんの?」

メグ「リゼちゃん、こんにちはー」

リゼ「マヤ、メグ!」

陽子「おっ、なんだなんだこのちっこくて可愛いのは」

リゼ「紹介しよう。チノの同級生のマヤとメグだ」

メグ「は、はじめまして~」

マヤ「リゼの友達?」

リゼ「まぁな。今日会ったばかりだけど」

陽子「あたしは陽子。こっちはアリス。よろしくな」

アリス「よろしくね」

マヤ(外人だ…)

メグ(小学生かな。かわいいなぁ~)

マヤ「ところで何して遊んでるの? あたし達も混ぜて!」

リゼ「遊んでるんじゃない。大事なミッションの途中だ」

メグ「みっしょん?」

陽子「実はあたし達の友達が迷子になっちゃってさ。リゼに探すの手伝ってもらってるんだ」

マヤ「へー、どんな人?」

アリス「あのね、こんな人だよ」ガサゴソ

アリス「はい!」

マヤ「……」

メグ「……こけし?」

アリス「うん! シノっていってね、このこけしみたいにすごく可愛いんだよ」

マヤ「あはは、へんなのー」

アリス「へん!?」

リゼ「まぁそういうわけで、そのシノって子を探しているんだ。暇なら一緒に探すか?」

マヤ「やるやる! おもしろそうだし!」

メグ「わたしも~」

陽子「随分と懐かれてるんだ」

リゼ「フッ、まぁ私が直々に鍛えたチマメ隊の隊員達だからな」

陽子「血豆……?」

メグ「こけしに似た人か~。どんな人だろう」

陽子「!」

チリンチリン

陽子「おっと、危ないよ」ガバッ

メグ「きゃっ」

マヤ「あぶなっ。もうちょいで自転車にぶつかるところだった」

メグ「ご、ごめんなさ~い」

リゼ「常に警戒を怠るな。いつ襲撃があるか分からないんだからな」

陽子「襲撃って大げさな。大丈夫?」

メグ「は、はい。ありがとうございます」

陽子「あはは、よかった。こっちの道は自転車が通るから、こっちに寄りな」ギュッ

メグ「!」ドキッ

メグ(ま、まるで王子様みたい……!)

マヤ「どうしたメグ。風邪引いた? 顔赤いけど」

メグ「わ、わたしなんだか変かも……!?」

陽子(いやー、なんか妹に似てるところあって親近感わくなぁ)

メグ「よーし、こけし救出作戦出発だー!」

アリス「こけしじゃなくてシノだよー」

リゼ「アリスとメグとマヤ……三人でアメマ隊だな!」

陽子「なんか、お笑い芸人の一発芸みたいな名前だな」

メグ「アリスちゃんかわいいね~」

マヤ「その服って私服?」

アリス「あっ、これは借り物だよ」

メグ「とっても似合ってるよ」ナデナデ

マヤ「かわいいかわいい」ナデナデ

アリス(あれ、なんだろうこの感じ……)

――ラビットハウス

忍「はぁ~……素敵なお店ですねぇ。とっても落ち着きます」

シャロ「あの……そろそろ離れてくれない?」

忍「いえいえ、遠慮せずに」

シャロ「あんたが遠慮しなさいよ!」

綾「しの、もうそれぐらいにしておきなさい」

シャロ「……」ジーッ

シャロ(本当にリゼ先輩に似てる……よく見たら違うけど。なんか変な感じ)

綾「……あ、あの。どうかしました?」

シャロ「い、いえ別に! なんでもないです……」

シャロ(リゼ先輩に似てるけどリゼ先輩じゃない……。どう接すればいいか分からない……)

カレン「ご注文は何にしマスかー?」

忍「わぁカレン! 素敵です! まるで本物のウェイトレスさんですね」

カレン「今の私はプロのウェイトレスマスター九条カレンデス!」

シャロ「あの……」

ココア「この子は九条カレンちゃん……私の新しい妹だよ!」

シャロ(まるで意味が分からない!!)

ココア「えっ、カレンちゃん年上なの!?」

綾「そうよ。私たちは高校二年生なんだから」

シャロ(う…ということはリゼ先輩と年も同じなのね)

カレン「ところでご注文はどうしマスか?」

忍「そうですね……。ところでここはどんなお店ですか?」

綾「そこから!?」
シャロ「そこから!?」

綾「!?」
シャロ「!?」

カレン「OH! 息ぴったりデスね!」

綾(気まずい……)
シャロ(気まずい……)

忍「何がオススメなんですか?」

カレン「こちらの特製コーヒーがオススメデス!」

忍「ではそれにします」

カレン「かしこまりマシた!」

チノ(さりげなくうちで一番高いコーヒーを注文させるとは……。カレンさん、なかなか侮れないかもしれません)

カレン「HEY大将! 特製コーヒー一丁追加デス!」

チノ「カレンさん、そのノリは違います」

綾「……」

リゼ「……」

綾(な、なんでこんなにこっち見てるのかしら……)

綾「……えっと」

リゼ「!」

綾「そ、そんなに……似てる……のかしら」

リゼ「え…」

綾「その…私とリゼって」

リゼ「そ、そんなことは…ないですよ」

綾「そ、そう…」

リゼ(しまった! さっきからジロジロ見てたせいで気をつかわせてしまってる!?)

リゼ(私ってば失礼なことを……)

リゼ「……」

リゼ(でもやっぱり似てる……。別人ってことは分かってるけど、目の前にこんな似てる人がいたら落ち着くわけがない……)

忍「なるほど、妹萌えですか~」

ココア「うんうん、それでね」

リゼ(向こうはなんか共感覚えて盛り上がってるし……)

ココア「そしてこの子が、私の自慢の妹のチノちゃんです!」

チノ「妹じゃないです」

忍「わぁ~かわいいですね~。素敵な髪の色です」

チノ「ど、どうもありがとうございます」

ココア「チノちゃんはまだ中学二年生だけどこのお店を任されてるんだよ!」

ココア「しかも香りだけでコーヒーの銘柄も当てられるし、ボトルシップやパズルみたいな細かい作業が得意で」

チノ「コ、ココアさんそれ以上はもう……」

ココア「あっ、でもコーヒーはまだ砂糖やミルクなしじゃ飲めないんだよね。後セロリも苦手で」

ココア「それと強がりだけど寂しがりなところもあって、でもそこがまた可愛くて」

チノ「ココアさん!」

綾「……」

シャロ「……」

綾(な、なんでこんなにこっち見てるのかしら……)

綾「……えっと」

シャロ「!」

綾「そ、そんなに……似てる……のかしら」

シャロ「え…」

綾「その…私とリゼって」

シャロ「そ、そんなことは…ないですよ」

綾「そ、そう…」

シャロ(しまった! さっきからジロジロ見てたせいで気をつかわせてしまってる!?)

シャロ(私ってば失礼なことを……)

シャロ「……」

シャロ(でもやっぱり似てる……。別人ってことは分かってるけど、目の前にこんな似てる人がいたら落ち着くわけがない……)

忍「なるほど、妹萌えですか~」

ココア「うんうん、それでね」

シャロ(向こうはなんか共感覚えて盛り上がってるし……)

ココア「そしてこの子が、私の自慢の妹のチノちゃんです!」

チノ「妹じゃないです」

忍「わぁ~かわいいですね~。素敵な髪の色です」

チノ「ど、どうもありがとうございます」

ココア「チノちゃんはまだ中学二年生だけどこのお店を任されてるんだよ!」

ココア「しかも香りだけでコーヒーの銘柄も当てられるし、ボトルシップやパズルみたいな細かい作業が得意で」

チノ「コ、ココアさんそれ以上はもう……」

ココア「あっ、でもコーヒーはまだ砂糖やミルクなしじゃ飲めないんだよね。後セロリも苦手で」

ココア「それと強がりだけど寂しがりなところもあって、でもそこがまた可愛くて」

チノ「ココアさん!」

滅茶苦茶ミスってましたねすみません

忍「ふふ、ココアちゃんはチノちゃんのことが本当に大好きなんですね」

ココア「うん、大好きだよっ」

チノ(ひ、人前でそんなこと……)

忍「私にも大切な人がいます。アリスっていう女の子なんですけど」

忍「アリスは小さくて可愛くて、とってもきれいな金髪で……」

ココア「ほうほう、そのアリスちゃんはしのちゃんにとっての妹みたいな存在なのかな」

忍「そうですね……。妹というよりも、世界でたった一人の天使です!」

ココア「!」

カレン「HEYお待ち! 特製コーヒー一丁あがりデス!」

忍「カレンも私にとって世界でたった一人の天使です!」

チノ(忍さんにとっての世界でたった一人の天使は何人いるんですか…)

ココア「わ…私のチノちゃんも妹というより世界で一人の天使だよ!」

チノ「何を張り合っているんですか!?」

忍「はい。ココアちゃんはチノちゃんのことを大切にしてますし、チノちゃんもココアちゃんと一緒だと幸せそうですもんね」

チノ「なっ……!」

ココア「私たちのことをそんなに理解してくれている人がいるなんて、私感動だよー!」

チノ「さ、さっき会ったばかりの人に何が分かるっていうんですか……」

忍「分かりますよ」

チノ「!」

忍「だって今こうしてる時も、チノちゃんは嬉しそうじゃないですか」

チノ「なっ、なななっ……!?」

ココア「チノちゃーん!」ギュッ

チノ「は、離れてください、今は仕事中です!」

忍「ふふっ。……あっ、ちょっといいですか?」

チノ「……なんですか?」

忍「チノちゃんの髪も綺麗なので、よく見てみたくなって」

ココア「いいよいいよ! 見て見て!」

チノ「勝手に許可しないでください。それに言われるほど綺麗なわけでも……」

忍「いえいえ、綺麗ですよ。もっと近くで見せてください」

忍「……」ジーッ

チノ「ち、近いです……」

忍「……青髪もいいですね」

チノ「!!」

ココア「チノちゃんを取らないでー!」

忍「ところで、このお店はどうしてラビットハウスと言うんですか?」

ココア「あっ、それはね。うちにはティッピーっていうマスコットうさぎがいるからだよ!」

ティッピー「……」

忍「……これが、うさぎなんですか?」

ココア「うんっ。アンゴルモアうさぎっていうんだよ!」

忍「へー」モフモフ

ティッピー「……」

忍「白くてふわふわふでもふもふで、触れているだけで幸せになれますね」

ティッピー「……ポッ」

忍「これならお土産にぴったりです」

ティッピー「!?」

チノ「ティッピーを持ち帰らないでください」

綾「……」

シャロ「……」

青山「お二人とも、元気がないようですがどうされましたか?」

シャロ「えっ、別に元気がないわけじゃ……」

青山「悩みがあるのですか? 私でよければ相談にのりましょうか」

綾「別に悩んでるわけでも……」

カレン「YES!アヤヤにはちょうど悩み事があるじゃないデスか」

綾「えっ、な、なにが」

カレン「好きな人の前で素直になれない悩み」

綾「カ、カレン!?」

青山「まぁ。それはいわゆる思春期特有のアレというやつでしょうか」

シャロ(好きな人……)

綾「べ、別にそんな悩みはないです!」

シャロ(あっ、図星なんだ)

綾「もうカレン! 余計なこと言わないであっち行って!」

青山「ということは綾さんは恋をしているということでしょうか」

綾「!!」

綾「こ、恋じゃなくて……って青山先生まで何を言うんですか!」

シャロ(か、顔が乙女になってる! めちゃくちゃ恋してる顔してる!!)

綾「と、とにかく恋とかそういうのはしてませんっ」

シャロ(なんだろう……なんか今のですごく親近感がわいたかも)

綾「な、なんですか」

シャロ「へっ!? い、いえ……」

青山「綾さんの気持ちは分かります。私もなかなか素直になれませんから」

綾「えっ…青山さんが?」

青山「はい」チラッ

シャロ「……」

青山「……」チラッ

シャロ「……?」

青山「……」チラッ

シャロ「あの、なんでしょうか」

青山「素直になれず、人と三秒以上目を合わせるのが苦手で」

シャロ「だからって膝下に目を向けるのはやめてください!」

綾(その素直とは違うんだけれども……)

青山「学生の頃は、こんな私を同じ文芸部の後輩が色々と助けてくれて」

青山「彼女のような素直に接することのできる友人は私にとって何よりも大事な存在でした」

綾「へぇー……」

シャロ「その人とは今でも仲がいいんですか?」

青山「そうですね……」

青山「……」

青山「色々と複雑です」

シャロ「な、なんか変なこと聞いてしまってごめんなさい……」

綾(お、大人の事情かしら……)

青山(そういえばまだ原稿を書き終わっていませんでした……)

シャロ「……あの、私相談してもいいでしょうか」

青山「はい。よろこんで」

シャロ「私のことじゃないんですけど、私の友達が悩んでて……」

綾(なんとなく本人のことのように思えるわ……)

シャロ「その子には憧れの先輩がいるみたいなんですけど、本人の前では緊張して本来の自分になれないみたいで…」

綾「!!」

シャロ「私……じゃなくてその子としてはもっとありのままの自分でその先輩と接して仲を深めたいみたいなんですけど」

シャロ「どうすれば恥ずかしがらず素直になれるんでしょうか……」

青山「そうですねぇ…」

綾「な、なんか分かるわその気持ち!」

シャロ「へっ!?」

綾「私…の友達も身近に憧れってわけでもないけどもっと素直になりたい相手がいて…」

綾「わた…その子の場合は相手に優しくされてもつい強がっちゃって素直になれないの」

綾「感謝もしているしもっと素直にありがとうって言いたいんだけど……わたその子ってば本当に不器用で」

綾「本当はありのままの姿を見せたいのよ!」

シャロ「あ、綾さ…じゃなくてその人も似たような悩みを!?」

綾「もっと素直になりたいのよ…本当に」

シャロ「分かります! わた…しの友達はもっと積極的にアタックとかしてみたいんですけど、タイミングが掴めなくて」

シャロ「休みの日とかもっと気軽に遊びに誘えたらいいんですけど」

綾「それは私も同じような経験があるわ! 電話をかけようとしてもなかなか踏ん切りがつかなくて、いざかけても上手く伝えたいことを伝えられなくて」

シャロ「そう! そうなんです! 私も同じことがありました!」

青山(お友達の悩みがいつの間にか自分達の話になっていますね)

カレン「……」ニヤニヤ

綾「な、何笑ってるのよカレン」

カレン「いえいえ、アヤヤが楽しそうだなって思っただけデス」

忍「綾ちゃん、さっそくお友達ができてよかったですね」

ココア「シャロちゃんも楽しそう」

シャロ「わ、私たちの話聞いてたの!?」

カレン「聞いてないデスよ」

忍「お二人とも似たところがあるんだなって思いました」

ココア「素直になれないってことは……いわゆるツンデレってやつかな?」

カレン「アヤヤもなかなかのツンデレデスからね」

綾「聞いてたんじゃない!」

カレン「それにしても二人が喋っている姿はいうなれば……」

カレン「ツンデレは友を呼ぶ!!デス」

綾「類は友を呼ぶって言いたいの…?」

カレン「YES!」

シャロ「誰がツンデレよ!」

忍「金髪……ツンデレ……!」

忍「わ、私の中でシャロちゃんのポイントがさらに急上昇しました!!」

シャロ「勝手にポイント上げないで!?」

ココア「しのちゃん、実はシャロちゃんはコーヒーを飲むとね…」

シャロ「余計なことを教えない!!」

ココア「あっ、でもシャロちゃん私や千夜ちゃんとかぐらいにしかツンツンしないよね……」

ココア「私にももっとデレデレしていいんだよ!?」

シャロ「鬱陶しい!!」

青山(ツンデレというより、思春期の悩める乙女同士で盛り上がっていたという感じでしょうか)

カランッカランッ

千夜「こんにちはー」

ココア「あっ、千夜ちゃん!」

忍「!!」

チノ「どうかしましたか?」

忍「今先生の声が聞こえたような気がしたんですけど……」

千夜「あら、今日は賑やかね」

忍「先生!?」

青山「……」

綾「ど、どうして私の後ろに隠れているんですか……?」

青山「大声で先生と呼ばれると、つい体が……」

ココア「紹介するね。友達の千夜ちゃんだよっ」

千夜「はじめまして、宇治松千夜です」

綾(た、確かに烏丸先生と声が似ているわ)

忍「わぁ~、仲良くなれそうです」

千夜「あら……?」

千夜「!!」

千夜(あのこけしに似ている女の子……うちのお店にぴったりだわ!)

千夜「あなた、うちのお店に就職しない?」

忍「へ?」

シャロ「唐突になに言い出すのよ!」

忍「私は大宮忍といいます」

千夜「忍ちゃんね。素敵だわ」

忍「その声で素敵と言われるとて、照れてしまいますね」

千夜「本当のことよ。ぜひともうちに来て欲しいわ」

千夜「今なら三食寝床つきでどう?」

綾(なんかスカウトされてる!?)

忍「そうですねぇ……。金髪はありますか?」

千夜「うちのお店のお隣がシャロちゃんの家よ」

忍「ぜひとも働かせてください!!」

カレン「HEYらっしゃい!」

千夜「あら、新人さん?」

チノ「今日だけお手伝いしてもらっているんです。あとカレンさん、そのノリは違いますって」

カレン「ご注文はお決まりデスか?」

千夜「そうね……明日はうちで働いてくれるかしら?」

綾「誰でもいいの!?」

シャロ「見境なく引き抜かないの!!」

千夜(ダ、ダブルでツッコミがくるなんてなんだかゾクゾクしちゃうわ……!!)

千夜「あっ、そうだ。アリスちゃんが言ってたシノってあなたのことだったのね」

忍「アリスに会ったんですか!?」

千夜「ええ。さっきまでうちのお店にいたの。その後リゼちゃんと陽子ちゃんが迎えに来たんだけど」

シャロ「リゼ先輩が!?」
綾「陽子が!?」

千夜「二人ともなんだか息がぴったり」

チノ「それで、その後どうしたんですか?」

千夜「アリスちゃんを連れて、しのちゃんを探しに行ったわよ」

忍「私のことを探しに? 嬉しいです。私も早く陽子ちゃんやアリスと会いたいですね」

ココア「会えるといいね~」

綾「……ってしのがここに来たこと陽子に連絡しなきゃ!!」

シャロ「はっ!! いつの間にかリゼ先輩から着信が!?」

綾「……」

シャロ「……」

綾(普通に電話すればいいだけよね。別におかしなことじゃないし)

綾(……だけどさっきの会話思い出したら電話かけるだけでも意識してしまうわ)

シャロ(リゼ先輩に電話……失敗しませんように失敗しませんように失敗しませんように)

綾「はぁ…はぁ…」

シャロ「ぅ…うぅ~…」

ココア「二人ともどうしたのかな」

忍「風邪でも引いたんでしょうか」

・・・・・

陽子「うーん、見つからないなぁ」

リゼ「次はあっちを探してみるか」

アリス「ぐすっ……シノにはもう会えないのかな……」

陽子「大丈夫だって、必ず見つかるよ」

マヤ「よしよし、大丈夫大丈夫」ナデナデ

メグ「泣かない泣かない」ナデナデ

アリス「ぐすっ……」

リゼ(なんか年下扱いされてるな……)

陽子「歩き回って疲れたでしょ? 飲み物買ってきたから少し休も」

リゼ「悪いな」

陽子「いいっていいって」

マヤ「ありがとー!」

陽子「はいどうぞ」

メグ「あ、ありがとうございます…!」

陽子「アリスも元気出しな?」

アリス「うん…。ありがとう、ヨーコ」

メグ「……」

マヤ「メグ疲れた?」

メグ「ううん……。なんでか分からないけど陽子さんと一緒にいると身体がすごく温かくなる」

マヤ「あはは、なんだそれー」

アリス「リゼがヨーコと並んでも、いつもと同じ光景に見えるね」

リゼ「そんなに綾と間違えるほどなのか」

陽子「試しにさ、綾のモノマネやってみてよ。きっとそっくりだって」

リゼ「モ、モノマネ? そんなこと言われてもどうしろと」

陽子「じゃあお手本見せるね」

陽子「『ごきげんよう、私綾よ。うふふ』」

リゼ(なんか違う気がする)

陽子「やってみて! やってみて!」

リゼ「し、仕方ないな」

リゼ「ごきげんよう、私綾よ。うふふ」

陽子(あれ……なんか本物のお嬢様っぽい)

リゼ「ど、どうだ?」

アリス「すごいねー。そっくり」

prrr

リゼ「ん? シャロからの返信か」

リゼ「……」

ピッ

シャロ『あっ…も、もしもし先輩。じ、じじ実は大事なお知らせがが』

リゼ「ごきげんよう、私綾よ。うふふ」

シャロ『!?』

リゼ「あ…す、すまない。ちょっと色々あって……」

陽子(意外とお茶目だな)

prrrr

陽子「おっ、今度はあたしの携帯か」

ピッ

陽子「はーい、もしもーし」

綾『はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…』

陽子(なんだ!?)

きんモザ二期が始まる前には終わらせたいと思います

――ラビットハウス

シャロ「戻ってくるって」

忍「よかった~これでようやく全員揃いますね」

カレン「記念にここで貸切パーティーをやりまショウ!」

千夜「それはいいアイディアね」

チノ「勝手に貸しきらないでください」

綾「はぁ……」

チノ「はぁはぁ言ってましたけど大丈夫ですか?」

綾「え、ええ。大丈夫よ」

カレン「アヤヤはヨーコと話すだけでも興奮してしまうんデス」

千夜「あらあら」

綾「変な噂広めないで!!」

千夜「それにしても、リゼちゃんと本当にそっくりね」

ココア「ねー、私も最初はびっくりしちゃった」

チノ「まるで双子ですね」

シャロ「まぁ、ぱっと見だと見間違えるけど……」

千夜「リゼちゃんの制服を着せてみたいわ」

ココア「それだと完全に見分けつかなくなっちゃうね!」

綾(お、大勢にジロジロ見られると恥ずかしいわ……)

綾「ワ、ワターシリゼじゃないアルよ」

ココア「そのキャラは誰!?」

シャロ「……」

綾「確かに私自身だって最初は驚いていたけど……中身は全然違うし」

綾(胸の大きさも……)

シャロ「分かってますよ」

綾「え?」

シャロ「綾さんとリゼ先輩は全然違いますもん。リゼ先輩も素敵ですけど、綾さんも同じくらい素敵です」

綾「……!」

シャロ「それに綾さんとはすごく意気投合できますし!」

綾「私もよシャロさん!」

シャロ「私のことはシャロって呼んで下さい!」

綾「シャロ!」ガシッ

忍「お互いに熱い抱擁を……!?」

ココア「美しい友情だね!」

カランッカランッ

リゼ「戻ったぞ」

陽子「ただいまー」

シャロ「!!」

綾「!?」

リゼ「ん? なんで二人とも抱き合っているんだ?」

陽子「おっ、なんだなんだ? なんか楽しそうだな」

シャロ「ち、違うんです先輩!! これは別に深い意味で抱き合っていたわけではなくて!!」

綾「そそそそうよ!! やらしいこととかそんなこと全くないんだからね!?」

リゼ「?」

陽子「え?」

アリス「シノー!!」

忍「アリスー!!」ダキッ

千夜「よかったわね二人とも、また出会えることができて!」

アリス「会いたかったよ~シノ~!」

ココア「……」

ココア(な…なにあの金髪の天使は…)

ココア(可愛すぎる!!)ダキッ

アリス「!?」ビクッ

チノ「ココアさん」イラッ

マヤ「やっほーチノ」

メグ「来たよ~」

チノ「マヤさん、メグさんも」

マヤ「……」ジーッ

忍「?」

マヤ「すごい!! 本当にこけしに似てる!?」

忍「えっ」

マヤ「それになんだかおばあちゃんの家の匂いがする!!」

忍「!?」

忍「おばあちゃんの……におい……」

チノ「ご、ごめんなさい。悪気はないんです」

アリス「シノはいい匂いがするよ!!」

アリス「あっ、自己紹介が遅れました。アリス・カータレットといいます。今日は色々とお世話になりました」

ココア(可愛い…)

チノ(本物の外人…)

ココア「よろしくアリスちゃん!! 私ココア、お姉ちゃんって呼んでもいいんだよ!」

アリス「!?」ビクッ

リゼ「やめろココア、怯えてるだろ!」

ココア「あっ、ごめんごめん」

ココア「私ココア。またの名をお姉ちゃん。よろしくね」

チノ「いつの間に名前になってるんですか」

リゼ「そこまでして呼ばせたいか」

>陽子「はーい、もしもーし」
>綾『はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…』
完全に変質者ww

ココア「それって、甘兎庵の制服?」

アリス「うんっ。チヤに借りたの」

千夜「うちのお店のお手伝いしてもらったのよ。アリスちゃんにはすごく助けてもらったわ」

アリス「えへへ。そ、そんなことないよ」

忍「私もアリスの働いている姿を見てみたかったです」

千夜「ならアリスちゃんと一緒にうちで住み込みのアルバイトをすればいいわ。いつでもウェルカムよ」

シャロ「なに言って……」

忍「迷っちゃいますね~」

アリス「そうだね~」

シャロ「えっ」

カレン「いいな~アリス。私もその制服着てみたいデス」

千夜「ならカレンちゃんもうちで住み込みのアルバイトする?」

カレン「いいんデスカ!?」

千夜「もちろんよ」

陽子「ウチのメンバーがどんどん引き抜かれていくぞ!?」

千夜「陽子ちゃんもどう? うちで働けば社員割引としてスイーツが3割引の値段で食べられるけど」

陽子「ぜひ」

綾「陽子!?」

シャロ「みんなを困らせるようなこと言わないの!」

千夜「うふふ」

忍「いえいえ、とても魅力的なお誘いですよ」

忍「なぜなら千夜ちゃんのお店で働けばアリスカレンの金髪少女に加え……シャロちゃんにも毎日会えるんですから!」

シャロ「!?」

千夜「そうね。お隣だし仕事が終わればすぐに遊びに行けるわ」

忍「はい! 私毎日通います!」

シャロ「来なくていいわよ!!」

アリス「……」

アリス(シノ……その女の人誰?)

アリス「……」ジーッ

シャロ「?」

シャロ(私のことを見てる…?)

シャロ「そういえば自己紹介がまだだったわね。桐間紗路よ。シャロって呼んでね」

シャロ「アリスちゃんって外国人なのに日本語が上手なのね」

シャロ(ココアじゃないけど、確かにこの可愛さは反則的だわ)

アリス「……Nice to meet you, Ms.Syaro.」

シャロ「英語!?」

ココア「アリスちゃんはうちでも引き取りたいぐらいだよ~」

カレン「私はもういらない子デスか……?」

ココア「!!」

ココア「そんなことないよ! カレンちゃんだってうちには必要だよ!!」

ココア「カレンちゃんもアリスちゃんも私の妹だよ!!」ギュッ

リゼ「妹じゃないだろ」

忍「そ、そんな!? なら私もここで働きます!」

千夜「大変だわ、しのちゃんがラビットハウスに引き抜かれちゃう!? シャロちゃんもっとしのちゃんにアピールして!!」

シャロ「嫌よ」

アリス「……」ジーッ

シャロ「?」

シャロ(私のことを見てる…?)

シャロ「そういえば自己紹介がまだだったわね。桐間紗路よ。シャロって呼んでね」

シャロ「アリスちゃんって外国人なのに日本語が上手なのね」

シャロ(ココアじゃないけど、確かにこの可愛さは反則的だわ)

アリス「……Nice to meet you, MsKrima.」

シャロ「英語!?」

ココア「アリスちゃんはうちでも引き取りたいぐらいだよ~」

カレン「私はもういらない子デスか……?」

ココア「!!」

ココア「そんなことないよ! カレンちゃんだってうちには必要だよ!!」

ココア「カレンちゃんもアリスちゃんも私の妹だよ!!」ギュッ

リゼ「妹じゃないだろ」

忍「そ、そんな!? なら私もここで働きます!」

千夜「大変だわ、しのちゃんがラビットハウスに引き抜かれちゃう!? シャロちゃんもっとしのちゃんにアピールして!!」

シャロ「嫌よ」

アリス(あのココアって人は……怖い)

シノ「ココアさんが迷惑をかけてしまって申し訳ありません」

アリス「あっ、ううん。大丈夫だよ」

チノ「自己紹介が遅れました。チノです。こっちはティッピー」

アリス「よろしくね。わぁ~、これかわいい」

チノ「うちのマスコットうさぎです」

アリス「あっ、私知ってるよ。アンゴラうさぎっていうんだよね。もふもふして気持ちいいね」

チノ「……」

チノ(アリスさん、小学生ぐらいでしょうか。アリスさんを見ているとなんだか変な感じです)

チノ(まさかこれが……妹を持つという感覚!?)

アリス「かわいいなぁ」モフモフ

チノ(……って、ココアさんじゃないんですから)

ココア「お願い! アリスちゃんを一日だけでいいから貸して!」

ココア「一日中抱きしめていたいの!!」

忍「それならこっちにはチノちゃんを貸してください!」

忍「一日中綺麗な青髪サラサラヘアーをサラサラしたいんです!」

チノ「……お互い苦労しますね」

アリス「シノ……」

チノ「アリスさん、よかったらコーヒーをどうぞ。サービスです」

アリス「えっ、いいの?」

チノ「はい。アリスさんには特別です」

アリス「ありがとう。じゃあ、いただきます」

チノ「あっ、砂糖とミルクはここにあるので」

アリス「うんっ。……あちっ」

チノ「大丈夫ですか?」

アリス「えへへ、ちょっと冷ましてからの方がよかったね」

チノ「な、なら私がふーふーしてあげます」

アリス「えっ」

リゼ(チ、チノがお姉ちゃんぶろうとしている……!?)

忍「いいですねぇ……」

ココア「すごくいいねぇ……」

綾「ふふ…」

リゼ「よかったな」

綾「え?」

リゼ「またみんなに会えて」

綾「…う、うん。ありがとう、リゼ」

リゼ「何がだ?」

綾「だって、リゼがしの達を連れてきてくれたんだし」

リゼ「わ、私一人の力じゃないけどな」

綾「ううん、リゼおかげよ。ありがとう」

リゼ「あはは、よ、よせって。照れるな」


陽子「……」

陽子(あ、あんな素直な綾見たことないんだけど……!?)ガーン

メグ「……」

マヤ「どうしたメグ? 陽子のこと見つめて」

メグ「え!?」

マヤ「陽子に何か話でもあるの? おーい、陽k」

メグ「だ、ダメー」ガバッ

マヤ「もがっ!?」

メグ「い、今は見てるだけでいいの……」

マヤ「???」

陽子「なに? 呼んだ?」

メグ「!?」

陽子「?」

メグ「あ、あの……」

陽子「え? なに?」

メグ「そのぉ……」ウルウル

陽子(なんで泣いてんの!?)

メグ(は、話をするだけでも恥ずかしいよぉ……)

カレン「あー、ヨーコが小さい女の子泣かせたマシタ」

陽子「あたしなんもやってねーよ!?」

陽子「よしよし、どした?」

メグ「ご、ごめんなさい……」

マヤ「お腹痛い? それともお腹へった?」

陽子「いや、さすがにお腹減っただけじゃ泣かないだろ……」

カレン「ヨーコはお腹へるといつも死にかけマスよね」

陽子「死にかけねーよ!」

カレン「わたしはこんな時のためにもいつも非常食を持ってマス! じゃーんチョコレート!」

マヤ「……!」

陽子「カレン……マヤがキラキラした瞳でそのチョコを見つめてるぞ」

カレン「う!? こ、これは万が一のための非常しょ……」

マヤ「……」キラキラ

陽子「カレン、お姉ちゃんとしての見せ場だぞ」

カレン「わたしはお姉ちゃんじゃないデス! 九条カレンデス!」

マヤ「……」キラキラ

カレン「うっ……うう……」

マヤ「……」キラキラ

カレン「……」

カレン「ど……どうぞ。二人で……」

マヤ「ありがと! ほらメグ、一緒に食べよ!」

メグ「う…うん。ありがとうございます」

陽子「いいっていいって」

陽子(よかった、泣き止んでくれて)

陽子「偉いぞカレン、成長したな!」

カレン「うう……ひっぐ」

陽子(今度はお前が泣くのか!?)

メグ「……」

メグ「あの、これを」

カレン「え……?」

メグ「全部貰うのは悪いですから、半分の半分になっちゃいますけど……」

マヤ「じゃあわたしも半分。はい」

カレン「ふ、二人とも……!」

陽子「よかったな、カレン」

カレン「い……」

陽子「い?」

カレン「妹も良いものデスネー!!」

陽子「おいおい、調子がいいんだから」

カレン「ヨーコも今日からわたしの妹にしてあげマス!」

陽子「じゃあその半分もらうね」

カレン「だ、だめデスー!!」

ティッピー「やれやれ、いつもの倍は騒がしくなったな」

綾「今の声は!?」

リゼ「ああ、チノの腹話術だよ」

チノ「はい」

綾「そ、そうなの? びっくりしたわ……」

リゼ「それにしても、本当にいつもより賑やかだな」

綾「ごめんね、騒がしくしちゃって」

リゼ「いや、楽しいからいいよ」

ココア「やっぱりどう見ても姉妹だよねー、二人とも」

リゼ「えっ」

忍「はい。二人ともとってもお似合いです」

綾「お、お似合いって」

ココア「私が言うんだから間違いないよ、綾ちゃん!」

綾(何を根拠に言っているのかしら……)

リゼ(妹か……)

綾「?」

リゼ「!!」

綾「なに? こっち見て」

リゼ「い、いや別に……」

リゼ(改めて意識すると、恥ずかしいな……)

シャロ「……」

千夜「リゼちゃんと綾ちゃん、仲いいわよね」

シャロ「そうね……」

千夜「……ちょっと悔しい?」

シャロ「いいえ……むしろ嬉しいわ」

千夜「え?」

シャロ「だって私は、綾さんのことも慕っているんだから!」

シャロ「はっ!? そうだわ、綾さんがリゼ先輩の妹になったら、綾さんのことを慕ってる私も実質リゼ先輩の妹ということになるんじゃ……!!」

千夜「シャロちゃん、大丈夫?」

ココア「ねえねえ綾ちゃん! 試しにリゼちゃんのことをお姉ちゃんって呼んでみて?」

綾「な、なんでよ!?」

リゼ「おいココア…」

ココア「おねが~い! 言ってくれたらティッピーを好きなだけモフモフしていいから!」

ティッピー「!?」

綾「……し、仕方ないわね。一回だけよ」

リゼ(言うのか!?)

綾「リ、リゼ……!」

リゼ「は、はい!」

綾「お……お姉……ちゃん」

リゼ「!!?」バタッ

ココア「リゼちゃんが倒れた!?」

リゼ(な、なんだ……この胸が急激に高鳴る衝撃は)

綾「だ、大丈夫!?」

リゼ「あ…ああ、すまない」

リゼ(コ、ココアが普段お姉ちゃんと呼ばれて喜ぶ理由が分かった気がする……)

ココア「リゼちゃんリゼちゃん」

リゼ「?」

ココア(やったね!)

リゼ(その良い笑顔はやめろ!?)

忍「綾ちゃん顔が真っ赤です~」

綾「なっ!?」

ココア「リゼちゃんもだね~」

リゼ「!?」

ココア「似すぎてるよね、二人とも」

忍「実は本当に姉妹なんじゃ……!」

綾「そ、そんなわけないでしょ!」

ココア「二人は生き別れの姉妹なのかも……」

忍「産まれて間もなく某国の策略により引き裂かれた二人は、運命によって出会うことができた……」

青山「だが感動の出会いも僅かで儚い時間だった。二人の姉妹に、再び某国の魔の手が迫り……」

綾「青山さんまで!?」

リゼ「も、もういいだろ。やめてくれ」

シャロ「……」

シャロ(リゼ先輩の妹……やっぱり羨ましい)

綾「シャロ……?」

シャロ「は、はいっ!」

綾「どうしたの?」

シャロ「い、いえ……なんでもありません」

綾「……」

綾「ちょっと、こっちに来て二人で話しましょう」

シャロ「あ、綾さん!?」

綾「大丈夫よ。なんとなく察しがついたわ……なんでも相談に乗るわよ!」

シャロ「綾さん……!」

千夜「……」

千夜(綾ちゃんがちょっと羨ましいかも……)

土曜日には完結できそうです

綾「シャロ、単刀直入に言うわ。あなたが憧れている人って……」

綾「リゼのことね?」

シャロ「!!」

シャロ「な、なんで分かったんですか!?」

綾「分かるわ、その目を見ればね」

シャロ「綾さん…!」

綾「それで、さっきはどうしたの?」

シャロ「じ、実は……リゼ先輩と仲良くしている綾さんが羨ましくて……」

綾「なるほど……そういうことだったのね」

シャロ「ごめんなさい……」

綾「謝らなくてもいいのよ。私も似たような経験があるから」

シャロ「そ、そうなんですか?」

綾「ええ。そういう時はね……」

シャロ「そういう時は……?」

綾「……た、耐えるしかないわ」

シャロ「……な、なるほど!」

綾「でも安心して、私は別にリゼを取るつもりとかはな……」

リゼ「どうしたんだ?」

シャロ「先輩!?」

綾「な、なんでもないわ! ちょっと待ってて!」

リゼ「あ、ああ……」

リゼ「……」

リゼ(なんか……チノにあしらわれるココアの気持ちが少し分かった気がする……)

綾「じゃあ、がんばってねシャロ。私はあなたの味方よ」

シャロ「あ、ありがとうございます! 綾さんもご健闘を!」

綾「え、ええ!」

シャロ(綾さん、勇気がわきました。ありがとうございます)

陽子「綾と何話してたの?」

シャロ「!!」

陽子「あっ、ごめんごめん。自己紹介まだだっけ。あたし陽子。シャロだっけ?」

シャロ「は、はいっ」

陽子「綾と仲いいんだ」

シャロ「綾さんとは色々と意気投合して」

陽子「へぇー。よかった」

シャロ「え?」

陽子「綾ってさ、人見知りなところがあるから一人にさせるとちょっと不安なんだよね」

陽子「……って、それだとあたしが過保護みたいな感じだな。あはは」

陽子「けど本当に良かったよ。シャロやみんなみたいな子がいてくれたおかげで、綾もすぐに打ち解けた」

陽子「ありがとう」

シャロ「い、いえそんな」

シャロ(……あっ。もしかして綾さんの気になる人って)

シャロ「……」

シャロ「その……綾さんの気持ち、もっと汲んであげてくださいね」

陽子「えっ?」

シャロ「不安になるって分かってるのなら、少しでも長く一緒にいてあげたり……とか」

シャロ「って……ご、ごめんなさい変なこと言って」

シャロ(なんか恥ずかしい……)

陽子「ごめん、声が小さくて聞こえなかったからもう一回言って」

シャロ「えっ!? む、無理です!!」

陽子(なんで!?)

リゼ「シャロと何を話していたんだ?」

綾「え? えっと……」

綾「……」

リゼ「?」

綾「……リゼ!」

リゼ「な、なんだ!?」

綾「シャロを傷つけたら私が許さないから!」

リゼ「???」

綾「もう一生お姉ちゃんなんて呼ばないんだからね!」

リゼ(な、なんの話だ……)

ココア「綾ちゃん」

綾「え?」

ココア「何の話かは分からないけど、リゼちゃんは誰かを悲しませるような人じゃないから大丈夫だよ。すごく優しいんだから」

リゼ「コ、ココア……!?」

綾「……」

綾「ええ、そうだったわね。初めて会った時はいきなり銃を突きつけられて、すごく怖かったけど…」

リゼ「う…す、すまなかった」

綾「けど、一緒にいるうちに分かったわ。リゼも私たちと変わらないただの女子高生なんだって」

リゼ「……!」

綾「リゼが優しい人だってことは、私も分かってるわ。さっきは変なことを言ってごめんなさい」

リゼ「っ……」

忍「リゼちゃん顔真っ赤~」

リゼ「う、うるさい! 別に照れてるわけじゃないぞ!」

リゼ「照れてるわけじゃないんだからなー!!」

チノ「す、すごいですリゼさん! 照れ隠しであっという間にこの場の人数分のコーヒーを淹れるなんて!」

アリス「なんだか人間離れしてるよ…」

リゼ「こ、これは奢りだ。みんな飲め」

忍「リゼちゃん太っ腹ですね」

アリス「あっ! そうだ。チヤからもらった羊羹もあるんだった。これもみんなで食べよ!」

ココア「よーし! 今日はみんなに会えた記念のパーティをするよー!」

チノ「勝手に……」

アリス「チノ、羊羹を切り分けられるものってある?」

千夜「あっ、私がやるわよアリスちゃん」

チノ「……まぁ、いいですか」

「「「「かんぱーい!!」」」」

陽子「う~ん……このコーヒーの香り、別格だな」

チノ「分かってくれますか! 陽子さん!」

綾「格好つけてるだけよ、チノちゃん」

カレン「このコーヒーを飲んだだけで、なんだか大人の階段を上れた気分デス」

シャロ「大げさな……」

シャロ(けどリゼ先輩が淹れてくれたコーヒー……せっかくだから飲まなきゃ)

カレン「このヨウカンも美味しいデス!」

マヤ「なーなーカレン、その羊羹も半分ちょうだい?」

メグ「ちょうだい?」

カレン「だ、だめデス! もうあげないデス!」

マヤ「お願いお姉ちゃん!」

メグ「お姉ちゃん!」

カレン「だーーめーーデスーーー!!」

陽子「あっははは、すっかり人気者だなカレン」

アリス「カレンは、お姉さんってキャラじゃないよね」

ココア「妹キャラだよねカレンちゃんは。すっごく甘やかしたくなっちゃう」

リゼ「さっきから言ってるような気がするが、ココアからしたら年上だぞカレンは」

ココア「そうなんだけど……」

アリス「昔は私がカレンのお姉さんだったんだけどなぁ」

チノ「昔?」

アリス「そうだよ。小さい頃はわたしの方がカレンよりもお姉さんだったんだから!」

ココア「小さい頃って……?」

アリス「だから小さい頃だって」

千夜「小さい頃……?」

チノ「???」

アリス「え? 小さい頃は小さい頃だよ。今から十年ぐらい前かな」

チノ「……」

千夜「……」

ココア「……アリスちゃんって、小学生じゃないの?」

アリス「ええっ!? なに言ってるの、私は高校二年生だよ!!」

ココア「ええーーーーっ!?」

千夜「お、驚いたわ……」

チノ「てっきり小学生かと思って……」

マヤ「わたしも」

メグ「わたしも~」

アリス「ひどい!?」

チノ「ア、アリスさん、悪気があったわけではなくて……」

忍「アリス。みんなはアリスのことを小学生のように可愛いと思っていただけですよ」

アリス「あんまり、うれしくないけど……」

千夜「可愛いってことは事実よ」

ココア「そうだよ! 年上だろうと年下だろうと、アリスちゃんの可愛さは変わらないよ!」

ココア「それにこれで私もふっきることができた……」

リゼ「何がだ?」

ココア「年上の妹も……良い!!」

チノ(ココアさんがマニアックな道へ進もうとしている……!?)

陽子「ま、年下に見られたことがショックだったてことだよなアリス」

アリス「む~……」

綾「気にすることじゃないわよ」

アリス「気にしてなんかないもん……」

忍「アリス」

アリス「シノ……」

忍「高校生でも小学生でも、アリスはアリスですよ。私の大切な友達です」

アリス「シノ!!」

ココア「私もアリスちゃん大好き!!」

チノ「ココアさんはいい加減にしてください」

ココア「もちろんチノちゃんも大事」

チノ「そ、そんなこと言って誤魔化しても……」

シャロ「ノオオオオオオ!! アリスちゃんは私のものよ!!」ガバッ

アリス「!?」

シャロ「アリスちゃんくぁぁぁああああぃぃぃぃいい!!」

綾「シャ、シャロ!? どうしちゃったの!!」

千夜「シャロちゃん、カフェイン酔いが激しくて」

綾「コーヒーで酔うの!?」

シャロ「アリスちゃん!! 私のこと、嫌い……?」

アリス「えっ!? き、きらいじゃないけど……」

シャロ「よかった!! わたしもアリスちゃんだいしゅきいいい!!」

アリス「わわっ!」

忍「アリス、羨ましいです」

千夜「ふふっ、楽しそうね」

カレン「アリスばっかずるいデス! 私も混ぜてくださいデス!」ガバッ

シャロ「あははははっ」

アリス「く、くすぐったいよぉ……あははっ」

青山(戯れる金髪少女達……なんか書けそうな気がする)

青山(後は……さっきリゼさんたちの時に使った設定。生き別れの少女達が再び出会う物語……)

青山(いい感じ。タイトルは……)

青山(バラバラになった女の子が集まる……それはまるで欠片が集まり一つのモザイクという模様になりやがて作品に……そう、モザイク!)

青山(タイトルはきんいろモザイク!!)

忍「き、金髪少女が三人で……」ハァハァ

ココア「しのちゃん……」

忍「ココアちゃん……」

ココア「私も、金髪少女の魅力が分かってきたよ……!!」

忍「その調子ですココアちゃん! 一緒に金髪道を極めましょう!」

ココア「うん! 金髪少女サイコー!!」

チノ「ココアさんを変な道に引きずり込まないでください!?」

・・・・・・

陽子「いやー、遊んだ遊んだ。もうそろそろ時間だし帰るか」

メグ「ええっ!?」

カレン「まだ遊び足りないデス!!」

陽子「いや、そう言っても時間が……」

千夜「もう行っちゃうの?」

綾「名残惜しいけどね」

アリス「そういえば、今日はほとんど喫茶店で過ごしたね」

カレン「全然街を巡ってないデス」

綾「はっ、そういえば!?」

忍「いいじゃないですか。また来ればいいんですし」

忍「それに街を巡ることよりもずっと大切なものを今日は得ることが出来ました」

アリス「それってなに?」

忍「それは……この出会いです! 掛け替えのない人たちとの出会いがなによりも大切な宝になるんですよ!」

陽子(さ、さすがにそんな言い方をすると恥ずかしいな)

ココア「素敵! しのちゃん!!」

千夜「やっぱりうちのお店に来て欲しいわ」

リゼ「まぁ……悪くはないな」

陽子(なんか向こうの方々とは波長が合ってる!?)

アリス「やっぱりしのは最高だよ!」

チノ「アリスさん、どうぞまたうちのお店に寄ってください。歓迎します」

アリス「うん! また来るね!」

チノ「今度は、変にお姉ちゃんぶったりはしないので……」

アリス「?」

チノ「と、とにかくまた来てください! また……」

ココア「あれれ~? チノちゃん別れるのが寂しくなっちゃった?」

チノ「そ、そんなわけじゃ……」

アリス「また絶対に来るよ。約束!」

チノ「アリスさん……!」

ココア「よかったね、チノちゃん」

忍「いい子ですね、チノちゃん」

ココア「そりゃもちろん、私が姉をやってますから!」

忍「ふふ、そうですね。ココアちゃんは立派なお姉さんです」

ココア「……でも、チノちゃんにああ言っておきながら、私も実は寂しいかな」

忍「私もです」

ココア「……あははっ」

忍「ふふふっ」

ココア「今日はしのちゃん達に出会えて本当によかった!」

忍「はい! 今日という日は絶対に忘れません!」

忍「そうだ、今日はココアちゃん出会えたからココア記念日にしましょう」

ココア「え~? 私の記念日? なんか照れちゃうなぁ」

忍「アリス、今日は帰ったらココアを飲みましょうね」

アリス「えっ」

ココア「二人とも仲良しだね。私たちも負けられないよチノちゃん!」

チノ「何を張り合っているんですか。……お互いがんばりましょう、アリスさん」

アリス「あはは……。あっ、そうだ。シャロは?」

千夜「こっちで寝ているわ」

シャロ「すぴー…すぴー…」

千夜「起こす?」

アリス「ううん、寝かせてあげて。それと、伝えておいて」

アリス「今日はあんまりちゃんと話せなかったから、今度会ったときはいっぱい話そうねって」

千夜「ええ。わかったわ」

ココア「じゃあ、しのちゃん」

忍「はい」

ココア「今度会うときは金髪少女写真集、よろしくね」

忍「まかせてください!」

チノ「ココアさん!」

アリス「シノ!」

千夜「うふふ」

シャロ「すぴー…すぴー…」

メグ「……あ、あの」

陽子「ん?」

メグ「今日は……ありがとうございました!」

陽子「こっちこそありがとう。楽しかったよ」

メグ「えっと、ま、また、会えますよね……?」

陽子「もちろん!」

メグ「……!!」

メグ「わ、わたし! 今度オススメのスポットとか紹介します!」

陽子「あはは、よかった」

メグ「え?」

陽子「ようやくちゃんと笑ってくれてさ。笑ったほうがずっとかわいいよ」

メグ「っ……!?」

マヤ「カレーン! またお菓子持ってきてね、今度はたくさん」

カレン「ノー! もうお菓子はあげないデス!」

マヤ「なんだよケチー」

陽子「どうしたカレン、お姉ちゃんになったんじゃないのか?」

カレン「お姉ちゃんは私には無理デス。だから今度からは私がみんなの妹になるデス!」

カレン「みんなの妹、九条カレンデス!」

陽子「言っておくけど、あたし達この中じゃ年長だからな」

カレン「年なんか関係ありマセン!!」

マヤ「カレンは、わたしにとってはもうお姉ちゃんだよっ!」

カレン「わわっ!? 引っ張っちゃだめデス!」

陽子「あははっ、すっかり懐かれたな」

メグ「……ます」

陽子「え?」

メグ「私、陽子さんにまた会えるの、楽しみにしてます!」

陽子「うんっ、あたしもだよ」

綾「なんか、今日はすごく不思議な日だったわ」

綾「自分そっくりの人に出会って、それから色んな人に出会って」

リゼ「それは私もだよ。今日一日中、可笑しなことばっかりだった」

リゼ「そういえば最初は綾のこと、ドッペルゲンガーだと思ってたなぁ」

綾「ひ、ひどい!」

リゼ「あははっ」

綾「……今日はありがとうね」

リゼ「私こそ。またいつでも遊びに来いよ」

リゼ「なんなら、次はこっちが綾たちのところに行くかもしれないけどな」

綾「歓迎するけど、そんなに観光できるようなところはないわよ?」

リゼ「そ、それなら今度は綾の……」

綾「私の? なに?」

リゼ「綾の家に行ってみたい!」

綾「ええっ、私の家!?」

リゼ「ダメか……?」

綾「だ、ダメじゃないけど……」

ココア「わぁ~、私もお泊まりしてみたい!」

千夜「私も~」

綾「お泊まり!?」

陽子「よーし、じゃあ次は全員で綾の家に泊まるか!」

カレン「みんなでお泊まりデス!」

忍「楽しそうですね~」

アリス「みんなで川の字になって寝ようね」

チノ「よろしくお願いします、綾さん」

綾「無理よ! 物理的に!!」

陽子「そろそろ行こうか、バスに乗り遅れちゃう」

綾「あ……うん」

忍「みなさん、今日は楽しかったです!」

アリス「また遊ぼうね!」

カレン「イエース! お邪魔しマシタ!」

ココア「みんな、またね!」

チノ「今度はもっと美味しいコーヒーをご馳走します!」

千夜「美味しい和菓子もね」

シャロ「すぴー……」

千夜「シャロちゃんも夢の中でまた遊ぼうねって言ってるわ」

メグ「今日はありがとうございました!」

マヤ「またね~」

リゼ「……じゃあな」

綾「うんっ……!」

青山「……ふふっ」

青山(今日は私にとっても不思議な日でした)

青山(これだけの出会いがあるなんて、まさに奇跡ですね)

青山(まるで夢の中のできごとのよう……)

「翠ちゃーん!! 出てきなさーい!!」

青山「!!」ビクッ

青山(どうやら夢ではないようですね……。原稿の続きを書かなければいけないようです……)

リゼ「……」

ココア「リゼちゃん寂しい?」

リゼ「べ、別に」

ココア「顔に出てるよ」

リゼ「!!」

リゼ「ちょ、ちょっと考え事してただけだ……」

ココア「考え事って?」

リゼ「それは……」

リゼ(綾に『私の妹にならないか』……)

リゼ「って、言えるかそんなこと!! ココアじゃないんだから!!」

ココア「どうしたのリゼちゃん!?」

~♪

リゼ「ん? 綾からメールだ!」

ココア「さっそく!?」

千夜「ふふっ、向こうも寂しがってるみたいね」

チノ「なんて書いてあるんですか?」

シャロ「うぅ~ん……」

千夜「あっ、シャロちゃんようやく起きた」

リゼ「遅いぞシャロ」

シャロ「あれ……? 綾さんやみんなは……?」

千夜「もう帰っちゃったわよ」

シャロ「そっか……。って、ええっ!?」

千夜「シャロちゃん、コーヒー飲んでその後寝ちゃったから」

シャロ「なんで起こしてくれなかったのよ!!」

ココア「だって幸せそうに眠ってたんだもん」

シャロ「もー!! みんなにお別れの挨拶したかたのにー!!」

リゼ「大丈夫、また会えるよ」

リゼ「きっとな」

・・・・・

綾「……」

陽子「楽しかったな」

綾「うん」

陽子「リゼと仲良くなれてよかったな」

綾「ええ」

陽子「あーあ、でも羨ましいなリぜが」

綾「え?」

陽子「だって綾、リゼに対しては素直になるじゃん」

綾「そ、そんなことないわよ」

陽子「あるよ」

綾「ない!」

陽子「じゃあ今日からあたしに対しても素直になれる?」

綾「えっ!? す、素直って……例えば?」

陽子「そうだな、例えば」

綾「!?」

綾(な、なにそんなに近づいて。まさか……!?)

陽子「はい、頭にゴミついてたよ」

綾「っ……!?」

綾「よ、陽子のバカ!!」

陽子「なっ!? ほ、ほら全然素直じゃないじゃん!!」

綾「もう!! 陽子はバカだからバカなの!!」

アリス「いつも通りだね、二人とも」

忍「はい、仲良しです」

カレン「やれやれデスネ」

・・・数日後

ココア「リゼちゃん、この本リゼちゃんの?」

リゼ「あっ! 勝手に見るな!」

チノ「なんの本ですか?」

ココア「んーとね……恋愛小説だね。恋愛小説!?」

リゼ「な、なにがおかしい」

ココア「これって、普通の恋愛小説……? 恋人同士武器を持ち合って殺し合いをする小説なんじゃ……」

チノ「そんな物騒なものじゃなくて、戦場でのラブロマンスとかじゃないですか」

リゼ「普通に普通の恋愛小説だ!!」

ココア「へー、リゼちゃんもこういうの読むんだ」

リゼ「綾の話を聞いたら少し興味がわいたからな。……おかしいか?」

ココア「ううん。リゼちゃんが読み終わったら私も読んでみたいな」

リゼ「あ、ああ! いいぞ!」

リゼ(私も綾みたいな乙女になれるといいな……)

チノ「恋愛といえば…」

ココア「チノちゃん恋しちゃったの!?」

チノ「話を最後まで聞いてください。どうやら最近メグさんが恋の病とやらにかかったみたいで」

リゼ「なに!?」

ココア「メグちゃんが!?」

チノ「はい。ずっと上の空ですし、ため息も多くて」

チノ「それになんだかい…色っぽくなった…というかなんというか」

チノ「私はそんなメグさんにどうしてあげたらいいんでしょうか」

ココア「こ、恋の病なんて私かかったことないよ!?」

リゼ「わ、私もだ。まさかそんな病が実在していたとは……」

チノ「……相談する相手が間違っていましたね」

リゼ「そうだ、メグにもこの小説を読ませよう。なにか参考になるかもしれないしな」

ココア「もしかしたら恋の病じゃなくてただ疲れているだけなんじゃないかな。中学生が恋なんて早いしきっとそうだよ、うん」

チノ(自分が恋の経験がないからって……)

ココア「そんなメグちゃんにはこれを読ませよう」

リゼ「なんだ?」

ココア「私も本を買ったんだよ。じゃーん! 『週間世界の金髪少女』!!」

リゼ「それ毎週号買うつもりか……?」

チノ「却下です」

ココア「そんな!?」

チノ「そんなに金髪がいいのならカレンさんにまたうちで、今度は住み込みのアルバイトをしてもらいましょう」

ココア「えっ、カレンちゃんがうちに来てくれる!?」

チノ「その代わりココアさんがカレンさんのところにホームステイしてください」

ココア「うん、わかった! ……って、それじゃあ私がラビットハウスで働けないよ~!」

リゼ「ココアでさえ手がかかるのにカレンまでいたら仕事にならないな」

チノ「それじゃあ金髪は諦めてくださいね」

ココア「そんな~……。あっ、そうだ。チノちゃんが金髪に」

チノ「却下です」

・・・・・

千夜「うん、いいわね。これが一番だわ」

シャロ「千夜……ってきゃああ!?」

千夜「あらシャロちゃん。いらっしゃい」

シャロ「な、なに持ってるのよ!?」

千夜「なにって、こけしだけど?」

シャロ「こ、こけし……? びっくりした~、しのかと思ったわ」

千夜(そこまで間違えるほどかしら……)

シャロ「はぁ、あの子に馴れ馴れしくされて以来トラウマなんだから」

千夜「そう? そんなに嫌そうには見えなかったけど。むしろただ照れてただけのような……」

シャロ「い、嫌に決まってるでしょ!」

千夜「私はしのちゃんが恋しくて、新しくこけしを買ってみたの。さっそくお店に飾るわ」

シャロ「もう……」

千夜「あら、シャロちゃんそれは?」

シャロ「ああ、これ? 英会話の本よ。本格的に英語を勉強してみようと思って」

シャロ「なんか私、アリスちゃんに避けられてた気がするから……。だから、今度は英語をばっちり覚えてアリスちゃんと仲良くしてみせるわ!」

千夜「ふふっ」

シャロ「な、なに?」

千夜「なーんでもっ」

千夜「あっ、もう一つこけしがあるけどいる?」

シャロ「いらないわよ!?」

・・・・・

忍「見てください、この写真。この前遊びに行ったときに仲良くなった金髪少女、シャロちゃんです!」

穂乃花「わぁ…! なんて美しい金髪少女なの!?」

忍「そしてこれが私の肩にかかっていたシャロちゃんの金髪です。一本だけですが手に入れることができました」

穂乃花「こ、これは普通レベルの金髪じゃないよ……! たった一本でも分かるオーラを発している!」

穂乃花「いいなぁ忍ちゃん。こんなかわいい金髪少女と友達になれたなんて」

忍「なら今度穂乃花ちゃんにも紹介してあげます」

穂乃花「ほんと?」

忍「はい。今度シャロちゃんと遊ぶときは穂乃花ちゃんも誘いますね」

穂乃花「ありがとう忍ちゃん!」

忍「いえいえ、当然です。なぜなら私たちは、金髪を愛す……」

忍「金!」

穂乃花「髪!」

忍・穂乃花「「同盟!!」」ガシッ

忍「なんですから」

綾(いつの間に掛け声を決めたのかしら……)

陽子「おっ、どうしたアリス。なんでそんなに牛乳買ったの?」

アリス「べ、別になんでもないよ!」

陽子(あー……ひょっとしてこの前自分が一番背が低かったことがショックだったのか)

陽子「アリス、そんなたくさん牛乳飲んだらお腹壊すぞ?」

アリス「そ、そうだね……。じゃあこの牛乳でこの前のチヤが作っていた牛乳寒天作ってみる」

陽子「そんなの作れるの? あたしも食べてみたいなー」

アリス「いいよ。できたらヨーコにも食べさせてあげるね!」

アリス「私将来、和菓子職人もいいかなって思ってるの」

陽子「へー、アリスが和菓子職人かぁ」

アリス「それでね、色んなシノの和菓子を作るの!」

陽子「シノの和菓子……?」

アリス「シノの顔が書いてある飴でしょ、シノの形をしたお饅頭、シノをモチーフにした羊羹……」

陽子「アリス……それアリス自身は食べることできる?」

アリス「えっ!? シ、シノを食べることなんてできないよ~!!」

陽子「和菓子職人の道は険しそうだな~」

烏丸「あれ?久世橋先生、この本は……」

久世橋「知らないんですか烏丸先生。『うさぎになったバリスタ』っていう小説ですよ」

久世橋「って、私もつい最近読み始めたばかりなんですけどね」

久世橋(タイトルに惹かれて……)

久世橋「とても面白いですよ、映画にもなりましたし。私、この作者のファンになってしまいました」

烏丸「そうそう、この青山ブルーマウンテンって人。さっきカレンさんがこの人のサインを貰ったって言ってましたよ」

久世橋「へー、九条さんがサインを……。サイン!?」

烏丸「はい。色紙を私に見せてくれました」

久世橋(な、なんで九条さんが青山先生のサインを……? 普段小説とか読まなさそうなのに)

久世橋(いえ、そんな偏見は良くないわ。ああ見えて読書家かもしれないし)

久世橋(け、けどそれにしてもどうして先生のサインを。……羨ましい)

カレン「クゼハシ先生ー!」

久世橋「く、九条さん……!?」

カレン「これ見てくださいデス! なんだか分かりマス?」

久世橋「!!」

久世橋(青山先生のサイン……本物だわ!)

久世橋(なら九条さんも私同じ本を読んで……)

カレン「なんと! 有名な小説家のサインなんデス!」

久世橋「……」

カレン「先生?」

久世橋「……九条さん、私は嬉しく思っています。あなたが小説家のサインを手に入れるほど、熱心な読書家だったなんて」

久世橋「ひょっとしてその日本語も小説をたくさん読んで覚えたんですか? 読書家でもあり努力家でもあるなんて、私はカレンさんのことを見直さなければ…」

久世橋「あっ、ちなみに私も青山先生のファンで……」

カレン「青山先生の本は読んだことないデスよ?」

久世橋「……え?」

カレン「このサインは、この前遊びに行ったときたまたまアオヤマ先生に会って書いてもらったものデス!」

カレン「書いてもらう直前までは有名な人だってことも知らなかったデス」

カレン「それで今日は有名人のサインを自慢しに来たんデス!」

カレン「ちなみに私が日本語を覚えたのは小説じゃなくて漫画デス。読書家カレンデス!!」

久世橋「……」

カレン「どうデスカ~? 青山先生のサインデスよ~」ドヤアアア

久世橋「……です」

カレン「え?」

久世橋「没収です!! 勉学に関係ないものを学校に持ってくるなんて言語道断ですよ九条さん!!」

カレン「そんな!?」

陽子「そろそろみんなと帰るか」

アリス「うんっ」

綾「遅かったね、陽子」キリッ

陽子「それ誰の真似?」

アリス「アヤがおかしくなっちゃった……」

綾「お、おかしくなってないわよ!?」

綾「ちょっとリゼを見習ってキリっとしてみただけだから……」

陽子「えー、綾がリゼみたいに?」

綾「な、なによ」

陽子「リゼみたいになりたかったら、CQCぐらい覚えないとな」

綾「し、C……?」

アリス「アヤはアヤのままが一番だよ」

綾「……でも、やっぱり憧れるわ。リゼみたいに堂々とした生き方」

綾「私、リゼを見ていたらなんか自分も同じような感じになれると思ったの!」

陽子「影響されやすいんだから」

カレン「アリスー! ヨーコー! アヤヤー!」

忍「みなさん、お待たせしました」

陽子「よし、じゃあいこっか」

カレン「帰りはどこか寄りマス? 私ラビットハウスに行きたいデス!」

綾「今からじゃ無理よ」

アリス「また今度行こうね」

忍「はい。またみんなに会いたいですしね」

綾(リゼ、今度会うときは成長した私を見せるわ。リゼみたいに堂々と胸を張った人間に……)

忍「あっ、綾ちゃん。肩に虫がいますよ」

綾「!?」

綾「きゃああああああ!!」

忍「あっ、ごめんなさい間違えました。ただの毛糸のゴミです」

綾「も、もうシノってば!」

陽子(こりゃリゼみたいになるのは当分ムリだな)

・・・・・

ココア「あっ、リゼちゃん。肩に虫がいるよ」

リゼ「!!」

リゼ「ぎゃーーーー!!」

ココア「あっ、ごめん。ただの毛糸のゴミだった」

リゼ「コ、ココアー!!」


おわり

所々ミスってしまってて申し訳ないです
クソザコ投下スピードでしたが最後まで読んでいただきありがとうございました

適当に描いたものですがボツにしたネタを一つ
http://i.imgur.com/79W66gv.jpg

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