ゲル「人間に復讐する」(9)

ファームから逃げ出した一匹のゲル…

ゲル「と、張り切って街に来たが…人間ばかりだな。見つかっては騒ぎになる…人間に姿を変えるか…せいや!」

ドローン

ゲル「20歳の平均的な成人男性、といったところか…しかしまだ裸…服を手に入れねば」

?「きゃあ!」

ゲル「しまっ…人間か!」

ゲル「人間の少女…いや幼女か」

幼女「はだか…おじちゃん、ふくはどうしたの?」

ゲル(ここは適当に話を合わせておくか…)

ゲル「おじちゃんはね、服を盗まれたんだ、追い剥ぎにあったんだよ」

幼女「おいはぎー?おはぎのこと?」

ゲル(ちっ、ガキが…まともに話さえできんか)

ゲル(やっかいだな…幸いここは路地裏。今、人はこいつ以外いない。なら口封じに…)

ドロ…

幼女「おじちゃん!」

ゲル「!」

ビクッ

幼女「おじちゃんにふく、あげゆー。あたちのいえまできてー」

ゲル(…?いったい何が目的だ…しかし服が手に入るとは思いがけない収穫だ…用心しつつ話に乗ってやるか…)

~幼女の家~

幼女「はい、おじちゃん!」

ゲル「あ、ありがとう」

ゲル(スーツ…それもかなり上物の…なぜこんな高価な物を…)

幼女「それ、あたちのおとーさんの…お気に入り…」

ゲル「へぇ。しかしそんな大切な服を…」

幼女「お気に入り…だった、の…」

ゲル「…だった?」

幼女「うん。あたちのおとーさん、もういない…」

幼女「どこかとおくに、いったって…おかーさんが」

ゲル「おかあさんが…」

幼女「そのおかーさんも、ちょっとまえに、おなじところにいっちゃったって…となりのおじさんが…いってた」

ゲル「!」

ゲル(なんと…こいつ、既に両親が…)

幼女「そのおじさん、いまはあたちのめんどうをみてくれてるの…でも…おじさん…おじさんは…こわいひと…なぐるし、けるし…からだにべたべたさわってくる…こわい…こわい…」

ガタガタガタ

ゲル(ふん、よくある話だな…やはり人間は醜い…こんなガキでさえ貶め、辱しめる…まったくのクズだ)

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