静「静・ジョースターはキャンプをする」 (800)

※初めに

・このSSは「静・ジョースターの奇妙な日常」の続き・第十三話です。
タイトル通り、ジョジョの透明な赤ちゃんが成長した姿を書いております。

・オリジナルです。ご了承下さい。

・投稿スピード遅いですが、いつもの事です。エタらないよう支援してくださると助かります。

・長くなりましたが、書かせていただいます。

一話
静・ジョースターの奇妙な日常
静・ジョースターの奇妙な日常 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1363790589/)

二話
仗助「静のやばい物を拾ったっス」
仗助「静のやばい物を拾ったっス」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1365094145/)

三話
静「ジャンケン教師がやって来た」
静「ジャンケン教師がやって来た」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1367669400/)

四話
静「引きこもりのうちへ遊びに行こう」
静「引きこもりのうちへ遊びに行こう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1368951927/)

五話
静「泥棒をしよう」
静「泥棒をしよう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1370177583/)

六話
静「ペーパー・バック・ライターは父親に憧れる」
静「ペーパー・バック・ライターは父親に憧れる」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1373404472/)

七話
静「お見舞いへ行こう」
静「お見舞いへ行こう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1379932767/)

八話
静「日本料理を食べに行こう」
静「日本料理を食べに行こう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1383137249/)

九話
静「幽霊屋敷に住もう」
静「幽霊屋敷に住もう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1386418852/)

十話
静「双葉双馬は静かに暮らしたい」
静「双葉双馬は静かに暮らしたい」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1391689545/)

十一話
静「吉岡純はお金が好き」
静「吉岡純はお金が好き」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1398837668/)

十二話
静「杜王町の人々」
静「杜王町の人々」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1404738764/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1408711275

「うぅううううぅぅぅううう……苦しい……くるしいわ……」

「なんで……どうして……どうしてなのォ……」

「何故……私は……全てを捨てたのに……人間をやめたっていうのに……」

「こんなにも……苦しまないと……いけないの……?」

メイ「教えてよ……ねえ?……チェスタ……!」

オオォォォオオオ……

チェスタ「……」

ウォーケン「……クク……」

メイ「『血』が……『生命』が足りないのよ……!……どんどん私の身体から、力が失われていくのがわかる。生命を吸わなければ、この身体はもろくも崩れ去ってしまうのよ……!」

チェスタ「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

メイ「何故……『食事』を、させてくれないの……?チェスタ?」

チェスタ「……」

チェスタ「……本当に、済まないと思っている」

メイ「……」

チェスタ「しかし、あの『イタリア人』だ。二人組の……彼らは周到に俺を付け狙っている。食事を用意しようとも、彼らが先回りしてそれを――」

メイ「そんな事は聞いていないの!!」

ドンッ!

チェスタ「……」

メイ「違うの……そうじゃあない。でしょう?……本当にほんとうに、ホントォ――ッにっ私に『忠誠』を誓っているのなら……どんな困難があろうとも、私のために動いてくれる……でしょう?そうじゃあないの?ン?」

チェスタ「……」

メイ「ねえ?……チェスタ?」ズイッ……

ウォーケン「……」ジッ……

メイ「ねえ……貴方の忠誠は、その程度のものなの?……私、貴方の事がわからない……全然まったくわからないわ。……私がこんなに苦しんでるのに、何故貴方は平気なの?ねえ……チェスタ?」

チェスタ「……平気では無いさ」

メイ「嘘。……うそ、ウソ、嘘よッ!大嘘ッ!!貴方はきっと喜んでるんだわッ!私が日に日に衰弱していくのを楽しんで見ているんだわッ!!ああ、嗚呼……チェスタ、何故……?」

ガシイッ!

メイ「何故……貴方が吸血鬼にならなかったの……?何故、私に『押し付けた』の……?」

チェスタ「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

ウォーケン(フフ……追われる恐怖と、死の実感……二つに挟まれて疑心暗鬼って所か。忠実なイヌであるチェスタを疑うなんてな。……悲しいもんだ)

チェスタ「……」

メイ「……」ジッ……

ウォーケン(まあ~~……『そこ』がまた可愛らしい所でもあるんだが、な……フフフ……!)ペロリ

チェスタ「……」

メイ「答えてよ、チェスタ……貴方は今でも、私と『天国』を待ってくれるっていうの……?」

チェスタ「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

チェスタ「一つ、『訂正』しておこう」

メイ「……」

チェスタ「今、君は俺に様々な事を聞いたが……その中からたった『一つ』だけだ。しかも、質問に答えるんじゃあなく、『訂正』するだけだ。……だが、大切な事なんでな。『訂正』させてくれ」

メイ「……」

チェスタ「……俺は君に対して、『忠誠』なんて持っていない……」

バン

メイ「!!」

チェスタ「何故なら、俺は君の『信頼できる友』であるからだ」

ドン

ウォーケン「……」

メイ「……何?」

チェスタ「もし君が、今はそう思っていなくとも……いつかは君の『友』となる。いつわりの『友達』なんかじゃあない。唯一無二の『信頼できる友』だ。……俺はそれになる」

メイ「……?……??……」

チェスタ「……本当の『友』ならば……『忠誠』なんていうものは無いはずだ。それは、目下の者が目上の者に対して誓うものだからな。だから、俺は君に対して『忠誠』なんて持ってない。……しかし、君をこの世の誰よりも愛している」

メイ「……」

・ ・ ・

チェスタ「だから……メイ。……『これ』を……」

スッ……!

メイ「!」

ウォーケン「ナッ!……(『ナイフ』ッ!?)」

チェスタ「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

メイ「なッ……なあに?チェスタ……そのチンケなものは?……それで、私を『殺す』……って、いうの?……いくら私が弱っていようとも、私は……わ、私は……!!」ガタガタ

チェスタ「……メイ」

メイ「……はッ……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

チェスタ「……『受け取ってくれ』」

ヒュッ――

ド ス ッ

メイ「……」ポタッ

ウォーケン「!……なッ……!?」

チェスタ「……ぐッ……!」

ブシュウッ!

メイ「あ、あああ……ああっ!チェスタッ!?どうして……なんでッ!?」

チェスタ「……め、メイ……!」ドクドク……

メイ「どうして……『自分の手を刺したの』ッ!!?」

ドクッ!ドクッ!

チェスタ「『受け取ってくれ』」ス……

メイ「!!」

・ ・ ・

チェスタ「……君は生きなければならない。少なくとも……『天国』へ到達するまでは、君は生きなければならないんだ。そのためならば、他の全てを犠牲にしなくてはならない……」

メイ「……」

チェスタ「……そう俺は思っている。だから……だ。時には……俺も『犠牲』にしなくてはならないんだ……」

メイ「……」

チェスタ「今はこれで、命をつないでくれ。……また食料を調達してくる。もしも、それが出来なかったら……いつでも俺を食ってくれ。覚悟は出来ている。……今はこれで、君は生きてくれ……」

ドクドク……

メイ「ちぇ……すた……う……ううう……!!」

ゴクゴク

ゴク

ゴクゴクゴク

ゴクゴク……



ウォーケン「……この世は全て作り物。……だから、ネェ、仕方ないさ。……フン!」

…………

本日はここまでです。
相変わらずの開幕メイちゃん。もはや様式美。

前スレのHTML化依頼が早すぎちゃったので、とりあえず速攻書きましたが、
仕事終わりってあんま文章書きたくない……下ネタ以外はホント書きたくない……なんか矛盾出そうで怖い。
次回は休みの日にゆっくり書きます。

乙!

やっぱパッショーネで長年切った張ったやってる二人相手にはチェスタもキツいわなー

ここで言っていいのか解らんけど、>>1が昔書いたけいおんSS読んだよ
深夜の独特の空気ってあるよなー、と思いながら楽しく読めた

>>21
あれ初めて書いたSSなんで、少し恥ずかしいんですよねー……。
まあその次書いたのが静ジョみたいなモンなんで、SS歴は浅いんですけど。
なんで澪を主人公にしたんだろう……謎だ

他にもいろんなSS書いてるので、良かったら静ジョを待つ暇つぶしにどうぞ。
ほとんど下ネタですが、最近書いた地の文のSSは結構お気に入りなんで、見てもらいたいです。
あんままとめとかでは人気無かったっすけどねー……。

いや……無いだろ

…………

8月某日
東方家(新築)――

ミーンミンミン……

康一「仗助くーん……アレ、いないのかな?オーイ!」

キョロキョロ

康一「車はあるし、今日はお仕事休みって聞いてたんだけどなァ。仗助くーん!『スイカ』……おすそ分けに来たんだけどォ~~……」

コンコンッ

康一「?……アレッ、玄関の扉は開いてるぞっ」

ガチャ

康一「不用心だなァ……まあ、誰もいないなら書き置きでもして、家の中にスイカ置かせてもらおうかな」

キイッ……

康一「お邪魔しまー……」



「ちょっと兄さんッ!!どういう事よッ!?」

バンッ!



康一「!?」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

康一「この『声』は……『静ちゃん』?……リビングの方から聞こえたぞ……?」

ススッ……

康一「あ、あの~~……?」

ヒョコッ

仗助「……」

静「……ううう~~ッ……!」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

康一「うッ!(す……スゴイ表情で、二人が睨み合ってるぞ。どうしたんだろう……?)」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

仗助「オメーが『納得』しなくともよォー。おれは何度でも言うぜ。……お前を連れて行く事は『出来ない』……!」

静「……それが意味わかんないって言ってんのよ、兄さん……どういう事?なんで……兄さんに決められなきゃあなんないの……!?」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

仗助「静。オメーは『妹』でおれは『兄』だぜ。『兄』のいう事は聞かなきゃあなんねえ……だろッ?」

静「ふざけた事ばっか言ってんじゃあねえわよ。あたしにだって意見を言う権利くらいあるわ……!」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

康一(も、もしかして……仗助くん、『言っちゃった』の?……つまり、『吸血鬼・有栖川メイ』退治に、静ちゃんを関わらせたくないって……そうハッキリ言っちゃったんじゃあ……!?)

仗助「……」

静「……兄さん……!」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

康一「ちょ、ちょっと二人ともっ!落ち着いて――……」



静「なんっで『海』なんかに行かなきゃあなんねェ――のよォ――ッ!!普通『山』だろッ!!ゼッテェー『山』ァァ~~ッ!!」バン!

仗助「『山』なんか連れて行けっかよォーッ!ダンゼン『海』ッ!こりゃあ決定だぜェ~~ッ!!」ババン!

康一「……」ガクッ

康一「ちょ……っと待って。二人とも。ストップ。いいかな?」

静「え?……あ、康一さん。こんにちは」ペコッ

仗助「おう康一。どうかしたかよォ~~?」

康一「エット、『どうかしたか』っていうのはぼくの台詞なんだけど……二人して言い争ったりして、どうかしたの?」

仗助「ああ、その事なんだがよ~~。ちょっと言ってやってくれよ。コイツかなりのゴージョーッパリで……」

静「康一さん聞いてよッ!兄さんったらイジワルばっか言うのよっ!?あたしに死ね!っつってるよーなモンよッマジでェェ~~ッ!!」

康一「……えーっと、その前に……」

静「?……何?」

康一「……何で二人とも、水着着てるの?」

仗助「……」カイパーン

静「……」ビキニーン

仗助「……康一、これにゃあ深ーいふか~~い訳があるんだよ……」

康一(絶対ウソだ……)

仗助「おれもよぉー、世間は夏休みだが普通に仕事あったからよ。最近は遺跡の発掘作業とかで中々忙しくって、静をどこにも連れてってやれなかった訳だよ」

康一「うん」

仗助「で!今日はおれ休みだったんだが、静のヤロー『夏休みだからどっか行きたい!』ってダダこねてな」

静「ダダじゃあねーわよ。ガクセーとして当然の事言っただけよ」

仗助「おれは家でゆっくりしたかったからよォ~~。……仕方ねえから家で水着来てパンケーキ食って、気分だけハワイ旅行してたんだ」

康一「……ハワイ……」

仗助「そしたら『違う……そうじゃあない……絶対違う……』ってブツブツ言い始めて」

康一「まあそうだろうね。ぼくも親に『ハワイ連れてってあげる!』って言われて家でパンケーキだったら怒るよ」

仗助「あんまりにもうるせーんで、仕方ねえからどっか旅行連れて行く事なったんだけどよォ~~……」

静「あたしは『山』がいいのよッ!絶対山!キャンプとかしてみたいわ。炭火でバーベQッ!とかしてみたりしてッ!」

仗助「だからよォ~~ッ、嫌って言ってんじゃあねーか」

静「何でよッ!?」

仗助「山とか発掘作業思い出すんだよッ!休日くれぇー土の臭いがしない所がいいぜッ!だから『海』だッ!ムフフ♪な『出会い』があるかもしんねえしなァ~~」ムフッ

静「あたしが海嫌いって知ってて言ってんのかッコラァーッ!!海とかマジ無理ッ!ジンマシン出る!溺れ死んだらどうするんだってのーっ!!」

ギャーギャー!……

康一「まあまあ仗助くん、落ち着きなよ……ここはさ、静ちゃんの行きたい所に連れてってあげようよ?」

仗助「なッ!?……康一、オメー静の肩持つのかよぉ~~」ガックリ

静「やったぁっ♪康一さんはやっぱりわかってるわよねぇ~~ッ!好き♪」

康一「とりあえずさ。由花子さんの実家からスイカ頂いたんだけど……食べながら話さない?」ガサッ

仗助「おっ!悪いな。いつも何かもらっちゃってよォ~~。静、皿と包丁とまな板と塩だ」

静「スイカに塩かけて食うと早死にするわよ?あたし普通に食うもんねーっ」

…………

…………

シャクッ!

静「うンまぁぁ~~ッ!!ヤバッコレッ!マジヤバッ!」シャクシャクッ

仗助「塩かけて食うと甘さがより際立つんだよなァ~~」シャクッ

静「かけすぎだっての。兄さんもうダメね。塩没収。自然の甘みで十分だから。……プッ!」

仗助「タネ床に落とすんじゃあねーぞ。掃除面倒だからな~~」シャクシャク

康一「ああ本当、甘いねこのスイカ……うん」モグモグ

康一「いやあ、ぼくの所はまだ二人暮らしだから、こういうのいっぱいもらっちゃうと少し困るんだよね。ホント助かるよ二人とも」

仗助「こちらこそありがとうだぜ。……それで、康一。……オメーマジで言ってんのかよ?その……おれに静を『山』に連れてけってよ」

康一「うん。静ちゃん海嫌いって言ってたし……それに、ホラ……杜王町で暮らす初めての夏でしょう?」

仗助「!……」

康一「杜王町はスッゴク綺麗ですばらしい町だって、ぼく思うんだ。そんな町で暮らす初めての夏だから……自分の行きたくない所じゃあなく、自分の行きたい、すごしたい所で夏を感じてほしいって思うな」

仗助「……けどなァ~~……」

静「何よ兄さん。そんっなに不満?まさかムシがイヤとか言うんじゃあねーでしょうね?」

仗助「……おめー『キャンプ』っつったよな?」

静「うん。夏!山!キャンプ!……でしょっ?」

仗助「……おれキャンプとかやった事ねえぞ。林間学校くらいだ」

静「……はァ~~っ?」

静「なんでよ、兄さんいっつも発掘だー遺跡だーとか言ってんじゃん」

仗助「付近のビジネスホテル泊まってるんだよ。海外の山奥ならともかく、現代日本にゃあいくらでも宿があるぜ」

静「うっげェ~~幻滅したッ!昔おじいちゃんが女装して人の目を欺いたっていうエピソード聞いた時くらい幻滅したッ!」

仗助「女装と同じレベルにすんじゃあねーッ!オメーはどうなんだよ。アメリカでじじいと一緒にキャンプ……とかッ?」

静「炭に火をつけた事すらないっての」

仗助「……」

静「日本で言う『平成生まれ』に何期待してんのよ」シレッ

仗助「……康一は?」

康一「ぼく?あまり無いかなあ……子供のころに家族と一緒に行ったくらい」

仗助「……静、諦めようぜ。パンケェ――キィィッ食うか?」

静「やだ!絶対やだもんねーっ!山でキャンプ!んでバーベQ!これ決定よ。もう胃袋は肉の受け入れ準備してるってのーっ!」

仗助「そもそもキャンプしようにもッ!『テント』が無ェだろ~~がよ~~ッ!肉焼く『グリル』も『炭』もねーッ!ついでに『寝袋』もッ!キャンプするには道具が必要なんだぜ~~!」

静「?……持ってるじゃん?」

仗助「……何?」

静「ほら。兄さんの実家……朋子さん家。ガレージの奥の物置で見かけたわよ、キャンプグッズ」

仗助「?……??……」

静「あたしがこっち越してきて色々荷物とかもらったり置いたりした時に見たけど……アレって兄さんのじゃあないの?」

仗助「……ああ、もしかして……じいちゃんの、か。……そういやまだ捨てずに置いてるモンあったな……」

静「……『けど』……」

仗助「……ああ……」

仗助「物置は……恐ろしく『汚い』……!!」

静「うん。……ホコリまみれでゴチャゴチャいろんなモン詰め込んでるしね……」

康一「……」

仗助「……」

静「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

仗助「こいつはぁ~~グレートなことになりそうだぜ~~」

静「……やれやれね」

康一(……これ、ぼくも手伝わないといけない流れなのかなあ……)

…………

本日はここまでです。

キャンプに誰連れてくかまだ詳しく決めてないんだよなー……

今回のお話は幼じょりんを意識してたりする?

1スレ目とかぜんぜん覚えてないな >>1はちゃんと覚えてるか?

>>50
特に意識して書くつもりは無いです。キャンプというネタだけお借りします

>>56
覚えてるっつーか、定期的に読み返してますね
「我ながらここおもしれえじゃん」とか「ここつっまんねー。誰だよこんなの書いたの。俺だよ」とか思ってます

…………

東方家(実家)――

ガタガシャガタ……

仗助「えーと……どこにしまったんだ?キャンプグッズってよ~~」ガシャガシャ

静「ペッペッ、ホコリ口に入っちゃったわ」ガタガタッ

康一「あ、炭あった。湿気てなかったらいいんだけど……」ガサッ

仗助「肝心のテントは何処にあるっつーんだ?見つけてもカビだらけで使えねえんじゃあねえのか?」

静「何のための『クレイジー・ダイヤモンド』よ。どんなに汚かろーが破れてよーが、兄さんがいれば大丈ブイッ」

仗助「……なんか、良いように『使われてる』みてーで嫌なんだよな~~……」ブツブツ

康一「……あれ?これ、仗助くんの学生カバンじゃあないの?」ゴソッ

仗助「お、本当だな。そういやここに仕舞った覚えがあるぜ」

静「……なんか、シミとかついてるわよ。ボロいし古臭いし。使わないならさぁ~~捨てた方がいいんじゃあないのォ?」

仗助「なんかよ~~、思い入れのあるものって捨てづらいっつーか残しときたいっつーか……大したモンは入れなかったが、三年間使い続けたもんだからな~~」シミジミ

静「兄さん、もしかして『捨てられない男』ってヤツゥ?勘弁してよー……今迷惑してんの兄さんのせいって事?」

仗助「ここに詰め込んであるほとんど物はじいちゃんのモンだぜー」

静「で!それを残してるのは朋子さんって事か。……血筋?そーいうのって遺伝すんの?」

康一「どうだろうね……」ゴソゴソ

朋子「久々に顔出したと思ったら、仗助……あんたいつから掃除婦になったのよ」

ジャン

仗助「別に掃除婦になった覚えはねーぜ、おふくろ。ちっとは物置掃除しろよな~~」

朋子「あのさ。あたしってよく『トシより若く見えますね』って言われる方でさ。結構自分でも若々しいかなァ~~って思う事もあるんだけど……もう五十過ぎてんのよ。そんなあたしに物置の掃除なんて、重労働させる気?あたしに死ね!って事?」

仗助「そ、そんな訳じゃあ……」

朋子「まったく、家出てからロクに連絡もしないで、たまに帰ってきたと思ったら掃除なんて……親孝行したいときには親はなしって言葉知ってんの?女手一つであんた育てんのは苦労したんだから、きちんと孝行しなさいよね。そろそろ孫の顔が見てみたいわよ、あたしは。ハァ~~……」

仗助「ぐ、ググ……」

朋子「あんた、昔っから女には結構モテてたみたいだけどさあ……今どうなの?お付き合いしてる人とか」

仗助「い、いやまあ……考えてはいるけどよ」

朋子「……あんたねえ、もう大人なんだからそろそろ先の事とか考えなさいよ。もうすぐしたら異性なんか寄り付かなくなっちゃうんだから。あたしがあんたの歳くらいには――……」

仗助(こ、これだから家帰んのはイヤなんだよなァーッ……なんか違う話題とか無えのかよォ~~……)ウゲェー



ガラガラガラァン!

静「あいったァ~~ッ!の、脳ッ!脳飛び出るッ!」グワングワン

仗助「だ、大丈夫かよ~~静ッ?」(サンキュ~~ッ!)タタタッ

静「上から木箱落ちてきて、頭に……カドが当たった。泣いちゃいそうだわ……グスン」

康一「わっ、コブになってるよ静ちゃん」

仗助「ったくよー。気をつけろよなァ~~」スッ……

ズキュン!

仗助「よし、まだ痛い所あるか?」ポンポンッ

静「ん、大丈夫……ありがと、兄さん」

朋子「仗助、静ちゃんにあんまし危ない事させないでよ?静ちゃんは女の子なんだからね?……静ちゃん、掃除なんか仗助にまかせてお茶飲まない?鎌倉カスターあるわよ」

静「いえ、お構いなく。元々あたしが言い始めた事なんでー」

仗助「別に危ねえ事なんかさせてねえだろうよ。今のはこいつの不注意が悪いぜ~~」

静「ムム、その通りだけど……なんかムカつくっての」ムスッ

朋子「とにかく、気をつけて掃除しなさいよ。結構適当に詰め込んでるからね。下から引っこ抜いたらガラガラ崩れるわよ。……康一くんもほどほどにしといてね。別に綺麗にしなくていいから」

康一「あ、ドウモ」ペコリ

朋子「じゃあ、あたし家ん中いるから。一応ゴミに見えるもんでもあたしの許可取ってから捨ててね」スタスタ……

静「はーい」ガサゴソ

康一「……仗助くんのお母さん、静ちゃんの事大切に思ってるんだね」ヒソヒソ

仗助「おふくろ、娘が欲しかったってよく言ってたからなぁ~~っ」

静「朋子さん、いい人なんだけど……あたしと二人っきりになったらニコニコしながら漢字教えようとするもん。善意ってわかってるけど、ちょっとねえ……」

仗助「おめーの国語の成績が悪いのが原因だぜ」

康一「そういえば、静ちゃんの上に落ちてきたこの木箱って何だろう?結構重いけど……」

静「貸して、康一さん」

康一「ん?」ヒョイッ

静「『ワイルド・ハニー』」スッ……

スゥゥーッ!

静「……中は陶器のツボ……かしら?割れちゃってるけど……」

仗助「静~~」

静「んー」ヒョイッ

仗助「『クレイジー・ダイヤモンド』」コンッ

カチャッ!カチャッ!カチャッ!

仗助「……問題なく治したぜ」

康一(……『スタンド』って便利だなあ……)

仗助「この特徴的な表面のまだら模様は、堤焼きか?詳しく調べてみねえとわかんねーが、結構古いな……江戸末期のもんか」

静「高い?ねえこれって高いの?」

仗助「さあな。おれは一応考古学のセンセーだが、骨董品は専門外だぜ。まあ売ればそこそこの値段はすんじゃあねえのか?」

静「よっし、バーベQは国産和牛ね。これ決定」

仗助「これじいちゃんのモンだからなあ……おふくろが譲ってくれたり売ったりするとは思えねえぞ」

静「……『ワイルド・ハニー』でツボごと全部透明にして、持って帰ろうかな……」

仗助「……オメー悪くなったなあ……」

静「……悪くなった……静ちゃん悪い子?おじいちゃん悲しむかな……けどおじいちゃんも承太郎さんも兄さんも昔は悪い子だったし、ジョースターとして……でもなあ……」ブツブツ

仗助「何ぶつくさ言ってやがんだよ」ハァー

康一「……あっ!これってテントなんじゃあないの?」ゴソッ

仗助「おおっ!やったぜ康一ッ!これでなんとかキャンプは出来そうだな」

静「あ、これって寝袋かな?米俵みてーだけど」ゴロンッ

仗助「探せばあるもんなんだなぁ~~っ。キャンプグッズを買わないで済みそうだぜ」

康一「……けど、寝袋一つしか無いよ?」

静「まだ肉焼くグリルも見つかってないしね。……もしかして無いのかな?見たと思ったんだけど……」

仗助「まあまあ、とにかくこのテントと寝袋、表で広げてみようぜ。壊れてるならともかく部品が無かったりしたらどうしようもねえからな」

…………

短いですが、本日はこの辺りで。
次回かその次にはキャンプ場行きたい……。

ていうかこんなほのぼのでいいのかな
スタンドバトルのほうが人気高い?読者層がわからん

…………

ドサッ!

静「ふーっ、表に持ってきたのはいいけど……」

仗助「……康一、テントの組み立て方わかるか?」

康一「ぼ、ぼく!?知らないよ……ぼくもこういうのほとんど経験無いし」

仗助「……そうなんだよなあ……」ハァー……

静「あ、けどちゃーんと骨組みとかはあるみたいよ?道具も揃ってるっぽいし、古臭いけど布地も破れてないし。なんとかなるんじゃあないのォ~~?」

仗助「なんとか、なあ……しかたねえ。ちょっと手探りで組み立ててみるぜ」ガチャッ

静「兄さん、ガンバッ♪」

仗助「オメーも手伝うんだよッ!静ッ!!」

ガチャガチャ……

仗助「うーん……こうか?静、ちょっとそこ引っ張ってくれ」ガサッ

静「……兄さん、これ違うくない?杭をそこに打つのよ、たぶん」

康一「骨組みが曲がって見えるよ~~……もっと中心に持ってこないと」

仗助「……こうか?」ガサッ

静「……あ、兄さん。……今気づいたんだけど、まずこのシート敷くんじゃあない?」ガササッ

仗助「いや、それは上からかぶせるんじゃあねえのか?」

康一「うーん……」

ガサガサガサ……

チリンチリーン……

億泰「……おっ?仗助~~っ」

キキイッ!

仗助「うん?……おお、億泰」

億泰「実家に帰ってるなんて珍しいじゃあねえか。何してんだァ?」シタッ

仗助「ちょっとな……色々とあって」ガサッ

康一「あれっ、億泰くん?」ヒョコッ

静「げげ、億泰」

億泰「お~~う康一。静もいんのか?賑やかなこったなァー」

静「……億泰が仕事もせずにサイクリングしてる……暇なの?」

億泰「仕事中だッ仕事チューッ!日本料理の出前やってんだよ」

仗助「『出前』?」

億泰「お家で本格料亭の味ィ~~っ!っつってな。お年寄りとかに好評なんだぜェ~~ッ。結構儲かるし」

静「うわ、億泰が考えて商売してる……オーマイガッ」

億泰「どういう意味だッコラァーッ!」

仗助「静、このアイデアきっと億泰の奥さんだぜ。億泰が出前なんざ考える訳ねえだろ?」

静「ああ、納得だわ。さすが兄さん、わかってんのねーっ」

億泰「お、おまえら……(実際そうだけど、ユルセン……!)」プルプル

康一「お店の方はどうしてるの?」

億泰「今はカミさんが回してるぜェ~~。那由他も手伝ってるがよ」

静「フ~~ン、そりゃあ大盛況でしょうね……億泰が板に立つとお客さん逃げそうだもん」ボソッ

億泰「……仗助、オメーこいつにどういう教育してんだ?」ションボリ

仗助「別に何も言ってねえよ。なぁ?」

静「うん。まあ……そういう事にしとこうかな」

億泰「……」プルプル

仗助「……静、そろそろからかうのはやめとこうぜェ~~。泣かれても困るしな」ヒソヒソ

静「それはそれで見てみたいけど、確かに困るわね。了解ィィー」ヒソヒソ

億泰「……で?オメーら何してたんだ?ん……こりゃあテントか?」

仗助「静のやつがよー、キャンプしたいって言い出したから引っ張りだしてきたんだよ。心配だったが何とか使えそうだな~~」

億泰「使うって……仗助、おめーこりゃあ『一人用』のテントじゃあねえか」

仗助「……」

康一「……」

静「……えっ?」

億泰「数年前に流行ったんだよな、こういう小さいテント。けどこりゃあ型もフルいしよォー、こいつでキャンプすんのは少し厳しいんじゃあねえのか~~?」

仗助「まて待て待てマテ!億泰おめー……わかるのか?その……『キャンプ』について?」

億泰「……ああん?」

億泰「ああ……おれ高校卒業した後よ、包丁一つとテント担いで数年間料理の修行したからなァ~~。こういうのはお手のモンだぜ」フフンッ

静「じ、時代錯誤というか何というか……ホントにやるか?そーいうの、フツウ……」

康一「そういや億泰くん、全国回ってたね……その旅の途中で出会ったのが今の奥さんなんだっけ?」

億泰「おうっ!修行中立ち寄った日本料理の老舗の、箱入り娘さんでな~~。お義父さんも最初は許してくれなかったが、おれの料理の腕を見て――」

仗助「んな事ァ今どーでもいいだろうがよォーッ!!億泰、一個聞きたい事があるッ!」

億泰「??」

仗助「そのー……おめーもしかして、今も……キャンプグッズ、家にあったり……すんのか?」

億泰「?……おお、あるぜ。今もっつーかよォー、いつか家族でキャンプしようと思って、大型のテントにタープにグリルと、全部買ったのよ」

仗助「……そーかそーか……全部あるのか……」ニヤニヤ

康一「……仗助くん?」

仗助「いや何、ちょっと仗助くん、いーい事考えちまってよォ~~……」

仗助「どうせなら静!もっと大勢集めてキャンプしねえか?」

ジャン!

静「……『大勢』?」

仗助「おめーの友達なんかも集めてよォ~~、おれらの方もダチやらなんやら集めて、杜王町のみんなでキャンプするのよ!題して!『ドキッ!スタンド使いだらけの杜王町民キャンプ大会』ッ!!ってなァ~~ッ!!」

静「お……おおーッ!!兄さん天才!?ヤッベ!それグレートにやっばいわァーッ!!」キャーッ!

仗助「だっろォ~~?みんなでキャンプしたら絶対盛り上がるしよォーッ!それに……」

仗助(おれはなーんにもしないで、肉食ってビール飲んでテントでゴロゴロできるもんねーッ!ウププ!)ニヤニヤ

康一「仗助くん、悪い顔してるよ~~……」

億泰「おい仗助、それはあれか?もうおれは参加の流れなのかよ?別にいいけどよォ~~……」

仗助「っつー訳で静!ちょっとお前友達に声かけてこいよ」

静「うん!じゃあ行ってきまーす!」タタタッ

仗助「億泰はキャンプの道具準備して、康一は……あ、そういや康一、由花子の事もあるから来るのは無理か?」

康一「うーん、少し難しいかなあ?ぼくもあまり由花子さんから離れたくないし」

仗助「だよなあ。じゃあ他に誰か呼んで――……」

億泰「じゃあ仗助、『幹事』は任せたぜェ~~」

仗助「…………えっ?」

億泰「『えっ?』じゃあねえだろうが。言い出しっぺはお前なんだからよォー、『幹事』やるのが筋ってモンだぜ」

仗助「……『幹事』って、その……何かすることあるのかよ?」

康一「そりゃあ、今どき大学生の飲み会ですら幹事がいるんだし……」

億泰「人数集めたりキャンプ場手配したり金の管理したり皆の日程調整したり!色々とやる事あるだろ?」

仗助「…………」

仗助「……ガキの頃は良かったよな……そんな面倒な事考えず、遊んでりゃあいいんだからよ……」

億泰「いきなり何言ってやがんだよ、オメーッ……じゃあまた、仕事終わりに連絡すっからよォ~~」ガチャッ

キコキコキコ……

仗助「……はあ……」

仗助(結局一番メンドーな事になってない?おれ……)

…………

本日はここまでです。

…………

日本料亭『にじむら』――

静「……って訳でェ~~。この度あたし達っ!『キャンプ』へ行こうと思いまーすッ!!」

バーンッ!

那由他「きゃあーッ♪本当ですかっお姉さまッ!!」ピョンピョン

静「まあ詳しい事は億泰……那由他ちゃんのお父さんが言ってくれると思うわ。一応聞くけど、大丈夫よね?那由他ちゃん、お泊りとか苦手だったりしないわよね?」

那由他「はいッ!あたし、そういうの憧れてまして……お姉さまと大自然の中キャンプなんて、楽しみです!」

静「んー、可愛い事言ってくれるわねーッ。ウホホホッホッホーッ」ナデナデ

那由他「うふふ♪」

静「……で……」チラリ

静「当然!アンタも来るわよね?……『双馬』」

双馬「……」

シーン……

双馬「……食事中だ。黙ってろ静」パクパク

静「アンタ、この店よく来るの?常連さん?」

那由他「あ、ハイ。お兄さまはよく来てくれますよ」

双馬「静かにしてくれるか?那由他ちゃん」

静「え?あたしィ?」

双馬「……」モグモグ

静「また日にちとか詳しい事は決まったら連絡するから。どーせ夏休みヒマでしょうけど、スケジュールすぐ空けられるようにしときなさいよ?」

双馬「待て。……いつ僕が行くと言った?」

静「?……来ないの?」

双馬「……ハア~~……静、お前は致命的に頭が悪いのが欠点だな。……それ以外にも欠点は、トムとジェリーに出て来るチーズみたいにボコボコとあるが」

静「にゃにぃ~~?」

双馬「わかっているのか?お前?僕が東方仗助の事をどう思っているのか……」

静「……」

双馬「僕にとって、東方仗助はどういう存在だ?ほら、言ってみろ」

静「……父親を殺された。親の仇……」

双馬「そうだろうが。そんな相手と仲良くキャンプファイヤーしろっていうのか?……ありえないね」

静「……双馬」

双馬「何だ、まだ言いたい事があるのか?」

静「……アンタ、『良い奴』じゃん」

双馬「…………何を言っている?イカれてるのか?」

静「あたしにはわかる。アンタはマジで良い奴……たぶん、お母さんの育て方が良かったんだと思う。悲しみは背負っちゃったけど、アンタは……ずっと長い間、人を憎むなんて出来ないヤツよ。お父さんに会いたいのはマジだろうけどね」

双馬「やめろ。鳥肌が立つ」

静「……口には出さないけど、兄さん……アンタに会いたがってたわ」

双馬「……」

静「その……ゴメン、なんかいつものノリで誘っちゃったけど、真面目に言うわ。……今回のキャンプで、色々な『わだかまり』を無くしましょう。そのために、来て欲しいのよ……」

双馬「断る」

静「!……双馬、アンタねえッ……!!」ガタッ

双馬「なんだ、やるのか?やるっていうのなら……受けて立つぞ?」ユラッ

紙人間『ペラ……』

静「……」

双馬「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

那由他「あ、あの……ケンカはやめましょう?お姉さま、お兄さま」

静「……」

双馬「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

静「『ワイルド――……」ヴォッ……!!

那由他「お、お姉さまッ!!」

ゴトンッ!

億泰妻「はーいッ!静ちゃんお茶!淹れてきてあげたわよォ~~ッ!これでも飲んでゆっくりしていってねェェ~~ッ!!」

ジャンッ!

静「ハッ!?……あ、ハイ……どうも……」

億泰妻「他に何か頼む?ご飯以外にも、和菓子とかぁ~~夏限定でかき氷とかあるけど?」

静「あ、いえ……結構です。すみません……」

双馬「……」

那由他「……ホッ(ナイスタイミング、ママ……)」

これ途中で速報落ちてんのか

>>152
Exactly(そのとおりでございます)

億泰妻「あ!双馬くん、ご飯無くなってるじゃあないのォ~~。今おかわり入れるわね?」カチャッ

双馬「あ、いえ。僕はもう……」

億泰妻「もうッ!双馬くんは身体細いんだから、たっくさん食べなきゃあダメよ?おっくんみたいなたくましい男の人になれないわよぉー?キャッ♪」

双馬「お……『おっくん』……」タラリ

静「……いつもこんな感じなの?那由他ちゃんのお母さんって」ヒソヒソ

那由他「パパと結婚してから毎日ハッピー♪って言ってました」

静「そ、そう……なんか、圧倒されるわね……」

億泰妻「じゃあ、私は奥にいるから。何かあったら呼んでね?那由他と仲良くしてあげて」

静「そ、そりゃあもう!言われなくても……ね?」

双馬「な、僕に振るなよ」

那由他「お兄さま……あたしと仲良くするのは嫌、ですか?」グスン

双馬「別に嫌な訳では無いが……まあ、その……ハイ。仲良くします……」ブツブツ

億泰妻「それじゃっねェ~~!ルンルンッ♪」テクテク

シィーン……

那由他「……ふう」

双馬「……」

静「……」

双馬「……嵐のような人だな」

静「なんか、ちょっとスージーQおばあちゃんに似てるかも」

双馬「……」

静「……」

双馬「……オホン、とにかく……僕はキャンプに行くつもりは無い。家で本を読んでいる方がよっぽど有意義だからな。……わかったか?わかったなら、帰れ」

静「……ムム……」

那由他「お、お姉さま……嫌がる人を無理やり連れて行くのも、どうかと思いますよ……?」

静「……そうね。わかった……諦めるわ。アンタ連れてくのは」

双馬「フン……」

静「アンタってどっからどう見ても、インドア派の根暗メガネだもんね~~」

双馬「……何だと?」ギロッ

静「きっと、炭に火ィつける事すら出来なくって、釣り針に餌のミミズ付けるのにも怖がって、テントに入ってきた蛾に叫び声あげるようなヤツなんだわ……それがバレるのが怖いから、アウトドアしないのよね。うんうん」

双馬「おい、静……お前何言って」

静「ううん!わかってる!あたしにはぜェーんぶわかってるわ!アンタがカブトムシすら掴めないマンモーニだって事はよーくッわかってる!これはあたしの胸にそっと秘めておくから!誰にも言わないから安心して!!」

双馬「……」ピクピク

静「……それにしても……蛾一匹で大騒ぎする双馬……想像するだけで……プッ!ククク……!」プルプル

双馬「」プッツーン

双馬「この双葉双馬を馬鹿にするんじゃあないぞッこのダササングラス女がァ――ッ!!」ガターン!

静「んなッ!!……テメェー今あたしのサングラスの事何て言ったァァァ――ッ!!」ガタターン!

双馬「いいぞッ!やってやるッ!こう見えても施設のイベントなんかで野外オリエンテーションは何度もやったんだ!僕が役に立たないオタクメガネでは無い事を証明してやるッ!!」

静「よーしオッケー、じゃあキャンプ場で勝負よッ!どっちが真のアウトドアマンかっていうね!」

双馬「逃げるなよ」

静「そっちこそ!!」

静・双馬「「ふーんッ!!」」ツンッ

那由他「……」

那由他(お兄さま、良いように扱われていますよ……言った方がいいのかな?いや……やめておこ)

…………

…………

玉美「いやあ、ちょいとその辺りは仕事が忙しくてよォー……行きたいのは山々なんだが」

仗助「ま、そうだよなァ……悪ィな玉美。いきなりこんな話してよ」

玉美「別にいいぜ。また何かあったら呼んでくれ。……一応言っておくけどよ」

仗助「あん?」

玉美「……今回キャンプに行かねえのは、マジで仕事が忙しいからであって!……別におめーの妹と顔合わせづらいとか……そういうんじゃあねえからなッ!」

仗助「?……何の話だ?そりゃあ?」

玉美「……何も聞いてねえなら、それでいいんだよ。……それじゃあな」ブルルンッ!

ブゥーン……

仗助「ハァー……ガクセーは夏休みだっつうのに、結構みんな仕事仕事で予定合わねえみてえだな……(裕也は来るけど)」

康一「仕方ないよ、仗助くん。ぼく達ももう大人なんだし」

仗助「なんか、悲しいもんだよな~~。高校生の頃が懐かしいぜ……えーっと、あと声をかけてねえのは、早人とトニオさんと……」

康一「……仗助くん、あのさ……」

仗助「うん?」

康一「……仗助くんの事だから、わざとかもしれないけど……声をかけてない人、いるよね?」

仗助「えっ?……お、おれ誰か忘れてるっけ?」オロオロ

康一「いや、あのさ……」

露伴「キャンプ?ぼくが?フン!……下らないね。漫画家っていう職業は君が思っているほど暇じゃあないんだよ」

バン

仗助「そ、そうっすよねェ~~ッ!あは、アハハ……」

仗助「……おい康一、だからおれは嫌だったんだよーッ……なんでわざわざ露伴を誘って、怒られなきゃあならねーんだッ」ヒソヒソ

康一「でも露伴先生の事だから、声かけなかったらスネちゃうよ。きっと」ヒソヒソ

仗助「そうかもしれねえがよォ~~……内緒にしとくとかで良かったんじゃあねえのか?」ヒソヒソ

露伴「……堂々と目の前でヒソヒソ話なんてするもんじゃあないぜ。仗助くん……君はぼくをイラつかせに来たのかい?」

仗助「ぜッ!全然そんな事ないっすよォ~~もうッ!」アハハ……

康一「すみません露伴先生。こんな話しちゃって……やっぱり忙しいですよね、仕事」

露伴「いいよ康一くん。『ピンクダークの少年』のアニメが、少し前から始まったんだけどね。そのせいで新規のファンが増えて仕事も忙しいんだ。全く……ガキくさいアニメを見てハマった薄っぺらな奴らに、ぼくの漫画の素晴らしさが理解出来るとは思えないんだが」

仗助(や、やっぱりコイツ……性格悪ィ~~ッ)

露伴「……それに、実はぼくはもう、キャンプなら死ぬほどやったんだよ」

康一「え?そうなんですか?」

露伴「『ピンクダークの少年』の第7部が、アメリカを舞台にしていたんだが……」

康一「知っていますよッ!馬のレースの話でしょう?最後の展開はドキドキしましたよッ!」

露伴「キャンプシーンを描くためにね、ぼくもテントを担いで山の中に入ったんだよ。取材としてね……ぼくの所有地である山でキャンプしたんだ。ぼくが買った、山の中で……ね」

仗助(……性格悪ィーッ)

露伴「ある『嫌な事』があったから、『六壁坂村』には近づかないようにと考えて、数日間キャンプをしたんだよ。……しかし……」

康一「?……何かあったんですか?」

露伴「……『六壁坂』は、以外と多い。山の中に……何匹もいるんだ……」

康一「……?」

仗助「……?」

露伴「……キャンプをするなら、気をつけた方がいいぜ。康一くん。意外にも、人類の思いもしない生き物ってのが、この世には何匹も存在するんだからな……」

康一「は、はい。……あ、ぼくは行かないかもしれないんですけど」

露伴「それと、仗助くん。……ぼくの所有地でキャンプをするなら、きちんとぼくに許可を取ってくれよ?それがマナーってやつだからな」

仗助「……康一、後で露伴先生の所有する山とはかけ離れたキャンプ場探してくれ」ヒソヒソ

康一「自分で探しなよぉ~~……もうっ」

康一「それでは、失礼しましたー」ペコリ

仗助「どうもです、露伴先生ィ~~ッ」

スタスタ……

仗助「さーてッ、あと声かけてねえのは……結構大変だな、これ」

康一「ぼくも手伝うからさ、頑張ろうよ仗助くん」

仗助「じゃあ、ここからは手分けしてやろうぜ。康一は早人とジャンケン小僧のとこ行ってくれ。おれは……あ、そうだ」

康一「?」

仗助「……一応、呼ばなきゃあならねえ人がいるよなあ……」

…………

…………

虻村「なんだ、静かよォ~~。どうした?俺に何か用か?」ノソッ

静「別にィ~~……って、アレ?康司と委員長は?」キョロキョロ

虻村「康司は親戚のとこに行って、委員長は海外旅行だよ。いいよなァ~~ッ」

静「フーン……え?じゃあ、アンタ一人?」

虻村「おうっ!そうだぜェェーッ!……で?結局何の用なんだよ?どっか遊びに行くのか?」

静「……あー……じゃあ、いいわ。アンタ一人なら、別に」

虻村「オイッ!テメェーなんか俺に冷たくねえか?もっとこう……なあ?」

静「じゃあねェーッ」スタスタスタ

虻村「おいおいおいおいおいおいおい!静ちょっと……えっ?マジかッ!?お前マジに無視すんのかよォォーッ!?」

…………

…………

大林「キャンプぅ~~?行かないね。却下。ごめんだ」

静「……」

大林「山なんか虫多いし、刺されるし、ヘビとかいるし、女の子が水着じゃあねーじゃんか。撮りがいが無いんだよ撮りがいが……川あんのか?泳ぐ予定は?」

静「いや……今ん所は、なんとも」

大林「じゃあ、いいや。俺は行かないよ。一人海行ってナンパに写真撮影と洒落込むぜ。せっかく夏休み前に退院出来たんだからなァ~~楽しまねえと!ウヒヒッ!……あ、法に触れるよーな写真は撮らねえよ、マジで」

静「うん……そうね。できたらそうして」

静(ハァー……なんであたし、こいつに声かけたんだろ。……もしかしてあたし、友達少ないのかな……?)

…………

…………

純「だァーかァーらッ!!私に声かけんなっつってんだろうがァ――ッ!!静ァ――ッ!!」ゴオッ!!

静「……よ、予想はちょっぴりしてたけど……ひどくない?」グスン

純「この前100万やっただろ?あれで満足出来ないのか?ア?……私はあれで全部チャラッ!っつったよなァ?……なのにお前は、今ぜんっぜん金持ってねえ私から、まァーだムシり取ろぉってえのかッ?ア゛アッ!?」

静「……お金、持ってないの?」

純「全部処分したんだよッ!霊園にくれてやったッ!」

静「……霊園?」

純「ああ、そのー……あれよ……うちの、その……父さんの、墓をさ……」

静「……ああ……」

純「と、とにかくッ。私は今クリーンな金で生きてんの。毎日毎日バイトで忙しいったらありゃしないわ。だから、貴女に金はマジでやれねえから……勘弁して」

静「金の話じゃあないっての。実はさ……今度キャンプ行くんだけど」

純「……はあ?」

静「その……一緒にどうかな?って……」

純「無理。忙しい。同じ事何回も言わせないで」

静「……」

純「……何よ?」

静「純……アンタちょっと痩せた?」

純「別に……夏バテよ、夏バテ」

静「……ご飯、ちゃんと食べてる?」

純「食べてるわよッ!お前は私の母親か!……母の記憶なんて無いけど」

静「昨日何食べたの?」

純「……おにぎり」

静「……え?マジ?……それだけ?コンビニのって事?」

純「……」

静「……」

純「……あ、あと……あんぱんも食べた」

静「……な、何も言わないで……なんか泣きそうなってきた」

純「しょうがないじゃん……父さんの事について、警察の取り調べは全部『知らない』で通したけど、家住めなくなっちゃって……安いホテルに素泊まりするしかねえんだもん」

静「……」

純「確かに、弁当買えなくなったのは辛いけど……」

静「……え?……い、今までは晩御飯に、弁当を食べてたの?」

純「うん。……?……何かおかしい?」

静「だって、その……料理とか……えっと、ううん。なんでもない……なんか、ゴメン」

純「?」

静「……その、さ?純……キャンプに来たらさ?」

純「……何よ」

静「……美味しいバーベQ、食べ放題よ?」

純「……」ピクッ

静「お昼はカレーとか作るだろうし、朝ごはんにはパンとソーセージと目玉焼き!お魚だって釣れるかもしれないし、もしかしたら山の幸なんかも……あるかもよ?」

純「……この私が、メシごときで釣られると思ってんの?」

静「別にそういう訳じゃあねーっての。メシ抜きにしても、あたしは……色々あったけど、今はアンタと仲良くしたいって……そう、思ってるわ」

純「……」

静「……純」

純「……」

純「……バイト、あるから……行けないわ」

静「……そう……わかった」

純「……悪いわね、静」

静「ううん、あたしの方こそ、ごめん。……無理言っちゃって」

純「……」

静「……バイト、頑張って。……あたし、アンタの事応援してるから」

純「いらないわよ、馬鹿」

静「……じゃあね」クルッ

純「あっ、静――」

タッタッタッタ……

純「…………ハァ……」

純「……なんで、こう素直じゃあないかなあ。私……」

純「……」チラッ

ゴォォォオオオ……

純「……仲良く、かあ……ハハ……バッカじゃあないの」

純「……」

ブゥウーン……キキーッ!!

プププーッ!パパーッ!

純「……山から見る、景色は……」

純「……」

純「この、杜王町の町中より……綺麗、なんだろうな……」

純「……」

スッ

ピッポッパッ

純「……あ、もしもし……吉岡です。はい……店長お願いします」

純「……」

純「あ、店長……すみません。ハイ……お仕事中、ハイ……」

純「こ、こんな事言うのもアレなんですけど……」

純「……ええっと~~……」

ニコッ

純「少しその……お休みの、お願いをですね…………」

…………

今回はここまでです
キャンプ場が果てしなく遠い

最近、「静ジョの人」よりも「腹筋乗っ取りの人」の方が知名度高くなってる気がする……
まあ、素直に嬉しいけど……あれ息抜きなんだよなあ……

(サティポロジアビートルくらい覚えておけよ……ジョジョ検定出るぞ)

…………

杜王グランドホテル――

承太郎「キャンプ、か……」

仗助「そうっす。静連れて、夏休みの旅行なんスけどー……」

バァァァアア……

承太郎「……」

仗助「えーっとォ~~っ……その、承太郎さんも、どうっすかねェェ~~っ?っとォ……」

承太郎「……」

承太郎「……興味深い話ではあるが……今回は、やめておこう」

仗助「そ、そうっすよね!承太郎さん、『キャンプ!』っつぅーガラじゃあねえし……アハハ!」

承太郎「そうでもない。おれも静くらいの年の頃には、よくキャンプをしたものだ……」

仗助「えっ?じょ、承太郎さんが?……外で?」

承太郎「ああ。エジプトへ向かう旅の途中でな」

仗助「あー……納得っす」

承太郎「ラクダが死んだり飛行機が墜落したりサンドバギーが壊れたりするたびに、よくキャンプをしたものだ。……蜃気楼やディーゼル機関車に襲われたりと散々だったが」

仗助「……どういう事っすか?それ?」

承太郎「いや……話すと長くなるのでな。今はよそう」

仗助「?……はぁ。それじゃあ、何で今回のキャンプは……?」

承太郎「……『吸血鬼』の事だ」

仗助「!!」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

承太郎「未だ、奴らの動きは把握出来ていない。何処に隠れ潜んでいるかもな。しかし……この町の何処かにいるのは確実だ。フーゴとシーラEの二人は、吸血鬼メイの下僕であるチェスタと接触をした」

仗助「……」

承太郎「……犠牲者を出さないためには、誰かが町を守らねえとならないんでな。仗助、お前たちと一緒におれまで町を出ては危ないだろう」

仗助「そ、そういう事ならおれも――」

承太郎「その必要はない」

仗助「一緒にっ……え?」

承太郎「これはお前にしか出来ない事なのだ。……静を、じじいの娘であり、お前の妹である彼女を、『幸せ』にするっていうのはな。……兄であるお前にしか出来ないのだ」

仗助「……」

承太郎「町の事なら、おれに任せておけ。……お前は精一杯、静を幸せにしてやってくれ。それが……じじいの望みでもある」

仗助「……」

承太郎「……わかったな?」

仗助「はあ……けど、自信はねェーっすよ?ただ、キャンプに行くだけで……」

承太郎「それでいい。……きっと、静も喜ぶだろう」

仗助「……そういう事なら……ハイ」

承太郎「……キャンプ、か……」

仗助「?……どうかしたっすか?」

承太郎「いや……」

仗助「?」

承太郎「……おれは、娘と……そのような家族の触れ合いを……した事が無い、と……思ってな」

仗助「……」

承太郎「……何でもねーぜ、仗助。ただの、独り言だ」

仗助「……何でもなくねえっすよ」

承太郎「ム……」

仗助「今からでも遅くねェーっすよ、承太郎さん。離れ離れで育めなかった『家族の愛』ってェーヤツは、すぐに築きあげる事が出来るモンなんスよッ!おれ、静と一緒に暮らしてよーくわかりましたッ!」

承太郎「……うむ……」

仗助「徐倫ちゃん……でしたっけ?この件が一段落したら、連れてってやったらどうっすか?なんなら、おれ達と一緒に!」

承太郎「……そうだな……」



承太郎「…………楽しみだ」

…………

…………

『カフェ・ドゥ・マゴ』テラス――

シーラE「キャンプ、ねえ……なかなか面白そうな事言うじゃあないの」カリカリカリ

フーゴ「……」カリカリカリ

静「はい。なので、その……お二人も、どうかな?って思ったんですけど……」

シーラE「何?」カリカリカリ

フーゴ「……」カリカリカリ

静「……もしかして、あの……忙しい、ですか?」

シーラE「んー……そうかも。フーゴ、そこの地図取って」

フーゴ「どれ?」

シーラE「杜王町北部の。昨日周った所」

フーゴ「ああ、これかい」スッ

シーラE「……フーゴ、昨日探索した所、書いてないわよ」

フーゴ「あー……すまない。こっちのデータで精一杯で」

シーラE「あたしの『ヴードゥー・チャイルド』で得た情報の?」

フーゴ「いや、そっちじゃなくって、行動パターンの」

シーラE「……それ意味ある?ランダム性が強いと思うんだけど……」

フーゴ「しかし、前回ヤツと出会えたのはこのデータの通り動いたからで、それから先犠牲者は――」

シーラE「けど探索マップでは、そっちのデータよりもこっちの……あれ、南部の地図は?」

フーゴ「それはさっき君が――」

シーラE「だからこれによると――」

ワイノワイノ……

静「……あ、あのォ~~……えっと?」オソルオソル

シーラE「あ、悪いわね静ちゃん。ちょっと最近、いい所まで行っててさ。……もう少しで完璧に追い詰める事が出来そうなのよ」

静「……メイの事、ですか」

フーゴ「うーん、どちらかというとその手下の、チェスタの方かな」

静「……」

シーラE「そういう訳だから……その、キャンプだっけ?あたし達は行けそうに無いわ。あまり他の『スタンド使い』の方たちと仲良い訳でもないしね」

静「あ、あのっ!」

フーゴ「?」

静「そういう訳でしたら……あたしも、その……キャンプ行くのやめて、追い詰めるの……協力したいんですけど」

フーゴ「……」

シーラE「……」

静「……ダメ、ですかね?」

フーゴ「……シーラE?」

シーラE「……ハァ~~……」

シーラE「却下。ハッキリ言って、邪魔だわ」ズパッ

静「う……そ、そうですか……」ガックリ

フーゴ「シーラE、なにもそんな……」

シーラE「うるさいフーゴ。あのね……」

スッ

シーラE「こうでも言わなきゃ、この娘は絶対こっち付いてくるでしょーが!スタンド使いとはいえ、一般の女子高生をこんな危険な事件に巻き込める?」ヒソヒソ

フーゴ「しかし……彼女、ショックを受けてるようだけど?」ヒソヒソ

シーラE「……」チラッ

静「……」ズーン……

シーラE「……ハァ~~~~っ……面倒くさいわね、アンタ」

シーラE「あのね、こんな事言うのもアレだけど……あたし達はアンタくらいの年の頃には、もう危険な非日常の中にいたの」

静「……『非日常』?」

シーラE「殺して、殺されて、銃を撃って、撃たれて、夜の闇の中命の取り合いをする……そんな世界よ」

静「!……ぎゃ、『ギャング』の……」ゴクリ

シーラE「あたしもこいつも、かなりの修羅場くぐってる。アンタとは違うのよ。住む世界がね……」

フーゴ「……」

静「……」

シーラE「……そんな訳だから、さ……」

シーラE「さっきのアンタの……幸せな日常の台詞は、すっごい嬉しかった。これは本当よ」

静「!……それなら……」

シーラE「だけど、あたし達は行く事が出来ない。あたし達は非日常の存在だから。……そして、そんな非日常の世界を生きてきたからこそ……」

静「?」

シーラE「……アンタには、日常の幸せな世界で生きてもらいたいのよ。あたしが望んでも生きる事が出来なかった世界でね」

静「!……」

シーラE「……行ってきな。楽しみなんでしょう?キャンプ。……その間この町は、アンタの代わりにあたし達が守るわ」

フーゴ「……ああ」

静「……すみません」ペコリ

シーラE「謝ってほしくてやってる訳じゃあないわよ」

静「じゃあ……ありがとうございます」ペコリ

シーラE「……礼だって欲しくないわね。……まっ」

シーラE「……悪い気は、しないけどさ」

フーゴ「……」ニコリ

…………

…………

東方家――

静「……」キュッ!

ガチャッ

仗助「ただいまァ~~っとォ……おっ、静。帰ってたか」

静「ん……おかえり、兄さん」

仗助「キャンプの日時だけどよォー……って、何だこりゃあ?」

静「んー?」

キュウッ!

ズラッ!

仗助「……『てるてる坊主』かよォ~~……ちょっと作りすぎなんじゃあねえのか?お前年いくつだよ」

静「16歳」

仗助「……」

静「……うーん、もう一個作ろうかな」

仗助「……静?……調子悪いのか?腹でも痛いのか?」

静「別にィ。……ただ、晴れたらいいなって、ね」

仗助「……キャンプの事か?」

静「うん」イソイソ

仗助「気が早ェーぜおめー。まだ日時も詳しく決まってねえだろうがよー」

静「うん。けどさ……なんか、失敗したくなくって」

仗助「……どうかしたかよ?」

静「……あのね、兄さん」

仗助「おう」

静「……あたしが幸せに生きる事でさ、誰かが幸せになる事だって……あるんじゃあないかな、って……」

仗助「……」

静「……思うんだけど……違う、かな?」

仗助「……いや……」

仗助「少なくともよーっ、二人は……喜ぶ奴がいる事は確実だぜ」

静「二人?」

仗助「……おれと、天国にいるじじいだよ」

静「……そっか……」ニコッ

静「絶対、楽しいキャンプにしようね。兄さん」

仗助「当たり前だぜ、静。……テント張るの手伝えよな」

静「当然だっての。この静様をナメないでよ?兄さんなんかより万倍上手いんだから」

仗助「はいはいそうだなァ~~。当日を楽しみにしとくぜッ」

静「うん。……ふふっ、本当に、そう……」



静「キャンプが楽しみだわ」

…………

今回はここまでです

あれ、承りが一人称私じゃないけどなんで?
六部以降なら私で通してたはずだけど

>>239
仕事上の関係の者や親しくない人相手は「わたし」
大半の4部メンバーや徐倫などには「おれ」という使い分け……ですかね。
たしか露伴先生には「わたし」だったと思うんだけど、自信無いです……二人の絡みほとんど無いし

……今確認したら6部承太郎「オレ」っていう一人称だったんですが、
この話は4部がベースなので「おれ」で通します。……ぶっちゃけ間違えた

…………

チュンチュン……

ゴトッ!

仗助「肉良ーし、野菜良ーし、米良ーし。準備万端だぜェ~~ッ」ガチャッ

クルッ

仗助「静ァー。いつまでグズグズやってんだァ?そろそろ時間だぜーッ」

静「ちょ、ちょっと待って兄さん!まだ準備出来てないってのーッ!」

ガタガタゴトンッ!

仗助「……おめーなーッ……」ハァーッ

仗助「今からキャンプだっつーのにッ!なんでこんな大量の荷物になるんだァ?着替えありゃあそれでいいだろうがッ!ボストンバッグにキャリーにポシェットぉ~~っ?海外行くのでもこんな荷物なんねーぞッ!」

静「もしもの事あったらどうすんのよッ!準備はしすぎといて損はないわッ!」

仗助「『もしも』ォォ~~っ??」

静「もしも変なモン食ってお腹こわしたら?ハイ!胃薬ィーッ!もしも急に小腹が空いたら?ハイ!ポテトチップスぅーッ!コンソメね」

仗助「……こっちのカバンは?」ガサッ

静「あ、それは夜テントで遊ぶゲーム」

仗助「……カバン一つでか?」

静「?……うん」

仗助「……」ジジーッ

仗助「……えっと……『トランプ』に『UNO』に『ジェンガ』に……『モノポリー』に『人生ゲーム』に『マジック・ザ・ギャザリング』?……おめーは一晩にどんッだけゲームする気だコラァッ!分身でも出来んのかよッ!」

静「こんだけあったらどれかは当たるでしょ~~ッ。那由他ちゃんの嫌いなゲームあったらどうするの?もしも死ぬほどトランプ嫌いだったら?」

仗助「ねえよ!ありえねえよ!トランプ一つありゃあ何でも出来るだろうが。他のは置いてけッ!何だこの気持ち悪いイラストのカードは」

静「兄さんアメーボイド知らないの?おっくれってるゥー」

ワイワイ……



双馬「……ハァ……」

双馬「僕は来る所を間違えてしまったのかな?……たしか、朝7時にここに集合だったはず、だけど……」

ジャン!

静「お、双馬。おはよっス」

双馬「おはよう。……おい、一泊二日なんだよな?何だその荷物……お前一人は山に永住するのか?」

静「違うっつーの。何よみんなして……っていうか、双馬。その格好……」

双馬「何だ」

静「……フーン、なんかアンタが学生服以外の服着てるの見るの、初めてだわ。結構新鮮。っていうか似合うじゃあないの」

双馬「……土で学生服を汚したくないだけだ。フン……おい、来るのは僕だけなのか?」

静「もっと来るわよ。今に……あ」

ブゥーン……

キイッ

那由他「お姉さまァーッ!」バタンッ!

静「那由他ちゃん。おはよーっ」

那由他「おはようございます。お兄さまも!うふふ……あたし、今日が楽しみでたのしみで、昨日はよく眠れませんでした!」

静「奇遇ねー那由他ちゃん。あたしもよ」

双馬「ガキめ……」

バタンッ

億泰「おい那由他ァ~~。いきなり車の外に出るんじゃあねえよ。危ねえだろう?」

仗助「おう億泰。遅かったな?」

億泰「おお、ちょっと康一と早人を拾ってたからなァー」

バタンッ

康一「おはよう、仗助くん」

早人「おはようございます」ペコリ

仗助「おう、二人とも。早人……なんか久しぶりだなーッ。元気そうじゃあねえか」

早人「ええ。おかげ様で……」

ブゥゥーン……キキッ!

噴上「おっと……遅れちまったか?」ガタッ

億泰「いや、ナイスタイミングだぜェ~~裕也ッ」

仗助「これで全員か?ジャンケン小僧の大柳は?」

早人「誘ったんですけど、サッカー部の指導が忙しいって断られました」

億泰「フーン……しかし、裕也に康一が来るのはちょいと意外だったな~~っ。てっきりカミさんが心配で来ねえかと思ってたが」

康一「うん、ぼくとしては由花子さんのそばにずっといたかったんだけど、たまには気晴らしに旅行でも行って来いって言われちゃって……」

噴上「おれも似たようなもんだ。アケミのやろー変な気ィ回しやがって……ま、何かあったらいつでも駆けつけられるよう、最速のバイク持ってきたがな」

億泰「おめーこのバイクでキャンプ場まで行く気かよ?結構距離あるぜェ~~?」

噴上「んなもん、愛だ。愛」

仗助「しかし、裕也はともかく康一は……昔は由花子の方がベッタリだったっつーのに、人間変わるモンだよなァ~~ッ」

康一「もう、やめてよ仗助くん!昔の話はさ」テレテレ

億泰「そういやそうだったなァーッ。高校生の頃なんざ康一のやつ……」

康一「だから、やめてってばーっ!」

ワイワイ……

早人「……あ、おはよう静さん。と、双馬くん……だっけ?中等部の」

双馬「……おはようございます」ペコリ

静「うぇ、早人先生も来るの?なんかそれって気ィ休まらないっつうか、監視されてるような気がするっつうか……」

早人「アハハ、今回ぼくは先生としてではなく、仗助さん達の友達として参加してるだけだよ。別にあーだこーだ言うつもりは無いから、安心して」

静「そういう事ならいいんですけど……ホントに何も言わない?マジで?……成績影響しないよね?」

早人「……悪い事はやめてよ?」

静「それに……ふーん……」

噴上「……な、何だ?静ちゃん」ドキドキ

静「いやいや。裕也さんも来るんだ、って思って」

噴上「ま、まあな。仗助達とは古い付き合いだし……」

静「いや~~。いーい旅になりそうね、これは」

噴上「?……えーっと……そいつはどういう意味だろうか……?」

静「……100万」ボソッ

噴上「親切丁寧にエスコートさせていただきます、静お嬢様ッ」ペコオーッ!

静「むふふ♪お嬢様はやめてよ~~裕也さんったら!」

仗助「……何やってんだ?おめーら……」

スタスタスタ……

仗助「……ん?」

ザッ

双馬「……おはようございます、東方仗……いえ、仗助さん」

仗助「……お、おォ。……おはよう」

双馬「……」

仗助「……あー、その……何だ。……えっと……」

双馬「……」

仗助「……おめーの、その……父親の事は……その……おれも思う所はあって……だから、おれ……ずっと謝らないと、って……」

双馬「……いいんです」

仗助「……え?」

双馬「今回、僕はその事を蒸し返しに来た訳じゃあない。……水に流して、なんて都合の良い事は言わないし、僕は決して忘れはしません。あんたに対する恨みは。……けど……」

仗助「……」

双馬「……今回のキャンプは……楽しいキャンプにしましょう」

仗助「!……おお、そうだな……」

双馬「……はい」

億泰「裕也、荷持はこっち積んでやるぜ。これ炭か?」

裕也「おう。持ってくるのは苦労したぜ」

仗助「えーっと……これで全員か?」

静「あ、ちょっと待って兄さん」

仗助「あん?」

静「もう一人、その……そこの電柱の影にいて」

仗助「?」

クルッ

純「ゲッ」チラリ

静「純、何してんの?置いてくわよ?」

純「う……うっせェーなーッ!別に私は、そのッ……キャンプに参加しに来た訳じゃあなくって!そのッ……違ェーからなァーッ!」

静「しっかりリュック持ってきてんじゃん。あ、意外とコンパクト」

純「だから、違ッ……私はなッ!肉!肉食いに来たんだよッ!だから、おめーと仲良しこよしでキャンプするつもりなんて全然無ェーッ!わかったかこのスケスケスケベ人間!」

静「んなッ!スケるのとスケベは関係無いでしょーがッ!っていうか純の方がスケベじゃんかさーッ!」

純「うっせ、うっせえ!何よ、ったく…………二人っきりかと思ったのに、こんな人いるとか聞いてねえっつうの……」ボソッ

静「?……どうかした?」

純「何でもねーッ!ほら、さっさと肉食う場所まで連れてけッ!」

早人「あれ、吉岡純さん?キャンプに来るんだ?」

純「……何でセンコーまでいるんだよ……クソ……」ブツブツ

早人「へぇー。静さんと仲良いんだね?」

純「どこが!?早人先生それどこ見て言ってンのッ!?静ァ、こいつバッカなんじゃあないのーッ!?」

静「早人先生、純のヤツ照れ屋なんでやめてあげて下さい」ペコリ

早人「あはは、そうみたいだね。うん」

純「ちーがーうーッ!静ァ!殴るわよッこの!」

静「はいはい殴るのはやめてね。……あ、兄さん。この子ダチの純」

純「だからダチなんかじゃッ……!」

仗助「おお、よろしくなーっとォ」

純「……よ、よろしくおねがいします……?」マジマジ

仗助「?……どうかしたか?」

純「い、いえ……その……」マジマジ

静「?」

純「……その『髪型』……」

仗助「……」ピクン

静「!!――っげェー似合ってるわよねッ!?純ッ!!?」ガシイッ!

純「んわっ!?……え?」

静「ね?兄さんの髪型、今日もバッチリ決まっててグーよね、グー!いやーイカしてるわ……妹のあたしも誇らしく思う。ウンウン」

仗助「……そうか?まあそれならいいんだけどよォ~~」

純「……静、いきなり何?ちょっと痛いんだけど」ヒソヒソ

静「純、ちょっとこっち来て」ヒソヒソ

純「は?なんで?」ヒソヒソ

静「いいから来るッ!」ヒソヒソ

…………

…………

静「……あのね、兄さんの髪型をケナすのはマジ禁止だからね?」

純「……はあ?別にケナすつもりなんか無いっつうの。……まあ、ちょっとフルくせー髪型かな?とは思ったけど……」

静「だから、それが禁句なんだってのーッ!さすがに兄さんも初対面の女の子をボコボコにするようなマネはしないけど、こっから先キャンプがずーっと重い空気に支配されるわよ?」

純「……そ、そんな怒るの?アンタの兄さん……髪バカにされただけで?」

静「妹のあたしだったら躊躇なく殴るわね。今アンタ本気でヤバかったんだから……」

純「だから、私はバカにするつもりは無かったんだって!」

静「じゃあ、何言おうとしたの?」

純「別に……ただ……」

純「うちの父さんがさ、よく酔ったら『リーゼントのせいで人生ムチャクチャにされた』って愚痴ってたのよ。……それ聞いてたから、なんかアンタの兄さんの髪型見て、思い出しただけ」

静「……」

純「……一応聞くけど……関係無いわよね?その……うちの父親と」

静「無いでしょ。さすがに……っていうか、アンタのお父さん、リーゼントに何されたの?」

純「……取り引きを無茶苦茶にされたって」

静「兄さんが意味も無くそんな事しねえって。もう……」

純「……それならいいんだけどさあ……なんか……うん……」

…………

…………

仗助「話は終わったのか?何だいきなり、二人してコソコソしやがって……」

静「な、なんでもなぁ~~いっ!全然なんでも!ねえ、純?」

純「はあ?なんでそこで私に……まあ、その、ハイ。なんでもないデス……」

億泰「おい、そろそろ出発しようぜーッ。このままトロトロしてたらキャンプ場着くの夜になっちまうぜ」

康一「そうだね。ぼくと早人くんは億泰くんの車でいいのかな?」

那由他「あ、パパッ!あたしお兄さまとお姉さまと同じおくるまがいいっ!」ピョンピョンッ

仗助「じゃあ~~子供連中はおれの車乗せるぜ」

静「大人のレディーなんですけど」

純「席どうすんの?私助手席がいいんだけど」

双馬「勘弁してくれ。なんで僕が後ろの席でスシ詰めにされなきゃあならないんだ」

純「はあ?年功序列ってあるでしょーが。譲りなさいよメガネ」

双馬「双葉双馬だ。年下のワガママは聞くもんだぞ?年増」

純「吉岡純よ。ムカつくガキね……静の恋人?お互い恋人の趣味悪いわねーッ」

静・双馬「「違うッ!」」

那由他「静お姉さま、純お姉さま。あたしお二人の間がいいですッ!」

静「決定ね。純左でいい?」

純「ちょっと、今の一言で決定なの?私さァー結構車酔いするタイプだから、マジで助手席が……」

那由他「イヤ、ですか?……純お姉さま?」ウルウル

純「うッ……嫌じゃあないけど……その……まあいいんだけど……」

那由他「やったァ!お二人の、あいだぁ~~っ♪」クルクルッ

静「那由他ちゃん、泣き落としを覚えたのね……将来ワルい女になるわよ」

純「……っていうか、『お姉さま』ってやめてよ。なんかゾワゾワする……」

バタンッ!

双馬「よろしくお願いします、仗助さん」

仗助「おう、よろしくなァーッ」

双馬「……安全運転で頼みますね」

仗助「おう。……それで、悪いんだが……」

双馬「何です?」

ドサッ!

双馬「ぐふっ!?」

仗助「その地図帳見て、ナビゲーションして欲しいんだよ。この車ナビついてなくってよォ~~」

双馬「……僕が、ですか?」

仗助「おう。いつも遠出する時は静がやってくれてんだ。まあ今回は前に億泰の車あるから、大丈夫だろうけど」

双馬「……今どき、スマホとかでナビくらい」

仗助「山ん中走るから、最悪電波通じねえぞ」

双馬「……静、今から代われないか?」クルッ

静「え?いいけど……代わりに那由他ちゃんと遊んでくれるの?」ヨシヨシ

那由他「え?」キラキラッ☆

双馬「……目的地何処です?」

仗助「S市から離れた所のだな――……」

仗助「よーしッ、出発すんぜーッ!シートベルト閉めたか?大丈夫だなーッ?」

那由他「はーいッ!」

静「出発進こーうッ!YEAAAAAAAAA!!」

純「テンション高すぎるわよ……ハァ」

ブウウーッ……

双馬「あ、仗助さん、道逆です」

仗助「えっ?」

…………

本日はここまでです。
今さっき、まだキャンプ場にすら着いてない事に気付いた

わだかまりが無いってわけじゃないけど楽しそうで何よりだ

>>1の中の純とか那由他ちゃんの容姿のイメージってどんな感じなんだろう
オリジナルキャラのイメージとか教えてほしいの俺だけかなァ?

>>272
http://imepic.jp/20141013/683140

……なんかごめん。
基本的に、皆さんの好きなイメージでいいかと思います……これはまあ1つの形として

…………

ブゥゥーン……

那由他「あっ!お姉さま、海ですよ海ィッ!」グイッ!

静「イタタ、那由他ちゃんいきなり身を乗り出すのやめてよ……しかし、フーン。海ねぇ……」

那由他「綺麗ですよね、ね!」

静「いや、あたし実は全然海でテンションあがんなくてさ。てゆーかァァ~~『水』が溜まってる場所とかチョー苦手。『水槽』とか『池』とか『プール』とか『水族館』とかァァァー」

純「プ!アンタ、水なんがか怖いの?息出来ないからお水に顔つけられませーんって?」

静「水以外にも、魚とか海藻とかカニとかエビとかも結構苦手よ」

純「そーいう事言ってんじゃあねーぞまったくよォ――」

静「こーいう事言ったら承太郎さんに怒られるかもだけど、赤ん坊の時に溺れたせいで、マジにトラウマなのよ。魚や海が好きな人間って、アンビリーバボー!信じらんない!水族館とかバカ高いカネ払って魚なんか見て、何が楽しいのよ……那由他ちゃん席変わる?」

純「意外とガキね、あんた……そういや体育の水泳の時間、ずっと見学してたっけ」

静「他の競技でグンバツの成績取ってやったけどねーッ。見学分は余裕で取り返したわよ」

純「泳ぐのなんか簡単じゃあないの。グーッって息止めてズパーッて身体伸ばしてバシャアーッって足動かしゃあいいでしょう?ちょっと海飛び込んでこいよ」

静「いやもうマジ無理だから。海流も速いからきっと流されるだろうし~~。来週の朝はハワイ沖かなあ~~」

純「……」

那由他「来週ハワイかぁ……」

バァァ――ァッ……

双馬「……」

仗助「双馬ァ~~。おめーはどっちのキャラが好きだよッ?」

双馬「?……」

クマちゃん『……』

戦闘ロボ『……』

仗助「クマちゃんと戦闘ロボ、どっちが好きだ?」

双馬「……どっちも好きじゃあないですね。こんなガキっぽいの」

仗助「じゃあおめーは『マジメちゃん』だなッ!」

双馬「……」ジロリ

仗助「おいおい、んなこえー顔する事ァねーだろッ?今のはただの心理テストってヤツだよ。ホラ!自覚はなくともおめーがどういう人間かある程度推測できる……」

双馬「……あのですね、仗助さん。何か……『勘違い』しているようですから、言っておきますが」

仗助「?」ブゥゥーン

双馬「今回のキャンプ……僕は精一杯、楽しいキャンプとなるよう努力するつもり……ですが。……貴方に対する恨みは消えた訳では無く――」

静「兄さん、双馬ァーッ。キャラメル食べる?」ヒョコッ!

双馬「…………」

仗助「おっ、ありがとよーッ静。けど今手ェ離せねえからよ。口に放り込んでくれ」

静「そんくらい自分でやれってのーッ」ヒョイッ

仗助「ングッ……ありがとう。いや、ありがとう」モグモグ

双馬「……静、お前……お前なあ……」

静「何?双馬。もしかしてあめちゃんの方がいいの?」

双馬「もういい……キャラメルで構わない。それでいい……もうどうでもいい……」ブツブツ

静「?……変なの」

ァァァ――ァァ……

静「んーッ!車で遠出するなんて久しぶりだけど、こうして流れる景色見てたら気持ちいいわねーッ」

那由他「そうですわね、お姉さま」

純「フン!……何がいいのよ、こんなの……」ムスッ

静「純、テンション低いわよ。もっとアゲアゲでいかないとォーッ!イェイッ♡!」

純「……こうして、車乗ってぼーっとしてる時間あったら……その時間に勉強していい大学行くのも、カネ稼ぐのも本読んで知識蓄えるのも出来るじゃあないの。……私、旅行が……っていうか、旅行の移動時間が嫌いなのよ」

静「……えーっと……」

双馬「……本で読むだけでは得られない経験というのもあるさ」

純「たとえそんな経験があろうとも、私にはいらねーッ。ハァ~~……はやく到着しないかな」ブスッ

静「……純」

純「何よ。私は肉食いに来ただけであって!それ以外の事を楽しむようなヤツじゃあねーのよーッ」

静「……」

純「……」

静「……『しりとり』しない?」

双馬「……」

那由他「……?」

仗助「……ん?」

純「……あァ?」

静「旅行の移動時間、退屈な時間ンーッ……楽しいゲームをしたら一瞬!でしょっ?ハイ!静ちゃん天才ィィィ――ッ!!♡」

双馬「……この流れでか。この空気でそんな事言うのか、お前はッ!」

純「いいよーッ」

双馬「い――いのかよォォ――ッお前もォォ――ッッ!」

純「それで?……『ルール』は……どうするの?」

静「?……『ルール』?」

純「使っていいのは単語や物・人の名前、地名とかでェェー、文章や台詞やことわざ・四字熟語は無し。一人持ち時間は『10秒』で、自分の番が周ってから10秒を超えたら負け……って事でいい?もっと詳しくルール決めとく?」

静「い、いや……そのくらいで」

純「で?……『賭け金』はいくら?」

静「……はあァッ?」

静「純ッ!!この『賭けジャンキー』がッ!んなのナシに決まってんでしょーがーッ!!」

純「はああああッ!!?んじゃあそんなゲームしても何の意味も無いじゃあない!くっだらねー事言ってんじゃあねーぞォォ――ッ!!」

静「アンタもうそーいうの足洗うんじゃあなかったの?この世の中はね~~意味の無い事ばっかで埋め尽くされてんのよ。身動き出来なくてエコノミー症候群になっちまうくらいにねーッ!」

那由他「エコノミーなんだぁ……」

純「……なるほど。そんな意味の無い事に慣れるためのお勉強、って事?」

静「そこまで深くは言ってない」

純「いいわよ……やってやる。私くらいになると『しりとり』だって圧勝よ」

静「オーケー、那由他ちゃんもやるわよね?」

那由他「もちろんですッ」

静「双馬と兄さんは?」

双馬「地図帳とにらめっこするので忙しい」

仗助「おめーらのシリがふきトんでもいいならやるけどよ~~」

静「兄さん、安全運転でよろしく」ビッ

純「じゃあ、しりとりの『り』から……『リンゴ』」

那由他「『ゴリラ』」

静「『ラッパ』」

純「パ……『パイ』」

那由他「い?……『家』」

静「えー……『エイジャの赤石』」

純「き……ちょっと待て」

純「静、あんた反則」

那由他「イエロー?レッド?」

純「ギンギンのレッドよ」

静「なんでよッ!?」

純「聞いた事がねーわよッ『えーじゃのせきせき』なんてッ!何?宝石の名前?言っとくけど私そーいうのは詳しいんだからな」

静「あ、知らない?マジに?ホントに知らないの?フーン……『エイジャの赤石』を知らないなんて、可哀想……かつてこの世界を救った大英雄のお話を知らないのね」

純「……」

静「……聞きたい?興味ある?」

純「別に……聞きたくないわよ。そんなの」

仗助「おれは興味あるぜーッ。それはアレだろ?じじいの話だろ?おれ詳しく聞いた事がねえんだよな」

静「ふふふ、しっかたないわねーッ。じゃあ~~この静ちゃんが!親切丁寧に教えてあげるわッ!あたしのおじいちゃん……父ジョセフ・ジョースターが、若かりし頃歴史の影でどのような活躍をしたのかッ!」

双馬「……へえ……」

純「……」ピクピクッ

那由他「ど、どのような話なのですか?お姉さまッ!」

純「そうね……まず、おじいちゃんがアメリカで警察をブチのめした話なんだけど」

純「静、その話本当に大丈夫なんだろうな?」

短いですが今回ここまでです

ちょいリアル忙しいですが、これからは更新速度あげます……たぶん

最後の二行、純の一人芝居になってるww

>>311
静と純って同じ一文字でごちゃごちゃになりやすいんです……すみません
>>304の最後から2つめの台詞、静で脳内補完お願いします

……ゥゥーン……

キキッ!

仗助「よーし、着いたぜェ~~ッ……っとォ」ガチャッ

双馬「……地図通りならここで合ってますが……億泰さんの車、無いですね」ガチャッ

ガチャッ!

純「だから、オメーの言う事はさっぱりわかんねーわよッボケーッ。何よ、柱の男って?」

静「さっきから言ってるでしょ?そいつが全部悪いんだっての。吸血鬼生み出して食うのよ」

純「それがマジだったら今すぐここに来て欲しいわね。全部解決すっからよーッ。メイ食ってもらおうぜッ!」

静「……宇宙に飛んでったらしいけど、降ってくるかな?」

那由他「降って来たら大変ですね……地面に穴あいちゃう」

双馬「……何の話だ、それ」

噴上「おう、遅かったな仗助。受付終わらせといたぞ」テクテク

仗助「おお、裕也ァー。ありがとよーッ」

噴上「キャンプ場所はあっちだ。Aの6……ん?億泰達はどうした?」

仗助「それが、まだ来てないみてえなんだよ。きっともうすぐ……」

……ゥゥー……

静「あ、来た」

ガチャッ!

億泰「おう、遅れちまったな。すまねーッ」バタンッ

仗助「どうしたんだ?一体よ~~ッ」

康一「それが……早人くんが車酔いしちゃって。コンビニで休憩してたんだ」バタッ

早人「うう……すみません……オゲッ」ヨロッ

純「アハハハハハハ!早人先生なっさけなーい♡すっかりグロッキーじゃん!」

早人「あまり得意じゃあないんだ、乗り物って……車でこんな長距離移動するの、小学校の社会見学以来だし」

純「それにしてもこんなヨロヨロなるなんて……ププ!笑いが止まんないわ!」

静「……アンタも車酔いするタイプなんでしょーがッ純~~ッ」

双馬「……酔い止め、一応ありますけど……もう遅いですよね」

早人「いや、ありがとう。いただくよ……オエエ」グッタリ

那由他「……あっ♡お姉さま、来てくださいッ!」

静「え?」

タタッ!

バァァアアア……

那由他「綺麗……大きな湖ですね……!」

静「……うん、そうね……うん……」

双馬「……静、お前少しイヤそうな顔してないか?おい?」

静「そ、そんな事無いわよォォ~~ッ?あたしハッピー!キャッ♡」

純「……スーッ……ハーッ……空気が美味しいわね……」

双馬「え?」クルッ

純「……なんでもねーわよックソメガネ。むこう向いてろッ!」

噴上「おいお前ら、キャンプ場所はこっちだぞ」

仗助「道具運ぶん手伝えーッ」

4人「「「「はーい」」」」タタッ

ドッサアッ!

静「ふー……肩コっちゃったわ」コキコキ

純「ざけんなッオメー『スタンド』使ったろ」

早人「……ううう……」ウゲッ

那由他「せんせい、大丈夫ですか?お水飲みます?」

早人「いや、大丈夫。ありがとう……」ヨロッ

仗助「しっかし広いキャンプ場だぜ。こんな所初めてかもな~~ッ」

康一「まず、何をすればいいの?億泰くん」

億泰「決まってるだろーがよーッ。キャンプといったらまずテントだぜッ!次にタープゥ~~ッ!」

噴上「?……テントはわかるが、タープ?なんだそりゃあ?」

双馬「……日差しや雨を防ぐための、簡易な屋根のようなものです。8月の日差しは厳しいですからね……ノンビリするにはタープの下がいいでしょう」

億泰「おッ!よくわかってんじゃあねーかッ!オメーもしかしてアウトドア好きかぁ~~ッ?見た目はそうじゃあねーけどよッ!ギャハハハ!」

双馬「……常識の範囲内です」クイッ

噴上「じゃあ手分けして張っていこうぜ。これがテントか?」ガサッ

純「オッサン、張り方わかるの?」

噴上「いや、わかんねえが……なあ、お兄さんと呼んでくれねえか?地味に傷つくぜ……」

純「特別に『パパ♡』って呼んであげてもいいけど?」

静「純、那由他ちゃんいるから」

……カンカンカンカン……

億泰「次に、この位置にペグ……この杭を打ってよ~~ッ」

仗助「なんだ、結構簡単じゃあねーか。用はこの布を杭で引っ張りゃあいいんだろ?」

億泰「綺麗~~ィに張るにゃあチョイとコツがいるんだよ、コツが~~ッ」

那由他「パパ、あたしもお手伝いしたいですっ!」ピョンピョン

億泰「お?そうか?じゃあこのハンマーを……注意して持てよ。危ないからなーッ」

双馬「……」カンカンカン

静「双馬、あたしにもやらせて!ね、ね?」

双馬「嫌だよ。お前がやるとズレるだろ」

静「やってみたいのよ!やらせて!やらせてくれよォ!」

純「自ら望んで肉体労働したいなんて、アンタ物好きね……私はパスよ、パス」

静「だって!なんか面白そうじゃあないのよーッ!カンカンって叩いて!」

仗助「確かになァ~~。俺もやってみてえが、ハンマーの数が……」

静「!……静ちゃん、閃いちゃったわ!」ピコーン!

仗助「あン?」

静「ハンマーの数が足りなくっても……『ワイルド・ハニー』でッ!」ギャン!

ワイルド・ハニー『ドラア!!』

ドッガア!

シュウウ……!

双馬「……」

静「ねッ!どーよコレッ!?これならお手伝い出来るわよッ?静ちゃん天才!っていうか健気ねェ~~そこまでして手伝おうなんて……泣ける」

双馬「……おい、静」

静「あ!お礼ならいらないわよ双馬ッ!あたしが自主的にやっただけだしィ~~。っていうかパワー型じゃあない双馬や純の分まで、あたしが頑張らないとねッ!ウフフ♪」

双馬「……ペグ打つ場所が違う」

静「……えっ」

双馬「……」

静「……」

仗助「……おい、抜けるのか?この杭……深々と刺さってんぜ」

…………

…………

ガサアッ!

億泰「後はここを引っ掛けてェ……っとォ。よし!完成だぜェ~~ッ!」

バーン!

那由他「おーっ!すごい、すごーい!」ピョンピョン

純「へえ、結構本格的。こっちのちょっと小さいのが女性用?」

億泰「おう。あっちの大きい方が男連中のだ。双馬ァ~~。オメーも当然向こうだからよーッ。夜は仲良くしようぜ~~ッ」

双馬「……イビキとかやめて下さいよ?僕、そういうの苦手なんで」

静「よーし!では早速……」ヂーッ!

静「1番、静・ジョースター!テントの寝心地を確かめさせていただきまーすッ!」

ピョーンッ!

億泰「あ、静」

静「え?」

ゴンッ!!

静「~~!!……!!~~!!」ゴロゴロ!

億泰「……地面にシート敷いただけだからよ~~ッ。下に石とかあったら危険だって言いたかったんだが……」

静「……もっと早く言ってよッ!!」ガバッ!

純「アーハハハハハハハハハ!!!ギャハハハハハハハ!!」

静「純うっさい!笑いすぎだってのッボゲッ!」

双馬「おい、静見てみろ。テントの下にこんな大きな石があったんだが……」ガサッ

静「?……何?」

双馬「……石まで笑ってるぞ。大爆笑だ。ほら、ここの文章……笑いで埋め尽くされてる」ペラッ

静「どっか遠くに捨ててきてッ!あたしの半径1キロ以内に近づけんなーッ!!」

ギャーギャー!……

噴上「フーッ。何にせよ一段落……って所か」ガタッ

仗助「お、裕也その椅子どうした?」

噴上「億泰の車に積んでた。人数分出してるぜ……そこ置いてる」

康一「よいしょっと。……早人くん、落ち着いた?もしあれだったら、テントで寝ておく?」

早人「いえ、大丈夫です。もう吐き気は治まりました……ふう」

静「ちょっと兄さん、椅子座って休憩してる場合?見てよ!テントよテント!あたしが立てた!」

双馬「……お前は邪魔ばかりしてただろうが」

純「ホントそうよね。お邪魔虫よね。マジありえねーッ。ギーッ!って感じ」

那由他「……純さんは何もしてなかったですけど」

仗助「おう、すげーすげーッ。今夜は気持ちよく寝られそうだな……ジュース飲むか?」

静「今はそれどころじゃあねーってのッ!」

静「何てったって、『杜王町探検隊』の本部基地が完成したんだからね……!」

双馬「おい、何だそれは。初めて聞いたぞ」

静「え?ダメ?杜王町探検隊。良いネーミングじゃあない?これから野山を探検して遊びつくすんだから、こーいうチーム名とかアリじゃあない?」

純「アリかナシかで言うとナシね……ダサい」

双馬「それに、その名前だと杜王町を探検するみたいだ」

静「うっせーわねーッ。那由他ちゃんは良いと思うわよねッ?」

那由他「えッ!?……す、すごく素敵だと思いますわ……」

静「ホラ!ね?」

純「思いっきり言わせてんじゃあないの……」

双馬「で?何て言ったか?……本部……?」

静「本部基地、ベースキャンプよッ!ここを拠点として、我ら『杜王町探検隊』は行動を開始するッ!いいわねッ?おおーッ!!」グオッ!

那由他「お、おー!」グイッ

純「小学生かッオメーは」

億泰「いいじゃあねえか。面白そうでよ~~ッ」

静「むふふ……こういうの、好きだったのよねーッ。おじいちゃんから冒険話聞いて育ったから、子供ん頃は冒険ごっこばかりしてたわ……懐かしい」

双馬「……フーン……」

静「と、言うわけで……早速探検に行ってくるわね、兄さん……いえ、指令ッ!」ビシッ!

仗助「おれが指令かよ。悪い響きじゃあねーけどよ~~ッ」

億泰「あ、待て静。探検行く前によーッ。やっておく事……あるんじゃあねえか?」

静「?……やっておく事……ウンコ?」

億泰「腹ごしらえだよッ腹ごしらえーッ!今からメシを作るぜッオメーらよーッ!!」

静「メシ……って、料理?」

億泰「キャンプん時の昼飯と言ったらッ!『カレー』だぜェ~~ッ!全員で協力して!とびっきり美味えカレー作ってもらうからな~~ッ!!」

ドーン!

双馬「……カレー、か。まあ……ルーを使えば簡単な料理だな」

那由他「そうですね、ハイ」

静「あ、そうなの?」

双馬「……ん?」ピクッ

純「バッカねえ、静。カレーなんて水沸かしてルー入れたら終わりの簡単料理でしょ」

静「え?アレ?……玉ねぎとか肉とかは?」

純「じゃあ~~それもついでに入れたらいいだけの簡単料理だッ!」

静「なるほどォ~~ッ!簡単料理ねーッ!」

純「そうよッ!簡単カンタンン~~ッ♪」

静・純「「アハハハハハハハハハハハハハハ」」

双馬「……(静、純……こいつら、『作れる』……のか?……)」タラリ

…………

今回ここまでです
次の次あたりには話引き締まると思います。たぶん

…………

ズラッ!

億泰「食材と道具は用意してっからよー、全員役割分担して作ってみな。怪我はしねえようにな」

静「ふむふむなるほど……アレ?兄さん達は?作るの手伝ってくれないの?」

仗助「大人連中は休憩だ、休憩ィー。運転やらなんやらで疲れてるからな……カレーは杜王町探検隊で作ってくれ」ブラーン

静「ちょッ……兄さん待って!それ何?……『ハンモック』?スッゲ、楽しそうじゃん!代わって代わって!!」

仗助「後でなァ~~ッ。あ、コレヤバい。意識が遠くなってくるぜ……」スヤァ

静「ムググ……あたしハンモックで横になるまで料理しないッ!」

純「いいから、ホラ!さっさと作んぞ静ァ……ああめんどい……」

ドンッ

双馬「……役割分担、と言ってもだな……静、お前料理の経験は?あるのか?」

静「毎日兄さんの作る手料理食べてるから、味見なら自信あるわよ」

双馬「……僕は料理の経験を聞いているんだが」

億泰「マ!おれが監修してやっからよ。そうキばらずに軽ゥ~く作ってみりゃあいいんじゃあねえか?この、料理人である、億泰様がなァ~~ッ」どやっ!

純「……那由他ちゃんのお父さんって、日本料理専門なんだっけ?カレーって日本料理か?」

双馬「……カレーライスは、インドカレーを日本人の好みに合うよう改良されたものらしいが……どうだろうな……」

静「料理なんて簡単よ、簡単ンーッ。まずアレでしょう?食材切っちゃえばいいんでしょう?」ガシッ

双馬「!……静、オイ」

静「何よ?」

双馬「……包丁の持ち方が変だ」

静「……」

那由他「ど、どうしてそんな方向に刃があるんですか……?お姉さま、危ないですよ?」

静「ちょ、ちょっとしたちゃめっ気だよ~~ん!やだなァ~~もう!本気にした?アハハハハ……」スチャッ

双馬「……お前左利きじゃあないだろうが。何で左手で包丁持つんだ」

静「……今右手で持ったら文句言ったじゃんか」

双馬「『持ち方が変だ』と言っただけだ」

静「……」

静「あーもうッ!こんなの切れりゃあいいのよ、切れりゃあさーッ!玉ねぎなんて、こうしてズバーッっと……」スッ……

双馬「!!ちょ、待――」

紙人間『ペラア!!』

ドゴオ!

静「うげェーッ!?……なッ!!どォーしていきなり殴るのよッ双馬ァ――ッ!!?」イデェーッ!

双馬「お前はアホかッ!?アホなのかーッ!?玉ねぎを皮ごと切ってどうするつもりだ!?皮食うのか?切ってから皮取り除くつもりか?オイッ!」

静「え?……『皮』?」

双馬「……」

那由他「お、お姉さま……玉ねぎの皮は、食べられないんですよ。剥かないと」

静「ウッソ、玉ねぎって剥いても剥いても中身が無いんじゃあないの?食いしん坊のおばけの子ォ~~ッ♪ってさ」

那由他「……」

双馬「億泰さん、僕コイツとは一生解り合えません」

億泰「ま、まあまあまあまあ……」

億泰「静、オメー料理出来るんじゃあなかったのか?お菓子作れるって仗助から聞いてたけどよー」

静「お菓子はね……お菓子は作れるの。淑女の嗜みだって言ってさ、教わったから。……けどさ、実家ではローゼスさん……あ、お孫さんの方ね。ローゼスさんがあたしを厳チーい目で見ててさァ~~ッ。刃物とか持たせてくれなくって……」

億泰「つまり……野菜や肉切ったりっていう料理の経験は無いって事かよ?」

静「だよッ。こっち来てからは兄さんが料理作ってくれてるし……」

純「アハハハハハハハ。静、貴女カレーすらまともに作れないの?くっだらねーッ!」

静「……そういうアンタは、純。……料理出来んの?」

純「ハア?何で私が料理なんかしなくっちゃなんないの?」

静「……」

純「腹減ったら弁当買うとか『パパ』に奢ってもらうとか、いろいろ方法あるしィ~~ッ。わざわざメシ作る必要なんか無いっていうか……作れる必要ある?」

静「……言ってる事矛盾してるわよ、アンタ……」ハァ……

純「作れなくってもカレーくらい楽勝って話よ。私の頭の良さ知ってんでしょ?成績オール5よ?」

双馬「……じゃあ、質問だが……このニンジンはどうやって切る?」

純「え?切らなくっても良くない?」

双馬「……」

那由他「……」

純「煮込んだら良い形の大きさになる……んじゃあ、ないの……?アレ?」

双馬「圧倒的に経験不足だな……お前ら食材に近づくな」

純「なッ!?」

静「『ら』?……え!?あたしも?」

双馬「決まってるだろうがッマヌケ!むしろなんで今自分を除外したんだッ」

那由他「申し訳ないですけど、あたしの方が料理上手な自信がありますよ?お姉さま……」

億泰「まあ、那由他はおれのお手伝いをよくしてくれてるからな~~」ウンウン

静「不公平よッ!そんなの英才教育じゃんッ!」

双馬「兄が夕食作る手伝いすりゃあいいだろうが」

静「……論破されちゃったわ」グスン

純「怖ェー中坊ね……年上をもっと敬ったらどうなの?そんなんじゃあ将来社会出てから人間関係苦労するわよ?」

双馬「余計なお世話だ。お前らが尊敬出来ないよーな行動ばかりするからだろ……」

トントントン……

双馬「へえ、上手いものだな……その年でそこまで包丁を扱えるとは」ガシュッガシュッ

那由他「パパに教わりましたから♡」

億泰「パパは鼻が高いぜ……フフーン」どやっ!

那由他「お兄さまは、玉ねぎを炒めてもらえますか?」

双馬「ああ……億泰さん、バーナーの火が安定しないんですけど、もっとポンピングした方がいいんですか?」

億泰「あまりしすぎても良くねーぜ。時間が経てば安定するんじゃあねえのか?」

ワイワイ……

静「……なんか、あそこだけ『キャンプ!』って感じね」ポツーン

純「ふ、フン!別にッ肉体労働なんてしたくねェ~~しィ~~ッ……」ショボーン

億泰「おっと、そうだな~~……料理出来ないズ」

静「んな不名誉な名前で呼ぶんじゃあねーわよッダボ泰ッ」

億泰「オメーらにピッタリの仕事があったぜ……『ごはん』を炊いてもらおうかッ!」

バーン!

静「『ごはん』?『飯ごう炊さん』って事?そんくらいだったら、まあ……包丁持った事は無いけど、炊飯器のスイッチ押した事だったらあるし」

億泰「……失敗したら『おかゆカレー』だぜ?責任重大だ」

静「ぐ……」プレッシャァーッ

純「ごはんを……炊く?」

静「純~~、さすがにそれくらいはわかるでしょ?お米は食べた事あるわよね?純粋な日本人なんだから」

純「……『レンジ』はあるの?」キョロキョロ

静「純、それ違う……米から炊くのよ、ごはんを」

純「???」

億泰「……大丈夫か?コイツ?」

静「えーっと……まあ、たぶん……」

億泰「まずはだな、米を研いで綺麗に……」

静「億泰、この静ちゃんをバカにしすぎよ。たしかに育ちはアメリカだけど、そんくらいわかるっての」

億泰「そうか?ちょいと不安でよ~~」

純「?」

静「純、アンタごはん炊くの初めてなんでしょ?練習がてらにさ、お米洗ってよ」

純「洗う?……洗剤は何使うの?」

億泰「……」

静「……」

純「……あ!何その目は?わかってるって……食器用でしょ?これで洗うんでしょ?……アレ?けど『食器』って……?」

静「純……さすがのあたしでも、キツいわ。それ……」

億泰「あー……その、おれもよ~~……家庭事情にゃあ深くは突っ込まねえが……家でごはんを炊いた事無えのかよ?炊飯器あるか?家に?」

純「……無い」ボソッ

億泰「……無い、のか……」

静「……アンタ、大きくなって金稼げるようになるまで、どうやって生きてたの……?」

純「……盗んだりとか……父親の食ってる酒のつまみ、かじったりとか」

億泰「や、やめてくれ……おれももうトシでよォー、そういうの聞くと涙が……ズビッ!」

純「?……」

静「純、もういいわ……あたしがおいチーイごはん炊くから……アンタ、ゆっくりしてて……ね?」ニッコリ

純「?……何よ、急に優しくなって」

静「いいのよ。ホラ!大自然に囲まれてゆっくりしてなって……ね?」ニコッ!

純「??……変なの」テクテク

静「……」

億泰「……頑張ろうぜ、静」ポンッ

静「うん……静ちゃん、目玉が飛び出るくらい美味しいごはん、作ってやっからね……!」

…………

…………

パカッ!

静「どれどれ?……おっ!」

ホッカホカァ~~ッ♡

静「ヤッベ!グレートにうまそうッ!あたしごはん炊く才能ある?こりゃあみんなもビックリね。キャーッ!♡」

那由他「カレーも出来ましたよ、お姉さま」

双馬「このバーナー、弱火が強いんですけど……玉ねぎ少し焦げちゃいましたよ」

億泰「几帳面なヤローだな。兄貴かよッオメー」

静「兄さん、康一さん、早人先生に裕也さーん。カレー出来たよー。静ちゃん特製のねッ!」

仗助「んんー……?……スピー……ZZZ……」

静「兄さんッ!起きろコラーカレー食わせねえぞッ!」ペチペチ!

静「後は、純が……あれ、純は?」

タッタッタ……

純「しッ……静!静ァっ!」ハァハァ

静「おっ?何よ純。息切らせて走ってきて……どこ行ってたの?」

純「あのね、暇だったから早人先生と湖行ってたんだけど……ホラ!」

ピチピチッ!

純「魚!釣れちゃった!!」

静「うおおおおおおおああああああああああああああ!!!」ビクウッ!

静「純ーッ!んなモンいきなり突きつけないでよッ!グロ注意ッ!グロ注意ッ!魚がいるぞォ!」

那由他「わあ、すごいですッ!バケツいっぱいに魚が!」ピョンピョン

純「早人先生も結構釣り上手でさ。教えてもらったんだけど、あたしも半分くらいは!」

双馬「……ていうか、純……楽しんでるな、アウトドア」

純「ま、まあ……なんていうか、悪くないっつうかさ……うふふ♪」

億泰「ほーう、やるじゃあねえか。早人もグッタリしてるだけじゃあなかったんだなー」

早人「ハハ、どうも。といっても、ぼくも初心者なんですけどね……」

億泰「こいつらは夜に焼いて食うか」

静「えェ!?あたし食わないわよッ!?絶対ヤだもんねーッ!」

純「美味いのこれ?なんか臭そうだけど」

億泰「キチンと調理して香草で臭み消せば大丈夫だろッ!腕が鳴るぜェ~~ッ」

静「やだ、やだ、やだ!ぜぇーッたいヤダッ!あたし食わないって魚なんて!確かに前食ったサバは、その、ちょっとは美味かったけど……コレはもうダメ。生理的にムリ!」

純「じゃあ~~私が食うからお前は食うなッ!美味くってもやらねーぞーッ!」

静「美味い訳ねーっての、もう見た目からしてダメだもん。魚とか……クソ、次チェスタって奴に会ったらボコボコにブチのめしてやるッ!」

億泰「誰に当たってんだよオメーは……」

康一「静ちゃん、ごはんはこのくらいでいい?」ホカホカッ

静「あ、康一さん。あたしがみんなのお皿にご飯入れるわよ」

噴上「ほおー、美味そうなニオイだぜ。クンクン…………ちょっと焦げたニオイがキツいが」

静「裕也さん、知らないの?ごはんって『おこげ』が美味しいのよ?裕也さんのにはたっぷり入れてあげるわね」ポンッ!

噴上「あ、ああ。ありが……うっ!」マックロ!

仗助「へえ、静が炊いたのかよォー。なかなか良い出来じゃあねえか」

静「当然でしょー?ハイ兄さんの」ポンッ

仗助「ありがとよ~~ッ」

噴上「……なあ、仗助……お前の『クレイジー・ダイヤモンド』って、腹痛とかにも効くのか?」

仗助「?……外傷じゃあねえから、微妙だな……どうした?」

噴上「い、いや……」ブスブスブス……

ガタガタッ

早人「テーブル、この位置でいいです?」ガタッ

億泰「いや、もーう少し康一の方が奥だな。グラついてるぜ」

康一「こっち?よっ……と」ガタンッ

仗助「億泰、スプーンどこだ?このカバンか?」ガサゴソ

億泰「そっちの布のカバンの方だぜ。飲み物の担当は早人だったか?」

早人「ああハイ。持ってきてますよ。クーラーバッグに入れてます」

噴上「よーし子供たちィー。何が飲みたい?裕也お兄さんが入れてやるぜーッ」

静「あたしコーラ」

双馬「……水ありますか?」

那由他「日本茶でお願いします!」

純「オレンジジュース無いの?それかスプライト」

噴上「バラバラじゃあねーか」

トクトクトク……

コトッ!

仗助「……よーし、それじゃあ……カレーを作ってくれた子供たちに感謝を込めて!」

「「「「「いっただっきまーす!!!」」」」」

カチャカチャカチャ……

静「……ん!うまーい!……けど、ちょっと甘い?」

双馬「甘口だよ。那由他ちゃんがいるからな……タバスコでもかけてろ」

仗助「うん、美味えじゃあねえか。ジャガイモもホックホクでいい火の通り具合だぜ」

億泰「それなんだがよーッ、双馬の野郎スゲーっ料理上手でよーッ!こりゃあ修行すれば良い料理人になるぜーッ!」

双馬「……自炊してるってだけですよ」

億泰「どうだ?おれの下で修行とかよ?」

那由他「ええ!?お兄さまが、うちで修行っ?キャーッ!♡」

純「あ、いいじゃん双馬。ブアイソーなアンタもちょっとはマシになるんじゃあねえのーッ?アハハハハハハ」

双馬「遠慮しておきます」ペコリ

早人「本当、よく出来てるね……ぼくはあまり料理しないからさ。こんなすごいのを外で作るなんて、信じられないよ」

康一「……けど、少ぉし……ちょっぴりごはんが固いかな?」

静「あ、アハハハハハハ!あたしって固いごはんの方が好きだからさーッ……アハ、アハハ……」

純「静、コメがマズイ」

静「ハッキリ言うんじゃあねーわよッコラア!これでも頑張ったのよ?アンタはコメ炊く事すら出来ないじゃあないのよーッ!!」

双馬「うるさいぞ、静……食えないほどじゃあないよ、このごはんは」モグモグ

静「それフォローなってないでしょ、双馬……」ジトッ

噴上「…………」プルプル

仗助「?……どうかしたか、裕也?小刻みに震えてるけどよーッ?」

噴上「……ぐ……」

噴上「グベッ!!」ゴフッ!

ドシャアーッ!!!

仗助「ゆッ!……裕也ァ――ッ!!?」

ド――ン!!

早人「なッ……え?」

億泰「ど、どういう事だッオイィッ!?」

仗助「わ、わからねえッ!いきなり裕也が倒れてッ……新手のスタンド攻撃っすかッコラアッ!?」

康一「仗助くんッ!早く治してあげてッ!」

仗助「もうやってるぜーッ!けど目が覚めねえッ!何が起こってるんだァ――ッ!?」

ド ド ド ド ド ド ド ド

噴上「……く、くさい……コゲ臭いぜ、これ……ゴフッ」ガクッ

仗助「……え?」

・ ・ ・

純「……静?」クルッ

静「……ピ、ピュルル~ルル~♪」

双馬「……口笛ふいてる場合か、お前……」

静「……」

那由他「……」

静「……ご、ごめんなさい……?」

双馬「……ハァ……」

…………

今回はここまでです。裕ちゃんは嗅覚がヤバイ

書いていくうちに、静と純がヤバイ子に……これは、ヤバイ。なんていうか、ヤバイ

前話がけっこう重い分このキャンプが楽しそうで何より。ローゼスの孫もやっぱ優秀なんだろうな~


静「ナユタちゃん料理上手ねェ~ッ」

億泰「俺がナユタに教えた包丁さばきだッ!」どやっ!

おお!更新着てる!!

支援絵描かせてもらいました!
今さらですが子供組で扉絵風です!

http://i.imgur.com/4FDvgWh.jpg?1

>>379
うおおお……あ、ありがとうございますぅ……!
書いてるうちに純ちゃんに愛着わいてきてまして、子供組の支援絵もらって超嬉しいです。
ぶっちゃけ最近リアルが忙しくて、更新速度遅くなってるんですけど、これからはもうちょい寝る時間削って書きます。ハイ。

…………

バァァアアア……

静「ねえ……兄さん。行ってもいいかな……?」

仗助「うん?」

静「『探検』……」

仗助「……」

静「……」キラキラキラ

仗助「ああ、いいぜ……気をつけろよ。くれぐれも怪我とかしねえようにな」

億泰「那由他ァ~~。クマに注意!だぜ。出会ったら死んだフリしろよ」

静・那由他「「はぁーい」」

静「よーし、行くわよ杜王町探検隊ッ!あたしについて来ーいッ!」オーッ!

純「どこ行く気よ。このあたり何もねーわよ?」

静「バカね純。山があるじゃあないの。山ァーッ。山があれば何でもあるようなモンよ?」

双馬「……何を言ってるんだお前は」

ザッザッザッザ……

仗助「……さて、子供連中は行っちまったし……どうするかな~~、おれらはよッ」

噴上「ノンビリするのもいいが……せっかくだしな。何かするか」

早人「あ、一応色々持ってきてますよ?『ボール』『バドミントン』『スポーツカイト』『ブーメラン』……」ゴチャゴチャ

億泰「早人オメー、やたらと荷物多いと思ったらよ……こんなにオモチャ持って来てたのか」

早人「アハハ……生徒と遊んだら楽しいかなって思って、買っちゃったんですよ。フリスビーとかどうです?」

仗助「おっ、いいじゃあねーか。こんなのガキん時以来だな~~ッ」

康一「そうだ。フリスビーに『エコーズACT2』の尻尾文字をつけたらさ、面白いんじゃあない?」4

仗助「……取りそこねたらシャレになんねーから、やめとこうぜ……」タラリ

億泰「っしゃあ!行くぜェーッ仗助ッ!!」グォッ……

仗助「えっ?」

ザ・ハンド『ッシャアアアーッ!!!』

ドギャウ!!

仗助「うおおおおおおお!?」

クレイジー・ダイヤモンド『おおおおおお!!』ガッシイッ!!

シュウウウ……

億泰「ナイスキャッチ!やるじゃあねえか仗助ェ~~ッ」

仗助「ッメー何不意打ちで全力で投げてんだコラアッ!!おれじゃあなかったら死んでる所だぜッ!!!」ヒイーッ!

噴上「大丈夫だ、全力で投げて遠くにいっちまっても、おれの鼻ならフリスビーを追跡出来る」

仗助「そういう事じゃあねーッ!!!」

早人「あの、ぼく見学してていいですか……?」ドキドキ

康一「そうだね……早人くん、一緒に違うゲームしようっか?」

ドラア!

ダボガァーッ!!……

…………

…………

ザァアアアア……

静「よーしッ、全員いるわね?番号ッ!いーちッ!」

那由他「……に、2?」

双馬「…………サン」

純「……………………よん」ボソッ

静「良し(ベネ)。山に入った事だし、本格的に気を引き締めて探検していくわよ」

双馬「……遊びにそこまで全力出さないといけないのか」

静「当然。遊びだからってさあ~~~~気をユルめてボサッとしてっと死ぬわよ?アンタ知ってんの?子供がキャンプ中事故死するってニュース。川とかで溺れてさァ~~。……だからあたしは水には近寄らねーッ」

純「……まあ、小さい子供もいるしね……注意しとくに越したことはないわ」

静「という訳で……隊長であるこの静ちゃんに、ついてきなさーい」フフーンッ

純「……待ちなさい、静」

那由他「!」

双馬「……」え?

静「……どうかした?純?」

純「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

純「……どォーッでもいい事なんだけど……それでも大切な事よ……」

静「……?」

純「……貴女が『隊長』……『隊長』ですってェ……?『リーダー』って事?『トップ』って事ォ?……私を差し置いて?」

純「そいつはメチャゆるせんよなああああ。取り消せ静ッ!テメーが私より上!っつーのが気に入らねーッ!!」

双馬「……子供か」

純「うっせえぞッ双馬ッ!どーでもいいけどコイツが上に立つのが腹立つんだッ!リーダー?笑わせんじゃあねーわよーッ。プッ!」

静「オーケーオーケー、よくわかった……なんだかんだで前戦った時は、一勝一敗みたいなモンだったしね……」

純「あーあそうよッ。最終的には私が負けたが、その前には私が勝ってた!」

静「そうね……あたしもあの負けは結構キたわ。今はもういいんだけど、それでも純が勝敗決めたいっていうのなら……」

那由他「……」

静「今ここで、『勝負』して決めよっか?白黒ハッキリつける?どっちが上かってさァー」

純「ハッ!スタンドでの殴り合い以外だったら負ける気しねーッ……何で決める?『ポーカー』か?『グラスとコイン』か?『チンチロリン』でもいいわよ……?」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

静「……キャンプに来てまで、んなインドアゲームやんねーわよ……道具も無いしね。『勝負』の内容……それは……」

静「『セミ取り』で勝負よーッ!!」

バァ――ン!!

純「ふざけんなああァァァアアアアア!!!」

ギャ――ン!!

純「何であんな『地球外生命体』取らないといけねーんだッ!!『セミ』とかありえないだろッ!!静お前見たことあるのかッ!?コンクリートの上で裏返って死んでる『アレ』をよーッ!!」

静「ダメ。勝負内容はアウトドアらしく『セミ取り』よ。これ決定だっての。やらないんならあたしの勝ちね。フフン♡」

純「しょ……勝負内容の変更を提案するッ!フェアじゃあねえわ!」

静「え~~ッ。じゃあ純ーッアンタ何か思い浮かぶ?アウトドアらしくって白黒ハッキリつけられる勝負ってさあ~~……思い浮かばなかったら負けよ」

純「……『魚釣り』で勝負だッ!!」バンッ!

静「イヤぁああああああああ!!!」

オーン!!

純「イヤとは言わせないからなーッ!『セミ取り』がアリなら『魚釣り』もアリでしょッ!これでナシだったらオメーのもナシだッ!」

静「ふッ……不公平よッフコーヘーッ!あたしが水嫌いって知ってて言ってんでしょーッ!魚とか……ウワッ!考えるだけでサブイボがッ!」ブルルッ!

純「知るかァ――ッ!アンタにとっての『魚』が私にとっての『セミ』だッ!お前は魚を食えるかもしれねーが私はセミは食えねーッ!」

静「あたしだって未だに魚は苦手だってのーッ!!それに!だったらあたしもセミは食えねーわよォーッ!!!」

ギャーギャー!!……

那由他「……双馬お兄さまが『隊長』になったらどうですか?」

双馬「バカ言うな……そんなの死んでもゴメンだ」

…………

…………

静「ふーっ……風が気持ちいいわね……」

ザアッ……

純「……」クルッ

静「?……どうかした?純」

純「……いや……何でもない」

ザッザッザ……

双馬「キャンプ場に近い山だから、そこまで危険は無いが……それでも道は険しいな」

静「そう?険しい方が楽しくない?」

純「貴女だけよ、それは……あっ、ちょっとチビっ子!足元気をつけなさいよ……あのアホサングラス、配慮とかそーいうの何も考えてないからね」

那由他「いえいえ、楽しいですよ?とっても……こんなおっきい山なんて、来るの初めてですから……」

静「……双馬ァ~~。なんかさ、ここ……『キノコ』生えてるんだけど……」

双馬「ん?……ああ、そうだな」

静「これって食べられる?いける?ダイジョブ?ねえねえ?」

双馬「……食べられるけど、やめとけ」

静「なんで?」

双馬「吐くから」

静「……」

純「……そりゃあー食べられるって言わないだろ、メガネ」

双馬「あのな、そんな事言ったら『コーヒー』だって飲み過ぎたら死ぬんだぞ?カフェインは神経毒性を有するからな……もっとも、コーヒーで死ぬには一気にバケツ4、5杯は飲まないとならないが」

静「別の意味で死ぬわね、それ」

双馬「致死量にさえ達しなければ、こういったものは食べられるんだよ……むしろ、毒成分そのものが旨味成分となっているから、食べるとムチャクチャ美味しいらしいぞ、このキノコは」

那由他「へえー……お兄さまは物知りなんですねえ」

双馬「……まあ、食べ過ぎたら吐くし、死ぬがな」

静「那由他ちゃん、キノコに手出さないようにね。美味しそうでも、拾い食いしちゃダメよ」

純「オメーじゃあ……オホン。犬じゃあねえんだからさあ」

静「あっ!あの木になってるの、『グミの実』じゃあないの?丁度いいし、あれ食べながら休憩しよう」

双馬「本当、お前は何でも食べようとするな……まあ、休憩には賛成だ」

純「……そうね……」チラッ

那由他「……純さん、どうかしましたか?」

純「え?」

那由他「さっきから、後ろを……ずいぶん気にしてるようですけど……?」

純「……」

静「……忘れモンでもした?純」

純「……いや、あのさ……」

純「……尾行(ツ)けられてない?私達……」

双馬「……」

静「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

純「……気のせいなら……それでいい。それが一番ベスト。けど……視線を感じる。今もよ。ずっと」

静「誰?裕也さんの『ハイウェイ・スター』が、心配して見に来てる……とか?」

純「違う。……ねっとりと絡みつくよーな『視線』よ。気持ち悪い……ストーカーみてーな気配を感じる……」

那由他「……あたしは……なんにもわかりませんけど……?」

純「……もしかして……いや、そんな……」

静「何?」

純「……えっと……」

双馬「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

純「……『ウォーケン』じゃあ……ない、だろうな?……尾行けてるヤツ……!」

静「!!……」

双馬「馬鹿な、ありえない……ここはまだS市内だが、杜王町からどれだけ離れてると思う。何故そいつがこんな所にいるんだ」

純「……けど……」

静「そうよ、純。それにあたし、このキャンプの事は親しい人にしか言ってない……日程も急に決まったようなモンよ?そんな旅行に、なんでその『殺人鬼』がいるのよ。どっから情報入手してる訳?」

純「……『親しい』って……静、貴女はまだ日本に来て数ヶ月でしょう?」

静「……」

純「その『親しい人』が『敵』かも……って事は……考えられないの?」

静「……」

双馬「…………」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

那由他「な、何の話かわかりませんけど……視線を感じるのなら、こちらから向かってみてはどうですか?『何かご用ですか?』って……」

純「ハ!やっぱ子供ねえーアンタは……そんな事出来る訳無いでしょう?向こうは尾行してる訳なんだから……」

静「いや、それで行こう」

バン

純「……ハア?」

バッ!

静「コラアッ!!そこでコソコソしてるヤツッ!!何の用よ?用があるなら出てこいっての――ッ!!」

ド――ン

純「バッ……馬鹿静ァッ!!」

純「マッ、マジに敵スタンド使いだったらどうすんのよッ!!私戦えないわよ!?私はまだ死にたくないわよォーッ!!」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

静「チマチマ向こうの様子伺うのってどうなのよ。尾行するような根性なし、あたしの敵じゃあねーわよ」

双馬「お前、確かにこっちはスタンド使いが4人だが……僕達は近距離パワー型じゃあないんだぞ。相手によっては――」

那由他「い、いやけどそれよりッ!大真面目に出て来るとは限らないですし。敵スタンド使いじゃあないかもしれませんし……ハハ……」

ガサッ!!

純「!!」ギクッ

双馬「!」スッ……

那由他「!!」ビクッ!

静「……」

ガサガサ……

ガサッ!!

タヌキ『……』

ヒョコッ

静「……え?」

双馬「……」

那由他「……た……『タヌキ』?」

純「……」ヘナヘナッ

タヌキ『…………ブツ……ブツブツ……』ウロウロ

静「何よォー純……視線を感じるって……コレ?コレなの?」

純「うっ……うっせぇなーッボケエッ!本当ォーに感じたんだから仕方ないでしょッ!良かったジャン、敵じゃあなくってさーッ!!」

タヌキ『……ブツ…………ブツ……』ガサガサッ

双馬「……まあ、人の手が入っているキャンプ場とはいえ、山だからな……こういった生物がいてもおかしくないか」

タヌキ『…………ブツブツ……』

那由他「わああ……可愛いタヌキさんですねえ。触ってもいいですか?」

純「や、やめときなさいよ那由他ちゃん……マジマジと見ると気持ち悪いわよ。それに野生生物って病原菌だらけよ?オゲーッ」

タヌキ『……ブツブツ…………ブツ……』ガサガサッ

純「それに、なんかブツブツ鳴いてるしさあ……ちっせえ声で鳴きやがって。鳴くなら大きな声で鳴けばいいのに」

静「タヌキさんの生活ジャマしちゃあ悪いし、向こう行こうっか。那由他ちゃん」

那由他「はいっ!」

静「あっ!あの木はコナラ?樹液が出てればカブトムシなんかがいるかもよっ!?」タタッ

那由他「本当ですか、お姉さまっ!きゃあーッ♡」タタタッ

純「ああもうッ、走るな危ないだろッ!ムシの何がいいんだか……ケッ!」

双馬「カブトムシ、か……そういうの、もう何年も見てないな……」

ザッザッザッザ……

・ ・ ・

タヌキ『…………ブツ…………ブツブツ……』

『…………人間め……ブツブツ……勝手にわたし達の領域へ……ブツブツ……ブツ……許さない……ブツブツ……絶対に……許さない…………ブツブツ……』

…………

今回はここまでです

…………

カチャカチャ……

億泰「勝負はおれの勝ちだよなァ~~仗助ッ。約束通り、今晩の皿洗いはオメーだぜェ~~ッ」トントントン

仗助「いきなり何言ってんだよオメーはよーッ。いつおれがんな約束したよ?」カチャカチャ

億泰「確かに言ったぜおれはよォーッ。フリスビー対決、負けた方が皿洗いってな」ピッ

仗助「最終的にフリスビーを『ザ・ハンド』で消しちまうのは、負けじゃあねーのかよ?コラ」

億泰「ヌヌッ」ズイッ

仗助「またやるか?」ズイイッ

康一「はいはい二人とも、もう遊びはいいからね……億泰くん、魚の下ごしらえはこんなのでいい?」

億泰「おっ、十分だぜ康一。ありがとよォ~~っとォ」

仗助「皿はこれでいいのか?もう一ついるか?」カチャッ

億泰「一枚でいいんじゃあねえか?おれはタレだけでいいしよォー」

噴上「おれはポン酢も欲しいな……もう一枚くれ」

仗助「はいよォ~~」スッ

早人「さて……じゃあそろそろ、火をおこしますか?」

億泰「そうだな……子供たちにやらせんのもいいかと思ったけどよ、まだ帰ってこねえし――」



静「たっだいまァーッ!!」タタタタッ!



仗助「お、ウワサをすれば……だな」ニコッ

静「指令、任務完了しましたァーッ!」ビシッ!

仗助「おうそうか。どんな任務だったかは知らねえがよーッ」

静「周囲の探索任務に救援物資の補給任務!」

仗助「救援物資ぃ?」

静「ホラ、ヘビイチゴ取ってきた。あーん♪」

仗助「んぐっ……うーっ!酸っぺェ!」

那由他「ただいま、パパァーッ♪」トテトテ

億泰「ケガはねえか?那由他。危険な事は無かったろうなあ?」

純「大丈夫だって……一応私らが注意して見てたし。ハァ~~疲れたァーッ……」グデッ

双馬「ああ、晩御飯の準備してたんですね……手伝いますよ」

噴上「おお、ありがとうよ。晩御飯はバーベキューだぜ。静ちゃんリクエストの」

純「やたッ!肉・肉・肉ぅ~~っ!」ルンッ♪

静「あ!その前にさ、兄さん!ほら、お土産よおみやげっ!」

仗助「『おみやげ』?」

静「どジャアァあああ~~~~ン」パッ!

クワガタ『……チキチキ……』カチカチ

仗助「おっ!カブ……いやクワガタ虫か」

静「ミヤマよ、ミ・ヤ・マぁぁああ~~っ。一匹だけノンビリと木に引っ付いてたのよ。マヌケよね……簡単に捕まえる事が出来たから、兄さんにあげるわ」

仗助「何ィ?『ミャ・ン・マー』ぁ?」

静「『ミ・ヤ・マ』ぁ~~っ」

仗助「ミャ・ン・マー。ミャ・ン・マぁああ~~ッ」

静「ミャンマー・ミャンマー・ミャンマァァーッ」

仗助「ミャンマー、ミャンマーミャンマー、ミャンマー……」

静「ミャンマーミャンマーミャンマーミャンマー……ミャンマー!」

仗助・静「「ミャンマーミャンマーミャンマーミャンマーミャンマーミャンマー……」」

静「にゃん……あっ!!」

仗助「ハイ!静の負・けェーッ!だぜッ!」

仗助・静「「アハハハハハハハハハハハハハハ」」

双馬「……」シラケーッ

静「で!億泰にはコレね」スッ

億泰「おっ!おれにも土産があんのかよォ~~?何だ何だぁ?」

ピトッ!

億泰「……ん?」

セミ『ジーッ!!ジーッ!!ジィィ――z__ッッッ!!!』ワンワン!

億泰「アッ……ヒィィイーッ!!?セッセッ……『セミ』ィッ!?」

那由他「パパ、すっごくお似合いッ!背中にピッタリくっついてるッ!キャッキャ♡」

億泰「とっ!取ってくれェッ静ァーッ!おれァ~~こーいうの苦手なんだよッ!ウゲッ!ワ、ワサワサしてやがるぜッ!ウヒイッ!」

静「いやー、面白そうだったから一匹取ってきてくっつけてみたけど……かなり大爆笑。イイねーッ。逃げないし……居心地いいのかな?」

仗助「何匹背中にくっつけられるかやってみるか?」

静「最高。今の時間ならヒグラシとかがイイかもねーッ」

億泰「康一ぃ~~っ!助けてくれェェ~~~~ッ!!」ヒイーッ!

早人「……何やってるんですか、もう……」

純「……最悪だわ、アイツら……セミを背中につけるとか、悪魔よ……人間じゃあねーわ……関わらないようにしよおっと」スススッ

双馬「おい、僕の背中にくっつくんじゃあないぜ。暑苦しいだろうが」

純「うっせえなーッ。アンタの役割は壁よ。いい?セミがこっち飛んできたら『スタンド』使って叩き落とすのよ?」

双馬「ああ……叩き落とせるくらいゆっくり飛んできたらいいな……」ボソッ

純「……ねえ、私よく知らないんだけど……もしかしてアンタの『スタンド』って、弱いの?」

双馬「さあな。……噴上さん、この炭に火つけたらいいんですか?」

噴上「ん?ああ、そうだな……だが恥ずかしながら、おれはアウトドア初めてでな……炭に火をつけるなんざ、やった事がなくてよ」

双馬「……僕は一応、経験あります。昔住んでいた施設で何度か、野外オリエンテーションを行ったので」ガサゴソ

静「あッ!ちょォーっと待った双馬!火つけるのはあたしがやるっての」

双馬「……お前がァ?……本当にィ?マジで言ってるのか?」

静「何よ」

双馬「いや、まあいいんだけどな……ホラ、炭と着火剤とライターと新聞紙と……枯れ枝使うか?うちわは?あ、億泰さん竹筒も持ってきてたんですね」

億泰「おう。それがあると火をおこす時便利だからなァ~~ッ」

双馬「わかります。いや本当、キャンプ道具が充実していて良かった……静も使うか?それともお前、まさかバーナーを使って火をおこすとか言わないよなァ?」

静「……うっ……あああーもうッ!!意味わかんねー言葉グダグダ並べんじゃあねーわよおッ!あたしはライターで十分だからッ!」バッ!

双馬「……そうか……(ライターだけでは無理だろう……)」

静「用はアレでしょう?炭に火をつけたらいい訳だ」

双馬「ああ、そうだな」

静「なら、こうやって……」スッ……

双馬「……お前、炭に火がつくまで、そうやってずーっと手に持っておくつもりか?炭は花火じゃあないんだぞ?」

静「……」

早人「……あー……ゴホン、オホン……」ゴホッゴホッ

早人「……す、炭を並べて……火がつきやすい新聞紙や枯れ枝に火をつけたら……ゴホン。……いいかなぁ~~って……オホン、ゴホッ」

静「……」

双馬「……」

静「……こう?」ゴチャゴチャ

早人「あ、それじゃあ火がつかないよ……風が通るように並べないと」

純「静それ、炭置きすぎでしょ。網かぶせらんねーわよ」

双馬「あと、大きい炭は後に入れろ。火がつきにくい……まず小さい炭を並べて火をおこすんだ」

静「あーもう!何よみんなして!!そんっなにやりたきゃあ自分らでやればいいじゃんかさーッ!」

双馬「無茶苦茶だな、お前……お前が火をおこしたいって言ったんだろうが……」

…………

…………

パチパチ……パチ……

静「おー、燃えてる燃えてるゥ……フーッ」グイッ

康一「静ちゃん、顔が炭で所々黒くなってるよ?」

静「努力の証、ってねェーッ。あたしが火ィおこしてやったんだぞ、っていうさーッ」

純「ヒゲみたいになってんわよ」

静「え!嘘!?」

噴上「ほら、濡れタオル……」

静「ありがとう、裕也さん……んっ」グシグシ

那由他「わあ……綺麗に燃えてますね!」

双馬「燃えすぎだ馬鹿。直接炎で焼く訳じゃあないんだぞ」

静「え?そうなの?」

双馬「何のための炭だ……赤くなった炭の熱で焼くんだよ。少し炭をバラして火を抑えろ」

静「なかなか難しい事言うわねー……」ガラッガラッ

億泰「よーしッ!そろそろ網を置いて焼き始めるぜェーッ!」

仗助「お前ら皿にタレ入れろーッ。ハシ全員持ったかー?」

純「準備万端よ」フンフンッ

静「ちょ、あたしまだハシもお皿ももらってないっての!純早すぎるわよッ!」

早人「まあまあ、まだ焼いてもいないし……はい、静ちゃんのお皿」スッ

ガゴンッ

億泰「脂を塗って……っとォ。肉は仗助が用意したんだったな?」ジュジュウッ

仗助「そうだぜ~~。食材担当はおれだからな。奮発しまして……なんと!『国産和牛』を買ってきましたあッ!!」

ジャーン!!

静「う……うおおおおおっ!!」

純「『脂』が……輝いて見えるわ……ううっ!」

那由他「お、美味しそうですねえ……おなかペコペコですう」グーッ

ジュウウウウ……!

噴上「おっ、いいニオイだな……肉の焼けるニオイってのは、どうしてこうも食欲をそそるのかね」

静「焼けた!?ねえもうこれ焼けた!?」

双馬「どう見ても真っ赤っ赤だろうが。ちょっと落ち着けお前」

億泰「あーッおい那由他!ナマの肉を食事用の箸で触るんじゃあねえよ!こっちの割り箸使えッ!」

那由他「あっ、ごめんなさーいパパぁ……」

仗助「牛肉はナマでも食えるんじゃあねーのかよーッ?」

億泰「子供は身体が弱ェーんだから、そーいうのはダメなんだよッ!」ボケエッ!

康一「みんな、お野菜もあるから食べてね。栄養バランスとか考えないと……」

純「……タン塩は……レモンをキュッ!と絞ってェ……」ジュウウ……

パクッ!

純「……んっ!!……んーんんーんんん~~~~ッ!!」プルプル

静「あーッ!純先に食べるなんて反則よッ!あたしもッ……」

パクッ!

静「……ん!まァァァ~~~~いッ!!!」ペカーッ!

早人「……これ、大丈夫ですか?まだ赤いように見えますけど……?」オソルオソル

億泰「そのくらいなら問題ねえぜ。豚肉や鶏肉はよく焼いた方がいいけどよーッ」

双馬「……うん、なかなか……」モグモグ

仗助「あー……うめえ」ゴクンッ

噴上「……こうも美味いと……飲みたくなってくるよなァ。……『ビール』がよ~~ッ」

仗助「静、飲んでいいか?まだ時間は早いけどよ?」

静「え?うーん……まあ、いいけどさ。グデングデンになんないでよ?後で面倒くさいから」

仗助「よーしッ!静のお許しも出たし……飲むか!一杯グイッ!っとよーッ!」

純「……酒、かあ……」ボソッ

静「あ。アンタは飲むの禁止よ?学生はガクセーらしく、ね」

純「フン!わかってるわよ……それに私、お酒は苦手だし……」

静「そう?……実はあたしもなのよね。兄さんたまーに飲み会から帰ってきたら千鳥足でさ……絡み酒っての?もうウゼーのなんのって……」

康一「はい、仗助くん。ビールだよ」

仗助「おっ!黒ビールとはまた通だな……たまにはこういうのもいいかもな~~」

億泰「チューハイある?カシスオレンジ」

噴上「おめー結構甘いの好きだよな、億泰……まあいいんだけどよ。早人、お前は何飲む?」

早人「あ、ぼくはアルコール苦手で……コーラでいいですよ」プシュッ!

仗助「えー、では……少し順序が逆になりましたが……あ、子供たちも飲み物持ってくれるか?」

静「?」スッ

那由他「何ですか?」スッ

仗助「えー、ゴホン。……車の運転やらテント立てやら、今日一日お疲れ様っしたァ~~ッ……乾杯!!」

「「「「「かんぱァーい!!!」」」」」

カンッ!

ジュウウー……

…………

今回はここまでです
あと4回で終わりかな……

ああ……仕事やめてえ
最近SS書く暇ねえ……

(すみません、本当マジで最近仕事がアレでして……
この話何ヶ月やってんだよって感じですが、更新来年になりそうです……)

(来年の目標は静ジョ完結です。
一応今の所はエタるつもり無いので、どうか気長に待ってやって下さい)

『希望』は…この『支援絵』と出会う>>1なのだ…
オレにできる事は……更新がくるまでただ待つだけだ…全ては>>1が来た後だ……

http://i.imgur.com/36PVutN.png?1
背景とか雑ですが支援絵です!
気長に更新待ってます

>>461
おおう……あ、ありがとうございます……。
……なんかこんな支援していただいて……ホント申し訳なくて、胃がキリキリと……。

(pixivの方でも確認させていただいております。
ていうか普通にフォローさせてもらってます。いつもいつも素敵なイラストありがとうございます。マジで。
本当……貴方と、初めてワイルド・ハニー書いてくださった方には感謝しております……。)

静ジョは、2月から本格的に再開させていこうと思います。
今チョット……仕事のストレスから書きたいモン書き始めたら長くなってて……本当スミマセン……。
支援の分全てお返しするつもりで、モリモリ書いていきますので。それまでしばしお待ちを……。

…………

億泰「ぐがー……スピィ……」ZZZ……

那由他「パパぁ~ン……こんな所で寝てたら風邪ひくよぉぉ~~ッ……ねぇ~~ッ……」ユサユサ

億泰「んがあ……もう食えねえーッ……スピーッ……」ZZZ……

パチパチ……

噴上「……しっかし、炭火で焼いた肉っつーのは!なんでこうも美味いモンかねえ……遠赤外線っつーのか?なかなか侮れんモンだな。……2枚チェンジだ」パサッ

エコーズACT3『散々待タセトイテ、ショボイ交換シテンジャアネーゾッ』BEETCH!

噴上「それだけ慎重にやってんだよッ。……よーしッ!いいカードが来たぜ……」

康一「……」

噴上「勝負だ康一ッ!おれのハンドは6からのストレートッ!」ジャン!

康一「ゴメンね。ぼくフラッシュなんだ」ジャジャンッ!

噴上「……ぐっ……!」

康一「これで、ぼくの五連勝!……かな?」ニヤッ

噴上「お、おいディーラー!お前ェーイカサマこいてんじゃあねーだろうなあッ!?コラアッ!」

エコーズACT3『テメーガ弱ェーノヲ人ノセーニスルンジャーネーゼ』S・H・I・T!

噴上「チクショ~~ッ……おら、ズボンだ持ってけッ!次ぁーパンツ賭けてやんぞコラッ」ヌギッ!

康一「あ、あのさ?賭けてやるの、止めにしないかなァ~~?……なんて……」

噴上「オメーから服全部取り戻すまでやるぜッおれはよォーッ!」

康一(……わざと負けてあげたほうがいいのかな……?)

静「うわ、裕也さんそれッ!マジセクハラ!セクシャル・ハラスメントぉ~~ッ!肉食ってる時にイヤーなモン見せないでよねッ!」モグモグ

噴上「男と男の勝負に口出しするもんじゃあねーぜ、静ちゃん……男はな、半裸になっても戦わなきゃあならん時というのがあるんだよ」

双馬「……格好つけてもパンツ一丁じゃあしまらないですよ」

純「ていうか静、貴女まだ肉食ってんの?食い過ぎでしょ……」

静「うるせーわよ純。あたし今育ち盛りなのよ」モグモグ

純「……何処が?ムネ以外か?」

噴上「おら次ゲーム行くぞ康一ィ!カード配れディーラー!!」

エコーズACT3『尻ノ毛マデムシリ取ラレネエヨウニナ』

康一「ねえ、ホントーにイカサマとかしてないんだよね?……ね?」

億泰「ぐぉー……ぐがー……」

那由他「ねえ、パパ……パパってばあ……うう……」ウツラウツラ

億泰「んー?那由他ァ、まだお日サマは昇ってねえぜェ~~?……もう少し寝かせてくれえ……」

那由他「……うう……あたしもなんだか、ねむ……」ウトウト……

静「あ、那由他ちゃん大丈夫?もう結構な時間だしね……そろそろテントに――」

仗助「しぃ~~ずぅ~~かぁぁ~~ッ!」ダキイッ!

静「んぐっ!……ゲホッエホッ!?」

静「に、兄さん……いきなり抱きついてこないでよ。肉がノドに詰まっ……ってか酒臭ッ!兄さん超酒くせーわよッ!?」

仗助「おれはなァァ~~ッ、オメーがりぃっぱに育ってくれてウレチぃーんだよぉぉ……いやもうマジに……グレートに不安だったぜぇ?オメーを引き取る時は……おれに兄貴が務まるのかってなああ……」ヒック

静「あーハイハイ。その話前も聞いた。前酔った時も言ってたか……」

仗助「それがなあ……ちょいと危なっかしい所もあるが、良い子に育っててくれて……ウッウッ!お兄ちゃん感動!オメーは立派なおれの妹だよぉ……」ナデナデ

静「う、ウザ……グレートにウザすぎるっての。やれやれね……」

仗助「んー?何だイヤだっつーのかよォ~~ッ?反抗期かァ?辛ェーなァ~~ッ……チューしてやろうか?チュ~~ッ……」ンー

静「ギャー!やめろってのクソ兄貴!グデングデンになるな!って言っただろーがよーッ!!」ゴスッ!

仗助「ぐほっ!?」

純「……何よあのアホ兄妹は……」ハァ……

早人「ハハハ……仗助さんあまりお酒は強くないからね……」クルクル

噴上「おい早人。オメーもポーカーやらねえか?ちょっと一緒に康一倒すの手伝ってくれや」

康一「え、なんでぼくゲームの敵キャラみたいになってるの?ちょっと裕也くん?」

早人「あ、アハハ……いえぼくは結構ですよ。トランプとかは強くなくって……」

噴上「そうか?残念だな……おっしフルハウスだッ!!これなら負けねーだろォッ!」ジャン!

康一「あ!……ご、ゴメン。ぼくストレートフラッシュ……」

噴上「ディ――ラァ――ッ!!?」グオッ!

エコーズACT3『グダグダ言ッテンジャアネーゾ、オラッ。サッサト掛ケ金置イテケヤガレ』

噴上「ぐうう……ハート柄がお気に入りだったんだがな……」ヌギヌギ

康一「脱がなくていい!脱がなくていいから裕也くんッ!!」アセアセ

純「アホばっかか。アホばっかなのかここは……」

早人「あ……アハハハハハ……」クルクル

純「……早人センセーはさ、何やってんの?さっきからクルクルクルクル……」

早人「え?ああ。炭火でマシュマロを炙ってるんだよ」クルクル

純「『マシュマロ』……」

早人「こうやって、とろぉ~~っととろけてコゲ目がついた所で、サッ!っとビスケットに挟んで……」サッ!

純「……」

早人「熱ぅーいウチにサクッ!っと食べるんだ。とっても甘むぁ~~くておいしいよ。食べる?」ハイ

純「……私さ。マシュマロって……そこまで好きじゃあない」

早人「……」タラリ

純「なんかブヨブヨしてるし、変な香料のニオイがキツイじゃん。口ん中でいつまでもネットリしやがるしさ……ゴースト・バスターズのマシュマロマンだって子供ん時に見てトラウマだしィ~~ッ」

早人「そ、そうかな?……あれはあれで可愛らしいキャラだと思うけど……」

純「……フンッ」ツーンッ

早人(うう……最近の子供ってちょっと……いや、かなり……『ナマイキ』だよなァ~~ッ……ぼくも子供の時こうだったのかなあ?)

純「……」ジーッ

早人「な、何かな?純さん?」

純「……ったく。……一口だけ……」ボソッ

早人「え?」

純「……一口だけ、食ってやるって言ってんのよ」パシッ!

早人「あ……」

純「……」サクッ!

純「……ん」サクサク……

早人「……ど、どう……かな?」ドキドキ

純「……まあまあなんじゃあないの?フツー。いたってフツー。……これのためだけにマシュマロ買うつもりにはならないわね」

早人「……そ、そう……」ションボリ

純「……」サクサクサク……

早人「……」

純「……」ペロペロ

早人「……あ、指についたの?ティッシュあるけど?」

純「……」ゴシゴシ

早人「……」

純「……ん……」

純「……マシュマロってこれ?」ガサッ

早人「あ、ウン」

純「……串は?」

早人「あ、これ?一本しか無いんだけど……ハイ」

純「……」プスッ

プスップスップスッ……

純「……」クルクル……

早人「……」

純「……」クルクル……

早人「……あまり近づけ過ぎたら燃えるから、じっくりと……」

純「先生うっさい」

早人「あ、ゴメンね?」

純「……」クルクル

早人「……」

純「……このくらい?」

早人「……もうちょっとコゲ目がついた方が、美味しいんじゃあないかな?」

純「……」クルクル……

早人「……」

噴上「うおおおおお!くばられたカードはッ!ブタだァ~~ッ!」バァ~ッ

康一「なんで降りなかったの!?裕也くんッ!?」



仗助「静ァ~~ッ……よーしよしよしよしよしよしよしよし」ナデクリ

静「うっおとしいってのッ兄さんーッ!いい加減怒るわよッ!?」



純「……」サクサクサク

早人「……コーヒー飲む?」

純「ん。……ありがと」



双馬「……ハア、全く……賑やかな事だな」

那由他「……んー……」

双馬「?」クルッ

那由他「……くー……すぴー……」zzz

億泰「ぐおー……すぴー……」ZZZ

双馬「静。那由他ちゃんが寝ちゃってる。もうお開きにしよう」

静「オーケーよ双馬。ちょっと兄さん引き剥がしてくんない?」ウギギ……

双馬「ほら、裕也さんも服着て下さい。康一さん、億泰さんをテントへ運んでくれますか?後片付けは、まあ、僕がやりますので」

康一「うん。……ゴメンね?なんか……騒がしくしちゃってさ?」

双馬「いいえ。別に……その……」

噴上「?」

双馬「……まあ……こういうのも、悪くない……ですよ」クイッ

静「……」ニヤッ

噴上「……へッ」ニヤリ

純「……素直じゃあねーのね、あのクソメガネ」ボソッ

早人「……純さんもね」ボソッ

…………

…………

ヂーッ……

那由他「くう……スピーッ……」ZZZ……

純「寝袋って初めてよ、私……那由他ちゃんにはブカブカね。これ」

静「そうねーッ……あれ?これ上手く閉まらない……」ヂヂヂッ

純「しっかし、予想はしてたけど風呂は無いのね。一応女としては、毎日そーいうのはキチッとしときたいモンなんだけど……」

静「明日帰りに温泉寄るって言ってたし、ガマンしなさいよ。まあ、確かにケムリ臭いけどさ……」

純「しゃーねーなあ……じゃあ、おやすみ静。また明日ね……」モゾッ

静「え?何言ってんの?純」

純「……あァ?」

静「お泊りで女の子が数人集まったらさーッ……やらなきゃあなんないでしょう?」

純「……何を?」

静「……決まってる、でしょう?それは……」

純「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

静「……『女子会』をさァ~~ッ……!」ドンッ

純「……アンタ日に日にウザくなってない?」

静「あたしこの時のために、ポテチも開けずに取っておいたのよ?はいコンソメ」

純「私のりしお派だから」

静「マジかよッわかりあえねーッ」バリッ

純「けど開けるのね……」

静「女子会にポテチは定番よ?クッキーとかでもいいけど、夜更かししながらお肌に悪そーな油っこいモン食うのがいいのよ。そーいうジャンクなのが女子会の醍醐味ぃ~~ッ」パリッ

純「……あのなァ。女子会って……何すんのよ」

静「え?アンタ女子会やった事ない感じ?」

純「わ、悪いかよッ!?私も家の事情とかあって、ダチなんてアンタ以外――……あ、いや、ダチなんていないんだからさッ!」

静「ふーん……まああたしも女子会とかよく知らないんだけど」

純「……殴っていい?」

静「あたしもさ、家が結構……まあ、裕福な方でさ?そこそこ良い学校とか行かされたんだけど……けど、あたしはおじいちゃんや承太郎さんに憧れて、一人で冒険ごっこばっかりしてたから……友達いなかったのよ」

純「……」

静「だから、こーやって友達と夜におしゃべりするの、結構アコガレ。飛んでるゥ~~わよね」

純「……フン。別に……私はアンタと友達なった覚え、無いし」

静「……んー、そうよね……なんかさあ、『友達』っていうの、ちょっと遠い関係ってするわよね?」

純「はあ?」

静「だって『達』よ?『達』。なんで大勢複数いる事前提なのよ。こんな関係そう何人もいるかってのー」

純「それは……まあ、そうなんだけどさ」

静「そうね……アンタとあたしの関係は、友達っていうよりも、むしろ……」

純「……な、何よ」

静「……『悪友』?」

純「お前やっぱり売ってるだろ、ケンカァーッ」

静「あ、なんかこういうお話してんの、すっげ女子会っぽい」

純「何処がよッ!?」

静「あとは、ホラ!好きな男子はァ~~?とかッ!そーいう定番なの、あるわよねェ~~ッ?」

那由他「……んんー……」モゾッ

純「あのさ、あんまし大声出すなよな。那由他ちゃん寝てるんだし」

静「逃げんなコラッ。純、好きな男子とかいんの?」

純「逃げてねえし、いないわよ」

静「へー?」

純「ハア……だいたいねえ……」

純「私はもうロクな恋愛する価値無いっつーか、資格無いっつーか……ともかくいない。クラスの男子はガキばっかだし……まあ、ケンヂ君とかはまだマシかなっとかは思うけど。賢そうだし」

静「誰だっけそれ?」

純「……それよか静ァ~~ッ……『好きな男子は?』とかいう話題ならッ!……アンタの方が話さなきゃあならないんじゃあないの?」

静「……ハア?何が?」

純「ズバリ!……双馬とはデキてんの?」ズイッ!

静「……は、ハア!?」

静「違ッ……違うから。そーいうんじゃあ無い。マジに……」

純「嘘でしょ。もうキスくらいはしたんじゃあ無いの?」

静「してなッ……っていうかする訳がねーだろーがよッ!なんであんなヤツにッ……あ、今のはちょっぴり言い過ぎたけどさ」

純「ふーん……へえ……ほお……なるほどねエ……」ニヤニヤ

静「ハッキリ言うけど、違うからねッ!?あたしと双馬はそーいうんじゃあ無くって、ただの親友だってのッ!」

純「わ、私は『悪友』であのメガネは『親友』?扱いひどくない?」

静「うっせーなーッ全くもってひどくねーわよッ!むしろもっと格下げしてもいいくらいよッ!」

純「私が見てる限り、お似合いだと思うけどねーッ。ププッ!」

静「目ェ腐ってんじゃあないのッアンタ!?あんなヤツ、好きになる要素一つも無いっての!いっつもエラソーだしスマしてるしメガネだし大人ぶってるし、そのくせドーナツと本の事になるとガキみたいにテンション上がってさ!見てるだけでイラつくのよッ!」

純「……けど、『親友』なんだ?」

静「……ま、まあ……そうよ」

純「……」

静「……この数ヶ月、お互い利用したり利用されたり、助けたり助けられたり、色々あってさ……お互いのイヤな所とかもう散々わかっちゃったのよ。アイツはマジに性格最悪よ」

純「……」

静「……けど、だからこそ……あたしはアイツに何でも話せる。弱みも怒りも、全部……たぶん、アイツも。……今まで一人でずーっと頑張ってきたけど、最近は……あたしを頼ってくれる。……事も、ある」

純「……」

静「……そういう関係ならさ。……『親友』って言っても、いいんじゃあないの?」

静「出会って数分で全部わかった気になって、『友達』って言うの、あたし……嫌いよ」

純「……『有栖川メイ』……」

静「……ま、今のあたしでも、双馬の事はこれっぽっちもわかんないけどね。……難しいわよ。友達とか親友とか、恋愛とかって……ね」

純「……」

静「……」

純「……静、アンタ……」

純「やっぱり双馬の事、好き――……」

静「だーかーらッ!何でそうなるんだッコラアーッ!!」グオッ!!

純「聞いてたらノロケにしか聞こえないのよ、アンタの話……あーもうお腹いっぱい!ごちそうさまでしたッ!」

静「違うっつってんじゃん!ムカつくんだってアイツ!聞いてよこの前だってね、暑くて暇で仕方ないから双馬ん家遊びに行ったんだけど……」

純「ヤッたの?もしかしてヤッたの?」

静「違うってのーッ!いい加減にしろよッコラ!だからあたしは――」

双馬「おい、静」ガサッ

静「きゃああああああああああああ!!!?」ビクウッ!

純「うおおおおあああああああああ!!!?」ビクウッ!

那由他「うえッ!?な、何?なに?なんですかあ……?すたんどこうげき?」

純「なッ!何でもないッ!何でもないからッ!那由他ちゃん、ほーらねんねんころりよ~♪」ナデナデ

那由他「んー……スピィ……」

双馬「……どうした、お前ら」

静「どッ……どうしたってこっちの台詞!だって!のッ!!レディーの部屋ノックも無しに入る?普通ッ!?」

双馬「……部屋でもないし、ノックも出来ないだろう」

純「だからって女の子の寝てる所来るかお前ッ!?何?夜這いか?思春期かメガネ?」

双馬「違う……そーいう下品な話やめろ純」

双馬「……億泰さんがな、イビキうるさいんだよ……他の皆は疲れてるのか酒の力か知らんが、気にならないみたいだが……僕はああいうの苦手だ」

静「……」

純「……え?……で?」

双馬「代わってくれ。僕はここで寝る」

純「馬鹿かッオメーはよーッ!?可愛いーい女の子の私らが、なーんであんなムッさいテントで寝ないとなんねーんだッ!」

双馬「お前はムサいオヤジと寝るの慣れてるだろう」

純「慣れてるのと好き嫌いは別モンだからなッ双馬!次んな話したら全身ルビーにしてやる!」

双馬「僕もな、結構疲れてるんだよ……今すぐグッスリ熟睡したいんだ。悪いが寝かせてもらうぞ……」ゴロリ

純「なッ……!?ちょ、静……!?」

静「……双馬ぁ……あたしさ」

双馬「何だ」

静「……アンタのそーいう所が、嫌いなのよ……」

双馬「……そうか」

純「……?……??」

静「……変な事しないでよ?」

双馬「こっちの台詞だ」

静「……」ゴロリ

双馬「……」

純「……え?……ええ?」

リーリー……

那由他「……」スピーッ……

双馬「……」スー……スー……

静「……」

純「……」



静・純((……ね、眠れない……))

…………

本日はここまでです。
大変長らくお待たせして申し訳ありませんでした。
明日も時間があれば更新しようかな……

…………

チュンチュン……

早人「……」シャコシャコ……

康一「ガラガラガラ……ペッ!」

噴上「フーッ……冷たい水が気持ちいいなあオイ」パチャッ

康一「うん。それに……早起きってすっごく、スガスガしい気分になれるね」

バサッ

億泰「う~~ッ!良く寝たぜェーッ!やっぱりキャンプっつーのはいいもんだなーオイ!寝袋に包まれるっつーのは安心感があってよォ~~ッ」ノビーッ

噴上「オメーはよくもまあそれだけグースカ眠れるモンだな……イビキうるせえぞ」

早人「まあ、ぼくたちも疲れてたのか、あまり気になりませんでしたけど」

億泰「眠れたんならいいだろ?……アン?双馬はどうした?もう歯ァー磨いたのかよッ?」

康一「ああ、双馬くんなら……」

……ザッザッザ……

双馬「……ああ、皆さん起きたんですね」ザッ

億泰「おう双馬。おめー何処行ってたんだァ?」

双馬「早起きしたので、湖のほとりまで散歩してました。……良い所、ですね」

噴上「ん?そうか?」

双馬「ええ。……こんな自然に囲まれて、のんびりしたのは……久しぶりです」

億泰「おお、喜んでもらえたんなら、頑張って良ーいキャンプ場探したかいがあったってモンだぜ!」

双馬「ええ……感謝してます」ペコリ

康一「あ、そうだ双馬くん。君……次どこか行きたい所ってある?」

双馬「……行きたい所……ですか?」

康一「今回のキャンプが良かったならさ、またみんなでどこか遊びにでも行こうよ!今度はもっと大勢集めちゃったりしてさ!」

双馬「……」

康一「……えっと……ダメ、だったかな?」

双馬「……いえ……」

億泰「お、おい康一ィ~~ッ……双馬のヤローはおれ達とスゲェー複雑なインネンがあるんだからよ……いきなりフランクに行き過ぎだぜ」ヒソヒソ

康一「うう……仲良くなれるかな?って思ったんだけど……」ヒソヒソ

双馬「……草原」ボソッ

康一「えっ?」

双馬「……何処までもどこまでも続いてる、草原です。……馬がいるような、そんな大草原。……そこに、大切な人と……」

早人「……」

噴上「……」

双馬「……皆さんと、行けたら……良いですね」

康一「……う、うん!それはとっても……素敵だねッ!」

バサッ!

仗助「……あ、アタタタ……頭、イテーッ……もう決めた。おれァーもう一生酒飲まねえ……絶対にだぜ。クソォ~~……ウゲーッ」グタッ

億泰「あーン?まーだ一つデケー寝袋が転がってると思ったら、仗助だったのかよッ。なっさけねェ~~なッ!酔いつぶれてんじゃあねーぜッ!」ウケケ!

噴上「……オメーも昨日は酒飲んですぐに寝てただろうが……ったく調子の良い……」

仗助「ううーッ……もうダメ、おれはダメだ……誰かトニオさん呼んでくれ。二日酔いにキく料理食いてえよーッ……」

康一「大丈夫?仗助くん……これは今日運転出来そうにないなぁ……」

早人「仗助さん、水です。楽になりますよ」スッ

仗助「おォ……ありがとうな、早人ぉ……」ズズッ

双馬「……そういえば、あいつらも……いつまで寝てるんだ?」

スタスタスタ

双馬「おい、起きろお前ら。もうとっくの昔に太陽は昇ってるぜ?」バサッ

那由他「あ、おはようございます。お兄さま」キチンッ

静「……うう……」グデッ

純「うげ、眩しい……ちょ、そこ閉めて……うう……」グダッ

双馬「……」

那由他「その……あたし、起こそうと頑張ったんですけど。すっごく眠そうで、それで……」オドオド

双馬「いやいい。悪いのはこいつらだ。全く……だらしのない高校生だな」ハァー

双馬「昨日はしゃぎ回った挙句、夜中もずっと騒いでるからだ。ガキが……」

静「……言っとくけどさあ、双馬。あたしらが眠れなくってグロッキーになってんの、アンタのせいだからね?」

双馬「?……何故だ」

純「何故もクソもあるかッこのクソメガネ!女子のテント入ってきてそのまんま寝るとかセクハラじゃあねーかッ!」

双馬「……セクハラ?ふむ……何処に『セクシャル』な面があったのか理解出来ないな」

純「なァ~~にを言ってんだッテメーっはよーッ!!テメーが同じテントにいるせいで、こっちは気になっておちおち安心して眠れなかったんだよッ!」

双馬「そうか。それは御愁傷様だ。僕は気にしなかったものでな」スパッ

純「……ねえ、静。なにコイツ?メガネ叩き割っていいの?」ブスッ

静「諦めなって純。双馬っていっつもこーいう感じだから」

…………

…………

ガコッ!

噴上「よーしOKだ。早人、そっち持ってくれ……億泰、この棒はこの袋に仕舞ったらいいのか?」

億泰「いや、支柱はこっちの袋だな……んでペグはこれに入れといてくれ」

ガチャガチャ……

静「……うーん……昨日頑張って建てたテントを仕舞うのって……なんか、悲しいわよね」シミジミ

那由他「まあまあ、お姉さま……また今度みんなで来ましょうよ。ね?」ギュッ

静「……うん。そうよね……うん」ナデナデ

双馬「静、見てないで僕達も片付け手伝うぞ。杜王町に着くのが夜になるぜ」

静「うん。……って言っても、何すればいいの?テントってどうやってたたむのよ?」

億泰「静達はよー、食器を洗ってきてくれねえか?」ビシッ

静「食器……って、昨日に使った?」

億泰「それと、さっきココアやらスープやらソーセージやら飲んだり食べたりした時に使ったヤツだ。ホントーは仗助にやらせるつもりだったがよー……」

仗助「ウゲエ……吐きそう……オエ」グッタリ

億泰「……って感じだからなァ」

静「了解。いやー悪いわね億泰。ウチの兄さんがさ?」

純「何偉そうにしてんのよ、あんた……」

億泰「そこの砂利道を真っ直ぐ行った所に小屋があって、そこに水道があるからよ……」

双馬「ああ、トイレの小屋ですね」

億泰「おーそうだ。すぐ隣が山だからよォ~~ヘビとか出るかもしんねーから、気をつけろよ?」

静「流石にバカにしすぎよ、億泰。トイレとか昨日も行ったしさ」

億泰「大人はいつだって子供が心配なんだよッ。噛まれねえようになァ~~ッ」

静「りょーかいッ。んじゃあ行くわよ。双馬、純、那由他ちゃん」

純「……え、私も?」

静「当然でしょうがッ!ほらッさっさと来るッ!」ガシッ!

ズルズルズル……

…………

…………

テクテクテク……

双馬「……結構朝もやが濃いな……確かにこれだと、足元にヘビがいても気づかないかもな……」カチャカチャ

純「何もいねーって……心配しすぎ。野生動物なんか、人間の足音聞こえたらどっか行っちゃうわよ」カチャカチャ

那由他「……でも、本当にほんとぉ~~にっ!毒ヘビなんかが出たらどうしましょう?」ガチャガチャ

静「簡単よ、那由他ちゃん。真ーっ直ぐ進めばいいのよッ!」カチャカチャンッ

那由他「え?……そ、それって危険なんじゃあ……?」

静「だいじょーぶッ!ヘビならどっかに行っちゃうわ」ニヤッ

那由他「?……??」

静「だって、毒!どくぅ――っ。道をどくヘビィィーってね!」

那由他「?……!……な、なるほど……なるほどぉーッ……!!」

純「……アホだ」カチャカチャ

双馬「アホだな」カチャカチャン

静「アンタ達さあーッ、ちょ~~っとあたしの扱いひどくない?あたしならバカにしても大丈夫!とか思ってない?」ムスッ

純「だって、成績私の方が上だし」

双馬「知識量なら負ける気がしないな」

静「フンッ!あたしがせっかく小粋なジョークで朝のネムたげな空気を晴らしてやってるってのに……今のあたしはさらに大爆笑間違いナシのネタとかあんのに……ホンット面白くない奴らだわ」

純「……」

双馬「……」

静「お、何なに?すっごく聞きたそうな顔して……聞きたい?聞きたいの?聞きたいんでしょう?ウフフ……」

純「……」

双馬「……オホン。……一応、聞いてやるか」

静「オッケー。えーっとね、ホラ!あたしがこうして、サングラスをかけまして……」カチャッ

純「……消える気?」

静「消えないわよ。そーいうネタじゃあねーわ。……ゴホン!オホッオホッ!」

双馬「……」

那由他「……」ワクワク

静「……スーッハーッ……いくわよ……」

純「……」

那由他「……」ドキドキ

双馬「……」

静「……8テン!6!秒ッ!!バズゥ~~カ――ッ!のっ……」

双馬「あー、もういい……もういいぞ静」ピタッ!

静「なんでよッ!?これ絶対間違いナシ!大爆笑!ブレイクだって約束されてるネタよッ!?」

純「ソッコーで消えるニオイがプンプンすんのよ……それ面白いって思うんならマジにヤベーわよ?」

双馬「それならまだ前に見せたネタの方がマシだ……お前笑いのツボが人とは違うって、よく言われないか?」

静「んな事ねーっての!あたしこれ完璧だからね?兄さんと二人で練習したし!」

純「バカなんじゃないの?アンタら兄妹」

那由他「ねえ、静お姉さまっ。あたしは最後まで見たいですッ!」

静「オーケーオーケー。じゃあもう一回最初っから……」

純「だからッ!いいっつってんだろッ!それ終わった後の微妙な空気どうするつもりだッボケ!」

那由他「……プッ!……フフフ……!」

静「?」

純「……?」

那由他「あはははは!あはは……お姉さま達って、本当……明るくって賑やかで……面白いですねっ!」ニコッ!

純「おっ……私は面白く無いでしょっ!?」

双馬「そうだ。面白いのはこのサングラスだけだ」

静「あたしィ?」

那由他「フフフ……あたし、お姉さまやお兄さまといると、すっごく楽しいですよ?」ニコッ

純「……」

静「……うん。そりゃあ、あたし達もよ。……ねえ?」

双馬「……あー……そう、だな」ボソッ

那由他「あたし、生まれつき持ってる『能力』のせいで……もうずっと、一生、信頼出来る人なんて……パパ以外には出来ないって思ってました」

静「……」

純「……」

那由他「それが、お姉さまに会って、お兄さまとも会えて、純さんもすっごく優しくって……こんなにも素敵な方たちに出会えて、あたし、なんて幸せなんだろうって……そう思うんです」

純「い、言い過ぎよ……私はそんな……立派な人間じゃあないわ」

那由他「いいえ。純さんはすっごく優しいですよっ」

純「う……うう……ッ」カアッ

那由他「あたし、今なら自分の能力……誰かを傷つけたり遠ざけたりするためだけに使ってた、この能力を……」

純「……」

双馬「……」

静「……」

那由他「……好きになれそうなんです」

バ ン

純「……」

双馬「……強いな。その歳で……」ボソッ

静「……く、苦労してきたのね……那由他ちゃんも」

那由他「い、いいえっ!あたしは勝手に、自分のカラに閉じこもってただけで……えと、その……」アタフタ

那由他「……また、みんなでキャンプ……しましょうね?」ニコッ!

純「……ええ……そうね」

静「当たり前よ、那由他ちゃん。……来年は海とか行ったり、花火大会とかァ~~お祭りとかッ!今年出来なかった事とかいっぱいやるわよッ!」

双馬「……ああ……そうだな……」

…………モヤッ……

……モヤ……

モヤ……

双馬「…………?」

モヤモヤモヤ……

……モヤ……モヤ……

双馬「……おい、静……これは、僕の勘違いか……見間違いなのかも、しれないが……いや!……明らかに『異常』……だよな……?」

静「?…………!」

純「……?」

……モヤモヤモヤモヤ……

モヤモヤ……

……ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

……モヤモヤモヤモヤモヤモヤ……

モヤモヤモヤモヤモヤモヤ……

那由他「わぷッ!?……こ、『これ』……は……?」

純「!……え?ちょっと……何?」

静「……何なの?この……『朝もや』の……『量』はッ!?」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

双馬「……失念していた……そもそも『朝もや』というのは、よく『冷え込んだ』朝に出来るものッ!……暑い『夏』に出来るものじゃあ無いんだ……!」

モヤモヤモヤモヤモヤモヤ!

モモモモモモモモ……

純「あ、ありえないわよッ!こんな……数メートル先すら見えないなんてッ!?」

静「い、一体……『小屋』はッ!いえ、あたし達が来た『道』はッ!?」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ! !

ズモモモモモモモ……

オォォオオオオオオ……ン……!!

那由他「なッ……何も……『見えない』……ッ!!」

純「これは……新手のッ!?」

静「……『スタンド攻撃』……でも、何故……?何なの?この攻撃は……?」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

…………

ここまでです。
次回更新はたぶん一週間後になると思います。たぶん

……なんか書いてたら、書く予定無かった台詞バンバン喋り始めて全然前に進まないんですけど

…………

ギュウッ!

億泰「よーしッ!テントたたみ終わったぜェ~~っとォ」パンパンッ

早人「こっちも荷物、積み終わりましたよ」

康一「うーんッ!……結構疲れるもんなんだね」

噴上「ああ。だが、全員で手分けしてやれば意外とすぐに終わったな。キャンプってもっとメンドーかと思ってたがよ~~」

億泰「一応言っておくけどな、おれは帰ったらこのテントを干したりタープを拭いたり寝袋洗ったりしねーといけねえんだぜ?」グスン

康一「て、手伝うよ億泰くん……」

仗助「……オエェ……ダメだ、車乗りたくねェ~~ッ……」

噴上「オメーはまだゲーゲー言ってんのかよ。いい加減慣れろッ!」

康一「帰り、誰が運転する?」

早人「あ、じゃあぼくが運転しますよ。……どペーパーですけど」

億泰「……どペーパー……」タラリ

噴上「さて!……あとは、静ちゃん達が帰って来るのを待つだけか……」

億泰「……」

康一「……」

噴上「……」

噴上「……遅くねえか?静ちゃん達……」

億泰「ああ……どっかで道草くってんじゃあねえだろうなッ?」ユルサンヨ

早人「最近の子供たちにとっては、山というのは珍しいものかもしれないですからね……全てが新鮮に見えて、つい遊びたくなっちゃうんでしょう」

億泰「片付け大人に任せてかぁ~~ッ?あいつら帰ってきたら寝袋たたませようと思ったのによーッ」

仗助「別にいいぜ……ゆっくり帰って来てもよ。むしろその方がおれはイイーッ……ウエッ」

康一「……ねえ、あのさ……そのォ~~……『もしかして』っていう、全然確証なんかない話なんだけど……けどさ」

億泰「?」

噴上「?」

康一「何か……『事件』に巻き込まれているっていう事は、無いよね?……遭難してたり、『スタンド使い』の攻撃を受けていたり……!」

億泰「……」

噴上「……」

早人「……」

仗助「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

億泰「……まっさか!なァ~~ッ!!」アハハハハハハハ!

噴上「まさか!だろッ!」アハハハハハハハ!

アハハハハハハハ……

仗助「……裕也、『ハイウェイ・スター』だ。静のニオイを追跡してくれ」

噴上「ハハハ……え、何?」クルッ

仗助「……なんかイヤーな予感がするんだよ……この仗助くんはな~~ッ!……オエッ」グッタリ

…………

…………

ズモォン……

双馬「……もうすでに……僕達が何処から来たのか?すら分からない……すさまじい『もや』の量だ」

那由他「……」

静「……」

ォォオオ……

双馬「……これは『スタンド攻撃』か?」

純「当然だろッ!こんなの明らかに異常よッ!私達は今、攻撃されているッ!」

静「それにしては、『わからない』事が多いわ……まず、何故……敵はこんなタイミングで攻撃してきたの?」

純「……」

静「すぐ近くには兄さんや億泰達がいる。あたし達だってスタンド使いよ?そんな大勢の、しかも兄さん達は熟練のスタンド使いで……そいつらと戦おうとするなんてバカのする事じゃあないの。どーせ同じ危険なら、昨日寝てる時に襲えば良かったのに。……でしょう?」

純「それは……そうかもしれないけど」

静「それともう一つ。昨日双馬も言ってたけど、この敵が『メイの手下』なのだとしたら、どーしてこんな所にいるの?わざわざあたし達を追ってきたって訳?……スタンド使いが大勢集まってる所を狙って?」

那由他「……イチモーダジン……っていうのですかね?……けどそれって危険すぎると思いますけど」

静「この『もや』が毒だとかならわかるわ。スッゲーよくわかる。それなら一網打尽に出来るかもね~~ッ……けどそんな事も無いみたいだし……『もや』を発生させるだけのスタンドで、どうやって戦うつもり?全くわかんないわ……この敵ィ~~ッ……」

双馬「つまりだ。その考えで行くと……この敵は『有栖川メイとは何も関係が無い』」

純「……」

静「……」

双馬「だから、仗助さん達が熟練のスタンド使いとは知らずに攻撃を仕掛けてきた。追いかけてきた訳では無く、突発的にこの場で襲ってきた。……僕達を『倒す』のでは無く、むしろ目的は……この『もや』に閉じ込める事、なのかもしれない」

純「なんッで『メイの手下』でも何でもねーのに襲われないとなんないのよ」

双馬「そんな事は知らない。僕はただ可能性を示しただけだ」

純「自分でもうまく説明出来ない事をベラベラ偉ッそうに喋るんじゃあねーわよォ――ッ!!」

静「けど、それは結構つじつま合ってる話よ。……『もや』に閉じ込める意味は未だにわかんないけど」

那由他「……あたし達を閉じ込めてる間に、パパ達を攻撃するつもりじゃ……?」

純「しょーじき、私らがオッサン達の近くにいようがいまいが、あまり関係無いと思うけどね。……私全然戦闘向きのスタンドじゃあないし」

双馬「……そういえば、純のスタンド能力は何なんだ?静?」

静「身体の一部をカタくする能力」

双馬「何だそれは?男なら誰だって出来る」

純「誤解のある言い方すんなッ静ァ――ッ!!」

静「え?何か間違ってた?」キョトン

双馬「……ともかくだ……」

双馬「この『スタンド使い』の目的や、理由なんかは理解出来ないが……このまま『もや』に閉じ込められたままというのはマズいぞ。非常にマズい……『即死』は無くとも『餓死』はありえるかもしれない」

純「……そ、そんなにはならないでしょ。大人達だって異変に気付くし」

双馬「あらゆる『最悪』を考えておくのが、サバイバルで生き残る秘訣だぜ……サバイバルなんてしたくないがな。さて……」

ガチャンッ

双馬「……僕達の持ち物は、この『洗ってない皿』と、『スプーン』『フォーク』『コップ』……」

純「……私、お茶持ってる。少ししか無いけど……」チャポンッ

那由他「ハンカチでしたら持ってますけど……」

静「……あたし達、食器を洗いに行く所だったから、本当に大したモン持ってないわよ。サバイバルって、マジに言ってんの?」

双馬「……わかっていたが、最悪だな……すでにもう最悪だ。しかし……出来る事ならあるか」

純「?」

双馬「純、このお茶貰うぞ。この量だと持っていても意味ないだろう……あとはこの『スープ皿』と『スプーン』と……静、ケータイ持ってるか?おっと!『スマホなら持ってる』とかいう言葉は聞きたくないぞ。僕の言う『ケータイ』は、そういうの全部引っくるめた言葉だからな」

静「……持ってるけど……何すんの?電波圏外よ?」スッ

双馬「……こうするんだよ」ニコリ

静「?」

紙人間『おおおおおおおおおおおおおお!!』

バキバキバキイッ!!!

静「オ――ッ!!ノォォォオオオオオオオオオ!!!?」

ギャ――ン!!

静「なッ……何してくれてんのよ双馬ァッ!!?なっなっ……何で!?何であたしのスマホぶっ壊したの!?あ、あたしの買ってもらったばかりのスマホぉ~~っ!!」オロローン!

双馬「携帯とかそーいう精密電子機器には、中身に『磁石』が使われているからな……それが欲しかった。バイブ機能やスピーカーの所に超強力なのが入っているんだよ」ブチッ!

純「エグいわね……那由他ちゃん、あのメガネに近寄らないほうがいいわよ」

静「ぐすん、ひっく……」エグエグッ

那由他「おお、よしよし……お姉さま、大丈夫ですか?」

静「ウン、ダイジョブ……」ヒック

双馬「スプーンにこの磁石を擦りつけて……スプーンに磁力を持たせる」

ゴシゴシ

双馬「そしてそれを、お茶の上に浮かべれば……『方位磁石』の完成だ。スマホは後で仗助さんに直してもらえッ」チャポッ

静「データ飛んでたらマジでぶっ飛ばすわよ、アンタ」

双馬「緊急事態だ。仕方ないだろう?」

純「……自分のケータイ使えば良かっただろうが」

双馬「僕だって、データが飛ぶのは嫌だ」

静「コイツ何言ってんの?ありえねェー……サイコパスか?人の痛みを理解出来ないのかよ。イーッ!」

双馬「……ん?」

グルグルグルグル……

純「……何これ。失敗してんじゃあないの?スプーンが回りっぱなしになってるわよ?」

双馬「……磁力を持たせるのが失敗していたら……スプーンは見当違いの所で止まるはずだ。それが動きっぱなしになっているというのは……」

静「あたし聞いた事あるわよ……『青木ヶ原樹海』では方位磁石が狂って、しっかりとした方位を指さなくなるって……」

双馬「それは迷信だ。そんな事はありえない……あったとしても、針がわずかにズレる程度なんだ。こんなに回り続けるっていうのはありえない」

グルグルグルグル……

那由他「けど……回ってます、よね?」

双馬「……『もや』に磁石を狂わせる効果でもあるのか?なんにせよ、徹底している敵だ……ここから抜け出すのがさらに困難になった」

静「人のケータイ壊しといてさァ~~ッ、その結論は無いんじゃあないの?」

双馬「東に真っ直ぐ向かえばキャンプ場へ戻れるはずなんだが……他の方法で方角を確かめてみるか」

純「他の方法って……磁石がきかないのに?」

双馬「……かなりアテにならないが、『木』を見るという方法がある。木の枝や葉が少ない方が『北』、逆に葉が多くて成長している方が『南』という話だが……ほとんど迷信に近いな」

静「あ、切り株の年輪を見る!っていうのは?前にテレビで見たことあるけど」

双馬「それこそ迷信のかたまりだ。……といっても、僕の言ってる事と大差は無いか。太陽や星が見えれば確実な方法があるんだが、今は『もや』のせいで見えないしな」

那由他「さ、さすがに夜まで待つのは、少し厳しいですよ……」

双馬「わかってる。だから迷信だろーと頼ろうとしてるんだ。山で遭難した時は動かないのがベストと言われるが、この『もや』がスタンド攻撃だとしたら、それがベストだとは限らないからな……こんな普通の道で遭難というのも馬鹿らしい。木を探すぞ」

静「探すっつってもさ、すぐそこにあるでしょ~~ッ。舗装された道とはいえ、山ん中なんだから」

ザッ

静「たしかこっちの方に木が生えて――」

ズルッ!!

静「!?」

静「!!?……えっ――」

足を踏み外したッ!
いつの間にか、すぐ側は『崖』となっていて――……
静は、その深い谷間に飲み込まれようとしていたッ!!

双馬「な、何!?静ッ……!?」

那由他「お姉さ――……!?」

静(や……ヤバイッ!!なんで……なんでこんな所に『崖』がッ!?)

静「う……うおッ……!!」

グ オ ッ ・ ・ ・

純「静ぁぁぁああああッ!!!」

ガシイッ!!

静「うおおおおッ……っとおッ!!純!!ナイスキャッチよ……ありがとう、助かっ……」

ヌルッ!

純「ッ!?」ガクンッ!

静「うッ!!?(あ……『汗』ッ!?汗で手のひらが滑って……!!)」

双馬「静!純ッ!!(間に合わな――……!!)」

純「――し、静は『男』に10万円ッ!!!」

パキイン!

静「う!!……え?」

ギチイッ……!

純「……ふ、フーッ……危なかったわ。もうちょっとで滑って落とす所だった……けど!これで大丈夫。……シッカリ握った状態で『固定』したわ」パキッ

静「『固定』……って、これは……」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

純「『ルビー・チューズディ』……私の手を!『ルビー』に変えて固定したッ!」パキパキパキ!

ジャ~ン!

純「これでもう離さねーッ。滑って落とすなんてありえない事だわ。……アンタが女で良かったわね、ったく……」

静「……!やるじゃあないの、純……!」ニコリ

純「双馬、静を引き上げるの手伝って。固定しちゃったせいで上手く引き上げられないわ。……スタンドの力弱くってもそのくらい出来るでしょう?」

双馬「あ、ああ。……とっさの判断、素晴らしかったぞ……純」

純「……ふ、フン!……年下にホメられても腹立つ以外の感情沸かないわね……」

グイイッ……

静「……ふいーっ!あ、焦ったわ……マジに谷底まで真っ逆さまに落ちて死ぬかと思った……!」

那由他「お姉さま、お怪我は無いですか!?ああ、良かったぁ……」ホッ

静「……何で?……何故、こんな所に『崖』が……?」

純「それは置いといて、静……私のムネの谷間に封筒あるだろ?今落ちそうになった谷間じゃあなくて、こっちの魅惑の谷間」

静「?……あ、なんか挟まってる」

純「それ取って。んで、あげる。……なけなしの10万よ。私のほぼ全財産……とりあえずそれあげる」

静「え?……いや、意味分かんないわよ。いきなり何?」

純「あ・げ・る!……で!すぐ返せッ!!じゃないと私の手が元に戻らないのよォ~~ッ……!!あーもう使い勝手悪い能力だわ……自分の身体だったら自由に『ルビー』に変えられるとか、そんな能力だったら良かったのに!」

静「……あ、ああ……そういう事ね」スポッ

双馬「……成長したら能力は変わるかもしれないぜ。それを期待するんだな」

静「……」

静「……この『崖』……さっきまで、無かったわよね?」

純「……ああ……」

オオオォオオオ……

双馬「道の南側は山の斜面で、北側は平坦な雑木林となっていたはずだ……僕達はいつ『移動』した?いや……山の方が移動したのか?」

那由他「これが……『もや』のスタンドの力なのでしょうか?」

純「地形を変化させるっつーの?そんな強力な能力、聞いた事ないわよ……私達が移動したっていうのも全然実感が無いわ」

静「けど……この場所、さっきまであたし達がいた所じゃあないわよ。すでに……」

純「……」

オオオオオォォォオオオ……

双馬「敵の目的は……僕達を遭難させる事か?まるで……」

静「……何よ?」

双馬「……まるで、この『山』が攻撃しているみたいじゃあないか」

純「!……山の……『自然現象』のスタンド?」

静「自然現象が、あたしを谷底に突き落とすっていうの?違うわね!……これは人為的なもんよ。この攻撃には『悪意』があるッ!」

純「……何にせよ、まずいわね……本当にもうここが何処なのかわからない。せめて……せめて、何か『目印』でもあれば……」

純「『もや』の一部が晴れるとか、歩きやすくなるとか……そういう事があれば……」

静「純、夢見すぎよ」

純「夢だって見たくなるわよ。重たーい『もや』に囲まれっぱなしでさあ……」

双馬「それに、もしもそういう事があったら、まず敵の罠を考えた方がいい」

純「……そうよね……ハア……」

那由他「……」

グウ~ッ……

那由他「……おなか、空いたなあ……」

純「……」

静「……確かに……朝ごはん、軽くしか食べてないもんね……」

双馬「……」

サアッ……

双馬「……?」

純「……」

那由他「……」

静「……!!」

……『もや』の一部が晴れ、道が現れた。
コンクリートで綺麗に舗装された道だ……。
そして、その道の先には、なんと……。

……『一件の家』が建っていた……。

静「……」

双馬「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

純「……『罠』?」

双馬「少なくとも……僕達が目指していた小屋は、あんな小奇麗な建物じゃあなかったはずだ……!」

静「……けど、歩ける道がこれだけだっていうのは事実。他の所を歩いて、また谷底に落ちかけたら笑えないわよ?」

純「それはそうだけど……」

双馬「……建物の中に、敵スタンド使いがいるとするなら……逆に好都合とは考えられないか?そいつを倒せばここから出られるんだからな」

純「敵は私らを倒せる自信があるから、こんな見え見えの罠を張ったんでしょうよ。罠警戒しろっつったのアンタだろーが」

双馬「警戒しろとは言っていない。考えろと言ったんだ。罠だと理解して飛び込むのはアリだろう」

純「ナシよ、ナシナシ。『もや』が晴れたらなァ~~って言ったのは私だけど、こんなヤバげなの想定外よ……逆方面へ歩きましょう」

静「だから、それで崖落ちて全員死んだらどうするんだっての。それこそ敵の思うツボよ?」

純「そう言われてもね……そもそも――」

那由他「……それよりも、あのぉ……」

那由他「……すごく、美味しそうなニオイがしませんか?」グウーッ

純「……」

静「……」スンスン

双馬「……肉……を、焼いているのか?……あそこでは……?」

静「う、うう……何よこのニオイ……トニオさんの店思い出すわ。グレートに美味そう……今の状態でこのニオイは殺人的だわ……!」グウウーッ

那由他「もしかして、その……レストランなんじゃあないですか?山の中でやってる、知る人ぞ知る名店!っていう……」

純「な、何都合のいい解釈してんのよ。やっぱりそーいう所がまだまだ子供よねーッ!……このニオイってバジル?洋食料理の店?」クンクン

双馬「……何だ?これは……これが攻撃なのか?……いや、そもそも……本当に僕達は、『攻撃』を受けていたのか……?」

ガチャッ!

全員「「「「!!!」」」」

ギギイィィッ……

静「……『ドア』……が……」

ィィ……ッ……

メイド「…………チラリ」

静「……」

那由他「……」

双馬「……」

純「……え?『メイド』?」

……建物の中から現れたのは、メイドであった……。
茶色い髪を丁寧にまとめ、純白のエプロンを身につけたメイドだ。
静達は驚愕した。
『建物の中から現れるのは、凶悪な敵であるッ!』
……と、考えていたからだ。

メイド「……ようこそ、いらっしゃいました……お嬢様。並びに……旦那様」ペコリ

静「……え?……え??」

メイド「私のお店へようこそ、お越しくださいました……。私の経営する、西洋料理店へ」

那由他「……せい、よう……」

双馬「……料理……だと……?」

メイド「ええ……どうかごゆっくり、おくつろぎ下さい」

メイド「お嬢様達の幸せが、私にとっての幸せで御座います」

ペコリ

静「……」

純「……はあ?」

…………

本日はここまでです。
次回かその次で終わりです。

…………

バ ァ ァ ア ア ア ・ ・ ・

メイド「……」トコトコ……

静「……」

純「……入っちゃった……」

那由他「……」ゴクリ

双馬「……」

純「ねえ、入っちゃった……入っちゃったよぉぉ~~ッ……超うまそうな匂いしてる。どうすんのよ?ねえ~~」ヒソヒソ

双馬「うるさいな。僕だって今どうすればいいのか必死に考えてるんだよ。『こいつの目的は何なのか?』……それがわかるまでは――……」

メイド「私のお店は」ズイッ

純「!!」ビクッ!

双馬「!……」

メイド「……このような、山の中にかまえておりますがゆえ……様々な偏見の目で捉えられる事が多くございますが……食材に一級品の採れたて新鮮な山の幸を用い、水はすぐそこの清らかな湧き水を使用しております。肉は私が愛情込めてこの山でのびのび育てました。……全てこの山で採れたものばかりです。そのみずみずしい食材がもたらす魅惑のハーモニーは、東京都内の三ツ星有名店に勝るとも劣らないと自負しております。……道案内の立て札や地図も無いため、知らぬ人は数多く。しかし……きっとお嬢様方を満足させる事でしょう」

ペコリィ~ッ

純「……」

静「……もしかしてさァ~~……この店、『注文が多い』……って事は、無いでしょうね?」

メイド「……『注文』?『メニュー』?のことですか?」

静「あ!いや……なんか、そんなニッポンのお話があったなぁ~~って。ハハ……」

メイド「そんなもの、ウチにはありませんよ……」

純「!……」

双馬「……」

那由他「ど……どういうことですか?メニューがないというのは……」

メイド「失礼……私がお客様にお出しするのは、その日に採れたものだけですので……毎日同じお料理をお出しする事が出来ないのです」

双馬「……」

メイド「今日この日に、私が自信を持ってお出しする事の出来る料理を、お客様には味わっていただきます。……しばしお時間を。ご準備に少々時間がかかりますので……」クルッ

純「……し、静。止めるなら今よ……聞くなら今よ。どうすんの?結局この店は『怪しい』の?『怪しくない』の?」

静「……普通に……こだわってる『だけ』の店……にしか、私には見えない……」タラリ

純「双馬」チラッ

双馬「僕か……最初に断っておくが、苦手なんだからな。『イチャモン』つけるっていうのは……」

双馬「あー、ゴホン。……失礼、料理の前に……聞きたい事があるのですが」

メイド「……」ピタッ

双馬「ここは……ここに来る前に、僕達は『もや』に囲まれて遭難しかけた……あの『もや』は一体何です?」

メイド「……山の天気というものは移り変わりやすいものです。それに夏場でもよく冷える。……都会にお住まいの方々にはちょっと理解出来ないでしょうが……そういった現象を受け入れるのが、山で生きていく秘訣です」

双馬「……山といってもすぐ側はキャンプ場だ。そこまで深い所に来たつもりはありませんが」

メイド「あら、昔はもっと深い山だったのですよ?開発等で削られてしまいましたけど、ね」ニコッ

双馬「……」

メイド「……何か?」

静「あー、ゴホン!オッホン!」

メイド「……」チラ

静「この店……ええっと、とても素敵……ですけれど」

メイド「……ありがとうございます」ペコリ

静「いや、違くて……こんな山の中に立てていたら、色々と大変でしょう?仕入れだってまともに出来ないんじゃあないの?お魚料理を出したい時とかどうすんの?あたしは食わないけどさーッ」

メイド「……先ほども申しました通り、全て山で採れた食材を使用しております。魚とて例外ではありません。……違うのは、調味料とお皿……くらいなものでしょうか」

静「……徹底してるゥー。そーいうこだわり、あたし結構好きかも」

純「……」ジロッ

静「えっと……純、ほか何聞きたい?」

純「あのさあ……貴女一人でお店やってるの?」

メイド「……ええ。それが……?」

純「ハッ!私とそこまで年変わらないような小娘が、メイド服とかいうチャラッチャラしたもん着て料理作るなんて、期待出来ないわねーッ!ていうかコックとメイドは別モンでしょうが!何?オムライスに♡(ハートマーク)とか書いてくれるって訳?笑えるわねーッ!」

静「……純、それもうただのクレーマーだっての」

双馬「『イチャモン』の方向性が違うだろ……この店や『もや』の事について聞け」

純「あ、アンタ達だって似たような事聞いてただろうがよーッ!!」

メイド「……」

メイド『そうか……女中の服だと聞いていたが……ブツブツ……接客のみだったか……ブツブツブツ……失敗……』

純「?……何か言った?今アンタ?」

メイド「いえ。……この服は、お嬢様方に『お仕え』するという心づもりを形にしたものです。……まあ、お気になさらず……」

純「……ぬうう……」

メイド「……お話は以上でしょうか?……それでは、火加減を見なければなりませんので……」

純「……な、那由他ちゃん!貴女もなんか聞いときなって、ホラ!」

那由他「あ、あたしですか?……ええ~~っとォ……」

那由他「えっと、その……メイドさん?」

メイド「……何か?」スッ

那由他「……あ、貴女は……あたしたちに、危害を加えない……ですよね?」

純「……」ポカーン

静「……」

メイド「……」

那由他「もちろん、あたしたちも。……貴女は美味しーいごはんを提供してくれて、あたしたちはお腹いっぱいニッコリ元気!みんな仲良し……ですよね?」

メイド「……ええ。お嬢様方が私の料理をお食べになり、『満腹感』と『幸福感』を得る事が……私の幸せです」ペコリ

シズシズシズ……

純「……な、那由他ちゃぁん……そーいう事じゃあなくってさあ~~ッ……それ根本的解決なってないっていうかァァ~~ッ……」ハァー

静「……ま、いいじゃあないの純。約束してくれたんだしさ。料理……待ってやろうじゃあないの」ドサッ

双馬「……大物だな、お前……まあ、外は未だに『もや』が立ち込めている。……座って待つしかないか」スッ

純「……」ドッカ!

シィーン……

純「……結局、これは『罠』なの?」

那由他「……」

双馬「さあな……そうかもしれないし、そうじゃあないかも……静、どう思う?」

静「……お腹すいた。肉食わせてくれんのかな……スッゲー良い匂いするんだけど」グウーッ

双馬「……呆れた奴だ」

静「何よ、双馬。アンタ腹減ってないの?」

双馬「……ああクソ、減ってるさ。減っているが、罠なら食う訳にはいかないだろうが」

那由他「けど、危害を加えないって約束してくれましたし……」

純「あんな口約束イチイチ本気にしてたら生きてけないわよ」

双馬「純、お前は罠だと見るか?」

純「……」

静「……純?」

純「ゴメン、考え中。……えっと、仮に罠だとしてさ……敵はわざわざ『もや』を発生させた上で、こんな立派な店まで用意したって訳かな」

双馬「……それは考えづらいな。元々この場所にこの店はあったんだろう」

純「だとしたら、敵はずーっとここにいた訳よね?私達が来るとも限らないのに。……襲うんが目的なら、かなり非効率……よね」

静「何よ純、さっきまで警戒しまくってたくせに、罠否定派?」

純「冷静に考えたらって話だ、静ァー。まだ8:2くらいで警戒しまくってっからな私はッ」

那由他「あの……さっきから罠だとか襲うだとか言ってますけど……まだ何もされてません……よね?」トクトクトク……

純「今からされるかもしんないって事よ……那由他ちゃんちょっと待って、その水飲む気?」

那由他「え?」

純「やめときなさいよ、毒入ってたらどうすんの?双馬、先に飲め」

双馬「何故そうなる」

静「……毒が入ってるんなら……毒を『入れた』という過去があるはずよね?」

純「……何?」

静「双馬」

双馬「ああ。『ペーパー・バック・ライター』」

ペラペラペラ……

双馬「……ム、そういった過去は無いな。少なくとも、この『水差し』には……いたって普通の水差しだ。ちょいと年代物だな。割るなよ静」

純「何ソレ?『水差し』の表面を……『本』……に、してるの?」

静「双馬、それって水は本に出来ないの?流石に無理?」

双馬「無理だ。お前水で出来た本とか見たことあるのか?」

静「ガラスで出来た本とかも見たことないっての」

那由他「じゃあ、飲んでも大丈夫って事ですか?」

双馬「ああ、おそらくな」

静「こぼしちゃあダメよ那由他ちゃん。あたしも飲もうっと……」トクトクトク

パラパラパラ……

双馬「……フーン……テーブルやイス、壁なんかにも不審な文章は無い。……経営は厳しそうだが、客も何人か来ているようだ。普通の店だよ、ここは……」

純「へえー、便利な能力……物に記憶があるの?」

双馬「人なんかよりよっぽど確かな記憶があるさ。お前が何人の男と夜を共にしたのかも、僕は杜王町の地面から知ったぞ……知りたくなかったがな」

純「んな事聞きたくなかったわよ……私自身覚えてないし」

静「んーッ!この水すっごく美味しいわよ。流石に泣くほどじゃあないけど、ゼッピンね」プハーッ

那由他「本当ですね!気品に満ちた水というか……アルプスのハープを弾くお姫様が飲むような味というか、すごくさわやか……」

純「……そのトシでグルメレポーター並の感想ね」

純「……っていうか、あ」

双馬「……今度は何だ」

純「静、アンタお金持ってんの?双馬も」

双馬「……」

静「……あー……荷物ん中だわ」

純「どうすんのよ……今もう料理準備してんでしょ?今更お金無いから出まーすって言うの?」

双馬「……純」

純「何よ」

双馬「……後で返す」

静「あたしも。……アンタ10万持ってたわよね?」

純「わ、私の全財産よ!?オメーらァーッ……返さなかったらシリの毛までルビーにしてやっからな!」

ガチャッ!

純「!」

那由他「!」

静「!」

双馬「!」

ギギギ……

メイド「……お待たせいたしました……」

シズシズ……

メイド「本日のメイン……若鶏のバジルソテーで、御座います……」

コトッ!

ジュウウウ~~ッ……!

静「!!……うッ……!」ギュルルーッ

純「お……!(美味しそうッ……!!)」

那由他「うわあ……お肉……いい匂いです……!」

双馬「……確かに美味そう……だ、が……」

クルッ

メイド「……フフ……」ニコッ

双馬(……『メイン』?……『本日のメイン』だと……?)

メイド「こちらの料理は……完全な開放平飼いで山の中をのびのびすくすく育った鶏を、今朝方しめて使用しております。……バジルは裏で育てた完全無農薬の香りの良いものだけを集めました。プリプリとした食感と深い味わいは、他の店では出す事が出来ないものかと……」

静「……」グーッ

純「……」ジュルッ

メイド「さ!どうぞ……お召し上がり下さい……」ニコッ

那由他「……」

双馬「……」

静「……」チラッ

純「……」

純「……静、先に食いなさいよ」

静「アンタさっきから人に勧めてばっかりじゃあないの?別に遠慮せず、先食ってみたら?」

純「……双馬」

双馬「……」

那由他「お、美味しそうっ!いっただっきまー……」

純「待って那由他ちゃん、貴女が先に食うのはダメよ……メガネか静に食わせなさい」

静「純、アンタねえ……」

メイド「……あの……?」

純「!」ドキッ

メイド「……な、なにか……私、気分を害しましたでしょうか?なにかいけない事でも?……その、温かいうちに料理を召し上がっていただこうと思ったのですが……」オロオロ……

純「う……!」ドキッ

静「た、食べます食べます!」カチャッ!

純「うんそう!今!食べようと思った所なのよッ!」カチャッ!

静・純「「いっただっきまーすッ!」」

パクウッ!

静「……うッ!!」

純「……うッ!!」

那由他「だ、大丈夫ですか!?やっぱり、何か……?」

静・純「「ゥンまああ~~いっ!!」」

メイド「……」ニコニコ

那由他「……」えっ

双馬「……」ブスッ

静「こ、この鶏肉ッ!誇張でも何でも無いッ!身がプリプリしてる!歯を弾き返すような弾力よッ!それでいて柔らかいッ!ほろほろと口の中でとろけさってしまうように身がほぐれるわッ!!」

那由他「……」ゴクリ

純「それにこのバジルソースッ!私こーいう高い料理は詳しくないけどさァァ~~ッ!口に入れるとブワッ!と香りが鼻から抜けていくッ!それがまたドきつい訳でも無くうっとおしい訳でも無いッ!ああッ……いつまでも食べ続けたいっていう味だわッ!!」

那由他「あ、あたしも……」パクッ!

三人「「「んんまぁぁああああ~~~ッ!!」」」

双馬「……」

メイド「……」ニコニコ

静「ああ……こんな素敵なレストランがあったなんて……最高ッ!『もや』で迷って良かったわね」

メイド「喜んでいただいて、嬉しい限りでございます」ペコリ

純「はあ~~ッ……昨日のバーベキューも中々だったけど、これには負けるわね……私ファンになっちゃいそうだわ、この店の……」

メイド「ありがとうございます。……それでは、私は次の料理の支度をしますので……」クルッ

トコトコ……

メイド「……旦那様も、是非召し上がって下さいね?」ニコッ

双馬「……気が向いたらな」

メイド「……」

バタンッ

……シャーコッ……シャーコッ……

静「ねえ、双馬食わないの?食わないんならあたし食うわよ?」

双馬「ちょっと待て。僕も腹減ってるのは同じだ……少し調べさせろ」ペラッ

純「?……なんかアンタ、いきなり慎重になってない?さっきまでは私なんかよりよっぽど罠否定派だったじゃん?」

那由他「美味しいですよ?お兄さま。あたし西洋料理なんてあまり食べませんけど……」

双馬「……特に変わった記述は無い、か……」

静「食べて大丈夫そう?」

双馬「ああ。おそらく……いや、大丈夫だな。……僕の思い過ごしか」カチャッ

パクッ

双馬「!……確かにこれは……美味いな」

静「でしょーッ?」

……シャーコッ……シャーコッ……

双馬「ふむ……やはり考え過ぎだったか。確かにあの『もや』はスタンドなのかもしれんが、この店は……普通の店のようだな」モグモグ

純「まあ、それならそれで料理を楽しみましょう。遭難しかけるわ静が崖に落ちかけるわで私お腹ペッコペコだわ。空腹にバジルソースが染みるゥ~~ッ」

静「双馬の『ペーパー・バック・ライター』で何も見つからないならマジよね」

双馬「ああ。僕は自分の能力を信じている。……しかし……だからこそ、気になるな……」

那由他「……えっと、何が……ですか?」

双馬「……」

……シャーコッ……シャーコッ……

双馬「……あのメイド……『本日のメイン』と言ったんだ」

那由他「……」

純「……えっと……それが?」

静「!……『メイン』?」

……シャーコッ……シャーコッ……

双馬「……聞いていなかったのか?静?」

静「腹減ってぼーっとしてた。あの匂いは反則よマジで」

那由他「!……あ、ああ!そういう……!」

純「え?……え??何?何の話?」

静「純~~ッ、アンタお店でイタ飯とかフランス料理とか食べたこと……あ、ゴメン。……無いんだっけ?」

純「無いわね。基本的にはコンビニ弁当ばっか食ってたわ。カネ払って高いモン食うとかバカのやる事って思ってた。……今日から考え改めようかな」

静「なら教えてあげるけどね……『メイン』の料理って、一番最初に出ないのよ」

……シャーコッ……シャーコッ……

純「?……え、じゃあ何食うのよ?店行ったら肉が出てこないなんてさ?」

静「前菜とかパスタとか、あとはまあドリンクとかさ……」

純「回りっくどいわね。肉食いたい人はどうすんの?」

静「さあ……コースじゃあなくって単品頼むんじゃあない?」

双馬「……皿なんかに何も不審な記述が無い分、逆に気になる……何故あのメイドは、料理を出す順番を間違えたんだ?」

那由他「……」

……シャーコッ……シャーコッ……

静「……採れなかったんじゃあないの?ほら、言ってたじゃん。その日に採れた食材を使ってるから、毎日同じ料理を出せないって……」

双馬「野菜一つすら採れなかったのか?店出来ないだろうそれじゃあ」

那由他「い、忙しくって間違えちゃったんじゃあないですか?」

双馬「……僕らの他に客はいないんだ。忙しいようには……見えないがな」

……シャーコッ……シャーコッ……

双馬「……料理は美味い……これはマジだ。しかし……立派な店ならば、こんな初歩的なミスをするだろうか?まるで……」

静「……何よ、双馬」

双馬「……まるで、料理店の『マネ』をしているだけ……にも、見えないか……?」

純「……」

那由他「……」

……シャーコッ……シャーコッ……

双馬「そう考えると妙にハッキリしてくるぞ……思えば何故、この店はこんなにも狭いんだ?テーブル一つにイスが4つしか無いぞ。何故レジが無い?何処で金を払えばいいんだ。何故この店には看板も名前を表すようなものも無いんだ?外に何もかかってなかった。それに……メイドだ。なんでメイド服なんだ?」

純「考えすぎだって、笑い飛ばしたらダメか?双馬ァ。私も疑ってかかってたけどさ、美味しかったらなんでもいいわよ」

那由他「そうですよ。お兄さまのスタンドでも、おかしな所は見当たらなかったのでしょう?」

双馬「……」

静「そんなに気になるならさァ~~ッ、聞いてみたらいいじゃん」

ガタッ

……シャーコッ……シャーコッ……

静「どーせ出し忘れただけだって!料理の順番逆になっちゃったけどさァ~~、今から前菜出してもらおうよ。それで解決。ねっ?」

スタスタスタ……

双馬「……」

那由他「……」

純「……」

……シャーコッ……シャーコッ……!

静「すみませーん……あの、メイドさーん……?」

ガチャッ…

シャーコッ!

シャーコォッ!!

『殺してやる……人間め、食ってやる……食ってやるぞ、食ってやるゥゥウウウ……!!』

ド ン

静「!?なッ……!!」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

ドアの向こうでは……ああ!なんという事だろう!
メイドが……否!もうメイドと呼ぶのもおこがましい!
長い髪を振り乱し!鬼のような形相をした『何か』がッ!!
大きな『日本刀』をッ!!一心不乱に研いでいたのだッ!!!

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

『そこで何をしている~~~~ッ!!見たなァ~~~~っ!!!!』

クルリ!

静「て、きッ……!?テメェーッ新手の敵スタンド使いかぁ――ッ!?」バッ!

ヒュッ!

静「!!うっ?」バッ!

ドガア!

静「……ッぶねーわねッ!切れたッ!ほっぺた少し切れたわよッボケッ!」ブシュウッ!

『……わたしの……ブツブツ……』

静「……!?」

『……わたしの領域へェ……入り込んだのは貴様だ、人間めェェ……サラダにしてやろうか?それとも火をおこしてフライにしてあげようか?……ブツブツ……』

静「!!――純!双馬!那由他ちゃん!敵よッ!コイツやっぱり!敵だったわァ――ッ!!」

クルリッ!

純「ゲエ――ッ!!」

ドォ――ン

静「!?純ッ……?」

純「ウゲエッ!オエッ!……は、腹がッ……は、吐き気がッ……!」ブクブクブク

双馬「マズいぞ、静……ぼ、僕達は……!」

那由他「……」フラッ……

ドサアッ!!

那由他「オエエ……!」

双馬「さっきの『料理』だ……僕の能力では何も書かれていなかったというのにッ!何か……『毒』を盛られていたッ!!」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

静「……」ゴブッ!

ボタボタボタ……

静「う、そ……普通に美味かったし……まさか、あれに……?」ガクガクガク

『……ククク……!』

ガシイッ!

静「!!うッ……!!」

ブランッ……

静(ぐッ!く、びを……締められて、『息』が……『波紋の呼吸』がッ……!)

『ブツブツ……今日の……メインディッシュは……ブツ……』

静「……!?」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

『人間ン……貴様らが食い散らかした肉だッ!ばあべくう、と言ったか?それだ……細かく5センチの肉片にしてッ!じっくり網の上で焼いてやるぜェェエエエエ!!!』

グ オ ッ ・ ・ ・

静(や、ヤバイ……刀が……死――……)

双馬「ク……静ッ!!」ガクガク

純「や……やめろォ――ッ!!!」

ブォ――ン!!!

スパァァン!

静「……」

双馬「……」

純「……」

『……は?』

ボトンッ

……斬られたのは、『何か』の腕であった。
刀を持った方の腕が、地面に落ちた。

『……あッ?……ヒイイイィィィイイイ~~ッ!!?』

バタバタバタッ!

静「ぐえっ!」ドサッ!

純「静ッ!?……良かった、無事……」

双馬「今……一体、何が……?」

???『シュウーッ……』

双馬「!?」バッ!

純「え!?」バッ!

静「……ホンット、助かったわ……今日のあたし、みんなに助けられてばっかりね……」ニヤリ

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

静「……『那由他ちゃん』!」

那由他「『まほろば○△』……『ルール違反』ですよ」

鎧武者『『危害を加えない』トいうルールヲ……『料理に毒を盛り』『日本刀で斬りかかり』『首を絞める』……キッチリカッキリ三回ダ。シュウーッ……ワタシは『中立』ダカラナ……』

バ――z__ン!

『ヒイッ!ヒイッ!ヒイイッーッ!!』

バタバタバタ!

純「大丈夫?静……」

静「ゲホッ、まあ平気よ。吐き気は相変わらずだけどね……それよりも、中立!」

鎧武者『……『まほろば○△』……ワタシヲ呼ぶならソウ呼べ』

静「そう、まほろば……一つ聞いておくわ。……『危害を加えない』というのは、『ラッシュ』はどう換算されるんだ?」

鎧武者『……』

静「拳で連続で殴り抜けるっていうのはさァ――ッ……一体どう考えるの?一回の危害か?それとも拳一発につき危害一回か?」

鎧武者『……ワタシは中立ダ……ソレについてハ……答エル事は出来ナイ……』

静「……それじゃあこっちの都合よく解釈するわね~~ッ!!」ギャン!

双馬「当然だ……完膚なきまでに叩きのめすッ!」ギャン!

『ヒッ!やめ――……』

ワイルド・ハニー『ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ
ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ
ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ
ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ
ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ
ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ』

紙人間『ペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラ
     ペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラ
     ペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラ
     ペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラ
     ペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラ』

ドゴ ドゴ ドゴ

ワイルド・ハニー『ドッ――』

紙人間『ペッ――』

ワイルド・ハニー&紙人間『『ラアアアアアアアアアアアアアアああああァァァァァッッッ!!!!』』

ズドォォオオオン!!

『あああああああァァァァァァァッ!!!?』

ズモッ……!

モヤァ~~ン……

純「!……う、何?景色が……ぼやけて……?」

『人間め……人間め、人間めェェエ……!いつか!必ず!食ってやる……わたしの領域から追い出してやる!きっと!必ずだ!人間め人間め人間めェェ……!』

モヤモヤモヤ……

双馬「……うるさいんだよ」

静「さっさと……消えろッ」

ブワアアアッ……

アアアア……

純「……」

那由他「……『もや』が……晴れて……!」

……ァァァ……

……

……チュンチュン……チチチ……

静「……ここは……」

双馬「……すぐそこが道だ。僕達が通ってた道だ。『もや』で迷ってしまったと思っていたが……ちょっと脇にそれて茂みに入っただけ、だったようだな……」

……静達の目の前には、豪華な鶏肉料理では無く……
泥で出来た団子と、雑草と、毒々しいキノコが乱雑に置かれていた……。

双馬「……は、ハハ……見ろよ静。言っただろう?このキノコはな、メチャクチャ美味いんだよ……毒があるけど、な……」

静「……はは……」

那由他「……『幻覚』……だったの、です……ね……料理も建物も、全て……」ヘタッ

純「……狐かタヌキに、化かされた気分よ……オエエ……オゲッ」ゲローッ

サアッ……

双馬「……人間に虐げられた大自然の怒り、って所か。……人の文化に化けて襲ってくるとは、皮肉な話だな……」

那由他「ふう、ふう……」

静「ヤバイわね、那由他ちゃんは小さいから毒の影響をモロに受けてるわ。早く病院へ……」

双馬「……」

ペラッ……

双馬(……完璧だと思っていた自分の能力も……『幻覚』の中では意味が無いとは……まだまだだな、僕も……)

静「双馬!」

双馬「ああ、わかってる……僕達もな、そろって病院行かないとマズいぜ」

静「といっても、うう……近いとはいえ、キャンプ場まで歩いていくのはキツいわよ……どうしよ?」

双馬「……」

純「……あ。あれ……」スッ

静「?」

ハイウェイ・スター『クンクン……クン……』フヨフヨ

静「良かった……裕也さんの『ハイウェイ・スター』!見つけに来るの遅いってのーッ」

双馬「頑張れよ、那由他ちゃん……気をしっかり持つんだ」

那由他「はい……大丈夫ですよ、お兄さま……」ニコッ

純「オエーッ……うげっ、腹ん中から、泥が……オゲッ」

静「……ねえ、純……」

純「……何よ、静」

静「どうだった?今年の……夏休みはさ」

純「……」

静「……」

純「……」

純「……二度とテメーとは旅行になんか行かねーッ」

静「やれやれね」

…………

――静・ジョースター、双葉双馬、吉岡純、虹村那由他……そろって入院。全治2週間(夏休み終了まで)――

…………

⇐To be continued=・・・?

スタンド名― ワーキング・オン・ア・ドリーム
本体―???

破壊力―なし スピード―なし 射程距離―B
持続力―C 精密動作性―なし 成長性―A

『もや』のスタンド。
『もや』を吸い込んだ者は強烈な幻覚作用を引き起こす。
本体は不明ではあるが、山の中には人間が想像出来ないような生物がけっこーいたりする。
案外この能力を使える『スタンド使い』は、この世に数多くいるのかもしれない。

名前はブルース・スプリングスティーンの曲から。
名前を考えて下さった、幼じょりんの方に感謝します。

これにて静ジョ13話完結です。
大変長く、また遅くなってしまい申し訳ないです。
たぶん4月から、更新速度少しあがると思います……まだわかんないですけど。

次の話……の前に、少し息抜きで番外編書きます。
明日投下しますので、しばらくお待ちください……。

すみません少し更新遅れます

…………

チェスタ(……俺の名前はチェスタ・テスタロッサ。邪悪の化身DIOの息子であり、スタンド使い……)

チェスタ(俺の目的は、この世界に『DIO』を……『神』を創る事。この世にDIOが目指した『天国』を創る事だ)

チェスタ(幸いにも、条件はクリア出来た。俺は一人の少女、有栖川メイに『石仮面』を被せ、DIOと同じ『吸血鬼』に変えた。人間を超える存在を創りだす事が出来た)

チェスタ(後は、メイのスタンドの成長を待つだけだ……)



チェスタ(……ただ一つ、誤算があるとするならば……)

めい(5さい)「ちぇすたー、ちぇすたー。おなかすいたー」テコテコ

チェスタ「ああ、わかった……血だな」

めい「や!」プイッ!

チェスタ「?」

めい「だって……ちって、こわいもん……」プルプル

チェスタ「……」

めい「ホットケーキ!ホットケーキがいいーっ!」

チェスタ「……ああ。わかった……」ハァ……






チェスタ(……石仮面使うんめっちゃ早すぎた)




――番外編――

『めいちゃんと執事』





※長ったらしい注意

・完全オリジナル。

・私の友人であり同じSS作者様の、◆t8EBwAYVrYさんが書く幼じょりーんシリーズとのクロスです。

・幼じょりーん世界から5年後、もしメイちゃんが5歳の時に石仮面を被っていたら……IF。

・幼じょりーんシリーズには、ワイルド・ハニーを使う静が出ていたりします。未読の方は
仗助「承太郎さんの娘さんすかァ~ッ!?」
仗助「承太郎さんの娘さんすかァ~ッ!?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1377932515/)
から是非。

・幼じょりーんシリーズファンの方にはお見苦しいかもしれませんが、息抜きとして読んでくださればと……。

AM6:00
幽霊屋敷――

チュンチュン……

チェスタ(……執事の朝は早い。私の仕事は朝刊を取り込む所から始まる)

ガチャッ

チェスタ「……ム?」

シャーッ!

ギアッチョ「ボンジョルノぉ~~っとォ。おっ?早いっすねー」

チェスタ「……おはようございます」ペコリ

ギアッチョ「朝刊届けに来ましたぜェ~~ッ」

チェスタ「はあ……(氷のスーツ着てスケートしながらか?)」

ギアッチョ「ほい!今朝の新聞……」

チェスタ「どうも……」

ギアッチョ「……」

ピタッ!

チェスタ「……?……何か?」

ギアッチョ「……今朝の新聞の……『新聞』ってよォ~~……『新しい』ってのは、わかる……スゲーよくわかる。俺はいつでも新しい情報を届けとるからな……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

ギアッチョ「だが『聞く』って部分はどういうことだああ~~っ!?こんな紙を耳に突っ込むっつーのかよ――ッ!ナメやがってこの言葉ァ、超イラつくぜェ~~ッ!!こんなモン聞こうとしたら鼓膜破れちまうじゃあねーか!聞けるもんなら聞いてみやがれってんだ!チクショ――ッ!どういう事だ!どういう事だよッ!クソッ!新聞ってどういう事だッ!ナメやがって、クソッ!クソッ!」

ガンガンッ

チェスタ「……夕刊も宜しくお願いします」

ギアッチョ「あ、ほいっスー。そんじゃ!」

シャアアーッ!

チェスタ「……さて」

バサッ!

チェスタ(新聞……こういったものから最新の情報を仕入れるというのは大切だ。……メイの成長に繋がるかもしれないからな。フフ……)

チェスタ「……」

ペラッ……

チェスタ「フーン……日本の政治というのも難しいものだな……」

ペラッ……

チェスタ「……おっ、今日カメユーでレタスが半額セールか……行かないとな……」

ペラッ……

チェスタ「……今日の深夜洋画劇場は……スピーシーズだと!?クソッ……今夜はメイを早く寝かさなければ……!」

(※スピーシーズ……SFホラー。子供は見てはいけないくらいえっちぃ)

AM7:00

チャーンチャーンチャチャチャー♪

ジョジョラジオ『フフフ……次はこのダイアーに習って大きく波紋の深呼吸!吸ってー……波紋入りの薔薇をはいてー……』

チェスタ「……毎日思うが、このラジオ体操は難易度高いな……」イッチニッ

チェスタ(運動不足は精神をすり減らす。俺はこうして毎日運動するのをかかさない……)

チャチャチャチャチャンッ♪

ジョジョラジオ『さあ、次はストレイツォの容赦せんラジオ体操第二!』

チェスタ「ふむ?……この放送を聞くのは初めてだな……」

ジョジョラジオ『ついて来れん者は奥歯を引っこ抜く!』

チェスタ「怖いな。……まあ、やってみるか……」

ジョジョラジオ『まず、身体を手榴弾によって爆発四散させ――』

チュドーン!

チェスタ「……」

ジョジョラジオ『次に、元通りに引っ付ける!!』ズル……ズル……

チェスタ「誰が出来るんだよ」

AM8:00

ジュウウ……

チェスタ(……朝食とは大切だ。その日一日を動くためのエネルギーとなるからな……)

ゥゥゥ……

チェスタ「……よし、ソーセージにスクランブルエッグ、と……パンも焼けたな。そして……」

スッ!

チェスタ「……今日こそ、メイには血を飲んでもらう……!この医療用血液パックを、トマトジュースに混ぜてわからなくして、な……!」フフフ……!

ガチャッ

めい「……うりぃ……おはよーちぇすたぁ……」ゴシゴシ

チェスタ「お早う、メイ。顔を洗ってきなさい」

めい「……それはつめたい」

チェスタ「……水だからな」

めい「……あらわないと、だめ?」

チェスタ「駄目だ。ほら、はやくしなさい」

めい「……くわあああ……」ファーッ

チェスタ「ああもう、髪もボサボサだ。全く……こっちへ来い。櫛でとかしてやるから」

シュッ、シュッ……

めい「……ううー……」スピーッ

チェスタ「起きろ、メイ。もう朝だぞ……お天道さまも起きている」ナデナデ

メイ「……ぐう……」

チェスタ(……といっても、吸血鬼とは夜に動くものか……生活スタイルを俺に合わせる方が間違っているのかもな……)

チェスタ「……よし、髪綺麗になったぞ。これで……」

めい「……あーっ!」ガバッ!

ゴンッ!

チェスタ「!!ぐっ……!」

(↑メイが飛び起きた拍子に、メイの頭がアゴに当たった)

チェスタ「め、メイ……一体何だ?……アゴが砕けそうなんだが……」プルプル

めい「ちぇすた!テレビ!テレビつけて!」

チェスタ「テレビ……だと?」

めい「はじまっちゃう!はやくしないと!たのしみにしてたのに!」

チェスタ「?……わかった、わかった……」

ピッ!

チェスタ(……一体何だ?)

じょりん(9)『ふたりはッッ!!』

えるめぇす(9)『ジョジョッ!!キュアァァ――ッ!!』

ジョジョッ!キュアッ!ジョジョッ!キュアッ!

ドバァ――z__ン!!

めい「いけいけー!ジョジョキュアーっ!」イエーッ!

チェスタ(……何だこれ)

えふえふ『フーフォアーッ!わたしは実は一回殴られたら仲間になるぞーっ!』ドバーッ!

えるめぇす『やばいぞじょりん!このままだと、水の中に引きずり込まれる!』

じょりん『そしたらびしょ濡れになってジョースケにえっちな目で見られるな!それは困る!』

仗助『見ねえよ!お前おれの事どう思ってんだコラァ!』(声のみ)

アバッキオ『悪いが保護者さんよォー、今撮影中だから声抑えてくれるか?』(声のみ)

仗助『ぐ、グムム……!』(声のみ)

じょりん『あはは!ジョースケ怒られてる!ちょうウケル』ズルズルズル

えるめぇす『じょりん引きずられてる!すっごい水の近くまで来てる!』

えふえふ『えーっと、ホントーに引きずりこんだらダメなんだっけ?』

じょりん『うん。替えの服持ってきてないし』

えふえふ『むずかしいなー』ズルズルズル……

チェスタ「……なあ、メイ。これは……?」

めい「ちぇすた、いまはしずかにしててーっ!」プンプン

チェスタ「…………済まない」

めい「ああっ、たいへん!ジョジョキュアぜったいぜつめーのピンチーっ!」ハラハラ

じょりん『こうなったら……変身だ!えるめぇす!!』

えるめぇす『わかった!戦いのメイク・アーップ!』

ドッギャ――ン!!

えふえふ『うわあっ!?急に二人が輝いて……!?』

ドドドドドドドド……

じょりん(変身)『星の使者……キュア・フリィーッ!!』バァーン!

えるめぇす(変身)『復讐の使者……キュア・キィーッス!』ババァーン!

じょりん『神父がよこしたしもべ達よ!』

えるめぇす『さっさとここから消えるんだな!!』

ドバァーン!!

えふえふ『フ……フーフォォオーッ!超かっけーっ!!』キラキラ

じょりん『いくぞー、キュア・アゴヒゲ!』ビシッ!

えるめぇす『アゴヒゲじゃあねーっ!オシャレペイントだっこれはっ!!』プンスカ!

じょりん『えっ!?……あ、アゴヒゲじゃあなかったのか……?』ハテ?

えるめぇす『キュア・キッスって言っただろーがよーっ!』

じょりん『ごめん……今までずっとアゴヒゲだと思ってた……最近えるめぇすたくましくなったし、アブオみたいなオッサンになるのかと』

えふえふ『ごめんなえるめぇす……わたし達勘違いしてて……』

えるめぇす『ジョジョキュア・レインボー・うしゃアアアアーッ!!!』

ドッガァーン!

えふえふ『ぎゃーやられたー!』ドーン!

じょりん『あたしもーっ!?』ズドーン



めい「はあ……きょうもえるめぇすアニキはかっこいいわねー……」ウットリ

チェスタ(……何?……何なのこれ?)

えふえふ『宣言通り仲間になった新たなるジョジョキュア、キュア・ファイターのえふえふ!』

えるめぇす『彼女と親交を深めるためキャッチボールをしていたじょりん達の前に、謎のジョジョキュアが現れる!』

みらしょん(9)『わたしはキュア・マリリン……趣味はお金を取り立てる事です』

マリリン・マンソン『シリノケ マデ ムシリトルゾ オラッ』

じょりん『次回ふたりはジョジョキュア、『取り立て人マリリン・マンソン』!』

えふえふ『来週もまた見てくださいねー。じゃーんけーん……』

仗助『誰がサザエさんだコラアッ!!』

バァーン!

めい「……はー。……おもしろかった」ホッコリ

チェスタ「……なあ、メイ。今の番組は……?」

めい「ちぇすた、ジョジョキュアもしらないのー?ぷぷーっ!」

チェスタ「……ああ。知らない」

めい「おっくれってるわねーっ。キュア・フリーふうにいうと、やれやれだわ、よ。やれやれだわ」フーッ

チェスタ「……」

めい「あのねー、ジョジョキュアはね。なうなやんぐにバカうれなのよ」ドヤッ

チェスタ「何処で覚えたその言葉」

めい「むじつのつみでトーゴクされたじょりんはね、ワニのようせいシャーロットちゃんのちからでジョジョキュアになるの」

チェスタ「設定が無駄に重くないか?」

めい「けーむしょからダツゴクするためにね、あくのヘンタイしんぷのてさきをボッコボコにするおはなしなの」

チェスタ「どこからツッ込んだらいいんだ?」

めい「うわさではね、じょりんちゃんたちはこのちかくにすんでたんだってー。ちぇすた、すごいでしょ?すごいよね?……ね?ね?」グイグイ

チェスタ「ハァ……全く、こんなアホな番組誰が作ってるんだ……?」チラッ

ブチャラティ『この番組は……『みんなの明日に情熱を』……パッショーネの提供でお送りしました……』



チェスタ「……」

めい「?……どうしたのー?ちぇすたー?」

チェスタ「いや、何か今……会った事も無い兄弟の顔がちらついてな……」

めい「?……へんなのー」

今回はここまでです。
短めに終わらせようとは思います。

AM9:00

めい「はあー、わたしもジョジョキュアになりたい……ちょーなりたい……」ポヤ~ッ

チェスタ「……メイ、お前はどちらかと言うと、敵の方だろう」

めい「え?……わたしヘンタイしんぷなの?」

チェスタ「そうじゃあない。お前は吸血鬼にして『DIO』となる者……この世界を支配する『神』になるのだ」

めい「きいろいようふく、きないといけないの?」

チェスタ「……そんな事は無いが」

めい「あと、チャックぜんかいにしないといけないの?」

チェスタ「あれは別にチャックを開けている訳では無い」

チェスタ「メイ……少し『神』としての自覚が足りないみたいだな」

めい「ええ、ないわ」

チェスタ「……世界を支配する者の練習をしておこうか」

めい「どんなれんしゅー?」

チェスタ「君の中に眠る『悪の心』を呼び覚ます……さあメイ、こう腕組みをして、威厳があるようにだな……」

めい「ふむふむ……」

ダーンダーダダーンダーダダーダダダー♪
(ダース・ベイダーのテーマソング)

めい「ふふふふふ……あーっはっはっはっはっは!」バサアッ!

チェスタ「おお、いいぞメイ……マントをひるがえして、如何にも悪役という感じだ」

めい「わたしのなまえは、ありすがわめい……しょーらいのゆめは、せかいじゅーのみんなとおともだちになることです!」ドヤアッ!

チェスタ「やべーめっちゃ良い子っぽい」

AM9:25

めい「ちぇすた、ちぇすたー」

チェスタ「……今度は何だ?そろそろ食事にしようと思うのだが……」

めい「あくやくだったらねー、どっかーん!みたいなひっさつわざがひつよーだとおもうの!」

チェスタ「ふむ、必殺技か……」

めい「でね、でね!すぺーすぱぱー……ん?」

チェスタ「?」

めい「……ぱりぱーすぺーす……すちぇん……すてんぎ……あい……ん?」

チェスタ「……?……??」

めい「……をね、やってみたいの!!」

チェスタ「待てメイ、何の話だ」

めい「ほら、ほら!きいろいひとが、しずかのおじーちゃんのおじーちゃんをやっつけたビーム!」

チェスタ「……ああ、空裂眼刺驚(スペースリパー・スティンギーアイズ)の事か。前に聞いた事がある」

めい「たぶんそれです!」

チェスタ「確かに、吸血鬼であるメイなら使えるかもしれんな。……しかし、その知識は何処で……?」

めい「きいろいひとがね、じまんしてたの」

チェスタ「何してんのあの神」

めい「で、『あれにはまいったよ、ははは』ってじょーすたーさんもいってた」

チェスタ「一回死んだのに寛容だなー」

チェスタ「だがメイ、俺は神の息子だが、普通の人間だ……君にその技を教える事は出来ないが?」

めい「あのね、きいろいひとが『ひでんのしょ』っていうのくれたの」

チェスタ「…………」

めい「けどねー、じがよめないのー……ちぇすた、よんでよんでー」

チェスタ「仕方ない……どれどれ」パサッ

チェスタ「えーっと、『猿(モンキー)でも出来る!簡単なスペリパのやり方講座』……」

めい「はいっ」ピシッ

チェスタ「『1.まず、目に力を込めます』」

めい「ぐぬぬー……」プルプル

チェスタ「『2.次に、悲しい事を思い浮かべます』……」

めい「……」

チェスタ「……」

めい「……ちぇすた、このまえおかしをかってくれなかった……」ションボリ

チェスタ「待ってあのビームって涙だったの?」

めい「むー、ぜんぜんビームがでないわ……」

チェスタ「俺にはこのやり方でビームが出るとは思えん」

めい「どうすればいいですかっ?」

チェスタ「俺に聞くのか……俺に聞かないで欲しいのだが」

めい「じゃーきいろいひとにきく!」

チェスタ「知らない人と話すのはやめなさい」

めい「……けど、きいろいひとってちぇすたのおとーさんよね?」

チェスタ「あーあーあーやめてくれ。聞きたくない」

めい「わかったわ。きっとかなしいことが、あんまりかなしくないからよ」

チェスタ「……お菓子買わなかった思い出か」

めい「ちぇすた、あのときかわりにヨーグルトかってくれたもの」

チェスタ「……ヨーグルトは身体に良いからな」

めい「おかげでちっともかなしくないわ。もー!ちゃんとしてよねーっ」プンプン

チェスタ「済まない。……何で怒られているんだ?」

めい「ちぇすたー、ちぇすたはどんなことがかなしいっておもうのー?」グイグイ

チェスタ「俺か。そうだな……例えば俺は、メイ……君の事を愛している」

めい「ふふ、わたしもー!」ニコッ

チェスタ「……だから、俺は君に嫌われたりでもしたら、とても悲しい。……胸が張り裂けそうなくらい、な」

めい「?……そんなことあるわけないじゃあないの。へんなちぇすたー」

チェスタ「うむ、つまり……例えば、俺はメイの事好きじゃあなかった。……っていう事を考えれば、少しは悲しくなるんじゃあないか?……なーんて、な」ハハハ……




めい「」



チェスタ「あ」

めい「ふぇ……ちぇ、ちぇすたが……わ゛、わ゛だじのごと……!」プルプルプル

チェスタ「わ――!!ちがう!!うそっ!!俺はメイの事が大好きだっ!!」

めい「ふぇぇええ……あーん!あ――ん!!うわ――ん!!!」

ドッゴォッ!!

チェスタ「例えばだ!!悲しい事の例え話……うおおおお!!?メイっビーム出てる!家が崩れるからやめろォ――ッ!!」

めい「あーん!あーん!うわああ――ん!!」シビビビビーッ!!

▽めいちゃんは すぺーすりぱーすてぃんぎーあいずを おぼえた!

短いですが、本日はここまでです。

Twitterの方でチラリと言いましたが、このSSでは『まほろば○△』は普通に『まほろば』と読んで下さればと

AM9:40

チェスタ「……そ、そろそろ食事にしようか……」ボロッ

めい「……ぐすん」

チェスタ「泣くな、メイ。本当に泣きたいのは、たぶんこの幽霊屋敷の幽霊の方だ」

幽霊<ホンマキツイワー……

チェスタ「さあ、俺の作った美味しい朝ご飯だ。ジュースもあるぞ、メイ」

ドンッ☆

チェスタ「このトマトジュース(※血液入り)は美味しいぞ、メイ。自信作だ。さ、飲んでくれ」

めい「ちぇすたー、わたしね……トマトジュースにがてなの」

チェスタ「……」

めい「……」

チェスタ「あー……何だ。……飲んでくれないと、その、困る」

めい「だってね、トマトジュースってね、なんかまっかで、ちにみえるんだもん」

チェスタ「」ギクリ

めい「ち、こわい……みてるとフラーってするの。フラーって」

チェスタ「し、しかしメイ……君は吸血鬼だ。血を飲まないと生命エネルギーが摂取出来ず、衰弱……最悪死んでしまうんだぞ」

めい「……」

チェスタ「それだと困るだろ?だから、ほら。飲んでくれ。な?」

めい「けど、これってトマトなんでしょ?」

チェスタ「……」

めい「……」

チェスタ「……(血が入ってるなんて言えない)」

めい「それにね、ちぇすた!わたしね、そーいうの、ダメだとおもうの」

チェスタ「?……何の話だ?」

めい「じぶんがげんきでいるために、ほかのひとギセーにしちゃあダメ、でしょ?」

チェスタ「……!!」

めい「たしかにわたし、さいきんちょっとげんきないかも……あさつらいし、おなかいっぱいだとおかしたべられないし、おひるねいっぱいしたくなるし……」

チェスタ「……それは元気関係無いな……」

めい「けど、けどね。……せかいじゅーのほかのひとがげんきだったら、わたし……」

チェスタ「……」

めい「……わたしがげんきなくっても、すっごくうれしい……かなっ?」ニコッ

チェスタ(ええ子や……めっちゃええ子や……)

チェスタ「……オホン。しかしメイ……俺は君の元気が無いと、悲しい……」

めい「えーっ!ちぇすたげんきだしてっ!わたしげんきだから!ねっ?」

チェスタ「……ありがとう。だがメイ、君が本当に元気になるには、血を飲むしか無いのだ」

めい「……どうしても?」

チェスタ「どうしてもだ」

めい「……ううーっ……」

チェスタ「……メイ……俺の血なら、どうだ?怖くないんじゃあないのか?」

めい「……え?」

チェスタ「……」スッ……

ガリッ!!

チェスタ「痛ッ……」

ブシュッ……!

めい「い、いやぁーっ!ちぇすた!ななな、なにしてるのっ!?じぶんでゆびかんで!ち、ち……ちがっ!ちがでてるっ!」ワタワタ

チェスタ「……ああ」ボタボタ……

めい「しょーどく!しょーどくしないと!バイキンはいっちゃうよっ!?あとばんそーこーはらないとっ!」ワタワタ

チェスタ「メイ……」

めい「な、なに?」オロオロ

スッ……

チェスタ「……舐めて消毒してくれないか?」

めい「!……」

チェスタ「……ほら、これなら怖くないだろう?……別に他の人を犠牲にする訳でも無いし、舐めて消毒してくれると助かる……すごくな」

めい「……う、うん。……ちぇすたのためなら……」

チェスタ「……ありがとう」

めい「じゃあ……ちゅうーっ」ペロッ

めい「ちゅーちゅー……」レロレロ]

チェスタ「……」

めい「ちゅーちゅー……」レロレロ

チェスタ「……」

めい「ちゅーちゅー……」ペロペロ

チェスタ「…………」

めい「ちゅーちゅー……」ズキュンズキューン

チェスタ「ちょっと待ってくれメイ、そろそろ死ぬ」フラッ……

…………

AM11:30

めい「くー……くー……」スヤスヤ……

チェスタ「……久々に血を飲んで、満腹になって寝たか……」

めい「うふふ……ちぇすたぁ……すぴーっ……」スヤピーッ……

チェスタ「……今のうちに、買い出しに行ってくるか。カメユーでレタスが安いらしいしな」

チェスタ「という訳で、留守中は頼んだぞ。サカナクション」

サカナ<エーッ……

チェスタ「毛布がズレたらしっかりと直してやってくれ。風邪をひいたら大事だ。あと目を覚ましたら飲み物は冷蔵庫に……コーラは飲ませるなよ。牛乳か野菜ジュースにしてくれ。なるべく早く帰るが、お昼ご飯はフライパンの中に作ってある。温めなおしてくれ」

サカナ<ヘイヘーイ

チェスタ「お菓子は棚の上にあるが、食べさせすぎないように。滅多に来ないとは思うが、セールスの類は出るんじゃあないぞ。メイにも接触させるな、どんな悪影響があるかわかったもんじゃあない……わかってると思うが、怪我には気をつけること。あとカーテンには注意してくれ。太陽光に当たったりでもしたら……ううッ、考えるだけでも恐ろしい。それと……」

サカナ<ロリコンウゼー……

チェスタ「では……行ってくる」

サカナ<イッテラー

ガチャ バタンッ

サカナ<……

フヨフヨ……

めい「……んんーっ……」モゾッ

サカナ<ゲッ

めい「……はれ?……ちぇすた?ちぇすたは?」ムクッ

サカナ<オキルノハヤーッ

…………

…………

カメユー――

ザワザワ……

チェスタ「よし、広告の商品はカゴに入れたな。あとは……そうだな、今日の晩御飯は魚料理でもするか」

テクテク……

チェスタ「ふむ、結構色々な種類の魚があるな。どれにするか……ム?」ピタッ

承太郎「……」

花京院「……」

チェスタ(あれは……かつて神・DIOと戦った空条承太郎に花京院典明……スーパーに何の用だ……?)

承太郎「……ヒトデが売ってない」ボソッ

花京院「承太郎、君は頑なにヒトデを探しているけど、本来の目的を忘れていないだろうね?」

承太郎「徐倫におれの美味い手料理を食わせてやる」

花京院「君のじゃあなく、皆のだろう。……テレビデビューのお祝いパーティーするために、料理の買い出しに来ているんだから」

承太郎「そうとも言うかもしれないな」

花京院「……なんでヒトデを探しているんだい?」

承太郎「ヒトデ料理とかあったらテンション上がるだろ。おれなら確実に上がる。オラオラ上がる」

花京院「君だけだよ、承太郎」

承太郎「何故だ?ヒトデは美味いんだぞ」

花京院「……食べた事あるのか、君……」

チェスタ(……何をしてるんだ、あいつらは……)

…………

…………

めい「ちぇすたー……ちぇすたは?」キョロキョロ

サカナ<デカケタヨー

めい「ねえ、おさかなさん。ちぇすたしらない?」グイグイ

サカナ<デカケタッテバー

めい「あ、ちぇすたっていうのはね。すっごくやさしくて、かっこよくって、わたしをかみさまにしてくれるひとなの。ね、なにかこころあたり、ないかしら?」

サカナ<オレノマスターナンダケド……

めい「……おさかなさーん?」グイグイ

サカナ<ヒッパラナイデー……

めい「むー、おさかなさんはなにもおしえてくんないし……」

サカナ<オシエテルンダケドナー……

めい「こうなったら、ちぇすたさがすしかないわね」

サカナ<エー……

めい「ちぇすた、どこー?……おそと、でかけちゃったの?」

スッ……

サカナ<ア!カーテンハ……!!

ピカッ!

ジュウッ!!

めい「あつっ!?……え!?……え!!?」

ジュウー……

サカナ<アーアーアー……

めい「う、うでが……たいよーで、じゅうって……う、うう……」ジワッ

サカナ<コレハアカンワー

めい「……うわーん!あーん!あ――ん!!」ビシュウッ!

ドッゴオッ!!!

幽霊<ギャー!ヤネニ アナガーッ!!

サカナ<ウワー、コレドウシヨウ……

…………

…………

ナランチャ「えーっと!五千円からのお預かりで、1190円のお返しです!ありがとうございましたーっ!……へへっ、どうだフーゴ?おれも結構レジ打ち上手くなっただろ?」

フーゴ「何処がだド低脳ッ!お前今五千円『から』って言っただろ?お客様からお金を預かっているのに、何で五千円『から』お金を預かった事になってんだ、このッ……クサレ脳みそが――ッ!」

ナランチャ「『ド低脳』か『クサレ脳みそ』かどっちか一つにしろよ!さすがに傷付く!!」

シーラE「ふふーん、やっぱりダメねぇナランチャは。あたしの方がこういう仕事は得意みたいよ……どうフーゴ?あたしの完璧なレジ打ちは?」ドヤッ

フーゴ「……レタス2つの所が200個になってる」

シーラE「えっ」

フーゴ「……」

ナランチャ「……」

シーラE「……」

シーラE「……あ、あのね?クララ姉さまがね?『人間誰しも1つや2つ間違いを犯すもの。だから色々間違っちゃっても大丈ブイッ!』って言ってたの。だからね……?」

フーゴ「ああっもういいからシーラE。申し訳ありませんお客様ーっ。すぐ打ち直しますので……」

チェスタ「!……いや……」ピクッ

フーゴ「?……お客様?」

チェスタ「会計は……いい。すぐに帰らなければ……」クルッ

スタスタ……

チェスタ「どうやら、家が大変な事になっているらしい……!!」ザッザッ

フーゴ「あ、ちょ、お客様ーっ!?……シーラE!君のせいでお客様の機嫌を損ねてしまったじゃあないか!!どうするんだっ!?」

シーラE「えーっと……4・2・0ィィ~~ッ……?」スイッ

フーゴ「馬鹿にしているのかァ――ッ!!?」

…………

…………

めい「あーん!あーん!!」

ドッゴオ!!

サカナ<オロオロ……

幽霊<オロオロ……

めい「あーん!あーん!!」

ズビビーッ!!

サカナ<オロオロ……

幽霊<オロオロ……

めい「あーん!あー……」

シビーッ……

サカナ<……?

幽霊<……??

めい「……ふあ……あ……」

パタッ

めい「……すぴい……」ZZZ……

サカナ<……

幽霊<……ナキツカレテ ネチャッタノネー……

ドアバターン!

チェスタ「メイッ!!無事か……ッ?」

サカナ<シーッ!

幽霊<シズカニーッ……

めい「……すう、すう……」

チェスタ「……なんだ、寝ているのか……?」

チェスタ「……サカナクション」

サカナ<アイーッ

チェスタ「……本当に、何も無かったんだろうな?」

サカナ<ナ、ナカッタヨー……

チェスタ「……やけに、屋敷が破壊されているようだが……?」

サカナ<ギクッ

幽霊<ア、スミマセン。イマスグ ナオシマスノデー

チェスタ「……まあ、いいか」

サカナ<ホッ

チェスタ「……次は、無いぞ?」ギロリ

サカナ<コノロリコン コエーッ……

…………

…………

PM2:10

チェスタ「……メイは未だにお昼寝しているし、平和なものだな……」

めい「すう……すう……」スピーッ

チェスタ「さて、内職の造花でも作るとするか。今日中にノルマまで……」

ピンポーン!

チェスタ「?……チャイム……誰か来たのか?」

スクッ

ピンポーン!

ピンポーン!

ピピッピピピンポーン!!

チェスタ「何だ何だ騒々しい……下品なチャイムの鳴らし方をするヤツだな……」

スタスタ……

ガチャッ!

チェスタ「はい、何でしょう?新聞ならお断り――……あれ?」

・ ・ ・

チェスタ「……誰もいない――……?」

???「どらあ!!」

ドカアッ!

チェスタ「なんかいきなり殴られグフウッ!!?」

ドサーッ!

チェスタ「なっ……何だ?今何が……!?」

???「ふっふっふ……きょーこそわるいきゅーけつき、ぶったおしにきたんだからねーっ……」

カチャッ!

スーッ……!

チェスタ「!……お、お前は……!!」

しずか(5さい)「あたしのなまえはしずか・じょーすたーっ!」

バァ――z__ンッ!!

チェスタ(面倒くさいの来た――ッ!!)

今回はここまでです。遅くなって申し訳ない……
次は早ければ月曜に投下します

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

チェスタ「静・ジョースター、貴様……!堂々と幽霊屋敷まで来やがって……一応言っておくが、本編では俺たちの居場所はわかっていないはずだぞ?」

しずか「なにいってるかわかんねーわねっ」シレッ

チェスタ「この先は通さんぞ。メイは今ぐっすりお寝んねしているんだ。邪魔をするなら――……」

しずか「『ワイルド・ハニー』っ!」ドカッ!!

チェスタ「いきなり殴るなグハッ!!」ドサーッ!

しずか「ひつじ、ジャマなのよ。ジャマーッ!ドラるよ?あたしすっごいドラドラするよ?」

チェスタ「クソ、なんでその歳でスタンド使えるんだとか、なんでこの家知ってるんだとか、俺は『羊』じゃあなく『執事』だとか、色々突っ込みたいがとりあえず……」

ズギャン!

チェスタ「本編6話のようにッ!五感を奪ってやるぞッ静・ジョースターッ!!」

サカナ<エーッ アノコ コウゲキ スンノ?

チェスタ「行けェーッ!!『サカナクション』ッ!!」

サカナ<イヤヤナーッ……

フヨフヨ……

しずか「どらあ!!」

ドッゴオン!

サカナ<ギャーマケター

バターッ

チェスタ「待て『サカナクション』ッ!お前今絶対手加減しただろォ――ッ!!?」

しずか「ふふふ、『ワイルド・ハニー』でいしをトウメーにしてたっ!それでなぐった!あたしつよい!」

チェスタ「それ別に透明にしなくても良くないか?」

しずか「いまのうちにおじゃましますドラア!」バタンッ!

チェスタ「あっ!待てッ静・ジョースターッ!!どさくさに紛れて入るんじゃあないッ!!」

しずか「めいーっ!ぶったおしにきたってのーっ!どこにいるのー?おーい」ドタドタ

チェスタ「待てッ貴様!靴を脱ぎ散らかすんじゃあないッ!しっかり揃えろ!あとドアはもっとキッチリ丁寧に閉めろ!バタンと乱暴に閉めたら危ないだろう……あーッ!貴様泥だらけじゃあないかッ!何なんだその格好はーッ!?」

しずか「ひつじがメーメーうっさくて、やれやれねー」フウーッ

チェスタ「だから俺は羊じゃあなく執事だッ!!」

めい「ううーっ……ちぇすた、うるさいー……」ガチャッ

チェスタ「め、メイッ!?起きたのか……って、危ないっ!逃げるんだァ――ッ!!!」

めい「はぇ?」

しずか「ありすがわ・めい……たおしにきたわよっ」バンッ!

めい「!……し、しずか……!」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

チェスタ「……ご、ゴクリ……!」

チェスタ(図らずとも、ジョースター家の娘である静と、『DIO』となる者メイが出会ってしまった……!これからどうなってしまうんだ……!?)

しずか「あ、めい。はいこれ」ガサッ

めい「?……なあに?」

しずか「ジョースケにいさんがね、ともだちとふたりでたべなーって、おかしもたせてくれたの」

めい「わああ……ありがとう、しずかっ!」パアアッ

チェスタ(……仲良し?)

しずか「あそびはおわりよっ!たたかいのメイク・アーップ!」ビシイッ!

めい「あーっ!ジョジョキュアっ!?」

しずか「あたし、じょりんねーさんだからっ!キュア・フリーだから!」ビビシッ!

めい「じゃあじゃあ、わたしはキュア・キッス!」

しずか「ダメーッ!めいはてきなのっ!だからえふえふっ!」

めい「ふええ……ちぇすたー!しずかがいじめるー!」シクシク

チェスタ「イジメか?イジメなのかこれ?」

しずか「ぜんりょくでたおす!『ワイルド・ハニー』っ!」ズギャン!

チェスタ「っ!スタンドを出したという事は、『倒す』というのは本気、という事か……!」

めい「むむーっ、それくらい、わたしもだせるからっ!」

チェスタ「そうだメイ。ジョースターの血統なんぞ、返り討ちにしてしまえ」

めい「『いえすたでー』…………」

チェスタ「……」

めい「『いえす……』……『すたで』……わん……『わんもあ』……?」

チェスタ「……」

めい「…………」チラッ

チェスタ「……『イエスタデイ・ワンス・モア』だ」ボソッ

めい「『いえすた・わんわん』っ!」ドヤアッ!

チェスタ「わかった。もうそれでいい……それでいいぞメイ」

しずか「ドラア!!!」

ドッコーン!

めい「いやぁーっ!!」

チェスタ「メイがかなり遠慮無く殴られた――ッ!!?」ガビーン!

めい「ううう……わーん!あーん!うわああーん!!」ビエーッ!

チェスタ「くっ……ひどいやつだッ!遠慮無く殴るなんて……」

しずか「いいえ、ジヒぶかいわ。セツダンしなかっただけね」

チェスタ「切断って何!?何を切る気だったんだ!?」

めい「ちぇすたー!ちぇーすーたぁぁー!!」ビエーッ!

チェスタ「ああ、よしよし。痛くない、痛くないぞ……」ナデナデ

しずか「どいて、ひつじ。トドメさすから」

チェスタ「お前、さっきまで仲良さそうだったじゃあないかッ!いきなり洒落になってないぞ!?」

しずか「じょーたろーさんが『きゅうけつきをみたら、えんりょなくオラれ』って」

チェスタ「何教えてるんだあのヒトデ魔神!!!」

しずか「きゅうけつきはね、ひとをたべものにするコワいヤツなの。せかいをのっとろうとするし……」

チェスタ「!……」

めい「……うう……」ヒック

しずか「だから、たおさないといけないの……わるいことしないように。……めいはいいこっぽいけど、それでも……きゅうけつきだったら、ひとをたべないようにたおさないと」

チェスタ「……違う……メイは、違うんだ。……メイは神になる。しかし……」ブツブツ……

しずか「どいて。……どかないなら……アンタもいっしょにドラるよっ!」

ズギャン!

チェスタ「待て!待つんだ……静ッ!!!」

チェスタ「ア、アイスでも……食べないか?」

バン

しずか「……」

めい「……」

チェスタ「…………」ダラダラ……

…………

…………

しずか「おいひい……グレートにうまいわね……」ペロペロ

めい「ええ……♪」ペロペロ

チェスタ「……(本当にアイスで攻撃が止まるとは……)」

しずか「めいのもすこしちょーだいっ」

めい「あ、じゃあこうかんしましょう?ふふ……」

しずか「んめーっ!」ペカーッ

めい「おいしーっ!」ピカーッ

チェスタ「……まあ、良いんだがな……」

チェスタ「……静・ジョースター」

しずか「んー?」ペロペロ

チェスタ「確かに俺は、メイを神へと押し上げようとしている。俺の望む『天国』を創りだすために、だ。しかし……それは本当に『悪い事』なのだろうか?」

しずか「……?」

チェスタ「世界を自分の思う通りに創りあげる。誰もがそれを望んで毎日を生きているはずだ。政治家や大統領は自分の国を望む世界へと変えようとしているだろう?同じだ……俺も、世界を住みやすい場所へと変えたいだけなんだ」

しずか「……」

チェスタ「……済まない。難しい話だったな。それに……世界を創り変えるなんて、『悪い事』に決まってる。そんな事……わかっているんだ」

しずか「……ひつじのはなしはホント、むつかしい」

チェスタ「……済まない」

しずか「ただ、めいはそこまでワルモノじゃあないってーのは、わかった」

めい「……えへへーっ」ニパッ

チェスタ「……そうか」

しずか「あと、ひつじのつくるアイスはおいしい」モグモグ

チェスタ「喜んでもらえて何よりだ」

しずか「あたしもしょーらい、アイスつくれるようになりたいなー」

チェスタ「ほお」

しずか「そしたらたべほーだいだしっ!」

めい「すごい……しずか、てんさい?」

しずか「ホメるなホメるなー」デヘヘッ

チェスタ「……ちなみに、アイスってどうやって作ると思う?」

しずか「……えーっと……」

しずか「こう……みぎてから、ぼわってだす」

チェスタ「……右手から?」

しずか「みぎてから」

チェスタ「……」

しずか「……」

チェスタ「……」

しずか「……もしかしたら、ひだりてからかもしれません」

チェスタ「……」

しずか「……」

…………

PM7:10

アホーアホー

仗助「――……っとーにスミマセンッ!ウチの妹が世話になって……!」

チェスタ「ああ、いえいえ……お元気な妹さんで……」

仗助「お友達の家に行くからって聞いて送り出したんスけど、まさか晩御飯までお世話になってるとは……」

チェスタ「まあ、久々に賑やかな食事となって楽しかったですよ」

しずか「たのしかったなー!なー?」

めい「ねーっ?」

仗助「またいつかこの御礼は……ほら、帰るぜッ静」グイッ

しずか「えーっ、もう?もっとあそびたーい」

仗助「もう何時だと思ってんだコラッ。ったく……徐倫たちが少し大人しくなったと思ったら、また厄介なのが家に来るんだからよォー……」

チェスタ「……また、いつでも遊びに来て下さい」ペコッ

めい「ばいばい、しずかーっ」フリフリ

仗助「あ、どうもっす。ほら、静お礼言っておけ」

しずか「ばいばーい。ありがとーっ」フリフリ

チェスタ「……ふう。やっと帰ったか……元気な娘だ。ずっと遊んでいたぞ」

めい「はー……たのしかったわ」ホッコリ

チェスタ「さあ、メイ。遊び疲れただろう?今日は早めに寝なさい」

めい「……たっぷりおひるねしたから、あんましねむくない……」

チェスタ「……そ、そうか」

めい「きょうはね、わたし……えいがとか、みたいんだけど……ダメ?」

チェスタ「ダメなもんか。じゃあ一緒に――……!」ハッ!

チェスタ(ま、マズい!今日の夜テレビで『スピーシーズ』が放送されるはずッ!早く寝かさないと……あの映画をメイが見てしまうと教育に非常にマズいッ!!)

めい「ちぇすたー。きょうテレビではどんなえいがやってるのー?」

チェスタ「し、深夜洋画劇場は見てもツマラナイな!これが上映される前に適当なのを見て寝よう、うん!そうしようメイ!」

めい「……?じゃあ、なにかほかにえいが、あるー?」

チェスタ「ええっと、俺が借りてきた映画は、アベンジャーズにダークナイトに、最高の人生の見つけ方に、インビジブル……」

めい「インビジブル?とうめいにんげん?しずかみたいなのがでてくるのー?みたい、みたいー!」

チェスタ「ダメだっ!この映画も見ちゃあダメだーッ!!」

(※インビジブル……透明になった科学者が欲望のままにエロい事する映画。家族で見るとすっごく気まずくなる)

めい「うーん、ジョジョキュアのえいがはないの?みたいのに……」

チェスタ「アメコミ映画はどうだ?格好いいぞー?」

めい「あんましキョーミないかなー」

チェスタ「メイ、お前は今全てのアメコミファンを敵に回した」

めい「だってね、えっくすめんのね?えらいひとがクラゲみたいなのになるところ!」

チェスタ「え?……ああ、一番最初の映画のか」

めい「しょうじき、トラウマです……」ガクブル

チェスタ「……またマニアックな所出してきたなあ……」

(※ナントカとかいう議員の人が、機械の力でクラゲみたいな生物になって死ぬシーンがある。檻から抜けだそうとして顔を出すシーンがかなりキモい)

めい「しかたない、めをつぶってテキトーにとったやつ、みます」

チェスタ「……いいのか?それで」

めい「いいのっ。ちぇすたとみると、なんでもたのしいし」

チェスタ「……」

めい「じゃあえらびまーす。んーっと……これっ!」バッ!

つ『ディープ・ブルー』

…………

ギャー!ワーッ!

めい「い、いやああーっ!!人がっ!ひとのうでがっ!!」バタバタ!

チェスタ(……パニック映画なんか見るから……)

めい「うわあああー!い、いまひとがっ!ひとがベッドにのったまま!バシーンって!ガラスにバシーンって!!」ジタバタ

チェスタ「……メイ、そろそろ……」

めい「いやあああーあっ!ちぇすた、ちぇすたぁーっ!!」エグエグッ

チェスタ「ああもう、泣くくらいなら見るんじゃあ無い。怖いのはわかっていただろう?」

(※ディープ・ブルー……パニック映画。頭良くなったサメが人を襲う。個人的に、ジョーズより怖い)

チェスタ「サカナクション、テレビを消してくれ」ブワッ

サカナ<イエッサー

ドヒューン

めい「!!!……さ、サメがぁぁーっ!!」キュウッ……

バタッ!

チェスタ「あっ」

サカナ<アッ

めい「   」

チェスタ「……き、気絶してしまった……」

サカナ<……ゴメンナー?

チェスタ「……サカナクション、メイをベッドまで運ぶの手伝ってくれ。寝かせてやらないと……」

サカナ<ハイヨーッ

フヨフヨ……

めい「……くう、くう……」スヤスヤ

チェスタ「よいしょ、っと……む、重くなったな……メイ……」

テクテク……

めい「……ちぇす、た……ムニャ……」

チェスタ「……メイ?起きているのか?」

めい「……いつも…………ありがと……」

チェスタ「!……」

めい「……すぴぃ……」

チェスタ「……寝言、か……」

めい「……スー、スー……」

チェスタ「……メイ……」

チェスタ「……俺は、君を『利用』して……君を『神』にし、自分自身を『天国』へと連れて行きたいだけの、小さな男だよ……」

めい「……」

チェスタ「……君に、お礼を言われるような筋合い、全く無いんだ……」

めい「……」

チェスタ「……だが、何でかな……今のこの俺には……」

めい「……」

チェスタ「……このなんでもない日々が、『天国』のようだと……思えるように、なったんだ」

めい「……」

チェスタ「……おやすみ。また明日。……俺の大切な、『神様』」

めい「……うん、おやすみぃ……ちぇすた」ニコッ



……杜王町の、平和な一日が、終わる……

…………



おしまい。



…………

これにて十三話完結です。
長々とありがとうございました……本当に長過ぎますね。

今回おまけとして、幸せなチェスタ・メイを書きましたが、
実際どうなるかはわかりません。
今回の話のように、幸せになれたらいいですね。
世界観を貸して下さった、幼じょりんの方に感謝します。

次回の話は
静「町の守護聖霊」
で行く予定です。……たぶん。
残り5話の予定です。最後まで走りきれるよう、応援をば……

次スレです

静「町の背後霊」
静「町の背後霊」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1432295512/)

またのんびりやりますので、どうか応援をば……

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