拓海「Pがカゼを引いた?」 (57)

・モバマス
・一応ヤンキーちゃんシリーズ

・前回(特に読まなくても困らない)
モバP「ヤンキーちゃんとメガネちゃん2」
モバP「ヤンキーちゃんとメガネちゃん2」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1405079687/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1408699678


<ガチャ

拓海「うーっす」

ちひろ「あら拓海ちゃん、ずいぶん早いのね」

拓海「寮に居てもやることも特にねえし…あれ、Pは?」

ちひろ「それがまだ出社してないのよ…どうしたのかしら」

拓海「Pの奴が寝坊とか珍しいな」

ちひろ「私より後に出社するほうが珍しいのに…」


<prrrr!

ちひろ「あら、誰かしら…プロデューサーさん?」

拓海「ひょっとして今起きたのか?」

ちひろ「かもしれないわね。もしもし…え?!」

拓海(寝坊の言い訳か?)

ちひろ「それで大丈夫なんですか? はい、はい…わかりました」ピッ

拓海「Pの奴はなんだって?」

ちひろ「それが…」



ちひろ「プロデューサーさん、風邪をひいちゃったみたいで…」

拓海「………ハァ?!」


拓海「ちょっと待て。あの超絶頑丈なPがカゼ?」

ちひろ「私も耳を疑ったわよ。でも電話の声がすごくガラガラ声だったし…嘘じゃないわ」

拓海「…珍しいこともあるもんだな」

ちひろ「だからこそ心配だわ…」

拓海「…なぁ」



拓海「アタシが見舞いに行ってもいいか?」


ちひろ「え…拓海ちゃんが?」

拓海「流石にPのヤツが心配だ。普段カゼなんか引かねえ奴だからなおさらだ」

ちひろ「でも…結構重症そうだし、拓海ちゃんにもしうつったら」

拓海「安心しな。そんなヤワな鍛え方はされてねえよ」

ちひろ「…大丈夫?」

拓海「それに病人は心細くなるってよく言うだろ。だから…誰かが傍にいてやったほうがいいだろ?」

ちひろ「それじゃ…お願いしてもいいかしら?」


ちひろ『さすがに合鍵は渡せないから、この地図を見て行ってね』







拓海「地図によると…Pの家はこの辺か?」

拓海(この場所は…確かマンションがあったな)

拓海「ポカリにリンゴ、のど飴…こんだけありゃ充分だろ」

拓海(薬は症状がハッキリわからねえから買わなかった。症状があってなきゃ逆効果だからな)





P「うう…頭痛い」

P(ちひろさんに連絡した後、自力で病院には行ったものの…症状が重い)

P「もう動く気力もないぞ…」



<ピンポーン

P「ん? 新聞屋さんか…?」



<ガチャ

拓海「おっすP…うわっ、顔真っ赤じゃねえか?!」

P「たく…み?」


拓海「ちひろからカゼだって聞いたけどよ、ホント重症みてえだな」

P「頭が痛くて動くのも辛いんだ…」

拓海「病院にはもう行ったのか?」

P「なんとか…診察受けて薬は貰ってきた」

拓海「よく行けたな…」

P「ちょっともう歩くのも辛くて…」

拓海「ほら、肩貸してやるから…」

P「ありがとう…」






拓海「メシは食べたのか?」

P「朝にゼリーを食べただけで、昼はまだ…」

拓海「メシ食っとかねえと薬が飲めねえからな。負担の少ねえモンを作ってやる」

P「うう…ありがと」

拓海(体中凄え汗…これじゃ寝つけるワケねえよ)


拓海「P、まず服脱げ。全身を拭いてく」

P「えっ!? ふ、服を?」

拓海「何恥ずかしがってんだ。ほら、両手上げろ」

P「わっ!」スルスル

P(この年で服を脱がされるのは恥ずかしい…)

拓海「濡らしたタオルで全身拭いていくぞ」


きゅっ、きゅっ…
ごしごし…

拓海「どうだ、痛くねえか?」

P「うん。丁度いいよ」

拓海「しっかり汗を拭いとかねえとな…濡れたままの服を着てたらカゼも治らねえ」

P(…ぬれたタオルが火照った体を冷やしてくれて気持ちいい)

拓海「ほら、脇下も」ゴシゴシ

P(…でもやっぱり恥ずかしい)


拓海「背中は自分じゃ拭きづらいからな。ほらよ」ゴシゴシ

P「あっ…」

拓海「この辺とか…やりづらいだろ?」

P(背中の丁度真ん中あたり…手が届きにくいところだ)

拓海「それにしても…細いと思ってたけど結構筋肉ついてんだな」ペタペタ

P「そ、そうか?」

拓海「ああ。スーツの上からだと細ぇから心配したけど野暮な心配だったな」

P「着痩せするとはよく言われるな」


拓海「うっし、上半身は拭き終わったな。あとは…」

P「あとは自分でできるからいいぞ! ありがとう!」

拓海「…そうだな。じゃあアタシはメシを作ってくるから」

P「うん」

P(流石に下半身までやらせたらアウトだ。というか…家に連れ込んでる時点でアウトだけど)

拓海「粥なら食べれそうか?」

P「ああ。ちょっとお腹が減ってきた気がする」

拓海「そんじゃ着替えたら横になっとけよ」


拓海「米と卵と、あとは葱と生姜あたりか…」

拓海(あの状態…やっぱり見舞いに来といて正解だったな)

<pipipi!

拓海「ん? メールか…」カチカチ




From 美世
To 拓海ちゃん
要件 ひまー!

ドライブいこーよ!




拓海「………」カチカチ



From 拓海
To 美世
要件 悪ぃな

ヤボ用で行けそうにねえ
また今度な


<pipipi!

拓海「ん? 返信が返ってきた…?」カチカチ



From 美世
To 拓海ちゃん
要件 はっ、さては!

まさか拓海ちゃんに男の影…!?
ついに拓海ちゃんもオンナになっちゃうの!?




拓海「…!」カチカチ



From 拓海
To 美世
要件 ンなわけあるか!

仕事だ仕事!
アタシに浮いた話なんかねーよ!



拓海(女の勘って奴は怖えな。アタシも女だけどよ…)


<ガチャ

拓海「P。具合はどうだ?」

P「うん…さっきよりは良いけどまだ頭が痛いな」

拓海「ホラ、お粥作ったから食べろ」

P「卵粥か…おいしそうだな」

拓海(流石にこの熱いのを食うのはキツイよな…)


拓海「ふぅー…、ふぅー…」

P「あのー、拓海さん。いったい何を?」

拓海「このままじゃ熱くて食えねえだろ」

P「さすがにそれくらいは自分でできるかなーって」



拓海「病人は大人しくしてろ。ほら、あーん」

P「………えっ?」


拓海「あ、アタシだって恥ずかしいんだよ! さっさと口開けろ!」

P「あ、ああ。あーん」パクッ

拓海「ど、どうだ?」

P「うん。優しい味がする…おいしいよ」

拓海「そっか…よかった」ボソッ


P「料理は人柄を現すからね」

拓海「…そうなのか?」

P「うん。だから拓海は優しい子だよ」

拓海「…熱が出てるからボケたこと言ってんのか?」

P「そういうことでいいよ」

拓海「…ばーか」

拓海(顔が熱くなるだろうが!)


拓海「メシ食って薬も飲んだな」

P「うん。思ったよりスムーズに食べれたよ」

拓海「そんじゃ後はしっかり寝ろよ」

P「…拓海」

拓海「どうした?」

P「今日はありがとな。正直…心細かったんだ」

拓海「………」

P「体が重くて、思うように動けなくて、このまま沈んでしまうんじゃないかって思えて…」




拓海「…アタシが辛かったときは、アンタが支えてくれた」



拓海「だから、アンタが沈みかかってるならアタシが引き上げてやるよ」




P「…拓海」

拓海「普段から世話になってるからな。この位頼まれなくてもしてやるよ」

P「………」

拓海「だから、な?」



ぎゅっ…

拓海「安心して寝ろ。アタシが手を握っててやるから」

P「たくみ…っ!」ポロポロ

拓海「あぁもう…泣くんじゃねーよ!」

P「グスッ…ごめん」

拓海「ホラ…大丈夫だから」サスサス





P「………」スースー

拓海「…完全に寝たか」

拓海(まさか泣き出すとは思わなかったぜ。相当弱ってたんだな…)

P「………」スピー

拓海(結構かわいらしい寝顔だな)ナデナデ

P「んむぅ…」スピー

拓海「ふふっ…」

拓海(こんな形で頼られるのも…悪くねえな)





カーカー…

P「………ん?」

拓海「おっ、起きたか」

P「…拓海? もしかしてずっと傍に?」

拓海「何かあったら大変だろ?」

P「そんな…疲れるだろ」

拓海「安心しろ。アンタに振り回されていつも疲れてるから」

P「うぐっ…自覚はある」

拓海「あんのかよ」


拓海「で、体調はどうよ」

P「うん。頭はちょっとボンヤリしてるけど、喉はもう痛くないよ」

拓海「ムリすんなよ。治りかけが一番怖えんだからよ」

P「大丈夫だよ。気を付けるから」

拓海「それはそうとメシは食べれそうか?」

P「うーん…それほどお腹はすいて」




ぐぎゅるるる…

拓海「ハラのほうは正直みてえだな」クスッ

P「…ですね」キュウ…

拓海「んじゃ何か作ってやるから待ってな」

P「…はい」

P(は、恥ずかしい…)カァァ


P「おー、パスタか」

拓海「ハラ減ってるだろうから簡単に作れるモノのほうがいいだろ?」ニヤニヤ

P「ウン、ソウダネ…」カァァ

拓海「ほら、冷めないうちに食えよ」

P(なんか今日俺辱められたばかりだ…何か、何か逆転の一打を…!)

P「………!」ピコーン!



P「拓海、もう『あーん』はしてくれないのか?」

拓海「………ッハァ?!」



>>32
×辱められたばかり
〇辱められてばかり


拓海「何言ってんだテメェ! あ、あれはただ食いづらいだろうと思って…」

P「でもー、今日一日は俺病人だしー」

拓海「うっ」

P「さっきからちょっと手つきが危ないかなーって」シレッ

拓海「絶対ェ嘘だ…!」

P「…もうしてくれないのかー、ざんねんだなー」

拓海「ッ! やりゃいいんだろうが?!」

P(やっぱりチョロい)


拓海「オラ、口開けやがれ!」ズイッ

P「そ、そんな…病人を乱暴に扱うなんて…」

拓海「オマエ充分元気じゃねえか!」

P「もっと優しい口調で迫ってきてほしいなー」

拓海「こ、この野郎…仕方がねえな」コホン



拓海「ほら、あーん…」スッ

P「あむっ…」モグモグ


拓海「味はどうだ?」

P「超うまい」

拓海「そうか」

P「料理は人柄をあら」

拓海「それはもう昼間言っただろうが」

P「じゃあ拓海ちゃんの手料理が毎日食べたいです!」

拓海「…は、恥ずかしいこと言ってんじゃねえ!」ドゴォ

P「ありがとうございます!」ドボォ


P「ふぅー、食べた食べた」

拓海「結構多めに作ったつもりだったけど丁度良かったな」

P「いやー、こんだけ充実した晩飯は久しぶりだな」

拓海「アンタ普段何を食ってんだよ…」

P「え? めんどくさいとコンビニ弁当かな?」

拓海「ちゃんとしたメシを食えよ」

P「チッ、善処しまーす」

拓海「………」グリッ

P「イタイイタイ! つねらないで!」

拓海「アタシは心配してんだよ!」

P「わかったわかった。今度からはちゃんと気を付けるから」





P「今日はありがとうな」

拓海「気にすんなよ」

P「送っていこうか?」

拓海「カゼひいてた人間が何言ってやがる。それにまだ暗くねえから大丈夫だ」

P「むぅ…何かあってからじゃ遅いと思ってな」

拓海「安心しろ、まっすぐ帰るからよ」

P「ならばよし!」


拓海「…なぁ、P」

P「どうした?」

拓海「さっきアタシの手料理が毎日食べたいって言ってたけどよ…あれ、本気なのか?」

P「えっ?」

拓海「もしPが食いてえって言うんだったら…弁当、作ってやろうか?」カァァ

P「あ、その…無理のない範囲なら、お願いします」

拓海「わかった…そ、それじゃ、またな!」ダッ

P「あっ…」



P(風邪をひいたら、なんか青春の1ページっぽい体験をしました)


―後日

ちひろ「プロデューサーさん、風邪はもう大丈夫ですか?」

P「ええこの通り。ご心配おかけしました」

ちひろ「拓海ちゃんの看病のおかげですか?」クスッ

P「そうですね。すごく優しくしてくれましたよ」

ちひろ「あらあら…仲のいいことで」

P「そんな…ただのアイドルとプロデューサーの関係ですよ」ハハハ

ちひろ(ただのアイドルは、担当プロデューサーの家に看病なんて行きませんよ?)


<ガチャ

拓海「うーっす」

ちひろ「あら、噂をすれば」

P「おはよう、拓海」

拓海「おっすP。もう大丈夫そうだな」

P「ああ。拓海のおかげだよ」

拓海「…別に、そんな大したことしてねえよ」

P「そんなことないよ。本当に助けられたよ」ナデナデ

拓海「んっ! な、撫でんなバカッ!」カァッ


ちひろ「惚気るのはよそでやってくださいねー」

拓海「の、惚気てなんかねえよ!」

ちひろ「はいはい。それじゃ私は銀行に用があるので行ってきます」

P「行ってらっしゃーい」

拓海「惚気てなんかねえよ!」クワッ

ちひろ「はいはいバカップルバカップル」


<バタン



拓海「ったく、ちひろのヤロォ…」

P「まあでも丁度良く席を外してくれたな」

拓海「…そうだな。ほら、今日の弁当だ」

P「さて、今日の中身はなにかな~?」パカッ

拓海「ホント嬉しそうだな」

P「これが一日の楽しみなんだよ。おっ、焼き鮭に卵焼きに…」

拓海「ちゃんと卵焼きは甘く仕上げてあるぜ」




P「なぁ拓海」

拓海「どうした?」

P「その………してくれないか?」

拓海「…しょうがねえな」

P「だってコレがあるとないとじゃ美味しさが違うんだよ」

拓海「気のせいだろ…ほら、いくぞ?」






<ガチャ

美世「ただ今戻りましたー!」

比奈「お疲れ様で…………ス?」



P「あっ」

比奈「えっ」

美世「た、拓海ちゃんがPさんにあーんしてる!」

拓海「」


拓海「こ、これにはワケがあってだな…」

比奈「どんなワケがあるのか詳しく知りたいっス」キラーン

美世「拓海ちゃん、この間用事があるって言ってたけど…もしかしてPさんの家に!?」

拓海「ち、違う! 違ぇから!」アセアセ

比奈「で、プロデューサー。ホントのところは?」

P「寝込んでた俺を看病してくれました」

比奈「ほう…看病でスか」ズイッ

拓海「こんな時だけ張り切るんじゃねえ!」


美世「本当に拓海ちゃんがオンナになっちゃうなんて…およよ」

拓海「まだなってねえよ!」

美世「………まだ?」

比奈「つまり予定はあるってことでスか」

拓海「…ッ! P、何か言えよ?!」カァァ

P「え? えっと…」



P「…いつでも、責任取る覚悟はできてるからな」キリッ

拓海「そうじゃねえだろうが?!」

比奈「これは詳しい取調べが必要でスね」グイッ

美世「看病のお話、全部聞かせてもらうからね!」グイッ

拓海「あぁもう、誰か助けてくれエエエエエエエエ!」

おわり

この夏ガチでカゼを引いてヤバかった
クーラーつけっぱなしはダメ、ゼッタイ

見てくれた人はありがとう。それじゃ

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom